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特開2024-126815全固体電池用正極およびそれを用いた全固体電池
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  • 特開-全固体電池用正極およびそれを用いた全固体電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126815
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】全固体電池用正極およびそれを用いた全固体電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/131 20100101AFI20240912BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240912BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20240912BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240912BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240912BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240912BHJP
【FI】
H01M4/131
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/62 Z
H01M10/0562
H01M10/052
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035473
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】冨田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】片山 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】是津 信行
(72)【発明者】
【氏名】澤田 大基
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ06
5H029AK03
5H029AK18
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM12
5H029HJ02
5H050AA12
5H050BA17
5H050CA09
5H050CA29
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA02
5H050DA13
5H050EA01
5H050HA02
(57)【要約】
【課題】電池の内部抵抗を低減できる全固体電池用正極およびそれを用いた全固体電池を提供する。
【解決手段】本願の全固体電池用正極は、正極活物質と、固体電解質とを含み、前記正極活物質は、下記組成式(1)で表されるスピネル型結晶構造を有する複合酸化物を含んでいる。
Li1+aNixMn2-x-y-zCuyz4-bb (1)
上記組成式(1)において、-1≦a≦1、0≦b≦0.2、0<x≦0.55、0.01<y<0.1、0≦z≦0.15であり、Mは1族~14族の元素より選択される1種以上の元素(ただし、Li、Ni、MnおよびCuを除く)を表し、XはF、Cl、Br、IおよびSより選択される1種以上の元素を表す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質と、固体電解質とを含む全固体電池用正極であって、
前記正極活物質は、下記組成式(1)で表されるスピネル型結晶構造を有する複合酸化物を含むことを特徴とする全固体電池用正極。
Li1+aNixMn2-x-y-zCuyz4-bb (1)
上記組成式(1)において、-1≦a≦1、0≦b≦0.2、0<x≦0.55、0.01<y<0.1、0≦z≦0.15であり、Mは1族~14族の元素より選択される1種以上の元素(ただし、Li、Ni、MnおよびCuを除く)を表し、XはF、Cl、Br、IおよびSより選択される1種以上の元素を表す。
【請求項2】
前記組成式(1)において、x<0.49である請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項3】
前記組成式(1)において、0.4≦xである請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項4】
前記組成式(1)において、Mが、Na、K、Mg、Ca、Sr、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Zn、Zr、Nb、Mo、Sn、Ba、Ta、W、La、CeおよびEuより選択される1種以上の元素である請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項5】
