(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126783
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】離床状態報知システム
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20240912BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240912BHJP
G08B 21/18 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61G12/00 Z
G08B25/00 510M
G08B21/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035415
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】後藤 貴之
(72)【発明者】
【氏名】三善 将也
(72)【発明者】
【氏名】飯島 裕一
【テーマコード(参考)】
4C341
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
4C341JJ01
4C341LL30
4C341MR17
5C086AA22
5C086BA07
5C086CA28
5C086CB36
5C086FA12
5C087AA12
5C087AA23
5C087DD03
5C087DD29
5C087DD30
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG66
(57)【要約】 (修正有)
【課題】患者が離床しベッドを離れた後、ベッドに患者が戻ったことを看護師や介護士等が把握できる離床状態報知システムを提供する。
【解決手段】患者のベッド近傍に設置されベッド上の患者を撮像するカメラと、カメラの撮像した映像に基づいて患者の離床状態を検出する離床状態検出部と、離床状態検出部の検出結果に応じた報知をする離床状態報知部と、を備える。離床状態検出部が帰床状態を検出した場合に、離床状態報知部は、ナースコール子機等に所定の報知を行う。ベッドを離れた患者がその後ベッドに戻ったことが報知されるので、看護師・介護士等の手間を省略することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のベッド近傍に設置されベッド上の患者を撮像するカメラと、前記カメラの撮像映像に基づいて前記患者の離床状態を検出する離床状態検出手段と、前記離床状態検出手段の検出結果に応じた報知をする離床状態報知手段と、を備え、
前記離床状態検出手段は、前記離床状態であった前記患者がその後着床状態となる帰床状態を検出し、
前記離床状態報知手段は前記帰床状態を報知することを特徴とする離床状態報知システム。
【請求項2】
前記離床状態検出手段は、前記患者の離床状態の継続時間を測定し、継続時間が所定の閾値を超えた場合に離床継続状態を検出し、
前記離床状態報知手段は、前記離床継続状態を報知する、請求項1に記載の離床状態報知システム。
【請求項3】
前記離床状態報知手段が、該離床状態報知手段と無線及び/又は有線により接続された携帯端末に対して前記離床状態を報知する、請求項1に記載の離床状態報知システム。
【請求項4】
前記離床状態報知手段は、前記カメラの撮影した映像とともに前記離床状態を前記携帯端末に報知する、請求項3に記載の離床状態報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ベッド上の患者を撮像し、主に、その映像解析により患者の離床状態を検出して報知する離床状態報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や高齢者介護施設において、患者の転倒事故や徘徊等に看護師・介護士等が迅速に対処できるよう、患者がベッドから居なくなる、いわゆる離床状態を検出する技術が開発されている。例えば、特許文献1では、患者がベッド上で起き上がり、ベッドから足を出して着座した場合に、関係者に報知する特定姿勢検出装置が開示されている。また、特許文献2では、患者のベッドからの離床を判断する場合に、起き上がり動作とベッド端で着座する動作の有無を含めて判断し、患者以外の人物の誤検知を低減させた特定動作検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-87040号公報
【特許文献2】特開2022-108129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来の装置では、何れも患者の離床状態を検出し報知している。ここで、認知症等の患者によっては、離床した後一定時間が経過すると自らベッドに帰床する者も少なくなく、看護師・介護士等が患者がベッドに戻ったことを把握できるようにしたいという要望があった。
