(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126905
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/28 20060101AFI20240912BHJP
D06F 39/14 20060101ALI20240912BHJP
D06F 25/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
D06F37/28
D06F39/14
D06F25/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035652
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂東 昌
(72)【発明者】
【氏名】井村 真
(72)【発明者】
【氏名】松井 康博
(72)【発明者】
【氏名】八子 大悟
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA02
3B165AA04
3B165AB30
3B165AE01
3B165AE02
3B165BA12
3B165BA24
3B165BA82
3B165BA85
3B165CA01
3B165CA04
3B165CA11
3B165CA15
3B165CA17
3B165CA21
3B165CB01
3B165CB31
3B165CB36
3B165CB55
3B165CB59
3B165CC02
3B165CD02
3B165CD05
3B165CD15
3B165DW02
3B165DW03
3B165DW05
3B165EW03
3B165EW04
3B165EW05
3B165GA02
3B165GA12
3B165GH02
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、外槽から筐体への振動伝達を抑制しつつ、ベローズと周辺部品との接触を低減することができる洗濯機を提供することにある。
【解決手段】
本発明の洗濯機は、内部に液体を貯溜可能な外槽2と、外槽2の内側に回転可能に設けられ洗濯物を収容する内槽3と、外槽2及び内槽3を収容する筐体1(前パネル11)と、外槽2と筐体1との間の隙間をシールする環状のベローズ10と、を備え、ベローズ10は、当該ベローズ10の変形を抑制する補強部10d2を有し、補強部10d2は、ベローズ10の柔軟性が周方向において変化するように、周方向に不均一に設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を貯溜可能な外槽と、前記外槽の内側に回転可能に設けられ洗濯物を収容する内槽と、前記外槽及び前記内槽を収容する筐体と、前記外槽と前記筐体との間の隙間をシールする環状のベローズと、を備え、
前記ベローズは、当該ベローズの変形を抑制する補強部を有し、
前記補強部は、周方向に不均一に設けられる洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記内槽の内側に温風を吹き入れて洗濯物を乾燥させる空気循環流路及び吹出口を備え、
前記空気循環流路は、前記外槽の、前記ベローズと対向する部位に設けられており、
前記補強部は、前記空気循環流路と重複する周方向の部位において、強度が大きくなり、その他の部位において強度が小さくなるように、前記ベローズに設けられる洗濯機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯機において、
前記ベローズは、前記外槽の側に取り付けられる外槽側取付部と、前記筐体の側に取り付けられる筐体側取付部と、前記外槽側取付部と前記筐体側取付部との間に設けられる折り返し部と、を有し、
前記補強部は、前記折り返し部に設けられる洗濯機。
【請求項4】
請求項2に記載の洗濯機において、
前記補強部は、強度の小さい第1補強部と、強度の大きい第2補強部と、を有し、
前記第2補強部は、周方向に延伸する複数条の突状部を有し、
前記第1補強部は、前記第2補強部における前記突状部の条数よりも少ない条数で周方向に延伸する突状部を有する洗濯機。
【請求項5】
請求項2に記載の洗濯機において、
前記補強部は、強度の小さい第1補強部と、強度の大きい第2補強部と、を有し、
