特開 2024-126921 測色装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024126921

(43)【公開日】2024-09-20

(54)【発明の名称】測色装置

(51)【国際特許分類】

   G01J 3/50 20060101AFI20240912BHJP

【ＦＩ】

G01J3/50

【審査請求】未請求

【請求項の数】14

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023035678

(22)【出願日】2023-03-08

(71)【出願人】

【識別番号】000002369

【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100095452

【弁理士】

【氏名又は名称】石井 博樹

(74)【代理人】

【識別番号】100130535

【弁理士】

【氏名又は名称】鈴木 明

(74)【代理人】

【識別番号】100183025

【弁理士】

【氏名又は名称】大角 孝一

(72)【発明者】

【氏名】山田 克己

(72)【発明者】

【氏名】▲徳▼田 健志

(72)【発明者】

【氏名】伊藤 真輝

【テーマコード（参考）】

2G020

【Ｆターム（参考）】

2G020AA08

2G020DA15

2G020DA36

2G020DA43

(57)【要約】

【課題】測色部が測色対象物と接触した状態で測色対象物を測色する測色器を取り付け可能な測色装置において測色対象物が損傷することを抑制する。
【解決手段】測色部１２２が測色対象物１０と接触した状態で測色対象物１０を測色する測色器１００を取り付け可能な測色装置１であって、測色器１００を支持するキャリッジ３０と、キャリッジ３０を走査する走査機構部２０と、を備え、キャリッジ３０は、測色器１００を支持した状態において測色部１２２がキャリッジ３０の底面３０２から測色対象物１０に向かう突出方向に突出するように測色器１００を支持する。
【選択図】図８

【特許請求の範囲】

【請求項1】

測色部が測色対象物と接触した状態で前記測色対象物を測色する測色器を取り付け可能な測色装置であって、
前記測色器を支持するキャリッジと、
前記キャリッジを走査する走査機構部と、を備え、
前記キャリッジは、前記測色器を支持した状態において前記測色部が前記キャリッジの底面から前記測色対象物に向かう突出方向に突出するように前記測色器を支持することを特徴とする測色装置。

【請求項2】

請求項１に記載の測色装置において、
前記測色器は、前記キャリッジの一部に対して前記測色器の一部が自重により載った状態で前記キャリッジに支持され、前記突出方向とは反対方向から前記測色部に力が加わることで前記キャリッジに対して前記反対方向に移動可能に構成されていることを特徴とする測色装置。

【請求項3】

請求項２に記載の測色装置において、
前記測色部で前記測色対象物を測色している状態では、前記キャリッジの底面は前記測色対象物と離間していることを特徴とする測色装置。

【請求項4】

請求項３に記載の測色装置において、
前記突出方向に沿う方向において、前記キャリッジの長さは前記測色器の長さよりも短いことを特徴とする測色装置。

【請求項5】

請求項３に記載の測色装置において、
前記キャリッジは、前記測色器の第１側面及び前記第１側面と対向する第２側面に当接して前記測色器を支持することを特徴とする測色装置。

【請求項6】

請求項５に記載の測色装置において、
前記キャリッジは、前記第１側面及び前記第２側面に向かって突出するリブを備えることを特徴とする測色装置。

【請求項7】

請求項５に記載の測色装置において、
前記キャリッジは、前記第１側面及び前記第２側面に設けられ前記測色器の外側に向かって突出する凸部を支持することを特徴とする測色装置。

【請求項8】

請求項１から７のいずれか１項に記載の測色装置において、
前記キャリッジは、前記測色対象物を検出する第１検出部と第２検出部とを備え、
前記第１検出部と前記第２検出部とは、前記測色部を挟んで設けられることを特徴とする測色装置。

【請求項9】

請求項８に記載の測色装置において、
前記測色装置の外面を構成するカバーであって、前記第１検出部を固定可能な第１カバーを備えることを特徴とする測色装置。

【請求項10】

請求項９に記載の測色装置において、
前記第１カバーは、前記測色器に接続されるケーブルを保持可能であることを特徴とする測色装置。

【請求項11】

請求項１０に記載の測色装置において、
前記第１カバーは、前記第１検出部及び前記ケーブルと前記突出方向に沿う方向においてオーバーラップするように前記第１検出部及び前記ケーブルを保持することを特徴とする測色装置。

【請求項12】

請求項１から７のいずれか１項に記載の測色装置において、
前記測色器と接続するケーブルを備え、
前記キャリッジは、前記ケーブルを通す開口部を備え、
前記ケーブルは、前記開口部に対して変位可能に配置されていることを特徴とする測色装置。

【請求項13】

請求項１から７のいずれか１項に記載の測色装置において、
前記キャリッジは、前記測色器に取り付けられる付属部材を収容する収容部を備えることを特徴とする測色装置。

【請求項14】

請求項１から７のいずれか１項に記載の測色装置において、
前記走査機構部は、
前記測色部が前記測色対象物と接触した状態と前記測色部が前記測色対象物と非接触の状態とに変位可能であり、
前記測色部が前記測色対象物と非接触の状態から前記測色部が前記測色対象物と接触した状態に変位させる際、前記測色部を走査させる走査方向における前記測色部の一端を他端よりも先に前記測色対象物に当接させることを特徴とする測色装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、測色装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来から、測色対象物を測色する様々な測色装置が使用されている。例えば、特許文献１には、測色対象物である受像紙との距離を一定に保つために測色部であるカバーを受像紙に押し付けて、受像紙を測色する測色装置が開示されている。また、特許文献２には、測色部である測色計が測色対象物であるカラーチャートに対して非接触の状態で測色する自動測色装置であって、自動測色装置に対して測色計が着脱可能な構成が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０００－２４１２４８号公報

【特許文献2】特開２０１６－２１２００１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、特許文献２の自動測色装置のような測色部が測色対象物に対して非接触の状態で測色する測色装置においては、測色部と測色対象物との隙間から外光が入り込み、測色精度が低下する虞がある。また、特許文献１の測色装置は、測色部であるカバーが測色装置に固定されており、測色装置に固定されたカバーが受像紙に押し付けられるので、カバーが受像紙を破損してしまう虞がある。

【課題を解決するための手段】

【0005】

上記課題を解決するための、本発明の測色装置は、測色部が測色対象物と接触した状態で前記測色対象物を測色する測色器を取り付け可能な測色装置であって、前記測色器を支持するキャリッジと、前記キャリッジを走査する走査機構部と、を備え、前記キャリッジは、前記測色器を支持した状態において前記測色部が前記キャリッジの底面から前記測色対象物に向かう突出方向に突出するように前記測色器を支持することを特徴とする。

