(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126829
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】積層型フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
H03H 7/075 20060101AFI20240912BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20240912BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20240912BHJP
H01F 17/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H03H7/075 Z
H01F27/00 R
H01F17/00 C
H01F17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035506
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 直之
【テーマコード(参考)】
5E070
5J024
【Fターム(参考)】
5E070AA05
5E070AB07
5E070CB13
5E070CB17
5J024AA01
5J024BA09
5J024BA11
5J024BA18
5J024CA03
5J024CA04
5J024CA09
5J024DA04
5J024DA25
5J024DA31
5J024DA33
5J024DA34
5J024DA35
5J024EA01
5J024EA02
5J024EA03
5J024KA03
(57)【要約】
【課題】特性の調整を容易にしながら、小型化が可能な積層型フィルタ装置を実現する。
【解決手段】フィルタ装置1は、第1のインダクタL11を含む第1のフィルタ10と、第2のインダクタL21を含む第2のフィルタ20と、第3のインダクタL31を含む第3のフィルタ30と、第4のインダクタL41を含む第4のフィルタ40とを備えている。第1ないし第4のインダクタL11,L21,L31,L41は、第1のインダクタL11の開口部と第3のインダクタL31の開口部とが対向し、第2のインダクタL21の開口部と第4のインダクタL41の開口部とが対向し、第1のインダクタL11の開口部と第2のインダクタL21の開口部とが対向せず、且つ第3のインダクタL31の開口部と第4のインダクタL41の開口部とが対向しないように配置されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のインダクタを含むローパスフィルタである第1のフィルタと、
第2のインダクタを含むローパスフィルタである第2のフィルタと、
第3のインダクタを含むハイパスフィルタである第3のフィルタと、
第4のインダクタを含むハイパスフィルタである第4のフィルタと、
前記第1のフィルタ、前記第2のフィルタ、前記第3のフィルタおよび前記第4のフィルタを一体化するための積層体であって、積層された複数の誘電体層を含む積層体とを備え、
前記第1のインダクタ、前記第2のインダクタ、前記第3のインダクタおよび前記第4のインダクタの各々は、前記誘電体層の積層方向に直交する軸の周りに巻回され、
前記第1のインダクタ、前記第2のインダクタ、前記第3のインダクタおよび前記第4のインダクタは、前記第1のインダクタの開口部と前記第3のインダクタの開口部とが対向し、前記第2のインダクタの開口部と前記第4のインダクタの開口部とが対向し、前記第1のインダクタの開口部と前記第2のインダクタの開口部とが対向せず、且つ前記第3のインダクタの開口部と前記第4のインダクタの開口部とが対向しないように配置されていることを特徴とする積層型フィルタ装置。
【請求項2】
更に、それぞれ前記積層体に一体化された第1の信号端子および第2の信号端子を備え、
前記第3のフィルタは、回路構成上、前記第1の信号端子と前記第2の信号端子との間に設けられ、
前記第4のフィルタは、回路構成上、前記第3のフィルタと前記第2の信号端子との間に設けられ、
前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタは、回路構成上、前記第3のフィルタと前記第4のフィルタとの間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の積層型フィルタ装置。
【請求項3】
前記第1のフィルタ、前記第2のフィルタ、前記第3のフィルタおよび前記第4のフィルタは、バンドパスフィルタを構成することを特徴とする請求項2記載の積層型フィルタ装置。
【請求項4】
更に、前記第1のインダクタおよび前記第2のインダクタの各一端部に接続されたインダクタを備えたことを特徴とする請求項1記載の積層型フィルタ装置。
【請求項5】
更に、前記第3のインダクタおよび前記第4のインダクタの各一端部に接続されたインダクタを備えたことを特徴とする請求項1記載の積層型フィルタ装置。
【請求項6】
前記第1のインダクタと前記第2のインダクタは、前記積層方向に直交する方向に並んでいることを特徴とする請求項1記載の積層型フィルタ装置。
【請求項7】
前記第3のインダクタと前記第4のインダクタは、前記積層方向に直交する方向に並んでいることを特徴とする請求項1記載の積層型フィルタ装置。
【請求項8】
更に、前記積層体内に設けられた複数のキャパシタ用導体層を含むキャパシタを備え、
前記第1のインダクタと前記第2のインダクタの各々は、第1のスルーホール列と、第2のスルーホール列と、前記第1のスルーホール列の一端と前記第2のスルーホール列の一端に電気的に接続されたインダクタ用導体層とを含み、
前記第1のスルーホール列と前記第2のスルーホール列の各々は、複数のスルーホールが直列に接続されることによって構成され、
前記第1のインダクタの前記第2のスルーホール列の他端と前記第2のインダクタの前記第2のスルーホール列の他端は、複数のキャパシタ用導体層のうちの1つのキャパシタ用導体層に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載の積層型フィルタ装置。
【請求項9】
更に、前記第1のインダクタの前記第2のスルーホール列の他端と前記第2のインダクタの前記第2のスルーホール列の他端に電気的に接続された導体層と、
前記導体層と前記1つのキャパシタ用導体層とを電気的に接続する少なくとも1つのスルーホールとを備えたことを特徴とする請求項8記載の積層型フィルタ装置。
【請求項10】
前記第3のインダクタと前記第4のインダクタの各々は、第1のスルーホール列と、第2のスルーホール列と、前記第1のスルーホール列の一端と前記第2のスルーホール列の一端に電気的に接続されたインダクタ用導体層とを含み、
前記第1のスルーホール列と前記第2のスルーホール列の各々は、複数のスルーホールが直列に接続されることによって構成され、
前記積層型フィルタ装置は、更に、前記第3のインダクタの前記第2のスルーホール列の他端と前記第4のインダクタの前記第2のスルーホール列の他端に電気的に接続された導体層と、
前記導体層とグランドとを電気的に接続する少なくとも1つのスルーホールとを備えたことを特徴とする請求項1記載の積層型フィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローパスフィルタとハイパスフィルタを含む積層型フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置に用いられる電子部品の一つに、バンドパスフィルタがある。バンドパスフィルタは、例えば、バンドパスフィルタの通過帯域の低域側に減衰極を形成するハイパスフィルタと、バンドパスフィルタの通過帯域の高域側に減衰極を形成するローパスフィルタを直列に接続することによって構成することができる。
【0003】
近年、小型移動体通信機器の小型化、省スペース化が市場から要求されており、その通信機器に用いられるバンドパスフィルタの小型化も要求されている。小型化に適したバンドパスフィルタとしては、積層された複数の誘電体層と複数の導体層とを含む積層体を用いたものが知られている。
