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  • 特開-積層体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012673
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
H05K3/28 F
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023198210
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2022067625の分割
【原出願日】2017-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2016201012
(32)【優先日】2016-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500400216
【氏名又は名称】住友電工プリントサーキット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】岡本 康平
(72)【発明者】
【氏名】山口 賀人
(72)【発明者】
【氏名】三浦 宏介
(72)【発明者】
【氏名】上田 宏
(72)【発明者】
【氏名】木村 淳
(57)【要約】
【課題】配線密度が比較的高く、かつ配線間の絶縁性に優れるプリント配線板、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】合成樹脂フィルムの層と絶縁性フィルムの層とを備える積層体の製造方法であって、上記合成樹脂フィルムの少なくとも一方の面側に上記絶縁性フィルムを重ね合わせる重ね合わせ工程と、上記絶縁性フィルムを重ね合わせた積層体を真空加熱プレスする真空加熱プレス工程とを備え、上記真空加熱プレス工程での加熱温度が50℃以上150℃以下であり、加圧時間が5秒以上20秒以下であり、プレス圧力が0.3MPa以上1.3MPa以下である積層体の製造方法。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂フィルムの層と絶縁性フィルムの層とを備える積層体の製造方法であって、
上記合成樹脂フィルムの少なくとも一方の面側に上記絶縁性フィルムを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
上記絶縁性フィルムを重ね合わせた積層体を真空加熱プレスする真空加熱プレス工程とを備え、
上記真空加熱プレス工程での加熱温度が50℃以上150℃以下であり、加圧時間が5秒以上20秒以下であり、プレス圧力が0.3MPa以上1.3MPa以下である積層体の製造方法。
【請求項2】
上記重ね合わせ工程の前に、
上記合成樹脂フィルムの少なくとも一方の面側に、列設される複数の配線部を含む導電パターンを積層する積層工程
をさらに備え、
上記重ね合わせ工程において、上記合成樹脂ベースフィルム及び上記導電パターンの外面に上記絶縁性フィルムを重ね合わせ、
上記複数の配線部の平均間隔が1μm以上20μm以下、平均高さが30μm以上120μm以下である請求項1に記載の積層体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層体の製造方法に関する。
本出願は、2016年10月12日出願の日本出願第2016-201012号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型軽量化に伴いプリント配線板が広く用いられている。このプリント配線板は、一般にポリイミド等を主成分とするベースフィルム上に導電パターンが形成され、さらにこれらがソルダーレジスト等の絶縁層で被覆された構造を有する(特開2013-004625号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-004625号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様に係るプリント配線板は、絶縁性を有するベースフィルムと、このベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層され、列設される複数の配線部を含む導電パターンと、上記ベースフィルム及び導電パターンの外面を被覆する絶縁層とを備え、上記複数の配線部の平均間隔が1μm以上20μm以下、平均高さが30μm以上120μm以下であり、断面視での隣接する上記複数の配線部間における絶縁層の充填面積率が95%以上である。
