(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126754
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】画像形成システム、および画像形成システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20240912BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B41J29/393 105
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035356
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】志村 洋
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AS02
2C061HJ10
2C061HK07
2C061HK11
2C061HK15
2C061HN04
2C061KK28
2C061KK31
2H270KA53
2H270LD03
2H270MF17
2H270MH09
2H270RA03
2H270RA27
2H270RB07
2H270RC03
2H270RC09
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】ユーザーが誤判定による検品エラーを確認する手間を抑制または低減できる画像形成システム、および画像形成システムの制御方法を提供する。
【解決手段】画像形成システム30は、画像形成部320、第1読取部、および第2読取部を備える。画像形成部320は、記録媒体Sに画像を形成する。第1読取部は、記録媒体Sの搬送方向において、画像形成部320より上流側に設けられ、記録媒体Sを読み取る。第2読取部は、記録媒体Sの搬送方向において、画像形成部320より下流側に設けられ、記録媒体Sを読み取る。第1読取部および第2読取部のいずれか一方の読取部における記録媒体Sの読取結果に基づいて、他方の読取部が制御される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体の搬送方向において、前記画像形成部より上流側に設けられ、前記記録媒体を読み取る第1読取部と、
前記記録媒体の搬送方向において、前記画像形成部より下流側に設けられ、前記記録媒体を読み取る第2読取部と、を備え、
前記第1読取部および前記第2読取部のいずれか一方の読取部における前記記録媒体の読取結果に基づいて、他方の読取部が制御される、画像形成システム。
【請求項2】
前記一方の読取部における前記記録媒体の読取結果に基づいて、他方の読取部は前記記録媒体の読み取りを行わない、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記一方の読取部における前記記録媒体の読取結果に基づいて、他方の読取部は前記記録媒体の読み取り方法を変更する、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記一方の読取部における前記記録媒体の読取結果に基づいて、他方の読取部は前記記録媒体を読み取る読取範囲を変更する、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体の搬送方向において、前記画像形成部より上流側に設けられ、前記記録媒体を読み取る第1読取部と、
前記記録媒体の搬送方向において、前記画像形成部より下流側に設けられ、前記記録媒体を読み取る第2読取部と、を備える画像形成システムの制御方法であって、
前記第1読取部および前記第2読取部のいずれか一方の読取部における前記記録媒体の読取結果に基づいて、他方の読取部が制御される、画像形成システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、および画像形成システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロダクション・プリントの分野において、印刷の高画質化、画質の安定化をするための技術の開発が盛んである。このような技術の1つとして、印刷物の画像を自動的に検品する自動検品機能を備えた画像形成システムがある(例えば、下記特許文献1)。
【0003】
このような画像形成システムでは、ユーザーによって予め画質が良好であることが確認されている印刷物の画像(以下、「基準画像」という)と、本印刷の印刷物をスキャンした画像とを比較をすることにより、本印刷の印刷物が十分な品質を備えているかを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の画像形成システムにおいては、用紙が検品対象か否かの判定を行っていないため、例えば、用紙の表面に凹凸を有するエンボス紙、通常の用紙とは異なる形状を有するインデックス紙、下地画像を有する用紙の下地部分等に対しても検品が行われる。その結果、基準画像との比較が適切に行われず、誤判定が発生する可能性があるため、ユーザーが誤判定による検品エラーを確認するのに手間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザーが誤判定による検品エラーを確認する手間を抑制または低減できる画像形成システム、および画像形成システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記記録媒体の搬送方向において、前記画像形成部より上流側に設けられ、前記記録媒体を読み取る第1読取部と、前記記録媒体の搬送方向において、前記画像形成部より下流側に設けられ、前記記録媒体を読み取る第2読取部と、を備え、前記第1読取部および前記第2読取部のいずれか一方の読取部における前記記録媒体の読取結果に基づいて、他方の読取部が制御される、画像形成システム。
【0009】
(2)前記一方の読取部における前記記録媒体の読取結果に基づいて、他方の読取部は前記記録媒体の読み取りを行わない、上記(1)に記載の画像形成システム。
【0010】
(3)前記一方の読取部における前記記録媒体の読取結果に基づいて、他方の読取部は前記記録媒体の読み取り方法を変更する、上記(1)に記載の画像形成システム。
【0011】
(4)前記一方の読取部における前記記録媒体の読取結果に基づいて、他方の読取部は前記記録媒体を読み取る読取範囲を変更する、上記(1)に記載の画像形成システム。
【0012】
(5)記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記記録媒体の搬送方向において、前記画像形成部より上流側に設けられ、前記記録媒体を読み取る第1読取部と、前記記録媒体の搬送方向において、前記画像形成部より下流側に設けられ、前記記録媒体を読み取る第2読取部と、を備える画像形成システムの制御方法であって、前記第1読取部および前記第2読取部のいずれか一方の読取部における前記記録媒体の読取結果に基づいて、他方の読取部が制御される、画像形成システムの制御方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1読取部および第2読取部のいずれか一方の読取部における用紙の読取結果に基づいて、他方の読取部が制御されるので、誤判定による検品エラーが発生することを防止または低減できる。したがって、ユーザーが誤判定による検品エラーを確認する手間を抑制または低減できる。その結果、検品対象外の用紙が誤判定によりヤレ紙として排出されることを抑制または低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る印刷システムの概略ブロック図である。
【
図2】
図1に示すプリンターコントローラーのハードウェア構成を例示する概略ブロック図である。
【
図3】
図1に示す画像形成システムの概略構成を例示する図である。
【
図4】
図1に示す画像形成システムの概略ブロック図である。
【
図5】
図4に示す画像形成システムの制御部の構成を示す概略ブロック図である。
【
図6】第1の実施形態の画像形成システムの制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図7】第2の実施形態の画像形成システムの制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図8】第3の実施形態の画像形成システムの制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図9】第4の実施形態の画像形成システムの制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図10A】第5の実施形態の画像形成システムの制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図11A】第6の実施形態の画像形成システムの制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0016】
(第1の実施形態)
<印刷システムの構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る印刷システム1の構成を説明するための概略ブロック図である。
図1に示すように、印刷システム1はクライアント端末10、プリンターコントローラー20、および画像形成システム30を有する。クライアント端末10、プリンターコントローラー20、および画像形成システム30は、通信回線40を通じて互いに通信可能に接続されている。
【0017】
