(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126926
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ハブベアリング
(51)【国際特許分類】
F16C 33/78 20060101AFI20240912BHJP
B60B 35/14 20060101ALI20240912BHJP
F16C 19/18 20060101ALI20240912BHJP
F16J 15/3232 20160101ALI20240912BHJP
【FI】
F16C33/78 Z
B60B35/14 V
F16C19/18
F16J15/3232 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035690
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】井口 洋二
(72)【発明者】
【氏名】滝本 達也
(72)【発明者】
【氏名】藤裏 英雄
【テーマコード(参考)】
3J006
3J216
3J701
【Fターム(参考)】
3J006AE02
3J006AE12
3J006AE23
3J006AE28
3J006AE30
3J006AE34
3J006AE42
3J006CA01
3J006CA03
3J216AA02
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3J216AB03
3J216BA21
3J216CA01
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3J216CA04
3J216CB03
3J216CB04
3J216CB07
3J216CB18
3J216CC03
3J216CC14
3J216CC16
3J216CC33
3J216CC41
3J216CC68
3J701AA02
3J701AA43
3J701AA54
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3J701AA72
3J701BA54
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3J701EA01
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3J701FA15
3J701GA02
(57)【要約】
【課題】剛性を確保し信頼性の向上を図ることが可能なハブベアリングを提供すること。
【解決手段】ハブベアリング100は、外周に複列の内側転走面12が形成された筒状の内輪本体11を有する内方部材10と、回転軸に装着され内輪本体11の内側に配置される内筒21、内筒21から径方向外側に張り出し車輪が取り付けられる円盤部22、及び、円盤部22に連結され、径方向において複列の内側転走面12に対向する複列の外側転走面26が形成された筒状の外筒23を有する外方部材20と、複列の内側転走面12と複列の外側転走面26との間に転動自在に収容された複列の転動体31,32と、内方部材10と外方部材20との間の隙間をシールするシール40,50と、を備え、シール40,50は、径方向において複列の転動体31,32と重ならない位置に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に複列の内側転走面が形成された筒状の内輪本体を有する内方部材と、
回転軸に装着され前記内輪本体の内側に配置される内筒、前記内筒から径方向外側に張り出し車輪が取り付けられる円盤部、及び、前記円盤部に連結され、径方向において前記複列の内側転走面に対向する複列の外側転走面が形成された筒状の外筒を有する外方部材と、
前記複列の内側転走面と前記複列の外側転走面との間に転動自在に収容された複列の転動体と、
前記内方部材と前記外方部材との間の隙間をシールするシールと、を備え、
前記シールは、前記径方向において前記複列の転動体と重ならない位置に設けられている、ハブベアリング。
【請求項2】
前記内方部材は、
前記内輪本体の外周から径方向外側に張り出す内輪円盤部と、
前記内輪円盤部に連結され、前記径方向において前記外筒に対向する筒状の内輪外筒と、を有し、
前記シールは、
前記内方部材の前記内輪外筒と前記外方部材の前記外筒との間の隙間をシールする第1シールと、
前記内方部材の前記内輪本体と前記外方部材の前記内筒との間の隙間をシールする第2シールと、を有し、
前記第1シール及び第2シールは、前記径方向において前記複列の転動体と重ならない位置に設けられている、請求項1に記載のハブベアリング。
【請求項3】
前記第1シールは、前記外方部材の前記外筒に対して互いに異なる位置で接触する複数のリップ部を有し、
前記外方部材の前記外筒は、前記複数のリップ部と接触する接触面を有し、
前記接触面は、前記複数のリップ部に対して凸である曲面を含む、請求項2に記載のハブベアリング。
【請求項4】
前記回転軸に沿う断面において、前記曲面の曲率中心は、前記車輪の回転中心上に存在する、請求項3に記載のハブベアリング。
【請求項5】
前記内輪円盤部及び前記内輪外筒は、前記内輪本体とは、別体であり、
前記内輪円盤部は、前記内輪本体に取り付けられている、請求項2に記載のハブベアリング。
【請求項6】
前記外筒に取り付けられ、前記外筒から前記径方向外側に張り出す外リングを備え、
前記第1シールは、前記外リングに対して互いに異なる位置で接触する複数のリップ部を有し、
前記外リングは、前記複数のリップ部と接触する接触面を有し、
前記接触面は、前記複数のリップ部に対して凸である曲面を含む、請求項2に記載のハブベアリング。
【請求項7】
前記外リングは、
前記径方向において前記外筒の内周に取り付けられる取付片と、
前記取付片から前記径方向外側に張り出す連結片と、
前記連結片に連結され前記外筒の外周に配置され、前記接触面を有する接触片と、を備える、請求項6に記載のハブベアリング。
【請求項8】
前記外方部材は、
前記外筒の外周から前記径方向外側に張り出すつば部を有し、
前記つば部は、前記回転軸の軸方向において、前記第1シールを覆うように形成されている、請求項2に記載のハブベアリング。
【請求項9】
前記外筒の外周面には、凹凸形状を有する放熱構造が設けられている、請求項1に記載のハブベアリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハブベアリングに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の車輪を回転可能に支持するハブベアリングがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のハブベアリングは、外輪を保持する外輪部材と、内輪を保持する内輪部材と、を備える。外輪及び外輪部材は、内輪及び内輪部材に対して回転する。外輪部材は、ドライブシャフトに取り付けられる筒状のドライブシャフト取付部と、車輪に固定される円盤部と、円盤部の外周に形成され外輪を保持する外筒部と、を含む。内輪部材は、径方向においてドライブシャフト取付部の外側に配置される円筒部と、円筒部に連結され、径方向外側に張り出す円盤部と、円盤部の外周に形成されて、内輪が装着される外筒部と、を有する。ハブベアリングは、内輪と外輪との間に複列の球を有する。内輪と外輪との間の隙間には、グリースが充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に係るハブベアリングでは、軸方向において、複列の球の両側であり、且つ、径方向において、複列の球と同じ位置に、シールが設けられていた。従来技術に係るハブベアリングにおいて、軸方向における設計空間が狭くなりすぎる場合には、球の外径を小さくする必要がある。球の外径が小さい場合には、ハブベアリングにおける剛性の低下につながる。また、内輪と外輪との間の隙間が狭い場合には、グリースの充填量が少なくなり、装置としての信頼性が低下するおそれがある。
【0005】
本開示は、剛性を確保し信頼性の向上を図ることが可能なハブベアリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るハブベアリングは、外周に複列の内側転走面が形成された筒状の内輪本体を有する内方部材と、回転軸に装着され内輪本体の内側に配置される内筒、内筒から径方向外側に張り出し車輪が取り付けられる円盤部、及び、円盤部に連結され、径方向において複列の内側転走面に対向する複列の外側転走面が形成された筒状の外筒を有する外方部材と、複列の内側転走面と前記複列の外側転走面との間に転動自在に収容された複列の転動体と、内方部材と外方部材との間の隙間をシールするシールと、を備え、シールは、径方向において複列の転動体と重ならない位置に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、剛性を確保し信頼性の向上を図ることが可能なハブベアリングを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るハブベアリングの軸線方向に沿う断面図である。
【
図2】第1実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
【
図3】第2実施形態に係るハブベアリングの軸線方向に沿う断面図である。
【
図4】第2実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
【
図5】第3実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
【
図6】第4実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
【
図7】第5実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
【
図8】第6実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
【
図9】第7実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
【
図10】第8実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
【
図11】第9実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
【
図12】第10実施形態に係るハブベアリングの部分を示す斜視図である。
【
図13】第10実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
