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特開2024-126779被験物質検出装置及び被験物質の検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126779
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】被験物質検出装置及び被験物質の検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G01N33/543 595
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035408
(22)【出願日】2023-03-08
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 皓宇
(57)【要約】
【課題】少ない撮影枚数で粒子の基板に対する結合状態を判別し、被験物質を検出すること。
【解決手段】実施形態の被験物質検出装置は、被験物質に対して結合性を有する捕捉体が固定された基板と、前記基板上で、前記被験物質に対して結合性を有する粒子と、前記被験物質とを反応させた後に、前記基板上の前記粒子に対して、外力を付与する外力付与部と、前記外力が付与された状態で、前記基板上の前記粒子を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記外力の付与による前記粒子の移動範囲を決定する決定部と、前記移動範囲に基づいて、(a)前記被験物質を介して前記捕捉体に結合する前記粒子と、(b)前記被験物質を介さずに前記捕捉体に結合する前記粒子とを区別する判定部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験物質に対して結合性を有する捕捉体が固定された基板と、
前記基板上で、前記被験物質に対して結合性を有する粒子と、前記被験物質とを反応させた後に、前記基板上の前記粒子に対して、外力を付与する外力付与部と、
前記外力が付与された状態で、前記基板上の前記粒子を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記外力の付与による前記粒子の移動範囲を決定する決定部と、
前記移動範囲に基づいて、(a)前記被験物質を介して前記捕捉体に結合する前記粒子と、(b)前記被験物質を介さずに前記捕捉体に結合する前記粒子とを区別する判定部と、
を備える、被験物質検出装置。
【請求項2】
前記捕捉体が、前記被験物質に対して結合性を有する抗体と、前記抗体を前記基板に固定するリンカーとを含む、請求項1に記載の被験物質検出装置。
【請求項3】
前記粒子が、前記被験物質に対して結合性を有する抗体が固定された粒子である、請求項1又は2に記載の被験物質検出装置。
【請求項4】
前記外力付与部が、水平面内における少なくとも一方向の外力を付与する、請求項1又は2に記載の被験物質検出装置。
【請求項5】
前記外力付与部が、鉛直下方向の外力と、鉛直上方向の外力とを付与する、請求項1又は2に記載の被験物質検出装置。
【請求項6】
前記基板に対して、全反射角度で励起レーザーを照射する光源をさらに備える、請求項5に記載の被験物質検出装置。
【請求項7】
被験物質に対して結合性を有する捕捉体が固定された基板上で、前記被験物質に対して結合性を有する粒子と、前記被験物質と、を反応させる第1工程と、
前記第1工程後に、前記基板上の前記粒子に対して、外力を付与する第2工程と、
前記外力が付与された状態で、前記基板上の前記粒子を撮像する第3工程と、
撮像された画像に基づいて、前記外力の付与による前記粒子の移動範囲を決定する第4工程と、
前記移動範囲に基づいて、(a)前記被験物質を介して前記捕捉体に結合する前記粒子と、(b)前記被験物質を介さずに前記捕捉体に結合する前記粒子と、を区別する第5工程と、
を含む、被験物質の検出方法。
【請求項8】
前記捕捉体が、前記被験物質に対して結合性を有する抗体と、前記抗体を前記基板に固定するリンカーとを含む、請求項7に記載の被験物質の検出方法。
【請求項9】
前記粒子が、前記被験物質に対して結合性を有する抗体が固定された粒子である、請求項7又は8に記載の被験物質の検出方法。
【請求項10】
前記第2工程が、水平面内における少なくとも一方向の外力を付与することを含み、
前記第3工程が、前記水平面内における一方向の外力が付与された前記粒子を撮像すること、を含む、
請求項7又は8に記載の被験物質の検出方法。
【請求項11】
前記第2工程が、鉛直下方向の外力を付与することと、鉛直上方向の外力を付与することとを含み、
前記第3工程が、前記基板に対して、全反射角度で励起レーザーを照射してエバネッセント波を発生させること、前記鉛直下方向の外力を付与された前記粒子の散乱光画像を撮像することと、前記鉛直上方向の外力が付与された前記粒子の散乱光画像を撮像することと、を含む、
請求項7又は8に記載の被験物質の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、被験物質検出装置及び被験物質の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料中の被験物質を検出する方法として、抗体等の被験物質に特異的に結合する物質を用いた検出技術が知られている。このような検出技術では、通常、固相に固定化された物質と、固相に固定化されていない物質とを分離する(B/F分離)必要がある。
【0003】
一方、B/F分離を行わずに、被験物質を検出する技術として、被験物質に特異的に結合させた粒子のブラウン運動を測定する方法が知られている。このような方法では、液中で、基板-捕捉体-被験物質-粒子の複合体を形成させ、粒子のブラウン運動による挙動を検出する。粒子が基板に結合していない場合(No Trap)、粒子のブラウン運動は制限を受けないため大きくなる。粒子が被験物質を介さずに非特異的に基板に吸着している場合(Target Negative Trap)、粒子のブラウン運動は制限されてほぼ静止状態となる。粒子が被験物質を介して結合している場合(Target Positive Trap)、粒子のブラウン運動はその中間値となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-027032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の方法では、粒子のブラウン運動を測定する必要がある。粒子のブラウン運動を測定するためには、各時間における粒子のxy座標情報からの移動距離、平均二乗変位等を求める必要がある。そのため、粒子の結合状態を判定するには、粒子座標情報を示す画像を経時的に多数用意する必要があり、撮影枚数の増加を引き起こす。
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、少ない撮影枚数で粒子の基板に対する結合状態を判別し、被験物質を検出することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の被験物質検出装置は、基板と、外力付与部と、撮像部と、決定部と、判定部と、を備える。基板には、被験物質に対して結合性を有する捕捉体が固定されている。外力付与部は、前記基板上で、前記被験物質に対して結合性を有する粒子と、前記被験物質とを反応させた後に、前記基板上の前記粒子に対して、外力を付与する。撮像部は、前記外力が付与された状態で、前記基板上の前記粒子を撮像する。決定部は、前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記外力の付与による前記粒子の移動範囲を決定する。判定部は、前記移動範囲に基づいて、(a)前記被験物質を介して前記捕捉体に結合する前記粒子と、(b)前記被験物質を介さずに前記捕捉体に結合する前記粒子とを区別する。
【0008】
実施形態の被験物質の検出方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、第5工程とを含む。第1工程では、被験物質に対して結合性を有する捕捉体が固定された基板上で、前記被験物質に対して結合性を有する粒子と、前記被験物質と、を反応させる。第2工程では、前記第1工程後に、前記基板上の前記粒子に対して、外力を付与する。第3工程では、前記外力が付与された状態で、前記基板上の前記粒子を撮像する。第4工程では、撮像された画像に基づいて、前記外力の付与による前記粒子の移動範囲を決定する。第5工程では、前記移動範囲に基づいて、(a)前記被験物質を介して前記捕捉体に結合する前記粒子と、(b)前記被験物質を介さずに前記捕捉体に結合する前記粒子と、を区別する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の被験物質検出装置の構成の一例を示す図。
図2】第1実施形態の被験物質検出装置における測定装置の構成の一例を示す模式図。
図3】第1実施形態の被験物質検出装置において、基板上の粒子に対して、鉛直下方向の外力を付与したときの粒子の挙動パターンを示す模式図。
図4】第1実施形態の被験物質検出装置において、基板上の粒子に対して、水平面内におけるP1方向の外力を付与したときの粒子の挙動パターンを示す模式図。
図5】第1実施形態の被験物質検出装置において、基板上の粒子に対して、水平面内におけるP2方向の外力を付与したときの粒子の挙動パターンを示す模式図。
図6】第1実施形態の被験物質検出装置において、基板上の粒子に対して、水平面内における方向の外力を付与したときの粒子の移動可能範囲を示す模式図。
