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特開2024-126858Sirt3、Sirt6発現増加用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126858
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】Sirt3、Sirt6発現増加用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/73 20060101AFI20240912BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61K36/73
A61K31/12
A61P43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035567
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 知倫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 美里
【テーマコード(参考)】
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C088AB51
4C088NA14
4C088ZB21
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB15
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZB21
(57)【要約】
【課題】新規なSirt3及び/又はSirt6遺伝子の発現用組成物を提供すること。
【解決手段】アグリモールBを含有するSirt3及び/又はSirt6発現増加用組成物。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アグリモールBを含有することを特徴とするSirt3及び/又はSirt6発現増加用組成物。
【請求項2】
前記アグリモールBが、植物由来であることを特徴とする請求項1に記載のSirt3及び/又はSirt6発現増加用組成物。
【請求項3】
前記アグリモールBが、キンミズヒキ由来であることを特徴とする請求項1に記載のSirt3及び/又はSirt6発現増加用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Sirt3、Sirt6発現増加用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
サーチュイン遺伝子は、長寿遺伝子とも呼ばれ、その活性化により生物の寿命が延びるとされる。サーチュイン遺伝子の活性化により合成されるタンパク質、サーチュイン(Sirtuin)はヒストン脱アセチル化酵素であり、ヒストンとDNAの結合に作用し、遺伝的な調節を行うことで寿命を延ばすと考えられている。
【0003】
サーチュイン1(Sirt1)は、加齢によって発現が低下する一方、カロリー制限により活性化されること、またブドウの果皮や赤ワイン,ピーナッツ等に含まれるポリフェノールであるレスベラトロールによって活性化されることが知られている(非特許文献1)。
【0004】
サーチュイン1(Sirt1)は各組織において様々な役割を担っており、アルツハイマー型老年認知症、骨粗鬆症、動脈硬化、骨格筋減少症などの老化関連疾患との関連についての研究も行われている。
【0005】
例えば中枢神経系における作用として、アルツハイマー型認知症モデルマウスを使った研究では、レスベラトロール投与によるサーチュイン1(Sirt1)の活性化により,海馬での神経変性を抑制し,認知機能の改善が認められた報告がある(非特許文献2)。一方、末梢神経系における作用としては、ブルーベリー抽出物等がサーチュイン1(Sirt1)の活性化を通して、屈折異常等の眼疾患治療用組成物として提供されている例や(特許文献1)、糖尿病網膜症の抑制に効果をもたらすといった報告(非特許文献3)がある。
【0006】
サーチュイン(Sirtuin)は、その哺乳類ホモログとして、7種類のサーチュインファミリーが存在し、現在までにSirt1~7までが同定されている。そのホモログによって老化や生命現象への関わりもさまざまある。細胞における局在するSirt1は核と細胞質に、Sirt2は細胞質に、Sirt3、4、及び5はミトコンドリアに、Sirt6及び7は主に核に局在するが、Sirt6は主にクロマチン領域に、Sirt7は核小体に主に局在し、細胞内での働きも様々である。例えば、Sirt6は、ヒストンの脱アセチル化によるクロマチン・エピジェネティクス制御を介して、免疫、糖代謝、脂質代謝、心・血管疾患及び老化等に関連し(非特許文献4)、Sirt3は、生理学的および病理学的条件下でミトコンドリアにおける代謝および酸化還元バランスの維持において重要な役割を果たす主要なミトコンドリアのサーチュインである。また、Sirt3は脂肪酸酸化、トリカルボン酸サイクル、電子輸送鎖及び酸化的リン酸化に関与する蛋白質の酵素活性を調節する(非特許文献5)。その他Sirt3は活性酸素を消去する作用があり、加齢性の難聴を抑制や、疲労改善効果が期待できる。
【0007】
一方、本発明者等は、アグリモール及びそれを含有するキンミズヒキ抽出物の作用機序について着目して継続して探求し、抗ヘリコバクターピロリ用組成物(特許文献2)、神経活性化用組成物(特許文献3)、免疫老化改善機能(特許文献4)などを既に提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006-298876公報
【特許文献2】特開2003-342190号公報
【特許文献3】特開2018-008888号公報
【特許文献4】特開2022-6259号公報
【0009】
【非特許文献1】Nature. 2003 Sep 11;425(6954):191-6.
【非特許文献2】EMBO J 2007; 26: 3169―3179
【非特許文献3】Invest Ophthalmol Vis Sci. 2011 Nov 25;52(12):9142-8.
