IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

特開2024-126746画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法
<>
  • 特開-画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法 図1
  • 特開-画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法 図2
  • 特開-画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法 図3
  • 特開-画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法 図4
  • 特開-画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法 図5
  • 特開-画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法 図6
  • 特開-画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法 図7
  • 特開-画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法 図8
  • 特開-画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法 図9
  • 特開-画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法 図10
  • 特開-画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126746
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240912BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240912BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H04N1/00 Z
G03G21/00 388
B41J29/38 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035342
(22)【出願日】2023-03-08
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLU―RAY DISC
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】片田 寿治
(72)【発明者】
【氏名】向山 学
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061HK05
2C061HK19
2C061HN04
2C061HN08
2C061HN15
2C061HV01
2C061HV37
2C061HV46
2C061HV53
2C061HV60
2H270LA75
2H270LA98
2H270MF10
2H270MF11
2H270MF14
2H270NE03
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB46
5C062AC22
5C062AC58
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】エラーが発生しても、早期に復旧させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】プロセッサー170と、プロセッサー170が実行するプログラムと、複合機100の設定データと、を記憶する不揮発性メモリー163と、バックアッププログラム及びバックアップデータを記憶する補助記憶装置165と、を備え、プロセッサー170は、複合機100で発生するエラーが検出され、かつ、プロセッサー170が、予め設定されたエラーをしきい値以上検出した場合に、複合機100が安定した稼働状態にないと判定し、不揮発性メモリー163が記憶するプログラム及び設定データを、補助記憶装置165が記憶するバックアッププログラム及びバックアップデータに書き換え、書き換えたバックアッププログラム及びバックアップデータを実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
プロセッサーと、
前記プロセッサーが実行するプログラムと、前記画像形成装置に設定される設定データと、を記憶する第1記憶部と、
前記プログラム及び前記設定データのバックアップとして、バックアッププログラム及びバックアップデータを記憶する第2記憶部と、を備え、
前記プロセッサーは、
前記画像形成装置内で発生するエラーが検出され、かつ、前記プロセッサーが、予め設定されたエラーをしきい値以上検出した場合に、前記画像形成装置が安定した稼働状態にないと判定し、
前記第1記憶部が記憶する前記プログラム及び前記設定データを、前記第2記憶部が記憶する前記バックアッププログラム及び前記バックアップデータに書き換え、書き換えた前記バックアッププログラム及び前記バックアップデータを実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記プロセッサーは、
複数検出したエラーの種別を判定し、前記複数検出したエラーの種別に基づいて、前記複数検出したエラーが致命的なエラーである第1エラーであるか、致命的ではないエラーである第2エラーであるかを判定し、
前記予め設定されたエラーである前記第1エラーの発生回数が前記しきい値以上である場合に、前記画像形成装置が安定した稼働状態にないと判定する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロセッサーは、
複数検出したエラーの種別を判定し、前記複数検出したエラーの種別に基づいて、前記複数検出したエラーが致命的なエラーである第1エラーであるか、致命的ではないエラーである第2エラーであるかを判定し、
前記予め設定されたエラーである前記第1エラーの発生回数、前記画像形成装置の電源が強制的にオフされたオフ回数、及び、商用電源から供給される電力が遮断された遮断回数と、前記第2エラーの発生回数と、を前記画像形成装置の動作状態ごとに計数し、
前記画像形成装置の動作状態ごとに計数した前記第1エラーと、前記第2エラーと、前記オフ回数と、前記遮断回数と、の和が、前記しきい値以上である場合に、前記画像形成装置が安定した稼働状態にないと判定する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセッサーは、
前記プログラムをアップデートする場合に、アップデート前の前記プログラムを前記バックアッププログラムとして前記第2記憶部に記憶させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセッサーは、
前記画像形成装置が備える印刷部にインクが最初に充填されるとき、前記画像形成装置の状態がアイドル状態であるとき、前記画像形成装置が備える機能の実行後、前記画像形成装置の電源をオフする操作の入力後、の少なくとも1つのタイミングで、前記第1記憶部が記憶する前記設定データを、前記バックアップデータとして前記第2記憶部に記憶する、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2記憶部は、
前記バックアッププログラム及び前記バックアップデータを複数セット記憶し、
前記プロセッサーは、
