(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126787
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】冷却装置の空気送り返し構造およびこれを備えた冷却装置ならびに冷却システム
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
F25D17/08 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035422
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡 勝
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA05
3L345AA19
3L345BB01
3L345CC01
3L345DD02
3L345DD17
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で冷却装置の冷却性能の低下、および損傷を抑制することができる。
【解決手段】冷却装置で冷却された冷却空気を冷却室の内部に送り返すための冷却装置の空気送り返し構造は、冷却装置で冷却された冷却空気を冷却室の内部に流入させるための流入口と、冷却室の内部を流通した冷却空気である冷却室空気を冷却室の内部から流出させるための流出口と、冷却室の内部を冷却空間と取り入れ空間とに仕切る第1の仕切壁と、取り入れ空間を、流入口に連通し冷却装置で冷却された冷却空気が冷却空間に向かって流通する流入流路と、流出口に連通し冷却室の内部を流通した冷却室空気が流出口に向かって流通する流出流路と、に仕切る第2の仕切壁と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却装置で冷却された冷却空気を冷却室の内部に送り返すための冷却装置の空気送り返し構造であって、
前記冷却装置で冷却された前記冷却空気を前記冷却室の内部に流入させるための流入口と、
前記冷却室の内部を流通した前記冷却空気である冷却室空気を前記冷却室の内部から流出させるための流出口と、
前記冷却室の内部を冷却空間と取り入れ空間とに仕切る第1の仕切壁と、
前記取り入れ空間を、前記流入口に連通し前記冷却装置で冷却された前記冷却空気が前記冷却空間に向かって流通する流入流路と、前記流出口に連通し前記冷却室の内部を流通した前記冷却室空気が前記流出口に向かって流通する流出流路と、に仕切る第2の仕切壁と、を備える、
冷却装置の空気送り返し構造。
【請求項2】
前記第1の仕切壁および前記第2の仕切壁のそれぞれは上下方向に沿って延びている、
請求項1に記載の冷却装置の空気送り返し構造。
【請求項3】
前記流入流路は、前記冷却空気を前記取り入れ空間から吹き出す出口を含み、
前記流出流路は、前記冷却室空気を前記取り入れ空間に取り込む入口を含み、
上から順に前記流出流路の前記入口、前記流入口、前記流出口、および前記流入流路の前記出口が位置している、
請求項2に記載の冷却装置の空気送り返し構造。
【請求項4】
前記第1の仕切壁は、前記第2の仕切壁よりも下方に長く延びており、
前記第2の仕切壁は、前記流出口よりも下方に位置し前記第1の仕切壁との間に排出口が形成される下端部を含む、
請求項3に記載の冷却装置の空気送り返し構造。
【請求項5】
前記第2の仕切壁の前記下端部は、下方に向かうにつれて前記第1の仕切壁に近づいている、
請求項4に記載の冷却装置の空気送り返し構造。
【請求項6】
前記第2の仕切壁には、前記流入口よりも上方に前記流入流路と前記流出流路とを連通する開口が形成されており、
前記開口を開閉自在に覆う蓋部をさらに備える、
請求項3から5の何れか一項に記載の冷却装置の空気送り返し構造。
【請求項7】
前記第2の仕切壁の面に設けられ、上下方向において前記流入口と前記流出口との間に位置するフィンをさらに備える、
請求項3から5の何れか一項に記載の冷却装置の空気送り返し構造。
【請求項8】