【0005】
本発明の一態様に係るプリント配線板の製造方法は、絶縁性を有するベースフィルムの少なくとも一方の面側に、列設される複数の配線部を含む導電パターンを積層する積層工程と、上記ベースフィルム及び導電パターンの外面に絶縁性フィルムを重ね合わせる重ね合わせ工程と、上記絶縁性フィルムを重ね合わせた積層体を真空加熱プレスする真空加熱プレス工程とを備え、上記複数の配線部の平均間隔が1μm以上20μm以下、平均高さが30μm以上120μm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は本発明の一態様のプリント配線板の模式的断面図である。
図2図2は本発明の一態様のプリント配線板の製造方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
近年ではさらなる電子機器の小型化により、プリント配線板の配線密度も高くなりつつある。配線密度が高くなると配線間隔(ピッチ)が極小となるため、従来のプリント配線板では、ベースフィルムの表面近傍で上記絶縁層が配線間に充填されない領域が生まれ、配線間の絶縁性が不十分となる場合がある。
【0008】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、配線密度が比較的高く、かつ配線間の絶縁性に優れるプリント配線板、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
[本開示の効果]
本発明のプリント配線板及びその製造方法は、配線密度と配線間の絶縁性とを共に向上できる。
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係るプリント配線板は、絶縁性を有するベースフィルムと、このベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層され、列設される複数の配線部を含む導電パターンと、上記ベースフィルム及び導電パターンの外面を被覆する絶縁層とを備え、上記複数の配線部の平均間隔が1μm以上20μm以下、平均高さが30μm以上120μm以下であり、断面視での隣接する上記複数の配線部間における絶縁層の充填面積率が95%以上である。
【0011】
当該プリント配線板は、配線部の平均間隔及び平均高さが上記範囲であり、配線密度が比較的高い一方で、配線部間の絶縁層の充填面積率が95%以上であるので、絶縁性にも優れる。つまり、当該プリント配線板は、配線密度が比較的高く、かつ配線間の絶縁性に優れる。
【0012】
上記配線部の外面と絶縁層の外面との平均最小距離としては0より大きく20μm以下が好ましい。このように配線部と絶縁層との平均最小距離を上記範囲とすることで、絶縁層の厚み、ひいてはプリント配線板の厚みを大きくすることなく、絶縁性を維持することができる。
【0013】
上記絶縁層がソルダーレジストであるとよい。絶縁層としてソルダーレジストを用いることで、容易かつ確実に上記充填面積率で絶縁層を充填することができる。
【0014】
また、別の本発明の一態様に係るプリント配線板の製造方法は、絶縁性を有するベースフィルムの少なくとも一方の面側に、列設される複数の配線部を含む導電パターンを積層する積層工程と、上記ベースフィルム及び導電パターンの外面に絶縁性フィルムを重ね合わせる重ね合わせ工程と、上記絶縁性フィルムを重ね合わせた積層体を真空加熱プレスする真空加熱プレス工程とを備え、上記複数の配線部の平均間隔が1μm以上20μm以下、平均高さが30μm以上120μm以下である。
【0015】
当該プリント配線板の製造方法によれば、絶縁性フィルムの導電パターン外面への重ね合わせ後に真空加熱プレスすることにより、絶縁層を配線密度が比較的高い配線部間に容易かつ確実に充填させることができる。これにより、当該プリント配線板の製造方法は、配線密度が比較的高く、かつ絶縁性にも優れるプリント配線板を得ることができる。
【0016】
上記真空加熱プレス工程での加熱温度としては50℃以上150℃以下が好ましく、加圧時間としては5秒以上20秒以下が好ましい。このように真空加熱プレスでの加圧温度及び時間を上記範囲とすることで、容易かつ確実に絶縁層を配線部間に充填することができる。
【0017】
なお、「充填面積率」とは、配線部の長手方向に垂直な断面において、隣接する配線部の側縁によりプリント配線板の表面と平行な方向で挟まれる領域の全体面積に対し、この領域での絶縁層の充填面積が占める割合を意味する。