クライアント端末10は、例えばパーソナルコンピューター、タブレット端末、スマートフォン等でありうる。クライアント端末10には、原稿データを印刷ジョブに変換するためのプリンタードライバーがインストールされている。プリンタードライバーは、プリンターコントローラー20が対応可能な形式による印刷ジョブを生成し、通信回線40を通じて印刷ジョブをプリンターコントローラー20へ送信する。
【0018】
印刷ジョブは、例えば、PDL(Page Description Language)形式の印刷データおよび印刷設定データを含む。印刷設定データには、ページ数、部数、用紙の種類、サイズ、坪量、検品機能の設定、片面印刷/両面印刷の設定等に関する情報が含まれる。
【0019】
通信回線40は、イーサネット(登録商標)、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、Wi-Fi(Wireless Fidelity)等の規格によりコンピューターやネットワーク機器同士を接続したLAN(Local Area Network)、あるいはLAN同士を専用線で接続したWAN(Wide Area Network)等を備えうる。
【0020】
なお、通信回線40に接続される上記各構成要素の台数は
図1に例示する場合に限定されない。
【0021】
<プリンターコントローラーの構成>
図2は、
図1に示すプリンターコントローラー20のハードウェア構成を例示する概略ブロック図である。プリンターコントローラー20は、印刷画像データを生成し、画像形成システム30に送信する。
【0022】
プリンターコントローラー20は、メモリー21、補助記憶部22、通信I/F部23、およびCPU(Central Processing Unit)24を有し、これらの構成要素は、内部バス25により接続されている。メモリー21は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を備える(不図示)。上記RAMは、作業領域として一時的にプログラムおよび送受信データを記憶する高速アクセス可能な主記憶装置である。また、上記ROMは、各種プログラムや各種データを記憶している。
【0023】
補助記憶部22は、例えば、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等の大容量の記憶装置を備え、オペレーティングシステム、制御プログラムP20等を含む各種プログラムを記憶する。
【0024】
通信I/F部23は、通信回線40を介してクライアント端末10との間でデータを送受信するためのインターフェースである。
【0025】
CPU24は、上記各種プログラムに従って、印刷画像データを生成し、通信I/F部23および画像形成システム30を制御するため、各種の判定処理や演算処理を実行する。プリンターコントローラー20の機能は、制御プログラムP20をCPU24が実行することにより実現される。プリンターコントローラー20は、通信回線40を通じてクライアント端末10から受信した印刷ジョブを解析し、色変換、スクリーニングおよびラスタライズ等の処理を実行し、ビットマップ形式の印刷画像データを生成する。
【0026】
<画像形成システムの構成>
図3は
図1に示す画像形成システム30の概略構成を例示する図であり、
図4は
図1に示す画像形成システム30の概略ブロック図である。また、
図5は
図4に示す画像形成システム30の制御部380の構成を示す概略ブロック図である。
【0027】
図3に示すように、本実施形態の画像形成システム30は、X方向(用紙搬送方向)に沿って直列に接続された給紙装置100、第1読取装置200、画像形成装置300、第2読取装置400、および後処理装置500を有する。なお、
図3および
図4に示す画像形成システム30の構成は一例であり、画像形成システム30に含まれる装置の種類および台数は
図1に示す例に限定されない。
【0028】
<給紙装置100>
給紙装置100は、画像形成装置300の指示に応じて、第1読取装置200に記録媒体としての用紙を供給する。
図4に示すように、給紙装置100は、給紙部110、用紙搬送部120、通信部130、および制御部140を有する。給紙部110、用紙搬送部120、通信部130、および制御部140は、内部バス101により相互に通信可能に接続されている。
【0029】
給紙部110は、少なくとも1つの給紙トレイを備え、印刷に使用される用紙を収容する。給紙トレイを複数備える場合は、サイズの異なる用紙を収容するように構成されていてもよい。給紙トレイに収容されている用紙Sは、用紙搬送部120の用紙搬送路に沿って複数の搬送ローラー対により第1読取装置200に1枚ずつ供給される。なお、用紙Sは、画像を形成する用途に使用される白紙以外に、連続する2枚の用紙(白紙)を仕切る用途に使用される仕切り紙であってもよい。仕切り紙は、例えば、色、サイズ、厚さ等からユーザーが他の用紙に対して区別可能な用紙である。
【0030】
通信部130は、画像形成装置300との間で制御信号やデータのやり取りを行う。制御部140は、給紙装置100用の制御プログラムを実行することにより、給紙部110、用紙搬送部120、および通信部130を制御する。
【0031】
<第1読取装置200>
第1読取装置200は、制御部380の指示に応じて、給紙装置100から搬送された用紙Sを読み取る。第1読取装置200は、用紙搬送部210、上側読取部220、下側読取部230、通信部240、および制御部250を有する。これらの構成要素は、内部バス201により相互に通信可能に接続されている。上側読取部220、および/または下側読取部230は、第1読取部を構成する。
【0032】
用紙搬送部210は、用紙搬送路および複数の搬送ローラー対を備え、給紙装置100から供給された用紙Sを用紙搬送路に沿って画像形成装置300へ向けて搬送する。
【0033】
上側読取部220は、用紙搬送部210の用紙搬送路の上側に設置された上側スキャナー221と、上側スキャナー221と対向し、用紙搬送路の下側に設置された第1背景部材222とを有する。下側読取部230は、用紙搬送部210の用紙搬送路の下側に設置された下側スキャナー231と、下側スキャナー231と対向し、用紙搬送路の上側に設置された第2背景部材232とを有する。
【0034】
上側スキャナー221は、画像センサー、レンズ、およびミラーを含む光学系と、LED(Light Emitting Diode)光源とを有する。また、下側スキャナー231も上側スキャナー221と同様の構成を有する。上側スキャナー221、および下側スキャナー231は、互いに独立して動作可能に構成されている。
【0035】
画像センサーは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサーまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)ラインセンサーでありうる。上側スキャナー221および下側スキャナー231は、CIS(Contact Image Sensor)を用いて構成されてもよい。
【0036】
第1背景部材222は、例えば、角柱状(例えば、四角柱状)の部材であって、部材の複数の側面が異なる色(例えば、黒色、および白色)を各々有する。上側読取部220の制御部が駆動源(不図示)を制御して、第1背景部材222の中心軸を回転させることにより、用紙Sを読み取る際の背景を異なる色(黒色、または白色)に切り替えられる。例えば、白色または明るい色の用紙Sを読み取る際には、第1背景部材222の黒色の面が背景として使用され、黒色または暗い色の用紙Sを読み取る際には、第1背景部材222の白色の面が背景として使用されうる。これにより、用紙Sの色と第1背景部材222の色とのコントラストが大きくなるため、用紙Sの四辺の輪郭が明確となる。また、第2背景部材232も第1背景部材222と同様の構成を有する。
【0037】
通信部240は、上側スキャナー221、および下側スキャナー231と画像形成装置300との間で制御信号や読取画像データのやり取りを行う。
【0038】
制御部250は、不図示のCPU、メモリー(RAM、およびROM)、補助記憶部等を有し、第1読取装置200の制御プログラムを実行することにより、用紙搬送部210、上側読取部220、下側読取部230、および通信部240を制御する。制御部250は、光学系、および光源を制御することにより、カラー画像の読み取り等のカラースキャナーとしての各種の機能が実現される。
【0039】
<画像形成装置300>
画像形成装置300は、プリンターコントローラー20から印刷画像データを受信し、これに基づいて用紙Sに画像を印刷する。受信された印刷画像データは、補助記憶部382に保存される。
【0040】
画像形成装置300は、画像処理部310、画像形成部320、給紙部330、用紙搬送部340、定着部350、通信部360、操作表示部370、および制御部380を有する。これらの構成要素は、内部バス301により相互に通信可能に接続されている。
【0041】
画像処理部310は、通信部360により受信された印刷画像データに対して、ガンマ補正、スクリーン補正、濃度バランス等の画像処理を行い、処理された画像データを画像形成部320に送信する。
【0042】
画像形成部320は、帯電、露光、現像、および転写の各工程を含む電子写真方式等の周知の作像プロセスを用いて、画像データに基づいて画像を用紙S上に形成する。画像形成部320は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の色ごとに、像担持体としての感光体ドラムおよびその周囲に配置された帯電部、光書込部、現像装置、および転写部を有して構成される。
【0043】
