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特開2024-126791核酸検査用容器及び核酸検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126791
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】核酸検査用容器及び核酸検査システム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240912BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240912BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALN20240912BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/34 B
C12Q1/6844 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035428
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】久島 大昌
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B029BB20
4B029CC01
4B029DG08
4B029FA12
4B029FA15
4B029GA02
4B029GA03
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS25
4B063QX02
(57)【要約】
【課題】反応ウェルへの検査サンプルの分注作業を低コストで迅速かつ高精度に行うこと。
【解決手段】実施形態に係る核酸検査用容器は、サンプル収納部と、反応ウェルと、封止部材とを備える。サンプル収納部は、検査サンプルを収納する。反応ウェルは、サンプル収納部から導入された検査サンプル内の標的核酸を増幅して検出する。封止部材は、反応ウェルを封止可能な第1封止部と、第1封止部から離間して設けられて、反応ウェルを封止可能な第2封止部とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査サンプルを収納するサンプル収納部と、
前記サンプル収納部から導入された前記検査サンプル内の標的核酸を増幅して検出するための反応ウェルと、
前記反応ウェルを封止可能な第1封止部と、前記第1封止部から離間して設けられて、前記反応ウェルを封止可能な第2封止部とを有する封止部材と、
を備える、核酸検査用容器。
【請求項2】
前記反応ウェルは、前記サンプル収納部に隣接して配置された基部を貫通するように設けられており、
前記第1封止部と前記第2封止部とは、前記反応ウェルが前記基部を貫通する貫通方向に離間して前記反応ウェルを封止することで、前記第1封止部と前記第2封止部との間に規定量の前記検査サンプルを保持する、請求項1に記載の核酸検査用容器。
【請求項3】
前記封止部材は、前記第1封止部と前記第2封止部とを連結する連結部を更に有する、請求項2に記載の核酸検査用容器。
【請求項4】
前記第1封止部と、前記第2封止部と、前記連結部とで形成される前記反応ウェル内の容積は、前記規定量に相当する、請求項3に記載の核酸検査用容器。
【請求項5】
前記反応ウェル内において前記貫通方向に前記封止部材を移動させる移動部材を更に備える、請求項2に記載の核酸検査用容器。
【請求項6】
前記サンプル収納部は、一端に開口部が設けられた円筒状の外形を有する容器本体の内部に設けられ、
前記反応ウェルは、前記容器本体の内部における前記開口部と対向する前記サンプル収納部の底部に設けられている、請求項5に記載の核酸検査用容器。
【請求項7】
前記反応ウェルが設けられていない前記基部の領域に、前記サンプル収納部に隣接する窪みが設けられている、請求項6に記載の核酸検査用容器。
【請求項8】
前記反応ウェルは、前記貫通方向に直交する方向に間隔を空けて前記基部に複数設けられ、
前記第1封止部及び前記第2封止部は、前記複数の反応ウェルのそれぞれに対応して複数組設けられている、請求項6に記載の核酸検査用容器。
【請求項9】
前記基部は、円柱状の外形を有し、
前記複数の反応ウェルは、前記基部の周方向に間隔を空けて前記基部の周辺部に設けられ、
前記反応ウェルが設けられていない前記基部の中央部に、前記サンプル収納部に隣接する窪みが設けられている、請求項8に記載の核酸検査用容器。
【請求項10】
前記反応ウェルの側壁には、前記第1封止部と前記第2封止部との間の距離よりも前記サンプル収納部から離間して、前記標的核酸を増幅させるための試薬成分が設けられている、請求項6に記載の核酸検査用容器。
【請求項11】
前記試薬成分は、前記反応ウェルの側壁に設けられた第2の窪みの内部に固定されている、請求項10に記載の核酸検査用容器。
【請求項12】
前記移動部材は、前記容器本体の他端に配置され、前記容器本体の周方向に回転可能な第1ねじを有し、
前記封止部材は、前記第1ねじと噛み合い、前記第1ねじの回転に応じて前記貫通方向に前記封止部材を移動させる第2ねじを更に有する、請求項6に記載の核酸検査用容器。
【請求項13】
前記容器本体の前記他端には、第2の開口部が設けられ、
前記移動部材は、前記第2の開口部を塞ぐ円板状の頭部を更に有し、
