(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126805
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】建物用のシャッター装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20240912BHJP
E06B 5/16 20060101ALI20240912BHJP
E06B 1/60 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
E06B9/17 M
E06B5/16
E06B1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035456
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】高島 健一
(72)【発明者】
【氏名】初見 空
【テーマコード(参考)】
2E011
2E239
【Fターム(参考)】
2E011KA01
2E011KC02
2E011KC04
2E011KD14
2E239CA28
2E239CA69
(57)【要約】
【課題】木質の躯体側部材Gの表面に敷設した耐火被覆材8に、シャッター装置1を構成するブラケット5の脚部5aを当てがった状態で、該ブラケット脚部5aを固定具6を介して木質の躯体側部材Gに固定するにあたり、耐火被覆材8から露出する固定具5の頭部5aが火災発生時の高熱を受けることで固定具5がヒートブリッジになって木質の躯体側部材Gがダメージを受けないようにする。
【解決手段】耐火被覆材8から露出する固定具頭部5aを被覆部材14によって被覆する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の左右両側に設けられるガイドレール、該ガイドレールに案内されて開口部の開閉をするべく昇降移動するシャッターカーテン、開口部の上方に配され、前記シャッターカーテンが巻装される巻き取り体、該巻き取り体の左右両端部が支持されたブラケットを備え、ブラケットに設けられるブラケット脚部を躯体側部材に固定具を介して取り付ける構成にしてなる建物用のシャッター装置において、
前記躯体側部材を木質とし、該木質の躯体側部材の表面に耐火被覆材が敷設されたものとし、ブラケット脚部を、耐火被覆材の表面に当てがわれた状態で該耐火被覆材を貫通する固定具を介して前記木質の躯体側部材に取り付けたものとするにあたり、
前記固定具の耐火被覆材から露出する露出部を被覆部材を介して被覆したことを特徴とする建物用のシャッター装置。
【請求項2】
被覆部材は、固定具の露出部も覆蓋する状態でブラケット脚部を被覆するものであることを特徴とする請求項1記載の建物用のシャッター装置。
【請求項3】
被覆部材は、固定具の露出部を囲繞する状態で被覆するものであることを特徴とする請求項1記載の建物用のシャッター装置。
【請求項4】
被覆部材は、固定具の露出部を囲繞する状態で被覆する内側被覆部材と、該内側被覆部材も含めてブラケット脚部を被覆する外側被覆部材とで構成されることを特徴とする請求項1記載の建物用のシャッター装置。
【請求項5】
固定具は、木質の躯体側部材を貫通して開口部のブラケットが取り付けられるとは逆側から突出するものであり、該固定具の逆側に突出した突出部は、さらに別の被覆部材によって被覆されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の建物用のシャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に設けられる建物用のシャッター装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建物用のシャッター装置が設けられるが、該シャッター装置は、開口部の左右両側に設けられるガイドレール、該ガイドレールに案内されて開口部の開閉をするべく昇降移動(開閉移動)するシャッターカーテン、開口部の上方(天井部)に配され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体(巻き取りドラム、巻き取りホイール)等の各種の部材装置を用いて構成される。そしてこのようなシャッター装置において、巻き取り体は、該巻き取り体の左右両端縁部支持されるブラケットに設けられるブラケット脚部を躯体側部材(例えば壁)に取り付けることで躯体側への組み込みがなされるように構成されている。
ところで近時、木材の有効利用が推奨されており、その対策の一貫として、躯体側部材を木材で構成することが提唱されているが、躯体側部材を木材を用いて構成したときに、耐火性能について疎かにすることは許されず、このため木材で構成した躯体側部材の表面に、強化石膏ボード等の不燃材(耐火材)を耐火被覆材として用いて敷設することが試みられている。