各感光体ドラムには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のトナー像が形成される。トナー像は、順次重ね合わされて転写部の中間転写ベルト321に1次転写される。中間転写ベルト321に1次転写されたトナー像は、用紙Sへ2次転写される。
【0044】
給紙部330は、用紙を画像形成部320に供給する。給紙部330は、複数の給紙トレイを有し、各々の給紙トレイには、例えばA4サイズやA3サイズ等のサイズの異なる用紙が収納されうる。
【0045】
用紙搬送部340は、用紙搬送路および複数の搬送ローラー対を有し、画像形成装置300内において用紙Sを搬送する。また、用紙搬送部340は、用紙反転部および循環搬送部を備えており、定着がなされた用紙Sの表裏を反転して排出したり、あるいは用紙Sの両面に画像を形成したりすることができる。
【0046】
定着部350は、用紙Sに形成されたトナー画像を定着する。定着部350は、内部にヒーターが配置された中空の加熱ローラーと、加熱ローラーに対向する加圧ローラーとを備える。加熱ローラーおよび加圧ローラーは、ヒーターにより所定温度(例えば160℃以上)に制御され、用紙Sに加熱・加圧処理を施し、トナー画像を定着する。
【0047】
画像が定着された用紙Sは、排紙部(不図示)を通じて第2読取装置400に供給される。
【0048】
通信部360は、ネットワークを経由して、例えば、プリンターコントローラー20に接続し、印刷画像データ等のデータを送受信する。
【0049】
操作表示部370は、入力部および出力部を有する。入力部は、例えば、キーボード、ボタン、およびタッチパネルを備え、キーボードによる文字入力、各種設定、印刷開始ボタンによる印刷開始の指示等の各種指示(入力)をユーザーが行うために利用される。また、出力部は、ディスプレイを備え、印刷ジョブの実施状況等を、ユーザーに提示するために使用される。
【0050】
制御部380は、画像処理部310、画像形成部320、給紙部330、用紙搬送部340、定着部350、通信部360、および操作表示部370を制御する。
図5に示すように、制御部380は、CPU381、補助記憶部382、RAM383、およびROM384を有する。
【0051】
CPU381は、画像形成装置300用の制御プログラムP30を実行し、様々な機能を実現する。制御プログラムP30は、補助記憶部382に記憶されており、CPU381によって実行される際に、RAM383にロードされる。補助記憶部382は、例えば、SSD、HDD等の大容量の記憶装置を備える。RAM383には、CPU381の実行に伴う演算結果等が格納される。ROM384には、各種のパラメーター、各種プログラム等が記憶されている。
【0052】
<第2読取装置400>
第2読取装置400は、制御部380の指示に応じて、画像形成装置300から搬送された用紙Sに印刷された画像(印刷画像データに基づく画像)を読み取る。第2読取装置400は、用紙搬送部410、上側読取部420、下側読取部430、通信部440、制御部450を有する。これらの構成要素は、内部バス401により相互に通信可能に接続されている。用紙搬送部410、通信部440、および制御部450は、第1読取装置200における用紙搬送部210、通信部240、および制御部250と各々同じ構成を有するので、用紙搬送部410、通信部440、および制御部450の詳細な説明を省略する。上側読取部420、および/または下側読取部430は、第2読取部を構成する。
【0053】
上側読取部420は、用紙搬送部410の用紙搬送路の上側に設置された上側スキャナー421と、上側スキャナー421と対向し、用紙搬送路の下側に設置された第1背景部材422とを有する。下側読取部430は、用紙搬送部410の用紙搬送路の下側に設置された下側スキャナー431と、下側スキャナー431と対向し、用紙搬送路の上側に設置された第2背景部材432とを有する。
【0054】
上側スキャナー421は、用紙搬送部410によって用紙Sが用紙搬送路上を搬送される間に、用紙Sの表面に形成された画像を画像センサーにより読み取ることにより、用紙Sの表面の読取画像データを取得する。また、下側スキャナー431は、用紙搬送部410によって用紙Sが用紙搬送路上を搬送される間に、用紙Sの裏面に形成された画像を画像センサーにより読み取ることにより、用紙Sの裏面の読取画像データを取得する。上側スキャナー421、および下側スキャナー431によって読み取られた表面および裏面の読取画像データは、画像形成システム30の制御部380に送信される。
【0055】
また、本実施形態では、第2読取装置400は、画像形成装置300によって用紙Sに形成された画像の位置を取得し、制御部380に送信する。例えば、上側スキャナー421は、用紙Sの表面の読取画像データを取得し、用紙S上の画像領域(画像領域が複数ある場合は、各々の画像領域)の位置情報(例えば、左上および右下の座標)を算出し、制御部380に送信する。
【0056】
<後処理装置500>
後処理装置500は、制御部380の指示に応じて、第2読取装置400から供給された用紙Sを搬送または後処理し、画像形成システム30の外部に排出する。後処理装置500は、用紙搬送部510、後処理部520、排紙部530、通信部540、および制御部550を有する。これらの構成要素は、内部バス501により相互に通信可能に接続されている。
【0057】
用紙搬送部510は、用紙搬送路および複数の搬送ローラー対を備え、第2読取装置400から供給された用紙Sを用紙搬送路に沿って搬送し、後処理部520または排紙部530に供給する。
【0058】
後処理部520は、搬送された用紙Sに後処理を実施する。後処理としては、例えば、パンチ処理、断裁処理等が挙げられる。
【0059】
排紙部530は、排紙トレイおよび排紙ローラー対を備え、第2読取装置400から供給され、用紙搬送路を搬送された用紙Sまたは後処理された用紙Sを排紙トレイに排紙する。
【0060】
通信部540は、制御部550と画像形成装置300との間で制御信号やデータのやり取りを行う。制御部550は、用紙搬送部510、後処理部520、排紙部530、および通信部540を制御する。制御部550のハードウェア構成は、制御部380のハードウェア構成と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0061】
<画像形成システム30の制御方法>
図6を参照して、本実施形態の画像形成システム30の制御方法について説明する。
図6は本実施形態の画像形成システム30の制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。
図6に示す処理は、制御部140、250、380、450、550が協働することにより実現され、制御部380は、全体制御等の主導的な役割を担う。
【0062】
制御部380は、自動検品に関する設定を受け付ける(ステップS101)。ユーザーは、本印刷を行う前に、ジョブチケットを編集し、操作表示部370を通じて自動検品に関する設定を入力する。本実施形態の画像形成システム30は、印刷ジョブの出力における一機能として自動検品機能を備え、本印刷の印刷に対して基準画像(正解画像)を用いて自動的に検品を行うことができる。図示は省略するが、ユーザーは、自動検品設定画面において自動検品に関する設定を行うことができる。例えば、ユーザーは、所定の操作により、ジョブチケットを編集するためのジョブチケット編集画面から自動検品設定画面に切り替えることができる。ユーザーは、自動検品設定画面において、自動検品機能のオン/オフを設定したり、検品に使用する基準画像を新規作成するか、または登録画像から選択するかを設定したりできる。基準画像は、例えば、画像形成装置300により用紙に形成された印刷画像を第2読取部により読み取って生成された読取画像のうちユーザーが品質を確認した画像でありうる。
【0063】
また、ユーザーは、自動検品に必要な情報として、用紙に形成される画像の位置を設定する必要があるが、上述のように、本実施形態では、用紙に形成される画像の位置をユーザーが手動で入力する代わりに、第2読取装置400による用紙の読取画像データに基づいて取得することもできる。これにより、用紙に形成される画像の位置をユーザーが手動で入力する手間を省くことができる。
【0064】
次に、制御部380は、印刷開始の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS102)。より具体的には、制御部380は、ジョブチケット編集画面または他の画面において出力ボタンが押された場合、あるいは操作表示部370の印刷開始ボタンが押された場合、印刷開始の指示を受け付けたと判定する。
【0065】
制御部380は、印刷開始の指示を受け付けていない場合(ステップS102:NO)、印刷開始が指示されるまで待機する。一方、制御部380は、印刷開始の指示を受け付けた場合(ステップS102:YES)、検品設定がオンか否かを判定する(ステップS103)。制御部380は、検品設定がオンではない、すなわち検品設定がオフである場合(ステップS103:NO)、第1読取装置200に用紙Sを供給するように給紙装置100を制御する(ステップS104)。給紙装置100は、用紙Sを第1読取装置200に供給する。制御部250は、検品設定がオフであるので、用紙Sを読み取らずにそのまま画像形成装置300に向けて搬送するように第1読取部および用紙搬送部210を制御する。
【0066】
次に、画像形成装置300は、用紙Sに印刷画像を形成する(ステップS105)。より具体的には、制御部380は、補助記憶部382に保存されている印刷画像データに基づき、第1読取装置200から搬送された用紙Sに印刷画像を形成するように画像形成部320を制御する。