【0004】
ハイパスフィルタとローパスフィルタの各々は、インダクタを含んでいる。積層体を用いたバンドパスフィルタに用いられるインダクタとしては、導体層と複数のスルーホールとによって構成されたインダクタであって、複数の誘電体層の積層方向に直交する軸に巻回されたインダクタが知られている。
【0005】
特許文献1には、ハイパスフィルタとローパスフィルタによって構成されたバンドパスフィルタではないが、それぞれ複数の誘電体層の積層方向に直交する軸に巻回された複数のインダクタを含む積層帯域通過フィルタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
積層体にハイパスフィルタとローパスフィルタが一体化されている場合、積層体が小型化すると、積層体内の複数のインダクタ間で生じる意図しない磁気結合が強くなりすぎる場合がある。これにより、所望の特性を実現することができない場合があった。特に、複数のハイパスフィルタと複数のローパスフィルタによって構成されたバンドパスフィルタでは、複数のハイパスフィルタの複数のインダクタ間での磁気結合が強くなりすぎると、バンドパスフィルタの通過帯域の低域側に形成される減衰極の調整が難しくなるという問題があった。同様に、複数のローパスフィルタの複数のインダクタ間での磁気結合が強くなりすぎると、バンドパスフィルタの通過帯域の高域側に形成される減衰極の調整が難しくなるという問題があった。
【0008】
上記の問題は、複数のハイパスフィルタと複数のローパスフィルタによって構成されたバンドパスフィルタにおいて減衰極を調整する場合に限らず、複数のハイパスフィルタと複数のローパスフィルタを含む積層型フィルタ装置において、減衰極の調整を含む特性の調整を実施する場合全般に当てはまる。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、複数のハイパスフィルタと複数のローパスフィルタによって構成された積層型フィルタ装置であって、特性の調整を容易にしながら、小型化が可能な積層型フィルタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の積層型フィルタ装置は、第1のインダクタを含むローパスフィルタである第1のフィルタと、第2のインダクタを含むローパスフィルタである第2のフィルタと、第3のインダクタを含むハイパスフィルタである第3のフィルタと、第4のインダクタを含むハイパスフィルタである第4のフィルタと、第1のフィルタ、第2のフィルタ、第3のフィルタおよび第4のフィルタを一体化するための積層体であって、積層された複数の誘電体層を含む積層体とを備えている。第1のインダクタ、第2のインダクタ、第3のインダクタおよび第4のインダクタの各々は、誘電体層の積層方向に直交する軸の周りに巻回されている。第1のインダクタ、第2のインダクタ、第3のインダクタおよび第4のインダクタは、第1のインダクタの開口部と第3のインダクタの開口部とが対向し、第2のインダクタの開口部と第4のインダクタの開口部とが対向し、第1のインダクタの開口部と第2のインダクタの開口部とが対向せず、且つ第3のインダクタの開口部と第4のインダクタの開口部とが対向しないように配置されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の積層型フィルタ装置では、第1ないし第4のインダクタは、上述のように配置されている。これにより、本発明によれば、特性の調整を容易にしながら、小型化が可能な積層型フィルタ装置を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る積層型フィルタ装置の回路構成を示す回路図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る積層型フィルタ装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る積層型フィルタ装置の積層体における1層目ないし3層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る積層型フィルタ装置の積層体における4層目ないし6層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態に係る積層型フィルタ装置の積層体における7層目ないし18層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に係る積層型フィルタ装置の積層体における19層目および20層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態に係る積層型フィルタ装置の積層体の内部を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態に係る積層型フィルタ装置の積層体における5層目ないし7層目の誘電体層のパターン形成面を示す説明図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態に係る積層型フィルタ装置の積層体の内部を示す斜視図である。
【
図10】第1の実施例のモデルの通過減衰特性の一例を示す特性図である。
【
図11】第2の実施例のモデルの通過減衰特性の一例を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、
図1を参照して、本発明の一実施の形態に係る積層型フィルタ装置(以下、単にフィルタ装置と記す。)1の構成の概略について説明する。
【0014】
フィルタ装置1は、第1の信号端子2と、第2の信号端子3と、第1のフィルタ10と、第2のフィルタ20と、第3のフィルタ30と、第4のフィルタ40とを備えている。第1および第2の信号端子2,3の各々は、信号の入力または出力のための端子である。すなわち、第1の信号端子2に信号が入力される場合には、第2の信号端子3から信号が出力される。第2の信号端子3に信号が入力される場合には、第1の信号端子2から信号が出力される。
【0015】
第1のフィルタ10は、第1のインダクタを含むローパスフィルタである。第2のフィルタ20は、第2のインダクタを含むローパスフィルタである。第3のフィルタ30は、第3のインダクタを含むハイパスフィルタである。第4のフィルタ40は、第4のインダクタを含むハイパスフィルタである。第1ないし第4のフィルタ10,20,30,40は、回路構成上、第1の信号端子2と第2の信号端子3との間に配置されている。なお、本出願において、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を指すために用いている。
【0016】
以下、第1ないし第4のフィルタ10,20,30,40の配置について詳しく説明する。第3のフィルタ30は、回路構成上、第1の信号端子2と第2の信号端子3との間に設けられている。第4のフィルタ40は、回路構成上、第3のフィルタ30と第2の信号端子3との間に設けられている。第1のフィルタ10および第2のフィルタ20は、回路構成上、第3のフィルタ30と第4のフィルタ40との間に設けられている。本実施の形態では特に、第1ないし第4のフィルタ10,20,30,40は、第1の信号端子2から第2の信号端子3に向かって、第3のフィルタ30(ハイパスフィルタ)、第1のフィルタ10(ローパスフィルタ)、第2のフィルタ20(ローパスフィルタ)および第4のフィルタ40(ハイパスフィルタ)の順に直列に接続されている。
【0017】
第1ないし第4のフィルタ10,20,30,40は、所定の通過帯域内の周波数の信号を選択的に通過させるバンドパスフィルタを構成する。
【0018】
次に、
図1を参照して、フィルタ装置1の回路構成の一例について説明する。第3のフィルタ30は、第1の信号端子2に接続されている。第3のフィルタ30は、第3のインダクタL31と、キャパシタC31,C32,C33,C34,C35とを含んでいる。
【0019】