このように木材で構成した躯体側部材の表面に耐火被覆材を敷設した開口部にシャッター装置を建て付ける場合に、前記ブラケットを木製の躯体側部材に取り付け固定することになるが、この場合の取り付け固定を、耐火被覆材の表面に当てがわれるブラケット脚部(軸受けプレート)を、耐火被覆材を貫通したボルト等の固定具を用いて木質の躯体側部材行うことが試みられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記従来のものは、固定具の頭部が耐火ボードの表面から露出するものであるため、該露出する固定具の頭部が、直に高熱に晒されて熱せられることがあり、この様になった場合、頭部が熱せられた固定具がヒートブリッジになって木質の躯体側部材が高熱となり、このように高熱となった木質の躯体側部材は、熱による炭化や燃焼が促進されることになって強度低下を招来することが想定される。
このように木製の躯体側部材が強度低下をすると、固定具が、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体の重みを受けて躯体側部材から抜け出てしまうことが想定され、このように固定具が抜け出た場合、巻き取り体の取り付け状態が不安定なものとなってシャッター装置が開口部の内外を仕切ることで備えられる防火、防煙機能が損なわれる惧れがある等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、開口部の左右両側に設けられるガイドレール、該ガイドレールに案内されて開口部の開閉をするべく昇降移動するシャッターカーテン、開口部の上方に配され、前記シャッターカーテンが巻装される巻き取り体、該巻き取り体の左右両端部が支持されたブラケットを備え、ブラケットに設けられるブラケット脚部を躯体側部材に固定具を介して取り付ける構成にしてなる建物用のシャッター装置において、前記躯体側部材を木質とし、該木質の躯体側部材の表面に耐火被覆材が敷設されたものとし、ブラケット脚部を、耐火被覆材の表面に当てがわれた状態で該耐火被覆材を貫通する固定具を介して前記木質の躯体側部材に取り付けたものとするにあたり、前記固定具の耐火被覆材から露出する露出部を被覆部材を介して被覆したことを特徴とする建物用のシャッター装置である。
請求項2の発明は、被覆部材は、固定具の露出部も覆蓋する状態でブラケット脚部を被覆するものであることを特徴とする請求項1記載の建物用のシャッター装置である。
請求項3の発明は、被覆部材は、固定具の露出部を囲繞する状態で被覆するものであることを特徴とする請求項1記載の建物用のシャッター装置である。
請求項4の発明は、被覆部材は、固定具の露出部を囲繞する状態で被覆する内側被覆部材と、該内側被覆部材も含めてブラケット脚部を被覆する外側被覆部材とで構成されることを特徴とする請求項1記載の建物用のシャッター装置である。
請求項5の発明は、固定具は、木質の躯体側部材を貫通して開口部のブラケットが取り付けられるとは逆側から突出するものであり、該固定具の逆側に突出した突出部は、さらに別の被覆部材によって被覆されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の建物用のシャッター装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、表面に耐火被覆材が敷設された木質の躯体側部材に、シャッター装置を構成するブラケット脚部を固定具を介して取り付けたものにおいて、該固定具の耐火被覆材の表面から露出する固定具の頭部等の露出部が火災発生時の熱を受けることで、固定具がヒートブリッジになって木質の躯体側部材が炭化する等のダメージを与えることを、該露出部を被覆部材で被覆することにより防止することができる。
請求項2の発明とすることにより、被覆部材が、ブラケット脚部まで被覆するものである結果、火災発生時の高熱が、ブラケットを介して固定具に伝達することも防止できることになる。
請求項3の発明とすることにより、被覆部材によって、耐火被覆材から露出する露出部が囲繞された状態で被覆されることになって、固定具がヒートブリッジになることを防止できることになる。
請求項4の発明とすることにより、露出部が、内外二重の被覆部材によって被覆されたものとなって、固定具がヒートブリッジになることをより確実に防止できることになる。
請求項5の発明とすることにより、固定具が、ブラケットが取り付けられるとは逆側に突出する突出部がある場合に、該突出部も、該逆側に設けた被覆部材によって被覆されることになって、この場合でも固定具がヒートブリッジになることを防止できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第一の実施の形態のシャッター装置の正面図である。