【0005】
そこで、本開示はこのような要望を鑑み、一旦離床した患者がベッドに戻ったことを看護師や介護士等に報知できる離床状態報知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、本開示の離床状態報知システムは、患者のベッド近傍に設置されベッド上の患者を撮像するカメラと、カメラの撮像映像に基づいて患者の離床状態を検出する離床状態検出手段と、離床状態検出手段の検出結果に応じた報知をする離床状態報知手段と、を備え、離床状態検出手段は、離床状態であった患者がその後着床状態となる帰床状態を検出し、離床状態報知手段は、帰床状態を報知することを特徴とする。
【0007】
また、離床状態検出手段は、患者の離床状態の継続時間を測定し、継続時間が所定の閾値を超えた場合に離床継続状態を検出し、離床状態報知手段は、離床継続状態を報知するように構成してもよい。
【0008】
離床状態報知手段が、該離床状態報知手段と無線及び/又は有線により接続された携帯端末に対して離床状態を報知するように構成することができる。
【0009】
そして、離床状態報知手段は、カメラの撮影した映像とともに離床状態を前記携帯端末に報知するように構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の患者状態報知システムによれば、カメラの撮像映像に基づき、離床状態であった患者がその後着床状態となった場合に帰床状態を報知するので、ベッドを離れた患者がその後戻ったことを看護師・介護士等が手軽に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態を示す離床状態報知システムのシステム図である。
【
図2】カメラとベッドの配置の例を示す模式図である。
【
図4】離床状態報知システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の離床状態報知システムをナースコールシステムに具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本開示に係るナースコールシステムの一例を示すシステム図である。この実施形態のナースコールシステム1は、ナースステーションに設置されたナースコール親機6と、管理室等に設置され呼出・通話を制御する制御機7と、看護師が携帯するスマートフォン等の携帯端末10と、携帯端末10と通信する病院内各所に配置された基地局9と、サーバ室等に設置され基地局9を介した通信を制御するIP-PBX等の中継装置8と、廊下に設置された廊下灯4と、患者ベッド2近傍に設けられたナースコール子機5と、患者ベッド2近傍に設けられたカメラ3とから構成されている。中継装置8、制御機7、廊下灯4、及び、ナースコール親機6は、LAN回線L1により接続され、ナースコール子機5は伝送線L2により廊下灯4に接続され、カメラ3は伝送線L3により廊下灯4に接続されている。
【0014】
図2に示すように、カメラ3は、特定の1名の患者Pを撮像するようにベッド2の枕側に設置され、ベッド2周辺を常時撮影している。なお、
図3では、ベッドサイドにポールを立てて設置した例を示しているが、ナースコール子機5等とともにベッドサイドの壁面に設置することも可能である。
【0015】
図3に示すように、廊下灯4は、ナースコール子機5の操作による呼出を点滅発光により報知する表示灯46と、病室内の患者Pの氏名等を表示した患者情報表示部47とを有している。そして、廊下灯4やカメラ3等の周辺機器を制御するCPU41と、カメラ3で撮像した映像を記憶する記憶部42と、記憶部42に記憶された映像に基づいて患者Pの離床状態を検出する離床状態検出部43と、患者Pの離床状態に応じた報知を行う離床状態報知部45と、制御機7、カメラ3、及び、ナースコール子機5と通信するための通信インターフェース(I/F)48とを備える。
【0016】
離床状態検出部43は、映像を映像解析し、映像に含まれる患者Pのベッド2に対する相対位置に基づいて、患者Pの離床状態及び帰床状態を検出する。離床状態は、患者Pがベッド2を離れた状態を示し、帰床状態は、一度離床した患者Pがベッド2に戻り着床状態となった状態を示す。映像解析方法は、公知の映像解析技術を採用可能であり、例えば、SIFT(Scale Invariant Feature Transform)、SURF(Speeded-Up Robust Features)などを選択できる。
【0017】
