(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126776
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】放射線検出装置
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G01T7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035402
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大瀧 順一朗
(72)【発明者】
【氏名】石本 一
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188CC22
2G188DD10
2G188DD11
2G188DD14
2G188DD36
2G188DD42
2G188DD45
2G188DD47
(57)【要約】
【課題】回路基板上に複数の異なる目的の電位を有する構成であっても、画像ムラの発生を防止することが可能な放射線検出装置を提供する。
【解決手段】放射線を検出する放射線検出部11と、放射線検出部11を支持する導電性の基台12と、第1接地電極(グランド(R-GND)G1)及び第1接地電極とは異なる第2接地電極(グランド(G-GND)G2)を有し、放射線検出部11から読み出された信号を処理する回路基板14と、第2接地電極と基台12との導通を遮断する絶縁部材(第1絶縁部材35、第2絶縁部材36)と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出する放射線検出部と、
前記放射線検出部を支持する導電性の基台と、
第1接地電極及び前記第1接地電極とは異なる第2接地電極を有し、前記放射線検出部から読み出された信号を処理する回路基板と、
前記第2接地電極と前記基台との導通を遮断する絶縁部材と、
を備えることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記第1接地電極と前記第2接地電極とは、同電位で電気系統が異なることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
複数の前記回路基板間の前記第1接地電極同士を接続する第1接続部材と、
複数の前記回路基板間の前記第2接地電極同士を接続する第2接続部材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記第1接続部材及び前記第2接続部材と、前記回路基板と、を前記基台に取り付ける取付部材を備えることを特徴とする請求項3に記載の放射線検出装置。
【請求項5】
前記第1接地電極は、前記回路基板の第1面に設けられ、
前記第2接地電極は、前記回路基板の前記第1面と反対側の第2面に設けられ、
前記第1接続部材及び前記第2接続部材と前記回路基板とは、1つの前記取付部材により前記基台に取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の放射線検出装置。
【請求項6】
前記取付部材は、係合部材を介して前記基台に取り付けられ、
前記絶縁部材は、前記第2接続部材と、前記基台と、の間に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の放射線検出装置。
【請求項7】
前記取付部材は、係合部材を介して前記基台に取り付けられ、
前記絶縁部材は、前記係合部材と前記基台との間に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の放射線検出装置。
【請求項8】
前記取付部材は、絶縁性材料で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の放射線検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物に放射線を照射し、当該対象物を透過した放射線の強度分布を検出する放射線検出装置が知られており、医療分野・産業分野等で広く利用されている。近年、撮影台からの分離・持ち運びを可能とした可搬型(カセッテ型)の放射線検出装置が開発され、実用化されている。このような放射線検出装置は、パネル状をしていることから、FPD(Flat Panel Detector)と呼ばれることがある。FPDは、内部に放射線を検出する放射線検出部を備える。
【0003】
上記の可搬型の放射線検出装置は、技師が撮影位置まで持ち運ぶため、薄型で軽量であることが求められている。しかしながら、薄型軽量化を実現するには、薄型高密実装による電気的なノイズによる画像の影響を考慮した設計が必要となる。
