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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126854
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】移動用車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B62B3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035563
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅人
(72)【発明者】
【氏名】川村 満夫
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA02
3D050BB02
3D050BB11
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050KK11
(57)【要約】
【課題】意図せず折り畳まれてしまうのを抑制できる移動用車を提供する。
【解決手段】買い物カート10は、一対のフレーム11,12に跨がって設けられたかご載置部15を備える。第1フレーム11には第2支持部62が設けられ、第2フレーム12には第1支持部61が設けられ、各支持部61,62によりかご載置部15が支持されている。かご載置部15には、第2支持部62を案内する案内通路65が形成されている。かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられることに伴い、第2支持部62が案内通路65に沿って第1位置E1から第2位置E2に変位することにより、一対のフレーム11,12が展開状態から折り畳み状態に切り替わる。案内通路65において第1位置E1から第2位置E2側に延びる第1通路部71は、かご載置部15の載置可能状態において、第1位置E1から第2位置E2側に向かうほど下方に変位しながら延びる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部に車輪が取り付けられ、側面視にて交差して設けられた一対のフレームを備え、
前記一対のフレームは、前記交差する交差部において回動可能に連結されることにより、前後に展開された展開状態と前後に折り畳まれた折り畳み状態とに切替可能とされ、
前記交差部よりも上方において前記一対のフレームに跨って設けられた所定部材を備え、
前記所定部材は、前後方向に延びる第1状態と、前記第1状態における前端部が上端部となる第2状態とに切替可能となっている移動用車であって、
前記一対のフレームにはそれぞれ前記所定部材を支持する支持部が設けられ、
前記所定部材には、前記第1状態において前後方向に延びる案内通路が形成され、
前記各支持部のうち一方は、前記所定部材の前記切替を可能とすべく、前記所定部材を回動可能に支持する第1支持部であり、
前記各支持部のうち他方は、前記所定部材の前記切替の際、前記案内通路に沿って案内される第2支持部であり、
前記第2支持部は、前記案内通路において第1位置と前記第1位置よりも前記第1支持部側の第2位置とに変位可能とされ、
前記所定部材が前記第1状態から前記第2状態に切り替えられることに伴い、前記第2支持部が前記第1位置から前記第2位置に変位することにより、前記一対のフレームが前記展開状態から前記折り畳み状態に切り替わる構成となってなり、
前記案内通路のうち前記第1位置から前記第2位置側に延びる所定長さ部分は第1通路部であり、
前記第1通路部は、前記所定部材が前記第1状態にある場合に、前記第1位置から前記第2位置側に向かうほど下方に変位しながら延びる、移動用車。
【請求項2】
前記案内通路は、前記第1通路部と連続し、前記第2位置へと延びる第2通路部を有しており、
前記第2通路部は、前記所定部材が前記第1状態にある場合に、前記第1通路部の下端部から前記第2位置に向けて上方に傾斜しながら延び、
前記第2通路部の長さは前記第1通路部の長さよりも長く、前記第2通路部の前記傾斜は前記第1通路部の傾斜よりも緩やかである、請求項1に記載の移動用車。
【請求項3】
前記一対のフレームが前記展開状態から前記折り畳み状態に移行する際に前記第2支持部が前記交差部を中心として回動する回動経路を想定した場合、前記第1位置における前記回動経路の接線方向と、前記第1通路部が延びる方向とは鋭角をなしている、請求項2に記載の移動用車。
【請求項4】
前記鋭角は、45°~80°の範囲内である、請求項3に記載の移動用車。
【請求項5】
前記第2支持部に係合することで、前記第2支持部が前記第1位置から前記第2位置側に変位するのを規制する係合部と、
前記係合部による前記係合を解除すべく、前後方向に沿って解除操作される解除操作部と、
前記解除操作部による前記解除操作に基づき、前記係合部を前記第2支持部に係合する係合位置から前記係合が解除される解除位置へ変位させる変位機構と、を備え、
前記変位機構は、前記係合部を、前後方向に対して傾斜する方向であり前記第1通路部とは反対側に傾斜する傾斜方向に変位させる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の移動用車。
【請求項6】
前記係合部を有する係合部材を備え、
前記係合部材は、前記所定部材に回動軸を介して回動可能に支持されており、
前記変位機構は、前記解除操作に基づき前記係合部材を回動させることにより、前記係合部を前記係合位置から前記解除位置へ変位させるものであり、
前記回動軸は、前記第1通路部の延長線上に配置されている、請求項5に記載の移動用車。
【請求項7】
前記解除操作部と一体に設けられ、前記解除操作部とともに前後方向にスライドするスライド部材を備え、
前記変位機構は、
前記スライド部材に設けられ、前後方向に対して傾斜する方向に延びるガイド孔と、
前記係合部材に設けられ、前記ガイド孔に沿って案内されるガイドピンとを有し、
前記解除操作に基づき前記スライド部材をスライドさせることにより、前記ガイドピンを前記ガイド孔においてその一端側から他端側に変位させることで、前記係合部材を回動させるものであり、
前記ガイド孔は、前記一端側から前記他端側に向かうほど前後方向において前記解除操作される側とは反対側に変位するよう傾斜している、請求項6に記載の移動用車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動用車に関する。
【背景技術】
【0002】
人や荷物の移動を補助する移動用車としては、例えば高齢者等の歩行を補助する歩行車や、スーパーマーケット等の店内で購入した商品を運ぶ際に用いられる買い物カートが知られている。
【0003】
特許文献1には、移動用車として、下端部に前輪が取り付けられた第1フレームと、下端部に後輪が取り付けられた第2フレームとを備え、それら各フレームが側面視にて交差して配置されているものが開示されている。この移動用車では、各フレームが互いに交差する交差部において回動可能に連結され、その回動により、各フレームが前後に展開された展開状態と前後に折り畳まれた折り畳み状態とに切替可能となっている。
【0004】
また、特許文献1の移動用車では、各フレームに跨って座部が設けられている。座部は、後方に跳ね上げ可能となっている。特許文献1の移動用車では、座部を跳ね上げると、それに連動して各フレームが展開状態から折り畳み状態に切り替わるようになっている。これにより、特許文献1の移動用車は、全体として、前後に展開された状態から前後に折り畳まれた状態へと切替可能となっている。
【0005】
また、特許文献1の移動用車には、移動用車を前後に展開された状態でロックするロック部材が設けられている。ロック部材は、座部に対して回動可能に設けられ、第1フレームに設けられた軸部が嵌まる凹部を有している。この凹部に第1フレームの軸部が嵌まることにより、座部の跳ね上げが不可となり、また各フレームが展開状態から折り畳み状態に切り替わることが不可となる。これにより、移動用車を前後に展開された状態でロックすることが可能となっている。
【0006】