【
図14】第11実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
【
図15】第12実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
【
図16】第13実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
【
図17】第14実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
【
図18】第15実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
【
図19】第16実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
【
図20】第17実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
【
図21】第18実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
【
図22】第19実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
【
図23】第20実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
【
図24】第21実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
【
図25】第22実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
【
図26】第23実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照しながら、本発明の限定的でない実施例について説明する。なお、添付図面では同一又は対応する部材又は部品には同一又は対応する参照符号が付される。また、以下では同一又は対応する部材又は部品の重複する説明を省略する。また、図面では部材又は部品は必ずしも縮尺通りには描かれていない。従って、当業者は、以下の限定的でない実施例を参照して具体的な寸法を任意に決定できる。また、以下の実施例は発明を限定するものではなく例示するものである。また、実施例に記述される特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0010】
[第1実施形態に係るハブベアリング]
図1は、第1実施形態に係るハブベアリングの軸線方向に沿う断面図である。
図2は、第1実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。図面において、互いに直交する3方向を示す矢印が図示されている場合がある。互いに直交する3方向は、例えば、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向である。X軸方向は、回転軸の軸線方向(車幅方向)に沿う。Y軸方向及びZ軸方向は、回転軸の径方向に沿う。Y軸方向は、車両の前後方向に沿う。Z軸方向は、上下方向に沿う。
【0011】
図1に示されるハブベアリング100は、例えば自動車の車体に支持されて、車輪を回転可能に支持する。ハブベアリング100は、例えばサスペンションアームを介して車体に取り付けられている。車輪は、タイヤ及びリムを有する。
【0012】
ハブベアリング100は、内方部材10と、外方部材20と、転動体31,32と、第1シール40と、第2シール50とを備える。
【0013】
[内方部材]
内方部材10は、内輪本体11、内輪円盤部13、及び内輪外筒14を有する。内輪本体11は、筒状を成す。内輪本体11の軸線方向は、X軸方向に沿う。内輪本体11は、軸線方向に沿って、所定の長さを有する。内輪本体11の内部には、外方部材20の一部が挿通される。内輪本体11の外周面には、内側転走面12が形成されている。内側転走面12は、内側転走面12a,12bを有する。内輪本体11の外周面には、内側転走面12aが形成されている。内側転走面12bは、後述する保持リング18に形成されている。内側転走面12aは、転動体32に接し、内側転走面12bは、転動体31に接している。
【0014】
内輪円盤部13は、内輪本体11から径方向外側に張り出す。内輪円盤部13は、X軸方向に見て、円形を成す。内輪円盤部13は、X軸方向において、内側転走面12よりも車体中心に近い位置(車幅方向内側)に配置されている。換言すると、内側転走面12は、X軸方向において、内輪円盤部13よりも車輪に近い位置(車幅方向外側)に配置されている。
【0015】
内輪外筒14は、内輪円盤部13の外周に設けられ、車幅方向において外側に張り出す。内輪外筒14は、X軸方向に見て円形を成す。
【0016】
内輪本体11の基端部の内周には、段差部15が形成されている。X軸方向において、車両の中心に近い方を内輪本体11の基端部とし、車輪に近い方を内輪本体11の先端部11aとする。段差部15は、車幅方向において、内輪円盤部13よりも内側に配置されている。段差部15は、車幅方向内側から外側に凹むように形成されている。段差部15は、周方向において全周にわたって形成されている。段差部15には、第2シール50が装着される。段差部15は、第2シール50が装着されるリング溝を形成する。
【0017】
内輪外筒14の内周には、段差部16が形成されている。段差部16は、車幅方向において、内輪円盤部13よりも外側に配置されている。段差部16は、車幅方向外側から内側に凹むように形成されている。段差部16は、周方向において全周にわたって形成されている。段差部16には、第1シール40が装着される。段差部16は、第1シール40が装着されるリング溝を形成する。
【0018】
[外方部材]
外方部材20は、内筒21、円盤部22、及び外筒23を有する。内筒21は、筒状を成す。内筒21の軸線方向は、X軸方向に沿う。内筒21は、軸線方向に沿って、所定の長さを有する。内筒21は、X軸方向において、内輪本体11よりも長い。内筒21は、車幅方向において、内輪本体11よりも外側まで延びている。
【0019】
内筒21の内部には、回転軸であるドライブシャフトが挿通される。径方向において、内筒21の外側に、内輪本体11が配置されている。径方向において、内筒21の外周面と、内輪本体11の内周面との間に隙間が形成されている。
【0020】
円盤部22は、内筒21から径方向外側に張り出す。円盤部22は、X軸方向に見て、円形を成す。円盤部22は、内方部材10よりも車幅方向外側に配置されている。換言すると、内方部材10は、車幅方向において、円盤部22よりも車幅方向内側に配置されている。
【0021】
外筒23は、円盤部22の外周に設けられ、車幅方向において内側に張り出す。外筒23は、X軸方向に見て円形を成す。外筒23は、X軸方向において、円盤部22から内輪円盤部13に向かって張り出す。
図2に示されるように、外筒23の先端部23aは、X軸方向において、内輪円盤部13と対向して配置されている。先端部23aは、X軸方向において、円盤部22から離れている方の端部である。
【0022】
径方向において、内筒21と外筒23との間には、所定の空間が形成されている。内筒21と外筒23との間の空間には、内輪本体11の一部、及び転動体31,32が配置されている。径方向において、外筒23の先端部23aの外側に内輪外筒14が配置されている。
【0023】
図1に示されるように、外筒23は、外筒本体24と、外輪25とを含む。外方部材20のうち、内筒21、円盤部22、及び外筒本体24は、1つの部材として形成されている。外輪25は、内筒21、円盤部22、及び外筒本体24とは、別部材として形成されている。外筒本体24及び外輪25は筒状を成している。外輪25は、外筒本体24の内周に装着されている。外筒本体24の内周には、外輪25が装着される段差部が形成されている。内筒21、円盤部22、外筒本体24及び外輪25は、一体として回転する。
【0024】
外輪25の内周には、外側転走面26が形成されている。内側転走面12及び外側転走面26は、径方向に対向する。
【0025】
[転動体]
複数の転動体31,32は、径方向において、内側転走面12と外側転走面26との間に配置され、内側転走面12及び外側転走面26に接している。複数の転動体31,32は、鋼球またはセラミックスである。複数の転動体31は、周方向に並んで配置されている。同様に、複数の転動体32は、周方向に並んで配置されている。複数の転動体31と、複数の転動体32は、X軸方向に離れて配置されている。転動体31は、X軸方向において、転動体32よりも円盤部22に近い位置に配置されている。複数の転動体31を有する転動体列は、複数の転動体32を有する転動体列よりも円盤部22に近い位置に配置されている。
【0026】
[保持リング]
ハブベアリング100は、保持リング18を備える。保持リング18は、内輪本体11の先端部11aの外周に装着されている。保持リング18の外周には、内側転走面12bが形成されている。内側転走面12のうち、X軸方向において、円盤部22に近い方の内側転走面12bは、保持リング18の外周に形成されている。転動体31は、外輪25と保持リング18とに挟まれて保持されている。転動体32は、外輪25と内輪本体11とに挟まれている。
【0027】
[第1シール]
第1シール40は、内方部材10の内輪外筒14と、外方部材20の外筒23との間の隙間をシールする。第1シール40は、リング状を成し、内輪外筒14の内周面と外筒23の外周面との間の隙間を全周にわたってシールする。第1シール40は、第1シール保持リング41と、リップ42と備える。第1シール保持リング41は、例えば金属製のリングであり、リップ42を保持する。第1シール保持リング41は、第1片41a、第2片41b、第3片41c、及び第4片41dを有する。
【0028】
第1片41aの板厚方向は、径方向に沿う。第2片41bは、第1片41aから折り返されて、径方向内側に張り出す。第2片41bの板厚方向は、X軸方向に沿う。第3片41cは、第2片41bから折り返されて、X軸方向に張り出す。第3片41cは、第1片41aの径方向内側に配置される。第4片41dは、第3片41cから折り返されて、径方向内側に張り出す。第4片41dの板厚方向は、X軸方向に沿う。第4片41dは、外筒23の先端部23aに接近するように張り出している。
【0029】
リップ42は、例えば弾性体であり、軟質樹脂、ゴム等でもよい。リップ42は、加硫ゴム材料でもよい。リップ42は、第1シール保持リング41に保持されている。リップ42は、複数のリップ部42a~42cを有する。複数のリップ部42a~42cは、それぞれ異なる位置で、外筒23の先端部23aの外周面に接触する。