【非特許文献4】Altern Med Rev 2010 15; 243
【非特許文献5】Frontiers in Physiology (Web).2018; 9 :1094
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、新規なSirt3、Sirt6発現増加用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.アグリモールBを含有することを特徴とするSirt3及び/又はSirt6発現増加用組成物。
2.前記アグリモールBが、植物由来であることを特徴とする1.に記載のSirt3及び/又はSirt6発現増加用組成物。
3.前記アグリモールBが、キンミズヒキ由来であることを特徴とする請求項1に記載のSirt3及び/又はSirt6発現増加用組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の組成物により、Sirt3及び/又はSirt6発現を増加することができる。本発明の組成物により、脂肪酸酸化、トリカルボン酸サイクル、電子輸送鎖及び酸化的リン酸化に関与する蛋白質の酵素活性を調節や免疫、糖代謝、脂質代謝、心・血管疾患及び老化等の改善が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】キンミズヒキエキスおよびアグリモールB添加による正常細胞におけるSirt3発現増強を示すグラフ。
図2】キンミズヒキエキスおよびアグリモールB添加による老化細胞におけるSirt3発現増強を示すグラフ。
図3】キンミズヒキエキスおよびアグリモールB添加による正常細胞におけるSirt6発現増強を示すグラフ。
図4】キンミズヒキエキスおよびアグリモールB添加による老化細胞におけるSirt6発現増強を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において「A~B」との表記(A、Bは数値)は、その両端を含む数値範囲を意味する。
本発明は、アグリモールBを含有するSirt3及び/又はSirt6発現増加用組成物に関する。
【0015】
<アグリモールB>
アグリモールBは、下記の化学式1に示す化合物である(分子量:682.75g/mol)。アグリモールBは、化学合成したもの、あるいは植物などの天然物から抽出、分離し、必要に応じて精製したものを用いることができる。また、市販品を用いることもできる。
【0016】
【化1】
【0017】
アグリモールBの化学合成としては、フロログルシノール等を出発原料として合成することができる。例えば、Acta Pharmaceutica Sinica 1989,24(6):431~437頁に記載の方法、あるいは特開平11-335256号公報に開示された方法で合成することができる。
なお、合成で得られるアグリモールBとして、(S)-(+)-アグリモールBとその光学異性体である(R)-(-)-アグリモールBの2種類が挙げられるが、アグリモールBとしては、これらのいずれか1種からなる単一化合物であってもよく、2種からなる混合物であってもよい。
【0018】
アグリモールBは、安全性の観点から植物由来のものが好ましい。
アグリモールBを含む植物としては、アグリモールBを含有するものであれば特に制限されないが、キンミズヒキ(学名:Agrimonia pilosa、別名:龍牙草)が好ましい。キンミズヒキは、バラ科キンミズヒキ属の多年草であり、日本国の本州、四国、九州などの林の縁、原野、路傍に自生している。キンミズヒキとしては、自生あるいは栽培された全草を採取し、これを自然乾燥又は加熱乾燥させたものを使用することができ、また、漢方生薬、民間療法薬、健康食品(ハーブティー)原料として市販されているキンミズヒキの乾燥物を使用することもできる。なお、キンミズヒキの全草を乾燥させたものは、仙鶴草の生薬名で市販されている。
【0019】
アグリモールBが植物由来である場合、抽出液、抽出液を精製・濃縮等した抽出エキス、水蒸気蒸留により得られる蒸留物、アグリモールBを含有する植物を擦りおろしたもの、この擦りおろしたものから絞ったジュース、あるいは、これらのアグリモールBを含む液体を液分減圧濃縮、スプレードライまたは凍結乾燥等の方法で固体化した粉末等を使用することができる。これらの中で、アグリモールBを高濃度で含むことから、水又は有機溶媒による抽出液、あるいはこの抽出液から得られる抽出エキス、乾燥エキスが好ましい。
【0020】
抽出は、抽出溶媒として、水、各種有機溶媒、これらの混合溶媒を用い、公知の抽出方法で行うことができる。
抽出操作を行う前に、原料をそのまま、または粗く細断したものを、疎水性溶媒、親水性溶媒、混合溶媒で洗浄し、色素等の不要物を除去してもよい。洗浄に用いる有機溶媒としては、低級アルコール(例、メチル、エチル、n-プロピル、イソブチルまたはブチルアルコールなど)、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、ジクロロメタンやクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン石、油エーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼンなどが挙げられる。