また、特許文献1の移動用車には、ロック部材によるロックを解除するための解除バーが設けられている。解除バーは、ロック部材と一体に設けられている。この場合、解除バーを操作してロック部材を回動させることにより、ロック部材の凹部から軸部を外すことで、ロックを解除することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-10501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1の移動用車では、移動用車に不意に衝撃が加わった際等に、解除バーが意図せず動作してロック部材が回動し、ロック部材の凹部から軸部が外れてしまうおそれがある。その場合、移動用車が意図せず折り畳まれてしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、意図せず折り畳まれてしまうのを抑制することができる移動用車を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、第1の発明の移動用車は、下端部に車輪が取り付けられ、側面視にて交差して設けられた一対のフレームを備え、前記一対のフレームは、前記交差する交差部において回動可能に連結されることにより、前後に展開された展開状態と前後に折り畳まれた折り畳み状態とに切替可能とされ、前記交差部よりも上方において前記一対のフレームに跨って設けられた所定部材を備え、前記所定部材は、前後方向に延びる第1状態と、前記第1状態における前端部が上端部となる第2状態とに切替可能となっている移動用車であって、前記一対のフレームにはそれぞれ前記所定部材を支持する支持部が設けられ、前記所定部材には、前記第1状態において前後方向に延びる案内通路が形成され、前記各支持部のうち一方は、前記所定部材の前記切替を可能とすべく、前記所定部材を回動可能に支持する第1支持部であり、前記各支持部のうち他方は、前記所定部材の前記切替の際、前記案内通路に沿って案内される第2支持部であり、前記第2支持部は、前記案内通路において第1位置と前記第1位置よりも前記第1支持部側の第2位置とに変位可能とされ、前記所定部材が前記第1状態から前記第2状態に切り替えられることに伴い、前記第2支持部が前記第1位置から前記第2位置に変位することにより、前記一対のフレームが前記展開状態から前記折り畳み状態に切り替わる構成となってなり、前記案内通路のうち前記第1位置から前記第2位置側に延びる所定長さ部分は第1通路部であり、前記第1通路部は、前記所定部材が前記第1状態にある場合に、前記第1位置から前記第2位置側に向かうほど下方に変位しながら延びる。
【0011】
第1の発明によれば、側面視にて交差して配置された一対のフレームが、互いに交差する交差部において回動可能に連結されることで、前後に展開された展開状態と前後に折り畳まれた折り畳み状態とに切替可能となっている。また、一対のフレームに跨がって所定部材が設けられ、その所定部材が、前後方向に延びる第1状態と、第1状態における前端部が上端部となる第2状態とに切替可能となっている。
【0012】
一対のフレームにはそれぞれ所定部材を支持する支持部が設けられ、所定部材には前後方向に延びる案内通路が形成されている。各支持部のうち一方は所定部材を回動可能に支持する第1支持部となっており、他方は案内通路に沿って案内される第2支持部となっている。第2支持部は、案内通路において第1位置と、第1位置よりも第1支持部側の第2位置とに変位可能とされている。この場合、所定部材が第1状態から第2状態に切り替えられることに伴い、第2支持部が第1位置から第2位置に変位することで、一対のフレームが展開状態から折り畳み状態に切り替わるようになっている。これにより、移動用車が全体として折り畳まれた状態とされる。
【0013】
ここで、上記の構成では、一対のフレームが展開状態から折り畳み状態に切り替わる際に、第2支持部が一対のフレームが交差する交差部を中心として回動することになる。この場合、第2支持部が回動する経路を回動経路とすると、案内通路が、例えば第1位置から第2位置側に向け回動経路に沿って延びている場合には、移動用車に不意の衝撃が加わった際等に、第2支持部が意図せず第1位置から第2位置側に向けて変位するおそれがある。その場合、各フレームが意図せず展開状態から折り畳み状態に切り替わってしまうおそれがある。
【0014】
そこで、第1の発明では、こうした点に鑑み、案内通路のうち第1位置から第2位置側に向けて延びる所定長さ部分を第1通路部とし、その第1通路部を、所定部材が第1状態にある場合に第1位置から第2位置側に向けて下方に変位しながら延びる構成としている。案内通路が第1位置から第2位置側に向けて上記回動経路に沿って延びている場合には、案内通路が第1位置から回動経路に沿って上側に延びることになる。それに対して、第1通路部は第1位置から第2位置側に向けて下方に変位しながら延びるため、第2支持部が意図せず第1通路部に沿って第1位置から第2位置側へ変位するのを抑制することができる。これにより、一対のフレームが意図せず展開状態から折り畳み状態に切り替わるのを抑制することができ、ひいては移動用車が意図せず折り畳まれるのを抑制することができる。
【0015】
第2の発明の移動用車は、第1の発明において、前記案内通路は、前記第1通路部と連続し、前記第2位置へと延びる第2通路部を有しており、前記第2通路部は、前記所定部材が前記第1状態にある場合に、前記第1通路部の下端部から前記第2位置に向けて上方に傾斜しながら延び、前記第2通路部の長さは前記第1通路部の長さよりも長く、前記第2通路部の前記傾斜は前記第1通路部の傾斜よりも緩やかである。
【0016】
第2の発明によれば、案内通路において第1通路部と連続する第2通路部が、所定部材が第1状態にある場合に、第2位置に向けて上方傾斜しながら延びるようになっている。ここで、第2支持部が意図せず第1通路部に沿って第1位置から第2位置側に変位するのを抑制する上では、第1通路部の長さがそれほど長くなっている必要はない。そこで、第2の発明では、その点に鑑み、第2通路部の長さを第1通路部の長さよりも長くし、第2通路部の傾斜を第1通路部の傾斜よりも緩やかにしている。この場合、通路長さの長い第2通路部において、第2支持部を第2位置に向けて比較的変位させ易くすることができる。そのため、所定部材を第1状態から第2状態に切り替え一対のフレームを折り畳み状態とする際に(つまり移動用車の折り畳み作業の際に)、第2支持部を第1位置から第2位置まで比較的スムーズに変位させ易く、その結果、移動用車の折り畳み作業をし易くすることができる。
【0017】
第3の発明の移動用車は、第2の発明において、前記一対のフレームが前記展開状態から前記折り畳み状態に移行する際に前記第2支持部が前記交差部を中心として回動する回動経路を想定した場合、前記第1位置における前記回動経路の接線方向と、前記第1通路部が延びる方向とは鋭角をなしている。
【0018】
一対のフレームが展開状態から折り畳み状態に移行する際に第2支持部が交差部を中心として回動する回動経路を想定した場合、第2支持部は、第1位置における回動経路の接線方向に沿って第1位置から第2位置側に向けて変位することになる。ここで、回動経路の上記接線方向と、第1通路部の延びる方向とのなす角度が大きい場合(例えば直角よりも大きい場合)には、所定部材を第1状態から第2状態に切り替えて一対のフレームを折り畳み状態とする際に、第2支持部が第1位置から第2位置側に変位しづらくなることが想定される。その場合、折り畳み作業をスムーズに行えないおそれがある。
【0019】
そこで、第3の発明では、こうした点に鑑み、回動経路の上記接線方向と第1通路部の延びる方向とのなす角度を鋭角にしている。この場合、折り畳み作業の際に、第2支持部が第1位置から第2位置側に変位しづらくなるのを抑制することができる。そのため、移動用車が意図せず折り畳まれるのを抑制しながらも、移動用車の折り畳み作業を好適に行うことが可能となる。
【0020】
第4の発明の移動用車は、第3の発明において、前記鋭角は、45°~80°の範囲内である。
【0021】
移動用車が意図せず折り畳まれるのを抑制する上では、回動経路の上記接線方向と第1通路部の延びる方向とがなす角度(鋭角)が45°以上であるのが望ましい。また、移動用車の折り畳み作業を好適に行う上では、上記の角度が80°以下であるのが望ましい。その点、第4の発明では、上記の角度が45°~80°の範囲内とされているため、上述した第3の発明の効果を好適に得ることができる。
【0022】
第5の発明の移動用車は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記第2支持部に係合することで、前記第2支持部が前記第1位置から前記第2位置側に変位するのを規制する係合部と、前記係合部による前記係合を解除すべく、前後方向に沿って解除操作される解除操作部と、前記解除操作部による前記解除操作に基づき、前記係合部を前記第2支持部に係合する係合位置から前記係合が解除される解除位置へ変位させる変位機構と、を備え、前記変位機構は、前記係合部を、前後方向に対して傾斜する方向であり前記第1通路部とは反対側に傾斜する傾斜方向に変位させる。
