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特開2024-126813波長変換装置、光伝送装置及び波長変換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126813
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】波長変換装置、光伝送装置及び波長変換方法
(51)【国際特許分類】
   H04J 14/02 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H04J14/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035469
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】柳町 成行
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 大介
(72)【発明者】
【氏名】森 洋二郎
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA11
5K102AA15
5K102AA37
5K102AD01
5K102NA04
5K102PH45
5K102PH47
5K102PH48
5K102PH49
5K102RB19
(57)【要約】
【課題】波長多重光信号の伝送において、あるバンドの光信号を他のバンドへバイパスする波長変換を簡易な構成により実現する。
【解決手段】WSS11は、Cバンドの光信号LCを、複数波長の光信号が波長多重されたドロップ信号C1~Cnとスルー信号CTとに波長分離する。波長分離フィルタD1~Dnは、ドロップ信号C1~Cnに含まれる複数波長の光信号を、それぞれ単一波長の光信号を複数含むCバンド光信号群CG1~CGnに分波する。波長変換器WA1~WAnは、Cバンド光信号群CG1~CGnを、それぞれLバンド光信号群LG1~LGnに波長変換する。波長合波フィルタM1~Mnは、Lバンド光信号群LG1~LGnのそれぞれを合波してLバンド変換後の光信号L1~Lnを出力する。合波部12は、Lバンド変換後の光信号L1~Lnと、Lバンドの光信号LLと、スルー信号CTと、を合波して出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2のバンドの光信号を含む波長多重光信号から予め波長分離された、前記第1のバンドの複数波長が波長多重された光信号を、波長変換の対象となる所定の複数波長の光信号が波長多重されたn本のドロップ信号と、波長変換の対象ではない波長の光信号が波長多重されたスルー信号と、に波長分離する第1の分波器と、
前記n本のドロップ信号に含まれる前記所定の複数波長の光信号を、複数の光信号に分波するn個の第2の分波器と、
前記n個の第2の分波器で分波された前記複数の光信号に含まれる各波長の第1の光信号を、それぞれ、前記第2のバンドの複数の第2の光信号に波長変換するn個の波長変換器と、
前記n個の波長変換器から出力される波長変換後の前記複数の第2の光信号のそれぞれを合波してn本の第3の光信号を出力するn個の第1の合波器と、
前記n本の第3の光信号と、前記波長多重光信号から予め波長分離された第2のバンドの複数波長が波長多重された光信号と、前記スルー信号と、を合波して出力する合波部と、を備える、
波長変換装置。
【請求項2】
前記n個の第2の分波器は、前記n本のドロップ信号に含まれる前記複数波長の光信号を、それぞれ、複数の単一波長の前記第1の光信号に波長分離し、
前記n個の波長変換器は、前記n個の第2の分波器のそれぞれから出力された前記複数の単一波長の前記第1の光信号を、前記複数の第2の光信号に変換する、
請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項3】
前記n個の第1の合波器は、前記n個の第2の分波器よりも広帯域幅の波長フィルタとして構成される、
請求項2に記載の波長変換装置。
【請求項4】
前記n個の第2の分波器は、それぞれ、通過帯域の中心波長が異なる波長フィルタとして構成される、
請求項3に記載の波長変換装置。
【請求項5】
前記n個の第2の分波器は、前記n本のドロップ信号を、前記複数の光信号に分岐し、
前記n個の波長変換器は、前記複数の光信号のそれぞれに波長多重された前記所定の複数の波長のうちの1つの波長の光信号を、前記第2のバンドの単一波長の光信号に波長変換する、
請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項6】
前記n個の第2の分波器のそれぞれは、入力される1本の前記ドロップ信号を、2本以上のm本の光信号に分岐し、
前記n個の波長変換器のそれぞれは、前記m本の光信号うちの1本が入力されるm個のデジタルコヒーレント波長変換器を有し、
前記m個のデジタルコヒーレント波長変換器のそれぞれは、入力される前記光信号に波長多重された前記所定の複数波長の光信号のうち、所定の1つの波長の光信号を、前記第2のバンドの単一波長の光信号に波長変換する、
請求項5に記載の波長変換装置。
【請求項7】
前記合波部は、
前記n本の第3の光信号と、前記波長多重光信号から予め波長分離された前記第2のバンドの光信号と、を合波する第2の合波器と、
前記第2の合波器で合波された前記光信号と、前記スルー信号と、を合波して出力する第3の合波器と、を備える、
請求項1又は2に記載の波長変換装置。
【請求項8】
前記合波器は、
前記第2の合波器と前記第3の合波器との間に挿入され、前記第2の合波器で合波された前記光信号の損失を補償する第1の光アンプと、
前記第1の分波器と前記第3の合波器との間に挿入され、前記スルー信号の損失を補償する第2の光アンプと、をさらに備える、
請求項7に記載の波長変換装置。
【請求項9】
第1及び第2のバンドの光信号を含む波長多重光信号から前記第1のバンドの複数波長が波長多重された光信号と前記第2のバンドの複数波長が波長多重された光信号とを波長分離する第3の分波器と、
波長変換装置と、を備え、
前記波長変換装置は、
前記第3の分波器で波長分離された、前記第1のバンドの複数波長が波長多重された光信号を、波長変換の対象となる所定の複数波長の光信号が波長多重されたn本のドロップ信号と、波長変換の対象ではない波長の光信号が波長多重されたスルー信号と、に波長分離する第1の分波器と、
前記n本のドロップ信号に含まれる前記所定の複数波長の光信号を、複数の光信号に分波するn個の第2の分波器と、
前記n個の第2の分波器で分波された前記複数の光信号に含まれる各波長の第1の光信号を、それぞれ、前記第2のバンドの複数の第2の光信号に波長変換するn個の波長変換器と、
