(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126682
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】行動提案装置、行動提案方法、及び行動提案プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240912BHJP
G16H 50/30 20180101ALI20240912BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035241
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】内田 早紀
(72)【発明者】
【氏名】小池 博一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 鉄二
(72)【発明者】
【氏名】川上 達矢
(72)【発明者】
【氏名】西牧 駿
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】人が立てた将来的な目標の達成を支援するための行動を提案することができる行動提案装置を提供する。
【解決手段】健康値算出部13は、ユーザの少なくとも年齢に基づいて前記ユーザの健康値を算出する。目標達成可否判定部14は、設定した目標に基づいて所定の時期を算出し、健康値と所定の時期に基づいて目標を達成できるか否かを判定する。提案行動選択部15は、目標を達成できないと判定されたとき、健康値と所定の時期との差に基づいて健康値を延ばす行動を提案行動として選択する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの少なくとも年齢に基づいて前記ユーザの健康値を算出する健康値算出部と、
設定した目標に基づいて所定の時期を算出し、前記健康値と前記所定の時期に基づいて前記目標を達成できるか否かを判定する目標達成可否判定部と、
前記目標達成可否判定部が前記目標を達成できないと判定したとき、前記健康値と前記所定の時期との差に基づいて前記健康値を延ばす行動を提案行動として選択する提案行動選択部と、
を備える行動提案装置。
【請求項2】
前記目標達成可否判定部が前記目標を達成できると判定したとき、前記提案行動選択部は、前記健康値と前記所定の時期との差よりも前記健康値を縮めない提案行動を選択する請求項1に記載の行動提案装置。
【請求項3】
前記提案行動と、前記提案行動が前記健康値へ与える影響とを対応付けた行動情報のテーブルを少なくとも年齢ごとに複数記憶する行動情報記憶部を備え、
前記提案行動選択部は、前記複数のテーブルから前記ユーザの年齢に基づいて所定のテーブルを選択する
請求項1または2に記載の行動提案装置。
【請求項4】
健康値算出部が、ユーザの少なくとも年齢に基づいて前記ユーザの健康値を算出し、
目標達成可否判定部が、設定した目標に基づいて所定の時期を算出し、前記健康値と前記所定の時期に基づいて前記目標を達成できるか否かを判定し、
前記目標を達成できないと判定されたとき、提案行動選択部が、前記健康値と前記所定の時期との差に基づいて前記健康値を延ばす行動を提案行動として選択する
行動提案方法。
【請求項5】
コンピュータに、
ユーザの少なくとも年齢に基づいて前記ユーザの健康値を算出するステップと、
設定した目標に基づいて所定の時期を算出し、前記健康値と前記所定の時期に基づいて前記目標を達成できるか否かを判定するステップと、
前記目標を達成できないと判定されたとき、前記健康値と前記所定の時期との差に基づいて前記健康値を延ばす行動を提案行動として選択するステップと、
を実行させる行動提案プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行動提案装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人が立てた将来的な目標を達成するには、健康寿命を維持することが重要である。特許文献1には、ユーザの健康状態を示す健康指標を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一例として、10歳の孫がいる祖父が10年後の20歳の誕生日を祝うという目標を立てたとする。10年後に祖父が健康寿命を維持できていない可能性がある場合、健康寿命を維持するための適切な行動を提案できれば、目標を達成できる可能性が高くなる。