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特開2024-126859車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126859
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/037 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B60R16/037
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035569
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】法師人 綾花
(57)【要約】
【課題】オペレーティングシステムやアプリケーションによって車載機器の設定や制御をユーザごとに好適に行うことができる車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】少なくとも車両に搭載されている複数の車載機器の搭載有無を表す車載機器情報と、車両のユーザが所望する車載機器の設定がユーザごとに示されたユーザ設定情報とを記憶する記憶部と、車載機器情報に含まれる車載機器が、車両に搭載されている搭載機器であるか、車両に搭載されていない未搭載機器であるかを判別する機器判別部と、車載機器情報に基づいて、ユーザ設定情報に示された車載機器の設定を行う設定部とを備え、機器判別部は、搭載機器および未搭載機器の判別結果に基づいて、車載機器情報を更新し、設定部は、車載機器情報が搭載機器であることを表す車載機器に対して、選択されたユーザのユーザ設定情報が表す設定を行う、車載機器設定装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されている複数の車載機器のそれぞれを動作させるための設定を行う車載機器設定装置であって、
少なくとも前記車載機器の搭載有無を表す搭載有無情報が示された車載機器情報と、前記車両のユーザが所望する前記車載機器の設定に関する設定情報が前記ユーザごとに示されたユーザ設定情報と、を記憶する記憶部と、
前記車載機器情報に含まれる前記車載機器が、前記車両に搭載されている前記車載機器である搭載機器であるか、前記車両に搭載されていない前記車載機器である未搭載機器であるかを判別する機器判別部と、
前記車載機器情報に基づいて、前記ユーザ設定情報に示された前記設定情報に応じた前記車載機器の設定を行う設定部と、
を備え、
前記機器判別部は、前記搭載機器および前記未搭載機器の判別結果に基づいて、前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報を更新し、
前記設定部は、前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報が前記搭載機器であることを表す前記車載機器に対して、選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示された前記設定情報が表す設定を行う、
車載機器設定装置。
【請求項2】
前記車載機器との間で通信を行う通信部、をさらに備え、
前記機器判別部は、前記通信部において前記通信が確立されている前記車載機器を前記搭載機器であると判別する、
請求項1に記載の車載機器設定装置。
【請求項3】
前記機器判別部は、
前記通信部との間の前記通信が途絶えた前記車載機器を、前記搭載機器であるが通信を行うことができない通信途絶機器であると判別し、
前記通信途絶機器であると判別した前記搭載機器の前記搭載有無情報に、前記通信が途絶えたことを表す通信状態情報を関連付けて、前記車載機器情報を更新する、
請求項2に記載の車載機器設定装置。
【請求項4】
前記ユーザにより発話された音声に応じて、少なくとも一つの前記車載機器の操作を行う音声操作部と、
前記車載機器に対する操作の状態を前記ユーザに通知する通知部と、
をさらに備え、
前記音声操作部は、
前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報が前記搭載機器であることを表す前記車載機器に対する操作の発話が前記ユーザによりされた場合、前記音声に応じた操作を行い、
前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報が前記未搭載機器、または前記通信途絶機器であることを表す前記車載機器に対する操作の発話が前記ユーザによりされた場合、前記車載機器の操作が不可であることを表す前記通知を前記通知部に行わせる、
請求項3に記載の車載機器設定装置。
【請求項5】
車両に搭載されている複数の車載機器のそれぞれを動作させるための設定を行う車載機器設定装置のコンピュータが、
記憶部に記憶された、少なくとも前記車載機器の搭載有無を表す搭載有無情報が示された車載機器情報に含まれる前記車載機器が、前記車両に搭載されている前記車載機器である搭載機器であるか、前記車両に搭載されていない前記車載機器である未搭載機器であるかを判別し、
前記搭載機器および前記未搭載機器の判別結果に基づいて、前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報を更新し、
前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報が前記搭載機器であることを表す前記車載機器に対して、前記記憶部に記憶された、前記車両のユーザが所望する前記車載機器の設定に関する設定情報が前記ユーザごとに示されたユーザ設定情報のうち、選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示された前記設定情報が表す設定を行う、
車載機器設定方法。
【請求項6】
車両に搭載されている複数の車載機器のそれぞれを動作させるための設定を行う車載機器設定装置のコンピュータに、
記憶部に記憶された、少なくとも前記車載機器の搭載有無を表す搭載有無情報が示された車載機器情報に含まれる前記車載機器が、前記車両に搭載されている前記車載機器である搭載機器であるか、前記車両に搭載されていない前記車載機器である未搭載機器であるかを判別させ、
前記搭載機器および前記未搭載機器の判別結果に基づいて、前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報を更新させ、
前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報が前記搭載機器であることを表す前記車載機器に対して、前記記憶部に記憶された、前記車両のユーザが所望する前記車載機器の設定に関する設定情報が前記ユーザごとに示されたユーザ設定情報のうち、選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示された前記設定情報が表す設定を行わせる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載されている種々の車載機器を動作させるための設定を、車両のユーザごとに設定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、近年では、例えば、スマートキーなどの無線通信式の携帯キーと連動し、車載機器の設定を、携帯キーを携帯しているユーザに合わせて設定することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-152073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、車両に搭載されている車載機器を制御するオペレーティングシステム(OS:Operating System)やアプリケーションを汎用のものとし、複数の車両で同じオペレーティングシステムやアプリケーションを使用する、つまり、共通化を図ることも検討されている。しかしながら、車載機器は、車両ごと(車種ごと)に搭載されているか否かが異なる。さらに、同じ車種の車両であったとしても、その車両の等級ごと(グレードごと)に搭載されている車載機器が異なることもある。このため、共通化されたオペレーティングシステムやアプリケーションは、車両に搭載されている車載機器がどのようなものであるかや、いずれの車載機器の制御が可能であるかなど確認して、指示された車載機器の設定や制御を行う必要がある。このため、オペレーティングシステムやアプリケーションは、ユーザから車載機器の制御を指示されてからそれぞれの車載機器が設定されて動作するまでに時間を要することがあり、必ずしもユーザにとっては車載機器の操作の利便性が向上するものとは限らない場合があった。
