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特開2024-126890作業機械、作業機械の制御方法及び制御弁装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126890
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】作業機械、作業機械の制御方法及び制御弁装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20240912BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F15B11/00 D
E02F9/22 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035622
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】関口 雄介
(72)【発明者】
【氏名】和知 可奈子
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AB03
2D003BA01
2D003DB02
3H089BB04
3H089BB27
3H089CC01
3H089CC12
3H089DA03
3H089DB46
3H089DB49
3H089DB54
3H089EE36
3H089GG02
3H089HH05
3H089JJ02
(57)【要約】
【課題】制御弁装置を小型化可能な作業機械、作業機械の制御方法及び制御弁装置を提供する。
【解決手段】制御弁装置40は、第1ボディ41と第2ボディ42を有する。第1ボディ41は、第1制御弁V1を含む。第1制御弁V1は、ブーム14の下降動作中、ブームシリンダ16のボトム室16aから流出する作動油を排出可能である。第2ボディ42は、第2制御弁V2を含む。第2制御弁V2は、ブーム14の下降動作中、ブームシリンダ16のボトム室16aから流出する作動油を排出可能であり、かつ、ブーム14の下降動作及び上昇動作以外の所定の動作中、アキュムレータ70にブームシリンダ16のボトム室16aを連通可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ポンプと、
ブームを含む作業機と、
ボトム室及びロッド室を含み、前記ブームを駆動させる油圧シリンダと、
前記ボトム室における圧力変動を抑制する圧力変動抑制機構と、
前記油圧ポンプ、前記油圧シリンダ及び前記圧力変動抑制機構の間における作動油の流れを制御する制御弁装置と、
を備え、
前記制御弁装置は、
前記ブームの下降動作中、前記ボトム室から流出する作動油を排出可能な第1制御弁を含む第1ボディと、
前記ブームの下降動作中、前記ボトム室から流出する作動油を排出可能であり、かつ、前記ブームの下降動作及び上昇動作以外の所定の動作中、前記圧力変動抑制機構に前記ボトム室を連通可能な第2制御弁を含む第2ボディと、
を有する作業機械。
【請求項2】
前記第1ボディと前記第2ボディは、積層されており、
前記制御弁装置は、前記ブームの下降動作中に前記ボトム室から流出する作動油を前記第1制御弁及び前記第2制御弁に分配する中間油路を含む、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記ブームの下降動作中に前記ボトム室から流出する作動油の流量は、前記ブームの上昇動作中に前記ロッド室から流出する作動油の流量より多い、
請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項4】
ブームの下降動作中、制御弁装置を介して、前記ブームを駆動させる油圧シリンダのボトム室から流出する作動油を排出する第1工程と、
前記ブームの下降動作及び上昇動作以外の所定の動作中、前記制御弁装置を介して、前記ボトム室における圧力変動を抑制する圧力変動抑制機構に前記ボトム室を連通させる第2工程と、
を備え、
前記制御弁装置は、
前記第1工程において、前記ボトム室から流出する作動油を排出可能な第1制御弁を含む第1ボディと、
前記第1工程において、前記ボトム室から流出する作動油を排出可能であり、かつ、前記第2工程において、前記圧力変動抑制機構に前記ボトム室を連通可能な第2制御弁を含む第2ボディと、
を有する、
作業機械の制御方法。
【請求項5】
