(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126885
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A63F7/02 301C
A63F7/02 304D
A63F7/02 326Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035613
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】大秋 善幸
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲平
(72)【発明者】
【氏名】吉川 真史
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BA88
2C088BA90
2C088BC08
(57)【要約】
【課題】遊技者の好みに応じて操作手段の操作音を自由に調節することができる遊技機を提供する。
【解決手段】遊技者が遊技に用いる遊技球数を変更する際に操作する計数ボタン又は球貸ボタンを操作したときに出力される操作音のオン/オフを、カスタム設定により自由に変更できるようする。例えば、1球単位で遊技球を管理カードに移動させることを望む場合、遊技者は、移動させたい球数と同じ回数だけ計数ボタンを短押し操作することになる。この場合、計数ボタンが操作される度に遊技球数表示器に表示されている遊技球数が1球ずつ減算されるが、計数ボタンの「操作音なし」を選択していることで、その操作に伴ってスピーカから操作音が出力されることはない。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の外部に設けられた外部ユニット装置と情報の通信を行う枠制御部を有し、遊技機内で遊技媒体が循環する封入式の遊技機であって、
前記枠制御部は、操作手段の操作により遊技媒体に係る情報を前記外部ユニット装置と通信するようになっており、
前記操作手段が操作されたときにスピーカから出力される操作音の出力態様を変更する操作音変更手段をさらに有することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記操作手段は、1回の操作で遊技に使用する遊技媒体数を所定数だけ増加させる第1操作手段と、1回の操作で遊技に使用する遊技媒体数から所定数を減算させる第2操作手段と、を含み、
前記操作音変更手段は、
前記第1操作手段及び前記第2操作手段のうち少なくとも何れか一方が操作されたときに前記スピーカから出力される操作音の出力態様を変更することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記枠制御部は、
前記第2操作手段の1回あたりの操作時間が規定時間に到達しているか否かに応じて、1回の操作で減算する遊技媒体数を異ならせることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記操作音変更手段は、前記操作音のオンとオフとを切り替えるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の遊技機。
【請求項5】
遊技に関する各種設定を行うための設定画面を表示する表示手段と、
前記設定画面に表示された設定項目の設定内容を変更するために遊技者が操作可能な設定内容変更操作手段と、を有し、
前記操作音変更手段は、前記設定画面で前記操作音の出力態様に係る設定内容が変更された場合に、その変更内容に合った態様で前記操作音の出力態様を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種であるパチンコ遊技機では、遊技媒体としての遊技球を遊技領域に向かって発射し、当該遊技球が入賞口に入賞すると、賞球が払い出されるようになっている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、近年では、遊技媒体である遊技球を内部で循環させるパチンコ遊技機も知られるようになった(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-181256号公報
【特許文献2】特開2022-081774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のようなパチンコ遊技機には、ホールコンピュータ等と通信を行う専用外部ユニットが接続されている。遊技球の貸出しを受けたい場合、専用外部ユニットに現金や記憶媒体(ビジターカード又は会員カードなど)を挿入した後、専用外部ユニットに設けられた操作手段(球貸ボタン等)を操作することで、一定数の遊技球が遊技者に貸し出される。一方、遊技者が所持している遊技球(持ち球)の一部を記憶媒体に移動(記憶)させたい場合、パチンコ遊技機に設けられた操作手段(計数ボタン等)を操作することで、一定数の遊技球が記憶媒体に移動(記憶)される。
このように遊技者が操作可能な操作手段が操作されたとき、例えば操作を受け付けたことを知らせるために、スピーカから操作音を出力させていた。この操作音に関し、遊技者の好みに応じて自由に調節できるようにすることが求められていた。
【0006】
本発明は、従来における問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、遊技者の好みに応じて操作手段の操作音を自由に調節することができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る遊技機は、遊技機の外部に設けられた外部ユニット装置と情報の通信を行う枠制御部を有し、遊技機内で遊技媒体が循環する封入式の遊技機であって、前記枠制御部は、操作手段の操作により遊技媒体に係る情報を前記外部ユニット装置と通信するようになっており、前記操作手段が操作されたときにスピーカから出力される操作音の出力態様を変更する操作音変更手段をさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る遊技機によれば、遊技者の好みに応じて操作手段の操作音を自由に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】パチンコ遊技機とカードユニットの正面図である。
【
図2】前枠に設けられたボタン類を示す上面図である。
【
図4】主制御基板及び周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図5】サブ制御基板及び周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図6】枠制御基板、主制御基板、及びカードユニットの電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図7】メイン側主制御処理のフローチャートである。
【
図8】メイン側タイマ割込処理のフローチャートである。
【
図10】1msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図11】10msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図13】枠側タイマ割込処理のフローチャートである。
【
図14】枠制御基板とSC基板との通信態様を示す模式図である。
【
図15】(a),(b)は、枠制御基板と主制御基板との電源オン時の通信タイミングを示す図である。
【
図16】第2実施形態において、枠制御基板、主制御基板、サブ制御基板、及び画像制御基板との電源オン時の通信タイミングを示す図である。
【
図17】(a),(b)は、第3実施形態において、パチンコ遊技機に関する各種設定を行う際に表示される設定変更画面を示す模式図である。
【
図18】(a)は、第3実施形態において計数ボタンの操作音オンが選択された場合における操作音出力態様を示すタイミングチャート、(b)は、第3実施形態において計数ボタンの操作音オフが選択された場合における操作音出力態様を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る遊技機としてのパチンコ遊技機について図を参照しつつ説明する。以下の説明において、パチンコ遊技機の各部の方向を説明する場合は、そのパチンコ遊技機と対向して遊技を行う遊技者から見た方向を基準とする。具体的には、パチンコ遊技機の各部の左右方向及び上下方向は、遊技者から見た左右方向及び上下方向とする。また、パチンコ遊技機を基準として遊技者に近づく方向を前方とし、遊技者から遠ざかる方向を後方とする。
【0011】
[パチンコ遊技機の主要構成]
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、遊技機枠16を備える。遊技機枠16は、前方側から順に、前枠18、内枠24、外枠25によって構成される。
【0012】
外枠25は、縦長方形状の枠体であり、パチンコ遊技機1の外郭を形成する。内枠24は、外枠25の内側に配置され、後述する遊技盤2が取り付けられる。前枠18は、外枠25及び内枠24の前面側に配置されている。また、パチンコ遊技機1では、パチンコ遊技機1の左上部において、前枠18及び内枠24が、それぞれ回動可能となるよう図示しないヒンジで固定されている。
【0013】
また、前枠18は、ハンドル4と、演出レバー6と、スピーカ8と、演出ボタン9と、左サイドランプ23aと、右サイドランプ23bと、を備えている。
ハンドル4は、前枠18のうち右下、つまり、パチンコ遊技機1と対向して遊技を行う遊技者が右手で握ることができる位置に設けられている。ハンドル4は、タッチスイッチ92(
図4)と、発射レバー4aと、発射停止ボタン4bとを備えている。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するものであり、ハンドル4を握った遊技者の右手が触れる部分に配置されている。発射レバー4aは、遊技媒体としての遊技球の発射強度を調整するためのものであり、ハンドル4に回動可能に設けられている。発射停止ボタン4bは、遊技球が発射されているときに遊技球の発射を停止するためのものであり、ハンドル4を握った右手の親指により操作可能な位置に設けられている。
【0014】
前枠18のうち下側の左端寄りには、演出レバー6が設けられている。換言すると、演出レバー6は、前枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向した遊技者が左手で操作可能な位置に設けられている。演出レバー6は、左手で把持できる形状とされており、右回転又は左回転の回転操作の他、上下左右の4方向に傾倒操作可能としている。また、演出レバー6には、演出レバー振動モータ6c(
図5)が設けられている。演出レバー振動モータ6cは、演出レバー6を振動させるものであり、演出レバー6の操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。遊技者が、演出レバー6の操作が有効な期間に演出レバー6を操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出レバー6の操作を契機として行われる特定の演出のことをレバー演出という。なお、演出レバー6は省略してもよい。
【0015】
スピーカ8は、前枠18のうち上部の左右の隅部にそれぞれ設けられており、音楽、効果音及び報知音等の音を演出内容に応じて出力する。
演出ボタン9は、前枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向する遊技者が右手又は左手で押圧操作可能な位置に設けられている。また、演出ボタン9は、前枠18のうち、遊技者が左手で演出レバー6を操作している状態で、右手で押下操作可能な位置に設けられている。演出ボタン9は、例えばプッシュオン式のボタンスイッチを採用することができる。演出ボタン9には、演出ボタン振動モータ9b(
図5)と、演出ボタンランプ9c(
図5)とが内蔵されている。演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させるものであり、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。本実施形態では、演出ボタンランプ9cはLEDである。演出ボタンランプ9cは、複数色を発光可能であり、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9が押圧操作されたときや演出内容に応じて点灯又は点滅し、さらに発光色を変化させる。演出ボタン9の表面は透光性材料によって形成されており、演出ボタンランプ9cが発した光を遊技者が視認できるように工夫されている。
【0016】
演出ボタン9には、押圧操作された演出ボタン9を押圧操作前の位置に復帰させるためのバネ等の弾性部材(図示せず)が内蔵されており、演出ボタン9は、押圧操作状態が解除されると、弾性部材の復元力によって押圧操作前の状態に復帰する。遊技者が、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9を押圧操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出ボタン9の操作を契機として行われる特定の演出のことをボタン演出という。
【0017】
前枠18のうち、左方には左サイドランプ23aが設けられており、右方には右サイドランプ23bが設けられている。左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bが設けられている部分の前枠18は透光性を有し、その透光性を有する部分の内側には複数のLEDが配置されている。各LEDは、それぞれ複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯又は点滅し、さらに発光色を変化させる。
【0018】
また、内枠24の下部には、後述する貯留装置26(
図3)が設けられている。貯留装置26には、予め定めた数の遊技球を貯留可能である。遊技球は、後述する遊技領域3に向けて発射された後、遊技領域3を流下し、再度、貯留装置26に戻る。つまり、貯留装置26に貯留されている遊技球は、パチンコ遊技機1の外部に排出されることなく、遊技機内部で循環する。つまり、パチンコ遊技機1は、所謂「封入式パチンコ遊技機(管理遊技機、循環式遊技機)」である。これにより、パチンコ遊技機1は、内部に貯留されている遊技球が外部に排出される遊技機(所謂、「非封入式パチンコ遊技機」)のように、遊技者に遊技球を払い出すための機構(賞球払出装置、賞球モータ、上皿、下皿など)が不要である。また、パチンコ遊技機1では、前枠18に上皿や下皿が設けられていないため、遊技者が遊技球に触れることがない。
【0019】
また、前枠18の下部には、演出ボタン9の他、操作ボタン36が配置されている。
図2に示すように、操作ボタン36は、例えば上下左右の方向指示を行う十字キー等から構成され、パチンコ遊技機1に関する各種設定を行う場合等に操作される。例えば、操作ボタン36の操作によってスピーカ8から出力される音の音量や音のオン・オフを変更可能である。その他にも、演出表示装置7のバックライトの明るさ、各種ランプの光の強さ、BGMの種類、演出に用いるキャラクタの選択、ボタンの振動の強弱、役物の動作有無等も変更可能である。なお、操作ボタン36としては操作レバーやタッチパネルを用いてもよい。
【0020】
また、パチンコ遊技機1は、遊技盤2と、ガラス板5と、演出表示装置7とを備える。
遊技盤2は、パチンコ遊技機1の略中央、つまり、遊技者の顔と略正対する位置に配置されている。遊技盤2の盤面の前方は、透明のガラス板5によって覆われている。演出表示装置7は、遊技盤2の後方に配置されており、その画面が遊技盤2の略中央から露出している。
【0021】
遊技盤2の盤面には、遊技球が流下(転動)する遊技領域3が形成されている。遊技領域3は、演出表示装置7の画面の左方に形成された左遊技領域3Aと、演出表示装置7の画面の右方に形成された右遊技領域3Bとを有する。遊技盤2の盤面には、遊技球の流下方向を変化させるための複数の遊技釘(図示せず)が打ち込まれている。遊技盤2の複数箇所には、LEDが設けられており、
図5では、それら各LEDを総称して「盤ランプ2b」と示している。盤ランプ2bを構成する各LEDは、複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯又は点滅し、さらに発光色を変化させる。
【0022】
また、前枠18の下部中央には遊技球数表示器18bが設けられている。遊技球数表示器18bは、現時点で遊技者が遊技に使用可能な遊技球の数を持ち球数として表示するものである。遊技球数表示器18bは、7セグメント式の表示器である。遊技球数表示器18bは、後述する枠制御用マイコン73a(
図4)によって制御される。
【0023】
遊技盤2は、固定入賞装置10と、ゲート12と、一般入賞口13と、センター装飾体14と、可動体15と、レール部材17と、普通可変入賞装置(電チューともいう)20と、大入賞装置30と、表示器類50とを備える。
【0024】
固定入賞装置10は、遊技盤2の略中央に配置されている。固定入賞装置10は、遊技球が1個ずつ入賞(入球)可能な第1始動口11を有する。第1始動口11は常時開口しており、遊技球が第1始動口11に入賞する確率は略変動しない。ゲート12は、右遊技領域3Bに配置されており、右遊技領域3Bを流下する遊技球が通過可能に構成されている。一般入賞口13は、左遊技領域3Aであって固定入賞装置10の左方に配置されている。
【0025】
センター装飾体14は、遊技盤2の上部に配置されている。センター装飾体14は透光性を有し、その内側には、演出内容に応じて点灯・点滅する複数のLEDが設けられている。可動体15は、センター装飾体14の後方に配置されている。
図1は、可動体15がセンター装飾体14に略隠れた状態を示す。可動体15は、演出内容に応じて所定のタイミングで下方に降下し、遊技者から視認可能な状態に変位する。
【0026】
レール部材17は、遊技盤2の周囲に沿って配置されている。レール部材17は、発射装置90(
図4)によって発射された遊技球を遊技領域3に案内する。遊技盤2の下部中央には、どこにも入賞しなかった遊技球を排出するためのアウト口19が開口している。
【0027】
普通可変入賞装置20は、右遊技領域3Bのうちゲート12の下方に配置されている。普通可変入賞装置20は、可動部材(電動チューリップ)21を備える。可動部材21は、基端を回動軸にして回動可能に構成されており、可動部材21が開閉動作することにより、第2始動口22が開閉する。可動部材21が開作動すると、第2始動口22が開口され、遊技球が第2始動口22に1個ずつ入賞(入球)し易い状態になる。また、可動部材21が閉作動すると、第2始動口22が閉口され、遊技球が第2始動口22に入賞することができない状態になる。なお、
図1に示す例では普通可変入賞装置20は遊技領域3の右方に配置されているが、遊技領域3の下方に配置してもよい。