【0018】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の一実施形態について図面を参照しつつ詳説する。なお、本実施形態のプリント配線板における「表裏」は、プリント配線板の厚さ方向のうち導電パターン積層側を「表」、導電パターン積層側と反対側を「裏」とする方向を意味し、プリント配線板の使用状態における表裏を意味するものではない。
【0019】
[プリント配線板]
図1に示す当該プリント配線板は、絶縁性を有するベースフィルム1と、このベースフィルム1の一方の面側(表面側)に積層される導電パターン2と、ベースフィルム1及び導電パターン2の外面を被覆する絶縁層3とを主に備える。
【0020】
<ベースフィルム>
ベースフィルム1は、電気絶縁性を有する合成樹脂製の層である。また、ベースフィルム1は、導電パターン2を形成するための基材でもある。ベースフィルム1は可撓性を有してもよく、この場合、当該プリント配線板はフレキシブルプリント配線板として用いられる。
【0021】
ベースフィルム1の材質としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、シート状に形成された低誘電率の合成樹脂フィルムを採用できる。この合成樹脂フィルムの主成分としては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー、フッ素樹脂等が挙げられる。「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば材料中50質量%以上を占める成分を指す。
【0022】
ベースフィルム1の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。また、ベースフィルム1の平均厚さの上限としては、50μmが好ましく、40μmがより好ましい。ベースフィルム1の平均厚さが上記下限未満である場合、ベースフィルム1の絶縁強度が不十分となるおそれがある。一方、ベースフィルム1の平均厚さが上記上限を超える場合、当該プリント配線板が不要に厚くなるおそれがある。
【0023】
<導電パターン>
導電パターン2は、導電性を有する材料からなる層であり、列設される複数の配線部2aを含む。この配線部2aは、例えばコイルパターンを形成する配線である。また、導電パターン2は、配線部2a以外の例えばランド部等のパターンを含んでもよい。なお、導電パターン2は、ベースフィルム1の表面に直接積層されてもよいし、接着剤層を介して積層されてもよい。
【0024】
導電パターン2の材質(主成分)としては、導電性を有するものであれば特に限定されないが、電気抵抗が小さいものが好ましい。導電パターン2は、例えば銅、銀等によって形成することができる。また、導電パターン2は、金、銀、錫、ニッケル等でメッキされてもよい。
【0025】
複数の配線部2aの平均間隔d1の下限としては、1μmであり、3μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。一方、複数の配線部2aの平均間隔d1の上限としては、20μmであり、15μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。複数の配線部2aの平均間隔d1が上記下限より小さいと、配線部2a間で短絡するおそれがある。逆に、複数の配線部2aの平均間隔d1が上記上限を超えると、配線密度が要求を満たせないおそれがあるほか、従来の方法でも配線部2a間に絶縁層を容易に充填できるため、本発明の効果が十分に発揮されないおそれがある。なお、「複数の配線部の平均間隔」とは、配線部の長手方向と垂直な断面における隣接する配線部の対向する側縁間の最小距離を配線部の長手方向に平均した値である。
【0026】
複数の配線部2aの平均高さhの下限としては、30μmであり、35μmがより好ましく、40μmがさらに好ましい。一方、複数の配線部2aの平均高さhの上限としては、120μmであり、100μmがより好ましく、80μmがさらに好ましい。複数の配線部2aの平均高さhが上記下限より小さいと、配線密度の上昇に伴い配線部2aの抵抗が過大となるおそれがあるほか、従来の方法でも配線部2a間に絶縁層を容易に充填できるため、本発明の効果が十分に発揮されないおそれがある。逆に、複数の配線部2aの平均高さhが上記上限を超えると、当該プリント配線板が不要に厚くなるおそれがある。なお、「複数の配線部の平均高さ」とは、配線部の長手方向と垂直な断面における配線部の最大高さをその配線部の長手方向に平均した値である。
