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  • 特開-ポリアミン産生促進組成物 図1
  • 特開-ポリアミン産生促進組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126681
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ポリアミン産生促進組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20240912BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 36/73 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K31/12
A61K36/73
A61P9/10 101
A61P25/28
A61P29/00
A61P35/00
A61P39/06
A61P43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035240
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 知倫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 美里
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD08
4B018MD61
4B018ME06
4B018ME10
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF05
4B018MF06
4C088AA01
4C088AB51
4C088BA08
4C088BA11
4C088BA32
4C088CA08
4C088NA14
4C088ZA15
4C088ZA45
4C088ZB11
4C088ZB26
4C088ZC21
4C088ZC52
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB19
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA15
4C206ZA45
4C206ZB11
4C206ZB26
4C206ZC21
4C206ZC52
(57)【要約】
【課題】新規なポリアミン産生促進用組成物を提供すること。
【解決手段】アグリモールBを含有するポリアミン産生促進用組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アグリモールBを含有することを特徴とするポリアミン産生促進用組成物。
【請求項2】
ポリアミン合成酵素発現増加により、ポリアミン産生が促進されることを特徴とする請求項1に記載のポリアミン産生促進用組成物。
【請求項3】
前記アグリモールBが、植物由来であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミン産生促進用組成物。
【請求項4】
前記アグリモールBが、キンミズヒキ由来であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミン産生促進用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミンの産生促進用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミンは、体内でアミノ酸から合成される2つ以上のアミノ基を持つ物質であり、ヒトを含む全ての動物の細胞内で成長期に盛んに合成されている(非特許文献1)。ポリアミンの代表的な成分としては、プトレシン、スペルミジン、スペルミンがあり、アルギニンからオルニチンが産生され、オルニチンからオルニチン脱炭酸酵素によりプトレシンが、プトレシンからスペルミジン合成酵素によりスペルミジンが、さらにスペルミジンからスペルミン合成酵素によりスペルミンが産生される。
【0003】
ポリアミンは、細胞増殖時の核酸合成、特にRNAと強く結合し、RNA構造を変化させ、成長期の多岐にわたる段階でタンパク質合成促進を行っている(非特許文献2)。それ以外にも、ポリアミンは、抗炎症作用(非特許文献3)、抗酸化作用(非特許文献4)、糖化抑制(非特許文献5)、寿命延長(非特許文献6)などに関することが知られている。また、加齢によって体内のポリアミン濃度が低下すること(非特許文献7)、ポリアミンの合成には、上記の合成酵素が必要であるが、この酵素は、加齢に伴って酵素活性が低下することが知られている(非特許文献8)。さらに最近、ポリアミンの1種であるスペルミジンにより、老化CD8T細胞が若返り、抗腫瘍効果が高まることが報告され(非特許文献9)、抗老化との関りが注目されている。
【0004】
一方、本発明者等は、アグリモール及びそれを含有するキンミズヒキ抽出物の作用機序について着目して継続して探求し、抗ヘリコバクターピロリ用組成物(特許文献1)、神経活性化用組成物(特許文献2)、免疫老化改善機能(特許文献3)などを既に提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-342190号公報
【特許文献2】特開2018-8888号公報
【特許文献3】特開2022-6259号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Cell Tissue Kinet.1983.16,493-504.
【非特許文献2】Biochem Biophys Res. Commun 2000 May 19;271(3):559-64. Igarashi et al.
【非特許文献3】J Exp Med. 1997 May 19;185(10):1759-68.Zhang M et al.
【非特許文献4】Proc. Natl. Acad. Sci. USA Vol. 95, pp. 11140-11145, September 1998.
【非特許文献5】Life Sci. 2003 Apr 25;72(23):2603-16. Gugliucci et al.
【非特許文献6】Aging,August,2011 Vol.3,No.8,Nadege Minois et al.
【非特許文献7】Exp Gerontol. 1982;17(2):95-103. Ratna Das et al.
【非特許文献8】Exp Gerontol. 1993 Nov-Dec;28(6):565-72. Kiego Yoshinaga et al.
