(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126811
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】端子付き電線製造方法、及び、端子付き電線
(51)【国際特許分類】
H01R 43/02 20060101AFI20240912BHJP
H01R 4/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01R43/02 B
H01R4/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035465
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 悠人
【テーマコード(参考)】
5E051
5E085
【Fターム(参考)】
5E051LA04
5E051LB03
5E085BB03
5E085BB11
5E085DD04
5E085HH11
5E085HH32
5E085JJ06
5E085JJ32
5E085JJ38
(57)【要約】
【課題】電線と端子との接合部位において適正な導通性能を確保することができる端子付き電線製造方法、及び、端子付き電線を提供することを目的とする。
【解決手段】端子付き電線製造方法は、電線100の導体部110をホーン400から露出させた状態で配置する配置工程(ステップS1)と、ホーン400から露出して位置する部位を治具500で圧縮して位置決めする位置決め工程(ステップS2)と、導体部110が治具500で位置決めされている状態で、端子200に対して導体部110を超音波接合させる接合工程(ステップS3)とを含む。また、端子付き電線製造方法によって製造された端子付き電線1の導体部110は、素線110a同士が圧縮されて位置決めされた位置決め部分111aと、導体部110が治具500で位置決めされている状態で、端子200に対して超音波接合された接合部分111bとを含んで構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金型に導電性を有する端子を配置し、導電性を有する複数の素線からなる電線の導体部の端末を、超音波振動を印加する第2金型から露出させて前記端子上に配置する配置工程と、
前記導体部において前記第2金型から露出して位置する部位を治具で圧縮し、当該部位を位置決めする位置決め工程と、
前記導体部の前記端末が前記治具で圧縮され位置決めされている状態で、前記導体部及び前記端子を前記第1金型と前記第2金型とで挟み込み、当該第2金型に超音波振動を印加することで前記端子に対して前記導体部を超音波接合させる接合工程とを含むことを特徴とする、
端子付き電線製造方法。
【請求項2】
前記治具において前記導体部に当接して圧縮する端部は、面取り部分を含んで構成される、
請求項1に記載の端子付き電線製造方法。
【請求項3】
導電性を有する複数の素線からなる電線と、
前記電線の導体部が超音波接合される端子とを備え、
前記導体部は、端末に形成され素線同士が圧縮されて位置決めされた位置決め部分と、前記端子に対して超音波接合された接合部分とを含んで構成されることを特徴とする、
端子付き電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子付き電線製造方法、及び、端子付き電線に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、電線と、当該電線を構成する芯線が超音波溶接される芯線溶接部を含んで構成される端子とを備え、芯線溶接部の前端に凹凸からなる第1位置決め部が設けられ、かつ、芯線溶接部の範囲内で且つ第1位置決め部の後方に凹部または凸部からなる第2位置決め部が設けられている、端子付き電線が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の端子付き電線は、端子に対して芯線(電線の導体部)を超音波接合させる際に、超音波振動を印加する金型から伝播する振動よって芯線の位置がずれてしまう場合があり、この場合、電線と端子との間で適正な導通領域を確保することができない虞がある。そのため、電線と端子との接合部位における導通性能に関して更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、電線と端子との接合部位において適正な導通性能を確保することができる端子付き電線製造方法、及び、端子付き電線を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る端子付き電線製造方法は、第1金型に導電性を有する端子を配置し、導電性を有する複数の素線からなる電線の導体部の端末を、超音波振動を印加する第2金型から露出させて前記端子上に配置する配置工程と、前記導体部において前記第2金型から露出して位置する部位を治具で圧縮し、当該部位を位置決めする