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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126855
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】買い物カート
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20240912BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B62B3/02 B
B62B3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035564
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅人
(72)【発明者】
【氏名】内野 雄市郎
(72)【発明者】
【氏名】川村 満夫
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA02
3D050BB10
3D050BB25
3D050CC05
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050FF01
3D050HH02
(57)【要約】
【課題】誤ってロック解除の操作がされるのを抑制することができる買い物カートを提供する。
【解決手段】買い物カートは、下端部に前輪が取り付けられた第1フレーム11と、下端部に後輪が取り付けられた第2フレーム12と、を備える。第1フレーム11及び第2フレーム12は、前輪と後輪とが離間する展開状態と、前輪と後輪とが接近する折り畳み状態とに切替可能とされている。買い物カートは、買い物かごを載置可能なかご載置部15を備える。かご載置部15には、第1フレーム11及び第2フレーム12を展開状態でロックする係合部材が設けられている。また、かご載置部15には、係合部材によるロックを解除する解除操作を行うための解除レバー83が設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部に前輪が取り付けられた第1フレームと、
下端部に後輪が取り付けられた第2フレームと、を備え、
前記第1フレーム及び前記第2フレームは、前記前輪と前記後輪とが離間する展開状態と、前記前輪と前記後輪とが接近する折り畳み状態とに切替可能とされており、
さらに、買い物かごを載置可能なかご載置部を備える買い物カートであって、
前記第1フレーム及び前記第2フレームを前記展開状態でロックするロック手段と、
前記ロック手段による前記ロックを解除する解除操作を行うための解除操作部と、
を備え、
前記解除操作部は、前記かご載置部に設けられている、買い物カート。
【請求項2】
前記かご載置部は、枠状に形成され、
前記解除操作部は、平面視にて、前記かご載置部の内側に配置されている、請求項1に記載の買い物カート。
【請求項3】
前記かご載置部は、前後方向に延びる左右一対のフレーム部と、それら一対のフレーム部に架け渡されたフレーム部とを有する前記枠状に形成され、
前記解除操作部は、所定の前記フレーム部に隣接して配置され、前記所定のフレーム部に向けて前記解除操作される、請求項2に記載の買い物カート。
【請求項4】
前記所定のフレーム部には、前記かご載置部の内側に向けて張り出すとともに、買い物かごが載置される張出部が設けられ、
前記張出部は、平面視にて、前記解除操作部を挟んだ両側にそれぞれ配置されている、請求項3に記載の買い物カート。
【請求項5】
前記かご載置部は、前記第1フレームと前記第2フレームとに跨って設けられるとともに、後方に向けて跳ね上げ可能とされ、
前記かご載置部が後方に跳ね上げられることに連動して、前記第1フレーム及び前記第2フレームが前記展開状態から前記折り畳み状態に切り替えられるようになっており、
前記かご載置部は、前記一対のフレーム部の前端側に架け渡された前側フレーム部を前記所定のフレーム部として有しており、
前記解除操作部は、前記前側フレーム部に隣接して配置され、
前記かご載置部には、前記解除操作が可能なように前記解除操作部を支持する支持部が設けられ、
前記解除操作部は、前記支持部に取り付けられた取付部と、前記取付部から下方に延びる手掛け部とを有している、請求項3又は4に記載の買い物カート。
【請求項6】
買い物した物を収容するバッグを支持するバッグ支持部を備え、
前記かご載置部は、前記バッグ支持部に支持される前記バッグの上方に配置され、
前記解除操作部は、前記かご載置部の内側に配置されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の買い物カート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、買い物カートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スーパーマーケット等の店内で購入した商品を運ぶ際に用いられる買い物カートが知られている。特許文献1には、買い物カートとして、下端部に前輪が取り付けられ上端側にハンドルが設けられた第1フレームと、下端部に後輪が取り付けられた第2フレームとを備えるものが開示されている。この買い物カートでは、第1フレームと第2フレームとが、前輪及び後輪が前後に離間する展開状態と、前輪及び後輪が前後に接近する折り畳み状態とに切替可能となっている。
【0003】
特許文献1の買い物カートには、第1フレーム及び第2フレームを展開状態でロックするロック機構が設けられている。また、この買い物カートには、ロック機構によるロックを解除するための解除操作部も設けられている。解除操作部は、買い物カートのハンドルに設けられている。第1フレーム及び第2フレームを展開状態から折り畳み状態に切り替える際には、解除操作部によりロック解除の操作を行ってから、両フレームを展開状態から折り畳み状態に切り替えることになる。
【0004】