請求項1から5の何れか一項に記載の冷却装置の空気送り返し構造を備える、
冷却装置。
【請求項9】
筒形状を有する冷却室と、
前記冷却室の内部の空気を冷却する冷却装置と、
請求項1から5の何れか一項に記載の冷却装置の空気送り返し構造と、を備える
冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却装置で冷却された冷却空気を冷却室の内部に送り返すための冷却装置の空気送り返し構造に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却装置は、種々の素材や加工品並びに生鮮食料品等を保存するために倉庫等の冷却室の内部を冷却することがある。冷却室内の空気は、例えば、冷却室の出入口から流入する大気や、冷却室内で作業する作業員の呼気が混入されることがあり、含有している水分の量が増える場合がある。冷却装置が空気冷媒サイクル(冷却室の内部から抜き出した空気を冷却し、この冷却した空気を冷却室の内部に戻す方式)を用いる場合、冷却室内の空気に含有されている水分によって冷却装置の性能の低下や冷却装置の損傷を招く虞がある。このような虞に対して、例えば、特許文献1には、膨張機から冷却室に流れる空気に含まれる水分を霜として捕集する除霜器を備える冷却装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、冷却装置は除霜器から霜を取り除くためのデフロスト運転が必要となる。このため、冷却装置には、デフロスト運転を実行するための機器(例えば、配管、弁、ヒータ)が必要となり、構成が複雑化する虞がある。
【0005】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で取り込み空気が含む水分を凝縮又は氷結(凝固ないしは昇華)させて除去し、冷却装置の冷却性能の低下、および損傷を抑制することができる冷却装置の空気送り返し構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る冷却装置の空気送り返し構造は、
冷却装置で冷却された冷却空気を冷却室の内部に送り返すための冷却装置の空気送り返し構造であって、
前記冷却装置で冷却された前記冷却空気を前記冷却室に流入させるための流入口と、
前記冷却室の内部を流通した前記冷却空気である冷却室空気を前記冷却室から流出させるための流出口と、
前記冷却室の内部を冷却空間と取り入れ空間とに仕切る第1の仕切壁と、
前記取り入れ空間を、前記流入口に連通し前記冷却装置で冷却された前記冷却空気が前記冷却空間に向かって流通する流入流路と、前記流出口に連通し前記冷却室の内部を流通した前記冷却室空気が前記流出口に向かって流通する流出流路と、に仕切る第2の仕切壁と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の冷却装置の空気送り返し構造によれば、簡易な構成で空気中の水分が凝縮又は氷結することにより引き起こされる冷却装置の冷却性能の低下、および損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】冷凍コンテナの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図2】冷却装置の構成の一例を概略的に示す図である。
【
図3】一実施形態に係る空気送り返し構造の構成を概略的に示す図である。
【
図4】幾つかの実施形態に係る空気送り返し構造の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態による冷却装置の空気送り返し構造について、図面に基づいて説明する。かかる実施の形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
本開示に係る冷却装置の空気送り返し構造は、空気冷媒サイクルを用いた冷却装置で冷却された冷却空気を冷却室の内部に送り返す。空気冷媒サイクルは、冷却室の内部から抜き出した空気を冷却し、この冷却した空気を冷却室の内部に戻す方式である。冷却室は特に限定されないが、例えば、冷凍倉庫の冷却室や冷凍コンテナの冷却室である。本開示では、冷凍コンテナの冷却室を例にして、冷却装置の空気送り返し構造について説明する。
