(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126678
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】PGC1α発現増強用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/12 20060101AFI20240912BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240912BHJP
A61K 36/73 20060101ALI20240912BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240912BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240912BHJP
【FI】
A61K31/12
A61P43/00 111
A61K36/73
A23L33/10
A23L33/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035237
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 知倫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 美里
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB03
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018LE01
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4B018LE03
4B018LE05
4B018MD08
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4C088AB51
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4C206ZC02
4C206ZC41
(57)【要約】
【課題】新規なPGC1αの発現増強用組成物を提供すること。
【解決手段】アグリモールBを含有するPGC1α発現増強用組成物。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アグリモールBを含有することを特徴とするPGC1α発現増強用組成物。
【請求項2】
前記アグリモールBが、植物由来であることを特徴とする請求項1に記載のPGC1α発現増強用組成物。
【請求項3】
前記アグリモールBが、キンミズヒキ由来であることを特徴とする請求項1または2に記載のPGC1α発現増強用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PGC1αの発現増強用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(peroxisome proliferator-activated receptor-γ、PPARγ)コアクチベーター1α(以下、PGC1αともいう)は、ミトコンドリアを構成する分子、あるいはその機能発揮に重要な分子の発現の制御を行う主調節因子であり、ミトコンドリア合成やエネルギー産生を促進している。
ミトコンドリア以外にも、PGC1αは、筋機能とインスリン感受性に強い影響を与えることが明らかとなってきており、PGC1α活性化により、インスリン感受性が改善されることが知られている。また。PGC1αは、持久力やエネルギー代謝、さらに肥満との関係性が知られるようになり、近年エネルギー代謝の面から研究が行われており、PGC1αの産生を促進することで疾患を改善する可能性が指摘されている。
さらに最近、PGC1αの活性化により、サルコペニア、心機能低下、皮膚老化をはじめ様々な老化現象を抑制すること、寿命が延長することが報告され、PGC1αが抗老化の重要な因子であるとして注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、卵殻膜加水分解物がPGC1α遺伝子の発現を改善し、インスリン抵抗性を改善することが記載されている。特許文献2には、カフェインとω3不飽和脂肪酸を含むリン脂質を含有するPGC1α発現促進剤が、脂肪細胞と筋肉細胞のPGC1αに作用して体脂肪の燃焼を促進することが記載されている。特許文献3には、ヘリピロンAがPGC1αの産生を促進し、神経伝達を改善することが記載されている。
【0004】
また、近年神経細胞におけるミトコンドリアの生合成やエネルギー産生の研究により、PGC1α遺伝子の発現が神経機能に強くかかわっていることが明らかになってきた。例えばPGC1αのノックアウトマウスでは、神経変性疾患に見られるような神経細胞の脱落が見られ、逆にPGC1αの過剰発現によりミトコンドリア異常改善、神経細胞死が抑制されることが報告されている。また、アルツハイマー病、パーキンソン病を始め様々な中枢性疾患において、ミトコンドリアの機能異常が原因の1つであるといわれている。
