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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126834
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ガス圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 31/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
F04B31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035513
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】壬生 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】服部 智秀
【テーマコード(参考)】
3H076
【Fターム(参考)】
3H076AA13
3H076BB38
3H076BB45
3H076CC26
3H076CC28
3H076CC44
(57)【要約】
【課題】圧力損失を小さくすることができるガス圧縮機を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るガス圧縮機1Aは、第1圧縮室3a、第2圧縮室3b、第1駆動室2a及び第2駆動室2bを含むガスブースタ1Aを含む。ガスブースタ1Aでは、第1駆動室2aに作動油が供給されたときに、第1圧縮室3aにガスが供給され、第2圧縮室3bでガスが圧縮され、第2駆動室2bから作動油が流出し、第2駆動室2bに作動油が供給されたときに、第1圧縮室3aでガスが圧縮され、第2圧縮室3bにガスが供給され、第1駆動室2aから作動油が流出するガスブースタ1Aを含む。また、ガス圧縮機1Aは、第1駆動室2aと第2駆動室2bの一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する両方向ポンプ71と、両方向ポンプ71を駆動する電動機72と、電動機72を制御する制御装置8を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1圧縮室、第2圧縮室、第1駆動室及び第2駆動室を含み、前記第1駆動室に作動油が供給されたときに、前記第1圧縮室にガスが供給され、前記第2圧縮室でガスが圧縮され、前記第2駆動室から作動油が流出し、前記第2駆動室に作動油が供給されたときに、前記第1圧縮室でガスが圧縮され、前記第2圧縮室にガスが供給され、前記第1駆動室から作動油が流出するガスブースタと、
前記第1駆動室と前記第2駆動室の一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する両方向ポンプと、
前記両方向ポンプを駆動する電動機と、
前記電動機の回転数を制御する制御装置と、
を備える、ガス圧縮機。
【請求項2】
前記ガスブースタは、
前記第1圧縮室に面する第1ガスピストン、および第1作動室と第2作動室とを仕切るとともに前記第1作動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結された第1油圧ピストンを含む第1構造体と、
前記第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および第3作動室と第4作動室とを仕切るとともに前記第3作動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された第2油圧ピストンを含む第2構造体と、
前記第2作動室と前記第4作動室とを連通する連通路と、を含み、
前記第1作動室が前記第1駆動室として機能し、前記第3作動室が前記第2駆動室として機能する、請求項1に記載のガス圧縮機。
【請求項3】
前記ガスブースタは、
前記第1圧縮室に面する第1ガスピストン、および第1作動室と第2作動室とを仕切るとともに前記第1作動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結された第1油圧ピストンを含む第1構造体と、
前記第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および第3作動室と第4作動室とを仕切るとともに前記第3作動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された第2油圧ピストンを含む第2構造体と、
前記第1作動室と前記第3作動室とを連通する連通路と、を含み、
前記第4作動室が前記第1駆動室として機能し、前記第2作動室が前記第2駆動室として機能する、請求項1に記載のガス圧縮機。
【請求項4】
前記ガスブースタは、前記第1圧縮室に面する第1ガスピストン、前記第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および前記第1駆動室と前記第2駆動室とを仕切るとともに、前記第1駆動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結され、かつ、前記第2駆動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された油圧ピストンを含む、請求項1に記載のガス圧縮機。
【請求項5】
第1構造体、第2構造体および連通路を含むガスブースタであって、前記第1構造体は、第1圧縮室に面する第1ガスピストン、および第1作動室と第2作動室とを仕切るとともに前記第1作動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結された第1油圧ピストンを含み、前記第2構造体は、第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および第3作動室と第4作動室とを仕切るとともに前記第3作動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された第2油圧ピストンを含み、前記連通路は、前記第2作動室と前記第4作動室とを連通する、ガスブースタと、
前記第1作動室と前記第3作動室の一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する両方向ポンプと、
前記両方向ポンプを駆動する電動機と、
前記電動機の回転数を制御する制御装置と、