前記プログラムを実行し、前記設定データの設定に従って動作しているときに、
前記画像形成装置が複数備える機能ごとの実行回数と、エラーの検出回数と、前記画像形成装置の電源が強制的にオフされたオフ回数と、商用電源から供給される電力が遮断された遮断回数と、を登録した第1テーブルと、
前記画像形成装置が備える機能ごとのエラーの検出回数と、検出したエラーの種別を示すエラーコードと、を対応づけて登録した第2テーブルと、生成し、
前記プログラムを前記バックアッププログラムとして前記第2記憶部に記憶させるときに、前記第1テーブル及び前記第2テーブルに、前記プログラム及び前記設定データの識別情報を対応づけて前記第2記憶部に記憶させる、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記プロセッサーは、
前記第2テーブルを参照して、前記エラーコードに基づいて、致命的と判定される第1エラーと、致命的ではないと判定される第2エラーと、を判定し、
前記画像形成装置が備える複数の機能ごとに前記第1エラーの数と、前記第2エラーの数と、をそれぞれ取得し、
前記第1テーブルを参照して、前記画像形成装置の電源が強制的にオフされたオフ回数と、商用電源から供給される電力が遮断された遮断回数とを、前記画像形成装置が備える複数の機能ごとに取得し、
取得した前記第1エラーと、前記第2エラーと、前記オフ回数と、前記遮断回数と、の和を前記機能ごとに算出し、
前記機能ごとに算出した前記和の総和が最も小さい前記第1テーブルに対応づけられた識別情報が示す前記プログラム及び前記設定データを、前記第1記憶部が記憶するプログラム及び前記設定データの書き換えに使用する前記バックアッププログラム及びバックアップデータとして選択する、請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記プロセッサーは、
前記第2記憶部の容量が上限を超える場合、
前記機能ごとに算出した前記和の総和が最も大きい前記第1テーブル及び前記第2テーブルを、前記第2記憶部から消去する、請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記設定データには、前記画像形成装置の製造時に設定される前記画像形成装置に固有のデータと、ユーザーにより設定されたデータとが含まれる、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
プロセッサーと、
前記プロセッサーが実行するプログラムと、設定データと、を記憶する第1記憶部と、
前記プログラム及び前記設定データのバックアップとして、バックアッププログラム及びバックアップデータを記憶する第2記憶部と、を備える画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置内で発生するエラーが検出され、かつ、前記プロセッサーが、予め設定されたエラーをしきい値以上検出したか否かを判定するステップと、
前記画像形成装置内で発生するエラーが検出され、かつ、前記プロセッサーが、予め設定されたエラーをしきい値以上検出したと判定される場合に、前記第1記憶部が記憶する前記プログラム及び前記設定データを、前記第2記憶部が記憶する前記バックアッププログラム及び前記バックアップデータに書き換え、書き換えた前記バックアッププログラム及び前記バックアップデータを実行するステップと、
を備える画像形成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、記憶手段と、エラーモード選択手段と、エラー発生手段と、復旧操作手順報知手段と、メッセージ表示手段と、を備える画像形成装置を開示する。
記憶手段は、複数のエラーモードの情報を格納する。エラーモード選択手段は、複数のエラーモードの中から1つのエラーモードを選択する。エラー発生手段は、選択されたエラーモードに対応するエラーを発生させる。復旧操作手順報知手段は、選択されたエラーモードに対応した復旧操作手順を報知する。メッセージ表示手段は、画像形成装置の装置状態に基づいてメッセージを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-024952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像形成装置にエラーが発生した場合、サービスマンを画像形成装置の設置場所まで派遣し、サービスマンの作業により画像形成装置のエラーを復旧させることになるが、エラーの復旧までに時間を要するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、画像形成装置であって、プロセッサーと、前記プロセッサーが実行するプログラムと、前記画像形成装置に設定される設定データと、を記憶する第1記憶部と、前記プログラム及び前記設定データのバックアップとして、バックアッププログラム及びバックアップデータを記憶する第2記憶部と、を備え、前記プロセッサーは、前記画像形成装置内で発生するエラーが検出され、かつ、前記プロセッサーが、予め設定されたエラーをしきい値以上検出した場合に、前記画像形成装置が安定した稼働状態にないと判定し、前記第1記憶部が記憶する前記プログラム及び前記設定データを、前記第2記憶部が記憶する前記バックアッププログラム及び前記バックアップデータに書き換え、書き換えた前記バックアッププログラム及び前記バックアップデータを実行する、画像形成装置である。
【0006】
本開示は、プロセッサーと、前記プロセッサーが実行するプログラムと、設定データと、を記憶する第1記憶部と、前記プログラム及び前記設定データのバックアップとして、バックアッププログラム及びバックアップデータを記憶する第2記憶部と、を備える画像形成装置の制御方法であって、前記画像形成装置内で発生するエラーが検出され、かつ、前記プロセッサーが、予め設定されたエラーをしきい値以上検出したか否かを判定するステップと、前記画像形成装置内で発生するエラーが検出され、かつ、前記プロセッサーが、予め設定されたエラーをしきい値以上検出したと判定される場合に、前記第1記憶部が記憶する前記プログラム及び前記設定データを、前記第2記憶部が記憶する前記バックアッププログラム及び前記バックアップデータに書き換え、書き換えた前記バックアッププログラム及び前記バックアップデータを実行するステップと、を備える画像形成装置の制御方法である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】複合機の構成を示すブロック図。
図2】第1評価テーブルの構成の一例を示す図。
図3】第1評価テーブルの構成の一例を示す図。
図4】第1エラーコードテーブルの構成の一例を示す図。
図5】第1エラーコードテーブルの構成の一例を示す図。
図6】ファームウェアをバックアップする動作を示すフローチャート。
図7】設定データをバックアップする第1動作を示すフローチャート。
図8】設定データをバックアップする第2動作を示すフローチャート。
図9】設定データをバックアップする第3動作を示すフローチャート。
図10】設定データをバックアップする第4動作を示すフローチャート。
図11】復旧処理の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。
【0009】
[1.複合機の構成]
図1は、複合機100の構成を示すブロック図である。複合機100は、画像形成装置に相当する。
複合機100は、通信インターフェース110、入出力インターフェース120、操作部121、表示部123、デバイスインターフェース130、プリンターユニット131、スキャナー133、FAXユニット135、主電源140、電源制御部145及び制御部150を備える。以下、インターフェースをI/Fと略記する。
【0010】