位置決め工程と、前記導体部の前記端末が前記治具で圧縮され位置決めされている状態で、前記導体部及び前記端子を前記第1金型と前記第2金型とで挟み込み、当該第2金型に超音波振動を印加することで前記端子に対して前記導体部を超音波接合させる接合工程とを含むことを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る端子付き電線は、導電性を有する複数の素線からなる電線と、前記電線の導体部が超音波接合される端子とを備え、前記導体部は、端末に形成され素線同士が圧縮されて位置決めされた位置決め部分と、前記端子に対して超音波接合された接合部分とを含んで構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る端子付き電線製造方法、及び、端子付き電線は、電線と端子との接合部位において適正な導通性能を確保することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る端子付き電線製造方法を表すフローチャートである。
【
図2】
図2は、実施形態に係る端子付き電線製造方法の配置工程を表す模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る端子付き電線製造方法の位置決め工程を表す模式的な側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る端子付き電線製造方法の接合工程を表す模式的な側面図であり、端子付き電線製造方法によって製造される端子付き電線を表す図である。
【
図5】
図5は、変形例に係る端子付き電線製造方法を表す模式的な図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る端子付き電線製造方法を表す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[実施形態]
図1~
図3に示す本実施形態に係る端子付き電線1の製造方法(端子付き電線製造方法)は、
図4に示す端子付き電線1等を製造するものである。端子付き電線1は、例えば、車両等に使用されるワイヤハーネス等に適用されるものである。ここで、ワイヤハーネスは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線100を束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の電線100を各装置に接続するようにしたものである。本実施形態の端子付き電線1は、電線100と、当該電線100の端末に接合された端子200とを備える。
【0012】
電線100は、車両に配索され、各装置を電気的に接続するものである。電線100は、
図4等に示すように、導電性を有する導体部110を含んで構成される。導体部110は、導電性を有する金属、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等からなる複数の素線110aを編み込んで構成される編組線である(
図2を参照)。
【0013】
なお、電線100は、絶縁性を有する樹脂材料(PPやPVC、架橋PE等。耐摩耗性や耐薬品性、耐熱性等に配慮して適宜選定される。)等で形成された絶縁被覆部によって導体部110の外周側を被覆した絶縁電線であってもよい。この場合、電線100は、少なくとも一方の端末において、絶縁被覆部が剥ぎ取られ、当該絶縁被覆部から露出している導体部110の端末111に端子200が設けられる。
【0014】
端子200は、導体部110が超音波接合されることで、当該電線100と電気的に接続され、導通されるものである。端子200は、
図4等に示すように、導電性を有する相手方端子やアース部材等の接続対象物と電気的に接続される電気接続部210と、電線100と電気的に接続される電線接続部220とを含んで構成される。なお、端子200は、導電性を有する金属、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等からなる一枚の板金を、各部に対応した形状にあわせて、打ち抜き加工、プレス加工、折り曲げ加工等の各種加工によって成形することで、各部が立体的に一体で形成される。
【0015】
電気接続部210は、端子付き電線1の先端側(端子付き電線1の端末側)に設けられる部分である。なお、
図2~
図4では、端子200としてアース端子を例示している。そのため、電気接続部210は、
図2に示すように、丸型端子(LA端子)形状に形成され、貫通孔210hが設けられている。このように形成された端子200は、例えば、電気接続部210の貫通孔210hと、相手方端子における電気接続部の貫通孔と、に螺子部材を挿通させ、電気接続部210に対して相手方端子の電気接続部を固定することで、相手方端子と導通する。なお、電気接続部210の形状は特に限定されず、端子Tにおける接続対象物との接続形式は、特に限定されない。
【0016】