【0023】
第5の発明によれば、係合部が第2支持部に係合することで、第2支持部が第1位置から第2位置側に変位することが規制される。この場合、一対のフレームが意図せず展開状態から折り畳み状態に切り替わるのを防止でき、ひいては移動用車が意図せず折り畳まれるのを防止できる。
【0024】
第2支持部に対する係合部の係合解除は、解除操作部が前後方向に沿って解除操作されることにより行われる。ここで、第1通路部が第1位置から第2位置側に向けて下方に変位しながら延びる上記第1の発明の構成では、係合部を係合位置から解除位置へと解除操作部の解除操作方向(つまり前後方向)に沿って変位させると、係合部の変位量が大きくなると考えられる。この場合、解除操作部の操作量も大きくなり、解除操作がしづらくなるおそれがある。
【0025】
そこで、第5の発明では、このような点に鑑み、解除操作部の解除操作に基づき、係合部を係合位置から解除位置へと、前後方向に対して傾斜する方向であり第1通路部とは反対側に傾斜する傾斜方向に変位させる構成としている。この場合、係合部が係合位置から解除位置へ変位する際の変位量を抑えることができ、その結果、解除操作部の操作量を抑えることができる。これにより、解除操作を容易に行うことが可能となる。
【0026】
なお、万が一、解除操作部が誤操作される等して、第2支持部に対する係合部の係合が解除されてしまったとしても、上述のように第1通路部が第1位置から第2位置側に向けて下方に変位しながら延びているため、第2支持部が意図せず第1位置から第2位置側に変位するのを抑制することができる。
【0027】
第6の発明の移動用車は、第5の発明において、前記係合部を有する係合部材を備え、前記係合部材は、前記所定部材に回動軸を介して回動可能に支持されており、前記変位機構は、前記解除操作に基づき前記係合部材を回動させることにより、前記係合部を前記係合位置から前記解除位置へ変位させるものであり、前記回動軸は、前記第1通路部の延長線上に配置されている。
【0028】
第6の発明によれば、係合部を有する係合部材が所定部材に回動軸を介して回動可能に支持されている。また、解除操作部の解除操作に基づき係合部材を回動させることで、係合部を係合位置から解除位置へ変位させるようになっている。この場合、回動式の係合部材を用いて上記第6の発明を具体的に実現することができる。
【0029】
また、回動軸が第1通路部の延長線上に配置されているため、係合部材の回動により係合部を係合位置から解除位置へ変位させる際の変位方向を第1通路部の延びる方向と略直交する方向に設定することができる。この場合、係合部を係合位置から解除位置へ変位させる際の変位量を好適に抑えることができ、その結果、解除操作部の操作量を好適に抑えることができる。これにより、解除操作をより容易に行うことが可能となる。
【0030】
第7の発明の移動用車は、第6の発明において、前記解除操作部と一体に設けられ、前記解除操作部とともに前後方向にスライドするスライド部材を備え、前記変位機構は、前記スライド部材に設けられ、前後方向に対して傾斜する方向に延びるガイド孔と、前記係合部材に設けられ、前記ガイド孔に沿って案内されるガイドピンとを有し、前記解除操作に基づき前記スライド部材をスライドさせることにより、前記ガイドピンを前記ガイド孔においてその一端側から他端側に変位させることで、前記係合部材を回動させるものであり、前記ガイド孔は、前記一端側から前記他端側に向かうほど前後方向において前記解除操作される側とは反対側に変位するよう傾斜している。
【0031】
第7の発明によれば、解除操作部と一体に設けられ、解除操作部とともに前後方向にスライドするスライド部材を備える。スライド部材には前後方向に対して傾斜する方向に延びるガイド孔が設けられ、係合部材にはガイド孔に沿って案内されるガイドピンが設けられている。そして、解除操作部の解除操作に基づき、スライド部材をスライドさせることにより、係合部材のガイドピンをスライド部材のガイド孔においてその一端側から他端側に変位させることで係合部材を回動させるようになっている。また、ガイド孔は、一端側から他端側に向かうほど前後方向において解除操作される側とは反対側に変位するよう傾斜している。この場合、解除操作部の解除操作に基づき、ガイドピンをガイド孔に沿って一端側から他端側に変位させ易くすることができる。これにより、解除操作をより一層容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】展開状態における買い物カートを示す斜視図である。
図2】展開状態における買い物カートを示す斜視図であり、バッグを取り外した状態で示している。
図3】折り畳み状態における買い物カートを示す斜視図であり、バッグを取り外した状態で示している。
図4】展開状態における買い物カートを示す側面図である。
図5】折り畳み状態における買い物カートを示す側面図である。
図6】かご載置部を後方から見た斜視図である。
図7】第2フレームとかご載置部との接続部周辺を示す斜視図である。
図8】(a)が第2支持部の周辺を示す斜視図であり、(b)が支持部材の周辺を示す斜視図である。
図9】アーム本体及びその周辺部材を左右方向の外側から見た側面図であり、係合部材の係合状態を示している。
図10】かご載置部が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられることに連動して、第1フレーム及び第2フレームが展開状態から折り畳み状態に切り替わる様子を示す側面図である。
図11】アーム本体及びその周辺部材を左右方向の外側から見た側面図であり、係合部材の係合解除状態を示している。
図12】係合部材を拡大して示す側面図であり、(a)が係合部材の係合状態を示し、(b)が係合解除状態を示している。
図13】かご載置部の各アーム本体に取り付けられた解除装置を一部分解した状態で示す分解斜視図である。
図14】(a)がかご載置部の前端フレーム周辺を示す正面図であり、(b)が平面図である。
図15】かご載置部を跳ね上げ状態で保持するための構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は、展開状態における買い物カート10を示す斜視図であり、図3は、折り畳み状態における買い物カート10を示す斜視図である。なお、図2及び図3では、バッグ13を買い物カート10から取り外した状態で示している。図4は、展開状態における買い物カート10を示す側面図であり、図5は、折り畳み状態における買い物カート10を示す側面図である。なお、図4及び図5では、便宜上、バッグ13及び買い物かごKを二点鎖線で示している。
【0034】
以下の説明では、買い物カート10を展開状態で移動させる際の移動方向を前後方向とし、その前後方向に対して直交する方向を左右方向とする。また、以下の説明では、特に断りがない限り、展開状態における買い物カート10の構成をいうものとする。
【0035】
図1に示すように、買い物カート10は、当該カート10の骨組を構成する第1フレーム11及び第2フレーム12と、買い物した物(商品)を収容するバッグ13と、バッグ13を支持するバッグ支持部14と、買い物かごKを載置するかご載置部15とを備える。本買い物カート10によれば、スーパーマーケット等の店内ではかご載置部15に買い物かごKを載せることでショッピングカートとしての利用が可能となる。また、買い物した後は、買い物した物をバッグ13内に収容し、自宅まで運ぶことが可能となる。なお、買い物カート10が「移動用車」に相当する。
【0036】
図2及び図4に示すように、第1フレーム11と第2フレーム12とは、正面視において枠状をなしており、側面視において略X字状をなすように互いに交差して配置されている。第1フレーム11は後方に傾斜して延びており、第2フレーム12は前方に傾斜して延びている。第1フレーム11の下端部には前輪16が取り付けられ、第2フレーム12の下端部には後輪17が取り付けられている。また、第1フレーム11は第2フレーム12よりも上方に延びており、第1フレーム11の上端側には、ユーザが買い物カート10を移動する際に把持するハンドル18が設けられている。なお、第1フレーム11及び第2フレーム12が「一対のフレーム」に相当する。また、前輪16及び後輪17が「車輪」に相当する。
【0037】
第1フレーム11と第2フレーム12とは、互いに交差する交差部19において回動可能に連結されている。これら各フレーム11,12は、その回動により、前後に展開する展開状態(図2図4に示す状態)と、前後に折り畳まれる折り畳み状態(図3図5に示す状態)とに切替可能とされている。各フレーム11,12の展開状態では、前輪16と後輪17とが前後に離間し、各フレーム11,12の折り畳み状態では、前輪16と後輪17とが前後に接近する。