【図面の簡単な説明】

【0006】

【図1】本発明の一実施例に係る測色装置で使用可能な測色器の概略斜視図。

【図2】本発明の一実施例に係る測色装置の斜視図。

【図3】本発明の一実施例に係る測色装置の内部構成を表す斜視図。

【図4】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺の上方から見た斜視図。

【図5】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺の上方から見た斜視図であって、図１の測色器を収容した状態を表す図。

【図6】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す平面図。

【図7】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す底面図。

【図8】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図１の測色器を収容するとともにキャリッジを走査する際の配置を表す図。

【図9】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図１の測色器を収容するとともに図８の状態からキャリッジを下方に移動させて測色部が測色対象物と接触した瞬間の配置を表す図。

【図10】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図１の測色器を収容するとともに図９の状態からキャリッジをさらに下方に移動させて測色対象物の測色をする際の配置を表す図。

【図11】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図１の測色器を収容するとともに図１０の状態からキャリッジをさらに下方に移動させてキャリッジの底面が測色対象物と接触した配置を表す図。

【図12】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図１の測色器を収容するとともにキャリッジをホームポジションに移動させた状態の配置を表す図。

【図13】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す底面図であって、図１の測色器を収容した状態を表す図。

【図14】本発明の一実施例に係る測色装置を表す側面図であって、図１の測色器を収容した状態を表す図。

【図15】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す下方から見た斜視図。

【図16】本発明の一実施例に係る測色装置の平面図であって、図１の測色器を収容するとともにキャリッジ周辺を拡大して表した図。

【図17】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジを表す側面断面図。

【図18】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺の図５とは異なる角度から見た上方からの斜視図であって、図１の測色器を収容した状態を表す図。

【図19】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す平面図であって、ストラップが取り付けられた図１の測色器を収容した状態を表す図。

【発明を実施するための形態】

【0007】

以下、本発明を概略的に説明する。
第１の態様の測色装置は、測色部が測色対象物と接触した状態で前記測色対象物を測色する測色器を取り付け可能な測色装置であって、前記測色器を支持するキャリッジと、前記キャリッジを走査する走査機構部と、を備え、前記キャリッジは、前記測色器を支持した状態において前記測色部が前記キャリッジの底面から前記測色対象物に向かう突出方向に突出するように前記測色器を支持することを特徴とする。

【0008】

本態様によれば、測色部が測色対象物と接触した状態で測色対象物を測色する測色器を取り付け可能な測色装置であるので、測色部と測色対象物との隙間から外光が入り込むことを抑制でき、測色精度の低下を抑制することができる。また、キャリッジは、測色器を支持した状態において測色部がキャリッジの底面から測色対象物に向かう突出方向に突出するように測色器を支持する。すなわち、測色器をキャリッジに固定することなく支持することが可能になるため、測色部が測色対象物に接触した際の衝撃を和らげることができ、測色部が測色対象物を破損してしまうことを抑制することができる。

【0009】

次に、第２の態様の測色装置は、第１の態様に従属する態様であって、前記測色器は、前記キャリッジの一部に対して前記測色器の一部が自重により載った状態で前記キャリッジに支持され、前記突出方向とは反対方向から前記測色部に力が加わることで前記キャリッジに対して前記反対方向に移動可能に構成されていることを特徴とする。

【0010】

本態様によれば、測色器は、キャリッジの一部に対して測色器の一部が自重により載った状態でキャリッジに支持され、突出方向とは反対方向から測色部に力が加わることでキャリッジに対して反対方向に移動可能に構成されている。このため、測色器をキャリッジに対して測色器の自重で支持させることができるため、測色部が測色対象物に接触した際の衝撃を効果的に和らげることができ、測色部が測色対象物を破損してしまうことを効果的に抑制することができる。

【0011】

次に、第３の態様の測色装置は、第１または第２の態様に従属する態様であって、前記測色部で前記測色対象物を測色している状態では、前記キャリッジの底面は前記測色対象物と離間していることを特徴とする。

【0012】

本態様によれば、測色部で測色対象物を測色している状態では、キャリッジの底面は測色対象物と離間している。このため、測色部で測色対象物を測色している状態では、キャリッジの重量が測色対象物に伝わらない。したがって、測色部が測色対象物に接触した際の衝撃を効果的に和らげることができ、測色部が測色対象物を破損してしまうことを特に効果的に抑制することができる。なお、測色部で測色対象物を測色している状態では、測色部が測色対象物に接触している。このため、測色対象物に対し測色器の自重による所定の荷重が加わるので、測色対象物の位置ずれを抑制することができる。

【0013】

次に、第４の態様の測色装置は、第１から第３のいずれか１つの態様に従属する態様であって、前記突出方向に沿う方向において、前記キャリッジの長さは前記測色器の長さよりも短いことを特徴とする。

【0014】

本態様によれば、突出方向に沿う方向において、キャリッジの長さは測色器の長さよりも短い。このため、突出方向に沿う方向におけるキャリッジの長さを短くすることができ、測色装置全体を突出方向に沿う方向において小型化することができる。

【0015】

次に、第５の態様の測色装置は、第１から第４のいずれか１つの態様に従属する態様であって、前記キャリッジは、前記測色器の第１側面及び前記第１側面と対向する第２側面に当接して前記測色器を支持することを特徴とする。

【0016】

本態様によれば、測色器の第１側面及び第２側面に当接して測色器を支持する。このため、第１側面及び第２側面により測色器がキャリッジに対して突出方向と交差する方向に位置ずれすることを抑制することができる。

【0017】

次に、第６の態様の測色装置は、第５の態様に従属する態様であって、前記キャリッジは、前記第１側面及び前記第２側面に向かって突出するリブを備えることを特徴とする。

【0018】

本態様によれば、キャリッジは第１側面及び第２側面に向かって突出するリブを備える。このようなリブを備えることで、測色器がキャリッジに対して突出方向と交差する方向に位置ずれすることを効果的に抑制することができる。

【0019】

次に、第７の態様の測色装置は、第５または第６の態様に従属する態様であって、前記キャリッジは、前記第１側面及び前記第２側面に設けられ前記測色器の外側に向かって突出する凸部を支持することを特徴とする。

【0020】

本態様によれば、キャリッジは、第１側面及び第２側面に設けられ測色器の外側に向かって突出する凸部を支持する。このような構成とすることで、突出方向において測色器を安定して支持することができる。

【0021】

次に、第８の態様の測色装置は、第１から第７のいずれか１つの態様に従属する態様であって、前記キャリッジは、前記測色対象物を検出する第１検出部と第２検出部とを備え、前記第１検出部と前記第２検出部とは、前記測色部を挟んで設けられることを特徴とする。

【0022】

本態様によれば、キャリッジは測色対象物を検出する第１検出部と第２検出部とを備え、第１検出部と第２検出部とは測色部を挟んで設けられる。このような構成とすることで、第１検出部と第２検出部とで測色対象物の被検出部を検出することにより測色対象物の位置に対する測色器の位置を特定することができる。また、第１検出部と第２検出部とが測色部を挟んで設けられることで、例えば複数の被検出部を第１検出部及び第２検出部のいずれか一方で効率良く検出することによりキャリッジの走査範囲を減少させることができる。