【
図6】第二の実施の形態のブラケット部位の側面図である。
【
図7】第三の実施の形態のブラケット部位の側面図である。
【
図9】第四の実施の形態のブラケット部位の側面図である。
【
図10】第五の実施の形態のブラケット部位の側面図である。
【
図12】第六の実施の形態のブラケット部位の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部Eに建て付けられるシャッター装置であって、該シャッター装置1は、開口部Eの左右両側に設けられるガイドレール2、該ガイドレール2に案内されて開口部Eの開閉をするべく昇降移動するシャッターカーテン3、開口部Eの上方の天井部Hに配され、前記シャッターカーテン3が巻装される巻き取り体4、該巻き取り体4の左右両端部が支持される左右のブラケット5等の各種の部材装置を備えて構成される。
【0009】
そしてシャッター装置1は、左右ブラケット5に設けられるブラケット脚部(軸受けプレート)5aが躯体側部材Gに固定具6を介して取り付けられる。この場合に該躯体側部材Gは、木質(木製)の板材7を複数枚積層して構成されたものであって、その表面(表裏面、具体的には外部に露出する面)には、不燃素材である石膏(硫酸カルシウム)を用いて構成される強化石膏ボード等の耐火性を備えた耐火被覆材8が敷設されたものとなっているが、該耐火被覆材8としては、要求される耐火条件を満たすため、厚さ、積層枚数、形状等の各種の敷設条件が決定される。また耐火被覆材8の躯体側部材Gへの取り付けは、通常知られた適宜の固定具を用いる等、各種の取り付け手段を必要において適宜採用することができる。
尚、耐火被覆材8としては、強化石膏ボードのように石膏を用いて構成されたものに限定されず、石膏と同じく不燃素材である炭酸カルシウムを用いて構成されるボード材を用いることもできる。
【0010】
また前記シャッター装置1について、さらに詳しく説明すると、前記左右のブラケット5のうち、一方のブラケット5は、他方のブラケット5よりも大型になっていて、巻き取り体4に動力伝導機構9aを介して連動連結される電動式の開閉機9、そして該開閉機9の駆動制御をする制御部10等の部材装置が設けられたものとなっており、図示しない操作スイッチの操作に基づいて開閉機9が正逆駆動制御することになって巻き取り体4によるシャッターカーテン3の繰り出し、巻き取りの巻装が実行される。
さらに左右のブラケット5間には、巻き取り体4を囲繞するように弧状のケース体11が設けられていて巻き取り体4に巻装されるシャッターカーテン3を覆蓋するように構成されるとともに、左右ブラケット5の下部にはマグサ部12が形成されているが、マグサ部12は、巻き取り体4から繰り出されるシャッターカーテン3を、天井部Hから開口部Eに繰り出すための出入り口の機能を呈していること等は、何れも従来通りである。
尚、図中、12aは左右のブラケット5間に設けられていて、巻き取り体4側のマグサ部12を支持するマグサ受け材、13は左右ブラケット5間に間隙を存して設けられる吊りアングルであって、該吊りアングル13は、上端縁部に設けられる脚部13aが躯体側部材Gに固定具6を介して固定され、下端部がマグサ受け材12に固定されることによって該マグサ受け材12を補強するものとなっている。また、躯体側のマグサ部12やケース体11の上端縁部を着脱自在に取り付けるための取り付け金具12b、11aは、例えばタッピンネジやコーススレッド等の固定具12c、11bを用いて木質の躯体側部材Gに対する固定となっている。
【0011】
前記ブラケット5には、躯体側の端縁部に前述したようにブラケット脚部5aが設けられるが、該ブラケット脚部5aは、耐火被覆材8の表面に当てがわれた状態で、本第一の実施の形態では固定具6としてコーチスクリューが採用され、前記木質の躯体側部材Gに取り付けられたものとなっている。
具体的には、固定具6は、ブラケット脚部5aが耐火被覆材8の表面に当てがわれた状態で、ブラケット脚部5aからシャッター装置1が配設される側の耐火被覆材8を貫通し、木質の躯体側部材Gの中途部まで螺入することで固定される構成になっており、この様に構成することで、固定具6によるブラケット脚部5aの躯体側部材Gへの固定がなされる構成になっている。
この場合に、ブラケット脚部5aは、上端縁部が左右配された複数個(本実施の形態では三個)の固定具6を介して固定され、下端部が、動力伝導機構9aを挟む状態で左右方向内外に配された一対の固定具6によって固定されたものとなっている。そしてこれら固定具6のうち、上端縁部殻の全ての固定具6、および下端縁部左右方向外側の固定具6については、頭部6aが、ケース体11の外側に配されているため、外部に露出したものとなっているが、下端縁部左右方向内側の固定具6の頭部6aは、マグサ部12(ケース体11)によって覆蓋されていることで、外部には露出していない構成になっている。