前記n個の波長変換器から出力される波長変換後の前記複数の第2の光信号のそれぞれを合波してn本の第3の光信号を出力するn個の第1の合波器と、
前記n本の第3の光信号と、前記第3の分波器で波長分離された前記第2のバンドの複数波長が波長多重された光信号と、前記スルー信号と、を合波して出力する合波部と、を備える、
光伝送装置。
【請求項10】
第1の分波器により、第1及び第2のバンドの光信号を含む波長多重光信号から予め波長分離された、前記第1のバンドの複数波長が波長多重された光信号を、波長変換の対象となる所定の複数波長の光信号が波長多重されたn本のドロップ信号と、波長変換の対象ではない波長の光信号が波長多重されたスルー信号と、に波長分離し、
n個の第2の分波器により、前記n本のドロップ信号に含まれる前記所定の複数波長の光信号を、複数の光信号に分波し、
n個の波長変換器により、前記n個の第2の分波器で分波された前記複数の光信号に含まれる各波長の第1の光信号を、それぞれ、前記第2のバンドの複数の第2の光信号に波長変換し、
前記n個の波長変換器から出力される波長変換後の前記複数の第2の光信号のそれぞれを合波してn本の第3の光信号を出力し、
前記n本の第3の光信号と、前記波長多重光信号から予め波長分離された第2のバンドの複数波長が波長多重された光信号と、前記スルー信号と、を合波して出力する、
波長変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、波長変換装置、光伝送装置及び波長変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンに代表される携帯端末の急速な普及と、端末の高度化による高精細画像等の大容量データ通信により、ネットワークに流れるトラフィックは急速な伸びを続けている。ある調査によると、日本国内の2020年度のブロードバンド契約者の総ダウンロードトラフィックは約19Tbpsで、年率約57%の割合で増大を続けており、今後もトラフィックの増大が見込まれている。これに対し、大容量通信を支えるコアネットワークでは、複数の異なる波長の光信号を1本の光ファイバに多重して伝送する波長分割多重技術(Wavelength Division Multiplexing:WDM)、DP-QPSK(Dual Polarization Differential Quadrature Phase Shift Keying)、16-QAM(16-Quadrature Amplitude Modulation)等の高度変調方式など、大容量化のニーズに応える技術の開発が進められてきた。
【0003】
さらに、無線通信における5Gサービスの進展に伴い、大容量化だけでなく、ネットワークの低遅延化のニーズも高まっている。これらのニーズに対して、近年ではNTT(日本電信電話株式会社:Nippon Telegraph and Telephone Corporation)が主導するIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想では、大容量かつ低遅延のネットワークを実現するオールフォトニクス・ネットワークが提唱されている。オールフォトニクス・ネットワークは、スイッチングノードにおける電気変換を伴う一般的なネットワークと異なり、全てのパスにおいて光のままで伝送が行われる。このため、電気のスイッチの容量に束縛されることなく、大容量で通信が可能なだけでなく、電気変換に伴う遅延がなく、低遅延化も図ることができる。
【0004】
しかしながら、このように波長パスを通信単位で用いると、波長資源の問題が発生する。現在、主に利用されている波長帯はCバンドであるが、波長資源は高々100波程度である。これに対し、Lバンドを用いる方法であるLバンド拡張や1ファイバに複数のコアを有する空間多重伝送が検討されている。空間多重伝送では、空間多重通信用の光ファイバや伝送損失を補償する空間多重用の光アンプ等が研究されているが、デバイスが開発段階であることや、新たに伝送路を引き直すことがコスト増大につながるため、現状では将来技術と捉えられている。Lバンド拡張は、ファイバ及びデバイスは既に開発されており、現在の伝送路を利用可能であることから、現実的な手法である。しかし、ネットワーク全体にLバンド拡張を適用すると、全てのノードにLバンド用の光アンプ及び光スイッチの導入が必要であり、コストが増大してしまう。
【0005】
これに対し、Lバンド拡張を行いつつ、急激なコスト増大を抑制する手法が提案されている(非特許文献1)。この手法においては、ネットワーク全体でLバンド拡張を行うのではなく、ボトルネックとなる一部のリンクのみにおいてCバンドの波長の一部をLバンドに波長変換してバイパスを行う。非特許文献1では、ネットワークモデルJPN12において、中部地方のノード間のトラフィックが混雑しており、全体の容量増大を阻害されている。本手法では、このようなボトルネック区間のみにLバンド拡張を適用している。具体的には、第1のノードにおいてCバンドの波長の光信号の一部をLバンドに波長変換し、次の第2のノードへ伝送する。第2のノードにおいては、Cバンドの光信号のみスイッチングを行い、Lバンドはカットスルーで、第3のノードへ伝送する。第3のノードにおいては、Lバンドの波長の光信号を再度Cバンドに波長変換を行っている。すなわち、第1のノードと第3のノードとの間でCバンドの波長の光信号の一部をLバンドの波長の光信号に移行し、ボトルネックの度合いを減少させ、ネットワーク全体の容量拡張を実現している。これにより、非特許文献1においては、例えば、混雑するノード間のみのリンクに関してCバンドの波長の光信号の16%をLバンドに移行することで、ネットワーク全体の容量を9%向上できることが報告されている。
【0006】
なお、波長変換の方法は、光の非線形性を利用した全光波長変換、トランスポンダ機能を利用した波長変換などが提唱され、利用されている。全光波長変換では、光のまま波長変換をおこなうため遅延が少ない利点があるが、波長変換デバイスの光損失が大きく、伝送可能距離が制限される等の問題がある。また、トランスポンダ機能においては、デジタル信号処理を介して、いわゆる3R(増幅:Re-amplification、波形整形:Re-shaping、ビット間隔調整:Re-timing)再生で完全な波形成型がなされる。そのため、伝送距離制限はなくなるが、デジタル信号処理での遅延が発生する問題がある。これに対して、デジタル信号処理部を介さず送信器、受信器間のアナログ電気信号を折り返す構成もある(以下アナログ波長変換と記載する)。アナログ波長変換においては、デジタル処理を施さないため、これまで伝送路で蓄積された信号劣化を補償する別の機能が付加される。例えば、コヒーレント受信フロントエンドとコヒーレント送信フロントエンドとの間にアナログの信号処理部を設け、帯域を補正する等の方法がある。非特許文献1にかかる手法のように、比較的短いパスのみをLバンドに迂回する方法では、低コスト及び低遅延のアナログ波長変換の利用が期待される。