【0023】

次に、第９の態様の測色装置は、第１から第８のいずれか１つの態様に従属する態様であって、前記測色装置の外面を構成するカバーであって、前記第１検出部を固定可能な第１カバーを備えることを特徴とする。

【0024】

本態様によれば、測色装置の外面を構成するカバーであって第１検出部を固定可能な第１カバーを備える。このため、第１カバーにより、測色装置の外面を構成しつつ、第１検出部を保護することができる。すなわち、１つの部材で２つの役割を備えるため、それぞれ別部材を設ける構成と比較して部材数を少なくすることができる。

【0025】

次に、第１０の態様の測色装置は、第９の態様に従属する態様であって、前記第１カバーは、前記測色器に接続されるケーブルを保持可能であることを特徴とする。

【0026】

本態様によれば、第１カバーは測色器に接続されるケーブルを保持可能である。このため、第１検出部とケーブルとを１つの部材で保持できるため、部品数を少なくすることができる。

【0027】

次に、第１１の態様の測色装置は、第１０の態様に従属する態様であって、前記第１カバーは、前記第１検出部及び前記ケーブルと前記突出方向に沿う方向においてオーバーラップするように前記第１検出部及び前記ケーブルを前記キャリッジに固定することを特徴とする。

【0028】

本態様によれば、第１カバーは、第１検出部及びケーブルと突出方向に沿う方向においてオーバーラップするように検出部及びケーブルを保持する。このように、第１検出部及びケーブルに対して第１カバーを突出方向に沿う方向においてオーバーラップさせる配置とすることで、第１検出部の収容空間を小さくすることができ、キャリッジを小型化することができる。

【0029】

次に、第１２の態様の測色装置は、第１から第１１のいずれか１つの態様に従属する態様であって、前記測色器と接続するケーブルを備え、前記キャリッジは、前記ケーブルを通す開口部を備え、前記ケーブルは、前記開口部に対して変位可能に配置されていることを特徴とする。

【0030】

測色器と接続される側であるケーブルの一端側が測色器の変動に合わせて移動すると、ケーブルの他端側が固定されている構成であった場合、ケーブルに対して力が掛かる。しかしながら、本態様によれば、測色器と接続するケーブルを備え、キャリッジはケーブルを通す開口部を備え、ケーブルは開口部に対して変位可能に配置されている。このため、ケーブルの一端側が測色器の変動に合わせて移動したとしても、ケーブルが開口部に対して変位することで、ケーブルに対して掛かる力を逃がすことができる。

【0031】

次に、第１３の態様の測色装置は、第１から第１２のいずれか１つの態様に従属する態様であって、前記キャリッジは、前記測色器に取り付けられる付属部材を収容する収容部を備えることを特徴とする。

【0032】

本態様によれば、キャリッジは測色器に取り付けられる付属部材を収容する収容部を備える。このため、例えば、測色器から付属部材を外さなくても測色器をキャリッジにセットすることができるようになり、ユーザービリティーが向上する。

【0033】

次に、第１４の態様の測色装置は、第１から第１３のいずれか１つの態様に従属する態様であって、前記走査機構部は、前記測色部が前記測色対象物と接触した状態と前記測色部が前記測色対象物と非接触の状態とに変位可能であり、前記測色部が前記測色対象物と非接触の状態から前記測色部が前記測色対象物と接触した状態に変位させる際、前記測色部を走査させる走査方向における前記測色部の一端を他端よりも先に前記測色対象物に当接させることを特徴とする。

【0034】

本態様によれば、走査機構部は、測色部が測色対象物と接触した状態と測色部が測色対象物と非接触の状態とに変位可能であり、測色部が測色対象物と非接触の状態から測色部が測色対象物と接触した状態に変位させる際、測色部を走査させる走査方向における測色部の一端を他端よりも先に測色対象物に当接させる。このような構成とすることで、測色器が測色対象物に接触する際の衝撃音を低減することができる。

【0035】

以下、本発明を具体的に説明する。
なお、各図に示すＸ－Ｙ－Ｚ座標系は直交座標系であり、Ｘ－Ｙ平面が水平面であり、Ｘ－Ｚ平面及びＹ－Ｚ平面が垂直面となる。ここで、Ｚ軸方向は鉛直方向であり測色器１００の載置方向に対応し、＋Ｚ方向が鉛直上方向、－Ｚ方向が鉛直下方向である。なお、－Ｚ方向は、測色器１００の測色部に対応する測色面１２２がキャリッジ３０の底面３０２から測色対象物としてのカラーチャート１０に向かう突出方向に対応する。また、Ｘ軸方向は鉛直方向であるＺ軸方向と直交する水平方向である。また、Ｙ軸方向は水平方向であるとともにＸ軸方向及びＺ軸方向のいずれとも直交する方向である。なお、以下の説明では、測色装置１の＋Ｙ方向側を背面方向側、測色装置１の－Ｙ方向側を正面方向側、測色装置１の＋Ｘ方向側を右方向側、測色装置１の－Ｘ方向側を左方向側としている。

【0036】

最初に、図１を参照して、本発明の一実施例の測色装置１で使用可能な測色器１００の一実施例について説明する。本実施例の測色器１００は、測色口１０６を備え、測色口１０６から－Ｚ方向に光を照射して、図２で表されるような測色対象物であるカラーチャート１０により反射された光を受光することで測色する光学装置である。別の表現をすると、光軸方向はＺ軸方向であり、光軸の位置は測色口１０６の位置に対応する。

【0037】

本実施例の測色器１００は、＋Ｚ方向側の面である上面１２１、－Ｚ方向側の底面であって測色口１０６が設けられた測色面１２２、＋Ｙ方向側の面である背面１２３、－Ｙ方向側の面である前面１２４、＋Ｘ方向側の面である右側面１２５、－Ｘ方向側の面である左側面１２６、を有する筐体１２０を備えている。

【0038】

上面１２１には、操作部１１０と画面部１０５とがＹ軸方向に沿って配置されている。詳細には、上面１２１の＋Ｙ方向側に操作部１１０が設けられ、上面１２１の－Ｙ方向側に画面部１０５が設けられている。操作部１１０は、Ｙ軸方向に沿って延設されるバー形状１１１ａとＸ軸方向に沿って延設されるバー形状１１１ｂとからなるプラス形ボタン１１１と、プラス形ボタン１１１の中心に設けられた決定ボタン１１２と、を備えている。例えば、ユーザーは、画面部１０５に表示される複数のメニューに対して、プラス形ボタン１１１を押すことで前後左右にアクティブとなるメニューを移動させ、決定ボタン１１２を押すことで所望のメニューを決定することができる。

