(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126696
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】作業用車両
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
E02F9/20 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035260
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000150154
【氏名又は名称】株式会社竹内製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 佑太
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 俊平
(72)【発明者】
【氏名】粂内 健吾
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB05
2D003BA05
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB03
2D003DB06
(57)【要約】
【課題】油圧ポンプを駆動する電動モータが圧油必要量の増加に追従できるとともに、前記電動モータにおける電費の向上を図ることが可能な作業用車両を提供することを目的とする。
【解決手段】作業用車両1は、第1油圧ポンプ22aと、第1電動モータ21aと、第1インバータ25aと、第2油圧ポンプ22bと、第2電動モータ21bと、第2インバータ25bを有する構成であって、第1油圧ポンプ22aと第2油圧ポンプ22bはいずれも固定容量型のギヤポンプである。作業用車両1におけるコントローラ9は、制御バルブユニット10の二次側で必要な圧油必要量を算出し、前記圧油必要量から算出した目標回転数N3に、第1電動モータ21aの第1回転数N1と第2電動モータ21bの第2回転数N2を合算した合算値を合わせる制御をする構成である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御バルブユニットと、前記制御バルブユニットの一次側に作動油を送る第1駆動部と、走行装置と、前記走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体の上に旋回可能に配設された上部体と、前記上部体を旋回させる第2駆動部と、前記上部体に配設された運転室と、前記制御バルブユニットの二次側からの圧油によって作動する複数の作業装置および複数の走行用油圧モータと、オペレータが操作する操作装置と、コントローラを備えた作業用車両であって、
前記第1駆動部は、第1油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプを駆動する第1電動モータと、第2油圧ポンプと、前記第2油圧ポンプを駆動する第2電動モータを有し、
前記第1油圧ポンプと前記第2油圧ポンプはいずれも固定容量型のギヤポンプであるとともに、前記第1油圧ポンプの出力側と前記第2油圧ポンプの出力側にそれぞれチェック弁が配設されており、
前記コントローラは、前記第1電動モータの第1回転数と前記第2電動モータの第2回転数を合算した合算値を、前記制御バルブユニットの二次側で必要な圧油必要量から算出した目標回転数に合わせる制御をする構成であること
を特徴とする作業用車両。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第2回転数が前記第1回転数を超えない範囲内で前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をする構成であること
を特徴とする請求項1に記載の作業用車両。
【請求項3】
前記作動油の温度を検出する温度センサを備え、
前記コントローラは、前記温度センサによって検出された前記温度が基準値よりも低いと判断したときは、前記基準値に応じて前記第1回転数の上限を制限するとともに、前記第2回転数の上限を制限する制御をする構成であること
を特徴とする請求項1に記載の作業用車両。
【請求項4】
前記第2駆動部は、減速機が組付けられた旋回用電動モータを有し、
前記コントローラは、前記第2駆動部を作動させないときは、前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をする構成であり、また、前記第2駆動部を作動させるときは、前記合算値を前記目標回転数よりも下げて減馬力をする制御をする構成であること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の作業用車両。
【請求項5】
前記第2駆動部は、減速機が組付けられた旋回用電動モータを有し、
前記運転室にエアコンが配設されており、前記エアコンはエアコン用電動モータを有し、
前記コントローラは、前記第2駆動部と前記エアコンをいずれも作動させないときは、前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をする構成であり、また、前記第2駆動部と前記エアコンのいずれかないしは両方を作動させるときは、前記合算値を前記目標回転数よりも下げて減馬力をする制御をする構成であること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の作業用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動モータをインバータ制御して油圧ポンプを駆動し、走行体や作業装置を油圧駆動する構成の作業用車両が知られている(特許文献1:特許第6463537号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成は、油圧モータと作業装置が同時に作動する場合など、圧油必要量が増大すると、作業量によっては油圧ポンプを駆動する電動モータが出力不足になる場合がある。対応策としては、最大トルクの大きな電動モータを用いる方法が考えられる。しかしながら、最大トルクの大きな電動モータを用いると、効率の良い回転数帯で使用する頻度や時間が減ってしまい、電費が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、油圧ポンプを駆動する電動モータが圧油必要量の増加に追従できるとともに、前記電動モータにおける電費の向上を図ることが可能な作業用車両を提供することを目的とする。
【0006】
一実施形態として、以下に開示する解決策により、前記課題を解決する。
【0007】
