(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126850
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】三次元情報処理装置及び三次元情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 13/128 20180101AFI20240912BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240912BHJP
H04N 13/194 20180101ALI20240912BHJP
H04N 13/178 20180101ALI20240912BHJP
G03B 35/18 20210101ALI20240912BHJP
【FI】
H04N13/128
H04N23/60 500
H04N13/194
H04N13/178
G03B35/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035558
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏秀
(72)【発明者】
【氏名】後町 修
(72)【発明者】
【氏名】吉川 浩
(72)【発明者】
【氏名】▲鮭▼川 達弘
(72)【発明者】
【氏名】杉山 友樹
【テーマコード(参考)】
2H059
5C061
5C122
【Fターム(参考)】
2H059AC06
5C061AB06
5C061AB08
5C122EA68
5C122FA04
5C122FD03
5C122FE03
5C122FG03
5C122FH02
5C122FH07
5C122FH08
5C122FK21
5C122FK23
5C122GA34
5C122HA08
5C122HA88
(57)【要約】
【課題】カメラにより取得された三次元情報を好適に伝送する。
【解決手段】三次元情報処理装置は、二次元画像及び三次元情報を取得する三次元情報取得装置から情報を取得し、取得した二次元画像の一部の画素値を変更した二次元画像及び取得した三次元情報より量子化ビット数の小さい三次元情報を生成し、生成した情報を三次元情報表示装置に対して出力する三次元情報処理装置であって、三次元情報取得装置が三次元情報として取得可能な深さ方向の深度のうち三次元情報表示装置に表示させる深度の幅を指定する深度指定部と、三次元情報取得装置から取得された三次元情報の深度を示す量子化ビット数を、深度指定部により指定された深度の幅に基づいて低ビットに変換する変換部と、三次元情報取得装置から取得した二次元画像の画素に対応する深度が、深度指定部により指定された深度の幅から外れていた場合に、当該画素の画素値を変更する範囲外処理部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元画像及び三次元情報を取得する三次元情報取得装置から情報を取得し、取得した二次元画像の一部の画素値を変更した二次元画像及び取得した三次元情報より量子化ビット数の小さい三次元情報を生成し、生成した情報を三次元情報表示装置に対して出力する三次元情報処理装置であって、
前記三次元情報取得装置が三次元情報として取得可能な深さ方向の情報である深度のうち前記三次元情報表示装置に表示させる深度の幅を指定する深度指定部と、
前記三次元情報取得装置から取得された三次元情報の深度の分解能を示す量子化ビット数を、前記深度指定部により指定された深度の幅に基づいて低ビットに変換する変換部と、
前記三次元情報取得装置から取得した二次元画像の画素に対応する前記深度が、前記深度指定部により指定された深度の幅から外れていた場合に、当該画素の画素値を変更する範囲外処理部と、
を備える三次元情報処理装置。
【請求項2】
前記深度指定部は、前記三次元情報表示装置に表示させる深度のうち手前側までの距離を示す最小値、及び奥側までの距離を示す最大値により、前記三次元情報表示装置に表示させる深度の幅を指定し、
前記範囲外処理部は、二次元画像の画素値を、前記最小値又は最大値と、当該画素に対応する深度とに応じた色に変換する
請求項1に記載の三次元情報処理装置。
【請求項3】
前記三次元情報処理装置は、一連の動画像データに含まれる複数の異なるフレーム画像についての二次元画像及び三次元情報についての処理を行い、
前記深度指定部は、第1のフレーム画像について適用される第1の深度の幅と、第2のフレーム画像について適用される第2の深度の幅と、前記第1の深度の幅から前記第2の深度の幅までの移行スピードとを指定する、
請求項1又は請求項2に記載の三次元情報処理装置。
【請求項4】
前記深度指定部により指定された前記第1の深度の幅、前記第2の深度の幅、及び前記移行スピードに基づいて、二次元画像をズーム処理する第1電子ズーム部と、
前記深度指定部により指定された前記第1の深度の幅、前記第2の深度の幅、及び前記移行スピードに基づいて、三次元情報をズーム処理する第2電子ズーム部と、
を更に備え、
前記三次元情報処理装置は、一連の動画像データに含まれる複数の異なるフレーム画像であって、ズーム倍率が互いに異なる前記フレーム画像の二次元画像及び三次元情報についての処理を行い、
前記第1電子ズーム部は、二次元画像のズーム倍率に応じた焦点距離に基づいたズーム処理を行い、
前記第2電子ズーム部は、二次元画像のズーム倍率に応じた焦点距離に基づいたズーム処理を行う、
請求項3に記載の三次元情報処理装置。
【請求項5】
二次元画像及び三次元情報を取得する三次元情報取得装置から情報を取得し、取得した二次元画像の一部の画素値を変更した二次元画像及び取得した三次元情報より量子化ビット数の小さい三次元情報を生成し、生成した情報を三次元情報表示装置に対して出力する三次元情報処理方法であって、
前記三次元情報取得装置が三次元情報として取得可能な深さ方向の情報である深度のうち前記三次元情報表示装置に表示させる深度の幅を指定する深度指定工程と、
前記三次元情報取得装置から取得された三次元情報の深度を示す量子化ビット数を、前記深度指定工程により指定された深度の幅に基づいて低ビットに変換する変換工程と、
前記三次元情報取得装置から取得した二次元画像の画素に対応する深度が、前記深度指定工程により指定された深度の幅から外れていた場合に、当該画素の画素値を変更する範囲外処理工程と、
を有する三次元情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元情報処理装置及び三次元情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高解像度な立体映像を表示する技術分野において、ディスプレイを見るユーザの視点に応じて、角度や向きが異なる映像を出力する技術があった。このような技術を用いることにより、ユーザはゴーグル等のウェアラブルデバイスを用いることなく、裸眼でディスプレイを見た場合であっても、高解像度な立体映像を見ることができる。このような技術を用いた製品は裸眼3Dディスプレイと呼ばれており、既に製品化されているものもある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような技術を用いた裸眼3Dディスプレイは、安全性の観点から、深さ方向の飛び出しや奥行の解像度を保ったまま立体視に対応できる距離幅が、10~50[cm(センチメートル)]程度に制限されている場合がある。一方、このような裸眼3Dディスプレイを用いて表示させるコンテンツを取得可能なカメラ(RGB映像と同時に距離情報を取得可能なカメラ)によれば、例えば500[mm(ミリメートル)]~5[m(メートル)]の範囲で測距可能である。
【0005】
上述したようなカメラを用いて取得したRGBDデータに基づき、裸眼3Dディスプレイに立体映像を表示させようとした場合、カメラにより測距された距離情報の範囲に比べて、裸眼3Dディスプレイにより表示可能な距離情報の範囲が狭いため、実際にカメラで捉えた被写体の大きさをそのまま再現できないといった問題があった。
【0006】
例えば、測距された広い奥行き方向の範囲を狭い奥行き範囲におさまるように二次元画像(RGB映像)の大きさを合わせて裸眼3Dディスプレイに表示させることも考えられるが、この場合、奥行き方向と交わる方向に小さく圧縮された3D映像となってしまうといった問題があった。また、カメラにより測距され、裸眼3Dディスプレイに伝送された広い奥行き方向の情報のうち一部のみを裸眼3Dディスプレイに表示させることも考えられる。この場合、伝送されたデータのうち一部のみしか使用しないため、不要なデータを送信することになってしまうといった問題があった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、カメラにより取得された三次元情報を好適に伝送可能な三次元情報処理装置及び三次元情報処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明の一態様は、二次元画像及び三次元情報を取得する三次元情報取得装置から情報を取得し、取得した二次元画像の一部の画素値を変更した二次元画像及び取得した三次元情報より量子化ビット数の小さい三次元情報を生成し、生成した情報を三次元情報表示装置に対して出力する三次元情報処理装置であって、前記三次元情報取得装置が三次元情報として取得可能な深さ方向の情報である深度のうち前記三次元情報表示装置に表示させる深度の幅を指定する深度指定部と、前記三次元情報取得装置から取得された三次元情報の深度の分解能を示す量子化ビット数を、前記深度指定部により指定された深度の幅に基づいて低ビットに変換する変換部と、前記三次元情報取得装置から取得した二次元画像の画素に対応する前記深度が、前記深度指定部により指定された深度の幅から外れていた場合に、当該画素の画素値を変更する範囲外処理部と、を備える三次元情報処理装置である。
【0009】
[2]また、本発明の一態様は、上記[1]に記載の三次元情報処理装置において、前記深度指定部は、前記三次元情報表示装置に表示させる深度のうち手前側までの距離を示す最小値、及び奥側までの距離を示す最大値により、前記三次元情報表示装置に表示させる深度の幅を指定し、前記範囲外処理部は、二次元画像の画素値を、前記最小値又は最大値と、当該画素に対応する深度とに応じた色に変換するものである。
【0010】
[3]また、本発明の一態様は、上記[1]又は[2]に記載の三次元情報処理装置において、前記三次元情報処理装置は、一連の動画像データに含まれる複数の異なるフレーム画像についての二次元画像及び三次元情報についての処理を行い、前記深度指定部は、第1のフレーム画像について適用される第1の深度の幅と、第2のフレーム画像について適用される第2の深度の幅と、前記第1の深度の幅から前記第2の深度の幅までの移行スピードとを指定するものである。
【0011】
[4]また、本発明の一態様は、上記[1]から[3]のいずれかに記載の三次元情報処理装置は、前記深度指定部により指定された前記第1の深度の幅、前記第2の深度の幅、及び前記移行スピードに基づいて、二次元画像をズーム処理する第1電子ズーム部と、前記深度指定部により指定された前記第1の深度の幅、前記第2の深度の幅、及び前記移行スピードに基づいて、三次元情報をズーム処理する第2電子ズーム部と、を更に備え、前記三次元情報処理装置は、一連の動画像データに含まれる複数の異なるフレーム画像であって、ズーム倍率が互いに異なる前記フレーム画像の二次元画像及び三次元情報についての処理を行い、前記第1電子ズーム部は、二次元画像のズーム倍率に応じた焦点距離に基づいたズーム処理を行い、前記第2電子ズーム部は、二次元画像のズーム倍率に応じた焦点距離に基づいたズーム処理を行うものである。
【0012】