【0030】
リップ部42aは、例えば、第2片41bと第3片41cとの連結部から外筒23に向かって突出する。リップ部42bは、例えば、第3片41cと第4片41dとの連結部から外筒23に向かって突出する。リップ部42cは、例えば、第4片41dの先端部から外筒23に向かって突出する。
【0031】
[第1シールと外筒の接触面]
外筒23は、複数のリップ部42a~42cと接触する接触面23bを有する。接触面23bは、外筒23の先端部23aの外周面を含む。接触面23bは、複数のリップ部42a~42cに対して凸である曲面を含む。複数のリップ部42a~42cに対して凸である曲面とは、
図1に示されるように、X軸方向に沿う断面において、曲面の曲率中心C3が、曲面よりも回転中心C2に近いこととする。回転中心C2は、回転軸の回転中心C1(軸心)上に存在する。
【0032】
X軸方向に沿う断面において、曲面である接触面23bの曲率中心C3は、車輪の回転中心C2上に存在する。車輪の回転中心C2は、回転軸の回転中心C1上に存在する。ここでいう「車輪の回転中心」は、Y軸方向に沿う軸線まわりの回転中心である。例えば、自動車の走行中において、自動車を前後方向(Y軸方向)に見た場合に、車輪がY軸回りに回転するように、変位する場合がある。曲面である接触面23bの曲率中心C3が、回転中心C2上に存在している場合には、車輪が変位して外方部材20が変位しても、複数のリップ部42a~42cと接触面23bとの接触圧を均一に維持することができる。例えば、接触面が直線的に形成されている場合には、外方部材20がY軸方向に延在する回転中心回りに変位した場合には、複数のリップ部と、接触面との接触圧にばらつきが生じることになる。
【0033】
[第2シール]
第2シール50は、内方部材10の内輪本体11と、外方部材20の内筒21との間の隙間をシールする。第2シール50は、リング状を成し、内輪本体11の内周面と、内筒21の外周面との間の隙間を全周にわたってシールする。
【0034】
第2シール50は、複数のリップ部50a,50bを有する。複数のリップ部50a,50bは、径方向内側に突出し、内筒21の外周面に接触する。複数のリップ部50a,50bは、X軸方向において、互いに異なる位置で、内筒21の外周面に接触する。
【0035】
第2シール50は、第2保持リング51によって径方向内側に押し付けられる。第2シール50は、例えば弾性体であり、軟質樹脂、ゴム等でもよい。第2シール50は、加硫ゴム材料でもよい。
【0036】
[第1シールと第2シールの位置関係]
第1シール40及び第2シール50は、回転軸の径方向において、互いに異なる位置に配置されている。回転軸の径方向は、X軸方向に直交する方向であり、YZ面に沿う方向である。X軸方向に見た場合、第1シール40及び第2シール50は、互いに重ならない位置に配置されている。
【0037】
第2シール50は、第1シール40よりも径方向内側に配置されている。第2シール50は、径方向において、転動体31,32よりも内側に配置されている。第1シール40は、径方向において、転動体31,32よりも外側に配置されている。X軸方向に見た場合に、第1シール40及び第2シール50は、転動体31,32と重ならない位置に配置されている。X軸方向において、第1シール40は、転動体32と重なる位置に配置されている。
【0038】
X軸方向において、第2シール50は、第1シール40よりも車幅方向内側に配置されている。第1シール40及び第2シール50は、転動体31よりも車幅方向内側に配置されている。
【0039】
[グリース]
ハブベアリング100では、内方部材10と外方部材20との間の隙間にグリースが充填されている。径方向において、内側転走面12と外側転走面26との間の隙間には、グリースが充填されている。内方部材10と外方部材20との間の隙間のうち、転動体31,32、内側転走面12及び外側転走面26に接する部分には、グリースが充填されている。
【0040】
(第1実施形態に係るハブベアリングの作用効果)
第1実施形態に係るハブベアリング100は、外周に複列の内側転走面12が形成された筒状の内輪本体11を有する内方部材10と、回転軸に装着され内輪本体11の内側に配置される内筒21、当該内筒21から径方向外側に張り出し車輪が取り付けられる円盤部22、及び、円盤部22に連結され、径方向において複列の内側転走面12に対向する複列の外側転走面26が形成された筒状の外筒23を有する外方部材20と、複列の内側転走面12と複列の外側転走面26との間に転動自在に収容された複列の転動体31,32と、内方部材10と外方部材20との間の隙間をシールする第1シール40及び第2シール50と、を備える。第1シール40及び第2シール50は、径方向において複列の転動体31,32と重ならない位置に設けられている。
【0041】
このようなハブベアリング100によれば、X軸方向において、第1シール40と第2シール50との間に、転動体31,32を配置する必要がなく、設計の自由度が向上される。第1シール40と第2シール50との位置関係の影響を受けずに、転動体31,32を配置することができるので、転動体31,32を小さくする必要がない。ハブベアリング100では、X軸方向において、転動体31と転動体32との間の設計の自由度が高く、転動体31と転動体32との間の隙間を狭くする必要がなく、転動体31,32の径を小さくする必要がない。そのため、ハブベアリング100における剛性を確保することができる。また、ハブベアリング100では、設計の自由度が高く、内方部材10と外方部材20との間の隙間を確保して、グリースを充填可能な空間を確保することができる。
【0042】
ハブベアリング100によれば、設計の自由度を向上させることができ、転動体31,32の径を大きくすることが可能であり、ハブベアリング100における負荷を増大することができる。ハブベアリング100によれば、転動体31,32の径を大きくすることが可能であり、転動体31,32、内側転送面12、及び外側転送面26に作用する面圧を低下させて、ハブベアリング100における耐久性能の向上を図ることができる。ハブベアリング100では、内方部材10と外方部材20との間の隙間を増大させて、グリースの充填量を増加させて、ハブベアリング100の信頼性の向上を図ることができる。
【0043】
また、ハブベアリング100では、内方部材10は、内輪本体11の外周から径方向外側に張り出す内輪円盤部13と、内輪円盤部13に連結され、径方向において外筒23に対向する筒状の内輪外筒14と、を有する。シールは、内方部材10の内輪外筒14と外方部材20の外筒23との間の隙間をシールする第1シール40と、内方部材10の内輪本体11と外方部材20の内筒21との間の隙間をシールする第2シール50と、を有する。第1シール40及び第2シール50は、径方向において複列の転動体31,32と重ならない位置に設けられている。
【0044】
この構成のハブベアリング100によれば、第1シール40によって、内輪外筒14と外筒23との間の隙間をシールすることができ、内輪外筒14と外筒23との間の隙間への異物の進入を抑制することができる。また、ハブベアリング100によれば、第2シール50によって、内輪本体11と内筒21との間の隙間をシールすることができ、内輪本体11と内筒21との間の隙間への異物の進入を抑制することができる。ハブベアリング100では、第1シール40及び第2シール50によってシールすることにより、内方部材10と外方部材20との間の隙間への異物の進入を抑制することができ、ハブベアリング100の信頼性の向上を図ることができる。
【0045】
ハブベアリング100では、第1シール40は、外方部材20の外筒23に対して互いに異なる位置で接触する複数のリップ部42a~42cを有する。外方部材20の外筒23は、複数のリップ部42a~42cと接触する接触面23bを有する。接触面23bは、複数のリップ部42a~42cに対して凸である曲面を含む。
【0046】
この構成のハブベアリング100によれば、複数のリップ部42a~42cが接触面23bに接触することにより、内輪外筒14と外筒23との間の隙間をシールすることができる。接触面23bが、複数のリップ部42a~42cに対して凸である曲面を含むことにより、複数のリップ部42a~42cと接触面23bとの間の接触圧の低下を抑制し、シール性を確保することができる。
【0047】
ハブベアリング100では、回転軸に沿う断面において、接触面23bの曲面の曲率中心C3は、車輪の回転中心上に存在する。車輪の回転中心は、回転軸の回転中心C1上に存在する。
【0048】
この構成のハブベアリング100によれば、接触面23bの曲面の曲率中心C3が、車輪の回転中心C2上に存在することにより、車輪が回転中心C2回りに変位しても、接触面23bに対する複数のリップ部42a~42cの接触圧を均一に維持することができる。そのため、複数のリップ部42a~42cのいずれか1つの接触圧が増大することが回避される。複数のリップ部42a~42cに対して、局所的に負荷が集中してしまうことが抑制される。その結果、複数のリップ部42a~42cを有する第1シール40の信頼性の向上を図ることができる。
【0049】
[第2実施形態に係るハブベアリング]
次に
図3及び
図4を参照して第2実施形態に係るハブベアリング100Bについて説明する。
図3は、第2実施形態に係るハブベアリングの軸線方向に沿う断面図である。
図4は、第2実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
図3及び
図4に示されるハブベアリング100Bが、第1実施形態に係るハブベアリング100と違う点は、主に、内方部材10とは形状が異なる内方部材10Bを備える点、内輪円盤部13に代えて、内輪本体11Bとは別体のリング60を備える点、第1シール40に代えて、第1シール40Bを備える点、及び、第3シール55を更に備える点である。なお、第2実施形態の説明において、上記の第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0050】
ハブベアリング100Bは、内方部材10Bと、内輪本体11Bとは別体のリング60と、第1シール40Bと、第3シール55とを備える。また、ハブベアリング100Bの外方部材20は、外リング70を備える。
【0051】
[内方部材]
内方部材10Bは、内輪本体11Bと、別体のリング60とを有する。別体のリング60は、内輪円盤部及び内輪外筒を含む。内輪本体11Bの外周面には、内側転走面12が形成されている。内輪本体11Bには、外周面から径方向外側に突出する凸部17が形成されている。凸部17は、内輪本体11Bの周方向において全周にわたって形成されている。凸部17は、X軸方向において、転動体32よりも車幅方向内側に配置されている。凸部17は、X軸方向において、転動体32と段差部15との間に配置されている。