前記組成式(1)において、Mが、Mgを含む1種以上の元素である請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項6】
前記組成式(1)において、MがMgであり、0.01≦zである請求項5に記載の全固体電池用正極。
【請求項7】
前記固体電解質が、アルジロダイト型硫化物系固体電解質を含む請求項1に記載の全固体電池用正極。
【請求項8】
正極、負極、および前記正極と前記負極との間に配置された固体電解質層を含む全固体電池であって、
前記正極が、請求項1~7のいずれかに記載の全固体電池用正極であることを特徴とする全固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、全固体電池の内部抵抗を低減できる全固体電池用正極およびそれを用いた全固体電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機電解液に代えて、固体電解質を用いた全固体電池の開発が盛んに行われている。全固体電池は、可燃性の有機電解液を用いないため、高い安全性を備えている。また、全固体電池は、高い安全性だけではなく、高い信頼性および高い耐環境性を有し、且つ長寿命であるため、社会の発展に寄与すると同時に安心、安全にも貢献し続けることができるメンテナンスフリーの電池として期待されている。
【0003】
ところで、全固体電池用正極には、通常、正極活物質と固体電解質とを含む正極合剤が用いられている。ところが、上記固体電解質が、特に反応性が高い硫化物系固体電解質であると、正極活物質と硫化物系固体電解質とが反応し、正極活物質が不活性となる場合がある。このため、従来から、正極活物質と固体電解質との反応を防止するため、正極活物質の表面に、LiNbO3などのリチウム酸化物からなる反応抑制層を形成することが提案されている(特許文献1、2)。
【0004】
しかし、上記反応抑制層は、正極活物質の表面抵抗を増大させる要因となるため、反応抑制層を形成しなくても固体電解質と正極活物質との反応を抑制できる正極活物質が求められている。
【0005】
一方、高容量でサイクル特性が良好なリチウム二次電池に有用な正極活物質として、リチウム・ニッケル・マンガンスピネル型結晶構造を有する複合酸化物が提案されている(特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2007/4590号
【特許文献2】特開2022-98753号公報
【特許文献3】特開2017-171548号公報
【特許文献4】国際公開第2019/188751号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3および4に記載のリチウム複合酸化物を、反応抑制層を形成せずに全固体電池用正極の正極活物質として使用すると、前述のとおり、正極活物質と固体電解質とが反応することになる。ここで、特に、全固体電池では、電池作製後の化成工程において電池が加熱処理されるため、正極活物質と固体電解質とが接触した状態で加熱されると、正極活物質と固体電解質との反応が促進することが予想される。そこで、本発明者らがこの点を検討したところ、正極活物質と固体電解質とが接触した状態で加熱されると、電池の内部抵抗が増加することが判明した。
【0008】
本願は、前記事情に鑑みてなされたものであり、反応抑制層を形成しなくても、全固体電池の内部抵抗の増加を抑制できる全固体電池用正極およびそれを用いた全固体電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の全固体電池用正極は、正極活物質と、固体電解質とを含み、前記正極活物質は、下記組成式(1)で表されるスピネル型結晶構造を有する複合酸化物を含むことを特徴とする。
Li1+aNixMn2-x-y-zCuyz4-bb (1)
上記組成式(1)において、-1≦a≦1、0≦b≦0.2、0<x≦0.55、0.01<y<0.1、0≦z≦0.15であり、Mは1族~14族の元素より選択される1種以上の元素(ただし、Li、Ni、MnおよびCuを除く)を表し、XはF、Cl、Br、IおよびSより選択される1種以上の元素を表す。
【0010】
本願の全固体電池は、正極、負極、および前記正極と前記負極との間に配置された固体電解質層を含み、前記正極が、前記本願の全固体電池用正極であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願によれば、全固体電池の内部抵抗を低減できる全固体電池用正極およびそれを用いた全固体電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本願の実施形態の全固体電池の一例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(全固体電池用正極の実施形態)
本実施形態の全固体電池用正極は、正極活物質と、固体電解質とを含み、前記正極活物質は、下記組成式(1)で表されるスピネル型結晶構造を有する複合酸化物を含有している。