【非特許文献9】Science. 2022 Oct28;378 (6618) Al-Habsi et al.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、新規なポリアミンの産生促進用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.アグリモールBを含有することを特徴とするポリアミン産生促進用組成物。
2.ポリアミン合成酵素発現増加により、ポリアミン産生が促進されることを特徴とする1.に記載のポリアミン産生促進用組成物。
3.前記アグリモールBが、植物由来であることを特徴とする1.または2.に記載のポリアミン産生促進用組成物。
4.前記アグリモールBが、キンミズヒキ由来であることを特徴とする1.または2.に記載のポリアミン産生促進用組成物。
5.アグリモールBを含有することを特徴とするポリアミン合成酵素発現増加用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の組成物により、ポリアミンの産生を促進することができる。本発明の組成物により、タンパク質合成の促進、動脈硬化などの心血管系疾患抑制、認知症予防、抗炎症効果、抗酸化効果、老化抑制、抗癌効果等が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】キンミズヒキエキスおよびアグリモールB添加によるポリアミンの合成に関わるオルニチン脱炭酸酵素の発現増強を示すグラフ。
図2】キンミズヒキエキスおよびアグリモールB添加によるポリアミンの合成に関わるスペルミジン合成酵素の発現増強を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において「A~B」との表記(A、Bは数値)は、その両端を含む数値範囲を意味する。
本発明は、アグリモールBを含有するポリアミン産生促進用組成物に関する。
【0012】
<アグリモールB>
アグリモールBは、下記の化学式1に示す化合物である(分子量:682.75g/mol)。アグリモールBは、化学合成したもの、あるいは植物などの天然物から抽出、分離し、必要に応じて精製したものを用いることができる。また、市販品を用いることもできる。
【0013】
【化1】
【0014】
アグリモールBの化学合成としては、フロログルシノール等を出発原料として合成することができる。例えば、Acta Pharmaceutica Sinica 1989,24(6):431~437頁に記載の方法、あるいは特開平11-335256号公報に開示された方法で合成することができる。
なお、合成で得られるアグリモールBとして、(S)-(+)-アグリモールBとその光学異性体である(R)-(-)-アグリモールBの2種類が挙げられるが、アグリモールBとしては、これらのいずれか1種からなる単一化合物であってもよく、2種からなる混合物であってもよい。
【0015】
アグリモールBは、安全性の観点から植物由来のものが好ましい。
アグリモールBを含む植物としては、アグリモールBを含有するものであれば特に制限されないが、キンミズヒキ(学名:Agrimonia pilosa、別名:龍牙草)が好ましい。キンミズヒキは、バラ科キンミズヒキ属の多年草であり、日本国の本州、四国、九州などの林の縁、原野、路傍に自生している。キンミズヒキとしては、自生あるいは栽培された全草を採取し、これを自然乾燥又は加熱乾燥させたものを使用することができ、また、漢方生薬、民間療法薬、健康食品(ハーブティー)原料として市販されているキンミズヒキの乾燥物を使用することもできる。なお、キンミズヒキの全草を乾燥させたものは、仙鶴草の生薬名で市販されている。
【0016】
アグリモールBが植物由来である場合、抽出液、抽出液を精製・濃縮等した抽出エキス、水蒸気蒸留により得られる蒸留物、アグリモールBを含有する植物を擦りおろしたもの、この擦りおろしたものから絞ったジュース、あるいは、これらのアグリモールBを含む液体を液分減圧濃縮、スプレードライまたは凍結乾燥等の方法で固体化した粉末等を使用することができる。これらの中で、アグリモールBを高濃度で含むことから、水又は有機溶媒による抽出液、あるいはこの抽出液から得られる抽出エキス、乾燥エキスが好ましい。
【0017】
抽出は、抽出溶媒として、水、各種有機溶媒、これらの混合溶媒を用い、公知の抽出方法で行うことができる。
