(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012693
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】フォーカルアブレーションのためのシステム、デバイス、および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200526
(22)【出願日】2023-11-28
(62)【分割の表示】P 2020537624の分割
【原出願日】2019-01-18
(31)【優先権主張番号】15/874,721
(32)【優先日】2018-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/029938
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/744,495
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/769,407
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】516193782
【氏名又は名称】ファラパルス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスワナータン,ラジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジンゲラー,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ロング,ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】パギアード,ジャン-リュック
(72)【発明者】
【氏名】ハッチー,ブリトニー
(57)【要約】
【課題】電気穿孔アブレーション療法のためのシステム、デバイス、および方法を提供すること。
【解決手段】本デバイスには、医学的アブレーション療法のためのカテーテルに結合したスプラインのセットが含まれる。スプラインのセットの各スプラインは、そのスプラインに形成された電極のセットを含んでもよい。スプラインのセットは、並進して、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成されてもよい。本明細書に記載のデバイスを使用して、フォーカルアブレーションを介して患部を形成することができる。
【選択図】
図38B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
長手方向軸および管腔を画定する第1のシャフトと、
前記管腔内に配設され、前記第1のシャフトの遠位端から延在する遠位部分を有する第2のシャフトと、
組織をアブレーションするための電界を生成するように構成された複数の電極と、
スプラインのセットであって、前記スプラインのセットの各スプラインが、
そのスプライン上に形成された前記複数の電極からの電極のセットであって、各電極のセットは、(1)前記スプラインのセットが遠位電極のセットを含むような遠位電極、および(2)前記スプラインのセットが近位電極のセットを含むような近位電極、を含む、電極のセット、
前記第1のシャフトの前記遠位端に結合された近位端、および
前記第2のシャフトの遠位端に結合された遠位端、を含み、
前記スプラインのセットが、拡張構成に移行するように構成されており、前記スプラインのセットが、それらの間の空間を画定し、前記空間が、前記スプラインのセットの前記拡張構成においてより大きくなる、スプラインのセットと、
前記第1のシャフトの前記遠位端の遠位、かつ前記スプラインのセット間の前記空間内に配設された膨張可能な部材であって、前記スプラインのセットが前記拡張構成にあるときに膨張構成に移行するように構成されている、膨張可能な部材と、を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月6日に出願された米国仮出願第62/529,268号の利益を主張する、2018年1月18日に出願された米国特許出願第15/874,721号の一部継続出願である。本出願はまた、2018年1月18日に出願された米国特許出願第15/874,721号および2017年9月21日に出願された米国特許出願第15/711,266号の一部継続出願である、2018年4月27日に出願されたPCT出願第PCT/US2018/029938号の一部継続出願である。米国特許出願第15/711,266号は、2016年1月5日に出願された米国仮出願第62/274,943号の利益を主張する、2017年1月4日に出願されたPCT出願第PCT/US2017/012099号の一部継続出願である。米国特許出願第15/711,266号はまた、2017年4月28日に出願された米国仮出願第62/491,910号および2017年7月6日に出願された米国仮出願第62/529,268号の利益を主張する。本出願はまた、2018年10月11日に出願された米国仮出願第62/744,495号および2018年11月19日に出願された米国仮出願第62/769,407号の利益を主張する。前述の出願の各々の全開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
組織治療のためのパルス電界の生成は、過去20年間で研究室から臨床的応用に移っているが、高い電圧および大きな電界の短時間のパルスが組織に与える効果は、過去40年以上にわたって調査されている。短時間の高DC電圧を組織に印加すると、細胞膜に細孔を生成することで細胞膜が破壊される、通常1センチメートルあたり数百ボルトの範囲で局所的に高い電界が生成され得る。この電気的に駆動される細孔生成または電気穿孔の正確なメカニズムが継続して研究されているが、比較的短時間の大きな電界を適用することにより、細胞膜の脂質二重層に不安定性をもたらし、細胞膜に局所的なギャップまたは細孔の分布の出現を引き起こすと考えられている。この電気穿孔は、膜に印加された電界が閾値よりも大きい場合、不可逆的となる可能性があり、その結果、細孔が閉じるかまたは開いたままになり、それにより生体分子材料が膜を横切って交換され、壊死および/またはアポトーシス(細胞死)を引き起こす。その後、周囲の組織が自然に治癒する場合がある。
【0003】
パルスDC電圧は適正な状況下で電気穿孔を駆動し得るが、高DC電圧電気穿孔アブレーション療法を、健康な組織への損傷を最低限に抑えながら、目的の領域にある心内膜組織に選択的に、効果的に送達する、薄く、可撓性であり、非侵襲的なデバイスに対する需要は、依然として満たされていない。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、不可逆的電気穿孔により組織をアブレーションするためのシステム、デバイス、および方法について説明する。いくつかの実施形態では、装置は、長手方向軸および管腔を画定する第1のシャフトと、管腔内に配設され、第1のシャフトの遠位端から延在する遠位部分を有する第2のシャフトと、組織をアブレーションするための電界を生成するように構成された複数の電極と、スプラインのセットであって、スプラインのセットの各スプラインが、そのスプライン上に形成された複数の電極からの電極のセットを含み、各電極のセットが、(1)スプラインのセットが遠位電極のセットを含むような遠位電極、および(2)スプラインのセットが近位電極のセットを含むような近位電極、を含む、スプラインのセットと、を備える。近位端は、第1のシャフトの遠位端に結合され得る。遠位端は、第2のシャフトの遠位端に結合され得る。スプラインのセットは、スプラインのセットからの各スプラインの遠位部分が長手方向軸に対して70度超で角度が付けられている拡張構成に移行するように構成され得る。
【0005】
いくつかの実施形態では、装置は、長手方向軸および管腔を画定する第1のシャフトと、管腔内に配設され、第1のシャフトの遠位端から延在する遠位部分を有する第2のシャフトと、組織をアブレーションするための電界を生成するように構成された複数の電極と、スプラインのセットであって、スプラインのセットの各スプラインが、そのスプライン上に形成された複数の電極からの電極のセットを含み、各電極のセットが、(1)スプラインのセットが遠位電極のセットを含むような遠位電極、および(2)スプラインのセットが近位電極のセットを含むような近位電極、を含む、スプラインのセットと、を備える。近位端は、第1のシャフトの遠位端に結合され得る。遠位端は、第2のシャフトの遠位端に結合され得る。スプラインのセットは、拡張構成に移行するように構成され得、スプラインのセットは、それらの間の空間を画定し、空間は、スプラインのセットの拡張構成においてより大きくなる。膨張可能な部材は、第1のシャフトの遠位端の遠位、かつスプラインのセット間の空間内に配設されてもよい。膨張可能な部材は、スプラインのセットが拡張構成にあるときに膨張構成に移行されるように構成され得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、膨張可能な部材は、第1のシャフトの遠位端の遠位、かつスプラインのセット間の空間内に配設されてもよい。膨張可能な部材は、膨張構成に移行するように構成され得る。いくつかの実施形態では、膨張構成にある膨張可能な部材は、拡張構成にあるスプラインのセット間の空間を実質的に充填し得る。膨張可能な部材は、膨張可能な部材の外側表面が長手方向軸に対してほぼ平行である収縮構成から、膨張可能な部材の外側表面が長手方向軸から半径方向外向きにたわむ膨張構成に移行するように構成され得る。スプラインのセットは、膨張可能な部材が膨張構成に移行することに応答して、拡張構成に移行するように構成され得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、スプラインのセットが拡張構成にあるとき、スプラインのセットからの各スプラインの遠位部分は、長手方向軸に対して少なくとも約70度で角度が付けられ得る。いくつかの実施形態では、膨張構成にある膨張可能な部材は、膨張可能な部材の遠位部分が膨張可能な部材の近位部分のものよりも大きい外径を有する非対称形状を形成し得る。膨張構成にある膨張可能な部材は、約6mm~約24mmの最大部分の外径を有する形状を形成し得る。いくつかの実施形態では、スプラインのセットが拡張構成にあるとき、遠位電極のセットからの少なくとも1つの電極は、組織表面に接触し、かつ約0.5cm~約2.5cmの直径を有するフォーカルアブレーション患部を組織表面上に形成するように構成され得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、膨張可能な部材の少なくとも一部分は、絶縁材料から形成され得る。膨張可能な部材は、放射線不透過性部分を含み得る。第1のシャフトは、第1の内側シャフトであり得、第2のシャフトは、第2の内側シャフトであり得る。本装置は、外側シャフトをさらに備え得る。第1の内側シャフトおよび第2の内側シャフトは、外側シャフトに対して摺動するように構成され得、膨張可能な部材の近位部分は、外側シャフトの遠位部分に結合され得る。膨張可能な部材の遠位部分は、第1の内側シャフトの遠位部分に結合され得る。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第1の内側シャフトは、流体源に結合するように構成され得、それにより、流体を、第1の内側シャフトの管腔を介して膨張可能な部材に送達して、膨張可能な部材を膨張構成に移行させることができる。スプラインのセットは、第2の内側シャフトが第1の内側シャフトに対して移動することに応答して拡張構成に移行するように構成され得る。膨張可能な部材は、管腔を画定し得、第2の内側シャフトは、膨張可能な部材の管腔を通って延在し得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、膨張可能な部材は、流体源と流体連通して構成され得る。流体源は、流体を膨張可能な部材に送達して、膨張可能な部材を膨張構成に移行させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、スプラインのセットが拡張構成にあるとき、スプラインのセットは、第1のシャフトの遠位端から外向きに約6mm~約24mm延在し得る。第1のシャフトは、約1.5mm~約6.0mmの外径を有し得る。スプラインのセットは、第2のシャフトが長手方向軸に沿って第1のシャフトに対して移動することに応答して拡張構成に移行するように構成され得る。スプラインのセットが拡張構成にあるとき、遠位電極のセットは、近位電極のセットに対して約90度~約180度で角度が付けられ得る。
【0010】
拡張構成にあるスプラインのセットは、遠位部分が近位部分のものよりも大きい外径を有する非対称形状を形成し得る。第2のシャフトの遠位端は、遠位電極のセットからの各遠位電極から最大で約6mm離れ得る。第2のシャフトの遠位端は、約1mm~約5mmの断面径を有し得る。装置の遠位部分は、非侵襲的形状を有し得る。複数の電極からの各電極は、上にその電極が配設されているスプラインのセットからのそれぞれのスプラインの外周を囲み得る。
【0011】
遠位電極のセットからの少なくとも1つの遠位電極は、第1の極性で作動するように構成され得る。近位電極のセットからの少なくとも1つの近位電極は、第1の極性とは反対の第2の極性で作動するように構成されて、電界を集合的に生成することができる。遠位電極のセットは、第1の極性で作動するように構成され得、近位電極のセットは、第1の極性とは反対の第2の極性で作動するように構成され得る。
【0012】
複数の電極からの各電極は、約0.5mm~約5mmの長さを有し得る。複数の電極からの各電極は、独立して複数の電極の他の電極からアドレス指定可能であり得る。スプラインのセットからの各スプラインは、内部に配設された絶縁導線のセットを含み得る。絶縁導線のセットからの各絶縁導線は、そのスプライン上に形成された電極のセットからの少なくとも1つの電極に電気的に結合され、対応する絶縁が絶縁破壊することなく、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成され得る。複数の電極からの各電極は、約0.5mm~約3mmの直径を有し得る。スプラインのセットからの各スプラインについて、最遠位の遠位電極は、最遠位の近位電極から約1mm~約40mm離れ得る。
【0013】