【0052】
リング60は、内輪本体11Bから径方向外側に張り出すように設けられている。リング60は、例えば金属製であり、内輪本体11Bと異なる材質から形成されている。リング60は、第1片61、第2片62、及び第3片63を有する。第1片61の板厚方向は、X軸方向に沿う。第2片62及び第3片63は、第1片61から折り曲げられてX軸方向に突出する。第2片62及び第3片63の板厚方向は、回転軸の径方向に沿う。
【0053】
第2片62は、内輪本体11Bの外周に固定されている。第1片61及び第2片62は、X軸方向において、凸部17と転動体32との間に配置されている。第1片61は、X軸方向において、外筒23の先端部23aを覆うように配置されている。外筒23の先端部23aは、外輪25の先端部及び外筒本体24の先端部を含む。X軸方向において、外筒23の先端部23aと、第1片61との間には、隙間が形成されている。
【0054】
第3片63は、径方向において、外筒23の先端部23aの外周を覆うように形成されている。径方向において、外筒23の外周面と、第3片63との間には、隙間が形成されている。
【0055】
[第1シール]
第1シール40Bは、別体のリング60の第3片63の内周面と、外筒23の先端部23aの外周面との間の隙間を全周にわたってシールする。第1シール40Bは、第1シール保持リング41Bと、リップ42Bと備える。第1シール保持リング41Bは、例えば金属製のリングであり、リップ42Bを保持する。第1シール保持リング41Bは、第1片41e及び第2片41fを有する。
【0056】
第1片41eの板厚方向は、径方向に沿う。第1片41eは、リング60の第3片63の内周面に固定されている。第2片41fは、第1片41eから折り返されて、径方向内側に張り出す。第2片41fの板厚方向は、X軸方向に沿う。第2片41fは、外筒23の先端部23aに接近するように張り出している。
【0057】
リップ42Bは、例えば弾性体であり、軟質樹脂、ゴム等でもよい。リップ42Bは、加硫ゴム材料でもよい。リップ42Bは、第1シール保持リング41Bに保持されている。リップ42Bは、複数のリップ部42d~42gを有する。複数のリップ部42d~42fは、それぞれ異なる位置で、外リング70の外周面に接する。リップ部42gは、別体のリング60の第1片61に接触する。
【0058】
リップ部42dは、例えば、第1片41eと第2片41fとの連結部から外リング70に向かって突出する。リップ部42eは、例えば、第2片41fから外リング70に向かって突出する。リップ部42fは、例えば、第2片41fの先端部から外リング70に向かって突出する。
【0059】
[外リング]
外リング70は、例えば金属製のリングである。外リング70の周方向に交差する断面形状は、例えばL字形を成している。外リング70は、外筒23の先端部23aに圧入されている。外リング70は、第1片71及び第2片72を有する。第1片71の板厚方向は、回転軸の径方向に沿う。第1片71は、外筒23の先端部23aに固定されている。第2片72は、第1片71から屈曲されて、回転軸の径方向外側に突出する。第2片72の板厚方向は、X軸方向に沿う。
【0060】
外リング70の第1片71は、回転軸の径方向において、第1シール40Bの第1片41eと対向している。外リング70の第2片72は、X軸方向において、第1シール40Bの第2片41fと対向している。外リング70は、外筒23と一体として回転する。
【0061】
[第1シールと外リングとの接触]
第1シール40Bのリップ部42dは、外リング70の第2片72と接触している。リップ部42e,42fは、第1片71と接触している。
【0062】
[第3シール保持部]
図3に示されるように、内輪本体11の先端部11aの内周には、段差部19が形成されている。段差部19は、車幅方向外側から内側に凹むように形成されている。段差部19は、周方向において全周にわたって形成されている。段差部15には、第3シール55が装着される。段差部15は、第3シール55が装着されるリング溝を形成する。
【0063】
[第3シール]
第3シール55は、内方部材10Bの内輪本体11Bと、外方部材20の内筒21との間の隙間をシールする。第3シール55は、リング状を成し、内輪本体11Bの内周面と、内筒21の外周面との間の隙間を全周にわたってシールする。
【0064】
第3シール55は、リップ部を有する。当該リップ部は、径方向内側に突出し、内筒21の外周面に接触する。リップ部は、外方部材20において内筒21と円盤部22の連結部に接触していてもよい。
【0065】
(第2実施形態に係るハブベアリングの作用効果)
第2実施形態に係るハブベアリング100Bは、上記の第1実施形態に係るハブベアリング100と同様の作用効果を奏する。
【0066】
ハブベアリング100Bにおいて、内輪円盤部及び内輪外筒は、内輪本体11Bとは、別体であり、内輪円盤部は、内輪本体11Bに取り付けられている。ハブベアリング100Bにおいて、別体のリング60が内輪本体11Bに取り付けられている。別体のリング60は、内輪円盤部及び内輪外筒の一例である。
【0067】
このようなハブベアリング100Bでは、内輪本体11Bの材質と異なる材質から形成された別体のリング60を備えるので、内方部材10Bの軽量化を図ることができる。
【0068】
ハブベアリング100Bは、外筒23に取り付けられ、外筒23から径方向外側に張り出す外リング70を備える。第1シール40Bは、外リング70に対して互いに異なる位置で接触する複数のリップ部42d~42fを有する。
【0069】
この構成のハブベアリング100Bによれば、複数のリップ部42d~42fが外リング70の異なる位置に接触することにより、外方部材20の外筒23と、リング60との隙間を確実にシールすることができる。そのため、内方部材10と外方部材20との間の隙間への異物の進入を抑制することができる。
【0070】
また、ハブベアリング100Bでは、外リング70は径方向外側に張り出す第2片72を備える。このようなハブベアリング100Bでは、第2片72によって、リップ部42d~42fを覆うことができ、リップ部42d~42fを保護することができる。また、ハブベアリング100Bでは、径方向において、第2片72の先端を別体のリング60の第1片41eに接近させて配置することができる。これにより、リップ部42d~42fが外部に晒されないようにすることができ、ハブベアリング100Bにおける信頼性の向上を図ることができる。
【0071】
また、ハブベアリング100Bは、X軸方向に離れて配置された第2シール50及び第3シール55を備える。第3シール55は、X軸方向において、第2シール50よりも、転動体31に近い位置に配置され、内輪本体11Bと内筒21との間の隙間をシールする。
【0072】
この構成のハブベアリング100Bでは、転動体31、円盤部22、保持リング18、及び内輪本体11Bの先端部11aに囲まれる隙間を、第3シール55によってシールすることができる。ハブベアリング100Bでは、第3シール55によって、隙間を区切ることができ、転動体31に接する隙間にグリースを充填することができる。これにより、第3シール55、内筒21の外周面、内輪本体11Bの内周面、及び第2シール50Bによって囲まれた隙間へのグリースの進入を抑制することができる。内筒21の外周面と内輪本体11Bの内周面との間にグリースが多く存在する場合には、トルク性能が低下するおそれがある。ハブベアリング100Bでは、内筒21の外周面に付着するグリースを減らすことができ、外方部材20の回転に必要なトルクを減らすことができる。
【0073】
[第3実施形態に係るハブベアリング]
次に
図5を参照して第3実施形態に係るハブベアリング100Cについて説明する。
図5は、第3実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
図5に示されるハブベアリング100Cが、上記の第2実施形態に係るハブベアリング100Bと違う点は、別体のリング60に、放熱用のフィン110が設けられている点である。なお、第3実施形態の説明において、上記の第1,2実施形態と同様の説明は省略する。
【0074】
[放熱用のフィン]
フィン110は、例えば金属製のリングである。フィン110の材質の熱伝導率は、別体のリング60の熱伝導率よりも高い。フィン110は、第1片110aと、第2片110bとを有する。第1片110aの板厚方向は、X軸方向に沿う。第2片110bは、第1片110aから屈曲されて、X軸方向に突出する。第2片110bの板厚方向は、回転軸の径方向に沿う。フィン110は、別体のリング60の外周に取り付けられている。フィン110の第1片110aは、X軸方向に見て、第1シール40Bと重なる位置に配置されている。
【0075】
(第3実施形態に係るハブベアリングの作用効果)
第3実施形態に係るハブベアリング100Cは、上記の第2実施形態に係るハブベアリング100Bと同様の作用効果を奏する。ハブベアリング100Cは、別体のリング60に設けられた放熱用のフィン110を備えているので、フィン110を介して放熱することにより、リング60を冷却することができる。ハブベアリング100Cでは、リング60及びフィン110を冷却することにより、第1シール40Bの温度上昇を抑制できる。ハブベアリング100Cでは、リング60及びフィン110を冷却することにより、内輪本体11B、グリース、転動体31,32、及び外方部材20の温度上昇を抑制できる。
【0076】
[第4実施形態に係るハブベアリング]
次に
図6を参照して第4実施形態に係るハブベアリング100Dについて説明する。
図6は、第4実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
図6に示されるハブベアリング100Dが、第1実施形態に係るハブベアリング100と違う点は、つば部80が形成された外筒23Bを備える点、及び、外筒23Bの先端部23aに取り付けられた外リング73を備える点である。なお、第4実施形態の説明において、上記の第1~第3
実施形態と同様の説明は省略する。
【0077】
ハブベアリング100Dは、外方部材20Bを備える。外方部材20Bは、外筒23Bを有し、外筒23Bは、外筒本体24B及び外輪25を含む。外筒23Bの先端部23aは、外筒本体24Bの先端部及び外輪25の先端部を含む。外筒23Bの先端部23aには、外リング73が取り付けられている。
【0078】
[外リング]
外リング73は、取付片74、連結片75、及び接触片76を有する。外リング73は、X軸方向において、外筒23Bの先端部23aを覆うように配置される。取付片74の板厚方向は、回転軸の径方向に沿う。連結片75は、取付片74から径方向外側に張り出すように形成されている。連結片75の板厚方向は、X軸方向に沿う。接触片76は、連結片75からX軸方向に張り出す。
