(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126898
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ダンパ装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/139 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
F16F15/139 C
F16F15/139 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035636
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】児泉 直也
(72)【発明者】
【氏名】相川 将隆
(57)【要約】
【課題】NV性能を向上させる。
【解決手段】第1摩擦部材は、第1プレートとフランジ部との間に配置される。第1摩擦部材は、第1プレートと一体的に回転するように構成される。第1中間部材は、第1ストッパ部を有する。第1中間部材は、第1プレートと第1摩擦部材との間に配置される。第1中間部材は、第1摩擦部材と相対回転可能に配置される。第2摩擦部材は、第2プレートとフランジ部との間に配置される。第2摩擦部材は、第2プレートと一体的に回転するように構成される。第2中間部材は、第2ストッパ部を有する。第2中間部材は、第2プレートと第2摩擦部材との間に配置される。第2中間部材は、第2摩擦部材と相対回転可能に配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プレート、及び前記第1プレートと軸方向において間隔をあけて配置される第2プレート、を有する第1回転体と、
前記第1プレートと前記第2プレートとの間に配置されるフランジ部を有し、前記第1回転体と相対回転可能に配置される第2回転体と、
前記第1回転体と前記第2回転体とを弾性的に連結する弾性部材と、
前記第1プレートと前記フランジ部との間に配置され、前記第1プレートと一体的に回転するように構成される第1摩擦部材と、
第1ストッパ部を有し、前記第1プレートと前記第1摩擦部材との間に配置され、前記第1摩擦部材と相対回転可能に配置される第1中間部材と、
前記第2プレートと前記フランジ部との間に配置され、前記第2プレートと一体的に回転するように構成される第2摩擦部材と、
第2ストッパ部を有し、前記第2プレートと前記第2摩擦部材との間に配置され、前記第2摩擦部材と相対回転可能に配置される第2中間部材と、
を備え、
前記第1摩擦部材は、
前記フランジ部と接触する第1摩擦面と、
前記第1中間部材と接触する第2摩擦面と、を有し、
前記第2摩擦部材は、
前記フランジ部と接触する第3摩擦面と、
前記第2中間部材と接触する第4摩擦面と、を有し、
前記第2回転体は、
前記第1ストッパ部に対して第1回転方向に配置され、周方向において前記第1ストッパ部と対向する第1ストッパ面と、
前記第1ストッパ部に対して第2回転方向に配置され、周方向において前記第1ストッパ部と対向する第2ストッパ面と、
前記第2ストッパ部に対して第1回転方向に配置され、周方向において前記第2ストッパ部と対向する第3ストッパ面と、
前記第2ストッパ部に対して第2回転方向に配置され、周方向において前記第2ストッパ部と対向する第4ストッパ面と、
を有する、
ダンパ装置。
【請求項2】
前記第1プレートと前記第1中間部材との間に配置され、前記第1プレートと一体的に回転するように配置される第1追加摩擦部材と、
前記第2プレートと前記第2中間部材との間に配置され、前記第2プレートと一体的に回転するように配置される第2追加摩擦部材と、
をさらに備え、
前記第1追加摩擦部材は、前記第1中間部材と接触する第5摩擦面を有し、
前記第2追加摩擦部材は、前記第2中間部材と接触する第6摩擦面を有する、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項3】
前記第1回転体が前記第2回転体に対して第1回転方向に捩れたときに第1摩擦力を発生させる第1摩擦機構と、
前記第1回転体が前記第2回転体に対して第1回転方向に捩れたときに前記第1摩擦力より大きい第2摩擦力を発生させる第2摩擦機構と、
前記第1回転体が前記第2回転体に対して第2回転方向に捩れたときに前記第2摩擦力より大きい第3摩擦力を発生させる第3摩擦機構と、
をさらに備え、
前記第1摩擦機構は、前記第1摩擦面及び前記3摩擦面を有し、
前記第2摩擦機構は、前記第1摩擦面、前記第2摩擦面、前記第3摩擦面、及び前記第5摩擦面を有し、
前記第3摩擦機構は、前記第1摩擦面、前記第2摩擦面、前記第3摩擦面、前記第4摩擦面、前記第5摩擦面、及び前記第6摩擦面を有する、
請求項2に記載のダンパ装置。
【請求項4】
前記第1中間部材と前記第1プレートとの間、又は、前記第2中間部材と前記第2プレートとの間に配置される皿バネをさらに備える、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項5】
前記第1ストッパ部と前記第1ストッパ面との隙間は、前記第2ストッパ部と前記第3ストッパ面との隙間と異なる、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項6】
前記第1中間部材は、第1範囲内で前記第2回転体に対して相対回転可能であり、
前記第2中間部材は、前記第1範囲よりも大きい第2範囲内で前記第2回転体に対して相対回転可能である、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項7】
前記第1摩擦部材は、第1摩擦本体部と、前記第1摩擦本体部から軸方向第1側に延びる第1係合凸部と、を有し、
前記第1プレートは、内周端部において、前記第1係合凸部と係合する第1係合凹部を有し、
前記第1追加摩擦部材は、内周端部において、前記第1係合凸部と係合する第2係合凹部を有し、
前記第2摩擦部材は、第2摩擦本体部と、前記第2摩擦本体部から軸方向第2側に延びる第2係合凸部と、を有し、
前記第2プレートは、内周端部において、前記第2係合凸部と係合する第3係合凹部を有し、
前記第2追加摩擦部材は、内周端部において、前記第2係合凸部と係合する第4係合凹部を有する、
請求項1に記載のダンパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダンパ装置は、内燃機関からのトルク変動を吸収して減衰するように構成されている。例えば、特許文献1に開示されたダンパ装置は、第1及び第2プレートと、ハブフランジと、複数の弾性部材とを備えている。各弾性部材は、第1及び第2プレートとハブフランジとを弾性的に連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように構成されたダンパ装置において、NV(noise and vibration)性能を向上させることが要望されている。そこで、発明の課題は、NV性能を向上可能なダンパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様に係るダンパ装置は、第1回転体、第2回転体、弾性部材、第1摩擦部材、第1中間部材、第2摩擦部材、及び第2中間部材を備える。第1回転体は、第1プレート、及び第2プレートを有する。第2プレートは、第1プレートと軸方向において間隔をあけて配置される。第2回転体は、第1プレートと第2プレートとの間に配置されるフランジ部を有する。第2回転体は、第1回転体と相対回転可能に配置される。弾性部材は、第1回転体と第2回転体とを弾性的に連結する。第1摩擦部材は、第1プレートとフランジ部との間に配置される。第1摩擦部材は、第1プレートと一体的に回転するように構成される。