【0007】
なお、現在利用されているノードにおいては、ルーティング制御の制約を回避するため、波長衝突がなく、任意の波長の信号を任意の方路にスイッチングするノード構成方法が必要である。波長多重光信号は、例えば、Cバンドの光信号とLバンドの光信号とに分離され、Cバンドの光信号が波長変換の対象となる。Cバンドの光信号は、波長変換を行う装置などに入力され、変換対象となるCバンドの各波長の光信号が、Lバンドの波長の光信号に波長変換される。
【0008】
このようなCバンドの波長多重光信号をLバンドの波長信号に波長変換を行う波長バンド変換器が提案されている(特許文献1)。この波長バンド変換器では、波長多重光信号から、波長変換される各波長の光信号に分離する光バンド分離装置が設けられる。一般に、このような光バンド分離装置は、例えば広帯域の光カプラが用いられる。光バンド分離装置に入力された波長多重光信号はCバンド、Lバンド毎に分離された後、波長バンド変換器によって、Cバンドの波長多重光信号からLバンドの波長多重光信号へ、またはLバンドの波長多重光信号からCバンドの波長多重光信号へ一括波長変換することができる。なお、一般的に一括波長変換する方法として、全光波長変換が用いられる。Cバンドの波長多重光信号、および、Lバンドの波長多重光信号に波長変換された光信号はレベル調整された後に合波装置によって合波されて、波長多重光信号として伝送される。
【0009】
他にも、波長衝突なく、任意の波長の信号を任意の方路にスイッチングするノード構成方法が様々に提案されている(例えば、特許文献2及び3)。また、Cバンド及びLバンドでの光信号の伝送についても、各種提案されている(例えば、特許文献4~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001-274750号公報
【特許文献2】特開2013-5230号公報
【特許文献3】特開2006-211591号公報
【特許文献4】特開2001-24594号公報
【特許文献5】特開2001-44546号公報
【特許文献6】特開2012-15577号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】齊藤大介、他4名、「マルチバンド仮想バイパスリンクを用いたネットワーク容量拡張法」、2022年9月、電気情報通信学会ソサイエティ大会、通信ソサイエティ、B-12-3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
Cバンドを利用する一般的な光ネットワークに対して波長変換を行い、一部の波長をLバンド(Sバンド等の異なる周波数のバンド等でも差し支えない)へ移行することで容量拡張を行う光ネットワークにおいては、以下の問題点が存在する。
【0013】
第1の問題点は、Lバンド拡張を行うネットワークは、Cバンドを用いる一般的なネットワークに比べてコストが大幅に増大してしまう点である。上述したように、変換対象となるCバンドの光信号を波長ごとに分離する必要がある。そのため、各ノードに配置される波長分離を行う構成、例えばWSSに、Lバンドへの変換対象となるCバンドの波長数と同じ数の出力ポートを設ける必要が有る。これにより、比較的高価なWSSが複雑化してしまい、コスト増大の要因となってしまう。
【0014】
本開示は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、波長多重光信号の伝送において、あるバンドの光信号を他のバンドへバイパスする波長変換を簡易な構成により実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示の一態様である波長変換装置は、第1及び第2のバンドの光信号を含む波長多重光信号から予め波長分離された、前記第1のバンドの複数波長が波長多重された光信号を、波長変換の対象となる所定の複数波長の光信号が波長多重されたn本のドロップ信号と、波長変換の対象ではない波長の光信号が波長多重されたスルー信号と、に波長分離する第1の分波器と、前記n本のドロップ信号に含まれる前記所定の複数波長の光信号を、複数の光信号に分波するn個の第2の分波器と、前記n個の第2の分波器で分波された前記複数の光信号に含まれる各波長の第1の光信号を、それぞれ、前記第2のバンドの複数の第2の光信号に波長変換するn個の波長変換器と、前記n個の波長変換器から出力される波長変換後の前記複数の第2の光信号のそれぞれを合波してn本の第3の光信号を出力するn個の第1の合波器と、前記n本の第3の光信号と、前記波長多重光信号から予め波長分離された第2のバンドの複数波長が波長多重された光信号と、前記スルー信号と、を合波して出力する合波部と、を備えるものである。
【0016】
本開示の一態様である光伝送装置は、第1及び第2のバンドの光信号を含む波長多重光信号から前記第1のバンドの複数波長が波長多重された光信号と前記第2のバンドの複数波長が波長多重された光信号とを波長分離する第3の分波器と、波長変換装置と、を備え、前記波長変換装置は、前記第3の分波器で波長分離された、前記第1のバンドの複数波長が波長多重された光信号を、波長変換の対象となる所定の複数波長の光信号が波長多重されたn本のドロップ信号と、波長変換の対象ではない波長の光信号が波長多重されたスルー信号と、に波長分離する第1の分波器と、前記n本のドロップ信号に含まれる前記所定の複数波長の光信号を、複数の光信号に分波するn個の第2の分波器と、前記n個の第2の分波器で分波された前記複数の光信号に含まれる各波長の第1の光信号を、それぞれ、前記第2のバンドの複数の第2の光信号に波長変換するn個の波長変換器と、前記n個の波長変換器から出力される波長変換後の前記複数の第2の光信号のそれぞれを合波してn本の第3の光信号を出力するn個の第1の合波器と、前記n本の第3の光信号と、前記第3の分波器で波長分離された前記第2のバンドの複数波長が波長多重された光信号と、前記スルー信号と、を合波して出力する合波部と、を備えるものである。
【0017】