【0039】

背面１２３には、図２などで表されるＵＳＢケーブル５０を接続することが可能な端子１０１が形成されている。また、本実施例の測色器１００は、Ｙ軸方向に沿って見たときに外側に向かって凸状となる凸部１２７及び凸部１２８が設けられている。詳細には、凸部１２７は右側面１２５におけるＺ軸方向の中央部よりも＋Ｚ方向側の領域に設けられており、凸部１２８は左側面１２６におけるＺ軸方向の中央部よりも＋Ｚ方向側の領域に設けられている。

【0040】

次に、図２から図１９を参照して、本発明の一実施例の測色装置１の詳細な構成について説明する。図２は、本実施例の測色装置１の構成を表している。測色装置１は、Ｘ軸方向及びＹ軸方向に延設される支持台４１を有する本体部４０備え、また、支持台４１の一部を＋Ｚ方向側から覆うようにＹ軸方向に延設されるガントリー２０を備えている。

【0041】

ガントリー２０には、測色器１００を収容可能なキャリッジ３０が取り付けられる。ガントリー２０は支持台４１に対してＸ軸方向に沿って移動可能であり、キャリッジ３０はガントリー２０に対してＹ軸方向に沿って移動可能である。これらの移動は、走査とも呼ばれる。ここで、キャリッジ３０は、ガントリー２０に対してＹ軸方向に沿って移動可能であるとともに、ガントリー２０に対してＺ軸方向に沿って移動することも可能である。ガントリー２０にはＵＳＢケーブル５０の一端が接続されるとともに、ＵＳＢケーブル５０の他端はキャリッジ３０に収容された測色器１００に接続される。

【0042】

支持台４１には測定対象物の一例であるカラーチャート１０を載置可能であり、カラーチャート１０は例えば複数のカラーパッチ１１と黒枠１２等で構成される。カラーチャート１０は、例えば粘着テープをカラーチャート１０の周囲に貼り付けることで支持台４１に固定され、例えばＡ３サイズまでの自動測色に対応している。ただし、ガントリー２０はＸ軸方向から見て門形状となっており該門形状に対応する空間部２１を有するので、Ｘ軸方向においてＡ３サイズを超えるような長尺紙も支持台４１に載置することが可能である。

【0043】

なお、本体部４０の－Ｙ方向側には支持台４１よりも－Ｚ方向側に下がった位置にフロント面４２が設けられ、本体部４０の＋Ｙ方向側には支持台４１よりも－Ｚ方向側に下がった位置にリア面４３が設けられている。そして、フロント面４２には、測色装置１の操作部の一例である電源ボタン４２ａが設けられている。

【0044】

図３は、測色装置１の内部構成を表し、図２の外装部品を外した図である。ケースロア４８の上方である＋Ｚ方向側にはフロントフレーム４４とリアフレーム４５が間隔を空けてＸ軸方向に延設されるように配置されており、ガントリー２０の一部を構成する門形状をしたガントリーフレーム２６がフロントフレーム４４及びリアフレーム４５に沿ってＸ軸方向に沿って移動する。

【0045】

フロントフレーム４４とリアフレーム４５とは本体部４０の＋Ｘ方向側の位置で連結軸４６によって連結されており、ガントリー２０をＸ軸方向に沿って移動させるための動力源であるガントリーモーター４７から不図示の歯車群を介して連結軸４６にガントリーモーター４７の回転駆動が伝わる。そして、連結軸４６に伝わった回転駆動により、連結軸４６の－Ｙ方向側であるフロントフレーム４４側に設けられた不図示のプーリーに架けられた不図示の無端ベルトと、連結軸４６の＋Ｙ方向側であるリアフレーム４５側に設けられた不図示のプーリーに架けられた不図示の無端ベルトと、を周回させ、これらの無端ベルトに接続されたガントリーフレーム２６を移動させる。

【0046】

ガントリーフレーム２６の－Ｙ方向側に対応する手前側にはキャリッジモーター２２が固定されており、手前プーリー２４と奥プーリー２５に掛けられた無端状のキャリッジベルト２３が、キャリッジモーター２２に接続される手前プーリー２４を介して周回する。キャリッジ３０の一部を構成するキャリッジスライダー３１は、キャリッジベルト２３に固定されており、キャリッジモーター２２の周回動作に伴うキャリッジベルト２３の周回動作に伴ってＹ軸方向に沿って移動する。なお、本体部４０の内部には、制御部としてのメイン基板５２及びサブ基板５３や、電源ボックス５１などが設けられている。

【0047】

図４及び図５は、キャリッジ３０周辺を上方から見た斜視図であって、図４は測色器１００をキャリッジ３０に収容していない状態を表す図であって、図５は測色器１００をキャリッジ３０に収容した状態を表す図である。ここで、本実施例のキャリッジ３０は、特定の測色器１００を使用することを想定して形状が決められているが、キャリッジ３０の形状は、使用する測色器１００の形状に合わせて変更しても良い。

【0048】

図６はキャリッジ３０周辺を表す平面図であり、図７はキャリッジ３０周辺を表す底面図である。キャリッジスライダー３１は、キャリッジガイドフロント３２とキャリッジガイドリア３３と接続されていることで測色器１００の収容部と固定されている。キャリッジ３０は、駆動源であるＺ軸移動方向移動モーター３６の動力がモーターギア６１、ウォームギア６２、第１駆動ギア６３、第２駆動ギア６４、と順に伝わることで、図８などで表されるラックギア６５を介してガントリー２０に対してキャリッジ３０はＺ軸方向に沿ってスライド移動する。また、図７で表されるように、キャリッジ３０にはガントリー２０に対するキャリッジ３０のＺ軸方向における位置がホームポジションにあるか否かを検出するホームポジションセンサー３９が設けられている。

【0049】

なお、図７で表されるように、キャリッジ３０の－Ｚ方向側の面には測定対象物の幅を検出することが可能なフロント側センサー３７とリア側センサー３８とが設けられている。また、図６で表されるように、Ｚ軸方向においてフロント側センサー３７が配置される位置に対応するキャリッジ３０の＋Ｚ方向側にはフロント側カバー３４が配置され、Ｚ軸方向においてリア側センサー３８が配置される位置に対応するキャリッジ３０の＋Ｚ方向側にはリア側カバー３５が配置されている。

【0050】

次に、主に図８から図１２を参照して、キャリッジ３０のガントリー２０に対するＺ軸方向における位置、すなわち、キャリッジ３０及びキャリッジ３０に収容された測色器１００の支持台４１に載置された測定対象物に対するＺ軸方向における位置、について説明する。図８は、測色器１００をキャリッジ３０に収容させた状態でキャリッジ３０を走査する際、すなわち、ガントリー２０に対してキャリッジ３０をＹ軸方向に沿って移動させる際の配置を表す図である。この際は、測色器１００の測色面１２２及びキャリッジ３０の底面３０２のいずれも、測定対象物であるカラーチャート１０に対して，Ｚ軸方向において隙間が空いた状態となっている。