【0027】
複数の配線部2aの平均幅の下限としては、10μmが好ましく、15μmがより好ましく、20μmがさらに好ましい。一方、複数の配線部2aの平均幅の上限としては、40μmが好ましく、35μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。複数の配線部2aの平均幅が上記下限より小さいと、製造が困難になるおそれがある。逆に、複数の配線部2aの平均幅が上記上限を超えると、配線密度が要求を満たせないおそれがある。なお、「複数の配線部の平均幅」とは、配線部の長手方向と垂直な断面における配線部の底面(ベースフィルムとの界面)の幅をその配線部の長手方向に平均した値である。
【0028】
複数の配線部2aの平均アスペクト比の下限としては、1.2が好ましく、1.4がより好ましく、1.6がさらに好ましい。一方、複数の配線部2aの平均アスペクト比の上限としては、5.0が好ましく、4.0がより好ましく、3.0がさらに好ましい。複数の配線部2aの平均アスペクト比が上記下限より小さいと、配線密度が要求を満たせないおそれがある。逆に、複数の配線部2aの平均アスペクト比が上記上限を超えると、製造が困難になるおそれがある。なお、「複数の配線部のアスペクト比」とは、上記平均高さhの上記平均幅に対する比である。
【0029】
複数の配線部2aの平均間隔d1に対する平均高さhの比(h/d1)の下限としては、2.0が好ましく、3.0がより好ましく、4.0がさらに好ましい。一方、上記比(h/d1)の上限としては、12.0が好ましく、10.0がより好ましく、8.0がさらに好ましい。上記比(h/d1)が上記下限より小さいと、配線密度が要求を満たせないおそれがある。逆に、上記比(h/d1)が上記上限を超えると、当該プリント配線板が不要に厚くなるおそれがある。
【0030】
なお、コイルパターンを形成する配線部2aにおいては、複数の配線部2aの断面積(平均幅、平均高さ及び平均アスペクト比)が等しいことが好ましい。
【0031】
図1に示すように、配線部2aは、ベースフィルム1側の底面部分に、ベースフィルム1側に幅が漸減するテーパ部分を有する。このテーパ部分は、セミアディティブ法で形成したパターンにさらに二次メッキすることで配線部2aを形成した際に、この二次メッキにより形成されるものである。このような配線部2aでは、特に上記テーパ部分に絶縁層が充填され難く、空隙ができ易い。
【0032】
<絶縁層>
絶縁層3は、当該プリント配線板において主に導電パターン2を保護する層である。絶縁層3の材質としては、絶縁性を有する限り特に限定されず、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂、液晶ポリマー等の樹脂を主成分とするものが使用できる。これらの中でも熱可塑性樹脂が好ましい。また特に、絶縁層3としてソルダーレジストを用いることで、後述する製造方法により容易に絶縁層3が形成できる。さらに、絶縁層3は樹脂フィルムのラミネートにより形成されるとよい。
【0033】
絶縁層3の主成分の樹脂の融点又は融点が存在しない場合のガラス転移点(以下、「融点又はガラス転移点T」ともいう)の下限としては、30℃が好ましく、40℃がより好ましく、50℃がさらに好ましい。一方、融点又はガラス転移点Tの上限としては、200℃が好ましく、190℃がより好ましく、180℃がさらに好ましい。融点又はガラス転移点Tが上記下限より小さいと、絶縁層3の耐熱性が不十分となるおそれがある。一方、融点又はガラス転移点Tが上記上限を超えると、後述する充填面積率を達成することが困難になるおそれがある。なお、「融点」とは、JIS-K-7121(2012年)に準拠して示差走査熱量計(DSC)により測定される融点ピークを意味し、「ガラス転移点」とは、JIS-K-7121(2012年)に準拠して示差走査熱量計(DSC)により測定される中間点ガラス転移温度を意味する。
【0034】
断面視での隣接する複数の配線部2a間における絶縁層3の充填面積率の下限としては、95%であり、98%がより好ましく、99%がさらに好ましい。さらに、充填面積率は100%であること、つまり絶縁層3とベースフィルム1との間に実質的に空隙(気泡)を有さないことが好ましい。
【0035】
絶縁層3の平均厚み(ベースフィルム1の表面から絶縁層3の外面までの平均距離)の下限としては、40μmが好ましく、50μmがより好ましく、60μmがさらに好ましい。一方、絶縁層3の平均厚みの上限としては、90μmが好ましく、80μmがより好ましく、70μmがさらに好ましい。絶縁層3の平均厚みが上記下限より小さいと、絶縁性が不十分となるおそれがある。逆に、絶縁層3の平均厚みが上記上限を超えると、当該プリント配線板が不要に厚くなるおそれがある。