通信I/F110、入出力I/F120、デバイスI/F130、電源制御部145及び制御部150は、バス105を介して相互にデータ通信可能に接続される。
【0011】
通信I/F110は、コネクター及びインターフェース回路を備え、ネットワーク50に有線接続される。通信I/F110は、例えば、NIC(Network Interface Card)を備える。本実施形態では、通信I/F110が有線によりネットワーク50に接続される形態について説明するが、通信I/Fのネットワーク50への接続形態は、無線であってもよい。
【0012】
入出力I/F120は、例えば、USB(Universal Serial Bus)等の規格に対応したインターフェースであり、コネクター及びインターフェース回路を備える。入出力I/F120には、操作部121及び表示部123が接続される。
【0013】
操作部121は、例えば、テンキーや十字キー、電源ボタンの操作キーやボタンを備え、操作されたキー又はボタンに対応した操作信号を制御部150に出力する。
【0014】
表示部123は、液晶パネルや有機EL(Electro-Luminescence)パネル等の表示パネルを備え、制御部150の制御に従って、表示パネルに画像や文字等を表示させる。
【0015】
デバイスI/F130は、プリンターユニット131やスキャナー133、FAXユニット135等のデバイスを接続する接続用のインターフェース回路である。
【0016】
プリンターユニット131は、例えば、インクを収容するインクカートリッジと、インクカートリッジから供給されるインクをシートに吐出するヘッドと、を備える。インクカートリッジ及びヘッドの図示は省略する。プリンターユニット131は、制御部150の制御に従い、インクジェット方式によりシートに画像を印刷する。プリンターユニット131は、インクジェット方式で印刷を行う構成に限らず、電子写真方式で印刷を行う構成でもよい。
【0017】
スキャナー133は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを取得する。スキャナー133は、読み取った画像データを制御部150に出力する。
【0018】
FAXユニット135は、CODEC(Coder/Decoder)、MODEM(Modulator/Demodulator)及びNCU(Network Control Unit)を備える。CODEC、MODEM及びNCUの図示は省略する。
CODECは、記憶部160が記憶する二値化データをMH/MR/MMR/JBIG/JPEG等の圧縮方式で圧縮してコードデータを生成する。また、CODECは、MODEMによって復調されたコードデータを画像データに伸長する。
【0019】
MODEMは、ITU勧告に従ったファクシミリ通信の手順に従い、記憶部160から読み出したコードデータをアナログの音声信号に変調する機能を備える。また、MODEMは、公衆電話回線網からNCUを介して受信したアナログの音声信号をデジタルのコードデータに復調する機能を備える。
NCUは、公衆電話回線網との接続を制御し、相手先のFAX番号に対応したダイアル信号の送出及び着信を検出する。
【0020】
主電源140は、不図示のインレットを備え、商用電源から電力の供給を受ける。主電源140のインレットには、電源ケーブルのインレットプラグが着脱可能に接続される。主電源140のインレットに電源ケーブルのインレットプラグが装着され、当該電源ケーブルの他端のアウトレットプラグが商用電源のアウトレットに接続されると、主電源140は商用電源から電力の供給を受けることができる。
【0021】
電源制御部145は、AC/DCコンバータやAC/ACコンバータを備え、商用電源から供給される交流電力から各部の動作に適した直流電力や交流電力を生成し、複合機100の各部に電力を供給する。また、電源制御部145は、複合機100の各部への電力の供給と電力の遮断を切り替える制御を行う。
また、電源制御部145は、主電源140のインレットが、電源ケーブルのインレットプラグから抜かれたり、電源ケーブルの他端のアウトレットプラグが商用電源のアウトレットから抜かれたりすると、制御部150に所定の信号を出力する。
【0022】
制御部150は、記憶部160と、プロセッサー170と、を備えるコンピューター装置である。
【0023】
記憶部160は、揮発性メモリー161、不揮発性メモリー163及び補助記憶装置165を備える。不揮発性メモリー163は、第1記憶部に相当し、補助記憶装置165は、第2記憶部に相当する。
【0024】
揮発性メモリー161は、例えば、RAM(Random Access Memory)により構成される。プロセッサー170は、不揮発性メモリー163が記憶するファームウェアを読み出して揮発性メモリー161に展開する。プロセッサー170は、揮発性メモリー161に展開したファームウェアを実行して、各種処理を実行する。
【0025】
不揮発性メモリー163は、例えば、ROMやフラッシュメモリー、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等により構成される。不揮発性メモリー163は、プロセッサー170が実行するファームウェアや設定データを記憶する。設定データには、第1設定でデータと、第2設定データとが含まれる。第1設定データは、複合機100を提供するメーカーによって、複合機100の製造時に設定されるデータである。第1設定データは、複合機100の製造時に、各複合機100の固有のばらつきを調整するデータである。第2設定データは、ユーザーが操作部121を操作して設定したデータである。以下、第1設定データ及び第2設定データを総称する場合、設定データという。
【0026】
図2及び図3は、第1評価テーブル200Aの構成の一例を示す図である。第1評価テーブル200Aは、第1テーブルに相当する。
不揮発性メモリー163は、複数の第1評価テーブル200Aと、後述する複数の第1エラーコードテーブル300Aと、を記憶する。
第1評価テーブル200Aは、ファームウェアがインストールされた複合機100が、安定して動作しているか否かを評価するデータを登録したテーブルである。
また、第1評価テーブル200Aは、設定データの設定に従って動作する複合機100が、安定して動作するか否かを評価するデータを登録したテーブルである。
【0027】
複数の第1評価テーブル200Aの各々には、属性情報210がそれぞれ対応づけられている。この属性情報210は、第1評価テーブル200Aとともに不揮発性メモリー163に記憶される。
属性情報210には、種別情報211と、バージョン情報213とが含まれる。種別情報211は、対応づけられた第1評価テーブル200Aが、ファームウェアに関するデータを登録したテーブルであるのか、設定データに関するデータを登録したテーブルであるのかを示す情報である。バージョン情報213は、ファームウェア又は設定データのバージョンを示す情報である。図2は、種別情報211が、ファームウェアである場合の第1評価テーブル200Aを示し、図3は、種別情報211が、設定データである場合の第1評価テーブル200Aを示す。
【0028】
第1評価テーブル200Aの1レコードには、複合機100の状態を示す情報が登録される。複合機100の状態を示す情報には、PC(Personal Computer)印刷221、コピー222、FAX223、Scan To Folder224、アイドル状態225等が含まれる。つまり、複合機100の状態が、PC印刷221や、コピー222、FAX223、Scan To Folder224の機能を実行している状態にあることを示す。
また、第1評価テーブル200Aのカラムには、回数情報が登録される。回数情報には、機能実行回数231、エラー発生回数232、強制電源OFF回数233及びプラグ抜き回数234が含まれる。
【0029】
PC印刷221は、PCから受信した印刷データに基づく画像をシートに印刷する機能である。