キャパシタC31の一端は、第1の信号端子2に接続されている。キャパシタC32の一端は、キャパシタC31の他端に接続されている。キャパシタC33の一端は、キャパシタC31の一端に接続されている。キャパシタC33の他端は、キャパシタC32の他端に接続されている。
【0020】
第3のインダクタL31の一端は、キャパシタC31とキャパシタC32の接続点に接続されている。キャパシタC34は、第3のインダクタL31に対して並列に接続されている。
【0021】
キャパシタC35の一端は、キャパシタC31とキャパシタC32の接続点に接続されている。キャパシタC35の他端は、グランドに接続されている。
【0022】
第1のフィルタ10は、第3のフィルタ30に接続されている。第1のフィルタ10は、第1のインダクタL11と、キャパシタC11,C12とを含んでいる。第1のインダクタL11およびキャパシタC11の各一端は、第3のフィルタ30のキャパシタC32の他端に接続されている。キャパシタC12の一端は、キャパシタC11の一端に接続されている。
【0023】
第2のフィルタ20は、第1のフィルタ10に接続されている。第2のフィルタ20は、第2のインダクタL21と、キャパシタC21,C22とを含んでいる。第2のインダクタL21の一端は、第1のフィルタ10の第1のインダクタL11の他端に接続されている。キャパシタC21の一端は、第1のフィルタ10のキャパシタC11の他端に接続されている。キャパシタC22の一端は、キャパシタC21の他端に接続されている。
【0024】
フィルタ装置1は、更に、インダクタL1と、キャパシタC1とを備えている。インダクタL1の一端は、第1のインダクタL11と第2のインダクタL21のとの接続点に接続されている。インダクタL1の他端は、キャパシタC11とキャパシタC21との接続点に接続されている。キャパシタC1の一端は、インダクタL1の他端に接続されている。キャパシタC1の他端は、グランドに接続されている。
【0025】
第4のフィルタ40は、第2のフィルタ20と第2の信号端子3に接続されている。第4のフィルタ40は、第4のインダクタL41と、キャパシタC41,C42,C43,C44,C45とを含んでいる。
【0026】
キャパシタC41の一端は、第2のフィルタ20の第2のインダクタL21の他端に接続されている。キャパシタC42の一端は、キャパシタC41の他端に接続されている。キャパシタC42の他端は、第2の信号端子3に接続されている。キャパシタC43の一端は、キャパシタC41の一端に接続されている。キャパシタC43の他端は、キャパシタC42の他端に接続されている。
【0027】
第4のインダクタL41の一端は、キャパシタC41とキャパシタC42の接続点に接続されている。キャパシタC44は、第4のインダクタL41に対して並列に接続されている。
【0028】
キャパシタC45の一端は、キャパシタC41とキャパシタC42の接続点に接続されている。キャパシタC45の他端は、グランドに接続されている。
【0029】
フィルタ装置1は、更に、インダクタL2を備えている。インダクタL2の一端は、第3および第4のインダクタL31,L41の各他端に接続されている。インダクタL2の他端は、グランドに接続されている。
【0030】
図1に示した例では、第1のフィルタ10と第2のフィルタ20は、インダクタL1,L2およびキャパシタC1を中心として互いに対称な回路構成を有している。すなわち、フィルタ装置1では、第1のフィルタ10に含まれるインダクタおよびキャパシタと第2のフィルタ20に含まれるインダクタおよびキャパシタの、回路図上での配置が、インダクタL1,L2およびキャパシタC1を中心として互いに対称となっている。
【0031】
同様に、
図1に示した例では、第3のフィルタ30と第4のフィルタ40は、インダクタL1,L2およびキャパシタC1を中心として互いに対称な回路構成を有している。すなわち、フィルタ装置1では、第3のフィルタ30に含まれるインダクタおよびキャパシタと第4のフィルタ40に含まれるインダクタおよびキャパシタの、回路図上での配置が、インダクタL1,L2およびキャパシタC1を中心として互いに対称となっている。
【0032】
次に、
図2を参照して、フィルタ装置1のその他の構成について説明する。
図2は、フィルタ装置1の外観を示す斜視図である。
【0033】
フィルタ装置1は、更に、積層された複数の誘電体層と、複数の導体(複数の導体層および複数のスルーホール)とを含む積層体50を備えている。第1の信号端子2、第2の信号端子3、第1ないし第4のフィルタ10,20,30,40、インダクタL1,L2ならびにキャパシタC1は、積層体50に一体化されている。
【0034】
積層体50は、複数の誘電体層の積層方向Tの両端に位置する底面50Aおよび上面50Bと、底面50Aと上面50Bを接続する4つの側面50C~50Fとを有している。側面50C,50Dは互いに反対側を向き、側面50E,50Fも互いに反対側を向いている。側面50C~50Fは、上面50Bおよび底面50Aに対して垂直になっている。
【0035】
ここで、
図2に示したように、X方向、Y方向、Z方向を定義する。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。本実施の形態では、積層方向Tに平行な一方向を、Z方向とする。また、X方向とは反対の方向を-X方向とし、Y方向とは反対の方向を-Y方向とし、Z方向とは反対の方向を-Z方向とする。また、「積層方向Tから見たとき」という表現は、Z方向または-Z方向に離れた位置から対象物を見ることを意味する。
【0036】
図2に示したように、底面50Aは、積層体50における-Z方向の端に位置する。上面50Bは、積層体50におけるZ方向の端に位置する。側面50Cは、積層体50における-X方向の端に位置する。側面50Dは、積層体50におけるX方向の端に位置する。側面50Eは、積層体50における-Y方向の端に位置する。側面50Fは、積層体50におけるY方向の端に位置する。
【0037】
フィルタ装置1は、更に、積層体50の底面50Aに設けられた電極111,112,113,114,115,116を備えている。電極111,112,113は、側面50Fよりも側面50Eにより近い位置において、X方向にこの順に並んでいる。電極114,115,116は、側面50Eよりも側面50Fにより近い位置において、-X方向にこの順に並んでいる。
【0038】
電極116は第1の信号端子2に対応し、電極114は第2の信号端子3に対応する。従って、第1および第2の信号端子2,3は、積層体50の底面50Aに設けられている。電極111~113,115の各々は、グランドに接続される。
【0039】
次に、
図3(a)ないし
図6(b)を参照して、積層体50を構成する複数の誘電体層および複数の導体の一例について説明する。この例では、積層体50は、積層された20層の誘電体層を有している。以下、この20層の誘電体層を、下から順に1層目ないし20層目の誘電体層と呼ぶ。また、1層目ないし20層目の誘電体層を符号51~70で表す。
【0040】
図3(a)ないし
図5(c)において、複数の円は複数のスルーホールを表している。誘電体層51~68の各々には、複数のスルーホールが形成されている。複数のスルーホールは、それぞれ、スルーホール用の孔に導体ペーストを充填することによって形成される。複数のスルーホールの各々は、電極、導体層または他のスルーホールに接続されている。複数のスルーホールの各々と、電極、導体層または他のスルーホールとの接続関係については、1層目ないし20層目の誘電体層51~70が積層された状態における接続関係について説明している。
【0041】
図3(a)は、1層目の誘電体層51のパターン形成面を示している。誘電体層51のパターン形成面には、電極111~116が形成されている。また、誘電体層51には、それぞれ電極111,113,114,116に接続されたスルーホール51T1,51T3,51T4,51T6と、電極112に接続された2つのスルーホール51T2と、電極115に接続された2つのスルーホール51T5が形成されている。
【0042】
図3(b)は、2層目の誘電体層52のパターン形成面を示している。誘電体層52のパターン形成面には、導体層521,522,523,524,525が形成されている。導体層523,524は、導体層525に接続されている。