【0011】
図1は、冷凍コンテナ100(冷却システム)の構成の一例を概略的に示す図である。
図1に例示するように、冷凍コンテナ100は、冷却室110と、冷却装置112と、一実施形態に係る冷却装置112の空気送り返し構造(以下、空気送り返し構造1と記載する)と、を含む。
【0012】
冷却室110は、四角筒形状を有している。この冷却室110は、上壁、下壁、左壁、右壁、および後壁を含んでおり、前面が開口している。冷却室110の前面には、冷却装置112が嵌め込まれている。冷却室110の内部は、上壁、下壁、左壁、右壁、後壁、および冷却装置112によって囲まれることで画定されている。不図示であるが、冷却室110は、作業員が冷却室110の内部に出入り可能であるように、左壁、右壁、および後壁の少なくとも1つに開閉可能なドアが設けられてもよい。尚、幾つかの実施形態では、冷却室110は前壁を含んでおり、冷却装置112は前壁に嵌め込まれている。
【0013】
冷却装置112は、空気送り返し構造1を介して、空気冷媒サイクルを用いて冷却した冷却空気A1を冷却室110の内部に供給する。そして、冷却装置112は、空気送り返し構造1を介して、冷却室110の内部(後述する冷却空間3)を流通した冷却空気A1である冷却室空気A2を吸い込んで、この冷却室空気A2を冷却して冷却空気A1を生成する。
【0014】
図2は、冷却装置112の構成の一例を概略的に示す図である。冷却装置112は、冷却室110の内部の温度を-40度以上20度未満の範囲に保つことが可能に構成される。つまり、この冷却装置112を搭載する冷凍コンテナ100(いわゆるリーファーコンテナ)は、低温コンテナである。幾つかの実施形態では、冷凍コンテナ100は、冷却室110の内部の温度を-40度よりも低く保つことが可能な超低温コンテナや深冷コンテナである。
【0015】
図2に例示するように、冷却装置112は、空気ライン120と、熱交換器122と、圧縮機124と、エアクーラ126と、膨張機128と、ケーシング130と、を含む。尚、本開示では、冷凍コンテナ100が冷却装置112および空気送り返し構造1のそれぞれを含んでいるが、冷却装置112が空気送り返し構造1を含んでいてもよい。
【0016】
空気ライン120は、例えば、配管やダクトによって構成されており、空気送り返し構造1から吸い込んだ冷却室空気A2を冷却空気A1として空気送り返し構造1に戻すまでの流路である。空気ライン120には、冷却室空気A2又は冷却空気A1が流通する流通方向において、上流側から順に熱交換器122、圧縮機124、エアクーラ126、および膨張機128が設けられている。本開示では、膨張機128で膨張された冷却室空気A2を冷却空気A1とする。
【0017】
熱交換器122は、空気送り返し構造1から吸い込んだ冷却室空気A2を、常温(20度~40度)に加熱又は冷却する。
図2に例示する形態では、熱交換器122は、不図示の伝熱壁を介して、空気送り返し構造1から吸い込んだ冷却室空気A2とエアクーラ126によって常温に冷却された冷却室空気A2とを熱交換する。
【0018】
圧縮機124は、熱交換器122によって常温にされた冷却室空気A2を圧縮し、この冷却室空気A2の温度と圧力を上昇させる。
図2に例示する形態では、冷却装置112は、モータ132と、モータ132から同軸上に延びる一対の駆動軸134a、134bをさらに含んでいる。圧縮機124は、一方の駆動軸134aによってモータ132と接続されており、モータ132により駆動される。また、圧縮機124は、膨張機128で発生する動力が一対の駆動軸134a、134bを介して伝達され、膨張機128の動力を駆動のための補助力として利用できる。
【0019】