図7】第1実施形態の被験物質検出装置における測定装置の動作フローの一例を示すフローチャート。
図8】第1実施形態の被験物質検出装置における処理回路の処理フローの一例を示すフローチャート。
図9】第2実施形態の被験物質検出装置において、基板上の粒子に対して、鉛直下方向の外力を付与したときの粒子の挙動パターンを示す模式図。
図10】第2実施形態の被験物質検出装置において、基板上の粒子に対して、鉛直上方向の外力を付与したときの粒子の挙動パターンを示す模式図。
図11】第2実施形態の被験物質検出装置における測定装置の動作フローの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施形態の被験物質検出装置及び被験物質の検出方法について説明する。図面中、同一又は相当部分には同一又は対応する符号を付し、重複する説明は省略する。各図における寸法比は、説明のため誇張している部分があり、必ずしも実際の寸法比とは一致しない。
【0011】
<被験物質検出装置>
(第1実施形態)
第1実施形態の被験物質検出装置は、試料中の被験物質を検出するために使用される。第1実施形態の被験物質検出装置では、基板上に存在する粒子に対し、鉛直下方向の外力を付与して基準位置を設定した後、水平面内における一方向に外力を付与する。水平方向の外力を付与したときの基準位置からの粒子の移動範囲により、基板に対する粒子の結合状態が判定される。実施形態の被験物質検出装置では、粒子のブラウン運動を観察する場合と比較して、粒子画像の撮影枚数を大幅に減らすことができる。
【0012】
被検物質は、検出の対象となる物質であり、特に限定されない。被験物質としては、例えば、ペプチド、タンパク質(抗体、酵素、ホルモン、サイトカイン等)、核酸(DNA、RNA等)、糖類(単糖、二糖、オリゴ糖、多糖等)、生理活性物質(ビタミン、補酵素等)、ベシクル(エクソソーム等の細胞外小胞、リポソーム等)、細菌、細胞、ウイルス、ハプテン、薬物、薬物代謝物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
被験物質の検出に用いられる試料は、特に限定されない。試料としては、例えば、体液(血液、血清、血漿、リンパ、唾液、尿、髄液、鼻水、涙、羊水、組織液)、細胞抽出液、環境試料(河川水、海水、湖水、地下水、土壌抽出液、排水)等が挙げられる。試料は、液体試料として調製されて、本実施形態の被験物質検出装置に用いられる。
【0014】
[被験物質検出装置の構成]
図1は、第1実施形態の被験物質検出装置100の構成の一例を示す図である。被験物質検出装置100は、測定装置110と、入力インターフェース120と、出力インターフェース130と、通信インターフェース140と、処理回路150と、メモリ160とを備える。
【0015】
図2は、測定装置110の構成の一例を示す模式図である。測定装置110は、例えば、基板10と、外力付与機構20と、撮像装置30とを備えている。基板10の一方の面(上面)には、捕捉体40が固定化されている。測定装置110では、基板10上において、捕捉体40と、被験物質70と、被験物質70に対して結合性を有する粒子50との反応が行われる。
【0016】
≪被検物質に結合性を有する粒子≫
粒子50は、被験物質70に対して結合性を有する粒子である。粒子50には、被験物質70に対して結合性を有する抗体(第1の抗体51)が固定されており、これにより、被験物質70に対する結合性が付与されている。
【0017】
「被験物質に対して結合性を有する」とは、被験物質に対して、特異的結合活性を有することを意味する。「特異的結合性を有する」とは、特定の物質に対して高い結合親和性を有するが、他の物質に対しては、極めて低い結合親和性しか有さないことを意味する。
【0018】
「抗体」とは、抗原結合活性を有する免疫グロブリンを意味する。抗体は、抗原結合活性を有していれば、インタクトな抗体である必要はなく、抗原結合断片であってもよい。本明細書において、「抗体」という用語は、抗原結合断片を包含する。「抗原結合断片」とは、抗体の一部を含むポリペプチドであって、元の抗体の抗原結合性を維持しているポリペプチドである。抗原結合断片は、元の抗体の6つの相補性決定領域(complementarity determining region:CDR)を全て含むものが好ましい。すなわち、重鎖可変領域のCDR1、CDR2、CDR3、並びに軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、CDR3を全て含むことが好ましい。抗原結合断片としては、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、可変領域断片(Fv)、ジスルフィド結合Fv、一本鎖Fv(scFv)、sc(Fv)等が挙げられる。
【0019】
抗体は、いずれの生物に由来するものであってもよい。抗体が由来する生物としては、例えば、哺乳類(ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ウマ、ウシ、ブタ、サル、イヌ等)、鳥類(ニワトリ、ダチョウ)等が挙げられるが、これらに限定されない。抗体は、免疫グロブリンのいずれのクラス及びサブクラスであってもよい。抗体は、モノクローナル抗体であってもよく、ポリクローナル抗体であってもよいが、モノクローナル抗体が好ましい。抗体は、免疫法、ハイブリドーマ法、ファージディスプレイ法等の公知の方法により作製することができる。
【0020】
粒子50は、例えば、磁性粒子である。この場合、粒子50は、磁石により、外力を付与することができる。粒子50の材質としては、例えば、鉄、コバルト、亜鉛、ニッケル、これらの酸化物及び合金等が挙げられる。粒子50の具体例としては、磁性ビーズが挙げられる。
【0021】
粒子50の形状は、特に制限されないが、例えば、球体、直方体、立方体、三角錐等、又はこれらに近い形状が挙げられる。
【0022】
粒子50の平均粒子径は、外力の付与により移動させる観点から、好ましくは1μm以下、より好ましくは700nm以下である。粒子50の平均粒子径は、顕微鏡等で拡大することにより粒子を可視化可能であるという観点等から、好ましくは1nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。粒子50の平均粒子径は、好ましくは1nm~1μm、より好ましくは10nm~1μm、さらに好ましくは50nm~1μm、よりさらに好ましくは50nm~700nmである。粒子50の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定装置により測定される体積基準のメジアン径である。このような粒度分布測定装置としては、日機装株式会社製「マイクロトラックMT3000II」等が挙げられる。
【0023】
粒子50に第1の抗体51を固定する方法は、特に限定されない。固定方法としては、ビオチン-アビジン結合を利用する方法、官能基間の化学結合を利用する方法、物理的吸着を利用する方法等が挙げられる。化学結合を利用する方法としては、例えば、第1の抗体51が有する官能基(カルボキシ基、アミノ基、チオール基等)と反応性を有する官能基により粒子50の表面を修飾し、両者を反応させる方法が挙げられる。結合反応を行う官能基の組合せとしては、チオール基とマレイミド基、チオール基とビニル基、ヒドロキシ基とカルボキシ基、ヒドロキシ基とアミノ基、スクシンイミド基とアミノ基等が挙げられる。粒子50の表面をカルボキシ基修飾し、活性エステル化剤で活性化させた後、第1の抗体51が有するアミノ基と結合させてもよい。活性エステル化剤としては、例えば、N-ヒドロキシスルホスクシンイミド等が挙げられる。官能基間の反応が縮合反応である場合、縮合剤を用いてもよい。縮合剤としては、カルボジイミド系縮合剤等が挙げられる。
【0024】
粒子に、被験物質に対する結合性を付与する物質は、抗体でなくてもよい。被験物質に対して結合性を有する物質(「被験物質に対する特異的結合物質」ともいう)であれば、粒子に固定することで、粒子に、被験物質に対する結合性を付与することができる。被験物質に対する特異的結合物質は、被験物質の種類に応じて、選択することができる。被験物質と特異的結合物質との組合せとしては、例えば、ペプチドと抗体;タンパク質と抗体;核酸の部分配列と、当該部分配列に相補的な配列を含む核酸;リガンドとその受容体;酵素とその基質;酵素とその阻害剤;酵素とその補因子;糖鎖とレクチン;ペプチドとアプタマー;タンパク質とアプタマー;核酸とアプタマー;核酸の転写制御配列部分とその転写制御因子;化合物とその化合物に結合性を有する高分子化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
粒子は、磁性粒子でなくてもよい。この場合、粒子の材質としては、例えば、金、銀、銅、アルミ、マンガン、チタン、これらの酸化物等の金属製粒子;ポリスチレン、ラテックス等の樹脂製粒子;シリカ粒子等が挙げられる。具体例としては、金属ビーズ、樹脂ビーズ、シリカビーズ等が挙げられる。粒子が磁性粒子でない場合、外力は、クーロン力、流体力等により付与することができる。
【0026】
粒子は、標識物質で標識されていてもよい。標識物質としては、例えば、蛍光物質(フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、テトラメチルローダミン、カルボキシローダミン、フィコエリスリン、6-FAM(商標)、Cy(登録商標)3、Cy(登録商標)5、Alexa Fluor(登録商標)のシリーズ等)、酵素(例えば、β-ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ等)等が挙げられる。標識物質を用いる場合、蛍光物質が好ましい。蛍光物質で標識された粒子は、蛍光顕微鏡で観察することができる。