本開示の一態様である波長変換方法は、第1の分波器により、第1及び第2のバンドの光信号を含む波長多重光信号から予め波長分離された、前記第1のバンドの複数波長が波長多重された光信号を、波長変換の対象となる所定の複数波長の光信号が波長多重されたn本のドロップ信号と、波長変換の対象ではない波長の光信号が波長多重されたスルー信号と、に波長分離し、n個の第2の分波器により、前記n本のドロップ信号に含まれる前記所定の複数波長の光信号を、複数の光信号に分波し、n個の波長変換器により、前記n個の第2の分波器で分波された前記複数の光信号に含まれる各波長の第1の光信号を、それぞれ、前記第2のバンドの複数の第2の光信号に波長変換し、前記n個の波長変換器から出力される波長変換後の前記複数の第2の光信号のそれぞれを合波してn本の第3の光信号を出力し、前記n本の第3の光信号と、前記波長多重光信号から予め波長分離された第2のバンドの複数波長が波長多重された光信号と、前記スルー信号と、を合波して出力するものである。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、波長多重光信号の伝送において、波長多重光信号の伝送において、あるバンドの光信号を他のバンドへバイパスする波長変換を簡易な構成により実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1にかかる光伝送ネットワークの構成を模式的に示す図である。
図2】実施の形態1にかかる光伝送装置の構成を模式的に示す図である。
図3】実施の形態1にかかる波長変換装置の構成を模式的に示す図である。
図4】実施の形態1にかかる波長変換装置の構成をより詳細に示す図である。
図5】実施の形態1にかかる光伝送装置の動作のフローチャートである。
図6】波長変換動作の概要を示す図である。
図7】実施の形態2にかかる波長変換装置の構成を模式的に示す図である。
図8】実施の形態2にかかる光伝送装置の動作のフローチャートである。
図9】実施の形態2にかかる波長変換器の構成を模式的に示す図である。
図10】実施の形態3にかかる波長変換装置の構成を模式的に示す図である。
図11】波長合波フィルタにおけるフィルタリングの概要を示す図である。
図12】実施の形態4にかかる光伝送ネットワークの構成を模式的に示す図である。
図13】実施の形態4にかかるネットワーク管理装置と光伝送装置の構成を模式的に示す図である。
図14】実施の形態4にかかる光伝送ネットワークの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0021】
実施の形態1
実施の形態1にかかる光伝送ネットワークについて説明する。図1に、実施の形態1にかかる光伝送ネットワークの構成を模式的に示す。光伝送ネットワークは、複数のノード装置と、ノード装置間を接続する光伝送路とで構成される。以下、ノード装置として、光信号の送受信、増幅及びアド/ドロップなどを行う各種の光伝送装置が用いられるものとして説明する。ここでは、説明の簡略化のため、3つのノード装置、すなわち3つの光伝送装置100~102を有する光伝送ネットワーク1000を例として説明する。図1の例では、光伝送装置100は光伝送装置101と光伝送装置102とに挟まれるように配置される。光伝送装置100と光伝送装置101との間は光伝送路T1で接続され、光伝送装置100と光伝送装置102との間は光伝送路T2で接続される。
【0022】
図1の光伝送ネットワーク1000はあくまで例示に過ぎず、ノード装置、すなわち光伝送装置は任意の数だけ設けてもよく、光伝送路の数も任意の数としてもよいことは、言うまでもない。また、光伝送路によって任意の光伝送装置間を接続した任意の光伝送ネットワークを構成してもよい。
【0023】
光伝送装置100~102のうち、光伝送装置100は、受け取った光信号のうち、Cバンドから抽出した光信号に対して波長変換を行い、Lバンドへのバイパスを行うノード装置として構成される。なお、以下では、Cバンドを第1のバンド、Lバンドを第2のバンドとも称する。以下、光伝送装置100について説明する。図2に、実施の形態1にかかる光伝送装置100の構成を模式的に示す。光伝送装置100は、光フィルタ1と、光アンプ2及び3と、波長変換装置10とを有する。
【0024】
光フィルタ1の入力は、光伝送装置101からの波長多重光信号INを伝送する光伝送路T1と接続される。この例では、波長多重光信号INは、Cバンドの複数波長の光信号とLバンドの複数波長の光信号とが波長多重された光信号である。
【0025】
以下、波長多重光信号において単に波長と言う場合は、各チャネルの中心波長を指すものとする。
【0026】
光フィルタ1は、波長多重光信号INからCバンドの波長多重光信号LC及びLバンドの波長多重光信号LLを波長分離し、Cバンドの波長多重光信号LCを光アンプ2へ出力し、Lバンドの波長多重光信号LLを光アンプ3へ出力する。光アンプ2は、入力されたCバンドの波長多重光信号LCを増幅した後、波長変換装置10へ出力する。光アンプ3は、入力されたLバンドの波長多重光信号LLを増幅した後、波長変換装置10へ出力する。なお、光フィルタ1は、第3の分波器とも称する。
【0027】
波長変換装置10は、Cバンドの波長多重光信号LCに含まれる複数波長の光信号の一部を、Lバンドの波長の光信号に波長変換し、未変換のCバンド及びLバンドの波長多重光信号と合波して、波長多重光信号OUTを出力する。波長多重光信号OUTは光伝送路T2を介して、光伝送装置102へ伝送される。
【0028】
図3に、波長変換装置10の構成を模式的に示す。波長変換装置10は、波長選択スイッチ(以下WSS:Wavelength Selective Switch)11、光合波部12、波長分離フィルタD1~Dn、波長合波フィルタM1~Mn及び波長変換器WA1~WAnを有する。なお、nは、2以上の整数である。
【0029】
WSS11の入力は光伝送路T1を介して光アンプ2の出力と接続され、増幅されたCバンドの波長多重光信号LCが入力される。WWS11のn個の出力ポートはそれぞれ波長分離フィルタD1~Dnと接続され、スルーポートは光カプラ14と接続される。WSS11は、Cバンドの波長多重光信号LCに含まれる複数波長の光信号の一部を、波長多重光信号であるドロップ信号C1~Cnとして、ドロップ信号以外の波長の光信号を波長多重光信号であるスルー信号CTとして、波長分離する。ドロップ信号C1~Cnは、2以上の波長の光信号を含む波長多重光信号として波長分離され、それぞれ波長分離フィルタD1~Dnへ出力される。なお、WSS11は、第1の分波器とも称する。
【0030】
波長分離フィルタD1~Dnは、例えば、37.5GHzグリッドの狭帯域幅アレイ導波路回折格子(AWG:Arrayed Waveguide Grating)として構成される。波長分離フィルタD1~Dnの出力は、それぞれ波長変換器WA1~WAnと接続される。波長分離フィルタD1~Dnは、それぞれドロップ信号C1~Cnを、単一波長の光信号として波長分離して、それぞれ波長変換器WA1~WAnへ出力する。ここでは、ドロップ信号C1~Cnを単一波長に波長分離した光信号群を、それぞれ符号CG1~CGnで表示している。なお、波長分離フィルタD1~Dnは、それぞれ第2の分波器とも称する。波長分離フィルタD1~Dnは、それぞれ第2の分波器とも称する。ドロップ信号C1~Cnを波長分離した単一波長の光信号のそれぞれを第1の光信号とも称する。