そこで、放射線検出パネル(TFT)を導電性の部材で覆い、定電位に固定してシールドとして機能させることで、放射線検出パネルへの電気ノイズを低減させることを可能にした構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一般に、放射線検出パネルを駆動する電気回路は、複数の異なる目的の電位を有している。複数の電位は、例えば、画像などデジタル信号に対する基準となる電位や、アナログ素子を駆動する際に基準となる電位などである。電気回路を構成する複数の回路基板には、複数の電位の各々に設定された複数の電極が設けられている。
【0005】
放射線検出パネルからの画像信号を受け入れる回路基板が複数の回路基板に分割されている場合に、各回路基板間で同じ電位が異なることがある。同じ電位が回路基板間で異なると、画像信号のレベルや素子の動作に差異が生じるため、画像内でムラとなってしまう。このため、各回路基板間の同じ電位電極を、接続部材を用いて接続することで、電位を安定させていた。電位電極と接続部材とは、回路基板を基台に取り付けるねじを用いて接続部材と回路基板とを基台に共締めして圧接することで、着実な導通が確保されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、可搬型の放射線検出装置は、重量を増加させずに荷重や衝撃に対する強度を向上させるため、基台をMgなどの導電性の金属とすることが検討されている。しかしながら、
図8に示すように、基台112が金属になると、取り付けねじ133や回路基板114裏面側の接続部材132が基台112と接触するため、複数の異なる目的の電位に設定されたグランド(R-GND)G101とグランド(G-GND)G102とが互いに導通してしまう。複数の異なる目的の電位に設定されたグランドG101とグランドG102とが互いに導通すると、意図しないノイズが混入するなどの理由により、画像ムラを発生させてしまう。従来、複数の回路基板を支持する基台は、非導電性の樹脂であったため、回路基板間や取り付けねじ間は、特に対策しなくても絶縁されていた。
特許文献1に記載の構成は、金属層を有する基台と回路のグランドとを導通させる構成であるが、回路基板上に複数の異なる目的の電位を有する構成ではないため、複数の異なる目的の電位が互いに導通することはなかった。
【0008】
本発明は、回路基板上に複数の異なる目的の電位を有する構成であっても、画像ムラの発生を防止することが可能な放射線検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
放射線検出装置において、
放射線を検出する放射線検出部と、
前記放射線検出部を支持する導電性の基台と、
第1接地電極及び前記第1接地電極とは異なる第2接地電極を有し、前記放射線検出部から読み出された信号を処理する回路基板と、
前記第2接地電極と前記基台との導通を遮断する絶縁部材と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線検出装置において、
前記第1接地電極と前記第2接地電極とは、同電位で電気系統が異なることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の放射線検出装置において、
複数の前記回路基板間の前記第1接地電極同士を接続する第1接続部材と、
複数の前記回路基板間の前記第2接地電極同士を接続する第2接続部材と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の放射線検出装置において、
前記第1接続部材及び前記第2接続部材と、前記回路基板と、を前記基台に取り付ける取付部材を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の放射線検出装置において、
前記第1接地電極は、前記回路基板の第1面に設けられ、
前記第2接地電極は、前記回路基板の前記第1面と反対側の第2面に設けられ、
前記第1接続部材及び前記第2接続部材と前記回路基板とは、1つの前記取付部材により前記基台に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の放射線検出装置において、
前記取付部材は、係合部材を介して前記基台に取り付けられ、
前記絶縁部材は、前記第2接続部材と、前記基台と、の間に設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の放射線検出装置において、
前記取付部材は、係合部材を介して前記基台に取り付けられ、
前記絶縁部材は、前記係合部材と前記基台との間に設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項4に記載の放射線検出装置において、
前記取付部材は、絶縁性材料で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、回路基板上に複数の異なる目的の電位を有する構成であっても、画像ムラの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る放射線検出装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】