【0027】
≪基板≫
基板10の一方の面(例えば、上面)には、捕捉体40が固定されている。基板10の材質は、捕捉体40を固定化能なものであれば、特に限定されない。基板10の材質としては、例えば、ポリスチレン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂;ガラス等が挙げられる。基板10は、透明性のある材質で構成されることが好ましい。
【0028】
基板10の捕捉体40が固定された面には、1個の粒子50を収容可能なチャンバ11が複数形成されている。チャンバ11の形状は、被験物質、粒子、及び捕捉体が相互に接触する場を保持できる状態である限り、特に限定されない。チャンバ11の形状としては、例えば、円筒状、半球状、多角柱状、管状等が挙げられる。
【0029】
チャンバ11の深さ(高さ)は、好ましくは粒子50の粒子径の5倍以下である。チャンバ11の深さは、例えば、10μm以下が挙げられ、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。チャンバ11の深さの下限値としては、例えば、0.2μm以上、0.4μm以上、0.6μm以上、又は0.8μmが挙げられる。
【0030】
チャンバ11の開口面積は、粒子50が収容可能な大きさであればよく、粒子50の大きさに応じて適宜設定可能である。チャンバ11の開口部の幅は、例えば、粒子50の直径の1.05~5倍程度とすることができる。チャンバ11の開口部の幅の具体例としては、例えば、20mm以下、1mm以下、50μm以下、10μm以下、5μm以下が挙げられる。チャンバ11の開口部の幅の下限値の具体例としては、例えば、0.5μm以上、1μm以上、又は2μm以上が挙げられる。
【0031】
チャンバは、複数の粒子を収容可能であってもよい。この場合、チャンバの容量としては、例えば、50~1000μL、50~800μL、50~500μL、50~400μL等が挙げられる。例えば、96穴マイクロウェルプレート等のマイクロウェルプレートを基板とし、ウェルをチャンバとして用いてもよい。あるいは、基板上に液体を保持可能であれば、基板の表面にチャンバが存在しなくてもよい。
【0032】
≪捕捉体≫
捕捉体40は、被験物質に結合性を有し、基板10に固定されている。捕捉体40は、チャンバ11の底面に固定されてもよく、側面に固定されてもよい。捕捉体40は、基板10上に存在する被験物質70を捕捉し、被験物質70を基板10に固定する。
【0033】
捕捉体40は、抗体41(第2の抗体)とリンカー42とから構成されている。リンカー42は、抗体41を基板10に固定するものである。
【0034】
第2の抗体41は、被験物質に対して結合性を有する抗体である。第2の抗体41は、被験物質70に対して結合性を有すれば、第1の抗体51と同じ抗体でもよく、異なる抗体でもよい。第2の抗体41は、例えば、被験物質70に対して、第1の抗体51とは異なるエピトープで結合する抗体であってもよい。
【0035】
第2の抗体41は、リンカー42を介して、基板10に固定されている。第2の抗体41が、リンカー42を介して基板10に固定されることで、捕捉体40に対する粒子50の結合状態が判別しやすくなる。
【0036】
リンカー42としては、例えば、高分子化合物が挙げられる。高分子化合物としては、合成高分子化合物、核酸、脂質等が挙げられる。合成高分子化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール等が挙げられる。核酸としては、DNA、RNA、DNAとRNAの混合体が挙げられる。核酸は、LNA、PNA等の人工核酸であってもよい。脂質としては、MPC(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)ポリマー等のリン脂質ポリマーが挙げられる。
【0037】
リンカー42の長さは、特に限定されず、チャンバ11のサイズに応じて適宜設定することができる。リンカー42の長さは、チャンバ11の幅から粒子50の粒子径を差し引いた長さ以下である。リンカー42の長さの下限値は、15nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、50nm以上がさらに好ましい。リンカー42の長さの上限値は、チャンバ11の幅の8/10以下が好ましく、5/10以下がより好ましく、2/10以下がさらに好ましい。
【0038】
リンカー42を、基板10に固定する方法は、特に限定されない。固定方法としては、ビオチン-アビジン結合を利用する方法、官能基間の化学結合を利用する方法、物理的吸着を利用する方法等が挙げられる。化学結合を利用する方法としては、例えば、基板10を特定の官能基により修飾し、リンカー42に前記官能基と反応する官能基で標識し、両者を反応させる方法が挙げられる。結合反応を行う官能基の組合せとしては、上記と同様のものが挙げられる。
【0039】
第2の抗体41とリンカー42との結合は、公知の方法を用いて行うことができる。結合方法としては、例えば、ビオチン-アビジン結合を利用する方法、官能基間の化学結合を利用する方法が挙げられる。
【0040】
捕捉体は、抗体以外の特異的結合物質を含んでもよい。被験物質に対する特異的結合物質は、被験物質に応じて選択することができ、上記と同様のものが挙げられる。
【0041】
≪外力付与機構≫
外力付与機構20は、基板10に存在する粒子50に対し、所定方向の外力を付与する。外力付与機構20は、基板10上の粒子50に対し、水平面内における少なくとも1方向の外力を付与することができる。外力付与機構20は、基板10上の粒子50に対し、鉛直下方向の外力を付与できることが好ましい。本明細書において、「水平面」は、完全な水平面である必要はなく、水平面から若干ずれたものも含み得る。本明細書において、「鉛直下方向」は、完全な鉛直下方向である必要はなく、鉛直下方向から若干ずれたものも含み得る。
【0042】
外力付与機構20は、例えば、磁石21、磁石22、磁石23を備える。磁石21及び磁石22は、基板10の周囲に配置され、基板10上の粒子50に対し、水平面内における外力を付与する。磁石23は、基板10の下方に配置され、基板10上の粒子に対し、鉛直下方向の外力を付与する。磁石21、磁石22、磁石23は、例えば、電磁石である。磁石23に通電すると、粒子50に対して、鉛直下方向(Z1方向)の外力が付与される。磁石21に通電すると、粒子50に対して、水平面内におけるP1方向の外力が付与される。磁石22に通電すると、粒子50に対して、水平面内におけるP2方向の外力が付与される。外力付与機構20は、「外力付与部」の一例である。
【0043】
外力付与機構20は、図示しないさらなる磁石を備えていてもよい。例えば、外力を付与する方向に応じて、磁石の数及び配置を設定することができる。磁石は、外力を付与する方向に応じて、移動させてもよい。
【0044】
磁石21、磁石22、磁石23が永久磁石である場合、これらの永久磁石の移動、あるいは磁力を遮蔽する遮蔽板の移動等により、外力の方向を制御してもよい。
【0045】
粒子50が、磁性粒子でない場合、外力付与機構は、クーロン力、流体力等を付与するものであってもよい。例えば、粒子50が、電荷を帯びた帯電粒子である場合、基板10の周囲に電極を配置し、通電することで、粒子に外力を付与することができる。例えば、チャンバをフローセルとし、ポンプ等によりチャンバ内の液体に流れを発生させることで、粒子に流体力による外力を付与することができる。
【0046】
≪撮像装置≫
撮像装置30は、静止画の撮像が可能であれば、特に限定されない。撮像装置30としては、例えば、CCD、CMOS等の撮像素子を備えたカメラが挙げられる。撮像装置30は、顕微鏡の対物レンズ又は接眼レンズに接続されていてもよい。撮像装置30は、「撮像部」の一例である。
【0047】
図1の被験物質検出装置100の構成図の説明に戻る。入力インターフェース120は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路150に出力する。入力インターフェース120は、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパネルなどの物理的な操作部品を備える。入力インターフェース120は、例えば、マイク等の音声入力を受け付けるユーザインタフェースであってもよい。入力インターフェース120がタッチパネルである場合、入力インターフェース120は、ディスプレイ等の表示機能を兼ね備えるものであってよい。
【0048】
入力インターフェース120はマウスやキーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も、入力インターフェース120の例に含まれる。
【0049】
出力インターフェース130は、例えば、ディスプレイやスピーカ等を備える。ディスプレイは、各種情報を表示する。例えば、ディスプレイは、処理回路150によって出力された情報を画像として表示したり、ユーザからの各種の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。例えば、ディスプレイは、LCD(Liquid Crystal Display)や、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。スピーカは、処理回路150によって出力された情報を音声として出力する。
【0050】
通信インターフェース140は、例えば、NIC(Network Interface Card)や無線通信用のアンテナ等を含む。通信インターフェース140は、ケーブル等を介して接続された測定装置110と通信したり、通信ネットワークNWを介して外部装置と通信したりする。