前記第2補強部は、周方向に延伸する幅広の突状部を有し、
前記第1補強部は、前記第2補強部における前記突状部の幅よりも狭い幅を有して周方向に延伸する突状部を有する洗濯機。
【請求項6】
請求項2に記載の洗濯機において、
前記補強部は、強度の小さい第1補強部と、強度の大きい第2補強部と、を有し、
前記第1補強部は、周方向に切り離された複数の突状部で構成される洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の洗濯を行う洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筐体と外槽との隙間をシールし、断面視で半円弧状の可撓性部を有する環状のベローズを備えたドラム式洗濯機が記載されている(段落0028及び
図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたベローズは、半円弧状を成す可撓性部の内周側(「可撓性部52の中心52a」(段落0032及び
図4参照)と称する位置)に凸部を有する。このような凸部は、柔軟なベローズにおいて、変形を抑制することになる。本明細書では、このような凸部を、補強部または補強形状部と呼んで説明する。
【0005】
ベローズは、外槽から筐体への振動伝達を抑制する機能を有する。このためにベローズは柔軟性が要求される一方で、柔軟性を高めると周辺部品との接触が増加し、摩耗の原因となる。ベローズと周辺部品との間隔を大きくすることで、ベローズと周辺部品との接触を低減することはできる。しかし、その場合には、外槽や、外槽の内部に配置される洗濯槽の大きさが制限されたり、乾燥機能を有する洗濯機では乾燥空気を流す乾燥風路の断面積が制限されたりする課題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、外槽から筐体への振動伝達を抑制しつつ、ベローズと周辺部品との接触を低減することができる洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の洗濯機は、
内部に液体を貯溜可能な外槽と、前記外槽の内側に回転可能に設けられ洗濯物を収容する内槽と、前記外槽及び前記内槽を収容する筐体と、前記外槽と前記筐体との間の隙間をシールする環状のベローズと、を備え、
前記ベローズは、当該ベローズの変形を抑制する補強部を有し、
前記補強部は、前記ベローズの柔軟性(変形の容易さ)が周方向において変化するように、周方向に不均一に設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外槽から筐体への振動伝達を抑制しつつ、ベローズと周辺部品との接触を低減することができる洗濯機を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施例に係る洗濯機を示す外観斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る洗濯機の内部構造を示す、正面から見て右側面の概略断面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るベローズの正面から見た平面図である。
【
図4】本発明の一実施例に係るベローズを筐体と外槽との間に組み付けた状態を示す部分断面図である。
【
図5】
図4に示すベローズの断面部位を、ベローズ単体で示す斜視図である。
【
図6】
図4とは異なる部位において、ベローズを筐体と外槽との間に組み付けた状態を示す部分断面図である。
【
図7】
図6に示すベローズの断面部位を、ベローズ単体で示す斜視図である。
【
図8】ベローズの変更例(第1変更例)を示す平面図である。
【
図9】ベローズの変更例(第2変更例)を示す平面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る洗濯機の一実施例を、図面を用いて説明する。以下では、乾燥機能を有するドラム式洗濯乾燥機について説明するが、本発明は乾燥機能のないドラム式洗濯機に適用することも可能である。以下、乾燥機能を有するドラム式洗濯乾燥機と乾燥機能のないドラム式洗濯機とを含め、洗濯機と呼んで説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施例に係る洗濯機100を示す外観斜視図である。