【0028】
大入賞装置30は、右遊技領域3Bであって、固定入賞装置10の右方に配置されている。大入賞装置30は、大入賞口32を開閉する開閉部材31を備える。大入賞口32は、複数の遊技球が入賞(入球)可能な大きさに形成されている。開閉部材31は、左右方向に長い板状に形成されており、左右の下端を回動軸にして回動可能に構成されている。
【0029】
前述したように、パチンコ遊技機1では、ハンドル4の発射強度を調節することにより、遊技球の発射強度を調節できるようになっている。よって、パチンコ遊技機1では、左遊技領域3A又は右遊技領域3Bを流下するように遊技球を打ち分けることができる。左遊技領域3Aに向かって遊技球を発射したときには、遊技球は、第1始動口11、一般入賞口13に入賞し得る。一方、右遊技領域3Bに向かって遊技球を発射したときには、遊技球は、ゲート12、第2始動口22、大入賞口32に入賞し得る。
【0030】
なお、本実施形態では、右打ちをした場合、遊技球が第1始動口11に入賞し得ないよう、遊技釘等によって流路が形成されている。このため、右打ちをした場合、第1始動口11側に流れることなく、発射したほぼ全ての遊技球が、第2始動口22側に案内される。一方、第1始動口11の周辺には、遊技球の流下方向を変化させるための複数の遊技釘が打ち込まれている(図示せず)。このため、左打ちをした場合、発射した遊技球が全て第1始動口11に案内されることはなく、第1始動口11周辺の遊技釘に当接し、第1始動口11に入賞することなく、遊技領域3を流下する場合がある。
【0031】
また、パチンコ遊技機1では、遊技領域3の外側に排出経路(図示せず)が設けられている。この排出経路は、パチンコ遊技機1における全ての入球口(第1始動口11、一般入賞口13、第2始動口22、大入賞口32、及びアウト口19)と連通している。よって、第1始動口11、一般入賞口13、第2始動口22、大入賞口32、又はアウト口19に入賞した遊技球は、必ず排出経路を通過する。排出経路を通過した遊技球は、貯留装置26に向かい、貯留装置26で貯留される。なお、排出経路には、該排出経路を通過した遊技球を検知する排出口センサHa(
図4)が設けられている。
【0032】
表示器類50は、遊技盤2のうち遊技領域3の外側であって大入賞装置30の下方に設けられている。
図4に示すように、表示器類50は、第1特別図柄(第1特図)を変動表示する第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄(第2特図)を変動表示する第2特別図柄表示器52と、普通図柄(普図)を変動表示する普通図柄表示器53とを備える。さらに、表示器類50は、第1特図保留表示器51aと、第2特図保留表示器52aと、普図保留表示器53aとを備える。第1特図保留表示器51aは、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を表示する。第2特図保留表示器52aは、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を表示する。普図保留表示器53aは、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を表示する。以下、第1特別図柄及び第2特別図柄に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄という。また、第1特別図柄表示器51及び第2特別図柄表示器52に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄表示器という。
【0033】
各特別図柄表示器51,52は、それぞれ複数のLEDにより構成されている。各特別図柄表示器51,52を構成する各LEDは、それぞれ所定の点灯パターンにて点灯し、点灯・消灯するLEDの組み合わせが特別図柄を表しており、点灯・消灯するLEDの組み合わせが変化している状態が特別図柄の変動表示を表している。以下、特別図柄が変動表示を開始してから特別図柄が確定表示されるまでの特別図柄の変動パターンを特図変動パターンという。
【0034】
また、普通図柄表示器53は、複数(例えば2個)のLEDから構成されている。点灯・消灯するLEDが普通図柄を表しており、各LEDが交互に点灯する状態が普通図柄の変動表示を表している。また、遊技球がゲート12を通過すると、当たりか否かを判定する普通図柄の抽選が実行され、普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示する。そして、普通図柄表示器53は、普通図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、普通図柄の抽選結果に対応する普通図柄を確定表示する。普通図柄表示器53が確定表示した普通図柄が、当たりを示す普通図柄であった場合は、普通可変入賞装置20が作動して可動部材21が開動作し、第2始動口22が開口する。
【0035】
遊技球が第1始動口11に入賞すると大当たりか否かを判定する大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示する。そして、第1特別図柄表示器51は、第1特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第1特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第1特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、大入賞装置30が作動して開閉部材31が開閉し、大入賞口32が開閉する。第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11に入賞したときは、その入賞を契機とする第1特別図柄表示器51の作動が保留される。そして、その作動保留の数を示す記憶数が第1特図保留表示器51aによって表示される。以下、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を第1特図保留数という。
【0036】
また、遊技球が第2始動口22に入賞すると大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示する。そして、第2特別図柄表示器52は、第2特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第2特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第2特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、大入賞装置30が作動して開閉部材31が開閉し、大入賞口32が開閉する。第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口22に入賞したときは、その入賞を契機とする第2特別図柄表示器52の作動が保留される。そして、その作動保留の数を示す記憶数が第2特図保留表示器52aによって表示される。以下、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を第2特図保留数という。また、第1特図保留数及び第2特図保留数に共通の事項を説明する場合は、単に特図保留数という。以下、特別図柄表示器が特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を確定表示するまでを特別図柄の1回の変動という。また、特別図柄が1回変動される毎に特図保留数が1個ずつ減少することを特図保留数の消化という。
【0037】
次に、演出表示装置7について説明する。
演出表示装置7は、演出画像、メッセージ画像、デモンストレーション画像(デモ画像)等の動画像及び静止画像を表示する。遊技者は、それらの画像をパチンコ遊技機1の前方から見ながら遊技を行う。演出表示装置7では、特別図柄の変動表示と同期させるように、演出図柄の変動表示が行われる。演出図柄は、算用数字(例えば、1~10)を表した図柄である。なお、演出図柄には、アルファベットや特別なキャラクタ等、数字以外を表した図柄を含めてもよいし、数字以外を表した図柄と組み合わせてもよい。演出表示装置7が演出図柄を変動表示する領域として、左から順に、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域、右演出図柄表示領域が設定されている。左演出図柄表示領域では左演出図柄7Lが、中演出図柄表示領域では中演出図柄7Cが、右演出図柄表示領域では右演出図柄7Rがそれぞれ変動表示される。
【0038】
各演出図柄の主な変動パターン(変動態様)は、演出図柄が表す数字が昇順となるように画面の上から下に移動する変動パターン、つまり、縦方向にスクロールする変動パターンである。なお、変動パターンとして、演出図柄が画面の左右の一方から他方へ移動する横スクロール方式、演出図柄が同じ表示位置にて数字の昇順に順番に表示される方式等を用いることもできる。また、演出表示装置7は、演出画像として各演出図柄の背景に背景画像を表示する。例えば、背景画像は、テレビドラマや映画等の動画像、その動画像をアニメ化した動画像、アニメーション、パチンコ遊技機メーカーオリジナルの動画像等である。演出表示装置7は、液晶表示装置である。なお、演出表示装置7として、有機EL表示装置、ドットマトリクスLEDを使った表示装置等を用いることもできる。
【0039】
演出表示装置7は、特別図柄の変動表示と同期させて各演出図柄を変動表示し、特別図柄が確定表示されると同時に各演出図柄を確定表示し、大当たり判定結果を表示する。ここで、確定表示とは、演出図柄が上下に揺れたり、再変動したりすることなく、完全に停止した停止表示状態のことである。
【0040】
以下、大当たり判定の結果が大当たりであったことを表す演出図柄の組み合わせを大当たり演出図柄の組み合わせといい、大当たり判定の結果がハズレであったことを表す演出図柄の組み合わせをハズレ演出図柄の組み合わせという。大当たり演出図柄の組み合わせは、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃った状態、いわゆる、ぞろ目の状態である。例えば、
図1に示すように、確定表示された左演出図柄7L、中演出図柄7C及び右演出図柄7Rがそれぞれ「7」で揃った状態である。また、ハズレ演出図柄の組み合わせは、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃っていない状態、つまり、ぞろ目ではない状態の図柄である。例えば、確定表示された左演出図柄7Lが「7」、中演出図柄7Cが「6」、右演出図柄7Rが「7」の状態である。以下、演出表示装置7が特別図柄と同期させて変動表示する演出図柄の変動パターンを演出図柄変動パターンといい、その演出図柄変動パターンの背景に表示される画像を背景画像という。背景画像は、静止画像又は動画像である。
【0041】
また、パチンコ遊技機1では、演出図柄による大当たり判定の結果の報知に加えて、演出表示装置7に表示される背景画像、スピーカ8から出力される音、盤ランプ2bの点灯等を複合的に用いて、大当たり判定の結果の報知を行う。具体的には、予告演出、リーチ演出等の各種演出が該当する。
【0042】
(貯留装置)
次に、
図3に従って、貯留装置26について説明する。
貯留装置26は、ハンドル4の回動操作に基づき、貯留装置26内で貯留している遊技球を遊技領域3に向けて発射するとともに、遊技領域3を流下した遊技球を貯留する装置である。
【0043】
貯留装置26は、予め定めた数の遊技球を貯留可能な貯留部27と、貯留部27に貯留された遊技球をハンドル4の回動角度に応じた発射強度で1球ずつ打撃する打球槌28とを備えている。さらに、貯留装置26は、貯留部27に貯留されている遊技球を研磨しながら上方へと揚送する揚送装置Ysを備えている。揚送装置Ysより揚送された遊技球は貯留装置26内の通路に一列に並べられ、先頭の球から順に1球ずつ発射位置に運ばれ、打球槌28によって打撃される。打球槌28で打撃された遊技球は、貯留部27から上方に向かって延びる発射経路29を通って遊技領域3へ向かう。なお、発射経路29を通過した遊技球が遊技領域3を流下することができるのであれば、発射経路29の連通先は問わない。本実施形態では、発射経路29は、
図1に示すレール部材17の上端と連通しており、遊技球がレール部材17の上端から遊技領域3に向かって流下するようになっている。なお、レール部材17の上端には第1逆流防止弁17aが設けられている。具体的には、第1逆流防止弁17aは、回動可能となるようレール部材17の上端に組付けられており、発射経路29から遊技領域3へ向かって遊技球が発射された際には、第1逆流防止弁17aが右方向へ回動することで発射経路29と遊技領域3が連通状態となり、遊技領域3への遊技球の進入が許容される。なお、第1逆流防止弁17aは、右方向のみ回動が許容されているため、第1逆流防止弁17aを通過して発射経路29から遊技領域3へ発射された遊技球が、再度、発射経路29に戻ろうとしても、第1逆流防止弁17aによってその逆流が防止される。
【0044】
図3の説明に戻り、発射経路29の下方には、戻り流路MRが分岐形成されている。戻り流路MRの上流は発射経路29と連通する一方、戻り流路MRの下流は貯留部27に連通している。また、発射経路29と戻り流路MRの分岐部分には、左方向へ回動可能となるよう第2逆流防止弁29bが組付けられている。第2逆流防止弁29bは、左方向のみ回動が許容されているため、通常、第2逆流防止弁29bによって発射経路29と戻り流路MRは非連通状態とされ、打球槌28によって打ち出された遊技球は、第2逆流防止弁29bの上面を通過して発射経路29へと案内される。一方、打球槌28によって打ち出された遊技球の打出量が足りず、発射経路29を逆流した場合、遊技球の自重によって第2逆流防止弁29bが左方向へ回動することで発射経路29と戻り流路MRが連通状態となり、遊技球の戻り流路MRへの進入、すなわち貯留部27への戻りが許容される。このように、遊技球の付勢力が足りずに遊技領域3へ進入できなかった遊技球(所謂「ファール球」)は、必ず戻り流路MR通過し、再び貯留装置26へ戻る。
【0045】
次に、遊技球数表示器18b(
図1)で表示される遊技球数(現時点で遊技者が遊技に使用可能な遊技球の数)の増減について説明する。
図3に示すように、発射経路29の途中には、発射経路29を通過する遊技球を検知する発射球センサ29aが配置されている。このため、貯留装置26から遊技球が発射される度に、発射球センサ29aによって遊技球が検知される。このとき、遊技球数表示器18bで表示される遊技球数は、遊技球の発射に伴って「1」ずつ減少する。
【0046】
また、前述したように、パチンコ遊技機1では、ファール球が発生し得る。ファール球は、遊技領域3に到達していない球であるが、一度、発射経路29を通過して発射球センサ29aで検知された遊技球であるため、遊技に関与しない遊技球であるにもかかわらず、遊技球数が1減少された状態となる。そこで、パチンコ遊技機1では、戻り流路MRの途中に、戻り流路MRを通過する遊技球を検知する戻り球センサMRaを配置している。このため、発射経路29を通過したが遊技領域3に到達せず、戻り流路MRに戻った遊技球は、戻り球センサMRaによって検知される。そして、遊技球が戻り球センサMRaによって検知されると、遊技球数表示器18bで表示される遊技球数が「1」増加する。
【0047】
一方、パチンコ遊技機1では、特定の入賞口に遊技球が入賞すると、入賞口に応じた数の遊技球が遊技者に与えられる。ただし、パチンコ遊技機1は、封入式パチンコ遊技機であるため、上皿等に実際に遊技球が払い出されるわけではない。例えば、第1始動口11に遊技球が入賞すると3球の遊技球(賞球)が与えられることになり、その結果、遊技球数表示器18bで表示される遊技球数が「3」増加する。また、以下の説明では、入賞口への入賞によって遊技者に賞球が与えられることを、「賞球の払い出し」と示す場合があるが、パチンコ遊技機1は、封入式パチンコ遊技機であるため、上皿等に実際に遊技球が払い出されることを示しているのではなく、持ち球数が増加することを示している。
【0048】
(カードユニット)
図1に従って、パチンコ遊技機1に隣接されている外部ユニット装置としてのカードユニット300について説明する。
【0049】
カードユニット300は、記録媒体の一例である管理カードの挿入を受け付けるものであり、パチンコ遊技機1と情報の送受信(通信)を行う。管理カードは、ホールが発行するカードであり、遊技を行うための価値情報(現金残額、プリペイド残額、持ち球数等)が記憶される。カードユニット300は、管理カードを挿入又は排出するカード口301を有する。カード口301に管理カードが挿入されると、カードユニット300は、管理カードに記憶されている価値情報を読み込む。
【0050】
また、カードユニット300は、紙幣を挿入するための紙幣挿入口302と、データ表示器303と、を有する。紙幣挿入口302に紙幣が挿入されると、カードユニット300は、金額に応じた数の遊技球を遊技者に貸し付けることができる。データ表示器303には、紙幣挿入口302に挿入された紙幣のうち残っている金額、その他の各種情報が表示される。
【0051】
また、カードユニット300は、操作手段及び第1操作手段としての球貸ボタン304を有する。管理カードに記憶されている価値情報を読み込んでいる状態で球貸ボタン304が押下操作されると、カードユニット300は、読み込んでいる価値情報から一定値を引き落とし、遊技球数の情報に変換する。そして、カードユニット300は、変換した遊技球数をパチンコ遊技機1に送信する。これにより、パチンコ遊技機1の遊技球数表示器18bでは、変換された遊技球数が加算されて表示される。つまり、現時点で遊技者が遊技に使用可能な遊技球数が増加する。
【0052】
また、カードユニット300は、返却ボタン33を有する。返却ボタン33は、遊技者が遊技を終了するときに操作されるボタンである。言い換えると、返却ボタン33は、遊技球数表示器18bで表示されている遊技球数の全部を、カードユニット300に挿入されている管理カードに記憶させる際に操作されるボタンである。本実施形態では、返却ボタン33が押下操作されると、遊技球数表示器18bで表示されている全ての遊技球数が減算される。なお、遊技球数表示器18bで表示されている全ての遊技球数が管理カードに記憶された後、管理カードはカード口301から返却される。なお、返却ボタン33は、前枠18(例えば計数ボタン34の隣)に設けられていてもよい。この場合、後述する枠制御基板73の枠制御用マイコン73aが、返却ボタン33の操作を検知し、操作状況をカードユニット300に送信することになる。
【0053】