【0051】
通信ネットワークNWは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味してよい。例えば、通信ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)や、WAN(Wide AreaNetwork)、インターネットのほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワーク等を含む。
【0052】
外部装置は、例えば、LANに接続されたコンピュータであってよい。つまり、外部装置は、被験物質検出装置100が設置された検査機関内のコンピュータであってよい。このようなコンピュータは、ワークステーションとも呼ばれる。また、外部装置は、WANやインターネットに接続されたクラウドサーバ等であってもよい。
【0053】
通信インターフェース140は、Wi-Fiなどの無線によって測定装置110と通信してもよい。
【0054】
処理回路150は、例えば、外力付与制御機能151と、撮像制御機能152と、取得機能153と、移動範囲決定機能154と、判定機能155と、被験物質濃度決定機能156と、出力制御機能157と、を備える。処理回路150は、例えば、ハードウェアプロセッサ(コンピュータ)がメモリ160(記憶回路)に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0055】
処理回路150におけるハードウェアプロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA)等の回路(circuitry)を意味する。メモリ160にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。上記のプログラムは、予めメモリ160に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の非一時的記憶媒体に格納されており、非一時的記憶媒体が被験物質検出装置100のドライブ装置(不図示)に装着されることで非一時的記憶媒体からメモリ160にインストールされてもよい。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。
【0056】
外力付与制御機能151は、外力付与機構20を制御する。外力付与制御機能151及び外力付与機構20は、「外力付与部」の一例である。
【0057】
撮像制御機能152は、撮像装置30を制御する。撮像制御機能152及び撮像装置30は、「撮像部」の一例である。
【0058】
取得機能153は、例えば、通信インターフェース140を介して、撮像装置30により撮像された画像を取得する。
【0059】
移動範囲決定機能154は、取得機能153により取得された画像に基づいて、外力の付与による捕捉体40の移動範囲を決定する。移動範囲決定機能154は、「決定部」の一例である。
【0060】
判定機能155は、移動範囲決定機能154により決定された粒子50の移動範囲に基づいて、(a)前記被験物質を介して前記捕捉体に結合する前記粒子と、(b)前記被験物質を介さずに前記捕捉体に結合する前記粒子とを区別する。判定機能155は、「判定部」の一例である。
【0061】
被験物質濃度決定機能156は、判定機能155により、(a)前記被験物質を介して前記捕捉体に結合する前記粒子と判定された粒子の数又は割合に基づいて、試料中の被験物質70の濃度を決定する。
【0062】
出力制御機能157は、出力インターフェース130を介して、取得機能153により取得された画像、移動範囲決定機能154により決定された粒子50の移動範囲、判定機能155による判定結果、及び被験物質濃度決定機能156により決定された被験物質濃度等を出力する。
【0063】
メモリ160は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクによって実現される。これらの非一過性の記憶媒体は、NAS(Network Attached Storage)や外部ストレージサーバ装置といった通信ネットワークNWを介して接続される他の記憶装置によって実現されてもよい。また、メモリ160には、ROM(Read Only Memory)やレジスタ等の非一過性の記憶媒体が含まれてもよい。
【0064】
[粒子の結合状態の判定方法]
図3~6に基づいて、被験物質検出装置100による粒子結合状態の判定方法について説明する。
【0065】
捕捉体40が固定された基板10上で、被験物質70と、粒子50とを反応させると、基板10に被験物質70が結合する。基板10に対する粒子50の結合状態は、典型的に、3つのパターンに分類される。「No Trap」は、基板10に対して粒子50が結合していない状態である。「Target Positive Trap」は、粒子50が被験物質70を介して基板10に結合している状態である。「Target Negative Trap」は、粒子50が、被験物質70を介さずに、非特異的に基板10に結合している状態である。
【0066】
外力付与機構20により、基板10上の粒子50に対し、鉛直下方向(Z1方向)の外力を付与する(図3)。このときの粒子50の位置を基準位置(座標(0,0))として設定する。粒子の位置座標は、例えば、粒子50の中心点に基づいて設定される(図3下図)。
【0067】
次に、外力付与機構20により、基板10上の粒子50に対し、水平面内における一方向(P1方向)の外力を付与する(図4)。このとき、「No Trap」では、粒子50が基板10に結合していないため、粒子50の移動は制限されない。粒子50は、P1方向に大きく移動する。粒子50の基準位置からの移動距離(Da1)は、このときの粒子50の位置座標(Xa1,Ya1)に基づいて算出することができる(図4下図)。
【0068】
「Target Negative Trap」では、粒子50は、複数の捕捉体40により非特異的にトラップされており、動きが大きく制限される。そのため、粒子50の移動距離は小さい。粒子50の基準位置からの移動距離(Dc1)は、このときの粒子50の位置座標(Xc1,Yc1)に基づいて算出することができる(図4下図)。
【0069】
「Target Positive Trap」では、粒子50は、被験物質70を介して捕捉体40に結合している。粒子50は、被験物質70を介して、1つの捕捉体40に結合していると考えられる。粒子50は、捕捉体40との結合により移動が制限されるが、その制限の程度は、「Target Negative Trap」よりも小さい。そのため、粒子50の移動距離は、「No Trap」と「Target Negative Trap」の中間となる。粒子50の基準位置からの移動距離(Db1)は、このときの粒子50の位置座標(Xb1,Yb1)に基づいて算出することができる(図4下図)。すなわち、粒子50の移動距離は、Dc1<Db1<Dc1となる。外力(P1)を付与したときの各粒子50の移動距離を算出し、移動距離のヒストグラムを作成すると、3つのピークが分布に現れる。移動距離が大きい方のピークから順に、「No Trap」、「Target Positive Trap」、及び「Target Negative Trap」と推定される。したがって、中間のピークに分類される粒子50を「Target Positive Trap」として区別することができる。ヒストグラムは、ガウシアンフィッティングを行ってもよい。粒子50の移動距離は、「粒子の移動範囲」の一例である。
【0070】
次に、外力付与機構20により、基板10上の粒子50に対し、水平面内における別方向(P2方向)の外力を付与する(図5)。このときも、図4の場合と同様に、「No Trap」では、粒子50がP2方向に大きく移動する。「Target Negative Trap」では、粒子50のP2方向への移動距離は小さい。「Target Positive Trap」は、「No Trap」及び「Target Negative Trap」の中間の移動距離となる。各粒子50について移動距離のヒストグラムを作成すると、3つのピークが分布に現れる。中間のピークに分類される粒子50を「Target Positive Trap」として区別することができる。
【0071】
ヒストグラムは、外力(P1)を付与したときの移動距離と、外力(P2)を付与したときの移動距離との合計値により作成してもよい。この場合も、3つのピークが分布に現れ、移動距離の大きい方から順に、「No Trap」、「Target Positive Trap」、及び「Target Negative Trap」となる。水平面内において3以上の方向に外力を付与したときも、各方向に外力を付与したときの粒子50の移動距離の合計値を、ヒストグラムの作成に用いてもよい。粒子50の移動距離の合計値は、「粒子の移動範囲」の一例である。
【0072】