スプラインのセットからの各スプラインは、複数の近位電極と、スプラインの可撓性を増加させるために複数の近位電極からの隣接する近位電極間に配設された少なくとも1つの可撓性部分と、を含み得る。近位電極のセットは、少なくとも1つのコイル電極を含み得る。スプラインのセット内の各スプラインの電極のセットは、アブレーションのためにのみ構成された少なくとも1つの電極と、心電図(ECG)信号を受信するために構成された少なくとも1つの電極と、を含み得る。これらの実施形態のうちのいくつかでは、少なくとも1つの電極は、アブレーションのためのみに構成され得、少なくとも1つの電極は、ECG信号を受信するために構成され得、これらが結合して、絶縁導線を分離する。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法は、対象の心臓の心室腔内にアブレーションデバイスを配設することを含み得、アブレーションデバイスは、長手方向軸を画定し、スプラインのセットを含む。スプラインのセットは、スプラインのセットの各スプラインの遠位部分が長手方向軸に対して70度超で角度が付けられている拡張構成に移行され得る。スプラインのセットが心室腔の組織をアブレーションするための電界を生成するように、アブレーションパルス波形を、スプラインのセット上に配設された複数の電極に送達することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、方法は、対象の心臓の心室腔内にアブレーションデバイスを配設することを含み得、アブレーションデバイスは、長手方向軸を画定し、スプラインのセット、およびスプラインのセット間の空間内に配設された膨張可能な部材を含む。スプラインのセットを、スプラインのセットの各スプラインの遠位部分が長手方向軸から半径方向外向きにたわむ拡張構成に移行させることができる。膨張可能な部材は、膨張構成に移行し得る。スプラインのセットが心室腔の組織をアブレーションするための電界を生成するように、アブレーションパルス波形を、スプラインのセット上に配設された複数の電極に送達することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、電界は、約0.5cm~約2.5cmの直径を有するフォーカルアブレーション患部を組織表面上に形成するように構成され得る。アブレーションデバイスは、第1のシャフトと、第1のシャフト内に配設され、第1のシャフトに対して並進可能な第2のシャフトと、を含み得る。スプラインのセットは、拡張構成に移行させることができ、第1のシャフトに対して第2のシャフトの遠位部分を後退させることを含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第1のシャフトに対して第2のシャフトの遠位部分を後退させることは、第2のシャフトまたは第1のシャフトのうちの少なくとも1つに結合されたハンドルを使用することを含む。いくつかの実施形態では、組織は、心室腔の心内膜表面を含んでもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、心室腔は、心室であってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、スプラインのセットからの各スプラインは、複数の電極からの電極のセットを含み、本方法は、少なくとも1つのスプラインの電極のセットからの第1の電極をアノードとして構成することと、少なくとも1つのスプラインの電極のセットからの第2の電極をカソードとして構成することと、アブレーションパルス波形を第1の電極および第2の電極に送達することと、をさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、スプラインのセットからの各スプラインは、複数の電極からの電極のセットを含み得る。少なくとも1つの電極のセットは、アブレーションのために構成され得、少なくとも1つの電極のセットは、電気生理学データを受信するために構成され得る。電気生理学データは、少なくとも1つの電極のセットからの電極のサブセットを使用して心臓から記録され得る。これらの実施形態のうちのいくつかでは、電気生理学データは、少なくとも1つの肺静脈の心内心電図(ECG)信号データを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、ペーシングデバイスは、心臓の右心室内に前進され得る。心臓の心臓刺激のためのペーシング信号を生成することができる。ペーシングデバイスを使用して、ペーシング信号を心臓に適用することができ、アブレーションパルス波形が、ペーシング信号と同期して生成される。これらの実施形態のうちのいくつかでは、アブレーションパルス波形は、ペーシング信号に関する時間オフセットを含み得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスの放射線不透過性部分は、1つ以上のステップの間に蛍光透視下で可視化され得る。診断用カテーテルは、心室腔内に前進され得、電気生理学データは、診断用カテーテルを使用して記録され得る。これらの実施形態のうちのいくつかでは、スプラインのセットを拡張構成に移行させ、バルーンを膨張構成に移行させた後、心室腔の心内膜と接触した状態でスプラインのセットからの少なくとも1つのスプラインを留置することができる。これらの実施形態のうちのいくつかでは、心内膜と接触した状態で少なくとも1つのスプラインは、「C」形状を形成する。
【0021】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、膨張可能な部材と流体連通している管腔を画定するシャフトを含み得、膨張可能な部材を膨張構成に移行させることは、流体を、シャフトの管腔を介して、膨張可能な部材内に送達することを含む。膨張可能な部材は、絶縁材料から形成され得、それにより、膨張可能な部材は、アブレーションパルス波形の送達中に絶縁体として作用する。膨張可能な部材は、複数の膨張可能な部分を含み得、複数の膨張可能な部分の各膨張可能な部分は、複数の膨張可能な部分の他の膨張可能な部分から独立して膨張可能である。スプラインのセットを拡張構成に移行させることは、スプラインのセットを、スプラインのセットからの各スプラインの遠位部分が長手方向軸に対して70度超で角度が付けられるように、移行させることを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、アブレーションパルス波形の階層の第1のレベルを含むアブレーションパルス波形は、パルスの第1のセットを含み得、各パルスは、パルス持続時間を有し、第1の時間間隔は、連続するパルスを分離する。アブレーションパルス波形の階層の第2のレベルは、パルスの第2のセットとして複数のパルスの第1のセットを含み得、第2の時間間隔は、連続するパルスの第1のセットを分離し、第2の時間間隔は、第1の時間間隔の持続時間の少なくとも3倍である。アブレーションパルス波形の階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとして複数のパルスの第2のセットを含み得、第3の時間間隔は、連続するパルスの第2のセットを分離し、第3の時間間隔は、第2のレベルの時間間隔の持続時間の少なくとも30倍である。
【0023】
いくつかの実施形態では、スプラインのセットを拡張構成に移行させることは、膨張可能な部材を膨張構成に移行させることに応答する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態による、電気穿孔システムのブロック図である。
【
図2】実施形態による、アブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図3】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図4】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図5】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの遠位部分の詳細斜視図である。
【
図6】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの側面図である。
【
図7】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの側面図である。
【
図8A】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの図である。
図8Aは側面図である。
【
図8B】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの図である。
図8Bは正面断面図である。
【
図9A】他の実施形態による、第1の構造にあるアブレーションカテーテルの側面図である。
【
図9B】他の実施形態による、第2の拡張構造にあるアブレーションカテーテルの側面図である。
【
図9C】他の実施形態による、第3の拡張構造にあるアブレーションカテーテルの側面図である。
【
図9D】他の実施形態による、第4の拡張構造にあるアブレーションカテーテルの側面図である。
【
図9E】他の実施形態による、第5の拡張構造にあるアブレーションカテーテルの側面図である。
【
図10】他の実施形態による、心臓の左心房腔に配設されたバルーンアブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図11】他の実施形態による、心臓の左心房腔に配設されたバルーンアブレーションカテーテルの断面図である。
【
図12A】実施形態による、アブレーションシステムのリターン電極の概略図である。
図12Aは通電されていない電極を示す。
【
図12B】実施形態による、アブレーションシステムのリターン電極の概略図である。
図12Bは通電された電極を示す。
【
図13】実施形態による、組織アブレーションの方法を示す。
【
図14】他の実施形態による、組織アブレーションの方法を示す。
【
図15】心臓の左心房腔に配設された
図2に図示されているアブレーションカテーテルの図解である。
【
図16】心臓の左心房腔に配設された
図3に図示されているアブレーションカテーテルの図解である。
【
図17】心臓の左心房腔に配設された
図4に図示されているアブレーションカテーテルのうちの2つの図解である。
【
図18】心臓の左心房腔に配設された
図5に図示されているアブレーションカテーテルの図解である。
【
図19A】他の実施形態による、肺静脈口に配設された電極のセットの説明図である。
図19Aは概略斜視図であり、
図19Bは断面図である。
【
図19B】他の実施形態による、肺静脈口に配設された電極のセットの説明図である。
図19Aは概略斜視図であり、
図19Bは断面図である。
【
図20A】他の実施形態による、肺静脈口に配設された電極によって発生した電界の説明図である。
図20Aは概略斜視図である。
【
図20B】他の実施形態による、肺静脈口に配設された電極によって発生した電界の説明図である。
図20Bは断面図である。
【
図21】実施形態による、各パルスに対して定義されたパルス幅を有する電圧パルスのシーケンスを示す例示的な波形である。
【
図22】実施形態による、パルス幅、パルス間の間隔、およびパルスのグループ分けを示すパルスの階層を概略的に示す。
【
図23】実施形態による、異なるレベルの入れ子型階層を表示する単相性パルスの入れ子型階層の概略図を提供する。
【
図24】実施形態による、異なるレベルの入れ子型階層を表示する二相性パルスの入れ子型階層の概略図である。
【
図25】実施形態により、心電図および心臓ペーシング信号の時系列を心房および心室の不応期とともに概略的に示し、不可逆的電気穿孔アブレーションの時系列を示す。
【
図26A】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図26B】肺口に隣接した心臓の左心房腔に配設された、
図26Aに描かれるアブレーションカテーテルの側面図である。
【
図26C】実施形態による、選択的電極作動を示す、
図26Bに描かれるアブレーションカテーテルのシミュレーションの上面図である。
【
図26D】実施形態による、肺口における組織アブレーションのシミュレーションの図解である。
【
図27A】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの各側面図である。
図27Aは、第2の構成にあるアブレーションカテーテルの側面図である。
【
図27B】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの各側面図である。
図27Bは、第2の構成にあるアブレーションカテーテルの別の側面図である。
【
図27C】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの各側面図である。
図27Cは、第2の構成にあるアブレーションカテーテルのさらに別の側面図である。
【
図28】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの側面図である。
【
図29A】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの側断面図である。
図29Aは、第1の構成にあるアブレーションカテーテルの側断面図である。
【
図29B】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの側断面図である。
図29Bは、第3の構成にあるアブレーションカテーテルの側断面図である。
【
図29C】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの側断面図である。
図29Cは、第3の構成にあるアブレーションカテーテルの別の側断面図である。
【
図29D】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの側断面図である。
図29Dは、第3の構成にあるアブレーションカテーテルのさらに別の側断面図である。
【
図30】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの側面図である。
【
図31A】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの斜視図である。
図31Aは、第1の構成にあるアブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図31B】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの斜視図である。
図31Bは、第2の構成にあるアブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図32】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの断面概略図である。
【
図33A】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの説明図である。
図33Aは、アブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図33B】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの説明図である。
図33Bは、
図33Aのアブレーションカテーテルの正面図である。
【
図33C】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの説明図である。
図33Cは、
図33Aのアブレーションカテーテルのスプラインの切り欠き斜視図である。
【
図33D】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの説明図である。
図33Dは、
図33Aのアブレーションカテーテルのスプラインの断面図である。
【
図33E】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの説明図である。
図33Eは、組織に隣接して配設された