を備える、ガス圧縮機。
【請求項6】
第1構造体、第2構造体および連通路を含むガスブースタであって、前記第1構造体は、第1圧縮室に面する第1ガスピストン、および第1作動室と第2作動室とを仕切るとともに前記第1作動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結された第1油圧ピストンを含み、前記第2構造体は、第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および第3作動室と第4作動室とを仕切るとともに前記第3作動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された第2油圧ピストンを含み、前記連通路は、前記第1作動室と前記第3作動室とを連通する、ガスブースタと、
前記第2作動室と前記第4作動室の一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する両方向ポンプと、
前記両方向ポンプを駆動する電動機と、
前記電動機の回転数を制御する制御装置と、
を備える、ガス圧縮機。
【請求項7】
第1圧縮室に面する第1ガスピストン、第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および第1駆動室と第2駆動室とを仕切るとともに、前記第1駆動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結され、かつ、前記第2駆動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された油圧ピストンを含むガスブースタと、
前記第1駆動室と前記第2駆動室の一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する両方向ポンプと、
前記両方向ポンプを駆動する電動機と、
前記電動機の回転数を制御する制御装置と、
を備える、ガス圧縮機。
【請求項8】
前記第2圧縮室に面する第2ガスピストンの直径は前記第1圧縮室に面する第1ガスピストンの直径よりも小さく、前記第1圧縮室から前記第2圧縮室へガスが供給される、請求項1~7の何れか一項に記載のガス圧縮機。
【請求項9】
前記制御装置は、前記電動機へ電力を供給するときと前記電動機で電力が生成されるときの双方で前記電動機の回転数を目標値に保つ、請求項8に記載のガス圧縮機。
【請求項10】
前記電動機で電力が生成されるときは、前記第2ガスピストンが前記第2圧縮室を縮小する方向に移動する場合の前記第1圧縮室の圧力と前記第1ガスピストンの面積の積が前記第2圧縮室の圧力と前記第2ガスピストンの面積の積よりも大きいときと、前記第1ガスピストンが前記第1圧縮室を縮小する方向に移動する場合の前記第1圧縮室の圧力と前記第1ガスピストンの面積の積が前記第2圧縮室の圧力と前記第2ガスピストンの面積の積よりも小さいときである、請求項9に記載のガス圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油圧駆動式のガス圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、油圧駆動式のガス圧縮機が知られている。例えば、このようなガス圧縮機は、大型のガス圧縮機として用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、図6に示すようなガスブースタ100を含むガス圧縮機が開示されている。具体的に、ガスブースタ100は、第1構造体200と第2構造体300を含む。
【0004】
第1構造体200は、第1圧縮室210に面する第1ガスピストン220と、第1作動室230と第2作動室240とを仕切る第1油圧ピストン250を含む。第1油圧ピストン250は、第1作動室230を横断するロッド260により第1ガスピストン220と連結されている。
【0005】
同様に、第2構造体300は、第2圧縮室310に面する第2ガスピストン320と、第3作動室330と第4作動室340とを仕切る第2油圧ピストン350を含む。第2油圧ピストン350は、第3作動室330を横断するロッド360により第2ガスピストン320と連結されている。
【0006】
第1構造体200の第1作動室230と第2構造体300の第3作動室330とは連通路400を通じて連通している。このため、第2構造体300の第4作動室340が第1駆動室110として機能し、第1構造体200の第2作動室240が第2駆動室120として機能する。
【0007】
より詳しくは、第1駆動室110に作動油が供給されると、第2構造体300では第2ガスピストン320の上昇により第2圧縮室310でガスが圧縮され、第1構造体200では第1油圧ピストン250および第1ガスピストン220の下降により第2駆動室120から作動油が流出するとともに第1圧縮室210にガスが供給される。逆に、第2駆動室120に作動油が供給されると、第1構造体200では第1ガスピストン220の上昇により第1圧縮室210でガスが圧縮され、第2構造体300では第2油圧ピストン350および第2ガスピストン320の下降により第1駆動室110から作動油が流出するとともに第2圧縮室310にガスが供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2021-522446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
第1駆動室110と第2駆動室120の一方へ作動油を供給するには、ポンプからの作動油の吐出方向を方向切換弁で切り換えることが考えられる。しかしながら、この構成では、作動油が方向切換弁を通過する際に圧力損失が生じる。
【0010】
そこで、本開示は、圧力損失を小さくすることができるガス圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、第1の側面から、第1圧縮室、第2圧縮室、第1駆動室及び第2駆動室を含み、前記第1駆動室に作動油が供給されたときに、前記第1圧縮室にガスが供給され、前記第2圧縮室でガスが圧縮され、前記第2駆動室から作動油が流出し、前記第2駆動室に作動油が供給されたときに、前記第1圧縮室でガスが圧縮され、前記第2圧縮室にガスが供給され、前記第1駆動室から作動油が流出するガスブースタと、前記第1駆動室と前記第2駆動室の一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する両方向ポンプと、前記両方向ポンプを駆動する電動機と、前記電動機の回転数を制御する制御装置と、を備える、ガス圧縮機を提供する。