【0031】
波長変換器WA1~WAnは、それぞれ、Cバンド光信号群CG1~CGnに含まれる各波長の光信号をLバンドの光信号に変換して、Lバンド光信号群LG1~LGnとして、波長合波フィルタM1~Mnへ出力する。なお、Lバンド光信号群LG1~LGnに含まれる単一波長の光信号のそれぞれを第2の光信号とも称する。
【0032】
波長合波フィルタM1~Mnは、例えば、200GHzグリッドの広帯域幅AWGとして構成される。波長合波フィルタM1~Mnは、Lバンド光信号群LG1~LGnに含まれる2つ以上の単一波長の光信号を合波して、Lバンド変換後の波長多重光信号L1~Lnとして、光合波部12へ出力する。なお、波長合波フィルタM1~Mnを、それぞれ第1の合波器とも称する。Lバンド変換後の波長多重光信号L1~Lnのそれぞれを、第3の光信号とも称する。
【0033】
光合波部12は、Lバンド変換後の波長多重光信号L1~Lnと、光アンプ3で増幅されたLバンドの波長多重光信号LLと、スルー信号CTと、を合波して、波長多重光信号OUTとして出力する。
【0034】
なお、波長変換装置10には、適宜、光信号の減衰を補償するため、光アンプが挿入されてもよい。また、光合波部は、複数のカプラで構成されていてもよい。図4に、波長変換装置10の構成をより詳細に示す。図4に示すように、光合波部12は、光カプラ13及び14と、光アンプ15及び16とを有する。なお、光カプラ13を第2の合波器とも称し、光カプラ14を第3の合波器とも称する。光アンプ15を第1の光アンプとも称し、光アンプ16を第2の光アンプとも称する。
【0035】
光カプラ13は、Lバンド変換後の波長多重光信号L1~Lnと、光アンプ3で増幅されたLバンドの波長多重光信号LLとを合波して、波長多重光信号LMとして、光アンプ15へ出力する。
【0036】
光アンプ15は、波長多重光信号LMを増幅して損失補償を行った後、光カプラ14へ出力する。
【0037】
光アンプ16は、WSS11のスルーポートと光カプラ14との間に挿入され、Cバンドのスルー信号CTを増幅して損失補償を行った後、光カプラ14へ出力する。
【0038】
光カプラ14は、光アンプ15で損失補償された波長多重光信号LMと、光アンプ16で損失補償されたCバンドのスルー信号CTと、を合波した波長多重光信号OUTを、光伝送路T2へ出力する。
【0039】
また、波長変換装置はアナログ波長変換器、3R再生中継器等が搭載されるが、この場合、狭帯域幅AWGの出力はポート毎に波長が固定されるため、Cバンドの固定波長を受け、任意のLバンドに変換する波長変換器が必要である。
【0040】
次いで、光伝送装置100の動作の流れについて説明する。図5に、光伝送装置100の動作のフローチャートを示す。
【0041】
ステップS101
光フィルタ1は、波長多重光信号INを、Cバンドの波長多重光信号LCとLバンドの波長多重光信号LLとに分離する。
【0042】
ステップS102
光アンプ2はCバンドの波長多重光信号LCを増幅し、光アンプ3はLバンドの波長多重光信号LLを増幅して、損失補償を行う。
【0043】
ステップS103
WSS11は、Cバンドの波長多重光信号LCを、スルー信号CTとドロップ信号C1~Cnとに波長分離する。
【0044】
ステップS104
波長分離フィルタD1~Dnのそれぞれは、WSS11から受け取ったドロップ信号C1~Cnを、複数の単一波長の光信号からなるCバンド光信号群CG1~CGnに波長分離する。
【0045】
ステップS105
波長変換器WA1~WAnは、それぞれ、Cバンド光信号群CG1~CGnに含まれるCバンドの単一波長の光信号を、Lバンドの単一波長の光信号に波長変換し、Lバンド光信号群LG1~LGnとして出力する。
【0046】
ステップS106
波長合波フィルタM1~Mnは、それぞれ、Lバンド光信号群LG1~LGnを合波して、Lバンド変換後の波長多重光信号L1~Lnとして出力する。
単位に合波する。
【0047】
ステップS107
光カプラ13は、Lバンド変換後の波長多重光信号L1~Lnと、光アンプ3で増幅されたLバンドの波長多重光信号LLとを合波して、波長多重光信号LMとして出力する。
【0048】
ステップS108
光アンプ15は、波長多重光信号LMを増幅して損失補償を行った後、光カプラ14へ出力する。
【0049】
ステップS109
光アンプ16は、WSS11のスルーポートから出力されたCバンドのスルー信号CTを増幅して損失補償を行った後、光カプラ14へ出力する。
【0050】
ステップS110
カプラ14は、損失補償後のCバンドのスルー信号CT及びLバンドの波長多重光信号LMを合波して、波長多重光信号OUTとして、光伝送路T2へ出力する。
【0051】
本構成におけるように、WSS11において複数波長単位で波長変換信号をドロップすることで、比較的高価なWSSのポート数を抑制することができる。例えば、Cバンド光信号群CG1~CGnのそれぞれに含まれる波長数をWnとすると、Lバンド移行を行う一般的な波長変換装置においてWSSによって変換対象の複数の波長を単一波長に分離しようとすると、WSSにWn×N個のポートを設ける必要がある。これに対し、本構成によれば、WSS11に設けるポートをN個に削減することが可能である。これにより、WSSのコストを抑制し、その結果、波長変換装置のコストをも抑制することが可能となる。
【0052】
また、波長変換に必要な波長数単位を容易に増設することもできる。光伝送ネットワークにおいては、CバンドからLバンドへの波長変換を行う波長数を、運用開始後に増加させることが求められる場合が想定し得る。この場合、波長変換が可能な一般的な構成においては、Cバンドの波長多重光信号を各波長の光信号に波長分離するWSSに、今後見込まれる移行対象の波長数の最大値と同じ数だけポートを配置する必要がある。よってコスト増大の要因となってしまう。また、予め見込んだ波長の最大数を超えて移行波長数を拡張することは、そもそも困難である。
【0053】
これに対し、本構成によれば、Cバンドの移行対象波長数を、まず複数波長単位の光信号に分割してから、さらに単一波長の光信号に分離しているため、対応可能な波長数を容易に増大させることができる。例えば、Cバンドの全波長数を96波とし、まず16波単位の光信号に波長分離する場合を想定すると、WSS11のポート数を、最大で96/16=6ポートに抑えることができる。これにより、一般的な構成におけるWSSでは96ポートを設けなければならない場合と比べて、ポート数を大幅に減らすことができ、その結果、必要なポート数を容易に確保することができる。
【0054】
次いで、波長変換動作について説明する。図6に、波長変換動作の概要を示す。波長変換対象として、Cバンド側の16波(図6の実線部分)からなる光信号に着目した場合、ステップS103において、WSS11により16波単位でドロップされたのち、狭帯域幅AWGである波長分離フィルタにてさらに波長単位に分離される。