[5]また、本発明の一態様は、二次元画像及び三次元情報を取得する三次元情報取得装置から情報を取得し、取得した二次元画像の一部の画素値を変更した二次元画像及び取得した三次元情報より量子化ビット数の小さい三次元情報を生成し、生成した情報を三次元情報表示装置に対して出力する三次元情報処理方法であって、前記三次元情報取得装置が三次元情報として取得可能な深さ方向の情報である深度のうち前記三次元情報表示装置に表示させる深度の幅を指定する深度指定工程と、前記三次元情報取得装置から取得された三次元情報の深度を示す量子化ビット数を、前記深度指定工程により指定された深度の幅に基づいて低ビットに変換する変換工程と、前記三次元情報取得装置から取得した二次元画像の画素に対応する深度が、前記深度指定工程により指定された深度の幅から外れていた場合に、当該画素の画素値を変更する範囲外処理工程と、を有する三次元情報処理方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カメラにより取得された三次元情報を好適に伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態1に係る三次元情報表示システムの概略について説明するための図である。
【
図2】実施形態1に係る三次元情報取得装置及び三次元情報処理装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。
【
図3】実施形態1に係る距離範囲取得画面の画面構成の一例を示す図である。
【
図4】実施形態1に係る三次元情報取得装置により取得される距離情報とz軸との関係について説明するための図である。
【
図5】実施形態1に係るD-z変換部による変換処理について説明するための図である。
【
図6】実施形態1に係る三次元情報表示装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。
【
図7】実施形態1に係る視差計算について説明するための図である。
【
図8】実施形態1に係る透視投影について説明するための図である。
【
図9】実施形態2に係るぼかし設定画面の画面構成の一例を示す図である。
【
図10】実施形態2に係る範囲外処理部及びz値制限部の機能構成の一例を示す機能構成図である。
【
図11】実施形態3に係る距離範囲取得画面の画面構成の一例を示す図である。
【
図12】実施形態4に係る三次元情報取得装置及び三次元情報処理装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。
【
図13】実施形態4に係る距離範囲取得画面の画面構成の一例を示す図である。
【
図14】実施形態5に係る三次元情報取得装置及び三次元情報処理装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。
【
図15】実施形態5に係るRGBDカメラの断面の一例について説明するための模式図である。
【
図16】実施形態5に係る可視光反射ダイクロイック膜の反射分光特性の一例を示す図である。
【
図17】実施形態6に係る三次元情報表示システムの機能構成の一例を示す機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の態様に係る三次元情報処理装置及び三次元情報処理方法について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0016】
[実施形態1]
以下、
図1から
図8を参照しながら、実施形態1について説明する。
【0017】
図1は、実施形態1に係る三次元情報表示システムの概略について説明するための図である。同図を参照しながら、三次元情報表示システム1の概略について説明する。三次元情報表示システム1は、被写体の三次元情報を取得し、取得した三次元情報を、裸眼により認識可能な三次元情報として表示する。三次元情報表示システム1は、三次元情報取得システム10と、情報処理装置20と、三次元情報表示装置30とを備える。
【0018】
三次元情報取得システム10は、三次元情報取得装置110と、三次元情報処理装置120とを備える。三次元情報取得装置110は、被写体の二次元画像及び距離画像を取得する。三次元情報取得装置110は、例えばRGBDカメラであってもよい。三次元情報取得装置110は、RGBの各色情報と距離情報(Depth情報)とを水平及び垂直方向にビデオ信号のように同期して取得する。三次元情報取得装置110は、被写体までの距離を、例えば0.5~5[m]と広い範囲で測距することができる。三次元情報取得装置110は、測距した結果として得られる距離情報を、例えば16ビットの情報として取得する。三次元情報処理装置120は、広い範囲で測距された距離情報を、情報処理装置20により指定された距離範囲に応じて加工し、三次元情報表示装置30に出力する。情報処理装置20により加工された情報は、取得された量子化ビット数(例えば16ビット)より小さいビット数(例えば8ビット)であってもよい。三次元情報取得装置110は、情報処理装置20により指定された距離範囲に応じて、更に二次元画像情報を加工し、三次元情報表示装置30に出力する。二次元画像情報の加工とは、具体的には、二次元画像の一部の画素値を変更する処理であってもよい。
【0019】
情報処理装置20は、不図示の表示部、操作取得部、及びUSB通信部等を備える。情報処理装置20は、具体的にはパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等であってもよい。情報処理装置20は、三次元情報取得システム10及び三次元情報表示装置30と所定の通信方法により接続される。所定の通信方法とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)接続等であってもよい。情報処理装置20は、ユーザから距離範囲の指定操作を受け付け、当該操作により指定された距離範囲を三次元情報取得システム10及び三次元情報表示装置30に出力する。
【0020】
三次元情報表示装置30は、三次元情報取得システム10からRGB信号を取得する。三次元情報取得システム10から送信されるRGB信号は、裸眼3Dディスプレイにより表示可能な左目用のRGB画像と、右目用のRGB画像とが含まれていてもよい。また、三次元情報表示装置30は、三次元情報取得システム10から距離情報を取得する。三次元情報取得システム10から送信される距離情報は、三次元情報取得装置110により取得される距離情報より量子化ビット数が小さい低ビットの情報であり、例えば8ビットの情報であってもよい。また、三次元情報表示装置30は、情報処理装置20により指定された距離範囲に応じて、裸眼で認識可能な三次元情報を表示する。三次元情報表示装置30は、例えば裸眼3Dディスプレイを含んでいてもよい。
【0021】
図2は、実施形態1に係る三次元情報取得装置及び三次元情報処理装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、三次元情報取得装置110及び三次元情報処理装置120の機能構成の詳細について説明する。
【0022】
まず、三次元情報取得装置110の機能構成の一例について説明する。三次元情報取得装置110は、レーザーダイオードアレイVCSEL111と、RGBカメラ112と、TOF(Time Of Flight)カメラ116とを備える。RGBカメラ112は、レンズ113と、イメージセンサ(RGBセンサ)114と、RGBプロセス115とを備える。TOFカメラ116は、レンズ117と、TOFセンサ118と、TOFプロセス119とを備える。
【0023】
レーザーダイオードアレイVCSEL111は、例えば波長が940[nm(ナノメートル)]の赤外光を被写体50に照射する。レーザーダイオードアレイVCSEL111は、例えば、垂直方向にレーザービームを放射可能なVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、垂直共振器型面発光レーザー)等であってもよい。以下の説明において、レーザーダイオードアレイVCSEL111を、照射部と記載する場合がある。被写体50に照射され、反射した赤外光は、レンズ117に入射する。レンズ117に入射した赤外光は、TOFセンサ118により受光される。TOFセンサ118により受光された光は電気信号に変換され、TOFプロセス119により距離データ(距離情報)に変換される。TOFプロセス119は、0.5[m]~5[m]の範囲の距離データを、16ビットの距離情報である距離Dcam[15:0]として三次元情報処理装置120に出力する。
【0024】
レンズ113には、可視光の環境光が入射する。レンズ113に入射した光は、イメージセンサ114により受光される。イメージセンサ114により受光された光は電気信号に変換され、RGBプロセス115により、既存のホワイトバランスやガンマ処理などのカメラプロセスが行われる。RGBプロセス115は、カメラプロセスが行われた後の信号を、8ビットのRcam[7:0]、Gcam[7:0]、及びBcam[7:0]として三次元情報処理装置120に出力する。
【0025】
次に、三次元情報処理装置120の機能構成の一例について説明する。三次元情報処理装置120は、z方向深さ幅指定部121と、MAX値z-d変換部122と、MIN値z-d変換部123と、D-z変換部124と、z値制限部125と、範囲制限変換部126と、範囲外処理部127と、データ追加部128とを備える。
【0026】
z方向深さ幅指定部121は、三次元情報取得装置110が三次元情報として取得可能な深さ(深度)のうち、三次元情報表示装置30に表示させる深さの幅を指定する。z方向深さ幅指定部121は、具体的には、情報処理装置20と所定の通信方法により接続される。所定の通信方法とは、例えば、USB接続等であってもよい。z方向深さ幅指定部121は、情報処理装置20から、表示対象となる距離範囲についての情報を、Dwidthとして取得する。情報処理装置20は、ユーザからの入力操作を取得することにより、表示対象となる距離範囲についての情報を取得する。なお、以下の説明において、z方向深さ幅指定部121を深度指定部と記載する場合がある。
【0027】
図3は、実施形態1に係る距離範囲取得画面の画面構成の一例を示す図である。同図を参照しながら、情報処理装置20により表示される表示画面D10の画面構成の一例について説明する。図示するように、表示画面D10には、TOFカメラ測距範囲が示される。TOFカメラ測距範囲とは、三次元情報取得装置110により取得可能な距離情報のz方向成分の範囲である。図示する一例では、TOFカメラ測距範囲として、0.5~5[m]が表示されている。ユーザは、距離データ表示範囲設定画面において、TOFカメラ測距範囲の中で、三次元情報表示装置30にどの範囲を表示させるかを設定する。
【0028】
距離データ表示範囲設定部は、ユーザ設定最小距離設定部と、ユーザ設定最大距離設定部と、ディスプレイ飛び出し量設定部とを備える。ユーザは、キーボード等の入力デバイスを操作することにより、ユーザ設定最小距離、ユーザ設定最大距離、及びディスプレイ飛び出し量を設定する。ユーザ設定最小距離とは、三次元情報取得装置110により取得された距離情報のz方向成分の範囲のうち三次元情報表示装置30により表示させる最小距離(すなわち、ユーザからz方向に見て手前側の距離)である。ユーザ設定最大距離とは、三次元情報取得装置110により取得された距離情報のz方向成分の範囲のうち三次元情報表示装置30により表示させる最大距離(すなわち、ユーザからz方向に見て奥側の距離)である。ディスプレイ飛び出し量とは、ユーザ設定最小距離とユーザ設定最大距離により設定された範囲(又は幅)の、三次元情報表示装置30のディスプレイからの飛び出し量を設定する。
【0029】
図2に戻り、z方向深さ幅指定部121は、取得したユーザ設定最大距離をzMAX値としてMAX値z-d変換部122に出力し、取得したユーザ設定最小距離をzMIN値としてMIN値z-d変換部123に出力する。
【0030】
図4は、実施形態1に係る三次元情報取得装置110により取得される距離情報とz軸との関係について説明するための図である。同図を参照しながら、三次元情報取得装置110により取得される距離情報とz軸との関係、並びにMAX値z-d変換部122及びMIN値z-d変換部123により行われる詳細な演算の一例について説明する。同図は、TOFセンサ118を水平方向及び垂直方向のそれぞれに見た場合の模式図を示す。
図4(A)は、xz平面(水平方向)の模式図を示し、
図4(B)は、yz平面(垂直方向)の模式図を示す。
【0031】