【0067】
次に、制御部380は、所定枚数の印刷が完了したか否かを判定する(ステップS106)。制御部380は、所定枚数の印刷が完了した場合(ステップS106:YES)、処理を終了する(エンド)。一方、制御部380は、所定枚数の印刷が完了していない場合(ステップS106:NO)、ステップS104の処理に戻り、用紙Sの供給および画像の形成を継続する。
【0068】
一方、制御部380は、検品設定がオンである場合(ステップS103:YES)、第1読取装置200に用紙Sを供給するように給紙装置100を制御する(ステップS107)。給紙装置100は、用紙Sを第1読取装置200に供給する。
【0069】
次に、第1読取装置200は、用紙Sをスキャンし、当該用紙Sが仕切り紙か否かを判定する(ステップS108)。例えば、本印刷において、色紙(いろがみ)が仕切り紙として使用され、白紙が画像形成に使用されることを想定する。例えば、制御部250は、給紙装置100から供給された用紙Sを第1読取部により読み取り、用紙Sの読取画像データに基づき用紙Sの色を判定する。制御部250は、連続して供給された複数の用紙について色の判定を行った結果、白紙が連続して通紙されているところに色紙が通紙された場合、当該用紙Sは仕切り紙であると判定する。用紙Sが仕切り紙であるか否かの判定結果、すなわち第1読取部による読取結果は、制御部380に送信される。
【0070】
次に、画像形成部320は、用紙Sに印刷画像を形成する(ステップS109)。より具体的には、制御部380は、補助記憶部382に保存されている印刷画像データに基づき、第1読取装置200から搬送された用紙Sに印刷画像を形成するように画像形成部320を制御する。なお、本実施形態では、白紙を画像形成に使用し、色紙を仕切り紙として使用する場合を想定しているが、仕切り紙(色紙)に画像を形成することもできる。
【0071】
次に、制御部380は、第1読取部による読取結果に基づいて、用紙Sが検品対象か否かを判定する(ステップS110)。制御部380は、例えば、用紙Sが仕切り紙である場合、検品対象ではないと判定する。また、仕切り紙以外に、例えばエンボス紙、インデックス紙、パンチ穴あり紙等についても検品対象ではない(すなわち、検品対象外の用紙)と判定するように構成してもよい。
【0072】
制御部380は、用紙Sが検品対象であるか否かの判定結果を制御部450に送信する。制御部450は、用紙Sが検品対象である場合(ステップS110:YES)、用紙Sをスキャンするように第2読取部を制御する(ステップS111)。制御部450は、画像形成装置300において画像が形成された用紙S、すなわち印刷物を第2読取部により読み取り、印刷物の読取画像データを制御部380に送信する。
【0073】
次に、制御部380は、印刷物を検品する(ステップS112)。具体的には、制御部380は、基準画像と印刷物の画像とをページ単位で比較し、両者の一致の度合いにより、印刷物が所定の品質を満たすか否かを判定する。例えば、制御部380は、両者の一致の度合いが所定の閾値以上である場合、印刷物は所定の品質を満たすと判定し、閾値未満である場合、印刷物は所定の品質を満たさないと判定する。なお、所定の品質を満たさない印刷物と正常な印刷物とを区別するため、後処理装置500のパージトレイ(不図示)に排出されるように構成してもよい。
【0074】
次に、制御部380は、所定枚数の印刷が完了したか否かを判定する(ステップS113)。制御部380は、所定枚数の印刷が完了した場合(ステップS113:YES)、処理を終了する(エンド)。一方、所定枚数の印刷が完了していない場合(ステップS113:NO)、ステップS107の処理に戻る。
【0075】
一方、制御部380は、用紙Sが検品対象ではない場合(ステップS110:NO)、制御部380は、ステップS111、S112の処理を行わずにステップS113の処理に移行する。すなわち、制御部450は、用紙Sの画像を読み取らずに、そのまま後処理装置500へ向けて用紙Sを搬送するように第2読取部および用紙搬送部410を制御する。
【0076】
このように、
図6に示すフローチャートの処理では、制御部250は、検品設定がオンである場合、給紙装置100から給紙された用紙Sを読み取るように第1読取部を制御し、第1読取部による読取結果に基づいて用紙Sが仕切り紙であるか否かを判定する。制御部380は、用紙Sが仕切り紙であるか否かの判定結果(第1読取部の読取結果)に基づき、用紙Sが検品対象であるか否かを判定する。制御部450は、用紙Sが検品対象である場合、用紙Sの画像を読み取る一方で、用紙Sが検品対象ではない場合、用紙Sの画像を読み取らないように第2読取部を制御する。また、制御部380は、用紙Sが検品対象である場合、印刷物の検品を行う一方で、用紙Sが検品対象ではない場合、印刷物の検品を行わないように制御する。用紙Sの供給から印刷物の検品までの各工程は、印刷画像データのページごとに印刷設定データで指定された所定枚数だけ繰り返される。
【0077】
なお、以上の説明では、制御部450が、第1読取部における用紙Sの読取結果に基づいて、第2読取部による用紙Sの読み取りを行うか否かを制御する場合を例示したが、本実施形態はこのような場合に限定されない。制御部380が、第1読取部における用紙Sの読取結果に基づいて、第2読取部による用紙Sの読み取りを行うか否かを制御するように構成してもよい。
【0078】
以上のように構成された本実施形態の画像形成システム30は、下記の効果を奏する。
【0079】
第1読取部における用紙Sの読取結果に基づき、用紙Sが検品対象ではない場合、第2読取部が検品対象外の用紙を読み取らないように制御され、および/または検品対象外の用紙について検品が行われないように制御される。したがって、検品対象の用紙に対してのみ検品が行われるので、誤判定による検品エラーが発生することを防止または低減できる。したがって、ユーザーが誤判定による検品エラーを確認する手間を抑制または低減できる。その結果、検品対象外の用紙が誤判定によりヤレ紙として排出されることを抑制または低減できる。
【0080】
また、給紙装置100から給紙された用紙Sを第1読取部により読み取り、読取画像に基づいて用紙Sが仕切り紙であるか否かを判定するので、給紙装置100から仕切り紙が供給される順番を制御部380が把握する必要がない。したがって、給紙装置100の給紙トレイにユーザーによって任意にセットされた仕切り紙や、手差しトレイまたはPIにセットされた仕切り紙を供給する場合、すなわち仕切り紙が供給される順番を制御部380が把握できない場合についても仕切り紙を検品対象から確実に除外できる。
【0081】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、第1読取部における用紙の読取結果に基づいて、第2読取部が用紙の読み取りを行わないように制御する場合について説明した。第2の実施形態では、第1の実施形態とは逆に、第2読取部における用紙の読取結果に基づいて、第1読取部が用紙の読み取りを行わないように制御する場合について説明する。
【0082】
図6および
図7を参照して、第2の実施形態の画像形成システム30の制御方法について説明する。
図7は第2の実施形態の画像形成システム30の制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。同図に示す処理は、制御部140、250、380、450、550が協働することにより実現され、制御部380は、全体制御等の主導的な役割を担う。本実施形態では、画像形成システム30は、第1の実施形態における
図6のフローチャートに示す処理を実行しつつ、並行して印刷物(用紙S)の異常を検知し、印刷物が異常である場合に機内における用紙Sの後続用紙をパージする処理を実行する。
【0083】
図7に示すように、まず、制御部380は、印刷物の異常を検知する(ステップS201)。制御部380は、例えば、
図6に示すステップS112において検品を行った結果、印刷物の品質が著しく低い等、印刷物の異常を検知した場合(ステップS201:YES)、機内の用紙をパージトレイに排出する(ステップS202)。より具体的には、制御部380は、異常が検知された印刷物(用紙S)をヤレ紙として後処理装置500のパージトレイに排出するように第2読取装置400および後処理装置500を制御する。また、制御部380は、給紙装置100から第2読取装置400内を搬送されている、用紙Sの後続用紙をパージトレイ(不図示)に排紙するように制御する。その際、制御部250は、用紙Sの後続用紙の読み取りを行わないように第1読取部を制御する。
【0084】
次に、制御部380は、再印刷する(ステップS203)。第2読取部における用紙Sの読取結果に基づいて異常が検知された印刷物はパージされたので、再印刷が必要である。制御部380は、パージされた印刷物の印刷画像について再印刷を行うように制御する(すなわち、
図6におけるステップS107~S112の処理を再度実行する)。
【0085】
なお、以上の説明では、制御部250が、第2読取部における用紙Sの読取結果に基づいて、第1読取部による用紙Sの読み取りを行うか否かを制御する場合を例示したが、本実施形態はこのような場合に限定されない。制御部380が、第2読取部における用紙Sの読取結果に基づいて、第1読取部による用紙Sの読み取りを行うか否かを制御するように構成してもよい。
【0086】
以上のように構成された本実施形態の画像形成システム30は、第1の実施形態の効果に加えて下記の効果を奏する。
【0087】