第1中間部材は、第1ストッパ部を有する。第1中間部材は、第1プレートと第1摩擦部材との間に配置される。第1中間部材は、第1摩擦部材と相対回転可能に配置される。第2摩擦部材は、第2プレートとフランジ部との間に配置される。第2摩擦部材は、第2プレートと一体的に回転するように構成される。第2中間部材は、第2ストッパ部を有する。第2中間部材は、第2プレートと第2摩擦部材との間に配置される。第2中間部材は、第2摩擦部材と相対回転可能に配置される。第1摩擦部材は、フランジ部と接触する第1摩擦面と、第1中間部材と接触する第2摩擦面と、を有する。第2摩擦部材は、フランジ部と接触する第3摩擦面と、第2中間部材と接触する第4摩擦面と、を有する。第2回転体は、第1~第4ストッパ面を有する。第1ストッパ面は、第1ストッパ部に対して第1回転方向に配置される。第1ストッパ面は、周方向において第1ストッパ部と対向する。第2ストッパ面は、第1ストッパ部に対して第2回転方向に配置される。第2ストッパ面は、周方向において第1ストッパ部と対向する。第3ストッパ面は、第2ストッパ部に対して第1回転方向に配置される。第3ストッパ面は、周方向において第2ストッパ部と対向する。第4ストッパ面は、第2ストッパ部に対して第2回転方向に配置される。第4ストッパ面は、周方向において第2ストッパ部と対向する。
【0006】
この構成によれば、第1及び第2摩擦部材がフランジ部と相対回転することで、第1及び第3摩擦面がフランジ部と摺動して摩擦力を発生させることができる。また、第1摩擦部材が第1中間部材と相対回転することで、第2摩擦面が第1中間部材と摺動して摩擦力を発生させることができる。また、第2摩擦部材が第2中間部材と相対回転することで、第4摩擦面が第2中間部材と摺動して摩擦力を発生させることができる。これらの摩擦力を適宜組み合わせることによって、NV性能を向上させることができる。
【0007】
第2態様に係るダンパ装置は、第1態様に係るダンパ装置において、第1及び第2追加摩擦部材をさらに備える。第1追加摩擦部材は、第1プレートと第1中間部材との間に配置される。第1追加摩擦部材は、第1プレートと一体的に回転するように配置される。第2追加摩擦部材は、第2プレートと第2中間部材との間に配置される。第2追加摩擦部材は、第2プレートと一体的に回転するように配置される。第1追加摩擦部材は、第1中間部材と接触する第5摩擦面を有する。第2追加摩擦部材は、第2中間部材と接触する第6摩擦面を有する。
【0008】
第3態様に係るダンパ装置は、第1又は第2態様に係るダンパ装置において、第1~第3摩擦機構をさらに備える。第1摩擦機構は、第1回転体が第2回転体に対して第1回転方向に捩れたときに第1摩擦力を発生させる。第2摩擦機構は、第1回転体が第2回転体に対して第1回転方向に捩れたときに、第1摩擦力より大きい第2摩擦力を発生させる。第3摩擦機構は、第1回転体が第2回転体に対して第2回転方向に捩れたときに、第2摩擦力より大きい第3摩擦力を発生させる。第1摩擦機構は、第1摩擦面及び3摩擦面を有する。第2摩擦機構は、第1摩擦面、第2摩擦面、第3摩擦面、及び第5摩擦面を有する。第3摩擦機構は、第1摩擦面、第2摩擦面、第3摩擦面、第4摩擦面、第5摩擦面、及び第6摩擦面を有する。
【0009】
第4態様に係るダンパ装置は、第1から第3態様のいずれかに係るダンパ装置において、皿バネをさらに備える。皿バネは、第1中間部材と第1プレートとの間、又は、第2中間部材と第2プレートとの間に配置される。
【0010】
第5態様に係るダンパ装置は、第1から第4態様のいずれかに係るダンパ装置において、次のように構成される。第1ストッパ部と第1ストッパ面との隙間は、第2ストッパ部と第3ストッパ面との隙間と異なる。
【0011】
第6態様に係るダンパ装置は、第1から第5態様のいずれかに係るダンパ装置において、次のように構成される。第1中間部材は、第1範囲内で第2回転体に対して相対回転可能である。第2中間部材は、第1範囲よりも大きい第2範囲内で第2回転体に対して相対回転可能である。
【0012】
第7態様に係るダンパ装置は、第1から第6態様のいずれかに係るダンパ装置において、次のように構成される。第1摩擦部材は、第1摩擦本体部と、第1係合凸部と、を有する。第1係合凸部は、第1摩擦本体部から軸方向第1側に延びる。第1プレートは、内周端部において、第1係合凸部と係合する第1係合凹部を有する。第1追加摩擦部材は、内周端部において、第1係合凸部と係合する第2係合凹部を有する。第2摩擦部材は、第2摩擦本体部と、第2係合凸部と、を有する。第2係合凸部は、第2摩擦本体部から軸方向第2側に延びる。第2プレートは、内周端部において、第2係合凸部と係合する第3係合凹部を有する。第2追加摩擦部材は、内周端部において、第2係合凸部と係合する第4係合凹部を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、NV性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】第2プレート、皿バネ、第2追加摩擦部材、第2中間部材、及び第2摩擦部材を取り外した状態のダンパ装置の正面図。
【
図6】第2プレート、皿バネ、第2追加摩擦部材、第2中間部材、第2摩擦部材、第2回転体、及び第1摩擦部材を取り外した状態のダンパ装置の正面図。
【
図8】第2プレート、皿バネ、及び第2追加摩擦部材を取り外した状態のダンパ装置の正面図。
【
図10】捩り角度が大きくなる過程においてR1側にθ1捩れた状態を示す動作説明図。
【
図11】捩り角度が大きくなる過程においてR1側にθ3捩れた状態を示す動作説明図。
【
図12】捩り角度が小さくなる過程においてR1側にθ5捩れた状態を示す動作説明図。
【
図13】捩り角度が小さくなる過程においてR1側にθ6捩れた状態を示す動作説明図。
【
図14】第1捩り状態から中立状態に戻った状態を示す動作説明図。
【
図15】捩り角度が大きくなる過程においてR2側にθ7捩れた状態を示す動作説明図。
【
図16】捩り角度が大きくなる過程においてR2側にθ4捩れた状態を示す動作説明図。
【
図17】捩り角度が大きくなる過程においてR2側にθmax捩れた状態を示す動作説明図。
【
図18】捩り角度が小さくなる過程においてR2側にθ8捩れた状態を示す動作説明図。
【
図19】捩り角度が小さくなる過程においてR2側にθ9捩れた状態を示す動作説明図。
【
図20】第2捩り状態から中立状態に戻った状態を示す動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[全体構成]
図1は、中立状態におけるダンパ装置100の正面図であり、
図2は
図1のII-II線断面図である。中立状態とは、ダンパ装置100に対して外部からトルクが入力されていない状態である。なお、
図2において、ダンパ装置100の左側に内燃機関(図示せず)が配置され、右側に電気モータ(図示せず)が配置されている。
【0016】
なお、以下の説明において、軸方向とは、ダンパ装置100の回転軸Oが延びる方向である。また、周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向であり、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向である。また、捩り角度とは、第2回転体3に対して第1回転体2が捩れた角度を意味する。なお、中立状態では、捩り角度は0度である。
【0017】
図1及び
図2に示すように、ダンパ装置100は、内燃機関と電気モータとの間でトルクを伝達するように構成されている。ダンパ装置100は、内燃機関と電気モータとの間に配置される。詳細には、ダンパ装置100は、フライホイールと、電気モータのシャフトとの間でトルク伝達するように構成されている。なお、本実施形態に係るダンパ装置100は、ハイブリッド自動車に搭載されている。