また、特許文献1の買い物カートには、第1フレーム及び第2フレームにそれぞれ買い物かごを載置可能なかご載置部が設けられている。この場合、店内に備え付けの買い物かごを各フレームのかご載置部に跨る状態で載置可能となっている。そのため、店内において買い物カートをショッピングカートとして利用することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-115960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1の買い物カートでは、解除操作部がハンドル部に設けられているため、買い物カートを用いて買い物している際に、誤ってロック解除の操作がされてしまう場合が想定される。その場合、第1フレーム及び第2フレームが意図せず展開状態から折り畳み状態に切り替わってしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、誤ってロック解除の操作がされるのを抑制することができる買い物カートを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の買い物カートは、下端部に前輪が取り付けられた第1フレームと、下端部に後輪が取り付けられた第2フレームと、を備え、前記第1フレーム及び前記第2フレームは、前記前輪と前記後輪とが離間する展開状態と、前記前輪と前記後輪とが接近する折り畳み状態とに切替可能とされており、さらに、買い物かごを載置可能なかご載置部を備える買い物カートであって、前記第1フレーム及び前記第2フレームを前記展開状態でロックするロック手段と、前記ロック手段による前記ロックを解除する解除操作を行うための解除操作部と、を備え、前記解除操作部は、前記かご載置部に設けられている。
【0009】
第1の発明によれば、第1フレーム及び第2フレームを展開状態でロックするロック手段が設けられ、そのロック手段によるロックが解除操作部による解除操作によって解除されるようになっている。また、解除操作部は、買い物かごを載置するかご載置部に設けられている。この場合、かご載置部に買い物かごが載置されている状態において、ロック解除の操作がしづらくなっている。そのため、誤ってロック解除の操作がされるのを抑制することができる。
【0010】
第2の発明の買い物カートは、第1の発明において、前記かご載置部は、枠状に形成され、前記解除操作部は、平面視にて、前記かご載置部の内側に配置されている。
【0011】
第2の発明によれば、解除操作部が、平面視にて、枠状に形成されたかご載置部の内側に配置されている。この場合、かご載置部に買い物かごが載置されている状態で、ロック解除の操作をよりしづらくすることができる。これにより、誤ってロック解除の操作がされるのをより抑制することができる。
【0012】
第3の発明の買い物カートは、第2の発明において、前記かご載置部は、前後方向に延びる左右一対のフレーム部と、それら一対のフレーム部に架け渡されたフレーム部とを有する前記枠状に形成され、前記解除操作部は、所定の前記フレーム部に隣接して配置され、前記所定のフレーム部に向けて前記解除操作される。
【0013】
第3の発明によれば、解除操作部が、かご載置部を構成する所定のフレーム部に隣接して配置され、その所定のフレーム部に向けてロック解除の操作がされるようになっている。この場合、所定のフレーム部と解除操作部とを片手で握ることによりロック解除の操作を行うことができる。そのため、ロック解除の操作をし易くすることができる。
【0014】
第4の発明の買い物カートは、第3の発明において、前記所定のフレーム部には、前記かご載置部の内側に向けて張り出すとともに、買い物かごが載置される張出部が設けられ、前記張出部は、平面視にて、前記解除操作部を挟んだ両側にそれぞれ配置されている。
【0015】
第4の発明によれば、所定のフレーム部に設けられた張出部に買い物かごを載置することができる。また、張出部は、平面視にて、解除操作部を挟んだ両側にそれぞれ配置されている。この場合、解除操作部の位置を把握し易くしながら、買い物かごを安定した状態で載置することができる。また、各張出部に買い物かごが載置された状態において、解除操作部が買い物かごの真下に位置するため、解除操作部によるロック解除の操作が誤って行われるのを確実に抑制することができる。
【0016】
第5の発明の買い物カートは、第3又は第4の発明において、前記かご載置部は、前記第1フレームと前記第2フレームとに跨って設けられるとともに、後方に向けて跳ね上げ可能とされ、前記かご載置部が後方に跳ね上げられることに連動して、前記第1フレーム及び前記第2フレームが前記展開状態から前記折り畳み状態に切り替えられるようになっており、前記かご載置部は、前記一対のフレーム部の前端側に架け渡された前側フレーム部を前記所定のフレーム部として有しており、前記解除操作部は、前記前側フレーム部に隣接して配置され、前記かご載置部には、前記解除操作が可能なように前記解除操作部を支持する支持部が設けられ、前記解除操作部は、前記支持部に取り付けられた取付部と、前記取付部から下方に延びる手掛け部とを有している。
【0017】
第5の発明によれば、かご載置部を後方に跳ね上げると、それに連動して第1フレーム及び第2フレームが展開状態から折り畳み状態に切り替わるようになっている。解除操作部は、かご載置部の前側フレーム部に隣接して配置され、支持部に取り付けられた取付部と、取付部から下方に延びる手掛け部とを有している。この場合、手掛け部に下方から手を掛けてロック解除の操作を行うことができるとともに、手掛け部に手を掛けたままかご載置部を後方に跳ね上げ、各フレームを折り畳み状態とすることができる。これにより、ロック解除して買い物カートを折り畳む一連の作業をし易くすることができる。
【0018】
第6の発明の買い物カートは、第1乃至第4のいずれかの発明において、買い物した物を収容するバッグを支持するバッグ支持部を備え、前記かご載置部は、前記バッグ支持部に支持される前記バッグの上方に配置され、前記解除操作部は、前記かご載置部の内側に配置されている。
【0019】
第6の発明によれば、かご載置部がバッグ支持部に支持されるバッグの上方に配置される構成にあって、解除操作部がかご載置部の内側に配置されている。これにより、バッグ支持部からバッグを取り出す際に解除操作部が邪魔になるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】展開状態における買い物カートを示す斜視図である。
図2】展開状態における買い物カートを示す斜視図であり、バッグを取り外した状態で示している。
図3】折り畳み状態における買い物カートを示す斜視図であり、バッグを取り外した状態で示している。
図4】展開状態における買い物カートを示す側面図である。
図5】折り畳み状態における買い物カートを示す側面図である。
図6】かご載置部を後方から見た斜視図である。
図7】第2フレームとかご載置部との接続部周辺を示す斜視図である。
図8】(a)が第2支持部の周辺を示す斜視図であり、(b)が支持部材の周辺を示す斜視図である。
図9】アーム本体及びその周辺部材を左右方向の外側から見た側面図であり、係合部材の係合状態を示している。
図10】かご載置部が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられることに連動して、第1フレーム及び第2フレームが展開状態から折り畳み状態に切り替わる様子を示す側面図である。
図11】アーム本体及びその周辺部材を左右方向の外側から見た側面図であり、係合部材の係合解除状態を示している。
図12】係合部材を拡大して示す側面図であり、(a)が係合部材の係合状態を示し、(b)が係合解除状態を示している。
図13】かご載置部の各アーム本体に取り付けられた解除装置を一部分解した状態で示す分解斜視図である。