第2読取部における印刷物(用紙S)の読取結果に基づき、印刷物の異常が検知された場合、給紙装置100または第1読取装置200内を搬送されている、用紙Sの後続用紙が第1読取部によって読み取られずに、画像形成されずにパージされる。これにより、例えば、用紙Sの後続用紙の紙種が用紙Sの紙種と異なる場合に、元の紙種と異なる紙種の用紙に印刷画像が形成され、印刷物の検品が行われることを防止できる。
【0088】
(第3の実施形態)
第1および第2の実施形態では、第1読取部および第2読取部のうち一方の読取部における用紙の読取結果に基づいて、他方の読取部が用紙の読み取りを行わないように制御する場合について説明した。第3の実施形態では、第1読取部における用紙の読取結果に基づいて、第2読取部が用紙の読み取り方法(読み取り条件ともいう)を変更する場合について説明する。なお、以下の説明では、説明の重複を避けるため、第1の実施形態と同一の構成については、詳細な説明を省略する。
【0089】
図8を参照して、第3の実施形態の画像形成システム30の制御方法について説明する。
図8は、第3の実施形態の画像形成システム30の制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。同図に示す処理は、制御部140、250、380、450、550が協働することにより実現され、制御部380は、全体制御等の主導的な役割を担う。
【0090】
ステップS301~S307の処理は、第1の実施形態における
図6に示すステップS101~S107の処理と同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0091】
ステップS308において、第1読取部により用紙Sをスキャンし、用紙Sの色を判定する。例えば、制御部250は、給紙装置100から供給された用紙Sを第1読取部により読み取り、用紙Sの読取画像データに基づき用紙Sの色を判定する。第1読取部による読取結果は、制御部450に送信される。
【0092】
次に、画像形成装置300は、用紙Sに印刷画像を形成する(ステップS309)。より具体的には、制御部380は、補助記憶部382に保存されている印刷画像データに基づき、第1読取装置200から搬送された用紙Sに印刷画像を形成するように画像形成部320を制御する。本実施形態では、白紙の代わりに色紙に画像を形成する場合もある。
【0093】
次に、制御部450は、第1読取部の読取結果に応じて第2読取部の背景部材を変更する(ステップS310)。制御部450は、例えば、白色または明るい色の用紙Sを読み取る際には、第1背景部材422の黒色の面を背景として使用するように制御し、黒色または暗い色の用紙Sを読み取る際には、第1背景部材422の白色の面を背景として使用するように制御する。これにより、用紙Sの色と第1背景部材422の色とのコントラストが大きくなるため、用紙Sの四辺の輪郭が明確となる。
【0094】
ステップS311~S313の処理は、第1の実施形態における
図6に示すステップS111~S113の処理と同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0095】
このように、
図8に示すフローチャートの処理では、制御部250は、検品設定がオンである場合、給紙装置100から給紙された用紙Sを読み取るように第1読取部を制御し、用紙Sの色を判定する。制御部450は、用紙Sの色の判定結果(第1読取部の読取結果)に基づき、第2読取部の第1背景部材422を変更するように制御する。用紙Sの供給から印刷物の検品までの各工程は、印刷画像データのページごとに印刷設定データで指定された所定枚数だけ繰り返される。
【0096】
なお、以上の説明では、制御部450が、第1読取部における用紙Sの読取結果に基づいて、第2読取部が用紙Sの読み取り方法を変更する場合を例示したが、本発明はこのような場合に限定されない。制御部380が、第1読取部における用紙Sの読取結果に基づいて、第2読取部が用紙Sの読み取り方法を変更するように構成してもよい。
【0097】
以上のように構成された本実施形態の画像形成システム30は、第1および第2の実施形態の効果に加えて下記の効果を奏する。
【0098】
画像形成システム30は、用紙Sの色の判定結果(第1読取部の読取結果)に応じて第2読取部の背景部材(読み取り方法)を変更するので、第2読取装置400における印刷物の読み取り精度を向上させることができる。
【0099】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、第3の実施形態とは逆に、第2読取部における用紙の読取結果に基づいて、第1読取部は用紙を読み取り方法を変更する場合について説明する。なお、以下の説明では、説明の重複を避けるため、第1の実施形態と同一の構成については、詳細な説明を省略する。
【0100】
図9は第4の実施形態の画像形成システム30の制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。同図に示す処理は、制御部140、250、380、450、550が協働することにより実現され、制御部380は、全体制御等の主導的な役割を担う。
【0101】
ステップS401~S407の処理は、第1の実施形態における
図6に示すステップS101~S107の処理と同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0102】
ステップS408において、第1読取部により用紙Sをスキャンし、用紙Sのサイズを測定する。例えば、第1読取装置200は、給紙装置100から供給された用紙Sを第1読取部により読み取り、用紙Sの読取画像データに基づき用紙Sのサイズを測定する。
【0103】
より具体的には、上側スキャナー221は、第1背景部材222上の用紙搬送路を用紙Sが搬送される際に、用紙Sの四辺と、その近傍の第1背景部材222の一部とを含む、用紙Sのサイズ(長さおよび幅)よりも広い範囲の領域を読み取ることができるように構成されている。同様に、下側スキャナー231は、第2背景部材232上の用紙搬送路を搬送される際に、用紙Sの四辺と、その近傍の第2背景部材232の一部とを含む、用紙Sのサイズよりも広い範囲を読み取ることができるように構成されている。
【0104】
上側スキャナー221は、用紙Sが搬送されるX方向(用紙搬送方向)に直交するY方向(主走査方向)において、表(おもて)面(上面)の用紙Sの幅よりも広い範囲を画像センサーによって読み取る。上側スキャナー221は、用紙搬送部210によって用紙Sが用紙搬送路上を搬送される間に、用紙Sに対する読み取りを複数回繰り返すことにより、用紙Sの表面の読取画像データを取得する。また、下側スキャナー231は、用紙Sの裏面(下面)における幅方向の用紙Sの幅よりも広い範囲を画像センサーによって読み取る。下側スキャナー231は、用紙Sが用紙搬送路上を搬送される間に、用紙Sに対する読み取りを複数回繰り返すことにより、用紙Sの裏面の読取画像データが取得される。
【0105】
上側スキャナー221は、例えば、用紙Sの用紙搬送方向における読み取り値の変化に基づいて用紙Sの先端および後端を検出する。例えば、用紙Sが白紙であり第1背景部材222の黒色の面が背景となっている場合、上側スキャナー221の読み取り値が黒色から白色へ変化したことに基づいて用紙Sの先端が検出され、読み取り値が白色から黒色へ変化したことに基づいて用紙Sの後端が検出されうる。また、上側スキャナー221は、用紙搬送路を搬送される用紙Sについて、主走査方向における読み取り値の変化に基づいて用紙Sの左端および右端を検出する。例えば、読み取り値が黒色から白色へ変化したことに基づいて用紙Sの左端が検出され、読み取り値が白色から黒色へ変化したことに基づいて用紙Sの右端が検出されうる。
【0106】
上側スキャナー221は、検出された用紙Sの先端、後端、左端、および右端に基づいて用紙Sのサイズを算出できる。本明細書において、用紙Sのサイズは、用紙Sの用紙搬送方向における長さ(以下、単に「用紙の長さ」という)と、用紙搬送方向と直交する方向における用紙の長さ(以下、「用紙の幅」という)とを意味する。より具体的には、上側スキャナー221は、用紙Sの先端、および後端の検出タイミングの差(時間差)と用紙搬送速度とに基づいて用紙Sの長さを算出できる。また、上側スキャナー221は、用紙Sの左端の位置と右端の位置との差に基づいて用紙Sの幅を算出できる。また、下側スキャナー231も上側スキャナー221と同様に用紙Sの先端、後端、左端および右端に基づいて、用紙Sのサイズを算出できる。
【0107】
第1読取装置200は、上側スキャナー221、および下側スキャナー231のいずれかにより測定した用紙Sの長さ、および用紙の幅を出力する。あるいは、上側スキャナー221により測定した用紙Sの長さ(L1)、および下側スキャナー231により測定した用紙Sの長さ(L2)の平均値(=(L1+L2)/2)と、上側スキャナー221により測定した用紙Sの幅(W1)、および下側スキャナー231により測定した用紙Sの幅(W2)の平均値(=(W1+W2)/2)とを出力するように構成することもできる。第1読取部による読取結果(用紙Sのサイズ)は、制御部380に送信される。
【0108】
次に、画像形成装置300は、用紙Sに印刷画像を形成する(ステップS409)。より具体的には、制御部380は、補助記憶部382に保存されている印刷画像データに基づき、第1読取装置200から搬送された用紙Sに印刷画像を形成するように画像形成部320を制御する。
【0109】
次に、第2読取装置400は、用紙Sの画像をスキャンする(ステップS410)。制御部450は、画像形成装置300において画像が形成された用紙S、すなわち印刷物を読み取るように第2読取部を制御し、印刷物の読取画像データを制御部380に送信する。
【0110】