【0014】
Li1+aNixMn2-x-y-zCuyz4-bb (1)
【0015】
上記組成式(1)において、-1≦a≦1、0≦b≦0.2、0<x≦0.55、0.01<y<0.1、0≦z≦0.15であり、Mは1族~14族の元素より選択される1種以上の元素(ただし、Li、Ni、MnおよびCuを除く)を表し、XはF、Cl、Br、IおよびSより選択される1種以上の元素を表す。
【0016】
本実施形態の全固体電池用正極を用いて、加熱工程(化成工程)を介して全固体電池を作製しても、全固体電池の内部抵抗の増加を抑制できる。その理由は、現在のところ下記のように考えている。
【0017】
従来、本実施形態で用いるリチウム・ニッケル・マンガン複合酸化物(以下、LNMO型複合酸化物ともいう。)の表面を、LiNbO3などのリチウム酸化物からなる反応抑制層で被覆せずに、硫化物系固体電解質と接触させた状態で加熱すると、LNMO型複合酸化物と硫化物系固体電解質との間で酸化還元反応が生じると考えられる。具体的には、硫化物系固体電解質が酸化され、LNMO型複合酸化物中のMn4+がMn3+に、Mn3+がMn2+に還元される反応を生じると考えられる。
【0018】
本発明者らは、LNMO型複合酸化物と硫化物系固体電解質とが接触した状態で加熱されると、酸化された硫化物系固体電解質と還元されたLNMO型複合酸化物との界面には、前記反応に伴い抵抗層が生じている可能性があると考えた。
【0019】
また、Mn3+がMn2+に変化する際には、結晶構造がスピネル型から正方晶型に相変化するため、活物質が大きな体積変化を起こすことで固体電解質とLNMO型複合酸化物との接触が不十分となったり、電極自体が可塑変形して固体電解質同士の接触が損なわれ、電池の内部抵抗が増加している可能性があることも考えられる。
【0020】
一方、LNMO型複合酸化物に銅元素(Cu)をドープすると、Mnの代わりにCuが還元されることにより、Mnの還元反応が抑制され、これに伴い複合酸化物の結晶構造がスピネル型から正方晶型に相変化することも抑制されると考えられる。これにより、前記の抵抗層の生成の抑制や、固体電解質とLNMO型複合酸化物との接触の確保、あるいは固体電解質同士の接触の確保が可能になると考えられる。
【0021】
以上より、CuをドープしたLNMO型複合酸化物と固体電解質とを含む正極を、全固体電池の正極として用いると、加熱工程(化成工程)を介して全固体電池を作製しても、電池の内部抵抗の増加が抑制されると考えられる。
【0022】
なお、正極の容量に寄与しないNi6MnO8などの不純物の生成を防ぐために、前記組成式(1)において、x<0.49であることが好ましい。
【0023】
また、正極のNi4+/Ni2+の酸化還元による容量の発現に関係する、Li金属基準での4.5V以上の領域を広くするため、前記組成式(1)において、0.4≦xであることが好ましい。
【0024】
前記組成式(1)において、Mが、Na、K、Mg、Ca、Sr、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Zn、Zr、Nb、Mo、Sn、Ba、Ta、W、La、CeおよびEuより選択される1種以上の元素であることが好ましい。これらの元素を含むことにより、Mnの還元反応をより抑制できる。
【0025】
元素Mとしては、Mgが好ましく選択される。Mg2+は、Ni2+やMn4+よりもイオン半径が大きいため、LNMO型複合酸化物の16dサイトのNiやMnと置き換わることで格子定数を大きくし、Li+の挿入・脱離を容易にし、出力特性を向上させることができる。従って、前記組成式(1)において、Mが、Mgを含む1種以上の元素であることが好ましい。
【0026】
なお、MがMgである場合には、Mg2+による前記の効果を得やすくするために、前記組成式(1)において、0.01≦zであることが好ましく、活物質粒子の電子伝導性やイオン伝導性を良好にして正極の出力特性を向上させるために、z≦0.15とすればよい。
【0027】
本実施形態の全固体電池用正極に用いる固体電解質としては、水素化物系固体電解質、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質などが使用でき、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
水素化物系固体電解質の具体例としては、LiBH4、LiBH4と下記のアルカリ金属化合物との固溶体(例えば、LiBH4とアルカリ金属化合物とのモル比が1:1~20:1のもの)などが挙げられる。前記固溶体におけるアルカリ金属化合物としては、ハロゲン化リチウム(LiI、LiBr、LiF、LiClなど)、ハロゲン化ルビジウム(RbI、RbBr、RbF、RbClなど)、ハロゲン化セシウム(CsI、CsBr、CsF、CsClなど)、リチウムアミド、ルビジウムアミドおよびセシウムアミドよりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0029】