図3(b)では、導体層523と導体層525との境界と、導体層524と導体層525との境界を、それぞれ点線で示している。スルーホール51T4は、導体層522に接続されている。スルーホール51T6は、導体層521に接続されている。
【0043】
また、誘電体層52には、スルーホール52T1,52T2,52T3が形成されている。スルーホール51T1~51T3,51T5,52T1~52T3は、導体層523に接続されている。
【0044】
図3(c)は、3層目の誘電体層53のパターン形成面を示している。誘電体層53のパターン形成面には、導体層531,532,533,534,535,536,537,538が形成されている。スルーホール52T1,52T2は、それぞれ、導体層531,532に接続されている。
【0045】
また、誘電体層53には、スルーホール53T1,53T2,53T3a,53T3b,53T4a,53T4b,53T5が形成されている。スルーホール53T1,53T2,53T5は、それぞれ、導体層534,536,537に接続されている。スルーホール53T3a,53T4aは、それぞれ、導体層533,535に接続されている。スルーホール52T3,53T3b,53T4bは、導体層538に接続されている。
【0046】
図4(a)は、4層目の誘電体層54のパターン形成面を示している。誘電体層54のパターン形成面には、導体層541,542,543,544,545,546が形成されている。導体層543は、導体層541に接続されている。導体層544は、導体層542に接続されている。
図4(a)では、導体層541と導体層543との境界と、導体層542と導体層544との境界を、それぞれ点線で示している。
【0047】
また、誘電体層54には、2つのスルーホール54T1aと、2つのスルーホール54T2aと、スルーホール54T3a,54T3b,54T4a,54T4b,54T5とが形成されている。2つのスルーホール54T1aは、導体層541に接続されている。2つのスルーホール54T2aは、導体層542に接続されている。スルーホール53T3a,53T4a,53T5は、それぞれ、スルーホール54T3a,54T4a,54T5に接続されている。スルーホール53T3b,54T3bは、導体層545に接続されている。スルーホール53T4b,54T4bは、導体層546に接続されている。
【0048】
図4(b)は、5層目の誘電体層55のパターン形成面を示している。誘電体層55のパターン形成面には、導体層551,552,553が形成されている。導体層551,552は、導体層553に接続されている。
図4(b)では、導体層551と導体層553との境界と、導体層552と導体層553との境界を、それぞれ点線で示している。
【0049】
また、誘電体層55には、2つのスルーホール55T1aと、2つのスルーホール55T2aと、スルーホール55T3a,55T3b,55T4a,55T4b,55T5とが形成されている。スルーホール54T1a,54T2a,54T3a,54T3b,54T4a,54T4bは、それぞれ、スルーホール55T1a,55T2a,55T3a,55T3b,55T4a,54T4bに接続されている。スルーホール54T5,55T5は、導体層553に接続されている。
【0050】
図4(c)は、6層目の誘電体層56のパターン形成面を示している。誘電体層56には、2つのスルーホール56T1aと、2つのスルーホール56T2aと、スルーホール56T3a,56T3b,56T4a,56T4b,56T5とが形成されている。スルーホール55T1a,55T2a,55T3a,55T3b,55T4a,55T4b,55T5は、それぞれ、スルーホール56T1a,56T2a,56T3a,56T3b,56T4a,56T4b,56T5に接続されている。
【0051】
図5(a)は、7層目の誘電体層57のパターン形成面を示している。誘電体層57のパターン形成面には、導体層574が形成されている。また、誘電体層57には、2つのスルーホール57T1aと、2つのスルーホール57T1bと、2つのスルーホール57T2aと、2つのスルーホール57T2bと、スルーホール57T3a,57T3b,57T4a,57T4bとが形成されている。スルーホール56T1a,56T2a,56T3a,56T3b,56T4a,56T4bは、それぞれ、スルーホール57T1a,57T2a,57T3a,57T3b,57T4a,57T4bに接続されている。スルーホール56T5と、2つのスルーホール57T1bと、2つのスルーホール57T2bは、導体層574に接続されている。
【0052】
図5(b)は、8層目ないし17層目の誘電体層58~67の各々のパターン形成面を示している。誘電体層58~67の各々には、2つのスルーホール58T1aと、2つのスルーホール58T1bと、2つのスルーホール58T2aと、2つのスルーホール58T2bと、スルーホール58T3a,58T3b,58T4a,58T4bとが形成されている。スルーホール57T1a,57T1b,57T2a,57T2b,57T3a,57T3b,57T4a,57T4bは、それぞれ、誘電体層58に形成されたスルーホール58T1a,58T1b,58T2a,58T2b,58T3a,58T3b,58T4a,58T4bに接続されている。また、誘電体層58~67では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
【0053】
図5(c)は、18層目の誘電体層68のパターン形成面を示している。誘電体層68のパターン形成面には、インダクタ用の導体層681,682,683,684が形成されている。導体層681は、導体層681の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。導体層682は、導体層682の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。導体層683は、導体層683の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。導体層684は、導体層684の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。
【0054】
また、誘電体層68には、2つのスルーホール68T1aと、2つのスルーホール68T1bと、2つのスルーホール68T2aと、2つのスルーホール68T2bと、スルーホール68T3a,68T3b,68T4a,68T4bとが形成されている。
【0055】
誘電体層67に形成された2つのスルーホール58T1aと、2つのスルーホール68T1aは、導体層681の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成された2つのスルーホール58T1bと、2つのスルーホール68T1bは、導体層681の第2端の近傍部分に接続されている。
【0056】
誘電体層67に形成された2つのスルーホール58T2aと、2つのスルーホール68T2aは、導体層682の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成された2つのスルーホール58T2bと、2つのスルーホール68T2bは、導体層682の第2端の近傍部分に接続されている。
【0057】
誘電体層67に形成されたスルーホール58T3aと、スルーホール68T3aは、導体層683の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール58T3bと、スルーホール68T3bは、導体層683の第2端の近傍部分に接続されている。
【0058】
誘電体層67に形成されたスルーホール58T4aとスルーホール68T4aは、導体層684の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール58T4bとスルーホール68T4bは、導体層684の第2端の近傍部分に接続されている。
【0059】