次に、制御部380は、印刷物を検品する(ステップS411)。具体的には、制御部380は、基準画像と印刷物の画像とをページ単位で比較し、印刷物の品質が十分か否かを判定する(ステップS412)。例えば、制御部380は、基準画像と印刷物の画像との一致の度合いが所定の閾値以上である場合、印刷物の品質が十分と判定し、閾値未満である場合、印刷物の品質が十分ではないと判定する。なお、品質が十分ではない印刷物と印刷物の品質が十分な印刷物とを区別するため、品質が十分ではない印刷物は後処理装置500のパージトレイに排出されうる。印刷物の品質が十分ではない場合(ステップS412:NO)は、例えば、第1読取装置200における用紙の搬送速度が速すぎるため、用紙サイズの測定の精度を十分に確保できていない可能性がある。そこで、本実施形態では、制御部250は、印刷物の品質が十分ではない場合、用紙の搬送速度を変更する(ステップS413)。より具体的には、制御部250は、印刷物の品質が十分ではない場合、用紙の搬送速度を減少するように変更し、ステップS407の処理に戻る。
【0111】
一方、制御部380は、印刷物の品質が十分である場合(ステップS412:YES)、所定枚数の印刷が完了したか否かを判定する(ステップS414)。制御部380は、所定枚数の印刷が完了した場合(ステップS414:YES)、処理を終了する(エンド)。一方、所定枚数の印刷が完了していない場合(ステップS414:NO)、ステップS407の処理に戻る。
【0112】
このように、
図9に示すフローチャートの処理では、制御部250は、検品設定がオンである場合、給紙装置100から給紙された用紙Sを読み取るように第1読取部を制御し、用紙Sのサイズを測定する。また、制御部250は、印刷物の品質が十分か否かの判定結果(第2読取部の読取結果)に基づき、第1読取装置200における搬送速度(読み取り方法)を変更するように制御する。用紙Sの供給から印刷物の検品までの各工程は、印刷画像データのページごとに印刷設定データで指定された所定枚数だけ繰り返される。
【0113】
なお、以上の説明では、制御部250が、第2読取部における用紙Sの読取結果に基づいて、第1読取部が用紙Sの読み取り方法を変更する場合を例示したが、本実施形態はこのような場合に限定されない。制御部380が、第2読取部における用紙Sの読取結果に基づいて、第1読取部が用紙Sの読み取り方法を変更するように構成してもよい。
【0114】
以上のように構成された本実施形態の画像形成システム30は、第1~第3の実施形態の効果に加えて下記の効果を奏する。
【0115】
画像形成システム30は、印刷物の品質が十分か否かの判定結果(第2読取部の読取結果)に基づき、第1読取装置200における搬送速度(読み取り方法)を変更するように制御するので、第1読取装置200における用紙Sの読み取り精度を向上できる。
【0116】
(第5の実施形態)
第3および第4の実施形態では、第1読取部および第2読取部のうち一方の読取部における用紙の読取結果に基づいて、他方の読取部が用紙の読み取り方法を変更する場合について説明した。第5の実施形態では、第1読取部における用紙の読取結果に基づいて、第2読取部が用紙を読み取る読取範囲を変更する場合ついて説明する。なお、以下の説明では、説明の重複を避けるため、第1の実施形態と同一の構成については、詳細な説明を省略する。
【0117】
図10Aは第5の実施形態の画像形成システム30の制御方法の処理手順を例示するフローチャートであり、
図10Bは
図10Aに続くフローチャートである。
図10A、
図10Bに示す処理は、制御部140、250、380、450、550が協働することにより実現され、制御部380は、全体制御等の主導的な役割を担う。本実施形態では、画像形成システム30は、1回目の印刷において、所定枚数の用紙に下地画像を形成し、2回目の印刷において、下地画像が形成された所定枚数の用紙に対して追い刷り印刷を行う場合を例示して説明する。
【0118】
図10Aに示すように、まず、制御部380は、自動検品に関する設定を受け付ける(ステップS501)。ステップS501の処理は、第1の実施形態の
図6におけるステップS101の処理と同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0119】
次に、制御部380は、印刷開始の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS502)。ステップS502の処理についても、第1の実施形態の
図6におけるステップS102の処理と同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0120】
次に、給紙装置100は、第1読取装置200に用紙Sを供給する(ステップS503)。本実施形態では、給紙装置100が供給する用紙Sはすべて白紙であり、画像形成に供されることを想定する。1回目の印刷は、下地画像を形成することを目的としているので、第1読取装置200は、用紙Sをスキャンする必要はない。したがって、給紙装置100から供給された用紙Sをそのまま画像形成装置300に向けて搬送する。
【0121】
次に、画像形成装置300は、第1読取装置200から搬送された用紙Sに下地画像を形成する(ステップS504)。下地画像のデータは、例えば補助記憶部382に予め記憶されている。画像形成装置300は、下地画像が形成された用紙Sを第2読取装置400に供給する。制御部450は、下地画像が形成された用紙Sをスキャンする必要はないため、用紙搬送路を通じて用紙Sをそのまま後処理装置500に向けて搬送するように第2読取部および用紙搬送部410を制御する。
【0122】
次に、後処理装置500は、用紙Sを排紙トレイに排出する(ステップS505)。後処理装置500は、第2読取装置400から搬送された用紙Sを排紙トレイに排出する。また、画像形成システム30が排紙スタッカーを有する場合は、下地画像が形成された用紙Sを積み重ねて排紙スタッカーに収容するように構成してもよい。
【0123】
次に、制御部380は、所定枚数の印刷が完了したか否かを判定する(ステップS506)。制御部380は、所定枚数の印刷が完了した場合(ステップS506:YES)、ステップS507の処理に移行する。この時点において、排紙トレイには、下地画像が形成された所定枚数の用紙(用紙束)が、排紙された順に下から積み上げられ載置されている。その後、ユーザーは、排紙トレイに載置されている用紙束を給紙装置100の給紙トレイに移送してセットする。その際、例えば、ユーザーに排紙トレイに載置された用紙束の上下を反転してから給紙トレイにセットしてもらう。これにより、用紙の重ね順が逆転されて給紙トレイに配置されるので、1回目の印刷の順序と以下で説明する2回目の印刷の順序とを一致させることができる。
【0124】
なお、用紙束の上下を反転して給紙トレイにセットする代わりに、画像形成装置300が下地画像を形成する際に用紙Sの余白部分等の領域に管理番号を付与(印刷)し、管理番号にしたがって用紙の順番の管理を行うように構成してもよい。管理番号は、人が認識できる数字等の文字であってもよいし、バーコード等であってもよい。
【0125】
一方、制御部380は、所定枚数の印刷が完了していない場合(ステップS506:NO)、ステップS503の処理に戻る。
【0126】
次に、
図10Bに示すように、制御部140は、給紙トレイに用紙束がセットされたか否かを判定する(ステップS507)。制御部380は、給紙トレイに用紙束がセットされていない場合(ステップS507:NO)、給紙トレイに用紙束がセットされるまで待機する。一方、制御部380は、給紙トレイに用紙束がセットされている場合(ステップS507:YES)、検品設定がオンか否かを判定する(ステップS508)。制御部380は、検品設定がオンではない、すなわち検品設定がオフである場合(ステップS508:NO)、第1読取装置200に用紙Sを供給するように給紙装置100を制御する(ステップS509)。制御部250は、検品設定がオフであるので、用紙Sを読み取らずに、そのまま用紙Sを画像形成装置300に向けて搬送するように第1読取部および用紙搬送部210を制御する。
【0127】
次に、画像形成装置300は、用紙Sに印刷画像を形成する(ステップS510)。より具体的には、制御部380は、補助記憶部382に保存されている印刷画像データに基づき、第1読取装置200から搬送された用紙Sに印刷画像を形成するように画像形成部320を制御する。
【0128】
次に、制御部380は、所定枚数の印刷が完了したか否かを判定する(ステップS511)。制御部380は、所定枚数の印刷が完了した場合(ステップS511:YES)、処理を終了する(エンド)。一方、制御部380は、所定枚数の印刷が完了していない場合(ステップS511:NO)、ステップS509の処理に戻り、用紙の供給および画像の形成を継続する。
【0129】
一方、制御部380は、検品設定がオンである場合(ステップS508:YES)、第1読取装置200に用紙Sを供給するように給紙装置100を制御する(ステップS512)。
【0130】
次に、第1読取装置200は、第1読取部により用紙Sをスキャンし、検品時の読取範囲を決定する(ステップS513)。例えば、制御部250は、画像形成装置300によって下地画像が形成された用紙Sを読み取るように第1読取部を制御し、用紙Sの読取画像データに基づき下地画像が形成されている領域を取得する。制御部250は、下地画像が形成されている領域に基づいて検品時の読取範囲を決定する。より具体的には、制御部250は、下地画像が形成されている領域を除く用紙Sの画像領域を検品時の読取範囲に決定し、当該検品時の読取範囲の位置(例えば、検品時の読取範囲の左上および右下の座標)を制御部450に送信する。
【0131】