図14】(a)がかご載置部の前端フレーム周辺を示す正面図であり、(b)が平面図である。
図15】かご載置部を跳ね上げ状態で保持するための構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は、展開状態における買い物カート10を示す斜視図であり、図3は、折り畳み状態における買い物カート10を示す斜視図である。なお、図2及び図3では、バッグ13を買い物カート10から取り外した状態で示している。図4は、展開状態における買い物カート10を示す側面図であり、図5は、折り畳み状態における買い物カート10を示す側面図である。なお、図4及び図5では、便宜上、バッグ13及び買い物かごKを二点鎖線で示している。
【0022】
以下の説明では、買い物カート10を展開状態で移動させる際の移動方向を前後方向とし、その前後方向に対して直交する方向を左右方向とする。また、以下の説明では、特に断りがない限り、展開状態における買い物カート10の構成をいうものとする。
【0023】
図1に示すように、買い物カート10は、当該カート10の骨組を構成する第1フレーム11及び第2フレーム12と、買い物した物(商品)を収容するバッグ13と、バッグ13を支持するバッグ支持部14と、買い物かごKを載置するかご載置部15とを備える。本買い物カート10によれば、スーパーマーケット等の店内ではかご載置部15に買い物かごKを載せることでショッピングカートとしての利用が可能となる。また、買い物した後は、買い物した物をバッグ13内に収容し、自宅まで運ぶことが可能となる。
【0024】
図2及び図4に示すように、第1フレーム11と第2フレーム12とは、正面視において枠状をなしており、側面視において略X字状をなすように互いに交差して配置されている。第1フレーム11は後方に傾斜して延びており、第2フレーム12は前方に傾斜して延びている。第1フレーム11の下端部には前輪16が取り付けられ、第2フレーム12の下端部には後輪17が取り付けられている。また、第1フレーム11は第2フレーム12よりも上方に延びており、第1フレーム11の上端側には、ユーザが買い物カート10を移動する際に把持するハンドル18が設けられている。
【0025】
第1フレーム11と第2フレーム12とは、互いに交差する交差部19において回動可能に連結されている。これら各フレーム11,12は、その回動により、前後に展開する展開状態(図2図4に示す状態)と、前後に折り畳まれる折り畳み状態(図3図5に示す状態)とに切替可能とされている。各フレーム11,12の展開状態では、前輪16と後輪17とが前後に離間し、各フレーム11,12の折り畳み状態では、前輪16と後輪17とが前後に接近する。
【0026】
第1フレーム11は、上下方向に延びる左右一対の脚フレーム21と、各脚フレーム21の中間部に架け渡された横フレーム22と、各脚フレーム21の上端部に架け渡されたハンドルフレーム23とを有する。各脚フレーム21は、下部フレーム25と、下部フレーム25に対して上側に配置された上部フレーム26とを有する。下部フレーム25及び上部フレーム26は金属製のパイプ材又は棒材により形成され、いずれも後方に傾斜している。上部フレーム26は下部フレーム25よりも後方への傾斜が小さくされ、上部フレーム26の下端側に下部フレーム25の上端部が連結されている。また、各下部フレーム25の下端部には前輪16が取り付けられている。
【0027】
各上部フレーム26には、かご載置部15を支持する支持部材27が取り付けられている。支持部材27は、樹脂材料により形成され、脚フレーム21に取り付けられる筒状の取付部28と、取付部28から前方に張り出す張出部29とを有する。取付部28は、その内側に上部フレーム26を挿入した状態で上部フレーム26に取り付けられている。
【0028】
横フレーム22は、金属製のパイプ材又は棒材により形成され、各上部フレーム26の下部に架け渡されている。ハンドルフレーム23は、横フレーム22と同様、金属製のパイプ材又は棒材により形成され、各上部フレーム26の上端部に架け渡されている。ハンドルフレーム23には、樹脂製のハンドルカバー24が被せられており、そのハンドルカバー24とハンドルフレーム23とによりハンドル18が構成されている。
【0029】
第2フレーム12は、上下方向に延びる左右一対の脚フレーム31と、各脚フレーム31の下端側に架け渡された横フレーム32とを有する。これら各フレーム31,32は、金属製のパイプ材又は棒材により形成されている。各脚フレーム31は、前方に向けて傾斜しており、第1フレーム11の各脚フレーム21(詳しくは下部フレーム25)とそれぞれ交差している。各脚フレーム21,31が交差する交差部19には左右方向に延びる軸部34が設けられている。各脚フレーム21,31は、その軸部34を介して回動可能に連結され、ひいては第1フレーム11及び第2フレーム12が回動可能に連結されている。これにより、各フレーム11,12は、軸部34を中心とした回動により、展開状態と折り畳み状態とに切替可能となっている。
【0030】
続いて、バッグ13及びバッグ支持部14について説明する。
【0031】
図1に示すように、バッグ13は、上下方向に延びる略直方体状に形成されている。バッグ13は、買い物した物を収容可能なバッグ本体36と、カバー37,38とを有する。バッグ本体36は、前面及び上面がそれぞれ開口された箱状とされており、それらの開口を通じてバッグ本体36に物の出し入れが可能となっている。また、カバー37は、バッグ本体36の前面開口を開閉する前カバーとなっており、カバー38は、バッグ本体36の上面開口を開閉する上カバーとなっている。
【0032】
図2及び図4に示すように、バッグ支持部14は、第1フレーム11の下端側に設けられ、第1フレーム11の各脚フレーム21の間に配置されている。バッグ支持部14は、各脚フレーム21にそれぞれ連結バー45を介して連結されている。バッグ支持部14は、バッグ13が載置される載置部41と、載置されたバッグ13を後方から受ける受け部42と、載置されたバッグ13が前方に脱落するのを防止するストッパ部43とを有する。載置部41は前後方向に延びており、その載置部41の後端部から受け部42が上方に延びている。また、ストッパ部43は、載置部41の前端側から上方に延びている。
【0033】
バッグ支持部14には、載置部41から下方に延びる接地部44が設けられている。接地部44は、第1フレーム11及び第2フレーム12が折り畳み状態とされると、下端部が接地面G(床面や地面)に接地するようになっている(図5参照)。この場合、接地部44の接地に伴い、前輪16が接地面Gから上方に離間する。そのため、各フレーム11,12の折り畳み状態では、後輪17と接地部44とがそれぞれ接地面Gに載置されることにより買い物カート10が自立するようになっている。
【0034】
続いて、かご載置部15について図2及び図4に加え、図6を用いながら説明する。図6は、かご載置部15を後方から見た斜視図である。