図6(a)は、19層目の誘電体層69のパターン形成面を示している。誘電体層69のパターン形成面には、インダクタ用の導体層691,692,693,694が形成されている。導体層691は、導体層691の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。導体層692は、導体層692の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。導体層693は、導体層693の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。導体層694は、導体層694の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。
【0060】
2つのスルーホール68T1aは、導体層691の第1端の近傍部分に接続されている。2つのスルーホール68T1bは、導体層691の第2端の近傍部分に接続されている。
【0061】
2つのスルーホール68T2aは、導体層692の第1端の近傍部分に接続されている。2つのスルーホール68T2bは、導体層692の第2端の近傍部分に接続されている。
【0062】
スルーホール68T3aは、導体層693の第1端の近傍部分に接続されている。スルーホール68T3bは、導体層693の第2端の近傍部分に接続されている。
【0063】
スルーホール68T4aは、導体層694の第1端の近傍部分に接続されている。スルーホール69T4bは、導体層694の第2端の近傍部分に接続されている。
【0064】
図6(b)は、20層目の誘電体層70のパターン形成面を示している。誘電体層70のパターン形成面には、マーク701が形成されている。
【0065】
図2に示した積層体50は、1層目の誘電体層51のパターン形成面が積層体50の底面50Aになり、20層目の誘電体層70のパターン形成面とは反対側の面が積層体50の上面50Bになるように、1層目ないし20層目の誘電体層51~70が積層されて構成される。
【0066】
図7は、1層目ないし20層目の誘電体層51~70が積層されて構成された積層体50の内部を示している。
図7に示したように、積層体50の内部では、
図3(a)ないし
図6(a)に示した複数の導体層と複数のスルーホールが積層されている。なお、
図7では、マーク701を省略している。
【0067】
以下、
図1に示したフィルタ装置1の回路の構成要素と、
図3(a)ないし
図6(a)に示した積層体50の内部の構成要素との対応関係について説明する。始めに、第1のフィルタ10の構成要素について説明する。第1のインダクタL11は、インダクタ用の導体層681,691と、スルーホール54T1a,55T1a,56T1a,57T1a,57T1b,58T1a,58T1b,68T1a,68T1bとによって構成されている。
【0068】
キャパシタC11は、導体層541,551と、これらの導体層の間の誘電体層54とによって構成されている。キャパシタC12は、導体層531,541と、これらの導体層の間の誘電体層53とによって構成されている。
【0069】
次に、第2のフィルタ20の構成要素について説明する。第2のインダクタL21は、インダクタ用の導体層682,692と、スルーホール54T2a,55T2a,56T2a,57T2a,57T2b,58T2a,58T2b,68T2a,68T2bとによって構成されている。
【0070】
キャパシタC21は、導体層542,552と、これらの導体層の間の誘電体層54とによって構成されている。キャパシタC22は、導体層532,542と、これらの導体層の間の誘電体層53とによって構成されている。
【0071】
次に、第3のフィルタ30の構成要素について説明する。第3のインダクタL31は、インダクタ用の導体層683,693と、スルーホール53T3a,54T3a,54T3b,55T3a,55T3b,56T3a,56T3b,57T3a,57T3b,58T3a,58T3b,68T3a,68T3bとによって構成されている。
【0072】
キャパシタC31は、導体層521,533と、これらの導体層の間の誘電体層52とによって構成されている。キャパシタC32は、導体層533,543と、これらの導体層の間の誘電体層53とによって構成されている。キャパシタC33は、導体層521,534と、これらの導体層の間の誘電体層52とによって構成されている。
【0073】
キャパシタC34は、導体層533,545と、これらの導体層の間の誘電体層53とによって構成されている。キャパシタC35は、導体層523,533と、これらの導体層の間の誘電体層52とによって構成されている。
【0074】
次に、第4のフィルタ40の構成要素について説明する。第4のインダクタL41は、インダクタ用の導体層684,694と、スルーホール53T4a,54T4a,54T4b,55T4a,55T4b,56T4a,56T4b,57T4a,57T4b,58T4a,58T4b,68T4a,68T4bとによって構成されている。
【0075】
キャパシタC41は、導体層535,544と、これらの導体層の間の誘電体層53とによって構成されている。キャパシタC42は、導体層522,535と、これらの導体層の間の誘電体層52とによって構成されている。キャパシタC43は、導体層522,536と、これらの導体層の間の誘電体層52とによって構成されている。
【0076】
キャパシタC44は、導体層535,546と、これらの導体層の間の誘電体層53とによって構成されている。キャパシタC45は、導体層524,535と、これらの導体層の間の誘電体層52とによって構成されている。
【0077】
次に、インダクタL1,L2およびキャパシタC1について説明する。インダクタL1は、スルーホール55T5,56T5によって構成されている。インダクタL2は、スルーホール52T3によって構成されている。キャパシタC1は、導体層525,537と、これらの導体層の間の誘電体層52とによって構成されている。
【0078】
次に、
図1ないし
図7を参照して、本実施の形態に係るフィルタ装置1の構造上の特徴について説明する。第1のフィルタ10の第1のインダクタL11、第2のフィルタ20の第2のインダクタL21、第3のフィルタ30の第3のインダクタL31、および第4のフィルタ40の第4のインダクタL41は、それぞれ、矩形状またはほぼ矩形状の巻線でもある。矩形状またはほぼ矩形状の巻線では、巻回数について、巻線を矩形とみなしたときに、矩形の1辺につき1/4回と数えてもよい。第1ないし第4のインダクタL11,L21,L31,L41の各々の巻回数は、3/4回以上である。本実施の形態では、第1ないし第4のインダクタL11,L21,L31,L41の各々は、積層方向Tに直交する軸の周りに3/4回巻回されている。上記の軸は、Y方向に平行な方向に延在する軸であってもよいし、Y方向に平行な方向に対して傾いた方向に延在する軸であってもよい。
【0079】
ここで、2つ以上のスルーホールが直列に接続されることによって構成された構造物を、スルーホール列と言う。第1のインダクタL11は、2つのスルーホール列T1aと、2つのスルーホール列T1bと、2つのスルーホール列T1aの各々の一端と2つのスルーホール列T1bの各々の一端に接続された導体層681とを含んでいる。2つのスルーホール列T1aは、スルーホール54T1a,55T1a,56T1a,57T1a,58T1aが直列に接続されることによって構成されている。2つのスルーホール列T1bは、スルーホール57T1b,58T1bが直列に接続されることによって構成されている。第1のインダクタL11は、更に、導体層691と、導体層681と導体層691とを電気的に接続するスルーホール68T1a,68T1bとを含んでいる。
【0080】
第2のインダクタL21は、2つのスルーホール列T2aと、2つのスルーホール列T2bと、2つのスルーホール列T2aの各々の一端と2つのスルーホール列T2bの各々の一端に接続された導体層682とを含んでいる。2つのスルーホール列T2aは、スルーホール54T2a,55T2a,56T2a,57T2a,58T2aが直列に接続されることによって構成されている。2つのスルーホール列T2bは、スルーホール57T2b,58T2bが直列に接続されることによって構成されている。第2のインダクタL21は、更に、導体層692と、導体層682と導体層692とを電気的に接続するスルーホール68T2a,68T2bとを含んでいる。