人が立てた将来的な目標を、健康を維持した状態で達成するための行動を提案することができる行動提案装置の登場が望まれる。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑み、人が立てた将来的な目標の達成を支援するための行動を提案することができる行動提案装置、行動提案方法、及び行動提案プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ユーザの少なくとも年齢に基づいて前記ユーザの健康値を算出する健康値算出部と、設定した目標に基づいて所定の時期を算出し、前記健康値と前記所定の時期に基づいて前記目標を達成できるか否かを判定する目標達成可否判定部と、前記目標達成可否判定部が前記目標を達成できないと判定したとき、前記健康値と前記所定の時期との差に基づいて前記健康値を延ばす行動を提案行動として選択する提案行動選択部とを備える行動提案装置を提供する。
【0007】
本発明は、健康値算出部が、ユーザの少なくとも年齢に基づいて前記ユーザの健康値を算出し、目標達成可否判定部が、設定した目標に基づいて所定の時期を算出し、前記健康値と前記所定の時期に基づいて前記目標を達成できるか否かを判定し、前記目標を達成できないと判定されたとき、提案行動選択部が、前記健康値と前記所定の時期との差に基づいて前記健康値を延ばす行動を提案行動として選択する行動提案方法を提供する。
【0008】
本発明は、コンピュータに、ユーザの少なくとも年齢に基づいて前記ユーザの健康値を算出するステップと、設定した目標に基づいて所定の時期を算出し、前記健康値と前記所定の時期に基づいて前記目標を達成できるか否かを判定するステップと、前記目標を達成できないと判定されたとき、前記健康値と前記所定の時期との差に基づいて健康値を延ばす行動を提案行動として選択するステップとを実行させる行動提案プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の行動提案装置、行動提案方法、及び行動提案プログラムによれば、人が立てた将来的な目標の達成を支援するための行動を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る行動提案装置を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、被提案者が入力する個人情報の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る行動提案装置が備える行動情報記憶部に記憶されている行動情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る行動提案装置が実行する基本的な処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態に係る行動提案装置、行動提案方法、及び行動提案プログラムについて、添付図面を参照して説明する。
図1において、一実施形態に係る行動提案装置100は、行動提案処理部10、操作部20、個人情報記憶部30、行動情報記憶部40、表示部50を備える。行動提案処理部10は、操作入力受付部11、書込・読出制御部12、健康値算出部13、目標達成可否判定部14、提案行動選択部15、表示制御部16、無線通信部17を有する。
【0012】
行動提案装置100は、ウェアラブルデバイス60と無線にて通信可能である。ウェアラブルデバイス60は、無線通信部61、カメラ62、時刻情報取得・位置情報算出部63、記憶部64を有する。ウェアラブルデバイス60は、行動提案装置100と有線で接続されてもよい。ウェアラブルデバイス60内の構成が、行動提案装置100内に設けられていてもよい。この場合、無線通信部17及び61は不要である。
【0013】
行動提案装置100は、パーソナルコンピュータで構成されていてもよいし、スマートフォンで構成されていてもよいし、タブレット端末で構成されていてもよい。ウェアラブルデバイス60は、被提案者の腕に装着する腕時計型であってもよいし、被提案者の顔に装着する眼鏡型であってもよい。行動提案処理部10における無線通信部17を除く構成は、マイクロコンピュータで構成されていてもよいし、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、またはタブレット端末の中央処理装置(CPU(Central Processing Unit))で構成されていてもよい。
【0014】