油圧ポンプ、ブームを駆動させる油圧シリンダ、及び前記油圧シリンダのボトム室における圧力変動を抑制する圧力変動抑制機構の間における作動油の流れを制御する制御弁装置であって、
前記ブームの下降動作中、前記ボトム室から流出する作動油を排出可能な第1制御弁を含む第1ボディと、
前記ブームの下降動作中、前記ボトム室から流出する作動油を排出可能であり、かつ、前記ブームの下降動作及び上昇動作以外の所定の動作中、前記圧力変動抑制機構に前記ボトム室を連通可能な第2制御弁を含む第2ボディと、
を備える制御弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械、作業機械の制御方法及び制御弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バケットなどのアタッチメントが取り付けられるブームと、ブームを駆動させるブームシリンダとを備える作業機械(ホイールローダなど)が広く用いられている。
【0003】
ブームのリフト力を向上させるにはブームシリンダの内径を大きくすることが好ましい。しかしながら、ブームの上昇速度よりブームの下降速度の方が速いため、ブームシリンダの内径を大きくするとブームの下降中にブームシリンダのボトム室から流出する作動油の流量が顕著に多くなる。そのため、1つの制御弁を用いてブームシリンダのボトム室から流出する作動油を排出すると、制御弁にエロ―ジョンが発生するおそれがある。
【0004】
ここで、特許文献1には、ブーム弁ボディ、増速弁ボディ及びライド弁ボディが積層された制御弁装置が開示されている。ブーム弁ボディは、ブームの下降中にブームシリンダのボトム室から流出する作動油を流通させるブーム弁と、当該作動油を排出するための油路とを含む。増速弁ボディは、ブームの下降中にブームシリンダのボトム室から流出する作動油を流通させるブーム弁と、当該作動油を排出するための油路とを含む。ライド弁ボディは、ブームの下降以外の所定の動作中にブームシリンダのボトム室をアキュムレータに繋げるための油路を含む。
【0005】
特許文献1に記載の制御弁装置によれば、ブーム弁及び増速弁の2つの制御弁を用いてブームシリンダのボトム室から流出する作動油を排出できるため、排出される作動油の流量を大きくしながら、各制御弁にエロ―ジョンが発生することを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/035883号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の制御弁装置では、ブーム弁ボディ、増速弁ボディ及びライド弁ボディの3つのボディを積層する必要があるため、制御弁装置を設置するために大きなスペースを確保しなければならない。
【0008】
本開示は、制御弁装置を小型化可能な作業機械、作業機械の制御方法及び制御弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1側面に係る作業機械は、油圧ポンプと、ブームを含む作業機と、ボトム室及びロッド室を含み、ブームを駆動させる油圧シリンダと、ボトム室における圧力変動を抑制する圧力変動抑制機構と、油圧ポンプ、油圧シリンダ及び圧力変動抑制機構の間における作動油の流れを制御する制御弁装置とを備える。制御弁装置は、第1制御弁を含む第1ボディと、第2制御弁を含む第2ボディとを有する。第1制御弁は、ブームの下降動作中、ボトム室から流出する作動油を排出可能である。第2制御弁は、ブームの下降動作中、ボトム室から流出する作動油を排出可能であり、かつ、ブームの下降動作及び上昇動作以外の所定の動作中、圧力変動抑制機構にボトム室を連通可能である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、制御弁装置を小型化可能な作業機械、作業機械の制御方法及び制御弁装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ホイールローダの側面図である。
図2】油圧システムの構成を示す模式図である。
図3】油圧回路の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(ホイールローダ10の概要)
図1は、本実施形態に係るホイールローダ10の全体構成を示す側面図である。ホイールローダ10は、本開示に係る「作業機械」の一例である。
【0013】
ホイールローダ10は、本体1及び作業機3を備える。本体1及び作業機3は、ホイールローダ10の車体20を構成する。