Scan To Folder224は、スキャナー133により読み取った画像データを、指定されたフォルダーに保存する機能である。
アイドル状態225とは、複合機100がPC印刷やコピー等の処理を実行しておらず、処理の開始指示を待機する状態である。
また、機能実行回数231は、PC印刷、コピー、FAX及びScan To Folderの各処理を実行した回数である。
エラー発生回数232は、PC印刷、コピー、FAX及びScan To Folderの各処理を実行中に発生したエラーの回数である。
強制電源OFF回数233は、PC印刷、コピー、FAX及びScan To Folderの各処理を実行中に、複合機100の電源が強制的にOFFされた回数である。
プラグ抜き回数234は、PC印刷、コピー、FAX及びScan To Folderの各処理を実行中に、主電源140のインレットが、電源ケーブルのインレットプラグから抜かれた回数である。また、プラグ抜き回数234は、電源ケーブルの他端のアウトレットプラグが商用電源のアウトレットから抜かれた回数である。
【0030】
図4及び図5は、第1エラーコードテーブル300Aの構成の一例を示す図である。第1エラーコードテーブル300Aは、第2テーブルに相当する。
図4は、種別情報211が、ファームウェアである場合の第1エラーコードテーブル300Aを示し、図5は、種別情報211が、設定データである場合の第1エラーコードテーブル300Aを示す。
第1エラーコードテーブル300Aは、ファームウェアがインストールされた複合機100に発生するエラーを示すエラーコードを登録したテーブルである。
また、第1エラーコードテーブル300Aは、複合機100が、設定データの設定に従って動作する複合機100に発生するエラーを示すエラーコードを登録したテーブルである。
【0031】
複数の第1エラーコードテーブル300Aの各々にも、属性情報310がそれぞれ対応づけられている。この属性情報310には、種別情報311と、バージョン情報313とが含まれる。
【0032】
第1エラーコードテーブル300Aのレコードには、複合機100の状態を示す情報が登録される。複合機100の状態を示す情報には、PC印刷321、コピー322、FAX323、Scan To Folder324、アイドル状態325等が含まれる。
また、第1エラーコードテーブル300Aのカラムには、検出されたエラーコード330が登録される。
【0033】
補助記憶装置165は、例えば、USBメモリーや、SDカード、SSD(Solid State Drive)、HHD(Hard Disk Drive)等の記憶装置である。
【0034】
補助記憶装置165は、バックアッププログラム及びバックアップデータを記憶する。バックアッププログラムは、不揮発性メモリー163が記憶するファームウェアのバックアップである。バックアップデータは、設定データのバックアップである。
【0035】
また、補助記憶装置165は、複数の第2評価テーブル200Bと、複数の第2エラーコードテーブル300Bと、を記憶する。第2評価テーブル200B及び第2エラーコードテーブル300Bの図示は省略する。補助記憶装置165は、属性情報210が示す種別及びバージョンに対応して第2評価テーブル200B及び第2エラーコードテーブル300Bを複数、記憶する。
【0036】
第2評価テーブル200Bは、図2及び図3に示す第1評価テーブル200Aの構成に、バックアッププログラム又はバックアップデータを追加で登録したテーブルである。
例えば、種別情報211がファームウェアを示す場合、第2評価テーブル200Bには、バージョン情報213が示すバージョンのファームウェアが、バックアッププログラムとして登録される。
また、種別情報211が設定データを示す場合、第2評価テーブル200Bには、バージョン情報213が示すバージョンの設定データが、バックアップデータとして登録される。
また、種別情報211が設定データである第2評価テーブル200Bには、セット情報が登録される。セット情報とは、種別情報211が示す設定データが複合機100に使用されていたときに、複合機100にインストールされていたファームウェアを示す情報である。すなわち、複合機100で、設定データとともにセットで使用されていたファームウェアを示す情報である。
【0037】
また、第2エラーコードテーブル300Bの構成は、図4及び図5に示す第1エラーコードテーブル300Aの構成と同一である。
【0038】
プロセッサー170は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)等のプロセッサーを備える演算処理装置である。プロセッサー170は、単一のプロセッサーにより構成してもよいし、複数のプロセッサーにより構成することも可能である。また、プロセッサー170は、記憶部160の一部又は全部や、その他の回路と統合されたSoC(System-on-a-chip)により構成してもよい。また、プロセッサー170は、プログラムを実行するCPUと、所定の演算処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)との組合せにより構成してもよい。さらに、プロセッサー170は、プロセッサー170の機能の全てをハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。
【0039】
制御部150は、機能ブロックとして、エラー検出部171、バックアップ部173及び復旧部175を備える。これらの機能ブロックは、プロセッサー170がファームウェアに従った演算を行うことで実現される機能である。
【0040】
エラー検出部171は、複合機100に発生するエラーを検出する。
エラー検出部171は、複合機100に搭載された各種センサーから入力されるセンサー値に基づいて、複合機100に発生したエラーを検出する。各種センサーの図示は省略する。
エラー検出部171が検出するエラーには、ユーザーが操作部121の電源ボタンを長押しする強制電源OFFが含まれる。エラー検出部171は、操作部121の電源ボタンの長押し操作を検出することで、強制電源OFFを検出する。また、エラー検出部171が検出するエラーには、複合機100の電源がOFFされる前に、ユーザーが、電源ケーブルのインレットプラグを主電源140のインレットから抜くプラグ抜き等が含まれる。エラー検出部171は、電源制御部145から入力される所定の信号に基づき、プラグ抜きを検出する。
また、エラー検出部171が検出するエラーには、メモリリークの発生が含まれる。メモリリークは、複合機100の状態がアイドル状態であるときに、解放されない揮発性メモリー161が残っていたり、増加していったりする現象である。
【0041】
バックアップ部173は、不揮発性メモリー163が記憶するファームウェアや設定データを、バックアッププログラム及びバックアップデータとして補助記憶装置165に記憶させる。
バックアップ部173は、ファームウェアがアップデートされるタイミングで、第1評価テーブル200Aに、第1評価テーブル200Aに対応づけた属性情報210が示すファームウェアをバックアッププログラムとして登録し、第2評価テーブル200Bを生成する。バックアップ部173は、生成した第2評価テーブル200Bを補助記憶装置165に記憶させる。
【0042】
また、バックアップ部173は、予め設定されたタイミングで、第1評価テーブル200Aに、第1評価テーブル200Aに対応づけた属性情報210が示す設定データをバックアップデータとして登録し、第2評価テーブル200Bを生成する。バックアップ部173は、生成した第2評価テーブル200Bを補助記憶装置165に記憶させる。
【0043】