行動提案装置100のユーザである行動の提案を受けようとする被提案者は、操作部20を操作して自分自身の個人情報を入力する。
図2は、被提案者が入力する個人情報の一例を示す。個人情報は、例えば、被提案者情報、被提案者の生活習慣に関連した生活習慣関連情報、設定目標を含む。被提案者情報は、例えば、氏名、年齢、性別を含む。被提案者は現在68歳の男性である。生活習慣関連情報は、例えば、病歴、喫煙歴や1日当たりの喫煙本数、飲酒歴を含む。被提案者の設定目標は、例えば、現在10歳の孫の20歳を健康な状態で祝うことである。そこで、設定目標には、間柄として孫、年齢として10歳、目標として「孫の20歳を健康で祝う」と設定されている。操作部20はタッチパネルで構成されていてもよい。
【0015】
図1に戻り、操作入力受付部11が
図2に示すように入力された個人情報を受け付けると、書込・読出制御部12は、入力された個人情報を個人情報記憶部30に記憶させる。個人情報記憶部30は不揮発性の所定のメモリで構成される。個人情報記憶部30は、マイクロコンピュータが備えるメモリであってもよい。
【0016】
被提案者は、設定目標を達成するための行動の提案を受けるために、操作部20を操作して行動の提案開始を指示する。操作入力受付部11が提案開始の指示を受け付けると、健康値算出部13は、書込・読出制御部12が個人情報記憶部30から読み出した個人情報に基づいて被提案者の健康値を算出する。健康値とは、被提案者の健康状態を示す指標であって、その一例は健康寿命であり健康を維持できる期間を表す。健康値算出部13は、少なくとも被提案者の年齢に基づいて健康値を算出する。また、健康値算出部13は、被提案者の年齢及び性別に基づいて健康値を算出してもよい。
【0017】
さらに、健康値算出部13は、統計的に得られている平均寿命から所定の年数を減算することによって健康値とすることができる。健康値算出部13は、平均寿命から減算する所定の年数を男性は9年、女性は13年としてもよい。健康値算出部13は、統計的に得られている健康寿命の値を健康値としてもよい。健康値算出部13は、特許文献1に記載のように、被提案者の歩行速度または血糖値等の被提案者の個人的な情報を考慮して健康値を算出してもよい。この場合、
図2に示す個人情報に歩行速度、血糖値等を加えればよい。健康値算出部13は、70歳女性の場合に、歩行速度が1m/sであれば健康値を90歳、0.2m/sであれば健康値を80歳と算出してもよい。健康値算出部13は、70歳男性の場合に、歩行速度が1m/sであれば健康値を85歳、0.2m/sであれば健康値を75歳と算出してもよい。
【0018】
健康値算出部13は、書込・読出制御部12が個人情報記憶部30から読み出した生活習慣関連情報を考慮して健康値を算出してもよい。健康値算出部13は、健康値を算出した後、個人情報に含まれる喫煙歴や飲酒歴に基づいて健康値を補正してもよい。健康値算出部13は、健康値を算出した後、個人情報に含まれる喫煙歴と1日当たりの喫煙本数との積に所定の係数(例えば0.008)を乗算して健康値から減算してもよい。
【0019】
被提案者に対し予め運動機能のテストや健康診断を実施しておき、健康値算出部13はそれらのデータに基づいて健康値を算出してもよい。健康値算出部13は、平均寿命から健康寿命を減算して健康値を算出してもよい。
【0020】
平均寿命、平均寿命から減算する所定の年数、健康寿命、歩行速度または血糖値等からの健康寿命の算出などのデータは、健康値算出部13に予め記憶されていてもよいし、健康値算出部13は図示せぬ通信部を介してインターネットと接続して更新されてもよい。
【0021】
目標達成可否判定部14は、被提案者が、将来の設定した時期に設定した目標を達成することが可能か否かを判定する。つまり、目標達成可否判定部14は、設定した目標に基づいて所定の時期を算出し、健康値が所定の時期を超えるか否かを判定する。上記の例では、設定した目標は孫の20歳を健康な状態で祝うことである。目標達成可否判定部14は、孫は現在10歳であるから、目標の年齢である20歳から10歳を引いた10年を被提案者の年齢である68歳に加算し、78歳を所定の時期として算出する。つまり、目標達成可否判定部14は、設定目標が何年後かを算出し、その値を被提案者の年齢に加算して所定の時期として算出する。目標達成可否判定部14は、健康値算出部13が算出した健康値と、書込・読出制御部12が個人情報記憶部30から読み出した設定目標とに基づいて、所定の時期に目標を達成することが可能か否かを判定する。
【0022】