【0055】
波長変換後の光信号は、Lバンドの連続した領域に配置する必要はないため、ある一定の間隔をもって配置することが可能である。例えば、16波を連続4波長のグループとして、グループ間に空き波長を配置することができる。すなわち、ガードバンドの広い広帯域幅AWGとして構成される波長合波フィルタにて合波することができる。
【0056】
なお、狭帯域幅AWGは温度調節が必要であり、一般的にペルチェ等が搭載されるため、高価である。これに対し、広帯域幅AWGは温度調節が不要で安価であるため、本構成によれば、波長変換装置及び光伝送装置のコストを削減できる。
【0057】
実施の形態2
実施の形態2にかかる光伝送装置について説明する。実施の形態2にかかる光伝送装置は、実施の形態1にかかる光伝送装置100の波長変換装置10を、波長変換装置20に置換した構成を有する。
【0058】
図7に、実施の形態2にかかる波長変換装置20の構成を模式的に示す。波長変換装置20は、波長変換装置10の波長分離フィルタD1~Dnをそれぞれ光カプラCP1~CPnに置換し、かつ、波長変換器WA1~WAnをそれぞれ波長変換器WB1~WBnに置換した構成を有する。
【0059】
光カプラCP1~CPnは、例えば、入力されるCバンドのドロップ信号C1~Cnを同じ強度の複数の光信号に分岐する光カプラとして構成され、分岐したドロップ信号C1~Cnを、それぞれ波長変換器WB1~WBnへ出力する。
【0060】
波長変換器WB1~WBnは、分岐したドロップ信号C1~Cnに含まれるCバンドの各波長の光信号をLバンドの光信号に変換して、Lバンド光信号群LG1~LGnとして、波長合波フィルタM1~Mnへ出力する。
【0061】
以下、実施の形態2にかかる波長変換装置の構成及び動作について具体的に説明する。図8に、実施の形態2にかかる光伝送装置の動作のフローチャートを示す。図8では、図5のステップS104及びS105がステップS204及びS205に置換されている。ステップS101~S103とS106~S110については、図5と同様であるので、説明を省略する。
【0062】
本実施の形態では、波長変換器WB1~WBnは共通の構成を有しており、代表として、波長変換器WBjの構成について説明する。なお、jは、1以上n以下の整数である。図9に、実施の形態2にかかる波長変換器WBjの構成を模式的に示す。波長変換器WBjは、デジタルコヒーレント波長変換器DC1~DCmを有する。なお、mは、2以上の整数である。
【0063】
ステップS204
光カプラCPjは、入力されるドロップ信号Cjを、m本に分岐して、それぞれをデジタルコヒーレント波長変換器DC1~DCmへ出力する。なお、mは、2以上の整数である。
【0064】
ステップS205
デジタルコヒーレント波長変換器DC1~DCmは、ドロップ信号Cjに含まれる特定の単一波長のCバンドの光信号のみを受け取り、受け取った光信号をLバンドの光信号LGj_1~LGj_mに変換する。例えば、デジタルコヒーレント波長変換器DC1~DCmは、コヒーレント検波によってドロップ信号Cjに含まれる複数の波長の光信号から、特定の1つの波長の光信号のみを受信することができる。そして、受信した1つの波長の光信号に基づいて、Lバンドの単一波長の光信号を出力することができる。波長変換器WBjは、変換した複数の単一波長のLバンドの光信号LGj_1~LGj_mからなる光信号群LGjを、波長合波フィルタMjへ出力する。
【0065】
これにより、波長変換装置20によれば、実施の形態1にかかる波長変換装置10と同様に、Cバンドの光信号をLバンドの光信号に変換することができる。
【0066】
また、本構成においては、実施の形態1にかかる波長変換装置10の狭帯域幅AWGとして構成された比較的高価な波長分離フィルタを、安価な光カプラに置き換えることができる。これにより、実施の形態1と比べて、波長変換装置の製造コストを削減することができる。
【0067】
実施の形態3
実施の形態3にかかる光伝送装置について説明する。実施の形態3にかかる光伝送装置は、実施の形態1にかかる光伝送装置100の波長変換装置10を、波長変換装置30に置換した構成を有する。
【0068】
図10に、実施の形態3にかかる波長変換装置30の構成を模式的に示す。波長変換装置20は、波長変換装置10の波長合波フィルタM1~Mnを、それぞれ波長合波フィルタMA1~MAnに置換した構成を有する。
【0069】
波長合波フィルタMA1~MAnは、200GHz間隔でフィルタリングを第1のフィルタ群と、第1のフィルタ群と中心波長が異なる第2のフィルタ群とで構成される。これにより、波長合波フィルタMA1~MAnのそれぞれから出力されるLバンド変換後の波長多重光信号L1~Lnにおけるガードバンドを、異なる位置に配置することができる。
【0070】
図11に、波長合波フィルタMA1~MAnにおけるフィルタリングの概要を示す。この例では、波長合波フィルタMA1~MAnのそれぞれ通過したLバンドの光信号は中心波長がシフトしており、ガードバンドも異なる位置となっている。その結果、例えば図11の周波数f1におけるように、ある1つの波長合波フィルタを通過する光信号と、他の1つのガードバンドの帯域とを重ね合わせることができる。
【0071】
これにより、Lバンドの帯域において、ガードバンドによって無効化される帯域を無くす、ないしは削減することができ、Lバンドの帯域の帯域を有効に活用することができる。
【0072】
実施の形態4
実施の形態4にかかる光伝送ネットワークについて説明する。図12に、実施の形態4にかかる光伝送ネットワーク4000の構成を模式的に示す。光伝送ネットワーク4000は、複数の光伝送装置と、ネットワーク管理装置410とを有する。この例では、複数の光伝送装置のうち、送信ノードである光伝送装置401から、光伝送装置402~404を経由して、受信ノードである光伝送装置405へ、波長多重光信号LSが送信される。なお、光伝送装置401~405以外の光伝送装置は、符号420で表示している。なお、以下では、ネットワーク管理装置をNMS(Network Management System)とも称する。
【0073】
波長多重光信号LSが上述の実施の形態にかかる光伝送装置に入力される波長多重光信号である場合には、上述の波長多重光信号INに相当する。また、波長多重光信号LSが上述の実施の形態にかかる光伝送装置から出力される波長多重光信号である場合には、上述の波長多重光信号OUTに相当する。
【0074】
次いで、各光伝送装置とNMS410の構成について説明する。本実施の形態では、光伝送装置401~405及び420は共通構成を有するものとし、ここでは、その共有構成を有する光伝送装置400を代表例として説明する。図13に、NMS410と光伝送装置400の構成を模式的に示す。