【0035】
図2及び図4に示すように、かご載置部15は、第1フレーム11及び第2フレーム12が交差する交差部19よりも上方において各フレーム11,12に跨がって設けられている。かご載置部15は、第1フレーム11の中間部と第2フレーム12の上端部とに跨がって設けられ、バッグ支持部14に支持されたバッグ13の上方に配置されている(図1参照)。
【0036】
図2及び図6に示すように、かご載置部15は、平面視コの字形の枠状をなしており、その開放部を後方に向けた状態で配置されている。かご載置部15は、前後方向に延びる左右一対のアーム51と、各アーム51の前端部に架け渡された前端フレーム52とを有している。なお、各アーム51と前端フレーム52とが「フレーム部」に相当する。また、前端フレーム52が「前側フレーム部」に相当する。
【0037】
各アーム51は、前後方向に延びるアーム本体53と、アーム本体53を左右方向の外側から覆うカバー54とを有する。各アーム本体53は、金属材料により板状(平板状)に形成され、左右方向に互いに向き合って配置されている。また、カバー54は、樹脂材料により形成され、その周縁部に左右方向の内側に延出するフランジ54aが設けられている。カバー54においてフランジ54aに囲まれた内側にはアーム本体53が配置され、その配置状態でアーム本体53とカバー54とが互いに固定されている。
【0038】
前端フレーム52は、樹脂材料により左右方向に延びる棒状に形成されている。前端フレーム52には、後方に張り出す一対の張出部56が設けられている。各張出部56は、左右方向に離間して配置されている。各張出部56の上面は買い物かごKが載置される載置面となっている。本買い物カート10では、買い物かごKが各張出部56の上面と各支持部材27の張出部29の上面とに跨がって載置されるようになっている。また、各張出部56の上面にゴムシート等からなる滑り止め59が設けられていてもよい。また、各張出部56の間隔は、各張出部29の間隔よりも小さくなっている。なお、各張出部56が、特許請求の範囲に記載の「張出部」に相当する。
【0039】
各張出部29,56の上面は、各アーム51の上端部よりも低い位置にある。つまり、各アーム51は、各張出部29,56の上面よりも上方に延出している。この場合、各張出部29,56の上面に買い物かごKが載置された状態で、買い物かごKが左右にずれ落ちることが防止されている。また、前端フレーム52には、上方に突出する一対のストッパ57がさらに設けられている。これらのストッパ57は、左右に離間して配置されている。これにより、買い物かごKが前方にずれ落ちることが防止されている。
【0040】
かご載置部15は、後方つまり第1フレーム11側(詳しくは上部フレーム26側)に跳ね上げ可能とされている。そのため、かご載置部15は、買い物かごKを載置可能な載置可能状態(図2図4に示す状態)と、後方に跳ね上げられた跳ね上げ状態(図3図5に示す状態)とに切替可能とされている。これにより、本買い物カート10では、第1フレーム11及び第2フレーム12を折り畳み状態とし、かご載置部15を跳ね上げ状態とすることにより、買い物カート10を全体として前後に折り畳まれた状態とすることが可能となっている。
【0041】
なお、かご載置部15の載置可能状態では、かご載置部15が前後方向に延びる状態となり、かご載置部15の跳ね上げ状態では、かご載置部15が上下方向に延びる状態となる。また、かご載置部15の跳ね上げ状態では、載置可能状態におけるかご載置部15の前端部が上端部となる。
【0042】
ここで、本買い物カート10では、かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられることに連動して、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態から折り畳み状態に切り替えられるようになっている。そこで、以下では、かかる切り替えを行うための構成について説明する。
【0043】
第1フレーム11及び第2フレーム12にはそれぞれかご載置部15を支持する支持部が設けられている。以下、これら各支持部について順に説明する。まず、第2フレーム12側の支持部である第1支持部61について図2及び図7に基づき説明する。なお、図7は、第2フレーム12とかご載置部15との接続部周辺を示す斜視図である。また、図7では説明の便宜上、アーム51のカバー54を取り外した状態で示している(この点は、後述する図8図12も同様)。
【0044】
図2及び図7に示すように、第2フレーム12の各脚フレーム31の上端部にはそれぞれ第1支持部61が固定されている。第1支持部61は、L字状に形成され、脚フレーム31の上端部に固定された横板部61aと、横板部61aから上方に延びる縦板部61bとを有する。
【0045】
縦板部61bは、かご載置部15のアーム本体53と前端フレーム52との間に入り込んでいる。アーム本体53と前端フレーム52とは、左右方向に延びる軸部64を介して接続されている。縦板部61bには、軸部64が挿通される孔部(図示略)が形成され、縦板部61bは、その孔部に軸部64を挿通した状態でアーム本体53と前端フレーム52との間に配置されている。これにより、第1支持部61は、軸部64を介してかご載置部15に回動可能に接続されている。この場合、第1支持部61は、かご載置部15を回動可能に支持するものとなっている。
【0046】
続いて、第1フレーム11側の支持部である第2支持部62について図8に基づき説明する。図8は、(a)が第2支持部62の周辺を示す斜視図であり、(b)が支持部材27の周辺を示す斜視図である。
【0047】
図8(a)に示すように、かご載置部15の各アーム本体53には、前後方向に延びる案内通路65が形成されている(図2図6も参照)。案内通路65は、アーム本体53を厚み方向に貫通する長孔状の通路となっている。なお、案内通路65の詳細については後述する。
【0048】
各アーム本体53の案内通路65にはそれぞれ第2支持部62が設けられている。第2支持部62は、左右方向に延びる円筒状の内筒部62a及び外筒部62bを有している。内筒部62aは案内通路65に挿入され、その一部がアーム本体53よりも左右方向の外側に突出している。外筒部62bは、その径が案内通路65の幅よりも大きくされ、内筒部62aの上記突出した部分に外挿されている。
【0049】
第2支持部62は、第1フレーム11の支持部材27に取り付けられている。支持部材27は、アーム本体53に対して左右方向の内側に配置されている。支持部材27には、その張出部29から左右方向の外側に延びるボス部66が設けられている。ボス部66の先端は第2支持部62の内筒部62aに当接しており、その当接状態でビス67が内筒部62aの内部を通じてボス部66にねじ込まれている。これにより、第2支持部62は、案内通路65に挿入された状態でボス部66ひいては支持部材27にビス67により固定されている。この場合、第2支持部62は、案内通路65に挿入された状態でアーム本体53ひいてはかご載置部15を支持するものとなっている。
