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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126734
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240912BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240912BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240912BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B41J2/175 503
B41J2/01 301
B41J2/01 303
B05C11/00
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035312
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田中 耕治
(72)【発明者】
【氏名】井上 健
【テーマコード(参考)】
2C056
4F042
【Fターム(参考)】
2C056EA22
2C056FA10
2C056HA37
2C056HA38
2C056JB05
2C056KB08
2C056KB35
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB07
4F042CB19
(57)【要約】
【課題】液体供給接続部を供給流路から取り外した際の、供給流路からの液体の垂れを抑制できる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】媒体に液体を吐出することで記録を行う液体吐出ヘッド21と、第1接続部41および第2接続部42を有し、第1接続部41が液体吐出ヘッド21に対して着脱可能に接続される液体供給接続部25と、第2接続部42に対して着脱可能に接続され、液体供給接続部25を介して液体吐出ヘッド21に液体を供給可能な供給流路24と、記録時に位置する記録位置と、記録位置から退避する退避位置P4と、の間で少なくとも液体供給接続部25および供給流路24を移動可能な移動部32と、少なくとも液体供給接続部25および供給流路24が退避位置P4に移動した際に供給流路24を閉鎖する閉鎖部33と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に液体を吐出することで記録を行う液体吐出ヘッドと、
第1接続部および第2接続部を有し、前記第1接続部が前記液体吐出ヘッドに対して着脱可能に接続される液体供給接続部と、
前記第2接続部に対して着脱可能に接続され、前記液体供給接続部を介して前記液体吐出ヘッドに液体を供給可能な供給流路と、
記録時に位置する記録位置と、前記記録位置から退避する退避位置と、の間で少なくとも前記液体供給接続部および前記供給流路を移動可能な移動部と、
少なくとも前記液体供給接続部および前記供給流路が前記退避位置に移動した際に前記供給流路を閉鎖する閉鎖部と、
を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記供給流路は弾性を有する供給チューブを有し、
前記閉鎖部は、少なくとも前記液体供給接続部および前記供給流路が前記退避位置にある際に前記供給チューブを屈曲させる屈曲補助部を有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記供給流路は弾性を有する供給チューブを有し、
前記閉鎖部は、少なくとも前記液体供給接続部および前記供給流路が前記退避位置に移動した際に前記供給チューブを押し潰す押圧部を有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジと、
前記液体供給接続部および前記供給流路が前記記録位置にある状態で前記液体供給接続部を前記キャリッジに固定可能な固定部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記固定部は、前記液体供給接続部に保持されていることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジを更に備え、
前記移動部が前記キャリッジに設けられる回転軸を中心に回動することで、少なくとも前記液体供給接続部および前記供給流路が前記記録位置と前記退避位置との間で移動することを特徴とする請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記液体供給接続部および前記供給流路が前記記録位置にある状態で前記液体供給接続部を前記キャリッジに固定可能な固定部を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記固定部は、前記液体供給接続部に保持されていることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンターなどの液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、液体吐出ヘッドの一例である液体噴射ヘッドから液体を噴射して印刷する液体吐出装置の一例である液体噴射装置がある。