本発明に係る作業用車両は、制御バルブユニットと、前記制御バルブユニットの一次側に作動油を送る第1駆動部と、走行装置と、前記走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体の上に旋回可能に配設された上部体と、前記上部体を旋回させる第2駆動部と、前記上部体に配設された運転室と、前記制御バルブユニットの二次側からの圧油によって作動する複数の作業装置および複数の走行用油圧モータと、オペレータが操作する操作装置と、コントローラを備えた作業用車両であって、前記第1駆動部は、第1油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプを駆動する第1電動モータと、第2油圧ポンプと、前記第2油圧ポンプを駆動する第2電動モータを有し、前記第1油圧ポンプと前記第2油圧ポンプはいずれも固定容量型のギヤポンプであるとともに、前記第1油圧ポンプの出力側と前記第2油圧ポンプの出力側にそれぞれチェック弁が配設されており、前記コントローラは、前記第1電動モータの第1回転数と前記第2電動モータの第2回転数を合算した合算値を、前記制御バルブユニットの二次側で必要な圧油必要量から算出した目標回転数に合わせる制御をする構成であることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、各油圧ポンプを駆動する2つの電動モータが圧油必要量の増加に追従できるとともに、各電動モータにおける電費の向上を図ることができる。
【0009】
一例として、前記コントローラは、前記第2回転数が前記第1回転数を超えない範囲内で前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をする構成である。これにより、第1電動モータと第2電動モータを効率の良い回転数帯で使用する頻度や時間を増やすことが容易にできる。
【0010】
一例として、前記作動油の温度を検出する温度センサを備え、前記コントローラは、前記温度センサによって検出された前記温度が基準値よりも低いと判断したときは、前記基準値に応じて前記第1回転数の上限を制限するとともに、前記第2回転数の上限を制限する制御をする構成である。これにより、作動油の粘度上昇に伴うキャビテーションや異音を抑えて、電費の向上を図ることができる。
【0011】
一例として、前記第2駆動部は、減速機が組付けられた旋回用電動モータを有し、前記コントローラは、前記第2駆動部を作動させないときは、前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をする構成であり、また、前記第2駆動部を作動させるときは、前記合算値を前記目標回転数よりも下げて減馬力をする制御をする構成である。これにより、第2駆動部が作動しているときの作業装置の稼働時間を長くすることができる。
【0012】
一例として、前記第2駆動部は、減速機が組付けられた旋回用電動モータを有し、前記運転室にエアコンが配設されており、前記エアコンはエアコン用電動モータを有し、前記コントローラは、前記第2駆動部と前記エアコンをいずれも作動させないときは、前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をする構成であり、また、前記第2駆動部と前記エアコンのいずれかないしは両方を作動させるときは、前記合算値を前記目標回転数よりも下げて減馬力をする制御をする構成である。これにより、第2駆動部やエアコンが作動しているときの作業装置の稼働時間を長くすることができる。一例として、前記操作装置は、通常モードと減馬力モードを切替え可能な構成である。これにより、通常モードの場合には、減馬力をしないことで作業装置の単位時間当たりの作業量を増やすことができる。よって、稼働時間を長くすることと、単位時間当たりの作業量を増やすことが、作業現場の状況に応じて選択できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、油圧ポンプへの逆流を防止しつつ、油圧ポンプを各々駆動する2つの電動モータが圧油必要量の増加に追従できるとともに、従来の構成に比べて電費の向上を図ることが可能な作業用車両が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る作業用車両の例を示す概略の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す作業用車両における駆動制御系の例を示す概略の回路図である。
【
図3】
図3は、
図2における第1電動モータと第2電動モータの回転数-トルク曲線を示す概略のグラフ図である。
【
図4】
図4は、
図2におけるコントローラの回転数制御の動作手順を示す概略のフローチャート図である。
【
図5】
図5Aは、第1電動モータと第2電動モータの回転数制御の第1例における初期状態を示す概略のグラフ図である。
図5Bは、
図5Aから遷移した状態を示す概略のグラフ図である。
図5Cは、
図5Bから遷移した状態を示す概略のグラフ図である。
【
図6】
図6Aは、第1電動モータと第2電動モータの回転数制御の第2例における初期状態を示す概略のグラフ図である。
図6Bは、
図6Aから遷移した状態を示す概略のグラフ図である。
図6Cは、
図6Bから遷移した状態を示す概略のグラフ図である。
【
図7】
図7Aは、第1電動モータと第2電動モータの回転数制御の第3例における初期状態を示す概略のグラフ図である。
図7Bは、
図7Aから遷移した状態を示す概略のグラフ図である。
図7Cは、
図7Bから遷移した状態を示す概略のグラフ図である。
図7Dは、
図7Cから遷移した状態を示す概略のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る作業用車両1の例を示す概略図であり、左後部上方からの斜視図である。本実施形態の作業用車両1として、油圧ショベルを例に挙げて説明する。上記以外の構成として、作業用車両1は、トラックローダやキャリアなどとしてもよい。なお、説明の便宜上、図中において矢印により上下、左右、前後の方向を示す場合がある。また、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0016】
作業用車両1は、複数の電動モータ等に電力を供給する車載充電器と、駆動部の作動情報、バッテリの残容量情報、その他既知の車両情報を表示可能なディスプレイ部98を備える。なお、作業用車両1における走行および作業のための装置における、公知の作業用車両との共通部分については、詳細の説明を省略する。
【0017】
図1に示すように、作業用車両1は、走行可能な下部体2と、下部体2の上に配設されて旋回可能な上部体3を備えている。下部体2は、走行装置6を備えており、走行装置6は、一例として、左右一対のクローラ(無限軌道)を備える。上部体3は、運転室4を備えており、運転室4は、前部にオペレータが乗車して走行や作業の操作をするための操作装置5が設けられている。図中の破線P2で囲んだ部分は操作装置5を模式的に示す概略の構造図である。走行装置6は、左側走行体における走行用油圧モータ17aと、右側走行体における走行用油圧モータ17bを有する。上記以外の構成として、タイヤを備えた走行装置としてもよい。