【0050】
第2支持部62は、かご載置部15が載置可能状態と跳ね上げ状態とに切り替えられる際に案内通路65に沿って案内されるようになっている。そこで、以下では、第2支持部62を案内する案内通路65について図9に基づき説明する。図9は、アーム本体53及びその周辺部材を左右方向の外側から見た側面図である。
【0051】
図9に示すように、案内通路65は、その後端部となる第1位置E1から、前端部となる第2位置E2へと前後方向に延びている。この場合、第2位置E2は、第1位置E1よりも第1支持部61側の位置となっている。案内通路65は、第1位置E1から第2位置E2側に延びる第1通路部71と、第1通路部71と連続し第2位置E2へと延びる第2通路部72とを有している。第1通路部71は、第1位置E1から第2位置E2側に向かうほど下方に変位しながら延びている。つまり、第1通路部71は、第1位置E1から第2位置E2側に向けて下方に傾斜している。
【0052】
第2通路部72は、第1通路部71の下端部(換言すると、第1通路部71の第2位置E2側の端部)から第2位置E2に向けて上方に傾斜しながら延びている。第2通路部72は、その長さL2が第1通路部71の長さL1よりも長くなっている。本実施形態では、第2通路部72の長さL2が第1通路部71の長さL1の3倍以上となっており、詳しくは5倍以上となっている。また、第2通路部72の傾斜(詳しくは、前後方向に対する傾斜)は、第1通路部71の傾斜(詳しくは、前後方向に対する傾斜)よりも緩やかになっている。換言すると、第1通路部71の傾斜は、第2通路部72の傾斜よりも急になっている。
【0053】
ここで、第1通路部71の傾斜についてより詳しく説明する。第1フレーム11及び第2フレーム12が軸部34を中心とした回動により展開状態から折り畳み状態に切り替わる際には、第1フレーム11に設けられた第2支持部62が軸部34を中心として回動することになる。この際、第2支持部62が回動する回動経路Tを想定した場合、第1位置E1における回動経路Tの接線方向H1(図9では、この方向H1に延びる直線を点線で示している。)と、第1通路部71の延びる方向H2(図9では、この方向H2に延びる直線を点線で示している。)とがなす角度αは鋭角となっている。つまり、第1通路部71は、上記の角度αが鋭角となるように、第1位置E1から第2位置E2側に向けて下方に傾斜している。また、詳しくは、上記の角度αは45°~80°とされ、より詳しくは60°~75°とされている。また、本実施形態では、上記の角度αが69°(略70°)とされている。
【0054】
続いて、かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられることに連動して、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態から折り畳み状態に切り替わる際の作用について、図10に基づき説明する。図10は、かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられるのに連動して、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態から折り畳み状態に切り替わる様子を示す側面図である。なお、図10では、説明の便宜上、第1フレーム11及び第2フレーム12を二点鎖線で示している。また、第1支持部61の位置をわかりやすくするため、第1支持部61を丸印で示している。また、第2支持部62についてはドットハッチを付して示している。
【0055】
図10(a)に示すように、かご載置部15が載置可能状態とされ、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態とされている場合、つまり買い物カート10が展開状態(図2図4の状態)とされている場合には、第2支持部62が第1位置E1に位置している。かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられる際には、図10(b)に示すように、かご載置部15が第2支持部62を中心として後方に回動されることにより跳ね上げられる。この際、かご載置部15は、第1支持部61を中心として第2フレーム12に対して折り畳まれる側に回動する。
【0056】
かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えられる際には、その切替に伴い第2支持部62が案内通路65に沿って第1位置E1から第2位置E2側に変位する。この場合、第2支持部62は、まず第1位置E1から第1通路部71に沿って第2位置E2側に変位し、その後第2通路部72に入り第2通路部72に沿って第2位置E2側へ変位する。また、第2支持部62が第1位置E1から第2位置E2側に変位するのに伴い、第2支持部62は第1支持部61に近づく。そのため、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態から折り畳み状態側に移行する。
【0057】
図10(c)に示すように、かご載置部15が跳ね上げ状態に切り替えられると、第2支持部62が第2位置E2に到達し、第1フレーム11及び第2フレーム12が折り畳み状態とされる。これにより、買い物カート10が全体として折り畳まれた状態(図3図5の状態)とされる。また、かご載置部15が跳ね上げ状態に切り替えられると、案内通路65は上下方向に延びる状態となり、第2位置E2は案内通路65の上端部となる。そのため、この場合、第2支持部62は案内通路65の上端部に位置し、その状態でかご載置部15を下方から支持する。
【0058】
続いて、かご載置部15が跳ね上げ状態から載置可能状態に切り替えられる際の作用について説明する。かご載置部15が跳ね上げ状態から載置可能状態に切り替えられる際には、上記の場合とは逆に、かご載置部15が第2支持部62を中心として前方に回動される。この際、第2支持部62は、案内通路65に沿って第2位置E2から第1位置E1側に変位し、それに伴い第1フレーム11及び第2フレーム12が折り畳み状態から展開状態側に移行する。そして、かご載置部15が載置可能状態に切り替えられると、第2支持部62が第1位置E1に到達し、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態となる(図10(a)参照)。
【0059】
かご載置部15には、第2支持部62が案内通路65において第1位置E1から第2位置E2側に変位するのを規制することで、第1フレーム11及び第2フレーム12を展開状態でロックするロック手段が設けられている。以下、このロック手段の構成について図9に加え、図11及び図12を用いながら説明する。図11は、図9と同様、アーム本体53及びその周辺部材を左右方向の外側から見た側面図である。なお、図9では係合部材75の係合状態を示しており、図11では係合解除状態を示している。また、図12は、係合部材75の周辺を拡大して示す側面図であり、(a)が係合部材75の係合状態を示し、(b)が係合解除状態を示している。