図33Aのアブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図34A】他の実施形態による、スプラインの側面図である。
図34Aは、単位接線ベクトルを伴うスプラインの側面図である。
【
図34B】他の実施形態による、スプラインの側面図である。
図34Bは、2つの単位接線ベクトルを伴う側面図である。
【
図35】他の実施形態による、展開されていない構成にあるアブレーションカテーテルの側面図である。
【
図36A】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの側面図である。
図36Aは、第2の構成にあるアブレーションカテーテルの側面図である。
【
図36B】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの側面図である。
図36Bは、第2の構成にあるアブレーションカテーテルの別の側面図である。
【
図36C】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの側面図である。
図36Cは、組織付近のアブレーションカテーテルの側面図である。
【
図37A】アブレーションカテーテルおよび左心房の斜視図である。
図37Aは、左心房に配設されたアブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図37B】アブレーションカテーテルおよび左心房の斜視図である。
図37Bは、組織アブレーション後の左心房の斜視図である。
【
図38A】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの説明図である。
図38Aは、第1の構成による、アブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図38B】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの説明図である。
図38Bは、第2の構成による、アブレーションカテーテルの別の斜視図である。
【
図38C】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの説明図である。
図38Cは、アブレーションカテーテルの注釈付き斜視図である。
【
図38D】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの説明図である。
図38Dは、組織に隣接して配設されたアブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図39A】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの説明図である。
図39Aは、膨張構成にあるアブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図39B】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの説明図である。
図39Bは、収縮構成にある膨張可能な部材を含むアブレーションカテーテルの別の斜視図である。
【
図39C】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの説明図である。
図39Cは、収縮構成にある膨張可能な部材を含むアブレーションカテーテルの別の斜視図である。
【
図39D】他の実施形態による、アブレーションカテーテルの説明図である。
図39Dは、膨張構成にある膨張可能な部材を含むアブレーションカテーテルの注釈付き斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書において、不可逆的電気穿孔により組織をアブレーションするためのパルス電界の選択的かつ迅速な印加のためのシステム、デバイス、および方法が記載される。概して、本明細書に記載のシステム、デバイス、および方法は、意図されない組織損傷を低減するために、目的とされる所望の領域で大きい電界強度を発生させ、他の部分でピーク電界値を低減させるために使用され得る。本明細書に記載される不可逆的電気穿孔システムは、信号生成器と、1つ以上の電圧パルス波形をアブレーションデバイスの電極の選択されたセットに適用して、目的とされる領域にエネルギー(例えば、肺静脈口にある組織のセットのためのアブレーションエネルギー)を送達するように構成されたプロセッサを含んでもよい。本明細書に開示されるパルス波形は、様々な心臓不整脈(例えば、心房細動)の治療的処置を支援することができる。信号生成器によって生成されるパルス波形を送達するために、アブレーションデバイスの1つ以上の電極は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を有してもよい。電極のサブセットは、独立して、サブセットがデバイスのいずれの他の電極からも独立して制御され(例えば、エネルギーを送達し)得るように、アドレス指定可能であってもよい。このようにして、電極および/電極サブセットは、組織の電気穿孔のために相乗的に異なるタイミングで異なるエネルギー波形を送達し得る。
【0026】
本明細書で使用される「電気穿孔」という用語は、細胞外環境に対する細胞膜の透過性を変化させるための細胞膜への電界の適用を指す。本明細書で使用される「可逆的電気穿孔」という用語は、細胞外環境に対する細胞膜の透過性を一時的に変化させるために、細胞膜に電界を印加することを指す。例えば、可逆的電気穿孔を受けている細胞は、電界を除去すると閉じる細胞膜内の1つ以上の細孔の一時的および/または断続的な形成が観察され得る。本明細書で使用される「不可逆的電気穿孔」という用語は、細胞外環境に対する細胞膜の透過性を永久的に変化させるために、細胞膜に電界の印加することを指す。例えば、不可逆的電気穿孔を受けている細胞は、電界を除去しても持続する細胞膜内の1つ以上の細孔の形成が観察され得る。
【0027】
本明細書に開示される電気穿孔エネルギー送達のためのパルス波形は、不可逆的電気穿孔に関連する電界閾値を低下させることにより、組織へのエネルギー送達の安全性、効率、および有効性を高めることができ、それにより送達される総エネルギーの低下を伴うより効果的な切除患部をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される電圧パルス波形は階層的であり、入れ子構造を有してもよい。例えば、パルス波形は、関連するタイムスケールを有するパルスの階層的なグループ分けを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法、システム、およびデバイスは、「SYSTEMS,APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」と題する、2016年10月19日に出願された国際出願PCT/US2016/057664号に記載の方法、システム、およびデバイスのうちの1つ以上を含んでもよく、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
いくつかの実施形態では、システムは、ペーシングされた心拍にパルス波形の生成を同期させるために使用される心臓刺激器をさらに含み得る。心臓刺激器は、心臓刺激器により心臓を電気的にペーシングし、ペーシングの捕捉を確実にして、心周期の周期性および予測可能性を確立することができる。周期的な心周期の不応期内の時間窓は、電圧パルス波形送達のために選択されてもよい。したがって、心臓の洞調律の混乱を回避するために、心周期の不応期に電圧パルス波形を送達することができる。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、1つ以上のカテーテル、ガイドワイヤ、バルーン、および電極を含んでもよい。アブレーションデバイスは、心内膜腔内にデバイスを位置付けるために、異なる構成(例えば、コンパクトおよび拡張)に移行してもよい。いくつかの実施形態では、システムは、1つ以上のリターン電極を任意選択で含んでもよい。
【0029】
一般に、組織をアブレーションするために、1つ以上のカテーテルは、脈管構造を通って標的部位まで低侵襲的様式で前進し得る。心臓用途では、電圧パルス波形が送達される電極は、心外膜デバイスまたは心内膜デバイスに配設されてもよい。本明細書に記載の方法は、デバイスを心臓の左心房の心内膜腔に導入することと、デバイスを肺静脈口と接触した状態で配設することとを含んでもよい。パルス波形は、生成され、かつデバイスの1つ以上の電極に送達されて、組織をアブレーションし得る。いくつかの実施形態では、パルス波形は、心臓の洞調律の混乱を回避するために、心臓のペーシング信号と同期して生成することができる。いくつかの実施形態では、電極は、アノード-カソードサブセットで構成されてもよい。パルス波形は、組織アブレーションを支援し、健康な組織への損傷を減らすために階層波形を含んでもよい。
【0030】
システム概略
本明細書では、不可逆的電気穿孔をもたらす、組織アブレーションを支援するための電圧パルス波形の選択的かつ迅速な適用を介した組織アブレーション用に構成されたシステムおよびデバイスが開示される。概して、本明細書に記載の組織をアブレーションするシステムは、信号生成器と、電気穿孔を駆動するためのDC電圧の選択的かつ迅速な印加のための1つ以上の電極を有するアブレーションデバイスとを含んでもよい。本明細書に記載されるように、システムおよびデバイスは、心房細動を処置するために心外膜および/または心内膜で展開されてもよい。電圧は、電極の選択されたサブセットに印加されてもよく、アノード電極とカソード電極の選択のために独立したサブセット選択がある。心臓刺激のためのペーシング信号が生成され、これを使用して、ペーシング信号と同期して信号生成器によってパルス波形が生成されてもよい。
【0031】
一般に、本明細書に記載のシステムおよびデバイスは、心臓の左心房腔で組織をアブレーションするように構成された1つ以上のカテーテルを含む。
図1は、電圧パルス波形を送達するように構成されたアブレーションシステム(100)を示す。システム(100)は、信号生成器(122)と、プロセッサ(124)と、メモリ(126)と、心臓刺激器(128)とを含む装置(120)を含んでもよい。装置(120)は、アブレーションデバイス(110)、ならびに任意選択でペーシングデバイス(130)および/または任意選択のリターン電極(140)(例えば、ここでは点線で示されるリターンパッド)に結合してもよい。
【0032】
信号生成器(122)は、例えば肺静脈口などの組織の不可逆的電気穿孔用のパルス波形を生成するように構成されてもよい。例えば、信号生成器(122)は、電圧パルス波形生成器であり、パルス波形をアブレーションデバイス(110)に送達してもよい。リターン電極(140)が患者に結合することで(例えば、患者の背中に配設される)、電流がアブレーションデバイス(110)から患者を通ってリターン電極(140)に流れ、患者からの安全な電流帰還路(図示せず)を提供することが可能となる。プロセッサ(124)は、メモリ(126)、心臓刺激器(128)、およびペーシングデバイス(130)から受信したデータを組み込んで、信号生成器(122)によって生成されるパルス波形のパラメータ(例えば、振幅、幅、デューティサイクルなど)を決定し得る。メモリ(126)は、信号生成器(122)に、パルス波形の生成および/または心臓ペーシングの同期などのシステム(100)に関連するモジュール、プロセス、および/または機能を実行させる命令をさらに記憶してもよい。例えば、メモリ(126)は、それぞれ、パルス波形生成および/または心臓ペーシングのためのパルス波形および/または心臓ペーシングデータを記憶するように構成されてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(110)は、以下でより詳細に記載されるパルス波形を受信および/または送達するように構成されたカテーテルを含んでもよい。例えば、アブレーションデバイス(110)は、左心房の心内膜腔内に導入され、1つ以上の電極(112)を1つ以上の肺静脈口に位置合わせするように位置付けられた後、パルス波形を送達して、組織をアブレーションしてもよい。アブレーションデバイス(110)は、1つ以上の電極(112)を含んでもよく、これは、いくつかの実施形態では、独立してアドレス指定可能な電極のセットであってもよい。各電極は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含んでもよい。いくつかの実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で約200V~約1,500Vの電位差を維持してもよい。例えば、電極(112)は、例えば1つのアノードと1つのカソードとを含むサブセット、2つのアノードと2つのカソードとを含むサブセット、2つのアノードと1つのカソードとを含むサブセット、1つのアノードと2つのカソードとを含むサブセット、3つのアノードと1つのカソードとを含むサブセット、3つのアノードと2つのカソードとを含むサブセットなどの、1つ以上のアノード-カソードのサブセットにグループ分けされてもよい。
【0034】
ペーシングデバイス(130)は、患者(図示せず)に好適に結合し、心臓刺激のために装置(120)の心臓刺激器(128)によって生成された心臓ペーシング信号を受信するように構成されてもよい。ペーシング信号の表示は、心臓刺激器(128)によって信号生成器(122)に送信されてもよい。ペーシング信号に基づいて、電圧パルス波形の表示は、プロセッサ(124)によって選択、計算、および/または別の方法で識別され、信号生成器(122)によって生成されてもよい。いくつかの実施形態では、信号生成器(122)は、ペーシング信号の表示と同期して(例えば、共通の不応性窓内で)パルス波形を生成するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、共通の不応性窓は、心室ペーシング信号の実質的に直後に(または非常に小さな遅延後)開始し、その後約250ミリ秒以下の持続時間続き得る。そのような実施形態では、パルス波形全体がこの持続時間内に送達されてもよい。
【0035】
プロセッサ(124)は、命令またはコードのセットを実施および/または実行するように構成された任意の好適な処理デバイスであってもよい。プロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、および/または同様のものであってもよい。プロセッサは、システムおよび/またはそれに関連するネットワーク(図示せず)に関連するアプリケーションプロセスおよび/または他のモジュール、プロセスおよび/または機能を実施および/または実行するように構成されてもよい。基礎となるデバイス技術は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)などの金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッタ結合ロジック(ECL)などのバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコン共役ポリマーおよび金属共役ポリマー金属構造)、アナログとデジタルの混合など、様々な構成要素の種類で提供されてもよい。