本実施形態において、表示画面D10からユーザにより入力される値は、ユーザにとって直感的にわかりやすくするため、z方向の距離として入力されるようにしている。しかしながら三次元情報取得装置110から得られる距離Dcamは、図示するように、TOFセンサ118の有効エリアの寸法hs及びvsと、焦点距離fx及びfyとにより決まる画角FOVh、FOVvの中での被写体の一点からTOFセンサ118の一点までの距離になる。ずなわち、三次元情報取得装置110から得られる距離Dcamとは、焦点距離(z=0)を中心とする円弧状の距離となり、TOFセンサ118の面と垂直に交わるz軸上での距離とは異なる。
【0032】
ここで、表示対象最小距離Dminの求め方について説明する。まず、レンズの特性等からfx及びfyの焦点距離は既知である。またz方向の原点0は、図示するz=0の点となる。ユーザにより設定された最小距離zMINに基づいた場合、TOFセンサ118により測距される距離Dcamのうち最小となる距離は、光軸にあたるセンサ画面中央からzMINまでの値となる。距離Dcamのうちxz平面において最小となる距離を、Dminhとして、
図4(A)に示す。この場合、Dminhは、次の(1)式として得られる。
【0033】
Dminh=fx+zMIN・・・(1)
【0034】
同様に、距離Dcamのうちyz平面において最小となる距離を、Dminvとして、
図4(B)に示す。この場合、Dminvは、次の(2)式として得られる。
【0035】
Dminv=fy+zMIN・・・(2)
【0036】
Dminは三次元情報取得装置110が取得した被写体の二次元画像の画面中央であるので(換言すれば、DminはTOFセンサ118の中心点と垂直に交わる線であるので)、水平方向であるか及び垂直方向であるかは関係ない。したがって、DminをDminhとDminvの平均とすると、次の(3)式を得ることができる。
【0037】
Dmin=(Dminh+Dminv)/2・・・(3)
【0038】
上述した(1)~(3)の計算は、
図2に示したMIN値z-d変換部123により行われるものである。
【0039】
次に、表示対象最大距離Dmaxの求め方について説明する。Dmaxはz=zMAXのときに、距離が最も大きく出る距離情報となるので、センサ画面の四隅のいずれか1点から表示画面において対応する点の対角に位置する1点までの距離となる。まず、表示画面における水平方向の距離Ha及び垂直方向の距離Vaは次の(4)式及び(5)式を用いて求めることができる。
【0040】
Ha=zMAX/fx×hs・・・(4)
【0041】
Va=zMAX/fy×vs・・・(5)
【0042】
ここで、hsとは、
図4(A)に示す通り、TOFセンサ118の有効エリアの水平方向の距離である。TOFセンサ118のピクセル間のピッチをSp[mm]とし、水平画素数(ピクセル数)をshallとすると、hsは、次の(6)式により得ることができる。
【0043】
hs=shall×Sp・・・(6)
【0044】
垂直方向についても同様に、vsとは、
図4(B)に示す通り、TOFセンサ118の有効エリアの垂直方向の距離である。TOFセンサ118のピクセル間のピッチをSp[mm]とし、垂直画素数(ピクセル数)をsvallとすると、vsは、次の(7)式により得ることができる。
【0045】
vs=svall×Sp・・・(7)
【0046】
Dmaxを求めるには、TOFセンサ118からの三次元ベクトルを用いて求めることになる。したがって、Dmaxは、次の(8)式により得ることができる。
【0047】
Dmax=SQRT((Ha/2)^2+(Va/2)^2+zMAX^2)+SQRT((hs/2)^2+(vs/2)^2+((fx+fy)/2)^2)・・・(8)
【0048】
上述した(4)~(8)の計算は、
図2に示したMIN値z-d変換部123により行われるものである。
【0049】
図2に戻り、D-z変換部124の詳細な説明を行う。D-z変換部124は、三次元情報取得装置110により得られた距離Dcamを、z方向距離に変換する。D-z変換部124により行われる変換処理には、OPEN CV等のライブラリを用いてもよいし、
図5を参照しながら説明する以下の計算方法を用いてもよい。
【0050】
図5は、実施形態1に係るD-z変換部124による変換処理について説明するための図である。同図を参照しながら、D-z変換部124により行われる変換処理の詳細について説明する。
図5(A)は、三次元情報取得装置110により得られた距離Dcamをz方向距離に変換する一つの例として、ピンホールモデルに変換された水平の焦点距離fxに対して示した図である。同図は、xz平面を示す。
図5(B)は、三次元情報取得装置110により得られた距離Dcamをz方向距離に変換する一つの例として、ピンホールモデルに変換された垂直の焦点距離fyに対して示した図である。同図はyz平面を示す。
【0051】
TOFセンサ118は、ピクセル単位でスキャンを行う。TOFセンサ118は、水平方向に1ライン分のスキャンを行った後、垂直方向における次のラインを水平方向にスキャンするセンサである。すなわちTOFセンサ118は、順次スキャンセンサである。
図5を参照しながら、被写体50が存在する点Pを、TOFセンサ118のピクセルSにより捉えたときに、ピクセルSから点Pまでのz方向距離を、TOFセンサ118の出力から演算して得る方法について説明する。なお、以下の説明において、TOFセンサ118のピクセルSが位置する点をS点と呼ぶ。
【0052】
距離Dcamをz方向距離に置き換える場合、z方向の原点をピンホールモデルのレンズの中心位置(x=0、y=0、z=0)として、距離Dcamを当該中心位置からのx、y及びzそれぞれの距離データとすると、P点のx座標は
図5(A)に示すPxの距離となり、P点のy座標は
図5(B)に示すPyの距離となる。TOFセンサ118のピクセル配列が正方ピクセルの配列であるとし、ピクセル間のピッチがSp[mm]、水平方向にTOFセンサ118の水平中央からshピクセル離れたS点の実距離をSx[mm]とすると、Sxは、次の(9)式により得ることができる。
【0053】
Sx=Sh×Sp・・・(9)
【0054】
同様に、垂直方向にTOFセンサ118の垂直中央からsvピクセル離れたS点の実距離をSy[mm]とすると、Syは、次の(10)式により得ることができる。
【0055】
Sy=Sv×Sp・・・(10)
【0056】
図5(A)において、TOFセンサ118のSピクセルを含むSdx、Sx、及びfxの辺から構成される三角形と、被写体観測点P点を含むPdx,Px,及びPzの辺から構成される三角形とは相似の関係を有する。PdxとPzの間の角度をΘxとすると、点群変換後の距離Px及びPzは、次のように求められる。まず、点Pが
図5(B)のようにレンズ光軸に対して垂直方向にΘy傾いた位置の被写体とした場合、測距された距離Dcamを
図5(A)におけるxz平面で表すと、距離Dcamは距離dxに変換される。また、dxは、次の(11)式により得ることができる。
【0057】
dx=Dcam×COS(Θy)・・・(11)
Θy=ATAN(Sy/fy)
【0058】
ここで、以下の式に基づき、Pzを求めることができる。
【0059】
Θx=ATAN(Sx/fx)・・・(12)
【0060】
Sdx=fx/COS(Θx)・・・(13)
Pdx=dx-Sdx・・・(14)
Pz=Pdx×COS(Θx)・・・(15)
【0061】
なお、(15)式に示したPzが、D-z変換部124により計算されるzに相当するものである。
図2に戻り、D-z変換部124は、計算により求めたzを、z値制限部125に出力する。
【0062】
z値制限部125は、(15)式により得られたzの距離が、zMINからzMAXの範囲内かどうかを判断して、KEY信号を出力する。KEY信号とは、以下の(16)式により求められるzkeyの値である。
【0063】
z>=zMINかつz<=zMAXであれば、zkey=1
z<zMINであればzkey=0
z>zMAXであればzkey=2・・・(16)
【0064】
このKEY信号は、ピクセルごとに計算される。また、このKEY信号は、0から2を示す2ビットの信号であってもよい。また、Rcam、Gcam、Bcam及びDcamと、ピクセルとは、時間軸で同期されている。
【0065】
次に、範囲制限変換部126について説明をする。範囲制限変換部126は、三次元情報取得装置110から取得された三次元情報の深度の分解能を示す量子化ビット数を、z方向深さ幅指定部121により指定された深さの幅に基づいて、低ビットに変換する。具体的には、範囲制限変換部126は、16ビットの深度情報である距離データDcam[15:0]を、8ビットの深度情報に変換する。より詳細には、範囲制限変換部126は、三次元情報取得装置110により取得された16ビットの深度情報のうち、ユーザにより設定された幅の部分を、8ビットの分解能に割り当てる。以下、16ビットの距離データDcam[15:0]が、8ビットの分解能に割り当てられた距離データをD[7:0]と記載する。
【0066】
範囲制限変換部126は、具体的には、上述した(3)式により得られたDmin、及び(8)式により得られたDmaxに基づき、TOFカメラ116により取得された16ビットの距離データDcam[15:0]を8ビットの深度情報である距離データD[7:0]に変換する。なお、以下の説明において、範囲制限変換部126を単に変換部と記載する場合がある。以下、Dmin及びDmaxに基づき、Dcam[15:0]からD[7:0]への変換について説明する。
【0067】
ここで、計算に用いる値を以下のように定義する。
【0068】
カメラ16BIT測距コード値:Dcam
カメラ測距BIT数:CamD_BIT=16
カメラ取得最小距離[m]:CamD_Min=0.5
カメラ取得最大距離[m]:CamD_Max=5
カメラDEPTH出力BIT数:CamDOut_BIT=8
ユーザ設定最小距離[m]:Dmin
ユーザ設定最大距離[m]:Dmax
【0069】
距離データDcamの16ビットデータは、1code値あたり0.1[mm]で設定されて出力されている場合の例を示す。カメラ取得最小値距離CamD_Min=0.5[m]とカメラ取得最大距離CamD_Max=5[m]を、16ビットの距離データDcamの取りうる範囲である0~(2^CamD_BIT)―1の範囲に一度変換すると、1ビットあたりの距離CamD1bitは、次の(17)式により得ることができる。
【0070】
CamD1bit=(CamD_Max―CamD_Min)/((2^CamD_BIT)―1)・・・(17)
【0071】
この場合の変換比Kは、次の(18)式により表される。
K=((Dmax-CamD_Min)/CamD1Bit-(Dmin-CamD_Min)/CamD1bit)/(2^CamDOut_BIT-1)・・・(18)
【0072】
また、出力Dは、次の(19)式により得ることができる。
【0073】
D=round(((Dcam/10^4-CamD_Min)/CamD1Bit-(Dmin-CamD_Min)/CamD1Bit)/K,0)
=round(((Dcam/10^4-Dmin)/CamD1Bit)/K,0)
round(((Dcam/10^4-Dmin)/CamD1Bit)/K,0)>=2^CamDOut_BIT-1なら
D=2^CamDOut_BIT-1
round(((Dcam/10^4-Dmin)/CamD1Bit)/K,0)<=0なら
D=0・・・(19)
【0074】
範囲制限変換部126は、上述したような演算により、(19)式を計算し、8ビットの距離データD[7:0]を得る。範囲制限変換部126により演算された8ビット信号は、0コード値がDminになり、255コード値がDmaxになる。範囲制限変換部126は、フレームごとに、計算された距離データD[7:0]に対し、MAX値z-d変換部122及びMIN値z-d変換部123により得られた(12)式及び(13)式で使用した焦点距離fx及びfyのデータと、(3)式により得られた距離データの制限値Dmin、及び(8)式により得られた距離データの制限値Dmaxとを、距離データの存在しない部分(例えばVブランキングの所定の場所)に追加し出力する。
【0075】