【0051】

図９は、図８の状態からキャリッジを下方である－Ｚ方向に移動させて測色器１００の測色面１２２がカラーチャート１０と接触した瞬間の配置を表す図である。なお、例えば、本実施例においては、この際のキャリッジ３０の底面３０２とカラーチャート１０とのＺ軸方向の隙間Ｇ１は２ｍｍとなっている。ここで、本実施例においては、測色器１００は、キャリッジ３０に対して、凸部１２７及び凸部１２８がキャリッジ３０に設けられたリブ３０１に自重により引っ掛かって載置された状態で収容されているとともに、測色器１００の測色面１２２が図７で表されるキャリッジ３０の底面３０２に設けられた孔部３０２ａから突出方向、すなわち、－Ｚ方向に突出する構成となっている。

【0052】

このため、図１０で表されるように、図９の状態からキャリッジ３０をさらに－Ｚ方向に移動させると、測色面１２２には測色器１００の自重がかかる。なお、図１０は、測色対象物の測色の際の配置、すなわち、カラーチャート１０のカラーパッチ１１や黒枠１２の測色をする際の配置を表している。なお、例えば、本実施例においては、この際のキャリッジ３０の底面３０２とカラーチャート１０とのＺ軸方向の隙間Ｇ２は１ｍｍとなっている。別の表現をすると、本実施例の測色装置１は、測色対象物の測色の際、測色対象物に対して測色面１２２は接触するがキャリッジ３０の底面３０２は隙間が設けられた状態となる。

【0053】

本実施例の測色装置１においては、測色器１００の測色面１２２のＺ軸方向から見た全周が支持台４１上のカラーチャート１０に接触してカラーチャート１０の表面に倣った状態で測色する。このような構成であることで、測色器１００の光軸開口である測色口１０６が測色面１２２で覆われた状態で測色できるので、外光の影響を受けにくく測色精度が上がる。なお、図９の状態でも外光の影響を受けにくい状態で測色することは可能であるが、キャリッジ３０や測色器１００や支持台４１には部品の製造ばらつきなどに伴う公差が生じるので、キャリッジ３０の測色器１００の保持位置や測色面１２２から支持台４１までの距離にずれが生じる場合がある。しかしながら、図９の状態からさらにキャリッジ３０を下げることで、このような公差の影響を受けずに測色を行うことが可能になる。

【0054】

また、図１０の状態では、キャリッジ３０の底面３０２とカラーチャート１０との間に隙間Ｇ２ができており、キャリッジ３０の底面３０２とカラーチャート１０とが離間した状態となっている。このため、キャリッジ３０の重量がカラーチャート１０に伝わらず、測色器１００の自重のみカラーチャート１０に掛かった状態になる。したがって、測色器１００は適度な荷重が掛かった状態でカラーチャート１０に接触するので、カラーチャート１０を損傷させにくい。なお、測色器１００の測色面１２２がカラーチャート１０に接触して測色している状態では、カラーチャート１０に対し測色器１００の自重による所定の荷重が加わるので、カラーチャート１０の位置ずれを抑制することができる。

【0055】

なお、本実施例の測色装置１は、様々な測色対象物の測色が可能である。本実施例の測色装置１が測色可能な測色対象物には様々な厚みのものがある。このため、本実施例の測色装置１は、使用する測色対象物に対してキャリッジ３０をＺ軸方向に移動させることでキャリッジ３０を測色対象物に当接させ、その当接時のキャリッジ３０の高さである度当て高さを測定することができる。別の観点から説明すると、キャリッジ３０の度当て高さとは、測色対象物に接触したときのキャリッジ３０高さのことである。具体的には、本実施例の測色装置１は、キャリッジ３０の度当て高さを知るために、キャリッジ３０の底面３０２が測色対象物に当たりＺ軸移動方向移動モーター３６の負荷がある閾値を超えるまでＺ軸移動方向移動モーター３６を駆動してキャリッジ３０高さを下げ続け、その閾値を超えた高さを検出することでキャリッジ３０の度当て高さを知ることができる。図１１は、キャリッジ３０の度当て高さを知るために、キャリッジ３０の底面３０２が測色対象物であるカラーチャート１０に度当たりＺ軸移動方向移動モーター３６の負荷がある閾値を超えた際の状態を表している。

【0056】

また、本実施例の測色装置１は、図７で表されるように、ガントリー２０に対するキャリッジ３０のＺ軸方向における位置がホームポジションにあるか否かを検出するホームポジションセンサー３９が設けられている。図１２は、キャリッジ３０がＺ軸方向においてホームポジションにある状態を表している。

【0057】

ここで、一旦まとめると、本実施例の測色装置１は、測色器１００の測色部である測色面１２２が測色対象物であるカラーチャート１０と接触した状態でカラーチャート１０のカラーパッチ１１を測色する測色器１００を取り付け可能な測色装置である。そして、測色器１００を支持するキャリッジ３０と、キャリッジ３０を走査する走査機構部を構成するガントリー２０と、を備えている。なお、ガントリー２０に加えて、キャリッジモーター２２、手前プーリー２４、奥プーリー２５、キャリッジベルト２３などを含めて走査機構部とみなすこともできる。ここで、キャリッジ３０は、測色器１００を支持した状態において測色面１２２がキャリッジ３０の底面３０２から－Ｚ方向に、すなわち、カラーチャート１０に向かう突出方向に、突出するように測色器１００を支持する。

【0058】

このように、測色面１２２がカラーチャート１０と接触した状態でカラーチャート１０を測色する測色器１００を取り付け可能な構成とすることで、測色面１２２とカラーチャート１０との隙間から外光が入り込むことを抑制でき、測色精度の低下を抑制することができる。また、本実施例の測色装置１は、キャリッジ３０が測色器１００を支持した状態において測色面１２２がキャリッジ３０の底面３０２から－Ｚ方向に突出するように測色器１００を支持する構成とし、測色器１００をキャリッジ３０に固定することなく支持する構成としている。このため、測色面１２２がカラーチャート１０に接触した際の衝撃を和らげることができ、測色面１２２がカラーチャート１０を破損してしまうことを抑制することができる。

【0059】

また、本実施例の測色装置１においては、測色器１００は、キャリッジ３０の一部に対して測色器１００の一部である凸部１２７及び凸部１２８が自重によりリブ３０１に載った状態でキャリッジ３０に支持され、測色面１２２の突出方向とは反対方向、すなわち、＋Ｚ方向から測色面１２２に力が加わることでキャリッジ３０に対して＋Ｚ方向に移動可能に構成されている。本実施例の測色装置１は、このように、測色器１００をキャリッジ３０に対して測色器１００の自重で支持させることができるため、測色面１２２がカラーチャート１０に接触した際の衝撃を効果的に和らげることができ、測色面１２２がカラーチャート１０を破損してしまうことを効果的に抑制することができる。