電線接続部220は、電気接続部210の基端側に設けられ、当該電気接続部210と連結して形成されることで導通する部分である。本実施形態の端子付き電線1は、
図4等に示すように、導体部110の端末111に位置する接合対象部分(後述する接合部分111b)と電線接続部220とが超音波接合されることで、電線100と端子200が導通する。
【0017】
図1等に示す本実施形態に係る端子付き電線1の製造方法は、上記のように構成される端子付き電線1の製造に際し、導体部110の端末111を治具500で位置決めし、当該導体部110を構成する編組線の位置ずれが抑制された状態で、導体部110と端子200とを超音波接合することで、電線100と端子200との接合部位における良好な導通性能の確保を図ったものである。
【0018】
以下、上記のように構成される端子付き電線1の製造方法について説明する。以下の説明では、
図1のフローチャートを基に説明しつつ、適宜他図を参照する。以下で説明する端子付き電線1の製造方法は、
図3に示す、アンビル300やホーン400、治具500等を含む各装置によって実施される。なお、種々の装置、機器、治具等を用いた作業は、手動で行われるものであってもよいし、種々の製造装置によって自動で行われるものであってもよい。
【0019】
また、以下の説明では、導体部110の端末111の先端部分(後述する位置決め部分111a)を治具500で位置決めし、当該先端部分より基端側に位置する接合対象部分(後述する接合部分111b)と電線接続部220とを超音波接合する形態について説明する。
【0020】
本実施形態の端子付き電線1の製造方法は、配置工程(ステップS1)と、位置決め工程(ステップS2)と、接合工程(ステップS3)とを含む。
【0021】
なお、以下で説明する導体部110の位置決め部分111aとは、端子付き電線1の製造過程において、導体部110を構成する編組線の素線110a同士が治具500で位置決めされる部分である。また、導体部110の接合部分111bとは、端子付き電線1の製造過程において、導体部110を構成する編組線の素線110a同士が端子200に対して超音波接合されることで接合部となる部分である。
【0022】
まず、作業員は、配置工程として、アンビル300に端子200を配置し、当該端子200上に電線100の導体部110を配置する。このとき、作業員は、
図3に示すように、電線接続部220の電気接続部210側(端子付き電線1の端末側)に位置する第1領域221に、導体部110の位置決め部分111aを配置する。そして、作業員は、電線接続部220の第1領域221の基端側に位置する第2領域222に導体部110の接合部分111bを配置することで、導体部110の端末111をホーン400から突出させて配置する(ステップS1)。
【0023】
なお、ここでいうアンビル300、及び、ホーン400とは、接合工程(ステップS3)で使用される金型であり、アンビル300は、着座面の上に端子200が配置されることで、当該端子200を保持可能とするものである。また、ホーン400は、アンビル300と対向して位置し、アンビル300の上に配置された接合対象物を加圧しなから、接合対象面の面方向に沿って水平方向の超音波振動を印加するものである。作業員は、アンビル300に配置された電線100や端子200をホーン400の加圧方向(接合対象面の面方向と交差する上下方向)から見たときに、ホーン400と重ならない位置、すなわち、ホーン400から露出し、当該ホーン400と干渉しない位置に、導体部110の端末111を配置することで(
図2を参照)、当該端末111に位置する位置決め部分111aを利用して位置決め工程(ステップS2)を実施することができる。
【0024】
そして、作業員は、位置決め工程として、導体部110においてホーン400から突出して位置する位置決め部分111aを治具500で圧縮することで、導体部110の位置を決定する(ステップS2)。このとき、作業員は、治具500を端子200に向かって下方向に動かし、その先端部である端部510を位置決め部分111aに当接させることで、電線接続部220の第1領域221に導体部110の位置決め部分111aを押し付ける(
図3を参照)。そのため、位置決め部分111aは、端子200と治具500との間で挟まれた状態となり、導体部110を構成する編組線が水平方向に移動することで当該編組線を構成する素線110a同士の位置がずれることが抑制される。
【0025】
なお、本実施形態の治具500の端部510は、