図2の内部モジュールのIII-III線における断面図である。
【
図4】基台に係合部材及び第2絶縁部材を接着する様子の一例を示す図である。
【
図5】変形例1に係る内部モジュールの構成を示す平面図である。
【
図6】
図5の内部モジュールのVI-VI線における断面図である。
【
図7】変形例2に係る内部モジュールの構成を示す断面図である。
【
図8】従来技術に係る内部モジュールの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
本実施形態に係る放射線検出装置1は、
図1に示すように、筐体10を備える。筐体10の中には、
図2に示すように、放射線検出部11と、基台12と、制御基板13と、複数の回路基板14と、接続回路基板15と、読出し回路16と、駆動回路17と、等を含む内部モジュール100が収納されている。
また、放射線検出装置1は、筐体10の外側面に、電源スイッチ21と、操作スイッチ22と、インジケーター23と、コネクター24と、等を備える(
図1参照)。
【0021】
筐体10は、例えば、炭素繊維強化樹脂(CFRP)により形成されている。筐体10は、放射線照射面である前面部と側面部とを有する箱型の照射面側外装と、蓋体としての背面側外装と、に分割されて構成されている。照射面側外装と背面側外装とは、例えばネジ止めされており、容易に分離可能である。照射面側外装と背面側外装との結合部には、内部に液体が入らないように、図示しないパッキン等の防水部材が設けられている。
【0022】
放射線検出部11は、例えば、シンチレーターとフレキシブルTFT(Thin Film Transistor)を積層し封止したものである。フレキシブルTFTは、可撓性を有する基板の撮像面に、複数の半導体素子及びスイッチ素子であるTFTがマトリクス上に配列されたものである。基板の撮像面は、放射線が照射される側の面である。
放射線検出部11は、放射線が照射された際に、まず、シンチレーターが放射線の強度に応じた光を発する。次に、フレキシブルTFT上の半導体素子(フォトダイオード)が、シンチレーターが発した光を電荷に変換し、信号として接続回路基板15に出力する。
【0023】
基台12は、放射線検出部11や制御基板13、複数の回路基板14等の基板類を支持する支持基材である。基台12は、第1面に放射線検出部11を、第1面と反対側の第2面に回路基板14を、それぞれ支持する。基台12は、導電性の部材(例えばMg)によって形成されている。基台12は、筐体10の内面に接着剤や粘着剤によって固定されていてもよい。基台12は、筐体10と基台12の間に図示しない位置決め部材を設け、移動しないようにしてもよい。
【0024】
制御基板13は、CPU、ROM、RAM、通信部等を含む処理回路131を備える。処理回路131は、放射線検出部11の駆動を制御するとともに、放射線検出部11から読み出された信号を処理する。具体的には、処理回路131は、放射線検出部11から読み出された信号から画像データを生成し、図示しないコンソール等へ出力する。
【0025】
複数の回路基板14は、放射線検出部11と、処理回路131と、の電気的接続を中継する基板である。なお、複数の回路基板14は、放射線検出部11と処理回路131とを直接接続するものであってもよいし、放射線検出部11と処理回路131とを他の部材を介して間接的に接続するものであってもよい。複数の回路基板14は、例えば、放射線検出部11から読み出された信号を処理する。
複数の回路基板14は、複数のSIF基板141と、複数のGIF基板142と、を備える。
【0026】
接続回路基板(COF:Chip On Film)15は、フレキシブルな基板であり、放射線検出部11と回路基板14とを接続している。接続回路基板15は、読出し回路16が設けられた接続回路基板(S-COF)151と、駆動回路17が設けられた接続回路基板(G-COF)152と、を備える。
SIF基板141には、S-COF151が接続されている。
GIF基板142には、G-COF152が接続されている。
【0027】
読出し回路(ROIC:Readout Integrated Circuit)16は、放射線検出部11からの信号を読み出す回路である。
駆動回路(GDIC:Gate Driving Integrated Circuit)17は、放射線検出部11を駆動する回路である。
【0028】
次に、
図3及び
図4を用いて、回路基板14を基台12に取り付ける方法の一例を説明する。
複数の回路基板14の各々には、複数の異なる目的のグランドが設けられている。グランドは、回路動作の基準となる電位(基準電位)に設定されている。複数のグランドは、例えば、画像などデジタル信号に対する基準となる電位に設定されたグランド(R-GND)G1や、アナログ素子を駆動する際に基準となる電位に設定されたグランド(G-GND)G2などである。グランドG1とグランドG2とを分けることで、互いに意図しないノイズが混入することを抑制することができる。本実施形態では、グランドG1を本発明の第1接地電極とし、グランドG2を本発明の第2接地電極とする。上記のように、グランドG1とグランドG2とは、電気系統が異なっている。なお、グランドG1とグランドG2とは、同電位であっても異なる電位であってもよい。