液体噴射装置は、供給流路と、液体供給接続部と、を備える。供給流路は、液体供給源から液体を供給する。液体供給接続部は、供給流路と液体噴射ヘッドとを接続する。液体供給接続部は、液体噴射ヘッドを交換する際に液体吐出ヘッドから取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-104426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の液体噴射装置では、液体供給接続部の交換性については考慮されていない。液体供給接続部を交換するために、液体供給接続部を供給流路から取り外す場合、供給流路から液体が垂れてしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体吐出装置は、媒体に液体を吐出することで記録を行う液体吐出ヘッドと、第1接続部および第2接続部を有し、前記第1接続部が前記液体吐出ヘッドに対して着脱可能に接続される液体供給接続部と、前記第2接続部に対して着脱可能に接続され、前記液体供給接続部を介して前記液体吐出ヘッドに液体を供給可能な供給流路と、記録時に位置する記録位置と、前記記録位置から退避する退避位置と、の間で少なくとも前記液体供給接続部および前記供給流路を移動可能な移動部と、少なくとも前記液体供給接続部および前記供給流路が前記退避位置に移動した際に前記供給流路を閉鎖する閉鎖部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】液体吐出装置の第1実施形態の模式図である。
図2】液体供給接続部の固定が解除された液体吐出装置の模式図である。
図3】液体供給接続部が退避位置に位置する液体吐出装置の模式図である。
図4】液体吐出装置の第2実施形態の模式図である。
図5】液体供給接続部が退避位置に位置する液体吐出装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
以下、液体吐出装置の第1実施形態を、図面を参照して説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙、布帛、ビニール、プラスチック部品、金属部品などの媒体に液体の一例であるインクを吐出して印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0008】
図面では、液体吐出装置11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、Z軸と平行な方向を鉛直方向の上方もしくは下方ともいう。
【0009】
<液体吐出装置>
図1に示すように、液体吐出装置11は、筐体12と、メンテナンスカバー13と、を備えてもよい。
【0010】
筐体12は、液体吐出装置11が備える各種構成を収容する。
メンテナンスカバー13は、軸を中心として回動することで、開閉可能に設けられてもよい。回動とは、軸を中心とする回転であって、回転可能な角度が360度未満である回転のことをいう。例えばメンテナンスカバー13は、図1に示す閉位置と図2に示す開位置をとるように構成される。閉位置に位置するメンテナンスカバー13は、メンテナンス領域MAを覆う。開位置に位置するメンテナンスカバー13は、メンテナンス領域MAを露出させる。
【0011】
液体吐出装置11は、メンテナンス部15を備えてもよい。メンテナンス部15は、メンテナンス領域MAに設けられる。メンテナンス部15は、繰出軸16と、1以上の従動ローラー17と、巻取軸18と、払拭部材19と、を備えてもよい。払拭部材19は、液体を吸収可能な帯状の部材である。繰出軸16は、ロール状に巻かれた未使用の払拭部材19を保持する。繰出軸16から繰り出させれた払拭部材19は、1以上の従動ローラー17に巻き掛けられると共に、巻取軸18に巻き取られてもよい。メンテナンス部15は、例えばY軸に沿って往復移動することにより、後述する液体吐出ヘッド21をワイピングしてもよい。ワイピングとは、払拭部材19によって液体吐出ヘッド21を払拭するメンテナンスである。
【0012】
液体吐出装置11は、供給部23を備えてもよい。液体吐出装置11は、供給流路24と、液体供給接続部25と、液体吐出ヘッド21と、を備える。液体吐出装置11は、ガイド軸27と、キャリッジ28と、固定部29と、ばね30と、を備えてもよい。液体吐出装置11は、移動部32と、閉鎖部33と、を備える。液体吐出装置11は、保持部35を備えてもよい。
【0013】
供給部23は、液体収容部37に収容される液体、もしくは供給流路24内の液体を加圧してもよい。供給部23は、供給流路24を介して液体供給接続部25に加圧した液体を供給してもよい。
【0014】
供給流路24は、弾性を有する供給チューブ39を有してもよい。供給流路24は、一部もしくは全部が供給チューブ39で構成されてもよい。供給流路24は、上流端が液体収容部37に接続されると共に、下流端が液体供給接続部25に接続される。
【0015】