エアクーラ126は、圧縮機124によって高温・高圧化された冷却室空気A2を常温に冷却する。エアクーラ126は、例えば、フィンチューブ型熱交換器であり、冷却水が流通する冷却水流路を含む。エアクーラ126は、高温・高圧化された冷却室空気A2と冷却水とを熱交換し、この冷却室空気A2を常温に冷却する。尚、エアクーラ126は、冷却室空気A2を常温に冷却可能であれば任意の構成を有してよい。例えば、エアクーラ126は、冷却水に代わり冷却風によって高温・高圧化された冷却室空気A2を常温に冷却してもよい。
【0020】
エアクーラ126によって常温にされた冷却室空気A2は、熱交換器122に供給される。そして、上述したように、熱交換器122は、この常温の冷却室空気A2と空気送り返し構造1から吸い込んだ冷却室空気A2と熱交換する(エアクーラ126によって常温にされた冷却室空気A2は予冷される)。そして、熱交換器122によって予冷された冷却室空気A2は、膨張機128に供給される。
【0021】
膨張機128は、熱交換器122によって予冷された冷却室空気A2を膨張させ、この冷却室空気A2の温度と圧力を低下させる(冷却空気A1を生成する)。膨張機128は、他方の駆動軸134bによってモータ132と接続されており、モータ132により駆動される。膨張機128によって生成された冷却空気A1は、空気送り返し構造1に戻される。
【0022】
ケーシング130は、空気ライン120、熱交換器122、圧縮機124、エアクーラ126、および膨張機128を収容する。ケーシング130は、冷却装置112が冷却室110の前面に嵌め込まれている際に冷却室110の前壁として機能する。つまり、ケーシング130の外壁面131は、一部が冷却室110の内部に面している。
【0023】
(構成)
一実施形態に係る空気送り返し構造1の構成について説明する。
図3は、一実施形態に係る空気送り返し構造1の構成を概略的に示す図である。
図3に示すように、空気送り返し構造1は、流入口2と、流出口4と、第1の仕切壁6と、第2の仕切壁8と、を含む。
【0024】
流入口2は、冷却装置112で冷却された冷却空気A1を冷却室110の内部に流入させる。一実施形態では、
図3に例示するように、流入口2は、ケーシング130の冷却室110の内部に面する外壁面131を貫通することで形成されている。
【0025】
流出口4は、冷却室110の内部を流通した冷却室空気A2を冷却室110の内部から流出させる。一実施形態では、
図3に例示するように、流出口4は、ケーシング130の冷却室110の内部に面する外壁面131を貫通することで形成されている。流入口2および流出口4のそれぞれは、互いに同じ外壁面131に形成されている。流出口4は、上下方向D1において、流入口2よりも下方に位置している。
【0026】
第1の仕切壁6は、冷却室110の内部を冷却空間3と取り入れ空間5とに仕切る。冷却空間3は、例えば、生鮮食料品のような保存対象を配置するための空間である。取り入れ空間5は、冷却空間3から取り込んだ冷却室空気A2、および冷却空間3に吹き出す冷却空気A1のそれぞれが流通する空間である。つまり、後述するように、取り入れ空間5は、流入流路7および流出流路9のそれぞれを含む。
【0027】
一実施形態では、
図3に例示するように、第1の仕切壁6は、上下方向D1に沿って延びている。具体的には、第1の仕切壁6は、上下方向D1に沿って延びる第1の内壁部10と、第1の内壁部10の上端10aからケーシング130に向かって延びる第1のトップカバー部12と、第1の内壁部10の下端10bから冷却空間3に向かって延びる冷却空気出口部14と、を含む。
【0028】
第1の内壁部10は、一面11aが冷却空間3に面し、一面11aとは反対側の他面11bがケーシング130の外壁面131と対向している。第1の内壁部10の上端10aは、冷却室110の上壁110aよりも下方に位置している。第1の内壁部10の下端10bは、冷却室110の下壁110bよりも上方に位置している。第1のトップカバー部12は、ケーシング130の外壁面131に接続されており、取り入れ空間5を上方から覆う。冷却空気出口部14は、冷却室110の下壁110bよりも上方に位置している。冷却空気出口部14と下壁110bとの間には、冷却空気A1が流通する隙間(流入流路7の出口22)が形成されている。