【0012】
本開示は、第2の側面から、第1構造体、第2構造体および連通路を含むガスブースタであって、前記第1構造体は、第1圧縮室に面する第1ガスピストン、および第1作動室と第2作動室とを仕切るとともに前記第1作動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結された第1油圧ピストンを含み、前記第2構造体は、第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および第3作動室と第4作動室とを仕切るとともに前記第3作動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された第2油圧ピストンを含み、前記連通路は、前記第2作動室と前記第4作動室とを連通する、ガスブースタと、前記第1作動室と前記第3作動室の一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する両方向ポンプと、前記両方向ポンプを駆動する電動機と、前記電動機の回転数を制御する制御装置と、を備える、ガス圧縮機を提供する。
【0013】
本開示は、第3の側面から、第1構造体、第2構造体および連通路を含むガスブースタであって、前記第1構造体は、第1圧縮室に面する第1ガスピストン、および第1作動室と第2作動室とを仕切るとともに前記第1作動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結された第1油圧ピストンを含み、前記第2構造体は、第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および第3作動室と第4作動室とを仕切るとともに前記第3作動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された第2油圧ピストンを含み、前記連通路は、前記第1作動室と前記第3作動室とを連通する、ガスブースタと、前記第2作動室と前記第4作動室の一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する両方向ポンプと、前記両方向ポンプを駆動する電動機と、前記電動機の回転数を制御する制御装置と、を備える、ガス圧縮機を提供する。
【0014】
本開示は、第4の側面から、第1圧縮室に面する第1ガスピストン、第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および第1駆動室と第2駆動室とを仕切るとともに、前記第1駆動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結され、かつ、前記第2駆動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された油圧ピストンを含むガスブースタと、前記第1駆動室と前記第2駆動室の一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する両方向ポンプと、前記両方向ポンプを駆動する電動機と、前記電動機の回転数を制御する制御装置と、を備える、ガス圧縮機を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、圧力損失を小さくすることができるガス圧縮機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係るガス圧縮機の概略構成図である。
図2】第1実施形態の変形例のガス圧縮機の概略構成図である。
図3】第1実施形態の別の変形例のガス圧縮機の概略構成図である。
図4】第2実施形態に係るガス圧縮機の概略構成図である。
図5】第2実施形態の変形例のガス圧縮機の概略構成図である。
図6】従来のガス圧縮機のガスブースタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
図1に、第1実施形態に係るガス圧縮機1Aを示す。ガス圧縮機1Aは、第1構造体21および第2構造体22を含む二軸タイプのガスブースタ2Aと、ガスブースタ2Aの一部と共に油圧回路を構成する両方向ポンプ71を含む。
【0018】
本実施形態では、ガス圧縮機1Aがガスを二段で圧縮する。圧縮対象となるガスは特に限定されるものではないが、例えば水素である。また、ガス圧縮機1Aは、両方向ポンプ71を駆動する電動機72と、電動機72の回転数を制御する制御装置8を含む。
【0019】
第1構造体21は、ガスシリンダ3A、油圧シリンダ4Aおよびロッド65を含み、第2構造体22は、ガスシリンダ3B、油圧シリンダ4Bおよびロッド66を含む。第1構造体21と第2構造体22が大きく異なる点は、ガスシリンダ3A,3Bのサイズである。具体的には、後述する第2ガスピストン37の直径が後述する第1ガスピストン33の直径よりも小さい。例えば、第1ガスピストン33の面積は、第2ガスピストン37の面積の2倍以上10倍以下である。なお、第1ガスピストン33および第2ガスピストン37の直径以外の他の要素によって後述するガスシリンダチューブ31,35内の体積が異なってもよい。
【0020】
第1構造体21のガスシリンダ3Aおよび油圧シリンダ4Aは同軸上に並んでおり、第2構造体22のガスシリンダ3Bおよび油圧シリンダ4Bは同軸上に並んでいる。本実施形態では、ガスシリンダ3A,3Bおよび油圧シリンダ4A,4Bの軸方向が上下方向である。また、本実施形態では、油圧シリンダ4Aがガスシリンダ3Aの下方に配置されており、油圧シリンダ4Bがガスシリンダ3Bの下方に配置されている。ただし、ガスシリンダ3A,3Bおよび油圧シリンダ4A,4Bの軸方向は横方向であってもよい。
【0021】
第1構造体21に関し、ガスシリンダ3Aは、ガスシリンダチューブ31、ガスカバー32および第1ガスピストン33を含む。ガスシリンダチューブ31は上下方向に延びる筒状であり、ガスカバー32は油圧シリンダ4Aと反対側であるガスシリンダチューブ31の一方側に位置し、ガスシリンダチューブ31の上方の開口を閉塞する。第1ガスピストン33はガスシリンダチューブ31内に配置されてガスカバー32との間に第1圧縮室3aを形成する。つまり、第1ガスピストン33は第1圧縮室3aに面している。
【0022】