【0005】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、オペレーティングシステムやアプリケーションによって車載機器の設定や制御をユーザごとに好適に行うことができる車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとしている。つまり、本発明は、ユーザに合わせて車載機器の設定や制御をすることにより、利便性の向上を目的としたものである。そして、延いては交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車載機器設定装置は、車両に搭載されている複数の車載機器のそれぞれを動作させるための設定を行う車載機器設定装置であって、少なくとも前記車載機器の搭載有無を表す搭載有無情報が示された車載機器情報と、前記車両のユーザが所望する前記車載機器の設定に関する設定情報が前記ユーザごとに示されたユーザ設定情報と、を記憶する記憶部と、前記車載機器情報に含まれる前記車載機器が、前記車両に搭載されている前記車載機器である搭載機器であるか、前記車両に搭載されていない前記車載機器である未搭載機器であるかを判別する機器判別部と、前記車載機器情報に基づいて、前記ユーザ設定情報に示された前記設定情報に応じた前記車載機器の設定を行う設定部と、を備え、前記機器判別部は、前記搭載機器および前記未搭載機器の判別結果に基づいて、前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報を更新し、前記設定部は、前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報が前記搭載機器であることを表す前記車載機器に対して、選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示された前記設定情報が表す設定を行う、車載機器設定装置である。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記車載機器設定装置は、前記車載機器との間で通信を行う通信部、をさらに備え、前記機器判別部は、前記通信部において前記通信が確立されている前記車載機器を前記搭載機器であると判別するものである。
【0008】
(3):上記(2)の態様において、前記機器判別部は、前記通信部との間の前記通信が途絶えた前記車載機器を、前記搭載機器であるが通信を行うことができない通信途絶機器であると判別し、前記通信途絶機器であると判別した前記搭載機器の前記搭載有無情報に、前記通信が途絶えたことを表す通信状態情報を関連付けて、前記車載機器情報を更新するものである。
【0009】
(4):上記(3)の態様において、前記車載機器設定装置は、前記ユーザにより発話された音声に応じて、少なくとも一つの前記車載機器の操作を行う音声操作部と、前記車載機器に対する操作の状態を前記ユーザに通知する通知部と、をさらに備え、前記音声操作部は、前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報が前記搭載機器であることを表す前記車載機器に対する操作の発話が前記ユーザによりされた場合、前記音声に応じた操作を行い、前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報が前記未搭載機器、または前記通信途絶機器であることを表す前記車載機器に対する操作の発話が前記ユーザによりされた場合、前記車載機器の操作が不可であることを表す前記通知を前記通知部に行わせるものである。
【0010】
(5):この発明の一態様に係る車載機器設定方法は、車両に搭載されている複数の車載機器のそれぞれを動作させるための設定を行う車載機器設定装置のコンピュータが、記憶部に記憶された、少なくとも前記車載機器の搭載有無を表す搭載有無情報が示された車載機器情報に含まれる前記車載機器が、前記車両に搭載されている前記車載機器である搭載機器であるか、前記車両に搭載されていない前記車載機器である未搭載機器であるかを判別し、前記搭載機器および前記未搭載機器の判別結果に基づいて、前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報を更新し、前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報が前記搭載機器であることを表す前記車載機器に対して、前記記憶部に記憶された、前記車両のユーザが所望する前記車載機器の設定に関する設定情報が前記ユーザごとに示されたユーザ設定情報のうち、選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示された前記設定情報が表す設定を行う、車載機器設定方法である。
【0011】
(6):この発明の一態様に係るプログラムは、車両に搭載されている複数の車載機器のそれぞれを動作させるための設定を行う車載機器設定装置のコンピュータに、記憶部に記憶された、少なくとも前記車載機器の搭載有無を表す搭載有無情報が示された車載機器情報に含まれる前記車載機器が、前記車両に搭載されている前記車載機器である搭載機器であるか、前記車両に搭載されていない前記車載機器である未搭載機器であるかを判別させ、前記搭載機器および前記未搭載機器の判別結果に基づいて、前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報を更新させ、前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報が前記搭載機器であることを表す前記車載機器に対して、前記記憶部に記憶された、前記車両のユーザが所望する前記車載機器の設定に関する設定情報が前記ユーザごとに示されたユーザ設定情報のうち、選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示された前記設定情報が表す設定を行わせる、プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
上述した(1)~(6)の態様によれば、アプリケーションによるユーザごとの車載機器の設定を好適に行うことができる車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る車載機器設定装置の構成および使用環境の一例を示す図である。
図2】実施形態の車載機器設定装置において車載機器情報を更新する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図3】実施形態の車載機器設定装置が更新する車載機器情報の一例を示す図である。
図4】実施形態の車載機器設定装置において車載機器情報を更新する別の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図5】実施形態の車載機器設定装置が更新する車載機器情報の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0015】
図1は、実施形態に係る車載機器設定装置の構成および使用環境の一例を示す図である。車載機器設定装置100は、車両Mに搭載されている種々の車載機器200の設定や制御を行う装置である。図1には、車載機器200の一例として、パワーウインドウ201と、サンルーフ202と、サンシェード203と、室内灯204と、マップライト205と、空調システム206と、メモリシート207と、シートヒータ/クーラー208と、ドアロック209と、メータ装置210と、ヘッドアップディスプレイ(Head Up Display:HUD)211と、運転モード設定装置212と、運転支援装置213とのそれぞれを示している。車両Mに搭載されている車載機器200は、図1に示したそれぞれの車載機器200に限定されるものでない。つまり、上述した車載機器200以外の他の車載機器を含んでもよい。以下の説明においては、図1において車載機器200内に示した個別の車載機器のいずれか一つまたは複数を区別しない場合には、単に「車載機器200」という。
【0016】