また、抽出操作を行う前に、原料に水を適宜加え、湿潤させることもできる。
【0021】
抽出溶媒としては、水、上記した有機溶媒、およびこれらの混合溶媒を使用することができ、これらの中で、水、低級アルコール、水と低級アルコールの混合溶媒が好ましく、また、低級アルコールとしてはエタノールが好ましい。
水で抽出を行うには、例えば、原料1重量部に対し、水0.5~10重量部を加え、40~120℃で、5分~2時間、好ましくは10~60分間、さらに好ましくは10~20分間抽出を行うことができる。このとき、撹拌により抽出効率を高めることもできる。また、抽出は、加熱還流により行うこともできる。抽出後、濾布、フィルターまたはメッシュ金網などを用いて濾過または圧搾を行う。この場合、加圧して作業効率を高めてもよい。また、別法として、遠心分離(1000~20000rpm)により抽出物を得ることもできる。回収率を高めるために、この抽出・濾過工程を1~5回繰り返すことができる。
【0022】
有機溶媒で抽出を行うには、例えば、原料1重量部に対し、有機溶媒0.5~10重量部を加え、水での抽出と同様にして抽出物を得ることができる。用いる溶媒としては上記した有機溶媒を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができ、含水溶媒も使用できる。特に、抽出前に原料を疎水性溶媒で洗浄して色素等の不要物を除去する場合、および下記のように抽出後の粗抽出物を疎水性溶媒で洗浄する場合において、抽出に用いる溶媒としては、水、低級アルコール、50~80%(v/v)含水低級アルコールが好ましく、低級アルコールとしてはエタノールが好ましい。溶媒の除去は、濾過、遠心分離、蒸留などの常法に従って行うことができる。
【0023】
キンミズヒキからの好ましい抽出方法は、例えば、以下のように行うことができる。
自生あるいは栽培された全草を採取し、これを自然乾燥又は加熱乾燥させたものを使用する。そして、これを細切し、約10倍量の水または、含水濃度0~99.5%(v/v)エチルアルコール、好ましくは含水濃度1~50%エタノール、特に好ましくは含水濃度5~10%エタノールに3~5日間浸漬して室温で抽出するか、あるいは還流冷却器を付して50~80℃で5~24時間抽出し、濾過して抽出液を回収する。この抽出液は、ロータリーエバポレーターなどの減圧真空乾燥装置、又は凍結乾燥装置によって、水及びエタノールを除去して乾燥エキスとする。
【0024】
次に乾燥エキスを濃縮する。濃縮工程では、0~40%エチルアルコールで洗浄し、0~40%エチルアルコール可溶性成分を除去することにより濃縮する。具体的には、乾燥エキスを0~40%エタノール、特に好ましくは10~30%エタノールで洗浄し、0~40%エタノール、特に好ましくは10~30%エタノール可溶性成分をろ過等の手段で除去した後、ろ過残渣をロータリーエバポレーターなどの減圧真空乾燥装置、又は凍結乾燥装置を用いて、水及びエタノールを除去することで、アグリモールBがより濃縮された乾燥エキスを得ることができる。濃縮された乾燥エキスは、50~99.5%エタノール、特に好ましくは70~90%エタノールに再溶解し、製剤化に用いる賦形剤を添加して凍結乾燥することで、所望する濃度の濃縮された粉体を得ることができる。
【0025】
<Sirt3及び/又はSirt6発現増加用組成物>
本発明のSirt3及び/又はSirt6発現増加用組成物は、アグリモールBを含有する。本発明の組成物は、アグリモールBを含有すれば良く、その他の成分を含有することができる。本発明のSirt3及び/又はSirt6発現増加用組成物におけるアグリモールBの含有量は、特に制限されないが、例えば0.001~100質量%である。下限値は、好ましくは0.005質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、上限値は、好ましくは99.5質量%以下であり、より好ましくは98質量%以下である。含有量を上記範囲内とすることにより、Sirt3及び/又はSirt6発現増加をより促進することができる。
【0026】
本発明の組成物は、Sirt3及び/又はSirt6発現増加を促進する。そのため、本発明の組成物は、Sirt3増加によるミトコンドリア代謝活性剤、心筋梗塞どの心血管系疾患抑制、抗疲労剤、Sirt6増加による免疫向上剤、糖代謝改善剤、脂質代謝改善剤等に使用することができる。
本発明の組成物は、経口投与、経皮投与、直腸内投与、注射などの投与方法に適した剤形で投与することができる。これらの中で、投与が容易なため、経口投与が好ましく、具体的には、飲食品、飼料、医薬品、動物用薬品等として使用可能である。
【0027】