水平面内において3方向以上の外力を付与し、各方向に外力を付与したときの粒子50の各位置座標から、粒子50の移動可能範囲を推定してもよい。粒子50の「移動可能範囲」は、粒子50が移動可能な空間的な領域として定義される。移動可能範囲の大きさの評価指標の例として、移動可能範囲の面積が挙げられる。図6は、水平面内における3方向(外力P4~P6)に外力を付与したときの粒子50の移動距離から、粒子50の移動可能範囲を推定する一例である。鉛直下方向の外力(Z1)を付与したときの粒子50の位置(座標(0,0))を基準位置とし、外力(P4)、外力(P5)、及び外力(P6)をそれぞれ付与したときの粒子50の各位置座標(位置座標(P4)、位置座標(P5)、位置座標(P6))を取得する。これらの位置座標を通過し、座標(0,0)を中心とする円を設定する。この円は、粒子50の移動可能範囲と推定される。粒子50の移動可能範囲は、この円の面積として取得することができる。座標(0,0)を中心とし、位置座標(P4)、位置座標(P5)、及び位置座標(P6)を通過する円を設定できない場合には、位置座標(P4)、位置座標(P5)、及び位置座標(P6)を結んでできる多角形の面積を移動可能範囲としてもよい。粒子50の移動可能範囲は、「Target Negative Trap」<「Target Positive Trap」<「No Trap」の順で大きくなる。移動可能範囲のヒストグラムを作成すると、3つのピークが分布に現れる。中間のピークに分類される粒子50を「Target Positive Trap」として区別することができる。ヒストグラムは、ガウシアンフィッティングを行ってもよい。粒子50の移動可能範囲は、「粒子の移動範囲」の一例である。
【0073】
水平面内において3方向以上の外力を付与し、粒子50の移動可能範囲を推定する場合、基準位置の設定(鉛直下方向への外力の付与)は、必ずしも行う必要がない。基準位置の設定を行わず、水平面内における各方向に外力を付与したときの粒子50の各位置座標から、これらの位置座標を通過する円を設定し、粒子50の移動可能範囲として推定してもよい。外力を付与する方向が3方向である場合、各方向の交差角度は、90~150°程度が好ましく、100~140°程度がより好ましく、110~130°程度がさらに好ましく、120°程度が特に好ましい。
【0074】
[被験物質検出装置の動作フロー]
図7は、被験物質検出装置100における測定装置110の動作フローの一例を示すフローチャートである。
【0075】
ステップS101では、基板10上で、捕捉体40、被験物質70及び粒子50の反応を行う。反応は、通常、液体中で行われる。反応場の液体としては、例えば、緩衝液が挙げられる。緩衝液としては、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝液、HEPES緩衝液、ホウ酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液等が挙げられる。反応温度としては、例えば、10~60℃、15~50℃、20~50℃、30~40℃等が挙げられる。
【0076】
被験物質70を含む試料と、粒子50とは、同時に基板10上に導入されてもよい。この場合、反応時間は、特に限定されず、捕捉体40、被験物質70、及び粒子50の複合体が形成可能な時間であればよい。反応時間は、15分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、1時間以上がさらに好ましい。反応時間の上限値は特に限定されないが、例えば、24時間以下、12時間以下、10時間以下、6時間以下、4時間以下、又は2時間以下であってもよい。
【0077】
あるいは、まず、被験物質70を含む試料が基板10上に導入され、被験物質70と捕捉体40との反応が行われた後、粒子50が基板10上に導入され、被験物質70と粒子50との反応が行われてもよい。各反応における反応時間としては、上記と同様のものが挙げられる。
【0078】
ステップS102では、外力付与機構20は、外力付与制御機能151による制御により、基板10上の粒子50に対し、鉛直下方向の外力を付与する。これにより、粒子50の基準位置が設定される。粒子50の基準位置の設定を行わない場合、ステップS102は省略される。
【0079】
ステップS103では、撮像装置30は、撮像制御機能152による制御により、基準位置の粒子50を撮像する。粒子50の撮像は、粒子50に対し、外力付与機構20が鉛直下方向の外力を粒子50に付与した状態で、粒子50の挙動が安定した後に行われる。粒子50の基準位置の設定を行わない場合、ステップS103は省略される。
【0080】
ステップS104では、外力付与機構20は、外力付与制御機能151による制御により、基板10上の粒子50に対し、水平面内における1方向の外力(例えば、第1方向)を付与する。外力を付与する方向は、特に限定されない。外力の大きさは、捕捉体40と被験物質70との結合、及び被験物質70と粒子50との結合が解離しない程度の大きさであればよい。外力の大きさは、被験物質70、粒子50に固定された第1の抗体51、及び捕捉体40に含まれる第2の抗体により、変動し得る。
【0081】
外力の大きさは、例えば、検出対象とする被験物質の精製品を用いて、実験的に決定されてもよい。例えば、捕捉体40、精製品、及び粒子50を反応させ、鉛直下方向の外力を付与して基準位置を設定し、水平面内における1方向以上に外力を付与する。このときの各粒子50の移動範囲を決定し、移動範囲のヒストグラムを作成する。当該ヒストグラムにおいて、3つのピークが分布に現れた場合、それらのピークは、移動範囲の大きい方から順に、「No Trap」、「Target Positive Trap」、及び「Target Positive Trap」であると推測される。この場合、付与された外力は、捕捉体40と被験物質70との結合、及び被験物質70と粒子50との結合が解離しない程度の大きさであると判断される。そのため、当該外力の大きさを、ステップS104において付与する外力の大きさとして採用することができる。
【0082】
ステップS105では、撮像装置30は、撮像制御機能152による制御により、粒子50を撮像する。粒子50の撮像は、粒子50に対し、外力付与機構20が、水平面内の1方向の外力を付与した状態で、粒子50の挙動が安定した後に行われる。
【0083】
ステップS106では、基板10上の粒子50に対し、水平面内における別方向(例えば、第2方向)の外力を付与するかを判定する。「YES」と判定された場合、ステップS104に戻る。「NO」と判定された場合、処理を終了する。例えば、予め設定された水平面内における方向について、未実施の方向がある場合には、「YES」と判定される。予め設定された水平面内における方向について、全て実施された場合には、「NO」と判定される。
【0084】
ステップS104~ステップS106の繰り返し回数は、特に限定されない。繰り返し回数は、例えば、1~10回、1~8回、1~6回、1~5回、1~3回、又は1~2回であってよい。
【0085】
図8は、処理回路150の処理フローの一例を示すフローチャートある。
【0086】
ステップS201では、取得機能153が、通信インターフェース140等を介して、撮像装置30により撮像された粒子50の画像を取得する。
【0087】
ステップS202では、取得機能153により取得された粒子50の画像に基づいて、移動範囲決定機能154が、外力付与による粒子50の移動範囲を決定する。例えば、まず鉛直下方向の外力を付与された状態で撮像された粒子50の画像から、粒子50の基準位置(座標(0,0))を設定する(図3参照)。次に、水平面内における1方向(例えばP1方向)に外力を付与された状態で撮像された粒子50の画像において、粒子50の位置座標を決定し、基準位置からの移動距離を算出する(図4参照)。水平面内における別の方向(例えばP2方向)で外力が付与された状態の粒子50の画像がある場合には、同様に、粒子50の基準位置からの移動距離を算出する(図5参照)。これらの移動距離の合計値を、「粒子の移動範囲」として決定してもよい。あるいは、図6で説明したように各粒子50の移動可能範囲を算出し、これを「粒子の移動範囲」として決定してもよい。
【0088】
チャンバ11が粒子50を1個のみ収容可能な大きさである場合、各画像間における同一の粒子50の判別は、チャンバ11の位置に基づいて容易に行うことができる。すなわち、各画像間において、同じチャンバ11内に位置する粒子50を、同一の粒子50として判別することができる。
【0089】
チャンバ11が2個以上の粒子50を収容可能な大きさであるかチャンバ11が存在しない場合、鉛直下方向に外力を付与したときの画像と、水平面内の一方向に外力を付与したときの画像とを比較し、両画像において近接した位置に存在する粒子50を、同一の粒子50として判別することができる。この場合、「No Trap」の粒子50は、水平面内の一方向に外力を付与したときの移動距離が大きく、基準位置の粒子50の近接した位置には存在しない。そのため、画像間で対応付けのできた粒子50を「Target Positive Trap」及び「Target Negative Trap」と判定し、これらの粒子50について移動範囲を決定してもよい。
【0090】
ステップS203では、移動範囲決定機能154により決定された移動範囲に基づいて、判定機能155が、各粒子50を区別し、粒子50の結合状態を判定する。すなわち、(a)被験物質70を介して捕捉体40に結合する粒子50(Target Positive Trap)と、(b)被験物質70を介さずに捕捉体40に結合する粒子50(Target Negative Trap)と、(c)捕捉体40に結合していない粒子50(No Trap)と、を区別する。例えば、各粒子50について決定された移動範囲のヒストグラムを作成すると、3つのピークが分布に現れる。移動範囲の大きい方のピークから順に、「No Trap」、「Target Positive Trap」、及び「Target Negative Trap」が分布する。そのため、中間のピークに分類される粒子50を「Target Positive Trap」、移動範囲が最も小さいピークに分類される粒子50を「Target Negative Trap」として区別する。
【0091】