目標達成可否判定部14は、設定した目標に運動が含まれていれば、その運動の種類に対応付けられた補正値を所定の時期に加算してもよい。行動情報記憶部40は、運動の種類と補正値とが対応付けられたテーブルを記憶してもよい。ここで、行動情報記憶部40は、運動の負荷が大きいほど大きな補正値を記憶する。例えば、行動情報記憶部40は、運動の種類として「会話」の場合に補正値1を記憶し、運動の種類として「キャッチボール」の場合に補正値5を記憶しておく。
【0023】
目標達成可否判定部14は、目標が「20歳の孫を健康で祝う」の場合、これを会話とみなして行動情報記憶部40に記憶された補正値1を読み出し、所定の時期に加算してもよい。目標達成可否判定部14は、目標が「20歳の孫とキャッチボールする」の場合、行動情報記憶部40に記憶された補正値5を読み出し、所定の時期に加算してもよい。このように、設定した目標の運動の種類に基づいて所定の時期を算出することにより、目標を達成する可能性が高まる。
【0024】
第1の例として、健康値算出部13が被提案者の健康値を76歳と算出したとする。目標達成可否判定部14は、現在68歳の被提案者は10年後である78歳を所定の時期として算出する。目標達成可否判定部14は、健康値の76歳が所定の時期である78歳を超えないから、設定した目標を達成できないと判定する。提案行動選択部15は、行動情報記憶部40に記憶されている行動情報に基づいて、目標を達成することができるよう被提案者に提案する行動、つまり被提案者の健康値を延ばすための提案行動を選択する。
【0025】
図3は、行動情報記憶部40に記憶されている行動情報の一例を示す。行動情報は、行動種別と、健康値へ与える影響度とを対応付けたテーブルである。
図3に示した行動情報では、行動種別は1日単位、健康値への影響度は1年単位である。これに限定されず、行動情報記憶部40は、任意で定めた所定の単位における行動種別や所定の単位における健康値への影響度を記憶してもよい。
【0026】
図3に示すように、行動情報記憶部40には、例えば、1日15分の散歩を1年続ければ、健康値が3年延びる、1日30分の散歩を1年続ければ、健康値が4年延びる、という情報が記憶されている。行動情報記憶部40には、健康値を延ばすための行動種別のみを記憶させてもよいし、健康値を縮める行動種別を含めて記憶させてもよい。
図3に示すように、行動情報記憶部40には、例えば、1日1本の喫煙を1年続ければ、健康値が0.008年縮まる、という情報が記憶されている。行動情報は、行動情報記憶部40に予め記憶されていてもよいし、行動情報記憶部40は図示せぬ通信部を介してインターネットと接続して更新されてもよい。
【0027】
行動情報記憶部40は、飲食物の摂取を行動情報に含めて記憶してもよい。行動情報記憶部40は、果物の所定量の摂取による健康値の延長、少量の飲酒による健康値の延長、多量の飲酒による健康値の短縮などを行動情報として記憶してもよい。
【0028】
行動情報記憶部40は、年齢、性別、喫煙歴や飲酒歴などに基づいた複数の行動情報のテーブルを記憶してもよい。行動情報記憶部40は、少なくとも年齢ごとに複数の行動情報のテーブルを記憶してもよい。例えば、40歳で禁煙すると健康値が9歳、50歳で禁煙すると健康値が6歳延びると言われている。よって、行動情報記憶部40は、40歳の行動情報のテーブルとして、行動種別が禁煙で、健康値への影響度が+9年という行動情報を記憶してもよい。行動情報記憶部40は、50歳の行動情報のテーブルとして、行動種別が禁煙で、健康値への影響度が+6年という行動情報を記憶してもよい。
【0029】
行動情報記憶部40は不揮発性の所定のメモリで構成される。行動情報記憶部40は、マイクロコンピュータが備えるメモリであってもよい。個人情報記憶部30と行動情報記憶部40とが1つのメモリで構成されていてもよい。
【0030】
提案行動選択部15は、行動情報記憶部40に記憶されている行動情報をそのまま被提案者の健康値を延ばすための提案行動を選択することがあってもよいし、行動情報記憶部40に記憶されている行動情報を変形させて、変形させた行動情報を選択した提案行動としてもよい。
【0031】
第1の例では、1日30分の散歩を1年続ければ、健康値が4年延びるので、1日30分の散歩を6か月続ければ、健康値が2年延びると計算される。そこで、提案行動選択部15は、1日30分の散歩を6か月続けるという提案行動を選択する。また、1日15分の散歩を1年続ければ、健康値が3年延びるので、1日15分の散歩を2/3年、即ち8か月続ければ、健康値が2年延びると計算される。提案行動選択部15は、1日15分の散歩を8か月続けるという提案行動を選択してもよい。提案行動選択部15は、複数の行動種別(散歩15分、散歩30分など)とその行動の複数の継続期間(6ヶ月、8ヶ月など)とを組み合わせて、提案行動を選択する。提案行動選択部15は、行動情報記憶部40が記憶する所定の単位における健康値への影響度を、提案行動の継続期間で按分する。