予め設定されたタイミングには、例えば、ユーザーにより設定された日時や、インクの初期充填後、複合機100の電源をOFFする操作が操作部121から入力されたとき、PC印刷やコピー等の処理の実行後、アイドル状態のとき等が含まれる。インクの初期充填後とは、複合機100にインクカートリッジがセットされ、セットされたインクカートリッジのインクをキャビティに充填した後である。また、プリンターユニット131が電子写真方式である場合、インクの初期充填後とは、トナーカートリッジやインクリボンカートリッジを複合機100にセットした後である。また、複合機100の電源がOFFされたタイミングには、複合機100の電源ボタンが長押しされ、複合機100の電源が強制的にOFFされた場合が含まれる。また、複合機100の電源がOFFされたタイミングには、電源ケーブルのインレットプラグが主電源140のインレットから抜かれたタイミングや、電源ケーブルの他端のアウトレットプラグが商用電源のアウトレットから抜かれたタイミングが含まれる。
【0044】
なお、予め設定された日時等にバックアップを行う場合、設定データが更新されていないと、属性情報210が示す属性が同一の第2評価テーブル200Bが複数、補助記憶装置165に登録されることになる。この場合、バックアップ部173は、属性情報210を参照して、属性情報210が同一の第2評価テーブル200Bに登録されたデータを1つに統合する処理を行う。
【0045】
また、バックアップ部173は、第2評価テーブル200Bを補助記憶装置165に記憶させたタイミングで、第1エラーコードテーブル300Aを、第2エラーコードテーブル300Bとして補助記憶装置165に記憶させる。
【0046】
復旧部175は、予め設定された条件が成立すると、不揮発性メモリー163が記憶するファームウェア及び設定データを、バックアッププログラム及びバックアップデータにより書き換えて複合機100のシステムを復旧させる。
予め設定された条件は、エラー検出部171がエラーを検出したこと、安定稼働スコアの値がしきい値以上であること、との2つの要件が成立することである。
【0047】
復旧部175は、エラー検出部171がエラーを検出すると、安定稼働スコアを算出する。復旧部175は、図2に示す第1評価テーブル200Aに登録されたデータと、図4に示す第1エラーコードテーブル300Aに登録されたデータと、を用いて、以下に示す式(1)により安定稼働スコアを算出する。
安定稼働スコア=Σ機能実行回数×(第1エラーの発生回数+w第2エラーの発生回数+強制電源OFF回数+プラグ抜き回数)・・・(1)
式(1)に示す記号Σは、機能実行回数×(第1エラーの発生回数+w第2エラーの発生回数+強制電源OFF回数+プラグ抜き回数)の値を複合機100が備える機能ごとに算出し、機能ごとに算出した値の和を求めることを意味する。
また、第1エラーとは、発生したエラーが致命的であることを示し、第2エラーは、発生したエラーが致命的ではないことを示す。エラーが致命的なエラーであるか、致命的ではないエラーであるかの判定は、エラーコードに基づいて事前に決定されている。
また、式(1)に示す記号wは、複合機100の機種ごとに設定される重み付け係数である。重み付け係数wの値は、複合機100が備える機能、エラーの発生状況、過去の同一機種におけるエラーの発生状況等から決定される。
【0048】
また、復旧部175は、式(1)により算出した安定稼働スコアが、しきい値以上である場合、不揮発性メモリー163が記憶するファームウェア及び設定データを、バックアッププログラム及びバックアップデータにより書き換えて復旧させる。
補助記憶装置165は、バージョン情報213が示すバージョンが異なる複数のバックアッププログラム及びバックアップデータを記憶する。復旧部175は、これら複数のバックアッププログラム及びバックアップデータのなかから、ファームウェア及び設定データの復旧に適したバックアッププログラム及びバックアップデータをまず選択する。
【0049】
復旧部175は、補助記憶装置165が記憶する複数の第2評価テーブル200B及び第2エラーコードテーブル300Bに登録されたデータを用いて、上述した式(1)により安定稼働スコアをそれぞれ算出する。
安定稼働スコアの算出に使用する第2評価テーブル200Bのデータは、属性情報210がファームウェアである第2評価テーブル200Bに登録されたデータだけを用いて安定稼働スコアを算出してもよい。
また、安定稼働スコアの算出に使用する第2評価テーブル200Bのデータは、セット情報によりセットに設定されたファームウェア及び設定データの第2評価テーブル200Bに登録されたデータを用いて安定稼働スコアを算出してもよい。つまり、属性情報210がファームウェアである第2評価テーブル200Bに登録されたデータと、属性情報210が設定データである第2評価テーブル200Bに登録されたデータと、で安定稼働スコアをそれぞれ算出する。この場合、2つ算出した安定稼働スコアの平均値を安定稼働スコアとして使用する。
【0050】
復旧部175は、安定稼働スコアの値が最も低い第2評価テーブル200Bを選択する。ここで選択される第2評価テーブル200Bは、属性情報210がファームウェアの第2評価テーブル200Bと、属性情報210が設定データの第2評価テーブル200Bとの両方が選択される。例えば、上述した安定稼働スコアを、属性情報210がファームウェアの第2評価テーブル200Bに登録されたデータだけを用いて算出したと仮定する。この場合、セット情報により、この属性情報210がファームウェアの第2評価テーブル200Bとセットにされた、属性情報210が設定データの第2評価テーブル200Bを選択する。
【0051】
次に、復旧部175は、属性情報210がファームウェア及び設定データの第2評価テーブル200Bを選択すると、これらの第2評価テーブル200Bに登録されたバックアッププログラム及びバックアップデータを取得する。復旧部175は、不揮発性メモリー163が記憶するファームウェア及び設定データを、取得したバックアッププログラム及びバックアップデータにより書き換えてシステムを復旧させる。
【0052】
上述の説明では、式(1)に示す安定稼働スコアにより複合機100が安定した稼働状態にあるか否かを判定した。
これ以外の複合機100の状態の判定方法として、予め設定されたエラーである第1エラーの発生数を複合機100が備える機能ごとに算出し、機能ごとに算出した第1エラーの発生数の和に基づき、複合機100が安定稼働状態にあるか否かを判定してもよい。
制御部150は、機能ごとに算出した第1エラーの発生数の和が、しきい値以上である場合、複合機100は、安定稼働状態にはないと判定する。この場合に、制御部150は、バックアッププログラム及びバックアップデータにより、不揮発性メモリー163が記憶するファームウェア及び設定データを書き換える。
予め設定されたエラーである第1エラーには、エラーコードに基づいて設定されたエラーや、複合機100の電源を強制電源OFFにしたエラー、電源ケーブルのインレットプラグが主電源140のインレットから抜かれるエラー等が含まれる。
【0053】
また、制御部150は、バックアッププログラム及びバックアップデータが登録された第2評価テーブル200Bを補助記憶装置165に記憶させるときに、補助記憶装置165の記憶容量を超えるか否かを判定する。制御部150は、補助記憶装置165の記憶容量を超えると判定した場合、復旧部175が算出した安定稼働スコアの値が最も大きい第2評価テーブル200Bを選択し、選択した第2評価テーブル200Bを補助記憶装置165から削除する。
【0054】
[3.複合機の動作]
図6は、ファームウェアをバックアップするときの制御部150の動作を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートを参照しながらファームウェアをバックアップするときの制御部150の動作について説明する。