前記第1ねじは、前記基部側に突出するように前記頭部の中央部に設けられ、
前記封止部材は、前記第2封止部と前記第2ねじとを連結する第2の連結部を更に有し、
前記第2ねじは、前記基部と前記頭部との間の空間内を前記貫通方向に移動することで、前記第1封止部と前記第2封止部との間に前記規定量の前記検査サンプルが保持される位置まで前記封止部材を移動させる、請求項12に記載の核酸検査用容器。
【請求項14】
前記容器本体は、透光性を有する樹脂材料で形成されている、請求項6乃至13のいずれか1項に記載の核酸検査用容器。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の核酸検査用容器と、
前記反応ウェル内の前記検査サンプルの色又は前記反応ウェル内の前記検査サンプルが発する蛍光に基づいて、増幅された前記標的核酸を検出する検出装置と、
を備える、核酸検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、核酸検査用容器及び核酸検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の標的核酸を一括で検出することを目的とした核酸検査方法として、マイクロチューブ及び96ウェルプレート等を反応容器として使用し、反応容器における必要な数の反応ウェル内に検査サンプルを分注して検査を行う方法が知られている。また、その他の核酸検査方法として、マイクロ流路が形成された検査カートリッジと専用装置とを使用することで、検査カートリッジ内の反応ウェルへの検査サンプルの分注を自動化して検査を行う方法が知られている。更に、その他の核酸検査方法として、単一の反応ウェル内で複数の標的核酸を対象とした増幅及び検出を行うマルチプレックス検査が知られている。
【0003】
しかしながら、マイクロチューブ及び96ウェルプレート等を用いた核酸検査方法においては、作業者がマイクロピペットを用いて検査サンプルの分注作業を行う必要があるため、分注作業に時間を要し、また、異なる作業者間で分注作業の精度にばらつきがあるといった問題がある。また、自動化による核酸検査方法においては、検査サンプルを分注するためのバルブ及びモータ等の機構を有する検査カートリッジ及び専用装置を使用するため、検査費用が高額になるといった問題がある。また、マルチプレックス検査においては、増幅の競合による偽陰性及び検出時の特異性に注意が必要なため、プライマー又はプローブの設計最適化に時間を要するといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-187821号公報
【特許文献2】特開平11-4678号公報
【特許文献3】特開平10-304890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、反応ウェルへの検査サンプルの分注作業を低コストで迅速かつ高精度に行うことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る核酸検査用容器は、サンプル収納部と、反応ウェルと、封止部材とを備える。サンプル収納部は、検査サンプルを収納する。反応ウェルは、サンプル収納部から導入された検査サンプル内の標的核酸を増幅して検出する。封止部材は、反応ウェルを封止可能な第1封止部と、第1封止部から離間して設けられて、反応ウェルを封止可能な第2封止部とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る核酸検査用容器の一例を示す側面図。
図2図2は、実施形態に係る核酸検査用容器の一例を示す平面図。
図3図3は、実施形態に係る核酸検査用容器の容器本体の一例を示す断面図。
図4図4は、実施形態に係る核酸検査用容器の容器本体の一例を示す平面図。
図5図5は、実施形態に係る核酸検査用容器の封止部材の一例を示す側面図。
図6図6は、実施形態に係る核酸検査用容器の封止部材の一例を示す平面図。
図7図7は、実施形態に係る核酸検査用容器の移動部材の一例を示す側面図。
図8図8は、実施形態に係る核酸検査用容器の移動部材の一例を示す平面図。
図9図9は、実施形態に係る核酸検査システムの構成例を示すブロック図。
図10図10は、実施形態に係る核酸検査システムの動作例を示す図。
図11図11は、図10に続く、実施形態に係る核酸検査システムの動作例を示す図。
図12図12は、図11に続く、実施形態に係る核酸検査システムの動作例を示す図。
図13図13は、図12に続く、実施形態に係る核酸検査システムの動作例を示す図。
図14図14は、図13に続く、実施形態に係る核酸検査システムの動作例を示すフローチャート。
図15図15は、実施形態の第1の変形例に係る核酸検査用容器の封止部材を示す側面図。
図16図16は、実施形態の第2の変形例に係る核酸検査用容器の封止部材を示す側面図。
図17図17は、実施形態の第3の変形例に係る核酸検査用容器を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、核酸検査用容器の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。なお、以下の説明では、図中のZ軸方向を上方と定義し、その反対方向を下方と定義する。
【0009】