【0018】
作業用車両1は、第2駆動部16によって作動する旋回装置8を備える。一例として、第2駆動部16は、減速機16cが組付けられた旋回用電動モータ16aを備えており、減速機16cのピニオンギヤが下部体2の旋回ベアリングに噛合している構成である(不図示)。上記以外の構成として、旋回用油圧モータを備えた旋回装置とすることも可能である。
【0019】
作業用車両1は、作業装置7と作業装置14を含む複数の作業装置を備えており、これら複数の作業装置は、油圧(所定圧力の作動油)によって作動する構成である。作業装置14は、一例として、排土板51aを備えている。排土板51aは、上下方向や前後成分を含む上下方向に揺動可能に下部体2に取付けられている。
【0020】
作業装置7は、一例として、ブーム51bと、アーム51cと、バケット等のアタッチメント51dを備えている。ただし、アタッチメント51dは、バケットに限定されず、既知のアタッチメントが適用できる。ブーム51bは、上下方向や前後成分を含む上下方向に揺動可能に上部体3に取付けられている。本実施形態においては、上部体3とブーム51bとの間にブームブラケットが設けられている(不図示)。ブームブラケットによって、ブーム51bは上部体3に対して左右方向や前後成分を含む左右方向に揺動可能な構成となる。なお、ブームブラケットは省略される場合がある。アーム51cは、上下方向や前後成分を含む上下方向に揺動可能にブーム51bに取付けられている。アタッチメント51d(バケット)は、上下方向や前後成分を含む上下方向に揺動可能にアーム51cに取付けられている。本実施形態においては、アタッチメント51dは、アーム51cに取付けたクイックヒッチ55によって係止されロックされている。図中の破線P1で囲んだ部分はクイックヒッチ55を模式的に示す概略の構造図である。
【0021】
一例として、排土板51aは、排土板シリンダ18aによって下部体2に対して上下方向に揺動する構成である。一例として、アーム51cは、アームシリンダ18bによってブーム51bに対して上下方向に揺動する構成である。一例として、アタッチメント51d(バケット)は、バケットシリンダ18cによってアーム51cに対して上下方向に揺動する構成である。一例として、ブーム51bは、ブームシリンダによって上部体3に対して上下方向に揺動する構成である(不図示)。一例として、ブーム51bは、スイングシリンダによって上部体3に対して左右方向に揺動する構成である(不図示)。
【0022】
一例として、クイックヒッチ55は、固定爪部55aと、可動爪部55bと、可動爪部55bを回動させるクイックヒッチシリンダ56(クイックヒッチアクチュエータ)を備える。クイックヒッチ55のロックをするときは、オペレータは、操作装置5を操作し、アタッチメント51d(バケット)に付設された第1ピン57aに固定爪部55aを取付けて、次に、アタッチメント51d(バケット)に付設された第2ピン57bに可動爪部55bを取付ける。そして、クイックヒッチシリンダ56を伸長動作させて、アタッチメント51dのロックをする。クイックヒッチ55のロックを解除するときは、オペレータは、操作装置5を操作し、クイックヒッチシリンダ56を収縮動作させて、アタッチメント51dのロックを解除する。
【0023】
運転室4は、オペレータが操作する複数の操作装置5(操作レバー)が配設されている。一例として、トリガースイッチ30は、左側の操作装置5における第1ボタン31a(ハンドボタン)と、運転室4の床に配された第2ボタン31b(フットボタン)から構成される。そして、第1ボタン31aと第2ボタン31bの両方をオペレータが押すことでコントローラ9にトリガー信号が送出されてクイックヒッチ55のロックを解除する制御が行われる。上記構成に加えて、一例として、作業用車両1は、起動用と停止用を兼用したキースイッチやプッシュスイッチなどの複数のスイッチを備える(不図示)。
【0024】
一例として、第1サービスアクチュエータ用ポート19aは、ブレーカなどのサービスアクチュエータが接続される。一例として、第2サービスアクチュエータ用ポート19bは、クイックヒッチ55を、長手方向の軸を中心に回転させるための旋回アクチュエータなどのサービスアクチュエータが接続される。第3サービスアクチュエータ用ポート19c(クイックヒッチアクチュエータ用ポート)は、クイックヒッチシリンダ56(クイックヒッチアクチュエータ)が接続される。なお、クイックヒッチ55はオプションであり、クイックヒッチ55を設けない構成にしてもよい。
【0025】
図2は、作業用車両1における駆動制御系の例を示す概略の回路図である。作業用車両1は、走行用油圧モータ17a,17b、油圧シリンダ18a,18b,18c、およびサービスアクチュエータ用ポート19a,19b,19cに所定圧力の作動油を供給する第1駆動部15を備える。また、作業用車両1は、電動式の旋回装置8を作動させる第2駆動部16を備える。サービスアクチュエータ用ポート19a,19b,19cは、オプションとして取付けた各種アタッチメントを油圧作動させるための接続ポートである。なお、
図2の回路図は要部以外の表記を一部省略している。
【0026】
作業用車両1は、バッテリパック47を備える。バッテリパック47は、バッテリマネジメントシステム48とリチウムイオンバッテリ49を有する。リチウムイオンバッテリ49は、多数のセルを組み合わせており、一例として、電源電圧は70~600[V]である。バッテリパック47は、脱着可能に作業用車両1に装着される。バッテリパック47は、各種センサが内蔵されており、それらの配線図は省略している。一例として、作業用車両1は、起動時にバッテリマネジメントシステム48に電力供給する鉛バッテリ46を有する。
【0027】
第1駆動部15は、作動油タンク54に貯留している作動油を吸い込んで吐出する第1油圧ポンプ22aと、第1油圧ポンプ22aを駆動する第1電動モータ21aと、コントローラ9からの指令によって第1電動モータ21aに電力供給する第1インバータ25aを有する。また、第1駆動部15は、作動油タンク54に貯留している作動油を吸い込んで吐出する第2油圧ポンプ22bと、第2油圧ポンプ22bを駆動する第2電動モータ21bと、前記指令によって第2電動モータ21bに電力供給する第2インバータ25bを有する。第1駆動部15は、第1油圧ポンプ22aの第1出力部と第2油圧ポンプ22bの第2出力部とを合流させて制御バルブユニット10の一次側に作動油を送る構成である。
【0028】
制御バルブユニット10は、複数の制御バルブの一次側が並列接続されている構成であり、