【0036】
メモリ(126)は、データベース(図示せず)を含んでもよく、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなどであってもよい。メモリ(126)は、プロセッサ(124)に、パルス波形生成、および/または心臓ペーシングなど、システム(100)に関連付けられたモジュール、プロセス、および/または機能を実行させる命令を記憶し得る。
【0037】
システム(100)は、例えば、1つ以上のネットワークを介して他のデバイス(図示せず)と通信してもよく、ネットワークの各々は、任意の種類のネットワークであってもよい。無線ネットワークとは、あらゆる種類のケーブルで接続されていないあらゆる種類のデジタルネットワークを指す。ただし、無線ネットワークは、インターネット、他の通信事業者の音声およびデータネットワーク、ビジネスネットワーク、ならびにパーソナルネットワークとインターフェース接続するために、有線ネットワークに接続する場合がある。有線ネットワークは、典型的には、銅線のツイストペア、同軸ケーブル、または光ファイバーケーブルで搬送される。ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、グローバルエリアネットワーク(GAN)、例えば、インターネット、および仮想プライベートネットワーク(VPN)を含む、多くの異なる種類の有線ネットワークが存在する。以下、ネットワークとは、典型的にはインターネットを介して相互接続される、組み合わせた無線、有線、公衆、およびプライベートのデータネットワークの任意の組み合わせを指し、統合されたネットワーキングおよび情報アクセスソリューションを提供する。
【0038】
アブレーションデバイス
本明細書に記載のシステムは、心房細動を処置するために心臓の左心房腔で組織をアブレーションするように構成された1つ以上の多電極アブレーションデバイスを含んでもよい。
図2は、カテーテル(210)およびカテーテル(210)の管腔内で摺動可能なガイドワイヤ(220)を含むアブレーションデバイス(200)(例えば、アブレーションデバイス(110)に構造的および/または機能的に類似したもの)の斜視図である。ガイドワイヤ(220)は、非線形の遠位部分(222)を含んでもよく、カテーテル(210)は、使用中にガイドワイヤ(220)の上に配設されるように構成されてもよい。ガイドワイヤ(220)の遠位部分(222)は、患者の管腔におけるカテーテル(210)の留置を支援するように成形されてもよい。例えば、ガイドワイヤ(220)の遠位部分(222)の形状は、
図15でより詳細に説明されるように、肺静脈口および/またはその近辺に留置されるように構成されてもよい。ガイドワイヤ(220)の遠位部分(222)は、組織への外傷を低減する(例えば、組織穿刺の可能性を防止および/または低減する)非侵襲的形状を含み、かつ/または非侵襲的形状で形成されてもよい。例えば、ガイドワイヤ(220)の遠位部分(222)は、非線形の形状、例えば、円形、ループ(
図2に示されているとおり)、楕円体、または任意の他の幾何形状を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ(220)は、非線形の形状を有するガイドワイヤが、カテーテル(210)に配設されたときにカテーテル(210)の管腔に一致し、かつカテーテル(210)から出て前進するときに非線形の形状を再形成/さもなければ回復するように、弾性であるように構成されてもよい。他の実施形態では、カテーテル(210)は、同様に、カテーテル(210)のシース(図示せず)を通した前進を支援するためなど、弾性であるように構成されてもよい。ガイドワイヤ(220)の成形された遠位部分(222)は、ガイドワイヤ(220)およびカテーテル(210)の他の部分に対して角度が付けられてもよい。カテーテル(210)およびガイドワイヤ(220)は、心内膜腔(例えば、左心房)への前進のためにサイズ決定されてもよい。ガイドワイヤ(220)の成形された遠位部分(222)の直径は、カテーテル(230)が配設されることになる管腔の直径とほぼ同じであってもよい。
【0039】
カテーテル(210)は、使用中にガイドワイヤ(220)の上に配設されるように、ガイドワイヤ(220)の上を摺動可能に前進してもよい。管腔(例えば、肺静脈口付近)に配設されたガイドワイヤ(220)の遠位部分(222)は、カテーテル(210)の遠位部分の前進に対するバックストップとして働き得る。カテーテル(210)の遠位部分は、管腔(例えば、肺静脈口)の内側半径方向表面に接触するように構成された電極(212)(例えば、電極(複数可)(112)に構造的および/または機能的に類似したもの)のセットを含んでもよい。例えば、電極(212)は、肺静脈口に接触するように構成された電極のほぼ円形の配列を含んでもよい。
図2に示されるように、1つ以上の電極(212)は、カテーテルシャフトに沿って配設された一連の金属バンドまたはリングを含み、ともに電気接続されてもよい。例えば、アブレーションデバイス(200)は、複数のバンドを有する単一の電極、各電極がそれ自体のバンドを有する1つ以上の電極、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極(212)は、ガイドワイヤ(220)の遠位部分(222)の形状に一致するように成形されてもよい。カテーテルシャフトは、可撓性を強化するために、電極間に可撓性部分を含んでもよい。他の実施形態では、1つ以上の電極(212)は、可撓性を強化するために、螺旋巻きを含んでもよい。
【0040】
本明細書で考察されるアブレーションデバイスの電極の各々は、カテーテルの近位部分に結合したハンドル(図示せず)に繋がる絶縁導線(図示せず)に接続してもよい。導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で少なくとも700Vの電位差を維持してもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その間の厚さ全体で、間のすべての値および部分範囲を含めて約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。これにより、電極は、電気エネルギーを効率的に送達し、組織を不可逆的電気穿孔によりアブレーションすることが可能になる。電極は、
図1に関して上で考察されたように、例えば、信号生成器(122)によって生成されたパルス波形を受信してもよい。他の実施形態では、ガイドワイヤ(220)は、アブレーションデバイス(200)と分離していてもよい(例えば、アブレーションデバイス(200)は、カテーテル(210)を含むが、ガイドワイヤ(220)を含まない)。例えば、ガイドワイヤ(220)は、それ自体によって心内膜腔の中に前進してもよく、その後、カテーテル(210)がガイドワイヤ(220)の上で心内膜腔の中に前進してもよい。
【0041】
図3は、電極(314)のセットがカテーテル(310)の遠位部分(312)に沿って設けられたカテーテル(310)を含むアブレーションデバイス(300)(例えば、アブレーションデバイス(110)に構造的および/または機能的に類似したもの)の別の実施形態の斜視図である。カテーテル(310)の遠位部分(312)は、非線形であり、ほぼ円形の形状を形成してもよい。電極(314)のセットは、電極(314)のほぼ円形の配列を形成し得るカテーテル(310)の非線形の遠位部分(312)に沿って配設されてもよい。使用中、電極(314)は、
図16に関してより詳細に記載されているように、パルス波形を送達して、組織をアブレーションするために、肺静脈口に配設されてもよい。成形されたカテーテル(310)の遠位部分(312)は、カテーテル(310)の他の位置に対して角度が付けられてもよい。例えば、カテーテル(310)の遠位部分(312)は、カテーテル(310)の隣接した位置にほぼ垂直であってもよい。いくつかの実施形態では、ハンドル(図示せず)は、カテーテル(310)の近位部分に結合してもよく、カテーテル(310)の遠位部分(312)の形状を改変するように構成された曲げ機構(例えば、1つ以上のプルワイヤ(図示せず))を含んでもよい。例えば、ハンドルのプルワイヤの操作により、カテーテル(310)の遠位部分(312)の円形の形状の外周が増加または減少し得る。カテーテル(310)の遠位部分(312)の直径を改変して、電極(314)を、肺静脈口の付近におよび/または肺静脈口と接触して(例えば、肺静脈の内側半径方向表面と接触して)配設することを可能にしてもよい。電極(314)は、一連の金属バンドまたはリングを含み、独立してアドレス指定可能であってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、パルス波形は、アノードとカソードとのセットで構成された電極(314)間に適用され得る。例えば、隣接したまたはほぼ正反対に向かい合った電極対は、アノード-カソードセットとしてともに作動してもよい。本明細書に開示のパルス波形のいずれも、アノード-カソード電極のシーケンスに漸進的にまたは連続的に適用され得ることを理解されたい。
【0043】
図4は、カテーテル(410)および成形された非線形の遠位部分(422)を有するガイドワイヤ(420)を含むアブレーションデバイス(400)(例えば、アブレーションデバイス(110)に構造的および/または機能的に類似したもの)のさらに別の実施形態の斜視図である。ガイドワイヤ(420)は、カテーテル(410)の管腔内で摺動可能であってもよい。ガイドワイヤ(420)は、カテーテル(410)の管腔を通って前進してもよく、ガイドワイヤ(420)の遠位部分(422)は、ほぼ円形の形状であってもよい。ガイドワイヤ(420)の遠位部分(422)の形状および/または直径は、
図3に関して上に記載されたように、曲げ機構を使用して改変されてもよい。カテーテル(410)は、曲げられるように可撓性であってもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル(410)および/またはガイドワイヤ(420)は、それらが配設される管腔に一致し、管腔から出て前進するときに二次形状をとるように、弾性であるように構成されてもよい。ガイドワイヤ(420)のサイズを改変し、カテーテル(410)の偏向を操作することにより、ガイドワイヤ(420)の遠位部分(422)が肺静脈口などの標的の組織部位に位置付けられ得る。カテーテル(410)の遠位端(412)は、カテーテル(410)がカテーテル(410)の管腔内にあるガイドワイヤ(420)の部分を電気的に絶縁し得るように、ガイドワイヤ(420)が延在する場所を除いて密封されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテル(410)の遠位端(412)は、封止を含んでもよく、この封止は、力を適用したときにガイドワイヤ(420)の通過を許容して、封止とガイドワイヤ(420)との間に圧縮ホールド(液密であってもよい)を形成する開口部を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、露出したガイドワイヤ(420)の遠位部分(422)は、電極に結合してもよく、パルス波形を信号生成器から受信し、パルス波形を使用中に組織に送達するように構成されてもよい。例えば、ガイドワイヤ(420)の近位端は、好適な導線に結合し、
図1の信号生成器(122)に接続してもよい。ガイドワイヤ(420)の遠位部分(422)は、肺静脈口に位置付けられ得るようにサイズ決定され得る。例えば、ガイドワイヤ(420)の成形された遠位部分(422)の直径は、肺静脈口の直径とほぼ同じであってもよい。ガイドワイヤ(420)の成形された遠位部分(422)は、ガイドワイヤ(420)およびカテーテル(410)の他の部分に対して角度が付けられてもよい。
【0045】
ガイドワイヤ(420)は、ステンレス鋼、ニチノール、白金、または他の好適な生体適合性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ(420)の遠位部分(422)は、ガイドワイヤ(420)に物理的および電気的に取り付けられた白金コイルを含んでもよい。白金コイルは、電圧パルス波形の送達用に構成された電極であってもよい。白金は、放射線不透過性であり、その使用により、可撓性が増大し、心内膜腔におけるアブレーションデバイス(400)の前進および位置付けが支援され得る。
【0046】
図5は、絶縁導線セグメント(510、512、514、516)の対から各々延在する電極(520、522、524、526)のセットを含む、アブレーションデバイス(500)(例えば、アブレーションデバイス(110)に構造的および/または機能的に類似したもの)の花形の遠位部分の詳細斜視図である。絶縁されていない電極(例えば、導線セグメント(510、512)および電極(526))に結合した隣接する絶縁導線セグメントの各対は、ループを形成する(
図5は4つのループのセットを示す)。アブレーションデバイス(500)の遠位端部にあるループのセットは、パルス波形を組織に送達するように構成されてもよい。アブレーションデバイス(500)は、
図5に示されるように、デバイス(500)の遠位端で分岐して、それぞれの露出した電極(520、522、524、526)に接続する絶縁導線セグメント(510、512、514、516)のセットを含んでもよい。電極(520、522、524、526)は、電気伝導体の露出した部分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極(520、522、524、526)のうちの1つ以上は、白金コイルを含んでもよい。1つ以上のセグメント(510、512、514、516)は、デバイス(500)の遠位部分のサイズおよび/または形状を制御するためにハンドル(図示せず)から制御される曲げ機構(例えば、支柱、プルワイヤなど)に結合してもよい。
【0047】
電極(520、522、524、526)は、可撓性であり、肺静脈口に隣接したものなど、心内膜腔中への前進のためのコンパクトな第1の構成を形成してもよい。所望の場所に配設されると、電極(520、522、524、526)は、
図5に示されるように、シースなどの管腔から出て前進するときに、拡張した第2の構成に移行して、花形の遠位部分を形成してもよい。他の実施形態では、絶縁導線セグメント(510、512、514、516)および電極(520、522、524、526)は、管腔(例えば、シース)から出て前進するときに、付勢され、外向きに拡張して(例えば、跳ね開いて)第2の構成となり、デバイス(500)を運搬する。電極(520、522、524、526)は、独立してアドレス指定可能であってもよく、各々、対応する絶縁が絶縁破壊することなく、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を有してもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(5000)は、電極(520、522、524、526)のセットを介して、使用中にパルス波形を組織に送達するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、パルス波形は、アノードとカソードとのセットで構成された電極(520、522、524、526)間に適用され得る。例えば、ほぼ正反対に向かい合った電極対(例えば、電極(520、524)および(522、526))は、アノード-カソード対としてともに作動してもよい。他の実施形態では、隣接する電極は、アノード-カソード対として構成されてもよい。例として、電極のセットの第1の電極(520)は、アノードとして構成されてもよく、第2の電極(522)は、カソードとして構成されてもよい。