【0014】
本体1は、車体フレーム2、一対のフロントタイヤ4、キャブ5、エンジンルーム6、一対のリアタイヤ7、及びアーティキュレートシリンダ8を有する。車体フレーム2、一対のフロントタイヤ4及び一対のリアタイヤ7は、ホイールローダ10の走行体を構成する。
【0015】
車体フレーム2は、いわゆるアーティキュレート式のフレームである。車体フレーム2は、フロントフレーム11、リアフレーム12及び連結軸部13を含む。フロントフレーム11は、リアフレーム12の前方に配置される。連結軸部13は、フロントフレーム11とリアフレーム12とを回動可能に連結する。リアフレーム12に対するフロントフレーム11の角度は、アーティキュレートシリンダ8の伸縮によって調整される。
【0016】
一対のフロントタイヤ4は、フロントフレーム11の左右に取り付けられる。一対のリアタイヤ7は、リアフレーム12の左右に取り付けられる。なお、本明細書において、前後左右の各方向は、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の角度がゼロである状態、すなわち、フロントフレーム11とリアフレーム12が真っすぐな状態において定義される。特に、左右とは、キャブ5から進行方向(すなわち、前方)を向いたときの左右方向を意味する。
【0017】
作業機3は、本体1に取り付けられる。作業機3は、種々の作業(例えば、土砂の積み込み作業、土砂の排出作業など)に用いられる。作業機3は、後述する油圧ポンプ50から吐出される作動油によって駆動される。作業機3は、ブーム14、バケット15、一対のブームシリンダ16、バケットシリンダ17及びベルクランク18を有する。ブーム14は、フロントフレーム11に対して上下動可能に取り付けられる。バケット15は、ブーム14の先端に取り付けられる。
【0018】
ブームシリンダ16及びバケットシリンダ17は、作業機3を駆動するための油圧シリンダである。ブームシリンダ16は、フロントフレーム11及びブーム14に連結される。ブームシリンダ16は、ブーム14を駆動させる。ブームシリンダ16の伸縮によってブーム14は上下に動作する。ブームシリンダ16は、本開示に係る「油圧シリンダ」の一例である。バケットシリンダ17は、フロントフレーム11及びベルクランク18に連結される。バケットシリンダ17は、ベルクランク18を介してバケット15を駆動させる。バケットシリンダ17の伸縮によってバケット15は上下に動作する。
【0019】
キャブ5は、リアフレーム12上に載置される。キャブ5の内部には、図示しない操向用のステアリングホイール、作業機3を操作するための操作レバー、各種ペダル、各種スイッチ、表示装置などが配置される。
【0020】
エンジンルーム6は、キャブ5の後側においてリアフレーム12上に配置される。エンジンルーム6には、図示しないエンジンが配置される。エンジンルーム6の後方には、カウンタウェイト6aが配置される。カウンタウェイト6aは、リアフレーム12の後端部上に配置される。
【0021】
(油圧システム30)
図2は、ホイールローダ10の油圧システム30を示す模式図である。
【0022】
油圧システム30は、ブームシリンダ16、バケットシリンダ17、制御弁装置40、油圧ポンプ50、作動油タンク60、及びアキュムレータ70を備える。
【0023】
ブームシリンダ16は、ボトム室16aとロッド室16bを有する。バケットシリンダ17は、ボトム室17aとロッド室17bを有する。
【0024】
制御弁装置40は、ブームシリンダ16、油圧ポンプ50及びアキュムレータ70の間における作動油の流れを制御する。また、制御弁装置40は、バケットシリンダ17及び油圧ポンプ50の間における作動油の流れを制御する。
【0025】
制御弁装置40は、第1ボディ41、第2ボディ42、及び第3ボディ43を有する。第1乃至第3ボディ41~43は、積層されている。本実施形態において、第1ボディ41は、第2ボディ42と第3ボディ43の間に挟まれている。第1及び第2ボディ41,42は、合わせ面F1において接触している。第1及び第3ボディ41,43は、合わせ面F2において接触している。
【0026】
第1乃至第3ボディ41~43は、1つのブロック体として構成される。第1乃至第3ボディ41~43の積層方向は特に限られないが、例えば上下方向に積層することができる。第1乃至第3ボディ41~43を上下方向に積層する場合、第2ボディ42を最上段に配置してもよいし、第3ボディ43を最上段に配置してもよい。なお、制御弁装置40は、第1乃至第3ボディ41~43に積層される他のボディを更に有していてもよい。