【0038】
第1フレーム11は、上下方向に延びる左右一対の脚フレーム21と、各脚フレーム21の中間部に架け渡された横フレーム22と、各脚フレーム21の上端部に架け渡されたハンドルフレーム23とを有する。各脚フレーム21は、下部フレーム25と、下部フレーム25に対して上側に配置された上部フレーム26とを有する。下部フレーム25及び上部フレーム26は金属製のパイプ材又は棒材により形成され、いずれも後方に傾斜している。上部フレーム26は下部フレーム25よりも後方への傾斜が小さくされ、上部フレーム26の下端側に下部フレーム25の上端部が連結されている。また、各下部フレーム25の下端部には前輪16が取り付けられている。
【0039】
各上部フレーム26には、かご載置部15を支持する支持部材27が取り付けられている。支持部材27は、樹脂材料により形成され、脚フレーム21に取り付けられる筒状の取付部28と、取付部28から前方に張り出す張出部29とを有する。取付部28は、その内側に上部フレーム26を挿入した状態で上部フレーム26に取り付けられている。
【0040】
横フレーム22は、金属製のパイプ材又は棒材により形成され、各上部フレーム26の下部に架け渡されている。ハンドルフレーム23は、横フレーム22と同様、金属製のパイプ材又は棒材により形成され、各上部フレーム26の上端部に架け渡されている。ハンドルフレーム23には、樹脂製のハンドルカバー24が被せられており、そのハンドルカバー24とハンドルフレーム23とによりハンドル18が構成されている。
【0041】
第2フレーム12は、上下方向に延びる左右一対の脚フレーム31と、各脚フレーム31の下端側に架け渡された横フレーム32とを有する。これら各フレーム31,32は、金属製のパイプ材又は棒材により形成されている。各脚フレーム31は、前方に向けて傾斜しており、第1フレーム11の各脚フレーム21(詳しくは下部フレーム25)とそれぞれ交差している。各脚フレーム21,31が交差する交差部19には左右方向に延びる軸部34が設けられている。各脚フレーム21,31は、その軸部34を介して回動可能に連結され、ひいては第1フレーム11及び第2フレーム12が回動可能に連結されている。これにより、各フレーム11,12は、軸部34を中心とした回動により、展開状態と折り畳み状態とに切替可能となっている。
【0042】
続いて、バッグ13及びバッグ支持部14について説明する。
【0043】
図1に示すように、バッグ13は、上下方向に延びる略直方体状に形成されている。バッグ13は、買い物した物を収容可能なバッグ本体36と、カバー37,38とを有する。バッグ本体36は、前面及び上面がそれぞれ開口された箱状とされており、それらの開口を通じてバッグ本体36に物の出し入れが可能となっている。また、カバー37は、バッグ本体36の前面開口を開閉する前カバーとなっており、カバー38は、バッグ本体36の上面開口を開閉する上カバーとなっている。
【0044】
図2及び図4に示すように、バッグ支持部14は、第1フレーム11の下端側に設けられ、第1フレーム11の各脚フレーム21の間に配置されている。バッグ支持部14は、各脚フレーム21にそれぞれ連結バー45を介して連結されている。バッグ支持部14は、バッグ13が載置される載置部41と、載置されたバッグ13を後方から受ける受け部42と、載置されたバッグ13が前方に脱落するのを防止するストッパ部43とを有する。載置部41は前後方向に延びており、その載置部41の後端部から受け部42が上方に延びている。また、ストッパ部43は、載置部41の前端側から上方に延びている。
【0045】
バッグ支持部14には、載置部41から下方に延びる接地部44が設けられている。接地部44は、第1フレーム11及び第2フレーム12が折り畳み状態とされると、下端部が接地面G(床面や地面)に接地するようになっている(図5参照)。この場合、接地部44の接地に伴い、前輪16が接地面Gから上方に離間する。そのため、各フレーム11,12の折り畳み状態では、後輪17と接地部44とがそれぞれ接地面Gに載置されることにより買い物カート10が自立するようになっている。
【0046】
続いて、かご載置部15について図2及び図4に加え、図6を用いながら説明する。図6は、かご載置部15を後方から見た斜視図である。
【0047】
図2及び図4に示すように、かご載置部15は、第1フレーム11及び第2フレーム12が交差する交差部19よりも上方において各フレーム11,12に跨がって設けられている。かご載置部15は、第1フレーム11の中間部と第2フレーム12の上端部とに跨がって設けられ、バッグ支持部14に支持されたバッグ13の上方に配置されている(図1参照)。なお、かご載置部15が「所定部材」に相当する。
【0048】
図2及び図6に示すように、かご載置部15は、平面視コの字形の枠状をなしており、その開放部を後方に向けた状態で配置されている。かご載置部15は、前後方向に延びる左右一対のアーム51と、各アーム51の前端部に架け渡された前端フレーム52とを有している。
【0049】
各アーム51は、前後方向に延びるアーム本体53と、アーム本体53を左右方向の外側から覆うカバー54とを有する。各アーム本体53は、金属材料により板状(平板状)に形成され、左右方向に互いに向き合って配置されている。また、カバー54は、樹脂材料により形成され、その周縁部に左右方向の内側に延出するフランジ54aが設けられている。カバー54においてフランジ54aに囲まれた内側にはアーム本体53が配置され、その配置状態でアーム本体53とカバー54とが互いに固定されている。
【0050】
前端フレーム52は、樹脂材料により左右方向に延びる棒状に形成されている。前端フレーム52には、後方に張り出す一対の張出部56が設けられている。各張出部56は、左右方向に離間して配置されている。各張出部56の上面は買い物かごKが載置される載置面となっている。本買い物カート10では、買い物かごKが各張出部56の上面と各支持部材27の張出部29の上面とに跨がって載置されるようになっている。また、各張出部56の上面にゴムシート等からなる滑り止め59が設けられていてもよい。また、各張出部56の間隔は、各張出部29の間隔よりも小さくなっている。
【0051】
各張出部29,56の上面は、各アーム51の上端部よりも低い位置にある。つまり、各アーム51は、各張出部29,56の上面よりも上方に延出している。この場合、各張出部29,56の上面に買い物かごKが載置された状態で、買い物かごKが左右にずれ落ちることが防止されている。また、前端フレーム52には、上方に突出する一対のストッパ57がさらに設けられている。これらのストッパ57は、左右に離間して配置されている。これにより、買い物かごKが前方にずれ落ちることが防止されている。
【0052】
かご載置部15は、後方つまり第1フレーム11側(詳しくは上部フレーム26側)に跳ね上げ可能とされている。そのため、かご載置部15は、買い物かごKを載置可能な載置可能状態(図2図4に示す状態)と、後方に跳ね上げられた跳ね上げ状態(図3図5に示す状態)とに切替可能とされている。これにより、本買い物カート10では、第1フレーム11及び第2フレーム12を折り畳み状態とし、かご載置部15を跳ね上げ状態とすることにより、買い物カート10を全体として前後に折り畳まれた状態とすることが可能となっている。
【0053】
なお、かご載置部15の載置可能状態では、かご載置部15が前後方向に延びる状態となり、かご載置部15の跳ね上げ状態では、かご載置部15が上下方向に延びる状態となる。また、かご載置部15の跳ね上げ状態では、載置可能状態におけるかご載置部15の前端部が上端部となる。したがって、本実施形態では、かご載置部15の載置可能状態が「第1状態」に相当し、跳ね上げ状態が「第2状態」に相当する。
【0054】
ここで、本買い物カート10では、かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられることに連動して、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態から折り畳み状態に切り替えられるようになっている。そこで、以下では、かかる切り替えを行うための構成について説明する。
【0055】