【0049】
図6~9E、26A~27C、および28は、組織をアブレーションし、肺静脈を電気的に絶縁するために電極のセットを使用して電圧パルス波形を送達するように構成され得るアブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス(110)に構造的および/または機能的に類似したもの)の追加の実施形態を示す。これらの実施形態のうちのいくつかでは、アブレーションデバイスの電極が外向きに拡張して組織の管腔(例えば、肺静脈口)に接触するように、アブレーションデバイスを第1の構成から第2の構成に移行させてもよい。
【0050】
図6は、デバイス(600)の近位端にあるカテーテルシャフト(610)、デバイス(600)の遠位キャップ(612)、およびそれらに結合したスプライン(614)のセットを含む、アブレーションデバイス(600)の実施形態の側面図である。遠位キャップ(612)は、組織への外傷を減少させるために非侵襲的形状を含んでもよい。スプライン(614)のセットの近位端は、カテーテルシャフト(610)の遠位端に結合されてもよく、スプライン(614)のセットの遠位端は、デバイス(600)の遠位キャップ(612)に係留されてもよい。アブレーションデバイス(600)は、スプライン(614)のセットの1つ以上のスプラインを介して、使用中にパルス波形を組織に送達するように構成されてもよい。本明細書で使用される場合、「スプライン」および「スパイン」は、同じ意味で使用されてもよい。いくつかの実施形態では、装置は、長手方向軸を画定するカテーテルを含んでもよい。
【0051】
アブレーションデバイス(600)の各スプライン(614)は、スプライン(614)の表面上に形成された1つ以上の繋がって配線されている、またはある場合には独立してアドレス指定可能な電極(616)を含んでもよい。各電極(616)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含むことができる。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。各スプライン(614)は、スプライン(614)の胴体に(例えば、スプライン(614)の管腔内に)形成された各電極(616)の絶縁導線を含んでもよい。単一のスプライン上の電極がともに配線されている場合、単一の絶縁導線は、スプライン上の異なる電極に接続しているストランドを保持していてもよい。
図6は、各スプライン(614)が隣接するスプライン(614)の電極(616)とほぼ同じサイズ、形状、および間隔を有する一対の電極(616)を含む、スプライン(614)のセットを示す。他の実施形態では、電極(616)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。
【0052】
本明細書に記載されるアブレーションデバイスの各々、ならびに特に
図6~9E、26A~27C、および28に記載されるアブレーションデバイスについて、スプラインのセットの各スプラインは、可撓性の湾曲を含んでもよい。スプラインの最小曲率半径は、約1cm以上の範囲であり得る。例えば、スプラインのセットは、アブレーションデバイスの遠位部分で送達アセンブリを形成してもよく、スプラインのセットがアブレーションデバイスの長手方向軸から半径方向外向きにたわむ第1の構成と、スプラインのセットがアブレーションデバイスの長手方向軸にほぼ平行に配列される第2の構成との間で移行するように構成されてもよい。このようにして、スプラインは、心内膜腔の幾何形状により容易に一致し得る。一般に、スプラインの「バスケット」は、バスケットの一方の端(仮に遠位端)がバスケットの他方の端(仮に近位端)より球根状であるように、シャフトの長さに沿って非対称の形状を有し得る。送達アセンブリは、肺静脈口と接触して第1の構成で配設され、パルス波形の送達前に第2の構成に移行してもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、ハンドルがスプラインのセットに結合してもよく、ハンドルは、スプラインのセットの第1の構成と第2の構成との間の移行を発動するように構成される。いくつかの実施形態では、電極のセットの少なくとも2つの電極の導線は、例えばハンドル内など、アブレーションデバイスの近位部分またはその付近で電気的に結合してもよい。
【0053】
一実施形態では、スプライン(614)上の電極(616)の各々はアノードとして構成されてもよく、一方で隣接するスプライン(614)上の電極(616)の各々はカソードとして構成されてもよい。別の実施形態では、1つのスプライン上の電極(616)は、アノードとカソードとで交互であってもよく、隣接するスプラインの電極は、逆の構成(例えば、カソードとアノード)を有する。アブレーションデバイス(600)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、任意の数のスプライン、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれを超えるスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(600)は、3~20個のスプラインを含んでもよい。例えば、アブレーションデバイス(600)は、6~12個のスプラインを含んでもよい。
【0054】
図7は、デバイス(700)の近位端にあるカテーテルシャフト(710)、デバイス(700)の遠位キャップ(712)、およびそれらに結合したスプライン(714)のセットを含む、アブレーションデバイス(700)の別の実施形態の側面図である。遠位キャップ(712)は、非侵襲的形状を含んでもよい。スプライン(714)のセットの近位端は、カテーテルシャフト(710)の遠位端に結合されてもよく、スプライン(714)のセットの遠位端は、デバイス(700)の遠位キャップ(712)に係留されてもよい。アブレーションデバイス(700)の各スプライン(714)は、スプライン(714)の表面上に形成された1つ以上の独立してアドレス指定可能な電極(716)を含んでもよい。各電極(716)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で約200V~約1500Vの電位差を維持してもよい。各スプライン(714)は、スプライン(714)の胴体に(例えば、スプライン(714)の管腔内に)形成された各電極(716)の絶縁導線を含んでもよい。スプラインワイヤ(718、719)のセットは、導電性であり、スプラインのセットの一対のスプライン(718、719)間の電極(716)などの異なるスプライン(714)に配設された隣接する電極(716)に電気的に結合してもよい。例えば、スプラインワイヤ(718、719)は、アブレーションデバイス(700)の長手方向軸に対して横方向に延在してもよい。
【0055】
図7は、各スプライン(714)が隣接するスプライン(714)の電極(716)とほぼ同じサイズ、形状、および間隔を有する一対の電極(716)を含む、スプライン(714)のセットを示す。他の実施形態では、電極(716)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。例えば、第1のスプラインワイヤ(718)に電気的に結合した電極(716)は、第2のスプラインワイヤ(719)に電気的に結合した電極(716’)とサイズおよび/または形状が異なっていてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1のスプラインワイヤ(718)は、スプラインワイヤ(720、721、722、723)の第1のセットを含んでもよく、スプラインワイヤ(720、721、722、723)のセットの各スプラインワイヤは、スプライン(714)のセットの異なる対のスプライン間の電極(716)を結合してもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、スプラインワイヤ(720、721、722、723)のセットは、それに結合した電極(716)間に連続ループを形成してもよい。同様に、第2のスプラインワイヤ(719)は、スプラインワイヤ(724、725、726)の第2のセットを含んでもよく、スプラインワイヤ(724、725、726)のセットの各スプラインワイヤは、スプライン(714)のセットにわたって電極(716’)を結合してもよい。スプラインワイヤ(724、725、726)の第2のセットは、スプラインワイヤ(720、721、722、723)の第1のセットとは異なるスプライン(714)のセットにわたって異なる電極(716’)を結合してもよい。これらの実施形態のいくつかでは、スプラインワイヤ(720、721、722、723)の第1のセットは、それに結合した電極(716)間に第1の連続ループを形成してもよく、スプラインワイヤ(724、725、726)の第2のセットは、それに結合した電極(716’)間に第2の連続ループを形成してもよい。第1の連続ループは、第2の連続ループから電気的に絶縁されてもよい。これらの実施形態のいくつかでは、第1の連続ループに結合した電極(716)はアノードとして構成されてもよく、第2の連続ループに結合された電極(716)はカソードとして構成されてもよい。パルス波形は、第1および第2の連続ループの電極(716)に送達されてもよい。いくつかの実施形態では、スプラインワイヤ、例えば、721、722、723などは、デバイスの近位部(例えば、デバイスハンドル内)の同様の電気接続に置き換えることができる。例えば、電極716はすべて、デバイスのハンドル内でともに電気的に配線され得る。
【0057】
別の実施形態では、スプラインワイヤ(720、721、722、723)のセットの第1のスプラインワイヤ(721)は、スプライン(714)のセットの第1のスプライン(711)と第2のスプライン(713)との間の電極(716)を結合してもよく、スプラインワイヤ(720、721、722、723)のセットの第2のスプラインワイヤ(720)は、スプライン(714)のセットの第1のスプライン(711)と第3のスプライン(715)との間の電極(716)を結合してもよい。第1のスプラインワイヤ(721)および第2のスプラインワイヤ(720)によって結合した電極(716)は、アノードおよびカソード(またはその逆)として構成されてもよい。さらに別の実施形態では、スプラインワイヤ(720、721、722、723)のセットの第1のスプラインワイヤ(721)は、スプライン(714)のセットの第1のスプライン(711)と第2のスプライン(713)との間の電極(716)を結合してもよく、スプラインワイヤ(720、721、722、723)のセットの第2のスプラインワイヤ(723)は、スプライン(714)のセットの第3のスプライン(715)と第4のスプライン(717)との間の電極(716)を結合してもよい。パルス波形は、第1のスプラインワイヤ(721)および第2のスプラインワイヤ(723)によって結合した電極(716)に送達されてもよい。いくつかの実施形態では、スプラインワイヤの代わりに、電極のセットの少なくとも2つの電極の導線が、例えばハンドル内など、アブレーションデバイスの近位部分またはその近くで電気的に結合する。
【0058】
他の実施形態では、スプラインワイヤ(718、719)のうちの1つ以上は、電気的に結合した電極(716)間に連続ループを形成してもよい。例えば、スプラインワイヤ(718)の第1のセットは、それに結合した電極(716)間に第1の連続ループを形成してもよく、スプラインワイヤ(719)の第2のセットは、それに結合した電極(716)間に第2の連続ループを形成してもよい。この場合、第1の連続ループは、第2の連続ループから電気的に絶縁されていてもよい。一実施形態では、スプラインワイヤ(718)の第1のセットに結合した電極(716)の各々はアノードとして構成されてもよく、一方でスプラインワイヤ(719)の第2のセットに結合した電極(716)の各々はカソードとして構成されてもよい。電気的に結合した電極(716)の各グループは、独立してアドレス指定可能であってもよい。いくつかの実施形態では、スプラインワイヤの代わりに、電極のセットの少なくとも2つの電極の導線が、例えばハンドル内など、アブレーションデバイスの近位部分またはその近くで電気的に結合する。
【0059】
いくつかの実施形態では、
図8Aおよび8Bに関して以下でさらに詳細に考察されるように、スプラインワイヤは、連続ループを形成せずに電極(例えば、2個、3個、4個、5個など)のセットに電気的に結合されてもよい。例えば、不連続ループは、2個のスプラインワイヤを使用して形成されてもよい。他の実施形態では、電極(716)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。アブレーションデバイス(700)は、任意の数のスプライン、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれを超えるスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(700)は、3~20個のスプラインを含んでもよい。例えば、一実施形態では、アブレーションデバイス(700)は、6~9個のスプラインを含んでもよい。
【0060】
図8Aおよび8Bは、それぞれ、アブレーションカテーテル(800)の側断面図および正面断面図である。
図8Aは、デバイス(800)の近位端にあるカテーテルシャフト(810)、デバイス(800)の遠位キャップ(812)、およびそれに結合したスプライン(814)のセットを含む、アブレーションデバイス(800)の実施形態の側面図である。遠位キャップ(812)は、非侵襲的形状を含んでもよい。スプライン(814)のセットの近位端は、カテーテルシャフト(810)の遠位端に結合してもよく、スプライン(14)のセットの遠位端は、デバイス(800)の遠位キャップ(812)に係留されてもよい。アブレーションデバイス(800)の各スプライン(814)は、スプライン(814)の表面上に形成された1つ以上の独立してアドレス指定可能な電極(816、818)を含んでもよい。各電極(816、818)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その間の厚さ全体で、間のすべての値および部分範囲を含めて約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。各スプライン(814)は、スプライン(814)の胴体に(例えば、スプライン(814)の管腔内に)形成された各電極(816、818)の絶縁導線を含んでもよい。1つ以上のスプラインワイヤ(817、819)は、導電性であり、異なるスプライン(814)上に配設された隣接する電極(816、818)を電気的に結合してもよい。例えば、スプラインワイヤ(817、819)は、アブレーションデバイス(800)の長手方向軸に対して横方向に延在してもよい。