また、グランドG1とグランドG2とは、放射線検出装置1の外部との接続においても、異なる電気系統であってもよい。或いは、外部との接続においては1つのグランドであって、放射線検出装置1内部の回路でグランドG1とグランドG2のように複数の電気系統に分離される構成であってもよい。
【0029】
SIF基板141及びGIF基板142には、それぞれグランドG1が設けられている。
グランドG1は、
図2及び
図3に示すように、回路基板14の第1面に設けられている。ここで、第1面とは、基台12と対向する面の反対側の面(図中の天面)のことである。
SIF基板141には、グランドG2が設けられている。なお、GIF基板142にも、グランドG2を設けるようにしてもよい。
グランドG2は、
図3に示すように、回路基板14の第1面と反対側の第2面に設けられている。ここで、第2面とは、基台12と対向する面(図中の底面)のことである。
【0030】
各グランドG1及びグランドG2は、隣接する回路基板14に設けられた各グランドG1及びグランドG2と対向するように配置されている。
隣接する回路基板14間のグランドG1同士は、第1接続部材31により接続されている。隣接する回路基板14間のグランドG2同士は、第2接続部材32により接続されている。上記の構成を備えることで、隣接する回路基板14間のグランドG1、G2同士を導通させることができるので、回路基板14間の同じ電位を安定させることができる。
なお、隣接するSIF基板141とGIF基板142との同じ電気系統のグランド同士を接続するようにしてもよい。SIF基板141とGIF基板142の機能は異なるが、同じ電気系統のグランド同士を接続することで、グランド面積を大きくすることができるので、よりノイズ耐性を向上させることができる。
【0031】
第1接続部材31及び第2接続部材32と回路基板14とは、
図3に示すように、1つの取り付けねじ33により基台12に取り付けられている。すなわち、取り付けねじ33は、第1接続部材31及び第2接続部材32と、回路基板14と、を基台12に取り付ける本発明の取付部材として機能する。取り付けねじ33は、例えば、金属などの導電性の材料で形成されている。
【0032】
取り付けねじ33は、
図3に示すように、係合部材34を介して基台12に取り付けられている。これにより、係合部材34は、第1接続部材31及び取り付けねじ33を介してグランドG1と導通する。なお、取り付けねじ33は、回路基板14に設けられたねじ穴14aを挿通して係合部材34と嵌合している。ねじ穴14aの外径は、取り付けねじ33のねじ部33aの外径よりも大きいため、取り付けねじ33と回路基板14とは接触しない構成である。これにより、回路基板14に設けられたグランドG1とグランドG2とが、取り付けねじ33を介して導通することを防いでいる。
一方、係合部材34と第2接続部材32との間には、第1絶縁部材35が設けられている。第1絶縁部材35は、樹脂等の絶縁性の材料で形成されている。これにより、グランドG2と係合部材34とが導通することを防いでいる。よって、係合部材34と導通しているグランドG1とグランドG2とが導通することも防いでいる(図中破線L1参照)。
【0033】
また、係合部材34と基台12との間には、第2絶縁部材36が設けられている。第2絶縁部材36は、樹脂等の絶縁性の材料で形成されている。これにより、係合部材34と基台12とが導通することを防いでいる。よって、係合部材34と導通しているグランドG1と基台12とが導通することも防いでいる。
上記のように、本実施形態では、第1絶縁部材35が、グランドG2と係合部材34との導通を防ぎ、第2絶縁部材36が、係合部材34と基台12との導通を防いでいる。すなわち、第1絶縁部材35及び第2絶縁部材36は、グランドG2と基台12との導通を遮断する本発明の絶縁部材として機能する。また、第1絶縁部材35及び第2絶縁部材36は、第2接続部材32と、基台12と、の間に設けられている。
【0034】
なお、第2絶縁部材36は、第2接続部材32の長手方向両端部に、それぞれ上方に突出して第2接続部材32の位置を規制する突出部36aが設けられている。これにより、第2接続部材32の位置がずれて取り付けねじ33や基台12に接触することを防いでいる。
【0035】
係合部材34は、
図4に示すように、中空の円筒状に形成され、接着、圧入等の方法で第2絶縁部材36の孔部36bに嵌め込まれる。係合部材34の内面には雌ねじが設けられており、取り付けねじ33のねじ部33aと係合可能である。係合部材34が嵌め込まれた第2絶縁部材36は、基台12に設けられた凹部12aに接着される。なお、係合部材34の高さは、
図3に示すように、第2絶縁部材36の厚さよりも短くしている。これにより、係合部材34が、基台12と接触しないため、係合部材34と基台12とが導通することを防いでいる。