第1フレーム11及び第2フレーム12にはそれぞれかご載置部15を支持する支持部が設けられている。以下、これら各支持部について順に説明する。まず、第2フレーム12側の支持部である第1支持部61について図2及び図7に基づき説明する。なお、図7は、第2フレーム12とかご載置部15との接続部周辺を示す斜視図である。また、図7では説明の便宜上、アーム51のカバー54を取り外した状態で示している(この点は、後述する図8図12も同様)。
【0056】
図2及び図7に示すように、第2フレーム12の各脚フレーム31の上端部にはそれぞれ第1支持部61が固定されている。第1支持部61は、L字状に形成され、脚フレーム31の上端部に固定された横板部61aと、横板部61aから上方に延びる縦板部61bとを有する。
【0057】
縦板部61bは、かご載置部15のアーム本体53と前端フレーム52との間に入り込んでいる。アーム本体53と前端フレーム52とは、左右方向に延びる軸部64を介して接続されている。縦板部61bには、軸部64が挿通される孔部(図示略)が形成され、縦板部61bは、その孔部に軸部64を挿通した状態でアーム本体53と前端フレーム52との間に配置されている。これにより、第1支持部61は、軸部64を介してかご載置部15に回動可能に接続されている。この場合、第1支持部61は、かご載置部15を回動可能に支持するものとなっている。
【0058】
続いて、第1フレーム11側の支持部である第2支持部62について図8に基づき説明する。図8は、(a)が第2支持部62の周辺を示す斜視図であり、(b)が支持部材27の周辺を示す斜視図である。
【0059】
図8(a)に示すように、かご載置部15の各アーム本体53には、前後方向に延びる案内通路65が形成されている(図2図6も参照)。案内通路65は、アーム本体53を厚み方向に貫通する長孔状の通路となっている。なお、案内通路65の詳細については後述する。
【0060】
各アーム本体53の案内通路65にはそれぞれ第2支持部62が設けられている。第2支持部62は、左右方向に延びる円筒状の内筒部62a及び外筒部62bを有している。内筒部62aは案内通路65に挿入され、その一部がアーム本体53よりも左右方向の外側に突出している。外筒部62bは、その径が案内通路65の幅よりも大きくされ、内筒部62aの上記突出した部分に外挿されている。
【0061】
第2支持部62は、第1フレーム11の支持部材27に取り付けられている。支持部材27は、アーム本体53に対して左右方向の内側に配置されている。支持部材27には、その張出部29から左右方向の外側に延びるボス部66が設けられている。ボス部66の先端は第2支持部62の内筒部62aに当接しており、その当接状態でビス67が内筒部62aの内部を通じてボス部66にねじ込まれている。これにより、第2支持部62は、案内通路65に挿入された状態でボス部66ひいては支持部材27にビス67により固定されている。この場合、第2支持部62は、案内通路65に挿入された状態でアーム本体53ひいてはかご載置部15を支持するものとなっている。
【0062】
第2支持部62は、かご載置部15が載置可能状態と跳ね上げ状態とに切り替えられる際に案内通路65に沿って案内されるようになっている。そこで、以下では、第2支持部62を案内する案内通路65について図9に基づき説明する。図9は、アーム本体53及びその周辺部材を左右方向の外側から見た側面図である。
【0063】
図9に示すように、案内通路65は、その後端部となる第1位置E1から、前端部となる第2位置E2へと前後方向に延びている。この場合、第2位置E2は、第1位置E1よりも第1支持部61側の位置となっている。案内通路65は、第1位置E1から第2位置E2側に延びる第1通路部71と、第1通路部71と連続し第2位置E2へと延びる第2通路部72とを有している。第1通路部71は、第1位置E1から第2位置E2側に向かうほど下方に変位しながら延びている。つまり、第1通路部71は、第1位置E1から第2位置E2側に向けて下方に傾斜している。
【0064】
第2通路部72は、第1通路部71の下端部(換言すると、第1通路部71の第2位置E2側の端部)から第2位置E2に向けて上方に傾斜しながら延びている。第2通路部72は、その長さL2が第1通路部71の長さL1よりも長くなっている。本実施形態では、第2通路部72の長さL2が第1通路部71の長さL1の3倍以上となっており、詳しくは5倍以上となっている。また、第2通路部72の傾斜(詳しくは、前後方向に対する傾斜)は、第1通路部71の傾斜(詳しくは、前後方向に対する傾斜)よりも緩やかになっている。換言すると、第1通路部71の傾斜は、第2通路部72の傾斜よりも急になっている。
【0065】
ここで、第1通路部71の傾斜についてより詳しく説明する。第1フレーム11及び第2フレーム12が軸部34を中心とした回動により展開状態から折り畳み状態に切り替わる際には、第1フレーム11に設けられた第2支持部62が軸部34を中心として回動することになる。この際、第2支持部62が回動する回動経路Tを想定した場合、第1位置E1における回動経路Tの接線方向H1(図9では、この方向H1に延びる直線を点線で示している。)と、第1通路部71の延びる方向H2(図9では、この方向H2に延びる直線を点線で示している。)とがなす角度αは鋭角となっている。つまり、第1通路部71は、上記の角度αが鋭角となるように、第1位置E1から第2位置E2側に向けて下方に傾斜している。また、詳しくは、上記の角度αは45°~80°とされ、より詳しくは60°~75°とされている。また、本実施形態では、上記の角度αが69°(略70°)とされている。
【0066】
続いて、かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられることに連動して、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態から折り畳み状態に切り替わる際の作用について、図10に基づき説明する。図10は、かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられるのに連動して、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態から折り畳み状態に切り替わる様子を示す側面図である。なお、図10では、説明の便宜上、第1フレーム11及び第2フレーム12を二点鎖線で示している。また、第1支持部61の位置をわかりやすくするため、第1支持部61を丸印で示している。また、第2支持部62についてはドットハッチを付して示している。
【0067】
図10(a)に示すように、かご載置部15が載置可能状態とされ、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態とされている場合、つまり買い物カート10が展開状態(図2図4の状態)とされている場合には、第2支持部62が第1位置E1に位置している。かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられる際には、図10(b)に示すように、かご載置部15が第2支持部62を中心として後方に回動されることにより跳ね上げられる。この際、かご載置部15は、第1支持部61を中心として第2フレーム12に対して折り畳まれる側に回動する。
【0068】
かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられる際には、その切替に伴い第2支持部62が案内通路65に沿って第1位置E1から第2位置E2側に変位する。この場合、第2支持部62は、まず第1位置E1から第1通路部71に沿って第2位置E2側に変位し、その後第2通路部72に入り第2通路部72に沿って第2位置E2側へ変位する。また、第2支持部62が第1位置E1から第2位置E2側に変位するのに伴い、第2支持部62は第1支持部61に近づく。そのため、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態から折り畳み状態側に移行する。
【0069】
図10(c)に示すように、かご載置部15が跳ね上げ状態に切り替えられると、第2支持部62が第2位置E2に到達し、第1フレーム11及び第2フレーム12が折り畳み状態とされる。これにより、買い物カート10が全体として折り畳まれた状態(図3図5の状態)とされる。また、かご載置部15が跳ね上げ状態に切り替えられると、案内通路65は上下方向に延びる状態となり、第2位置E2は案内通路65の上端部となる。そのため、この場合、第2支持部62は案内通路65の上端部に位置し、その状態でかご載置部15を下方から支持する。
【0070】