硫化物系固体電解質の具体例としては、Li2S-P23、Li2S-P25、Li2S-P23-P25、Li2S-SiS2、LiI-Li2S-P25、LiI-Li2S-SiS2-P25、Li2S-SiS2-Li4SiO4、Li2S-SiS2-Li3PO4、Li3PS4-Li4GeS4、Li3.40.6Si0.44、Li3.250.25Ge0.764、Li4-xGe1-xx4、Li7311などが挙げられるが、リチウムイオン伝導性が高く、化学的に安定性の高いLi6PS5X(X:Cl、BrまたはI)などの一般式で表されるアルジロダイト型の固体電解質が好ましく用いられる。
【0030】
酸化物系固体電解質の具体例としては、Li7La3Zr212、Li1+xAlxTi2-x(PO43、Li1+xAlxGe2-x(PO43、LiLaTiO3などが挙げられる。
【0031】
本実施形態の全固体電池用正極としては、前記組成式(1)で表されるスピネル型結晶構造を有する複合酸化物(正極活物質)と、前記固体電解質とを含有する正極合剤を成形したもの(正極合剤成形体);前記正極合剤の層(正極合剤層)を、集電体の片面または両面に有する構造のもの;などが使用できる。
【0032】
前記正極活物質は、前記組成式(1)で表されるリチウム複合酸化物以外のリチウム複合酸化物を含んでいてもよい。
【0033】
また、正極合剤成形体からなる正極や、正極合剤層を有する正極の場合、正極合剤(正極合剤層)には、更に導電助剤やバインダを含有させることもできる。
【0034】
正極に係る導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、グラフェンなどの炭素材料などが使用でき、また、正極に係るバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂などが使用できる。
【0035】
正極に集電体を用いる場合には、その集電体としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタンなどの金属材料で構成された基材を用いることができ、例えば、前記金属材料の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡基材、繊維状物で構成されたシートなどが挙げられる。
【0036】
また、前記発泡基材や前記繊維状物で構成されたシートの空隙内に前記正極合剤を充填させて正極を構成してもよい。
【0037】
正極の正極合剤の組成としては、例えば、正極活物質が50~90質量%であることが好ましく、固体電解質が10~50質量%であることが好ましく、導電助剤が0.1~10質量%であることが好ましく、バインダが0.1~10質量%であることが好ましい。
【0038】
正極合剤成形体により構成された正極の場合、その厚みは、0.15~4mmであることが好ましい。他方、集電体の表面に正極合剤層を形成した構造の正極の場合、正極合剤層の厚み(集電体の両面に正極合剤層を設ける場合は、集電体の片面あたりの厚み)は、30~300μmであることが好ましい。
【0039】
(全固体電池の実施形態)
本実施形態の全固体電池は、正極、負極、および前記正極と前記負極との間に配置された固体電解質層を備え、前記正極が、前述の実施形態の全固体電池用正極である。本実施形態の全固体電池は、前述の実施形態の全固体電池用正極を備えているので、加熱工程(化成工程)を介して全固体電池を作製しても、全固体電池の内部抵抗の増加を低減できる。
【0040】
以下、本実施形態の全固体電池を図面に基づき説明する。図1は、本実施形態の全固体電池の一例を示す模式断面図である。ただし、図1は本実施形態の全固体電池の一例を示すものであり、本願の全固体電池は、図1に示す構成のものに限定される訳ではない。
【0041】
図1に示す全固体電池1は、正極12、固体電解質層14および負極13を積層してなる電極積層体が、外装缶10および封口缶11、更にはガスケット15で構成された電池容器内に収容されて構成されている。封口缶11は、外装缶10の開口部にガスケット15を介して嵌合しており、外装缶10の開口端部10aがかしめによって内方に締め付けられ、これによってガスケット15が封口缶11に当接することで、外装缶10の開口部が封口されて電池内部が密閉構造となっている。また、正極12、固体電解質層14および負極13からなる電極積層体と、外装缶10の内底面および封口缶11の内底面との間に、それぞれ、導電性多孔質部材16,16が配置されている。
【0042】
図1に示す全固体電池1では、正極12が外装缶10側となり、負極13が封口缶11側となるように、電極積層体が配置されている例を示したが、本実施形態の全固体電池は、図1に示す態様に限定されず、例えば、正極が封口缶側となり、負極が外装缶側となるように電極積層体を配置することもできる。
【0043】
次に、本実施形態の全固体電池の正極以外の構成部材について説明する。
【0044】
<負極>