【0018】
ダンパ装置100は、内燃機関からのトルクを電気モータ側に伝達するとき、第1回転方向(
図1の反時計回り)に回転する。また、始動時などにおいて電気モータによって内燃機関を回転させるとき、ダンパ装置100は第2回転方向(
図1の時計回り)に回転する。なお、第2回転方向は、第1回転方向とは逆の回転方向を意味する。
【0019】
ダンパ装置100は、第1回転体2、第2回転体3、第1弾性部材4、第2弾性部材5、第1摩擦部材6a、第1中間部材7a、第1追加摩擦部材8a、第2摩擦部材6b、第2中間部材7b、第2追加摩擦部材8b、皿バネ9、第1摩擦機構11、第2摩擦機構12、及び第3摩擦機構13を有している。
【0020】
<第1回転体>
第1回転体2は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。第1回転体2は、第1プレート21及び第2プレート22を有している。第1プレート21及び第2プレート22は、それぞれ中心部に孔を有する円板状である。なお、本実施形態において、内燃機関による走行時では、第1回転体2からトルクが入力され、第1及び第2弾性部材4,5を介して第2回転体3へとトルク伝達される。
【0021】
第1プレート21は、後述する第2回転体3のフランジ部32に対して、軸方向第1側に配置されている。第2プレート22は、フランジ部32に対して、軸方向第2側に配置されている。第1プレート21と第2プレート22とは、互いに軸方向に間隔をあけて配置されている。第1プレート21と第2プレート22とは、互いに一体的に回転するように固定されている。
【0022】
第1プレート21は、1対の第1支持部201、及び一対の第2支持部202を有している。第2プレート22も同様に、一対の第1支持部201、及び1対の第2支持部202を有している。第1プレート21の第1支持部201は、第2プレート22の第1支持部201と同じ位置に形成されている。すなわち、軸方向視において、第1プレート21の第1支持部201は、第2プレート22の第1支持部201と重複する。また、第1プレート21の第2支持部202は、第2プレート22の第2支持部202と同じ位置に形成されている。すなわち、軸方向視において、第1プレート21の第2支持部202は、第2プレート22の第2支持部202と重複する。
【0023】
第1プレート21は、複数の規制部213及び複数の固定部214を有している。規制部213及び固定部214は、第1プレート21の外周部に配置されている。
【0024】
規制部213は、第2プレート22に向かって軸方向に延びている。規制部213は、第1プレート21の外周部を第2プレート22側に折り曲げることによって形成されている。
【0025】
固定部214は、規制部213の先端部を径方向外側に折り曲げることによって形成されている。この固定部214が、第2プレート22の外周端部に複数のリベット(図示省略)等によって固定されている。このため、第1プレート21と第2プレート22とは、互いに相対回転不能であり、互いに軸方向に移動不能である。
【0026】
第1プレート21の1対の第1支持部201は、回転軸Oを挟んで互いに反対側の位置に配置されている。また、第1プレート21の各第2支持部202は、回転軸Oを中心にして各第1支持部201を90°程度回転させた位置に配置されている。第2プレート22の第1支持部201及び第2支持部202も同様の位置に配置されている。各支持部201,202は、軸方向に貫通する孔と、この孔の内周縁及び外周縁に切り起こされた縁部と、を有している。
【0027】
各支持部201,202は、第1回転方向側(以下、単に「R1側」と記載する)の端部にR1支持面201a,202aを有し、第2回転方向側(以下、単に「R2側」と記載する)の端部にR2支持面201b,202bを有している。各支持部201,202における孔の幅(R1支持面とR2支持面との間の距離)はLである。
【0028】
<第2回転体>
第2回転体3は、ハブ部31及びフランジ部32を有している。ハブ部31及びフランジ部32は、一つの部材によって互いに一体的に構成されている。第2回転体3は、第1回転体2に対して所定の角度範囲で相対回転可能である。ハブ部31は、筒状に形成され、中心部にはスプライン孔31aが形成されている。
【0029】
フランジ部32は、円板状であり、ハブ部31の外周面から径方向外側に延びている。フランジ部32は、軸方向において、第1プレート21と第2プレート22との間に配置されている。
【0030】
図3は、第2プレート22、第2摩擦部材6b、第2中間部材7b、第2追加摩擦部材8b、及び皿バネ9を取り外した状態のダンパ装置100の正面図である。
図3に示すように、フランジ部32は、複数の規制用突起32bと、1対の第1収容部301と、一対の第2収容部302と、複数の切欠303と、を有している。
【0031】
規制用突起32bは、フランジ部32の外周面から径方向外側に突出して形成されている。各規制用突起32bが形成された位置は、各収容部301,302の周方向の中央部の径方向外側である。そして、第1回転体2と第2回転体3とが互いに相対回転した際に、規制用突起32bが第1プレート21の規制部213に当接することにより、第1回転体2と第2回転体3との相対回転が禁止される。
【0032】
1対の第1収容部301は、1対の第1支持部201に対応する位置に配置されている。すなわち、各第1収容部301は、軸方向視において各第1支持部201と重複している。また、1対の第2収容部302は、1対の第2支持部202に対応する位置に配置されている。すなわち、各第2収容部302は、軸方向視において各第2支持部202と重複している。なお、以下の説明において、第1支持部201及び第1収容部301を「第1窓セットw1」と記載し、第2支持部202及び第2収容部302を「第2窓セットw2」と記載する場合がある。
【0033】
各収容部301,302は、軸方向視において、外周部が円弧状のほぼ矩形の孔である。各収容部301,302は、R1側の端部にR1収容面301a,302aを有し、R2側の端部にR2収容面301b,302bを有している。各収容部301,302の孔の幅(R1収容面301a,302aと、R2収容面301b,302bと、の間の距離)は、各支持部201,202の孔の幅と同様にLに設定されている。
【0034】
切欠303は、周方向において隣り合う第1収容部301と第2収容部302との間に配置されている。切欠303は、径方向外側に向かって開口している。すなわち、切欠303は、フランジ部32の外周面から径方向内側に向かって形成されている。
【0035】
<弾性部材>
図1及び
図2に示すように、第1弾性部材4及び第2弾性部材5は、第1回転体2と第2回転体3とを弾性的に連結している。第1回転体2と第2回転体3とは、第1弾性部材4及び第2弾性部材5を介して、互いにトルクを伝達する。第1及び第2弾性部材4,5は、例えば、コイルスプリング41、51と、その両端部に取り付けられたスプリングシート42、52を有する。
【0036】
第1弾性部材4は、フランジ部32の第1収容部301に収容されている。第1弾性部材4は、第1回転体2の各第1支持部201によって径方向及び軸方向に支持されている。このため、中立状態において、第1弾性部材4のR1側の端面は、R1支持面201a及びR1収容面301aに当接し、第1弾性部材4のR2側の端面は、R2支持面201b及びR2収容面301bに当接している。
【0037】
第2弾性部材5は、フランジ部32の第2収容部302に収容されている。第2弾性部材5は、第1回転体2の各第2支持部202によって径方向及び軸方向に支持されている。このため、中立状態において、第2弾性部材5のR1側の端面は、R1支持面202a及びR1収容面302aに当接し、第2弾性部材5のR2側の端面は、R2支持面202b及びR2収容面302bに当接している。第1弾性部材4は第2弾性部材5と並列で作動する。