【0027】
なお、本実施形態では、第1ボディ41と第2ボディ42が積層された構成は必須の構成であるが、第1ボディ41と第3ボディ43が積層された構成は任意の構成である。
【0028】
制御弁装置40は、配管P1を介して作動油タンク60と接続される。制御弁装置40は、配管P2を介して油圧ポンプ50と接続される。第1ボディ41は、配管P3を介してブームシリンダ16のボトム室16aと接続され、配管P4を介してブームシリンダ16のロッド室16bと接続される。第2ボディ42は、配管P5を介してアキュムレータ70と接続される。第3ボディ43は、配管P6を介してバケットシリンダ17のボトム室17aと接続され、配管P7を介してバケットシリンダ17のロッド室17bと接続される。
【0029】
油圧ポンプ50は、作動油タンク60から吸引した作動油を制御弁装置40に吐出する。油圧ポンプ50は、エンジンの動力によって作動する。油圧ポンプ50としては、例えば可変容量型のギヤポンプを用いることができる。
【0030】
作動油タンク60は、制御弁装置40から排出された作動油を貯留する。作動油タンク60に貯留された作動油は、油圧ポンプ50に吸引される。
【0031】
アキュムレータ70は、本開示に係る「圧力変動抑制機構」の一例である。アキュムレータ70は、作動油を貯留している。アキュムレータ70は、ブームシリンダ16のボトム室16aに接続されると、ボトム室16aにおける圧力変動を抑制する。これによって、作業機3の振動が減衰される。アキュムレータ70は、ブーム14の下降動作及び上昇動作以外の所定の動作中に作動する。所定の動作としては、ホイールローダ10の走行動作が主に想定される。ただし、走行中であってもアキュムレータ70を動作させる必要がなければ、アキュムレータ70の作動を停止してもよい。また、走行動作以外の動作中においても必要に応じてアキュムレータ70を作動させてもよい。
【0032】
ここで、図3は、制御弁装置40のうち第1及び第2ボディ41,42と、ブームシリンダ16と、油圧ポンプ50と、作動油タンク60と、アキュムレータ70との間における油圧回路の構成図である。
【0033】
第1ボディ41は、第1制御弁V1、第1排出油路L1、第2排出油路L2、供給油路L3、中間油路L4、第1流通油路L5、及び第2流通油路L6を有する。
【0034】
第1制御弁V1は、第1ボディ41内に形成される。第1制御弁V1は、油圧ポンプ50から吐出される作動油をブームシリンダ16に供給することによって、ブームシリンダ16の動作を制御する。
【0035】
第1制御弁V1の両端部には、一対のパイロット室S1,S2が形成されている。パイロット室S1,S2それぞれは、操作レバーなどによって操作される圧力比例減圧弁(不図示)を介してパイロット圧を受ける。パイロット室S1,S2に作用するパイロット圧と、第1制御弁V1の両端に作用するバネ圧とによって、第1制御弁V1は、下降位置(D1)、中立位置(N1)及び上昇位置(U)の3位置に切り替え可能である。ブーム14が下降する場合、第1制御弁V1は、中立位置(N1)から下降位置(D1)に切り替えられる。ブーム14が上昇する場合、第1制御弁V1は、中立位置(N1)から上昇位置(U)に切り替えられる。アキュムレータ70が作動する場合、第1制御弁V1は、中立位置(N1)に保持される。なお、圧力比例減圧弁の操作は、図示しないコントローラによって行われる。
【0036】
第1排出油路L1は、第1制御弁V1の第1ポートA1と、作動油タンク60に繋がる配管P1とに接続される。第2排出油路L2は、第1排出油路L1と、後述する第2ボディ42の排出油路M1とに接続される。第2排出油路L2は、合わせ面F1に開口する。供給油路L3は、第1制御弁V1の第2ポートA2と、油圧ポンプ50に繋がる配管P2とに接続される。
【0037】
中間油路L4は、第1制御弁V1の第3ポートA3と、後述する第2ボディ42の中間油路M2とに接続される。中間油路L4は、合わせ面F1に開口する。本開示に係る「中間油路」は、第1ボディ41の中間油路L4と、第2ボディ42の中間油路M2とによって構成される。
【0038】
第1流通油路L5は、中間油路L4と、ブームシリンダ16のボトム室16aに繋がる配管P3とに接続される。第2流通油路L6は、第1制御弁V1の第4ポートA4と、ブームシリンダ16のロッド室16bに繋がる配管P4とに接続される。
【0039】