本実施形態の全固体電池の負極としては、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられている負極、すなわち、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な活物質を含有する負極であれば特に制限はない。例えば、負極活物質として、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などのリチウムを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。負極活物質としては酸化物を用いてもよく、例えば、LixNbyTiMa[5y+4/2]+δ(ただし、Mは、V、Cr、Mo、Ta、Zr、Mn、Fe、Mg、B、Al、Cu、および、Siからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、0≦x≦49、0.5≦y<24、-5≦δ≦5、0≦a≦0.3)で表される単斜晶系の結晶構造を有する複合酸化物、アナターゼ構造を有する二酸化チタン、Li2Ti37で表されるラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム、Li4Ti512で表されるスピネル型のチタン酸リチウム、などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。Si、Sn、Ge、Bi、Sb、Inなどの元素を含む単体、化合物およびその合金;Co、Ni、Mn、Fe、Cr、Ti、および、Wなどの遷移金属とリチウムとを含有した窒化物または酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物;若しくは金属リチウムやリチウム合金(リチウム-アルミニウム合金、リチウム-インジウム合金など)も負極活物質として用いることができる。
【0045】
負極には、負極活物質に導電助剤(カーボンブラック、グラフェンなどの炭素材料)や、前述の正極で用いた固体電解質や、PVDFなどのバインダなどを適宜添加した負極合剤を成形したもの(負極合剤成形体);前記負極合剤の層(負極合剤層)を、集電体の片面または両面に有する構造のもの;前記の各種合金やリチウム金属の箔を単独、若しくは集電体上に負極剤層として積層したもの;などが用いられる。
【0046】
負極に集電体を用いる場合には、その集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタンなどの金属材料で構成された基材を用いることができ、例えば、前記金属材料の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡基材、繊維状物で構成されたシートなどが挙げられる。
【0047】
また、前記発泡基材や前記繊維状物で構成されたシートの空隙内に前記負極合剤を充填させて負極を構成してもよい。
【0048】
負極の負極合剤の組成としては、例えば、負極活物質が20~80質量%であることが好ましく、バインダが0.1~10質量%であることが好ましく、また、導電助剤を使用する場合には、導電助剤が0.1~15質量%であることが好ましく、固体電解質を使用する場合には、固体電解質が10~80質量%であることが好ましい。
【0049】
負極合剤成形体により構成された負極の場合、その厚みは、0.15~4mmであることが好ましい。他方、集電体の表面に負極合剤層を形成した構造の負極の場合、負極合剤層の厚み(集電体の両面に負極合剤層を設ける場合は、集電体の片面あたりの厚み)は、10~150μmであることが好ましい。
【0050】
<固体電解質層>
本実施形態の全固体電池の固体電解質層を構成する固体電解質には、水素化物系固体電解質、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質などが使用でき、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。具体的には、前述の正極で使用した固体電解質と同じものが使用できる。
【0051】
固体電解質層は、固体電解質の粉体を加熱しつつ加圧成形する方法;固体電解質を溶媒に分散させて調製した固体電解質層形成用組成物を基材に塗布し、乾燥した後に基材から剥離する方法;などにより形成することができる。
【0052】
また、固体電解質層には、必要に応じて樹脂製の網などの芯材を用いてもよい。
【0053】
固体電解質層の厚みは、20~200μmであることが好ましい。
【0054】
<導電性多孔質部材>
本実施形態の全固体電池に用いる導電性多孔質部材は、厚み方向に押圧力が加わった際に、圧縮されることにより、この押圧力を適切に吸収できるもので、かつ、押圧力がなくなった際に形状を十分に復元できるものが好ましく、炭素材料の繊維で構成された炭素繊維多孔質シート、または、黒鉛の成形体で構成されていて、可撓性を有する黒鉛多孔質シートが好ましい。これらは、押圧力の吸収能力に優れているとともに、導電性に優れ、更に、電極積層体の膨張・収縮に応じて圧縮され、また形状を復元することができるため、電極積層体および電池容器の双方との良好な接触状態を維持することができるからである。