パワーウインドウ201は、例えば、車両Mの運転席側、助手席側、後部座席の左右に配置された窓ガラスを開閉する動作が、車載機器設定装置100によって設定、制御される。サンルーフ202は、例えば、車両Mの車室の天井部分に配置された開口部のガラスあるいは鉄板などを開閉する動作が、車載機器設定装置100によって設定、制御される。サンシェード203は、例えば、車両Mの後方の窓ガラス部や後部座席の左右の窓ガラス部から入射する日差しを遮る遮光部を開閉する動作が、車載機器設定装置100によって設定、制御される。室内灯204と、マップライト205とのそれぞれは、例えば、車両Mの車室内の照明機器の点灯、消灯、点灯時の明るさなどが、車載機器設定装置100によって設定、制御される。空調システム206は、例えば、エア・コンディショナー(air conditioner)などの空調装置における温度や風量などが、車載機器設定装置100によって設定、制御される。メモリシート207は、例えば、座面の位置や高さ、背もたれの角度など、車両Mを運転する際にユーザが所望した位置(いわゆる、シートポジション)となるように、運転席側の座席の位置が、車載機器設定装置100によって設定、制御される。シートヒータ/クーラー208は、例えば、運転席側(助手席側や後部座席を含んでもよい)の座席が備える温度調整機能が、車載機器設定装置100によって設定、制御される。ドアロック209は、例えば、ユーザが車両Mから降車して離れる際に動作するセキュリティ機能の動作が、車載機器設定装置100によって設定、制御される。メータ装置210と、HUD211とのそれぞれは、例えば、ユーザが所望した情報が表示されるように、それぞれの表示項目が、車載機器設定装置100によって設定、制御される。運転モード設定装置212は、例えば、ノーマル走行モード、スポーツ走行モード、コンフォート走行モードなどといわれるような、車両Mを運転する際にユーザが所望した走行モードとなるように、車両Mの駆動に関連する種々の項目が、車載機器設定装置100によって設定、制御される。運転支援装置213は、例えば、自動運転や運転支援の運転モードが、ユーザが所望した運転モードとなるように、車両Mの運転モードに関連する種々の項目が、車載機器設定装置100によって設定、制御される。
【0017】
車載機器設定装置100は、ネットワークNWを介してサーバ装置Sと通信することにより取得した、複数の車両に対して共通化されたオペレーティングシステム(OS:Operating System)やアプリケーションを実行することにより、車載機器200のそれぞれの設定や制御を行う。ネットワークNWは、例えば、インターネット、セルラー網、Wi-Fi網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、公衆回線、電話回線、無線基地局などのうち一部または全部を含む。ネットワークNWには、複数のサーバ装置Sが接続されており、車載機器設定装置100は、車両Mのユーザにより指示されたアプリケーションを、ネットワークNWを介していずれかのサーバ装置Sから取得して実行してもよい。
【0018】
車載機器設定装置100は、ユーザによる操作装置300の操作に応じて、それぞれの車載機器200の設定や制御を行う。図1には、操作装置300として、操作釦302と、マイク304とのそれぞれを備えている場合の一例を示している。操作釦302は、例えば、それぞれの車載機器200に対して近接した位置に配置された釦やスイッチであり、ユーザが操作する(例えば、押下する)ことによって車載機器200を動作させるものである。操作釦302は、ユーザによる操作の状態を表す情報を、車載機器設定装置100に出力する。マイク304は、例えば、ユーザが運転する際の前方方向の任意の位置に配置され、車室内で発せられた音声を収音する収音装置であり、ユーザが声で発話することによって、車載機器200を動作させるものである。マイク304は、例えば、車両Mの車室内の互いに異なる位置に、複数配置されてもよい。マイク304は、収音したユーザや車両Mの車室内の音声を表す情報を、車載機器設定装置100に出力する。以下の説明においては、マイク304が、ユーザの発話した音声を表す情報を、車載機器設定装置100に出力するものとする。
【0019】
車載機器設定装置100は、車載機器200の設定や制御に関する情報を、通知装置400によってユーザに通知する。図1には、通知装置400として、ディスプレイ402と、スピーカ404とのそれぞれを備えている場合の一例を示している。ディスプレイ402は、例えば、車両Mの車幅方向の中央付近のセンターコンソール内、あるいはダッシュボードの上部に配置されたLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)などの表示装置を含み、車載機器設定装置100により出力された通知画像を表示させることにより、車載機器200の設定や制御に関する情報を視覚的にユーザに通知する。ディスプレイ402は、例えば、タッチパネルとして構成され、操作釦302に対する操作と等価な操作も受け付ける操作画像も表示させる。スピーカ404は、例えば、ブザーやスピーカなどの発音装置であり、車載機器設定装置100により出力された音声信号や音声データなどの音声情報を発音させることにより、車載機器200の設定や制御に関する情報を音でユーザに通知する。
【0020】
[車載機器設定装置の構成]
車載機器設定装置100は、例えば、記憶部110と、通信部120と、機器判別部130と、設定部140と、操作部150と、を備える。操作部150は、例えば、音声操作部152と、通知部154とを備える。
【0021】
機器判別部130と、設定部140と、操作部150とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサと、プログラム(ソフトウェア)を記憶した記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することによりそれぞれの構成要素の機能が実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)などによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。ここで、プログラム(ソフトウェア)は、予め車載機器設定装置100が備えるROM(Read Only Memory)や、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体が車載機器設定装置100の備えるドライブ装置に装着されることで、車載機器設定装置100が備える記憶装置にインストールされてもよい。プログラム(ソフトウェア)は、他のコンピュータ装置からネットワークを介してダウンロードされて、車載機器設定装置100が備える記憶装置にインストールされてもよいし、例えば、車両Mに搭載される前の段階など、記憶装置が単体の状態であるときに記憶され、記憶装置が車両Mに装着されることで、車載機器設定装置100が備える記憶装置にインストールされてもよい。
【0022】
以下の説明においては、機器判別部130と、設定部140と、操作部150との構成が、車両Mを含む複数の車両に対して共通化されたオペレーティングシステムやアプリケーションを実行することにより、車両Mが備える車載機器200のそれぞれの設定や制御を行うものとする。そして、以下の説明においては、ネットワークNWを介してサーバ装置Sから取得された、複数の車両に共通化されたオペレーティングシステムやアプリケーション(以下、「車載機器アプリケーション」という)が、記憶装置が単体の状態であるときに記憶されており、この記憶装置が車両Mに装着された状態であるものとする。言い換えれば、車載機器アプリケーションにおいては、車両Mにどのような車載機器200が搭載されているかや、いずれの車載機器の制御が可能であるかなどが確認されていないものとする。
【0023】
記憶部110には、例えば、車載機器情報112と、ユーザ設定情報114と、が記憶される。車載機器情報112は、車載機器アプリケーションによって設定や制御を行うことができる車載機器を表す情報(リスト)である。車載機器情報112には、車両Mに搭載されている車載機器200を含めた種々の車載機器を表す情報が含まれている。つまり、車載機器情報112は、車載機器アプリケーションが設定や制御を行うことができる全ての車載機器に対して、車両Mへの搭載有無を表す情報(以下、「搭載有無情報」という)が対応付けられている情報である。車載機器情報112の初期状態は、車載機器のリストのみが記憶されており、搭載有無情報は記憶されていない。ユーザ設定情報114は、車両Mが備えるそれぞれの車載機器200に対するユーザが所望する設定に関する情報(以下、「設定情報」という)が含まれている情報である。ユーザ設定情報114は、例えば、ユーザが、自身を、車両Mを使用するユーザとして車載機器設定装置100に登録した場合に、記憶部110に記憶される。車両Mを使用するユーザが複数登録された場合、ユーザ設定情報114は、ユーザごとに設定情報が記憶される。
【0024】
通信部120は、ネットワークNWを介したサーバ装置Sとの通信、および車両Mが備える車載機器200のそれぞれとの通信を行う。通信部120は、ネットワークNWを介してサーバ装置Sと通信を行うためのネットワークカードなどの通信インターフェースと、例えば、CAN(Controller Area Network)通信線などの多重通信線やシリアル通信線、無線通信網など、車両Mが備える車載機器200のそれぞれと通信を行うため通信インターフェースを備える。以下の説明においては、通信部120が、CAN通信によって車載機器200との間で通信を行うものとする。