範囲外処理部127は、三次元情報取得装置110から取得した二次元画像の画素に対応する深度が、z方向深さ幅指定部121により指定された深さの幅から外れていた場合に、当該画素の画素値を変更する。範囲外処理部127は、具体的には、RGBプロセス115から出力されたRcam[7:0]、Gcam[7:0]、Bcam[7:0]をRGBデータとして取得し、取得したRGBデータの画素値の一部について処理を行う。範囲外処理部127は、z値制限部125からzkey信号を取得し、取得したzkey信号が0又は2を示しているピクセル(すなわちユーザにより指定された距離の範囲外のピクセル)については、任意の色(例えば黒色)に変換する。また、ユーザにより指定された距離の範囲外のピクセルについては、任意のコード値に変換してもよい。なお、任意の色又は任意のコード値とは、予め任意に定められた所定の色又は所定のコード値であってもよい。範囲外処理部127は、範囲外のピクセルを黒色に変換する場合、R=16、G=16、B=16のように設定する。このようにして、三次元情報処理装置120は、三次元情報取得装置110により得られたデータを8ビットのデータに処理し、三次元情報表示装置30に対して出力する。
【0076】
図6は、実施形態1に係る三次元情報表示装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、三次元情報表示装置30の機能構成の詳細について説明する。三次元情報表示装置30は、前処理部310と、映像処理部320とを備える。三次元情報表示装置30は、前処理部310を備えることにより、公知の三次元情報表示装置が備える機能部である映像処理部320を用いて、本実施形態に係る三次元情報の表示を行う。
【0077】
なお、図示する一例では、前処理部310と映像処理部320が三次元情報表示装置30に備えられる構成について示しているが、前処理部310を異なる装置として構成してもよい。その場合、前処理部310は、所定の通信方法により映像処理部320と接続される。
【0078】
前処理部310は、点群変換部311と、z軸オフセット部312とを備える。点群変換部311は、三次元情報取得システム10から送信される8ビットの距離データであるD[7:0]を取得する。点群変換部311は、フレームごとに、所定の場所に挿入されている焦点距離fx及びfyと距離制限値Dmax及びDminとを抜き出し、fx、fy、Dmax、及びDmin値を得る。所定の場所とは、例えばVブランキング(垂直ブランキング)であってもよい。ここでD信号は0がDmin、255がDmaxである8ビットの信号であるので、点群変換部311は、D信号の単位をメートル値に変換する。メートル値に変換するための変換式は、例えば次の(20)式のようなものとなる。なお、Doffsetは、少数を扱う変数とする。
【0079】
Doffset=D×(Dmax-Dmin)/(2^CamDOut_BIT-1)+Dmin・・・(20)
【0080】
このように、点群変換部311が8ビットのデータをメートル換算することにより、ピンホールモデルである
図4及び
図5を用いて説明したような空間における計算が扱えるようになる。
【0081】
次に、点群変換部311は、(20)式のDoffsetに対して、x、y、zの点群データに変換する。点群変換部311による点群変換は、OPENCVのライブラリを活用してもよいし、次に示す式を用いて変換を行ってもよい。zデータは、上述した(9)式から(15)式を用いて求められる。
【0082】
また、xデータは、次の(21)式及び(22)式を用いて求められる。
【0083】
Px=Pd×SIN(Θx)・・・(21)
x=Px・・・(22)
【0084】
また、yデータは、
図5(B)を参照して、次の(23)式から(27)式を用いて求められる。
【0085】
dy=Dcam×COS(Θx)・・・(23)
Sdy=fy/COS(Θy)・・・(24)
Pdy=dy-Sdy・・・(25)
Py=Pdy×SIN(Θy)・・・(26)
y=Py・・・(27)
【0086】
点群変換部311は、上述の計算により算出したx、y、zの点群データを、z軸オフセット部312に出力する。z軸オフセット部312は、点群変換部311からx、y、zの点群データを取得し、ユーザにより設定されたディスプレイ飛び出し量zoffsetを、情報処理装置20から取得する。また、z軸オフセット部312は、後述する所定の方法により観測者距離Kdを取得する。z軸オフセット部312は、取得した情報に基づき、z軸オフセットに関する演算を行う。
【0087】
図7は、実施形態1に係る視差計算について説明するための図である。次に、
図7を参照しながら、z軸オフセット部312により行われるz軸オフセットに関する演算について説明する。ここで、三次元情報表示装置30において、ユーザにより設定可能なディスプレイ飛び出し量及び引っ込み量の最大値は、健康上の安全な視差角を考慮した上でディスプレイ仕様により決定される。以下の説明においては、ディスプレイ飛び出し量の最大値をSf、ディスプレイ引っ込み量の最大値をSbと決める。また、SbとSfとを足した値を、視差によるディスプレイの奥行感の最大距離範囲とする。x、y、zの点群データのうち、zMIN~zMAXの空間を、三次元情報表示装置30により表現可能な距離範囲Sに距離変換した点群に変換する。以下、その手順について説明する。
【0088】
まず、z軸オフセット部312は、x、y、zの点群データのうち、z方向に対してDminを引く。すなわち、次の(28)式を得ることができる。
【0089】
Zofst=z-Dmin・・・(28)
【0090】
z軸方向の距離について、Dmin、すなわちzMINがz軸の原点となる。ここで、zMAXとzMINの差分をzWIDTHとする。すなわち、次の(29)式を得ることができる。
【0091】
zWIDTH=zMAX-zMIN・・・(29)
【0092】
zWIDTHとSとの比をx、y、Zofstに乗算し、三次元情報表示装置30の表現距離に換算した点群を、xd、yd、及びzdとすると、次の(30)式から(32)式を得ることができる。
【0093】
xd=x×S/zWIDTH・・・(30)
yd=y×S/zWIDHT・・・(31)
zd=Zofst×S/zWIDHT・・・(32)
【0094】
次に、z軸オフセット部312は、zdに観測者距離Kdを足す。観測者距離Kdは、三次元情報表示装置30が有するディスプレイの像面距離に応じて固定値で設定されてもよい。他の実施例としては、例えばディスプレイ面に取り付けられた第2のTOFカメラを用いることにより、視聴者からディスプレイまでの距離kdや、視聴者の存在する位置までの角度を得てもよい。なお、第2のTOFカメラとは、アイトラッキング用カメラ又はステレオカメラであってもよい。zdに観測者距離Kdを足した距離をZdofstとすると、次の(33)式を得ることができる。
【0095】
Zdofst=zd+kd・・・(33)
【0096】
上述した演算により、三次元情報表示装置30が3D表示し、ユーザが見る画面像の距離感覚に、
図4に示したzMINの被写体が映し出される。ここで、
図3に示したユーザMENUのディスプレイ飛び出し量zoffsetを、(28)式で得られたZdofstから引き、(34)式に示すzdostを得る。
【0097】
zdost=Zdofst-zoffset・・・(34)
【0098】
なお、zoffsetのデフォルト値は、0[m]に設定されていてもよい。
図7に示すように、zoffset=0の時は、三次元情報表示装置30が備えるディスプレイの画像面に、
図4に示したzMINの距離の映像が現れ、ユーザ側から奥にzMAXの距離の被写体まで引っ込んだ表示をするようになる。zoffset値は、
図3に示したユーザMENUで設定することができ、最大値は健康上の安全も考慮した最大値で決められる。zoffset値の最大値を距離Sfとすると、
図7においてzoffset=Sfの時のように、最大飛び出し量Sfの位置に、
図4に示したzMINの距離の映像が飛び出して見えるように設定することができる。
【0099】
z軸オフセット部312は、上述した(28)式から(34)式に示した演算を行うものである。z軸オフセット部312は、ディスプレイ表示用に距離変換された点群を、xdost、ydost、及びzdostとして距離3D回転部322に出力する。
【0100】
次に、
図6に戻り、映像処理部320が備える各機能部について説明する。映像処理部320は、RGB3D回転部321と、距離3D回転部322と、透視投影リサイズ部323と、視差計算部324と、視差映像作成部325とを備える。
【0101】
距離3D回転部322は、z軸オフセット部312からxdost、ydost、及びzdostとして、ディスプレイ表示用に距離変換された点群データを取得する。また、距離3D回転部322は、三次元情報表示装置30のディスプレイ面に取り付けられた第2のTOFカメラ(不図示)から、視聴者の見る角度Kviewを取得する。距離3D回転部322は、取得したKviewに基づき、xdost、ydost、及びzdostを回転させる。距離3D回転部322は、回転させた結果得られるz軸の値を、zrtとして透視投影リサイズ部323及び視差計算部324に出力する。
【0102】
RGB3D回転部321は、距離3D回転部322と同期して、RGB信号を回転させる。具体的には、RGB3D回転部321は、三次元情報取得システム10からR[7:0]、G[7:0]、及びB[7:0]を取得し、三次元情報表示装置30のディスプレイ面に取り付けられた第2のTOFカメラ(不図示)から、視聴者の見る角度Kviewを取得する。RGB3D回転部321は、取得したKviewに基づき、R[7:0]、G[7:0]、及びB[7:0]を回転させる。当該回転については公知技術を用いることができるため、詳細な説明については省略する。以下の説明においては、説明の簡略化のため、観測者距離Kdで観測者の両目と像面が平行である場合(すなわち
図7に示す場合)について、説明する。
【0103】
ここで、映像処理部320は、画像面に対して飛び出して見せるようにする、又は引っ込んで見せるようにするため、RGB信号に対して、右目用と左目用に視差を与えて水平方向にずらした信号を作成する。左目用の信号を、R_L、G_L、及びB_L信号と記載する。右目用の信号を、R_R、G_R、及びB_R信号と記載する。
図7には、右目と左目の間に仮想的なRGBDカメラの位置を示しているが、この仮想的なRGBDカメラの位置が、xdost、ydost、及びzdostの点群に対するカメラの位置に相当する。映像処理部320は、当該カメラの位置から、右目用、左目用の視差のあるデータを作成する。
【0104】
図7に示すA点を、仮想的なRGBDカメラにより得られるRGBの2次元データの位置であるとする。視差計算部324は、観測者距離Kdを入力し、A点のzdostが観測者距離Kdより小さいと飛び出し用の視差Xfを計算し、A点のzdostが観測者距離Kdより大きいと引っ込み用の視差Xbを計算する。
図7に示すA点は、zdost=Sbとした場合の例である。図示する場合における視差Xbは、観測者の眼間距離をEdとすると、次の(35)式で示すことができる。
【0105】
Xb=(Sb/(Kd+Sb))×Ed・・・(35)
【0106】
視差計算部324は、
図7に示すA点のRGB映像を、左目用はXf/2水平x方向に左側にずらした位置に、右目用はXf/2水平方向に右側にずらした位置に表示するような視差映像を作成する。
【0107】
図7に示したB点を、仮想的なTOFカメラにより得られるRGBの2次元データの位置であるとする。視差計算部324は、B点のzdostが観測者距離Kdより小さいと飛び出し用の視差Xfを計算し、B点のzdostが観測者距離Kdより大きいと引っ込み用の視差Xbを計算する。
図7に示すB点は、zdost=Sfとした場合の例である。図示する場合における視差Xfは、次の式で示すことができる。
【0108】
Xf=(Sf/(Kd-Sf))・Ed・・・(36)
【0109】
視差計算部324は、
図7に示すB点のRGB映像を、左目用はXf/2水平x方向に右側にずらした位置に、右目用はXf/2水平方向に左側にずらした位置に表示するような視差映像を作成する。
【0110】