Sirt3及び/又はSirt6発現増加用組成物を食品・飲料として使用する場合、例えば、果汁飲料、炭酸飲料、茶系飲料、乳飲料、アルコール飲料、清涼飲料、栄養ドリンク等の飲料、ゼリー状食品や各種スナック類、焼き菓子、ケーキ類、チョコレート、ガム、飴、スープ類等、あらゆる食品・飲料形態とすることができる。また、飲食品としては、通常の飲食品の他、栄養補助食品、機能性食品、健康食品、特定保健用食品等に上記の効果を目的として本発明の組成物を添加して用いることができる。
【0028】
Sirt3及び/又はSirt6発現増加用組成物を、サプリメント、医薬品、動物用薬品として使用する場合、例えば、糖衣錠、バッカル錠、コーティング錠、チュアブル錠などの錠剤、丸剤、散剤、ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤などの液剤、トローチ剤等の経口用液体製剤として利用することができる。その他、外用剤として使用することができる。
【実施例0029】
キンミズヒキエキス及びアグルモールBによるSirt3、6発現増加試験
【0030】
(1) 試験試料の調製
キンミズヒキエキスは以下の手順で調製した。
キンミズヒキ(仙鶴草、福田龍株式会社)100gに、90%エチルアルコール10倍量(1kg)を加え、還流抽出を2回繰り返した。得られた抽出液を常法により珪藻土ろ過、減圧濃縮、凍結乾燥し、キンミズヒキ抽出物を得た。このキンミズヒキ抽出物を60℃に加温した20%エチルアルコール溶液に溶解・懸濁させ、珪藻土ろ過により不溶性画分を残渣として回収した。残渣を90%エチルアルコールに再溶解し、活性炭処理、珪藻土ろ過、減圧濃縮、凍結乾燥し、キンミズヒキ濃縮抽出物を得た。これをキンミズヒキエキスとして下記の実験に使用した。このキンミズヒキエキスには、粗精製のキンミズヒキ抽出物から20%エチルアルコール可溶性成分を除去することで、アグリモールBを含む脂溶性成分がより濃縮されていた。
【0031】
(キンミズヒキエキス中のアグリモールBの含有量の測定)
本実施例において用いる試験品について常法によりアグリモールBの含有量を測定した結果、0.332質量%のアグリモールBが含有されていた。測定に用いたHPLCの条件を下記に示す。
カラム:Wakosil-ll5C18 AR 4.6mm×150mm
移動相:A液 0.1%リン酸 B液 0.1%リン酸含有アセトニトリル
グラジエンドB液:50%(0-10分) 50%→95%(10分-55分)
95%(55分-70分)50%(70.01分-80分)
カラム温度:40℃
流速 :1.2 mL/min
検出 :UV 288nm
注入量:10μL
【0032】
(2) 培養および処置方法
WI38細胞を1.25x105 cells/mlの濃度になるように10% FBS、1% ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma)、1% 非必須アミノ酸溶液(Sigma)を含むMEM培地(Sigma)で縣濁し、6ウエルプレートに2.5 mlずつ播種し、37℃、5% CO2下で培養した。培養24時間後に、ドキソルビシンを終濃度100 nMになるように添加し、24時間培養後に培地交換を行い、さらに2日間培養を行った。キンミズヒキエキス 12.5 μg/ml、またはアグリモールB 1μMになるように添加し、24時間培養した。ドキソルビシンを添加しない場合は、WI38細胞を3.75x105 cells/mlの濃度になるように2.5 mlずつ6ウエルプレートに播種し、24時間培養後培地交換を行い、キンミズヒキエキス 12.5 μg/ml、またはアグリモールB 1μMになるように添加し、さらに24時間培養した。なお、図1~4のControlは、溶媒コントロールとしてジメチルスルホキシドを添加したものである。
【0033】
(3) Real time PCRによる発現量定量
培養後の細胞をPBSで洗浄後700 μlのRLT bufferを添加し、RNeasy Mini kit(QIAGEN)を用い添付の説明書に従ってRNAを調製した。調製した450 ngのRNAを用いて、PrimeScript RT reagent kit(Takara)を使用し、添付の説明書に従いcDNAを作製した。各遺伝子の発現量は、1 μl cDNA、ヒトSirtuin3、またはヒトSirtuin6 taq man probe(TaqMan Gene expression assays: Applied Biosystems)とPremix Ex Taq(Takara)を混合し、Quanti Studio (Applied Biosystems)を用いて、95℃、30秒、(95℃、1秒→60℃、20秒)x45サイクルの反応条件で測定を行った。内部標準としてβ-actinの発現量を使用し、上記と同様な反応で測定した。測定により得られたCt値からβ-actinを内部標準としてΔΔCt法により、各サンプルの相対的遺伝子発現量を求めた。
【0034】
結果を図1~4に示す。
図に示すように、キンミズヒキエキス、およびアグリモールB添加により、Sirt3、及びSirt6遺伝子の発現が増加することが明らかとなった。
図1
図2
図3
図4