図1は、実施形態に係る核酸検査用容器1の一例を示す側面図である。図2は、実施形態に係る核酸検査用容器1の一例を示す平面図である。具体的には、図2は、後述する蓋5を取り外した状態の核酸検査用容器1の平面図である。図3は、実施形態に係る核酸検査用容器1の容器本体2の一例を示す断面図である。図4は、実施形態に係る核酸検査用容器1の容器本体2の一例を示す平面図である。図3は、図4のIII-III断面図である。図5は、実施形態に係る核酸検査用容器1の封止部材3の一例を示す側面図である。図6は、実施形態に係る核酸検査用容器1の封止部材3の一例を示す平面図である。図7は、実施形態に係る核酸検査用容器1の移動部材4の一例を示す側面図である。図8は、実施形態に係る核酸検査用容器1の移動部材4の一例を示す平面図である。
【0010】
図1に示すように、実施形態に係る核酸検査用容器1は、容器本体2と、封止部材3と、移動部材4と、蓋5とを備える。
【0011】
容器本体2は、検査サンプルを収納可能な中空の部材である。図1に示される例において、容器本体2は、円筒状の外形を有する。容器本体2の上端(すなわち、一端)には、第1開口部21が設けられている。容器本体2の下端(すなわち、他端)には、第2開口部25が設けられている。容器本体2の内部には、サンプル収納部22と、反応ウェル23とが設けられている。円筒状の外形を有することに限定されず、容器本体2は、例えば、角筒状等の円筒状以外の外形を有してもよい。
【0012】
サンプル収納部22は、検査サンプルを収納する容器本体2内の空間である。図1に示される例において、サンプル収納部22は、容器本体2の内部における上端側(すなわち、第1開口部21側)に配置されている。また、図1に示される例において、サンプル収納部22の内周面は、円筒形状を有する。サンプル収納部22は、第1開口部21を介して検査サンプルを収納可能とされている。検査サンプルは、例えば、被検者から採取された検体と不活性液又は前処理液等との混合液、あるいは、当該混合液を精製した溶液であってもよい。
【0013】
反応ウェル23は、サンプル収納部22から導入された検査サンプル内の標的核酸を増幅して検出するための空間である。反応ウェル23は、サンプル収納部22に隣接して配置された基部24を上下方向に貫通するように設けられている。図1乃至図4に示される例において、基部24は、円柱状の外形を有する。図1に示される例において、反応ウェル23及び基部24は、容器本体2の内部における下端側(すなわち、第2開口部25側)に配置されている。より具体的には、反応ウェル23及び基部24は、容器本体2の内部における第1開口部21と対向するサンプル収納部22の底部に設けられている。
【0014】
反応ウェル23は、反応ウェル23が基部24を貫通する貫通方向(すなわち、上下方向)に直交する方向に間隔を空けて基部24に複数設けられている。以下、反応ウェル23が基部24を貫通する貫通方向のことを、ウェル貫通方向とも呼ぶ。図4に示される例において、反応ウェル23は、円柱状の基部24の周辺部に、基部24の周方向に等間隔(すなわち、同一の角度間隔)を空けて4つ設けられている。図1に示される例において、各反応ウェル23は、円形状の断面を有する。反応ウェル23が設けられていない基部24の領域には、サンプル収納部22に隣接する第1窪み27が設けられている。第1窪み27は、窪みの一例である。図3に示される例において、第1窪み27は、基部24の上面の中央部に設けられている。第1窪み27は、円形状の断面を有する。第1窪み27は、検査サンプル中の不純物を回収する。
【0015】
反応ウェル23の側壁23aには、標的核酸を増幅させるための試薬成分が設けられている。より具体的には、試薬成分は、反応ウェル23の側壁23aに設けられた第2窪み26の内部に乾燥して固定されている。図3に示される例において、第2窪み26は、反応ウェル23の側壁23a上における基部24の径方向内端側の位置に設けられている。容器本体2は、透光性を有する(すなわち、透明な)樹脂材料で形成されている。試薬成分は、検出すべき標的核酸に応じて異なる。例えば、LAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification)法を行う場合、試薬成分は、例えば、FIP(Forward Inner Primer)、BIP(Backward Inner Primer)、F3プライマー、及びB3プライマーの4本のプライマーを含む。4つの反応ウェル23の間で、試薬成分は互いに異なってもよい。試薬成分は、蛍光色素で標識されてもよい。
【0016】
封止部材3は、反応ウェル23を封止する部材である。封止部材3は、第1封止部31と、第2封止部32と、第1連結部33と、第2ねじ34と、第2連結部35とを有する。第1連結部33は、連結部の一例である。第1封止部31と、第2封止部32と、第1連結部33と、第2連結部35とは、複数の反応ウェル23のそれぞれに対応して複数組設けられている。図5及び図6に示される例において、第1封止部31と、第2封止部32と、第1連結部33と、第2連結部35とは、4組設けられている。なお、以下において、第1封止部31、第2封止部32、第1連結部33、及び第2連結部35に関する説明は、特に言及しない限り、複数組の第1封止部31、第2封止部32、第1連結部33、及び第2連結部35に共通の説明である。
【0017】