【0025】
機器判別部130は、通信部120と車載機器200との間のCAN通信の状態に基づいて、車両Mに搭載されている車載機器200を判別する。より具体的には、機器判別部130は、通信部120において、車載機器200との間のCAN通信が確立されている場合、このCAN通信によって通信部120と通信する車載機器200を、車両Mに搭載されている車載機器200(以下、「搭載機器」という)であると判定する。言い換えれば、機器判別部130は、車載機器情報112のリストには含まれるが、通信部120との間でCAN通信を行っていない車載機器を、車両Mに搭載されていない車載機器(以下、「未搭載機器」という)であると判別する。機器判別部130は、判別した結果(判別結果)を搭載有無情報として、記憶部110に記憶されている車載機器情報112を更新する。つまり、機器判別部130は、搭載機器であるか未搭載機器であるかを表す搭載有無情報を車載機器情報112に記憶させる。
【0026】
ところで、例えば、車載機器200が故障したりした場合などにおいては、故障した車載機器200は、未搭載機器と等価なものであると考えることもできる。この場合、機器判別部130は、故障によって未搭載機器となったと判別した場合、この判別結果を搭載有無情報として、記憶部110に記憶されている車載機器情報112を更新する。
【0027】
さらに、例えば、一度CAN通信が確立したものの、その後に何らかの要因(故障を含む)によって通信部120と車載機器200との間のCAN通信が途絶えてしまうことも考えられる。この場合、機器判別部130は、CAN通信が途絶えた車載機器200を、未搭載機器としては判別せずに、CAN通信が途絶えた車載機器200(以下、「通信途絶機器」という)であると判別する。機器判別部130は、搭載機器であると判別したいずれかの車載機器200が通信途絶機器となったことを判別した場合、この判別結果を通信状態情報として、記憶部110に記憶されている車載機器情報112を更新する。つまり、機器判別部130は、通信可能機器であるか通信途絶機器であるかを表す通信状態情報を車載機器情報112に記憶させる。
【0028】
設定部140は、記憶部110に記憶された車載機器情報112に基づいて車載機器200の設定を行う。より具体的には、設定部140は、車載機器情報112に含まれる搭載有無情報において搭載機器であることが示されているそれぞれの車載機器200に対して設定を行う。ここで、設定部140が最初にそれぞれの車載機器200に対して行う設定の値は、初期値である。設定部140における初期値の設定は、車載機器設定装置100が最初に起動された場合や、車両Mのユーザが登録されていない場合に行う。これに対して、記憶部110にユーザ設定情報114が記憶されている場合には、設定部140は、今回車両Mに乗車しているユーザのユーザ設定情報114に含まれる設定情報に示された設定値をそれぞれの車載機器200に設定する。今回車両Mに乗車しているユーザは、例えば、スマートキーなどの無線通信式の携帯キーに関連付けられているユーザとしてもよいし、ディスプレイ402に表示させた複数のユーザ(過去に車載機器設定装置100に登録したユーザ)の中から選択されたユーザとしてもよい。ここで、ディスプレイ402に複数のユーザを表示させて選択を促したものの、例えば、「ゲストユーザ」など、車両Mを通常使用しないユーザが選択された場合には、設定部140は、それぞれの車載機器200に初期値を設定してもよいし、直前に車両Mを使用していたユーザの設定値から変更しなくてもよい。
【0029】
操作部150は、ユーザが操作装置300を操作することによって、いずれかの車載機器200に対する操作が指示された場合、この車載機器200に対してユーザから指示された動作をさせる。例えば、操作部150は、ユーザによる操作釦302の操作に応じて、対応する車載機器200を動作させる。操作部150は、ユーザによる車載機器200に対する操作の状態を通知する。
【0030】
音声操作部152は、ユーザが声によっていずれかの車載機器200に対する操作を指示した場合、この車載機器200に対してユーザから指示された動作をさせる。音声操作部152は、少なくとも一つの車載機器200に対するユーザの声による操作を受け付けて、操作を受け付けた車載機器200の動作を制御する。より具体的には、音声操作部152は、マイク304が収音したユーザの発話を取得し、この発話の内容から、ユーザに指定された車載機器200や、この車載機器200に対する操作の指示を認識する。音声操作部152における車載機器200に対する指示内容の認識は、例えば、音声操作部152が備える不図示の音声認識機能によって行ってもよいし、サーバ装置Sが備える不図示の音声認識機能によって行ってもよい。指示内容の認識をサーバ装置Sが備える不図示の音声認識機能によって行う場合、音声操作部152は、通信部120に、マイク304によって収音されたユーザの音声のデータをネットワークNWを介してサーバ装置Sに送信させ、サーバ装置SからネットワークNWを介して送信された認識結果(指示内容)のデータを通信部120が受信して、音声操作部152に出力することによって行う。これらの不図示の音声認識機能は、マイク304によって収音されたユーザの音声の認識と、認識した音声が表す操作の判定とを含む音声処理を行って、その結果(指示内容)を得る構成にすればよい。不図示の音声認識機能の一部または全部は、AI(Artificial Intelligence)技術によって実現されてよい。音声操作部152は、認識した指示内容に応じて、対象の車載機器200の動作を制御する。
【0031】
このとき、音声操作部152は、車載機器情報112に含まれる搭載有無情報において搭載機器であることが示されているそれぞれの車載機器200に対する操作を行う。このとき、音声操作部152は、搭載機器に対する操作の指示がされたことを表す情報を通知部154に出力する。しかし、ユーザが声によって車載機器200を操作する場合、車両Mに搭載されていない車載機器や、故障してしまっている車載機器200、CAN通信が途絶えてしまっている車載機器200に対して操作を指示することも考えられる。この場合、音声操作部152は、指示された車載機器200(車両Mに搭載されていない車載機器を含む)に対する操作を受け付けることができないことを表す情報を通知部154に出力する。より具体的には、ユーザの声による指示が、車載機器情報112に含まれる搭載有無情報において未搭載機器、あるいは通信途絶機器であることが示されている車載機器200に対しての指示であった場合、音声操作部152は、未搭載機器、あるいは通信途絶機器に対して操作の指示がされたことを表す情報を通知部154に出力する。
【0032】
通知部154は、音声操作部152により出力された車載機器200に対する操作の指示がされたことを表す情報に基づいて、操作装置300に対してユーザが行った指示に応じた車載機器200の操作の状態をユーザに通知する。より具体的には、通知部154は、ユーザが操作釦302やマイク304によって指示した操作が搭載機器に対するものであった場合、この搭載機器の動作状態を表す通知画像をディスプレイ402に表示させたり、搭載機器の動作状態を表す音声情報をスピーカ404に発音させたりすることにより、指示された車載機器200の動作状態をユーザに通知する。一方、通知部154は、ユーザが操作釦302やマイク304によって指示した操作が未搭載機器や通信途絶機器に対するものであった場合、指示された車載機器200の操作を行うことができない(操作が不可である)ことを表す通知画像をディスプレイ402に表示させたり、指示された車載機器200の操作が不可であることを表す音声情報をスピーカ404に発音させたりすることにより、操作が不可である車載機器200に対して指示がされたことにより、操作を受け付けることができないことをユーザに通知する。これにより、ユーザは、指示した車載機器200に対する操作の状態を、視覚的および/または聴覚的に認識することができる。
【0033】
[車載機器設定装置における車載機器情報の更新の処理の一例]
次に、車載機器設定装置100が車載機器情報112を更新する処理の流れの一例について説明する。
【0034】
図2は、実施形態の車載機器設定装置100において車載機器情報112を更新する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図2には、車載機器200としてメモリシート207、サンルーフ202、およびメータ装置210のそれぞれが車両Mに搭載されており、車両Mに対する操作と、車載機器設定装置100の動作(処理)、およびそれぞれの構成要素の間で行われるCAN通信での情報(データ)のやり取りの一例を示している。
【0035】