図2の説明に戻り、パチンコ遊技機1の前枠18の下部中央には、操作手段及び第2操作手段としての計数ボタン34が配置されている。計数ボタン34は、遊技球数表示器18bで表示されている遊技球数の一部を、カードユニット300に挿入されている管理カードに記憶させる際に操作されるボタンである。計数ボタン34の操作により、遊技球数表示器18bでは、管理カードに移動された分だけ遊技球数が減算されて表示される。つまり、現時点で遊技者が遊技に使用可能な遊技球数が減少する。本実施形態では、1回の計数ボタン34の押下操作につき、遊技球数表示器18bで表示されている遊技球数が最大で「250」減算され、「250」が管理カードに記憶される。具体的に説明すると、計数ボタン34の1回あたりの操作時間が規定時間(例えば1秒)に到達していない場合には、1操作につき1球ずつ減算され、1回あたりの操作時間が規定時間に到達している場合には、1操作につき250球ずつ減算される。以下、計数ボタン34の1回あたりの操作時間が規定時間に到達していない操作態様を「短押し操作」と示し、計数ボタン34の1回あたりの操作時間が規定時間に到達している操作態様を「長押し操作」と示す場合がある。
【0054】
[パチンコ遊技機の主な電気的構成]
次に、
図4、
図5、及び
図6に従って、パチンコ遊技機1の主な電気的構成について説明する。
【0055】
パチンコ遊技機1は、主制御基板60(
図4)と、枠制御基板73(
図4)と、サブ制御基板100(
図5)と、画像制御基板200(
図5)と、音声制御基板78(
図5)と、ランプ制御基板79(
図5)とを備えている。主制御部としての主制御基板60は、大当たり判定や遊技状態の移行など遊技の進行に関する制御を行う。枠制御部としての枠制御基板73は、遊技者が遊技に使用する遊技球数の管理に関する制御を行う。副制御部としてのサブ制御基板100は、主制御基板60からの指示を受けて遊技の進行に伴って実行する遊技演出に関する制御を行う。演出制御部としての画像制御基板200は、サブ制御基板100からの指示を受けて遊技演出を行う演出装置(演出表示装置7)の制御を行う。
【0056】
図4に示すように、主制御基板60には、遊技制御用ワンチップマイコン(以下、遊技制御用マイコンという)61が実装されている。遊技制御用マイコン61は、CPU62と、ROM63と、RAM64とを備えている。また、主制御基板60は、入出力回路65と、RAMクリアスイッチ66と、を備えている。遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数等、各種の判定(抽選)にて使用する乱数を発生させる。CPU62は、入賞の検知、大当たり判定、各種乱数の更新等を実行する。ROM63には、CPU62が実行するコンピュータプログラム、大当たり判定テーブル、大当たり種別判定テーブル、リーチ判定テーブル、特図変動パターン選択テーブル等の各種のテーブルが記憶されている。
【0057】
RAM64は、CPU62がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリ等として使用される。また、RAM64には、第1特図保留記憶部64aと、第2特図保留記憶部64bと、普図保留記憶部64cとが設けられている。各記憶部には、遊技球が第1始動口11、第2始動口22及びゲート12に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した乱数値が最大保留数分だけ記憶される。
【0058】
また、入出力回路65は、主制御基板60に接続された各基板等との間でデータの送信又は受信を行う。また、RAMクリアスイッチ66が押下された状態で起動すると、RAM(RAM64、RAM120、RAM73d)が初期化される。RAMクリアスイッチ66は、電源投入時に操作可能である。なお、RAMクリアスイッチは、主制御基板60ではなく枠制御基板73又は電源基板70に設けられていてもよい。
【0059】
また、主制御基板60には、表示器類50が電気的に接続されている。前述したように、表示器類50は、第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄表示器52と、普通図柄表示器53とを備える。さらに、表示器類50は、第1特図保留表示器51aと、第2特図保留表示器52aと、普図保留表示器53aとを備える。さらに、主制御基板60には、中継基板74を介して第1始動口センサ11aと、第2始動口センサ22aと、ゲートセンサ12aと、大入賞口センサ32aと、一般入賞口センサ13aと、電チューソレノイド20aと、大入賞口ソレノイド30aと、排出口センサHaと、磁気センサ2aと、が電気的に接続されている。
【0060】
第1始動口センサ11aは、第1始動口11の直下に設けられており、遊技球が第1始動口11に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2始動口センサ22aは、第2始動口22の直下に設けられており、遊技球が第2始動口22に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。ゲートセンサ12aは、ゲート12のうち遊技球の通過領域に設けられており、遊技球がゲート12を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。大入賞口センサ32aは、大入賞口32の直下に設けられており、遊技球が大入賞口32に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。一般入賞口センサ13aは、一般入賞口13の直下に設けられており、遊技球が一般入賞口13に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。
【0061】
電チューソレノイド20aは、普通可変入賞装置20の可動部材21を開閉駆動する。大入賞口ソレノイド30aは、大入賞装置30の開閉部材31を開閉駆動する。
排出口センサHaは、遊技領域3の外側に設けられている排出経路(図示せず)内に設けられており、遊技球が排出経路を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。磁気センサ2aは、遊技盤2に設けられており、磁石などを用いた不正な入賞が発生したこと(不正な磁気が発生したこと)を示す信号を主制御基板60へ出力する。
【0062】
また、主制御基板60には、枠制御基板73を介してカードユニット300が電気的に接続されている。また、枠制御基板73には、遊技球数表示器18bが電気的に接続されている。
【0063】
枠制御基板73は、遊技制御用マイコン61からの信号(データ・情報)、発射球センサ29a、戻り球センサMRaによる検知信号、カードユニット300からの各種信号等に基づいて遊技球数を管理する。また、枠制御基板73は、遊技球数を遊技球数表示器18bに表示させる。また、枠制御基板73には発射制御回路75を介して発射装置90が接続されている。なお、前述したように、パチンコ遊技機1は、所謂、封入式パチンコ遊技機であるため、賞球を上皿等に直接払い出したり、貸球の払い出しを行うことはない。その他、枠制御基板73は、発射装置90の制御やカードユニット300との通信等も実行する。また、本実施形態において枠制御基板73は、内枠24の下方に配置されており、遊技盤2に取り付けられていない。なお、主制御基板60は、枠制御基板73との信号(データ・情報)の送信の他、遊技球数の監視(払い出しの監視)のために枠制御基板73から信号(データ・情報)を受信する。
【0064】
また、枠制御基板73には、枠制御用ワンチップマイコン(以下、枠制御用マイコンという)73aが実装されている。枠制御用マイコン73aは、CPU73bと、ROM73cと、RAM73dと、を備えている。また、枠制御基板73は、入出力回路73eと、枠基板表示器73fと、を備えている。枠制御用マイコン73aは、プログラムに従って遊技球数の表示制御を実行する。CPU73bは、プログラムを実行する。ROM73cには、遊技球数の表示を制御するためのプログラムが記憶されている。RAM73dは、CPU73bがプログラムを実行するときのワークメモリ等として使用される。入出力回路73eは、枠制御基板73に接続された各基板等との間でデータの送信又は受信を行う。本実施形態では、枠制御基板73と主制御基板60が電気的に接続されているため、遊技制御用マイコン61は、枠制御基板73に信号(データ・情報)を送信するとともに、遊技球数の増減監視のために枠制御基板73から信号を受信することが可能となる。同様に、枠制御基板73とカードユニット300が電気的に接続されているため、枠制御用マイコン73aは、カードユニット300に信号(データ・情報)を送信するとともに、カードユニット300から信号を受信することが可能となる。
【0065】
枠基板表示器73fには、性能表示としてのベース(通常ベース)、現時点で遊技者が遊技に使用可能な遊技球の数(持ち球数)、エラー表示としてのエラーコードが表示される。枠基板表示器73fの表示制御は、枠制御用マイコン73aによって実行される。なお、枠基板表示器73fに表示される遊技球数と、遊技球数表示器18bに表示される遊技球数は同一の値である。また、枠基板表示器73fは、機裏に設けられている。
【0066】
また、枠制御基板73には、発射制御回路75を介して発射装置90が電気的に接続されている。発射装置90は、発射モータ91と、タッチスイッチ92と、発射ボリューム93とを備えている。発射モータ91は、遊技球を打撃して発射する打球槌28を駆動する。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力する。発射ボリューム93は、発射レバー4aの回転量に応じて打球槌28が遊技球を打撃する強度を調節する。パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
【0067】
また、枠制御基板73には、発射球センサ29a、戻り球センサMRa、電波センサDa、枠開放センサ18a、計数ボタンセンサ34aと、遊技球数クリアスイッチSW1と、が電気的に接続されている。
【0068】
発射球センサ29aは、発射経路29内に設けられており、遊技球が発射経路29を通過したことを示す信号を枠制御基板73へ出力する。戻り球センサMRaは、戻り流路MR内に設けられており、遊技球が戻り流路MRを通過したこと、すなわち、ファール球となったことを示す信号を枠制御基板73へ出力する。
【0069】
電波センサDaは、発射球センサ29a及び戻り球センサMRaの近傍に設けられており、不正な電波を検知したことを示す信号を枠制御基板73へ出力する。前述したように、発射球センサ29aで遊技球が検知されると、遊技球数表示器18bの遊技球数が「1」減算される。しかしながら、不正な電波によって発射球センサ29aの検知状態が阻害されると、発射球センサ29aが遊技球を検知できず、結果的に遊技球数表示器18bの遊技球数が減算されない場合がある。同様に、遊技領域3に到達せずに戻ってきた遊技球が戻り球センサMRaで検知されると、遊技球数表示器18bの遊技球数が「1」加算される。しかしながら、不正な電波によって戻り球センサMRaの検知状態が阻害されると、実際は、遊技球が戻り流路MRに戻ってきていないにもかかわらず、戻り球センサMRaが作動し、遊技球数表示器18bの遊技球数が増加される場合がある。したがって、電波センサDaから検知信号を入力すると、「エラー」と判定されることになる。
【0070】
枠開放センサ18aは、遊技機枠16のヒンジ(図示せず)に設けられており、前枠18の内枠24に対する開放、又は内枠24の外枠25に対する開放を検知したことを示す信号を枠制御基板73へ出力する。遊技中にこれらの枠が開放状態にあると遊技を実行することができないため、遊技中に枠開放センサ18aから検知信号を入力すると、「エラー」と判定されることになる。
【0071】
計数ボタンセンサ34aは、計数ボタン34に設けられており、計数ボタン34が押下操作されたことを示す信号を枠制御基板73へ出力する。枠制御基板73は、計数ボタン34からの検知信号の長さ等から、計数ボタン34の操作態様を認識し、計数ボタン34の操作態様に応じた個数だけ遊技球数表示器18bから遊技球数を減算することになる。
【0072】
遊技球数クリアスイッチSW1は、RAM73dに記憶されている遊技球数を初期化して「0」とする際に操作されるスイッチである。遊技球数クリアスイッチSW1が操作されると、遊技球数のクリアを指示する信号を枠制御基板73へ出力する。遊技球数クリアスイッチSW1は、RAMクリアスイッチ66同様、電源投入時に操作可能である。
【0073】
また、パチンコ遊技機1は、電源基板70を備えている。電源基板70は、主制御基板60及び枠制御基板73に電力を供給する。電源基板70は、枠制御基板73に電気的に接続された各装置及び各センサに対して、枠制御基板73を介して電力を供給する。また、電源基板70は、中継基板74に電気的に接続された各センサ及びソレノイドに対して、主制御基板60から中継基板74を介して電力を供給する。また、電源基板70は、主制御基板60に電気的に接続された表示器類50に対して、主制御基板60を介して電力を供給する。
【0074】
電源基板70には、バックアップ電源回路71が設けられている。バックアップ電源回路71は、パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合に、主制御基板60のRAM64等に対して情報の保持に必要な電力を供給する。電源基板70には、電源基板70へ電力を供給する主電源をON/OFFするための電源スイッチ72が電気的に接続されている。
【0075】
主制御基板60は、サブ制御基板100に対して各種コマンドを送信する。主制御基板60は、コマンドをサブ制御基板100へ送信することはできるが、サブ制御基板100は、主制御基板60へコマンドを送信することができない。つまり、主制御基板60とサブ制御基板100との通信は、主制御基板60からサブ制御基板100へ送信することのみが可能な単方向通信となっている。一方、主制御基板60と枠制御基板73は、双方向通信可能に構成されているが、枠制御基板73とサブ制御基板100は通信可能に構成されておらず、枠制御基板73の情報をサブ制御基板100に送信するためには、主制御基板60を介する必要がある。なお、主制御基板60と枠制御基板73は、主制御基板60から枠制御基板73への単方向通信可能な構成としてもよい。また、枠制御基板73からサブ制御基板100への単方向通信のみ可能となるように構成してもよい。また、各種入賞口センサは、主制御基板60ではなく、枠制御基板73に対して電気的に接続されてもよい。
【0076】
図5に示すように、サブ制御基板100には、演出制御用ワンチップマイコン(以下、演出制御用マイコンという)101が実装されている。演出制御用マイコン101は、CPU102と、ROM110と、RAM120とを備えている。また、サブ制御基板100は、入出力回路103を備えている。CPU102は、遊技に伴って演出を制御する。ROM110には、CPU102が演出を制御するためのコンピュータプログラムの他、各種のテーブルが記憶されている。RAM120は、CPU102がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。また、RAM120には、第1特図保留演出記憶部121と、第2特図保留演出記憶部122と、当該変動用演出記憶部123とが設けられている。第1特図保留演出記憶部121、第2特図保留演出記憶部122及び当該変動用演出記憶部123は、主制御基板60から出力される特図に関するコマンドを記憶する。
【0077】
入出力回路103は、サブ制御基板100に接続された各基板等との間でデータの送信又は受信を行う。
サブ制御基板100には、画像制御基板200が電気的に接続されている。画像制御基板200には、演出表示装置7が電気的に接続されている。画像制御基板200には、VDP201(Video Display Processor)と、画像制御用CPU202と、制御用ROM203とが実行されている。さらに、画像制御基板200には、制御用RAM204と、CGROM(Character Generator Read Only Memory)205と、VRAM(Video Random Access Memory)206とが実装されている。画像制御用CPU202は、変動演出パターン、ボタン演出画像、及び予告画像等の演出画像を表示するよう演出表示装置7を制御する。制御用ROM203には、画像制御用CPU202が演出表示装置7を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御用RAM204は、画像制御用CPU202がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。CGROM205には、演出表示装置7が演出画像を表示するための画像データが記憶されている。VDP201は、画像制御用CPU202によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM205から画像データを読み出し、その読み出した画像データをVRAM206内の展開領域に展開する。そして、VDP201は、VRAM206内に展開した画像データを合成し、その合成した画像データをVRAM206内のフレームバッファに記憶する。そして、VDP201は、VRAM206内のフレームバッファに記憶した画像データをRGB信号に変換して演出表示装置7に出力する。これにより、演出表示装置7は演出画像を表示する。
【0078】
サブ制御基板100には、ランプ制御基板79を介して盤ランプ2b、演出ボタンランプ9c、左サイドランプ23a、右サイドランプ23bが電気的に接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し、その発光パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。
【0079】
ランプ制御基板79には、中継基板77を介して可動体15が電気的に接続されている。可動体15は、可動体15を動作させるための装置(図示せず)が接続されており、その装置には、その装置を駆動するための可動体モータ(図示せず)が接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて可動体15の動作パターンを決める動作パターンデータを作成し、その動作パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、動作パターンデータを受信したランプ制御基板79は、その動作パターンに従って中継基板77を介して可動体モータを駆動し、可動体15の動作制御を行う。
【0080】
サブ制御基板100には、音声制御基板78を介して各スピーカ8が電気的に接続されている。音声制御基板78には、音声制御用CPU(図示せず)と、音声データROM(図示せず)と、音声合成回路(図示せず)と、アンプ(図示せず)とが搭載されている。音声データROMには、各スピーカ8が音楽や効果音等の音を出力するための音声データが記憶されている。音声制御用CPUは、サブ制御基板100から受信したコマンドに基づいて音声データROMから音声データを読み出し、その読み出した音声データを音声合成回路に出力する。音声合成回路は、入力した音声データを合成するとともに、その合成した合成音声データをアナログの音声信号に変換してアンプに出力する。アンプは、入力した音声信号を増幅して各スピーカ8に出力する。そして、各スピーカ8は、入力した音声信号により示される音を出力する。