第2ボディ42は、第2制御弁V2、排出油路M1、中間油路M2、及び流通油路M3を有する。
【0040】
第2制御弁V2は、第2ボディ42内に形成される。第2制御弁V2は、ブームシリンダ16のボトム室16aから流出する作動油を排出し、また、ブームシリンダ16とアキュムレータ70の連通及び遮断を切り替える。アキュムレータ70の作動を制御する。第2制御弁V2の両端部には、一対のパイロット室S3,S4が形成されている。パイロット室S3,S4それぞれは、操作レバーなどによって操作される圧力比例減圧弁(不図示)を介してパイロット圧を受ける。パイロット室S3,S4に作用するパイロット圧と、第2制御弁V2の両端に作用するバネ圧とによって、第2制御弁V2は、下降位置(D2)、中立位置(N2)及び制振位置(Y)の3位置に切り替え可能である。ブーム14が下降する場合、第2制御弁V2は、中立位置(N2)から下降位置(D2)に切り替えられる。ブーム14が上昇する場合、第2制御弁V2は、中立位置(N2)に保持される。アキュムレータ70が作動する場合、第2制御弁V2は、中立位置(N2)から制振位置(Y)に切り替えられる。なお、圧力比例減圧弁の操作は、図示しないコントローラによって行われる。
【0041】
排出油路M1は、第2制御弁V2の第1ポートB1と、第1ボディ41の第2排出油路L2とに接続される。排出油路M1は、合わせ面F1に開口する。
【0042】
中間油路M2は、第2制御弁V2の第2ポートB2と、第1ボディ41の中間油路L4とに接続される。中間油路M2は、合わせ面F1に開口する。上述の通り、本開示に係る「中間油路」は、第1ボディ41の中間油路L4と、第2ボディ42の中間油路M2とによって構成される。
【0043】
流通油路M3は、第2制御弁V2の第3ポートB3と、アキュムレータ70に繋がる配管P5とに接続される。
【0044】
(作動油の流れ方)
油圧システム30における作動油の流れ方について図3を参照しながら説明する。
【0045】
ブーム14を上昇させる場合、第1制御弁V1は中立位置(N1)から上昇位置(U)に切り替えられ、かつ、第2制御弁V2は中立位置(N2)に保持される。
【0046】
油圧ポンプ50から吐出された作動油は、配管P2、第1ボディ41の供給油路L3、第1制御弁V1(第2ポートA2→第3ポートA3)、中間油路L4、第1流通油路L5を順次通過した後、配管P3を通ってブームシリンダ16のボトム室16aに供給される。
【0047】
ブームシリンダ16のロッド室16bから流出した作動油は、配管P4、第1ボディ41の第2流通油路L6、第1制御弁V1(第4ポートA4→第1ポートA1)、第1排出油路L1を順次通過した後、配管P1を通って作動油タンク60に排出される。
【0048】
このように、ブーム14の上昇動作中、ブームシリンダ16のロッド室16bから流出する作動油は、第1ボディ41の第1制御弁V1のみを介して排出される。
【0049】
ブーム14を下降させる場合、第1制御弁V1は中立位置(N1)から下降位置(D1)に切り替えられ、かつ、第2制御弁V2は中立位置(N2)から下降位置(D2)に切り替えられる。
【0050】
油圧ポンプ50から吐出された作動油は、配管P2、第1ボディ41の供給油路L3、第1制御弁V1(第2ポートA2→第4ポートA4)、第2流通油路L6を順次通過した後、配管P4を通ってブームシリンダ16のロッド室16bに供給される。
【0051】
ブームシリンダ16のボトム室16aから流出した作動油は、配管P3、第1ボディ41の第1流通油路L5を順次通過した後、中間油路L4に流入する。中間油路L4に流入した作動油は、第1制御弁V1側と第2制御弁V2側の二手に分配される。第1制御弁V1側に分配された作動油は、中間油路L4、第1制御弁V1(第3ポートA3→第1ポートA1)、第1排出油路L1を順次通過した後、配管P1を通って作動油タンク60に排出される。第2制御弁V2側に分配された作動油は、中間油路L4から第2ボディ42の中間油路M2に流入する。第2ボディ42の中間油路M2に流入した作動油は、中間油路M2、第2制御弁V2(第2ポートB2→第1ポートB1)、排出油路M1を順次通過した後、第1ボディ41の第2排出油路L2に流入する。第1ボディ41の第2排出油路L2に流入した作動油は、第2排出油路L2、第1排出油路L1を順次通過した後、配管P1を通って作動油タンク60に排出される。
【0052】