次に、画像形成装置300は、用紙Sに印刷画像を形成する(ステップS514)。より具体的には、制御部380は、補助記憶部382に保存されている印刷画像データに基づき、第1読取装置200から搬送された用紙に印刷画像を形成するように画像形成部320を制御する。
【0132】
次に、第2読取装置400は、用紙Sの画像をスキャンする(ステップS515)。制御部450は、画像形成装置300において画像が形成された用紙S、すなわち印刷物を第2読取部により読み取った読取画像に対して検品時の読取範囲以外の部分を除外(マスク)して検品画像データを生成し、当該検品画像データを制御部380に送信する。
【0133】
なお、画像センサーとしてラインセンサーを使用する代わりに、X方向に画素を走査して画像を読み取るセンサーを使用する場合は、用紙Sの上記読取範囲をX方向に画素を走査して読み取り、読取画像に基づき検品画像データを生成するように構成してもよい。
【0134】
次に、制御部380は、印刷物を検品する(ステップS516)。より具体的には、制御部380は、検品画像と、基準画像とをページ単位で比較し、両者の一致の度合いにより、印刷物に異常があるか否かを判定する。ここで、本実施形態における基準画像は、ユーザーによって品質が確認された印刷画像を読み取った読取画像の検品時の読取範囲に対応する領域である。例えば、制御部380は、両者の一致の度合いが所定の閾値以上である場合、印刷物に異常は無いと判定し、閾値未満である場合、印刷物に異常が有ると判定する。なお、異常が認められた印刷物は、正常な印刷物と区別するため、後処理装置500のパージトレイに排出されうる。
【0135】
次に、制御部380は、所定枚数の印刷が完了したか否かを判定し(ステップS517)、所定枚数の印刷が完了した場合(ステップS517:YES)、処理を終了する(エンド)。一方、制御部380は、所定枚数の印刷が完了していない場合(ステップS517:NO)、ステップS512の処理に戻る。
【0136】
このように、
図10Aに示すフローチャートの処理では、制御部380は、所定枚数の用紙Sに下地画像を形成するように画像形成部320を制御する。また、
図10Bに示すフローチャートの処理では、制御部250は、検品設定がオンである場合、下地画像が形成された各々の用紙Sを読み取り、検品時の読取範囲を決定するように制御する。続いて、制御部380は、下地画像が形成された用紙Sに印刷画像を形成するように画像形成部320を制御する。さらに、制御部450は、印刷画像が形成された用紙Sの検品時の読取範囲をスキャンするように第2読取部を制御し、制御部380は、検品画像と基準画像とを比較することより印刷物の検品を行う。用紙Sの供給から印刷物の検品までの各工程は、印刷画像データのページごとに印刷設定データで指定された所定枚数だけ繰り返される。
【0137】
なお、以上の説明では、制御部450が、第1読取部における用紙Sの読取結果に基づいて、第2読取部による用紙Sの読取範囲を変更する場合を例示したが、本発明はこのような場合に限定されない。制御部380が、第1読取部における用紙Sの読取結果に基づいて、第2読取部による用紙Sの読取範囲を変更するように構成してもよい。また、制御部380または制御部450が、第1読取部における用紙Sの読取結果に基づいて、第2読取部における検品範囲を変更するように構成してもよい。
【0138】
また、基準画像および検品画像を比較することにより検品を行う場合を例示して説明したが、本実施形態はこのような場合に限定されない。例えば、下地画像と印刷画像とを合成した合成画像を基準画像として、基準画像と印刷物の画像とを比較することにより検品を行うように制御部380を構成してもよい。
【0139】
また、画像形成システム30により1回目の印刷において用紙Sに下地画像を形成した後、2回目の印刷において印刷画像を用紙Sに形成、すなわち追い刷りし、検品を行う場合を例示して説明したが、本実施形態はこのような場合に限定されない。例えば、本実施形態の画像形成システム30は、柄や模様のある用紙(ハガキ等)に印刷画像を形成し、検品を行う場合についても適用できる。
【0140】
また、1台の画像形成システム30を使用して追い刷りを行う場合を例示して説明したが、本実施形態はこのような場合に限定されない。例えば、プリンターコントローラー20に接続された2台の画像形成システムを使用して1回目の下地画像の形成を第1の画像形成システムにより行い、2回目の印刷画像の形成を第2の画像形成システムにより行うように構成してもよい。このような構成の具体例としては、大量のダイレクトメールを印刷する場合において、オフセット印刷機(第1の画像形成システム)により固定の画像(文面等)を複数の用紙に形成した後、ディジタル印刷機(第2の画像形成システム)により可変の画像(宛名等)を上記複数の用紙に形成する印刷システムが挙げれられる。
【0141】
以上のように構成された本実施形態の画像形成システム30は、第1の実施形態の効果に加えて下記の効果を奏する。
【0142】
画像形成システム30は、第1読取部における用紙Sの読取結果に基づいて、第2読取部が用紙Sを読み取る読取範囲を用紙全面から下地画像が形成されていない領域に変更するので、印刷物の画像に対して、適切な範囲において検品を行うことができる。したがって、印刷物の検品精度を向上できる。
【0143】
(第6の実施形態)
第6の実施形態では、第5の実施形態の場合とは逆に、第2読取部における用紙の読取結果に基づいて、第1読取部が用紙を読み取る読取範囲を変更する場合ついて説明する。なお、以下の説明では、説明の重複を避けるため、第1の実施形態と同一の構成については、詳細な説明を省略する。
【0144】
図11Aは第6の実施形態の画像形成システム30の制御方法の処理手順を例示するフローチャートであり、
図11Bは
図11Aに続くフローチャートである。
図11A、
図11Bに示す処理は、制御部140、250、380、450、550が協働することにより実現され、制御部380は、全体制御等の主導的な役割を担う。本実施形態では、第5の実施形態と同様に画像形成システム30は、1回目の印刷において、所定枚数の用紙に下地画像を形成し、2回目の印刷において、下地画像が形成された所定枚数の用紙に対して追い刷り印刷を行う場合を例示して説明する。
【0145】
図11Aに示すように、まず、制御部380は、自動検品に関する設定を受け付ける(ステップS601)。ステップS601の処理は、第1の実施形態の
図6におけるステップS101の処理と同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0146】
次に、制御部380は、印刷開始の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS602)。ステップS602の処理についても、第1の実施形態の
図6におけるステップS102の処理と同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0147】
次に、給紙装置100は、第1読取装置200に用紙Sを供給する(ステップS603)。本実施形態では、第5の実施形態と同様に、給紙装置100が供給する用紙Sはすべて白紙であることを想定する。制御部250は、給紙装置100から供給された用紙Sをそのまま画像形成装置300に向けて搬送するように用紙搬送部210を制御する。
【0148】
次に、第1読取装置200は、用紙Sをスキャンする(ステップS604)。例えば、制御部250は、給紙装置100から供給された用紙Sを読み取るように第1読取部を制御し、用紙Sの読取画像データを取得する。
【0149】
次に、制御部250は、用紙が良好な状態か否かを判定する(ステップS605)。より具体的には、制御部250は、第1読取部によって取得された読取画像に基づいて、用紙Sが良好な状態か否かを判定する。制御部250は、用紙Sが良好な状態ではない場合(ステップS605:NO)、用紙Sを第1読取装置200のパージトレイ(不図示)に排出し(ステップS606)、ステップS603に戻る。用紙Sが良好な状態ではないとは、例えば、用紙Sに汚れが付着していたり、用紙Sに傷が付いていたりする状態であることを意味し、用紙Sが良好な状態であるとは用紙Sに汚れや傷が無いこと意味する。
【0150】
例えば、用紙Sが白紙である場合、読取画像は概ね白色になると考えられる。例えば、画素のRGBが各々8ビットで表される場合、用紙Sに汚れや傷が無い場合、すべての画素の値は255に近い値になるが、用紙Sに汚れや傷が有る場合は汚れや傷の部分の画素の値が255よりも小さい値になりうる。
【0151】
一方、画像形成装置300は、用紙Sの状態が良好である場合(ステップS605:YES)、用紙Sに下地画像を形成する(ステップS607)。より具体的には、制御部380は、補助記憶部382に保存されている下地画像データに基づき、第1読取装置200から搬送された用紙Sに下地画像を形成するように画像形成部320を制御する。
【0152】
次に、第2読取装置400は、用紙Sの画像をスキャンし、画像未形成領域を決定する(ステップS608)。例えば、制御部450は、画像形成装置300によって下地画像が形成された用紙Sを読み取るように第2読取部を制御し、第2読取部による読取画像データに基づき下地画像が形成されている領域を取得する。さらに、制御部450は、下地画像が形成されている領域に基づき、用紙Sにおいて下地画像が形成されている領域を除く画像未形成領域を決定し、当該画像未形成領域の位置(例えば、画像未形成領域の左上および右下の座標)を制御部250に送信する。
【0153】