【0081】
また、サブ制御基板100には、演出レバー押込検出スイッチ6aと、演出レバー回転検出スイッチ6bと、演出ボタン検出スイッチ9aと、操作ボタン検出スイッチ36aと、演出レバー振動モータ6cと、演出ボタン振動モータ9bとが電気的に接続されている。
【0082】
演出レバー押込検出スイッチ6aは、演出レバー6が押込操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出レバー押込検出スイッチ6aから入力した信号に基づいて、演出レバー6が押込操作されたときに行うレバー演出を実行する。演出レバー回転検出スイッチ6bは、演出レバー6が回転操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出レバー回転検出スイッチ6bから入力した信号に基づいて、演出レバー6が回転操作されたときに行うレバー演出を実行する。演出ボタン検出スイッチ9aは、演出ボタン9が押下操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出ボタン検出スイッチ9aから入力した信号に基づいて、ボタン演出を実行する。操作ボタン検出スイッチ36aは、操作ボタン36が操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、操作ボタン検出スイッチ36aから入力した信号に基づき、画像制御基板200に対して、設定変更画面(
図17)における選択項目の周囲にカーソルCを表示・移動させる等の制御を実行させる。
【0083】
演出レバー振動モータ6cは、演出レバー6を振動させる部材であり、演出レバー6と接する部位又は演出レバー6の内部に設けられている。演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させる部材であり、演出ボタン9の内部に収容されている。ROM110には、演出レバー振動モータ6cの動作パターンを決める動作パターンデータと、演出ボタン振動モータ9bの動作パターンを決める動作パターンデータとが記憶されている。演出制御用マイコン101は、演出レバー6を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読み出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出レバー振動モータ6cを駆動制御する。また、演出制御用マイコン101は、演出ボタン9を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読み出し、その読み出した動作パターンデータに基づいて演出ボタン振動モータ9bを駆動制御する。
【0084】
なお、
図4及び
図5は、あくまでパチンコ遊技機1の電気的構成を説明するためのブロック図であり、
図4及び
図5に示す基板だけが設けられているわけではない。よって、主制御基板60を除くその他の複数の基板を1つの基板として構成してもよい。
【0085】
(パチンコ遊技機とカードユニット)
次に、
図6に従って、パチンコ遊技機1とカードユニット300との通信について説明する。
【0086】
前述したように、枠制御基板73は、カードユニット300と通信を行う。枠制御基板73は、カードユニット300とシリアル通信を行うための専用のPIF回路73gを備えている。
【0087】
一方、カードユニット300は、枠制御基板73とシリアル通信を行うための専用のPIF回路305と、遊技システムのセキュリティを監視するSC基板306と、コントロールユニット307と、を備えている。コントロールユニット307は、制御中枢としてのCPUと、CPUが動作するためのプログラムや制御データを記憶しているROMと、CPUのワークエリアとして機能するRAMと、を有している。本実施形態の遊技システムは、パチンコ遊技機1、枠制御基板73、カードユニット300、及びホールコンピュータHC間の通信によって成立する。また、返却ボタン33には返却ボタンセンサ33aが設けられており、返却ボタン33が押下操作されたことを示す信号をカードユニット300へ出力する。
【0088】
紙幣挿入口302に紙幣が挿入されると、その紙幣に相当する金額の情報がコントロールユニット307に出力される。球貸ボタン304が押下操作されると、球貸ボタン304が押下操作されたことを示す信号がコントロールユニット307に出力される。さらに、コントロールユニット307は、カード口301に管理カードが挿入された場合、カードユニット300との通信により、その管理カードに記憶されている価値情報(現金残額、プリペイド残額、持ち球数等)を読み込むことができる。また、コントロールユニット307は、紙幣挿入口302に挿入された紙幣の残額、その他の各種情報をデータ表示器303に表示させる制御を行う。
【0089】
また、ホールには、HC(ホールコンピュータ)BOXHC1と、ホールコンピュータHCと、管理コンピュータHC2と、が設けられている。HCBOXHC1は、ホールコンピュータHCとカードユニット300との仲介を担っており、パチンコ遊技機1(枠制御基板73)から受信したシリアル信号を、パラレル信号に変換してホールコンピュータHCに送信する。管理コンピュータHC2は、カードユニット300と通信を行うとともに、ホールの外部にある遊技機情報センター(図示省略)と通信を行う。
【0090】
カードユニット300からシリアル通信にて枠制御基板73に送信される情報は、球貸が要求されたことを示す情報、カード返却が要求されたことを示す情報である。一方、枠制御基板73からシリアル通信にてカードユニット300(パチンコ遊技機1の外部)に送信される外部情報は、次の通りである。例えば、カードユニット300から送信された情報(球貸が要求されたことを示す情報、カード返却が要求されたことを示す情報)を受信したことを示す情報、計数ボタン34の操作によって管理カードに記憶させる遊技球数を示す情報等である。その他にも、枠制御基板73は、カードユニット300に対して遊技機設置情報やセキュリティ情報を送信する。「遊技機設置情報」は、ホールコンピュータHC等による機種管理のために、どの遊技機が設置されているのかを特定可能な情報(例えば、遊技機の種類、CPUのID番号等))である。「セキュリティ情報」は、コントロールユニット307が不正監視を行うための情報である。ちなみに、枠制御基板73は、電源投入後、所定周期(例えば300ms毎)でカードユニット300とシリアル通信を行い、セキュリティ情報をカードユニット300に送信するようになっている。セキュリティ情報は、例えばパチンコ遊技機1に異常が発生している期間中はオン状態が維持され、パチンコ遊技機1の異常が解消された場合にオフ状態となる信号である。また、セキュリティ情報としては、RAMクリアの実行や遊技球数クリアの実行を特定可能なセキュリティ情報などがある。これらの情報は、RAMクリアや遊技球数クリアが終了するとオフ状態とされる。その他の情報も、セキュリティ情報とは異なる周期にて、シリアル通信にてカードユニット300に送信される。
【0091】
[大当たり判定テーブル]
大当たり判定テーブル(図示せず)は、遊技制御用マイコン61が大当たりか否かの大当たり判定を実行する際に参照するテーブルである。大当たり判定テーブルは、遊技状態と、大当たり乱数値(大当たり判定値)とを対応付けて構成されている。大当たり乱数値は、大当たり乱数カウンタが発生する大当たり乱数の中から所定の乱数を選択したものである。大当たり乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり乱数カウンタが動作して大当たり乱数が発生する。大当たり乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。また、大当たりと判定されなかった場合、遊技制御用マイコン61は、ハズレと判定する。大当たり判定テーブルは第1特図の抽選と第2特図の抽選で共通とする。
【0092】
[大当たり種別判定テーブル]
大当たり種別判定テーブル(図示せず)は、大当たりと判定された場合に遊技制御用マイコン61が大当たりの種別判定を実行する際に参照するテーブルである。大当たり種別判定テーブルは、抽選の種類(第1特図の抽選か第2特図の抽選か)に応じ、大当たり種別(大当たり図柄種別)毎に所定個数の大当たり種別乱数値(大当たり種別判定値)をそれぞれ対応付けて構成されている。大当たり種別乱数値は、大当たり種別乱数カウンタが発生する大当たり種別乱数の中から所定の乱数を選択したものである。大当たり種別乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり種別乱数カウンタが動作して大当たり種別乱数が発生する。大当たり種別乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。
【0093】
パチンコ遊技機1では、第1特図大当たり判定又は第2特図大当たり判定かによって、特定の大当たり種に対応付ける大当たり種別乱数の個数を異ならせることも可能である。また、大当たりに関し、大入賞口が開口してから閉口するまでに要する期間を大入賞口の開口期間といい、大入賞口が開口してから次回開口するまでの期間をラウンドという。また、最初のラウンド開始から最終ラウンドが終了するまでの遊技を大当たり遊技という。なお、大当たりの種類、ラウンド遊技数、電サポ制御が行われる上限回数等は、遊技性等に応じて適宜変更してもよい。
【0094】
[リーチ判定テーブル]
リーチ判定テーブル(図示せず)は、遊技制御用マイコン61が大当たり判定の結果がハズレであった場合に、リーチが出現する特図変動パターンを選択するか否かを判定する際に参照するテーブルである。ここで、リーチとは、複数の特別図柄のうち変動表示されている特別図柄が残り1つとなっている状態であって、変動表示されている特別図柄がどの特別図柄で確定表示されるか次第で大当たりを示す特別図柄の組み合わせとなる状態のことである。また、リーチとは、演出表示装置7の複数の表示領域においてそれぞれ変動表示されている演出図柄のうち、変動表示されている演出図柄が残り1つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの演出図柄で確定表示されるか次第で大当たり演出図柄の組み合わせとなる状態のことである。
【0095】
例えば、大当たり演出図柄の組み合わせの1つが「777」である場合に、左演出図柄7Lとして「7」が確定表示されており、右演出図柄7Rとして「7」が確定表示されており、中演出図柄7Cが変動表示されている状態のことである。なお、リーチの概念には、中演出図柄7Cがスクロールしている状態の他、揺れている状態、拡大と縮小を繰り返す状態等が含まれる。
【0096】
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がハズレであった場合に、リーチが出現する特図変動パターンを選択するか否かを判定するための乱数である。リーチ判定テーブルは、遊技状態とリーチ乱数値(リーチ判定値)とを対応付けて構成されている。リーチ乱数値は、リーチ乱数カウンタが発生するリーチ乱数の中から所定の乱数を選択したものである。リーチ乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、リーチ乱数カウンタが動作してリーチ乱数が発生する。なお、パチンコ遊技機1におけるリーチ判定テーブルは、第1特図の抽選と第2特図の抽選で同一としてもよいし、異ならせてもよい。
【0097】
[特図変動パターン選択テーブル]
特図変動パターン選択テーブル(図示せず)は、遊技制御用マイコン61が特図変動パターンを抽選により決定する際に参照するテーブルである。特図変動パターン選択テーブルは、遊技状態と、判定(大当たり判定及びリーチ判定)結果と、特図保留数と、変動パターン乱数値(変動パターン判定値)と、特図変動パターンと、変動時間と、を対応付けて構成されている。大当たり種別について対応付けてもよい。変動パターン乱数値は、変動パターン乱数カウンタが発生する変動パターン乱数の中から所定の乱数を選択したものである。変動パターン乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、変動パターン乱数カウンタが動作して変動パターン乱数が発生する。
【0098】
特図変動パターン選択テーブルでは、大きく分類すると、大当たりと判定されたときに選択される大当たり用の特図変動パターンと、ハズレと判定されたがリーチ判定でリーチ有りと判定されたときに選択されるリーチ有りハズレ用の特図変動パターンと、ハズレと判定され、かつリーチ判定でリーチ無しと判定されたときに選択されるリーチ無しハズレ用の特図変動パターンと、が設定されている。
【0099】
[遊技制御用マイコン61の主な処理]
次に、遊技制御用マイコン61が実行する主な処理について図を参照しつつ説明する。
(メイン側主制御処理)
最初に、
図7に従って、メイン側主制御処理の内容について説明する。
【0100】
パチンコ遊技機1の電源がオンされて電源基板70より電力供給を受けると、遊技制御用マイコン61は、ROM63からメイン側主制御処理のコンピュータプログラムを読み出して実行する。遊技制御用マイコン61は、最初にメイン側初期設定処理を行う(ステップ(以下、Sと略す)1)。S1の処理は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0101】
メイン側初期設定処理では、例えば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU62の設定、SIO(System Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer Circuit:割込時間を管理するための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等のリセット等を行う。また、RAMクリアスイッチ66を操作した状態で電源がオンされるとRAMクリア信号が主制御基板60に送信されるため、メイン側初期設定処理において、遊技制御用マイコン61は、全てのRAM領域の初期化を指示する。一方、RAMクリアスイッチ66を操作せずに電源がオンされると、遊技制御用マイコン61は、バックアップ領域に記憶される遊技状態情報に基づいて、電源断時の遊技状態を復旧させる。また、遊技制御用マイコン61は、パチンコ遊技機1の電源投入を受け、電源断によって設定されていた電断フラグをオフにするとともに、電源投入コマンドをRAM64の送信バッファにセットする。また、遊技制御用マイコン61は、起動時情報として遊技機設置情報をRAM64の送信バッファにセットする。
【0102】
なお、電源の安定供給を待つため、又は画像制御基板200の起動完了を待ってから主制御基板60を立ち上げるために、予め定めた待機時間だけ待機するという待機処理をメイン側初期設定処理における最初の処理として設定してもよい。また、電源投入コマンドは、例えばホール開店時に電源が投入された場合、及び予期せぬ電源断から電源が復旧した場合のどちらのケースでも出力されるコマンドである。
【0103】
図7の説明に戻り、遊技制御用マイコン61は、割込禁止を実行し(S2)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S3)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理では、前述した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数を発生する各乱数カウンタの初期値をそれぞれ「1」加算して更新する。各乱数カウンタのカウント値は上限値に到達すると「0」に戻って再び「1」加算される。なお、各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また、各乱数カウンタのカウント値にそれぞれ「2」以上の数値を加算して更新してもよい。また、各乱数は、カウンタIC等から成る公知の乱数生成回路を利用して生成される、いわゆるハードウェア乱数であってもよい。このハードウェア乱数を用いる場合は、ソフトウェアによる乱数の更新処理(S3)は必要ない。
【0104】
続いて、遊技制御用マイコン61は、割込許可を実行する(S4)。割込許可中は、メイン側タイマ割込処理(S5)の実行が可能となる。メイン側タイマ割込処理(S5)は、例えば、4msec周期でCPU62に対して入力される割込パルスに基づいて実行される。つまり、4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割込処理(S5)が終了してから、次にメイン側タイマ割込処理(S5)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)による各種カウンタの初期値更新処理が実行される。なお、割込禁止状態のときにCPU62に割込パルスが入力された場合は、メイン側タイマ割込処理(S5)は直ぐには開始されず、割込許可(S4)が実行されてから開始される。
【0105】
(メイン側タイマ割込処理)
次に、
図8に従って、メイン側タイマ割込処理(S5)の内容について説明する。
まず、遊技制御用マイコン61は、乱数更新処理を実行する(S10)。この乱数更新処理は、
図7のメイン側主制御処理で実行する普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)と同じである。つまり、各乱数カウンタの初期値の更新処理は、メイン側タイマ割込処理(S5)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割込処理(S5)の終了後、次のメイン側タイマ割込処理(S5)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0106】
次に、遊技制御用マイコン61は、入力処理を行う(S11)。入力処理では、各種検知信号や各種コマンドを取り込み、各種検知信号や各種コマンドが示す情報をRAM64の受信バッファに記憶する。また、入力処理において遊技制御用マイコン61は、パチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ11a、第2始動口センサ22a、ゲートセンサ12a、大入賞口センサ32a、一般入賞口センサ13a、排出口センサHa)が検知した検知信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための賞球コマンドをRAM64の送信バッファにセットする。セットされた賞球コマンドは、後述する出力処理(S17)によって枠制御基板73に送信される。
【0107】
次に、遊技制御用マイコン61は、始動口センサ検知処理(S12)、特別動作処理(S13)、及び普通動作処理(S14)を実行する。