【0079】
連結片75は、取付片74及び接触片76を連結する。取付片74及び接触片76は、回転軸の径方向に離れて配置されている。外輪25の先端部の内周には、取付片74が係止される段差部が設けられている。接触片76は、外筒本体24Bの外周面を覆うように配置されている。接触片76の外周面は、複数のリップ部42a,42b,42cに接触する接触面76aを形成する。
【0080】
接触面76aは、複数のリップ部42a,42b,42cに対して凸である曲面を含む。X軸方向に沿う断面において、曲面である接触面23bの曲率中心C3は、車輪の回転中心上に存在する。車輪の回転中心は、回転軸の軸心上に存在する。ここでいう「車輪の回転中心」は、Y軸方向に沿う軸線まわりの回転中心である。曲面である接触面23bの曲率中心C3が、回転中心C2上に存在している場合には、車輪が変位して外方部材20が変位しても、複数のリップ部42a~42cと接触面76aとの接触圧を均一に維持することができる。例えば、接触面が直線的に形成されている場合には、外方部材20がY軸方向に延在する回転中心回りに変位した場合には、複数のリップ部と、接触面との接触圧にばらつきが生じることになる。
【0081】
[つば部]
外方部材20Bは、外筒本体24Bの外周から径方向外側に張り出すつば部80を有する。つば部80は、X軸方向において、第1シール40を覆うように形成されている。つば部80は、X軸方向において、第1シール40に対して、内輪円盤部13とは反対側に配置されている。つば部80は、回転軸の周方向において全周にわたって形成されている。つば部80の外径は、例えば、内輪外筒14の外径と同程度である。つば部80は、X軸方向において、転動体32とほぼ同じ位置に配置されている。
【0082】
(第4実施形態に係るハブベアリングの作用効果)
第4実施形態に係るハブベアリング100Dは、上記の第1実施形態に係るハブベアリング100と同様の作用効果を奏する。ハブベアリング100Dでは、外筒23Bの先端部23aに、連結片75が取り付けられている。連結片75は、外筒23Bとは別体として形成されていることにより、連結片75を精度良く形成することができる。例えば、加工しやすい材質からなる連結片75を形成することにより、接触片76の接触面76aを精度よく形成することができる。
【0083】
また、ハブベアリング100Dでは、外筒23Bにつば部80が形成されているので、X軸方向において、第1シール40を覆うことができる。これにより、リップ部42d~42fが外部に晒されないようにすることができ、ハブベアリング100Dにおける信頼性の向上を図ることができる。ハブベアリング100Dでは、第1シール40によるシール性の向上を図ることができる。
【0084】
[第5実施形態に係るハブベアリング]
次に
図7を参照して第5実施形態に係るハブベアリング100Eについて説明する。
図7は、第5実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
図7に示されるハブベアリング100Eが、第1実施形態に係るハブベアリング100と違う点は、外筒23の先端部23aに取り付けられた外リング73Bを備える点である。なお、第5実施形態の説明において、上記の第1~第4実施形態と同様の説明は省略する。
【0085】
[外リング]
ハブベアリング100Eの外方部材20は、外筒23の先端部に取り付けられた外リング73Bを含む。外リング73Bは、取付片74、連結片75、接触片76、第1被覆片77、及び第2被覆片78を有する。第1被覆片77は、接触片76から屈曲され、回転軸の径方向外側に張り出す。第1被覆片77の板厚方向は、X軸方向に沿う。第1被覆片77は、X軸方向において、車幅方向外側から第1シール40及び内輪外筒14を覆うように配置されている。第1被覆片77の外径は、内輪外筒14の外径よりも大きい。
【0086】
第2被覆片78は、第1被覆片77から折り返され、X軸方向に張り出す。第2被覆片78の板厚方向は、回転軸の径方向に沿う。第2被覆片78は、径方向において、内輪外筒14の外側に配置されている。第2被覆片78は、径方向外側から、内輪外筒14の外周面を覆うように配置されている。
【0087】
X軸方向において、第1被覆片77と内輪外筒14との間には、僅かな隙間が形成されている。回転軸の径方向において、第2被覆片78と内輪外筒14との間には、僅かな隙間が形成されている。また、X軸方向において、第2被覆片78の先端の近傍には、内方部材10の外周面に含まれる傾斜面が形成されている。
【0088】
(第5実施形態に係るハブベアリングの作用効果)
第5実施形態に係るハブベアリング100Eは、上記の第1実施形態に係るハブベアリング100と同様の作用効果を奏する。ハブベアリング100Eでは、X軸方向において、第1シール40を覆うように第1被覆片77が形成されている。これにより、第1シール40が外部に晒されないので、第1シール40の損傷のおそれを低減し、信頼性の向上を図ることができる。
【0089】
ハブベアリング100Eでは、回転軸の径方向において、内輪外筒14を覆うように第2被覆片78が形成されている。外リング73Bと内輪外筒14との間において、異なる方向に延びる隙間が形成されることになる。換言すると、外リング73Bと内輪外筒14との間には、X軸方向に延びる隙間と、回転軸の径方向に延びる隙間とが形成されている。ハブベアリング100では、第1シール40に通じるラビリンス構造が形成されている。そのため、第1シール40に隣接する隙間への異物の進入を抑制し、第1シール40の損傷のおそれを低減することができる。ハブベアリング100Eにおける信頼性の向上を図ることができる。
【0090】
[第6実施形態に係るハブベアリング]
次に
図8を参照して第6実施形態に係るハブベアリング100Fについて説明する。
図8は、第6実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
図8に示されるハブベアリング100Fが、第1実施形態に係るハブベアリング100と違う点は、第1シール40に代えて、第1シール40Cを備える点、外筒23の先端部23aに取り付けられた外リング73Cを備える点、外リング73Cに取り付けられた外リング70Cを備える点、及び、外リング73Cに放熱用のフィン110が設けられている点である。なお、第6実施形態の説明において、上記の第1~第5実施形態と同様の説明は省略する。
【0091】
[第1シール]
ハブベアリング100Fは、第1シール40Cを備える。第1シール40Cは、内方部材10の内輪外筒14と、外方部材20の外筒23との間の隙間をシールする。第1シール40Cは、リング状を成し、内輪外筒14の内周面と外リング70Cの外周面との間の隙間を全周にわたってシールする。第1シール40Cは、第1シール40Bと同様の構成である。第1シール40Cは、第1シール保持リング41Cと、リップ42Cと備える。第1シール保持リング41Cは、例えば金属製のリングであり、リップ42Cを保持する。第1シール保持リング41Cは、第1片及び第2片を有する。第1シール保持リング41Cの周方向に交差する断面形状は、例えばL字形を成す。
【0092】
第1片の板厚方向は、径方向に沿う。第1片は、内輪外筒14の内周面に固定されている。第2片は、第1片から折り返されて、径方向内側に張り出す。第2片の板厚方向は、X軸方向に沿う。第2片は、外筒23の先端部23aに接近するように張り出している。
【0093】
リップ42Cは、例えば弾性体であり、軟質樹脂、ゴム等でもよい。リップ42Cは、加硫ゴム材料でもよい。リップ42Cは、第1シール保持リング41Cに保持されている。リップ42Cは、複数のリップ部を有する。複数のリップ部42d~42fは、それぞれ異なる位置で、外リング70Cの外周面に接する。
【0094】
リップ部は、例えば、第1片と第2片との連結部から外リング70に向かって突出する。リップ部は、例えば、第2片から外リング70Cに向かって突出する。リップ部は、例えば、第2片の先端部から外リング70Cに向かって突出する。リップ部は、第2片から第1被覆片77に向かって突出する。
【0095】
[外リング]
ハブベアリング100Fの外方部材20は、外リング70C,73C、及び放熱用のフィン111を含む。
【0096】
外リング73Cは、取付片74、連結片75、接触片76C、第1被覆片77、及び第2被覆片78を有する。外リング73Cは、上記の外リング73Bと同様の構成である。外リング73Cは、接触片76に代えて接触片76Cを有する点で、外リング73Bと異なる。接触片76Cの外周面は、X軸に沿う断面において、X軸に沿って直線的な外周面を有する。
【0097】
外リング70Cは、例えば金属製のリングである。外リング70Cの周方向に交差する断面形状は、例えばL字形を成している。外リング70Cは、外リング73Cの接触片76Cの外周に装着されている。外リング70Cは、接触片76Cに圧入されている。
【0098】
外リング70Cは、第1片及び第2片を有する。第1片の板厚方向は、回転軸の径方向に沿う。第1片は、接触片76の外周面に固定されている。第2片は、第1片から屈曲されて、回転軸の径方向外側に突出する。第2片の板厚方向は、X軸方向に沿う。
【0099】
外リング70Cの第1片は、回転軸の径方向において、第1シール40Cの第1シール保持リング41Cの第1片と対向している。外リング70Cの第2片は、X軸方向において、第1シール40Cの第1シール保持リング41Cの第2片と対向している。外リング70C,73Cは、外筒23と一体として回転する。
【0100】
[放熱用のフィン]
フィン111は、例えば金属製のリングである。フィン111の材質の熱伝導率は、外リング73Cの熱伝導率よりも高い。フィン111は、例えば円筒状を成している。フィン111は、第2被覆片78の外周面に設けられている。
【0101】
(第6実施形態に係るハブベアリングの作用効果)
第6実施形態に係るハブベアリング100Fは、上記の第5実施形態に係るハブベアリング100Eと同様の作用効果を奏する。ハブベアリング100Fは、外リング73Bに設けられた放熱用のフィン111を備えているので、フィン111を介して放熱することにより、外リング73Bを冷却することができる。ハブベアリング100Fでは、外リング73Cを冷却することにより、外リング70C及び第1シール40Cの温度上昇を抑制できる。ハブベアリング100Cでは、外リング73Cを冷却することにより、外方部材20、グリース、及び転動体31,32の温度上昇を抑制できる。
【0102】
[第7実施形態に係るハブベアリング]
次に
図9を参照して第7実施形態に係るハブベアリング100Gについて説明する。
図9は、第7実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