【0029】
第2の仕切壁8は、取り入れ空間5を、流入流路7と流出流路9とに仕切る。流入流路7は、一端が流入口2に連通し他端が冷却空間3に連通しており、冷却装置112で冷却された冷却空気A1が冷却空間3に向かって流通する。流入流路7は、冷却空気A1を取り入れ空間5から吹き出す出口22を含む。
図3に例示する形態では、流入流路7の出口22は、冷却空気出口部14と下壁110aとの間に形成されている。流出流路9は、一端が冷却空間3に連通し他端が流出口4に連通しており、冷却室110の内部を流通した冷却室空気A2が流出口4に向かって流通する。流出流路9は、冷却室空気A2を取り入れ空間5に取り込む入口23を含む。
図3に例示する形態では、流出流路9の入口23は、第1のトップカバー部12を貫通することで形成されている。そして、上から順に流出流路9の入口23、流入口2、流出口4、および流入流路7の出口22が位置している。
【0030】
一実施形態では、
図3に例示するように、第2の仕切壁8は、上下方向D1に沿って延びている。具体的には、第2の仕切壁8は、上下方向D1に沿って延びる第2の内壁部16と、第2の内壁部16の上端16aからケーシング130に向かって延びる第2のトップカバー部18と、第2の内壁部16から流出口4に向かって延びる冷却室空気出口部20と、第2の内壁部16の下端16bから下方に延びる下端部26と、を含む。
【0031】
第2の内壁部16は、冷凍コンテナ100の前後方向D2(以下、前後方向D2と記載する)において、第1の内壁部10とケーシング130との間に位置している。つまり、第2の内壁部16は、第1の内壁部10よりも前方に位置している。第2の内壁部16の上端16aは、第1の内壁部10の上端10aよりも下方に位置している。第2の内壁部16の下端16bは、第1の内壁部10の下端10bよりも上方に位置している。第2のトップカバー部18は、ケーシング130の外壁面131に接続されており、流入流路7を上方から覆う。冷却室空気出口部20は、筒形状を有しており、流出口4に接続されている。冷却室空気出口部20は、上下方向D1において、第2の内壁部16の上端16aと下端16bとの間に位置している。
図3に例示する形態では、第2の仕切壁8は、冷却室空気出口部20と第2の内壁部16とを接続する接続部24を含む。接続部24は、前後方向D2において、冷却室空気出口部20と第2の内壁部16との間に位置しており、前方に向かうにつれて下方に延びている。接続部24は、第2の内壁部16に対してケーシング130に向かうように傾斜している。下端部26は、流出口4よりも下方に位置している。下端部26は、下方に向かうにつれて第1の仕切壁6に近づいている。
【0032】
図3に例示する形態では、第1の仕切壁6は、第2の仕切壁8よりも下方に長く延びている。第1の内壁部10の下端10bは、第2の仕切壁8の下端部26よりも下方に位置している。そして、第1の内壁部10と第2の仕切壁8の下端部26との間には隙間が形成されている。言い換えると、第2の仕切壁8の下端部26は、第1の仕切壁6との間に排出口28を形成している。
【0033】
一実施形態では、
図3に例示するように、第2の仕切壁8には、流入口2よりも上方に流入流路7と流出流路9とを連通する開口30が形成されている。
図3に例示する形態では、第2の仕切壁8の開口30は、第2のトップカバー部18を貫通することで形成されている。そして、空気送り返し構造1は、開口30を開閉自在に覆う蓋部32をさらに含む。蓋部32による開口30の開閉は、作業員によって手動で行われてもよいし、制御装置によって自動で行われてもよい。制御装置は、例えば、冷却室110の内部に設けられた温度センサや湿度センサなどの計測値に基づいて、開口30を開閉する。開口30は、例えば、冷却装置112による冷却室110の内部の冷却を開始する際には開いておき、冷却室110の内部の温度が予め定められた温度まで低下すると閉じられる。
【0034】
一実施形態では、