チャンバ11が2個以上の粒子50を収容可能な大きさであるかチャンバ11が存在しない場合、ステップS202において、「No Trap」の移動範囲は決定できない。そのため、移動範囲のヒストグラムを作成したとき、ピークは2つとなる。この場合、移動範囲の大きいピークに分類される粒子50を「Target Positive Trap」、移動距離の小さいピークに分類される粒子50を「Target Negative Trap」として区別する。
【0092】
ステップS204では、被験物質濃度決定機能156が、「Target Positive Trap」として区別された粒子50に基づいて、被験物質70を検出し、試料における被験物質70の濃度を決定する。例えば、「Target Positive Trap」として区別された粒子50を計数し、メモリ160等に記憶された検量線に基づいて、試料における被験物質70の濃度を決定する。あるいは、「Target Positive Trap」及び「Target Negative Trap」と区別された粒子50の合計数における「Target Positive Trap」の割合を算出し、メモリ160等に記憶された検量線に基づいて、試料における被験物質70の濃度を決定してもよい。これにより処理が終了する。
【0093】
以上説明した第1実施形態によれば、粒子50に対して、鉛直下方向に外力を付与したときの画像、及び水平面内における1方向に外力を付与したときの画像の少なくとも2枚の画像があれば、粒子50の中から、「Target Positive Trap」である粒子50を区別することができる。そのため、粒子50のブラウン運動を観察する場合と比較して、撮像枚数を減らすことができる。
【0094】
(第2実施形態)
第2実施形態の被験物質検出装置は、基板10に対して全反射角度で励起レーザーを照射する光源80を備えている(図9参照)。光源80は、基板10に対して、全反射角度で励起レーザーを照射してエバネッセント波を生成させる。エバネッセント波により生じる粒子50の散乱光は、粒子50の基板10からの距離に応じて減衰する。そのため、粒子50の散乱光を検出し、これを粒子50の基板10からの距離の指標とする。
【0095】
第2実施形態では、粒子50として、例えば、蛍光色素で標識された磁性粒子を用いてもよい。蛍光標識された粒子50を用いることにより、エバネッセント波による散乱光を蛍光として検出することができる。
【0096】
光源80は、励起レーザーを照射可能であれば、特に限定されない。光源80としては、例えば、YAGレーザー、ルビーレーザー、ガラスレーザー、YVO4レーザー、LDレーザー、ファイバーレーザー等の固体レーザー;半導体レーザー等が挙げられる。光源80は、基板10の、捕捉体40が固定されている面(チャンバ11が形成されている面)とは逆側(基板10の下面側)から、基板10に対して、全反射角度で、励起レーザーを照射する。
【0097】
外力付与機構20は、基板10上の粒子50に対して、鉛直下方向の外力と、鉛直上方向の外力を付与することができる。本明細書において、「鉛直上方向」は、完全な鉛直上方向である必要はなく、鉛直上方向から若干ずれたものも含み得る。
【0098】
外力付与機構は、鉛直下方向及び鉛直上方向に外力を付与可能なものであれば、特に限定されない。外力付与機構20は、例えば、基板10の上方及び下方に配置された磁石25、磁石26を備える。外力がクーロン力である場合、外力付与機構は、例えば、基板10の上方及び下方に配置された電極を含んでもよい。外力が流体力である場合、外力付与機構は、鉛直下方向及び鉛直上方向に基板上の液体の流れを生成可能なポンプ等を含んでもよい。
【0099】
撮像装置30は、エバネッセント波の照明による粒子の散乱光を撮像可能であれば、特に限定されない。撮像装置30としては、例えば、暗視野顕微鏡の対物レンズに接続されたカメラが挙げられる。
【0100】
その他の構成は、第1実施形態と同じとすることができる。
【0101】
図9及び図10に基づいて、第2実施形態の被験物質検出装置における粒子の結合状態の判定方法を説明する。
【0102】
光源80が、基板10の下方から、基板10に対し、全反射角度で励起レーザーを照射する。これにより、基板10上の空間に、エバネッセント波Eが生成する。エバネッセント波Eは、基板10からの距離が大きくなると、指数関数的に減衰する。エバネッセント波Eにより粒子50から発生する散乱光は、基板10からの粒子50の距離が大きくなるほど減衰する。そこで、エバネッセント波Eによる散乱光の強度を、粒子50の基板10からの距離の指標として用いる。
【0103】
まず、外力付与機構20により、基板10上の粒子50に対し、鉛直下方向(Z1方向)の外力を付与する(図9)。この状態で、基板10に対し、全反射角度で、光源80から励起レーザーを照射する。これにより、基板10上にエバネッセント波Eが発生する。このときの粒子50が発生する散乱光の強度を、基準散乱光強度(L0)として設定する。
【0104】
次に、外力付与機構20により、基板10上の粒子50に対し、鉛直上方向(Z2方向)の外力を付与する(図10)。これにより、粒子50は、鉛直上方向に移動する。この状態で、基板10に対し、全反射角度で、光源80から励起レーザーを照射すると、基板10上にエバネッセント波Eが生成し、粒子50から散乱光が発生する。この散乱光の強度(L1)は、粒子50の基板10からの距離が大きくなるほど、小さくなる。
【0105】
「No Trap」では、粒子50が基板10に結合していないため、粒子50の移動は制限されない。そのため、鉛直上方向(Z2方向)の外力を付与すると、粒子50は上方向に大きく移動し、基板10と粒子50との距離(Da)は大きくなる。粒子50から発生する散乱光の強度(L1a)は、基準散乱光強度(L0)と比較して大きく減衰する。
【0106】
「Target Negative Trap」では、粒子50は、複数の捕捉体40により非特異的にトラップされている。そのため、粒子50の動きは大きく制限されており、鉛直上方向(Z2方向)の外力を付与したときの粒子50の移動は小さい。基板10と粒子50との距離(Dc)は、基準位置からそれほど変化しない。エバネッセント波Eにより粒子50から発生する散乱光の強度(L1c)は、基準散乱光強度(L0)と比較して、それほど減衰しない。
【0107】
「Target Positive Trap」では、粒子50は、被験物質70を介して捕捉体40に結合している。粒子50の動きは、捕捉体40の長さ及び被験物質70の大きさにより制限される。鉛直上方向(Z2方向)の外力を付与したとき粒子50の移動度は、「No Trap」と「Target Negative Trap」との中間となる。基板10と粒子50との距離(Db)は、基準位置よりも若干大きくなる。エバネッセント波Eにより粒子50から発生する散乱光の強度(L1b)は、基準散乱光強度(L0)と比較して減衰するが、減衰の程度は「No Trap」と「Target Negative Trap」の中間となる。
【0108】
各粒子50について、基準散乱光強度(L0)と鉛直上方向の外力を付与したときの散乱光強度(L1)との差(L0-L1)を算出し、ヒストグラムを作成すると、3つのピークが分布に現れる。散乱光強度の差(L0-L1)が大きい方のピークから順に、「No Trap」、「Target Positive Trap」、及び「Target Negative Trap」と推定される。したがって、中間のピークに分類される粒子50を「Target Positive Trap」として区別することができる。ヒストグラムは、ガウシアンフィッティングを行ってもよい。散乱光強度の差(L0-L1)を指標とする粒子50の移動距離は、「粒子の移動範囲」の一例である。
【0109】
[被験物質検出装置の動作フロー]
図11は、第2実施形態の被験物質検出装置における測定装置の動作フローの一例を示すフローチャートである。
【0110】
ステップS111では、基板10上で、捕捉体40、被験物質70及び粒子50の反応を行う。反応は、第1実施形態におけるステップS101と同様に行うことができる。
【0111】
ステップS112では、外力付与機構20は、外力付与制御機能151による制御により、基板10上の粒子50に対し、鉛直下方向の外力を付与する。これにより、粒子50の基準位置が設定される。
【0112】
ステップS113では、光源80が、基板10の下方から、基板10に対し、全反射角度で励起レーザーを照射する。これにより、基板10上に、エバネッセント波Eが生成する。
【0113】
ステップS114では、撮像装置30は、撮像制御機能152による制御により、基準位置の粒子50の散乱光画像を撮像する。粒子50の撮像は、粒子50に対し、外力付与機構20が鉛直下方向の外力を粒子50に付与した状態で、粒子50の挙動が安定した後に行われる。
【0114】
ステップS115では、外力付与機構20は、外力付与制御機能151による制御により、基板10上の粒子50に対し、鉛直上方向の外力を付与する。外力の大きさは、捕捉体40と被験物質70との結合、及び被験物質70と粒子50との結合が解離しない程度の大きさであればよい。外力の大きさは、第1実施形態で上述したように、例えば、検出対象とする被験物質の精製品を用いて、実験的に決定してもよい。
【0115】
ステップS116では、光源80が、基板10の下方から、基板10に対し、全反射角度で励起レーザーを照射する。これにより、基板10上に、エバネッセント波Eが生成する。
【0116】
ステップS117では、撮像装置30は、撮像制御機能152による制御により、粒子50の散乱光画像を撮像する。粒子50の撮像は、粒子50に対し、外力付与機構20が、水平面内の1方向の外力を付与した状態で、粒子50の挙動が安定した後に行われる。これにより測定装置110における一連の動作が終了する。
【0117】
処理回路150の処理フローは、図8のフローチャートに従って行うことができる。