図9に示されるハブベアリング100Gが、第6実施形態に係るハブベアリング100Fと違う点は、第2被覆片78に設けられたフィン111に代えて、第1被覆片77に設けられたフィン112を備える点である。なお、第7実施形態の説明において、上記の第1~第6実施形態と同様の説明は省略する。
【0103】
フィン112は、X軸方向において、第1被覆片77から内輪外筒14とは反対側に突出している。複数のフィン112は、例えば、周方向に所定の間隔をあけて設けられている。フィン112は、回転軸の径方向に所定の長さを有する。フィン112は、第1被覆片77と一体的に形成されていてもよい。フィン112は、第1被覆片77の側面に形成された凹凸形状でもよい。第1被覆片77の表面積を増加させることにより、第1被覆片77による放熱を促進させることができる。
【0104】
(第7実施形態に係るハブベアリングの作用効果)
第7実施形態に係るハブベアリング100Gは、上記の第6実施形態に係るハブベアリング100Fと同様の作用効果を奏する。ハブベアリング100Gは、外リング73Cに設けられた放熱用のフィン112を備えているので、フィン112を介して放熱することにより、外リング73Cを冷却することができる。ハブベアリング100Gでは、外リング73Cを冷却することにより、外リング70C及び第1シール40Cの温度上昇を抑制できる。ハブベアリング100Fでは、外リング73Cを冷却することにより、外方部材20、グリース、及び転動体31,32の温度上昇を抑制できる。
【0105】
[第8実施形態に係るハブベアリング]
次に
図10を参照して第8実施形態に係るハブベアリング100Hについて説明する。
図10は、第8実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
図10に示されるハブベアリング100Hが、第7実施形態に係るハブベアリング100Gと違う点は、フィン112に代えて、フィン113を備える点である。なお、第8実施形態の説明において、上記の第1~第7実施形態と同様の説明は省略する。
【0106】
[放熱用のフィン]
フィン113は、リング部113aと、フィン部113bとを有する。リング部113aは、第2被覆片78の外周に装着されている。リング部113aは、第2被覆片78の外周に対してはめあいにより装着されている。
【0107】
複数のフィン部113bは、リング部113aから径方向内側に延びている。複数のフィン部113bは、周方向に所定の間隔をあけて設けられている。フィン部113bは、第1被覆片77に接触している。外リング73Cの熱は、フィン113に伝熱されて放熱される。
【0108】
(第8実施形態に係るハブベアリングの作用効果)
第8実施形態に係るハブベアリング100Hは、上記の第7実施形態に係るハブベアリング100Gと同様の作用効果を奏する。ハブベアリング100Hは、外リング73Cに設けられた放熱用のフィン113を備えているので、フィン113を介して放熱することにより、外リング73Cを冷却することができる。ハブベアリング100Hでは、外リング73Cを冷却することにより、外リング70C及び第1シール40Cの温度上昇を抑制できる。ハブベアリング100Gでは、外リング73Cを冷却することにより、外方部材20、グリース、及び転動体31,32の温度上昇を抑制できる。
【0109】
[第9実施形態に係るハブベアリング]
次に
図11を参照して第9実施形態に係るハブベアリング100Iについて説明する。
図11は、第9実施形態に係るハブベアリングの要部を拡大して示す断面図であり、内方部材と外方部材との間の隙間に設けられた第1シールを示す図である。
図11に示されるハブベアリング100Iが、第1実施形態に係るハブベアリング100と違う点は、第1シール40に代えて、第1シール40Dを備える点、外筒23の先端部23aに装着された外リング73Dを備える点、及び、外リング73Dの外周面に形成されたフィン114を備える点である。なお、第9実施形態の説明において、上記の第1~第8実施形態と同様の説明は省略する。
【0110】
[第1シール]
第1シール40Dは、内方部材10の内輪外筒14と、外方部材20の外筒23との間の隙間をシールする。第1シール40Dは、リング状を成し、内輪外筒14の内周面と外リング73Dの外周面との間の隙間を全周にわたってシールする。第1シール40Dは、の周方向に交差する断面形状は、例えば第2シール50と同様でもよい。第1シール40Dは、外リング73Dの外周面に接触する複数のリップ部を有する。第1シール40Dは、第1シール40,40B,40Cと同様の構成でもよい。
【0111】
[外リング]
ハブベアリング100Iの外方部材20は、外リング73D、及び放熱用のフィン114を含む。
【0112】
外リング73Dは、取付片74、連結片75、及び接触片76Dを有する。外リング73Dは、上記の外リング73と同様の構成である。外リング73Dは、接触片76に代えて接触片76Dを有する点で、外リング73と異なる。接触片76Dの外周面は、X軸に沿う断面において、X軸に沿って直線的な外周面を有する。接触片76Dは、X軸方向において所定の長さを有する。接触片76Dは、X軸方向において、外筒23の先端部23a及び転動体32と同じ位置まで形成されている。接触片76Dは、第1シール40Dと接触する部分と、フィン114に接触する部分とを含む。
【0113】
[放熱用のフィン]
フィン114は、例えば金属製のリングである。フィン114の材質の熱伝導率は、外リング73Dの熱伝導率よりも高い。フィン114は、例えば円筒状を成している。フィン114は、接触片76Dの外周面に設けられている。フィン114は、外リング73Dから径方向外側に突出する凸部を含むものでもよい。フィン114は、外リング73Dと同じ材質でもよく、一体成型されているものでもよい。外リング73Dの熱は、フィン114に伝熱されて放熱される。
【0114】
(第9実施形態に係るハブベアリングの作用効果)
第9実施形態に係るハブベアリング100Iは、上記の第8実施形態に係るハブベアリング100Gと同様の作用効果を奏する。ハブベアリング100Iは、外リング73Dに設けられた放熱用のフィン114を備えているので、フィン114を介して放熱することにより、外リング73Dを冷却することができる。ハブベアリング100Iでは、外リング73Dを冷却することにより、外方部材20、グリース、及び転動体31,32の温度上昇を抑制できる。
【0115】
[第10実施形態に係るハブベアリング]
次に
図12及び
図13を参照して第10実施形態に係るハブベアリング100Jについて説明する。
図12は、第10実施形態に係るハブベアリングの部分を示す斜視図である。
図13は、第10実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
図12及び
図13に示されるハブベアリング100Jが、第1実施形態に係るハブベアリング100と違う点は、外筒23の外周面に形成されたフィン120を備える点である。なお、第10実施形態の説明において、上記の第1~第9実施形態と同様の説明は省略する。
【0116】
[放熱用のフィン]
フィン120は、外筒23の外周面から径方向外側に突出する凸部を有する。フィン120は、X軸方向に沿って延びている。複数のフィン120は、周方向に所定の間隔を空けて形成されている。フィン120は、凹凸形状を有する放熱構造の一例である。フィン120は、外筒23とともに回転軸回りに回転する。ハブベアリング100Jの外筒23は、外部に露出しており、外気に接している。車輪が回転することにより、車体が移動する。外筒23が回転しながらY軸方向に移動する際に、フィン120によって、外筒23の周囲の空気の流れに乱流が生じる。これにより、外筒23の外周面と外気との間の熱伝達率の向上を図り、外筒23における放熱性を向上させることができる。
【0117】
従来技術に係るハブベアリングでは、内方部材と外方部材との間の隙間にグリースが充填されている。ハブベアリングに充填されたグリースは、使用時においてせん断発熱により、温度上昇する。このようなグリースのせん断発熱により、ハブベアリングが温度上昇すると、ハブベアリングの寿命や性能に影響を及ぼす場合がある。
【0118】
(第10実施形態に係るハブベアリングの作用効果)
第10実施形態に係るハブベアリング100Iは、上記の第9実施形態に係るハブベアリング100Iと同様の作用効果を奏する。ハブベアリング100Iでは、外筒23の外周面にフィン120が設けられているので、外筒23が回転することにより乱流を生じさせて、外筒23と外気との間の熱伝達率の向上を図ることができる。これにより、外筒23における放熱を促進させて、外方部材20、グリース、転動体31,32、及び内方部材10の温度上昇を抑制することができる。また、ハブベアリング100Iでは、フィン120により、表面積を増加させることができ、外気と接する伝熱面積を増加させて、放熱を促進させることができる。その結果、ハブベアリング100Iの温度上昇を抑制することができる。
【0119】
ハブベアリング100Iによれば、グリースの温度上昇を抑制することにより、グリースのせん断発熱による影響を抑制することができる。ハブベアリング100Iによれば、グリースの温度上昇を抑制することができ、グリースのせん断抵抗の上昇を抑制できる。また、ハブベアリング100では、乱流の発生に伴う空気抵抗の増加が予想されるが、グリースによるせん断抵抗と比較して、大幅に少ない。そのため、乱流発生に伴う空気抵抗の増加による影響は無視することができる。ハブベアリング100Iでは、グリースの温度上昇を抑制することにより、潤滑性の低下を抑制し、トルク性能を維持できる。ハブベアリング100Iでは、従来技術に係るハブベアリングと比較して、トルク性能の向上を図ることができる。
【0120】
ハブベアリング100Iでは、フィン120により温度上昇を抑制し、グリースの温度上昇を抑制し、ハブベアリング100Iにおける寿命や性能への影響を回避することができる。その結果、ハブベアリング100Iの信頼性の向上を図ることができる。
【0121】
[第11実施形態に係るハブベアリング]
次に
図14を参照して第11実施形態に係るハブベアリング100Kについて説明する。
図14は、第11実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
図14に示されるハブベアリング100Kが、
図13に示す第10実施形態に係るハブベアリング100Jと違う点は、外筒23の外周面に形成されたフィン120Bの形状が異なる点である。なお、第11実施形態の説明において、上記の第1~第10実施形態と同様の説明は省略する。
【0122】