【0038】
第1弾性部材4と第2弾性部材5とは、自由長が互いに同じである。この第1及び第2弾性部材4,5の自由長は、各支持部201,202及び各収容部301,302の幅Lと同じである。
【0039】
第1弾性部材4の剛性は、第2弾性部材5の剛性と同じである。すなわち、第1弾性部材4のばね定数は、第2弾性部材5のばね定数と同じである。
【0040】
<第1摩擦部材>
図2に示すように、第1摩擦部材6aは、軸方向において、第1プレート21とフランジ部32との間に配置されている。第1摩擦部材6aは、周方向に延びる環状である。第1摩擦部材6aは、第1プレート21と一体的に回転するように構成されている。第1摩擦部材6aは、フランジ部32に対して相対回転可能である。
【0041】
図4に示すように、第1摩擦部材6aは、第1摩擦面61a及び第2摩擦面62aを有している。第1摩擦面61a及び第2摩擦面62aは、周方向に延びる環状である。第1摩擦面61aは、軸方向第2側を向いている。第1摩擦面61aは、フランジ部32と接触している。また、第1摩擦面61aは、皿バネ9の付勢力によって、フランジ部32を押圧している。このため、第1摩擦部材6aが第2回転体3と相対回転すると、第1摩擦面61aがフランジ部32と摺動し、摩擦力が発生する。
【0042】
第2摩擦面62aは、軸方向第1側を向いている。第2摩擦面62aは、第1中間部材7aと接触している。なお、皿バネ9の付勢力によって、第2摩擦面62aが第1中間部材7aを押圧している。このため、第1摩擦部材6aが第1中間部材7aと相対回転すると、第2摩擦面62aが第1中間部材7aと摺動し、摩擦力が発生する。
【0043】
第1摩擦面61aは、第2摩擦面62aの外径と略同じ外径を有している。また、第1摩擦面61aは第2摩擦面62aの内径よりも小さい内径を有している。第1摩擦面61aの面積は、第2摩擦面62aの面積よりも大きい。
【0044】
第1摩擦部材6aは、第1摩擦本体部63aと、複数の第1係合凸部64aとを有する。第1摩擦本体部63aは、周方向に延びる環状である。第1摩擦本体部63aは、軸方向において、第1プレート21とフランジ部32との間に配置されている。詳細には、第1摩擦本体部63aは、第1中間部材7aとフランジ部32との間に配置されている。第1摩擦本体部63aは、第1摩擦面61a及び第2摩擦面62aを有している。
【0045】
第1係合凸部64aは、第1摩擦本体部63aから軸方向第1側に延びている。第1係合凸部64aは、第1プレート21を超えて延びている。各第1係合凸部64aは、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。
【0046】
第1プレート21は、内周端部において、複数の第1係合凹部211を有している。第1係合凹部211は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各第1係合凹部211は、第1係合凸部64aと係合する。このため、第1摩擦部材6aは、第1プレート21と一体的に回転する。
【0047】
<第1中間部材>
第1中間部材7aは、軸方向において、第1プレート21と第1摩擦部材6aとの間に配置されている。詳細には、第1中間部材7aは、軸方向において、第1プレート21と第1摩擦本体部63aとの間に配置されている。第1中間部材7aは、第1摩擦部材6aと相対回転可能に配置されている。すなわち、第1中間部材7aは、第1回転体2と相対回転可能に配置されている。また、第1中間部材7aは、第2回転体3と、所定の範囲(第1範囲)において、相対回転可能に配置されている。
【0048】
図5は、
図1のV-V線断面図であり、
図6は、第2プレート22、第2回転体3、第1摩擦部材6a、第2摩擦部材6b、第2中間部材7b、第2追加摩擦部材8b、及び皿バネ9を取り外した状態のダンパ装置100の正面図である。
【0049】
図5及び
図6に示すように、第1中間部材7aは、第1中間本体部71aと、第1突出部72aと、第1ストッパ部73aとを有している。本実施形態では、第1中間部材7aは、一対の第1突出部72aと、一対の第1ストッパ部73aとを有している。
【0050】
第1中間本体部71aは、周方向に延びる環状である。第1中間本体部71aの内径は、第1摩擦部材6a、及び第1追加摩擦部材8aの内径よりも大きい。第1中間本体部71aは、第1摩擦部材6aの第1係合凸部64aとは係合していない。
【0051】
第1中間本体部71aは、軸方向において、第1摩擦部材6aと第1プレート21との間に配置されている。詳細には、第1中間本体部71aは、軸方向において、第1摩擦本体部63aと第1追加摩擦部材8aとの間に配置されている。
【0052】
第1突出部72aは、第1中間本体部71aから径方向外側に突出している。各第1突出部72aは、回転軸Oを挟んで互いに反対側の位置に配置されている。第1突出部72aは、周方向において、第1窓セットw1と第2窓セットw2との間に位置している。詳細には、第1突出部72aは、第1窓セットw1に対してR1側に配置され、第2窓セットw2に対してR2側に配置される。
【0053】
各第1突出部72aのR1側の当接面721aは、第2窓セットw2内に配置された第2弾性部材5と当接している。すなわち、第1突出部72aは、当接面721aにおいて、第2弾性部材5によってR2側に付勢されている。また、各第1突出部72aのR2側の当接面722aは、第1窓セットw1内に配置された第1弾性部材4と当接している。すなわち、第1突出部72aは、当接面722aにおいて、第1弾性部材4によってR1側に付勢されている。
【0054】
以上のように、第1中間部材7aの各第1突出部72aは、第1弾性部材4によってR1側に付勢され、第2弾性部材5によってR2側に付勢されている。したがって、第1中間部材7aは、中立状態では中立位置に位置決めされる。
【0055】
各第1ストッパ部73aは、第1中間本体部71aから軸方向第2側に延びている。各第1ストッパ部73aは、回転軸Oを挟んで互いに反対側の位置に配置されている。第1ストッパ部73aは、第2窓セットw2に対して径方向内側に配置されている。
【0056】
図7は、第2回転体3、第1中間部材7a、及び第2中間部材7bを示す正面図である。
図7に示すように、第2回転体3は、第1ストッパ面33と第2ストッパ面34とを有している。詳細には、フランジ部32が、第1ストッパ面33と第2ストッパ面34とを有している。第1ストッパ面33は、第1ストッパ部73aに対して第1回転方向R1側に配置されている。第1ストッパ面33は、第2回転方向R2を向く面であり、周方向において第1ストッパ部73aと対向している。
【0057】
第2ストッパ面34は、第1ストッパ部73aに対して第2回転方向R2側に配置されている。第2ストッパ面34は、第1回転方向R1を向く面であり、周方向において第1ストッパ部73aと対向している。第2ストッパ面34は、第1ストッパ面33に対して第2回転方向R2側に配置されている。
【0058】
第1ストッパ部73aは、周方向において、第1ストッパ面33と第2ストッパ面34との間に配置されている。ダンパ装置100が中立状態にあるとき、第1ストッパ部73aと第1ストッパ面33及び第2ストッパ面34との間には、周方向において隙間が形成されている。
【0059】
第1ストッパ部73aと第1ストッパ面33との間には、第1角度θ1に相当する隙間が形成されている。すなわち、中立状態において、第1ストッパ部73aは、第1回転方向R1側に第1角度θ1分だけ回転することができる。また、第1ストッパ部73aと第2ストッパ面34との間には第2角度θ2に相当する隙間が形成されている。すなわち、中立状態において、第1ストッパ部73aは、第2回転方向R2側に第2角度θ2分だけ回転することができる。なお、本実施形態では、第1角度θ1は、第2角度θ2よりも大きいが、第2角度θ2と同じであってもよいし、第2角度θ2よりも小さくてもよい。