図7に示したCは、zdost=Kdの場合の例である。この場合は、左目用と右目用の視差はなく、左目用も右目用もC点と同じ位置に表示するようにする。
【0111】
裸眼ディスプレイの場合、左目用の映像は左目に、右目用の映像は右目に映るようスクリーンに工夫がされ、3D映像が表示される。xfとxbとを一つにまとめてxsubとすると、zdostがKd以下の場合xsub=-Xfとして、zdostがKd以上の場合xsub=Xbとして出力される。
【0112】
図8は、実施形態1に係る透視投影について説明するための図である。同図を参照しながら、透視投影リサイズ部323が行う透視投影リサイズ処理の一例について説明する。透視投影リサイズ部323は、RGB3D回転部321により回転が行われた情報に加え、観測者距離Kd、対象ピクセルのz軸の距離値zrt、視差xsubについての情報を取得する。透視投影リサイズ部323は、水平方向に対象ピクセルの水平方向の位置をx、拡大率の基準距離を画像面の観測者距離kdとし、次のようにリサイズしたx’を求める。すなわち、透視投影リサイズ部323は、演算により次の(37)式を得る。
【0113】
x’=x×kd/zrt・・・(37)
【0114】
透視投影リサイズ部323は、垂直方向についても同様に、対象ピクセルの垂直方向の位置をy、拡大率の基準距離を画像面の観測者距離Kdとし、次のようにリサイズしたy’を求める。すなわち、透視投影リサイズ部323は、演算により次の(38)式を得る。
【0115】
y’=y×kd/zrt・・・(38)
【0116】
透視投影リサイズ部323は、上述したリサイズ処理をRGB信号に対してそれぞれ行い、リサイズ後のRrsz[7:0]、Grsz[7:0]、及びBrsz[7:0]と、これらに対応する視差xsubを併せて視差映像作成部325に出力する。
【0117】
視差映像作成部325は、xsubに基づき、Rrsz[7:0]、Grsz[7:0]、及びBrsz[7:0]に対して視差を作成する。視差映像作成部325は、Xsubがマイナスの場合は上記の視差Xfで説明した手順で視差のある左目用、右目用の画像を作成する。視差映像作成部325は、Xsubがプラスの場合は上記の視差Xbで説明した手順で視差のある左目用、右目用の画像をつくる。これらの表示方法としては、公知技術が用いられてもよい。
【0118】
[実施形態1のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、三次元情報処理装置120は、二次元画像及び三次元情報を取得する三次元情報取得装置110から情報を取得し、取得した二次元画像の一部の画素値(具体的には、ユーザにより指定された深さの幅から外れた位置に物体が存在するピクセルの画素値)を変更した二次元画像を生成し、生成した情報を三次元情報表示装置30に対して出力する。また、三次元情報処理装置120は、取得した三次元情報より量子化ビット数の小さい三次元情報を生成し(例えば16ビットの情報について、ユーザにより指定された深さの幅を8ビットの分解能に割り当てることにより低ビットの深さ情報を生成し)、生成した情報を三次元情報表示装置30に対して出力する。また、三次元情報処理装置120は、z方向深さ幅指定部(深度指定部)121を備えることにより、三次元情報取得装置110が三次元情報として取得可能な深さのうち三次元情報表示装置30に表示させる深さの幅を指定する。三次元情報取得装置110は、例えばユーザの指示に基づき、三次元情報表示装置30に表示させる深さの幅を指定する。また、三次元情報処理装置120は、範囲外処理部127を備えることにより、三次元情報取得装置110から取得された三次元情報の深度を示す量子化ビット数を、z方向深さ幅指定部121により指定された深さの幅に基づいて低ビットに変換する。範囲外処理部127は、より詳細には、ユーザが設定した幅に8ビットの分解能を割り当てる。また、三次元情報処理装置120は、範囲制限変換部126を備えることにより、三次元情報取得装置110から取得した二次元画像の画素に対応する深度が、z方向深さ幅指定部121により指定された深さの幅から外れていた場合に、当該画素の画素値を変更する。三次元情報処理装置120は、これら機能部を備えることにより、RGBDカメラで得られる広い範囲の距離データから、表示に必要な狭い距離範囲に指定して、データ量を抑えた情報を出力することができる。また、三次元情報処理装置120を用いることにより、距離範囲を指定することができるようになるため、より最適な三次元表示をすることができる。
【0119】
また、近年は急速に裸眼表示ディスプレイの表示性能が向上したことにより、解像度の高いリアルな映像が再現できるようになってきている。これらのディスプレイの奥行の体感距離は、視差の影響で表現距離が限られているが、TOFカメラはより広い範囲で距離データを撮影することができる。本実施形態によれば、ユーザは距離方向の一部の範囲を選択したり、よりリアルな実物に近い距離感覚で実物の大きさを体感したりできるようになる。また、本実施形態によれば、TOFカメラとディスプレイとの間で行われる通信において、距離情報のデータ通信量(ビット数)を減らすことができる。
【0120】
また本実施形態においては、zMIN、zMAXの表示する距離間隔と、三次元情報表示装置30が3D表現できる距離Sとを同じになるようにユーザ設定最小距離、ユーザ設定最大距離を合わせ、カメラからzMINまでの距離とディスプレイの観測者距離Kdを同じになるようにカメラを設置することで、実際の被写体の奥行感がよりリアルに見えるような体験をすることができる。
【0121】
[実施形態2]
次に、
図9及び
図10を参照しながら、実施形態2について説明する。実施形態1では、距離範囲を指定して、当該距離範囲外における画素を任意の色(例えば黒色)又は任意のコード値に固定する方法について説明した。実施形態2においては、当該距離範囲外における画素を、距離に応じて徐々にぼかす場合の一例について説明する。
【0122】
図9は、実施形態2に係るぼかし設定画面の画面構成の一例を示す図である。同図を参照しながら、ぼかし設定画面である表示画面D20の画面構成の一例について説明する。表示画面D20は、例えば、三次元情報取得システム10に接続された情報処理装置20の操作画面の一部であってもよい。図示するように、表示画面D20は、距離範囲外手前処理と、距離範囲外奥行処理とのそれぞれについて、“固定色”にするか、“ぼかし”にするかを設定可能なラジオボタンを画面構成として備える。距離範囲外手前処理とは、表示画面D10を用いて設定された距離データ表示範囲外の手前側についての処理を、距離範囲外奥行処理とは、表示画面D10を用いて設定された距離データ表示範囲外の奥側についての処理を決定するものである。“固定色”とは、当該範囲を黒等の固定色とすることを意味し、“ぼかし”とは、当該範囲をぼかす(徐々に色を薄くする)ことを意味する。“固定色”とするか“ぼかし”とするかは、択一的に選択される。ユーザにより“固定色”が選択された場合、指定された距離範囲外における画素値が固定色となるため、実施形態1と同様の結果となる。
【0123】
距離範囲外手前処理が、“固定色”又は“ぼかし”のいずれかに選択された結果は、Fbdrselとして三次元情報処理装置120に取得される。“固定色”が選択された場合はFbdrsel=0となり、“ぼかし”が選択された場合はFbdrsel=1となる。同様に、距離範囲外奥行処理が、“固定色”又は“ぼかし”のいずれかに選択された結果は、Bbdrselとして三次元情報処理装置120に取得される。“固定色”が選択された場合はBbdrsel=0となり、“ぼかし”が選択された場合はBbdrsel=1となる。
【0124】
また、表示画面D20は、ぼかしボーダー幅を設定可能な入力ボックスを画面構成として備える。当該入力ボックスに入力された値は、Sbdrとして三次元情報処理装置120に取得される。Sbdrは(zMAX-zMIN)/2を上限として、入力値が制限されていてもよい。
【0125】
図10は、実施形態2に係る範囲外処理部及びz値制限部の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、実施形態2に係る範囲外処理部127及びz値制限部125の機能構成の一例について説明する。図示する一例では、RGBの各色のうちRについての処理について示している。G及びBについては、Rと同様の構成を有するため説明を省略する。
【0126】
z値制限部125は、ぼかし領域設定部1251を備える。ぼかし領域設定部1251は、処理対象ピクセルについてz方向の距離zと、表示範囲設定のzMAX及びzMIN値と、ぼかし範囲のSbdrとを取得する。ぼかし領域設定部1251は、取得した情報に基づき、次の(39)式の演算を行う。
【0127】
z>zMAX+4×Sbdr/4ならsoft=5
z>zMAX+3×Sbdr/4かつz≦zMAX+4×Sbdr/4ならsoft=4
z>zMAX+2×Sbdr/4かつz≦zMAX+3×Sbdr/4ならsoft=3
z>zMAX+1×Sbdr/4かつz≦zMAX+2×Sbdr/4ならsoft=2
z>zMAXかつz≦zMAX+1×Sbdr/4ならsoft=1
z<zMIN―4×Sbdr/4ならsoft=5
z<zMIN―3×Sbdr/4かつz≧zMIN―4×Sbdr/4ならsoft=4
z<zMIN―2×Sbdr/4かつz≧zMIN―3×Sbdr/4ならsoft=3
z<zMIN―1×Sbdr/4かつz≧zMIN―2×Sbdr/4ならsoft=2
z<zMIN かつz≧zMIN―1×Sbdr/4ならsoft=1
上記以外はsoft=0・・・(39)
【0128】
ぼかし領域設定部1251は、演算の結果得られたsoft信号を、範囲外処理部127に出力する。
【0129】
範囲外処理部127は、水平ローパスフィルタ部(HLPF)1271と、垂直ローパスフィルタ部(VLPF)1272と、手前境界スイッチ1273と、奥境界スイッチ1274とを備える。
【0130】
水平ローパスフィルタ部1271は、RGBカメラ112からRcam[7:0]を取得する。水平ローパスフィルタ部1271は、3TAPのLPF(Low Pass Filter)を5個備える。3TAPのLPFは、1ピクセルの水平方向スキャン時間をZ^(―1)とすると、次の(40)式により得ることができる。
【0131】
LPF=0.25×Z^(―1)+0.5×Z^0+0.25×Z^1・・・(40)
【0132】
図示するように、水平ローパスフィルタ部1271に備えられる3TAPLPFは、5個直列に接続される。それぞれの3TAPLPFの出力は、各LPFの出力タイミングが同じ位相になるようにDLY1乃至DLY4の遅延回路によりタイミング調整され、LPF SELに入力される。また、z値制限部125と、水平ローパスフィルタ部1271との間には、遅延回路DLYが挿入される。当該遅延回路DLYは、ぼかし領域設定部1251から取得したsoft信号を、各LPFの遅延に合わせて同じ位相になるようにタイミング調整し、softdly1としてLPF SELに出力する。
【0133】
水平ローパスフィルタ部1271に備えられるLPF SELは、遅延回路DLYからsoftdly1信号を取得する。LPF SELは、取得したsoftdly1信号が5であればLPF5を選択し、softdly1信号が4であればLPF4を選択し、softdly1信号が3であればLPF3を選択し、softdly1信号が2であればLPF2を選択し、softdly1信号が1又は0であればLPF1を選択し、垂直ローパスフィルタ部1272に映像信号を出力する。
【0134】
垂直ローパスフィルタ部1272は、水平ローパスフィルタ部1271から出力された映像信号を取得する。垂直ローパスフィルタ部1272は、3TAPのLPFを5個備える。3TAPのLPFは、1ラインの垂直方向スキャン時間をZ^(-1)とすると、次の(41)式により得ることができる。
【0135】
LPF=0.25×Z^(-1)+0.5×Z^(0)+0.25×Z^(1)・・・(41)
【0136】