【0032】
提案行動選択部15は、1日30分の散歩を6か月続けるという提案行動と、1日15分の散歩を8か月続けるという提案行動との2つの提案行動を選択してもよい。提案行動選択部15は、行動情報記憶部40に記憶されている行動情報に基づいて、目標を達成することができる全ての提案行動を選択してもよい。提案行動選択部15は、健康値が2年以上延びる提案行動を選択すればよい。提案行動選択部15は、健康値と所定の時期との差より大きく健康値を延ばす行動を提案行動として選択する。
【0033】
提案行動選択部15は、行動情報記憶部40に記憶された複数の行動情報のテーブルから、被提案者の個人情報(年齢、性別、喫煙歴や飲酒歴など)に基づいてテーブルを選択してもよい。例えば、行動情報記憶部40が、60歳と70歳に対応する2つの行動情報のテーブルを記憶しているとする。提案行動選択部15は、被提案者の個人情報から年齢を参照し、より年齢の近い70歳に対応する行動情報のテーブルを選択し、選択したテーブルを用いて提案行動を選択してもよい。
【0034】
提案行動選択部15は、被提案者の年齢が健康値算出部13の記憶する平均寿命を超えている場合には、現在の年齢に基づいて健康状態が維持できる程度の提案行動を選択してもよい。つまり、提案行動選択部15は、被提案者の年齢に適合する行動情報のテーブルにおいて、健康値への影響度が正の値かつ所定値よりも小さい行動種別を選択してもよい。あるいは、提案行動選択部15は、被提案者の年齢に適合する行動情報のテーブルにおいて、健康値への影響度が正の値で最も小さい行動種別を選択してもよい。
【0035】
提案行動選択部15は、複数の行動種別と複数の継続期間をどのように組み合わせても、健康値を所定の時期まで延ばす提案行動を選択できない場合、最も所定の時期に近い提案行動を選択してもよい。提案行動選択部15は、選択した提案行動によって延びる健康値を算出してもよい。つまり、提案行動選択部15は、行動情報記憶部40が記憶する所定の単位での健康値への影響度を、行動の継続期間で除算して、選択した提案行動によって延びる健康値を算出してもよい。
【0036】
提案行動選択部15は、行動種別と継続期間をどのように組み合わせても、健康値を所定の時期まで延ばす提案行動を選択できない場合、最も所定の時期に近い提案行動を選択してもよい。提案行動選択部15は、選択した提案行動によって延びる健康値を算出してもよい。
【0037】
表示制御部16は、提案行動選択部15で選択された提案行動を被提案者に提示するよう表示部50に表示する。被提案者は、表示部50に表示された提案行動を見て、目標を達成するよう提案行動に従って行動する。表示部50は例えば液晶パネルである。表示部50が提案行動を表示するのに加えて、図示していないスピーカによって提案行動を音声で被提案者に知らせてもよい。表示制御部16は、提案行動選択部15が算出した健康値を表示してもよい。
【0038】
第2の例として、健康値算出部13が被提案者の健康値を80歳と算出したとする。現在68歳の被提案者は10年後に78歳であり、目標達成可否判定部14は、被提案者の10年後の78歳は健康値の80歳以内であるから、健康値の期間内に設定した目標を達成できると判定する。この場合、提案行動選択部15は提案行動を選択せず、表示制御部16は、被提案者に目標を達成可能であることを知らせるよう表示部50にその旨を示す視覚的情報を表示してもよい。
【0039】
提案行動選択部15は、目標を達成可能であっても、提案者の健康値をさらに延ばすための提案行動を選択し、表示制御部16は、提案行動選択部15で選択された提案行動を被提案者に提示するよう表示部50に表示してもよい。この場合、提案行動選択部15は、健康値を延ばす行動種別のみ提案行動として選択し、表示制御部16は、健康値を延ばす行動種別の提案行動を被提案者に提示するよう表示部50に表示してもよい。提案行動選択部15は、健康値を縮める行動種別を含む提案行動を選択し、表示制御部16は、健康値を縮める行動種別を含む提案行動を被提案者に提示するよう表示部50に表示してもよい。
【0040】