図2の例では、油圧モータ用制御バルブ11a,11b、油圧シリンダ用制御バルブ12a,12b,12c、並びにサービスポート用制御バルブ13a,13b,13cの各一次側が並列接続されている。なお、制御バルブユニット10を構成する各種制御バルブの数はそれぞれ増減する場合がある。また、制御バルブユニット10はリリーフ弁43を有し、リリーフ弁43の一次側は各制御バルブの一次側に並列接続されている。リリーフ弁43の二次側はリターン流路になっており、設定圧を超える作動油は作動油タンク54に戻される。
【0029】
第1駆動部15は、第1チェック弁41aと第2チェック弁41bを有する。本実施形態は、第1油圧ポンプ22aの出力側に第1チェック弁41aの一次側を接続し、第2油圧ポンプ22bの出力側に第2チェック弁41bの一次側を接続し、第1チェック弁41aの二次側と第2チェック弁41bの二次側とを合流させて制御バルブユニット10の一次側に接続する構成である。本実施形態によれば、第1油圧ポンプ22aからの圧油の第2油圧ポンプ22bへの逆流を防止するとともに、第2油圧ポンプ22bからの圧油の第1油圧ポンプ22aへの逆流を防止することができる。
【0030】
第1油圧ポンプ22aと第2油圧ポンプ22bは、いずれも固定容量型のギヤポンプである。第1電動モータ21aと第2電動モータ21bは、いずれも同期モータであり、いずれも埋込磁石型モータ(IPMモータ)である。この構成によれば、圧油必要量の増加に速やかに追従できる。一例として、第1油圧ポンプ22aと第2油圧ポンプ22bの定格出力は同じである。一例として、第1電動モータ21aと第2電動モータ21bの最大トルクは同じである。
【0031】
第1駆動部15は、第1電動モータ21aの回転数を検出する回転数センサ45aを有し、第2電動モータ21bの回転数を検出する回転数センサ45bを有する。また、第1駆動部15は、作動油タンク54に貯留している作動油の温度を検出する温度センサ44を有する。第2駆動部16は、減速機16cが組付けられた旋回用電動モータ16aと、前記指令によって旋回用電動モータ16aに電力供給する旋回用インバータ16bを有する。第2駆動部16は、旋回用電動モータ16aの回転数を検出する回転数センサ45cを有する。
【0032】
運転室4は、エアコン26が配設されている。エアコン26は、エアコン用電動モータ26aと、コントローラ9からの指令によってエアコン用電動モータ26aに電力供給するエアコン用インバータ26bを有する。
【0033】
オペレータは、操作レバーやジョイスティック等から構成される操作装置5を操作することで、走行装置6や作業装置7や旋回装置8や作業装置14などの操作をする。操作装置5が操作されると、コントローラ9に操作信号が送出される。
【0034】
図3は、第1電動モータ21aおよび第2電動モータ21bの回転数-トルク曲線を示す概略のグラフ図である。
図3における最低回転数V0は、アイドリング状態である。
図3における最高回転数V4は、トルクが最小になる。
【0035】
作業用車両1において、第1電動モータ21aおよび第2電動モータ21bは、広い速度範囲にわたって必要なトルクを発生する必要がある。回転数V1以下の領域は、高トルク域であり、第1油圧ポンプ22aや第2油圧ポンプ22bからの作動油の吐出量が圧油必要量よりも少なく低効率になる。また、回転数V3以上の領域は、低トルク域であり、第1油圧ポンプ22aや第2油圧ポンプ22bからの作動油の吐出量が圧油必要量よりも多く低効率になる。グラフ図における中効率域ないしは高効率域を積極的に用いることで、電費のさらなる向上が見込める。
【0036】
図4は、本実施形態に係るコントローラ9における、第1電動モータ21aおよび第2電動モータ21bの回転数制御の動作手順を示す概略のフローチャート図である。引き続き、作業用車両1におけるコントローラ9の回転数制御の動作手順について、以下に説明する。
【0037】
図4のステップS1において、コントローラ9は、作動油温度が基準値(設定温度)よりも低いか否かを判断する。そして、温度センサ44によって検出された作動油温度が基準値よりも低い温度であると判断したときは、ステップS2に遷移する。一方、温度センサ44によって検出された作動油温度が基準値と同じかまたは高い温度であると判断したときは、ステップS3に遷移する。
【0038】
図4のステップS2において、コントローラ9は、第1電動モータ21aにおける第1回転数N1の上限値と、第2電動モータ21bにおける第2回転数N2の上限値を制限する。一例として、コントローラ9は、前記上限値を回転数V2以下に制限する。一例として、コントローラ9は、前記上限値を回転数V1以下に制限する。ステップS2の後、ステップS3に遷移する。
【0039】
図4のステップS3において、コントローラ9は、第1駆動部15を作動させるか否かを判断する。そして、第1駆動部15を作動させると判断したときは、ステップS4に遷移する。一方、第1駆動部15を作動させないと判断したときは、ステップS5に遷移する。
【0040】
図4のステップS4において、コントローラ9は、制御バルブユニット10の二次側で必要な圧油必要量を算出し、前記圧油必要量から算出した目標回転数N3に、第1電動モータ21aの第1回転数N1と第2電動モータ21bの第2回転数N2を合算した合算値を合わせる回転数制御をする(N1+N2=N3)。回転数制御の具体例は、後述する。ステップS4の後、ステップS5に遷移する。
【0041】
図4のステップS5において、コントローラ9は、旋回用電動モータ16aを作動させるか否かを判断し、また、エアコン用電動モータ26aを作動させるか否かを判断する。そして、旋回用電動モータ16aを作動させるとき、あるいは、エアコン用電動モータ26aを作動させるとき、または、旋回用電動モータ16aとエアコン用電動モータ26aの両方を作動させるときは、ステップS6に遷移する。一方、コントローラ9は、旋回用電動モータ16aとエアコン用電動モータ26aのいずれも作動させないときは、回転数制御の動作を終了する。
【0042】
図4のステップS6において、コントローラ9は、旋回用電動モータ16aを作動させるとき、あるいは、エアコン用電動モータ26aを作動させるとき、または、旋回用電動モータ16aとエアコン用電動モータ26aの両方を作動させるときは、前記合算値を目標回転数N3よりも下げて減馬力をする(N1+N2<N3)。そして、回転数制御の動作を終了する。
【0043】
続いて、上述の回転数制御の第1例、第2例および第3例について、以下に説明する。
【0044】
これらの実施例における回転数制御は、第1電動モータ21aの第1回転数N1と、第2電動モータ21bの第2回転数N2のいずれかないしは両方を徐々に上げていく方法であり、圧油必要量に合わせた仕事をさせることで電費の向上を図る方法である。
【0045】
[第1例]
図5Aは、第1電動モータ21aと第2電動モータ21bの回転数制御の第1例における初期状態を示す概略のグラフ図である。