【0055】
前記炭素繊維多孔質シートとしては、カーボンフェルト、カーボンナノチューブ繊維の織布または不織布などを挙げることができる。
【0056】
前記炭素繊維多孔質シートにおいて、シートを構成する炭素繊維の繊維径は、1nm~1μmであることが好ましい。
【0057】
また、前記炭素繊維多孔質シートの厚みは、0.1~1mmであることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
【0058】
更に、前記炭素繊維多孔質シートの目付けは、5~200g/m2であることが好ましい。
【0059】
一方、圧縮性や復元性の点から、導電性多孔質部材は、黒鉛の成形体で構成されていて、可撓性を有する黒鉛多孔質シートであることがより好ましい。
【0060】
前記黒鉛多孔質シートとしては、バインダを使用せずに黒鉛を成形してシート状にしたものが好ましく、膨張黒鉛を用いたものが可撓性や圧縮・復元性に優れるためより好ましく用いられる。
【0061】
前記黒鉛多孔質シートとしては、東洋炭素株式会社製の可撓性黒鉛シート「PERMA-FOIL(商品名)」や、NeoGraf社製の柔軟性黒鉛シート「GRAFOIL(商品名)」などを好ましく用いることができる。
【0062】
前記黒鉛多孔質シートの厚みは、圧縮性や復元性を優れたものとするために、0.03mm以上とすることが好ましく、0.05mm以上とすることがより好ましく、0.07mm以上とすることが特に好ましい。一方、電気抵抗の増加を防ぐため、0.5mm以下であることが好ましく、0.3mm以下であることがより好ましく、0.2mm以下であることが特に好ましい。
【0063】
前記黒鉛多孔質シートの見かけ密度は、導電性を優れたものとするために、0.5g/cm3以上とすることが好ましく、0.7g/cm3以上とすることがより好ましい。一方、可撓性を優れたものとするために、1.7g/cm3以下とすることが好ましく、1.4g/cm3以下とすることがより好ましい。
【0064】
<他の構成部材>
本実施形態の全固体電池の電池容器を構成する外装缶および封口缶には、ステンレス鋼製のものなどが使用できる。また、ガスケットの素材には、ポリプロピレン、ナイロンなどを使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂;ポリフェニレンエーテル(PPE);ポリスルフォン(PSF);ポリアリレート(PAR);ポリエーテルスルフォン(PES);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの融点が240℃を超える耐熱樹脂を使用することもできる。また、電池が耐熱性を要求される用途に適用される場合、その封口には、ガラスハーメチックシールを利用することもできる。
【実施例0065】
以下、本願の全固体電池を実施例に基づいて詳細に説明するが、以下の実施例は、本願の全固体電池を限定するものではない。
【0066】
(実施例1)
<リチウム複合酸化物の作製>
先ず、共沈法によりニッケルマンガン炭酸塩(モル比:Ni/Mn=1/3.2)を合成した。具体的には、0.1molの硫酸ニッケルと0.3molの硫酸マンガンとを1.3Lの超純水に加え、NiとMnを含む硫酸塩水溶液とした。攪拌した状態の前記硫酸塩水溶液に625mLのエタノールを滴下し、0.5mol/Lの炭酸水素アンモニウム水溶液0.65Lを加え、0.5mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液を0.6L加えて6時間室温で攪拌することで懸濁液とした。この懸濁液からフィルターで固形物を回収し、純水とエタノールで3回洗浄後、乾固することで前記組成のニッケルマンガン炭酸塩を得た。さらに、前記ニッケルマンガン炭酸塩を350℃で12時間熱処理することにより、ニッケルマンガン複合酸化物(モル比:Ni/Mn=1/3.2)を得た。
【0067】
次に、リチウム複合酸化物のLi源として炭酸リチウムを、Ni源とMn源として先に作製したニッケルマンガン複合酸化物を、Cu源として平均粒径1μmの酸化銅を、Li:Ni:Mn:Cuのモル比がおよそ1.02:0.46:1.49:0.05となるように混合して、リチウム複合酸化物の原材料を調製した。
【0068】
続いて、上記リチウム複合酸化物の原材料をアルミナ製のるつぼに投入した後、るつぼを電気炉内に入れ、昇温速度:11℃/分で1000℃まで加熱し、保持温度:1000℃で1時間保持する第1の加熱処理を行ない、次に、冷却速度:1.7℃/分で850℃まで冷却し、保持温度:850℃で12時間保持する第2の加熱処理を行ない、更に、冷却速度:1.4℃/分で600℃まで冷却し、保持温度:600℃で12時間保持する第3の加熱処理を行ない、最後に、冷却速度:2.2℃/分で停止温度:200℃まで冷却し、一連の加熱処理を終了した。これにより、Li1.02Ni0.46Mn1.49Cu0.054の組成を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として得た。