ガスシリンダ3Aは、ガスシリンダチューブ31を収容する、ガスカバー32から後述する油圧カバー42まで延びる筒状のジャケット34も含む。ガスシリンダチューブ31とジャケット34との間には環状の冷却室が形成され、前記冷却室に冷却液が供給されるとともに前記冷却室から冷却液が排出される。ただし、ジャケット34は省略されてもよい。
【0023】
ガスカバー32は、例えば円盤状である。本実施形態では、ガスカバー32が、径方向外側を向く端面上に吸入ポート5aおよび吐出ポート5bを有する。ただし、吸入ポート5aおよび吐出ポート5bの一方または双方はガスカバー32の上面上にあってもよい。
【0024】
ガスカバー32には、吸入ポート5aから第1圧縮室3aに至るガス流路51と、第1圧縮室3aから吐出ポート5bに至るガス流路53が形成されている。ガス流路51,53には逆止弁52,54がそれぞれ設けられている。
【0025】
ただし、逆止弁52は後述するガス供給路11に設けられてもよいし、逆止弁54は後述するガス連通路12に設けられてもよい。この場合、吸入ポート5aおよび吐出ポート5bがガスシリンダチューブ31の上部に設けられて、ガス流路51,53が省略されてもよい。吸入ポート5aおよび吐出ポート5bがガスシリンダチューブ31に設けられる場合、ガス供給路11を構成する配管がジャケット34を貫通して吸入ポート5aにつながるとともに、ガス連通路12を構成する配管がジャケット34を貫通して吐出ポート5bにつながってもよい。
【0026】
油圧シリンダ4Aは、油圧シリンダチューブ41、一対の油圧カバー42,43および第1油圧ピストン44を含む。油圧シリンダチューブ41は上下方向に延びる筒状であり、油圧カバー42,43は油圧シリンダチューブ41の両側に位置する。油圧カバー42は油圧シリンダチューブ41の上方の開口を閉塞し、油圧カバー43は油圧シリンダチューブ41の下方の開口を閉塞する。
【0027】
第1油圧ピストン44は油圧シリンダチューブ41内に配置されて油圧カバー42との間に第1作動室4aを形成するとともに油圧カバー43との間に第2作動室4bを形成する。つまり、第1油圧ピストン44は、第1作動室4aと第2作動室4bとを仕切っている。本実施形態では第1油圧ピストン44が一枚の板であるが、第1油圧ピストン44は二枚の板とその間のロッドで構成されてもよい。この場合、二枚の板の間に作動油が供給されてもよい。
【0028】
本実施形態では、ガスシリンダチューブ31の下方の開口が油圧カバー42で閉塞される。ロッド65は、第1作動室4aを横断するとともに油圧カバー42を貫通して第1ガスピストン33と第1油圧ピストン44とを連結する。ただし、図6に示すガスブースタ100と同様に、ガスシリンダチューブ31の下方の開口が中間カバーで閉塞されるとともに、前記中間カバーと油圧カバー42との間に、ロッド65の周囲の空間を取り囲む中間チューブが設けられてもよい。
【0029】
油圧カバー42,43は、例えば円盤状である。本実施形態では、油圧カバー42が径方向外側を向く端面上に給排ポート6aを有し、油圧カバー43が径方向外側を向く端面上に給排ポート6bを有する。ただし、給排ポート6a,6bの位置はこれに限らない。例えば、給排ポート6aが油圧シリンダチューブ41の上部に設けられて後述する油圧流路61が省略されてもよいし、給排ポート6bが油圧シリンダチューブ41の下部に設けられて後述する油圧流路62が省略されてもよい。
【0030】
油圧カバー42には、給排ポート6aと第1作動室4aとを連通する油圧流路61が形成されており、油圧カバー43には、給排ポート6bと第2作動室4bとを連通する油圧流路62が形成されている。
【0031】
第2構造体22に関し、ガスシリンダ3Bは、ガスシリンダチューブ35、ガスカバー36および第2ガスピストン37を含む。ガスシリンダチューブ35は上下方向に延びる筒状であり、ガスカバー36は油圧シリンダ4Bと反対側であるガスシリンダチューブ35の一方側に位置し、ガスシリンダチューブ35の上方の開口を閉塞する。第2ガスピストン37はガスシリンダチューブ35内に配置されてガスカバー36との間に第2圧縮室3bを形成する。つまり、第2ガスピストン37は第2圧縮室3bに面している。
【0032】
ガスシリンダ3Bは、ガスシリンダチューブ35を収容する、ガスカバー36から後述する油圧カバー46まで延びる筒状のジャケット38も含む。ガスシリンダチューブ35とジャケット38との間には環状の冷却室が形成され、前記冷却室に冷却液が供給されるとともに前記冷却室から冷却液が排出される。ただし、ジャケット38は省略されてもよい。
【0033】
ガスカバー36は、例えば円盤状である。本実施形態では、ガスカバー36が、径方向外側を向く端面上に吸入ポート5cおよび吐出ポート5dを有する。ただし、吸入ポート5cおよび吐出ポート5dの一方または双方はガスカバー36の上面上にあってもよい。
【0034】
ガスカバー36には、吸入ポート5cから第2圧縮室3bに至るガス流路55と、第2圧縮室3bから吐出ポート5dに至るガス流路57が形成されている。ガス流路55,57には逆止弁56,58がそれぞれ設けられている。
【0035】
ただし、逆止弁56は後述するガス連通路12に設けられてもよいし、逆止弁58は後述するガス排出路13に設けられてもよい。この場合、吸入ポート5cおよび吐出ポート5dがガスシリンダチューブ35の上部に設けられて、ガス流路55,57が省略されてもよい。吸入ポート5cおよび吐出ポート5dがガスシリンダチューブ35に設けられる場合、ガス連通路12を構成する配管がジャケット38を貫通して吸入ポート5cにつながるとともに、ガス排出路13を構成する配管がジャケット38を貫通して吐出ポート5dにつながってもよい。
【0036】
油圧シリンダ4Bは、油圧シリンダチューブ45、一対の油圧カバー46,47および第2油圧ピストン48を含む。油圧シリンダチューブ45は上下方向に延びる筒状であり、油圧カバー46,47は油圧シリンダチューブ45の両側に位置する。油圧カバー46は油圧シリンダチューブ45の上方の開口を閉塞し、油圧カバー47は油圧シリンダチューブ45の下方の開口を閉塞する。
【0037】
第2油圧ピストン48は油圧シリンダチューブ45内に配置されて油圧カバー46との間に第3作動室4cを形成するとともに油圧カバー47との間に第4作動室4dを形成する。つまり、第2油圧ピストン48は、第3作動室4cと第4作動室4dとを仕切っている。本実施形態では第2油圧ピストン48が一枚の板であるが、第2油圧ピストン48は二枚の板とその間のロッドで構成されてもよい。この場合、二枚の板の間に作動油が供給されてもよい。
【0038】