続いて、かご載置部15が跳ね上げ状態から載置可能状態に切り替えられる際の作用について説明する。かご載置部15が跳ね上げ状態から載置可能状態に切り替えられる際には、上記の場合とは逆に、かご載置部15が第2支持部62を中心として前方に回動される。この際、第2支持部62は、案内通路65に沿って第2位置E2から第1位置E1側に変位し、それに伴い第1フレーム11及び第2フレーム12が折り畳み状態から展開状態側に移行する。そして、かご載置部15が載置可能状態に切り替えられると、第2支持部62が第1位置E1に到達し、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態となる(図10(a)参照)。
【0071】
かご載置部15には、第2支持部62が案内通路65において第1位置E1から第2位置E2側に変位するのを規制することで、第1フレーム11及び第2フレーム12を展開状態でロックするロック手段が設けられている。以下、このロック手段の構成について図9に加え、図11及び図12を用いながら説明する。図11は、図9と同様、アーム本体53及びその周辺部材を左右方向の外側から見た側面図である。なお、図9では係合部材75の係合状態を示しており、図11では係合解除状態を示している。また、図12は、係合部材75の周辺を拡大して示す側面図であり、(a)が係合部材75の係合状態を示し、(b)が係合解除状態を示している。
【0072】
図9及び図12(a)に示すように、かご載置部15の各アーム本体53には、ロック手段としての係合部材75が設けられている。係合部材75は、アーム本体53の左右方向の外側に配置され、アーム本体53に沿って延びる形状を有している。係合部材75は、その一端側となる先端側に鉤状をなす係合部76を有している。係合部76は、第1位置E1に位置する第2支持部62に対して係合可能とされ、その係合により第2支持部62が第1位置E1から第2位置E2側に変位するのを規制する。
【0073】
係合部材75は、その基端側がアーム本体53に回動軸77を介して取り付けられている。回動軸77は、左右方向に延びる軸であり、例えばアーム本体53にねじ込まれたボルト等の締結具により形成されている。係合部材75は、回動軸77を中心として回動可能とされ、その回動により係合部76が、第2支持部62に係合する係合位置(図12(a)に示す位置)と、第2支持部62に対する係合が解除される解除位置(図12(b)に示す位置)との間で変位可能となっている。なお、回動軸77が、特許請求の範囲に記載の「回動軸」に相当する。
【0074】
係合部76が係合位置にある場合には、第2支持部62が第1位置E1から第2位置E2側に変位することが規制される。この場合、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態から折り畳み状態に切り替わることが禁止される。つまり、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態でロックされる。また、この場合、かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替わることが禁止される。つまり、かご載置部15が載置可能状態でロックされる。
【0075】
一方、係合部76が解除位置にある場合には、第2支持部62が第1位置E1から第2位置E2側に変位することが許容される。この場合、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態から折り畳み状態に切り替わることが許容され、またかご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替わることが許容される。そのため、かご載置部15を載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えることにより、各フレーム11,12を展開状態から折り畳み状態に切り替え、買い物カート10を折り畳むことが可能となる。
【0076】
回動軸77は、案内通路65(第1通路部71)の第1位置E1よりも上方に配置されている。この場合、回動軸77は、第1通路部71の延長線I上に位置している。係合部76が係合位置にある場合には、係合部76が第1通路部71の延びる方向において第1位置E1を挟んで回動軸77とは反対側に位置する。この場合、係合部76において回動軸77に係合する係合面76aが、第1通路部71の延びる方向に対して直交する向きとなる。
【0077】
係合部76が係合位置から解除位置へ変位する際の変位方向H3(図12(b)では、変位方向H3に延びる直線を点線で示している。)は、前後方向に対して傾斜する方向となっている。また、この変位方向H3は、第1通路部71とは反対側に傾斜する方向となっており、詳しくは第1通路部71の延びる方向(傾斜方向)に対して略直交する方向となっている。また、本実施形態では、係合部76の解除位置が係合位置に対して前側であってかつ斜め上方の位置となっている。そのため、係合部76が係合位置から解除位置へ変位する際には、係合部材75が上方にかつ前方に回動されることにより変位する。
【0078】
かご載置部15には、第2支持部62に対する係合部76の係合を解除するための解除装置80が設けられている。以下、かかる解除装置80について図6及び図9に加え、図13及び図14を用いながら説明する。図13は、かご載置部15の各アーム本体53に取り付けられた解除装置80を一部分解した状態で示す分解斜視図である。図14は、(a)がかご載置部15の前端フレーム52周辺を示す正面図であり、(b)が平面図である。
【0079】
図9及び図13に示すように、解除装置80は、係合部材75と連結され前後方向にスライド可能に設けられた左右一対のスライド部材81と、各スライド部材81に架け渡されて設けられた支持バー82と、支持バー82により支持された解除レバー83とを有する。
【0080】
一対のスライド部材81は、かご載置部15の各アーム本体53にそれぞれ取り付けられている。スライド部材81は、前後方向に延びる板状に形成され、アーム本体53の外側面(左右方向の外側の面)に重ねて設けられている。スライド部材81には、前後方向に延びる長孔85が形成されている。長孔85にはビス86が挿通され、そのビス86がアーム本体53にねじ込まれている。これにより、スライド部材81は、ビス86によりアーム本体53に取り付けられ、その取付状態で長孔85の長さ範囲において前後方向にスライド可能となっている。この場合、スライド部材81は、長孔85の前端部がビス86に当接する後位置(図9に示す位置)と、長孔85の後端部がビス86に当接する前位置(図11に示す位置)との間でスライド可能となっている。
【0081】
スライド部材81とアーム本体53とにはそれぞれ互いに対向するように切り起された切り起し部81b,53aが設けられている。これら各切り起し部81b,53aの間にはコイルばね91が配設されている。コイルばね91は、各スライド部材81ごとに設けられている。コイルばね91は、その伸縮方向を前後方向に向けて配置され、両端部が各切り起し部81b,53aにそれぞれ取り付けられている。コイルばね91は、各切り起し部81b,53aの間に圧縮状態で配設され、その圧縮に基づく弾性力によりスライド部材81がアーム本体53に対して後方に付勢されている。これにより、スライド部材81は、通常、後位置(図9に示す位置)に位置している。そのため、後位置は、スライド部材81の待機位置ということもできる。
【0082】
支持バー82は、各スライド部材81の前端部に架け渡されている。支持バー82は、丸棒状に形成され、左右方向に延びている。支持バー82の両端部は、各アーム本体53に形成された長孔88に挿入され、その挿入状態で各スライド部材81にそれぞれビス89により固定されている。また、長孔88は左右方向に延びている。そのため、支持バー82は、各スライド部材81とともに前後方向に変位可能となっている。
【0083】
また、支持バー82は、図6及び図14(b)に示すように、かご載置部15の前端フレーム52の後方に配置されている。支持バー82は、前端フレーム52に隣接しており、前端フレーム52の各張出部56の下方を通じて配置されている。
【0084】
解除レバー83は、第2支持部62に対する係合部76の解除をすべく、解除操作される解除操作部となっている。解除レバー83は、樹脂材料により形成され、支持バー82の中央部に取り付けられている。解除レバー83は、図14(a)及び(b)に示すように、かご載置部15の左右方向の中央部に配置されている。また、解除レバー83は、かご載置部15の枠内において前側の位置に配置されている。解除レバー83は、前端フレーム52の後方において前端フレーム52と隣接して配置され、平面視にて前端フレーム52の各張出部56の間に位置している。