第1封止部31は、反応ウェル23を封止可能である。第2封止部32は、第1封止部31から離間して設けられて、反応ウェル23を封止可能である。図1に示される例において、第2封止部32は、第1封止部31に対して下方に離間して設けられている。第1封止部31と第2封止部32とは、第1封止部31と第2封止部32との間に配置された第1連結部33によって連結されている。第1封止部31と第2封止部32とは、反応ウェル23内においてウェル貫通方向に離間して反応ウェル23を封止することで、第1封止部31と第2封止部32との間に規定量の検査サンプルを保持(すなわち、分注)する。
【0018】
第1封止部31と、第2封止部32と、第1連結部33とで形成される反応ウェル23内の容積は、検査サンプルの規定量に相当する。
【0019】
図1に示される例において、第1封止部31及び第2封止部32は、直径が同一の球状の外形を有する。第1封止部31および第2封止部32の直径は、反応ウェル23の直径と略同一である。第1連結部33は、第1封止部31と第2封止部32とを連結する。図1に示される例において、第1連結部33は、棒状の外形を有する。第1連結部33の外周は、反応ウェル23の内周よりも小さい。第1連結部33の外周が反応ウェル23の内周よりも小さいことで、反応ウェル23内において第1封止部31と第2封止部32との間に規定量の検査サンプルを保持することができる。
【0020】
反応ウェル23の側壁23aには、第1封止部31と第2封止部32との間の距離よりもサンプル収納部22から離間して、上述した試薬成分が設けられている。すなわち、試薬成分が固定された第2窪み26は、第1封止部31と第2封止部32との間の距離よりもサンプル収納部22の底部から離間した位置に設けられている。
【0021】
第2ねじ34は、第2封止部32と第2ねじ34との間に配置された第2連結部35によって、第2封止部32と連結されている。図6に示される例において、第2ねじ34は、中央の貫通孔34aの内周面にねじ山341が形成された、円環状の外形を有する雌ねじである。第2連結部35は、貫通孔34aを囲む第2ねじ34の上面34bに連結されている。図1に示される例において、第2ねじ34の外径は、基部24の外径と略同一である。第2ねじ34の外径は、容器本体2の内径よりもわずかに小さい。
【0022】
第2ねじ34は、後述する第1ねじ42と噛み合い、第1ねじ42の回転に応じてウェル貫通方向に封止部材3を移動させる。
【0023】
第2連結部35は、第1連結部33と同様に棒状の外形を有する。第2連結部35の外周は、反応ウェル23の内周よりも小さい。図5に示される例において、第2連結部35の長さは、第1連結部33の長さよりも長い。封止部材3は、例えば、ウレタン樹脂などの柔軟性を有する樹脂材料で形成することができる。封止部材3は、ウレタン樹脂よりも剛性の大きい材料で形成してもよい。
【0024】
移動部材4は、反応ウェル23内においてウェル貫通方向に封止部材3を移動させる部材である。移動部材4は、頭部41と、第1ねじ42とを有する。頭部41は、容器本体2の下端に配置されている。頭部41は、円板状の外形を有し、容器本体2の下端において第2開口部25を塞いでいる。
【0025】
第1ねじ42は、容器本体2の下端に配置され、容器本体2の周方向に手動で回転可能なねじである。第1ねじ42は、基部24側(すなわち、上方)に突出するように頭部41に設けられている。図7に示される例において、第1ねじ42は、頭部41の中央部に設けられ、外周面にねじ山421が形成された雄ねじである。第1ねじ42は、第2ねじ34と噛み合っている。図3に示される例において、第1ねじ42の先端部42aは、基部24の底部に設けられた第3窪み28の内部に位置している。図10に示される例において、容器本体2の下端部には、容器本体2の下端部に頭部41を嵌合させるための凸部2bが、容器本体2の下端部の全周にわたって設けられている。また、図10に示される例において、頭部41には、容器本体2の凸部2bに遊びを持った状態で頭部41を嵌合させるための凹部41aが設けられている。頭部41が容器本体2に遊びを持った状態で嵌合しているため、頭部41に固定されている第1ねじ42は、頭部41と共に回転可能である。一方、第1ねじ42は、回転してもウェル貫通方向には移動しない。
【0026】
第2ねじ34は、第1ねじ42の回転に応じて、反応ウェル23内においてウェル貫通方向に封止部材3を移動することができる。具体的には、第2ねじ34は、基部24と頭部41との間の空間内をウェル貫通方向に移動することで、反応ウェル23内において第1封止部31と第2封止部32との間に規定量の検査サンプルが保持される位置まで封止部材3を移動することができる。
【0027】
蓋5は、容器本体2に着脱可能とされている。蓋5は、第1開口部21を塞ぐことで、検査サンプルが収容されたサンプル収納部22を封止する。図1に示される例において、蓋5は、内周面に雌ねじが形成されたねじ式の蓋5である。蓋5の雌ねじが、容器本体2の上端部の外周面に形成された雄ねじ2aと噛み合うことで、容器本体2に蓋5を装着することができる。
【0028】
図9は、実施形態に係る核酸検査システム10の構成例を示すブロック図である。以上の構成を有する核酸検査用容器1は、例えば、図9に示される簡易な構成の核酸検査装置100を用いた標的核酸の検出に用いることができる。図9に示すように、核酸検査システム10は、核酸検査用容器1と核酸検査装置100とを備える。核酸検査装置100は、ヒータ110と、光学センサ120と、入力インタフェース130と、出力インタフェース140と、記憶回路150と、処理回路160とを備える。