図2は、本発明の一実施例に係る洗濯機100の内部構造を示す、正面から見て右側面の概略断面図である。なお
図2では、前面カバー1c及び上面カバー1eを取り除いた状態で、洗濯機100の下部の図示を省略し、洗濯機100の上部を図示している。
図1において、洗濯機100を正面から見て右側にある側面を右側面、左側にある側面を左側面と呼ぶ。洗濯機100の左右方向を幅方向と呼び、洗濯機100の前後方向を奥行き方向と呼ぶ場合もある。
【0012】
図1に示すように、筐体1は、主に鋼板と樹脂成形品で作られた側板1a、前パネル4(
図4参照)及び図示しない補強材等を組み合わせて骨格を構成し、その骨格に前面カバー1c、上面カバー1e及び背面カバー1f(
図2参照)を取り付けることで構成される。側板1aは、洗濯機100の左右の両側面に設けられ、前面カバー1cは洗濯機100の前面に設けられ、背面カバー1fは洗濯機100の背面に設けられる。
【0013】
前面カバー1cには洗濯物を出し入れするドア9が設けられている。ドア9は、筐体1に設けられた洗濯物の投入口1gを開閉し、閉じられた状態においてベローズ10に接触し、外槽2を水封する。上面カバー1eには、洗濯機の運転を設定する操作ボタン12が配置されている。操作ボタン12の配置は
図1の配置に限定されることなく、例えば前面カバー1cに配置されてもよい。
【0014】
図2に示すように、筐体1の内側には外槽2が備えられる。すなわち筐体1は、外槽2及び内槽3を収容して内包する。外槽2は、内部に液体を貯溜可能であり、下部の複数個のサスペンション(図示せず)により支持されている。外槽2の内側には、洗濯物を収容する内槽3が回転可能に設けられている。内槽3は主軸51を介してドラム駆動用モータ5に直結され、ドラム駆動用モータ5により回転駆動される。このため、内槽3は回転ドラムと呼ばれることもある。しかし内槽3の駆動方式は、例えばプーリとベルトとを介して連結されて駆動されるベルト駆動方式であってもよい。
【0015】
筐体1の投入口1g、外槽2の開口部及び内槽3の開口部は連通しており、ドア9を開くことで、内槽3に対する衣類の出し入れが可能となる。内槽3の開口部の外周(縁部)には、リング状の流体バランサ31が設けられている。流体バランサ31は、脱水時の洗濯物のアンバランスによる振動を低減する。
【0016】
本実施例の洗濯機100は、内槽3の内側に温風を吹き入れて洗濯物を乾燥させる乾燥機能を備える。この乾燥機能は、図示しない空気循環機構(温風循環機構)により実現される。空気循環機構は、温風を内槽3に循環させて洗濯物を乾燥させる機構(温風循環機構)であり、熱交換ユニット、送風機、及び空気循環流路6(
図4参照)等を有する。熱交換ユニットはヒートポンプで構成されてもよいし、加熱ヒータで構成されてもよい。
【0017】
空気循環流路6には、内槽3の内側に温風を吹き入れる吹出口61が設けられる。本実施例では、吹出口61は内槽3の開口部側に設けられ、開口部の外周に配置した流体バランサ31の内周側から、内槽3の内側に温風を吹き入れる。なお、循環させる温風は種々の温度に設定可能であり、熱交換ユニットで温めない空気を洗濯物に吹き付ける場合もある。
【0018】
図3乃至
図7を参照して、ベローズ10について説明する。
図3は、本発明の一実施例に係るベローズ10の正面から見た平面図である。
ベローズ10は、外槽2と筐体1との隙間をシールする環状の部材(シール部材)である。ベローズ10は、可撓性(柔軟性)を有する弾性部材であり、例えばゴム等で形成される。
【0019】
図4は、本発明の一実施例に係るベローズ10を筐体1と外槽2との間に組み付けた状態を示す部分断面図である。
図5は、
図4に示すベローズ10の断面部位を、ベローズ単体で示す斜視図である。
図6は、
図4とは異なる部位において、ベローズ10を筐体1と外槽2との間に組み付けた状態を示す部分断面図である。
図7は、
図6に示すベローズ10の断面部位を、ベローズ単体で示す斜視図である。
【0020】
図4及び
図5に示すように、ベローズ10は、前パネル4と、外槽2とに、それぞれ取り付けられ、前面カバー1cとは前パネル11を介して固定される。前パネル4は筐体1の骨格を構成する部材であり、洗濯機100の前面側に配置され、前面カバー1cが取り付けられて、前面カバー1cにより覆われる部材である。
【0021】