【0012】
そしてこのように構成されたものでは、シャッター装置1が配された側において、固定具6の頭部(ボルト頭)6aが耐火被覆材8の表面から露出した露出部となっているが、前記露出する固定具6、つまり前述した上端縁部殻の全ての固定具6、および下端縁部左右方向外側の固定具6については、頭部6aを覆蓋する状態で、ブラケット脚部5aの全体を被覆するようボード状の被覆部材14が設けられたものとなっている。因みに被覆部材14としては、前記耐火被覆材8と同じものを採用してもよいが、耐火性(耐熱性)を備えたものであれば他のものであっても勿論よい。
【0013】
前記被覆部材14は、ブラケット脚部5aの外周縁に沿う状態で耐火被覆材8の表面に当てがわれる側縁部14aと、ブラケット脚部5aに対して、固定具6の頭部6aの高さ寸法を考慮した隙間Sを存する状態で設けられる表面部14bとを備えて構成されており、この様に構成することで、ブラケット脚部5aを、木質の躯体側部材Gに固定取り付けするための固定具6の耐火被覆材8から露出する頭部6aは、ブラケット脚部5aを被覆する被覆部材14によって覆蓋されたものとなっていて、開口部Eのシャッター装置1が設けられる側で火災が発生した場合に、高熱に晒されてしまうことから防止されるよう構成されている。
【0014】
さらに本実施の形態においては、吊りアングル13についても、ブラケット脚部5aの場合と同様、吊りアングル脚部13aを木質の躯体側部材Gに取り付けるため固定具6が用いられるが、該固定具6の耐火被覆材8から露出する頭部6aについても、吊りアングル13の脚部13aを被覆する被覆部材15によって覆蓋されたものとなっているが、該被覆部材15は、前記ブラケット脚部5a用の被覆部材14と同様、側縁部15a、表面部15bを備えて構成されたものとなっている。
【0015】
叙述の如く構成された本実施の形態において、シャッター装置1の構成部材である左右のブラケット5は、表面に耐火被覆材8が敷設された木質の躯体側部材Gに対し、耐火被覆材8を貫通する状態で螺入した固定具6を介して前記木質の躯体側部材Gに取り付け固定されることになり、この場合に耐火被覆材8から露出する固定具6の頭部6aは、ブラケット脚部5aを被覆する被覆部材14によって覆蓋されたものとなる。
この結果、開口部Eのシャッター装置1が配設される側に火災が発生した場合に、前記耐火被覆材8から露出する固定具6の頭部6aは、被覆部材14によって被覆されたものとなって火災発生時の高温に晒されることが回避され、これによって木質の躯体側部材Gにまで至る固定具6がヒートブリッジになって、該木製の躯体側部材Gが炭化したり燃焼したりすることを防止できることになる。
しかもこのものでは、被覆部材14が、固定具6の頭部6aだけでなく、ブラケット脚部5aも被覆するものであるため、ブラケット脚部5aが熱に晒されて高温になることも回避され、防火性能(耐火性能)の向上に大いに寄与できることになる。
【0016】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されるものでなく、以降に説明するように、第二~第六の実施の形態のようにすることもできる。
まず、
図6に示す第二の実施の形態のものは、固定具16を貫通ボルトとしたものであって、該固定具16は、ブラケット脚部5aからシャッター装置1が配設される側の耐火被覆材8、木質の躯体側部材G、そしてシャッター装置1が配設されるとは逆側の耐火被覆材8を貫通するものであり、該固定具16の前記逆側の耐火被覆材8から突出したボルト先端部にナット16bを螺合することで、固定具16によるブラケット脚部5aの躯体側部材Gへの締結がなされた構成にしたものである。尚、図中、18はシャッター装置1が配設されるとは逆側の耐火被覆材8の表面に設けられる当て板である。
【0017】
そしてこのものでは、固定具16の頭部16a側だけでなく、前記逆側のナット16bを含めた突出部についても、頭部16aの場合と同様、側縁部14a、表面部14bを備えて構成される被覆部材14によって被覆されたものとなっており、この様にすることで、該逆側に火災が発生した場合においても、ナット16bを含めた突出部が火災発生時に高熱に晒されることが回避され、貫通する固定具16がヒートブリッジとなって木質の躯体側部材Gにダメージを与えてしまうことを回避できることになる。
【0018】
しかも本実施の形態のものでは、前記第一の実施の形態の場合と同様、ブラケット脚部5aの下端部を木質の躯体側部材Gに固定するための固定具16は、動力伝導機構9aを挟む状態で左右方向内外に配されたものとなっており、そのうちの外側の固定具16の頭部16aは、ケース体11の外側に配されているため、被覆部材14によって被覆されたものとなっているが、内側の固定具16(