図3は、実施形態の車載機器設定装置100が更新する車載機器情報112の一例を示す図である。図3の(a)~図3の(d)のそれぞれには、図2に示した車載機器設定装置100の処理のそれぞれの段階における車載機器情報112の一例を示している。以下の説明においては、図2に示す車載機器設定装置100の処理において、図3に示すそれぞれの車載機器情報112の一例を適宜参照して説明する。
【0036】
以下の説明においては、車載機器設定装置100が備える記憶装置(例えば、記憶部110と兼用のものであってもよい)が車両Mの装着される前の単体の状態であるときに、共通化が図られた汎用の車載機器アプリケーションが記憶されているものとする。つまり、車載機器アプリケーションは、車載機器設定装置100の初期状態において、設定や制御を行う対象の車載機器200の確認がなされていないものとする。
【0037】
車載機器設定装置100は、起動されると、まず、記憶装置に記憶されている車載機器アプリケーションを実行する。これにより、車載機器設定装置100は、図3の(a)に示したような、初期状態の車載機器情報112を記憶部110に記憶させる(ステップS100)。このステップS100において初期状態の車載機器情報112を記憶部110に記憶させる処理は、車載機器設定装置100において車載機器アプリケーションが最初(一回目)に実行されたときに行う処理である。つまり、ステップS100の処理は、以降の処理(後述するそれぞれの処理)において車載機器アプリケーションが実行された場合には、行われない。図3の(a)には、車載機器の情報として、車載機器アプリケーションが設定や制御を行うことができるメモリシート207、サンルーフ202、空調システム206、メータ装置210などの車載機器のリストが示されている初期状態の車載機器情報112の一例を示している。そして、初期状態の車載機器情報112は、図3の(a)に示したように、搭載有無情報は、いずれの車載機器も「搭載なし」であり、通信状態情報は、いずれの車載機器も「通信なし(CAN通信なし)」である。ここで、図1では、空調システム206が車載機器として車両Mに搭載されていたが、図2および図3を用いて説明する車載機器設定装置100における車載機器情報112の更新の処理では、例えば、空調システム206における温度設定がダイヤルを式であるなど、車室内の温度を値によって設定をすることができない(つまり、車載機器アプリケーションが設定や制御を行うために必要な機能を備えていない)ものであるとする。
【0038】
図3に示したそれぞれの車載機器情報112における「搭載あり」は、「搭載機器」を表す情報の一例であり、「搭載なし」は、「未搭載機器」を表す情報の一例である。図3に示したそれぞれの車載機器情報112における「通信あり」は、CAN通信が途絶していないことを表す情報の一例であり、「通信なし」は、CAN通信が途絶えていることを表す情報の一例である。
【0039】
その後、例えば、車両Mに乗車したユーザによって不図示のイグニッションスイッチ(イグニッションキーであってもよい)がオン状態(IG_ON)にされる(ステップS110)。これにより、車両Mが備える車載機器200を含む電気系(電装系)のそれぞれの構成要素が起動され、それぞれの車載機器200と通信部120との間で、CAN通信が開始(確立)される。図2には、通信部120とメモリシート207との間でCAN通信が行われ(ステップS122)、通信部120とサンルーフ202との間でCAN通信が行われ(ステップS124)、通信部120とメータ装置210との間でCAN通信が行われた(ステップS126)場合を示している。それぞれの車載機器200は、例えば、車両Mに搭載されていることを表す情報を、CAN通信によって通信部120に送信してもよい。
【0040】
機器判別部130は、通信部120と車載機器200との間のCAN通信の状態に基づいて、車載機器情報112のリストには含まれる全ての車載機器に対して、搭載機器であるか未搭載機器であるかを判別し、この判別結果に基づいて車載機器情報112を更新する(ステップS130)。図3の(b)には、図3の(a)に示した初期状態の車載機器情報112に対して、搭載有無情報および通信状態情報を更新した車載機器情報112の一例を示している。より具体的には、図3の(b)に示した更新後の車載機器情報112では、ステップS122においてCAN通信が行われたメモリシート207と、ステップS124においてCAN通信が行われたサンルーフ202と、ステップS126においてCAN通信が行われたメータ装置210とのそれぞれに対応する搭載有無情報が「搭載あり」に更新され、通信状態情報が「通信あり(CAN通信あり)」に更新された車載機器情報112の一例を示している。
【0041】
その後、今回車両Mに乗車したユーザによる操作装置300の操作によってそれぞれの車載機器200の動作の指示がされ、このユーザが登録されると、車載機器設定装置100は、それぞれの車載機器200の設定情報を含むユーザ設定情報114を記憶部110に記憶させる。ユーザの登録や、記憶部110へのユーザ設定情報114の記憶は、設定部140が行ってもよい。車載機器設定装置100、あるいは設定部140におけるユーザの登録方法や、ユーザ設定情報114の記憶方法、設定情報を含めたユーザ設定情報114の構成は、既存の登録方法や、記憶方法、ユーザ設定情報114の構成と等価なものになるようにすればよい。従って、車載機器設定装置100、あるいは設定部140におけるユーザの登録方法や、ユーザ設定情報114の記憶方法、ユーザ設定情報114の構成に関する詳細な説明は省略する。
【0042】
以降も、不図示のイグニッションスイッチがオン状態である間、通信部120とそれぞれの車載機器200との間のCAN通信は、予め定めた時間間隔で、周期的に行われる。ここで、図2に示したシーケンス図では、例えば、車両Mの走行中にCAN通信の状態が変化したものとする。図2には、通信部120とメモリシート207との間のCAN通信が正常に行われ(ステップS142)いるものの、通信部120とサンルーフ202との間のCAN通信(ステップS144)、および通信部120とメータ装置210との間でCAN通信(ステップS146)が異常となった場合を示している。より具体的には、ステップS144において、サンルーフ202から車両Mに搭載されていないことを表す情報が送信され、ステップS146において、メータ装置210と通信部120との間のCAN通信が途絶えた場合を示している。
【0043】
機器判別部130は、通信部120と車載機器200との間のそれぞれのCAN通信の状態に基づいて、それぞれの車載機器200の状態を判別し、記憶部110に記憶している車載機器情報112を更新する(ステップS150)。図3の(c)には、図3の(b)に示した車載機器情報112に対して、搭載有無情報および通信状態情報をCAN通信の状態に基づいて更新した車載機器情報112の一例を示している。より具体的には、図3の(c)に示した更新後の車載機器情報112では、ステップS144において車両Mに搭載されていないことを表す情報が送信されたサンルーフ202に対応する搭載有無情報が「搭載なし」に更新された車載機器情報112の一例を示している。これは、サンルーフ202から車両Mに搭載されていないことを表す情報が送信されたことによって、機器判別部130が、例えば、サンルーフ202が故障して未搭載機器と等価なものとなったと判別したためである。一方、図3の(c)に示した更新後の車載機器情報112では、ステップS146においてCAN通信が途絶えたメータ装置210に対応する通信状態情報が「通信なし」に更新された車載機器情報112の一例を示している。これは、メータ装置210と通信部120との間のCAN通信は途絶えたが、メータ装置210から車両Mに搭載されていないことを表す情報が送信されてはいないため、機器判別部130が、例えば、故障によって未搭載機器となってはおらず、一時的にCAN通信が途絶えた通信途絶機器であると判別したためである。
【0044】
ところで、車載機器情報112が図3の(c)に示した状態であるときに、ユーザが操作装置300を操作して、車載機器200の動作を変更させる指示がされることも考えられる。このとき、搭載有無情報が「搭載あり」であり、かつ通信状態情報が「通信あり」であるメモリシート207に対して指示がされた場合、操作部150は、メモリシート207の現在の位置(シートポジション)を、ユーザからの指示内容に応じた位置に変更させる。一方、搭載有無情報が「搭載なし」に更新されているサンルーフ202や、通信状態情報が「通信なし」に更新されているメータ装置210に対して指示がされた場合、操作部150は、通知部154によって通知画像をディスプレイ402に表示させたり、音声情報をスピーカ404に発音させたりすることにより、サンルーフ202やメータ装置210の操作を行うことができない状態であることを、ユーザに通知する。
【0045】