提案行動選択部15は、健康値を縮める行動種別を含む提案行動を選択する際に、健康値と所定の時期との差より大きく健康値を縮める提案行動を選択しない。つまり、提案行動選択部15は、行動情報記憶部40に記憶されている行動情報のうち、健康値と所定の時期との差より健康値を縮めない提案行動を選択する。換言すると、提案行動選択部15は、行動情報記憶部40に記憶されている行動情報のうち、健康値と所定の時期との差より大きく健康値を縮める行動情報を除外して提案行動を選択する。
【0041】
第3の例として、健康値算出部13が被提案者の健康値を60歳と算出し、目標が「20歳の孫を健康で祝う」と設定され、目標達成可否判定部14が所定の時期を56歳として算出したとする。目標達成可否判定部14は、健康値算出部13の算出した健康値が所定の時期を超えるので、設定した目標を達成できると判定する。この場合、提案行動選択部15は第2の例と同じ処理をする。即ち、提案行動選択部15は提案行動を選択せず、表示制御部16は、被提案者に目標を達成可能であることを知らせるよう表示部50にその旨を示す視覚的情報を表示してもよい。
【0042】
第4の例として、健康値算出部13が被提案者の健康値を60歳と算出し、目標が「20歳の孫とキャッチボールする」と設定され、目標達成可否判定部14が所定の時期を62歳として算出したとする。つまり、第3の例にある健康で祝う場合とキャッチボールする場合とでは運動強度が異なるため、所定の時期が異なる。目標達成可否判定部14は、健康値算出部13の算出した健康値が所定の時期より大きくないので、設定した目標を達成できないと判定する。この場合、提案行動選択部15は第1の例と同じ処理をする。即ち、提案行動選択部15は、行動情報記憶部40に記憶されている行動情報に基づいて、目標を達成するために被提案者の健康値を高める提案行動を選択する。
【0043】
被提案者が、目標を達成するよう提案行動に従って行動するとき、ウェアラブルデバイス60によって被提案者の行動を記録することが好ましい。被提案者が、提案行動に従って散歩するとする。カメラ62は散歩中の風景を撮影する。記憶部64は、カメラ62による撮影画像を記憶する。撮影画像は静止画であってもよいし動画であってもよい。ウェアラブルデバイス60が眼鏡型である場合、カメラ62は被提案者が見る風景とほぼ同じ風景を撮影することができる。
【0044】
時刻情報取得・位置情報算出部63は、全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)用の3つ以上の衛星からの電波を受信するGNSS受信部を含む。時刻情報取得・位置情報算出部63は、GNSS受信部が受信した3つ以上の衛星からの電波を受信したGNSS信号を用いて被提案者の位置情報を算出する。GNSSは、一例としてGPS(Global Positioning System)である。
【0045】
時刻情報取得・位置情報算出部63は、被提案者の位置情報の変化に基づいて、被提案者が散歩する経路を取得する。GNSS信号は時刻情報であるので、時刻情報取得・位置情報算出部63は、被提案者が散歩するときの開始時刻及び終了時刻(行動時間)を取得することができる。記憶部64は、時刻情報取得・位置情報算出部63が取得した経路(行動経路)、及び散歩した行動時間を記憶する。
【0046】
行動提案処理部10とウェアラブルデバイス60とは、無線通信部17及び61で無線にて接続されている。無線通信部17及び61は所定の近距離無線通信の規格を採用すればよい。典型的には、近距離無線通信の規格はブルートゥース(登録商標)である。無線通信部61は、記憶部64に記憶されている、被提案者の行動時間、行動した経路、カメラ62による撮影画像を無線通信部17に送信する。
【0047】
無線通信部17は、無線通信部61から送信された被提案者の行動時間、行動した経路、カメラ62による撮影画像を受信する。行動提案処理部10に内蔵されている図示していない一時記憶部が、無線通信部61から送信された提案者の行動時間、行動した経路、カメラ62による撮影画像を一時的に記憶する。表示制御部16は、ウェアラブルデバイス60から取得した、提案者の行動時間、行動した経路、カメラ62による撮影画像を被提案者に提示するよう表示部50に表示する。
【0048】
行動提案処理部10は、被提案者が提案行動に対応して行動したときの行動時間、行動した経路、カメラ62による撮影画像のうちの少なくとも1つを取得してもよい。表示制御部16は、行動時間、行動した経路、カメラ62による撮影画像のうちの少なくとも1つを表示部50に表示してもよい。ウェアラブルデバイス60は加速度センサを備え、行動提案処理部10は加速度センサの情報を取得してもよい。表示制御部16は、加速度センサの情報に基づく被提案者の歩き方(または姿勢)を表示部50に表示してもよい。