【0118】
ステップS201では、取得機能153が、通信インターフェース140等を介して、撮像装置30により撮像された粒子50の散乱光画像を取得する。
【0119】
ステップS202では、取得機能153により取得された粒子50の画像に基づいて、移動範囲決定機能154が、外力付与による粒子50の移動範囲を決定する。移動範囲の決定では、まず、鉛直下方向の外力を付与された状態で撮像された粒子50の散乱光画像から散乱光強度(基準散乱光強度(L0))を取得する。次に、鉛直上方向に外力を付与された状態で撮像された粒子50の散乱光画像から散乱光強度(L1)を取得する。散乱光強度は、例えば、蛍光輝度として取得することができる。次に、基準散乱光強度(L0)と散乱光強度(L1)との差(L0-L1)を取得する。この散乱光強度の差(L0-L1)は粒子50の移動範囲の指標となるため、これを「粒子の移動範囲」として決定する。
【0120】
各画像間における同一の粒子50の判別は、粒子50の位置に基づいて容易に行うことができる。すなわち、各画像間において、同じ位置する粒子50を、同一の粒子50として判別することができる。
【0121】
ステップS203では、移動範囲決定機能154により決定された移動範囲に基づいて、判定機能155が、各粒子50を区別し、粒子50の結合状態を判定する。すなわち、(a)被験物質70を介して捕捉体40に結合する粒子50(Target Positive Trap)と、(b)被験物質70を介さずに捕捉体40に結合する粒子50(Target Negative Trap)と、(c)捕捉体40に結合していない粒子50(No Trap)と、を区別する。例えば、各粒子50について移動範囲のヒストグラムを作成すると、3つのピークが分布に現れる。移動範囲の大きい方のピークから順に、「No Trap」、「Target Positive Trap」、及び「Target Negative Trap」が分布する。そのため、中間のピークに分類される粒子50を「Target Positive Trap」、移動範囲が最も小さいピークに分類される粒子50を「Target Negative Trap」として区別する。ここでは、粒子50の移動範囲として、散乱光強度の差(L0-L1)をそのまま用いてもよい。
【0122】
ステップS204では、被験物質濃度決定機能156が、「Target Positive Trap」として区別された粒子50に基づいて、被験物質70を検出し、試料における被験物質70の濃度を決定する。これにより処理が終了する。
【0123】
以上説明した第2実施形態によれば、粒子に対して、鉛直下方向に外力を付与したときの散乱光画像、及び鉛直上方向に外力を付与したときの散乱光画像の2枚の散乱光画像に基づいて、粒子の中から、「Target Positive Trap」である粒子を区別することができる。そのため、粒子のブラウン運動を観察する場合と比較して、撮像枚数を減らすことができる。
【0124】
(他の実施形態)
実施形態の被験物質検出装置は、基板上に、被験物質を含む試料、粒子懸濁液等を導入する流路構造を備えていてもよい。
実施形態の被験物質検出装置は、基板の上に導入された液体の温度を制御する温度制御機構を備えていてもよい。温度制御機構としては、ヒーター、クーラー、サーモスタット等が挙げられる。
実施形態の被験物質検出装置は、基板上の粒子を観察するための顕微鏡を備えていてもよい。撮像装置は、顕微鏡の接眼レンズ又は対物レンズに接続されていてもよい。
【0125】
<被験物質の検出方法>
(第3実施形態)
第3実施形態の被験物質の検出方法では、第1工程において、基板上で、捕捉体、被験物質、及び粒子を反応させる。これにより、基板上には、(a)被験物質を介して捕捉体に結合する粒子と、(b)被験物質を介さずに前記捕捉体に結合する粒子と、(c)基板に結合していない粒子と、が存在するようになる。第2工程において、基板上の粒子に対して、水平面における少なくとも1方向の外力を付与する。第3工程において、水平面内の方向の外力が付与された粒子を撮像する。第4工程において、撮像された画像に基づいて、水平面内の外力の付与による粒子の移動範囲を決定する。第5工程において、前記移動範囲に基づいて、前記(a)及び(b)の粒子を区別する。
【0126】
[第1工程]
第1工程は、上述のステップS101と同様に行うことができる。被験物質を含む試料は、基板10上に導入される前に、適宜希釈又は濃縮してもよい。例えば、被験物質の濃度が高いと予測される試料は、緩衝液等を用いて希釈してもよい。被験物質の濃度が低いと予測される試料では、カラム等を用いて被験物質を濃縮してもよい。
【0127】
第1工程においては、「いくつかの粒子は被検物質と結合して被検物質結合粒子を形成し且つ統計的に有意な少なくとも1つの粒子は被検物質と結合しないような様式」で被験物質と粒子とを反応させることが、定量性の観点から望ましい。具体的には、例えば、試料中の被検物質と、被検物質に対して結合性を有する粒子10個を接触させたとき、以下の式で求まる、粒子上の平均被検物質の数(λ)が、λ<14を満足するような様式である。
【0128】
λ=[被験物質と抗体との複合体の濃度]/[粒子の濃度]
【0129】
被検物質を含む試料と、粒子とを接触させる際の条件により、λを調整することは可能であり、試料における被検物質の濃度と試料の量及び反応させる粒子の数によりλを求めることができる。例えば、粒子の数が10個の場合には、λ<14となるように、被験物質と粒子とを反応させることにより、統計学的に有意な少なくとも1個の粒子は被検物質と結合していないことになる。
【0130】
基板は、試料及び粒子を導入する前に、ブロッキングを行ってもよい。ブロッキングを行うことにより、非特異的結合を低減することができる。ブロッキングは、公知のブロッキング液を用いて行うことができる。ブロッキング液としては、例えば、1~5%程度のスキムミルク又は牛血清アルブミン(BSA)を含む緩衝液等が挙げられる。ブロッキング液用の緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、PBS、トリス緩衝液、HEPES緩衝液等の緩衝液、及び前記のような緩衝液にTween20等の界面活性剤を添加したもの等が挙げられるが、これらに限定されない。実施形態の被験物質の検出方法では、特異的に結合する粒子と、非特異的に結合する粒子とを区別することができるため、ブロッキングは行わなくてもよい。
【0131】
(i)基板上に固定された捕捉体と被験物質との反応と、(ii)被験物質と粒子との反応と、を別々に行う場合、(i)の反応の後に基板を洗浄してもよい。洗浄液としては、例えば、上記のような緩衝液を用いることができる。洗浄を行うことにより、試料中に含まれる夾雑物を基板から除去し、非特異的結合を低減することができる。実施形態の被験物質の検出方法では、特異的に結合する粒子と、非特異的に結合する粒子とを区別することができるため、洗浄は行わなくてもよい。
【0132】
[第2工程]
第2工程は、上述のステップS104と同様に行うことができる。水平面内における外力を付与する方向は、1方向以上であればよいが、2方向以上が好ましく、3方向以上がより好ましい。第2工程は、基板上の粒子に対し、鉛直下方向に外力を付与すること、を含んでもよい。鉛直下方向への外力の付与は、上述のステップS102と同様に行うことができる。
【0133】
[第3工程]
第3工程は、上述のステップS105と同様に行うことができる。水平面内における外力を複数方向に付与した場合、外力の方向毎に、撮像を行う。第3工程は、鉛直下方向の外力が付与された粒子を撮像すること、を含んでもよい。鉛直下方向の外力が付与された粒子の撮像は、上述のステップS103と同様に行うことができる。
【0134】
[第4工程]
第4工程は、上述の第1実施形態の被験物質検出装置におけるステップ202と同様に行うことができる。
【0135】
[第5工程]
第5工程は、上述の第1実施形態の被験物質検出装置におけるステップ203と同様に行うことができる。
【0136】
(第4実施形態)
第4実施形態の被験物質の検出方法では、第2工程は、鉛直下方向の外力を付与することと、鉛直上方向の外力を付与すること、とを含む。第3工程は、基板に対して、全反射角度で励起レーザーを照射してエバネッセント波を発生させること、鉛直下方向の外力を付与された粒子の散乱光画像を撮像することと、鉛直上方向の外力が付与された前記粒子の散乱光画像を撮像することと、を含む。
【0137】
[第1工程]
第1工程は、上述の第3実施形態と同様に行うことができる。
【0138】
[第2工程]
第2工程は、上述のステップS112及びステップS115と同様に行うことができる。すなわち、鉛直下方向への外力の付与は、ステップS112と同様に行うことができる。鉛直上方向への外力の付与は、ステップS115と同様に行うことができる。
【0139】
[第3工程]
第3工程は、上述のステップS113及びステップS114、並びにステップS116及びステップS117と同様に行うことができる。すなわち、鉛直下方向の外力を付与された粒子の散乱光画像の撮像は、ステップS113及びステップS114と同様に行うことができる。鉛直下方向の外力を付与された粒子の散乱光画像の撮像は、ステップS116及びステップS117と同様に行うことができる。
【0140】
[第4工程]
第4工程は、上述の第2実施形態の被験物質検出装置におけるステップS202と同様に行うことができる。
【0141】
[第5工程]
第5工程は、上述の第2実施形態の被験物質検出装置におけるステップS203と同様に行うことができる。
【0142】
[他の工程]