本実施形態では、ガスシリンダチューブ35の下方の開口が油圧カバー46で閉塞される。ロッド66は、第3作動室4cを横断するとともに油圧カバー46を貫通して第2ガスピストン37と第2油圧ピストン48とを連結する。ただし、図6に示すガスブースタ100と同様に、ガスシリンダチューブ35の下方の開口が中間カバーで閉塞されるとともに、前記中間カバーと油圧カバー46との間に、ロッド66の周囲の空間を取り囲む中間チューブが設けられてもよい。
【0039】
油圧カバー46,47は、例えば円盤状である。本実施形態では、油圧カバー46が径方向外側を向く端面上に給排ポート6cを有し、油圧カバー47が径方向外側を向く端面上に給排ポート6dを有する。ただし、給排ポート6c,6dの位置はこれに限らない。例えば、給排ポート6cが油圧シリンダチューブ45の上部に設けられて後述する油圧流路63が省略されてもよいし、給排ポート6dが油圧シリンダチューブ45の下部に設けられて後述する油圧流路64が省略されてもよい。
【0040】
油圧カバー46には、給排ポート6cと第3作動室4cとを連通する油圧流路63が形成されており、油圧カバー47には、給排ポート6dと第4作動室4dとを連通する油圧流路64が形成されている。
【0041】
第1構造体21の吸入ポート5aにはガス供給路11が接続され、第2構造体22の吐出ポート5dにはガス排出路13が接続されている。また、第1構造体21の吐出ポート5bと第2構造体22の吸入ポート5cとはガス連通路12により互いに接続されている。このため、第1圧縮室3aから第2圧縮室3bへガスが供給される。
【0042】
第1ガスピストン33と第2ガスピストン37は互い違いに動く。第1ガスピストン33が下降すると、ガス供給路11からガス流路51を通じて第1圧縮室3aへガスが供給される。第1ガスピストン33が上昇するとともに第2ガスピストン37が下降すると、第1圧縮室3aからガス流路53、ガス連通路12およびガス流路55を通じて第2圧縮室3bへガスが供給される。このとき、第1圧縮室3aと第2圧縮室3bとの面積差によりガスが圧縮される。すなわち、第1圧縮室3aの圧力が第2圧縮室3bの圧力よりも低いときは第1圧縮室3a、ガス流路53およびガス連通路12でガスが圧縮され、第1圧縮室3aの圧力が第2圧縮室3bの圧力以上となったときに第1圧縮室3a、ガス流路53、ガス連通路12、ガス流路55および第2圧縮室3bでガスが圧縮される。第2ガスピストン37が上昇すると、第2圧縮室3bでガスが少なくとも逆止弁58の下流側の圧力まで圧縮されるとともに、圧縮されたガスがガス流路57およびガス排出路13を通じて排出される。
【0043】
第1構造体21の給排ポート6bと第2構造体22の給排ポート6dとは油圧連通路14により互いに接続されている。換言すれば、油圧連通路14は第1構造体21の第2作動室4bと第2構造体22の第4作動室4dとを連通する。このため、本実施形態では、第1構造体21の第1作動室4aが第1駆動室2aとして機能し、第2構造体22の第3作動室4cが第2駆動室2bとして機能する。
【0044】
第1構造体21の第1油圧ピストン44の直径と第2構造体22の第2油圧ピストン48の直径は等しい。このため、第1油圧ピストン44および第1ガスピストン33のストロークと第2油圧ピストン48および第2ガスピストン37のストロークは等しい。ただし、第1油圧ピストン44の直径と第2油圧ピストン48の直径が異なり、第1油圧ピストン44および第1ガスピストン33のストロークと第2油圧ピストン48および第2ガスピストン37のストロークが異なってもよい。
【0045】
上述した両方向ポンプ71は、給排路73により第1構造体21の給排ポート6aと接続されており、給排路74により第2構造体22の給排ポート6cと接続されている。両方向ポンプ71は、第1駆動室2aと第2駆動室2bの一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する。
【0046】
両方向ポンプ71から給排路73および油圧流路61を通じて第1駆動室2aに作動油が供給されると、第1油圧ピストン44が第1ガスピストン33と共に下降して第2作動室4bから油圧流路62、油圧連通路14および油圧流路64を通じて第4作動室4dへ作動油が供給される。第4作動室4dに作動油が供給されると、第2油圧ピストン48が第2ガスピストン37と共に上昇して第2駆動室2bから油圧流路63を通じて給排路74へ作動油が流出する。
【0047】
逆に、両方向ポンプ71から給排路74および油圧流路63を通じて第2駆動室2bに作動油が供給されると、第2油圧ピストン48が第2ガスピストン37と共に下降して第4作動室4dから油圧流路64、油圧連通路14および油圧流路62を通じて第2作動室4bへ作動油が供給される。第2作動室4bに作動油が供給されると、第1油圧ピストン44が第1ガスピストン33と共に上昇して第1駆動室2aから油圧流路61を通じて給排路73へ作動油が流出する。
【0048】
例えば、両方向ポンプ71はアキシャルピストンポンプである。本実施形態では、両方向ポンプ71が、回転方向によって作動油の吐出方向が切り換え可能なポンプである。ただし、両方向ポンプ71は、一方向に回転する、斜板や斜軸のセンターからの傾倒方向によって作動油の吐出方向が切り換え可能なポンプであってもよい。この場合、制御装置9は、電動機72だけでなく両方向ポンプ71の傾転角を変更するレギュレータも制御する。また、図例では両方向ポンプ71が可変容量型ポンプであるが、両方向ポンプ71は固定容量型ポンプであってもよい。
【0049】
給排路73は、タンク路75によりタンクと接続されており、タンク路75には逆止弁76が設けられている。同様に、給排路74は、タンク路77によりタンクと接続されており、タンク路77には逆止弁78が設けられている。
【0050】
また、給排路73はリリーフ路81によりタンクと接続されており、リリーフ路81にはリリーフ弁82が設けられている。同様に、給排路74はリリーフ路83によりタンクと接続されており、リリーフ路83にはリリーフ弁84が設けられている。
【0051】
電動機72の回転数を制御する制御装置8は、例えば、電動機72と電源との間に介在するインバータやサーボアンプなどの第1機器と、前記第1機器へ指令を出力する第2機器を含む。
【0052】