抽出操作を行う前に、原料をそのまま、または粗く細断したものを、疎水性溶媒、親水性溶媒、混合溶媒で洗浄し、色素等の不要物を除去してもよい。洗浄に用いる有機溶媒としては、低級アルコール(例、メチル、エチル、n-プロピル、イソブチルまたはブチルアルコールなど)、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、ジクロロメタンやクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン石、油エーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼンなどが挙げられる。
また、抽出操作を行う前に、原料に水を適宜加え、湿潤させることもできる。
【0018】
抽出溶媒としては、水、上記した有機溶媒、およびこれらの混合溶媒を使用することができ、これらの中で、水、低級アルコール、水と低級アルコールの混合溶媒が好ましく、また、低級アルコールとしてはエタノールが好ましい。
水で抽出を行うには、例えば、原料1重量部に対し、水0.5~10重量部を加え、40~120℃で、5分~2時間、好ましくは10~60分間、さらに好ましくは10~20分間抽出を行うことができる。このとき、撹拌により抽出効率を高めることもできる。また、抽出は、加熱還流により行うこともできる。抽出後、濾布、フィルターまたはメッシュ金網などを用いて濾過または圧搾を行う。この場合、加圧して作業効率を高めてもよい。また、別法として、遠心分離(1000~20000rpm)により抽出物を得ることもできる。回収率を高めるために、この抽出・濾過工程を1~5回繰り返すことができる。
【0019】
有機溶媒で抽出を行うには、例えば、原料1重量部に対し、有機溶媒0.5~10重量部を加え、水での抽出と同様にして抽出物を得ることができる。用いる溶媒としては上記した有機溶媒を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができ、含水溶媒も使用できる。特に、抽出前に原料を疎水性溶媒で洗浄して色素等の不要物を除去する場合、および下記のように抽出後の粗抽出物を疎水性溶媒で洗浄する場合において、抽出に用いる溶媒としては、水、低級アルコール、50~80%(v/v)含水低級アルコールが好ましく、低級アルコールとしてはエタノールが好ましい。溶媒の除去は、濾過、遠心分離、蒸留などの常法に従って行うことができる。
【0020】
キンミズヒキからの好ましい抽出方法は、例えば、以下のように行うことができる。
自生あるいは栽培された全草を採取し、これを自然乾燥又は加熱乾燥させたものを使用する。そして、これを細切し、約10倍量の水または、含水濃度0~99.5%(v/v)エチルアルコール、好ましくは含水濃度1~50%エタノール、特に好ましくは含水濃度5~10%エタノールに3~5日間浸漬して室温で抽出するか、あるいは還流冷却器を付して50~80℃で5~24時間抽出し、濾過して抽出液を回収する。この抽出液は、ロータリーエバポレーターなどの減圧真空乾燥装置、又は凍結乾燥装置によって、水及びエタノールを除去して乾燥エキスとする。
【0021】
次に乾燥エキスを濃縮する。濃縮工程では、0~40%エチルアルコールで洗浄し、0~40%エチルアルコール可溶性成分を除去することにより濃縮する。具体的には、乾燥エキスを0~40%エタノール、特に好ましくは10~30%エタノールで洗浄し、0~40%エタノール、特に好ましくは10~30%エタノール可溶性成分をろ過等の手段で除去した後、ろ過残渣をロータリーエバポレーターなどの減圧真空乾燥装置、又は凍結乾燥装置を用いて、水及びエタノールを除去することで、アグリモールBがより濃縮された乾燥エキスを得ることができる。濃縮された乾燥エキスは、50~99.5%エタノール、特に好ましくは70~90%エタノールに再溶解し、製剤化に用いる賦形剤を添加して凍結乾燥することで、所望する濃度の濃縮された粉体を得ることができる。
【0022】
<ポリアミン産生促進用組成物>
本発明のポリアミン産生促進用組成物は、アグリモールBを含有する。本発明の組成物は、アグリモールBを含有すれば良く、その他の成分を含有することができる。本発明のポリアミン産生促進用組成物におけるアグリモールBの含有量は、特に制限されないが、例えば0.001~100質量%である。下限値は、好ましくは0.005質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、上限値は、好ましくは99.5質量%以下であり、より好ましくは98質量%以下である。含有量を上記範囲内とすることにより、ポリアミンの産生をより促進することができる。
【0023】
本発明の組成物は、ポリアミンの産生を促進する。本発明の組成物は、ポリアミン合成酵素の発現を増強する。少なくともポリアミンの合成に関わるオルニチン脱酸素酵素とスペルミジン合成酵素の発現を増加する。本発明の組成物により、ポリアミンの産生促進によりもたらされる生理機能が改善する。そのため、本発明の組成物は、抗炎症剤、抗老化剤、糖化抑制剤、抗がん剤、動脈硬化などの心血管系疾患抑制,改善剤、認知症抑制、改善剤等として使用することができる。