外槽2にはベローズ10を係止する係止部(取付部)21が設けられ、ベローズ10には外槽2に係止される係止部(取付部)10bが設けられる。ベローズ10は、係止部10bが外槽2の係止部21に嵌合されることにより、外槽2に係止される。前パネル11にはベローズ10を係止する係止部(取付部)11aが設けられ、ベローズ10には前パネル11に係止される係止部(取付部)10eが設けられる。ベローズ10は、係止部10eが前パネル11の係止部11aに嵌合されることにより、前パネル11に係止される。前パネル11にはねじ穴11b(
図6参照)が設けられており、前面カバー1cはねじ穴11bに螺合されるねじを用いて、前パネル11に固定される。
【0022】
すなわちベローズ10は、外槽2の側に取り付けられる外槽側取付部10bと、筐体1の側に取り付けられる筐体側取付部10eと、を有する。
【0023】
ベローズ10は、係止部10eに対して径方向内側で、かつ洗濯機100の前面側に、リップ10aを有する。ドア9が閉じられると、ドア9がベローズ10の内周側に押し込まれ、リップ10aが径方向外側に押し広げられるのと同時に、リップ10aはドア9を径方向内側に締め付ける。その結果、ドア9とベローズ10とが密着する。これにより、洗濯水の外槽外部への漏出が防止され、循環空気に対する気密性も確保される。
【0024】
さらにベローズ10は、リップ10aから外槽2側に向かって延伸する内周面部10hと、内周面部10hの背面側端部(後端部)から前面側に折り返す折り返し部10cと、を有する。折り返し部10cは、周方向に垂直な断面上において湾曲した部位(湾曲形状部)11c1を含む。
【0025】
折り返し部10cは、背面側端部(後端部)から前面側に折り返した後、さらに前面側から背面側端部(後端部)に折り返しており、その後端部が係止部(外槽側取付部)10bに接続されている。折り返し部10cは係止部(外槽側取付部)10bと係止部(筐体側取付部)10eとの間に配置され、折り返し部10cと内周面部10hとで係止部10bと係止部10eとを接続している。
【0026】
ベローズ10は、内周面部10hの前端部と後端部との間に、内周面部10hから径方向外側に向かって形成されたリブ10jを有する。リブ10jは係止部10bに対して前面側に配置され、係止部10eに対して背面側に配置される。
図6に示すように、リブ10jは、前パネル11のねじ穴11bと折り返し部10cとの間に介在することで、ねじ穴11bに螺合されるねじと折り返し部10cとの直接の接触を防止し、折り返し部10cの損傷を防ぐ。
【0027】
ベローズ10は、筐体1と外槽2との隙間をシールする部品であり、筐体1及び外槽2のそれぞれに取り付けられているため、内槽3の振動が外槽2を介して筐体1に伝達されるのを抑制することについて、高い性能を有することが求められる。このために折り返し部10cは、内槽3の回転振動を受けて振動する外槽2の動きに追従して容易に変形できるように構成されることが求められる。このために折り返し部10cは、周方向に垂直な断面上において湾曲した部位(湾曲形状部)11c1を含み、他の部位よりも薄肉に形成されることで、可撓性が促進された可撓性促進部を構成する。湾曲形状部11c1は、変形の自由度を高めるために、円弧形状に形成されることが好ましい。
他の部位よりも薄肉に形成されている。
【0028】
上述した様に、ベローズ10は、外槽2から筐体1への振動伝達を抑制する機能を有する。このためにベローズ10は柔軟性が要求される一方で、柔軟性を高めると、周辺部品との接触が増加し、摩耗の原因となる。ベローズ10と周辺部品との間隔を大きくすることで、ベローズ10と周辺部品との接触を低減することはできる。しかし、その場合には、外槽2や、外槽2の内部に配置される内槽3の大きさが制限されたり、乾燥機能を有する洗濯機では乾燥空気を流す乾燥風路の断面積が制限されたりする課題が生じる。
【0029】
そこで本実施例では、ベローズ10の折り返し部10cにおける柔軟性をある程度確保しつつ、大きな変形を抑制するように、折り返し部10cに補強部(補強形状部)10d1,10d2を設ける。すなわち補強部10d1,10d2は、ベローズ10の変形を抑制する部位又は形状である。
【0030】
ベローズ10は、リップ10a、係止部10b、折り返し部10c、補強部10d1,10d2、係止部10e、内周面部10h、及びリブ10jが可撓性(柔軟性)を有する弾性部材により、一体的に成形される。
【0031】