図5Bは、
図5Aから遷移した状態を示す概略のグラフ図である。
図5Cは、
図5Bから遷移した状態を示す概略のグラフ図である。
【0046】
図5A~
図5Cに示すように、第1電動モータ21aと第2電動モータ21bは、最低回転数V0を起点として、第1電動モータ21aの第1回転数N1と第2電動モータ21bの第2回転数N2とをN1=N2にして、第1回転数N1および第2回転数N2を徐々に上げていく方法であり、圧油必要量に合わせた仕事をさせる方法である。第1例は、最も単純な制御方法である。
【0047】
[第2例]
図6Aは、第1電動モータ21aと第2電動モータ21bの回転数制御の第2例における初期状態を示す概略のグラフ図である。
図6Bは、
図6Aから遷移した状態を示す概略のグラフ図である。
図6Cは、
図6Bから遷移した状態を示す概略のグラフ図である。
【0048】
図6A~
図6Bに示すように、第1電動モータ21aは、最低回転数V0を起点として、第1回転数N1を徐々に上げていき、圧油必要量に合わせた仕事をさせる。先ず、第1電動モータ21aのみを中効率域まで作動させる。このとき、第2電動モータ21bは、最低回転数V0を維持する。
【0049】
次に、
図6B~
図6Cに示すように、圧油必要量がさらに増加して、第1電動モータ21aが中効率域の状態で圧油必要量に対応しきれなくなったときは、第2電動モータ21bは、第2回転数N2を徐々に上げていき、圧油必要量の不足分に合わせた仕事をさせる。第1電動モータ21aに続いて、第2電動モータ21bを中効率域まで作動させる。
【0050】
そして、
図6Cに示すように、圧油必要量がさらに増加したときは、第1電動モータ21aの第1回転数N1と第2電動モータ21bの第2回転数N2とをN1=N2にして、第1回転数N1および第2回転数N2を徐々に上げていき、圧油必要量に合わせて作動させる。第2例は、第1例と比較して、効率の良い領域で第1電動モータ21aと第2電動モータ21bを使用する頻度や時間を多くする制御方法である。
【0051】
[第3例]
図7Aは、第1電動モータ21aと第2電動モータ21bの回転数制御の第3例における初期状態を示す概略のグラフ図である。
図7Bは、
図7Aから遷移した状態を示す概略のグラフ図である。
図7Cは、
図7Bから遷移した状態を示す概略のグラフ図である。
図7Dは、
図7Cから遷移した状態を示す概略のグラフ図である。
【0052】
図7A~
図7Bに示すように、第1電動モータ21aは、最低回転数V0を起点として、第1回転数N1を徐々に上げていき、圧油必要量に合わせた仕事をさせる。先ず、第1電動モータ21aのみを中効率域まで作動させる。このとき、第2電動モータ21bは、最低回転数V0を維持する。
【0053】
次に、
図7B~
図7Cに示すように、圧油必要量がさらに増加して、第1電動モータ21aが中効率域の状態で圧油必要量に対応しきれなくなったときは、第2電動モータ21bは、第2回転数N2を徐々に上げていき、圧油必要量の不足分に合わせた仕事をさせる。このとき、第2電動モータ21bを高効率域の始まりまで作動させる。第2電動モータ21bが高効率域の始まりの状態になったときは、第1電動モータ21aについても、高効率域の始まりの状態にする。
【0054】
そして、
図7C~
図7Dに示すように、圧油必要量がさらに増加したときは、第1電動モータ21aの第1回転数N1と第2電動モータ21bの第2回転数N2とをN1=N2にして、第1回転数N1および第2回転数N2を徐々に上げていき、圧油必要量に合わせて作動させる。第3例は、第1例や第2例と比較して、効率の良い領域で第1電動モータ21aと第2電動モータ21bを使用する頻度や時間を最も多くする制御方法である。
【0055】
上述した本実施形態によれば、コントローラ9が、第1油圧ポンプ22aを駆動する第1電動モータ21aと、第2油圧ポンプ22bを駆動する第2電動モータ21bとをそれぞれ回転数制御することで、圧油必要量の増加に追従できるとともに、第1電動モータ21aと第2電動モータ21bにおける電費の向上を図ることが可能な作業用車両1が実現する。
【0056】
なお、作業用車両1の駆動源は、上述の構成に限られず、電動モータに加えてエンジンを併用する構成としてもよい。また、作業用車両1のバッテリは、上述の構成に限られず、ニッケル水素電池等の既知の二次電池が適用可能である。このように、作業用車両1は、仕様等に合わせて適宜変更する場合がある。
【符号の説明】
【0057】
1 作業用車両
2 下部体
3 上部体
4 運転室
5 操作装置(操作レバー)
6 走行装置
7 作業装置
8 旋回装置
9 コントローラ
10 制御バルブユニット
11a、11b 油圧モータ用制御バルブ
12a、12b、12c 油圧シリンダ用制御バルブ
13a、13b、13c サービスアクチュエータ用制御バルブ
14 作業装置
15 第1駆動部
16 第2駆動部、16a 旋回用電動モータ、16b 旋回用インバータ、16c 減速機
17a、17b 走行用油圧モータ
18a 排土板シリンダ(油圧シリンダ)
18b アームシリンダ(油圧シリンダ)
18c バケットシリンダ(油圧シリンダ)
19a、19b、19c サービスアクチュエータ用ポート
21a 第1電動モータ、21b 第2電動モータ
22a 第1油圧ポンプ、22b 第2油圧ポンプ
25a 第1インバータ、25b 第2インバータ
26 エアコン、26a エアコン用電動モータ、26b エアコン用インバータ
30 トリガースイッチ
31a 第1ボタン(ハンドボタン)、31b 第2ボタン31b(フットボタン)
41a 第1チェック弁、41b 第2チェック弁
43 リリーフ弁
44 温度センサ
45a、45b、45c 回転数センサ
46 鉛バッテリ
47 バッテリパック
48 バッテリマネジメントシステム
49 リチウムイオンバッテリ
51a 排土板
51b ブーム
51c アーム
51d バケット
54 作動油タンク
55 クイックヒッチ
N1 第1回転数
N2 第2回転数
N3 目標回転数
V0 最低回転数
V4 最高回転数
【手続補正書】
【提出日】2024-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御バルブユニットと、前記制御バルブユニットの一次側に作動油を送る第1駆動部と、走行装置と、前記走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体の上に旋回可能に配設された上部体と、前記上部体を旋回させる第2駆動部と、前記上部体に配設された運転室と、前記制御バルブユニットの二次側からの圧油によって作動する複数の作業装置および複数の走行用油圧モータと、オペレータが操作する操作装置と、コントローラを備えた作業用車両であって、前記第1駆動部は、第1油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプを駆動する第1電動モータと、第2油圧ポンプと、前記第2油圧ポンプを駆動する第2電動モータを有し、前記第1油圧ポンプと前記第2油圧ポンプはいずれも固定容量型のギヤポンプであるとともに、前記第1油圧ポンプの出力側と前記第2油圧ポンプの出力側にそれぞれチェック弁が配設されており、