その後、例えば、車両Mが目的地に到着し、乗車しているユーザによって不図示のイグニッションスイッチ(イグニッションキーであってもよい)がオフ状態(IG_OFF)にされる(ステップS160)。これにより、車両Mが備える車載機器200を含む電気系(電装系)のそれぞれの構成要素の動作が終了され、それぞれの車載機器200と通信部120との間で確立されていたCAN通信(途絶していたCAN通信を含む)が終了される。これにより、機器判別部130は、それぞれの車載機器200を、CAN通信が途絶えた通信途絶機器として判別する。
【0046】
機器判別部130は、通信部120と車載機器200との間のそれぞれのCAN通信の状態に基づいて、それぞれの車載機器200の状態を判別し、記憶部110に記憶している車載機器情報112を更新して、保持させる(ステップS170)。図3の(d)には、不図示のイグニッションスイッチがオフ状態となったことに伴って、図3の(c)に示した車載機器情報112に対して、搭載有無情報および通信状態情報をCAN通信の状態に基づいて更新した車載機器情報112の一例を示している。より具体的には、図3の(d)に示した更新後の車載機器情報112では、ステップS160において不図示のイグニッションスイッチがオフ状態となったことにより、全ての車載機器200に対応する通信状態情報が「通信なし」に更新され、通信状態情報は、図3の(c)の状態が維持されている車載機器情報112の一例を示している。これは、全ての車載機器200において通信部120との間のCAN通信は途絶えたが、機器判別部130が、全ての車載機器200は一時的にCAN通信が途絶えた通信途絶機器となったと判別したためである。
【0047】
以降、車載機器設定装置100は、例えば、車両Mに乗車したユーザによって不図示のイグニッションスイッチ(イグニッションキーであってもよい)がオン状態(IG_ON)にされると、ステップS110~ステップS150の処理を周期的に繰り返し、不図示のイグニッションスイッチ(イグニッションキーであってもよい)がオフ状態(IG_OFF)にされると、ステップS170の処理を再度行う。このため、機器判別部130は、通信部120と車載機器200との間のCAN通信の状態に基づいて、図3の(d)に示した保持している車載機器情報112に対して、搭載有無情報および通信状態情報の更新を行う。
【0048】
このような処理の流れによって、車載機器設定装置100は、最初(一回目)に車載機器アプリケーションが実行されたときに初期状態の車載機器情報112を記憶部110に記憶させ、その後、通信部120とそれぞれの車載機器200との間で周期的に行われるCAN通信の状態に基づいて、車載機器情報112を更新する。これにより、車載機器設定装置100において実行される車載機器アプリケーションは、車両Mにどのような車載機器200が搭載されているかや、いずれの車載機器の制御が可能であるかなどが確認されている状態で、それぞれの車載機器200の設定や制御を行うことができる。言い換えれば、車載機器アプリケーションは、ユーザにより車載機器200の操作が指示された場合に、指示された車載機器200の設定や制御を行うことができるか否かを都度確認することなく、車載機器200の設定や制御を行うことができる。これは、ユーザが車載機器200の操作を行う際に、より早く、より好適に操作することができるようになるため、ユーザにとって有効である(利便性が向上する)。
【0049】
[車載機器設定装置における車載機器情報の更新の処理の別の一例]
図2および図3を用いて説明した車載機器設定装置100における車載機器情報112の更新の処理では、機器判別部130が、通信部120と車載機器200との間のCAN通信の状態に基づいて、車載機器情報112に含まれる搭載有無情報および通信状態情報を更新する場合について説明した。ここで、車載機器200には、複数の機能の設定や制御を行うことができるものも存在する。このため、車載機器情報112には、車載機器アプリケーションによって設定や制御を行うことができる車載機器を表す情報(リスト)や、車両Mへの車載機器の搭載有無を表す搭載有無情報、CAN通信の状態に基づいて車載機器の操作の可否を表す通信状態情報に加えて、または代えて、それぞれの車載機器(車両M自体であってもよい)において設定や制御を行うことができる項目(以下、「設定項目」という)としてどのようなものがあるかを表す情報を含むようにしてもよい。以下に、この場合において、車載機器設定装置100が車載機器情報112を更新する処理の流れの一例について説明する。
【0050】
図4は、実施形態の車載機器設定装置100において車載機器情報112を更新する別の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図4に示したシーケンス図では、機器判別部130と車載機器200との間のCAN通信において、機器判別部130が、設定項目の情報を車載機器200に対して要求(リクエスト)し、車載機器200が、機器判別部130からの要求に応じた設定項目の情報を返答(レスポンス)することによって、車載機器情報112を更新する場合の処理の流れの一例を示している。図4には、車載機器200としてメータ装置210が車両Mに搭載されており、車両Mに対する操作と、車載機器設定装置100の動作(処理)、およびそれぞれの構成要素の間で行われるCAN通信での情報(データ)のやり取りの一例を示している。図4に示したシーケンス図では、図2に示したシーケンス図の処理と同様の処理に、同一のステップ番号を付与している。
【0051】
図5は、実施形態の車載機器設定装置100が更新する車載機器情報112の別の一例を示す図である。図5には、車載機器アプリケーションによって設定や制御を行うことができる車載機器を表す情報(リスト)である車載機器の情報に代えて、車載機器アプリケーションが設定や制御を行うことができる設定項目を表す情報(リスト)が含まれる車載機器情報112の一例を示している。以下の説明においては、図3に示した車載機器情報112と、図5に示した車載機器情報112とを区別するため、図5に示した車載機器情報112を、「車載機器情報112a」という。図5の(a)および図5の(b)のそれぞれには、図4に示した車載機器設定装置100の処理のそれぞれの段階における車載機器情報112aの一例を示している。以下の説明においては、図4に示す車載機器設定装置100の処理において、図5に示すそれぞれの車載機器情報112aの一例を適宜参照して説明する。
【0052】
以下の説明においては、図3に示したような車載機器情報112を用いてそれぞれの車載機器200の設定や制御を行う車載機器アプリケーションと、図5に示したような車載機器情報112aを用いてそれぞれの車載機器200における設定項目の設定や制御を行う車載機器アプリケーションとを区別するため、車載機器情報112aを用いる車載機器アプリケーションを「車載機器アプリケーションa」という。以下の説明においても、車載機器設定装置100が備える記憶装置(例えば、記憶部110と兼用のものであってもよい)が車両Mの装着される前の単体の状態であるときに、共通化が図られた汎用の車載機器アプリケーションaが記憶されているものとする。つまり、車載機器アプリケーションaは、車載機器設定装置100の初期状態において、設定や制御を行う対象の車載機器200における設定項目の確認がなされていないものとする。
【0053】
車載機器設定装置100は、起動されると、まず、記憶装置に記憶されている車載機器アプリケーションaを実行する。これにより、車載機器設定装置100は、図5の(a)に示したような、初期状態の車載機器情報112aを記憶部110に記憶させる(ステップS200)。このステップS200において初期状態の車載機器情報112aを記憶部110に記憶させる処理も、車載機器設定装置100において車載機器アプリケーションaが最初(一回目)に実行されたときに行う処理である。つまり、ステップS200の処理は、以降の処理(後述するそれぞれの処理)において車載機器アプリケーションaが実行された場合には、行われない。図5の(a)には、設定項目の情報として、車載機器アプリケーションaが設定や制御を行うことができる設定項目A~設定項目Nなどのリストが示されている初期状態の車載機器情報112aの一例を示している。そして、初期状態の車載機器情報112aは、図5の(a)に示したように、搭載有無情報は、いずれの設定項目も「搭載なし」であり、通信状態情報は、いずれの設定項目も「通信なし(CAN通信なし)」である。車載機器情報112aにおいて「搭載あり」は、対応する設定項目の設定や制御を行うことができる車載機器200が搭載さていることを表し、「搭載なし」は、対応する設定項目の設定や制御を行うことができる車載機器が搭載さていないことを表す。車載機器情報112aにおいて「通信あり」は、対応する設定項目の設定や制御が行える(つまり、ユーザによる操作が可能である)ことを表し、「通信なし」は、対応する設定項目の設定や制御が行えない(つまり、ユーザによる操作が不可である)ことを表す。