始動口センサ検知処理(S12)において遊技制御用マイコン61は、第1始動口センサ11a又は第2始動口センサ22aによる入賞検知があれば、入賞検知のあった始動口に対応する保留記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の乱数(大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数)を取得する。また、ゲートセンサ12aによる通過検知があれば、普図保留が4個未満であることを条件に普通図柄乱数を取得する。
【0108】
特別動作処理(S13)において遊技制御用マイコン61は、始動口センサ検知処理で取得した大当たり乱数等の乱数を、大当たり判定テーブル、大当たり種別判定テーブル、リーチ判定テーブル、特図変動パターン選択テーブルを用いて判定する。そして、大当たり判定の結果を示すために、遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動表示を行う。特別図柄の変動開始時において遊技制御用マイコン61は、特図変動パターンの情報を含む特図用の変動開始コマンドをRAM64の送信バッファにセットする。また特別図柄の変動停止時において遊技制御用マイコン61は、特図用の変動停止コマンドをRAM64の送信バッファにセットする。
【0109】
このとき、大当たり判定で大当たりに当選していたとすると、遊技制御用マイコン61は、大当たり種別に応じた開放パターン(開放時間や開放回数)で大入賞口32を開放させる大当たり遊技を行う。遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技の開始時にオープニングコマンドをRAM64の送信バッファにセットする。また、遊技制御用マイコン61は、各ラウンド遊技の開始時に、ラウンド指定コマンドをRAM64の送信バッファにセットする。また、遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技の終了時にエンディングコマンドをRAM64の送信バッファにセットする。遊技状態が変化した場合、遊技制御用マイコン61は、遊技状態の情報を含む遊技状態指定コマンドをRAM64の送信バッファにセットする。
【0110】
普通動作処理(S14)において、遊技制御用マイコン61は、始動口センサ検知処理(S12)で取得した普通図柄乱数を用いて普通図柄当たりであるか否かを判定する。そして、普通図柄当たり判定の判定結果を示すために、遊技制御用マイコン61は、普通図柄の変動表示を行う。普通図柄当たり判定で普通図柄当たりに当選していたとすると、遊技制御用マイコン61は、遊技状態に応じた開放パターン(開放時間や開放回数)に従って電チュー20を開放させる補助遊技を行う。
【0111】
次に、遊技制御用マイコン61は、エラー検知処理を行う(S15)。エラー検知処理では、エラー(不正行為)の有無を検知して、その検知結果に基づいてエラーの発生を報知させる等の処理を行う。エラー(不正行為)には、例えば、電チュー20、大入賞口32への不正な入賞、磁気を利用した不正行為、電波を利用した不正行為、パチンコ遊技機1を振動させる不正行為等がある。またエラー検知処理(S15)では、電チュー20に対する入排出球数の不一致や、大入賞口32に対する入排出球数の不一致を報知する。また、エラーを検知した場合、エラーの種類を特定可能な情報をRAM64の送信バッファにセットする。これにより、後述する出力処理(S17)によって、エラーの種類を特定可能な情報が枠制御基板73やサブ制御基板100に送信される。
【0112】
続いて、遊技制御用マイコン61は、電源断監視処理(S16)を行う。遊技制御用マイコン61は、電源断信号を入力した場合、現在の遊技状態に関するデータをRAM64に記憶(バックアップ)するとともに、電源断フラグをオンにする。電源断信号は、所定の電圧が所定時間にわたって検出されない場合に電源基板70から出力される信号である。また、電源基板70は、電源断信号の出力後、主制御基板60、枠制御基板73、サブ制御基板100、画像制御基板200に対してリセット信号を出力し続ける。各制御基板のCPUは、リセット信号を入力している期間中、リセット状態となり、動作を停止する。なお、電圧値が回復するとリセット信号の出力が停止されて各CPUは動作を開始できる状態となる。このとき、その他の制御基板に比して主制御基板60へのリセット信号の出力期間を長くするなどして主制御基板60の起動完了順序が遅くなるようにしてもよい。
【0113】
その後、遊技制御用マイコン61は、出力処理(S17)を実行し、本処理を終了する。出力処理において遊技制御用マイコン61は、RAM64にセットしたコマンド等をサブ制御基板100及び枠制御基板73に出力する。
【0114】
(サブ側主制御処理)
次に、
図9に従って、サブ側主制御処理について説明する。
パチンコ遊技機1の電源がオンされて電源基板70より電力供給を受けると、演出制御用マイコン101は、ROM110からサブ側主制御処理のコンピュータプログラムを読み出して実行する。
【0115】
そして、演出制御用マイコン101は、サブ側初期設定処理を実行する(S20)。この初期設定では、例えば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU102の設定、SIO、PIO、CTCの設定、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等のリセット等を行う。続いて、演出制御用マイコン101は、電源断信号がオンであり、かつ、RAM120の内容が正常であるか否かを判定し(S21)、否定判定した場合(S21:No)、RAM120を初期化し(S22)、S23に進む。また、S21において肯定判定した場合(S21:Yes)、演出制御用マイコン101は、RAM120を初期化しないでS23に進む。つまり、電源断信号がオンではない場合、または、電源断信号がオンであるがRAM120の内容が正常でない場合には(S21:No)、演出制御用マイコン101は、RAM120を初期化するが、停電等で電源断信号がオンとなったがRAM120の内容が正常に保たれている場合には(S21:Yes)、RAM120を初期化しない。なお、演出制御用マイコン101も、遊技制御用マイコン61と同様、停電などで電源断信号がオンになると、その時点での演出制御に係るデータがRAM120に記憶(バックアップ)されるものとなっている。つまり、サブ制御基板100においても、復電時にRAM120の初期化が行われない限り、電源断前の状態に復帰する。なお、RAM120を初期化すれば、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等の値はリセットされる。また、このS20~S22は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0116】
続いて、演出制御用マイコン101は、割込禁止を行い(S23)、乱数更新処理を実行する(S24)。この乱数更新処理では、種々の演出選択乱数カウンタの初期値を更新する。なお、演出選択乱数には、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の遊技制御用マイコン61が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。また、「変動演出パターン」は、選択された特図変動パターンに対応して演出表示装置7等で行われる演出内容を特定するパターンである。続いて、演出制御用マイコン101は、コマンド送信処理を実行する(S25)。このコマンド送信処理では、演出制御用マイコン101のRAM120内の送信バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板200、音声制御基板78及びランプ制御基板79等に送信する。続いて、演出制御用マイコン101は割込許可を実行する(S26)。以降、S23~S26を繰り返し実行する。また、割込許可中においては、受信割込処理(S27)、1msタイマ割込処理(S28)及び10msタイマ割込処理(S29)の実行が可能となる。
【0117】
(受信割込処理)
次に、受信割込処理(S27)について説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から、演出制御用マイコン101の外部INT(割込)入力部に与えられるストローブ信号(STB信号)の信号レベルが変化したか否か、つまり、コマンドを受信するタイミングであるか否かを判定する。例えば、ストローブ信号の信号レベルがハイレベルからローレベルに変化したか否かを判定する。そして、受信するタイミングではないと判定した場合、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。一方、受信するタイミングであると判定した場合、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から送信されてきた各種のコマンドを受信し、それら受信した各種のコマンドをRAM120の受信バッファに格納する。この受信割込処理は、他の割込処理(S28,S29)に優先して実行される処理である。
【0118】
(1msタイマ割込処理)
次に、
図10に従って、1msタイマ割込処理(S28)について説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に1msec周期の割込パルスが入力される度に、この1msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、入力処理を実行する(S30)。この入力処理では、演出制御用マイコン101が、演出レバー押込検出スイッチ6a、演出レバー回転検出スイッチ6b、演出ボタン検出スイッチ9a、操作ボタン検出スイッチ36aからの検出信号に基づいて、スイッチがONしたことを示すスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
【0119】
続いて、演出制御用マイコン101は、出力処理を実行する(S31)。この出力処理では、RAM120の送信バッファにセットされる変動演出開始コマンドを画像制御基板200に出力する。変動演出開始コマンドとは、選択した演出図柄と変動演出パターンの表示を演出表示装置7に開始させるためのコマンドである。また、演出表示装置7の表示に合わせて盤ランプ2b、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bを発光させるために、後述する10msタイマ割込処理におけるランプ処理(S43)等で作成したランプデータをランプ制御基板79に出力する。つまり、ランプデータに従って盤ランプ2b、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bを所定の発光態様で発光させる。また、演出表示装置7の表示に合わせてスピーカ8から音声を出力させるために、後述する10msタイマ割込処理における音声制御処理(S44)等で作成した音声データを音声制御基板78に出力する。つまり、音声データに従ってスピーカ8から音声を出力させる。また、演出表示装置7の表示に合わせて可動体15を駆動させるために、駆動データ(可動体15を駆動するためのデータ)を作成し、その作成した駆動データを出力する。つまり、駆動データにしたがって可動体15を所定の動作パターンで駆動させる。
【0120】
続いて、演出制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドを出力したか否かを判定する(S32)。演出制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドを出力したと判定した場合(S32:Yes)、変動演出パターンの変動時間の計測を開始する(S33)。続いて、演出制御用マイコン101は、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理を行う(S34)。S34の終了後、又は変動演出開始コマンドを出力していないと判定した場合(S32:No)、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。
【0121】
(10msタイマ割込処理)
次に、
図11に従って、10msタイマ割込処理(S29)について説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に10msec周期の割込パルスが入力される度に、この10msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、まず、受信コマンド解析処理を実行し(S40)、その後、スイッチ状態取得処理を実行する(S41)。受信コマンド解析処理において演出制御用マイコン101は、遊技制御用マイコン61から特図用の変動開始コマンドを受信しているかを判定し、受信している場合には、変動演出パターン選択処理を実行する。また、演出制御用マイコン101は、特図用の変動開始コマンドに基づき、演出図柄による図柄組み合わせを決定する。そして、演出制御用マイコン101は、選択した演出図柄と変動演出パターンの表示を演出表示装置7に開始させるための変動演出開始コマンドをRAM120の送信バッファにセットする。
【0122】
また、演出制御用マイコン101は、遊技制御用マイコン61からオープニングコマンドを受信しているかを判定し、受信している場合にはオープニング演出選択処理を実行する。演出制御用マイコン101は、受信したオープニングコマンドと対応付けられているオープニング演出を選択し、選択した内容のオープニング演出を開始するためのオープニング演出コマンドをRAM120の送信バッファにセットする。また、ラウンド指定コマンドを受信している場合にはラウンド演出選択処理を実行する。演出制御用マイコン101は、受信したラウンド指定コマンドと対応付けられているラウンド演出を選択し、選択した内容のラウンド演出を開始するためのラウンド演出コマンドをRAM120の送信バッファにセットする。また、演出制御用マイコン101は、エンディングコマンドを受信している場合にはエンディング演出選択処理を実行する。演出制御用マイコン101は、受信したエンディングコマンドと対応付けられているエンディング演出を選択し、選択した内容のエンディング演出を開始するためのエンディング演出コマンドをRAM120の送信バッファにセットする。
【0123】
また、スイッチ状態取得処理において演出制御用マイコン101は、1msタイマ割込処理の入力処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割込処理用のスイッチデータとしてRAM120に格納する。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて、演出表示装置7が表示するボタン演出等の表示内容を設定するスイッチ処理を実行する(S42)。続いて、演出制御用マイコン101は、ランプ処理を実行する(S43)。このランプ処理では、演出表示装置7の表示に合わせて各ランプ(盤ランプ2b、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23b等)の発光を制御するためのランプデータの作成や発光演出の時間管理等を行う。これにより、各ランプは、演出表示装置7の表示に合った発光演出を行う。
【0124】
続いて、演出制御用マイコン101は、音声制御処理を実行する(S44)。この音声制御処理では、音声データ(各スピーカ8からの音声の出力を制御するためのデータ)の作成、その作成した音声データの音声制御基板78への出力、音声演出の時間管理等を行う。これにより、演出表示装置7の表示に合わせて音声が各スピーカ8から出力される。続いて、演出制御用マイコン101は、その他の処理を実行し(S45)、本処理を終了する。その他の処理(S45)では、変動演出パターン乱数、予告演出を決定するための予告演出乱数等を更新する等の処理を実行する。
【0125】
[枠制御用マイコン73aの主な処理]
次に、枠制御用マイコン73aが実行する主な処理について図を参照しつつ説明する。
(枠側主制御処理)
最初に、
図12に従って、枠側主制御処理の内容について説明する。
【0126】
メイン側主制御処理(
図7)と同じように、パチンコ遊技機1の電源がオンされて電源基板70より電力供給を受けると、枠制御用マイコン73aは、ROM73cから枠側主制御処理のコンピュータプログラムを読み出して実行する。枠制御用マイコン73aは、最初に枠側初期設定処理を行う(S50)。S50の処理は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0127】
枠側初期設定処理では、例えば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU73bの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等のリセット等を行う。
【0128】
また、遊技球数クリアスイッチSW1を操作した状態で電源がオンされると遊技球数クリア信号が枠制御基板73に送信されるため、枠側初期設定処理において、枠制御用マイコン73aは、RAM73dに記憶していた遊技球数に係る情報の初期化を指示する。一方、遊技球数クリアスイッチSW1を操作せずに電源がオンされると、枠制御用マイコン73aは、バックアップ領域に記憶される遊技球数に基づいて、電源断時の遊技球数を復旧させる。
【0129】
また、RAMクリアスイッチ66を操作した状態で電源がオンされた場合、枠制御基板73にもRAMクリア信号が送信されるため、枠制御用マイコン73aは、全てのRAM領域の初期化を指示する。一方、RAMクリアスイッチ66が操作されずに電源がオンされた場合、枠制御用マイコン73aは、バックアップ領域に記憶される情報に基づいて、電源断時の状態の復旧を試みる。このとき、枠制御用マイコン73aは、電源断時の状態の一例として遊技球数に係る情報を復旧する。
【0130】
(遊技球数に係る情報の復旧)
具体的に説明すると、枠制御基板73のRAM73dには、遊技球数が増減する度に遊技球数を記憶する第1記憶領域と、遊技球数が増減した場合及び電源断が発生した場合に「検証値」を記憶する第2記憶領域と、バックアップ領域と、が設定されている。なお、バックアップ領域に記憶される値は、第1記憶領域に記憶される値と同一である。
【0131】
第1記憶領域は3バイトで構成され、第2記憶領域は1バイトで構成される。例えば、増減後の遊技球数が「74565」である場合、第1記憶領域でこの数値を例えば16進数で取り扱うと「012345H」と表現することができる。また、枠制御用マイコン73aは、遊技球数が増減した場合及び電源断が発生した場合、3バイト構成の第1記憶領域を1バイトごとに分けて各値を合計した値(合計値)を「検証値」として1バイト構成の第2記憶領域に記憶させる。例えば、第1記憶領域に「012345H」が記憶されている場合、枠制御用マイコン73aは、1バイトに収まるよう、「012345H」を「01H」、「23H」、「45H」というように1バイトごとに分け、それらの合計値「69H」を検証値として第2記憶領域に記憶させる。