次に、制御部380は、所定枚数の印刷が完了したか否かを判定し(ステップS609)、所定枚数の印刷が完了した場合(ステップS609:YES)、ステップS610の処理に移行する。この時点において、排紙トレイには、下地画像が形成された所定枚数の用紙(用紙束)が、排紙された順に下から積み上げられ載置されている。一方、制御部380は、所定枚数の印刷が完了していない場合(ステップS609:NO)、ステップS603の処理に戻る。
【0154】
次に、
図11Bに示すように、制御部140は、給紙トレイに用紙束がセットされたか否かを判定する(ステップS610)。制御部380は、給紙トレイに用紙束がセットされていない場合(ステップS610:NO)、給紙トレイに用紙束がセットされるまで待機する。一方、制御部380は、給紙トレイに用紙束がセットされている場合(ステップS610:YES)、検品設定がオンか否かを判定する(ステップS611)。制御部380は、検品設定がオンではない、すなわち検品設定がオフである場合(ステップS611:NO)、第1読取装置200に用紙Sを供給するように給紙装置100を制御する(ステップS612)。制御部250は、検品設定がオフであるので、用紙Sを読み取らずに、そのまま用紙Sを画像形成装置300に向けて搬送するように第1読取部および用紙搬送部210を制御する。
【0155】
次に、画像形成装置300は、用紙Sに印刷画像を形成する(ステップS613)。より具体的には、制御部380は、補助記憶部382に保存されている印刷画像データに基づき、第1読取装置200から搬送された用紙Sに印刷画像を形成するように画像形成部320を制御する。
【0156】
次に、制御部380は、所定枚数の印刷が完了したか否かを判定する(ステップS614)。制御部380は、所定枚数の印刷が完了した場合(ステップS614:YES)、処理を終了する(エンド)。一方、制御部380は、所定枚数の印刷が完了していない場合(ステップS614:NO)、ステップS612の処理に戻り、用紙の供給および画像の形成を継続する。
【0157】
一方、制御部380は、検品設定がオンである場合(ステップS611:YES)、第1読取装置200に用紙Sを供給するように給紙装置100を制御する(ステップS615)。
【0158】
次に、第1読取装置200は、第1読取部により用紙をスキャンする(ステップS616)。制御部250は、画像形成装置300によって下地画像が形成された用紙Sを読み取るように第1読取部を制御する。
【0159】
また、制御部250は、用紙Sを読み取った読取画像に対して画像未形成領域以外の領域(すなわち下地画像が形成されている領域)をマスクする。これにより、以下のステップS617において、用紙Sにおいて下地画像が形成されている領域を汚れや傷と誤判定することを防止できる。このように、本実施形態では、第2読取部における用紙Sの読取結果(画像未形成領域)に基づいて、画像未形成領域以外の領域をマスクすることにより、第1読取部が用紙Sを読み取る読取範囲を変更する。
【0160】
次に、制御部250は、用紙Sが良好な状態か否かを判定する(ステップS617)。より具体的には、制御部250は、第1読取部によって取得された読取画像に基づいて、用紙Sが良好な状態か否かを判定する。制御部250は、用紙Sが良好な状態ではないと判定した場合(ステップS617:NO)、用紙Sを第1読取装置200のパージトレイ(不図示)に排出し(ステップS618)、ステップS615に戻る。2回目の印刷前において用紙が良好な状態か否かを判定することにより、例えば、1回目の印刷において誤ってトナーが付着した用紙や、1回目の印刷の後、用紙束の移送時に傷が付いたりした用紙をパージできる。
【0161】
一方、制御部250は、用紙Sが良好な状態である場合(ステップS617:YES)、制御部250は、検品時の読取範囲を決定する(ステップS619)。制御部250は、第1読取部による用紙Sの読取画像データに基づき下地画像が形成されている領域を取得し、下地画像が形成されている領域に基づき検品時の読取範囲を決定する。より具体的には、制御部250は、用紙Sにおいて下地画像が形成されている領域を除く画像領域を検品時の読取範囲に決定し、当該検品時の読取範囲の位置(例えば、検品時の読取範囲の左上および右下の座標)を制御部450に送信する。
【0162】
次に、画像形成装置300は、用紙Sに印刷画像を形成する(ステップS620)。より具体的には、制御部380は、補助記憶部382に保存されている印刷画像データに基づき、第1読取装置200から搬送された用紙Sに印刷画像を形成するように画像形成部320を制御する。
【0163】
次に、第2読取装置400は、用紙の画像をスキャンする(ステップS621)。第2読取装置400は、画像形成装置300において画像が形成された用紙、すなわち印刷物を第2読取部により読み取った読取画像に対して検品時の読取範囲以外の部分を除外(マスク)して検品画像データを生成し、当該検品画像データを制御部380に送信する。なお、画像センサーとしてラインセンサーを使用する代わりに、X方向に画素を走査して画像を読み取るセンサーを使用する場合は、用紙Sの上記検品時の読取範囲をX方向に画素を走査して読み取り、読取画像に基づき検品画像データを生成するように構成してもよい。
【0164】
次に、制御部380は、印刷物を検品する(ステップS622)。より具体的には、制御部380は、検品画像と、基準画像とをページ単位で比較し、両者の一致の度合いにより、印刷物のページに異常があるか否かを判定する。
【0165】
次に、制御部380は、所定枚数の印刷が完了したか否かを判定し(ステップS623)、所定枚数の印刷が完了した場合(ステップS623:YES)、処理を終了する(エンド)。一方、制御部380は、所定枚数の印刷が完了していない場合(ステップS623:NO)、ステップS615の処理に戻る。
【0166】
このように、
図11Aに示すフローチャートの処理では、制御部250は、第1読取部の読取画像に基づいて用紙Sが良好か否かを判定し、制御部380は、用紙Sが良好な状態である場合、所定枚数の用紙Sに下地画像を形成するように画像形成部320を制御する。また、制御部380は、第2読取部の読取画像に基づいて、用紙Sに下地画像が形成されていない画像未形成領域を決定する。また、
図11Bに示すフローチャートの処理では、制御部380は、検品設定がオンである場合、下地画像が形成された各々の用紙Sを読み取り、検品時の読取範囲を決定するように第1読取装置200を制御する。続いて、制御部250は、第1読取部の読取画像に基づいて用紙Sが良好か否かを判定し、制御部380は、用紙Sが良好な状態である場合、下地画像が形成された用紙Sに印刷画像を形成するように画像形成部320を制御する。さらに、制御部380は、画像形成後の用紙Sの画像を読み取るように第2読取装置400を制御し、検品画像と基準画像とを比較することより印刷物の検品を行う。用紙Sの供給から印刷物の検品までの各工程は、印刷画像データのページごとに印刷設定データで指定された所定枚数だけ繰り返される。
【0167】
なお、制御部380が、第2読取部における用紙Sの読取結果に基づいて、第1読取部が用紙Sを読み取る読取範囲を変更する場合を例示して説明したが、本実施形態はこのような場合に限定されない。例えば、制御部450が、第2読取部における用紙Sの読取結果に基づいて、第1読取部が用紙Sを読み取る読取範囲を変更するように構成してもよい。
【0168】
以上のように構成された本実施形態の画像形成システム30は、下記の効果を奏する。
【0169】
第2読取部における用紙の読取結果に基づいて、第1読取部は用紙Sを読み取る読取範囲を用紙全面から下地画像が形成されていない領域に変更するので、2回目の印刷において用紙Sの状態が誤って不良と判定されることを防止できる。したがって、状態が不良の用紙Sを確実にパージできる。
【0170】
以上のように、実施形態において、画像形成システム30、および画像形成システム30の制御方法について説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができることはいうまでもない。
【0171】
また、制御プログラムは、USBメモリー、フレキシブルディスク、CD-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、メモリーやストレージ等に転送され記憶される。また、この検査プログラムは、例えば、単独のアプリケーション・ソフトウェアとして提供されてもよいし、サーバーの一機能としてその各装置のソフトウェアに組み込んでもよい。
【0172】
また、実施形態において検査プログラムにより実行される処理の一部または全部を回路等のハードウェアに置き換えて実行されうる。
【符号の説明】
【0173】
1 印刷システム、
10 クライアント端末、
20 プリンターコントローラー、
30 画像形成システム、
40 通信回線、
100 給紙装置、
110 給紙部、
120 用紙搬送部、
130 通信部、
140 制御部、
200 第1読取装置、
210 用紙搬送部、
220 上側読取部、
221 上側スキャナー
222 第1背景部材、
230 下側読取部、
231 下側スキャナー
232 第2背景部材、
240 通信部、
250 制御部、
300 画像形成装置、
310 画像処理部、
320 画像形成部、
330 給紙部、
340 用紙搬送部、
350 定着部、
360 通信部、
370 操作表示部、
380 制御部、
400 第2読取装置、
410 用紙搬送部、
420 上側読取部、
421 上側スキャナー
422 第1背景部材、
430 下側読取部、
431 下側スキャナー
432 第2背景部材、
440 通信部、
450 制御部、
500 後処理装置、
510 用紙搬送部、
520 後処理部、
530 排紙部、
540 通信部、
550 制御部。