【0061】
図8Bは、8B-8Bの線に沿った
図8Aの正面断面図である。各スプラインワイヤ(817、819、821、823)は、異なるスプライン上の隣接する電極(816、818、820、822)の対を電気的に結合する。いくつかの実施形態では、各結合した電極対は、互いに電気的に絶縁されてもよい。いくつかの実施形態では、結合した電極対は、共通の極性で構成されてもよい。隣接する電極の対は、反対の極性(例えば、アノードとして構成された第1の電極対およびカソードとして構成された隣接する第2の電極対)で構成されてもよい。例えば、スプラインワイヤの第1のセット(817)に結合した電極(816)はアノードとして構成されてもよく、一方でスプラインワイヤの第2のセット(819)に結合した電極(818)の各々はカソードとして構成されてもよい。いくつかの実施形態では、スプライン(814)上に形成された各電極は、共通の極性(例えば、アノードまたはカソードとして構成される)を共有してもよい。各結合した電極対は、独立してアドレス指定可能であってもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(800)は、偶数個のスプラインを含んでもよい。アブレーションデバイス(800)は、任意の数のスプライン、例えば、4個、6個、8個、10個、またはそれを超えるスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、4~10個のスプラインを含んでもよい。例えば、一実施形態では、アブレーションデバイスは、6~8個のスプラインを含んでもよい。前述で示されるように、いくつかの実施形態では、スプラインワイヤ、例えば、817、819などは、デバイスの近位部(例えば、デバイスハンドル内)の同様の電気接続に置き換えることができる。例えば、電極(816)は、これらの電極がアブレーション中に同じ電位であるようにデバイスのハンドル内でともに電気的に配線され得る。
【0062】
図9Aは、デバイス(900)の近位端にあるカテーテルシャフト(910)、デバイス(900)の遠位キャップ(912)、およびそれに結合したスプライン(914)のセットを含む、アブレーションデバイス(900)のさらに別の実施形態の側面図である。遠位キャップ(912)は、非侵襲的形状を含んでもよい。スプライン(914)のセットの近位端は、カテーテルシャフト(910)の遠位端に結合されてもよく、スプライン(914)のセットの遠位端は、デバイス(900)の遠位キャップ(912)に係留されてもよい。アブレーションデバイス(900)の各スプライン(914)は、スプライン(914)の表面上に形成された1つ以上の独立してアドレス指定可能な電極(916、918)を含んでもよい。各電極(916、918)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。各スプライン(914)は、スプライン(914)の胴体に(例えば、スプライン(914)の管腔内に)形成された各電極(916、918)の絶縁導線を含んでもよい。
図9Aは、各スプライン(914)が隣接するスプライン(914)の電極から離間したまたはずれている電極を含む、スプライン(914)のセットを示す。例えば、第1のスプライン(920)の電極(916)が、第2のスプライン(922)の電極(918)と比べてアブレーションデバイス(900)の遠位端(912)により近く配設される、第1のスプライン(920)および第1のスプライン(920)に隣接した第2のスプライン(922)を含むスプライン(914)のセット。他の実施形態では、電極(916、918)のサイズおよび形状も異なり得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、隣接する遠位電極(916)および近位電極(918)は、アノード-カソード対を形成してもよい。例えば、遠位電極(916)はアノードとして構成されてもよく、近位電極(918)はカソードとして構成されてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(900)は、3~12個のスプラインを含んでもよい。
図9Aでは、1個の電極(916、918)は、各スプライン(914)が1個の絶縁導線を含むように、各スプライン(914)の表面上に形成される。このため、スプライン(914)の管腔の直径が減少し、スプライン(914)がより厚く、より機械的に堅牢になり得る。その結果、絶縁の絶縁破壊がさらに減少することで、各スプライン(914)およびアブレーションデバイス(900)の信頼性および寿命が改善され得る。アブレーションデバイス(900)は、任意の数のスプライン、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれを超えるスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(900)は、3~20個のスプラインを含んでもよい。例えば、一実施形態では、アブレーションデバイス(900)は、6~10個のスプラインを含んでもよい。さらに、いくつかの実施形態では、拡張したスプライン(914)のセットの球根状の拡張構造(930)の形状は、例えば、その遠位部分がその近位部分よりも球根状または曲線的である状態で、非対称であってもよい(例えば、
図9B~9Eを参照されたい)。そのような球根状の遠位部分により、デバイスの肺静脈の口での位置付けが支援される。
【0064】
図9B~9Eを参照すると、別段の指示がない限り、
図9Aの参照番号と同様の参照番号を伴う構成要素(例えば、
図9Aの電極(916)および
図9Bの電極(916′))は、構造的および/または機能的に同様であってもよいことが理解される。
図9Bは、展開時などの使用中に拡張構造(930′)を形成しているスプラインワイヤ(914′、920′、922′)を示す。拡張構造(930′)の、近位面とも称される場合がある第1の面(924A′)は、拡張構造(930′)の第2の面(924B′)での断面積とは異なる断面積を有する。
図9Bに示されるように、いくつかの実施形態では、第2の面(924B′)での拡張構造(930′)の断面積は、第1の面(924A′)での断面積より大きい。
図9Bに関して使用される「第1の面」および「第2の面」という用語は、それぞれ、カテーテルシャフト(910′)の遠位端および遠位キャップ(912′)の近位端から、最大で約1cm、約2cm、および約3cm、またはそれ超(間のすべての値および部分範囲を含む)のところに各々形成される、カテーテルシャフト(910′)の長手方向軸に直交する面を指し得る。
図9Aと同様、第1のスプライン(920′)の電極(916′)は、第2のスプライン(922′)の電極(918′)と比べてアブレーションデバイス(900′)の遠位キャップ(912′)により近く配設される。
【0065】
図9Cは、展開時などの使用中に拡張構造(930″)を形成しているスプラインワイヤ(914″、920″、922″)を示す。拡張構造(930″)の、近位面とも称される場合がある第1の面(924A″)は、拡張構造(930″)の第2の面(924B″)での断面積とは異なる断面積を有する。
図9Cに示されるように、いくつかの実施形態では、第2の面(924B″)での拡張構造(930″)の断面積は、第1の面(924A″)での断面積より大きい。
図9Cに関して使用される「第1の面」および「第2の面」という用語は、それぞれ、カテーテルシャフト(910″)の遠位端および遠位キャップ(912″)の近位端から、最大で約1cm、約2cm、および約3cm、またはそれ超(間のすべての値および部分範囲を含む)のところに各々形成される、カテーテルシャフト(910″)の長手方向軸に直交する面を指し得る。
図9Aおよび9Bとは異なり、複数の電極が各スプラインワイヤ上に存在してもよく、いくつかの電極は、遠位キャップ(912″)から等距離にあってもよい。このようにして、932″および934″などの比較的遠位にある電極は、アブレーション送達のための使用中に肺静脈口にまたはその近位/腔に並置されて、肺静脈の周囲に口周辺患部を生成してもよい。
【0066】
図9Dは、展開時などの使用中に拡張構造(930′′′)を形成しているスプラインワイヤ(914′′′、920′′′、922′′′)を示す。スプラインワイヤ(914′′′、920′′′、922′′′)は、拡張構造(930′′′)内部/内にある点(928′′′)に対するそれらの遠位端で集束する。
図9Dに示されるように、そのような構成において、スプラインワイヤ(914′′′、920′′′、922′′′)上の少なくともいくつかの電極(932′′′、934′′′)は、拡張構造(930′′′)の遠位端面(926′′′)にあってもよい。
図9Dに関して使用される「遠位端面」という用語は、拡張構造(930′′′)の遠位境界を通過する、カテーテルシャフト(910′′′)の長手方向軸に直交する面を指してもよい。このようにして、拡張構造(930′′′)は、例えば、左心房の後壁などの心内膜表面に押し付けられて、任意の好適な組み合わせの極性を使用して遠位端面の適切な電極を作動させることによって表面上に患部を直接生成し得る。例えば、遠位電極(932′′′、934′′′)を心内膜表面に押し付けて使用して、フォーカルアブレーションを介して患部(例えば、スポット患部)を形成してもよい。
【0067】
ここでアブレーションデバイス(900′′′)を使用するフォーカルアブレーション患部の生成に言及すると、いくつかの実施形態では、電極(933、935)(「近位電極」と称される場合もある)および電極(932′′′、934′′′)(「遠位電極」と称される場合もある)は、反対の極性で作動してもよい。血液プールを通したこれらの電極間の伝導により、電界が発生し、その電界がアブレーションエネルギーとして遠位端面(926′′′)に存在する心内膜表面に印加されて、フォーカルアブレーションが生じる。例えば、スプラインワイヤ(914′′′、920′′′、922′′′)は、遠位電極(932′′′、934′′′)が心内膜表面の遠位端面(926′′′)にあるかまたはその内にある一方、近位電極(933、935)が遠位端面(926′′′)の外側にあり、結果として、心内膜表面に押し付けられないか、さもなければそれに接触しないように、拡張構造(930′′′)を形成してもよい。いくつかの実施形態では、遠位電極(932′′′、934′′′)は、同じ極性を有してもよく、一方で隣接する近位電極(935、933)は、遠位電極(932′′′、934′′′)と反対の極性を有してもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(900′′′)の電極は、間のすべての値および部分範囲を含めて、長さが約0.5mm~約5.0mm、断面寸法(例えば、直径)が約0.5mm~約2.5mmであってもよい。
図9Dに示される拡張構造(930′′′)中のスプラインワイヤ(914′′′、920′′′、922′′′)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、断面寸法(例えば、直径)が約6.0mm~約30.0mmであってもよい。このようにして形成されたフォーカルアブレーション患部は、間のすべての値および部分範囲を含めて、直径が約0.5cm~約2.5cmであってもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、遠位電極(932′′′、934′′′)は、反対の極性で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、同じスプライン上の隣接する電極は、遠位電極(934′′′)が近位電極(933)と同じ極性を有し得、同様に遠位電極(932′′′)が近位電極(935)と同じ極性を有し得るように、同じ極性を有してもよい。電極(934′′′、933)は、電極(932′′′、935)と反対の極性を有してもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、隣接する遠位電極(934′′′)と近位電極(933)とは、アノード-カソード対を形成してもよい。例えば、遠位電極(934′′′)はアノードとして構成されてもよく、近位電極(933)はカソードとして構成されてもよい。別の実施形態では、1つのスプライン上の電極(2630)は、アノードとカソードとで交互であってもよく、隣接するスプラインの電極は、逆の構成(例えば、カソードとアノード)を有する。
【0071】
図9Eは、展開時などの使用中に拡張構造(950)を形成しているスプラインワイヤ(944、940、942)を示す。スプラインワイヤ(944、940、942)は、拡張構造(950)の内部/内の遠位キャップ(912′′′′)の近位端にあるそれらの遠位端で集束する。
図9Eに示されるように、そのような構成において、スプラインワイヤ(944、940)上の少なくともいくつかの電極(952、954)は、拡張構造(950)の遠位端面(946)にあってもよい。
図9Eに関して使用される「遠位端面」という用語は、拡張構造(950)の遠位境界を通過する、カテーテルシャフト(910′′′′)の長手方向軸に直交する面を指してもよい。このようにして、拡張構造(950)は、例えば左心房の後壁に押し付けられて、任意の好適な組み合わせの極性を使用して遠位端面(946)の適切な電極を作動させることによって表面上に患部を直接生成し得る。例えば、電極952および954は、反対の極性で構成されてもよい。
図9Dの拡張構造(930′′′′)と比べて、
図9Eの拡張構造(950)は、組織アブレーションのために例えば左心房の後壁に押し付けられ得る、より直交する(例えば、扁平な)形状を有する。換言すると、遠位端面(926′′′′)での拡張構造(930′′′′)の断面積は、遠位端面(946)での拡張構造(950)の断面積より小さい。別の例として、
図9Dについて本明細書に概して記載されるように、遠位電極(952、954)を心内膜表面に押し付けて使用して、フォーカルアブレーションを介して患部(例えば、スポット患部)を形成してもよい。
【0072】
本明細書に記載のアブレーションデバイスの各々について、スプラインの各々はポリマーを含み、中空管を形成するように管腔を画定してもよい。本明細書に記載のアブレーションデバイスの1つ以上の電極は、直径が約0.2mm~約2.0mm、長さが約0.2mm~約5.0mmであってもよい。いくつかの実施形態では、電極は、直径が約1mm、長さが約1mmであってもよい。電極は独立してアドレス指定可能であるので、電極は、不可逆的電気穿孔によって組織をアブレーションするのに十分な任意のパルス波形を使用して、任意のシーケンスで通電することができる。例えば、以下でさらに詳細に考察されるように、異なる電極のセットは、異なるパルスのセット(例えば、階層的なパルス波形)を送達してもよい。スプライン上およびスプライン間の電極のサイズ、形状、および間隔は、1つ以上の肺静脈を電気的に絶縁するために連続/貫壁エネルギーを送達するように構成されてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、代替電極(例えば、すべての遠位電極)は、同じ電位であり得、他のすべての電極(例えば、すべての近位電極)についても同様であり得る。したがって、アブレーションは、すべての電極を同時に作動させて迅速に送達することができる。様々なそのような電極対合のオプションが存在し、その利便性に基づいて実装されてもよい。