【0085】
解除レバー83は、支持バー82に取り付けられた取付部83aと、取付部83aから下方に延びる板状の手掛け部83bとを有する。取付部83aは筒状をなし、その内側に支持バー82を挿入した状態で支持バー82に取り付けられている。手掛け部83bは、ユーザが解除レバー83による解除操作を行う際に手を掛ける部分である。手掛け部83bは、前端フレーム52よりも下方に延びている。
【0086】
解除レバー83は、前方に向けて解除操作されるようになっている。解除レバー83が解除操作されると、図11に示すように、各スライド部材81がコイルばね91の付勢力に抗して後位置から前位置に変位する。そして、各スライド部材81の変位に基づき係合部材75が回動し、その回動により係合部76が係合位置(図9図12(a)に示す位置)から解除位置(図11図12(b)に示す位置)へと変位する。これにより、解除レバー83の解除操作に基づき、第2支持部62に対する係合部76の係合が解除されるようになっており、ひいては第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態でロックされるロック状態が解除されるようになっている。なお、解除レバー83による解除操作をロック解除操作ということもできる。
【0087】
続いて、解除レバー83の解除操作に基づき、係合部76の係合解除を行うための構成について詳しく説明する。
【0088】
図12(a)に示すように、スライド部材81は、その後端側が段曲げされており、その段曲げによりアーム本体53から離間した部分が係合部材75に連結される連結部81aとなっている。連結部81aは、係合部材75を挟んでアーム本体53とは反対側に配置されている。連結部81aには、前後方向に対して傾斜する方向に延びるガイド孔95が形成されている。ガイド孔95は、後方に傾斜しており、直線状に延びている。ガイド孔95の延びる方向が前後方向となす角度β(図12(b)参照)は60°~80°に設定され、本実施形態では72°に設定されている。
【0089】
係合部材75には、左右方向に延びるガイドピン96が設けられている。ガイドピン96は円柱状をなし、スライド部材81のガイド孔95に挿入されている。ガイドピン96は、ガイド孔95に沿って案内されるようになっている。なお、ガイド孔95とガイドピン96とを含んで「変位機構」が構成されている。
【0090】
続いて、解除レバー83による解除操作に基づき、第2支持部62に対する係合部76の係合を解除する際の作用について説明する。
【0091】
解除装置80のスライド部材81が後位置にある場合には、ガイドピン96がガイド孔95において下位置に位置する(図9図12(a)参照)。下位置は、ガイド孔95の下端部となる位置となっている。ガイドピン96が下位置に位置する場合、係合部材75は、係合部76が第2支持部62に係合する係合状態とされる。また、係合部材75は、通常、係合状態とされている。
【0092】
解除レバー83の解除操作によりスライド部材81が後位置から前位置へスライドすると、それに伴いガイドピン96がガイド孔95に沿って下位置からそれよりも上側の上位置に変位する(図11図12(b)参照)。上位置は、ガイド孔95の上端部となる位置となっている。ガイドピン96が上位置に変位すると、その変位に基づき、係合部材75が、係合状態から、第2支持部62に対する係合部76の係合が解除される係合解除状態へと回動する。これにより、解除レバー83の解除操作に基づき、第2支持部62に対する係合部76の係合が解除されるようになっている。
【0093】
なお、ガイド孔95において下位置の側が「一端側」に相当し、上位置の側が「他端側」に相当する。また、ガイド孔95は、下位置の側から上位置の側に向けて後方に傾斜しており、換言すると、前後方向において解除操作される側(前側)とは反対側(後側)に傾斜している。
【0094】
解除レバー83による解除操作を終えると、スライド部材81がコイルばね91の付勢力により前位置から後位置へ戻る。すると、それに伴いガイドピン96がガイド孔95に沿って上位置から下位置に変位する。そして、かかるガイドピン96の変位に基づき、係合部材75が係合解除状態から係合状態へ回動(復帰)する。
【0095】
続いて、かご載置部15が跳ね上げ状態とされた際に、かご載置部15を跳ね上げ状態で保持するための構成について図15に基づき説明する。図15は、かご載置部15を跳ね上げ状態で保持するための構成を示す斜視図である。
【0096】
図15に示すように、第1フレーム11の各支持部材27の張出部29には、上方に開口された凹部99が形成されている。凹部99は、左右方向の両側がそれぞれ開放されている。かご載置部15の跳ね上げ状態では、解除装置80の支持バー82が各支持部材27の凹部99に上方から嵌まり込む。そして、それにより、かご載置部15が跳ね上げ状態で保持される。
【0097】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0098】
第1フレーム11及び第2フレーム12にはそれぞれかご載置部15を支持する支持部61,62が設けられ、かご載置部15には前後方向に延びる案内通路65が形成されている。各支持部61,62のうち一方はかご載置部15を回動可能に支持する第1支持部61となっており、他方は案内通路65に沿って案内される第2支持部62となっている。そして、かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられることに伴い、第2支持部62が第1位置E1から第2位置E2に変位することで、一対のフレーム11,12が展開状態から折り畳み状態に切り替わるようになっている。
【0099】
ここで、上記の構成では、一対のフレーム11,12が展開状態から折り畳み状態に切り替わる際に、第2支持部62が一対のフレーム11,12が交差する交差部19を中心として回動することになる。この場合、第2支持部62が回動する経路を回動経路Tとすると、案内通路65が、例えば第1位置E1から第2位置E2側に向け回動経路Tに沿って延びている場合には、買い物カート10に不意の衝撃が加わった際等に、第2支持部62が意図せず第1位置E1から第2位置E2側に向けて変位するおそれがある。その場合、各フレーム11,12が意図せず展開状態から折り畳み状態に切り替わってしまうおそれがある。
【0100】
そこで、本実施形態では、こうした点に鑑み、案内通路65のうち第1位置E1から第2位置E2側に向けて延びる所定長さ部分を第1通路部71とし、その第1通路部71を、かご載置部15が載置可能状態にある場合に第1位置E1から第2位置E2側に向けて下方に変位しながら延びる構成としている。案内通路65が第1位置E1から第2位置E2側に向けて上記回動経路Tに沿って延びている場合には、案内通路65が第1位置E1から回動経路Tに沿って上側に延びることになる。それに対して、第1通路部71は第1位置E1から第2位置E2側に向けて下方に変位しながら延びるため、第2支持部62が意図せず第1通路部71に沿って第1位置E1から第2位置E2側へ変位するのを抑制することができる。これにより、一対のフレーム11,12が意図せず展開状態から折り畳み状態に切り替わるのを抑制することができ、ひいては買い物カート10が意図せず折り畳まれるのを抑制することができる。
【0101】
案内通路65において第1通路部71と連続する第2通路部72が、かご載置部15が載置可能状態にある場合に、第2位置E2に向けて上方傾斜しながら延びるようになっている。ここで、第2支持部62が意図せず第1通路部71に沿って第1位置E1から第2位置E2側に変位するのを抑制する上では、第1通路部71の長さがそれほど長くなっている必要はない。そこで、本実施形態では、その点に鑑み、第2通路部72の長さを第1通路部71の長さよりも長くし、第2通路部72の傾斜を第1通路部71の傾斜よりも緩やかにしている。この場合、通路長さの長い第2通路部72において、第2支持部62を第2位置E2に向けて比較的変位させ易くすることができる。そのため、かご載置部15を載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替え一対のフレーム11,12を折り畳み状態とする際に(つまり買い物カート10の折り畳み作業の際に)、第2支持部62を第1位置E1から第2位置E2まで比較的スムーズに変位させ易く、その結果、買い物カート10の折り畳み作業をし易くすることができる。
【0102】