【0060】

また、図１０で表されるように、本実施例の測色装置１においては、測色面１２２でカラーチャート１０を測色している状態では、キャリッジ３０の底面３０２はカラーチャート１０と離間している。このため、測色面１２２でカラーチャート１０を測色している状態では、キャリッジ３０の重量がカラーチャート１０に伝わらない。したがって、本実施例の測色装置１は、測色面１２２がカラーチャート１０に接触した際の衝撃を効果的に和らげることができ、測色面１２２がカラーチャート１０を破損してしまうことを特に効果的に抑制することができる。なお、測色器１００の測色面１２２がカラーチャート１０に接触して測色している状態では、カラーチャート１０に対し測色器１００の自重による所定の荷重が加わるので、カラーチャート１０の位置ずれを抑制することができる。

【0061】

また、図８で表されるように、本実施例の測色装置１においては、Ｚ軸方向において、キャリッジ３０の長さＬ１は測色器１００の長さＬ２よりも短い。このような構成とすることで、Ｚ軸方向におけるキャリッジ３０の長さを短くすることができており、測色装置１全体をＺ軸方向において小型化している。

【0062】

また、本実施例の測色装置１においては、キャリッジ３０は測色器１００の右側面１２５に形成される凸部１２７と左側面１２６に形成される凸部１２８をリブ３０１において支持する。別の観点から説明すると、キャリッジ３０は、測色器１００の第１側面である右側面１２５及び右側面１２５と対向する第２側面である左側面１２６にリブ３０１が当接して測色器１００を支持する。このため、本実施例の測色装置１は、右側面１２５及び左側面１２６により測色器１００がキャリッジ３０に対して測色面１２２の突出方向と交差する方向であるＸ軸方向に位置ずれすることを抑制することができる。

【0063】

また、本実施例の測色装置１は、図６、図７及び図１３で表されるように、キャリッジ３０は、右側面１２５及び左側面１２６に当接して測色器１００を支持するＸ軸方向に突出するリブ３０１を有しているだけでなく、Ｙ軸方向に突出し測色器１００の背面１２３及び前面１２４に当接するリブ３０３を備えている。このため、本実施例の測色装置１は、測色器１００がキャリッジ３０に対して測色面１２２の突出方向と交差する方向であるＹ軸方向にも位置ずれすることを抑制することができる。

【0064】

本実施例の測色装置１は、リブ３０１及びリブ３０３により、キャリッジ３０は測色器１００を下方から上方に亘って接触している。このような構成のリブ３０１またはリブ３０３を有することで、測色器１００の光軸に対する傾きを抑制することができる。ただし、本実施例は測色器１００の側面である右側面１２５、左側面１２６、背面１２３及び前面１２４を支持するが底面である測色面１２２を支持しない構成であるが、測色器１００の底面を支持する構成としてもよい。

【0065】

また、キャリッジ３０の観点から説明すると、本実施例のキャリッジ３０は、測色器１００の右側面１２５に設けられ測色器１００の外側に向かって突出する凸部１２７と、測色器１００の左側面１２６に設けられ測色器１００の外側に向かって突出する凸部１２８と、を支持する。このような構成とすることで、突出方向において測色器を安定して支持することができる。

【0066】

なお、図８から図１２で表されるように、本実施例の測色装置１においては、キャリッジ３０は、Ｚ軸方向において測色器１００の中央より上方を支持している。このような構成とすることで、測色器１００の姿勢が安定し易くなる。ただし、このような構成に限定されない。

【0067】

ここで、図１４は、図９の状態に対応し、測色面１２２がカラーチャート１０と接触した瞬間の配置を表している。図１４では、測色面１２２がカラーチャート１０と接触した瞬間、測色面１２２のうちの－Ｙ方向側の部分１２２ａよりも先に、測色面１２２のうちの＋Ｙ方向側の部分１２２ｂが接触している状態を表している。このように、測色器１００はカラーチャート１０に対し、－Ｙ方向側に対応する手前側もしくは＋Ｙ方向側に対応する奥側のどちらか一方から先に接触する構成とすることが好ましい。このような構成とすることで、測色器１００がカラーチャート１０に触れる際の衝撃音を低減できるためである。

【0068】

別の表現をすると、本実施例の測色装置１は、ガントリー２０は測色面１２２がカラーチャート１０と接触した状態と測色面１２２がカラーチャート１０と非接触の状態とに変位可能であり、測色面１２２がカラーチャート１０と非接触の状態から測色面１２２がカラーチャート１０と接触した状態に変位させる際、測色面１２２を走査させる走査方向であるＹ軸方向における測色面１２２の一端を他端よりも先にカラーチャート１０に当接させる構成である。このような構成とすることで、測色器１００がカラーチャート１０に接触する際の衝撃音を低減することができる。なお、このような構成とするための具体的な方法は、例えば、Ｙ軸方向においてキャリッジ３０若しくは測色器１００の重心を中心からずらすことや、ＵＳＢケーブル５０の反力を利用することや、Ｙ軸方向においてキャリッジ３０のガントリー２０に対するＺ軸方向への移動機構の位置を中心からずらすことや、Ｘ軸方向から見て測色器１００を測色面１２２がカラーチャート１０の表面に対して予め若干斜めになるように支持させること、などが挙げられる。

【0069】

図１５はキャリッジ３０周辺を下方から見た斜視図であるが、図１５で表されるように、キャリッジ３０の底面３０２は平面形状を有しているとともに、Ｚ軸方向から見た底面３０２の周囲には傾斜形状３０２ｂが形成されている。キャリッジ３０の底面３０２が平面形状を有しているとともに底面３０２に傾斜形状３０２ｂが形成されていることで、キャリッジ３０をカラーチャート１０に度当てた際の高さ調整精度が向上するとともに、キャリッジ３０のカラーチャート１０に対する接触時にカラーチャート１０が損傷することを効果的に抑制することができる。

【0070】

図１６は、本実施例の測色装置１の平面図であって、キャリッジ３０が測色器１００を収容するとともにキャリッジ３０の周辺を拡大して表した図である。なお、図１６は、フロント側カバー３４及びリア側カバー３５を外した状態である。図１６で表されるように、キャリッジ３０は、カラーチャート１０を検出する第１検出部としてのリア側センサー３８と第２検出部としてのフロント側センサー３７とを備えている。ここで、リア側センサー３８及びフロント側センサー３７は、カラーチャート１０の黒枠１２を検出することができる。そして、リア側センサー３８とフロント側センサー３７とは、Ｙ軸方向において測色器１００を挟んで設けられている。