前記コントローラは、前記第1電動モータの第1回転数と前記第2電動モータの第2回転数を合算した合算値を前記制御バルブユニットの二次側で必要な圧油必要量から算出した目標回転数に合わせる制御をし、前記第1回転数と前記第2回転数の両方を同じにして徐々に上げていくことで前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をすること
を特徴とする作業用車両。
【請求項2】
前記作動油の温度を検出する温度センサを備え、
前記コントローラは、前記温度センサによって検出された前記温度が基準値よりも低いときは前記基準値に応じて前記第1回転数と前記第2回転数の両方を同じにして徐々に上げていくときの上限値を制限する制御をすること
を特徴とする請求項1に記載の作業用車両。
【請求項3】
制御バルブユニットと、前記制御バルブユニットの一次側に作動油を送る第1駆動部と、走行装置と、前記走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体の上に旋回可能に配設された上部体と、前記上部体を旋回させる第2駆動部と、前記上部体に配設された運転室と、前記制御バルブユニットの二次側からの圧油によって作動する複数の作業装置および複数の走行用油圧モータと、オペレータが操作する操作装置と、コントローラを備えた作業用車両であって、前記第1駆動部は、第1油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプを駆動する第1電動モータと、第2油圧ポンプと、前記第2油圧ポンプを駆動する第2電動モータを有し、前記第1油圧ポンプと前記第2油圧ポンプはいずれも固定容量型のギヤポンプであるとともに、前記第1油圧ポンプの出力側と前記第2油圧ポンプの出力側にそれぞれチェック弁が配設されており、前記第2駆動部は減速機が組付けられた旋回用電動モータを有しており、
前記コントローラは、前記第1電動モータの第1回転数と前記第2電動モータの第2回転数を合算した合算値を前記制御バルブユニットの二次側で必要な圧油必要量から算出した目標回転数に合わせる制御をし、前記第2駆動部を作動させないときは前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をし、前記第2駆動部を作動させるときは前記合算値を前記目標回転数よりも下げて減馬力をする制御をすること
を特徴とする作業用車両。
【請求項4】
制御バルブユニットと、前記制御バルブユニットの一次側に作動油を送る第1駆動部と、走行装置と、前記走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体の上に旋回可能に配設された上部体と、前記上部体を旋回させる第2駆動部と、前記上部体に配設された運転室と、前記制御バルブユニットの二次側からの圧油によって作動する複数の作業装置および複数の走行用油圧モータと、オペレータが操作する操作装置と、コントローラを備えた作業用車両であって、前記第1駆動部は、第1油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプを駆動する第1電動モータと、第2油圧ポンプと、前記第2油圧ポンプを駆動する第2電動モータを有し、前記第1油圧ポンプと前記第2油圧ポンプはいずれも固定容量型のギヤポンプであるとともに、前記第1油圧ポンプの出力側と前記第2油圧ポンプの出力側にそれぞれチェック弁が配設されており、前記第2駆動部は減速機が組付けられた旋回用電動モータを有しており、前記運転室はエアコンが配設されており、前記エアコンはエアコン用電動モータを有しており、
前記コントローラは、前記第1電動モータの第1回転数と前記第2電動モータの第2回転数を合算した合算値を前記制御バルブユニットの二次側で必要な圧油必要量から算出した目標回転数に合わせる制御をし、前記第2駆動部と前記エアコンをいずれも作動させないときは前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をし、前記第2駆動部と前記エアコンのいずれかないしは両方を作動させるときは前記合算値を前記目標回転数よりも下げて減馬力をする制御をすること
を特徴とする作業用車両。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1電動モータの前記第1回転数と前記第2電動モータの前記第2回転数を合算した前記合算値を前記圧油必要量から算出した前記目標回転数に合わせるに際して、最低回転数を起点として前記第1電動モータの前記第1回転数を徐々に上げていき、前記圧油必要量に前記第1電動モータが対応しきれなくなったときに前記最低回転数を起点として前記第2電動モータの前記第2回転数を徐々に上げていき、前記圧油必要量がさらに増加したときに前記第1回転数と前記第2回転数の両方を同じにして徐々に上げていくことで前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をすること
を特徴とする請求項1に記載の作業用車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係る作業用車両は、制御バルブユニットと、前記制御バルブユニットの一次側に作動油を送る第1駆動部と、走行装置と、前記走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体の上に旋回可能に配設された上部体と、前記上部体を旋回させる第2駆動部と、前記上部体に配設された運転室と、前記制御バルブユニットの二次側からの圧油によって作動する複数の作業装置および複数の走行用油圧モータと、オペレータが操作する操作装置と、コントローラを備えた作業用車両であって、前記第1駆動部は、第1油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプを駆動する第1電動モータと、第2油圧ポンプと、前記第2油圧ポンプを駆動する第2電動モータを有し、前記第1油圧ポンプと前記第2油圧ポンプはいずれも固定容量型のギヤポンプであるとともに、前記第1油圧ポンプの出力側と前記第2油圧ポンプの出力側にそれぞれチェック弁が配設されており、前記コントローラは、前記第1電動モータの第1回転数と前記第2電動モータの第2回転数を合算した合算値を前記制御バルブユニットの二次側で必要な圧油必要量から算出した目標回転数に合わせる制御をし、前記第1回転数と前記第2回転数の両方を同じにして徐々に上げていくことで前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をすることを特徴とする。一例として、前記コントローラは、前記第1電動モータの前記第1回転数と前記第2電動モータの前記第2回転数を合算した前記合算値を前記圧油必要量から算出した前記目標回転数に合わせるに際して、最低回転数を起点として前記第1電動モータの前記第1回転数を徐々に上げていき、前記圧油必要量に前記第1電動モータが対応しきれなくなったときに前記最低回転数を起点として前記第2電動モータの前記第2回転数を徐々に上げていき、前記圧油必要量がさらに増加したときに前記第1回転数と前記第2回転数の両方を同じにして徐々に上げていくことで前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