【0005】
一方、本発明者等は、アグリモール及びそれを含有するキンミズヒキ抽出物の作用機序について着目して継続して探求し、抗ヘリコバクターピロリ用組成物(特許文献4)、神経活性化用組成物(特許文献5)、免疫老化改善機能(特許文献6)などを既に提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-105236号公報
【特許文献2】特開2016-108244号公報
【特許文献3】特開2017-43566号公報
【特許文献4】特開2003-342190号公報
【特許文献5】特開2018-8888号公報
【特許文献6】特開2022-6259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、新規なPGC1αの発現増強用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.アグリモールBを含有することを特徴とするPGC1α発現増強用組成物。
2.前記アグリモールBが、植物由来であることを特徴とする1.に記載のPGC1α発現増強用組成物。
3.前記アグリモールBが、キンミズヒキ由来であることを特徴とする1.または2.に記載のPGC1α発現増強用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の組成物により、PGC1αの発現を増強することができる。本発明の組成物により、PGC1αが関与する生体機能を改善し、筋機能の向上、インスリン感受性の向上、神経機能の向上、体脂肪の燃焼等が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】正常細胞と老化細胞における、キンミズヒキエキスおよびアグリモールB添加によるPGC1α発現増強を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において「A~B」との表記(A、Bは数値)は、その両端を含む数値範囲を意味する。
本発明は、アグリモールBを含有するPGC1α発現増強用組成物に関する。
【0012】
<アグリモールB>
アグリモールBは、下記の化学式1に示す化合物である(分子量:682.75g/mol)。アグリモールBは、化学合成したもの、あるいは植物などの天然物から抽出、分離し、必要に応じて精製したものを用いることができる。また、市販品を用いることもできる。
【0013】
【0014】
アグリモールBの化学合成としては、フロログルシノール等を出発原料として合成することができる。例えば、Acta Pharmaceutica Sinica 1989,24(6):431~437頁に記載の方法、あるいは特開平11-335256号公報に開示された方法で合成することができる。
なお、合成で得られるアグリモールBとして、(S)-(+)-アグリモールBとその光学異性体である(R)-(-)-アグリモールBの2種類が挙げられるが、アグリモールBとしては、これらのいずれか1種からなる単一化合物であってもよく、2種からなる混合物であってもよい。
【0015】
アグリモールBは、安全性の観点から植物由来のものが好ましい。
アグリモールBを含む植物としては、アグリモールBを含有するものであれば特に制限されないが、キンミズヒキ(学名:Agrimonia pilosa、別名:龍牙草)が好ましい。キンミズヒキは、バラ科キンミズヒキ属の多年草であり、日本国の本州、四国、九州などの林の縁、原野、路傍に自生している。キンミズヒキとしては、自生あるいは栽培された全草を採取し、これを自然乾燥又は加熱乾燥させたものを使用することができ、また、漢方生薬、民間療法薬、健康食品(ハーブティー)原料として市販されているキンミズヒキの乾燥物を使用することもできる。なお、キンミズヒキの全草を乾燥させたものは、仙鶴草の生薬名で市販されている。
【0016】
アグリモールBが植物由来である場合、抽出液、抽出液を精製・濃縮等した抽出エキス、水蒸気蒸留により得られる蒸留物、アグリモールBを含有する植物を擦りおろしたもの、この擦りおろしたものから絞ったジュース、あるいは、これらのアグリモールBを含む液体を液分減圧濃縮、スプレードライまたは凍結乾燥等の方法で固体化した粉末等を使用することができる。これらの中で、アグリモールBを高濃度で含むことから、水又は有機溶媒による抽出液、あるいはこの抽出液から得られる抽出エキス、乾燥エキスが好ましい。
【0017】
抽出は、抽出溶媒として、水、各種有機溶媒、これらの混合溶媒を用い、公知の抽出方法で行うことができる。
抽出操作を行う前に、原料をそのまま、または粗く細断したものを、疎水性溶媒、親水性溶媒、混合溶媒で洗浄し、色素等の不要物を除去してもよい。洗浄に用いる有機溶媒としては、低級アルコール(例、メチル、エチル、n-プロピル、イソブチルまたはブチルアルコールなど)、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、ジクロロメタンやクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン石、油エーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼンなどが挙げられる。