【0071】

すなわち、本実施例の測色装置１は、キャリッジ３０がカラーチャート１０の黒枠１２を検出するリア側センサー３８とフロント側センサー３７とを備えていることで、カラーチャート１０の位置に対する測色器１００の位置を特定することができる。また、リア側センサー３８とフロント側センサー３７とは、Ｙ軸方向において測色器１００を挟んで設けられていることで、リア側センサー３８により黒枠１２のうちの黒枠１２ａを検出しフロント側センサー３７により黒枠１２のうちの黒枠１２ｂを検出することができ、効率良く黒枠１２を検出することによりキャリッジ３０の走査範囲をＹ軸方向において減少させることができる。

【0072】

さらには、図１６で表されるように、リア側センサー３８とフロント側センサー３７とは、Ｘ軸方向においてずれた位置に測色位置が設けられている。このため、リア側センサー３８により黒枠１２のうちの黒枠１２ｃを検出しフロント側センサー３７により黒枠１２のうちの黒枠１２ｄを検出することができ、効率良く黒枠１２を検出することによりガントリー２０の走査範囲をＸ軸方向において減少させることができる。このように、Ｘ軸方向及びＹ軸方向の走査範囲を減少させることで測色装置１を小型化している。

【0073】

なお、本実施例のリア側センサー３８及びフロント側センサー３７は反射式光学センサーであるが、カラーチャート１０の位置が検出できるのであれば、センサーの種類に特に限定は無い。具体的には、本実施例のリア側センサー３８及びフロント側センサー３７はともに、発光部から発光した光が対象に当たって受光部に入光する量を電流値もしくは電圧値に変換する事で、対象の光反射量をみるものであり、本実施例では、黒枠１２とその他領域である白領域のコントラストからカラーチャート１０の位置を検出している。

【0074】

図１７はキャリッジ３０の側面断面図であるが、図６及び図１７で表されるように、本実施例の測色装置１は、測色装置１の外面を構成するカバーとしてのフロント側カバー３４及びリア側カバー３５を備えている。ここで、リア側カバー３５は、第１検出部としてのリア側センサー３８をカバーする第１カバーであるとともに、リア側センサー３８を固定可能な構成となっている。このため、リア側カバー３５により、測色装置１の外面を構成しつつ、リア側センサー３８を保護することができる。すなわち、１つの部材で２つの役割を備えるため、それぞれ別部材を設ける構成と比較して部材数を少なくすることができる。

【0075】

また、フロント側カバー３４は、第２検出部としてのフロント側センサー３７をカバーする第２カバーであるとともに、フロント側センサー３７を固定可能な構成となっている。このため、フロント側カバー３４により、測色装置１の外面を構成しつつ、フロント側センサー３７を保護することができる。すなわち、１つの部材で２つの役割を備えるため、それぞれ別部材を設ける構成と比較して部材数を少なくすることができる。なお、本実施例では、フロント側センサー３７をカバーするフロント側カバー３４とリア側センサー３８をカバーするリア側カバー３５との両方を備えているが、いずれか一方のみを備える構成としてもよい。

【0076】

なお、例えば図７で表されるように、本実施例のキャリッジ３０は、フロント側カバー３４と対向する位置及びリア側カバー３５と対向する位置に亘り底面３０２が配置されているので、フロント側カバー３４及びリア側カバー３５と、底面３０２とで、フロント側センサー３７及びリア側センサー３８を挟み込む状態となっている。したがって、ユーザーがフロント側センサー３７及びリア側センサー３８の収容位置に触れることができない状態になっており、電子部品が外から見えないので、製品外観も向上する。

【0077】

なお、図１６で表されるように、キャリッジ３０には、フロント側センサー３７の収容位置及びリア側センサー３８の収容位置に突起３０４が形成されている。フロント側センサー３７及びリア側センサー３８はともに、各々の収容位置に上側から下側に押し込むことでキャリッジ３０に配置することが可能であるが、各々の収容位置に配置されると突起３０４で上側から押さえられる所謂スナップフィット構造になっている。このような構造となっていることで、フロント側センサー３７及びリア側センサー３８のキャリッジ３０の組付け性が良くなる。

【0078】

ここで、本実施例においてはＺ軸方向におけるフロント側センサー３７及びリア側センサー３８は略同じ位置に配置されているが、Ｚ軸方向におけるフロント側センサー３７及びリア側センサー３８の位置を変えてもよい。そのような構成とすることで、センサーの最適検出距離を複数持つことができることとなるので、検出レンジが広がり、検出精度が向上する。別の表現をすると、センサーと測色対象物との組み合わせによっては、測色対象物に近すぎるとセンサーが検出できない場合もあるので、Ｚ軸方向における位置の異なる複数のセンサーを備えておけば、検出対応可能な測色対象物の種類を増やすことができる。

【0079】

また、フロント側センサー３７及びリア側センサー３８の位置を、例えば測色装置１の外側から移動調整できる構成にしてもよい。このような構成とすることで、使用する測色対象物に合った最適なセンサーの位置を実現することができる。別の表現をすると、測色装置１を大型化することなくＸ軸方向及びＹ軸方向に広い測色対象物を使用可能にする場合は、本実施例のようにフロント側センサー３７及びリア側センサー３８の位置をＺ軸方向から見て孔部３０２ａに対して略対角線上となるように配置すれば良いが、逆に測色器１００の光軸に近づけた方が検出誤差を小さくできるので、測色装置１の使用状況によって最適なセンサー位置を使い分ける事ができる。なお、具体的な構成としては、例えば、測色装置１の外側からドライバー等でネジ位置を調整可能な構成にすることで、サービスマンやユーザーが調整することも可能になる。

【0080】

また、図１７で表されるように、リア側カバー３５には、ＵＳＢケーブル５０の一部分５０ａを保持する保持部３５ａが設けられている。別の表現をすると、リア側カバー３５は、測色器１００に接続されるケーブルを保持可能に構成されている。このような構成とすることで、リア側センサー３８とケーブルとを１つの部材で保持できるため、部品数を少なくすることができる。なお、ＵＳＢケーブル５０に対して外力などがかかった場合にその外力を逃がしやすいように、保持部３５ａには例えば摩擦係数の小さい摺動性の部材を配置しておくことが好ましい。

【0081】

なお、本実施例の測色装置１においては、リア側カバー３５は、リア側センサー３８及びＵＳＢケーブル５０と、Ｚ軸方向においてオーバーラップするように、リア側センサー３８及びＵＳＢケーブル５０を保持している。なお、本実施例では、リア側カバー３５はリア側センサー３８及びＵＳＢケーブル５０をキャリッジ３０に固定している。このように、リア側センサー３８及びＵＳＢケーブル５０に対してリア側カバー３５をＺ軸方向においてオーバーラップさせる配置とすることで、リア側センサー３８の収容空間を小さくすることができ、キャリッジ３０を小型化することができる。