図示するように、垂直ローパスフィルタ部1272に備えられる3TAPLPFは、5個直列に接続される。それぞれの3TAPLPFの出力は、各LPFの出力タイミングが同じ位相になるようにDLY1乃至DLY4の遅延回路によりタイミング調整され、LPF SELに入力される。また、z値制限部125と、垂直ローパスフィルタ部1272との間には、遅延回路DLYが挿入される。当該遅延回路DLYは、ぼかし領域設定部1251から取得したsoft信号を、各LPFの遅延に合わせて同じ位相になるようにタイミング調整し、softdly2としてLPF SELに出力する。
【0137】
垂直ローパスフィルタ部1272に備えられるLPF SELは、遅延回路DLYからsoftdly2信号を取得する。LPF SELは、取得したsoftdly2信号が5であればLPF5を選択し、softdly2信号が4であればLPF4を選択し、softdly2信号が3であればLPF3を選択し、softdly2信号が2であればLPF2を選択し、softdly2信号が1又は0であればLPF1を選択し、手前境界スイッチ1273にRLPF[7:0]を出力する。
【0138】
手前境界スイッチ1273は、z値制限部125から出力されたzkey信号を、遅延回路DLYを介して取得する。当該遅延回路DLYは、垂直ローパスフィルタ部1272から出力されたRLPF[7:0]とタイミングを合わせる。また、手前境界スイッチ1273は、
図9を参照しながら説明したFbdrselを取得する。また、手前境界スイッチ1273は、不図示の色設定部から、任意の色のR値を示すRsetを取得する。当該色設定部は、ユーザからの操作に基づきR値を設定してもよいし、デフォルト値として所定の記憶部に記憶されている情報に基づきR値を設定してもよい。
【0139】
手前境界スイッチ1273は、Fbdrsel=0かつzkey信号が0であれば、R値Rsetを出力する。
また、手前境界スイッチ1273は、Fbdrsel=0かつzkey信号が1又は2であれば、RLPF信号に位相合わせされたRcam信号を出力する。
また、手前境界スイッチ1273は、Fbdrsel=1かつzkey信号が0であれば、RLPFを出力する。
また、手前境界スイッチ1273は、Fbdrsel=1かつzkey信号が1又は2であれば、RLPF信号と位相合わせされたRcam信号を出力する。
手前境界スイッチ1273は、このように選択された信号をRbdr[7:0]として出力する。
【0140】
奥境界スイッチ1274は、z値制限部125から出力されたzkey信号を、遅延回路DLYを介して取得する。当該遅延回路DLYは、手前境界スイッチ1273から出力されたRbdr[7:0]とタイミングを合わせる。また、奥境界スイッチ1274は、
図9を参照しながら説明したBbdrselを取得する。また、奥境界スイッチ1274は、不図示の色設定部から、任意の色のR値を示すRsetを取得する。当該色設定部は、ユーザからの操作に基づきR値を設定してもよいし、デフォルト値として所定の記憶部に記憶されている情報に基づきR値を設定してもよい。
【0141】
奥境界スイッチ1274は、Bbdrsel=0かつzkey信号が2であれば、R値Rsetを出力する。
また、奥境界スイッチ1274は、Bbdrsel=0かつzkey信号が0又は1であれば、Rbdrを出力する。
また、奥境界スイッチ1274は、Bbdrsel=1かつzkey信号が2であれば、タイミングを合わせたRLPFを出力する。
また、奥境界スイッチ1274は、Bbdrsel=1かつzkey信号が0又は1であれば、Rbdr信号を出力する。
奥境界スイッチ1274は、このように選択された信号をRout[7:0]として出力する。
【0142】
[実施形態2のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、z方向深さ幅指定部121は、最小値(
図3に示すユーザ設定最小距離)及び最大値(
図3に示すユーザ設定最大距離)により三次元情報表示装置30に表示させる深さの幅を指定する。最小値とは、すなわち三次元情報表示装置30に表示させる深さのうち手前側までの距離を示す値であり、最大値とは、三次元情報表示装置30に表示させる深さのうち奥側までの距離を示す値である。また、範囲外処理部127は、二次元画像の画素値を、z方向深さ幅指定部121により指定された最小値又は最大値と、当該画素に対応する深度とに応じた色に変換する。すなわち、本実施形態に係る三次元情報処理装置120によれば、ユーザにより設定された距離の範囲外であるRGB値を、距離に応じて徐々にぼかす。本実施形態によれば、ユーザにより設定された距離の範囲外であるRGB値を距離に応じて徐々にぼかすことにより、空間の連続性を保つことができ、より自然な三次元表示を行うことができる。
【0143】
[実施形態3]
次に、
図11を参照しながら、実施形態3について説明する。実施形態3に係る三次元情報処理装置120は、一連の動画像データに含まれる複数の異なるフレーム画像についての二次元画像及び三次元情報についての処理を行うことを前提とする。実施形態3においては、ユーザにより異なる2つの距離範囲が指定される点において、上述した実施形態とは異なる。実施形態3に係る三次元情報表示システム1によれば、指定された2つの距離範囲のうち、第1の距離範囲から、第2の距離範囲の間を徐々に移行して表示させることにより、カメラを奥行方向に動かし、ズームイン又はズームアウトしているように見せることが可能となる。
【0144】
図11は、実施形態3に係る距離範囲取得画面の画面構成の一例を示す図である。同図を参照しながら、実施形態3に係る三次元情報処理装置120により表示される表示画面D30の画面構成の一例について説明する。図示するように、表示画面D30には、TOFカメラ測距範囲が示される。TOFカメラ測距範囲とは、三次元情報取得装置110により取得可能な距離情報のz方向の範囲である。図示する一例では、TOFカメラ測距範囲として、0.5~5[m]が表示されている。ユーザは、距離データ表示範囲設定部において、TOFカメラ測距範囲の中で、三次元情報表示装置30にどの範囲を表示させるかを設定する。本実施形態においては、異なる2つの距離範囲を設定する。
【0145】
距離データ表示範囲設定部は、異なる2つの距離範囲設定部を画面構成として有する。それぞれの距離範囲設定部は、ユーザ設定最小距離設定部と、ユーザ設定最大距離設定部と、ディスプレイ飛び出し量設定部とを備える。ユーザは、キーボード等の入力デバイスを操作することにより、ユーザ設定最小距離、ユーザ設定最大距離、及びディスプレイ飛び出し量を設定する。第1の距離範囲として、ユーザ設定最小距離1、ユーザ設定最大距離1、及びディスプレイ飛び出し量1が設定される。また、第2の距離範囲として、ユーザ設定最小距離2、ユーザ設定最大距離2、及びディスプレイ飛び出し量2が設定される。
【0146】
また、表示画面D30は、移行時間設定部を画面構成として有する。ユーザは、キーボード等の入力デバイスを操作することにより、移行時間設定部に対し、第1の距離範囲から第2の距離範囲までの移行に要する時間[秒]を設定する。移行時間設定部に入力された時間が短いほど素早くズームイン又はズームアウトし、移行時間設定部に入力された時間が長いほどゆっくりズームイン又はズームアウトする。
【0147】
また、表示画面D30は、移動開始ボタンを画面構成として有する。ユーザにより当該移動開始ボタンが操作されることをトリガとして、本実施形態に係る三次元情報表示システム1は、第1の距離範囲から、第2の距離範囲までの移行を開始する。
【0148】
本実施形態において、z方向深さ幅指定部121は、三次元情報処理装置120により処理が行われる一連の動画像データのうち、第1のフレーム画像について適用される第1の深さの幅と、第2のフレーム画像について適用される第2の深さの幅とを指定する。具体的には、z方向深さ幅指定部121は、表示画面D30を用いて取得したユーザ設定最小距離1をzMIN1、ユーザ設定最大距離1をzMAX1として、第1の深さの幅を指定する。また、z方向深さ幅指定部121は、表示画面D30を用いて取得したユーザ設定最小距離2をzMIN2、ユーザ設定最大距離2をzMAX2として第2の深さの幅を指定する。
【0149】
また、z方向深さ幅指定部121は、第1の深さの幅から第2の深さの幅までの移行スピードを指定する。具体的には、z方向深さ幅指定部121は、表示画面D30に含まれる移行時間設定部を用いて取得した移行時間を、movetimeとして指定する。三次元情報取得装置110に備えられるRGBカメラ112のフレームレートが例えば30[FPS(Frame Per Second)]であれば、移動時間にかかる総フレーム数Move_all_frameは、movetimeにフレームレートを乗じた値となる。すなわち、総フレーム数Move_all_frameは、次の(41)式により求められる。
【0150】
Move_all_frame=movetime×30・・・(41)
【0151】
ユーザにより、表示画面D30に含まれる移動開始ボタンが押されると、カウンタFcountが加算される。Fcountとは、1フレームごと1加算されるカウンタである。FcountはMove_all_frameを上限として加算される。z方向深さ幅指定部121は、Fcount値、zMIN1、及びzMIN2を用いて、zMINを算出する。zMIN値の算出には、例えば次の(42)式が用いられる。
【0152】
zMIN=zMIN1×(Move_all_frame-Fcount)/Move_all_frame+zMIN2×Fcount/Move_all_frame・・・(42)
【0153】
z方向深さ幅指定部121は、zMAX値についても同様に算出する。zMAX値の算出には、例えば次の(43)式が用いられる。
【0154】
zMAX=zMAX1×(Move_all_frame-Fcount)/Move_all_frame+zMAX2×Fcount/Move_all_frame・・・(43)
【0155】
このように、フレームに応じてzMIN値、及びzMAX値を変化させていくことにより、三次元情報表示システム1は、z方向に動きの生じた3D映像を表示することができる。
【0156】
また、zMIN1>zMIN2及びzMAX1>zMAX2とし、zMIN1-zMIN2とzMAX1―zMAX2とを等しくするように設定すると、被写体は元の形を保ちながら徐々に視聴者に迫ってくるような3D映像を表示することができる。
【0157】
次に、ディスプレイ飛び出し量zoffsetの算出の一例について説明する。第1の距離範囲に対応するディスプレイ飛び出し量をzoffset1とし、第2の距離範囲に対応するディスプレイ飛び出し量をzoffset2とする。この場合、ディスプレイ飛び出し量zoffsetは、上述したFcountと連動させ、zoffset1とzoffset2とに基づき、次の(44)式として得ることができる。
【0158】
zoffset=zoffset1×(Move_all_frame-Fcount)/Move_all_frame+zoffset2×Fcount/Move_all_frame・・・(44)
【0159】
[実施形態3のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、本実施形態に係る三次元情報処理装置120は、一連の動画像データに含まれる複数の異なるフレーム画像についての二次元画像及び三次元情報についての処理を行う。また、z方向深さ幅指定部(深度指定部)121は、第1のフレーム画像について適用される第1の深さの幅と、第2のフレーム画像について適用される第2の深さの幅と、第1の深さの幅から第2の深さの幅までの移行スピードとを指定する。三次元情報処理装置120は、このような構成を採用することにより、距離設定範囲とズーム飛び出し位置をそれぞれ2種類設定し、設定した時間の間、徐々に変化するようにし、結果として動きのある3D映像を提供することができる。
【0160】
さらに本実施形態によれば、表示画面D30を用いて異なる2つのディスプレイ飛び出し量を取得することができるため、ディスプレイ飛び出し量zoffsetを上述したzMIN値及びzMAX値に連動して動かすことにより、さらに動きのある3D映像を得ることができる。この場合、ディスプレイ飛び出し量zoffsetは、表示画面D30を用いて取得された移行時間に応じて徐々に変化する。
【0161】
[実施形態4]
次に、
図12及び