【0075】
光伝送装置400は、実施の形態1にかかる光伝送装置100に、制御部4を追加した構成を有する。
【0076】
NMS410は、パスデータベース411、波長変換器データベース412、波長変換パスデータベース413、到達可否判定部414及びNMS制御部415を有する。なお、以下では、データベースをDBとも表記する。なお、以下では、ネットワーク管理装置をNMS(Network Management System)とも称する。
【0077】
パスDB411には、送信元ノード番号、送信先ノード番号、通信速度及び波長変換ノードを管理する情報が格納される。波長変換器DB412には、ノード番号、波長変換器利用状況及び波長変換器種別を管理する情報が格納される。波長変換パスDB413には、ノード番号、利用可能な波長変換器情報及びバイパスホップ数を管理するための情報が格納される。
【0078】
次いで、光伝送ネットワーク4000における動作について説明する。図14に、実施の形態4にかかる光伝送ネットワークの動作のフローチャートを示す。
【0079】
ステップS401
NMS410が、波長変換リクエストREQを受け取る。波長変換リクエストREQは、例えば、NMS410の上位装置などから、ユーザの求めなどに応じて、NMS410に送信される。
【0080】
ステップS402
波長変換リクエストREQを受け取った場合、NMS制御部415はパスDB411を参照する。これにより、NMS制御部415は、光伝送装置401が送信ノードであること、光伝送装置405が送信先ノードであること、これらの間における通信速度及び波長変換ノードを認識する。
【0081】
ステップS403
NMS制御部415は、通信経路における波長変換器の利用状況を認識するため、波長変換器DB412を参照する。これにより、NMS制御部415は、光伝送装置401と光伝送装置405との間の通信経路に配置された光伝送装置を特定し、特定された光伝送装置の波長変換器の利用状況及び波長変換器種別を認識する。
【0082】
ステップS404
NMS制御部415は、波長変換器DB412を参照することで認識した、通信経路に配置された光伝送装置の波長変換器の利用状況に基づき、光伝送ネットワーク内の各光伝送装置で利用可能な波長変換器を特定する。そして、利用可能な波長変換器の情報、すなわち、いずれの光伝送装置のいずれの波長変換器が利用可能であるかと、利用可能な波長変換器が実現可能なバイパスホップ数とを、波長変換パスDB413に登録する。
【0083】
ステップS405
到達可否判定部414は、パスDB411に格納された通信速度と波長変換パスDB413に格納された利用可能な波長変換器の情報とを参照し、予め計算したS/Nスレッショルドと比較し、光伝送装置間で光信号が到達可能であるか否かを判定する。
【0084】
ステップS406
到達可能である場合、NMS制御部415は、光伝送装置のそれぞれに、波長変換情報を通知する。この例では、波長多重光信号Lが送信される経路の光伝送装置401~405のそれぞれに、個別に波長変換動作を行わせるための波長変換情報INF1~INF5が通知される。
【0085】
ステップS407
波長変換情報INF1~INF5を受け取った場合、光伝送装置401~405のそれぞれでは、制御部4が波長変換装置10を制御して、波長変換情報INF1~INF5で指示された波長変換動作を行わせる。例えば、光伝送装置401~405のそれぞれは、波長変換情報INF1~INF5で指定されたCバンドの波長の光信号をLバンドに移行し、指定されなかったCバンドの波長の信号をスルー信号として扱う。
【0086】
以上の通り、本構成によれば、蓄積された情報に基づいて、光信号の確実な到達を担保しつつ、通信経路の各光伝送装置において、適宜、波長変換動作によるバイパス経路生成を行うことができる。これにより、光伝送ネットワークの信頼性確保と、通信帯域の効率的な利用とを両立することが可能となる。
【0087】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施の形態では、Cバンドの波長の一部をLバンドへ移行するものとして説明したが、これは例示に過ぎない。つまり、Cバンド及びLバンド以外のあるバンドの波長の一部を、Cバンド及びLバンド以外の他のバンドへ移行してもよい。すなわち、第1のバンドはCバンド及びLバンド以外のあるバンドであってもよく、第2のバンドはCバンド及びLバンド以外の他のバンドであってもよい。
【0088】
実施の形態2にかかる波長変換装置においても、実施の形態3にかかる波長合波フィルタを適用してもよい。
【0089】
実施の形態4においては、実施の形態1にかかる光伝送装置100に制御部4を追加した光伝送装置を用いるものとしたが、これは例示に過ぎない。すなわち、実施の形態2又は3にかかる光伝送装置に制御部4を追加した光伝送装置を用いてもよく、また、適宜、上述の実施の形態のいずれかにかかる光伝送装置に制御部4を追加した光伝送装置を、混用してもよい。
【0090】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0091】
(付記1)第1及び第2のバンドの光信号を含む波長多重光信号から予め波長分離された、前記第1のバンドの複数波長が波長多重された光信号を、波長変換の対象となる所定の複数波長の光信号が波長多重されたn本のドロップ信号と、波長変換の対象ではない波長の光信号が波長多重されたスルー信号と、に波長分離する第1の分波器と、前記n本のドロップ信号に含まれる前記所定の複数波長の光信号を、複数の光信号に分波するn個の第2の分波器と、前記n個の第2の分波器で分波された前記複数の光信号に含まれる各波長の第1の光信号を、それぞれ、前記第2のバンドの複数の第2の光信号に波長変換するn個の波長変換器と、前記n個の波長変換器から出力される波長変換後の前記複数の第2の光信号のそれぞれを合波してn本の第3の光信号を出力するn個の第1の合波器と、前記n本の第3の光信号と、前記波長多重光信号から予め波長分離された第2のバンドの複数波長が波長多重された光信号と、前記スルー信号と、を合波して出力する合波部と、を備える、波長変換装置。
【0092】
(付記2)前記n個の第2の分波器は、前記n本のドロップ信号に含まれる前記複数波長の光信号を、それぞれ、複数の単一波長の前記第1の光信号に波長分離し、前記n個の波長変換器は、前記n個の第2の分波器のそれぞれから出力された前記複数の単一波長の前記第1の光信号を、前記複数の第2の光信号に変換する、付記1に記載の波長変換装置。
【0093】
(付記3)前記n個の第1の合波器は、前記n個の第2の分波器よりも広帯域幅の波長フィルタとして構成される、付記2に記載の波長変換装置。
【0094】