【0060】
第1中間部材7aは、第2回転体3に対して、第1回転方向R1に第1角度θ1だけ相対回転することができる。なお、第1ストッパ部73aが第1ストッパ面33に当接するため、第1中間部材7aが第2回転体3に対して第1回転方向R1に第1角度θ1を超えて回転することはできない。
【0061】
また、第1中間部材7aは、第2回転体3に対して、第2回転方向R2に第2角度θ2だけ相対回転することができる。なお、第1ストッパ部73aが第2ストッパ面34に当接するため、第1中間部材7aが第2回転体3に対して第2回転方向R2に第2角度θ2を超えて回転することはできない。
【0062】
第1中間部材7aは、第2回転体3に対して第1範囲で相対回転可能である。なお、第1範囲は、第1角度θ1と第2角度θ2とを足し合わせた範囲である。すなわち、第1中間部材7aは、θ1+θ2の範囲で、第2回転体3に対して相対回転可能である。
【0063】
<第1追加摩擦部材>
図4に示すように、第1追加摩擦部材8aは、軸方向において、第1プレート21と第1中間部材7aとの間に配置されている。第1追加摩擦部材8aは、周方向に延びる環状である。第1追加摩擦部材8aは、第1プレート21と一体的に回転するように構成されている。すなわち、第1追加摩擦部材8aは、第1摩擦部材6aと一体的に回転するように構成されている。
【0064】
第1追加摩擦部材8aは、第5摩擦面81aを有している。第5摩擦面81aは、周方向に延びる環状である。第5摩擦面81aは、軸方向第2側を向いている。第5摩擦面81aは、第1中間部材7aと接触している。また、第5摩擦面81aは、皿バネ9の付勢力によって、第1中間部材7aを押圧している。このため、第1追加摩擦部材8aが第1中間部材7aと相対回転すると、第5摩擦面81aが第1中間部材7aと摺動し、摩擦力が発生する。
【0065】
第1追加摩擦部材8aは、内周端部において、複数の第2係合凹部82aを有している。各第2係合凹部82aは、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各第2係合凹部82aは、第1係合凸部64aと係合する。このため、第1追加摩擦部材8aは、第1摩擦部材6aと一体的に回転する。
【0066】
<第2摩擦部材>
図2に示すように、第2摩擦部材6bは、軸方向において、第2プレート22とフランジ部32との間に配置されている。第2摩擦部材6bは、周方向に延びる環状である。第2摩擦部材6bは、第2プレート22と一体的に回転するように構成されている。なお、第2プレート22は第1プレート21と一体的に回転し、第1プレート21は第1摩擦部材6aと一体的に回転する。このため、第2摩擦部材6bは、第1摩擦部材6aと一体的に回転する。第2摩擦部材6bは、フランジ部32に対して相対回転可能である。
【0067】
図4に示すように、第2摩擦部材6bは、第3摩擦面61b及び第4摩擦面62bを有している。第3摩擦面61b及び第4摩擦面62bは、周方向に延びる環状である。第3摩擦面61bは、軸方向第1側を向いている。第3摩擦面61bは、フランジ部32と接触している。また、第3摩擦面61bは、皿バネ9の付勢力によって、フランジ部32を押圧している。このため、第2摩擦部材6bが第2回転体3と相対回転すると、第3摩擦面61bがフランジ部32と摺動し、摩擦力が発生する。
【0068】
第4摩擦面62bは、軸方向第2側を向いている。第4摩擦面62bは、第2中間部材7bと接触している。なお、皿バネ9の付勢力によって、第4摩擦面62bが第2中間部材7bを押圧している。このため、第2摩擦部材6bが第2中間部材7bと相対回転すると、第4摩擦面62bが第2中間部材7bと摺動し、摩擦力が発生する。
【0069】
第3摩擦面61bは、第4摩擦面62bの外径と略同じ外径を有している。また、第3摩擦面61bは第4摩擦面62bの内径よりも小さい内径を有している。第3摩擦面61bの面積は、第4摩擦面62bの面積よりも大きい。
【0070】
第2摩擦部材6bは、第2摩擦本体部63bと、複数の第2係合凸部64bとを有する。第2摩擦本体部63bは、周方向に延びる環状である。第2摩擦本体部63bは、軸方向において、第2プレート22とフランジ部32との間に配置されている。詳細には、第2摩擦本体部63bは、第2中間部材7bとフランジ部32との間に配置されている。第2摩擦本体部63bは、第3摩擦面61b及び第4摩擦面62bを有している。
【0071】
第2係合凸部64bは、第2摩擦本体部63bから軸方向第2側に延びている。第2係合凸部64bは、第2プレート22を超えて延びている。各第2係合凸部64bは、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。
【0072】
第2プレート22は、内周端部において、複数の第3係合凹部221を有している。第3係合凹部221は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各第3係合凹部221は、第2係合凸部64bと係合する。このため、第2摩擦部材6bは、第2プレート22と一体的に回転する。
【0073】
<第2中間部材>
第2中間部材7bは、軸方向において、第2プレート22と第2摩擦部材6bとの間に配置されている。詳細には、第2中間部材7bは、軸方向において、第2プレート22と第2摩擦本体部63bとの間に配置されている。第2中間部材7bは、第2摩擦部材6bと相対回転可能に配置されている。すなわち、第2中間部材7bは、第1回転体2と相対回転可能に配置されている。また、第2中間部材7bは、第2回転体3と、所定の範囲(第2範囲)において、相対回転可能に配置されている。
【0074】
図4及び
図8に示すように、第2中間部材7bは、第2中間本体部71bと、第2突出部72bと、第2ストッパ部73bとを有している。本実施形態では、第2中間部材7bは、一対の第2突出部72bと、一対の第2ストッパ部73bとを有している。
【0075】
第2中間本体部71bは、周方向に延びる環状である。第2中間本体部71bの内径は、第2摩擦部材6b、及び第2追加摩擦部材8bの内径よりも大きい。第2中間本体部71bは、第2摩擦部材6bの第2係合凸部64bとは係合していない。
【0076】
第2中間本体部71bは、軸方向において、第2摩擦部材6bと第2プレート22との間に配置されている。詳細には、第2中間本体部71bは、軸方向において、第2摩擦本体部63bと第2追加摩擦部材8bとの間に配置されている。
【0077】
第2突出部72bは、第2中間本体部71bから径方向外側に突出している。各第2突出部72bは、回転軸Oを挟んで互いに反対側の位置に配置されている。第2突出部72bは、周方向において、第1窓セットw1と第2窓セットw2との間に位置している。詳細には、第2突出部72bは、第1窓セットw1に対してR1側に配置され、第2窓セットw2に対してR2側に配置される。すなわち、第2突出部72bは、周方向において第1突出部72aと同じ位置に配置されている。
【0078】
各第2突出部72bのR1側の当接面721bは、第2窓セットw2内に配置された第2弾性部材5と当接している。すなわち、第2突出部72bは、当接面721bにおいて、第2弾性部材5によってR2側に付勢されている。また、各第2突出部72bのR2側の当接面722bは、第1窓セットw1内に配置された第1弾性部材4と当接している。すなわち、第2突出部72bは、当接面722bにおいて、第1弾性部材4によってR1側に付勢されている。
【0079】