図13を参照しながら、実施形態4について説明する。実施形態4においては、実施形態3と同様に一連の動画像データに含まれる複数の異なるフレーム画像についての二次元画像及び三次元情報についての処理を行うことを前提とする。また、実施形態4においては、三次元情報取得システム10Aがズーム機能を有していることを前提とする。更に実施形態4において、第1のフレームにおけるズーム倍率と、第2のフレームにおけるズーム倍率とは異なる。すなわち、本実施形態に係る三次元情報処理装置120Aは、一連の動画像データに含まれる複数の異なるフレーム画像であって、ズーム倍率が互いに異なる二次元画像及び三次元情報についての処理を行う。以下、本実施形態に係る三次元情報表示システム1Aが有するズーム機能は、画像処理により電子ズームとして行われてもよいし、ズームレンズを用いて行われてもよいものとする。実施形態4においては、実施形態3において説明した2つの距離範囲間の移行をさせつつ、ズーム機能を用いて被写体50の見た目の大きさを保ったような映像を提供することを目的とする。このような描写のテクニックは、映画等で用いられており、めまいショット(ドリーショット)とも呼ばれているものである。
【0162】
図12は、実施形態4に係る三次元情報取得装置及び三次元情報処理装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、三次元情報処理装置120Aの機能構成の詳細について説明する。三次元情報処理装置120Aは、z方向深さ幅指定部121に代えてz方向深さ幅指定部121Aを備える点において三次元情報処理装置120とは異なる。また、三次元情報処理装置120Aは、更に第1電子ズーム部1291と、第2電子ズーム部1292とを備える点において三次元情報処理装置120とは異なる。三次元情報処理装置120Aの説明において、三次元情報処理装置120と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0163】
第1電子ズーム部1291は、RGBカメラ112から出力されたRcam[7:0]、Gcam[7:0]、及びBcam[7:0]に対して電子ズームを行う。第2電子ズーム部1292は、TOFカメラ116から出力されたDcam[15:0]に対して電子ズームを行う。なお、電子ズーム処理に用いられるズーム画像処理手法は、公知の方法が用いられてもよい。また、第1電子ズーム部1291及び第2電子ズーム部1292が用いるズーム倍率は、z方向深さ幅指定部121Aにより情報処理装置20から取得され、第1電子ズーム部1291及び第2電子ズーム部1292に提供されてもよい。
【0164】
図13は、実施形態4に係る距離範囲取得画面の画面構成の一例を示す図である。同図を参照しながら、実施形態4に係る三次元情報処理装置120Aにより表示される表示画面D40の画面構成の一例について説明する。図示するように、表示画面D40は、表示画面D30に加えて、拡大率(拡大倍率)設定部を画面構成として有する。ユーザは、第1のフレーム画像に適用する拡大率1と、第2のフレーム画像に適用する拡大率2とをそれぞれ設定することができる。例えばzMIN1>zMIN2かつzMAX1>zMAX2とし、zMIN1-zMIN2とzMAX1-zMAX2とを等しくするように設定すると、被写体50は元の形を保ちながら徐々に視聴者に迫ってくるようになる。このときに拡大率2の値であるzoom2を100%に設定し、拡大率1の値であるzoom1を(zMIN1/zMIN2)×100%に設定する。
【0165】
図12に戻り、z方向深さ幅指定部121Aは、取得したzoom1、zoom2、及び(43)式で用いたFcountに基づき、zoom1からzoom2に徐々に変化するようにする。具体的には、z方向深さ幅指定部121Aは、次の(45)式を用いて求められるzoom信号を、第1電子ズーム部1291及び第2電子ズーム部1292に出力する。
【0166】
zoom=zoom1×(Move_all_frame-Fcount)/Move_all_frame+zoom2×Fcount/Move_all_frame・・・(45)
【0167】
第1電子ズーム部1291及び第2電子ズーム部1292は、z方向深さ幅指定部121Aからzoom信号を取得する。第1電子ズーム部1291は、取得したzoom信号に基づきRcam[7:0]、Gcam[7:0]、及びBcam[7:0]に対して電子ズームを行う。zoom信号とは、z方向深さ幅指定部121Aにより指定された第1の深さの幅、第2の深さの幅、及び移行スピードに基づく信号である。すなわち、第1電子ズーム部1291は、z方向深さ幅指定部121Aにより指定された第1の深さの幅、第2の深さの幅、及び移行スピードに基づいて、二次元画像をズーム処理する。また、第1電子ズーム部1291は、二次元画像のズーム倍率に応じた焦点距離に基づいたズーム処理を行う。同様に、第2電子ズーム部1292は、取得したzoom信号に基づきDcam[15:0]に対して電子ズームを行う。すなわち、第2電子ズーム部1292は、z方向深さ幅指定部121Aにより指定された第1の深さの幅、第2の深さの幅、及び移行スピードに基づいて、三次元情報をズーム処理する。第2電子ズーム部1292は、二次元画像のズーム倍率に応じた焦点距離に基づいたズーム処理を行う。
【0168】
z方向深さ幅指定部121Aにより算出されたzoom信号は、同時にMAX値z-d変換部122及びMIN値z-d変換部123に出力される。MAX値z-d変換部122及びMIN値z-d変換部123は、MAX値z-d変換、MIN値z-d変換に用いられる焦点距離fx及びfyを、以下の(46)式及び(47)を用いて得られた焦点距離fx’及びfy’として、MAX値z-d変換、MIN値z-d変換を行う。
【0169】
fx’=zoom/100×fx・・・(46)
fy’=zoom/100×fy・・・(47)
【0170】
MAX値z-d変換部122及びMIN値z-d変換部123は、この新たに計算された焦点距離fx’及びfy’を用いて、上述した(1)式~(8)式の焦点距離fx及びfyに入力し計算する。また焦点距離fx’及びfy’は、焦点距離fx及びfyとしてMAX値z-d変換部122及びMIN値z-d変換部123からデータ追加部128に出力される。
【0171】
なお、上述した電子ズーム処理は、電子ズーム機能を持ったレンズを用いて行ってもよい。電子ズーム機能を持ったレンズを用いて電子ズーム処理を行う場合は、ズーム位置から焦点距離を把握し、焦点距離fx及びfyをズーム位置に合わせて設定することとしてもよい。
【0172】
また、表示画面D40は、拡大率1及び拡大率2それぞれについてAUTOボタンを画面構成として有していてもよい。AUTOボタンは、ユーザによりオン状態又はオフ状態のいずれかに操作される。AUTOボタンが選択された場合(オン状態、又はAUTOモードの場合)、自動的に被写体50の大きさを常に同じとなるようになる。本実施形態によれば、AUTOボタンを備えることにより、ユーザは設定値を計算しなくてよく、利便性が向上する。拡大率1のAUTOボタンが選択されると、拡大率1であるzoom1は、次に示す(48)式のような演算を行うことにより設定される。
【0173】
zMIN1>zMIN2の場合
zoom1=zMIN1/zMIN2×100%
それ以外
zoom1=100%・・・(48)
【0174】
また、拡大率2のAUTOボタンが選択されると、拡大率2であるzoom2は、次に示す(49)式のような演算を行うことにより設定される。
【0175】
zMIN1>zMIN2の場合
zoom2=100%
それ以外
zoom1=zMIN1/zMIN2×100%・・・(49)
【0176】
このように、本実施形態によれば、AUTOボタンを有することにより、ズーム倍率を自動設定とすることができる。ユーザは、ズーム倍率を自動設定とすることにより、簡単にめまいショット(ドリーショット)のような効果を、3D映像で得ることができる。結果として、ドリーを置くことができないような撮影現場であっても、本実施形態に係る機能を用いることにより、めまいショットに近い映像を撮影することが可能となる。
【0177】
[実施形態4のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、三次元情報処理装置120Aは、一連の動画像データに含まれる複数の異なるフレーム画像であって、ズーム倍率が互いに異なる二次元画像及び三次元情報についての処理を行う。三次元情報処理装置120Aは、第1電子ズーム部1291を備えることにより、z方向深さ幅指定部121Aにより指定された第1の深さの幅、第2の深さの幅、及び移行スピードに基づいて、二次元画像をズーム処理する、また、三次元情報処理装置120Aは、第2電子ズーム部1292を備えることにより、z方向深さ幅指定部121Aにより指定された第1の深さの幅、第2の深さの幅、及び移行スピードに基づいて、三次元情報をズーム処理する。第1電子ズーム部1291は、二次元画像のズーム倍率に応じた焦点距離に基づいたズーム処理を行い、第2電子ズーム部1292は、二次元画像のズーム倍率に応じた焦点距離に基づいたズーム処理を行う。本実施形態によれば、このような構成を採用することにより、距離範囲がz方向に移動した場合であっても、ズーム機能により3D映像の見た目は同じ大きさで見ることができる。すなわち、ユーザからすると、三次元情報表示装置30の透視投影により背景が動いたように見える。したがって、本実施形態によれば、映画の撮影テクニックのひとつのめまいショット(ドリーショット)のような効果を3D映像により得ることができる。
【0178】
また別の目的として、実物と同じ大きさを三次元情報表示装置30により再現する場合、この上述したズーム機能で調整することにより、ディスプレイの大きさにあった表示の大きさに調整することも可能となる。この場合AUTOをOFFにし、zoom1とzoom2とを同じ値になるように調整すればよい。
【0179】
[実施形態5]
次に、
図14から
図16を参照しながら、実施形態5について説明する。
図14は、実施形態5に係る三次元情報取得装置及び三次元情報処理装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、実施形態5に係る三次元情報表示システム1Bについて説明する。三次元情報表示システム1Bの説明において、三次元情報表示システム1又は三次元情報表示システム1Aと同様の構成については、同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
【0180】
実施形態5に係る三次元情報表示システム1Bは、三次元情報取得装置110に代えて三次元情報取得装置110Bを備える点において、上述した実施形態とは異なる。三次元情報取得装置110Bは、RGBカメラ112及びTOFカメラ116に代えて、RGBDカメラ400を備える。RGBDカメラ400は、RGBセンサとTOFセンサとが1つのプリズム上に配置され、二次元画像と三次元情報(距離情報)とを取得可能な構成を有する。
【0181】
図15は、実施形態5に係るRGBDカメラの断面の一例について説明するための模式図である。同図を参照しながら、RGBDカメラ400が有するRGBセンサとTOFセンサとの位置関係について説明する。RGBDカメラ400は、可視光反射ダイクロイック膜412と、イメージセンサ(RGBセンサ)413と、ToF(Time of Flight)センサ414とを更に備える。
【0182】
レーザーダイオードアレイVCSEL(照射部)111から照射され、被写体(又は対象物)Sに反射した光は、受光部410に入射する。受光部410には、プリズム(不図示)が備えられる。当該プリズムは、受光部410が備える光学系レンズとToFセンサとの間に備えられる。また、当該プリズムは、レーザーダイオードアレイVCSEL111により被写体50に対して照射され反射した光が入射する。同図には、入射した光の光軸が、光軸OAとして記載されている。受光部410に入射した光は、可視光反射ダイクロイック膜412に入射する。可視光反射ダイクロイック膜412より上流側には、不図示の光学系レンズ等が備えられていてもよい。
【0183】