実施形態の被験物質の検出方法は、第1工程~第5工程に加えて、他の工程を含んでもよい。他の工程としては、例えば、被験物質を介して捕捉体に結合する粒子の数又は割合に基づいて、試料中の被験物質の濃度を算出する工程(第6工程)が挙げられる。第6工程は、上述のステップS204と同様に行うことができる。
【実施例0143】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0144】
[実施例1]
サンプル液中の抗原の検出を目的として、基板にカバーガラスを用い、粒子に磁性ビーズを用い、基板と抗原との結合のための捕捉用プローブとして抗体を用い、粒子と抗原の結合のための標識用プローブとして抗体を用い、磁性ビーズを基板上へ保持するためにマイクロウェルを用い、外力として磁力を用い、粒子挙動の観察に光学顕微鏡が用いられる場合が例示される。
【0145】
1.ガラス露出部へのPEGリンカーの修飾
(1)カバーガラス上にCYTOP(登録商標)を材質とするマイクロウェル(径2.5μm,深さ0.8μm)を複数作成する。
(2)マイクロウェルを作製したカバーガラスのガラス露出部を、SHシランカップリング剤(KBM-803,信越シリコーン)溶液に浸漬させることでシランカップリング処理をする。
(3)1mg/mL ビオチン-PEG-maleimideクロスリンカー試薬/25mM MES(2-モルホリノエタンスルホン酸)溶液を、(2)で作製した基板に添加後、室温で1時間静置する。
(4)エタノールに浸漬し、5分間超音波洗浄する。
(5)純水に浸漬し、5分間超音波洗浄する。
(6)上面ガラスとして、溶液導入用の穴(1.2mm径)を複数開けたガラスを用意し、CYTOP(登録商標)で表面をコーティングする。これをマイクロウェル上に、両面テープをスペーサーとして挟んだ状態で張り合わせることでフローセルを作製する。
【0146】
2.PEGリンカー修飾基板への抗体の結合
マイクロウェルにストレプトアビジン溶液を注入し、30分静置したのち、PBSTで洗浄する。その後、ビオチン標識化抗体をマイクロウェルに注入し、室温で1時間静置することで抗体を基板に固定する。
【0147】
3.ビーズへの抗体修飾
直径550nmのCOOH標識磁性ビーズ溶液をEDC(1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド)及びSulfo-NHS(N-ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウム)で活性化させた後、抗体溶液を添加し4℃で一晩攪拌させて抗体をビーズに結合させる。その後、100mMエタノールアミンを添加し、室温で30分間反応させる。
【0148】
4.サンプル液と抗体標識磁性ビーズの混合
抗原を含むサンプル液と、抗体標識を行った磁性ビーズを混合し、室温で1時間攪拌し混合させる。
【0149】
5.マイクロウェルへのビーズ導入
4で作製した混合液をフローセルに封入する。ビーズがマイクロウェル内へ速やかに移動し封入されるよう、ウェルの底方向に磁力を加える。封入後速やかにフローセルを顕微鏡のステージに載せる。
【0150】
6.外力印加及び撮影
例として、ステージ上のフローセルに対し、鉛直下方向の磁場を印加した状態で、ビーズの暗視野像を1枚撮影する。その後、フローセルの外周に沿って、フローセルの水平面内において、0度、120度、240度の向きに磁場を印加した状態でビーズの暗視野像を各1枚撮影する。
【0151】
7.解析
撮影した画像を基に鉛直下方向の磁力を印加した状態での各ビーズの座標を決め、フローセルの水平面内において0度、120度、240度の向きに磁力を印加した際の座標を基に、各ビーズの可動範囲を推定する。ビーズの座標はビーズの中心位置として決める。例として、鉛直下方向の磁力を印加した状態でのビーズの座標をそのビーズの原点として定め、水平面内の各方向に磁力を印加した際のビーズの位置の原点からの距離の絶対値の合計を可動範囲の指標とする(その他、0度、120度、240度の向きに磁力を印加した際の座標を通過する円を設定し、この円の面積を指標とする方法などが考えられる。この場合、鉛直下方向へ磁力を印加した状態での撮影は必要ない)。この場合、未結合のビーズは磁力によりウェルの外周まで引き寄せられるため可動範囲が最も大きい。一方、ビーズとカバーガラス側の捕捉用抗体がマルチボンドとなる非特異吸着のビーズは可動範囲が狭い。抗原を介して結合したビーズは、抗原と捕捉用抗体との結合がシングルボンドとなり、未結合ビーズと非特異吸着ビーズとの中間の可動範囲を示す。このため可動範囲の指標に対し、測定ビーズ数のヒストグラムを作成した場合、3つのピークが分布に現れる。分布に現れる3つのピークにガウシアンフィッティングを行ったのち、2つ目のピーク内に分類されるビーズを、抗原を介して結合したビーズ(Target Positive Trap)として識別する。
【0152】
撮影した画像間におけるビーズの識別は、既存の方法により行うことができる。マイクロウェルを用いる場合は、同じマイクロウェルに入っているビーズを同じビーズとして識別することができる。マイクロウェルを用いない場合、例えば、鉛直下方向の磁力を印加したときの画像における座標を基準(基準座標)として、水平面内の各方向に磁力を印加した際の各画像では基準座標と近接した座標に存在するビーズを同じビーズとして識別することができる。抗体に未結合のビーズは水平方向に磁力を印加した際に大きく動くため、画像間で対応付けすることができない。基準座標と対応付けられるビーズ以外のビーズを、未結合ビーズと判定することができる。
【0153】
[実施例2]
サンプル液中の抗原の検出を目的として、基板にカバーガラスを用い、粒子として内部に蛍光物質を担持した磁性ビーズを用い、基板と抗原との結合のための捕捉用プローブとして抗体を用い、粒子と抗原の結合のための標識用プローブとして抗体を用い、磁性ビーズを基板上へ保持するためにマイクロウェルを用い、外力として磁力を用い、粒子挙動の観察にエバネッセント照明による全反射蛍光顕微鏡を用いる場合が例示される。
【0154】
1.ガラス露出部へのPEGリンカーの修飾
実施例1と同様の方法で、ガラス露出部へのPEGリンカーの修飾を行う。
【0155】
2.PEGリンカー修飾基板への抗体の結合
実施例1と同様の方法で、PEGリンカー修飾基板への抗体の結合を行う。
【0156】
3.蛍光標識磁性ビーズへの抗体標識
直径500nmのCOOH修飾蛍光標識磁性ビーズ溶液をEDC及びSulfo-NHSで活性化させた後、抗体溶液を添加し4℃で一晩攪拌させて抗体をビーズに結合させる。その後、100mMエタノールアミンを添加し、室温下で30分反応させる。
【0157】
4.サンプル液と抗体標識磁性ビーズの混合
抗原を含むサンプル液と、抗体標識を行った磁性ビーズを混合し、室温で1時間攪拌し混合させる。
【0158】
5.マイクロウェルへのビーズ導入
4で作製した混合液をフローセルに封入する。封入後速やかにフローセルを顕微鏡のステージに載せる。
【0159】
6.外力印加及び撮影
捕捉抗体を結合させた側を下面にしてフローセルをステージ上に設置する。フローセルの上側から鉛直下向きに磁力を印加した状態で、フローセルの下面から対物レンズを介して励起レーザーを全反射角度で照射する。励起レーザーの反射面で生じるエバネッセント波によってビーズを照明した際にビーズから発生する蛍光を、対物レンズを介して取得する。次に、フローセルの上側から鉛直上向きに磁力を印加した状態で、フローセルの下面から対物レンズを介して励起レーザーを全反射角度で照射する。励起レーザーの反射面で生じるエバネッセント波によってビーズを照明した際にビーズから発生する蛍光を、対物レンズを介して取得する。
【0160】
7.解析
鉛直下向きの磁力及び鉛直上向きの磁力を印加した際の2枚の画像について、同一地点間の蛍光輝度について、下方向の磁力を印加した際の蛍光輝度から、上方向の磁力を印加した際の蛍光強度の差分を取得する。エバネッセント波の強度はカバーガラス/液相界面からの距離に応じて指数関数的に減衰するため、界面からビーズが離れるにつれて蛍光輝度は減衰する。蛍光輝度の差分についてヒストグラムを作成すると、カバーガラスに未結合の磁性ビーズでは輝度差が大きくなる。一方、カバーガラス側の複数の抗体を介してマルチボンドで吸着される非特異吸着ビーズにおいては蛍光輝度の減衰が小さい。抗原を介して結合したビーズは、抗原と抗体との結合部位間の距離だけビーズが基板から離れ、抗原とカバーガラス側抗体との結合がシングルボンドとなる。そのため、抗原を介して結合したビーズでは、基板からの距離は、非特異吸着したビーズに比べて大きくなる。その結果、抗原を介して結合したビーズでは、蛍光輝度の差は、非特異吸着ビーズと未結合ビーズとの中間となる。結果として蛍光輝度差のヒストグラムには3つのピークが現れ、これらをガウスフィッティングした後、2つ目のピーク内に分類されるビーズを、抗原を介して結合したビーズ(Target Positive Trap)として識別する。
【0161】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0162】
10…基板,11…チャンバ,20…外力付与機構,21~25…磁石,30…撮像装置,40…捕捉体,41…第2の抗体,42…リンカー,50…粒子,51…第1の抗体,70…被験物質,80…光源,100…被験物質検出装置,110…測定装置110,120…入力インターフェース,130…出力インターフェース,140…通信インターフェース,150…処理回路,151…外力付与制御機能,152…撮像制御機能,153…取得機能,154…移動範囲決定機能,155…判定機能,156…被験物質濃度決定機能,157…出力制御機能。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11