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  • 特開-クッション体 図1
  • 特開-クッション体 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126845
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】クッション体
(51)【国際特許分類】
   A47C 23/043 20060101AFI20240912BHJP
   A47C 27/04 20060101ALI20240912BHJP
   A47C 23/053 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A47C23/043
A47C27/04 Z
A47C23/053
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035553
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】507358642
【氏名又は名称】株式会社ルービックJP
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】日野 淳一
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AD02
(57)【要約】
【課題】クッション体をマットレス等の外装体に収容する際の労力や時間を減少させること。
【解決手段】本発明では、複数のポケットコイルを用いたクッション体(4)において、コイル(6)を収容した袋状のポケット部(9)を連結部(10)を介して左右に一列状に並べて連結して列状ポケットコイル(3)を形成するとともに、複数の列状ポケットコイル(3)を前後に平行に並べ、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル(3)同士を連結部(10)で接合することにした。また、本発明では、前記前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル(3)同士を前後互い違いに連結部(10)で接合することにした。さらに、本発明では、前記前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル(3)の前後及び左右に隣り合うポケット部(9)同士を接触させた状態で左右に隣り合うポケット部(9)の間の連結部(10)同士を接合することにした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポケットコイルを用いたクッション体において、
コイルを収容した袋状のポケット部を連結部を介して左右に一列状に並べて連結して列状ポケットコイルを形成するとともに、複数の列状ポケットコイルを前後に平行に並べ、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル同士を連結部で接合したことを特徴とするクッション体。
【請求項2】
前記前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル同士を前後互い違いに連結部で接合したことを特徴とする請求項1に記載のクッション体。
【請求項3】
前記前後に並ぶ複数の列状ポケットコイルの前後及び左右に隣り合うポケット部同士を接触させた状態で左右に隣り合うポケット部の間の連結部同士を接合したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクッション体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のポケットコイルを用いたクッション体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、マットレス等のクッション体として、袋状のポケット部にコイル(スプリング)を収容したポケットコイルを複数並べたものが利用されている。
【0003】
このクッション体では、コイルを収容した袋状のポケット部を帯状の連結部を介して左右に一列状に並べて連結して列状ポケットコイルを形成しており、マットレス等に使用する場合には、袋状の外装体の内部に複数の列状ポケットコイルを前後に平行に並べて収容している(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-259701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来のクッション体では、マットレス等の外装体に収容する際に、複数の列状ポケットコイルを平行に並べた状態で収容しなければならず、収容作業中に列状ポケットコイルの転倒などが発生してしまい、作業に多大な労力や時間を要していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1に係る本発明では、複数のポケットコイルを用いたクッション体において、コイルを収容した袋状のポケット部を連結部を介して左右に一列状に並べて連結して列状ポケットコイルを形成するとともに、複数の列状ポケットコイルを前後に平行に並べ、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル同士を連結部で接合することにした。
【0007】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル同士を前後互い違いに連結部で接合することにした。
【0008】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記前後に並ぶ複数の列状ポケットコイルの前後及び左右に隣り合うポケット部同士を接触させた状態で左右に隣り合うポケット部の間の連結部同士を接合することにした。
【発明の効果】
【0009】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0010】