この構成によれば、第1電動モータと第2電動モータを効率の良い回転数帯で使用する頻度や時間を増やすことが容易にできる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
一例として、前記作動油の温度を検出する温度センサを備え、前記コントローラは、前記温度センサによって検出された前記温度が基準値よりも低いときは前記基準値に応じて前記第1回転数と前記第2回転数の両方を同じにして徐々に上げていくときの上限値を制限する制御をする。これにより、作動油の粘度上昇に伴うキャビテーションや異音を抑えて電費の向上を図ることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明に係る作業用車両は、制御バルブユニットと、前記制御バルブユニットの一次側に作動油を送る第1駆動部と、走行装置と、前記走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体の上に旋回可能に配設された上部体と、前記上部体を旋回させる第2駆動部と、前記上部体に配設された運転室と、前記制御バルブユニットの二次側からの圧油によって作動する複数の作業装置および複数の走行用油圧モータと、オペレータが操作する操作装置と、コントローラを備えた作業用車両であって、前記第1駆動部は、第1油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプを駆動する第1電動モータと、第2油圧ポンプと、前記第2油圧ポンプを駆動する第2電動モータを有し、前記第1油圧ポンプと前記第2油圧ポンプはいずれも固定容量型のギヤポンプであるとともに、前記第1油圧ポンプの出力側と前記第2油圧ポンプの出力側にそれぞれチェック弁が配設されており、前記第2駆動部は減速機が組付けられた旋回用電動モータを有しており、前記コントローラは、前記第1電動モータの第1回転数と前記第2電動モータの第2回転数を合算した合算値を前記制御バルブユニットの二次側で必要な圧油必要量から算出した目標回転数に合わせる制御をし、前記第2駆動部を作動させないときは前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をし、前記第2駆動部を作動させるときは前記合算値を前記目標回転数よりも下げて減馬力をする制御をすることを特徴とする。この構成によれば、第2駆動部が作動しているときは作業装置の稼働時間を長くすることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明に係る作業用車両は、制御バルブユニットと、前記制御バルブユニットの一次側に作動油を送る第1駆動部と、走行装置と、前記走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体の上に旋回可能に配設された上部体と、前記上部体を旋回させる第2駆動部と、前記上部体に配設された運転室と、前記制御バルブユニットの二次側からの圧油によって作動する複数の作業装置および複数の走行用油圧モータと、オペレータが操作する操作装置と、コントローラを備えた作業用車両であって、前記第1駆動部は、第1油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプを駆動する第1電動モータと、第2油圧ポンプと、前記第2油圧ポンプを駆動する第2電動モータを有し、前記第1油圧ポンプと前記第2油圧ポンプはいずれも固定容量型のギヤポンプであるとともに、前記第1油圧ポンプの出力側と前記第2油圧ポンプの出力側にそれぞれチェック弁が配設されており、前記第2駆動部は減速機が組付けられた旋回用電動モータを有しており、前記運転室はエアコンが配設されており、前記エアコンはエアコン用電動モータを有しており、前記コントローラは、前記第1電動モータの第1回転数と前記第2電動モータの第2回転数を合算した合算値を前記制御バルブユニットの二次側で必要な圧油必要量から算出した目標回転数に合わせる制御をし、前記第2駆動部と前記エアコンをいずれも作動させないときは前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をし、前記第2駆動部と前記エアコンのいずれかないしは両方を作動させるときは前記合算値を前記目標回転数よりも下げて減馬力をする制御をすることを特徴とする。この構成によれば、第2駆動部やエアコンが作動しているときは作業装置の稼働時間を長くすることができる。一例として、前記操作装置は、通常モードと減馬力モードを切替え可能な構成である。これにより、通常モードの場合は減馬力をせずに作業装置の単位時間当たりの作業量を増やすことができる。よって、稼働時間を長くすることと単位時間当たりの作業量を増やすことが作業現場の状況に応じて選択できる。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御バルブユニットと、前記制御バルブユニットの一次側に作動油を送る第1駆動部と、走行装置と、前記走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体の上に旋回可能に配設された上部体と、前記上部体を旋回させる第2駆動部と、前記上部体に配設された運転室と、前記制御バルブユニットの二次側からの圧油によって作動する複数の作業装置および複数の走行用油圧モータと、オペレータが操作する操作装置と、前記操作装置からの操作信号を受信し前記第1駆動部を制御するコントローラと、前記作動油の温度を検出する温度センサを備え、前記第1駆動部は、第1油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプを駆動する第1電動モータと、前記第1電動モータを作動させる第1インバータと、前記第1電動モータの第1回転数を検出する第1回転数センサと、第2油圧ポンプと、前記第2油圧ポンプを駆動する第2電動モータと、前記第2電動モータを作動させる第2インバータと、前記第2電動モータの第2回転数を検出する第2回転数センサを有し、前記第1油圧ポンプと前