【0132】
そして、枠制御用マイコン73aは、枠側初期設定処理(S50)において、すなわち電源投入時において、第1記憶領域(3バイト)と同じ数値が記憶されているバックアップ領域の値を1バイトに収まるように加算し、その加算結果が第2記憶領域に記憶した検証値(1バイト)と一致する否かを判定する。一致する場合、枠制御用マイコン73aは、電源断時にRAM73dに保存した遊技球数が正常であるとし、バックアップ領域に保存された情報に従って、電源断前の遊技球数を復元する。その後、枠制御用マイコン73aは、電源断フラグをオフにする。
【0133】
一方、バックアップ領域の値を1バイトに収まるように加算した加算結果と検証値が一致しない場合、枠制御用マイコン73aは、電源断時にRAM73dに保存した遊技球数が正常でないとし、RAM73dに記憶された遊技球数に係る情報を初期化して「0」とする。つまり、遊技球数クリアスイッチSW1が操作されたときと同じ作用が生じる。
【0134】
第1記憶領域は3バイトで構成されるため、1バイトで構成される第2記憶領域よりも表示桁数が多い。つまり、数値変更の影響を受ける表示桁数が第2記憶領域よりも多い分、ノイズやRAM異常が発生した場合に影響を受ける可能性が高い。一方、第2記憶領域では、前述したように1バイトに収まるように第1記憶領域の値が加算され、記憶される。つまり、数値変更の影響を受ける表示桁数が少ない分、ノイズやRAM異常が発生した場合に得異常を受ける可能性が第1記憶領域よりも低い。したがって、遊技球数を1バイトで表した値は検証値として有効である。
【0135】
なお、遊技球数の改ざんが生じているか否かをチェックすることができれば、検証値の算出方法は前述の例に限られない。例えば、バックアップ領域の値を加算した後、さらに一定値を加算し、第2記憶領域の検証値と、バックアップ領域の値の加算値の差分が一定値ではない場合に「正常でない」と判断し、遊技球数を「0」にリセットするようにしてもよい。また、バックアップ領域の値は第1記憶領域の値と同一であるため、バックアップ領域を設けず、電源投入時において、第1記憶領域の値を加算した値と第2記憶領域の検証値を比較し、遊技球数が正常であるか否かを判断するようにしてもよい。
【0136】
図12の説明に戻り、枠制御用マイコン73aは、割込禁止を実行し(S51)、出力処理(S52)を実行する。出力処理において枠制御用マイコン73aは、RAM73dの送信バッファにセットされた信号(データ・情報)を、主制御基板60、遊技球数表示器18b、発射装置90に送信する。出力処理において枠制御用マイコン73aは、カードユニット300にも、RAM73dの送信バッファにセットされた信号(データ・情報)を送信する。カードユニット300に送信される情報は、球貸が要求されたことを示す情報を受信したことを示す情報、カード返却が要求されたことを示す情報を受信したことを示す情報、計数ボタン34の操作によって管理カードに記憶させる遊技球数を示す情報、遊技機設置情報、セキュリティ情報などである。ちなみにセキュリティ情報の通信間隔は、300ms周期としている。
【0137】
その後、枠制御用マイコン73aは、割込許可を実行する(S53)。割込許可中は、枠側タイマ割込処理(S54)の実行が可能となる。枠側タイマ割込処理(S54)は、例えば、4msec周期でCPU73bに対して入力される割込パルスに基づいて実行される。つまり、4msec周期で実行される。なお、割込禁止状態のときにCPU73bに割込パルスが入力された場合は、枠側タイマ割込処理(S54)は直ぐには開始されず、割込許可(S53)が実行されてから開始される。
【0138】
(枠側タイマ割込処理)
次に、
図13に従って、枠側タイマ割込処理(S54)の内容について説明する。
まず、枠制御用マイコン73aは、入力処理を実行する(S60)。入力処理では、主に各種検知信号や各種コマンドを読み込み、これらの信号やコマンドで特定される情報を記憶する。
【0139】
次に、枠制御用マイコン73aは、発射制御処理を実行する(S61)。発射制御処理は、遊技球を発射させることができる状態であるか否かを判断し、発射させることができる場合には発射装置90に遊技球を発射させる処理である。
【0140】
次に、枠制御用マイコン73aは、遊技球数管理処理を実行する(S62)。遊技球数管理処理は、遊技球数を制御・管理するための処理である。例えば、球貸ボタン304が操作されたことを示す信号がカードユニット300から送信されると、枠制御用マイコン73aは、当該信号に従って、遊技者に貸し出す貸球数を遊技球数として加算する。このとき、枠制御用マイコン73aは、更新後の値を遊技球数表示器18bに表示させる。また、計数ボタン34が操作されたことを示す信号を受信すると、枠制御用マイコン73aは、当該信号に従って、遊技球数から一定数を減算する。前述したように、計数ボタン34の操作態様によって管理カードに記憶させる遊技球数が異なるため、枠制御用マイコン73aは、計数ボタン34が操作されたことを示す信号がオンとなっている時間の長短より操作態様の違いを把握し、その操作態様の違いに合った数だけ遊技球数を減算する。また、カードユニット300より返却ボタン33が操作されたことを示す信号を受信すると、枠制御用マイコン73aは、当該信号に従って、遊技球数表示器18bで表示されている遊技球数を全部減算する。また、発射球センサ29aから検知信号を入力した場合、枠制御用マイコン73aは、遊技球数を1減算する。また、戻り球センサMRaから検知信号を入力した場合、枠制御用マイコン73aは、遊技球数を1加算する。また、主制御基板60から賞球コマンドを入力した場合、枠制御用マイコン73aは、賞球コマンドで特定される情報に従って、遊技球数を加算する。
【0141】
また、枠制御用マイコン73aは、更新後の遊技球数を遊技球数表示器18bに表示させる。また、枠制御用マイコン73aは、球貸ボタン304や計数ボタン34等の操作、又は入賞口への入賞に基づいて遊技球数が増減した場合、その遊技球数をカードユニット300に把握させるため、遊技球数に係る情報をRAM73dの送信バッファにセットする。これにより、前述した出力処理(S52)によって、遊技球数を特定可能な情報が主制御基板60やカードユニット300に送信される。
【0142】
さらに、枠制御用マイコン73aは、前述したように、遊技球数が増減する度に遊技球数を第1記憶領域で記憶するとともに、検証値を第2記憶領域に記憶する。
次に、枠制御用マイコン73aは、エラー検知処理を行う(S63)。エラー検知処理では、エラー(不正行為)の有無を検知して、その検知結果に基づいてエラーの発生を枠基板表示器73fに表示させる等の処理を行う。具体的には、枠制御用マイコン73aは、枠制御基板73に接続されている各種センサからの検知信号及び主制御基板60から送信されるエラー情報より、エラーの発生を判定する。
【0143】
また、エラーを検知した場合、エラーの種類を特定可能な情報をRAM73dの送信バッファにセットする。これにより、前述した出力処理(S52)によって、エラーの種類を特定可能な情報が主制御基板60やカードユニット300に送信される。主制御基板60に送信されたエラー情報は、サブ制御基板100を介して画像制御基板200に送信され、演出表示装置7で報知される場合がある。また、枠制御用マイコン73aは、特定したエラーを示す情報(エラーコード等)を表示させるよう、枠基板表示器73fの表示内容を制御する。
【0144】
続いて、枠制御用マイコン73aは、電源断監視処理(S64)を行う。枠制御用マイコン73aは、電源断信号を入力した場合、電源断時の状態に関するデータをRAM73dに記憶(バックアップ)するとともに、電源断フラグをオンにする。このとき、枠制御用マイコン73aは、前述したように、第2記憶領域に検証値を記憶する。その後、枠制御用マイコン73aは、その他の処理を実行し(S65)、本処理を終了する。その他の処理では、RAM73dに設けられているタイマの更新などが行われる。
【0145】
(枠制御基板とカードユニットとの通信について)
前述したように、枠制御基板73とカードユニット300は、専用のPIF回路を通じて情報の通信を行う。また、枠制御基板73とカードユニット300(パチンコ遊技機1の外部)の通信間隔は、対象となる外部情報の種類毎に異なっており、例えば通信対象となる外部情報がセキュリティ情報であれば、300msの周期間隔で通信が行われるようになっている。本実施形態では、RAMクリアスイッチ66又は遊技球数クリアスイッチSW1が操作された場合、その旨を示すセキュリティ情報が外部情報としてカードユニット300(SC基板306)に出力されるようになっているが、枠制御用マイコン73aは、当該セキュリティ情報を、枠制御基板73とカードユニット300の通信間隔(この例では300ms)よりも長い時間(この例では3000ms)出力するようになっている。
【0146】
これにより、枠制御基板73とカードユニット300の通信中に予期せぬ電源断が発生してしまったとしても、周期的に到来する次の通信タイミングにて、枠制御基板73からカードユニット300に対して確実にセキュリティ情報を渡すことが可能となる。
【0147】
図14は、枠制御基板73とカードユニット300のSC基板306との通信態様を示している。図中、枠制御基板73とSC基板306を結ぶ破線は、枠制御基板73とSC基板306の通信タイミングを表している。
【0148】
RAMクリアスイッチ66又は遊技球数クリアスイッチSW1が操作された場合、枠制御用マイコン73aは、電源投入後であってVLオン状態となってから、セキュリティ情報をカードユニット300のSC基板306に出力する。「VLオン状態」とは、電源が安定したことにより、枠制御基板73とカードユニット300間で正常に通信できる状態を示す。また、枠制御用マイコン73aは、RAMクリアや遊技球数クリアが終了するまでセキュリティ情報を出力するが、期間中、常にオン状態とするのではなく、規定秒数(この例では3000ms)に到達すると、一時的にオフ状態とし、再度、規定秒数の間、セキュリティ情報をオン状態とするようになっている。
【0149】
そして、枠制御基板73とカードユニット300は、300msに1回の周期でセキュリティ情報の通信を行う。枠制御基板73とカードユニット300の通信周期(300ms)よりも長い時間(この例では3000ms)だけセキュリティ情報を出力し続けることで、セキュリティ情報の出力期間中、何度も枠制御基板73とカードユニット300の通信タイミングが到来し得ることになり、セキュリティ情報を確実に取得できる機会が増えるということになる。
【0150】
例えば、j1のタイミングに示すように、セキュリティ情報の出力中に予期せぬ電源断が発生し、セキュリティ情報の出力が中断されてしまったとする。この場合、枠制御用マイコン73aは、電源復旧後、VLオン状態となってから(j2)、再度、セキュリティ情報の出力を再開する。これにより、j3に示す通信タイミングではセキュリティ情報が出力されておらず、j3のタイミングでSC基板306がセキュリティ情報を受信できなかったとしても、再度、セキュリティ情報を出力する制御を再開することで、次の通信タイミング(j4)においてSC基板306は、セキュリティ情報を受信することが可能となる。
【0151】
なお、パチンコ遊技機1に設定変更機能を搭載した場合、設定値の変更中や設定値の確認中などにおいても、外部情報としてセキュリティ情報をカードユニット300に送信することが好ましい。また、枠制御基板73からSC基板306へのセキュリティ情報の出力期間は、3000msより短くてもよい。また、セキュリティ情報の出力途中で電源断が生じた場合、次に出力されるセキュリティ情報と合わせて、途中で途切れてしまったセキュリティ情報を一緒に3000ms間、出力するようにしてもよい。また、3000ms間で出力可能な情報の種類を1種類に限定する場合、途中で途切れてしまったセキュリティ情報を3000ms間出力させるべく、セキュリティ情報の出力順序を1つずつ後ろにずらしてもよい。
【0152】
(主制御基板と枠制御基板との通信)
次に、主制御基板60と枠制御基板73との通信について説明する。
前述したように、各制御基板は、パチンコ遊技機1の電源がオンされて電源基板70より電力供給を受けると、それぞれ独立して主制御処理を実行する。枠制御基板73は、主制御基板60のように従制御基板が存在しないため、その他の制御基板の起動完了タイミングを考慮することなく、独自に主制御処理を実行し、枠側初期設定処理が完了すれば、割込パルスに従って遊技球数の管理に係る制御を実行できる状態となる。
【0153】
ところで、主制御基板60及び枠制御基板73は、タイマ割込処理においてそれぞれエラー検知処理を実行しているが(S15,S63)、枠制御用マイコン73aが実行する一部のエラー検知については、実際は正常であるにも関わらず、エラーと判定されてしまう場合がある。具体的に説明すると、枠制御用マイコン73aが実行するエラー検知には、枠制御基板73内で完結するエラー検知と、主制御基板60の起動状態の影響を受けるエラー検知とがあり、主制御基板60の起動状態の影響を受けるエラー検知において、実際は正常であるにも関わらず、エラーと判定されてしまうことがある。なぜならば、主制御基板60の起動状態の影響を受けるエラー検知では、枠側初期設定処理が完了してエラー検知を実行できる状態になっていたとしても、メイン側初期設定処理が完了していない場合があり、枠制御用マイコン73aがエラー検知処理を実行する段階で主制御基板60からエラー検知結果が送信されないことがあるからである。これにより、メイン側初期設定処理が完了して実際にエラー検知を行っていれば「正常」と判断する可能性があるにもかかわらず、主制御基板60からエラー検知結果を受信していないことで、枠制御用マイコン73aが「エラー」と判定してしまうことがある。
【0154】
同様に、枠側初期設定処理が終了していることで、枠制御用マイコン73aが信号(データ・情報)を主制御基板60へ送信したとしても、主制御基板60側でメイン側初期設定処理が終了していなければ、枠制御用マイコン73aが送信した信号(データ・情報)が適切に処理されないことになる。よって、例えば、枠制御用マイコン73aがエラー情報を主制御基板60へ送信したとしても、主制御基板60側でメイン側初期設定処理が完了していなければ、枠制御基板73のエラー情報を受信できず、枠制御基板73のエラー情報が、演出表示装置7等で正常に表示されないことがある。
【0155】
このため、本実施形態において枠制御用マイコン73aは、主制御基板60側でのコマンドや情報の取りこぼしを回避すべく、主制御基板60で初期設定処理が完了し、他制御基板から送信された各種信号やコマンドを適切に処理できる状態になっていることを認識した後に、主制御基板60に対してエラー情報(特定情報に相当)を送信するようにしている。なお、主制御基板60及び枠制御基板73において、初期設定処理が完了するとタイマ割込処理を実行できるようになるので(
図7,
図12)、以下の説明では、初期設定処理が完了してタイマ割込処理が実行可能な状態となっていることを「起動が完了している」または「起動時処理が完了している」と示す場合がある。
【0156】
ちなみに、枠制御基板73内で完結するエラー検知(異常検知)には、例えば、遊技球数クリアスイッチSW1の操作や、揚送装置Ysのエラー検知等を含む。遊技球数クリアスイッチSW1の操作が枠制御基板73内で完結するエラー検知に含まれる理由は、次の通りである。すなわち、遊技球数クリアスイッチSW1が操作された場合、遊技球数のクリアを実行するのは枠制御用マイコン73aであって、遊技制御用マイコン61が遊技球数をクリアするわけではない。つまり、遊技制御用マイコン61から遊技球数クリアに関する情報が送信されることがないので、遊技制御用マイコン61から送信されるエラー検知結果を考慮する必要がないからである。また、揚送装置Ysのエラー検知が枠制御基板73内で完結するエラー検知に含まれる理由は、次の通りである。すなわち、揚送装置Ysの制御を行うのは枠制御用マイコン73aであって遊技制御用マイコン61ではない。つまり、遊技制御用マイコン61から揚送装置Ysに関する情報が送信されることがないので、遊技制御用マイコン61から送信されるエラー検知結果を考慮する必要がないからである。
【0157】
また、主制御基板60の起動状態の影響を受けるエラー検知(異常検知)には、例えば、電チュー20、大入賞口32への不正入賞検知等を含む。電チュー20や大入賞口32への不正入賞検知が主制御基板60の起動状態の影響を受けるエラー検知に含まれる理由は、次の通りである。すなわち、これらの入賞口センサは主制御基板60と電気的に接続されているため、遊技制御用マイコン61からのエラー検知結果を受信しなければ、枠制御用マイコン73aがエラーか否かを判断できないからである。
【0158】
なお、前述したように、主制御基板60の起動状態の影響を受けるエラー検知であるか否かを問わず、枠制御用マイコン73aが実行するエラー検知でエラーと判定された場合、枠基板表示器73fにおいてエラーコードとして表示される。同様に、枠制御用マイコン73aが実行するエラー検知でエラーと判定された場合、主制御基板60とサブ制御基板100を介して画像制御基板200にエラー情報が送信され、演出表示装置7で報知される。
【0159】
図15(a),(b)は、枠制御基板73と主制御基板60との電源オン時の通信タイミングを示す図である。
図15(a)に示すように、所定タイミングT1において電源がオンされると、電源基板70からの電力供給を受けて遊技制御用マイコン61及び枠制御用マイコン73aは、それぞれ起動を開始し、主制御処理(
図7、
図12)を実行する。前述したように、枠制御基板73には従制御基板が存在しないため、その他の制御基板の起動完了タイミングを考慮することなく、独自に主制御処理を実行する。このため、メイン側初期設定処理(S1)が完了していないが、枠側初期設定処理(S50)が完了し、枠側タイマ割込処理が実行可能な状態となっている場合がある(タイミングT2)。
【0160】
一方、主制御基板60において、メイン側初期設定処理(S1)が完了してメイン側タイマ割込処理が実行可能な状態となると(タイミングT3以降)、信号(データ・情報)がRAM64の送信バッファにセットされ、特定の制御基板に対して所定の割込周期で送信される。このときセットされる信号(データ・情報)には、起動時情報としての遊技機設置情報を含む。メイン側タイマ割込処理に含まれる出力処理(S17)によって遊技機設置情報が枠制御基板73に送信される(タイミングT4)。前述したように、遊技機設置情報は、メイン側初期設定処理が終了したときにRAM64の送信バッファにセットされる起動時情報の一種であるため、遊技機設置情報を受信した枠制御用マイコン73aは、主制御基板60の起動時処理が完了したことを認識する。これにより、枠制御用マイコン73aは、枠側タイマ割込処理に含まれるエラー検知処理を実行する(S63)。エラーが検知された場合、枠側主制御処理に含まれる出力処理(S52)によって、枠制御基板73が検知したエラー情報(以下、「枠エラー情報」と示す)が主制御基板60に送信される(タイミングT5)。このとき、主制御基板60では起動時処理が完了しているため、枠制御用マイコン73aから送信されたエラー情報を適切に受信することができる。そして、遊技制御用マイコン61は、枠制御用マイコン73aから受信したエラー情報をサブ制御基板100に送信する(タイミングT6)。