【0081】
第3のインダクタL31は、スルーホール列T3aと、スルーホール列T3bと、スルーホール列T3aの一端とスルーホール列T3bの一端に接続された導体層683とを含んでいる。スルーホール列T3aは、スルーホール53T3a,54T3a,55T3a,56T3a,57T3a,58T3aが直列に接続されることによって構成されている。スルーホール列T3bは、スルーホール54T3b,55T3b,56T3b,57T3b,58T3bが直列に接続されることによって構成されている。第3のインダクタL31は、更に、導体層693と、導体層683と導体層693とを電気的に接続するスルーホール68T3a,68T3bとを含んでいる。
【0082】
第4のインダクタL41は、スルーホール列T4aと、スルーホール列T4bと、スルーホール列T4aの一端とスルーホール列T4bの一端に接続された導体層684とを含んでいる。スルーホール列T4aは、スルーホール53T4a,54T4a,55T4a,56T4a,57T4a,58T4aが直列に接続されることによって構成されている。スルーホール列T4bは、スルーホール54T4b,55T4b,56T4b,57T4b,58T4bが直列に接続されることによって構成されている。第4のインダクタL41は、更に、導体層694と、導体層684と導体層694とを電気的に接続するスルーホール68T4a,68T4bとを含んでいる。
【0083】
第1のインダクタL11は、2つのスルーホール列T1aと導体層681と2つのスルーホール列T1bとによって囲まれた開口部を有している。第2のインダクタL21は、2つのスルーホール列T2aと導体層682と2つのスルーホール列T2bとによって囲まれた開口部を有している。第3のインダクタL31は、スルーホール列T3aと導体層683とスルーホール列T3bとによって囲まれた開口部を有している。第4のインダクタL41は、スルーホール列T4aと導体層684とスルーホール列T4bとによって囲まれた開口部を有している。
【0084】
図7に示したように、第1ないし第4のインダクタL11,L21,L31,L41は、以下の第1ないし第4の要件を満足するように配置されている。第1の要件は、第1のインダクタL11の開口部と第3のインダクタL31の開口部とが対向するというものである。第2の要件は、第2のインダクタL21の開口部と第4のインダクタL41の開口部とが対向するというものである。第3の要件は、第1のインダクタL11の開口部と第2のインダクタL21の開口部とが対向しないというものである。第4の要件は、第3のインダクタL31の開口部と第4のインダクタL41の開口部とが対向しないというものである。
【0085】
本実施の形態では、第1のインダクタL11と第3のインダクタL31は、第1のインダクタL11の開口部と第3のインダクタL31の開口部とが対向するように、Y方向に平行な方向に並んでいる(第1の要件)。また、第2のインダクタL21と第4のインダクタL41は、第2のインダクタL21の開口部と第4のインダクタL41の開口部とが対向するように、Y方向に平行な方向に並んでいる(第2の要件)。また、第1のインダクタL11と第2のインダクタL21は、第1のインダクタL11の開口部と第2のインダクタL21の開口部とが対向しないように、X方向に平行な方向に並んでいる(第3の要件)。また、第3のインダクタL31と第4のインダクタL41は、第3のインダクタL31の開口部と第4のインダクタL41の開口部とが対向しないように、X方向に平行な方向に並んでいる(第4の要件)。本実施の形態では特に、第1ないし第4のインダクタL11,L21,L31,L41は、積層方向Tから見て、第1のインダクタL11、第2のインダクタL21、第4のインダクタL41および第3のインダクタL31の順に、反時計回り方向に並んでいる。
【0086】
図1に示したように、第1および第2のインダクタL11,L21の各一端部は、インダクタL1に接続されている。具体的には、第1のインダクタL11の2つのスルーホール列T1bの各々の一端部と、第2のインダクタL21の2つのスルーホール列T2bの各々の一端部は、導体層574を介してインダクタL1を構成するスルーホール56T5に電気的に接続されている。
【0087】
また、
図1に示したように、インダクタL1は、キャパシタC1に接続されている。第1のインダクタL11の2つのスルーホール列T1bの各々の一端部と、第2のインダクタL21の2つのスルーホール列T2bの各々の一端部は、導体層574、スルーホール56T5,55T5、導体層553およびスルーホール54T5,53T5を介して、キャパシタC1を構成する導体層537に電気的に接続されている。
【0088】
また、
図1に示したように、第3および第4のインダクタL31,L41の各一端部は、インダクタL2に接続されている。具体的には、第3のインダクタL31のスルーホール列T3bの一端部と、第4のインダクタL41のスルーホール列T4bの一端部は、スルーホール53T3b,53T4bおよび導体層538を介してインダクタL2を構成するスルーホール52T3に電気的に接続されている。
【0089】
また、
図1に示したように、インダクタL2は、グランドに接続されている。第3のインダクタL31のスルーホール列T3bの一端部と、第4のインダクタL41のスルーホール列T4bの一端部は、スルーホール53T3b,53T4b、導体層538、スルーホール52T3、導体層525、スルーホール51T1~51T3,51T5および電極111~113,115を介して、グランドに電気的に接続されている。
【0090】
次に、本実施の形態に係るフィルタ装置1の作用および効果について説明する。本実施の形態では、第1ないし第4のインダクタL11,L21,L31,L41は、前述の第1ないし第4の要件を満足するように配置されている。本実施の形態によれば、特に、第3の要件によって、第1のインダクタL11の開口部と第2のインダクタL21の開口部とが対向する場合に比べて、それぞれローパスフィルタである第1のフィルタ10と第2のフィルタ20との間で磁気結合が強くなりすぎることを抑制することができる。これにより、本実施の形態によれば、第1のインダクタL11および第2のインダクタL21の少なくとも一方によって通過帯域の高域側に形成される減衰極の調整の効果を相対的に高めることができる。
【0091】
また、本実施の形態によれば、特に、第4の要件によって、第3のインダクタL31の開口部と第4のインダクタL41の開口部とが対向する場合に比べて、それぞれハイパスフィルタである第3のフィルタ30と第4のフィルタ40との間で磁気結合が強くなりすぎることを抑制することができる。これにより、本実施の形態によれば、第3のインダクタL31および第4のインダクタL41の少なくとも一方によって通過帯域の低域側に形成される減衰極の調整の効果を相対的に高めることができる。
【0092】
また、本実施の形態によれば、特に、第1および第2の要件によって、第3および第4の要件を満足しながら、第1ないし第4のインダクタL11,L21,L31,L41を配置するためのスペースを小さくすることができる。これにより、本実施の形態によれば、積層体50すなわちフィルタ装置1を小型化することができる。
【0093】
以上のことから、本実施の形態によれば、特性の調整を容易にしながら、小型化が可能なフィルタ装置1を実現することができる。
【0094】
また、本実施の形態では、第1のインダクタL11および第2のインダクタL21の各一端部は、インダクタL1に接続されている。本実施の形態によれば、インダクタL1によって、第1のインダクタL11と第2のインダクタL21との間の磁気結合の強さを調整することができる。また、本実施の形態では、第1のインダクタL11と第2のインダクタL21は、X方向に平行な方向に並んでいる。これにより、本実施の形態によれば、第1のインダクタL11と第2のインダクタL21の各一端部をインダクタL1に接続することが構造上容易になる。
【0095】