【0029】
ヒータ110は、核酸検査装置100に搭載された核酸検査用容器1を予め設定された温度サイクルにしたがって加熱する。核酸検査用容器1を加熱することで、ヒータ110は、反応ウェル23内において第1封止部31と第2封止部32との間に保持された規定量の検査サンプル内の標的核酸を増幅させる。
【0030】
光学センサ120は、標的核酸が増幅された反応ウェル23内の検査サンプルの色又は検査サンプルが発する蛍光を検出する。光学センサ120は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子を備えたセンサである。光学センサ120は、光源(図示せず)から検査サンプルSに照射された励起光によって励起された蛍光を検出してもよい。
【0031】
入力インタフェース130は、作業者から各種の指示及び情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インタフェース130は、作業者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換して処理回路160に出力する。例えば、入力インタフェース130は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、入力インタフェース130は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース130の例に含まれる。
【0032】
出力インタフェース140は、各種の情報を出力する。例えば、出力インタフェース140は、ディスプレイを備える。ディスプレイは、処理回路160から送られる情報及び画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。ディスプレイは、液晶モニタ、CRT(Cathode Ray Tube)モニタ、及び、タッチパネル等によって実現される。
【0033】
記憶回路150は、種々の情報を記憶する非一過性の記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、光ディスク、SSD(Solid State Drive)、及び集積回路記憶装置等である。記憶回路150は、例えば、核酸検査装置100を制御する制御プログラムと、この制御プログラムの実行に用いられる各種のデータとを記憶する。記憶回路150は、HDD及びSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体、或いはRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。
【0034】
処理回路160は、入力インタフェース130から入力される入力操作の電気信号に応じて、核酸検査装置100全体の動作を制御する回路である。処理回路160は、例えば、ヒータ制御機能161と、核酸検出機能162と、検出結果出力機能163とを備える。核酸検出機能162は、検出装置の一例である。
【0035】
ここで、例えば、図9に示す処理回路160の構成要素であるヒータ制御機能161、核酸検出機能162、及び検出結果出力機能163が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路150に記録されている。処理回路160は、例えば、プロセッサである。処理回路160を構成するプロセッサは、記憶回路150から各プログラムを読み出し、実行することで読み出した各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路160は、図9の処理回路160内に示された各機能を有することとなる。処理回路160は、プロセッサ以外の回路を含んでいてもよい。
【0036】
なお、図9においては、ヒータ制御機能161、核酸検出機能162、及び検出結果出力機能163の各処理機能が単一の処理回路160によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路160は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路160が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0037】
ヒータ制御機能161は、入力インタフェース130から入力された入力操作の電気信号に応じて、ヒータ110の駆動を制御する。具体的には、ヒータ制御機能161は、核酸検査用容器1が核酸検査装置100に搭載された状態で、入力インタフェース130から核酸検査用容器1を加熱するための入力操作が行われると、ヒータ110を駆動して、ヒータ110に核酸検査用容器1を加熱させる。ヒータ制御機能161は、標的核酸の増幅に適した温度サイクルにしたがってヒータ7による核酸検査用容器1の加熱温度を制御する。例えば、LAMP法を用いて標的核酸を増幅させる場合、ヒータ制御機能161は、核酸検査用容器1が一定温度(例えば、60℃以上63℃以下の温度であってもよい)に保持されるようにヒータ7による核酸検査用容器1の加熱温度を制御してもよい。また、標的核酸の増幅を終了させるために、ヒータ制御機能161は、核酸検査用容器1を95℃程度まで昇温させてもよい。
【0038】