【0036】
配線部2aの外面と絶縁層3の外面との平均最小距離d2は、0より大きければよいが、上記平均最小距離d2の下限としては、0.1μmが好ましく、0.5μmがより好ましく、1μmがさらに好ましい。一方、上記平均最小距離d2の上限としては、20μmが好ましく、15μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。上記平均最小距離d2が上記下限より小さいと、絶縁性が不十分となるおそれがある。逆に、上記平均最小距離d2が上記上限を超えると、当該プリント配線板が不要に厚くなるおそれがある。つまり、当該プリント配線板において、上記平均最小距離d2を上記範囲とすることで、絶縁層3による絶縁性を維持したまま、プリント配線板全体の厚みを低減することが可能となる。なお、「配線部の外面と絶縁層の外面との平均最小距離」とは、配線部のベースフィルムと反対側の面と絶縁層の外面との最小距離を配線部の長手方向に平均した値である。
【0037】
[プリント配線板の製造方法]
当該プリント配線板の製造方法は、図2に示すように、絶縁性を有するベースフィルムの少なくとも一方の面側に、列設される複数の配線部を含む導電パターンを積層する積層工程S1と、上記ベースフィルム及び導電パターンの外面に絶縁性フィルムを重ね合わせる重ね合わせ工程S2と、上記絶縁性フィルムを重ね合わせた積層体を真空加熱プレスする真空加熱プレス工程S3とを主に備える。
【0038】
<積層工程>
積層工程S1では、ベースフィルムの少なくとも一方の面側に、列設される複数の配線部を含む導電パターンを積層する。導電パターンの積層方法としては、公知の方法が使用でき、サブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。特に、セミアディティブ法を用いることで、配線密度の高い導電パターンを効率よく得ることができる。
【0039】
<重ね合わせ工程>
重ね合わせ工程S2では、積層工程S1で得たベースフィルム及び導電パターンの積層体の外面に、絶縁層を形成する絶縁性フィルムを重ね合わせる。この絶縁性フィルムの主成分は、当該プリント配線板の絶縁層の主成分と同様とすることができる。また、この絶縁性フィルムは可撓性を有することが好ましい。
【0040】
上記絶縁性フィルムの平均厚みは、導電パターンの厚みと形成する絶縁層の厚みにより適宜設計されるが、その下限としては、30μmが好ましく、40μmがより好ましい。一方、上記絶縁性フィルムの平均厚みの上限としては、80μmが好ましく、60μmがより好ましい。
【0041】
<真空加熱プレス工程>
真空加熱プレス工程S3では、重ね合わせ工程S2で得たベースフィルム及び導電パターンの積層体に絶縁性フィルムを重ね合わせたものを真空加熱プレスする。この真空加熱プレスは公知のプレス装置で行うことができ、連続したシート状の上記積層体に対し、バッチ式で行われる。
【0042】
真空加熱プレスにおける加熱温度の下限としては、50℃が好ましく、60℃がより好ましく、70℃がさらに好ましい。一方、上記加熱温度の上限としては、150℃が好ましく、130℃がより好ましく、110℃がさらに好ましい。
【0043】
真空加熱プレスにおける加熱時間の下限としては、5秒が好ましく、8秒がより好ましい。一方、上記加熱時間の上限としては、20秒が好ましく、15秒がより好ましい。
【0044】
上記加熱温度又は加熱時間が上記下限より小さいと、絶縁層の配線部間への充填が不十分となり、絶縁性が低下するおそれがある。逆に、上記加熱温度又は加熱時間が上記上限を超えると、ベースフィルム等が変形や劣化するおそれがある。
【0045】
真空加熱プレスにおけるプレス圧力の下限としては、0.3MPaが好ましく、0.4MPaがより好ましく、0.5MPaがさらに好ましい。一方、上記プレス圧力の上限としては、1.3MPaが好ましく、1.2MPaがより好ましく、1.1MPaがさらに好ましい。上記プレス圧力が上記下限より小さいと、絶縁層の配線部間への充填が不十分となり、絶縁性が低下するおそれがある。逆に、上記プレス圧力が上記上限を超えると、ベースフィルム等が変形や破損するおそれがある。
【0046】
なお、真空加熱プレス工程S3の後に、絶縁層に電気接続用の開口部を形成する工程を行ってもよい。絶縁性フィルムとしてソルダーレジストのドライフィルムを用いる場合、露光、現像等の工程により容易に開口部を形成できる。
【0047】