以上のように、第2中間部材7bの各第2突出部72bは、第1弾性部材4によってR1側に付勢され、第2弾性部材5によってR2側に付勢されている。したがって、第2中間部材7bは、中立状態では中立位置に位置決めされる。
【0080】
各第2ストッパ部73bは、第2中間本体部71bから軸方向第1側に延びている。各第2ストッパ部73bは、回転軸Oを挟んで互いに反対側の位置に配置されている。第2ストッパ部73bは、第1窓セットw1に対して径方向内側に配置されている。
【0081】
図7に示すように、第2回転体3は、第3ストッパ面35と第4ストッパ面36とを有している。詳細には、フランジ部32が、第3ストッパ面35と第4ストッパ面36とを有している。第3ストッパ面35は、第2ストッパ部73bに対して第1回転方向R1側に配置されている。第3ストッパ面35は、第2回転方向R2を向く面であり、周方向において第2ストッパ部73bと対向している。
【0082】
第4ストッパ面36は、第2ストッパ部73bに対して第2回転方向R2側に配置されている。第4ストッパ面36は、第1回転方向R1を向く面であり、周方向において第2ストッパ部73bと対向している。第4ストッパ面36は、第3ストッパ面35に対して第2回転方向R2側に配置されている。
【0083】
第2ストッパ部73bは、周方向において、第3ストッパ面35と第4ストッパ面36との間に配置されている。ダンパ装置100が中立状態にあるとき、第2ストッパ部73bと第3ストッパ面35及び第4ストッパ面36との間には、周方向において隙間が形成されている。
【0084】
第2ストッパ部73bと第3ストッパ面35との間には、第3角度θ3に相当する隙間が形成されている。すなわち、中立状態において、第2ストッパ部73bは、第1回転方向R1側に第3角度θ3分だけ回転することができる。また、第2ストッパ部73bと第4ストッパ面36との間には第4角度θ4に相当する隙間が形成されている。すなわち、中立状態において、第2ストッパ部73bは、第2回転方向R2側に第4角度θ4分だけ回転することができる。なお、中立状態において、第2ストッパ部73bは、第4ストッパ面36と当接していてもよい。すなわち、第4角度θ4が0°であってもよい。本実施形態では、第4角度θ4は、第2角度θ2と同じである。
【0085】
第2中間部材7bは、第2回転体3に対して、第1回転方向R1に第3角度θ3だけ相対回転することができる。なお、第2ストッパ部73bが第3ストッパ面35に当接するため、第2中間部材7bが第2回転体3に対して第1回転方向R1に第3角度θ3を超えて回転することはできない。
【0086】
また、第2中間部材7bは、第2回転体3に対して、第2回転方向R2に第4角度θ4だけ相対回転することができる。なお、第2ストッパ部73bが第4ストッパ面36に当接するため、第2中間部材7bが第2回転体3に対して第2回転方向R2に第4角度θ4を超えて回転することはできない。
【0087】
第2中間部材7bは、第2回転体3に対して第2範囲で相対回転可能である。なお、第2範囲は、第3角度θ3と第4角度θ4とを足し合わせた範囲である。すなわち、第2中間部材7bは、θ3+θ4の範囲で、第2回転体3に対して相対回転可能である。
【0088】
<第2追加摩擦部材>
図4に示すように、第2追加摩擦部材8bは、軸方向において、第2プレート22と第2中間部材7bとの間に配置されている。第2追加摩擦部材8bは、周方向に延びる環状である。第2追加摩擦部材8bは、第2プレート22と一体的に回転するように構成されている。すなわち、第2追加摩擦部材8bは、第2摩擦部材6bと一体的に回転するように構成されている。
【0089】
第2追加摩擦部材8bは、第6摩擦面81bを有している。第6摩擦面81bは、周方向に延びる環状である。第6摩擦面81bは、軸方向第1側を向いている。第6摩擦面81bは、第2中間部材7bと接触している。また、第6摩擦面81bは、皿バネ9の付勢力によって、第2中間部材7bを押圧している。このため、第2追加摩擦部材8bが第2中間部材7bと相対回転すると、第6摩擦面81bが第2中間部材7bと摺動し、摩擦力が発生する。
【0090】
第2追加摩擦部材8bは、内周端部において、複数の第4係合凹部82bを有している。各第4係合凹部82bは、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各第4係合凹部82bは、第2係合凸部64bと係合する。このため、第2追加摩擦部材8bは、第2摩擦部材6bと一体的に回転する。
【0091】
<皿バネ>
皿バネ9は、軸方向において、第2プレート22と第2中間部材7bとの間に配置されている。詳細には、皿バネ9は、軸方向において、第2プレート22と第2追加摩擦部材8bとの間に配置されている。皿バネ9は、第2追加摩擦部材8bを軸方向第1側に付勢するように構成されている。なお、皿バネ9は、内周端部において第2プレート22と当接しており、外周端部において第2追加摩擦部材8bと当接している。
【0092】
皿バネ9は、複数の第5係合凹部91を有している。各第5係合凹部91は、皿バネ9の内周端部に形成されている。各第5係合凹部91は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。第2摩擦部材6bの第2係合凸部64bが、第5係合凹部91を介して軸方向に延びている。また、第2摩擦部材6bの第2係合凸部64bは、第5係合凹部91と係合している。このため、皿バネ9は、第2摩擦部材6bと一体的に回転する。なお、第2摩擦部材6bは、皿バネ9に対して軸方向に移動可能である。
【0093】
<第1摩擦機構>
第1摩擦機構11は、第1回転体2が第2回転体3に対して第1回転方向R1に捩れたときに、第1摩擦力を発生させるように構成されている。詳細には、第1回転方向R1における捩り角度が第1角度θ1になるまでは第1摩擦機構11が作動する。なお、第1回転方向R1における捩り角度が第1角度θ1より大きくなると、第2摩擦機構12が作動し始める。また、第1回転方向R1における捩り角度が第1角度θ1より大きくなった場合であっても、トルク変動が入力された場合、第1摩擦機構11が作動する。詳細には、第1角度θ1に相当するトルク変動以下のトルク変動が入力されたときに、第1摩擦機構11が作動する。
【0094】
第1摩擦機構11は、第1摩擦面61a、第3摩擦面61b、及び皿バネ9によって構成されている。第1摩擦部材6a及び第2摩擦部材6bがフランジ部32と相対回転し、且つ第1中間部材7a及び第2中間部材7bが第1摩擦部材6a及び第2摩擦部材6bと一体的に回転したときに、第1摩擦機構11は第1摩擦力を発生させる。すなわち、第1摩擦機構11は、第1摩擦面61a及び第3摩擦面61bがフランジ部32と摺動することによって、第1摩擦力を発生させるように構成されている。
【0095】
<第2摩擦機構>
第2摩擦機構12は、第1回転体2が第2回転体3に対して第1回転方向R1に捩れたときに、第2摩擦力を発生させるように構成されている。詳細には、第1回転方向R1における捩り角度が第1角度θ1を超えると、第2摩擦機構12が作動する。なお、第1回転方向R1における捩り角度が第1角度θ1以下の場合、第2摩擦機構12は作動せずに第1摩擦機構11が作動する。
【0096】
第2摩擦機構12は、第1摩擦面61a、第2摩擦面62a、第3摩擦面61b、第5摩擦面81a、及び皿バネ9によって構成されている。第1摩擦部材6a及び第2摩擦部材6bがフランジ部32と相対回転し、第1摩擦部材6a及び第1追加摩擦部材8aが第1中間部材7aと相対回転し、且つ第2摩擦部材6b及び第2追加摩擦部材8bが第2中間部材7bと一体的に回転したときに、第2摩擦機構12は第2摩擦力を発生させる。すなわち、第2摩擦機構12は、第1摩擦面61a及び第3摩擦面61bがフランジ部32と摺動し、且つ第2摩擦面62a及び第5摩擦面81aが第1中間部材7aと摺動することによって、第2摩擦力を発生させるように構成されている。第2摩擦力は、第1摩擦力よりも大きい。
