(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126927
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】型枠の耐久性評価方法
(51)【国際特許分類】
B28B 7/38 20060101AFI20240912BHJP
E04G 9/02 20060101ALI20240912BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20240912BHJP
【FI】
B28B7/38
E04G9/02
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035691
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】399054321
【氏名又は名称】東洋アルミニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 行雄
(72)【発明者】
【氏名】黒田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】西川 浩之
【テーマコード(参考)】
2E150
2G024
4G053
【Fターム(参考)】
2E150AA11
2E150BA03
2G024AD34
2G024BA12
2G024CA01
2G024DA12
2G024FA17
4G053DA07
(57)【要約】
【課題】耐久性評価を短時間で簡易かつ高精度に行える型枠の耐久性評価方法を提供する。
【解決手段】型枠本体と、前記型枠本体の型枠表面に設けられた撥水層とを備えるコンクリート成形用の型枠における前記撥水層の耐久性を評価する方法であって、前記型枠からなる試験体の試験面に対して所定距離からシャワー状に噴射した所定流量の水を所定時間継続して衝突させる衝突ステップS1と、その後、前記試験面に付着した水滴を除去し、水平に対して所定角度だけ傾斜して上向きに配置した前記試験面に対して所定高さから水滴を自由落下させた後の前記試験面における前記水滴の動きに基づいて、前記試験面の耐久性を評価する評価ステップS2、S3とを有するようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠本体と、前記型枠本体の型枠表面に設けられた撥水層とを備えるコンクリート成形用の型枠における前記撥水層の耐久性を評価する方法であって、
前記型枠からなる試験体の試験面に対して所定距離からシャワー状に噴射した所定流量の水を所定時間継続して衝突させる衝突ステップと、
その後、前記試験面に付着した水滴を除去し、水平に対して所定角度だけ傾斜して上向きに配置した前記試験面に対して所定高さから水滴を自由落下させた後の前記試験面における前記水滴の動きに基づいて、前記試験面の耐久性を評価する評価ステップとを有することを特徴とする型枠の耐久性評価方法。
【請求項2】
前記衝突ステップにおいて、水平に配置した前記試験面に対して、前記試験面の上方の所定高さから下向きに噴射した水を5分間継続して衝突させることを特徴とする請求項1に記載の型枠の耐久性評価方法。
【請求項3】
前記評価ステップにおいて、水平に対して15°傾斜して配置した前記試験面に対して、1cmの高さから水滴を自由落下させることを特徴とする請求項1または2に記載の型枠の耐久性評価方法。
【請求項4】
前記評価ステップにおいて、水滴を自由落下させた後の前記試験面における前記水滴の移動距離の大小に基づいて、耐久性を評価することを特徴とする請求項1または2に記載の型枠の耐久性評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート成形用撥水型枠などの型枠の耐久性評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート製の構造物や製品の仕上げを美しくするための型枠として、優れた離型性を有し、繰り返し使用が可能なものが知られている(例えば、特許文献1~3を参照)。例えば、特許文献1に記載の型枠は、型枠表面に疎水性酸化物微粒子からなる多孔質層(撥水層)を備えている。この型枠によれば、優れた離型性能を長期間にわたって持続的に発揮でき、従来の型枠のように使用のたびに離型液を型枠表面に塗布する必要がなく、繰り返し使用が可能である。また、型枠表面の表面気泡を低減するので、成形後のコンクリート表面が滑らかになり意匠性が向上する。
【0003】
コンクリート打設の際には、通常、型枠内部に流し込んだコンクリートを突き棒で突いたり、型枠を木づちで叩いたり、棒状のバイブレーターをコンクリートに挿し込んで振動を与えたりする締固め作業が行われる。こうした締固め作業の最中に、振動等によって撥水層が型枠表面から剥離すると、表面気泡の低減効果が十分に発揮されなくなり、硬化したコンクリートの表面に気泡による窪み(空気あばた)が現われて、美観などを損ねるおそれがある。このため、型枠には、締固め作業による振動等が作用しても撥水層が型枠表面から剥離しない耐久性が要求される。撥水層の耐久性は、撥水層や型枠本体の構成材料、撥水層の施工時温度などにより異なることがある。
【0004】