核酸検出機能162は、ヒータ110によって核酸検査用容器1が加熱された後、反応ウェル23内の検査サンプルの色又は検査サンプルが発する蛍光を検出するように光学センサ120を制御する。核酸検出機能162は、検出された検査サンプルの色又は蛍光に基づいて、標的核酸を検出する。例えば、LAMP法を用いる場合、核酸検出機能162は、標的核酸の増幅によって白濁された検査サンプルの色(すなわち、濁度)又は検査サンプルから発光された蛍光の強度に基づいて、標的核酸を検出する。
【0039】
検出結果出力機能163は、核酸検出機能162による標的核酸の検出結果を出力インタフェース140に出力させる。
【0040】
次に、以上のように構成された核酸検査システム10の動作例について説明する。図10は、実施形態に係る核酸検査システム10の動作例を示す図である。先ず、図10に示すように、サンプル収納部22に検査サンプルSを収容したうえで、蓋5を図10の矢印Aに示す方向に回転して、蓋5を閉める。例えば、検査サンプルSは、検査用綿棒を使用して被検者から採取した唾液等の検体を、処理溶液に懸濁したものである。蓋5を閉めた後に、核酸検査用容器1を遠心機にセットし、遠心機によって検査サンプルSから不純物を分離してもよい。検査サンプルSから分離された不純物は、沈降することで基部24の第1窪み27内に回収することができる。
【0041】
図11は、図10に続く、実施形態に係る核酸検査システム10の動作例を示す図である。蓋5を閉めた後、図11に示すように、移動部材4を図11の矢印Bに示す方向に手動で回転させる。なお、移動部材4の回転開始前の状態において、第1封止部31は、サンプル収納部22内に位置している。一方、第2封止部32は、反応ウェル23内における第2窪み26の上方に位置している。移動部材4を矢印Bに示す方向に回転させると、第1ねじ42と噛み合った封止部材3の第2ねじ34が下方に移動する。第2ねじ34が下方に移動することで、封止部材3全体が下方に移動する。封止部材3全体が下方に移動することで、第2封止部32よりも上方の反応ウェル23には、図11の矢印Cに示すように検査サンプルSが導入される。しかし、図11の段階では、第1封止部31が反応ウェル23の上方に位置しているため、第1封止部31と第2封止部32との間に規定量の検査サンプルSは未だ保持されない。
【0042】
図12は、図11に続く、実施形態に係る核酸検査システム10の動作例を示す図である。次いで、図12に示すように、移動部材4を矢印Bに示す方向に更に回転させると、封止部材3が更に下方に移動し、第1封止部31が反応ウェル23内に位置するようになる。これにより、第1封止部31と第2封止部32との間に規定量の検査サンプルSが保持された状態で、第1封止部31の第2封止部32との間の反応ウェル23が封止されるようになる。すなわち、第1封止部31と第2封止部32との間には、規定量の検査サンプルSが分取される。図12の状態においては、第2封止部32が依然として第2窪み26の上方に位置しており、第2窪み26の内部に固定された試薬成分は検査サンプルS内に溶解していない。
【0043】
図13は、図12に続く、実施形態に係る核酸検査システム10の動作例を示す図である。次いで、図13に示すように、移動部材4を矢印Bに示す方向に更に回転させると、封止部材3が更に下方に移動し、第2封止部32が第2窪み26の下方に位置するようになる。これにより、第2窪み26の内部に固定された試薬成分が、第1封止部31と第2封止部32との間に保持された規定量の検査サンプルSに溶解する。試薬成分が検査サンプルSに溶解することで、検査サンプルS内の標的核酸を試薬成分によって増幅させることができる。
【0044】
図14は、図13に続く、実施形態に係る核酸検査システム10の動作例を示すフローチャートである。試薬成分を検査サンプルSに溶解させた後、図14に示すように、核酸検査用容器1を核酸検査装置100に搭載する(ステップS1)。
【0045】
核酸検査用容器1が核酸検査装置100に搭載された後、ヒータ制御機能161は、予め設定された温度サイクルにしたがってヒータ110に核酸検査用容器1を加熱させることで、検査サンプルS内の標的核酸を更に増幅させる(ステップS2)。
【0046】
核酸検査用容器1を加熱した後、核酸検出機能162は、光学センサ120を用いて、反応ウェル23内の検査サンプルSの色又は検査サンプルSが発する蛍光を検出する(ステップS3)。
【0047】
反応ウェル23内の検査サンプルSの色又は蛍光を検出した後、核酸検出機能162は、検出された検査サンプルSの色又は蛍光に基づいて、標的核酸の有無を判定する(ステップS4)。
【0048】
標的核酸の有無を判定した後、検出結果出力機能163は、出力インタフェース140を介して標的核酸の有無の検出結果を出力する(ステップS5)。
【0049】
以上説明したように、実施形態では、核酸検査用容器1が、反応ウェル23を封止可能な第1封止部31と、第1封止部31から離間して設けられて、反応ウェル23を封止可能な第2封止部32とを有する封止部材3を備える。
【0050】
これにより、反応ウェル23内における第1封止部31と第2封止部32との間に検査サンプルSを分注することができるので、高額な自動装置を使用することなく、反応ウェル23への検査サンプルSの分注作業を短時間で行うことができ、かつ、作業者間での検査サンプルSの分注作業の精度のばらつきを抑制することができる。したがって、反応ウェル23への検査サンプルSの分注作業を低コストで迅速かつ高精度に行うことができる。