【0161】
そして、枠制御基板73のエラー結果を受信したサブ制御基板100は、枠制御基板73のエラー情報を演出表示装置7に表示させるべく、エラー報知を指示するコマンドを画像制御基板200に送信する。
【0162】
図15(b)は、主制御基板60から遊技機設置情報を受信する前、つまり、主制御基板60の起動時処理が完了する前に(タイミングT8)、枠制御用マイコン73aから主制御基板60に対してエラー情報が送信された様子を示している(タイミングT7)。この例では、主制御基板60の起動時処理が完了していないため、枠制御用マイコン73aのエラー情報を受信することができず、遊技制御用マイコン61は、当該エラー情報を正常に処理できないことになる。
【0163】
以上説明したように、枠制御用マイコン73aは、枠側タイマ割込処理を実行できる状態であっても、すぐにはエラー情報を主制御基板60へ送信せず(すぐにはエラー検知処理を実行せず)、主制御基板60の起動時処理が完了したことを認識した後に、エラー情報を主制御基板60に送信する(エラー検知処理を実行する)。本実施形態では、「遊技機設置情報」が、主制御基板60(主制御部)での起動時処理が完了したことが分かる「完了情報」の一例に相当する。
【0164】
ちなみに、エラー検知処理(S63)において、枠制御基板73内で完結するエラー検知については、遊技機設置情報の受信を待たずに実行してもよい。その一方で、主制御基板60の起動状態の影響を受けるエラー検知については、遊技機設置情報の受信を待ってから実行するようにしてもよい。本実施形態では、主制御基板60の起動状態の影響を受けるエラー判定が、本発明における「特定エラー判定」の一例に相当する。
【0165】
[第1実施形態の効果]
(1)第1実施形態のパチンコ遊技機1を実施すると、枠制御用マイコン73a(枠制御部)は、メイン側初期設定処理が完了してメイン側タイマ割込処理が実行できる状態(起動時処理が完了した状態)であることを認識した後に、遊技制御用マイコン61(主制御部)に対してエラー情報(特定情報)を送信することになる。これにより、遊技制御用マイコン61は、枠制御用マイコン73aから送信された枠エラー情報を受信し、処理することができるようになるため、遊技制御用マイコン61側で枠エラー情報の取りこぼしを抑制することができる。
【0166】
(2)また、遊技制御用マイコン61は、起動時処理が完了すると、遊技機設置情報(完了情報)を枠制御用マイコン73aに送信する。枠制御用マイコン73aは、遊技機設置情報を受信することで遊技制御用マイコン61の起動時処理が完了したことを認識する。つまり、遊技制御用マイコン61から情報が送信されるということは、遊技制御用マイコン61が他制御基板から送信された信号(データ・情報)を処理できる状態になっているということでもある。よって、複雑な制御を実行しなくても、枠制御用マイコン73aは、遊技機設置情報の受信より遊技制御用マイコン61の起動状態を知ることができる。
【0167】
(3)また、枠制御用マイコン73a及び遊技制御用マイコン61は、起動時処理が完了した後、エラー検知(S15,S63)を実行する。枠制御用マイコン73aは、遊技制御用マイコン61の起動時処理の完了を認識した後にエラー検知を実行する。これにより、主制御基板60の立ち上がりを確認できないうちに枠制御用マイコン73aからエラー検知の結果が主制御基板60に送信されてしまい、遊技制御用マイコン61がそのエラー検知の結果を受信できないという状況が発生しないため、周辺制御基板(例えば画像制御基板200)でエラー報知を実行できなくなるということがない。
【0168】
(4)また、枠制御用マイコン73aは、遊技制御用マイコン61の起動時処理の完了を認識した後、遊技制御用マイコン61の起動状態の影響を受けるエラー検知の結果を示す情報を遊技制御用マイコン61に送信する。これにより、枠制御用マイコン73aと遊技制御用マイコン61でエラーの検知結果が一致しないという不具合が生じることがない。逆に、遊技制御用マイコン61の起動状態の影響を受けずに枠制御基板73内で完結するエラー検知については、遊技制御用マイコン61は関与しないため、遊技制御用マイコン61の起動時処理が完了する前にエラー検知を実施したとしても問題は生じない。
【0169】
<第2実施形態>
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態では、主に第1実施形態と異なる点について説明する。また、第1実施形態と同一の構成又は同様に対応する構成については同一の符号及び用語を用い、図面の一部又は全部を割愛する。
【0170】
主制御基板60で検知されたエラー結果と、枠制御基板73で検知されたエラー結果は、遊技者やホール関係者等にその内容を報知するべく、最も見やすい演出表示装置7にそれぞれ表示され得る。前述したように、枠制御基板73とサブ制御基板100は、電気的に直接接続されているわけではないので、枠制御基板73で検知されたエラー結果を演出表示装置7に表示させたい場合、枠制御用マイコン73aは、主制御基板60を介して枠制御基板73のエラー情報(枠エラー情報)をサブ制御基板100に送信しなければならない。このとき、演出制御用マイコン101が枠エラー情報を受信できたとしても、画像制御基板200の起動が完了しているとは限らない。つまり、画像制御基板200の起動が完了していなければ、演出表示装置7において枠エラー情報を表示させることができない。
【0171】
本実施形態では、主制御基板60の起動完了順序をその他の制御基板に比して遅らせるために、前述したようにメイン側初期設定処理に待機処理を設定したり、電源断状態におけるリセット信号の出力期間を長くするなどして主制御基板60の起動完了順序をその他の制御基板に比して遅らせている。
【0172】
前述したように、枠制御基板73には従制御基板が存在しないことで、その他の制御基板の起動完了状態を考慮することなく枠エラー情報を送信するため、主制御基板60は、枠制御用マイコン73aから送信された枠エラー情報を受信する。前述したように、主制御基板60は、大当たり判定や遊技状態の移行など遊技の進行に関する制御を実行しなければならない。しかし、枠エラー情報を演出表示装置7で表示させるための制御は、主制御基板60が主体で実行しなければならない制御ではなく、サブ制御基板100が主体となって実行する制御である。このため、主制御基板60は、枠エラー情報をサブ制御基板100に即時送信する。本来であれば、演出制御用マイコン101も、画像制御基板200に対して枠エラー情報を即時送信したいところであるが、枠制御基板73や主制御基板60のように枠エラー情報を即時送信しても、画像制御基板200で起動時処理が完了していない場合があるため、即時送信することはできない。なぜならば、画像制御基板200は高画質の画像を表示させる等の制御を実行するため、起動完了に要する時間が長いからである。この場合、画像制御基板200の起動時処理が完了するまで、演出制御用マイコン101からの枠エラー情報の送信を待機すればよいが、画像制御基板200からサブ制御基板100への通信が許容されていないため、演出制御用マイコン101は、起動時処理が完了していることを画像制御基板200から直接把握することができない。そこで、本実施形態において演出制御用マイコン101は、電源投入情報としての電源投入コマンドを主制御基板60から受信したことを契機に、画像制御基板200が他制御基板から送信された信号(データ・情報)を受信できる状態になったと判断して、一時的に送信を待機していた枠エラー情報を画像制御基板200に送信するようになっている。本実施形態では、「枠エラー情報」が本発明の「特定情報」の一例に相当する。
【0173】
図16は、枠制御基板73、主制御基板60、サブ制御基板100、及び画像制御基板200間の電源オン時の通信タイミングを示す図である。
図16に示すように、所定タイミングT10においてパチンコ遊技機1の電源がオンされると、電源基板70からの電力供給を受け、枠制御用マイコン73a、遊技制御用マイコン61、演出制御用マイコン101、及び画像制御用CPU202は、それぞれ起動を開始し、主制御処理(
図7、
図9、
図12)を実行する。なお、枠制御用マイコン73a、遊技制御用マイコン61、演出制御用マイコン101、及び画像制御用CPU202における初期設定処理の完了タイミングは、処理内容やCPUのスペック性能などによりそれぞれ異なり得る。
【0174】
枠制御基板73には従制御基板が存在しないため、枠制御用マイコン73aは、その他の制御基板の起動完了タイミングを考慮することなく独自に枠側主制御処理を実行する。このため、枠側初期設定処理が完了すると(タイミングT11)、所定の割込パルスに従って枠側タイマ割込処理(
図13)を実行する。そして、枠側タイマ割込処理に含まれるエラー検知処理(S63)にてエラーを検知した場合、枠制御用マイコン73aは、枠エラー情報をRAM73dの送信バッファにセットし、枠側主制御処理に含まれる出力処理(S52)によって主制御基板60に送信する(タイミングT12)。つまり、枠制御用マイコン73aは、その他の制御基板の起動完了タイミングを考慮することなく、出力処理の実行タイミングでRAM73dの送信バッファに信号(データ・情報)がセットされていたならば、その情報を送信することになる。
【0175】
枠エラー情報を受信した遊技制御用マイコン61は、サブ制御基板100に対して枠エラー情報を即時送信する(タイミングT13)。例えば、遊技制御用マイコン61は、メイン側タイマ割込処理(
図8)の入力処理(S11)で枠エラー情報を受信した場合、サブ制御基板100への枠エラー情報の即時送信を優先するため、S11以降の処理をとばして先に出力処理(S17)を実行してもよい。また、枠エラー情報が主制御基板60に送信された場合には、メイン側主制御処理(
図7)の実行中であっても、サブ制御基板100への枠エラー情報の即時送信を優先的に実行させるようにしてもよい。
【0176】
サブ側初期設定処理(S20)が完了している場合(タイミングT12)、演出制御用マイコン101は、他制御基板へ信号(データ・情報)を送信可能な状態となる。しかしながら、主制御基板60から電源投入コマンドを受信するまで、画像制御基板200に対して枠エラー情報を送信しない。つまり、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から電源投入コマンドを受信するまで、枠エラー情報をRAM120において一時的に保持する。
【0177】
このとき、演出制御用マイコン101が電源投入コマンドを受信するまで画像制御基板200への枠エラー情報の送信を待機している理由は以下の通りである。前述したように、主制御基板60はその他の制御基板に比して起動完了順序が遅いため(この例ではタイミングT14)、主制御基板60から電源投入コマンドが送信されるということは(タイミングT15)、画像制御基板200の起動がほぼ完了しており(タイミングT16)、枠エラー情報の受信準備ができているということである。つまり、最も起動完了順序の遅い主制御基板60からコマンドが送信されるということは、画像制御基板200の起動時処理も完了しているということである。
【0178】
これにより、遊技制御用マイコン61は、メイン側初期設定処理が終了すると、所定の割込パルスに従ってメイン側タイマ割込処理(
図8)を実行する。このとき、RAM64の送信バッファに電源投入コマンドがセットされていたならば、遊技制御用マイコン61は、メイン側タイマ割込処理に含まれる出力処理(S17)によって電源投入コマンドをサブ制御基板100に送信する(タイミングT15)。また、遊技制御用マイコン61は、メイン側タイマ割込処理に含まれるエラー検知処理(S15)にてエラーを検知した場合、エラー情報(以下、「主エラー情報」と示す)をRAM64の送信バッファにセットし、メイン側タイマ割込処理に組み込まれる出力処理(S17)でサブ制御基板100に送信する。なお、メイン側タイマ割込処理では、各処理の実行順序が定められているが、各処理の実行タイミングにおいて実行条件が成立していなければ、次順の処理が実行されることになる。つまり、メイン側タイマ割込処理において特別動作処理(S13)やエラー検知処理(S15)よりも出力処理(S17)の実行順序が後ろに設定されているが、電源基板70から電力供給を受けて電源投入コマンドを作成した段階では大当たり判定の実行条件やエラーが発生していないため、電源投入コマンドの送信後にエラー検知処理が実行されることになる。なお、この例では、特別動作処理(S13)の後ろに出力処理(S17)を設定しているが、メイン側タイマ割込処理内であれば、その処理順序は問わない。
【0179】
図16の説明に戻り、電源投入コマンドを受信すると、演出制御用マイコン101は、画像制御基板200の起動時処理が完了して他の制御基板から送信された信号(データ・情報)を適切に処理することができる状態になっていると判断し、一時的に送信を待機していた枠エラー情報を、出力処理(S31)によって画像制御基板200に送信する(タイミングT17)。このとき、主エラー情報もRAM120の送信バッファにセットされていたならば、演出制御用マイコン101は、出力処理(S31)によって、主エラー情報も画像制御基板200に送信する。そして、画像制御用CPU202は、枠エラー情報を演出表示装置7に表示させる。
【0180】
なお、演出制御用マイコン101は、電源投入コマンドの受信を契機に画像制御基板200の起動時処理が完了していると判断していたが、画像制御基板200の起動時処理が完了していることを認識できれば、そのきっかけとなる信号(データ・情報)は、その他の信号(データ・情報)であってもよい。例えば、主制御基板60の起動が完了して通信許可状態であることを示す専用の信号(データ・情報)としてもよい。また、演出制御用マイコン101は、サブ側初期設定処理(S20)の実行中であっても、主制御基板60から送信された枠エラー情報を受信できるものとしてもよい。
【0181】
[第2実施形態の効果]
(1)第2実施形態のパチンコ遊技機1を実施すると、遊技制御用マイコン61(主制御部)から電源投入コマンド(電源投入情報)を受信するよりも前に枠制御用マイコン73a(枠制御部)から枠エラー情報(特定情報)を受信していた場合、演出制御用マイコン101(副制御部)は、遊技制御用マイコン61から電源投入コマンドを受信するまで枠エラー情報を一時的に保持し、電源投入コマンドを受信した後に枠エラー情報を画像制御基板200(演出制御部)に送信することになる。なお、遊技制御用マイコン61は、その他の制御基板に比して起動完了順序が最も遅いため、遊技制御用マイコン61から電源投入コマンドを受信したということは、サブ制御基板100の従制御基板も起動が完了しており各種情報を受信可能な状態になっている可能性が高いということである。このため、電源コマンドの受信後、演出制御用マイコン101より枠エラー情報を受信した画像制御基板200は、枠エラー情報を正確に処理することができるようになる。
【0182】
(2)仮に、遊技制御用マイコン61の起動時処理が完了した際に起動完了コマンドを演出制御用マイコン101に送信するようにし、このコマンドを受信するまで画像制御基板200への枠エラー情報の送信を待機するとする。この場合、既に画像制御基板200は他制御基板から送信された信号(データ・情報)を処理できる状態になっていたとしても、演出制御用マイコン101は、起動完了コマンドを受信するまで枠エラー情報を画像制御基板200に送信できないことになるため、画像制御基板200側で無駄な待機時間が発生してしまうことになる。しかし、本実施形態のように電源投入コマンドの受信を契機に枠エラー情報を画像制御基板200に送信することで、画像制御基板200で無駄な待機時間が発生せず、迅速にエラー報知のための制御を実行することができる。
【0183】
(3)また、遊技制御用マイコン61及び枠制御用マイコン73aは、起動時処理の後にエラー検知を実行する。枠制御用マイコン73aは、エラーを検知すると、その時点で枠エラー情報を遊技制御用マイコン61に送信する。これにより、画像制御基板200の起動時処理が完了する前に演出制御用マイコン101に対して枠エラー情報が送信されることがあるが、演出制御用マイコン101は、遊技制御用マイコン61から電源投入コマンドを受信するまでの間、枠エラー情報の送信を一時的に待機するため、画像制御基板200において枠エラー情報を取りこぼすということがない。
【0184】
(4)また、遊技制御用マイコン61は、演出制御用マイコン101に電源投入コマンドを送信した後にエラー検知を行う。演出制御用マイコン101は、電源投入コマンドを受信する前に枠エラー情報を受信していた場合、電源投入コマンドを受信するまでの間、枠エラー情報を一時的に保持し、電源投入コマンドを受信した後、枠エラー情報を画像制御基板200に送信する。これにより、画像制御基板200の起動が完了していない段階で主エラー情報及び枠エラー情報が画像制御基板200に送信されることがなく、画像制御基板200においてエラー情報を取りこぼすということがない。
【0185】
(5)画像制御基板200での信号(データ・情報)の取りこぼしを抑制すべく、主制御基板60からサブ制御基板100への枠エラー情報の送信タイミングを遅らせなくても、演出制御用マイコン101が、電源投入コマンドを受信するまで枠エラー情報の送信を待機することで、画像制御基板200での信号(データ・情報)の取りこぼしを抑制することができる。つまり、主制御基板60側で枠エラー情報の送信タイミングを調整するという余分な処理を実行する必要がないため、負担軽減に繋がる。
【0186】
<第3実施形態>
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態では、主に第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について説明する。また、第1実施形態及び第2実施形態と同一の構成又は同様に対応する構成については同一の符号及び用語を用い、図面の一部又は全部を割愛する。
【0187】
前述したように、パチンコ遊技機1では、球貸ボタン304を押下操作すると、カードユニット300が読み込んでいる価値情報から一定値が引き落とされて遊技球数の情報に変換される。これにより、遊技球数表示器18bでは、変換された遊技球数が加算されて表示される。つまり、遊技者が遊技に使用可能な遊技球数が増加する。その一方、計数ボタン34を押下操作されると、遊技球数表示器18bで表示されている遊技球数の一部が管理カード側に移動・記憶される。これにより、遊技球数表示器18bでは、移動された遊技球数が減算されて表示される。つまり、遊技者が遊技に使用可能な遊技球数が減少する。