(付記4)前記n個の第2の分波器は、それぞれ、通過帯域の中心波長が異なる波長フィルタとして構成される、付記3に記載の波長変換装置。
【0095】
(付記5)前記n個の第2の分波器は、前記n本のドロップ信号を、前記複数の光信号に分岐し、前記n個の波長変換器は、前記複数の光信号のそれぞれに波長多重された前記所定の複数の波長のうちの1つの波長の光信号を、前記第2のバンドの単一波長の光信号に波長変換する、付記1に記載の波長変換装置。
【0096】
(付記6)前記n個の第2の分波器のそれぞれは、入力される1本の前記ドロップ信号を、2本以上のm本の光信号に分岐し、前記n個の波長変換器のそれぞれは、前記m本の光信号うちの1本が入力されるm個のデジタルコヒーレント波長変換器を有し、前記m個デジタルコヒーレント波長変換器のそれぞれは、入力される前記光信号に波長多重された前記所定の複数波長の光信号のうち、所定の1つの波長の光信号を、前記第2のバンドの単一波長の光信号に波長変換する、付記5に記載の波長変換装置。
【0097】
(付記7)前記合波部は、前記n本の第3の光信号と、前記波長多重光信号から予め波長分離された前記第2のバンドの光信号と、を合波する第2の合波器と、前記第2の合波器で合波された前記光信号と、前記スルー信号と、を合波して出力する第3の合波器と、を備える、付記1乃至6のいずれか一項に記載の波長変換装置。
【0098】
(付記8)前記合波器は、前記第2の合波器と前記第3の合波器との間に挿入され、前記第2の合波器で合波された前記光信号の損失を補償する第1の光アンプと、前記第1の分波器と前記第3の合波器との間に挿入され、前記スルー信号の損失を補償する第2の光アンプと、をさらに備える、付記7に記載の波長変換装置。
【0099】
(付記9)第1及び第2のバンドの光信号を含む波長多重光信号から前記第1のバンドの複数波長が波長多重された光信号と前記第2のバンドの複数波長が波長多重された光信号とを波長分離する第3の分波器と、波長変換装置と、を備え、前記波長変換装置は、前記第3の分波器で波長分離された、前記第1のバンドの複数波長が波長多重された光信号を、波長変換の対象となる所定の複数波長の光信号が波長多重されたn本のドロップ信号と、波長変換の対象ではない波長の光信号が波長多重されたスルー信号と、に波長分離する第1の分波器と、前記n本のドロップ信号に含まれる前記所定の複数波長の光信号を、複数の光信号に分波するn個の第2の分波器と、前記n個の第2の分波器で分波された前記複数の光信号に含まれる各波長の第1の光信号を、それぞれ、前記第2のバンドの複数の第2の光信号に波長変換するn個の波長変換器と、前記n個の波長変換器から出力される波長変換後の前記複数の第2の光信号のそれぞれを合波してn本の第3の光信号を出力するn個の第1の合波器と、前記n本の第3の光信号と、前記第3の分波器で波長分離された前記第2のバンドの複数波長が波長多重された光信号と、前記スルー信号と、を合波して出力する合波部と、を備える、光伝送装置。
【0100】
(付記10)第1の分波器により、第1及び第2のバンドの光信号を含む波長多重光信号から予め波長分離された、前記第1のバンドの複数波長が波長多重された光信号を、波長変換の対象となる所定の複数波長の光信号が波長多重されたn本のドロップ信号と、波長変換の対象ではない波長の光信号が波長多重されたスルー信号と、に波長分離し、n個の第2の分波器により、前記n本のドロップ信号に含まれる前記所定の複数波長の光信号を、複数の光信号に分波し、n個の波長変換器により、前記n個の第2の分波器で分波された前記複数の光信号に含まれる各波長の第1の光信号を、それぞれ、前記第2のバンドの複数の第2の光信号に波長変換し、前記n個の波長変換器から出力される波長変換後の前記複数の第2の光信号のそれぞれを合波してn本の第3の光信号を出力し、前記n本の第3の光信号と、前記波長多重光信号から予め波長分離された第2のバンドの複数波長が波長多重された光信号と、前記スルー信号と、を合波して出力する、波長変換方法。
【0101】
(付記11)光伝送装置と、与えられるリクエストに応じて、波長変換動作を制御するための情報を前記光伝送装置に出力する管理装置と、を備え、前記光伝送装置は、第1及び第2のバンドの光信号を含む波長多重光信号から前記第1のバンドの複数波長が波長多重された光信号と前記第2のバンドの複数波長が波長多重された光信号とを波長分離する第3の分波器と、波長変換装置と、を備え、前記波長変換装置は、前記第3の分波器で波長分離された、前記第1のバンドの複数波長が波長多重された光信号を、波長変換の対象となる所定の複数波長の光信号が波長多重されたn本のドロップ信号と、波長変換の対象ではない波長の光信号が波長多重されたスルー信号と、に波長分離する第1の分波器と、前記n本のドロップ信号に含まれる前記所定の複数波長の光信号を、複数の光信号に分波するn個の第2の分波器と、前記n個の第2の分波器で分波された前記複数の光信号に含まれる各波長の第1の光信号を、それぞれ、前記第2のバンドの複数の第2の光信号に波長変換するn個の波長変換器と、前記n個の波長変換器から出力される波長変換後の前記複数の第2の光信号のそれぞれを合波してn本の第3の光信号を出力するn個の第1の合波器と、前記n本の第3の光信号と、前記第3の分波器で波長分離された前記第2のバンドの複数波長が波長多重された光信号と、前記スルー信号と、を合波して出力する合波部と、を備え、前記第1の分波器が波長分離する、前記波長変換の対象となる所定の複数波長の光信号は、前記管理装置から与えられる前記情報によって指定される、光伝送ネットワーク。
【符号の説明】
【0102】
1 光フィルタ
2、3 光アンプ
4 制御部
10、20、30 波長変換装置
11 WSS
12 光合波部
13、14 光カプラ
15、16 光アンプ
100~102、400、401~405、420 光伝送装置
410 ネットワーク管理装置(NMS)
1000、4000 光伝送ネットワーク
411 パスデータベース
412 波長変換器データベース
413 波長変換パスデータベース
414 到達可否判定部
415 ネットワーク管理装置(NMS)制御部
C1~Cn ドロップ信号
CG1~CGn Cバンド光信号群
CP1~CPn 光カプラ
CT スルー信号
D1~Dn 波長分離フィルタ
DC1~DCm デジタルコヒーレント波長変換器
IN、LS、OUT 波長多重光信号
INF1~INF5 波長変換情報
L1~Ln Lバンド変換後の波長多重光信号
LC Cバンドの波長多重光信号
LG1~LGn Lバンド光信号群
LL Lバンドの波長多重光信号
LM Lバンドの波長多重光信号
M1~Mn、MA1~MAn 波長合波フィルタ
REQ 波長変換リクエスト
T1、T2 光伝送路
WA1~WAn、WB1~WBn 波長変換器
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