【0054】
図5に示したそれぞれの車載機器情報112aにおける「搭載あり」は、「搭載機器」を表す情報の一例でもあり、「搭載なし」は、「未搭載機器」を表す情報の一例でもある。図5に示したそれぞれの車載機器情報112aにおける「通信あり」は、CAN通信が途絶していないことを表す情報の一例でもあり、「通信なし」は、CAN通信が途絶えていることを表す情報の一例でもある。
【0055】
その後、例えば、車両Mに乗車したユーザによって不図示のイグニッションスイッチ(イグニッションキーであってもよい)がオン状態(IG_ON)にされる(ステップS110)。これにより、車両Mが備える車載機器200を含む電気系(電装系)のそれぞれの構成要素が起動され、それぞれの車載機器200と通信部120との間で、CAN通信が開始(確立)される。
【0056】
機器判別部130は、通信部120に、設定項目の情報の送信を要求するCAN通信(項目リクエスト)をそれぞれの車載機器200に送信させる(ステップS220)。これにより、それぞれの車載機器200は、受信したCAN通信(項目リクエスト)に応じて、設定項目の情報を返答するCAN通信(項目レスポンス)を送信する。図4には、メータ装置210が、設定項目Aの情報を返答するCAN通信(項目レスポンス)を送信し(ステップS222)、設定項目Bの情報を返答するCAN通信(項目レスポンス)を送信し(ステップS224)、設定項目Nの情報を返答するCAN通信(項目レスポンス)を送信する(ステップS226)場合を示している。それぞれの車載機器200は、例えば、複数の設定項目の情報を返答するCAN通信(項目レスポンス)を送信してもよい。通信部120は、送信したCAN通信(項目リクエスト)に応じてそれぞれの車載機器200から送信されたCAN通信(項目レスポンス)を受信し、受信した設定項目の情報を機器判別部130に出力する。
【0057】
機器判別部130は、通信部120により出力された設定項目の情報に基づいて、車載機器情報112aのリストには含まれる全ての設定項目に対して、搭載機器であるか未搭載機器であるか、つまり、設定項目の設定や制御を行うことができる車載機器200が搭載さているか否かを判別し、この判別結果に基づいて車載機器情報112aを更新する(ステップS230)。図5の(b)には、図5の(a)に示した初期状態の車載機器情報112aに対して、搭載有無情報および通信状態情報を更新した車載機器情報112aの一例を示している。より具体的には、図5の(b)に示した更新後の車載機器情報112aでは、ステップS222のCAN通信(項目レスポンス)において送信された設定項目Aの情報と、ステップS224のCAN通信(項目レスポンス)において送信された設定項目Bの情報と、ステップS226のCAN通信(項目レスポンス)において送信された設定項目Nの情報とのそれぞれに対応する搭載有無情報が「搭載あり」に更新され、通信状態情報が「通信あり(CAN通信あり)」に更新された車載機器情報112aの一例を示している。
【0058】
その後、車載機器設定装置100は、図2に示したシーケンス図の処理と同様に、今回車両Mに乗車したユーザによる操作装置300の操作によってそれぞれの車載機器200の動作の指示がされ、このユーザが登録されると、それぞれの車載機器200の設定情報を含むユーザ設定情報114を記憶部110に記憶させる。
【0059】
以降も、不図示のイグニッションスイッチがオン状態である間、機器判別部130は、予め定めた時間間隔で、定期的にCAN通信(項目リクエスト)を通信部120に送信させ、通信部120により出力された設定項目の情報に基づいて、記憶部110に記憶している車載機器情報112aを更新する。このとき、図4に示したシーケンス図においても、図2に示したシーケンス図と同様に、例えば、車両Mの走行中にCAN通信の状態が変化したことにより、設定項目の情報の返答がされなくなったり、CAN通信が途絶えてしまったりすることも考えられる。この場合、機器判別部130は、情報の返答がされなくなった設定項目に対応する搭載有無情報を「搭載なし」に更新し、CAN通信が途絶えてしまったことにより情報の返答がされなくなった設定項目に対応する通信状態情報を「通信なし」、つまり、通信途絶機器に更新する。この場合の機器判別部130の処理は、図2に示したシーケンス図におけるステップS142~ステップS150の処理と等価なものになるようにすればよく、容易に考えることができる。従って、この場合の機器判別部130における車載機器情報112aの更新の処理や、更新された車載機器情報112aの一例などに関する詳細な説明は省略する。さらに、車載機器アプリケーションaが設定や制御を行うことができる設定項目に対してユーザが操作した場合や、車載機器アプリケーションaが設定や制御を行うことができない設定項目に対してユーザが操作した場合における通知も、図2および図3を用いて説明した車載機器設定装置100における通知と等価なものになるようにすればよく、容易に考えることができる。従って、車載機器設定装置100におけるユーザへの通知に関する詳細な説明も省略する。
【0060】
その後、例えば、車両Mが目的地に到着し、乗車しているユーザによって不図示のイグニッションスイッチ(イグニッションキーであってもよい)がオフ状態(IG_OFF)にされる(ステップS160)。これにより、車両Mが備える車載機器200を含む電気系(電装系)のそれぞれの構成要素の動作が終了され、それぞれの車載機器200と通信部120との間で確立されていたCAN通信(途絶していたCAN通信を含む)が終了される。これにより、機器判別部130は、それぞれの設定項目を、例えば、故障によって未搭載機器となってはいないものの、一時的にCAN通信が途絶えた通信途絶機器として判別する。そして、機器判別部130は、この判別結果に基づいて、記憶部110に記憶している車載機器情報112aを更新して、保持させる(ステップS270)。ここで、機器判別部130がステップS270の処理において保持させる車載機器情報112aは、ステップS260において不図示のイグニッションスイッチがオフ状態となったことにより、全ての設定項目に対応する通信状態情報が「通信なし」に更新され、通信状態情報は、直前の状態が維持されているものである。この場合の車載機器情報112aは、図3の(d)に示した車載機器情報112と等価なものになるようにすればよく、容易に考えることができる。従って、この場合の更新(保持)された車載機器情報112aの一例に関する詳細な説明は省略する。
【0061】
以降、車載機器設定装置100は、例えば、車両Mに乗車したユーザによって不図示のイグニッションスイッチ(イグニッションキーであってもよい)がオン状態(IG_ON)にされると、ステップS210~ステップS230の処理を定期的に繰り返し、不図示のイグニッションスイッチ(イグニッションキーであってもよい)がオフ状態(IG_OFF)にされると、ステップS270の処理を再度行う。このため、機器判別部130は、通信部120により出力された設定項目の情報に基づいて、保持している車載機器情報112aに対して、搭載有無情報および通信状態情報の更新を行う。
【0062】
このような処理の流れによって、車載機器設定装置100は、最初(一回目)に車載機器アプリケーションaが実行されたときに初期状態の車載機器情報112aを記憶部110に記憶させ、その後、通信部120によってCAN通信(項目リクエスト)を送信し、受信したCAN通信(項目レスポンス)に示された設定項目の情報に基づいて、車載機器情報112aを更新する。これにより、車載機器設定装置100において実行される車載機器アプリケーションaは、車両Mや車載機器200にどのような設定項目があるかや、いずれの設定項目の設定や制御が可能であるかなどが確認されている状態で、それぞれの設定項目の設定や制御を行うことができる。言い換えれば、車載機器アプリケーションaは、ユーザにより設定項目の操作が指示された場合に、指示された設定項目の設定や制御を行うことができるか否かを都度確認することなく、設定項目の設定や制御を行うことができる。これは、ユーザが車両Mや車載機器200の設定項目の操作を行う際に、より早く、より好適に操作することができるようになるため、ユーザにとって有効である(利便性が向上する)。
【0063】