図3に示すように、連続した曲面によって構成された面取り部分511を含み、先端側に向かって先細り形状に形成されている。そのため、治具500は、位置決め部分111aに当接した際に、当該位置決め部分111aを構成する編組線を端子200に向かって押し付けやすくなる。したがって、治具500は、位置決め部分111aに対する保持力(治具500によって、電線接続部220に位置決め部分111aを位置決めする力)をより高めることができる。なお、治具500の面取り部分511は、R面等の、端部の角を斜めに削る形状によって構成されていてもよい。また、治具500の大きさは、位置決め部分111aを構成する編組線を端子200との間に挟み込み可能な大きさである限り特に限定されない。例えば、治具500の幅は、位置決め部分111aを構成する編組線の網目以上であり、かつ、端子200の幅未満である限り、特に限定されない。また、治具500の高さは、位置決め部分111aを構成する編組線を圧縮可能な長さである限り、特に限定されない。
【0026】
そして、作業員は、接合工程として、
図3に示すように、ホーン400から導体部110へ超音波振動を印加することで、端子200に対して導体部110を超音波接合し(ステップS3)、端子付き電線1、1Aの製造方法を終了する。このとき、作業員は、導体部110及び端子200をアンビル300とホーン400とで挟み込み、ホーン400に形成された接触片410を導体部110に接触させる。そして、位置決め工程(ステップS2)において導体部110の位置決め部分111aが治具500で位置決めされている状態で、導体部110へ超音波振動を印加することで、当該導体部110の接合部分111bに振動が伝播する。
【0027】
なお、本実施形態のホーン400の振動方向dは、電線100の延在方向に沿う方向であり、導体部110の接合部分111bは、当該振動方向dに沿って振動する。本実施形態では、接合工程(ステップS3)を実施する前に、導体部110の位置決め部分111aが治具500で位置決めされることで、当該導体部110を構成する編組線同士が位置決めされる。そして、導体部110が位置決めされた状態が保たれたまま、当該導体部110を構成する編組線の素線110a同士の位置ずれが抑制されている状態で、導体部110の接合部分111bを電線接続部220に対して超音波接合することが可能となる。そのため、電線接続部220に対する導体部110の接触箇所を十分に確保した状態で、電線接続部220の第2領域222内に導体部110が接合された部分(接合部)を形成することができる(
図4を参照)。また、超音波接合時に導体部110に伝播する振動によって、当該導体部110を構成する編組線が振動方向dに移動する力が抑制されるため、超音波接合時に使用するエネルギーを抑制することができる。
【0028】
以上で説明した端子付き電線製造方法は、アンビル300(第1金型)に導電性を有する端子200を配置し、導電性を有する複数の素線110aからなる電線100の導体部110の端末111を、超音波振動を印加するホーン400(第2金型)から露出させて端子200上に配置する配置工程(ステップS1)と、導体部110においてホーン400から露出して位置する部位(位置決め部分111a)を治具500で圧縮し、位置決め部分111aを位置決めする位置決め工程(ステップS2)と、導体部110の端末111が治具500で圧縮され位置決めされている状態で、導体部110及び端子200をアンビル300とホーン400とで挟み込み、当該ホーン400に超音波振動を印加することで端子200に対して導体部110を超音波接合させる接合工程(ステップS3)とを含む。また、本実施形態の端子付き電線製造方法によって製造された端子付き電線1は、電線100と、端子200とを備え、電線100の導体部110は、端末111に形成され、素線110a同士が圧縮されて位置決めされた位置決め部分111aと、端子200に対して超音波接合された接合部分111bとを含んで構成される。
【0029】
このような構成によれば、導体部110が位置決めされた状態が保たれたまま、当該導体部110を構成する編組線の素線110a同士の位置ずれが抑制されている状態で、電線100と端子200とを超音波接合することができる。特に、本実施形態の電線100は、導体部110が複数の素線110aを編み込んで構成される編組線によって構成されているため、超音波接合時に位置がずれると、素線110aのずれが発生することで編組線の形状崩れが発生し、編組線の形状崩れが発生した部位において、導体部110と端子200とが導通されていない、あるいは、導通されていても素線110a同士が十分に導通、接合されていない非導通領域が形成される。そのため、導体部110と端子200との導通領域を十分に確保することが難しい。しかし、本実施形態の端子付き電線製造方法によって製造された端子付き電線1によれば、位置決め工程(ステップS2)で導体部110を位置決めした後に、位置決めされた状態が保たれたまま、接合工程(ステップS3)を実施することで、端子200に対する電線100の接触箇所を十分に確保し、導通領域を広くとることができる。したがって、本実施形態の端子付き電線製造方法、及び、端子付き電線1は、導通領域が狭まることで電線100と端子200との接合部位における抵抗が増加することを抑制し、当該接合部位において適正な導通性能を確保することができる。
【0030】