【0060】
図9及び図12(a)に示すように、かご載置部15の各アーム本体53には、ロック手段としての係合部材75が設けられている。係合部材75は、アーム本体53の左右方向の外側に配置され、アーム本体53に沿って延びる形状を有している。係合部材75は、その一端側となる先端側に鉤状をなす係合部76を有している。係合部76は、第1位置E1に位置する第2支持部62に対して係合可能とされ、その係合により第2支持部62が第1位置E1から第2位置E2側に変位するのを規制する。
【0061】
係合部材75は、その基端側がアーム本体53に回動軸77を介して取り付けられている。回動軸77は、左右方向に延びる軸であり、例えばアーム本体53にねじ込まれたボルト等の締結具により形成されている。係合部材75は、回動軸77を中心として回動可能とされ、その回動により係合部76が、第2支持部62に係合する係合位置(図12(a)に示す位置)と、第2支持部62に対する係合が解除される解除位置(図12(b)に示す位置)との間で変位可能となっている。
【0062】
係合部76が係合位置にある場合には、第2支持部62が第1位置E1から第2位置E2側に変位することが規制される。この場合、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態から折り畳み状態に切り替わることが禁止される。つまり、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態でロックされる。また、この場合、かご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替わることが禁止される。つまり、かご載置部15が載置可能状態でロックされる。
【0063】
一方、係合部76が解除位置にある場合には、第2支持部62が第1位置E1から第2位置E2側に変位することが許容される。この場合、第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態から折り畳み状態に切り替わることが許容され、またかご載置部15が載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替わることが許容される。そのため、かご載置部15を載置可能状態から跳ね上げ状態に切り替えることにより、各フレーム11,12を展開状態から折り畳み状態に切り替え、買い物カート10を折り畳むことが可能となる。
【0064】
回動軸77は、案内通路65(第1通路部71)の第1位置E1よりも上方に配置されている。この場合、回動軸77は、第1通路部71の延長線I上に位置している。係合部76が係合位置にある場合には、係合部76が第1通路部71の延びる方向において第1位置E1を挟んで回動軸77とは反対側に位置する。この場合、係合部76において回動軸77に係合する係合面76aが、第1通路部71の延びる方向に対して直交する向きとなる。
【0065】
係合部76が係合位置から解除位置へ変位する際の変位方向H3(図12(b)では、変位方向H3に延びる直線を点線で示している。)は、前後方向に対して傾斜する方向となっている。また、この変位方向H3は、第1通路部71とは反対側に傾斜する方向となっており、詳しくは第1通路部71の延びる方向(傾斜方向)に対して略直交する方向となっている。また、本実施形態では、係合部76の解除位置が係合位置に対して前側であってかつ斜め上方の位置となっている。そのため、係合部76が係合位置から解除位置へ変位する際には、係合部材75が上方にかつ前方に回動されることにより変位する。
【0066】
かご載置部15には、第2支持部62に対する係合部76の係合を解除するための解除装置80が設けられている。以下、かかる解除装置80について図6及び図9に加え、図13及び図14を用いながら説明する。図13は、かご載置部15の各アーム本体53に取り付けられた解除装置80を一部分解した状態で示す分解斜視図である。図14は、(a)がかご載置部15の前端フレーム52周辺を示す正面図であり、(b)が平面図である。
【0067】
図9及び図13に示すように、解除装置80は、係合部材75と連結され前後方向にスライド可能に設けられた左右一対のスライド部材81と、各スライド部材81に架け渡されて設けられた支持バー82と、支持バー82により支持された解除レバー83とを有する。
【0068】
一対のスライド部材81は、かご載置部15の各アーム本体53にそれぞれ取り付けられている。スライド部材81は、前後方向に延びる板状に形成され、アーム本体53の外側面(左右方向の外側の面)に重ねて設けられている。スライド部材81には、前後方向に延びる長孔85が形成されている。長孔85にはビス86が挿通され、そのビス86がアーム本体53にねじ込まれている。これにより、スライド部材81は、ビス86によりアーム本体53に取り付けられ、その取付状態で長孔85の長さ範囲において前後方向にスライド可能となっている。この場合、スライド部材81は、長孔85の前端部がビス86に当接する後位置(図9に示す位置)と、長孔85の後端部がビス86に当接する前位置(図11に示す位置)との間でスライド可能となっている。
【0069】
スライド部材81とアーム本体53とにはそれぞれ互いに対向するように切り起された切り起し部81b,53aが設けられている。これら各切り起し部81b,53aの間にはコイルばね91が配設されている。コイルばね91は、各スライド部材81ごとに設けられている。コイルばね91は、その伸縮方向を前後方向に向けて配置され、両端部が各切り起し部81b,53aにそれぞれ取り付けられている。コイルばね91は、各切り起し部81b,53aの間に圧縮状態で配設され、その圧縮に基づく弾性力によりスライド部材81がアーム本体53に対して後方に付勢されている。これにより、スライド部材81は、通常、後位置(図9に示す位置)に位置している。そのため、後位置は、スライド部材81の待機位置ということもできる。
【0070】
支持バー82は、各スライド部材81の前端部に架け渡されている。支持バー82は、丸棒状に形成され、左右方向に延びている。支持バー82の両端部は、各アーム本体53に形成された長孔88に挿入され、その挿入状態で各スライド部材81にそれぞれビス89により固定されている。また、長孔88は左右方向に延びている。そのため、支持バー82は、各スライド部材81とともに前後方向に変位可能となっている。
【0071】
また、支持バー82は、図6及び図14(b)に示すように、かご載置部15の前端フレーム52の後方に配置されている。支持バー82は、前端フレーム52に隣接しており、前端フレーム52の各張出部56の下方を通じて配置されている。なお、支持バー82が「支持部」に相当する。
【0072】