撥水層の耐久性を評価する方法として、コンクリートの本打設施工の前に、上面が開口した四角箱状の試験用型枠(高さ30cm×幅30cm×奥行10cm程度)を室内で組み立て、この試験用型枠にコンクリートを打設し、脱型後のコンクリート表面に気泡が無いことを目視で確認する方法が知られている。また、この他の方法として、型枠表面に作用するバイブレータの締固めエネルギーに基づいて、耐久性を評価する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6667995号公報
【特許文献2】特許第6610945号公報
【特許文献3】特開2021-171989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5(1)は、上記の室内で行う耐久性評価試験で目視観察されるコンクリート表面の例、(2)は実施工のコンクリート表面の例である。これらの図のように、上記の室内試験では、実施工時のコンクリートの締固め作業に使用するバイブレータの振動や降雨などの影響を十分に評価しきれないおそれがある。
【0007】
また、上記の室内試験では、コンクリートの練り混ぜと打設、硬化後の脱型を行うため、コンクリート表面を目視できるまでに長い時間を要する。さらに、目視判定は客観性に欠け、判定精度を高めるには多数の供試体を要するため、多大な作業手間とコストが掛かるという問題がある。また、上記の締固めエネルギーによる耐久性評価方法は、演算処理などに手間を要する。このため、耐久性評価を短時間で簡易かつ高精度に行える技術が求められていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、耐久性評価を短時間で簡易かつ高精度に行える型枠の耐久性評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る型枠の耐久性評価方法は、型枠本体と、前記型枠本体の型枠表面に設けられた撥水層とを備えるコンクリート成形用の型枠における前記撥水層の耐久性を評価する方法であって、前記型枠からなる試験体の試験面に対して所定距離からシャワー状に噴射した所定流量の水を所定時間継続して衝突させる衝突ステップと、その後、前記試験面に付着した水滴を除去し、水平に対して所定角度だけ傾斜して上向きに配置した前記試験面に対して所定高さから水滴を自由落下させた後の前記試験面における前記水滴の動きに基づいて、前記試験面の耐久性を評価する評価ステップとを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の型枠の耐久性評価方法は、上述した発明において、前記衝突ステップにおいて、水平に配置した前記試験面に対して、前記試験面の上方の所定高さから下向きに噴射した水を5分間継続して衝突させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の型枠の耐久性評価方法は、上述した発明において、前記評価ステップにおいて、水平に対して15°傾斜して配置した前記試験面に対して、1cmの高さから水滴を自由落下させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他の型枠の耐久性評価方法は、上述した発明において、前記評価ステップにおいて、水滴を自由落下させた後の前記試験面における前記水滴の移動距離の大小に基づいて、耐久性を評価することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る型枠の耐久性評価方法によれば、型枠本体と、前記型枠本体の型枠表面に設けられた撥水層とを備えるコンクリート成形用の型枠における前記撥水層の耐久性を評価する方法であって、前記型枠からなる試験体の試験面に対して所定距離からシャワー状に噴射した所定流量の水を所定時間継続して衝突させる衝突ステップと、その後、前記試験面に付着した水滴を除去し、水平に対して所定角度だけ傾斜して上向きに配置した前記試験面に対して所定高さから水滴を自由落下させた後の前記試験面における前記水滴の動きに基づいて、前記試験面の耐久性を評価する評価ステップとを有するので、耐久性評価を短時間で簡易かつ高精度に行うことができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る他の型枠の耐久性評価方法によれば、前記衝突ステップにおいて、水平に配置した前記試験面に対して、前記試験面の上方の所定高さから下向きに噴射した水を5分間継続して衝突させるので、耐久性評価を極めて短時間で簡易に行うことができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る他の型枠の耐久性評価方法によれば、前記評価ステップにおいて、水平に対して15°傾斜して配置した前記試験面に対して、1cmの高さから水滴を自由落下させるので、耐久性評価を簡易に行うことができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る他の型枠の耐久性評価方法によれば、前記評価ステップにおいて、水滴を自由落下させた後の前記試験面における前記水滴の移動距離の大小に基づいて、耐久性を評価するので、耐久性評価を簡易かつ高精度に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明に係る型枠の耐久性評価方法の実施の形態を示す概略フロー図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に使用する試験装置を示す図であり、(1)は要部拡大図、(2)は試験状況図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態による耐久性評価方法の説明図である。