このように、ブーム14の下降動作中、ブームシリンダ16のボトム室16aから流出する作動油は、第1ボディ41の第1制御弁V1と第2ボディ42の第2制御弁V2を介して排出される。この工程は、本開示に係る「第1工程」の一例である。ブーム14の下降動作中にブームシリンダ16のボトム室16aから流出する作動油の流量は、上述したブーム14の上昇動作中にブームシリンダ16のロッド室16bから流出する作動油の流量より多いことが好ましい。これによって、ブームシリンダ16のボトム室16aから作動油を速やかに排出できるため、ブーム14の速やかな下降に対応することができる。
【0053】
アキュムレータ70を作動させる場合、第1制御弁V1は中立位置(N1)に保持され、かつ、第2制御弁V2は中立位置(N2)から制振位置(Y)に切り替えられる。これによって、ブームシリンダ16のボトム室16aとアキュムレータ70は、配管P3、第1流通油路L5、中間油路L4、中間油路M2、第2制御弁V2(第2ポートB2→第3ポートB3)、流通油路M3及び配管P5を介して連通する。その結果、作業機3の振動が減衰される。この工程は、本開示に係る「第2工程」の一例である。
【0054】
(特徴)
本実施形態に係る制御弁装置40は、第1ボディ41と第2ボディ42を有する。第1ボディ41は、第1制御弁V1を含む。第1制御弁V1は、ブーム14の下降動作中、ブームシリンダ16のボトム室16aから流出する作動油を排出可能である。第2ボディ42は、第2制御弁V2を含む。第2制御弁V2は、ブーム14の下降動作中、ブームシリンダ16のボトム室16aから流出する作動油を排出可能であり、かつ、ブーム14の下降動作及び上昇動作以外の所定の動作中、アキュムレータ70にブームシリンダ16のボトム室16aを連通可能である。
【0055】
従って、ブーム14の下降動作中、第1ボディ41の第1制御弁V1だけでなく、従来は利用されていなかった第2ボディ42の第2制御弁V2を利用することによって、ブームシリンダ16のボトム室16aから流出する作動油を速やかに排出させることができる。また、アキュムレータ70を作動させるための第2制御弁V2を作動油の排出のために流用できるため、国際公開第2005/035883号に開示されているようにライド弁を含むライド弁ボディとは別に増速弁を含む増速弁ボディを設ける必要がない。よって、制御弁装置40を小型化することができる。
【0056】
また、ブームシリンダ16のボトム室16aから流出する作動油を第1及び第2制御弁V1,V2に分配できるため、排出される作動油の流量を大きくしながら、第1及び第2制御弁V1,V2それぞれにエロ―ジョンが発生することを抑制できる。従って、ブームシリンダ16の内径を大きくして作業機3のリフト力を向上させたとしても、制御弁装置40の耐久性が低くなることを抑制できる。
【0057】
さらに、従来のアキュムレータ用の制御弁に流路(第2ポートB2→第1ポートB1)を追加で形成するとともに当該制御弁を収容するボディに油路(排出油路M1)を追加で形成することによって、本実施形態に係る第2ボディ42を作製できる。そのため、従来のアキュムレータ用のボディを流用できるため、制御弁装置40の製造コストの増大を抑制できる。
【0058】
(実施形態の変形例)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0059】
[変形例1]
上記実施形態では、作業機械の一例としてホイールローダについて説明したが、これに限られない。作業機械としては、例えば、油圧ショベル、モータグレーダなどが挙げられる。
【0060】
[変形例2]
上記実施形態では、第1ボディ41及び第2ボディ42が積層されていることとしたが、これに限られない。第1ボディ41と第2ボディ42との間には他のボディ(例えば、バケット制御弁を含むボディ)が介挿されていてもよい。
【0061】
[変形例3]
上記実施形態では、圧力変動抑制機構の一例としてアキュムレータについて説明したが、これに限られない。圧力変動抑制機構は、ボトム室における圧力変動を抑制できるものであればよい。圧力変動抑制機構としては、例えば、オリフィスを有する油路などが挙げられる。
【符号の説明】
【0062】
3…作業機、10…ホイールローダ、14…ブーム、16…ブームシリンダ、30…油圧システム、40…制御弁装置、41…第1ボディ、V1…第1制御弁、L1…第1排出油路、L2…第2排出油路、L3…供給油路、L4…中間油路、L5…第1流通油路、L6…第2流通油路、42…第2ボディ、V2…第2制御弁、M1…排出油路、M2…中間油路、M3…流通油路、50…油圧ポンプ、60…作動油タンク、70…アキュムレータ
図1
図2
図3