【0073】
図26Aは、花形様形状を有し、デバイス(2600)の近位端にあるカテーテルシャフト(2610)、デバイス(2600)の遠位キャップ(2612)、およびそれに結合したスプライン(2620)のセットを含む、アブレーションデバイス(2600)の実施形態の斜視図である。
図26Bに最もよく示されるように、スプラインシャフト(2614)は、近位端で近位ハンドル(図示せず)に結合し、遠位端で遠位キャップ(2612)に結合してもよい。好ましい実施形態では、遠位キャップ(2612)とカテーテルシャフト(2610)との間の距離は、約8mm未満であってもよい。スプラインシャフト(2614)および遠位キャップ(2612)は、アブレーションデバイス(2600)の長手方向軸(2616)に沿って並進可能であってもよい。スプラインシャフト(2614)および遠位キャップ(2612)は一緒に移動してもよい。スプラインシャフト(2614)は、カテーテルシャフト(2610)の管腔内で摺動するように構成されてもよい。遠位キャップ(2612)は、組織への外傷を減少させるために非侵襲的形状を含んでもよい。スプライン(2620)のセットの各スプラインの近位端は、カテーテルシャフト(2610)の遠位端を通過し、カテーテルシャフト管腔内でカテーテルシャフトに係留されてもよく、スプライン(2620)のセットの各スプラインの遠位端は、デバイス(2600)の遠位キャップ(2612)に係留されてもよい。アブレーションデバイス(2600)は、例えば
図21~25に開示されるように、スプライン(2620)のセットの1つ以上のスプラインを介して、使用中にパルス波形を組織に送達するように構成されてもよい。
【0074】
アブレーションデバイス(2600)の各スプライン(2620)は、いくつかの実施形態では、スプライン(2620)の表面上に形成された1つ以上の繋がって配線された電極(2630)を含んでもよい。他の実施形態では、所与のスプライン上の電極(2630)のうちの1つ以上は、独立してアドレス指定可能な電極(2630)であってもよい。各電極(2630)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。各スプライン(2620)は、スプライン(2620)の胴体内(例えば、スプライン(2620)の管腔内)に各電極(2630)の絶縁導線を含んでもよい。
図26Aは、各スプラインが隣接するスプライン(2620)の電極(2634または2632)とほぼ同じサイズ、形状、および間隔を有する電極(2632または2634)のセットを含む、スプライン(2620)のセットを示す。他の実施形態では、電極(2632、2634)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。各スプライン(2620)の厚さは、スプライン(2620)の絶縁導線の数に対応し得る、各スプライン(2620)上に形成された電極(2630)の数に基づいて変動してもよい。スプライン(2620)は、材料、厚さ、および/または長さが同じであっても異なっていてもよい。
【0075】
スプライン(2620)のセットの各スプラインは、回転するか、または捻られ曲げられて、
図26A~26Cに示されるものなどの花弁形状の曲線を形成するように、可撓性の湾曲を含んでもよい。花弁形状の構成にあるスプラインの最小曲率半径は、約7mm~約25mmの範囲であってもよい。例えば、スプラインのセットは、アブレーションデバイス(2600)の遠位部分で送達アセンブリを形成し、スプラインのセットがアブレーションデバイス(2600)の長手方向軸に概して平行に配列される第1の構成と、スプラインのセットがアブレーションデバイス(2600)の長手方向軸の周囲で回転するかまたは捻られ曲げられて、長手方向軸から概して離れて付勢される第2の構成との間で移行するように構成されてもよい。第1の構成において、スプラインのセットの各スプラインは、アブレーションデバイスの長手方向軸と一平面内にあってもよい。第2の構成において、スプラインのセットの各スプラインは、長手方向軸から離れて付勢されて、長手方向軸に概して垂直に配列された花弁様の曲線を形成してもよい。このようにして、スプライン(2620)のセットが捻られ曲げられて、アブレーションデバイス(2600)の長手方向軸から離れて付勢されることで、スプライン(2620)は、心内膜腔、特に肺口の開口部に隣接した部分の幾何形状により容易に一致できるようになる。第2の構成は、例えば、
図26Cで最もよく示されるように、アブレーションデバイスを正面から見た場合、花の形状に似ていてもよい。いくつかの実施形態では、第2の構成にあるスプラインのセット中の各スプラインは、捻られ曲げられて、花弁様の曲線を形成してもよく、この花弁様の曲線は、正面から見た場合に曲線の近位端と遠位端との間の角度が180度超を示す。スプラインのセットは、第2の構成から、スプライン(2620)のセットが肺静脈口を囲繞する組織などの標的組織に押し付けられ(例えば、それと接触し)得る第3の構成に移行するようにさらに構成されてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、スプライン(2620)のセットに結合したスプラインシャフト(2614)により、スプライン(2620)のセットの各スプラインを、スプラインシャフト(2614)がカテーテルシャフト(2610)の管腔内で摺動するときに、カテーテルシャフト(2610)に対して曲げて捻ることを可能にしてもよい。例えば、スプライン(2620)のセットは、展開されていないときには、スプラインシャフト(2614)の長手方向軸に概して平行な形状を形成し、完全に展開されているときには、スプラインシャフト(2620)の長手方向軸に平行な軸(2660)を中心として巻かれ(例えば、螺旋状に、捻られ)、スプラインシャフト(2614)がカテーテルシャフト(2610)の管腔内で摺動するときには、間の任意の中間形状(ケージ状または樽状など)を形成してもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、スプライン(2620)などの第1の構成にあるスプラインのセットは、その長さに沿ったある部分ではカテーテルシャフト(2610)の長手方向軸に平行な軸(2660)を中心として巻かれてもよいが、他の部分は、別様にカテーテルシャフト(2610)の長手方向軸に概して平行であってもよい。スプラインシャフト(2614)は、カテーテルシャフト(2610)の中に後退させて、アブレーションデバイス(2600)を第1の構成から第2の構成へと移行させてもよく、この第2の構成において、スプライン(2620)は、カテーテルシャフト(2610)の長手方向軸に関して(例えば、垂直に)概して角度が付けられるかまたはずれて、捻られる。
図26Cの正面図に示されるように、各スプライン(2620)は、この正面図投影において捻られたループを形成してもよい。
図26Cでは、各スプライン(2620)は、同じ極性を有する電極(2630)のセットを有する。
図26Cの正面図に示されるように、スプライン(2620)のセットの各スプラインは、各スプラインが1つ以上の他のスプラインと重なり合うように捻られたループを形成してもよい。電極(2630)の数および離間、ならびにスプライン(2620)の回転した捻れは、電極を各スプラインに沿って好適に留置することによって構成されて、1つのスプライン上の電極(2630)が、隣接する重なり合ったスプライン(2620)の電極と重なり合うのを防止し得る。
【0078】
アノード電極(2632)のセットを有するスプラインは、ともに作動して、不可逆的電気穿孔のためのパルス波形を送達してもよい。他のスプライン上の電極は、
図26Cに示されるように、不可逆的電気穿孔用のパルス波形を送達するためのアノード-カソード対合を形成するように、それらのそれぞれのスプライン上の電極(2634)および(2635)などのカソード電極として、ともに作動してもよい。アノード-カソード対合およびパルス波形送達は、そのような対合のセットにわたって連続して繰り返され得る。
【0079】
例えば、スプライン(2620)は、時計回りまたは反時計回りの様式で連続して作動してもよい。別の例として、カソードスプラインは、アブレーションが完了するまで、それぞれの連続したアノードスプライン作動と同時に連続して作動してもよい。所与のスプライン上の電極が別個に配線されている実施形態では、各スプラインの電極内の作動の順序は同様に変動してもよい。例えば、スプライン中の電極は、一度にすべて作動してもよく、あるいは所定のシーケンスで作動してもよい。
【0080】
送達アセンブリは、パルス波形を送達する前には第1の構成で配設され、第2の構成に移行して、肺静脈口または洞口と接触してもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、ハンドルがスプラインシャフト(2614)に結合してもよく、ハンドルは、スプラインのセットの第1の構成と第2の構成との間の移行を発動するように構成される。例えば、ハンドルは、スプラインシャフト(2614)および遠位キャップ(2612)をカテーテルシャフト(2610)に対して並進させることで、遠位キャップに結合したスプライン(2620)のセットを起動して、それらを曲げて捻ってもよい。スプライン(2620)の近位端がスプラインシャフト(2614)に固定されることで、スプライン(2620)の座屈が生じ、結果として、例えば、遠位キャップ(2612)およびスプラインシャフト(2614)が、ユーザによって保持され得るカテーテルシャフト(2610)に対して引き戻されるときに、スプライン(2620)の曲げおよび捻り運動が生じ得る。例えば、遠位キャップ(2612)に係留されたスプライン(2620)のセットの遠位端は、アブレーションデバイスの長手方向軸に沿って最大約60mm並進して、この構成の変化を起動してもよい。換言すると、ハンドルの起動部材の並進により、スプライン(2620)のセットが曲げられ捻られ得る。いくつかの実施形態では、デバイスハンドル内のノブ、ホイール、または他の回転式制御機構を起動することで、起動部材またはスプラインシャフトが並進し、スプライン(2620)が曲げられ捻られ得る。いくつかの実施形態では、電極(2630)のセットの少なくとも2つの電極の導線は、例えばハンドル内など、アブレーションデバイス(2600)の近位部分またはその付近で電気的に結合してもよい。
【0081】
スプラインシャフト(2614)および遠位キャップ(2612)を後退させることで、スプライン(2620)のセットがともに近づいてもよく、これは、スプライン(2620)のセットがカテーテルシャフト(2610)の長手方向軸に概して垂直である
図26Bに示されるとおりである。いくつかの実施形態では、スプライン(2620)のセットの各スプラインは、スプラインシャフト(2614)の長手方向軸から離れて横方向に最大約3cm付勢されてもよい。いくつかの実施形態では、スプラインシャフト(2614)は中空管腔を含んでもよい。いくつかの実施形態では、スプラインの断面は、断面の平面に直交するスプラインの1つの曲げ平面において異なる曲げ平面よりも大きい曲げ剛性を有するように、非対称であってもよい。そのような非対称の断面は、比較的大きい横剛性を示すように構成されてもよく、それにより、最終のまたは完全に展開された構成において、各スプラインの花弁形状の曲線およびその近隣にあるものの重なり合いが最小である状態で、展開し得る。
【0082】
一実施形態では、スプライン(2620)上の電極(2632)の各々はアノードとして構成されてもよく、一方で異なるスプライン上の電極(2634)の各々はカソードとして構成されてもよい。別の実施形態では、1つのスプライン上の電極(2630)は、アノードとカソードとで交互であってもよく、別のスプラインの電極は、逆の構成(例えば、カソードとアノード)を有する。
【0083】
いくつかの実施形態では、スプライン電極は、連続した様式で電気的に作動して、パルス波形を各アノード-カソード対合で送達してもよい。いくつかの実施形態では、電極は、スプライン内でともに電気的に配線されてもよく、一方で代替的な実施形態では、電極は、デバイスのハンドル内でともに配線されてもよく、その結果、これらの電極がアブレーション中に同じ電位であるようになる。他の実施形態では、同様に、電極(2630)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、隣接する遠位電極と近位電極とは、アノード-カソード対を形成してもよい。例えば、遠位電極はアノードとして構成されてもよく、近位電極はカソードとして構成されてもよい。
【0084】
アブレーションデバイス(2600)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、任意の数のスプライン、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれを超えるスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(2600)は、3~20個のスプラインを含んでもよい。例えば、アブレーションデバイス(2600)は、4~12個のスプラインを含んでもよい。
【0085】
スプライン(2620)のセットのスプラインの各々は、組織への外傷を低減するように非侵襲的形状を有するそれぞれの電極(2630)を含んでもよい。例えば、電極(2630)は、心内膜組織に接触するように構成された、曲線的な、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分を含む、非侵襲的形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、電極(2630)は、カテーテルシャフト(2610)の遠位にあるスプライン(2620)のいずれかの部分に沿って位置してもよい。電極(2630)は、サイズ、形状、および/またはそれぞれのスプラインに沿った位置が、同じであっても異なっていてもよい。
【0086】
このようにして、第2の構成にある電極は、本明細書に記載されるように、左心房の心房壁の一部に接近して保持されるかまたはそれに対して留置されて、任意の好適な極性の組み合わせを使用して適切な電極を作動させることによってその上に患部を直接生成し得る。例えば、スプライン(2620)のセットは、肺静脈(2650)(例えば、口または洞口)に隣接した心房(2652)の心房壁(2654)に対して接触して留置されてもよい。
【0087】
図26Dは、肺静脈口を囲繞する組織などの組織上にアブレーションデバイス(2600)によって生成されたアブレーション(2664)の概略図である。例えば、スプライン(2620)のうちの1つ以上にある電極(2630)のうちの1つ以上の作動により、1つ以上の対応するアブレーションエリア(2664)が肺静脈洞口または口の壁(2654)に沿って生成され得る。いくつかの実施形態では、肺静脈口中のアブレーションエリア(2664)の外形は、直径が、約2cm~約6cmであってもよく、約3.5cmであってもよい。このようにして、連続貫壁患部が生成され、望ましい治療結果である肺静脈の電気的絶縁が生じ得る。
【0088】