径方向外側から外筒23の外周面を見た場合、フィン120Bは、X軸方向に対して傾斜するように配置されている。このようにフィン120Bの形状は、X軸方向に沿って直線的に延びるものに限定されず、X軸方向に対して傾斜していてもよい。ハブベアリング100Kは、ハブベアリング100Jと同様の作用効果を奏する。
【0123】
[第12実施形態に係るハブベアリング]
次に
図15を参照して第12実施形態に係るハブベアリング100Lについて説明する。
図15は、第12実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
図15に示される外方部材20を備えるハブベアリング100Lが、
図13に示す第10実施形態に係るハブベアリング100Jと違う点は、外筒23の外周面に形成されたフィン120Bに代えて、放熱構造120Cを備える点である。なお、第12実施形態の説明において、上記の第1~第11実施形態と同様の説明は省略する。
【0124】
径方向外側から外筒23の外周面を見た場合、放熱構造120Cは、矩形状を成すように形成されている。放熱構造120Cは、外筒23の外周面から張り出すように形成されている。周方向おいて、隣り合う放熱構造120Cの間には、隙間が形成されている。この隙間は、X軸方向に沿うように直線的に形成されている。複数の放熱構造120Cと、その間の隙間とにより、外筒23の外周面には、凹凸形状が形成されている。このようにハブベアリング100Lは、矩形状の放熱構造120Cを有するものでもよい。ハブベアリング100Lは、ハブベアリング100Jと同様の作用効果を奏する。
【0125】
[第13実施形態に係るハブベアリング]
次に
図16を参照して第13実施形態に係るハブベアリング100Mについて説明する。
図16は、第13実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
図16に示される外方部材20を備えるハブベアリング100Mが、第12実施形態に係るハブベアリング100Lと違う点は、外筒23の外周面に形成された放熱構造120Dの形状が異なる点である。なお、第13実施形態の説明において、上記の第1~第12実施形態と同様の説明は省略する。
【0126】
径方向外側から外筒23の外周面を見た場合、放熱構造120Dは、平行四辺形を成すように形成されている。放熱構造120Dは、外筒23の外周面から張り出すように形成されている。周方向おいて、隣り合う放熱構造120Dの間には、隙間が形成されている。この隙間は、X軸方向に対して傾斜するように形成されている。複数の放熱構造120Dと、その間の隙間とにより、外筒23の外周面には、凹凸形状が形成されている。このようにハブベアリング100Mは、矩形状の放熱構造120Dを有するものでもよい。ハブベアリング100Mは、ハブベアリング100Mと同様の作用効果を奏する。
【0127】
[第14実施形態に係るハブベアリング]
次に
図17を参照して第14実施形態に係るハブベアリング100Nについて説明する。
図17は、第14実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
図17に示される外方部材20を備えるハブベアリング100Nが、第10実施形態に係るハブベアリング100Jと違う点は、外筒23の外周面に形成されたフィン120Eの形状が異なる点である。なお、第14実施形態の説明において、上記の第1~第13実施形態と同様の説明は省略する。
【0128】
径方向外側から外筒23の外周面を見た場合、フィン120Eは、V字形を成すように形成されている。フィン120Eは、長手方向の中央部に頂点を有するように屈曲された形状でもよい。フィン120Eは、直線的に延びるものに限定されず、屈曲された形状を有するものでもよい。このようなハブベアリング100Nは、ハブベアリング100Jと同様の作用効果を奏する。
【0129】
[第15実施形態に係るハブベアリング]
次に
図18を参照して第15実施形態に係るハブベアリング100Pについて説明する。
図18は、第15実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
図18に示される外方部材20を備えるハブベアリング100Pが、
図14に示す第11実施形態に係るハブベアリング100Kと違う点は、外筒23の外周面に形成された放熱構造120Fの形状が異なる点である。なお、第15実施形態の説明において、上記の第1~第14実施形態と同様の説明は省略する。
【0130】
径方向外側から外筒23の外周面を見た場合、放熱構造120Fは、周方向に連続する複数のリング部と、リング部の間でX軸方向に対して傾斜する傾斜部と、を含む。複数のリング部は、X軸方向に離れて配置されている。傾斜部は、複数のリング部を繋ぐように形成されている。複数の傾斜部は、周方向に離れて形成されている。複数の傾斜部及び複数のリング部によって囲まれた部分は、凹部を形成する。このように、放熱構造120Fは、複数の方向の延びる部分を有するものでもよい。このようなハブベアリング100Pは、ハブベアリング100Kと同様の作用効果を奏する。
【0131】
このようなハブベアリング100Pでは、複数の方向に延びる部分を有する放熱構造120Fを備えることにより、放熱構造120Fの剛性の向上が図られている。また、ハブベアリング100Pでは、一体成型されたリング部を有する放熱構造120Fを外筒23に圧入することにより、放熱構造120Fを外筒23に装着することができる。
【0132】
[第16実施形態に係るハブベアリング]
次に
図19を参照して第16実施形態に係るハブベアリング100Qについて説明する。
図19は、第16実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
図19に示される外方部材20を備えるハブベアリング100Qが、
図18に示す第15実施形態に係るハブベアリング100Pと違う点は、外筒23の外周面に形成された放熱構造120Gの形状が異なる点である。なお、第16実施形態の説明において、上記の第1~第15実施形態と同様の説明は省略する。
【0133】
径方向外側から外筒23の外周面を見た場合、放熱構造120Gは、周方向に連続する複数のリング部と、リング部の間でX軸方向に対して傾斜する傾斜部と、を含む。複数のリング部は、X軸方向に離れて配置されている。X軸方向において、放熱構造120Gの複数のリング部間の距離は、
図18に示す放熱構造120Fの複数のリング部間の距離よりも広い。また、
図19に示す放熱構造120Gの傾斜部は、
図18に示す放熱構造120Fの傾斜部とは、異なる方向に傾斜している。このような放熱構造120Gを有するハブベアリング100Qは、ハブベアリング100Pと同様の作用効果を奏する。
【0134】
[第17実施形態に係るハブベアリング]
次に
図20を参照して第17実施形態に係るハブベアリング100Rについて説明する。
図20は、第17実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
図20に示される外方部材20を備えるハブベアリング100Rが、
図18に示す第15実施形態に係るハブベアリング100Pと違う点は、外筒23の外周面に形成された放熱構造120Hの形状が異なる点である。なお、第17実施形態の説明において、上記の第1~第16実施形態と同様の説明は省略する。
【0135】
径方向外側から外筒23の外周面を見た場合、放熱構造120Hは、周方向に連続する複数のリング部と、リング部の間でX軸方向に対して傾斜する傾斜部と、を含む。また、
図20に示す放熱構造120Hの傾斜部は、
図18に示す放熱構造120Fの傾斜部とは、異なる方向に傾斜している。このような放熱構造120Hを有するハブベアリング100Rは、ハブベアリング100Pと同様の作用効果を奏する。
【0136】
[第18実施形態に係るハブベアリング]
次に
図21を参照して第18実施形態に係るハブベアリング100Sについて説明する。
図21は、第18実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
図21に示される外方部材20を備えるハブベアリング100Sが、
図17に示す第14実施形態に係るハブベアリング100Nと違う点は、外筒23の外周面に形成された放熱構造120Iの形状が異なる点である。なお、第18実施形態の説明において、上記の第1~第17実施形態と同様の説明は省略する。
【0137】
径方向外側から外筒23の外周面を見た場合、放熱構造120Iは、X字形を成すように形成されている。放熱構造120Iは、X軸方向に対して異なる方向に傾斜する複数の直線部を有する。複数の直線部は互いに交差し、X字形を成している。周方向に隣接する放熱構造120Iの直線部は、ひし形を成すように配置されていてもよい。放熱構造120Iの直線部によって囲まれた領域は、凹部を形成する。このような放熱構造120Iを有するハブベアリング100Sは、ハブベアリング100Iと同様の作用効果を奏する。
【0138】
[第19実施形態に係るハブベアリング]
次に
図22を参照して第19実施形態に係るハブベアリング100Tについて説明する。
図22は、第19実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
図22に示される外方部材20を備えるハブベアリング100Tが、
図21に示す第18実施形態に係るハブベアリング100Sと違う点は、外筒23の外周面に形成された放熱構造120Jの形状が異なる点である。なお、第19実施形態の説明において、上記の第1~第18実施形態と同様の説明は省略する。
【0139】
径方向外側から外筒23の外周面を見た場合、放熱構造120Jは、X軸方向に対して異なる方向に傾斜する複数の直線部を有する。複数の直線部は互いに交差し、X字形を成している。放熱構造120Jでは、放熱構造120Iと比較して、直線部の配置間隔が狭い。周方向に隣接する放熱構造120Iの直線部は、ひし形を成すように配置されていてもよい。放熱構造120Jの直線部によって囲まれた領域は、凹部を形成する。
【0140】
このような放熱構造120Jを有するハブベアリング100Tは、ハブベアリング100Iと同様の作用効果を奏する。1つの直線部は、複数の直線部と交差するように配置されていてもよい。複数の放熱構造120Jにより形成されひし形を成す凹部の数量は、複数の放熱構造120Iにより形成されひし形を成す凹部の数量よりも多い。複数の放熱構造120Jにより形成される凹部の面積は、複数の放熱構造120Iにより形成される凹部の面積よりも小さい。
【0141】
[第20実施形態に係るハブベアリング]
次に
図23を参照して第20実施形態に係るハブベアリング100Uについて説明する。
図23は、第20実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