【
図4】
図4は、本実施例と比較例を比較したテーブル図である。
【
図5】
図5は、従来の耐久性評価方法の説明図であり、(1)は室内試験で目視観察されるコンクリート表面の例、(2)は実施工のコンクリート表面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る型枠の耐久性評価方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
本発明の実施の形態に係る型枠の耐久性評価方法は、コンクリート成形用の型枠に備わる撥水層の耐久性を評価するものである。型枠は、塗装合板などからなる型枠本体と、型枠本体の型枠表面に塗布等により設けられた超撥水性の撥水層とを備えており、上記の特許文献1~3に記載のものと同様の構成である。コンクリートと接する面は、撥水層の表面である。本実施の形態の耐久性評価方法は、
図1に示すように、ステップS1~S3の手順で実行される。
【0020】
(ステップS1:シャワーテスト)
まず、ステップS1では、型枠からなる試験体の試験面に対して、所定距離からシャワー状に噴射した所定流量の水を所定時間継続して衝突させるシャワーテストを行う(衝突ステップ)。
【0021】
水を噴射する噴射装置としては、例えば、
図2(1)に示すようなシャワーヘッド装置10を用いることができる。このシャワーヘッド装置10は、複数の散水孔12を有する円形の散水板14を備えており、散水孔12は、散水板14の周方向および半径方向に間隔をあけて配置される。散水板14としては、例えば直径85mm程度、散水孔12としては、例えば孔径0.5mm程度のものを使用可能である。
【0022】
シャワーテストでは、
図2(2)に示すように、試験体Sを水平な床面16に置き、その直上に配置したシャワーヘッド装置10から下向きに噴射した水を試験体Sの上面(試験面)に散水する。試験体Sとしては、例えば、小片の矩形状の型枠(例えば、10cm角程度)を用いることができる。試験体Sの試験面には、撥水層が設けられている。
【0023】
噴射条件は、種々設定可能であるが、例えば、以下のように設定することが好ましい。
水量:8L/分
試験体からの高さ:25cm±2cm
角度:試験面に対して垂直
継続時間:5分間
【0024】
(ステップS2:水滴落下テスト)
次のステップS2では、試験面に付着した水滴を除去し、水平に対して所定角度だけ傾斜して上向きに配置した試験面に対して、所定高さから水滴を自由落下させた後の試験面における水滴の動きを観察する。
【0025】
具体的には、上記のシャワーテスト後の試験体Sの水滴をすべて除去し、試験面を水平に保持したまま10秒程、床面などに静置する。その後、試験体Sを水平に対して所定角度(例えば、15°程度)だけ傾斜し、傾斜した状態を保持したまま、試験面に対して所定の高さ(例えば、1cm程度)からピペットで水滴を水平方向に間隔をあけて(例えば、3cm程度の間隔で)1滴づつ垂らす。そして、試験面における水滴の動きを目視などで観察する。なお、試験面の中心位置や上側領域に1滴だけ水滴を垂らし、その後の動きを観察してもよい。
【0026】
試験体Sを傾斜する場合には、矩形の試験体Sの一辺を水平に保ち、この一辺を回転軸として対辺側を上方に持ち上げるように回動させることが好ましい。また、試験体Sの縦辺と横辺をそれぞれ回転軸として対辺側を上方に持ち上げることにより、試験体Sを縦方向、横方向にそれぞれ傾斜させ、各方向に対する水滴の動きを確認することが好ましい。
【0027】
なお、水平に対する傾斜角度は15°に限るものではなく、撥水性の状態を確認できるものであれば、これ以外の角度でもよい。また、上記のように、傾斜した試験面に対して水滴を垂らす方法に代えて、水平に配置した試験面の上に水滴を配置した後、試験体Sを徐々に傾斜させ、その際の水滴の動きを確認してもよい。また、水滴を落下する高さは1cmに限るものではなく、撥水性の状態を確認できるものであれば、これ以外の高さでもよい。
【0028】
(ステップS3:耐久性の評価)
次のステップS3では、観察された水滴の動きに基づいて、試験面の耐久性を評価する(評価ステップ)。具体的には、試験体Sを縦方向に傾斜して水滴を滴下した場合と、横方向に傾斜して水滴を滴下した場合とについて滴下後の水滴の動きを観察し、水滴の移動距離の大小に基づいて、撥水性の維持状態を確認する。
【0029】
図3に、観察される水滴の動きの一例と、水滴の移動距離の大小に基づく評価の一例を示す。
図3のタイプAは、試験面の中心位置に滴下した1滴の水滴が試験面を滑動して、試験面から流れ落ちた場合を示している。この場合には、水滴の移動距離は大きく、撥水機能が維持されていると考えられるため、耐久性が高いまたは良好(〇)と評価する。なお、水滴は部分的に止まるが、水平に対する試験面の傾斜角度を大きくすると水滴が流れ落ちれば、耐久性が高いもしくは良好(〇)、または、中程度もしくは普通(△)と評価してもよい。
【0030】
図3のタイプBは、試験面の中心位置に滴下した1滴の水滴が試験面を滑動するものの、試験面から流れ落ちなかった場合を示している。この場合には、水滴の移動距離はタイプAよりも小さく、撥水機能が若干低下していると考えられるため、耐久性はタイプAよりも低い中程度または普通(△)と評価する。