次に、本実施例において特徴的な、ベローズ10の折り返し部10cと周辺部品との接触について説明する。
図4及び
図6は、筐体1と外槽2との間に組み付けられたベローズ10を示している。
図4では、ベローズ10の折り返し部10cと対向する外槽2の対向面に、空気循環流路6が設けられている。これに対して、
図6では、ベローズ10の折り返し部10cと対向する外槽2の対向面に、空気循環流路6は設けられていない。
【0032】
図4では、空気循環流路6は、外槽2と、外槽2を覆う流路形成部材62との間に形成されており、流路形成部材62がベローズ10の折り返し部10cと対向している。この場合、流路形成部材62とベローズ10の折り返し部10cとの間隙はS2である。一方、
図6では、空気循環流路6がないため、ベローズ10の折り返し部10cは外槽2と直接対向し、ベローズ10の折り返し部10cと外槽2の対向面2aとの間隙はS1になる。
【0033】
空気循環流路6は、流路抵抗を低減するために断面積を大きくする必要がある。空気循環流路6の吹出口61の近傍では、矢印F1で示すように、空気循環流路6に曲がりが生じるため、流路形成部材62に膨出部62aを設け、流路断面積を大きく確保している。このために、間隙S2は間隙S1よりも小さくなりがちである(S2<S1)。
【0034】
すなわち本実施例では、ベローズ10の柔軟性を高めると、空気循環流路6の流路形成部材62とベローズ10の折り返し部10cとの接触が増加し、ベローズ10の摩耗の原因となり得る。そこで本実施例では、ベローズ10の折り返し部10cにおける変形を、空気循環流路6の流路形成部材62の近傍で抑制する。このために、空気循環流路6の近傍では、折り返し部10cの補強部(補強形状部)10d2の強度を、その他の部位における補強部(補強形状部)10d1の強度よりも大きくし、補強部(第2補強部)10d2が設けられた部位における折り返し部10cの変形を、補強部(第1補強部)10d1が設けられた部位における折り返し部10cの変形よりも抑制するようにする。補強部10d1が設けられた部位においては折り返し部10cの柔軟性は維持されるので、外槽2から筐体1への振動伝達を抑制する機能の低下は抑制される。
【0035】
ここで補強部(補強形状部)10d1,10d2の強度とは、強度が大きくなった場合に、柔軟性が小さくなり、変形し難くなる、補強部の強さの程度を言う。
【0036】
本実施例では、補強部10d2が設けられた部位における折り返し部10cでは、周方向に延伸する2条の突状部(2重の線状突状部)が設けられ、補強部10d1が設けられた部位における折り返し部10cでは、周方向に延伸する1条の突状部(1重の線状突状部)が設けられている。2条の突状部が設けられた部位では、
図5に示すように補強部10d2の幅がW2となり、1条の突状部が設けられた部位では、
図7に示すように補強部10d1の幅がW1となる。この場合、幅W2は幅W1よりも大きい(W2>W1)。これにより、環状を成すベローズ10の周方向において、補強部10d1,10d2の強度を非連続にすることができ、ベローズ10の折り返し部10cの変形を抑制したい箇所で、補強部の強度を大きくしてベローズ10の柔軟性を小さくすることができる。
【0037】
本実施例では、ベローズ10と接触する周辺部品が空気循環流路6の流路形成部材62である場合について説明したが、そのほかに、ベローズ10と接触する周辺部品が存在する場合は、その周辺部品の近傍において、ベローズ10の折り返し部10cに補強部10d2を設け、補強部10d1,10d2の強度を非連続にするとよい。すなわち補強部10d1,10d2は、ベローズ10の変形の容易さ(柔軟性)が周方向において変化するように、周方向に不均一に設けられる。
【0038】
また、補強部10d1,10d2の強度を非連続にするためには、補強部10d1または10d2を設ける箇所と、補強部10d1または10d2を設けない箇所と、を設けるようにしてもよい。すなわち、上述した補強部10d2が設けられた部位における折り返し部10cでは、補強部10d1または10d2を設け、上述した補強部10d1が設けられた部位における折り返し部10cでは、補強部10d1および10d2を設けない構成とする。
【0039】