【0036】
以上のように、本実施形態に係る放射線検出装置1は、放射線を検出する放射線検出部11と、放射線検出部11を支持する導電性の基台12と、第1接地電極(グランド(R-GND)G1)及び第1接地電極とは異なる第2接地電極(グランド(G-GND)G2)を有し、放射線検出部11から読み出された信号を処理する回路基板14と、第2接地電極と基台12との導通を遮断する絶縁部材(第1絶縁部材35、第2絶縁部材36)と、を備える。
したがって、本実施形態に係る放射線検出装置1によれば、回路基板14が有する複数のグランドのうち、目的が異なるグランド間が導電性の基台12を介して導通することを防止することができるので、回路基板14上に複数の異なる目的の電位を有する構成であっても、画像ムラの発生を防止することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る放射線検出装置1によれば、第1接地電極と第2接地電極とは、同電位で電気系統が異なる。
したがって、本実施形態に係る放射線検出装置1によれば、目的が異なるために同電位で電気系統が異なるグランド間が導電性の基台12を介して導通することを防止することができるので、互いに意図しないノイズが混入することを抑制することが可能となり、画像ムラの発生を防止することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る放射線検出装置1によれば、複数の回路基板14間の第1接地電極同士を接続する第1接続部材31と、複数の回路基板14間の第2接地電極同士を接続する第2接続部材32と、を備える。
したがって、本実施形態に係る放射線検出装置1によれば、隣接する回路基板14間のグランドG1、G2同士を導通させることができるので、回路基板14間の同じ電位を安定させることができる。
【0039】
また、本実施形態に係る放射線検出装置1によれば、第1接続部材31及び第2接続部材32と、回路基板14と、を基台12に取り付ける取付部材(取り付けねじ33)を備える。
したがって、本実施形態に係る放射線検出装置1によれば、取り付けねじ33を用いて各接続部材と回路基板14とを基台12に共締めして圧接することができるので、隣接する回路基板14間のグランドG1、G2同士の着実な導通を確保することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る放射線検出装置1によれば、第1接地電極は、回路基板14の第1面に設けられ、第2接地電極は、回路基板14の第1面と反対側の第2面に設けられ、第1接続部材31及び第2接続部材32と回路基板14とは、1つの取付部材により基台12に取り付けられている。
したがって、本実施形態に係る放射線検出装置1によれば、回路基板14の両面を用いてグランドを配置することができるので、回路基板14の面積を小さくすることが可能となり、装置を軽量化することができる。また、1つの取り付けねじ33により2つのグランドを取り付けることができるので、部品点数を削減することができる。
【0041】
また、本実施形態に係る放射線検出装置1によれば、取付部材は、係合部材34を介して基台12に取り付けられ、絶縁部材は、第2接続部材32と、基台12と、の間に設けられている。
したがって、本実施形態に係る放射線検出装置1によれば、第2接続部材32と基台12とが導通することを防ぐことができるので、第2接続部材32と導通しているグランドG2と基台12とが導通することも防ぐことができる。
【0042】
また、本実施形態に係る放射線検出装置1によれば、取付部材は、係合部材34を介して基台12に取り付けられ、絶縁部材は、係合部材34と基台12との間に設けられている。
したがって、本実施形態に係る放射線検出装置1によれば、係合部材34と基台12とが導通することを防ぐことができるので、係合部材34と導通しているグランドG1と基台12とが導通することも防ぐことができる。
【0043】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0044】
(変形例1)
例えば、上記実施形態では、グランド(R-GND)G1を回路基板14の第1面に、グランド(G-GND)G2を回路基板14の第2面に設けるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、
図5及び
図6に示すように、グランドG1及びグランドG2を、ともに回路基板14Aの第1面に設けるようにしてもよい。
【0045】
すなわち、変形例1に係る回路基板14Aの第1面には、グランドG1及びグランドG2が設けられている。各グランドG1及びグランドG2は、隣接する回路基板14Aに設けられた各グランドG1及びグランドG2と対向するように配置されている。
隣接する回路基板14A間のグランドG1同士は、第1接続部材31により接続されている。隣接する回路基板14A間のグランドG2同士は、第2接続部材32により接続されている。上記の構成を備えることで、隣接する回路基板14A間のグランドG1、G2同士を導通させることができるので、回路基板14A間の同じ電位を安定させることができる。