制御装置8に関し、本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウエアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウエアである。ハードウエアは、本明細書に開示されているハードウエアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウエアであってもよい。ハードウエアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウエアとソフトウエアの組み合わせであり、ソフトウエアはハードウエアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0053】
制御装置8は、電動機72へ電力を供給するときに、電動機72の回転数Nを目標値Ntに保つ。目標値Ntは固定値であってもよいし、変動値であってもよい。さらに、制御装置8は、電動機72で電力が生成されるときも電動機72の回転数Nを目標値Ntに保つ。
【0054】
より詳しくは、第2ガスピストン37が上昇する、換言すれば第2圧縮室3bを縮小する方向に移動する場合に、第1圧縮室3aの圧力と第1ガスピストン33の面積の積が第2圧縮室3bの圧力と第2ガスピストン37の面積の積よりも大きいときは、第1圧縮室3aの圧力によって第1ガスピストン33が押し下げられ、第2駆動室2bから作動油が押し出される。また、第1ガスピストン33が上昇する、換言すれば第1圧縮室3aを縮小する方向に移動する場合に、第1圧縮室3aの圧力と第1ガスピストン33の面積の積が第2圧縮室3bの圧力と第2ガスピストン37の面積の積よりも小さいときは、第2圧縮室3bの圧力によって第2ガスピストン37が押し下げられ、第1駆動室2aから作動油が押し出される。第2駆動室2bまたは第1駆動室2aから作動油が押し出されると、両方向ポンプ71がモータとして動かされ、電動機72で電力が生成される。
【0055】
例えば、制御装置8は、交流電流を直流電流に変換する回生コンバータを含み、生成された電力をバッテリに蓄積してもよいし、他の設備へ供給してもよい。あるいは、制御装置8は、生成された電力を熱として放出してもよい。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のガス圧縮機1Aでは、両方向ポンプ71が用いられているので、両方向ポンプ71の吐出方向の切り換えによって第1駆動室2aと第2駆動室2bのどちらへ作動油を供給するかを切り換えることができる。従って、方向切換弁を用いた場合に比べて圧力損失を小さくすることができる。その結果、作動油の発熱を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、制御装置8が電動機72へ電力を供給するときと電動機72で電力が生成されるときの双方で電動機72の回転数Nを目標値Ntに保つので、第1圧縮室3aまたは第2圧縮室3bの圧力によって第2駆動室2bまたは第1駆動室2aから作動油が押し出されるときにも、ガスブースタ2Aを所望の速度で動作させることができる。
【0058】
<変形例>
図2に示す変形例のガス圧縮機1Bのように、ガスブースタ2Bの第1構造体21の第1作動室4aと第2構造体22の第3作動室4cとが油圧連通路14を通じて連通し、第2構造体22の第4作動室4dが第1駆動室2aとして機能し、第1構造体21の第2作動室4bが第2駆動室2bとして機能してもよい。
【0059】
また、図3に示す変形例のガス圧縮機1Cのように、ガスブースタ2Cの第1構造体21のガスシリンダ3Aと第2構造体22のガスシリンダ3Bとがガス供給路15およびガス排出路16により並列に接続され、ガス圧縮機1Cがガスを一段で圧縮してもよい。この場合、第2ガスピストン37の直径は第1ガスピストン33の直径と等しい。
【0060】
図3では、第1実施形態と同様に第1構造体21の第2作動室4bと第2構造体22の第4作動室4dとが油圧連通路14を通じて連通しているが、図2と同様に第1構造体21の第1作動室4aと第2構造体22の第3作動室4cとが油圧連通路14を通じて連通してもよい。
【0061】
<第2実施形態>
図4に、第2実施形態に係るガス圧縮機1Dを示す。本実施形態でも、ガス圧縮機1Dがガスを二段で圧縮するが、ガス圧縮機1Dが一軸タイプのガスブースタ2Dを含む。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0062】
具体的に、ガスブースタ2Dは、第1実施形態で説明したガスシリンダ3Aおよびガスシリンダ3Bと、ガスシリンダ3Aとガスシリンダ3Bの間に配置された油圧シリンダ4Cと、一対のロッド95,96を含む。
【0063】
ガスシリンダ3Aおよびガスシリンダ3Bは互いに反対向きで同軸上に並んでおり、油圧シリンダ4Cもガスシリンダ3Aおよびガスシリンダ3Bと同軸上に並んでいる。本実施形態では、ガスシリンダ3A,3Bおよび油圧シリンダ4Cの軸方向が横方向であるが、ガスシリンダ3A,3Bおよび油圧シリンダ4Cの軸方向は上下方向であってもよい。以下、説明の便宜上、ガスシリンダ3A側を左方、ガスシリンダ3B側を右方という。
【0064】
油圧シリンダ4Cは、油圧シリンダチューブ91、一対の油圧カバー92,93および油圧ピストン94を含む。油圧シリンダチューブ91は横方向に延びる筒状であり、油圧カバー92,93は油圧シリンダチューブ91の両側に位置する。油圧カバー92は油圧シリンダチューブ91の左側の開口を閉塞し、油圧カバー93は油圧シリンダチューブ91の右側の開口を閉塞する。油圧ピストン94は油圧シリンダチューブ91内に配置されて油圧カバー92との間に第1駆動室2aを形成するとともに油圧カバー93との間に第2駆動室2bを形成する。つまり、油圧ピストン94は、第1駆動室2aと第2駆動室2bとを仕切っている。
【0065】
本実施形態では、ガスシリンダ3Aのガスシリンダチューブ35の油圧シリンダ4C側の開口が油圧カバー92で閉塞されるとともに、ガスシリンダ3Bのガスシリンダチューブ35の油圧シリンダ4C側の開口が油圧カバー92で閉塞される。ロッド95は、第1駆動室2aを横断するとともに油圧カバー92を貫通して第1ガスピストン33と油圧ピストン94とを連結し、ロッド96は、第2駆動室2bを横断するとともに油圧カバー93を貫通して第2ガスピストン37と油圧ピストン94とを連結する。
【0066】
油圧カバー92,93は、例えば円盤状である。本実施形態では、油圧カバー92が径方向外側を向く端面上に給排ポート6eを有し、油圧カバー93が径方向外側を向く端面上に給排ポート6fを有する。ただし、給排ポート6e,6fの位置はこれに限らない。例えば、給排ポート6eが油圧シリンダチューブ91の左側部分に設けられて後述する油圧流路67が省略されてもよいし、給排ポート6fが油圧シリンダチューブ91の右側部分に設けられて後述する油圧流路68が省略されてもよい。