すなわち、本発明では、複数のポケットコイルを用いたクッション体において、コイルを収容した袋状のポケット部を連結部を介して左右に一列状に並べて連結して列状ポケットコイルを形成するとともに、複数の列状ポケットコイルを前後に平行に並べ、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル同士を連結部で接合することにしているために、クッション体をマットレス等の外装体に収容する際に列状ポケットコイルが転倒することがなくなり、収容作業に要する労力や時間を減少させることができる。
【0011】
特に、前記前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル同士を前後互い違いに連結部で接合することにした場合には、複数の列状ポケットコイルで面状に接合されたクッション体を形成することができるので、より一層、収容作業に要する労力や時間を減少させることができる。
【0012】
また、前記前後に並ぶ複数の列状ポケットコイルの前後及び左右に隣り合うポケット部同士を接触させた状態で左右に隣り合うポケット部の間の連結部同士を接合することにした場合には、コイルの間の距離を近接させることができ、複数のコイルを密集させる(コイルが存在しない空間を減少させる)ことができるので、クッション体のクッション性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】マットレスを示す一部切欠平面図(a)、同一部切欠左側面図(b)。
図2】列状ポケットコイルを示す平面図(a)、正面図(b)。
図3】クッション体の形成過程を示す平面断面説明図。
図4】クッション体を示す平面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係るクッション体の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、本発明に係るクッション体をマットレスに適用した場合について説明する。
【0015】
図1に示すように、マットレス1は、矩形中空袋状の外装体2の内部に左右方向へ向けて一列に伸延する複数の列状ポケットコイル3を前後方向に平行に並べて収容している。前後に並んだ複数の列状ポケットコイル3は、連結されていて、1枚の面状のクッション体4を形成している。なお、以下の説明では、マットレス1に横臥する人の身長方向を前後方向とするとともに幅方向を左右方向とし、マットレス1に横臥する人の足側から見た状態を正面として、マットレス1に横臥する人の足側を前側(頭側を後側)として説明する。
【0016】
列状ポケットコイル3は、図2に示すように、左右方向に伸延するカバー5の内部に複数個のコイル(スプリング)6を左右に等しい間隔をあけて並べて収容している。
【0017】
カバー5は、不織布等の可撓性を有する2枚の前後側シート7,8からなり、前後側シート7,8を重ねた状態で上下左右の縁部を連結するとともに、左右方向に等しい間隔をあけて上端から下端までを上下一直線状に連結している。なお、前後側シート7,8の連結は、縫合や接着や溶剤による溶着などでもよいが、ここでは、可溶性を有する不織布同士を熱圧着することにして、接着剤の不使用により使用者に不快感を与えることなく、長期間にわたって良好に使用できるようにしている。
【0018】
このように、カバー5は、左右方向に等しい間隔をあけて上下一直線状に連結することで、カバー5の内部に、コイル6を収容した袋状(中空状)のポケット部9と、左右に隣り合うポケット部9同士を連結する連結部10とを形成している。
【0019】
コイル6は、カバー5に形成された各ポケット部9に変形方向(撓み方向)を上下にした状態で1個ずつ収容している。そのため、各ポケット部9は、何ら力が作用していない状態のコイル6と略同一の空間としている。なお、各ポケット部9の大きさを変えて異なるサイズのコイル6を収容してもよく、各ポケット部9に複数個のコイル6を上下に並べて収容してもよく、各ポケット部9を上下に複数に分割して複数個のコイル6を収容してもよい。
【0020】
列状ポケットコイル3は、以上に説明したようにして、コイル6を収容した袋状のポケット部9を連結部10を介して左右に一列状に並べて連結した構成となっている。なお、列状ポケットコイル3では、各ポケット部9とそこに収容したコイル6とによって1個のポケットコイルを形成している。
【0021】
クッション体4は、図3及び図4に示すように、左右に伸延させた複数の列状ポケットコイル3(3a,3b,3c,3d)をポケット部9の外周同士を接触させた状態で前後に平行に並べ、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル3同士(1列目の列状ポケットコイル3aと2列目の列状ポケットコイル3b、2列目の列状ポケットコイル3bと3列目の列状ポケットコイル3c、3列目の列状ポケットコイル3cと4列目の列状ポケットコイル3d、・・・)を連結部10で接合している。なお、列状ポケットコイル3の連結部10同士の接合は、縫合や接着や溶剤による溶着などでもよいが、ここでは、可溶性を有する不織布同士を熱圧着することにして、接着剤の不使用により使用者に不快感を与えることなく、長期間にわたって良好に使用できるようにしている。
【0022】
しかも、クッション体4は、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル3同士を前後互い違いに連結部10で接合している。
【0023】
たとえば、2列目の列状ポケットコイル3bに基づいて説明すると、図3に示すように、2列目の列状ポケットコイル3bの左から1番目のポケット部9b-1と2番目のポケット部9b-2との間の連結部10b-1は、前側の1列目の列状ポケットコイル3aの左から1番目のポケット部9a-1と2番目のポケット部9a-2との間の連結部10a-1と接合される。2列目の列状ポケットコイル3bの左から2番目のポケット部9b-2と3番目のポケット部9b-3との間の連結部10b-2は、後側の3列目の列状ポケットコイル3cの左から2番目のポケット部9c-2と3番目のポケット部9c-3との間の連結部10c-2と接合される。2列目の列状ポケットコイル3bの左から3番目のポケット部9b-3と4番目のポケット部9b-4との間の連結部10b-3は、前側の1列目の列状ポケットコイル3aの左から3番目のポケット部9a-3と4番目のポケット部9a-4との間の連結部10a-3と接合される。2列目の列状ポケットコイル3bの左から4番目のポケット部9b-4と5番目のポケット部9b-5との間の連結部10b-4は、後側の3列目の列状ポケットコイル3cの左から4番目のポケット部9c-4と5番目のポケット部9c-5との間の連結部10c-4と接合される。この接合を全ての列状ポケットコイル3で行っている。