可視光反射ダイクロイック膜412は、受光部410とToFセンサ414との間の光路上に設けられる。可視光反射ダイクロイック膜412は、入射する一部の光(具体的には近赤外光)を透過させ、その他の光(具体的には可視光)を反射する。可視光反射ダイクロイック膜412は、レーザーダイオードアレイVCSEL111により照射された光が被写体50に反射した光の一部を透過させることにより、光をToFセンサ414に導く。可視光反射ダイクロイック膜412が透過させる光を赤外光ILと記載する。また、可視光反射ダイクロイック膜412が反射する光を可視光VLとして記載する。赤外光IL及び可視光VLは、可視光反射ダイクロイック膜412より上流側において略同一の光軸を通る。略同一の範囲とは、例えば共通のレンズにより、光路が形成される範囲であってもよい。
【0184】
可視光反射ダイクロイック膜412により二つの光路に分光された光は、それぞれの光路に配置されたセンサにより受光される。具体的には、可視光反射ダイクロイック膜412を透過した赤外光ILはToFセンサ414により受光される。また、可視光反射ダイクロイック膜412に反射した光はイメージセンサ413により受光される。
【0185】
図16は、実施形態5に係る可視光反射ダイクロイック膜の反射分光特性の一例を示す図である。ここで、可視光反射ダイクロイック膜412の反射分光特性の一例について説明する。同図の横軸は、波長[nm(ナノメートル)]を示し、縦軸は当該波長に対応する反射率[%]を示す。図示するように、可視光反射ダイクロイック膜17は、波長が約700[nm]以下の場合、略100[%]の反射率を有し、波長が約700[nm]以上の場合、略0[%]の反射率を有する。すなわち可視光反射ダイクロイック膜17に入射した光のうち波長が約700[nm]以下の光(例えば可視光)は反射し、波長が約700[nm]以上の光(例えば赤外光)は透過する。
【0186】
図15に戻り、イメージセンサ413は、可視光反射ダイクロイック膜412により反射した可視光を受光する。イメージセンサ413は、二次元配列された複数の画素を備える。イメージセンサ413は、ベイヤー配列により配置されたRGB各色の画素を備えていてもよい。当該複数の画素は、それぞれ可視光VLを受光し、可視光画像を生成するために必要な情報を取得する。
【0187】
ToFセンサ414は、レーザーダイオードアレイVCSEL111により照射され被写体50に反射した光を、光学系レンズを介して受光する。ToFセンサ414は、二次元配列された複数の画素を備える。当該複数の画素は、それぞれ赤外光ILを受光し、距離換算に必要な情報を取得する。
【0188】
[実施形態5のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、三次元情報表示システム1Bは、三次元情報取得装置110Bと、三次元情報処理装置120又は三次元情報処理装置120Aとを備える。三次元情報取得装置110Bは、RGBDカメラ400を備える。RGBDカメラ400は、ToFセンサ414を備えることにより、レーザーダイオードアレイVCSEL111により照射され被写体50に反射した光を光学系レンズを介して受光し、可視光反射ダイクロイック膜412を備えることにより、プリズムに入射した光のうち可視光を反射し、イメージセンサ413を備えることにより、可視光反射ダイクロイック膜412により反射した可視光を受光する。本実施形態によれば、このような構成を採用することにより、イメージセンサ413により取得される二次元画像と、ToFセンサ414により取得される三次元情報(距離画像)との間に生じる像のずれを軽減することが可能となる。したがって、本実施形態によれば、三次元情報表示システム1Bは、より精度のよい三次元情報を表示することが可能となる。
【0189】
[実施形態6]
次に、
図17を参照しながら、実施形態6について説明する。
図17は、実施形態6に係る三次元情報表示システムの機能構成の一例を示す機能構成図である。実施形態6は、所定の通信ネットワークNWを介して三次元情報取得システム10Cと、情報処理装置20C及び三次元情報表示装置30Cとが接続される点において、上述した実施形態とは異なる。本実施形態においては、所定の通信ネットワークを介することにより、遠距離に存在する三次元情報取得システム10Cを用いて取得された三次元情報を表示する。
【0190】
本実施形態に係る三次元情報表示システム1Cは、三次元情報取得システム10に代えて三次元情報取得システム10Cを、情報処理装置20に代えて情報処理装置20Cを、三次元情報表示装置30に代えて三次元情報表示装置30Cを備える。三次元情報表示システム1Cの説明において、三次元情報表示システム1、三次元情報表示システム1A又は三次元情報表示システム1Bと同様の構成については、同様の符号を付し説明を省略する場合がある。
【0191】
図示する一例において、三次元情報表示システム1Cは、それぞれ1台ずつの三次元情報取得システム10Cと、情報処理装置20C及び三次元情報表示装置30Cが含まれ、1対1の通信を行う。しかしながら本実施形態はこの一例に限定されず、三次元情報取得システム10Cと、情報処理装置20C及び三次元情報表示装置30Cとは、1対N又はN対1で接続されていてもよい。
【0192】
三次元情報表示システム1Cは、更にVIDEO ENC51と、IPTXパケッタイザ52と、IPRXデパケッタイザ53と、VIDEO DEC54とIPTXパケッタイザ55と、IPRXデパケッタイザ56とを備える。
【0193】
VIDEO ENC51は、三次元情報取得システム10Cから出力された8ビットのRGBデータ、及び8ビットのDEPTHデータを取得する。VIDEO ENC51は、取得したデータをエンコードする。VIDEO ENC51は、例えばH.264やH.265、又はTICO圧縮等の動画圧縮規格(動画コーデック)を用いてもよい。この場合、ブランキング内で内挿した焦点距離や表示範囲等のデータは、AUXデータとして扱い、圧縮しないようにすることが好適である。
【0194】
IPTXパケッタイザ52は、VIDEO ENC51から出力されたデータ(圧縮されたデータ)を取得する。IPTXパケッタイザ52は、取得したデータをパケット化し、所定の通信ネットワークNWに送信する。所定の通信ネットワークNWとは、回線を用いて構成される通信ネットワークである。所定の通信ネットワークNWの一例としては、インターネットを例示することができる。所定の通信ネットワークNWはオープンなネットワークであり、通信ネットワークNWに接続された装置同士は所定のプロトコルを用いて相互に通信することができる。通信ネットワークNWのインターネット層においては、インターネットプロトコル(IP)等を用いた通信が行われる。
【0195】
なお、図示する一例では、VIDEO ENC51及びIPTXパケッタイザ52を、三次元情報取得システム10Cとは異なる構成として記載しているが、本実施形態はこの一例に限定されない。VIDEO ENC51及びIPTXパケッタイザ52は、例えば三次元情報取得システム10Cに含まれていてもよい。
【0196】
IPRXデパケッタイザ53は、所定の通信ネットワークNWを介して、IPTXパケッタイザ52から情報を取得する。IPRXデパケッタイザ53は、取得した情報に基づき、RGB及びDEPTHの圧縮データ列に戻す処理を行う。
【0197】
VIDEO DEC54は、IPRXデパケッタイザ53から圧縮データ列を取得し、取得した圧縮データ列のデコード処理を行う。VIDEO DEC54によりデコード処理が行われた結果、8ビットのRGBデータ、及び8ビットのDEPTHデータを得ることができる。これら8ビットデータは、三次元情報表示装置30Cに入力される。三次元情報表示装置30Cは、VIDEO DEC54から8ビットのRGBデータ、及び8ビットのDEPTHデータを取得し、更に情報処理装置20Cから距離範囲設定についての情報を取得する。三次元情報表示装置30Cは、取得した情報に基づき、三次元表示を行う。
【0198】
なお、図示する一例では、IPRXデパケッタイザ53及びVIDEO DEC54を、三次元情報表示装置30Cとは異なる構成として記載しているが、本実施形態はこの一例に限定されない。IPRXデパケッタイザ53及びVIDEO DEC54は、例えば三次元情報表示装置30Cに含まれていてもよい。また、IPRXデパケッタイザ53及びVIDEO DEC54は、例えば情報処理装置20Cに含まれていてもよいし、三次元情報表示装置30Cに含まれてもよい。
【0199】
IPTXパケッタイザ55は、情報処理装置20Cから距離範囲設定情報を取得する。IPTXパケッタイザ55は、取得したデータをパケット化し、所定の通信ネットワークNWに送信する。
【0200】
IPRXデパケッタイザ56は、所定の通信ネットワークNWを介して、IPTXパケッタイザ55から情報を取得する。IPRXデパケッタイザ56は、取得した情報に基づき、距離範囲設定情報に戻す処理を行う。当該距離範囲設定情報は、三次元情報取得システム10Cに出力される。三次元情報取得システム10Cは、撮影により取得したRGBD情報を、所定の通信ネットワークNWを介して情報処理装置20Cから取得した距離範囲設定情報に基づき8ビットの情報に加工し、VIDEO ENC51に出力する。
【0201】
なお、三次元情報表示システム1Cは、図示するようにリアルタイムで撮影された情報を表示してもよいが、本実施形態はこの一例に限定されない。三次元情報表示システム1Cは、例えば不図示の記憶部を備えることにより、三次元情報取得システム10Cにより取得された情報が記憶部に記憶され、三次元情報表示装置30Cからの要求に基づきオンデマンド配信されるような構成を採用してもよい。なお、上述した説明において、三次元情報取得システム10Cは、量子化ビット数8ビットとして、8ビットのRGBデータを用いる場合について記載しているが、本実施形態はこの一例に限定されず量子化ビット数を8ビット以外のビット数としてもよい。
【0202】
[実施形態6のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、三次元情報表示システム1Cは、三次元情報取得システム10C、情報処理装置20C、及び三次元情報表示装置30Cに加え、VIDEO ENC51と、IPTXパケッタイザ52と、IPRXデパケッタイザ53と、VIDEO DEC54とIPTXパケッタイザ55と、IPRXデパケッタイザ56とを備える。三次元情報表示システム1Cは、これら構成要件を備えることにより、遠隔で三次元情報取得システム10Cを操作することができ、表示距離範囲を指定して少ない距離データで伝送することができるようになる。
【0203】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。また、上述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0204】
1…三次元情報表示システム、10…三次元情報取得システム、20…情報処理装置、30…三次元情報表示装置、110…三次元情報取得装置、120…三次元情報処理装置、111…レーザーダイオードアレイVCSEL、112…RGBカメラ、113…レンズ、114…イメージセンサ、115…RGBプロセス、116…TOFカメラ、117…レンズ、118…TOFセンサ、119…TOFプロセス、121…z方向深さ幅指定部、122…MAX値z-d変換部、123…MIN値z-d変換部、124…D-z変換部、125…z値制限部、126…範囲制限変換部、127…範囲外処理部、128…データ追加部、310…前処理部、320…映像処理部、311…点群変換部、312…z軸オフセット部、321…RGB3D回転部、322…距離3D回転部、323…透視投影リサイズ部、324…視差計算部、325…視差映像作成部、1291…第1電子ズーム部、1292…第2電子ズーム部、1251…ぼかし領域設定部、400…RGBDカメラ、410…受光部、412…可視光反射ダイクロイック膜、413…イメージセンサ、414…ToFセンサ、51…VIDEO ENC、52…IPTXパケッタイザ、53…IPRXデパケッタイザ、54…VIDEO DEC、55…IPTXパケッタイザ、56…IPRXデパケッタイザ、S…被写体