なお、本実施の形態では、第1ないし第4のフィルタ10,20,30,40は、第1の信号端子2から第2の信号端子3に向かって、第3のフィルタ30、第1のフィルタ10、第2のフィルタ20および第4のフィルタ40の順に直列に接続されている。もし、第1ないし第4のフィルタ10,20,30,40が、第1の信号端子2から第2の信号端子3に向かって、第1のフィルタ10(ローパスフィルタ)、第3のフィルタ30(ハイパスフィルタ)、第4のフィルタ40(ハイパスフィルタ)および第2のフィルタ20(ローパスフィルタ)の順に直列に接続されていると、第1のインダクタL11の一端と第2のインダクタL21の他端とを接続する経路上に複数のキャパシタが設けられる。これにより、第1のインダクタL11および第2のインダクタL21の各一端部に電気的に接続されるインダクタL1を設けることができなくなる。本実施の形態における第1ないし第4のフィルタ10,20,30,40の接続順序は、インダクタL1を設けるための要件でもある。
【0096】
また、本実施の形態では、第3のインダクタL31および第4のインダクタL41の各一端部は、インダクタL2が接続されている。本実施の形態によれば、インダクタL2によって、第3のインダクタL31と第4のインダクタL41との間の磁気結合の強さを調整することができる。また、本実施の形態では、第3のインダクタL31と第4のインダクタL41は、X方向に平行な方向に並んでいる。これにより、本実施の形態によれば、第3のインダクタL31と第4のインダクタL41の各一端部をインダクタL2に接続することが構造上容易になる。
【0097】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、フィルタ装置1の積層体50は、第1の実施の形態における5層目ないし7層目の誘電体層55~57の代わりに、5層目ないし7層目の誘電体層155~157を含んでいる。本実施の形態における積層体50は、1層目ないし4層目の誘電体層51~54(
図3(a)ないし
図4(a)参照)、5層目ないし7層目の誘電体層155~157および8層目ないし20層目の誘電体層58~70(
図5(b)ないし
図6(b)参照)が積層されて構成される。
【0098】
以下、
図8(a)および
図8(b)を参照して、5層目ないし7層目の誘電体層155~157の各々に形成された複数の導体層および複数のスルーホールについて説明する。
【0099】
図8(a)は、5層目の誘電体層155のパターン形成面を示している。誘電体層155のパターン形成面には、導体層1551,1552,1553が形成されている。導体層1551,1552は、導体層1553に接続されている。
図8(a)では、導体層1551と導体層1553との境界と、導体層1552と導体層1553との境界を、それぞれ点線で示している。
【0100】
また、誘電体層155には、2つのスルーホール155T1aと、2つのスルーホール155T1bと、2つのスルーホール155T2aと、2つのスルーホール155T2bと、スルーホール155T3a,155T3b,155T4a,155T4bとが形成されている。スルーホール54T1a,54T2a,54T3a,54T3b,54T4a,54T4b(
図4(a)参照)は、それぞれ、スルーホール155T1a,155T2a,155T3a,155T3b,155T4a,154T4bに接続されている。スルーホール54T5(
図4(a)参照)とスルーホール155T1b,155T2bは、導体層1553に接続されている。
【0101】
図8(b)は、6層目および7層目の誘電体層156,157の各々のパターン形成面を示している。誘電体層156,157の各々には、2つのスルーホール156T1aと、2つのスルーホール156T1bと、2つのスルーホール156T2aと、2つのスルーホール156T2bと、スルーホール156T3a,156T3b,156T4a,156T4bとが形成されている。スルーホール155T1a,155T1b,155T2a,155T2b,155T3a,155T3b,155T4a,155T4bは、それぞれ、誘電体層156に形成されたスルーホール156T1a,156T1b,156T2a,156T2b,156T3a,156T3b,156T4a,156T4bに接続されている。また、誘電体層156,157では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
【0102】
誘電体層157に形成されたスルーホール156T1a,156T1b,156T2a,156T2b,156T3a,156T3b,156T4a,156T4bは、それぞれ、誘電体層58に形成されたスルーホール58T1a,58T1b,58T2a,58T2b,58T3a,58T3b,58T4a,58T4b(
図5(b)参照)に接続されている。
【0103】
本実施の形態では、キャパシタC11は、導体層551の代わりに、導体層1551を用いて構成されている。キャパシタC21は、導体層552の代わりに、導体層1552を用いて構成されている。
【0104】
図9は、本実施の形態における積層体50の内部を示す斜視図である。本実施の形態では、第1のインダクタL11の2つのスルーホール列T1bは、スルーホール155T1b,156T1b,58T1bが直列に接続されることによって構成されている。第2のインダクタL21の2つのスルーホール列T2bは、スルーホール155T2b,156T2b,58T2bが直列に接続されることによって構成されている。
【0105】
また、本実施の形態では、第1の実施の形態における
図1に示したインダクタL1が設けられていない。第1の実施の形態における
図1に示したキャパシタC1の一端は、第1のインダクタL11と第2のインダクタL21のとの接続点およびキャパシタC11とキャパシタC21との接続点に接続されている。第1のインダクタL11の2つのスルーホール列T1bの各々の一端部と、第2のインダクタL21の2つのスルーホール列T2bの各々の一端部は、導体層1553およびスルーホール54T5,53T5を介して、キャパシタC1を構成する導体層537に電気的に接続されている(
図3(c)、
図4(a)および
図8(a)参照)。
【0106】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0107】
[シミュレーション]
次に、シミュレーションの結果を参照して、フィルタ装置1の特性の一例について説明する。シミュレーションでは、第1の実施例のモデルと第2の実施例のモデルを用いた。第1の実施例のモデルは、第1の実施の形態に係るフィルタ装置1のモデルである。第2の実施例のモデルは、第2の実施の形態に係るフィルタ装置1のモデルである。シミュレーションでは、第1の実施例のモデルと第2の実施例のモデルのそれぞれについて、通過減衰特性を求めた。
【0108】
図10は、第1の実施例のモデルの通過減衰特性を示す特性図である。
図11は、第2の実施例のモデルの通過減衰特性を示す特性図である。
図10および
図11において、横軸は周波数を示し、縦軸は減衰量を示している。
図10および
図11に示したように、フィルタ装置1は、バンドパスフィルタとして良好な特性を有している。
【0109】
図10および
図11に示したように、通過帯域の高域側において通過帯域に最も近い減衰極の減衰量の絶対値は、第2の実施例のモデルにおいて大きくなる。第2の実施例のモデルでは、インダクタL1が設けられていない。すなわち、第2の実施例のモデルは、第1の実施例のモデルよりも、第1のインダクタL11と第2のインダクタL21との間の磁気結合が抑制されている。この結果から理解されるように、インダクタL1によって、第1のインダクタL11と第2のインダクタL21との間の磁気結合を調整することができる。なお、インダクタL1の有無の他に、インダクタL1を構成するスルーホールの数や形状を調整することによっても、第1のインダクタL11と第2のインダクタL21との間の磁気結合を調整することができる。例えば、積層方向Tに平行な方向におけるインダクタL1の寸法を大きくする(積層方向Tに平行な方向におけるスルーホール列T1b,T2bの寸法を小さくする)ことによって、第1のインダクタL11と第2のインダクタL21との間の磁気結合を強めることができる。
【0110】