【0046】
第1接続部材31と回路基板14Aとは、1つの取り付けねじ33により基台12に取り付けられている。また、第2接続部材32と回路基板14Aとは、1つの取り付けねじ33により基台12に取り付けられている。
【0047】
第1接続部材31を基台12に取り付ける取り付けねじ33は、
図6に示すように、直接基台12に取り付けられている。これにより、基台12は、取り付けねじ33を介してグランドG1と導通する。また、第2接続部材32を基台12に取り付ける取り付けねじ33は、
図6に示すように、係合部材34を介して基台12に取り付けられている。これにより、係合部材34は、取り付けねじ33を介してグランドG2と導通する。
一方、係合部材34と回路基板14Aとの間には、第1絶縁部材35が設けられている。第1絶縁部材35は、樹脂等の絶縁性の材料で形成されている。
【0048】
また、係合部材34と基台12との間には、第2絶縁部材36が設けられている。第2絶縁部材36は、樹脂等の絶縁性の材料で形成されている。これにより、係合部材34と基台12とが導通することを防いでいる。よって、係合部材34と導通しているグランドG2と基台12とが導通することも防いでいる(図中破線L2参照)。
すなわち、変形例1では、第2絶縁部材36が、グランドG2と導通している係合部材34と基台12との導通を防いでいる。すなわち、第2絶縁部材36は、グランドG2と基台12との導通を遮断する本発明の絶縁部材として機能する。また、第2絶縁部材36は、第2接続部材32と、基台12と、の間に設けられている。
【0049】
係合部材34は、実施形態と同様、中空の円筒状に形成され、接着、圧入等の方法で第2絶縁部材36の孔部36bに嵌め込まれる。係合部材34の内面には雌ねじが設けられており、取り付けねじ33のねじ部33aと係合可能である。係合部材34が嵌め込まれた第2絶縁部材36は、実施形態と同様、基台12に設けられた凹部12aに接着される。なお、係合部材34の高さは、
図6に示すように、第2絶縁部材36の厚さよりも短くしている。これにより、係合部材34が、基台12と接触しないため、係合部材34と基台12とが導通することを防いでいる。
【0050】
上記のように、変形例1の構成によれば、グランドG2と基台12との導通を防ぐことができるので、目的が異なるグランド間が導電性の基台12を介して導通することを防止することが可能となり、画像ムラの発生を防止することができる。
【0051】
(変形例2)
また、上記実施形態及び変形例1では、本発明の取付部材として、金属などの導電性材料で形成された取り付けねじ33を用いた構成を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、樹脂等の絶縁性材料で形成された取り付けねじ33Aを用いるようにしてもよい。
図7に、変形例1の構成(回路基板14Aの第1面にグランドG1及びグランドG2を設ける構成)に取り付けねじ33Aを適用した変形例2の構成を示す。
この場合、基台12が、取り付けねじ33Aを介してグランドG1又はグランドG2と導通することはない。したがって、上記実施形態や変形例1のように、係合部材34を介して取り付けねじ33を基台12に取り付け、係合部材34と基台12との間に第2絶縁部材36を設ける必要はない。よって、第1接続部材31及び第2接続部材32を基台12に取り付ける各取り付けねじ33Aは、
図7に示すように、直接基台12に取り付けられている。すなわち、変形例1の構成と比べ、係合部材34及び第2絶縁部材36を設ける必要がなくなるので、部品点数を削減することができる。
上記のように、変形例2では、取り付けねじ33Aが、グランドG2と基台12との導通を遮断する本発明の絶縁部材として機能する。
【0052】
以上のように、変形例2の構成によれば、取付部材(取り付けねじ33A)が、絶縁性材料で形成されているので、係合部材34及び第2絶縁部材36を設ける必要がなくなり、部品点数を削減することができる。
【0053】
その他、放射線検出装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 放射線検出装置
10 筐体
11 放射線検出部
12 基台
12a 凹部
13 制御基板
131 処理回路
14、14A 回路基板
141 SIF基板
142 GIF基板
14a ねじ穴
15 接続回路基板
151 S-COF
152 G-COF
16 読出し回路
17 駆動回路
21 電源スイッチ
22 操作スイッチ
23 インジケーター
24 コネクター
31 第1接続部材
32 第2接続部材
33、33A 取り付けねじ(取付部材)
33A 取り付けねじ(取付部材、絶縁部材)
33a ねじ部
34 係合部材
35 第1絶縁部材(絶縁部材)
36 第2絶縁部材(絶縁部材)
36a 突出部
36b 孔部
100 内部モジュール
G1 グランド(R-GND)(第1接地電極)
G2 グランド(G-GND)(第2接地電極)