供給流路24は、液体供給接続部25を介して液体吐出ヘッド21に液体を供給可能である。液体吐出装置11は、複数の供給流路24を備えてもよい。複数の供給流路24は、それぞれ種類の異なる液体を供給してもよい。種類の異なる液体は、例えば色の異なるインクである。
【0016】
液体供給接続部25は、第1接続部41および第2接続部42を有する。第1接続部41は、液体吐出ヘッド21に対して着脱可能に接続される。第2接続部42は、供給流路24に対して着脱可能に接続される。第2接続部42には、供給流路24の下流端が接続される。液体供給接続部25は、液体吐出ヘッド21に液体を供給する。
【0017】
液体供給接続部25は、差圧弁44を有してもよい。差圧弁44は、いわゆる減圧弁である。すなわち、差圧弁44は、液体吐出ヘッド21で液体が消費されることにより、差圧弁44と液体吐出ヘッド21との間の液圧が大気圧より低い所定の負圧を下回ると開弁する。このとき、差圧弁44は、液体供給接続部25から液体吐出ヘッド21に向かう液体の流動を許容する。
【0018】
差圧弁44は、液体供給接続部25から液体吐出ヘッド21に向けて液体が流動することにより、差圧弁44と液体吐出ヘッド21との間の液圧が上記所定の負圧に戻ると閉弁する。このとき、差圧弁44は、液体供給接続部25から液体吐出ヘッド21に向かう液体の流動を停止させる。差圧弁44は、差圧弁44と液体吐出ヘッド21との間の液圧が高くなっても開弁することはない。そのため、差圧弁44は、液体供給接続部25から液体吐出ヘッド21への液体の流動を許容し、液体吐出ヘッド21から液体供給接続部25への液体の流動を抑制する一方向弁、いわゆる逆止弁として機能する。
【0019】
液体吐出ヘッド21は、媒体に液体を吐出することで記録を行う。液体吐出ヘッド21は、図示しない複数のノズルから液体を吐出する。
ガイド軸27は、走査方向に延びる。走査方向は、例えばX軸に平行な方向である。
【0020】
キャリッジ28は、液体吐出ヘッド21を搭載する。キャリッジ28は、ガイド軸27に沿って往復移動してもよい。キャリッジ28は、走査方向に移動することで、メンテナンス領域MAと、媒体に記録を行う記録領域と、に移動可能である。キャリッジ28は、係合部46を有してもよい。
【0021】
固定部29は、液体供給接続部25に保持されていてもよい。本実施形態では、4つの固定部29が、平面視で液体供給接続部25の四隅に設けられている。固定部29は、図1に示す固定位置P1と、図2に示す解除位置P2と、を取り得る。固定位置P1に位置する固定部29は、液体供給接続部25に保持された状態で回転されることで、解除位置P2に位置する。
【0022】
固定位置P1は、液体吐出ヘッド21に接続された液体供給接続部25を、キャリッジ28に固定する位置である。ばね30は、固定部29を押し上げる。固定位置P1に位置する固定部29は、ばね30により係合部46に押し付けられることで、液体供給接続部25を固定する。固定部29は、液体供給接続部25および供給流路24が記録位置P3にある状態で液体供給接続部25をキャリッジ28に固定可能である。解除位置P2は、固定部29と係合部46との係合が外れる位置である。解除位置P2は、液体供給接続部25の固定を解除する位置である。固定部29が液体供給接続部25の固定を解除すると、液体供給接続部25は、キャリッジ28に対して移動可能になる。
【0023】
移動部32は、少なくとも液体供給接続部25および供給流路24を移動可能に構成される。移動部32は、供給流路24の一部を移動させてもよい。移動部32は、少なくとも液体供給接続部25および供給流路24を、図1に示す記録位置P3と、図3に示す退避位置P4と、の間で移動可能である。
【0024】
記録位置P3は、記録時に位置する位置である。液体供給接続部25が記録位置P3に位置するとき、キャリッジ28は走査方向に移動可能である。退避位置P4は、記録位置P3から退避する位置である。退避位置P4は、記録位置P3より上方の位置であってもよい。退避位置P4の液体供給接続部25は、記録位置P3の液体供給接続部25よりも第2接続部42が上方に位置してもよい。退避位置P4の液体供給接続部25と供給流路24の一部は、筐体12の外に位置してもよい。筐体12の外に位置することで、液体供給接続部25の交換を容易にすることができる。
【0025】
移動部32は、キャリッジ28に設けられる回転軸の一例である第1回転軸48を中心に回動することで、液体供給接続部25および供給流路24を、記録位置P3と退避位置P4との間で移動させてもよい。移動部32は、液体供給接続部25に設けられる第2回転軸49を介して液体供給接続部25に取り付けられてもよい。
【0026】
図3に示すように、液体供給接続部25は、移動部32に対して回転可能に設けられてもよい。液体供給接続部25は、記録位置P3とは異なる位置において、第2回転軸49を中心として回転可能であってもよい。
【0027】
液体供給接続部25は、記録位置P3と退避位置P4で姿勢が変化してもよい。液体供給接続部25は、記録位置P3においてとる記録姿勢に対し、退避位置P4においてとる退避姿勢が逆さであってもよい。記録姿勢では、第1接続部41が第2接続部42より下方に位置してもよい。退避姿勢では、第1接続部41が第2接続部42より上方に位置してもよい。