一対のフレーム11,12が展開状態から折り畳み状態に移行する際に第2支持部62が交差部19を中心として回動する回動経路Tを想定した場合、第2支持部62は、第1位置E1における回動経路Tの接線方向H1に沿って第1位置E1から第2位置E2側に向けて変位することになる。ここで、回動経路Tの上記接線方向H1と、第1通路部71の延びる方向H2とのなす角度が大きい場合(例えば直角よりも大きい場合)には、かご載置部15を載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えて一対のフレーム11,12を折り畳み状態とする際に、第2支持部62が第1位置E1から第2位置E2側に変位しづらくなることが想定される。その場合、折り畳み作業をスムーズに行えないおそれがある。
【0103】
そこで、本実施形態では、こうした点に鑑み、回動経路Tの上記接線方向H1と第1通路部71の延びる方向H2とのなす角度αを鋭角にしている。この場合、折り畳み作業の際に、第2支持部62が第1位置E1から第2位置E2側に変位しづらくなるのを抑制することができる。そのため、買い物カート10が意図せず折り畳まれるのを抑制しながらも、買い物カート10の折り畳み作業を好適に行うことが可能となる。
【0104】
買い物カート10が意図せず折り畳まれるのを抑制する上では、上記の角度αが45°以上であるのが望ましい。また、買い物カート10の折り畳み作業を好適に行う上では、上記の角度αが80°以下であるのが望ましい。その点、本実施形態では、上記の角度αが45°~80°となっているため、上述の効果を好適に得ることができる。
【0105】
係合部76が第2支持部62に係合することで、第2支持部62が第1位置E1から第2位置E2側に変位することが規制される。この場合、一対のフレーム11,12が意図せず展開状態から折り畳み状態に切り替わるのを防止でき、ひいては買い物カート10が意図せず折り畳まれるのを防止できる。
【0106】
第2支持部62に対する係合部76の係合解除は、解除レバー83が前後方向に沿って解除操作されることにより行われる。また、解除レバー83による解除操作に基づき、係合部76を係合位置から解除位置へと、前後方向に対して傾斜する方向であり第1通路部71とは反対側に傾斜する傾斜方向に変位させる構成としている。この場合、第1通路部71が第1位置E1から第2位置E2側に向けて下方に変位しながら延びる構成において、係合部76が係合位置から解除位置へ変位する際の変位量を抑えることができ、その結果、解除レバー83による解除操作の操作量を抑えることができる。これにより、解除操作を容易に行うことが可能となる。
【0107】
係合部76を有する係合部材75がかご載置部15に回動軸77を介して回動可能に支持されている。また、解除レバー83の解除操作に基づき係合部材75を回動させることで、係合部76を係合位置から解除位置へ変位させるようにしている。また、回動軸77は第1通路部71の延長線I上に配置されている。この場合、係合部材75の回動により係合部76を係合位置から解除位置へ変位させる際の変位方向を第1通路部71の延びる方向と略直交する方向に設定することができる。このため、係合部76を係合位置から解除位置へ変位させる際の変位量を好適に抑えることができ、その結果、解除レバー83の操作量を好適に抑えることができる。これにより、解除操作をより容易に行うことが可能となる。
【0108】
解除レバー83と一体に設けられたスライド部材81には、前後方向に対して傾斜する方向に延びるガイド孔95が設けられ、係合部材75には、ガイド孔95に沿って案内されるガイドピン96が設けられている。そして、解除レバー83の解除操作に基づき、スライド部材81をスライドさせることにより、係合部材75のガイドピン96をスライド部材81のガイド孔95に沿ってその一端側(具体的には、下位置の側)から他端側(具体的には、上位置の側)に変位させることで係合部材75を回動させるようになっている。また、ガイド孔95は、一端側から他端側に向かうほど前後方向において解除操作される側(具体的には前側)とは反対側(具体的には後側)に変位するよう傾斜している。この場合、解除レバー83の解除操作に基づき、ガイドピン96をガイド孔95に沿って一端側から他端側に変位させ易くすることができる。これにより、解除操作をより一層容易に行うことが可能となる。
【0109】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0110】
(1)上記実施形態では、解除レバー83の解除操作に基づき、スライド部材81をスライドさせることで係合部材75を回動させる構成としたが、解除レバー83の解除操作に基づき係合部材75を回動させる構成は必ずしもこれに限らない。例えば、スライド部材81に代えて、支持バー82と係合部材75とを接続するワイヤを設けてもよい。この場合、解除レバー83の解除操作に基づき、ワイヤが前方に引っ張られることで、係合部材75が回動させる構成とする。
【0111】
(2)係合部材75を不具備として、スライド部材81に第2支持部62に係合可能な係合部を設けるようにしてもよい。この場合、スライド部材の後端部に係合部を設けるようにする。そして、解除レバー83の解除操作に基づき、スライド部材を前方にスライドさせることで、第2支持部62に対する係合部の係合を解除するようにする。
【0112】
(3)係合部材75は必ずしも設ける必要はない。その場合でも、案内通路65の第1通路部71が第1位置E1から第2位置E2側に向けて下方傾斜していることにより、第2支持部62が意図せず第1位置E1から第2位置E2側に変位するのを抑制することができる。また、この場合、解除装置80を不具備とすることができるため、構成の簡素化を図ることができる。
【0113】
(4)上記実施形態では、第2フレーム12に第1支持部61を設け、第1フレーム11に案内通路65に沿って案内される第2支持部62を設けたが、これを逆にして、第1フレーム11に第1支持部を設け、第2フレーム12に第2支持部を設けてもよい。この場合、かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられる際、第2フレーム側の第2支持部が案内通路に沿って案内される。具体的には、第2支持部が、第1位置から、第1位置よりも第1支持部側(後側)の第2位置に向けて案内される。かかる構成においても、かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられることに伴い、第2支持部が第1位置から第2位置に変位することで、各フレーム11,12が展開状態から折り畳み状態に切り替わる構成を実現することができる。また、この場合にも、案内通路の第1通路部を第1位置から第2位置側(後側)に向かうほど下方に変位するよう傾斜して延びる構成とすることにより、第2支持部が意図せず第1位置から第2位置側に変位するのを抑制することができる。
【0114】
(5)上述した(4)の構成では、案内通路の第1位置及び第2位置の前後関係が上記実施形態とは逆になり、第1位置が前端側、第2位置が後端側に位置することになる。そのため、この場合、係合部材75及び解除装置80についても、その配置態様を上記実施形態と前後方向において逆にすることが考えられる。この場合、解除レバー83がかご載置部15の後端側に配置され、後方に向けて解除操作される構成となる。
【0115】
(6)上記実施形態では、移動用車としての買い物カート10に本発明を適用したが、高齢者等の歩行を補助する歩行車や、キャリーカート等、買い物カート以外の移動用車に本発明を適用してもよい。例えば、歩行車には、一対のフレームに跨って跳ね上げ可能な座部(所定部材に相当)が設けられたものがある。かかる歩行車では、座部が、着座可能な着座可能状態(第1状態に相当)から跳ね上げ状態(第2状態に相当)に切り替えられることに基づき、一対のフレームが展開状態から折り畳み状態に切り替わる構成となっているものがある。そこで、このような歩行車に本発明を適用してもよい。この場合、一対のフレームにそれぞれ座部を支持する第1支持部及び第2支持部を設け、座部に第2支持部が案内される案内通路を設けることになる。
【符号の説明】
【0116】
10…移動用車としての買い物カート、11…第1フレーム、12…第2フレーム、15…所定部材としてのかご載置部、19…交差部、61…第1支持部、62…第2支持部、65…案内通路、71…第1通路部、72…第2通路部、75…係合部材、76…係合部、77…回動軸、81…スライド部材、83…解除操作部としての解除レバー、95…ガイド孔、96…ガイドピン。
図1
図2
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