【0051】
また、実施形態では、反応ウェル23が、サンプル収納部22に隣接して配置された基部24を貫通するように設けられている。また、第1封止部31と第2封止部32とは、ウェル貫通方向に離間して反応ウェル23を封止することで、第1封止部31と第2封止部32との間に規定量の検査サンプルSを保持する。
【0052】
これにより、反応ウェル23内において第1封止部31と第2封止部32との間に規定量の検査サンプルSを保持することができるので、検査サンプルSの分注作業を更に低コストで適切に行うことができる。
【0053】
また、実施形態では、封止部材3が、第1封止部31と第2封止部32とを連結する第1連結部33を更に備える。
【0054】
これにより、第1封止部31と第2封止部32とを一体的に移動させることができるので、封止部材3を用いた反応ウェル23への検査サンプルSの分注作業を効率的に行うことができる。
【0055】
また、実施形態では、第1封止部31と、第2封止部32と、第1連結部33とで形成される反応ウェル23内の容積が、検査サンプルSの規定量に相当する。
【0056】
これにより、簡易な構成によって第1封止部31と第2封止部32との間に規定量の検査サンプルSを適切に保持することができるので、反応ウェル23の分注作業を更に低コストで適切に行うことができる。
【0057】
また、実施形態では、反応ウェル23内においてウェル貫通方向に封止部材3を移動させる移動部材4を更に備える。移動部材4は、容器本体2の下端に配置され、容器本体2の周方向に回転可能な第1ねじ42を有する。封止部材3は、第1ねじ42と噛み合い、第1ねじ42の回転に応じてウェル貫通方向に封止部材3を移動させる第2ねじ34を有する。
【0058】
これにより、第1ねじ42を回転させる簡便な作業によって封止部材3を移動させることができるので、検査サンプルSの分注作業を更に容易かつ迅速に行うことができる。
【0059】
また、実施形態では、サンプル収納部22は、上端に第1開口部21が設けられた円筒状の外形を有する容器本体2の内部に設けられている。反応ウェル23は、容器本体2の内部における第1開口部21と対向するサンプル収納部22の底部に設けられている。
【0060】
これにより、容器本体2を取り扱いが容易な円筒形に形成することで、検査サンプルSの分注作業をより効率的に行うことができる。
【0061】
また、実施形態では、反応ウェル23が設けられていない基部24の領域に、サンプル収納部22に隣接する第1窪み27が設けられている。
【0062】
これにより、検査サンプルS内の不純物を第1窪み27内に回収することができるので、標的核酸の検出精度を向上させることができる。
【0063】
また、実施形態では、反応ウェル23が、ウェル貫通方向に直交する方向に間隔を空けて基部24に複数設けられている。第1封止部31及び第2封止部32は、前記複数の反応ウェル23のそれぞれに対応して複数組設けられている。
【0064】
これにより、複数の反応ウェル23への検査サンプルSの分配作業を低コストで迅速かつ高精度に行うことができる。また、複数の標的核酸を複数の反応ウェル23で一括に検出することができるので、利便性を向上させることができる。
【0065】
また、実施形態では、基部24が、円柱状の外形を有する。反応ウェル23は、基部24の周方向に間隔を空けて基部24の周辺部に設けられている。第1窪み27は、基部24の中央部に設けられている。
【0066】
これにより、サイズが制約された基部24に対して複数の反応ウェル23と第1窪み27とを効率的に配置することができる。
【0067】
また、実施形態では、反応ウェル23の側壁23aに、第1封止部31と第2封止部32との間の距離よりもサンプル収納部22から離間して、標的核酸を増幅させるための試薬成分が設けられている。
【0068】
これにより、サンプル収納部22内の検査サンプルSと隔絶した状態で、反応ウェル23内において第1封止部31と第2封止部32との間に保持された検査サンプルSに試薬成分を溶解させることができる。したがって、試薬成分がサンプル収納部22側に流出することによる反応ウェル23内の試薬成分の濃度の減少及び複数の反応ウェル23の間での試薬成分の混合を妨げることができるので、標的核酸の検出精度を更に向上させることができる。
【0069】
また、実施形態では、試薬成分が、反応ウェル23の側壁23aに設けられた第2窪み26の内部に固定されている。
【0070】
これにより、封止部材3の動線上から退避した位置に試薬成分を配置することができるので、封止部材3の移動によって試薬成分が除去されることを妨げることができる。
【0071】
また、実施形態では、容器本体2の下端に第2開口部25が設けられ、移動部材4は、第2開口部25を塞ぐ円板状の頭部41を更に有する。第1ねじ42は、基部24側に突出するように頭部41の中央部に設けられている。封止部材3は、第2封止部32と第2ねじ34とを連結する第2連結部35を更に有する。第2ねじ34は、基部24と頭部41との間の空間内をウェル貫通方向に移動することで、第1封止部31と第2封止部32との間に規定量の検査サンプルSが保持される位置まで封止部材3を移動させる。
【0072】
これにより、簡易な構成によって第1封止部31と第2封止部32との間に規定量の検査サンプルSが保持される位置まで封止部材3を移動させることができるので、反応ウェル23への検査サンプルSの分注作業を更に低コストで行うことができる。