<利点>
当該プリント配線板は、配線部の平均間隔及び平均高さが上記範囲であり、配線密度が比較的高い一方で、配線部間の絶縁層の充填面積率が95%以上であるので、絶縁性にも優れる。つまり、当該プリント配線板は、配線密度が比較的高く、かつ配線間の絶縁性に優れる。また、当該プリント配線板の製造方法は、絶縁性インクの塗布により絶縁層を形成する場合に比べ、このようなプリント配線板を比較的容易に得ることができる。
【0048】
当該プリント配線板は、配線密度を高められるので、小型機器用のアクチュエータ、アンテナ、トランス等として好適に用いることができる。
【0049】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0050】
上記実施形態では、単一のベースフィルムと、このベースフィルムの一方の面に積層される1層の導電パターンを有するプリント配線板について説明したが、単一のベースフィルムの両面に導電パターンが積層したものも本発明の意図する範囲内である。さらに、当該プリント配線板は、複数のベースフィルムを有し、各ベースフィルムが一方の面又は両面に導電パターンを有する多層プリント配線板であってもよい。
【0051】
なお、当該プリント配線板の絶縁層は、樹脂組成物(絶縁性インク)の塗工及び乾燥により形成してもよい。
【0052】
[付記]
(項1)
絶縁性を有するベースフィルムと、
このベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層され、列設される複数の配線部を含む導電パターンと、
上記ベースフィルム及び導電パターンの外面を被覆する絶縁層と
を備え、
上記複数の配線部の平均間隔が1μm以上20μm以下、平均高さが30μm以上120μm以下であり、
断面視での隣接する上記複数の配線部間における絶縁層の充填面積率が95%以上であるプリント配線板。
(項2)
上記配線部の外面と絶縁層の外面との平均最小距離が0より大きく20μm以下である上記項1に記載のプリント配線板。
(項3)
上記複数の配線部が、上記ベースフィルム側の底面部分に、上記ベースフィルム側に幅が漸減するテーパ部分を有する上記項1又は項2に記載のプリント配線板。
(項4)
上記複数の配線部の平均間隔が1μm以上10μm未満である上記項1、項2又は項3に記載のプリント配線板。
(項5)
上記複数の配線部の平均幅が10μm以上40μm以下である上記項1から項4のいずれか1項に記載のプリント配線板。
(項6)
上記複数の配線部の平均間隔d1に対する平均高さhの比(h/d1)が2.0以上12.0以下である上記項1から項5のいずれか1項に記載のプリント配線板。
(項7)
上記絶縁層がソルダーレジストである上記項1から項6のいずれか1項に記載のプリント配線板。
(項8)
絶縁性を有するベースフィルムの少なくとも一方の面側に、列設される複数の配線部を含む導電パターンを積層する積層工程と、
上記ベースフィルム及び導電パターンの外面に絶縁性フィルムを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
上記絶縁性フィルムを重ね合わせた積層体を、プレス圧力が0.3MPa以上1.3MPa以下、加熱温度が50℃以上150℃以下で真空加熱プレスする真空加熱プレス工程とを備え、
上記複数の配線部の平均間隔が1μm以上20μm以下、平均高さが30μm以上120μm以下であるプリント配線板の製造方法。
(項9)
上記真空加熱プレス工程での加圧時間が5秒以上20秒以下である上記項8に記載のプリント配線板の製造方法。
(項10)
上記複数の配線部が、上記ベースフィルム側の底面部分に、上記ベースフィルム側に幅が漸減するテーパ部分を有する上記項8又は項9に記載のプリント配線板の製造方法。
(項11)
上記複数の配線部の平均間隔が1μm以上10μm未満である上記項8、項9又は項10に記載のプリント配線板の製造方法。
(項12)
上記複数の配線部の平均幅が10μm以上40μm以下である上記項8から項11のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
(項13)
上記複数の配線部の平均間隔d1に対する平均高さhの比(h/d1)が2.0以上12.0以下である上記項8から項12のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【符号の説明】
【0053】
1 ベースフィルム
2 導電パターン
2a 配線部
3 絶縁層
S1 積層工程
S2 重ね合わせ工程
S3 真空加熱プレス工程

図1
図2