【0069】
<正極合剤の調製>
正極活物質として、先に作製したLi1.02Ni0.46Mn1.49Cu0.054を用い、この正極活物質と、アルジロダイト型の硫化物系固体電解質(Li6PS5Cl)と、導電助剤であるカーボンナノチューブとを、質量比が73.5:23.2:3.3となる割合で混合して正極合剤を調製した。
【0070】
<負極合剤の調製>
負極活物質であるチタン酸リチウム(Li4Ti512)と、前記硫化物系固体電解質(Li6PS5Cl)と、導電助剤であるグラフェン粉末とを、質量比が55:35:10となる割合で混合して負極合剤を調製した。
【0071】
<電極積層体の作製>
先ず、前記硫化物系固体電解質(Li6PS5Cl)の粉末:8mgを直径7.5mmの粉末成形金型に入れ、プレス機を用いて70MPaの面圧で加圧成形を行い、固体電解質層の仮成形層を形成した。更に、固体電解質層の仮成形層の上面に、前記負極合剤:93mgを配置して600MPaの面圧で加圧成形を行った。
【0072】
次に、前記金型を上下反転させた後、金型内の固体電解質層の上面(負極を有する面の反対側)に前記正極合剤:56mgを配置して1000MPaの面圧で加圧成形を行って、電極積層体を得た。
【0073】
<全固体電池の組み立て>
東洋炭素株式会社製の可撓性黒鉛シート「PERMA-FOIL(商品名)」(厚み:0.1mm、見かけ密度:1.1g/cm3)を前記電極積層体と同じ大きさに打ち抜いたものを2枚用意し、そのうちの1枚を、ポリプロピレン製の環状ガスケットをはめ込んだステンレス鋼製の封口缶の内底面上に配置した。次に、前記黒鉛シートの上に、負極を前記黒鉛シート側にして前記電極積層体を重ね、その上に前記黒鉛シートのもう1枚を配置し、更に、ステンレス鋼製の外装缶をかぶせた後、外装缶の開口端部を内方にかしめて封止を行うことにより、封口缶の内底面と前記電極積層体との間、および、外装缶の内底面と前記電極積層体との間に、それぞれ前記黒鉛シートが配置された、直径約9mmの全固体電池を作製した。
【0074】
<全固体電池の化成処理(加熱処理)>
最後に、化成工程として、作製した全固体電池を150℃で30分間加熱処理した。
【0075】
(実施例2)
実施例1で調製したリチウム複合酸化物の原材料に、更にMg源としてMgOを追加し、Li:Ni:Mn:Cu:Mgのモル比がおよそ1.02:0.46:1.49:0.02:0.03となるように混合して、リチウム複合酸化物の原材料を調製し、この原材料を用いた以外は、実施例1と同様にしてLi1.02Ni0.46Mn1.49Cu0.02Mg0.034の組成を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として得た。この正極活物質を用いた以外は、化成工程を含めて実施例1と同様にして実施例2の全固体電池を作製した。
【0076】
(実施例3)
チオフェンとベンゼンを体積比9:1で混合した混合溶液100mLに2本のタングステン電極(長さ2mm、直径1mmのワイヤー形状)を浸し、ギャップ1mmで対向するよう配置し、印加電圧1.6kV、パルス幅2μ秒のパルス電流を30分間流して液中グロー放電させることで、硫黄ドープカーボン(S源)を含む懸濁液を調製した。前記懸濁液をメンブレンフィルターで吸引ろ過し、フィルター上に残った固形分を75℃で真空乾燥することで硫黄ドープカーボン(S源)を合成した。
【0077】
実施例1で調製したリチウム複合酸化物の原材料に、更にMg源としてMgOを追加し、Li:Ni:Mn:Cu:Mgのモル比がおよそ1.02:0.46:1.49:0.02:0.03となるように混合し、実施例1と同様にして加熱処理を行ない、リチウム複合酸化物を作製した。得られたリチウム複合酸化物4.85gと前記硫黄ドープカーボン(S源)0.15gとを乳鉢で混合し、大気雰囲気下、昇温速度13.3℃/分で600℃まで加熱し、600℃に保持したまま3時間の熱処理を行った。これにより、Li1.02Ni0.46Mn1.49Cu0.02Mg0.033.980.02の組成を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として得た。この正極活物質を用いた以外は、化成工程を含めて実施例1と同様にして実施例3の全固体電池を作製した。
【0078】
(比較例1)
酸化銅を混合しなかった以外は、実施例1と同様にして各元素源を、Li:Ni:Mnのモル比がおよそ1.05:0.48:1.52となるように混合して、リチウム複合酸化物の原材料を調製し、この原材料を用いた以外は、実施例1と同様にしてLi1.05Ni0.48Mn1.524の組成を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として得た。この正極活物質を用いた以外は、化成工程を含めて実施例1と同様にして比較例1の全固体電池を作製した。
【0079】
(比較例2)