記第2油圧ポンプはいずれも固定容量型のギヤポンプであるとともに、前記第1油圧ポンプの出力側と前記第2油圧ポンプの出力側にそれぞれチェック弁が配設されており、前記コントローラは、前記第1回転数センサによって検出された前記第1回転数と前記第2回転数センサによって検出された前記第2回転数を合算した合算値を前記制御バルブユニットの二次側で必要な圧油必要量から算出した目標回転数に合わせる制御をし、前記コントローラは、前記温度センサによって検出された前記温度が基準値よりも低いときは前記基準値に応じて前記第1回転数と前記第2回転数の両方を同じにして徐々に上げていくときの上限値を制限する制御をし、前記コントローラは、前記第1電動モータの前記第1回転数と前記第2電動モータの前記第2回転数を合算した前記合算値を前記圧油必要量から算出した前記目標回転数に合わせるに際して、最低回転数を起点として前記第1電動モータの前記第1回転数を徐々に上げていき、前記圧油必要量に前記第1電動モータが対応しきれなくなったときに前記最低回転数を起点として前記第2電動モータの前記第2回転数を徐々に上げていき、前記圧油必要量がさらに増加したときに前記第1回転数と前記第2回転数の両方を同じにして徐々に上げていくことで前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をすること
を特徴とする作業用車両。
【請求項2】
前記第2駆動部は減速機が組付けられた旋回用電動モータを有しており、
前記コントローラは、前記第2駆動部を作動させないときは前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をし、前記第2駆動部を作動させるときは前記合算値を前記目標回転数よりも下げて減馬力をする制御をすること
を特徴とする請求項1に記載の作業用車両。
【請求項3】
前記第2駆動部は減速機が組付けられた旋回用電動モータを有しており、前記運転室はエアコンが配設されており、前記エアコンはエアコン用電動モータを有しており、
前記コントローラは、前記第2駆動部と前記エアコンをいずれも作動させないときは前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をし、前記第2駆動部と前記エアコンのいずれかないしは両方を作動させるときは前記合算値を前記目標回転数よりも下げて減馬力をする制御をすること
を特徴とする請求項1に記載の作業用車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係る作業用車両は、制御バルブユニットと、前記制御バルブユニットの一次側に作動油を送る第1駆動部と、走行装置と、前記走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体の上に旋回可能に配設された上部体と、前記上部体を旋回させる第2駆動部と、前記上部体に配設された運転室と、前記制御バルブユニットの二次側からの圧油によって作動する複数の作業装置および複数の走行用油圧モータと、オペレータが操作する操作装置と、前記操作装置からの操作信号を受信し前記第1駆動部を制御するコントローラと、前記作動油の温度を検出する温度センサを備え、前記第1駆動部は、第1油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプを駆動する第1電動モータと、前記第1電動モータを作動させる第1インバータと、前記第1電動モータの第1回転数を検出する第1回転数センサと、第2油圧ポンプと、前記第2油圧ポンプを駆動する第2電動モータと、前記第2電動モータを作動させる第2インバータと、前記第2電動モータの第2回転数を検出する第2回転数センサを有し、前記第1油圧ポンプと前記第2油圧ポンプはいずれも固定容量型のギヤポンプであるとともに、前記第1油圧ポンプの出力側と前記第2油圧ポンプの出力側にそれぞれチェック弁が配設されており、前記コントローラは、前記第1回転数センサによって検出された前記第1回転数と前記第2回転数センサによって検出された前記第2回転数を合算した合算値を前記制御バルブユニットの二次側で必要な圧油必要量から算出した目標回転数に合わせる制御をし、前記コントローラは、前記温度センサによって検出された前記温度が基準値よりも低いときは前記基準値に応じて前記第1回転数と前記第2回転数の両方を同じにして徐々に上げていくときの上限値を制限する制御をし、前記コントローラは、前記第1電動モータの前記第1回転数と前記第2電動モータの前記第2回転数を合算した前記合算値を前記圧油必要量から算出した前記目標回転数に合わせるに際して、最低回転数を起点として前記第1電動モータの前記第1回転数を徐々に上げていき、前記圧油必要量に前記第1電動モータが対応しきれなくなったときに前記最低回転数を起点として前記第2電動モータの前記第2回転数を徐々に上げていき、前記圧油必要量がさらに増加したときに前記第1回転数と前記第2回転数の両方を同じにして徐々に上げていくことで前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をすることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
一例として、前記第2駆動部は減速機が組付けられた旋回用電動モータを有しており、前記運転室はエアコンが配設されており、前記エアコンはエアコン用電動モータを有しており、前記コントローラは、前記第2駆動部と前記エアコンをいずれも作動させないときは前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をし、前記第2駆動部と前記エアコンのいずれかないしは両方を作動させるときは前記合算値を前記目標回転数よりも下げて減馬力をする制御をする。これにより、第2駆動部が作動しているときの作業装置の稼働時間を長くすることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
一例として、前記第2駆動部は減速機が組付けられた旋回用電動モータを有しており、前記運転室はエアコンが配設されており、前記エアコンはエアコン用電動モータを有しており、前記コントローラは、前記第2駆動部と前記エアコンをいずれも作動させないときは前記合算値を前記目標回転数に合わせる制御をし、前記第2駆動部と前記エアコンのいずれかないしは両方を作動させるときは前記合算値を前記目標回転数よりも下げて減馬力をする制御をする。これにより、第2駆動部やエアコンが作動しているときは作業装置の稼働時間を長くすることができる。一例として、前記操作装置は、通常モードと減馬力モードを切替え可能な構成である。これにより、通常モードの場合は減馬力をせずに作業装置の単位時間当たりの作業量を増やすことができる。よって、稼働時間を長くすることと単位時間当たりの作業量を増やすことが作業現場の状況に応じて選択できる。