解除レバー83は、第2支持部62に対する係合部76の解除をすべく、解除操作される解除操作部となっている。解除レバー83は、樹脂材料により形成され、支持バー82の中央部に取り付けられている。解除レバー83は、図14(a)及び(b)に示すように、かご載置部15の左右方向の中央部に配置されている。また、解除レバー83は、かご載置部15の枠内において前側の位置に配置されている。解除レバー83は、前端フレーム52の後方において前端フレーム52と隣接して配置され、平面視にて前端フレーム52の各張出部56の間に位置している。なお、前端フレーム52が「所定のフレーム部」に相当する。
【0073】
解除レバー83は、支持バー82に取り付けられた取付部83aと、取付部83aから下方に延びる板状の手掛け部83bとを有する。取付部83aは筒状をなし、その内側に支持バー82を挿入した状態で支持バー82に取り付けられている。手掛け部83bは、ユーザが解除レバー83による解除操作を行う際に手を掛ける部分である。手掛け部83bは、前端フレーム52よりも下方に延びている。
【0074】
解除レバー83は、前方に向けて解除操作されるようになっている。解除レバー83が解除操作されると、図11に示すように、各スライド部材81がコイルばね91の付勢力に抗して後位置から前位置に変位する。そして、各スライド部材81の変位に基づき係合部材75が回動し、その回動により係合部76が係合位置(図9図12(a)に示す位置)から解除位置(図11図12(b)に示す位置)へと変位する。これにより、解除レバー83の解除操作に基づき、第2支持部62に対する係合部76の係合が解除されるようになっており、ひいては第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態でロックされるロック状態が解除されるようになっている。なお、解除レバー83による解除操作をロック解除操作ということもできる。
【0075】
続いて、解除レバー83の解除操作に基づき、係合部76の係合解除を行うための構成について詳しく説明する。
【0076】
図12(a)に示すように、スライド部材81は、その後端側が段曲げされており、その段曲げによりアーム本体53から離間した部分が係合部材75に連結される連結部81aとなっている。連結部81aは、係合部材75を挟んでアーム本体53とは反対側に配置されている。連結部81aには、前後方向に対して傾斜する方向に延びるガイド孔95が形成されている。ガイド孔95は、後方に傾斜しており、直線状に延びている。ガイド孔95の延びる方向が前後方向となす角度β(図12(b)参照)は60°~80°に設定され、本実施形態では72°に設定されている。
【0077】
係合部材75には、左右方向に延びるガイドピン96が設けられている。ガイドピン96は円柱状をなし、スライド部材81のガイド孔95に挿入されている。ガイドピン96は、ガイド孔95に沿って案内されるようになっている。
【0078】
続いて、解除レバー83による解除操作に基づき、第2支持部62に対する係合部76の係合を解除する際の作用について説明する。
【0079】
解除装置80のスライド部材81が後位置にある場合には、ガイドピン96がガイド孔95において下位置に位置する(図9図12(a)参照)。下位置は、ガイド孔95の下端部となる位置となっている。ガイドピン96が下位置に位置する場合、係合部材75は、係合部76が第2支持部62に係合する係合状態とされる。また、係合部材75は、通常、係合状態とされている。
【0080】
解除レバー83の解除操作によりスライド部材81が後位置から前位置へスライドすると、それに伴いガイドピン96がガイド孔95に沿って下位置からそれよりも上側の上位置に変位する(図11図12(b)参照)。上位置は、ガイド孔95の上端部となる位置となっている。ガイドピン96が上位置に変位すると、その変位に基づき、係合部材75が、係合状態から、第2支持部62に対する係合部76の係合が解除される係合解除状態へと回動する。これにより、解除レバー83の解除操作に基づき、第2支持部62に対する係合部76の係合が解除されるようになっている。
【0081】
なお、ガイド孔95は、下位置の側から上位置の側に向けて後方に傾斜しており、換言すると、前後方向において解除操作される側(前側)とは反対側(後側)に傾斜している。
【0082】
解除レバー83による解除操作を終えると、スライド部材81がコイルばね91の付勢力により前位置から後位置へ戻る。すると、それに伴いガイドピン96がガイド孔95に沿って上位置から下位置に変位する。そして、かかるガイドピン96の変位に基づき、係合部材75が係合解除状態から係合状態へ回動(復帰)する。
【0083】
続いて、かご載置部15が跳ね上げ状態とされた際に、かご載置部15を跳ね上げ状態で保持するための構成について図15に基づき説明する。図15は、かご載置部15を跳ね上げ状態で保持するための構成を示す斜視図である。
【0084】
図15に示すように、第1フレーム11の各支持部材27の張出部29には、上方に開口された凹部99が形成されている。凹部99は、左右方向の両側がそれぞれ開放されている。かご載置部15の跳ね上げ状態では、解除装置80の支持バー82が各支持部材27の凹部99に上方から嵌まり込む。そして、それにより、かご載置部15が跳ね上げ状態で保持される。
【0085】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0086】
第1フレーム11及び第2フレーム12を展開状態でロックするロック手段として係合部材75が設けられ、その係合部材75によるロックが解除レバー83による解除操作(ロック解除の操作)によって解除されるようになっている。また、解除レバー83は、買い物かごKを載置するかご載置部15に設けられている。この場合、かご載置部15に買い物かごKが載置されている状態において、ロック解除の操作がしづらくなっている。そのため、誤ってロック解除の操作がされるのを抑制することができる。
【0087】
解除レバー83が、平面視にて、枠状に形成されたかご載置部15の内側に配置されている。この場合、かご載置部15に買い物かごKが載置されている状態で、ロック解除の操作をよりしづらくすることができる。これにより、誤ってロック解除の操作がされるのをより抑制することができる。
【0088】
解除レバー83が、かご載置部15を構成する前端フレーム52に隣接して配置され、その前端フレーム52に向けてロック解除の操作がされるようになっている。この場合、前端フレーム52と解除レバー83とを片手で握ることによりロック解除の操作を行うことができる。そのため、ロック解除の操作をし易くすることができる。
【0089】