【0028】
閉鎖部33は、液体供給接続部25および供給流路24が退避位置P4に移動した際に供給流路24を閉鎖する。閉鎖部33は、屈曲補助部51を有してもよい。屈曲補助部51は、液体供給接続部25が退避位置P4にある際に供給チューブ39を屈曲させる。屈曲補助部51は、キャリッジ28に設けられてもよい。閉鎖部33は、複数の供給チューブ39に個々に対応する複数の屈曲補助部51を有してもよいし、1つの屈曲補助部51が複数の供給チューブ39を屈曲させてもよい。
【0029】
保持部35は、液体供給接続部25が退避位置P4に位置する状態で、移動部32を保持してもよい。保持部35は、移動部32の移動を制限することで、液体供給接続部25の移動を制限する。
【0030】
液体吐出装置11は、制御部53を備える。制御部53は、液体吐出装置11における各機構の駆動を統括的に制御し、液体吐出装置11で実行される各種動作を制御する。
制御部53は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0031】
<第1実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、液体供給接続部25を交換する場合、制御部53は、キャリッジ28をメンテナンス領域MAに移動させる。制御部53は、液体吐出ヘッド21をメンテナンス部15の上方に位置させてもよい。メンテナンス部15の上方で交換作業を行うことで、液体供給接続部25が外されることで液体吐出ヘッド21内の液体がノズルから漏れた場合でも、漏れた液体をメンテナンス部15で受容することができる。
【0032】
図2に示すように、メンテナンスカバー13を開位置に位置させると、オペレーターは、液体供給接続部25及び固定部29にアクセス可能になる。オペレーターは、固定位置P1に位置する固定部29を解除位置P2に位置させる。固定部29が解除位置P2に位置すると、液体供給接続部25の移動が可能になる。
【0033】
図3に示すように、オペレーターは、記録位置P3に位置する液体供給接続部25を、退避位置P4に移動させる。保持部35は、退避位置P4において移動部32を保持する。そのため、液体供給接続部25は、退避位置P4に維持される。
【0034】
液体供給接続部25が記録位置P3から退避位置P4に移動すると、供給チューブ39は、屈曲補助部51により屈曲させられる。すなわち、供給チューブ39は、折れ曲がることで中が狭窄し、液体が通りにくくなる所謂キンクした状態になる。例えば供給部23により液体が加圧されていても、屈曲した部分によって加圧力が遮られるため、液体供給接続部25への液体の供給が制限される。
【0035】
オペレーターは、退避位置P4に位置する液体供給接続部25を交換する。退避位置P4に位置する液体供給接続部25は、屈曲補助部51より上方に位置する。すなわち、退避位置P4に位置する液体供給接続部25の第2接続部42と、供給流路24の下流端は、供給チューブ39の屈曲した部分より上方に位置する。そのため、退避位置P4に位置する供給流路24が液体供給接続部25から外されても、屈曲した部分と下流端との間の供給流路24に残る液体の垂れも抑制される。
【0036】
オペレーターは、液体供給接続部25が退避位置P4に位置する状態で、液体吐出ヘッド21の交換を行ってもよい。交換が完了すると、オペレーターは、退避位置P4に位置する液体供給接続部25を、記録位置P3に移動させることで、液体供給接続部25と液体吐出ヘッド21とを接続する。液体供給接続部25が記録位置P3に移動すると、屈曲していた供給チューブ39は伸びるため、液体の供給制限が解除される。
【0037】
<第1実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1-1)閉鎖部33は、退避位置P4に移動した供給流路24を閉鎖する。そのため、液体供給接続部25と供給流路24を退避位置P4に位置させた状態で、液体供給接続部25を供給流路24から取り外すことにより、液体供給接続部25を供給流路24から取り外した際の、供給流路24からの液体の垂れを抑制できる。
【0038】
(1-2)閉鎖部33は、屈曲補助部51を有する。屈曲補助部51により供給チューブ39を屈曲させることで、供給流路24を閉塞することができるため、簡易な構成で供給流路24からの液体の垂れを抑制できる。
【0039】
(1-3)固定部29は、液体供給接続部25を記録位置P3にある状態でキャリッジ28に固定可能である。そのため、液体供給接続部25が記録位置P3から移動してしまう虞を低減できる。
【0040】
(1-4)固定部29は、液体供給接続部25に保持されている。そのため、液体供給接続部25をキャリッジ28から外す場合に、固定部29を紛失する虞を低減できる。
(1-5)移動部32は、キャリッジ28に設けられる第1回転軸48を中心に回動する。液体供給接続部25と供給流路24を安定して移動させることができるため、安定的に供給流路24を閉鎖することができる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、液体吐出装置の第2実施形態について図を参照しながら説明する。第2実施形態については、第1実施形態と同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0042】