【0031】
図3のタイプCは、試験面の中心位置に滴下した1滴の水滴が試験面に密着して殆ど滑動しない場合を示している。この場合には、水滴の移動距離はタイプBよりも小さく、撥水機能が大きく低下していると考えられるため、耐久性はタイプBよりも低いまたは不良(×)と評価する。
【0032】
このように、本実施の形態によれば、コンクリートを練り混ぜる必要などがないため、従来の室内試験方法に比べて短時間(例えば、1時間程度)で耐久性を評価することが可能である。また、シャワーテストと水滴落下テストにより簡易かつ高精度に評価することが可能である。したがって、本実施の形態によれば、耐久性評価を短時間で簡易かつ高精度に行うことができる。
【0033】
(本発明の効果の確認実験)
本発明の耐久性評価方法の妥当性を確認するために、本発明の実施例と比較例(従来の室内試験方法)を比較する確認実験を行った。
図4に、比較結果を示す。この図に示すように、実験は、型枠本体である合板の種類、上塗り剤を変化させた7ケース(試験体番号1~7)を対象とした。なお、図中の上塗りは撥水剤であり、本実験ではA~Fの6種類の剤を使用した。中塗はプライマーであり、本実験では1種類のみを使用した。
【0034】
比較例では、外観の客観的な良否判定は容易でないため、同一型枠(試験体)で3つのコンクリート供試体を3回に分けて作成し、各回の供試体表面の外観の良否を目視にて評価した。なお、1回あたりの供試体作成に要する期間は約2日であり、3回作成するためには正味6日を要する。外観の評価結果は、試験体番号1、2が○(良好)~△(普通)、試験体番号3~7が○(良好)であった。
【0035】
実施例では、10cm角の試験体を用い、シャワーテストの散水継続時間を1~10分で変化させた10ケースを対象とした。その他の噴射条件は、上述したものを採用した。なお、シャワーヘッド装置の散水板は直径85mm、散水孔の孔径0.5mmとした。また、シャワーテスト後の試験体Sの水滴をすべて除去して10秒静置し、その後、試験体Sを15°傾斜して1cmの高さから水滴を滴下して耐久性を評価した。
【0036】
本実施例による耐久性の評価結果は、散水継続時間1~3分の場合では、試験体番号1~7が〇(良好)であった。散水継続時間4、5分の場合では、試験体番号1、2が△(良好)、試験体番号3~7が○(良好)であった。散水継続時間6分以上になると、×(不良)のものが増えてくる。実施例のうち散水継続時間1~5分の評価結果と、比較例の評価結果を比較すると、両者の結果は概ね一致していることがわかる。
【0037】
次に、本発明による判定方法の散水継続時間の妥当性を確認する。散水継続時間を3分とした場合、試験体番号1~7とも〇(良好)であった。また、散水継続時間を7分とした場合、試験体番号1~5が×(不良)、試験体番号6が〇(良好)、試験体番号が△(普通)となった。これに対し、散水継続時間を4、5分とすると比較例の結果と概ね一致している。したがって、上記の噴射条件下では、散水継続時間は4、5分程度とすることが望ましいと考えられる。
【0038】
以上説明したように、本発明に係る型枠の耐久性評価方法によれば、型枠本体と、前記型枠本体の型枠表面に設けられた撥水層とを備えるコンクリート成形用の型枠における前記撥水層の耐久性を評価する方法であって、前記型枠からなる試験体の試験面に対して所定距離からシャワー状に噴射した所定流量の水を所定時間継続して衝突させる衝突ステップと、その後、前記試験面に付着した水滴を除去し、水平に対して所定角度だけ傾斜して上向きに配置した前記試験面に対して所定高さから水滴を自由落下させた後の前記試験面における前記水滴の動きに基づいて、前記試験面の耐久性を評価する評価ステップとを有するので、耐久性評価を短時間で簡易かつ高精度に行うことができる。
【0039】
また、本発明に係る他の型枠の耐久性評価方法によれば、前記衝突ステップにおいて、水平に配置した前記試験面に対して、前記試験面の上方の所定高さから下向きに噴射した水を5分間継続して衝突させるので、耐久性評価を極めて短時間で簡易に行うことができる。
【0040】
また、本発明に係る他の型枠の耐久性評価方法によれば、前記評価ステップにおいて、水平に対して15°傾斜して配置した前記試験面に対して、1cmの高さから水滴を自由落下させるので、耐久性評価を簡易に行うことができる。
【0041】
また、本発明に係る他の型枠の耐久性評価方法によれば、前記評価ステップにおいて、水滴を自由落下させた後の前記試験面における前記水滴の移動距離の大小に基づいて、耐久性を評価するので、耐久性評価を簡易かつ高精度に行うことができる。
【0042】
なお、2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。本実施の形態に係る型枠の耐久性評価方法は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「11.住み続けられるまちづくりを」の目標などの達成に貢献し得る。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明に係る型枠の耐久性評価方法は、コンクリート成形用撥水型枠の耐久性評価に有用であり、特に、耐久性評価を短時間で簡易かつ高精度に行うのに適している。
【符号の説明】
【0044】
10 シャワーヘッド装置
12 散水孔
14 散水板
16 床面
S 試験体