【0073】
また、実施形態では、容器本体2が、透光性を有する樹脂材料で形成されている。
【0074】
これにより、検査サンプルSの外観に基づいて標的核酸の有無を把握することができる。
【0075】
また、実施形態では、核酸検出機能162が、反応ウェル23内の検査サンプルSの色又は反応ウェル23内の検査サンプルSが発する蛍光に基づいて、増幅された標的核酸を検出する。
【0076】
これにより、標的核酸を簡便かつ適切に検出することができる。
【0077】
なお、実施形態には、以下に示される種々の変形例を適用することができる。
【0078】
(第1の変形例)
図15は、実施形態の第1の変形例に係る核酸検査用容器1の封止部材3を示す側面図である。これまでは、第1封止部31及び第2封止部32が球状の外形を有し、第1連結部33が棒状の外形を有する封止部材3の例について説明した。これに対して、図15に示すように、封止部材3の第1封止部31、第2封止部32及び第1連結部33は、全体として瓢箪状の外形を有していてもよい。
【0079】
(第2の変形例)
図16は、実施形態の第2の変形例に係る核酸検査用容器1の封止部材3を示す側面図である。また、図16に示すように、封止部材3の第1封止部31、第2封止部32及び第1連結部33は、第1連結部33で囲まれた凹部33aを有する直方体状の外形を有していてもよい。凹部33aは、基部24の中心側に向けて開口されている。第2の変形例によれば、凹部33a内に規定量の検査サンプルSを分注することができる。
【0080】
(第3の変形例)
図17は、実施形態の第3の変形例に係る核酸検査用容器1を示す平面図である。第1ねじ42の回転にともなって封止部材3をウェル貫通方向に効率的に移動させるには、第1ねじ42の回転時に第2ねじ34の回転を妨げることが望ましい。第2ねじ34の回転を妨げる構成として、例えば、図17に示すように、第2ねじ34の外周に切り込み34cを設けるとともに、切り込み34cに対応する容器本体2の内周面に、切り込み34cに向かって突出したガイド29を設けてもよい。第3の変形例によれば、切り込み34cの側壁にガイド29を突き当てることで、第1ねじ42の回転にともなう第2ねじ34の回転を妨げることができる。
【0081】
これ以外にも、第2ねじ34の回転を妨げる方法としては、例えば、封止部材3をある程度の剛性を有する材料で形成することが考えられる。
【0082】
(その他の変形例)
これまでは、核酸検査用容器1を用いた標的核酸の検出方法としてLAMP法を例示したが、核酸検査用容器1は、LAMP法以外の方法による標的核酸の検出に用いられてもよい。例えば、比色検出又はPCR(Polymerase Chain Reaction)法によって標的核酸を検出するために核酸検査用容器1を用いることもできる。
【0083】
また、これまでは、移動部材4の第1ねじ42の回転運動を第2ねじ34によって並進運動に変換することで、第1封止部31と第2封止部32との間に規定量の検査サンプルSが保持される位置まで封止部材3を移動させる例について説明した。しかしながら、移動部材4は、ねじによって封止部材3に結合されていることに限定されず、例えば、封止部材3に固定されていてもよい。この場合、移動部材4を手動で下方に移動させると、同じ移動量で、封止部材3を下方に移動させることができる。
【0084】
また、これまでは、第1ねじ42が雄ねじで、第2ねじ34が雌ねじである例について説明したが、このような構成には限定されず、例えば、第1ねじ42が雌ねじで、第2ねじ34が雄ねじであってもよい。
【0085】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成して構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、プロセッサは、プロセッサ単一の回路として構成されている場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて、1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図9における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合して、その機能を実現するようにしてもよい。
【0086】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、反応ウェルへの検査サンプルの分注作業を低コストで迅速かつ高精度に行うことができる。
【0087】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置及び方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置及び方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0088】
1 核酸検査用容器
2 容器本体
21 第1開口部
22 サンプル収納部
23 反応ウェル
24 基部
25 第2開口部
26 第2窪み
27 第1窪み
3 封止部材
31 第1封止部
32 第2封止部
33 第1連結部
34 第2ねじ
35 第2連結部
4 移動部材
41 頭部
42 第1ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17