図4図5に示すように、本実施形態の液体吐出ヘッド21は、液体供給接続部25と共に、記録位置P3と退避位置P4とに移動可能である。すなわち、移動部32は、液体吐出ヘッド21、液体供給接続部25、および供給流路24を移動可能に構成される。
【0043】
閉鎖部33は、押圧部55を有してもよい。押圧部55は、液体吐出ヘッド21、液体供給接続部25、および供給流路24が退避位置P4に移動した際に供給チューブ39を押し潰す。押圧部55は、移動部32に設けられてもよい。押圧部55は、キャリッジ28との間に供給チューブ39を挟むことで、供給チューブ39を潰してもよい。閉鎖部33は、複数の供給チューブ39に個々に対応する複数の押圧部55を有してもよいし、1つの押圧部55が複数の供給チューブ39を押し潰してもよい。
【0044】
<第2実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
液体供給接続部25を交換する場合、第1実施形態と同様に、オペレーターは、固定部29を解除位置P2に位置させて、液体供給接続部25の移動を可能にする。
【0045】
図5に示すように、液体吐出ヘッド21は、液体供給接続部25と共に退避位置P4に移動する。このとき、押圧部55は、移動部32と共に移動して供給チューブ39を押し潰す。潰された供給チューブ39は、液体が通りにくくなる。例えば供給部23により液体が加圧されていても、潰された部分によって加圧力が遮られるため、液体供給接続部25への液体の供給が制限される。
【0046】
オペレーターは、液体供給接続部25を退避位置P4に位置させた状態で、液体供給接続部25を交換する。オペレーターは、液体吐出ヘッド21を交換してもよい。交換が完了すると、オペレーターは、退避位置P4に位置する液体吐出ヘッド21、液体供給接続部25、および供給流路24を、記録位置P3に移動させる。オペレーターは、記録位置P3に移動させた液体供給接続部25を、固定部29によりキャリッジ28に固定する。液体吐出ヘッド21および液体供給接続部25が記録位置P3に移動すると、押圧部55は、供給チューブ39の押さえを解除する。潰されていた供給チューブ39は、弾性で戻るため、液体の供給制限が解除される。
【0047】
<第2実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(2-1)閉鎖部33は、押圧部55を有する。押圧部55により供給チューブ39を押し潰すことで、供給流路24を閉塞することができるため、簡易な構成で供給流路24からの液体の垂れを抑制できる。
【0048】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0049】
・固定部29は、液体供給接続部25に対して着脱可能に設けられてもよい。固定部29は、ねじであってもよい。固定部29は、液体供給接続部25とキャリッジ28とを挟むクリップであってもよい。
【0050】
・固定部29は、キャリッジ28に保持されていてもよい。固定部29は、液体吐出ヘッド21に保持されていてもよい。液体供給接続部25は、記録位置P3にある状態で液体吐出ヘッド21に固定されてもよい。
【0051】
・液体吐出装置11は、キャリッジ28を備えない構成としてもよい。例えば、液体吐出ヘッド21は、媒体の幅方向において長尺に設けられるラインタイプとして構成されてもよい。移動部32は、例えば筐体12に設けられる回転軸を中心に回動することで、液体供給接続部25及び供給流路24を移動させてもよい。
【0052】
・供給流路24の一部は、硬質部材に形成された溝をフィルムや硬質部材などで覆うことで構成されてもよい。供給流路24は、一部が例えばダイヤフラムで構成されてもよい。押圧部55は、ダイヤフラムを押すことで供給流路24を閉鎖してもよい。
【0053】
・閉鎖部33は、屈曲補助部51と、押圧部55と、の双方を備えてもよい。
・押圧部55は、液体供給接続部25との間に供給チューブ39を挟むことで、供給チューブ39を押し潰してもよい。
【0054】
・移動部32は、液体供給接続部25を平行移動させてもよい。
・第1実施形態において、液体吐出ヘッド21は、液体供給接続部25および供給流路24と共に記録位置P3と退避位置P4に移動可能であってもよい。
【0055】
・第2実施形態において、液体吐出ヘッド21は、液体供給接続部25および供給流路24が記録位置P3から退避位置P4に移動する際に、キャリッジ28に搭載された状態で残ってもよい。
【0056】
・液体吐出装置11は、液体供給接続部25と共に液体吐出ヘッド21が移動するか否かを、切り替え可能であってもよい。
・液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体吐出装置であってもよい。液体吐出装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体吐出装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体吐出装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。