【0097】
<第3摩擦機構>
第3摩擦機構13は、第1回転体2が第2回転体3に対して第2回転方向R2に捩れたときに、第3摩擦力を発生させるように構成されている。詳細には、第2回転方向R2における捩り角度が第2角度θ2及び第4角度θ4のうち大きい方の角度を超えると、第3摩擦機構13が作動する。
【0098】
第3摩擦機構13は、第1摩擦面61a、第2摩擦面62a、第3摩擦面61b、第4摩擦面62b、第5摩擦面81a、第6摩擦面81b、及び皿バネ9によって構成されている。第1摩擦部材6a及び第2摩擦部材6bがフランジ部32と相対回転し、第1摩擦部材6a及び第1追加摩擦部材8aが第1中間部材7aと相対回転し、且つ第2摩擦部材6b及び第2追加摩擦部材8bが第2中間部材7bと相対回転したときに、第3摩擦機構13は第3摩擦力を発生させる。すなわち、第3摩擦機構13は、第1摩擦面61a及び第3摩擦面61bがフランジ部32と摺動し、第2摩擦面62a及び第5摩擦面81aが第1中間部材7aと摺動し、且つ第4摩擦面62b及び第6摩擦面81bが第2中間部材7bと摺動することによって、第3摩擦力を発生させるように構成されている。第3摩擦力は、第2摩擦力よりも大きい。
【0099】
[動作]
次に、
図9以降の模式図を用いて、摩擦力を考慮した捩り特性について説明する。模式図では、第1回転体2、第1摩擦部材6a、第2摩擦部材6b、第1追加摩擦部材8a、及び第2追加摩擦部材8bは一体的に回転するため、これらをまとめて「第1回転体2」として説明する。また、各模式図において、右側がR1側を示し、左側がR2側を示す。以下の説明では、捩り角度とは、第2回転体3に対する第1回転体2の捩り角度を意味する。また、捩り角度は絶対値として説明する。
【0100】
<中立状態>
図9は、中立状態を示している。この中立状態では、第1中間部材7aの第1突出部72aの当接面721a,722aは、対応する弾性部材4,5の端面に当接している。このため、第1中間部材7aは、中立位置に位置決めされている。したがって、第1中間部材7aの第1ストッパ部73aとフランジ部32の第1ストッパ面33との間には、第1角度θ1分の隙間が確保されており、第1ストッパ部73aと第2ストッパ面34との間には第2角度θ2の隙間が確保されている。
【0101】
また、第2中間部材7bの第2突出部72bの当接面721b,722bは、対応する弾性部材4,5の端面に当接している。このため、第2中間部材7bは、中立位置に位置決めされている。したがって、第2中間部材7bの第2ストッパ部73bとフランジ部32の第3ストッパ面35との間には、第3角度θ3分の隙間が確保されており、第2ストッパ部73bと第4ストッパ面36との間には第4角度θ4の隙間が確保されている。
【0102】
まず、ダンパ装置100が第1捩り状態となった時の捩り特性について説明する。なお、第1捩り状態とは、内燃機関からダンパ装置100にトルクが伝達されることによって、第1回転体2が第2回転体3に対してR1側に捩れたときのダンパ装置100の状態を意味する。
【0103】
<中立状態→捩り角度θ1>
図10は、第1回転体2が第2回転体3に対して中立状態からR1側に第1角度θ1(例えば2°)捩れた状態を示している。
【0104】
図9から
図10に状態が変化する間、すなわち、中立状態からR1側に第1角度θ1捩れる間は、第1及び第2中間部材7a、7bは、第1回転体2と同期してR1側に回転する。このため、第1摩擦部材6a及び第1追加摩擦部材8aと第1中間部材7aとの間に摩擦力は発生しない。また、第2摩擦部材6b及び第2追加摩擦部材8bと第2中間部材7bとの間にも摩擦力は発生しない。すなわち、第2摩擦機構12、及び第3摩擦機構13は作動しない。
【0105】
一方、第1及び第2摩擦部材6a、6bと第2回転体3との間に摩擦力が発生する。詳細には、第1摩擦面61a及び第3摩擦面61bとフランジ部32との間に摩擦力が発生する。すなわち、第1摩擦機構11が作動する。
【0106】
<捩り角度θ1→θmax>
図11は、第1回転体2が第2回転体3に対して中立状態からR1側にθmax(=第3角度θ3(例えば15°))捩れた状態を示している。
【0107】
図10から
図11に状態が変化する間、すなわち、捩り角度がθ1からθ3までR1側に捩れる間は、第2中間部材7bは、第1回転体2と同期してR1側に回転する。このため、第2摩擦部材6b及び第2追加摩擦部材8bと第2中間部材7bとの間に摩擦力は発生しない。すなわち、第3摩擦機構13は作動しない。一方で、第1摩擦部材6a及び第2摩擦部材6bとフランジ部32との間に摩擦力が発生する。また、第1中間部材7aの第1ストッパ部73aが第1ストッパ面33と当接しているため、第1中間部材7aはR1側へ回転しない。この結果、第1摩擦部材6a及び第1追加摩擦部材8aは第1中間部材7aに対して相対回転し、これらの間に摩擦力が発生する。このように、
図10から
図11に状態が変化する間、第2摩擦機構12が作動している。なお、この状態では、当接面722aと第1弾性部材4との間に第1角度θ1分の隙間が存在するため、第1回転体2にトルク変動が入力された場合、第1摩擦機構11が作動する。
【0108】
<捩り角度θ3→θ5>
図12は、中立状態に戻る過程において、第1回転体2が第2回転体3に対してR1側にθ5(=θmax-θ1)捩れた状態を示している。
【0109】
図11から
図12に状態が変化する間、すなわち、捩り角度がθmaxからθ5に戻る間は、第1及び第2中間部材7a、7bは、第1回転体2とともにR2側に回転する。このため、第1摩擦機構11が作動し、第2摩擦機構12及び第3摩擦機構13は作動しない。
【0110】
<捩り角度θ5→θ6>
図13は、中立状態に戻る過程において、第1回転体2が第2回転体3に対してR1側にθ6(例えば、1°)捩れた状態を示している。
【0111】
図12から
図13に状態が変化する間、すなわち、捩り角度がθ5からθ6に戻る間は、第2中間部材7bが第1回転体2と同期してR2側に回転する一方で、第1中間部材7aはR2側に回転しない。詳細には、第1中間部材7aの当接面722aが第1弾性部材4の端面に当接している一方で、当接面721aが第2弾性部材5の端面と当接していない。すなわち、第1中間部材7aは、第1弾性部材4によってR1側のみに付勢されている。このため、第1中間部材7aは、R2側に回転しない。したがって、第1回転体2は第1中間部材7aに対して相対回転するので、第1摩擦部材6a及び第1追加摩擦部材8aと第1中間部材7aとの間で摩擦力が発生する。すなわち、第2摩擦機構12が作動する。なお、第1回転体2にトルク変動が入力された場合、第1摩擦機構11が作動する。
【0112】
<捩り角度θ6→中立状態>
図14は、第1捩り状態から中立状態に戻った状態を示している。
【0113】
図13から
図14に状態が変化する間、すなわち、捩り角度がθ6から0°に戻る間は、第1及び第2中間部材7a、7bは第1回転体2ととともにR2側に回転する。このため、第2及び第3摩擦機構12,13は作動せず、第1摩擦機構11が作動する。
【0114】
なお、捩り角度がθ6から0°になるまでは、第2摩擦面62a及び第5摩擦面81aと第1中間部材7aとの間の摩擦力が、第1弾性部材4の弾性力と釣り合う。このため、第1弾性部材4は作動しない。すなわち、第1弾性部材4の伸縮状態は変化しない。したがって、ダンパ装置100全体の捩り剛性は、第2弾性部材5のみの剛性(具体的には合成特性の剛性の1/2)となる。
【0115】