【0067】
油圧カバー92には、給排ポート6eと第1駆動室2aとを連通する油圧流路67が形成されており、油圧カバー93には、給排ポート6fと第2駆動室2bとを連通する油圧流路68が形成されている。
【0068】
第1実施形態と同様に、給排ポート6eは給排路73により両方向ポンプ71と接続されており、給排ポート6fは給排路74により両方向ポンプ71と接続されている。両方向ポンプ71は、第1駆動室2aと第2駆動室2bの一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する。
【0069】
両方向ポンプ71から給排路73および油圧流路67を通じて第1駆動室2aに作動油が供給されると、油圧ピストン94が右方に移動して第2駆動室2bから油圧流路68を通じて給排路74へ作動油が流出する。ガスシリンダ3Aの第1ガスピストン33およびガスシリンダ3Bの第2ガスピストン37も油圧ピストン94と共に右方に移動する。第1ガスピストン33の右方への移動によって、ガス供給路11からガス流路51を通じて第1圧縮室3aへガスが供給される。第2ガスピストン37の右方への移動によって、第2圧縮室3bでガスが少なくとも逆止弁58の下流側の圧力まで圧縮されるとともに、圧縮されたガスがガス流路57およびガス排出路13を通じて排出される。
【0070】
逆に、両方向ポンプ71から給排路74を通じて第2駆動室2bに作動油が供給されると、油圧ピストン94が左方に移動して第1駆動室2aから油圧流路67を通じて給排路73へ作動油が流出する。ガスシリンダ3Aの第1ガスピストン33およびガスシリンダ3Bの第2ガスピストン37も油圧ピストン94と共に左方に移動する。これにより、第1圧縮室3aからガス流路53、ガス連通路12およびガス流路55を通じて第2圧縮室3bへガスが供給される。このとき、第1圧縮室3aと第2圧縮室3bとの面積差によりガスが圧縮される。すなわち、第1圧縮室3aの圧力が第2圧縮室3bの圧力よりも低いときは第1圧縮室3a、ガス流路53およびガス連通路12でガスが圧縮され、第1圧縮室3aの圧力が第2圧縮室3bの圧力以上となったときに第1圧縮室3a、ガス流路53、ガス連通路12、ガス流路55および第2圧縮室3bでガスが圧縮される。
【0071】
本実施形態でも、両方向ポンプ71が用いられているので、両方向ポンプ71の吐出方向の切り換えによって第1駆動室2aと第2駆動室2bのどちらへ作動油を供給するかを切り換えることができる。従って、方向切換弁を用いた場合に比べて圧力損失を小さくすることができる。その結果、作動油の発熱を抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、制御装置8が、電動機72へ電力を供給するときと電動機72で電力が生成されるときの双方で電動機72の回転数Nを目標値Ntに保つ。このため、第1圧縮室3aまたは第2圧縮室3bの圧力によって第2駆動室2bまたは第1駆動室2aから作動油が押し出されるときにも、ガスブースタ2Dを所望の速度で動作させることができる。
【0073】
<変形例>
図5に示す変形例のガス圧縮機1Eのように、ガスブースタ2Eのガスシリンダ3Aとガスシリンダ3Bとがガス供給路17およびガス排出路18により並列に接続され、ガス圧縮機1Eがガスを一段で圧縮してもよい。この場合、第2ガスピストン37の直径は第1ガスピストン33の直径と等しい。
【0074】
<その他の実施形態>
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0075】
<まとめ>
第1の態様として、本開示は、第1の側面から、第1圧縮室、第2圧縮室、第1駆動室及び第2駆動室を含み、前記第1駆動室に作動油が供給されたときに、前記第1圧縮室にガスが供給され、前記第2圧縮室でガスが圧縮され、前記第2駆動室から作動油が流出し、前記第2駆動室に作動油が供給されたときに、前記第1圧縮室でガスが圧縮され、前記第2圧縮室にガスが供給され、前記第1駆動室から作動油が流出するガスブースタと、前記第1駆動室と前記第2駆動室の一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する両方向ポンプと、前記両方向ポンプを駆動する電動機と、前記電動機の回転数を制御する制御装置と、を備える、ガス圧縮機を提供する。
【0076】
上記の構成によれば、両方向ポンプが用いられているので、両方向ポンプの吐出方向の切り換えによって第1駆動室と第2駆動室のどちらへ作動油を供給するかを切り換えることができる。従って、方向切換弁を用いた場合に比べて圧力損失を小さくすることができる。
【0077】
第2の態様として、第1の態様において、例えば、前記ガスブースタは、前記第1圧縮室に面する第1ガスピストン、および第1作動室と第2作動室とを仕切るとともに前記第1作動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結された第1油圧ピストンを含む第1構造体と、前記第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および第3作動室と第4作動室とを仕切るとともに前記第3作動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された第2油圧ピストンを含む第2構造体と、前記第2作動室と前記第4作動室とを連通する連通路と、を含み、前記第1作動室が前記第1駆動室として機能し、前記第3作動室が前記第2駆動室として機能してもよい。
【0078】
第3の態様として、第1の態様において、例えば、前記ガスブースタは、前記第1圧縮室に面する第1ガスピストン、および第1作動室と第2作動室とを仕切るとともに前記第1作動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結された第1油圧ピストンを含む第1構造体と、前記第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および第3作動室と第4作動室とを仕切るとともに前記第3作動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された第2油圧ピストンを含む第2構造体と、前記第1作動室と前記第3作動室とを連通する連通路と、を含み、前記第4作動室が前記第1駆動室として機能し、前記第2作動室が前記第2駆動室として機能してもよい。
【0079】