上記のインダクタL1についての説明は、インダクタL2にも当てはまる。すなわち、インダクタL2の有無またはインダクタL1を構成するスルーホールの数や形状を調整することによって、第1のインダクタL11と第2のインダクタL21との間の磁気結合を調整することができる。
【0111】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、請求の範囲の要件を満たす限り、本発明における第1ないし第4のフィルタ10,20,30,40の各々の構成は、各実施の形態に示した例に限られず、任意である。
【0112】
また、本発明の第1ないし第4のフィルタ10,20,30,40は、分波器の一部であってもよい。
【0113】
また、本発明では、第1のインダクタL11と第3のインダクタL31を、X方向に平行な方向に並ぶように配置してもよい。この場合、第2のインダクタL21と第4のインダクタL41は、第1のインダクタL11の開口部と第2のインダクタL21の開口部とが対向しないという要件(第3の要件)と、第3のインダクタL31の開口部と第4のインダクタL41の開口部とが対向しないという要件(第4の要件)を満たように、X方向に平行な方向に並ぶように配置される。すなわち、第1のインダクタL11と第4のインダクタL41は、Y方向に平行な方向に並ぶように配置され、第2のインダクタL21と第3のインダクタL31は、Y方向に平行な方向に並ぶように配置される。この場合、第3のインダクタL31が実質的に本発明の「第4のインダクタ」に対応し、第4のインダクタL41が実質的に本発明の「第3のインダクタ」に対応する。
【0114】
以上説明したように、本発明の積層型フィルタ装置は、第1のインダクタを含むローパスフィルタである第1のフィルタと、第2のインダクタを含むローパスフィルタである第2のフィルタと、第3のインダクタを含むハイパスフィルタである第3のフィルタと、第4のインダクタを含むハイパスフィルタである第4のフィルタと、第1のフィルタ、第2のフィルタ、第3のフィルタおよび第4のフィルタを一体化するための積層体であって、積層された複数の誘電体層を含む積層体とを備えている。第1のインダクタ、第2のインダクタ、第3のインダクタおよび第4のインダクタの各々は、誘電体層の積層方向に直交する軸の周りに巻回されている。第1のインダクタ、第2のインダクタ、第3のインダクタおよび第4のインダクタは、第1のインダクタの開口部と第3のインダクタの開口部とが対向し、第2のインダクタの開口部と第4のインダクタの開口部とが対向し、第1のインダクタの開口部と第2のインダクタの開口部とが対向せず、且つ第3のインダクタの開口部と第4のインダクタの開口部とが対向しないように配置されている。
【0115】
本発明の積層型フィルタ装置は、更に、それぞれ積層体に一体化された第1の信号端子および第2の信号端子を備えていてもよい。第3のフィルタは、回路構成上、第1の信号端子と第2の信号端子との間に設けられていてもよい。第4のフィルタは、回路構成上、第3のフィルタと第2の信号端子との間に設けられていてもよい。第1のフィルタおよび第2のフィルタは、回路構成上、第3のフィルタと第4のフィルタとの間に設けられていてもよい。第1のフィルタ、第2のフィルタ、第3のフィルタおよび第4のフィルタは、バンドパスフィルタを構成してもよい。
【0116】
また、本発明の積層型フィルタ装置は、更に、第1のインダクタおよび第2のインダクタの各一端部に接続されたインダクタを備えていてもよい。本発明の積層型フィルタ装置は、更に、第3のインダクタおよび第4のインダクタの各一端部に接続されたインダクタを備えていてもよい。
【0117】
また、本発明の積層型フィルタ装置において、第1のインダクタと第2のインダクタは、積層方向に直交する方向に並んでいてもよい。本発明の積層型フィルタ装置において、第3のインダクタと第4のインダクタは、積層方向に直交する方向に並んでいてもよい。
【0118】
また、本発明の積層型フィルタ装置は、更に、積層体内に設けられた複数のキャパシタ用導体層を含むキャパシタを備えていてもよい。第1のインダクタと第2のインダクタの各々は、第1のスルーホール列と、第2のスルーホール列と、第1のスルーホール列の一端と第2のスルーホール列の一端に電気的に接続されたインダクタ用導体層とを含んでいてもよい。第1のスルーホール列と第2のスルーホール列の各々は、複数のスルーホールが直列に接続されることによって構成されていてもよい。第1のインダクタの第2のスルーホール列の他端と第2のインダクタの第2のスルーホール列の他端は、複数のキャパシタ用導体層のうちの1つのキャパシタ用導体層に電気的に接続されていてもよい。本発明の積層型フィルタ装置は、更に、第1のインダクタの第2のスルーホール列の他端と第2のインダクタの第2のスルーホール列の他端に電気的に接続された導体層と、導体層と1つのキャパシタ用導体層とを電気的に接続する少なくとも1つのスルーホールとを備えていてもよい。
【0119】
また、本発明の積層型フィルタ装置において、第3のインダクタと第4のインダクタの各々は、第1のスルーホール列と、第2のスルーホール列と、第1のスルーホール列の一端と第2のスルーホール列の一端に電気的に接続されたインダクタ用導体層とを含んでいてもよい。第1のスルーホール列と第2のスルーホール列の各々は、複数のスルーホールが直列に接続されることによって構成されていてもよい。本発明の積層型フィルタ装置は、更に、第3のインダクタの第2のスルーホール列の他端と第4のインダクタの第2のスルーホール列の他端に電気的に接続された導体層と、導体層とグランドとを電気的に接続する少なくとも1つのスルーホールとを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1…フィルタ装置、2…第1の信号端子、3…第2の信号端子、10…第1のフィルタ、20…第2のフィルタ、30…第3のフィルタ、40…第4のフィルタ、50…積層体、50A…底面、50B…上面、50C~50F…側面、51~70…誘電体層、111~116…電極、L11…第1のインダクタ、L21…第2のインダクタ、L31…第3のインダクタ、L41…第4のインダクタ。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
また、誘電体層55には、2つのスルーホール55T1aと、2つのスルーホール55T2aと、スルーホール55T3a,55T3b,55T4a,55T4b,55T5とが形成されている。スルーホール54T1a,54T2a,54T3a,54T3b,54T4a,54T4bは、それぞれ、スルーホール55T1a,55T2a,55T3a,55T3b,55T4a,55T4bに接続されている。スルーホール54T5,55T5は、導体層553に接続されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
上記のインダクタL1についての説明は、インダクタL2にも当てはまる。すなわち、インダクタL2の有無またはインダクタL2を構成するスルーホールの数や形状を調整することによって、第3のインダクタL31と第4のインダクタL41との間の磁気結合を調整することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
また、本発明では、第1のインダクタL11と第3のインダクタL31を、X方向に平行な方向に並ぶように配置してもよい。この場合、第2のインダクタL21と第4のインダクタL41は、第1のインダクタL11の開口部と第2のインダクタL21の開口部とが対向しないという要件(第3の要件)と、第3のインダクタL31の開口部と第4のインダクタL41の開口部とが対向しないという要件(第4の要件)を満たすように、X方向に平行な方向に並ぶように配置される。すなわち、第1のインダクタL11と第4のインダクタL41は、Y方向に平行な方向に並ぶように配置され、第2のインダクタL21と第3のインダクタL31は、Y方向に平行な方向に並ぶように配置される。この場合、第3のインダクタL31が実質的に本発明の「第4のインダクタ」に対応し、第4のインダクタL41が実質的に本発明の「第3のインダクタ」に対応する。