制御部150は、まず、ファームウェアの更新要求が入力されたか否かを判定する(ステップS1)。ファームウェアの更新要求は、例えば、通信I/F110から入力される。通信I/F110は、例えば、ネットワーク50に接続されたサーバー装置からファームウェアの更新要求を受信し、受信したファームウェアの更新要求を制御部150に出力する。
【0055】
制御部150は、ファームウェアの更新要求が入力されていない場合(ステップS1/NO)、ファームウェアの更新要求が入力されるまで待機する。
制御部150は、ファームウェアの更新要求が入力されると(ステップS1/YES)、ファームウェアを、バックアッププログラムとして補助記憶装置165に記憶させる(ステップS2)。制御部150は、第1評価テーブル200Aに、第1評価テーブル200Aに対応づけた属性情報210が示すファームウェアをバックアッププログラムとして登録し、第2評価テーブル200Bを生成する。制御部150は、生成した第2評価テーブル200Bを補助記憶装置165に記憶させる。
【0056】
その後、制御部150は、サーバー装置から送信されるファームウェアを受信し、受信したファームウェアを不揮発性メモリー163に記憶させて、ファームウェアのアップデートを行う(ステップS3)。
【0057】
図7は、設定データをバックアップする制御部150の第1動作を示すフローチャートである。図7を参照しながら設定データをバックアップする第1動作について説明する。
まず、制御部150は、予め設定された設定時間となったか否かを判定する(ステップS11)。制御部150は、予め設定された設定時間ではない場合(ステップS11/NO)、ステップS11の判定に戻る。
【0058】
また、制御部150は、予め設定された設定時間になったと判定すると(ステップS11/YES)、設定データを、バックアップデータとして補助記憶装置165に記憶させる(ステップS12)。制御部150は、第1評価テーブル200Aに、第1評価テーブル200Aに対応づけた属性情報210が示す設定データをバックアップデータとして登録し、第2評価テーブル200Bを生成する。制御部150は、生成した第2評価テーブル200Bを補助記憶装置165に記憶させる。
【0059】
図8は、設定データをバックアップする制御部150の第2動作を示すフローチャートである。図8を参照しながら設定データをバックアップする第2動作について説明する。
制御部150は、まず、複合機100の購入後に、最初にインクカートリッジにインクを充填させる初期充填が開始されたか否かを判定する(ステップS21)。制御部150は、インクの初期充填が開始されていない場合(ステップS21/NO)、初期充填が開始されるまで待機する。
【0060】
制御部150は、インクの初期充填が開始されると(ステップS21/YES)、インクカートリッジへのインクの充填が完了したか否かを判定する(ステップS22)。制御部150は、インクカートリッジへのインクの充填が完了していない場合(ステップS22/NO)、インクの充填が完了するまで待機する。
【0061】
インクカートリッジへのインクの充填が完了すると(ステップS22/YES)、制御部150は、設定データを、バックアップデータとして補助記憶装置165に記憶させる(ステップS23)。制御部150は、第1評価テーブル200Aに、第1評価テーブル200Aに対応づけた属性情報210が示す設定データをバックアップデータとして登録し、第2評価テーブル200Bを生成する。制御部150は、生成した第2評価テーブル200Bを補助記憶装置165に記憶させる。
【0062】
その後、制御部150は、セットアップ処理を実行する(ステップS24)。セットアップ処理とは、工場出荷時にプリンタに装着されている保護材を取り外し、インクカートリッジ等のオプションデバイスを複合機100に取り付け、複合機100ホストに接続し、さらに複合機100の印刷画像の調整を行う処理のことをいう。
【0063】
図9は、設定データをバックアップする制御部150の第3動作を示すフローチャートである。図9を参照しながら設定データをバックアップする第3動作について説明する。
制御部150は、電源が強制的にOFFされたか否か、又は、プラグが抜かれたか否かを判定する(ステップS31)。制御部150は、操作部121から入力される信号により、電源ボタンが長押しされているか否かを判定し、電源が強制的にOFFされたか否かを判定する。また、制御部150は、電源制御部145から入力される信号に基づき、プラグが抜かれたか否かを判定する。
【0064】
制御部150は、電源が強制的にOFFされたていない、かつ、プラグが抜かれていない場合(ステップS31/NO)、ステップS31の判定に戻る。
また、制御部150は、電源が強制的にOFFされた、又は、プラグが抜かれたとは判定すると(ステップS31/YES)、設定データを、バックアップデータとして補助記憶装置165に記憶させる(ステップS32)。制御部150は、第1評価テーブル200Aに、第1評価テーブル200Aに対応づけた属性情報210が示す設定データをバックアップデータとして登録し、第2評価テーブル200Bを生成する。制御部150は、生成した第2評価テーブル200Bを補助記憶装置165に記憶させる。
【0065】
図10は、設定データをバックアップする制御部150の第4動作を示すフローチャートである。図10を参照しながら設定データをバックアップする第4動作について説明する。
制御部150は、まず、複合機100が備えるプリンターユニット131やスキャナー133等の機能部に、処理の実行を指示したか否かを判定する(ステップS41)。処理には、例えば、印刷処理や、画像の読取り処理等が含まれる。
制御部150は、処理の実行を指示していない場合(ステップS41/NO)、処理の開始を指示するまで待機する。
【0066】
制御部150は、処理の開始を指示すると(ステップS41/YES)、開始を指示した処理が終了したか否かを判定する(ステップS42)。制御部150は、処理が終了していない場合(ステップS42/NO)、処理が終了するまで待機する。また、制御部150は、処理が終了すると(ステップS42/YES)、設定データを、バックアップデータとして補助記憶装置165に記憶させる(ステップS43)。制御部150は、第1評価テーブル200Aに、第1評価テーブル200Aに対応づけた属性情報210が示す設定データをバックアップデータとして登録し、第2評価テーブル200Bを生成する。制御部150は、生成した第2評価テーブル200Bを補助記憶装置165に記憶させる。
【0067】
図11は、不揮発性メモリー163が記憶するファームウェア及び設定データを、補助記憶装置165が記憶するバックアップログラム及びバックアップデータにより復旧する復旧処理の動作を示すフローチャートである。図11に示すフローチャートを参照しながら復旧処理時の制御部150の動作について説明する。
まず、制御部150は、操作部121が受け付けた操作に基づき、複合機100が備える機能部に、処理の実行を指示する(ステップS51)。
【0068】
次に、制御部150は、エラーを検出したか否かを判定する(ステップS52)。制御部150は、エラーを検出していない場合(ステップS52/NO)、ステップS51で実行を指示した処理が終了したか否かを判定する(ステップS53)。
【0069】
制御部150は、処理が終了していない場合(ステップS53/NO)、ステップS52に戻る。また、制御部150は、処理が終了すると(ステップS53/YES)、この処理フローを終了させる。
【0070】
制御部150は、エラーを検出した場合(ステップS52/YES)、検出したエラーのエラーコードと、エラーが検出された複合機100の機能とを取得する。制御部150は、取得したエラーのエラーコードと、エラーが検出された複合機100の機能とをエラーログとして図4に示す第1エラーコードテーブル300Aに登録する(ステップS54)。
【0071】