図3に例示するように、空気送り返し構造1は、第2の仕切壁8の面に設けられるフィン38をさらに含む。このフィン38は、上下方向D1において流入口2と流出口4との間に位置する。
図3に例示する形態では、フィン38は、第2の仕切壁8の第2の内壁部16の流入流路7側の前面39に設けられている。幾つかの実施形態では、フィン38は第2の仕切壁8の両方の面の少なくとも一方に設けられる。幾つかの実施形態では、フィン38は、第2の内壁部16の流出流路9側の後面40に設けられる。
【0035】
(作用・効果)
一実施形態に係る空気送り返し構造1の作用・効果について説明する。冷却装置112が吸い込んだ冷却室空気A2に水分が含まれていると、例えば、熱交換器122の伝熱壁に水分が付着し、熱交換器122の性能を低下させる虞がある。また、冷却室空気A2に含まれている水分が氷結することによって発生したアイスが膨張機128の機械的な損傷を招く虞がある。
【0036】
このような虞に対して、一実施形態によれば、第1の仕切壁6が冷却室110の内部を冷却空間3と取り入れ空間5とに仕切り、第2の仕切壁8が取り入れ空間5を流入流路7と流出流路9とに仕切っている。このため、第2の仕切壁8を介して、流入流路7を流通する冷却空気A1と流出流路9を流通する冷却室空気A2とを熱交換させ、流出流路9を流通する冷却室空気A2の温度を下げることができる。冷却室空気A2の温度が下がると、冷却室空気A2に含まれる水分が凝縮又は氷結する。このため、第1の仕切壁6と第2の仕切壁8を設けるという簡易な構成で、冷却装置112に吸い込まれる前に冷却室空気A2に含まれる水分を取り除き、熱交換器122の性能の低下や膨張機128の機械的な損傷を抑制することができる。特に、一実施形態に係る空気送り返し構造1は、作業員の出入りなどによって冷却室110の内部の水分量が増加しやすい低温コンテナに適用されているので、上述の効果を大きく発揮する。尚、本開示に係る空気送り返し構造1は、冷凍倉庫のような冷凍コンテナ100以外の冷却システムに適用されてもよい。
【0037】
一実施形態によれば、第1の仕切壁6および第2の仕切壁8のそれぞれが上下方向D1に沿って延びているので、取り入れ空間5の前後方向D2の幅を短くし、冷却空間3を前後方向D2に広く確保することができる。
【0038】
一実施形態によれば、上から順に流出流路9の入口23、流入口2、流出口4、および流入流路7の出口22が位置しているので、上下方向D1における流入口2と流出口4との間において、流入流路7および流出流路9のそれぞれを互いに重なり合わせることが容易である。つまり、
図3に示すように、第2の仕切壁8に流入流路7を流通する冷却空気A1と流出流路9を流通する冷却室空気A2との熱交換に適した熱交換領域Rを形成することができる。このため、冷却室空気A2と冷却空気A1との熱交換効率を高めることができる。
図3に例示する形態では、熱交換領域Rは、第2の内壁部16のうち接続部24よりも上方に位置している。尚、第2の仕切壁8のうち熱交換領域Rを除く部分は、冷却室空気A2と冷却空気A1との熱交換を遮断するように構成されてもよいし、冷却室空気A2と冷却空気A1とを熱交換するように構成されてもよい。
【0039】
一実施形態によれば、熱交換領域Rが第2の内壁部16に形成されているので、流出流路9を流通する冷却室空気A2に含まれる水分を、第2の内壁部16の後面40に付着させ、この付着させた水分(凝縮水やアイス)を下方に案内することができる。そして、一実施形態によれば、排出口28が形成されているので、下方に案内された水分を流出流路9から排出することができる。不図示であるが、幾つかの実施形態では、空気送り返し構造1は、排出口28の下方に配置され、流出流路9から排出された水分が集められるドレンコレクタをさらに含む。
【0040】
一実施形態によれば、第2の仕切壁8の下端部26が下方に向かうにつれて第1の仕切壁6の第1の内壁部10に近づいているので、冷却空気A1が流入流路7から流出流路9に流れこむことを抑制できる。
【0041】