【0057】
[定義]
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0058】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0059】
(A)液体吐出装置は、媒体に液体を吐出することで記録を行う液体吐出ヘッドと、第1接続部および第2接続部を有し、前記第1接続部が前記液体吐出ヘッドに対して着脱可能に接続される液体供給接続部と、前記第2接続部に対して着脱可能に接続され、前記液体供給接続部を介して前記液体吐出ヘッドに液体を供給可能な供給流路と、記録時に位置する記録位置と、前記記録位置から退避する退避位置と、の間で少なくとも前記液体供給接続部および前記供給流路を移動可能な移動部と、少なくとも前記液体供給接続部および前記供給流路が前記退避位置に移動した際に前記供給流路を閉鎖する閉鎖部と、を備える。
【0060】
この構成によれば、閉鎖部は、退避位置に移動した供給流路を閉鎖する。そのため、液体供給接続部と供給流路を退避位置に位置させた状態で、液体供給接続部を供給流路から取り外すことにより、液体供給接続部を供給流路から取り外した際の、供給流路からの液体の垂れを抑制できる。
【0061】
(B)(A)に記載の液体吐出装置において、前記供給流路は弾性を有する供給チューブを有し、前記閉鎖部は、少なくとも前記液体供給接続部および前記供給流路が前記退避位置にある際に前記供給チューブを屈曲させる屈曲補助部を有してもよい。
【0062】
この構成によれば、閉鎖部は、屈曲補助部を有する。屈曲補助部により供給チューブを屈曲させることで、供給流路を閉塞することができるため、簡易な構成で供給流路からの液体の垂れを抑制できる。
【0063】
(C)(A)又は(B)に記載の液体吐出装置において、前記供給流路は弾性を有する供給チューブを有し、前記閉鎖部は、少なくとも前記液体供給接続部および前記供給流路が前記退避位置に移動した際に前記供給チューブを押し潰す押圧部を有してもよい。
【0064】
この構成によれば、閉鎖部は、押圧部を有する。押圧部により供給チューブを押し潰すことで、供給流路を閉塞することができるため、簡易な構成で供給流路からの液体の垂れを抑制できる。
【0065】
(D)(A)~(C)に記載の液体吐出装置は、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジと、前記液体供給接続部および前記供給流路が前記記録位置にある状態で前記液体供給接続部を前記キャリッジに固定可能な固定部と、を更に備えてもよい。
【0066】
この構成によれば、固定部は、液体供給接続部を記録位置にある状態でキャリッジに固定可能である。そのため、液体供給接続部が記録位置から移動してしまう虞を低減できる。
【0067】
(E)(D)に記載の液体吐出装置において、前記固定部は、前記液体供給接続部に保持されていてもよい。
この構成によれば、固定部は、液体供給接続部に保持されている。そのため、液体供給接続部をキャリッジから外す場合に、固定部を紛失する虞を低減できる。
【0068】
(F)(A)~(C)に記載の液体吐出装置は、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジを更に備え、前記移動部が前記キャリッジに設けられる回転軸を中心に回動することで、少なくとも前記液体供給接続部および前記供給流路が前記記録位置と前記退避位置との間で移動してもよい。
【0069】
この構成によれば、移動部は、キャリッジに設けられる回転軸を中心に回動する。液体供給接続部と供給流路を安定して移動させることができるため、安定的に供給流路を閉鎖することができる。
【0070】
(G)(F)に記載の液体吐出装置は、前記液体供給接続部および前記供給流路が前記記録位置にある状態で前記液体供給接続部を前記キャリッジに固定可能な固定部を更に備えてもよい。
【0071】
この構成によれば、上記液体吐出装置と同様の効果を奏することができる。
(H)(G)に記載の液体吐出装置において、前記固定部は、前記液体供給接続部に保持されていてもよい。
【0072】
この構成によれば、上記液体吐出装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0073】
11…液体吐出装置、12…筐体、13…メンテナンスカバー、15…メンテナンス部、16…繰出軸、17…従動ローラー、18…巻取軸、19…払拭部材、21…液体吐出ヘッド、23…供給部、24…供給流路、25…液体供給接続部、27…ガイド軸、28…キャリッジ、29…固定部、30…ばね、32…移動部、33…閉鎖部、35…保持部、37…液体収容部、39…供給チューブ、41…第1接続部、42…第2接続部、44…差圧弁、46…係合部、48…第1回転軸、49…第2回転軸、51…屈曲補助部、53…制御部、55…押圧部、MA…メンテナンス領域、P1…固定位置、P2…解除位置、P3…記録位置、P4…退避位置。
図1
図2
図3
図4
図5