【0188】
このようにパチンコ遊技機1では、遊技者が遊技に使用する遊技球数を、ボタン操作によって変更可能に構成されている。パチンコ遊技機1では、遊技球数の増減に用いられるこれらのボタンが操作されると、ボタン操作を受け付けたことを遊技者に知らせるために操作音がデフォルトとして出力されるようになっている。その上で、パチンコ遊技機1では、これらのボタンを押下操作したときにスピーカ8から出力される操作音を「オン」とするか「オフ」とするかを、遊技者の好みに応じて任意に変更可能とするカスタム機能を搭載している。なお、操作音としては、例えばビープ音や効果音等が出力されてもよい。
【0189】
図17(a),(b)は、パチンコ遊技機1に関する各種設定を行う際に演出表示装置7(「表示手段」に相当)に表示される設定変更画面G1(「設定画面」に相当)及び変更画面G2(「設定画面」に相当)を示す。
【0190】
図17(a)に示すように、設定変更画面G1では、設定変更項目の一例として「明るさ調整」「音量調整」「バイブ調整」の項目が表示されている。設定変更画面G1が演出表示装置7に表示されているときに操作ボタン36を操作して「音量調整」という項目を選択すると、音量調整の対象となる項目が複数表示される。この例では、音量調整の対象とする項目(部材)の一例として、「演出全般」「計数ボタン」「球貸ボタン」の項目が表示されている。「演出全般」で示す項目は、音量調整の対象が、遊技演出に伴ってスピーカ8から出力される音量全般であることを示す。「計数ボタン」で示す項目は、音量調整の対象が計数ボタン34の操作音であることを示す。「球貸ボタン」で示す項目は、音量調整の対象が球貸ボタン304の操作音であることを示す。
【0191】
図17(a)に示すように、設定変更画面G1では、いずれか1つの項目を囲うようにカーソルCが表示されており、操作ボタン36を構成する上ボタン又は下ボタンを1回押下する度にカーソルCが上下に1つずつ移動する。そして、何れかの項目をカーソルCで選択した状態で「決定」という項目を選択・決定すると、選択した項目に係る変更の実行を決定したことになる。
図17(a)の例では、「球貸ボタン」で示す項目が決定されている様子を示している。
【0192】
設定変更の対象として「球貸ボタン」が決定されると、
図17(b)に示すように、設定変更画面G1の右隣に、球貸ボタン304の操作音の出力態様を変更するための変更画面G2が表示される。この例では、「操作音オン」の項目と、「操作音オフ」の項目が表示されている。「操作音オン」の項目が選択された場合には球貸ボタン304を操作したときに操作音を出力させることが決定され、「操作音オフ」の項目が選択された場合には球貸ボタン304を操作したときに操作音を出力させないことが決定される。
【0193】
操作ボタン検出スイッチ36aから検出信号を入力した演出制御用マイコン101は、当該検出信号に基づき、設定変更の対象とする項目と、変更内容を特定し、スピーカ8や演出ボタン振動モータ9b等の動作態様を指示するコマンドを、対象の制御基板に送信する。つまり、演出制御用マイコン101は、変更画面G2において操作音の出力態様に係る設定内容が変更(この例では操作音のオン/オフ)された場合、その変更内容に合った態様となるよう、スピーカ8からの音声出力態様の変更を決定し、音声制御基板78に指示する。例えば、球貸ボタン304の操作音をオフとすることが決定された場合、演出制御用マイコン101は、音声制御基板78に対して球貸ボタン304の操作音を出力させないことを指示するコマンドを送信する。これにより、音声制御基板78は、球貸ボタン304が操作されたとしても、スピーカ8から操作音を出力させないことになる。一方、球貸ボタン304の操作音をオンとすることが決定された場合、演出制御用マイコン101は、音声制御基板78に対して球貸ボタン304の操作音を出力させることを指示するコマンドを送信する。これにより、音声制御基板78は、球貸ボタン304が操作された際にスピーカ8から操作音を出力させることになる。つまり、演出制御用マイコン101は、操作音のオンとオフを切替可能である。
【0194】
なお、設定変更画面G1は、待機状態中のみ表示されるものとしてもよいし、待機状態であるか否かを問わず、遊技者による操作手段の操作によって適宜表示されるものとしてもよい。つまり、図柄変動中や大当たり遊技中であっても遊技者による操作手段の操作によって設定変更画面G1が表示され、図柄変動中や大当たり遊技中にも、明るさや音量調整を実行できるようにしてもよい。ただし、図柄変動や大当たり遊技の視認性を低下させないよう、図柄変動や大当たり遊技中の表示画面に重ねて表示させる場合には、例えば設定変更画面G1を半透過性画像とする等が好ましい。また、この設定事項は、予め定めたリセット条件の成立によって、デフォルト値にリセットされてもよい。リセット条件の一例とは、例えば、パチンコ遊技機1の電源オフ、RAMクリアスイッチ66の押下等である。
【0195】
次に、操作音をオンとした場合と、操作音をオフとした場合の作用についてそれぞれ説明する。
図18(a)は、設定変更の対象として計数ボタン34を選択し、かつ「操作音あり」を選択した場合を示している。この場合、計数ボタン34が操作される度に操作音が出力されることになる。
【0196】
前述したように、計数ボタン34を短押し操作した場合、遊技球数表示器18bに表示されている遊技球数が1操作につき1球ずつ減算される一方で、計数ボタン34を長押し操作した場合、遊技球数表示器18bに表示されている遊技球数が1操作につき250球ずつ減算される。長押し操作すると遊技球が250球単位で減少するため、1球単位で遊技球を管理カードに移動させることを望む場合、遊技者は、移動させたい球数と同じ回数だけ計数ボタン34を短押し操作することになる。この場合、計数ボタン34の操作回数と同数だけ、スピーカ8から操作音が出力されることになる。例えば、計数ボタン34の短押し操作を1分間に50回行った場合には、1分間に50回操作音が出力される状態となる。このとき、例えば、1回の短押し操作につき、操作音としてビープ音が1秒間出力されるものとすると、1分間で合計50秒もの間、ビープ音が出力されることとなる。
【0197】
図18(b)は、設定変更の対象として計数ボタン34を選択し、かつ「操作音なし」を選択した場合を示している。
図18(a)の例と同じく、250球単位ではなく1球単位で遊技球を管理カードに移動させることを望む場合、遊技者は、移動させたい球数と同じ回数だけ計数ボタン34を短押し操作することになる。この場合、計数ボタン34が操作される度に遊技球数表示器18bに表示されている遊技球数が1球ずつ減算されるが、計数ボタン34の「操作音なし」を選択していることで、その操作に伴ってスピーカ8から操作音が出力されることはない。なお、
図18の例では、計数ボタン34に対する操作音のオン/オフ切替について説明したが、球貸ボタン304に対する操作音についても、計数ボタン34と同様にオン/オフの切替操作が可能である。
【0198】
本実施形態では、操作ボタン36が、本発明における「設定内容変更操作手段」の一例である。また、計数ボタン34又は球貸ボタン304が操作されたときに出力される操作音のオン/オフが、本発明における「操作音の出力態様」の一例である。また、変更画面G2での設定内容(操作音をオンとするかオフとするか)に従って操作音の出力態様を制御する演出制御用マイコン101及び音声制御基板78は、本発明における「操作音変更手段」の一例である。
【0199】
[第3実施形態の効果]
(1)第3実施形態のパチンコ遊技機1を実施すれば、遊技者が遊技に用いる遊技球数を変更する際に操作する計数ボタン34(操作手段)又は球貸ボタン304(操作手段)を操作したときに出力される操作音のオン/オフ(操作音の出力態様)を変更できるようになり、遊技者の好みに応じて操作音を自由に調節することが可能となる。
【0200】
(2)また、操作手段は、1回の操作で遊技に使用する遊技媒体数を所定数だけ増加させる球貸ボタン304(第1操作手段)と、1回の操作で遊技に使用する遊技媒体数から所定数を減算させる計数ボタン34(第2操作手段)と、を含む。そして、演出制御用マイコン101は、球貸ボタン304及び計数ボタン34のうち少なくとも何れか一方が操作されたときにスピーカ8から出力される操作音の出力態様を変更する。これによれば、遊技媒体の増減に係る操作手段が複数あるが、どの操作手段の操作音に対しても、遊技者の好みに応じて自由に調節することが可能となる。
【0201】
(3)また、計数ボタン34の1回あたりの操作時間が規定時間に到達しているか否かに応じて、1回の操作で減算する遊技媒体数を異ならせるようにした。1回あたりの操作時間が規定時間に到達している場合には1回の操作で多数の遊技媒体を記憶媒体に移動させることができるが、規定時間に到達していない場合には1回の操作で少量ずつしか遊技媒体を移動させることができない。規定時間に満たない操作を連続して行うと、その操作回数と同数だけ操作音が出力されることになる。ここで、計数ボタン34の操作音をオフとすることで、遊技媒体を少量ずつ移動させたいが操作音を煩わしく感じる遊技者に対して、操作音に関する不快感を解消することができる。
【0202】
(4)また、遊技に使用する遊技媒体数を変更する際に操作する操作手段(計数ボタン34、球貸ボタン304)の操作音のオンとオフを切り替えられるようにすることで、操作音を出力させたくないような場合には操作音を出さないようにすることができ、操作音を鬱陶しく感じるような状況下での煩わしさを解消することができる。
【0203】
(5)また、パチンコ遊技機1は、遊技に関する各種設定を行うための設定変更画面G1及び変更画面G2(設定画面)を表示する演出表示装置7(表示手段)と、設定変更画面G1及び変更画面G2に表示された設定項目の設定内容を変更するために遊技者が操作可能な操作ボタン36(設定内容変更操作手段)と、を有する。演出制御用マイコン101は、変更画面G2で操作音の出力態様に係る設定内容が変更された場合に、その変更内容に合った態様で操作音の出力態様を変更する。遊技者の好みに応じて各種設定を行うための設定画面における設定項目に、遊技に使用する遊技球数を変更する際に操作する操作手段の操作音に係る変更項目を設けたことで、特殊な条件設定等を必要とすることなく、簡単な操作で遊技に使用する遊技媒体の数を変更する際に操作する操作手段の操作音を変更することができる。
【0204】
<他の実施形態>
以下、変更例について説明する。なお、以下の変更例は、互いに適宜組み合わせることが可能である。
【0205】
(第1実施形態に係る変更例)
・主制御基板60の起動時処理が完了していることを把握するための信号(データ・情報)は「遊技機設置情報」に限られない。例えば「電源投入コマンド」であってもよい。また、起動時処理が完了していることを示す専用のコマンドを、遊技制御用マイコン61から枠制御用マイコン73aに送信するようにしてもよい。また、信号(データ・情報)の通信より遊技制御用マイコン61の起動状態を把握するのではなく、例えば、枠制御基板73に発光ダイオードを設け、遊技制御用マイコン61の起動時処理が終了した際には発光ダイオードを点灯させ、この点灯より、枠制御用マイコン73aが、遊技制御用マイコン61の起動時処理が完了していることを認識できるようにしてもよい。また、主制御基板60の起動完了に要する時間が定まっている場合、電源投入後、主制御基板60の起動に要する時間が経過した後に、枠制御用マイコン73aが枠エラー情報を主制御基板60に送信するようにしてもよい。
【0206】
・実施形態において枠制御用マイコン73aは、遊技制御用マイコン61の起動時処理が完了した後にエラー情報を遊技制御用マイコン61に送信していたが、遊技制御用マイコン61の立ち上がりを確認してから遊技制御用マイコン61に送信する情報(本発明の「特定情報」に相当)は、エラー情報に限られない。例えば、遊技球数に係る情報等であってもよい。
【0207】
・枠制御基板73内で完結するエラー情報は、遊技制御用マイコン61の起動時処理が完了する前に送信してもよい。
・枠制御用マイコン73aは、主制御基板60の起動状況を考慮することなく、所定の割込周期に従ってエラー検知処理(S63)を実行するが、主制御基板60の起動状態の影響を受けるエラー情報のみ、遊技機設置情報の受信後に主制御基板60に送信するようにしてもよい。また、全てのエラー検知を遊技機設置情報の受信後に実行するようにしてもよい。また、全てのエラー情報を遊技機設置情報の受信後に送信するようにしてもよい。
【0208】
・エラー検知処理の実行タイミングに関し、枠制御基板73内で完結するエラー検知については遊技制御用マイコン61の起動状態を考慮することなく実行し、主制御基板60の起動状態の影響を受けるエラー検知については遊技制御用マイコン61の起動時処理の終了後に実行するようにしてもよい。
【0209】
(第2実施形態に係る変更例)
・演出制御用マイコン101が画像制御基板200の起動時処理が完了していることを認識することができれば、その契機となる信号(データ・情報)は、「電源投入コマンド」に限られない。例えば、「遊技機設置情報」であってもよい。また、画像制御基板200の起動時処理が完了していることを示す専用のコマンドを、遊技制御用マイコン61から演出制御用マイコン101に送信するようにしてもよい。また、信号(データ・情報)の通信より画像制御基板200の起動状態を把握するのではなく、例えば、サブ制御基板100に発光ダイオードを設け、画像制御基板200の起動時処理が終了した際には発光ダイオードを点灯させ、この点灯より、演出制御用マイコン101が、画像制御基板200の起動時処理が完了していることを認識できるようにしてもよい。また、画像制御基板200の起動完了に要する時間が定まっている場合、電源投入後、画像制御基板200の起動に要する時間が経過した後に、演出制御用マイコン101が枠エラー情報を画像制御基板200に送信するようにしてもよい。
【0210】
・実施形態において演出制御用マイコン101は、画像制御基板200の起動時処理が完了するまで枠エラー情報の送信を一時的に待機していたが、一時待機の対象とする信号(データ・情報)は、枠エラー情報に限られない。
【0211】
・例えば、主制御基板60を除くその他複数の基板を1つの基板とした場合、演出制御用マイコン101が、画像制御基板200の役割を担うことになる。遊技制御用マイコン61を介して枠エラー情報を受信した場合、演出制御用マイコン101は、画像表示のための準備が完了するまで演出表示装置7でのエラー表示を一時的に待機することになる。
【0212】
(第3実施形態に係る変更例)
・操作音の出力態様の変更例として、操作音に係る音量を遊技者の好みに応じて変更できるようにしてもよい。また、現在の操作音を別の操作音に変更できるようにしてもよい。例えば、操作音の選択肢として「ビープ音」「チャイム音」「キャラクタの声」の3パターンを設け、選択された音にて操作音を出力してもよい。また、ボタンの種類に応じて選択対象となる操作音の種類を異ならせてもよい。また、操作音のテンポを変更できるようにしてもよい。また、計数する遊技球数が多くなるにつれて操作音が小さくなるよう設定可能としてもよい。例えば、250球までは音量レベル10で操作音が出力されるが、500球に到達すると音量レベル9で操作音が出力されるようにしてもよい。
【0213】
・計数ボタン34及び球貸ボタン304を押しボタン形状としたが、遊技者が操作可能であればその形状は実施形態の例に限られるものではない。例えば、タッチパネル式としてもよいし、ジョイスティック型としてもよい。
【0214】
・実施形態において、第2ボタンの一例に返却ボタン33を含めてもよい。
・操作音の出力態様を変更可能とする操作手段は、計数ボタン34と球貸ボタン304のうちいずれか1つとしてもよい。
【0215】
・操作音を変更するための設定変更画面G1及び変更画面G2は、ホール関係者等しか操作できない操作手段の操作によって表示されるものとしてもよい。すなわち、遊技者が自由に操作音を変更できなくてもよい。
【0216】
・カードユニット300にスピーカが搭載されている場合、球貸ボタン304及び計数ボタン34の操作音は、カードユニット300に搭載されたスピーカから送信されてもよい。
【0217】
・パチンコ遊技機1の設定変更画面G1にて操作音の変更を行わなくとも、遊技者が所有するスマートフォンのような外部機器より操作音の出力態様を事前に変更できるようにしてもよい。この場合、遊技開始時に、遊技者が所有する外部機器とパチンコ遊技機1で通信を行い、外部機器から取得した情報に従って操作音に関する設定が変更されることになる。
【0218】
(その他)
・通常ベース値は、遊技制御用マイコン61ではなく、枠制御用マイコン73aが演算してもよい。
【0219】
・枠制御基板73を内枠24に配置したが、その配置箇所は内枠24に限られない。
・遊技を行うための価値情報が記録される記録媒体は、管理カードに限られず、例えば、通信によって遊技者が所有する外部機器に記録されてもよい。
【0220】
・大入賞口(大入賞装置)は、複数(例えば2つ)あってもよい。
・パチンコ遊技機1として、第1特別図柄のみを変動させて行うパチンコ遊技機に具体化してもよい。
【0221】
・また上記実施形態は、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機であってもよいし、いわゆるV確機(大入賞口内の特定領域(V領域)の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成してもよい。また、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)や転落機(抽選結果によって高確率状態が終了する遊技機)として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。
【0222】
・上記実施形態は、封入式パチンコ遊技機を前提として説明したが、封入式スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)に適用してもよい。
以上、実施形態及び変更例に基づき、本発明に係る構成について説明したが、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本実施形態の例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0223】
1 パチンコ遊技機
3 遊技領域
4 ハンドル
7 演出表示装置
8 スピーカ
18 前枠
18b 遊技球数表示器
26 貯留装置
30 大入賞装置
31 開閉部材
32 大入賞口
33 返却ボタン
34 計数ボタン
36 操作ボタン
60 主制御基板
61 遊技制御用マイコン
66 RAMクリアスイッチ
70 電源基板
73 枠制御基板
73a 枠制御用マイコン
78 音声制御基板
90 発射装置
100 サブ制御基板
101 演出制御用マイコン
200 画像制御基板
202 画像制御用CPU
300 カードユニット
304 球貸ボタン
306 SC基板
G1 設定変更画面
G2 変更画面
HC ホールコンピュータ
SW1 遊技球数クリアスイッチ