図23示される外方部材20を備えるハブベアリング100Uが、
図22に示す第19実施形態に係るハブベアリング100Tと違う点は、外筒23の外周面に形成された放熱構造120Kの形状が異なる点である。なお、第20実施形態の説明において、上記の第1~第19実施形態と同様の説明は省略する。
【0142】
径方向外側から外筒23の外周面を見た場合、放熱構造120Kは、周方向に連続する複数のリング部と、六角形を成すように配置された複数の直線部とを有する。複数のリング部は、X軸方向に離れて配置されている。複数の直線部は、複数のリング部の間に配置されて、互いに連結されている。複数の直線部は、複数の傾斜部と連結されている。放熱構造120Kは、ハニカム構造を有するように形成されていてもよい。このように放熱構造120Kは、複数のリング部及び複数の直線部を有する構造でもよい。
【0143】
[第21実施形態に係るハブベアリング]
次に
図24を参照して第21実施形態に係るハブベアリング100Vについて説明する。
図24は、第21実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
図24示される外方部材20を備えるハブベアリング100Vが、
図15に示す第12実施形態に係るハブベアリング100Lと違う点は、外筒23の外周面に形成された放熱構造120Lの構造が異なる点である。なお、第21実施形態の説明において、上記の第1~第20実施形態と同様の説明は省略する。
【0144】
径方向外側から外筒23の外周面を見た場合、放熱構造120Lは、矩形状を成すように形成されている。放熱構造120Lは、外筒23の外周面から凹むように形成されている。周方向おいて、隣り合う放熱構造120Lの間には、X軸方向に延びる凸部が形成される。この凸部は、X軸方向に沿うように直線的に形成されている。複数の放熱構造120Lと、その間の凸部とにより、外筒23の外周面には、凹凸形状が形成されている。このようにハブベアリング100Vは、矩形状の凹部を含む放熱構造120Lを有するものでもよい。ハブベアリング100Vは、ハブベアリング100Lと同様の作用効果を奏する。なお、放熱構造120Lは、矩形状に限定されず、台形でもよく、三角形でもよく、円形でもよく、その他の形状でもよい。放熱構造は、凸部でもよく、凹部でもよい。
【0145】
[第22実施形態に係るハブベアリング]
次に
図25を参照して第22実施形態に係るハブベアリング100Wについて説明する。
図25は、第22実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
図25に示されるハブベアリング100Wが、
図13に示す第10実施形態に係るハブベアリング100Jと違う点は、外筒23の外周面に形成された放熱構造120Mの形状が異なる点である。なお、第22実施形態の説明において、上記の第1~第21実施形態と同様の説明は省略する。
【0146】
放熱構造120Mは、複数の凹部(ディンプル)を有する。凹部の形状は、例えば円形である。複数の凹部は、外筒23の外周面から凹む。複数の凹部は、X軸方向に対して傾斜する複数の仮想線の交点に配置されていてもよい。複数の凹部は、周方向に所定の間隔で配置されている。複数の凹部は、X軸方向に所定の間隔で配置されている。このように放熱構造120Mは、複数の点状の凹部を有するものでもよい。突起の凹部は、円形に限定されず、矩形でもよく、三角形でもよく、その他の形状でもよい。
【0147】
[第23実施形態に係るハブベアリング]
次に
図26を参照して第23実施形態に係るハブベアリング100Xについて説明する。
図26は、第23実施形態に係るハブベアリングの外方部材を示す斜視図である。
図26に示されるハブベアリング100Xが、
図25に示す第22実施形態に係るハブベアリング100Wと違う点は、外筒23の外周面に形成された放熱構造120Nの形状が異なる点である。なお、第23実施形態の説明において、上記の第1~第23実施形態と同様の説明は省略する。
【0148】
放熱構造120Nは、複数の突起を有する。突起の形状は、例えば円形である。複数の突起は、外筒23の外周面から突出する。複数の突起は、X軸方向に対して傾斜する複数の仮想線の交点上に配置されていてもよい。複数の突起は、周方向に所定の間隔で配置されている。複数の突起は、X軸方向に所定の間隔で配置されている。このように放熱構造120Mは、複数の点状の突起を有するものでもよい。突起の形状は、円形に限定されず、矩形でもよく、三角形でもよく、その他の形状でもよい。
【0149】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形、置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
【0150】
上記の実施形態では、第1シール40及び第2シール50の両方が、径方向において転動体31,32と重ならない位置に配置されているが、第1シール40又は第2シール50の一方が、径方向において転動体31,32と重なる位置に配置されていてもよい。例えば、X軸方向に見た場合に、第1シール40が、径方向において転動体31,32と重なる位置に配置され、第2シール50が、径方向において転動体31,32と重ならない位置に配置されていてもよい。例えば、X軸方向に見た場合に、第2シール50が、径方向において転動体31,32と重なる位置に配置され、第1シール40が、径方向において転動体31,32と重ならない位置に配置されていてもよい。
【0151】
ハブベアリング100は、第1シール40と、第3シール55とを備え、第2シール50を備えていないものでもよい。第3シール55は、内方部材10の内輪本体11と外方部材20の内筒21との間の隙間をシールする第2シールに相当する。第2シールは、上述したように、内輪本体11と内筒21との間の隙間をシールするものであればよい。第2シールは、内輪本体11におけるX軸方向の両端部に配置されていてもよく、一方の端部に配置されていてもよく、X軸方向において端部以外の位置に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0152】
100,100B~100X…ハブベアリング、10…内方部材、11,11B…内輪本体、12…内側転走面、13…内輪円盤部、14…内輪外筒、20…外方部材、21…内筒、22…円盤部、23…外筒、24…外筒本体、25…外輪、31,32…転動体、40…第1シール(シール)、42a~42c…リップ部、50…第2シール(シール)、73…外リング,80…つば部、110~114,120,120B,120E…放熱用のフィン(放熱構造),120C,120D,120F~120N…放熱構造。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に複列の内側転走面が形成された筒状の内輪本体を有する内方部材と、
回転軸に装着され前記内輪本体の内側に配置される内筒、前記内筒から径方向外側に張り出し車輪が取り付けられる円盤部、及び、前記円盤部に連結され、径方向において前記複列の内側転走面に対向する複列の外側転走面が形成された筒状の外筒を有する外方部材と、
前記複列の内側転走面と前記複列の外側転走面との間に転動自在に収容された複列の転動体と、
前記内方部材と前記外方部材との間の隙間をシールするシールと、を備え、
前記内方部材は、
前記内輪本体の外周から径方向外側に張り出す内輪円盤部と、
前記内輪円盤部に連結され、前記径方向において前記外筒に対向する筒状の内輪外筒と、を有し、
前記シールは、前記内方部材の前記内輪外筒と前記外方部材の前記外筒との間の隙間をシールする第1シールを有し、
前記第1シールは、前記径方向において前記複列の転動体と重ならない位置に設けられている、ハブベアリング。
【請求項2】
前記第1シールは、前記外方部材の前記外筒に対して互いに異なる位置で接触する複数のリップ部を有し、
前記外方部材の前記外筒は、前記複数のリップ部と接触する接触面を有し、
前記接触面は、前記複数のリップ部に対して凸である曲面を含む、請求項1に記載のハブベアリング。
【請求項3】
前記回転軸に沿う断面において、前記曲面の曲率中心は、前記車輪の回転中心上に存在する、請求項2に記載のハブベアリング。
【請求項4】
前記内輪円盤部及び前記内輪外筒は、前記内輪本体とは、別体であり、
前記内輪円盤部は、前記内輪本体に取り付けられている、請求項1に記載のハブベアリング。
【請求項5】
前記外筒に取り付けられ、前記外筒から前記径方向外側に張り出す外リングを備え、
前記第1シールは、前記外リングに対して互いに異なる位置で接触する複数のリップ部を有し、
前記外リングは、前記複数のリップ部と接触する接触面を有し、
前記接触面は、前記複数のリップ部に対して凸である曲面を含む、請求項1に記載のハブベアリング。
【請求項6】
前記外リングは、
前記径方向において前記外筒の内周に取り付けられる取付片と、
前記取付片から前記径方向外側に張り出す連結片と、
前記連結片に連結され前記外筒の外周に配置され、前記接触面を有する接触片と、を備える、請求項5に記載のハブベアリング。
【請求項7】
前記外方部材は、
前記外筒の外周から前記径方向外側に張り出すつば部を有し、
前記つば部は、前記回転軸の軸方向において、前記第1シールを覆うように形成されている、請求項1に記載のハブベアリング。
【請求項8】
外周に複列の内側転走面が形成された筒状の内輪本体を有する内方部材と、
回転軸に装着され前記内輪本体の内側に配置される内筒、前記内筒から径方向外側に張り出し車輪が取り付けられる円盤部、及び、前記円盤部に連結され、径方向において前記複列の内側転走面に対向する複列の外側転走面が形成された筒状の外筒を有する外方部材と、
前記複列の内側転走面と前記複列の外側転走面との間に転動自在に収容された複列の転動体と、
前記内方部材と前記外方部材との間の隙間をシールするシールと、を備え、
前記シールは、前記内方部材の前記内輪本体と前記外方部材の前記内筒との間の隙間をシールする第2シールを有し、
前記第2シールは、前記径方向において前記複列の転動体と重ならない位置に設けられている、ハブベアリング。
【請求項9】
前記内方部材は、
前記内輪本体の外周から径方向外側に張り出す内輪円盤部と、
前記内輪円盤部に連結され、前記径方向において前記外筒に対向する筒状の内輪外筒と、を有し、
前記シールは、前記内方部材の前記内輪外筒と前記外方部材の前記外筒との間の隙間をシールする第1シールをさらに有し、
前記第1シール及び前記第2シールは、前記径方向において前記複列の転動体と重ならない位置に設けられている、請求項8に記載のハブベアリング。
【請求項10】
前記外筒の外周面には、凹凸形状を有する放熱構造が設けられている、請求項1~9の何れか一項に記載のハブベアリング。