一実施形態によれば、空気送り返し構造1は第2の仕切壁8の第2のトップカバー部18に形成された開口30を開閉自在に覆う蓋部32を含むので、冷却空気A1を流出流路7内に流れ込ませて冷却室空気A2を冷却し、冷却室空気A2に含まれる水分を取り除くことができる。
【0042】
一実施形態によれば、空気送り返し構造1はフィン38を含むので、冷却室空気A2と冷却空気A1との熱交換による冷却室空気A2の冷却を促進させることができる。
【0043】
図4は、幾つかの実施形態に係る空気送り返し構造1の構成を概略的に示す図である。
図4に例示する形態では、第1の仕切壁6は、上下方向D1に沿って延びる上下壁部50を含む。第2の仕切壁8は、第1の仕切壁6とケーシング130とを接続し、前後方向D2に沿って延びる前後壁部52を含む。つまり、第2の仕切壁8は、取り入れ空間5を流入流路7と流入流路7よりも上方に位置する流出流路9とに仕切っている。尚、不図示であるが、第2の仕切壁8には、上下方向D1に沿って貫通する貫通孔が形成されていてもよい。不図示であるが、第2の仕切壁8は、ケーシング130から第1の仕切壁6に向かうにつれて下方に延びて(傾斜して)いてもよい。そして、この第2の仕切壁8の後端は第1の仕切壁6と離間している。
【0044】
図4に例示する形態では、空気ライン120のうち膨張機128から流入口2までの部分を下流部54とし、流出口4から熱交換器122までの部分を上流部56とする。空気送り返し構造1は、空気ライン120の下流部54と上流部56とを接続する接続ライン58と、接続ライン58に設けられるバルブ60と、を含む。バルブ60が開かれると、下流部54を流通する冷却空気A1の一部が接続ライン58に流入し、上流部56に向かって流通する。そして、この冷却空気A1の一部が上流部56に流れ込み、上流部56を流通する冷却室空気A2を冷却し、この冷却室空気A2に含まれる水分を取り除く。
【0045】
図4に例示する形態では、空気送り返し構造1は、空気ライン120の上流部56のうち接続ライン58が接続される位置を含むように設けられるセパレータ59を含んでいる。セパレータ59は、冷却空気A1が冷却室空気A2に合流することによって発生する水分(凝縮水やアイス)を空気ライン120から取り除く。
【0046】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0047】
[1]本開示に係る冷却装置の空気送り返し構造(1)は、
空気冷媒サイクルを用いた冷却装置(112)で冷却された冷却空気(A1)を冷却室(110)の内部に送り返すための冷却装置の空気送り返し構造であって、
前記冷却装置で冷却された前記冷却空気を前記冷却室の内部に流入させるための流入口(2)と、
前記冷却室の内部を流通した前記冷却空気である冷却室空気(A2)を前記冷却室の内部から流出させるための流出口(4)と、
前記冷却室の内部を冷却空間(3)と取り入れ空間(5)とに仕切る第1の仕切壁(6)と、
前記取り入れ空間を、前記流入口に連通し前記冷却装置で冷却された前記冷却空気が前記冷却空間に向かって流通する流入流路(7)と、前記流出口に連通し前記冷却室の内部を流通した前記冷却室空気が前記流出口に向かって流通する流出流路(9)と、に仕切る第2の仕切壁(8)と、を備える。
【0048】
上記[1]に記載の構成によれば、第1の仕切壁が冷却室の内部を冷却空間と取り入れ空間とに仕切り、第2の仕切壁が取り入れ空間を流入流路と流出流路とに仕切っているので、流入流路を流通する冷却空気と流出通路を流通する冷却室空気とを熱交換させ、流出通路を流通する冷却室空気の温度を下げることができる。冷却室空気の温度が下がると、冷却室空気に含まれる水分が凝縮又は氷結する。このため、第1の仕切壁と第2の仕切壁を設けるという簡易な構成で、冷却装置に吸い込まれる前に冷却室空気に含まれる水分を取り除き、冷却装置の性能の低下や冷却装置の損傷を抑制することができる。
【0049】
[2]幾つかの実施形態では、上記[1]に記載の構成において、
前記第1の仕切壁および前記第2の仕切壁のそれぞれは上下方向(D1)に沿って延びている。
【0050】