図5の内側の固定具6を参照)の頭部16aは、マグサ部12によって覆蓋されていて、外部に露出していないため、被覆部材による被覆をする必要がない。
これに対し、シャッター装置1が取り付けられるとは逆側の固定具16のナット16bを含む先端部は、該逆側の耐火被覆材8から露出したものとなっているが、前記ナット16bを含む先端部は、前述した被覆部材17によって被覆されたものとなっており、これによって該固定具16がヒートブリッジとなることの防止をしている。
【0019】
次に、
図7、8に示す第三の実施の形態、
図9に示す第四の実施の形態であるが、第三の実施の形態のものは、固定具6を前記第一の実施の形態の場合と同様、コーチスクリューとし、第四の実施の形態のものは、固定具16を第二の実施の形態の場合と同様、貫通ボルトとしたものである。
そして第三の実施の形態のものでは、ブラケット脚部5a部位において、耐火被覆材8の表面から露出する固定具6の頭部6aを被覆するための被覆部材17、17aが設けられたものであるが、この場合の被覆部材17、17aは、前記第一、第二の実施の形態の場合のようにブラケット脚部5aまでを被覆するものでなく、露出する頭部6aの周囲を囲繞する状態で被覆するキャップ形状、つまり、頭部6aの正面(天面)および上下左右の五面を被覆する形状のものとし、ビス17bによってブラケット脚部5aに螺着されたものであり、このように構成した場合でも、耐火被覆材8の表面から露出する頭部6aが、火災発生時に直接高熱に晒されることが回避されることになって、固定具6がヒートブリッジとなって木製の躯体側部材Gが高熱になってダメージを受けることから保護できることになる。
因みに本実施の形態の被覆部材17、17aとしては、例えば所定厚(例えば板厚1.6mm)の鋼板やステンレス板等の耐火性の高い金属板を用いて形成されたものとすることができる。
【0020】
因みに本発明が実施された被覆部材17、17aのうち、上側の被覆部材17は、ブラケット脚部5aの上端部を固定するため左右に複数併設された固定具6を纏めて被覆する構成になっているのに対し、下側の被覆部材17aは、ブラケット脚部5aの下端部を固定するため1本の固定具6を被覆する構成にしたものであり、このように被覆部材17、17aとしては、被覆する固定具6の頭部6aについて、必要において適数個被覆する構成にすることができる。
また本実施の形態では、吊りアングル13の脚部13aを固定する固定具6の頭部6aについても、周囲を囲繞するキャップ状の被覆部材17cによって被覆したものとなっている。
【0021】
また第四の実施の形態の、固定具16として貫通ボルトを用いたものでは、内外の耐火被覆材8の表面から露出する頭部16a、ナット16bを含めた先端部について、同じくキャップ状の被覆部材17、17dによって被覆したものとなっており、このようにすることで固定具16がヒートブリッジとなって木質の躯体側部材Gが、火災発生時に高熱になってダメージを受けることを防止できることになる。
【0022】
さらに
図10、11に示す第五の実施の形態、
図12に示す第六の実施の形態にようにすることもできる。
第五の実施の形態のものは、固定具6を、前記第一の実施の形態の場合と同様、コーチスクリューとしたものであり、第六の実施の形態のものは固定具16を第二の実施の形態の場合と同様、貫通ボルトとしたものである。そしてこれら第五、第六の実施の形態のものは、前記第二、第四の実施の形態において用いたキャップ状の被覆部材をそのまま内側被覆部材17、17a、17cとして用い、該内側被覆部材17、17a、17cも含めてブラケット脚部5aまでをも被覆するべく第一、第二の実施の形態で用いた被覆部材をそのまま外側被覆部材14として用いて内外二重の被覆をするように構成したものである。
そしてこの様に構成することで、前記耐火被覆材8の表面から露出する頭部6a、16aや、ナット16bを含めた突出部を、内外二重の被覆部材14、17によって被覆されたものとなって、被覆機能がより高いものにでき、固定具6、16がヒートブリッジとなって木質の躯体側部材Gにダメージを与えることをより確実に防止できることになる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に設けられる建物用のシャッター装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 シャッター装置
2 ガイドレール
3 シャッターカーテン
4 巻き取り体
5 ブラケット
5a ブラケット脚部
6 固定具
6a 頭部
7 木質板材
8 耐火被覆材
14 被覆部材
15 被覆部材
16 固定具
16a 頭部
16b ナット
17、17a、17c 被覆部材
E 開口部
G 躯体側部材