【0082】

ここで、ＵＳＢケーブル５０はキャリッジ３０に収容された状態の測色器１００に接続されるが、図５などで表されるようにキャリッジ３０はＵＳＢケーブル５０を通す開口部３０５を備え、ＵＳＢケーブル５０は開口部３０５に対して隙間が空いた状態で配置、すなわち、変位可能に配置されている。測色器１００と接続される側であるＵＳＢケーブル５０の一端側が測色器１００の変動に合わせて移動すると、ＵＳＢケーブル５０の他端側が固定されている構成であった場合、ＵＳＢケーブル５０に対して力が掛かる。しかしながら、ＵＳＢケーブル５０が開口部３０５に対して変位可能に配置されていることで、ＵＳＢケーブル５０の一端側が測色器１００の変動に合わせて移動したとしても、ＵＳＢケーブル５０が開口部３０５に対して変位することで、ＵＳＢケーブル５０に対して掛かる力を逃がすことができる。

【0083】

なお、ＵＳＢケーブル５０に対して掛かる力を逃がしやすいように、開口部３０５には例えば摩擦係数の小さい摺動性の部材を配置しておくことが好ましい。また、本実施例においては、ＵＳＢケーブル５０がＺ軸方向から見て１週回って引き回されていることでＵＳＢケーブル５０長さを長くできている。このため、ＵＳＢケーブル５０の移動可能量が大きくなっている。このことで、ＵＳＢケーブル５０に対して掛かる力を特に低減することができる。

【0084】

図１８は測色装置１のキャリッジ３０周辺の上方からの斜視図であって測色器１００をキャリッジ３０に収容した状態を表す図であり、図１９は測色装置１のキャリッジ３０周辺を表す平面図であって測色器１００を収容した状態を表す図である。ここで、測色器１００はストラップ１３２を取り付け可能な構成となっており、図１９は測色器１００にストラップ１３２を取り付けた状態を表している。ストラップ１３２は、測色器１００に取り付けられる付属部材の一例である。

【0085】

図１８で表されるように、測色器１００は、ストラップ１３２を取り付けるための孔が開けられたストラップ取付部１３１を有している。そして、キャリッジ３０には、測色器１００がキャリッジ３０に収容された際にストラップ取付部１３１を露出させる切欠き部３０６が設けられている。そして、図１９で表されるように測色器１００にストラップ１３２が取り付けられた際、切欠き部３０６を介してストラップ１３２をフロント側カバー３４の上部に対応する収容部３０７に配置させることが可能に構成されている。

【0086】

別の表現をすると、図１８及び図１９で表されるように、本実施例の測色装置１においては、キャリッジ３０は、測色器１００に取り付けられるストラップ１３２を収容する収容部３０７を備えている。このため、本実施例の測色装置１は、測色器１００からストラップ１３２を外さなくても測色器１００をキャリッジ３０にセットすることができるようになっており、ユーザービリティーが向上している。

【0087】

なお、本実施例においては、測色器１００は、キャリッジ３０に収容された際、ストラップ１３２が－Ｙ方向側に配置する構成であるため、フロント側カバー３４の上部に収容部３０７を設けている。しかしながら、例えば、測色器１００が、キャリッジ３０に収容された際、ストラップ１３２が＋Ｙ方向側に配置する構成である場合、リア側カバー３５の上部に収容部３０７を設けてもよい。また、本実施例の収容部３０７は、Ｚ軸方向と交差する方向が囲われた構成となっているので、測色時にストラップ１３２がカラーチャート１０上へ落下することや他部品へ接触することを防ぐことができる。したがって、測色時にストラップ１３２が測色動作を妨げることを抑制することができる。なお、その他の実施例として、例えば、キャリッジ３０にＬ字状の引っ掛け形状を設けて、ストラップ１３２に取り付けられたリング部をそこに引っ掛ける構造にしても良い。こうすることで、キャリッジ３０が大きくなることを抑制することができる。

【0088】

本実施例を下記の形態に変更することも可能である。例えば、リア側センサー３８とＵＳＢケーブル５０とがＺ軸方向においてオーバーラップするように設けてもよい。本構成により、キャリッジをＺ軸方向においてより小型化させることができる。また、リア側カバー３５はＵＳＢケーブル５０がリア側カバー３５に対して摺動可能となるようにＵＳＢケーブル５０を保持していてもよい。キャリッジ３０及び測色器１００の変動に伴ってＵＳＢケーブル５０に対して掛かる力を低減することができる。また、リア側カバー３５においてＵＳＢケーブル５０を保持する箇所に例えば摩擦係数の小さい摺動性の部材を設けることも可能である。

【0089】

本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。

【符号の説明】

【0090】

１…測色装置、１０…カラーチャート（測色対象物）、１１…カラーパッチ、１２…黒枠、１２ａ…黒枠、１２ｂ…黒枠、１２ｃ…黒枠、１２ｄ…黒枠、２０…ガントリー（走査機構部）、２１…空間部、２２…キャリッジモーター、２３…キャリッジベルト、２４…手前プーリー、２５…奥プーリー、２６…ガントリーフレーム、３０…キャリッジ、３１…キャリッジスライダー、３２…キャリッジガイドフロント、３３…キャリッジガイドリア、３４…フロント側カバー（第２カバー）、３５…リア側カバー（第１カバー）、３５ａ…保持部、３６…Ｚ軸移動方向移動モーター、３７…フロント側センサー（第２検出部）、３８…リア側センサー（第１検出部）、３９…ホームポジションセンサー、４０…本体部、４１…支持台、４２…フロント面、４２ａ…電源ボタン、４３…リア面、４４…フロントフレーム、４５…リアフレーム、４６…連結軸、４７…ガントリーモーター、４８…ケースロア、５０…ＵＳＢケーブル、５０ａ…一部分、５１…電源ボックス、５２…メイン基板、５３…サブ基板、６１…モーターギア、６２…ウォームギア、６３…第１駆動ギア、６４…第２駆動ギア、６５…ラックギア、１００…測色器、１０１…端子、１０５…画面部、１０６…測色口、１１０…操作部、１１１…プラス形ボタン、１１１ａ…バー形状、１１１ｂ…バー形状、１１２…決定ボタン、１２０…筐体、１２１…上面、１２２…測色面（測色部）、１２２ａ…部分、１２２ｂ…部分、１２３…背面、１２４…前面、１２５…右側面、１２６…左側面、１２７…凸部、１２８…凸部、１３１…ストラップ取付部、１３２…ストラップ、３０１…リブ、３０２…底面、３０２ａ…孔部、３０２ｂ…傾斜形状、３０３…リブ、３０４…突起、３０５…開口部、３０６…切欠き部、３０７…収容部、Ｌ１…長さ、Ｌ２…長さ、Ｇ１…隙間、Ｇ２…隙間

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】