上記に述べたとおり、実施形態の車載機器設定装置100によれば、複数の車両で同じものを使用することができるように共通化された汎用の車載機器アプリケーションを実行して、初期状態の車載機器情報112を記憶部110に記憶させる。そして、実施形態の車載機器設定装置100では、機器判別部130が、通信部120と車載機器200との間のCAN通信の状態(設定項目の情報の要求(リクエスト)および返答(レスポンス)を含む)に基づいて、記憶部110に記憶されている車載機器情報112(より具体的には、車載機器情報112に含まれる搭載有無情報および通信状態情報)を更新する。より具体的には、機器判別部130が、CAN通信の状態に基づいて、それぞれの車載機器が、車両Mの搭載されている車載機器200(搭載機器)であるか、車両Mに搭載されていない車載機器(未搭載機器)であるか、CAN通信が途絶えた車載機器200(通信途絶機器)であるかを判別して、車載機器情報112を更新する。しかも、実施形態の車載機器設定装置100において機器判別部130は、車載機器200との間のCAN通信が一度確立した後に、何らかの要因(故障を含む)によってCAN通信が途絶えてしまった場合には、この車載機器200を未搭載機器としては判別せずに、通信途絶機器であると判別して、車載機器情報112を更新する。これにより、実施形態の車載機器設定装置100において実行されている車載機器アプリケーションは、車両Mにどのような車載機器200が搭載されているかや、いずれの車載機器の制御が可能であるかなどが確認されている状態で、それぞれの車載機器200の設定や制御を行うことができる。
【0064】
さらに、実施形態の車載機器設定装置100によれば、操作部150(より具体的には、通知部154)が、通知装置400(つまり、ディスプレイ402やスピーカ404)によって、ユーザが行った指示に応じた車載機器200の操作の状態をユーザに通知する。しかも、実施形態の車載機器設定装置100において機器判別部130は、ユーザが行った指示が、未搭載機器や通信途絶機器に対するものであった場合、指示された車載機器200の操作を行うことができない(操作が不可である)ことを、通知装置400によってユーザに通知する。これにより、実施形態の車載機器設定装置100が搭載された車両Mのユーザは、指示した車載機器200に対する操作の状態や、指示した操作が不可であることを、視覚的および/または聴覚的に認識することができる。
【0065】
これらにより、実施形態の車載機器設定装置100では、汎用の車載機器アプリケーションを実行する構成であっても、車載機器設定装置100が搭載された車両Mのユーザによる車載機器200の操作の利便性を向上させ、汎用の車載機器アプリケーションによって、車載機器200の設定や制御をユーザごとに(ユーザに合わせて)好適に行うことができる。このことにより、実施形態の車載機器設定装置100が搭載された車両Mでは、ユーザが車両Mの運転に集中することができ、より安全に車両Mの走行を継続させることができる。
【0066】
上述した実施形態の車載機器設定装置100では、機器判別部130が、CAN通信が途絶えてしまった車載機器200を未搭載機器としては判別せずに、通信途絶機器であると判別する場合を説明した。しかしながら、CAN通信が一度確立した車載機器200が通信途絶機器となる何らかの要因は、実施形態において説明した故障以外の別の要因である場合も考えられる。例えば、車載機器200を取り外した場合にも、取り外す前の車載機器200は、通信途絶機器となる。このような場合を考慮して、車載機器設定装置100は、例えば、ユーザによる手動の操作によって、車載機器情報112において通信途絶機器となっている車載機器200を初期値の状態(つまり、搭載有無情報が「搭載なし」であり、かつ通信状態情報が「通信なし」である状態)に変更(更新)することができる構成にしてもよい。このとき、車載機器設定装置100は、車載機器情報112において通信途絶機器となっている車載機器200の搭載有無情報や通信状態情報のみではなく、車載機器情報112自体を初期値の状態に初期化(つまり、初期状態にリセット)することができる構成にしてもよい。車載機器情報112を初期化した場合、車載機器設定装置100は、車載機器アプリケーションを実行して、図2に示したシーケンス図におけるステップS100の処理、あるいは図4に示したシーケンス図におけるステップS200の処理を一回行えばよい。車載機器設定装置100における車載機器情報112の初期化の方法は、容易に考えることができるため、詳細な説明も省略する。
【0067】
上述した実施形態では、共通化が図られた汎用の車載機器アプリケーションが、車載機器設定装置100が備える記憶装置(例えば、記憶部110と兼用のものであってもよい)が車両Mの装着される前の単体の状態であるときに記憶されている場合の例で説明した。しかしながら、これはあくまで一例であり、車載機器アプリケーションは、例えば、ユーザが、サーバ装置Sや他のコンピュータ装置からネットワークNWを介して後にダウンロードしたものであってもよい。この場合、ダウンロードされた車載機器アプリケーションが車載機器設定装置100において最初(一回目)に実行されたときに、上述した実施形態と等価な処理を行えばよい。従って、車載機器設定装置100が後にダウンロードされた車載機器アプリケーションを実行する場合の処理に関する詳細な説明は省略する。
【0068】
以上説明した実施形態の車載機器設定装置100によれば、車両Mに搭載されている複数の車載機器200のそれぞれを動作させるための設定を行う車載機器設定装置100であって、少なくとも車載機器200の搭載有無を表す搭載有無情報が示された車載機器情報112と、車両Mのユーザが所望する車載機器200の設定に関する設定情報がユーザごとに示されたユーザ設定情報114と、を記憶する記憶部110と、車載機器情報112に含まれる車載機器200が、車両Mに搭載されている車載機器200である搭載機器であるか、車両Mに搭載されていない車載機器である未搭載機器であるかを判別する機器判別部130と、車載機器情報112に基づいて、ユーザ設定情報114に示された設定情報に応じた車載機器200の設定を行う設定部140と、を備え、機器判別部130は、搭載機器および未搭載機器の判別結果に基づいて、車載機器情報112に含まれる搭載有無情報を更新し、設定部140は、車載機器情報112に含まれる搭載有無情報が搭載機器であることを表す車載機器200に対して、選択されたユーザのユーザ設定情報114に示された設定情報が表す設定を行うことにより、オペレーティングシステムやアプリケーション(汎用の車載機器アプリケーション)によって車載機器200の設定や制御をユーザごとに好適に行うことができる。これにより、車載機器設定装置100が搭載された車両Mでは、ユーザによる車載機器200の操作の利便性を向上させ、ユーザが車両Mの運転に集中することができ、より安全に車両Mの走行を継続させることができる。
【0069】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
車両に搭載されている複数の車載機器のそれぞれを動作させるための設定を行う車載機器設定装置が、
ハードウェアプロセッサと、
プログラムを記憶した記憶装置と、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、
記憶部に記憶された、少なくとも前記車載機器の搭載有無を表す搭載有無情報が示された車載機器情報に含まれる前記車載機器が、前記車両に搭載されている前記車載機器である搭載機器であるか、前記車両に搭載されていない前記車載機器である未搭載機器であるかを判別し、
前記搭載機器および前記未搭載機器の判別結果に基づいて、前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報を更新し、
前記車載機器情報に含まれる前記搭載有無情報が前記搭載機器であることを表す前記車載機器に対して、前記記憶部に記憶された、前記車両のユーザが所望する前記車載機器の設定に関する設定情報が前記ユーザごとに示されたユーザ設定情報のうち、選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示された前記設定情報が表す設定を行う、
ように構成されている、車載機器設定装置。
【0070】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0071】
100・・・車載機器設定装置
110・・・記憶部
112・・・車載機器情報
114・・・ユーザ設定情報
120・・・通信部
130・・・機器判別部
140・・・設定部
150・・・操作部
152・・・音声操作部
154・・・通知部
200・・・車載機器
201・・・パワーウインドウ
202・・・サンルーフ
203・・・サンシェード
204・・・室内灯
205・・・マップライト
206・・・空調システム
207・・・メモリシート
208・・・シートヒータ/クーラー
209・・・ドアロック
210・・・メータ装置
211・・・ヘッドアップディスプレイ(HUD)
212・・・運転モード設定装置
213・・・運転支援装置
300・・・操作装置
302・・・操作釦
304・・・マイク
400・・・通知装置
402・・・ディスプレイ
404・・・スピーカ
M・・・車両
NW・・・ネットワーク
S・・・サーバ装置
図1
図2
図3
図4
図5