【0049】
行動提案処理部10は、ウェアラブルデバイス60から送信された情報を不揮発性の所定のメモリに蓄積するように構成されていてもよい。表示制御部16は、表示部50にカメラ62による撮影画像を表示して、被提案者に散歩するよう促してもよい。健康値算出部13は、ウェアラブルデバイス60から取得した行動時間を被提案者の健康値の算出に反映させてもよい。表示制御部16は、操作部20による操作に応答して、任意のタイミングで表示部50にカメラ62による撮影画像を表示してもよい。
【0050】
図4に示すフローチャートを用いて、行動提案装置100が実行する基本的な処理を説明する。
図4において、行動提案装置100の電源がオンされて処理が開始されると、行動提案処理部10は、ステップS1にて、個人情報記憶部30に個人情報が記憶されているか否かを判定する。個人情報が記憶されていれば(YES)、行動提案処理部10は、ステップS2にて、個人情報が改めて入力されたか否かを判定する。個人情報が改めて入力されなければ(NO)、行動提案処理部10は処理をステップS4に移行させる。個人情報が改めて入力されれば(YES)、書込・読出制御部12は、ステップS4にて、個人情報記憶部30に個人情報を記憶させて、処理をステップS5に移行させる。
【0051】
ステップS1にて個人情報が記憶されていなければ(NO)、行動提案処理部10は、ステップS3にて、個人情報が入力されたか否かを判定する。個人情報が入力されれば(YES)、書込・読出制御部12は、ステップS4にて、個人情報記憶部30に個人情報を記憶させて、処理をステップS5に移行させる。個人情報が入力されなければ(NO)、行動提案処理部10は処理をステップS10に移行させる。
【0052】
行動提案処理部10は、ステップS5にて、行動の提案開始が指示されたか否かを判定する。行動の提案開始が指示されなければ(NO)、行動提案処理部10は処理をステップS10に移行させる。行動の提案開始が指示されれば(YES)、ステップS6にて、健康値算出部13は、書込・読出制御部12が個人情報記憶部30から読み出した個人情報に基づいて健康値を算出し、目標達成可否判定部14は、目標が達成可能か否かを判定する。続けて、目標達成可否判定部14は、ステップS7にて、目標が達成可能と判定されたか否かを判定する。目標が達成可能と判定されなければ(NO)、提案行動選択部15は、ステップS8にて、健康値を延ばすための提案行動を選択して提示して、処理をステップS10に移行させる。目標が達成可能と判定されれば(YES)、提案行動選択部15は、ステップS9にて、健康値をさらに延ばすための提案行動を選択して提示して、処理をステップS10に移行させる。
【0053】
提案行動選択部15は、ステップS9にて、提案行動を選択して提示せず、被提案者に目標を達成可能であることを知らせるだけでもよい。
【0054】
行動提案処理部10は、ステップS10にて、行動提案装置100の電源のオフ等によって、行動提案装置100の動作終了の指示がなされたか否かを判定する。動作終了の指示がなされなければ(NO)、行動提案処理部10は処理をステップS1に戻す。動作終了の指示がなされれば(YES)、行動提案処理部10は処理を終了させる。
【0055】
行動提案処理部10における操作入力受付部11~表示制御部16の機能が、コンピュータ(CPU)がコンピュータプログラム(行動提案プログラム)を実行することにより実現されていてもよい。行動提案プログラムは非一時的な記憶媒体に記憶され、CPUが記憶媒体より読み出された行動提案プログラムを実行する。CPUは、
図4に示す処理を実行させればよい。
【0056】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0057】
本開示は、SDGsの「すべての人に健康と福祉を」の実現に貢献し、ヘルスケア製品・サービスによる価値創出に寄与する事項を含む。
【符号の説明】
【0058】
10 行動提案処理部
11 操作入力受付部
12 書込・読出制御部
13 健康値算出部
14 目標達成可否判定部
15 提案行動選択部
16 表示制御部
17,61 無線通信部
20 操作部
30 個人情報記憶部
40 行動情報記憶部
50 表示部
62 カメラ
63 時刻情報取得・位置情報算出部
64 記憶部
100 行動提案装置