【0024】
このように、クッション体4は、各列状ポケットコイル3の左右に並ぶ連結部10を前側に位置する連結部10(前側の列状ポケットコイル3の連結部10)と後側に位置する連結部(後側の列状ポケットコイル3の連結部10)とに交互に接合していくことで、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル3の連結部10同士が千鳥状に接合されるようにして、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル3同士を前後互い違いに連結部10で接合している。
【0025】
さらに、クッション体4は、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル3の前後及び左右に隣り合うポケット部9同士を接触させた状態で左右に隣り合うポケット部9の間の連結部10同士を接合している。
【0026】
たとえば、前後に並ぶ1列目と2列目の列状ポケットコイル3a,3bについて説明すると、図4に示すように、1列目の列状ポケットコイル3aの左右に隣り合う左から1番目のポケット部9a-1と左から2番目のポケット部9a-2の外周同士を接触させるとともに、2列目の列状ポケットコイル3bの左右に隣り合う左から1番目のポケット部9b-1と左から2番目のポケット部9b-2の外周同士を接触させ、さらに、1列目の列状ポケットコイル3aの左から1番目のポケット部9a-1と前後に隣り合う2列目の列状ポケットコイル3bの左から1番目のポケット部9b-1の外周同士を接触させるとともに、1列目の列状ポケットコイル3aの左から2番目のポケット部9a-2と前後に隣り合う2列目の列状ポケットコイル3bの左から2番目のポケット部9b-2の外周同士を接触させた状態で、左右に隣り合う1列目の列状ポケットコイル3aの左から1番目のポケット部9a-1と左から2番目のポケット部9a-2の間の連結部10a-1と、左右に隣り合う2列目の列状ポケットコイル3aの左から1番目のポケット部9b-1と左から2番目のポケット部9b-2の間の連結部10b-1とを接合している。なお、2列目の列状ポケットコイル3bに基づいて説明すると、図4に示すように、2列目の列状ポケットコイル3bの左から2番目のポケット部9b-2は、前側に隣り合う1列目の列状ポケットコイル3aの左から2番目のポケット部9a-2と、後側に隣り合う3列目の列状ポケットコイル3cの左から2番目のポケット部9c-2と、左側に隣り合う2列目の列状ポケットコイル3bの左から1番目のポケット部9b-1と右側に隣り合う2列目の列状ポケットコイル3bの左から3番目のポケット部9b-3と接触させた状態で、2列目の列状ポケットコイル3bの左から2番目のポケット部9b-2の左右に形成された連結部10b-1,10b-2を接合している。
【0027】
このように、クッション体4は、前後及び左右に隣り合うポケット部9の外周同士を密集(密着)させた状態で、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル3の連結部10同士を接合することで、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル3の前後及び左右に隣り合うポケット部9の外周同士を接触させた状態で左右に隣り合うポケット部9の間の連結部10同士を接合している。
【0028】
なお、クッション体4は、列状ポケットコイル3の連結部10を上端から下端まで上下一直線状に連結してもよく、上方又は/及び下方にスリット状の切欠を形成して、ポケット部9の上下長さよりも連結部10の上下長さを短くしてもよい。この場合、連結部10の上下長さを、コイル6を最も縮めた時のコイル6の上下の長さよりも長くすることも短くすることもできる。
【0029】
以上に説明したように、上記クッション体4は、コイル6を収容した袋状のポケット部9を連結部10を介して左右に一列状に並べて連結して列状ポケットコイル3を形成するとともに、複数の列状ポケットコイル3を前後に平行に並べ、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル3同士を連結部10で接合した構成となっている。
【0030】
そのため、上記構成のクッション体4では、クッション体4をマットレス1等の外装体2に収容する際に列状ポケットコイル3が転倒することがなくなり、収容作業に要する労力や時間を減少させることができる。
【0031】
しかも、上記構成のクッション体4では、前後に並ぶ列状ポケットコイル3同士が接合されることで、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル3の複数のコイル6が連係して荷重を受けることになり、寝心地や座り心地などのクッション性を向上させることができる。
【0032】
また、上記クッション体4は、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル3同士を前後互い違いに連結部10で接合した構成となっている。
【0033】
そのため、上記構成のクッション体4では、複数の列状ポケットコイル3で面状に接合されたクッション体4を形成することができるので、より一層、収容作業に要する労力や時間を減少させ、クッション性を向上させることができる。
【0034】
また、上記クッション体4は、前後に並ぶ複数の列状ポケットコイル3の前後及び左右に隣り合うポケット部9同士を接触させた状態で左右に隣り合うポケット部9の間の連結部10同士を接合した構成となっている。
【0035】
そのため、上記構成のクッション体4では、コイル6の間の距離を近接させることができ、複数のコイル9を密集させる(コイル9が存在しない空間を減少させる)ことができるので、クッション体4のクッション性を更に向上させることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 マットレス 2 外装体
3 列状ポケットコイル 4 クッション体
5 カバー 6 コイル
7,8 前後側シート 9 ポケット部
10 連結部
図1
図2
図3
図4