また、抽出操作を行う前に、原料に水を適宜加え、湿潤させることもできる。
【0018】
抽出溶媒としては、水、上記した有機溶媒、およびこれらの混合溶媒を使用することができ、これらの中で、水、低級アルコール、水と低級アルコールの混合溶媒が好ましく、また、低級アルコールとしてはエタノールが好ましい。
水で抽出を行うには、例えば、原料1重量部に対し、水0.5~10重量部を加え、40~120℃で、5分~2時間、好ましくは10~60分間、さらに好ましくは10~20分間抽出を行うことができる。このとき、撹拌により抽出効率を高めることもできる。また、抽出は、加熱還流により行うこともできる。抽出後、濾布、フィルターまたはメッシュ金網などを用いて濾過または圧搾を行う。この場合、加圧して作業効率を高めてもよい。また、別法として、遠心分離(1000~20000rpm)により抽出物を得ることもできる。回収率を高めるために、この抽出・濾過工程を1~5回繰り返すことができる。
【0019】
有機溶媒で抽出を行うには、例えば、原料1重量部に対し、有機溶媒0.5~10重量部を加え、水での抽出と同様にして抽出物を得ることができる。用いる溶媒としては上記した有機溶媒を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができ、含水溶媒も使用できる。特に、抽出前に原料を疎水性溶媒で洗浄して色素等の不要物を除去する場合、および下記のように抽出後の粗抽出物を疎水性溶媒で洗浄する場合において、抽出に用いる溶媒としては、水、低級アルコール、50~80%(v/v)含水低級アルコールが好ましく、低級アルコールとしてはエタノールが好ましい。溶媒の除去は、濾過、遠心分離、蒸留などの常法に従って行うことができる。
【0020】
キンミズヒキからの好ましい抽出方法は、例えば、以下のように行うことができる。
自生あるいは栽培された全草を採取し、これを自然乾燥又は加熱乾燥させたものを使用する。そして、これを細切し、約10倍量の水または、含水濃度0~99.5%(v/v)エチルアルコール、好ましくは含水濃度1~50%エタノール、特に好ましくは含水濃度5~10%エタノールに3~5日間浸漬して室温で抽出するか、あるいは還流冷却器を付して50~80℃で5~24時間抽出し、濾過して抽出液を回収する。この抽出液は、ロータリーエバポレーターなどの減圧真空乾燥装置、又は凍結乾燥装置によって、水及びエタノールを除去して乾燥エキスとする。
【0021】
次に乾燥エキスを濃縮する。濃縮工程では、0~40%エチルアルコールで洗浄し、0~40%エチルアルコール可溶性成分を除去することにより濃縮する。具体的には、乾燥エキスを0~40%エタノール、特に好ましくは10~30%エタノールで洗浄し、0~40%エタノール、特に好ましくは10~30%エタノール可溶性成分をろ過等の手段で除去した後、ろ過残渣をロータリーエバポレーターなどの減圧真空乾燥装置、又は凍結乾燥装置を用いて、水及びエタノールを除去することで、アグリモールBがより濃縮された乾燥エキスを得ることができる。濃縮された乾燥エキスは、50~99.5%エタノール、特に好ましくは70~90%エタノールに再溶解し、製剤化に用いる賦形剤を添加して凍結乾燥することで、所望する濃度の濃縮された粉体を得ることができる。
【0022】
<PGC1α発現増強用組成物>
本発明のPGC1α発現増強用組成物は、アグリモールBを含有する。本発明の組成物は、アグリモールBを含有すれば良く、その他の成分を含有することができる。本発明のPGC1α発現増強用組成物におけるアグリモールBの含有量は、特に制限されないが、例えば0.001~100質量%である。下限値は、好ましくは0.005質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、上限値は、好ましくは99.5質量%以下であり、より好ましくは98質量%以下である。含有量を上記範囲内とすることにより、PGC1αの発現をより増強することができる。
【0023】
本発明の組成物は、筋肉細胞、脂肪細胞、神経細胞等におけるPGC1α発現を増強し、血中PGC1α量の増加をもたらす。従って上記作用を有することにより、本発明の組成物は、PGC1αの欠乏や不足に伴う各種疾患、特に神経系の障害や記憶障害の改善剤、体脂肪の燃焼促進剤、さらには老化の抑制または改善剤として使用でき、これらの症状若しくは疾患の予防剤、改善剤、治療剤として使用することができる。
本発明の組成物は、経口投与、経皮投与、直腸内投与、注射などの投与方法に適した剤形で投与することができる。これらの中で、投与が容易なため、経口投与が好ましく、具体的には、飲食品、飼料、医薬品、動物用薬品等として使用可能である。
【0024】