また補強部10d1,10d2における突状部の条数は上述した構成に限定される訳ではなく、補強部10d2における突状部の条数が補強部10d1における突状部の条数よりも多くなるようにするとよい。条数を増やし、条数でベローズ10の折り返し部10cの柔軟性を調整することにより、柔軟性を細やかに調整することができる。
【0040】
すなわち本例では、補強部10d1,10d2は、強度の小さい第1補強部10d1と、強度の大きい第2補強部10d2と、を有し、第2補強部10d2は、周方向に延伸する複数条の突状部10da,10db(
図4参照)を有し、第1補強部10d1は、第2補強部10d2における突状部10da,10dbの条数よりも少ない条数で周方向に延伸する突状部10da(
図6参照)を有する。この場合、第2補強部10d2の突状部10daと第1補強部10d1の突状部10daとは、連青くした1つの突状部で構成するとよい。これにより、突状部の条数を無駄に増やす必要がなくなる。
【0041】
図8を参照して、補強部(第2補強部)10d2の変更例について説明する。
図8は、ベローズ10の変更例(第1変更例)を示す平面図である。
本例では、
図4及び
図5の第2補強部10d2が2条の突状部で構成されていたのに対して、2条の突状部を1条の突状部にまとめ、1条の突状部にまとめた第2補強部10d2の幅W3を、
図6及び
図7の第1補強部10d1の幅W1よりも大きくしたものである(W3>W1)。第2補強部10d2の強度をその幅W3で調整することにより、条数で調整する場合と比べて、強度の調整をきめ細やかに行うことができる。
【0042】
すなわち本例では、補強部10d1,10d2は強度の小さい第1補強部10d1と強度の大きい小さい第2補強部10d2とを有し、第2補強部10d2は周方向に延伸する幅広W3の突状部10dc(
図8参照)を有し、第1補強部10d1は第2補強部10d2における突状部10dcの幅W3よりも狭い幅W1を有して周方向に延伸する突状部10da(
図6参照)を有する。本例では、複数条の突状部10da,10dbを1つの突状部10dcにまとめることで、第2補強部10d2の幅W3(
図8参照)を、複数条の突状部10da,10dbで構成した場合の第2補強部10d2の幅W2(
図4参照)よりも小さくすることができる。
【0043】
図9を参照して、補強部10d1,10d2の変更例について説明する。
図9は、ベローズ10の変更例(第2変更例)を示す平面図及び断面図である。
補強部10d1,10d2に対して、切れ目10d3を入れることにより、補強部10d1,10d2の強度を小さくすることができる。この場合、切れ目10d3は補強部10d1,10d2の幅方向に沿って形成される切断面を有し、補強部10d1,10d2の突状部を周方向において切り離す。この場合、第1補強部10d1及び第2補強部10d2のうち、強度の小さい第1補強部10d1を、周方向に切り離された複数の突状部10ddで構成することが好ましい。これにより、第1補強部10d1の強度を第2補強部10d2の強度よりも簡単に小さくすることができる。
【0044】
その他、例えば、第1補強部10d1では周方向における切れ目10d3の間隔P10d3を小さくすることで、第1補強部10d1における強度を第2補強部10d2における強度よりも小さくすることができる。この場合、第2補強部10d2には切れ目10d3を入れる必要はないが、第2補強部10d2における強度を調整(低減)するため、切れ目10d3を入れてもよい。しかし、第2補強部10d2の強度が第1補強部10d1の強度よりも小さくならないように、第2補強部10d2における切れ目10d3の間隔P10d3は、第1補強部10d1における切れ目10d3の間隔P10d3よりも大きくなるようにするか、第2補強部10d2における切れ目10d3の深さD10d3を、第1補強部10d1における切れ目10d3の深さD10d3よりも浅くするとよい。
【0045】
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…筐体、2…外槽、3…内槽(回転ドラム)、6…空気循環流路、10…ベローズ、10b…外槽側取付部、10c…折り返し部、10d1…補強部(第1補強部)、10d2…補強部(第2補強部)、10da,10db…第2補強部を構成する複数条の突状部、10da…第1補強部を構成する突状部、10dc…第2補強部を構成する幅広の突状部、10dd…周方向に切り離された複数の突状部、10e…筐体側取付部、11…筐体1を構成する前パネル、61…吹出口、100…洗濯機。