次に、制御部150は、安定稼働スコアを算出する(ステップS55)。制御部150は、図2に示す第1評価テーブル200Aに登録されたデータと、図4に示す第1エラーコードテーブル300Aに登録されたデータと、を用いて、上述した式(1)により安定稼働スコアを算出する。
【0072】
次に、制御部150は、ステップS55で算出した安定稼働スコアがしきい値以上であるか否かを判定する(ステップS56)。制御部150は、ステップS55で算出した安定稼働スコアがしきい値以上ではない場合(ステップS56/NO)、この処理フローを終了する。
【0073】
また、制御部150は、ステップS55で算出した安定稼働スコアがしきい値以上である場合(ステップS56/YES)、安定稼働スコアを再度、算出する(ステップS57)。制御部150は、補助記憶装置165に複数記憶した第2評価テーブル200B及び第2エラーコードテーブル300Bのデータを用いて安定稼働スコアを複数、算出する(ステップS57)。制御部150は、属性情報210がファームウェアである第2評価テーブル200Bに登録されたデータと、属性情報210が設定データである第2評価テーブル200Bに登録されたデータと、で安定稼働スコアをそれぞれ算出する。この場合、2つ算出した安定稼働スコアの平均値を安定稼働スコアとして使用する。
【0074】
次に、制御部150は、複数算出した安定稼働スコアの値が最小であって、属性情報210がファームウェアを示す第2評価テーブル200Bと、属性情報210が設定データを示す第2評価テーブル200Bとを選択する。制御部150は、選択した第2評価テーブル200Bに登録されたバックアッププログラム及びバックアップデータを取得する(ステップS58)。制御部150は、復旧部175は、不揮発性メモリー163が記憶するファームウェア及び設定データを、取得したバックアッププログラム及びバックアップデータにより書き換えてシステムを復旧させる(ステップS59)。
【0075】
[3.他の態様]
上述した実施形態は、本発明の好適な実施の形態である。但し、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形実施が可能である。
例えば、バックアップのプログラム及びデータにより、不揮発性メモリー163が記憶するファームウェア及び設定データを書き換えても、所定時間内にエラーが複数検出される等、複合機100の動作が安定しなかった場合、以下の動作を行ってもよい。
エラーの内容、及び、サポートの案内連絡先を表示部123に表示させる。
予め設定されたメーカーのサポートデスクやサーバー装置に、メール等によりエラーの内容、及び複合機100を特定する情報を送信する。
複合機100を管理するユーザーの管理者に、メールでエラーの発生を通知する。
【0076】
例えば、図1に示した複合機100の機能部は、機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一又は複数のプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、また、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、複合機100の他の各部の具体的な細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0077】
また、図6図11に示すフローチャートの処理単位は、複合機100の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。図6図11のフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって本発明が制限されることはない。また、複合機100の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0078】
また、複合機100が備えるコンピューターにより画像形成装置の制御方法を実現する場合、コンピューターに実行させるプログラムを記録媒体、又はこのプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。記録媒体には、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM、DVD、Blu-ray Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリー、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。Blu-rayは、登録商標である。
【0079】
[4.本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
【0080】
(付記1)
画像形成装置であって、
プロセッサーと、
前記プロセッサーが実行するプログラムと、前記画像形成装置に設定される設定データと、を記憶する第1記憶部と、
前記プログラム及び前記設定データのバックアップとして、バックアッププログラム及びバックアップデータを記憶する第2記憶部と、を備え、
前記プロセッサーは、
前記画像形成装置内で発生するエラーが検出され、かつ、前記プロセッサーが、予め設定されたエラーをしきい値以上検出した場合に、前記画像形成装置が安定した稼働状態にないと判定し、
前記第1記憶部が記憶する前記プログラム及び前記設定データを、前記第2記憶部が記憶する前記バックアッププログラム及び前記バックアップデータに書き換え、書き換えた前記バックアッププログラム及び前記バックアップデータを実行する、画像形成装置。
【0081】
この構成によれば、画像形成装置内で発生するエラーが検出され、かつ、プロセッサーが、予め設定されたエラーをしきい値以上検出した場合に、画像形成装置が安定した稼働状態にないと判定する。そして、画像形成装置が安定した稼働状態にないと判定すると、第1記憶部が記憶するプログラム及び設定データを、第2記憶部が記憶するバックアッププログラム及びバックアップデータに書き換える。このため、画像形成装置を早期に使用可能な状態に復旧させることができる。
【0082】
(付記2)
前記プロセッサーは、
複数検出したエラーの種別を判定し、前記複数検出したエラーの種別に基づいて、前記複数検出したエラーが致命的なエラーである第1エラーであるか、致命的ではないエラーである第2エラーであるかを判定し、
前記予め設定されたエラーである前記第1エラーの発生回数が前記しきい値以上である場合に、前記画像形成装置が安定した稼働状態にないと判定する、付記1記載の画像形成装置。
【0083】
この構成によれば、予め設定されたエラーである第1エラーの発生回数がしきい値以上である場合に、画像形成装置が安定した稼働状態にないと判定する。これにより、画像形成装置が安定した稼働状態にないことを精度よく判定することができる。
【0084】
(付記3)
前記プロセッサーは、
複数検出したエラーの種別を判定し、前記複数検出したエラーの種別に基づいて、前記複数検出したエラーが致命的なエラーである第1エラーであるか、致命的ではないエラーである第2エラーであるかを判定し、
前記予め設定されたエラーである前記第1エラーの発生回数、前記画像形成装置の電源が強制的にオフされたオフ回数、及び、商用電源から供給される電力が遮断された遮断回数と、前記第2エラーの発生回数と、を前記画像形成装置の動作状態ごとに計数し、
前記画像形成装置の動作状態ごとに計数した前記第1エラーと、前記第2エラーと、前記オフ回数と、前記遮断回数と、の和が、前記しきい値以上である場合に、前記画像形成装置が安定した稼働状態にないと判定する、付記1記載の画像形成装置。
【0085】
この構成によれば、画像形成装置の動作状態ごとに計数した第1エラーと、第2エラーと、オフ回数と、遮断回数と、の和が、しきい値以上である場合に、画像形成装置が安定した稼働状態にないと判定する。これにより、画像形成装置が安定した稼働状態にないことを精度よく判定することができる。