第4の態様として、第1の態様において、例えば、前記ガスブースタは、前記第1圧縮室に面する第1ガスピストン、前記第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および前記第1駆動室と前記第2駆動室とを仕切るとともに、前記第1駆動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結され、かつ、前記第2駆動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された油圧ピストンを含んでもよい。
【0080】
第5の態様として、本開示は、第2の側面から、第1構造体、第2構造体および連通路を含むガスブースタであって、前記第1構造体は、第1圧縮室に面する第1ガスピストン、および第1作動室と第2作動室とを仕切るとともに前記第1作動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結された第1油圧ピストンを含み、前記第2構造体は、第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および第3作動室と第4作動室とを仕切るとともに前記第3作動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された第2油圧ピストンを含み、前記連通路は、前記第2作動室と前記第4作動室とを連通する、ガスブースタと、前記第1作動室と前記第3作動室の一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する両方向ポンプと、前記両方向ポンプを駆動する電動機と、前記電動機の回転数を制御する制御装置と、を備える、ガス圧縮機を提供する。
【0081】
第5の態様においても、第1の態様と同様に、両方向ポンプが用いられているので、両方向ポンプの吐出方向の切り換えによって第1作動室と第3作動室のどちらへ作動油を供給するかを切り換えることができる。従って、方向切換弁を用いた場合に比べて圧力損失を小さくすることができる。
【0082】
第6の態様として、本開示は、第3の側面から、第1構造体、第2構造体および連通路を含むガスブースタであって、前記第1構造体は、第1圧縮室に面する第1ガスピストン、および第1作動室と第2作動室とを仕切るとともに前記第1作動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結された第1油圧ピストンを含み、前記第2構造体は、第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および第3作動室と第4作動室とを仕切るとともに前記第3作動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された第2油圧ピストンを含み、前記連通路は、前記第1作動室と前記第3作動室とを連通する、ガスブースタと、前記第2作動室と前記第4作動室の一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する両方向ポンプと、前記両方向ポンプを駆動する電動機と、前記電動機の回転数を制御する制御装置と、を備える、ガス圧縮機を提供する。
【0083】
第5の態様においても、第1の態様と同様に、両方向ポンプが用いられているので、両方向ポンプの吐出方向の切り換えによって第2作動室と第4作動室のどちらへ作動油を供給するかを切り換えることができる。従って、方向切換弁を用いた場合に比べて圧力損失を小さくすることができる。
【0084】
第7の態様として、本開示は、第4の側面から、第1圧縮室に面する第1ガスピストン、第2圧縮室に面する第2ガスピストン、および第1駆動室と第2駆動室とを仕切るとともに、前記第1駆動室を横断するロッドにより前記第1ガスピストンと連結され、かつ、前記第2駆動室を横断するロッドにより前記第2ガスピストンと連結された油圧ピストンを含むガスブースタと、前記第1駆動室と前記第2駆動室の一方へ作動油を供給し、他方から作動油を吸入する両方向ポンプと、前記両方向ポンプを駆動する電動機と、前記電動機の回転数を制御する制御装置と、を備える、ガス圧縮機を提供する。
【0085】
第7の態様においても、第1の態様と同様に、両方向ポンプが用いられているので、両方向ポンプの吐出方向の切り換えによって第1駆動室と第2駆動室のどちらへ作動油を供給するかを切り換えることができる。従って、方向切換弁を用いた場合に比べて圧力損失を小さくすることができる。
【0086】
第8の態様として、第1乃至第7の態様の何れかにおいて、前記第2圧縮室に面する第2ガスピストンの直径は前記第1圧縮室に面する第1ガスピストンの直径よりも小さく、前記第1圧縮室から前記第2圧縮室へガスが供給されてもよい。この構成によれば、ガスを二段で圧縮することができる。
【0087】
第9の態様として、第8の態様において、前記制御装置は、前記電動機へ電力を供給するときと前記電動機で電力が生成されるときの双方で前記電動機の回転数を目標値に保ってもよい。この構成によれば、第1圧縮室または第2圧縮室の圧力によって作動油が押し出されるときにも、ガスブースタを所望の速度で動作させることができる。
【0088】
第10の態様として、第9の態様において、例えば、前記電動機で電力が生成されるときは、前記第2ガスピストンが前記第2圧縮室を縮小する方向に移動する場合の前記第1圧縮室の圧力と前記第1ガスピストンの面積の積が前記第2圧縮室の圧力と前記第2ガスピストンの面積の積よりも大きいときと、前記第1ガスピストンが前記第1圧縮室を縮小する方向に移動する場合の前記第1圧縮室の圧力と前記第1ガスピストンの面積の積が前記第2圧縮室の圧力と前記第2ガスピストンの面積の積よりも小さいときであってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1A,1B,1C,1D,1E ガス圧縮機
2A,2B,2C,2D,2E ガスブースタ
21 第1構造体
22 第2構造体
2a 第1駆動室
2b 第2駆動室
33 第1ガスピストン
37 第2ガスピストン
3a 第1圧縮室
3b 第2圧縮室
44 第1油圧ピストン
48 第2油圧ピストン
4a 第1作動室
4b 第2作動室
4c 第3作動室
4d 第4作動室
65,66 ロッド
71 両方向ポンプ
72 電動機
8 制御装置
94 油圧ピストン
95,96 ロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6