前端フレーム52には、かご載置部15の内側に張り出す張出部56が設けられ、その張出部56に買い物かごKを載置することができる。また、張出部56は、平面視にて、解除レバー83を挟んだ両側にそれぞれ配置されている。この場合、解除レバー83の位置を把握し易くしながら、買い物かごKを安定した状態で載置することができる。また、各張出部56に買い物かごKが載置された状態において、解除レバー83が買い物かごKの真下に位置するため、解除レバー83によるロック解除の操作が誤って行われるのを確実に抑制することができる。
【0090】
かご載置部15を後方に跳ね上げると、それに連動して第1フレーム11及び第2フレーム12が展開状態から折り畳み状態に切り替わるようになっている。解除レバー83は、支持バー82に取り付けられた取付部83aと、取付部83aから下方に延びる手掛け部83bとを有している。この場合、手掛け部83bに下方から手を掛けてロック解除の操作を行うことができるとともに、手掛け部83bに手を掛けたままかご載置部15を後方に跳ね上げ、各フレーム11,12を折り畳み状態とすることができる。これにより、ロック解除して買い物カート10を折り畳む一連の作業をし易くすることができる。
【0091】
かご載置部15がバッグ支持部14に支持されるバッグ13の上方に配置される構成にあって、解除レバー83がかご載置部15の内側に配置されている。これにより、バッグ支持部14からバッグ13を取り出す際に解除レバー83が邪魔になるのを抑制することができる。
【0092】
解除レバー83がかご載置部15の内側に配置されているため、買い物カート10の移動中に解除レバー83が周囲の障害物等に当たるのを抑制することができる。これにより、解除レバー83が周囲の障害物等に当たって意図せずロック解除の操作がされてしまうのを抑制することができる。
【0093】
ユーザが買い物カート10を移動させる際には、ユーザは買い物カート10の後方に立って移動させる。その点、解除レバー83がかご載置部15の前側に配置されているため、解除レバー83はユーザから比較的離れた位置に配置されている。これにより、誤ってロック解除の操作がされるのを好適に抑制することができる。
【0094】
第1フレーム11(具体的には、支持部材27)には、かご載置部15の跳ね上げ状態において支持バー82が嵌め込まれる凹部99が設けられ、その支持バー82の嵌め込みによりかご載置部15を跳ね上げ状態で保持可能となっている。この場合、解除レバー83を支持する支持バー82を用いて、かご載置部15が跳ね上げ状態から載置可能状態に切り替わるのを好適に抑制することができる。
【0095】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0096】
(1)上記実施形態では、解除レバー83をかご載置部15の前側に配置したが、解除レバー83をかご載置部15の中央部に配置したり、かご載置部15の後側に配置したりしてもよい。この場合、各スライド部材81の長さを調整することにより、かご載置部15の前後位置を設定すればよい。
【0097】
上記実施形態では、解除レバー83をかご載置部15の枠内に配置したが、解除レバー83をかご載置部15の枠外に配置してもよい。例えば、解除レバー83をかご載置部15よりも下方に配置することが考えられる。この場合にも、解除レバー83を、平面視にてかご載置部15の枠内に位置させれば、かご載置部15に買い物かごKが載置されている状態でロック解除の操作をよりしづらくすることができる。そのため、誤ってロック解除の操作がされるのをより抑制することができる。
【0098】
また、解除レバー83を、かご載置部15の前端フレーム52より前方に配置してもよい。
【0099】
(2)上記実施形態では、かご載置部15をコの字形の枠状としたが、例えばかご載置部を矩形の枠状に形成してもよい。この場合、上記実施形態のかご載置部15に、さらに各アーム51の後端側に架け渡して後端フレーム(フレーム部に相当)を設けることで、矩形枠状のかご載置部を形成することが考えられる。
【0100】
(3)上記実施形態では、かご載置部15を第1フレーム11と第2フレーム12とに跨がるように設けたが、かご載置部15は必ずしもそのように設ける必要はない。例えば、第1フレーム11の各脚フレーム21の中間部に横フレームを架け渡すとともに、第2フレーム12の各脚フレーム31の中間部に横フレームを架け渡すことで、それら各横フレームをかご載置部としてもよい。この場合、それら各横フレームに跨って買い物かごKが載置されることになる。
【0101】
また、上記の構成とした場合、各横フレームのうちいずれかに解除レバーを設けることが考えられる。例えば、横フレームの下面側に解除レバーを設けることが考えられる。そうすれば、上記実施形態と同様、誤ってロック解除の操作がされてしまうのを抑制することができる。
【0102】
(4)上記実施形態では、係合部材75を第2支持部62に係合することにより、第1フレーム11及び第2フレーム12を展開状態でロックする構成としたが、かかるロックを行うロック手段としては必ずしも係合部材75を用いる必要はない。例えば、各フレーム11,12のうちいずれか一方に回動可能なバーを設け、他方にバーが嵌まり込む凹部を設け、バーを凹部に嵌め込むことにより各フレーム11,12を展開状態でロックする構成としてもよい。この場合、回動バーがロック手段に相当することになる。なお、かかる構成とした場合、例えばバーを凹部に嵌め込む側に付勢する付勢手段(例えばコイルばね)を設け、通常時はバーが凹部に嵌め込まれることで各フレーム11,12がロック状態に保持されるようにする。
【0103】
また、上記の構成とした場合、バーを凹部から外すべく、つまり各フレーム11,12のロック状態を解除すべく、解除操作される解除レバー(解除操作部に相当)を設ける。この場合、例えば解除レバーをワイヤを介してバーと連結し、解除レバーを解除操作するとワイヤを介してバーが引っ張られ、バーが凹部から外れる構成とすることが考えられる。かかる構成においても、解除レバーをかご載置部15に設けることで、誤ってロック解除の操作がされるのを抑制することができる。
【0104】
(5)上述した(4)の構成とした場合、例えば解除レバーをかご載置部15の左側又は右側に配置するようにしてもよい。この場合、解除レバーをかご載置部15の枠内においていずれかのアーム51(所定のフレーム部に相当)に隣接させて配置し、その隣接するアーム51に向けて解除操作されるようにすることが考えられる。この場合にも、解除レバーとアーム51とを片手で握ることにより解除操作を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0105】
10…買い物カート、11…第1フレーム、12…第2フレーム、13…バッグ、14…バッグ支持部、15…かご載置部、16…前輪、17…後輪、52…所定のフレーム部及び前側フレーム部としての前端フレーム、56…張出部、75…ロック手段としての係合部材、82…支持部としての支持バー、83…解除操作部としての解除レバー、83a…取付部、83b…手掛け部。
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