比較例1で調製したリチウム複合酸化物の原材料に、更にMg源としてMgOを追加し、Li:Ni:Mn:Mgのモル比がおよそ1.03:0.47:1.50:0.03となるように混合して、リチウム複合酸化物の原材料を調製し、この原材料を用いた以外は、実施例1と同様にしてLi1.03Ni0.47Mn1.50Mg0.034の組成を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として得た。この正極活物質を用いた以外は、化成工程を含めて実施例1と同様にして比較例2の全固体電池を作製した。
【0080】
(比較例3)
比較例1で調製したリチウム複合酸化物の原材料に、更にMg源としてMgOを追加し、Li:Ni:Mn:Mgのモル比が1.02:0.46:1.49:0.05となるように混合して、リチウム複合酸化物の原材料を調製し、この原材料を用いた以外は、実施例1と同様にしてLi1.02Ni0.46Mn1.49Mg0.054の組成を有するリチウム複合酸化物を得た。次に、このリチウム複合酸化物10gを2mLのアルミナ容器(長野計器株式会社製)に、二フッ化キセノン(F源)0.64gを直径5mm、高さ2.5mmのアルミナ容器(株式会社リガク製)にそれぞれ充填し、それら二つをアルミナ製密閉容器に入れて室温で10分間のフッ化処理を行った。これにより、Li1.02Ni0.46Mn1.49Mg0.053.850.15の組成を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として得た。この正極活物質を用いた以外は、化成工程を含めて実施例1と同様にして比較例3の全固体電池を作製した。
【0081】
(比較例4)
共沈法により作製するニッケルマンガン炭酸塩のNiとMnのモル比を、実施例1よりも若干Mnが多くなるように調整した以外は、実施例1と同様にして、NiとMnのモル比がNi/Mn=1/3.25となるニッケルマンガン複合酸化物を作製した。次に、得られたニッケルマンガン複合酸化物を用い、実施例1と同様にして各元素源を、Li:Ni:Mn:Cuのモル比がおよそ1.05:0.47:1.525:0.005となるように混合して、リチウム複合酸化物の原材料を調製し、この原材料を用いた以外は、実施例1と同様にしてLi1.05Ni0.47Mn1.525Cu0.0054の組成を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として得た。この正極活物質を用いた以外は、化成工程を含めて実施例1と同様にして比較例4の全固体電池を作製した。
【0082】
(比較例5)
比較例4と同様にして各元素源を、Li:Ni:Mn:Cuのモル比がおよそ1.04:0.47:1.52:0.01となるように混合して、リチウム複合酸化物の原材料を調製し、この原材料を用いた以外は、実施例1と同様にしてLi1.04Ni0.47Mn1.52Cu0.014の組成を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として得た。この正極活物質を用いた以外は、化成工程を含めて実施例1と同様にして比較例5の全固体電池を作製した。
【0083】
(比較例6)
実施例1と同様にして各元素源を、Li:Ni:Mn:Cuのモル比がおよそ1.00:0.45:1.45:0.1となるように混合して、リチウム複合酸化物の原材料を調製し、この原材料を用いた以外は、実施例1と同様にしてLi1.00Ni0.45Mn1.45Cu0.14の組成を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として得た。この正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例6の全固体電池を作製しようとしたが、電極積層体の加圧成形時に、正極合剤粒子が固体電解質層を通って負極に達して短絡してしまい、電池を作製できなかった。
【0084】
次に、実施例1~3および比較例1~5の全固体電池について、以下の各評価を行った。
【0085】
<放電容量測定>
実施例1~3と比較例1~5の全固体電池について、0.07Cの電流値で電圧が3.5Vになるまで定電流充電し、続いて電流値が0.01Cになるまで定電圧充電を行い、1時間放置した後に開放端電圧測定を行い、その後に0.07Cの電流値で電圧が1.5Vになるまで定電流放電させて、そのときの放電容量(初期容量)を測定した。
【0086】
<直流抵抗(DCR)測定>
前記放電容量測定における放電開始直前の開放端電圧と、放電開始1秒後の電圧との電圧差からDCRを算出した。このDCRの値が小さいほど、電池の内部抵抗が低減されているといえる。
【0087】
以上の結果を、正極活物質の組成とともに表1に示す。表1の直流抵抗(DCR)は、比較例2の値を100とした相対値で示した。
【0088】
【表1】
【0089】
表1から、実施例1~3の電池では、比較例1~5の電池に比べて、電池の内部抵抗を低減できたことが分かる。一方、比較例4および5の電池では、放電容量が極端に低く、内部抵抗も高い結果となった。
【符号の説明】
【0090】
1 全固体電池
10 外装缶
10a 開口端部
11 封口缶
12 正極
13 負極
14 固体電解質層
15 ガスケット
16 導電性多孔質部材
図1