次に、ダンパ装置100が第2捩り状態となったときの捩り特性について説明する。なお、第2捩り状態とは、電気モータからダンパ装置100にトルクが伝達されることによって、第1回転体2が第2回転体3に対してR2側に捩れたときのダンパ装置100の状態を意味する。
【0116】
<中立状態→捩り角度θ7>
図15は、捩り角度が負側に大きくなる過程において、第1回転体2が第2回転体3に対してR2側に角度θ7(例えば、1°)捩れた状態を示している。
図14から
図15に状態が変化する間、すなわち、捩り角度が0°からR2側にθ7捩れる間は、第1中間部材7aは第1弾性部材4によってR1側に付勢されるため、第1中間部材7aはR2側へ回転しない。なお、第2中間部材7bは、第1回転体2と同期してR2側に回転する。このため、第2摩擦機構12が作動する。なお、第1回転体2にトルク変動が入力された場合、第1摩擦機構11が作動する。
【0117】
なお、捩り角度が0°からθ7になるまでは、第1弾性部材4は作動しない。すなわち、第1弾性部材4の伸縮状態は変化しない。このため、ダンパ装置100全体の捩り剛性は、第2弾性部材5のみの剛性(具体的には合成特性の剛性の1/2)となる。
【0118】
<捩り角度θ7→捩り角度θ4>
図16は、捩り角度が負側に大きくなる過程において、第1回転体2が第2回転体3に対してR2側に第4角度θ4(例えば、1.5°)捩れた状態を示している。この状態において、第2中間部材7bの第2ストッパ部73bは、第4ストッパ面36に当接している。また、第1中間部材7aの第1ストッパ部73aは、第2ストッパ面34に当接している。
【0119】
図15から
図16に状態が変化する間、すなわち、捩り角度θ7からθ4まで捩れる間は、第1及び第2中間部材7a、7bは、第1回転体2と同期してR1側に回転する。このため、第1摩擦機構11が作動する。
【0120】
<捩り角度θ4→θmax>
図17は、捩り角度が負側に大きくなる過程において、第1回転体2が第2回転体3に対してR2側にθmax捩れた状態を示している。
【0121】
図16から
図17に状態が変化する間、すなわち、捩り角度θ4からθmaxまで捩れる間は、第1回転体2は、R2側へ回転する。一方で、第1ストッパ部73aが第2ストッパ面34と当接し、且つ第2ストッパ部73bが第4ストッパ面36と当接しているため、第1及び第2中間部材7a、7bはR2側へ回転しない。この結果、第1回転体2は、第1及び第2中間部材7a、7bと相対回転し、これらの間に摩擦力が発生する。詳細には、第1及び第2摩擦部材6a、6bがフランジ部32と相対回転して、これらの間に摩擦力が発生する。また、第1摩擦部材6a及び第1追加摩擦部材8aが第1中間部材7aと相対回転して、これらの間で摩擦力が発生する。さらには、第2摩擦部材6b及び第2追加摩擦部材8bが第2中間部材7bと相対回転して、これらの間で摩擦力が発生する。このように、第3摩擦機構13が作動する。なお、第1回転体2にトルク変動が入力された場合、第1摩擦機構11が作動する。
【0122】
<捩り角度θmax→θ8>
図18は、中立状態に戻る過程において、第1回転体2が第2回転体3に対してR2側にθ8(=θmax-θ4;例えば、13.5°)捩れた状態を示している。
【0123】
図17から
図18に状態が変化する間、すなわち、捩り角度がθmaxからθ8に戻る間は、第1及び第2中間部材7a、7bは、第1回転体2と同期してR1側に回転する。このため、第2摩擦機構12及び第3摩擦機構13は作動せず、第1摩擦機構11が作動する。
【0124】
<捩り角度θ8→θ9>
図19は、中立状態に戻る過程において、第1回転体2が第2回転体3に対してR2側にθ9(例えば、2°)捩れた状態を示している。
【0125】
図18から
図19に状態が変化する間、すなわち、捩り角度がθ8からθ9に戻る間は、第1回転体2は、R1側へ回転する一方で、第1及び第2中間部材7a、7bはR1側へ回転しない。詳細には、第1及び第2中間部材7a、7bは、当接面721a、721bが第2弾性部材5の端面に当接している一方で、当接面722a、722bが第1弾性部材4の端面と当接していない。すなわち、第1及び第2中間部材7a、7bは、第2弾性部材5によってR2側のみに付勢されている。このため、第1及び第2中間部材7a、7bは、R1側に回転しない。したがって、第3摩擦機構13が作動する。なお、第1回転体2にトルク変動が入力された場合、第1摩擦機構11が作動する。
【0126】
<捩り角度θ9→0°>
図20は、第2捩り状態から中立状態に戻った状態を示している。
【0127】
図19から
図20に状態が変化する間、すなわち、捩り角度θ9から中立状態に戻る間は、
第1及び第2中間部材7a、7bは第1回転体2ととともにR1側に回転する。このため、第2及び第3摩擦機構12,13は作動せず、第1摩擦機構11が作動する。
【0128】
なお、捩り角度がθ9から0°になるまでは、第2弾性部材5は作動しない。すなわち、第2弾性部材5の伸縮状態は変化しない。このため、ダンパ装置100全体の捩り剛性は、第1弾性部材4のみの剛性(具体的には合成特性の剛性の1/2)となる。
【0129】
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0130】
(a)皿バネ9は、第2追加摩擦部材8bと第2プレート22との間に配置されているが、皿バネ9の配置はこれに限定されない。例えば、皿バネ9は、第1追加摩擦部材8aと第1プレート21との間に配置されていてもよい。
【0131】
(b)第1及び第2追加摩擦部材8a、8bを有していなくてもよい。この場合、例えば、第1プレート21と第1中間部材7aとの間で摩擦力を発生させてもよい。
【0132】
(c)上記実施形態では、第1角度θ1は第3角度θ3よりも小さいが、第1角度θ1と第3角度θ3とを同じとしてもよい。この場合、第1捩り状態において、捩り角度が第1角度θ1を超えると、第1及び第2中間部材7a、7bがR1側へ回転しなくなるため、第2摩擦機構12ではなく、第3摩擦機構13が作動する。
【0133】
(d)上記実施形態では、第1捩り状態において、第3摩擦機構13が作動しないように構成されているが、第3摩擦機構13が第1捩り状態において作動するように構成してもよい。例えば、第3角度θ3をθmaxよりも小さく設定することによって、第3摩擦機構13を作動させることができる。
【0134】
(e)各支持部201,202及び各収容部301,302の幅や、弾性部材4,5の長さ、あるいは捩り角度の具体的数値については、一例であって、これらの数値に限定されるものではない。
【0135】
(f)第1ストッパ部73aと第2ストッパ面34との間の隙間を無くしてもよい。すなわち、第2角度θ2=0°としてもよい。この場合、第2捩り状態では、第1中間部材7aは、R2側に回転しないため、第1回転体2が第2回転体3に対してR2側に角度θ4捩れるまでは、第2摩擦機構12が作動する。
【符号の説明】
【0136】
2 :第1回転体
21 :第1プレート
211 :第1係合凹部
22 :第2プレート
221 :第3係合凹部
3 :第2回転体
32 :フランジ部
33 :第1ストッパ面
34 :第2ストッパ面
35 :第3ストッパ面
36 :第4ストッパ面
4 :第1弾性部材
5 :第2弾性部材
6a :第1摩擦部材
61a :第1摩擦面
62a :第2摩擦面
63a :第1摩擦本体部
64a :第1係合凸部
6b :第2摩擦部材
61b :第3摩擦面
62b :第4摩擦面
63b :第2摩擦本体部
64b :第2係合凸部
7a :第1中間部材
73a :第1ストッパ部
7b :第2中間部材
73b :第2ストッパ部
8a :第1追加摩擦部材
81a :第5摩擦面
82a :第2係合凹部
8b :第2追加摩擦部材
81b :第6摩擦面
82b :第4係合凹部
9 :皿バネ
11 :第1摩擦機構
12 :第2摩擦機構
13 :第3摩擦機構
100 :ダンパ装置