【0086】
(付記4)
前記プロセッサーは、
前記プログラムをアップデートする場合に、アップデート前の前記プログラムを前記バックアッププログラムとして前記第2記憶部に記憶させる、付記1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【0087】
この構成によれば、アップデート前のプログラムが第2記憶部に記憶される。このため、アップデートにより画像形成装置の動作が不安定になっても、第2記憶部に記憶させたアップデート前のプログラムにより、画像形成装置を、アップデート前の状態に戻すことができる。
【0088】
(付記5)
前記プロセッサーは、
前記画像形成装置が備える印刷部にインクが最初に充填されるとき、前記画像形成装置の状態がアイドル状態であるとき、前記画像形成装置が備える機能の実行後、前記画像形成装置の電源をオフする操作の入力後、の少なくとも1つのタイミングで、前記第1記憶部が記憶する前記設定データを、前記バックアップデータとして前記第2記憶部に記憶する、付記1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【0089】
この構成によれば、印刷部にインクが最初に充填されるとき、画像形成装置がアイドル状態であるとき、画像形成装置が備える機能の実行後、画像形成装置の電源をオフする操作の入力後、の少なくとも1つのタイミングで、設定データが第2記憶部に記憶される。このため、画像形成装置の動作が不安定になっても、第2記憶部に記憶させたバックアップデータにより、画像形成装置を、元に状態に戻すことができる。
【0090】
(付記6)
前記第2記憶部は、
前記バックアッププログラム及び前記バックアップデータを複数セット記憶し、
前記プロセッサーは、
前記プログラムを実行し、前記設定データの設定に従って動作しているときに、
前記画像形成装置が複数備える機能ごとの実行回数と、エラーの検出回数と、前記画像形成装置の電源が強制的にオフされたオフ回数と、商用電源から供給される電力が遮断された遮断回数と、を登録した第1テーブルと、
前記画像形成装置が備える機能ごとのエラーの検出回数と、検出したエラーの種別を示すエラーコードと、を対応づけて登録した第2テーブルと、生成し、
前記プログラムを前記バックアッププログラムとして前記第2記憶部に記憶させるときに、前記第1テーブル及び前記第2テーブルに、前記プログラム及び前記設定データの識別情報を対応づけて前記第2記憶部に記憶させる、付記1から5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【0091】
この構成によれば、第1テーブル及び第2テーブルを参照することで、プログラム、及び、設定データにより、プロセッサーの動作状態を判定することができる。
【0092】
(付記7)
前記プロセッサーは、
前記第2テーブルを参照して、前記エラーコードに基づいて、致命的と判定される第1エラーと、致命的ではないと判定される第2エラーと、を判定し、
前記画像形成装置が備える複数の機能ごとに前記第1エラーの数と、前記第2エラーの数と、をそれぞれ取得し、
前記第1テーブルを参照して、前記画像形成装置の電源が強制的にオフされたオフ回数と、商用電源から供給される電力が遮断された遮断回数とを、前記画像形成装置が備える複数の機能ごとに取得し、
取得した前記第1エラーと、前記第2エラーと、前記オフ回数と、前記遮断回数と、の和を前記機能ごとに算出し、
前記機能ごとに算出した前記和の総和が最も小さい前記第1テーブルに対応づけられた識別情報が示す前記プログラム及び前記設定データを、前記第1記憶部が記憶するプログラム及び前記設定データの書き換えに使用する前記バックアッププログラム及びバックアップデータとして選択する、付記6記載の画像形成装置。
【0093】
この構成によれば、第1エラーと、第2エラーと、オフ回数と、遮断回数とに基づいて、プロセッサーが安定して動作するバックアッププログラム及びバックアップデータを選択することができる。
【0094】
(付記8)
前記プロセッサーは、
前記第2記憶部の容量が上限を超える場合、
前記機能ごとに算出した前記和の総和が最も大きい前記第1テーブル及び前記第2テーブルを、前記第2記憶部から消去する、付記7記載の画像形成装置。
【0095】
この構成によれば、バックアッププログラム及びバックアップデータとして使用しない第1テーブル及び第2テーブルを、第2記憶部から消去することで、第2記憶部の容量が確保することができる。
【0096】
(付記9)
前記設定データには、前記画像形成装置の製造時に設定される前記画像形成装置に固有のデータと、ユーザーにより設定されたデータとが含まれる、付記1から8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【0097】
この構成によれば、画像形成装置の製造時に設定される画像形成装置に固有のデータと、ユーザーにより設定されたデータとをバックアップデータとして第2記憶部に記憶させることができる。
【0098】
(付記10)
プロセッサーと、
前記プロセッサーが実行するプログラムと、設定データと、を記憶する第1記憶部と、
前記プログラム及び前記設定データのバックアップとして、バックアッププログラム及びバックアップデータを記憶する第2記憶部と、を備える画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置内で発生するエラーが検出され、かつ、前記プロセッサーが、予め設定されたエラーをしきい値以上検出したか否かを判定するステップと、
前記画像形成装置内で発生するエラーが検出され、かつ、前記プロセッサーが、予め設定されたエラーをしきい値以上検出したと判定される場合に、前記第1記憶部が記憶する前記プログラム及び前記設定データを、前記第2記憶部が記憶する前記バックアッププログラム及び前記バックアップデータに書き換え、書き換えた前記バックアッププログラム及び前記バックアップデータを実行するステップと、
を備える画像形成装置の制御方法。
【0099】
この構成によれば、画像形成装置内で発生するエラーが検出され、かつ、プロセッサーが、予め設定されたエラーをしきい値以上検出した場合に、画像形成装置が安定した稼働状態にないと判定する。そして、画像形成装置が安定した稼働状態にないと判定すると、第1記憶部が記憶するプログラム及び設定データを、第2記憶部が記憶するバックアッププログラム及びバックアップデータに書き換える。このため、画像形成装置を早期に使用可能な状態に復旧させることができる。
【符号の説明】
【0100】
100…複合機、105…バス、110…通信I/F、120…入出力I/F、121…操作部、123…表示部、130…デバイスI/F、131…操作部、131…プリンターユニット、133…スキャナー、135…FAXユニット、140…主電源、145…電源制御部、150…制御部、160…記憶部、161…揮発性メモリー、163…不揮発性メモリー、165…補助記憶装置、170…プロセッサー、171…エラー検出部、173…バックアップ部、175…復旧部、200A…第1評価テーブル、200B…第2評価テーブル、210、310…属性情報、211、311…種別情報、213、313…バージョン情報、221、321…PC印刷、222、322…コピー、224、324…Scan To Folder、225、325…アイドル状態、231…機能実行回数、232…エラー発生回数、234…プラグ抜き回数、300A…第1エラーコードテーブル、300B…第2エラーコードテーブル、330…エラーコード。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11