上記[2]に記載の構成によれば、取り入れ空間の水平方向の一方の長さ(例えば、前後方向の幅)を短くし、冷却空間を広く確保することができる。
【0051】
[3]幾つかの実施形態では、上記[2]に記載の構成において、
前記流入流路は、前記冷却空気を前記取り入れ空間から吹き出す出口(22)を含み、
前記流出流路は、前記冷却室空気を前記取り入れ空間に取り込む入口(23)を含み、
上から順に前記流出流路の前記入口、前記流入口、前記流出口、および前記流入流路の前記出口が位置している。
【0052】
上記[3]に記載の構成によれば、上下方向における流入口と流出口との間において、流入流路および流出流路のそれぞれを互いに重なり合わせることが容易である。このため、冷却室空気と冷却空気との熱交換効率を高めることができる。
【0053】
[4]幾つかの実施形態では、上記[3]に記載の構成において、
前記第1の仕切壁は、前記第2の仕切壁よりも下方に長く延びており、
前記第2の仕切壁は、前記流出口よりも下方に位置し前記第1の仕切壁との間に排出口(28)が形成される下端部(26)を含む。
【0054】
上記[4]に記載の構成によれば、流出流路を流通する冷却室空気の冷却によって生じる水分(凝縮水やアイス)を流出流路から排出することができる。
【0055】
[5]幾つかの実施形態では、上記[4]に記載の構成において、
前記第2の仕切壁の前記下端部は、下方に向かうにつれて前記第1の仕切壁に近づいている。
【0056】
上記[5]に記載の構成によれば、冷却空気が流入流路から流出流路に流れこむことを抑制できる。
【0057】
[6]幾つかの実施形態では、上記[3]から[5]の何れか1つに記載の構成において、
前記第2の仕切壁には、前記流入口よりも上方に前記流入流路と前記流出流路とを連通する開口(30)が形成されており、
前記開口を開閉自在に覆う蓋部(32)をさらに備える。
【0058】
上記[6]に記載の構成によれば、冷却空気を流出流路内に流れ込ませて冷却室空気を冷却し、冷却室空気に含まれる水分を取り除くことができる。
【0059】
[7]幾つかの実施形態では、上記[3]から[6]の何れか1つに記載の構成において、
前記第2の仕切壁の面に設けられ、上下方向において前記流入口と前記流出口との間に位置するフィン(38)をさらに備える。
【0060】
上記[7]に記載の構成によれば、冷却室空気と冷却空気との熱交換による冷却室空気の冷却を促進させることができる。
【0061】
[8]本開示に係る冷却装置は、上記[1]から[7]の何れか1つに記載の冷却装置の空気送り返し構造を備える。
【0062】
上記[8]に記載の構成によれば、簡易な構成で、冷却装置の性能の低下や冷却装置の損傷を抑制可能な冷却装置を提供することができる。
【0063】
[9]本開示に係る冷却システム(100)は、
筒形状を有する冷却室(110)と、
前記冷却室の内部の空気を冷却する冷却装置(112)と、
上記[1]から[7]の何れか1つに記載の冷却装置の空気送り返し構造と、を備える。
【0064】
上記[9]に記載の構成によれば、簡易な構成で、冷却装置の性能の低下や冷却装置の損傷を抑制可能な冷却システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 空気送り返し構造
2 流入口
3 冷却空間
4 流出口
5 取り入れ空間
6 第1の仕切壁
7 流入流路
8 第2の仕切壁
9 流出流路
10 第1の内壁部
12 第1のトップカバー部
14 冷却空気出口部
16 第2の内壁部
18 第2のトップカバー部
20 冷却室空気出口部
22 流入流路の出口
23 流出流路の入口
24 接続部
26 下端部
28 排出口
30 開口
32 蓋部
38 フィン
50 上下壁部
52 前後壁部
54 下流部
56 上流部
58 接続ライン
60 バルブ
100 冷凍コンテナ
110 冷却室
112 冷却装置
120 空気ライン
122 熱交換器
124 圧縮機
126 エアクーラ
128 膨張機
130 ケーシング
131 外壁面
132 モータ
A1 冷却空気
A2 冷却室空気
D1 上下方向
D2 前後方向