ここで、帰床状態の検出方法は、例えば、離床状態検出部43が、直前に離床状態を検出し、かつ、今回は着床状態を検出した場合とすることができる。また、着床状態とは、着座、横臥、起き上がり、端座、その他ベッド2に滞在している状態を示す。例えば、離床状態検出部43は、患者Pの身体の80%以上がベッド2の枠外から出た場合に離床状態を検出し、患者Pの身体の80%以上がベッド2の枠内に入った場合に着床状態を検出する。また、「直前に離床状態を検出した」か否かの判断は、例えば、離床状態検出部43に、離床状態を検出した場合にONとなる離床フラグ(図示なし)を保持し、帰床状態を検出する際に参照すること等が考えられる。
【0018】
離床状態検出部43は、患者Pの離床状態の継続時間を測定し、継続時間が所定の閾値を超えた場合に、「離床継続状態」を検出する。離床継続状態の検出方法は、例えば、離床フラグがONとなった時点でカウンタ(図示なし)を起動し、カウンタが所定の閾値(30分)を超過した場合に、「離床継続状態1」を検出したり、さらに、カウンタが所定の閾値(60分)を超過した場合に、「離床継続状態2」を検出したりすることができる。カウンタは、離床状態検出部43が患者Pの帰床状態を検出した場合にリセットされる。
【0019】
離床状態報知部45は、離床状態検出部43が患者Pの離床状態を検出した場合に「離床報知」、帰床状態を検出した場合に「帰床報知」、離床継続状態を検出した場合に「離床継続報知」を実施する。具体的には、離床状態報知部45は、例えば、ナースコール親機6と、看護師が携帯するスマートフォン等の携帯端末10等に報知を実施する。重複報知を回避するため、既に離床状態の場合には、離床報知をしないようにすることも可能である。離床報知、帰床報知、及び、離床継続報知を実施する際には、記憶部42からカメラ3で撮像した映像を読み出し、該映像とともに報知を実施することも可能である。
【0020】
次に、上記構成のナースコールシステム1が離床状態を報知する動作を、
図4に基づいて説明する。
【0021】
まず、カメラ3は、ベッド2周辺を撮影して映像を取得する(S1)。次に、離床状態検出部43は、映像について映像解析を行い、映像に含まれる患者P及びベッド2を検出する(S2)。
【0022】
離床状態検出部43が患者Pの離床状態を検出しない場合は(S3:No)、さらに、直前に患者Pが離床状態であったか否かを確認し(S4)、直前に離床状態でなかった場合には、帰床状態を検出せず(S4:No)、開始に戻る。ここで、直前に患者Pが離床状態であった場合には、帰床状態を検出し(S4:Yes)、離床状態報知部44は、帰床状態を報知する(S5)。
【0023】
離床状態検出部43が患者Pの離床状態を検出した場合は(S6:Yes)、離床状態報知部44は、既に離床状態を報知済か否かを確認する(S6)。報知済でなかった場合は(S6:No)、離床状態を報知する(S7)。
【0024】
一方、既に離床状態を報知済の場合には(S6:Yes)、離床状態検出部43は、患者Pの離床継続状態を確認する(S8)。離床継続状態を検出しなかった場合は(S8:No)、開始に戻る。一方、離床継続状態を検出した場合は(S8:No)、離床状態報知部44は、離床継続状態を報知する(S9)。
【0025】
以上のナースコールシステム1によれば、カメラの撮像した映像に基づき、患者Pの帰床状態を検出した際に報知がされるので、ベッドを離れた患者がその後戻ったことを看護師・介護士等が把握することが可能となる。
【0026】
また、患者Pの離床後一定時間経過後に、患者Pの帰床状態を検出できなかったことを報知をするため、患者Pに何等かの異常が発生した可能性があることを看護師・介護士等が把握できるようになる。さらに、これらの報知は看護師・介護士等が携帯する携帯端末10に対しても行われるので、看護師・介護士等が迅速に対処することが可能となる。その他、これらの報知にはカメラ3で撮像した画像も併せて報知できるため、看護師・介護士等が患者Pの様子を遠隔から迅速かつ具体的に把握できる。
【0027】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば以下のように、各部の構成を任意に変更して実施することも可能である。
(1)患者Pの離床報知を省略する。
(2)離床状態検出部43をカメラ3、ナースコール親機6、又は、制御器7に搭載する。
(3)離床状態報知部44による報知先を、例えば、患者Pの担当看護師を優先とすること。さらに、患者Pの離床継続時間に応じて報知する対象を拡げて報知すること。
【符号の説明】
【0028】
1 ナースコールシステム
2 ベッド
3 カメラ
4 廊下灯
5 ナースコール子機
6 ナースコール親機
7 制御機
8 中継装置
9 基地局
10 携帯端末
11 患者状態報知システム
41 CPU
42 記憶部
43 離床状態検出部
44 離床状態報知部
46 表示灯
47 患者情報表示部
P 患者
L1 LAN回線
L2,L3 伝送線