本発明の組成物は、経口投与、経皮投与、直腸内投与、注射などの投与方法に適した剤形で投与することができる。これらの中で、投与が容易なため、経口投与が好ましく、具体的には、飲食品、飼料、医薬品、動物用薬品等として使用可能である。
【0024】
ポリアミン産生促進用組成物を食品・飲料として使用する場合、例えば、果汁飲料、炭酸飲料、茶系飲料、乳飲料、アルコール飲料、清涼飲料、栄養ドリンク等の飲料、ゼリー状食品や各種スナック類、焼き菓子、ケーキ類、チョコレート、ガム、飴、スープ類等、あらゆる食品・飲料形態とすることができる。また、飲食品としては、通常の飲食品の他、栄養補助食品、機能性食品、健康食品、特定保健用食品等に上記の効果を目的として本発明の組成物を添加して用いることができる。
【0025】
ポリアミン産生促進用組成物を、サプリメント、医薬品、動物用薬品として使用する場合、例えば、糖衣錠、バッカル錠、コーティング錠、チュアブル錠などの錠剤、丸剤、散剤、ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤などの液剤、トローチ剤等の経口用液体製剤として利用することができる。その他、外用剤として使用することができる。
【実施例0026】
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに制限されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
(1)試験試料の調製
キンミズヒキエキスは以下の手順で調製した。
キンミズヒキ(仙鶴草、福田龍株式会社)100gに、90%エタノール10倍量(1kg)を加え、還流抽出を2回繰り返した。得られた抽出液を、常法により珪藻土ろ過、減圧濃縮、凍結乾燥し、キンミズヒキ抽出物を得た。
得られたキンミズヒキ抽出物を、60℃に加温した20%エタノールに溶解・懸濁させ、珪藻土ろ過により不溶性画分を残渣として回収した。残渣を90%エタノールに再溶解し、活性炭処理、珪藻土ろ過、減圧濃縮、凍結乾燥し、キンミズヒキ濃縮抽出物を得た。
得られたキンミズヒキ濃縮抽出物は、粗精製のキンミズヒキ抽出物から20%エタノール可溶性成分を除去することで、アグリモールBを含む脂溶性成分が濃縮される。この濃縮抽出物を、キンミズヒキエキスとして下記の実験に使用した。
【0027】
(キンミズヒキエキス中のアグリモールBの含有量の測定)
得られたキンミズヒキエキスについて、HPLCによりアグリモールBの含有量を測定した。その結果、0.332質量%のアグリモールBが含有されていた。
測定に用いたHPLCの条件を下記に示す。
カラム:Wakosil-ll5C18 AR 4.6mm×150mm
移動相:A液 0.1%リン酸、B液 0.1%リン酸含有アセトニトリル
グラジエンドB液:50%(0-10分) 50%→95%(10分-55分)
95%(55分-70分) 50%(70分-80分)
カラム温度:40℃
流速 :1.2mL/min
検出 :UV288nm
注入量:10μL
【0028】
(2)培養および処置方法
WI38細胞を1.25×10cells/mlの濃度になるように10%FBS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma)、1%非必須アミノ酸溶液(Sigma)を含むMEM培地(Sigma)で縣濁し、6ウエルプレートに2.5mlずつ播種し、37℃、5%CO下で培養した。培養24時間後に、老化誘導のためドキソルビシンを終濃度100nMになるように添加し、24時間培養後に培地交換を行い、さらに2日間培養を行い、老化細胞を得た。この老化細胞にキンミズヒキエキス12.5μg/ml(アグリモールB:0.06μM)、またはアグリモールB1μMになるように添加し、24時間培養した。
なお、図1のControlは、溶媒コントロールとしてジメチルスルホキシドを添加したものである。
【0029】
(3)マイクロアレイ解析
培養後の細胞をPBSで洗浄後700μlのRLT bufferを添加し、RNeasy Mini kit(QIAGEN)を用い添付の説明書に従ってRNAを調製した。
アジレント社製マクロアレイを用いた遺伝子発現解析を、株式会社DNAチップ研究所で実施した。結果を図1、2に示す。
【0030】
・結果
図1、2に示すように、キンミズヒキエキス、およびアグリモールB添加により、ポリアミンの合成に関わる酵素であるオルニチン脱炭酸酵素、及びスペルミジン合成酵素の発現増強が確認され、このことから、ポリアミン産生促進が確認できた。
図1
図2