PGC1α発現増強用組成物を食品・飲料として使用する場合、例えば、果汁飲料、炭酸飲料、茶系飲料、乳飲料、アルコール飲料、清涼飲料、栄養ドリンク等の飲料、ゼリー状食品や各種スナック類、焼き菓子、ケーキ類、チョコレート、ガム、飴、スープ類等、あらゆる食品・飲料形態とすることができる。また、飲食品としては、通常の飲食品の他、栄養補助食品、機能性食品、健康食品、特定保健用食品等に上記の効果を目的として本発明の組成物を添加して用いることができる。
【0025】
PGC1α発現増強用組成物を、サプリメント、医薬品、動物用薬品として使用する場合、例えば、糖衣錠、バッカル錠、コーティング錠、チュアブル錠などの錠剤、丸剤、散剤、ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤などの液剤、トローチ剤等の経口用液体製剤として利用することができる。その他、外用剤として使用することができる。
【実施例0026】
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに制限されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
(1)試験試料の調製
キンミズヒキエキスは以下の手順で調製した。
キンミズヒキ(仙鶴草、福田龍株式会社)100gに、90%エタノール10倍量(1kg)を加え、還流抽出を2回繰り返した。得られた抽出液を、常法により珪藻土ろ過、減圧濃縮、凍結乾燥し、キンミズヒキ抽出物を得た。
得られたキンミズヒキ抽出物を、60℃に加温した20%エタノールに溶解・懸濁させ、珪藻土ろ過により不溶性画分を残渣として回収した。残渣を90%エタノールに再溶解し、活性炭処理、珪藻土ろ過、減圧濃縮、凍結乾燥し、キンミズヒキ濃縮抽出物を得た。
得られたキンミズヒキ濃縮抽出物は、粗精製のキンミズヒキ抽出物から20%エタノール可溶性成分を除去することで、アグリモールBを含む脂溶性成分が濃縮される。この濃縮抽出物を、キンミズヒキエキスとして下記の実験に使用した。
【0027】
(キンミズヒキエキス中のアグリモールBの含有量の測定)
得られたキンミズヒキエキスについて、HPLCによりアグリモールBの含有量を測定した。その結果、0.332質量%のアグリモールBが含有されていた。
測定に用いたHPLCの条件を下記に示す。
カラム:Wakosil-ll5C18 AR 4.6mm×150mm
移動相:A液 0.1%リン酸、B液 0.1%リン酸含有アセトニトリル
グラジエンドB液:50%(0-10分) 50%→95%(10分-55分)
95%(55分-70分) 50%(70分-80分)
カラム温度:40℃
流速 :1.2mL/min
検出 :UV288nm
注入量:10μL
【0028】
(2)培養および処置方法
WI38細胞を1.25×10
5cells/mlの濃度になるように10%FBS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma)、1%非必須アミノ酸溶液(Sigma)を含むMEM培地(Sigma)で縣濁し、6ウエルプレートに2.5mlずつ播種し、37℃、5%CO
2下で培養した。培養24時間後に、老化誘導のためドキソルビシンを終濃度100nMになるように添加し、24時間培養後に培地交換を行い、さらに2日間培養を行い、老化細胞を得た。この老化細胞にキンミズヒキエキス12.5μg/ml(アグリモールB:0.06μM)、またはアグリモールB1μMになるように添加し、24時間培養した。
また、老化誘導していない正常WI38細胞を3.75×10
5cells/mlの濃度になるように2.5mlずつ6ウエルプレートに播種し、24時間培養後培地交換を行い、キンミズヒキエキス12.5μg/ml、またはアグリモールB1μMになるように添加し、さらに24時間培養した。
なお、
図1のControlは、溶媒コントロールとしてジメチルスルホキシドを添加したものである。
【0029】
(3)Real time PCRによる発現量定量
培養後の老化細胞と正常細胞をPBSで洗浄後、700μlのRLT bufferを添加し、RNeasy Mini kit(QIAGEN)を用い添付の説明書に従ってRNAを調製した。調製した450ngのRNAを用いて、PrimeScript RT reagent kit(Takara)を使用し、添付の説明書に従いcDNAを作製した。
PGC1α発現量は、1μl cDNA、ヒトPGC1αtaq man probe(TaqMan Gene expression assays:Applied Biosystems)とPremix Ex Taq(Takara)を混合し、Quanti Studio(Applied Biosystems)を用いて、95℃、30秒、(95℃、1秒→60℃、20秒)×45サイクルの反応条件で測定を行った。内部標準としてβ-actinの発現量を使用し、上記と同様な反応で測定した。
測定により得られたCt値からβ-actinを内部標準としてΔΔCt法により、各サンプルの相対的遺伝子発現量を求めた。結果を
図1に示す。
【0030】
・結果
図1に示すように、キンミズヒキエキス、およびアグリモールB添加により、PGC1α遺伝子の発現が増加することが明らかとなった。特に、老化細胞において、PGC1α遺伝子の発現量は大きく増加していた。