さらに、以上で説明した位置決め工程(ステップS2)において、導体部110に当接して圧縮する治具500の端部510は、面取り部分511を含んで構成される。このような構成によれば、治具500は、導体部110に当接した際に、当該導体部110を構成する編組線を端子200に向かって押し付けやすくなる。そのため、本実施形態の端子付き電線製造方法、及び、端子付き電線1は、治具500によってより強固に位置決めされ、導体部110を構成する編組線の素線110a同士の位置ずれがより抑制されている状態で、電線100と端子200とを超音波接合することができる。したがって、本実施形態の端子付き電線製造方法、及び、端子付き電線1は、電線100と端子200との接合部位においてより適正な導通性能を確保することができる。
【0031】
なお、上述した本発明の実施形態に係る端子付き電線製造方法、及び、端子付き電線は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0032】
例えば、端子200に超音波接合される電線100の個数は、特に限定されない。
図5に示す変形例に係る端子付き電線1Aは、端子200に対して、2本の電線100が超音波接合されている。当該端子付き電線1Aの製造方法をより具体的に言えば、まず、作業員は、配置工程として、端子200上に電線100の複数の導体部110が積層されている状態で、当該導体部110の位置決め部分111aをホーン400から突出させて配置する(ステップS1)。そして、作業員は、位置決め工程として、各導体部110の位置決め部分111aを治具500で圧縮することで、導体部110の位置を決定する(ステップS2)。このとき、作業員は、治具500を端子200に向かって下方向に動かし、治具500の端部510が各導体部110の位置決め部分111aを圧縮するときの押し受け力によって、当該位置決め部分111aの位置決めをすることができる。そのため、導体部110を構成する編組線の素線110a同士の位置ずれが抑制されている状態で、複数の電線100と端子200とを超音波接合することができる。したがって、変形例に係る端子付き電線製造方法、及び、端子付き電線1Aは、電線100と端子200との接合部位において適正な導通性能を確保することができる。
【0033】
また、治具500の端部510の形状は、導体部110を圧縮することで位置決めすることができる形状である限り、特に限定されない。
【0034】
また、治具500の個数や、当該治具500の位置は、導体部110の端末111を位置決めすることができる限り、特に限定されない。
【0035】
また、ホーン400の振動方向dは、接合対象面の面方向に対して水平方向である限り、特に限定されない。
【0036】
また、導体部110は、複数の金属素線を撚り合わせた撚線であってもよい。つまり、本実施形態の端子付き電線製造方法は、複数の金属素線を撚り合わせた撚線からなる電線の導体に対して適用されてもよい。この場合であっても、導体部110が位置決めされた状態が保たれたまま、当該導体部110を構成する撚り線の素線110a同士の位置ずれが抑制されている状態で、電線100と端子200とを超音波接合することができる。したがって、本実施形態の端子付き電線製造方法、及び、端子付き電線1は、導体部110が撚線からなる電線の導体に対して適用される場合であっても、電線100と端子200との接合部位において適正な導通性能を確保することができる。
【0037】
また、上記では、導体部110の端末111の先端部分を治具500で位置決めする形態について説明したが、素線110a同士が圧縮されて位置決めされる位置決め部分は、当該端末111の後端部分であってもよい。
図6示す変形例に係る端子付き電線1Bは、接合部分111bより基端側に位置する部分を位置決め部分111aAとし、位置決め工程として、ホーン400から露出して位置する部分を治具500Aで圧縮することで、当該位置決め部分111aAの位置決めをすることができる。治具500Aは、例えば、上下型によって構成され、作業員が位置決め部分111aAを上型と下型で挟み込むことで、導体部110が水平方向に移動することを抑制することができる。そのため、導体部110を構成する素線110a同士の位置ずれが抑制されている状態で、電線100と端子200とを超音波接合することができる。したがって、変形例に係る端子付き電線製造方法、及び、端子付き電線1Bは、導体部110の端末111の後端部分を治具500Aで位置決めする場合であっても、電線100と端子200との接合部位において適正な導通性能を確保することができる。
【0038】
本実施形態に係る端子付き電線製造方法、及び、端子付き電線、は、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1、1A、1B 端子付き電線
100 電線
110 導体部
110a 素線
111 導体部の端末
111a、111aA 導体部の位置決め部分
111b 導体部の接合部分
200 端子
300 アンビル(第1金型)
400 ホーン(第2金型)
500、500A 治具
S1 配置工程
S2 位置決め工程
S3 接合工程