あるいは、電極が展開されたアブレーションカテーテルは、左心房の後壁の一部に隣接して、またはそれに対して留置されてもよく、好適な電極セットの作動により、適切なパルス波形が不可逆的電気穿孔エネルギー送達用に送達されて、組織をアブレーションしてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、電極または電極のサブセットは、独立してアドレス指定可能であり得るので、電極は、不可逆的電気穿孔によって組織をアブレーションするのに十分な任意のパルス波形を使用して任意のシーケンスで通電され得る。例えば、本明細書でさらに詳細に考察されるように、異なる電極のセットは、異なるパルスのセット(例えば、階層的なパルス波形)を送達してもよい。スプライン上およびスプライン間の電極のサイズ、形状、および間隔は、1つ以上の肺静脈を電気的に絶縁するために連続/貫壁エネルギーを送達するように構成されてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、代替電極は同じ電位であってもよく、他のすべての代替電極についても同様であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、アブレーションは、すべての電極を同時に作動させて迅速に送達され得る。様々なそのような電極対のオプションが存在し、その利便性に基づいて実装されてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスの最遠位部分は、遠位キャップまたはカテーテルシャフトの長さを延長する別の要素ではなく、スプラインのセットを含んでもよい。これにより、スプラインのセットの組織に対する位置付けが支援され、組織への外傷を引き起こし得るアブレーションデバイスの他の要素の組織への接触が低減され得る。例えば、
図35は、第1のカテーテル(3510)(例えば、外側カテーテルシャフト)をデバイス(3500)の近位端に含むアブレーションデバイス(3500)の実施形態の側面図である。第1のカテーテル(3510)は、長手方向軸(3550)および中を通る管腔を画定してもよい。第2のカテーテル(3520)は、第1のカテーテル管腔内に摺動可能に配設され、第1のカテーテル管腔の遠位端から延在してもよい。第2のカテーテル(3520)は、直径が、第1のカテーテル(3510)の直径より小さくてもよい。第2のカテーテル(3520)は、中を通る管腔を画定してもよい。例えば、管腔は、ガイドワイヤなどの別のデバイスに通路を提供してもよい。
【0091】
スプライン(3530)のセットは、第1のカテーテル(3510)および第2のカテーテル(3520)に結合してもよい。具体的には、スプライン(3530)のセットの近位部分は、第1のカテーテル(3510)の遠位端に結合してもよく、スプライン(3530)のセットの遠位部分は、第2のカテーテル(3520)の遠位端に結合してもよい。第2のカテーテル(3520)は、アブレーションデバイス(3500)の長手方向軸(3550)に沿って並進可能であってもよい。スプライン(3530)のセットの各スプラインの近位端は、第1のカテーテル(3510)の遠位端を通過し、第1のカテーテル管腔内で第1のカテーテル(3510)に係留されてもよい。スプライン(3530)のセットの各スプラインの遠位端は、第2のカテーテル(3520)の遠位端を通過し、第2のカテーテル管腔内で第2のカテーテル(3520)に係留されてもよい。いくつかの実施形態では、接合点(3522)が、第2のカテーテル(3520)の遠位端とスプライン(3530)のセットとの間に形成されてもよい。例えば、ポリマーリフロープロセスを使用して、平滑で非侵襲的な接合点を第2のカテーテル(3520)とスプライン(3530)のセットとの間に形成してもよい。アブレーションデバイス(3500)は、例えば
図21~26に開示されるように、スプライン(3530)のセットの1つ以上のスプラインの電極を介して、使用中にパルス波形を組織に送達するように構成されてもよい。
【0092】
アブレーションデバイス(3500)の各スプライン(3530)は、スプライン(3530)の表面上に形成された1つ以上の電極(3540)を含んでもよい。各電極(3540)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含んでもよい。各スプライン(3530)は、スプライン(3530)の胴体に(例えば、スプライン(3530)の管腔内に)形成された各電極(3540)の絶縁導線を含んでもよい。
図35は、各スプライン(3530)が隣接するスプラインの電極(3540)とほぼ同じサイズ、形状、および間隔を有する電極(3540)のセットを含む、スプラインのセットを示す。他の実施形態では、電極(3540)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。
【0093】
アブレーションデバイス(3500)は、組織をアブレーションするために電極(3540)のセットを使用して電圧パルス波形のセットを送達するように構成されてもよい。これらの実施形態のいくつかでは、アブレーションデバイス(3500)は、アブレーションデバイス(3500)のスプライン(3530)が半径方向外向きにたわむように、第1の構成から第2の構成に移行してもよい。
【0094】
スプライン(3530)のセットの少なくとも一部分は、可撓性の湾曲を含んでもよい。例えば、各スプライン(3530)の近位領域(3522)および遠位領域(3526)。スプライン(3530)のセットは、アブレーションデバイス(3500)の遠位部分に送達アセンブリを形成してもよく、スプライン(3530)のセットがアブレーションデバイス(3500)の長手方向軸(3540)に概して接近して配列される第1の構成と、スプライン(3530)のセットがアブレーションデバイス(3500)の長手方向軸(3540)から半径方向外向きにたわむ第2の構成との間で移行して、各スプラインが「花弁」を形成するバスケット様および/または花様の形状を形成するように構成されてもよい。第2の構成にあるスプラインの空間曲線形状は、
図34A~34Bに対応する等式(1)~(3)に関して説明され得る。例えば、完全に展開された構成では、各スプラインの長さに沿ったスプライン(3530)のセットのスプラインの各々の回転速度の積分した大きさは、弧度πより大きくてもよい。
【0095】
他の実施形態では、スプラインの「バスケット」は、バスケットの一方の端(仮に遠位端)がバスケットの他方の端(仮に近位端)より球根状であるように、カテーテルの長さに沿って非対称の形状を有し得る。送達アセンブリは、第1の構成で胴体の空洞を通って前進し、パルス波形の送達前に第2の構成に移行してもよい。いくつかの実施形態では、ハンドル(図示せず)がスプライン(3530)のセットに結合してもよく、ハンドルは、スプライン(3530)のセットの第1の構成と第2の構成との間の移行を発動するように構成される。いくつかの実施形態では、ハンドル内の1つ以上のノブ、ホイール、スライダー、プルワイヤ、および/または他の制御機構の起動により、第2のカテーテル(3520)が第1のカテーテル(3510)に対して並進して、スプライン(3530)の曲げが生じ得る。いくつかの実施形態では、電極(3540)のセットの少なくとも2つの電極の導線は、例えばハンドル内など、アブレーションデバイス(3500)の近位部分またはその付近で電気的に結合してもよい。例えば、ハンドルは、
図35に示されるように、第2のカテーテル(3512)を第1のカテーテル(3510)に対して並進させることで、スプライン(3530)のセットを起動し、それらを曲げるように構成されてもよい。スプライン(3530)の遠位端が第2のカテーテル(3520)の遠位端に固定されることで、スプライン(3530)の座屈が生じ、結果として、例えば、第2のカテーテル(3520)が第1のカテーテル(3510)に対して引き戻されるときに、スプライン(3530)の曲げ運動が生じ得る。換言すると、ハンドルの起動部材の並進により、スプライン(3530)のセットが曲げられ得る。いくつかの実施形態では、スプライン(3530)のセットの各スプラインは、第2のカテーテル(3512)の長手方向軸(3540)から離れて横方向に最大約35mm付勢されてもよい。例えば、第2の構成にあるスプライン(3530)のセットは、最大部分での有効断面径が約10mm~約35mmである形状を形成してもよい。第2の構成では、スプラインのセットは、長さが約15mm~約50mmであってもよい。
【0096】
一実施形態では、スプライン上の電極の各々はアノードとして構成されてもよく、一方で異なるスプライン上の電極の各々はカソードとして構成されてもよい。つまり、隣接するスプライン上の電極のセットは、反対の極性を有してもよい。別の実施形態では、1つのスプライン上の電極は、アノードとカソードとで交互であってもよく、別のスプラインの電極は、逆の構成(例えば、カソードとアノード)を有する。いくつかの実施形態では、隣接する遠位電極と近位電極とは、アノード-カソード対を形成してもよい。例えば、遠位電極はアノードとして構成されてもよく、近位電極はカソードとして構成されてもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、電極は、連続した様式で電気的に作動して、パルス波形を各アノード-カソード対合で送達してもよい。いくつかの実施形態では、電極(3540)は、スプライン(3530)内でともに電気的に配線されてもよく、一方で代替的な実施形態では、電極は、デバイス(3500)のハンドル内でともに配線されてもよく、その結果、これらの電極(3540)がアブレーション中に同じ電位であるようになる。他の実施形態では、同様に、電極(3540)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。別の例として、スプライン(3530)は、時計回りまたは反時計回りの様式で連続して作動してもよい。別の例として、カソードスプラインは、アブレーションが完了するまで、それぞれの連続したアノードスプライン作動と同時に連続して作動してもよい。所与のスプライン(3530)上の電極(3540)が別個に配線されている実施形態では、各スプライン(3530)の電極(3540)内の作動の順序は同様に変動してもよい。例えば、スプライン中の電極(3540)は、一度にすべて作動してもよく、あるいは所定のシーケンスで作動してもよい。
【0098】
電極は、不可逆的電気穿孔によって組織をアブレーションするのに十分な任意のパルス波形を使用して任意のシーケンスで通電され得る。スプライン上およびスプライン間の電極のサイズ、形状、および間隔は、心臓組織の1つ以上の領域を電気的に絶縁するために十分なエネルギーを送達するように構成されてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、代替電極(例えば、すべての遠位電極)は、同じ電位であり得、他のすべての電極(例えば、すべての近位電極)についても同様であり得る。したがって、アブレーションは、すべての電極を同時に作動させて迅速に送達することができる。様々なそのような電極対のオプションが存在し、その利便性に基づいて実装されてもよい。
【0099】
スプライン(3530)の各々は、ポリマーで構成され、中空管を形成するように管腔を画定してもよい。アブレーションデバイス(3500)のスプライン(3530)のセットは、直径が1.0mm~約5.0mmであってもよい。アブレーションデバイス(3500)の電極(3540)のセットは、直径が約1.0mm~約5.0mm、長さが約0.2mm~約5.0mmであってもよい。
【0100】
アブレーションデバイス(3500)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、任意の数のスプライン、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、14個、16個、またはそれを超えるスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(3500)は、3~16個のスプラインを含むことができる。例えば、アブレーションデバイス(3500)は、3~14個のスプラインを含んでもよい。
【0101】
スプライン(3530)のセットのスプラインの各々は、組織への外傷を低減するように非侵襲的形状を有するそれぞれの電極(3540)を含んでもよい。例えば、電極(3540)は、曲線的な、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分を含む、非侵襲的形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、電極(3540)は、第1のカテーテル(3510)の遠位にあるスプライン(3530)のいずれかの部分に沿って位置してもよい。電極(3540)は、サイズ、形状、および/またはそれぞれのスプラインに沿った位置が、同じであっても異なっていてもよい。アブレーションデバイス(3500)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、任意の数の電極、例えば、スプライン当たり、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、またはそれを超える電極を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(3500)は、スプライン当たり2~12個の電極を含んでもよい。
【0102】
図34Aおよび34Bは、
図36A~36Cに示されるスプラインなど、本明細書に記載のスプラインに構造的および/または機能的に類似したスプライン(3400)の側面図である。
図34Aは、単位接線ベクトルを有するスプラインの側面図である。
図34Bは、2つの単位接線ベクトルを有するスプラインの側面図である。
図34Aおよび34Bは、花の花弁様の形状を有するスプライン(3400)を描写し、これは、本明細書で詳細に記載されるように、第2の構成および/または第3の構成にあるスプラインの形状に対応し得る。単純化するために、スプライン(3400)は、電極などの他の要素を含まず示される。湾曲したスプライン(3400)は、近位端(3402)および遠位端(3404)を含む。スプライン(3400)に沿ったすべての点(3410)で、単位接線ベクトルu(3420)が定義されてもよい。
図34Bは、スプライン(3400)の近位端(3402)での単位接線ベクトルu
1(3430)、およびスプライン(3400)の遠位端(3404)での単位接線ベクトルu
2(3440)を示す。
【0103】
スプラインの長さに沿った単位接線ベクトルの変化率は、以下の等式に準拠してもよく、
u′=du/dl (1)
式中、lは、スプラインに沿った弧長である。
【0104】
単位接線ベクトルu′の変化率は、スプラインに沿った単位接線ベクトルの回転速度と称されてもよい。u・u=1であるので、回転速度u′は単位接線ベクトルuに垂直である。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるスプラインは、移行して花弁形状を形成してもよく、ループを形成してもよく、このループは、スプラインがその長さに沿ってトーションを有するように、その長さに沿って捻られる。本明細書に記載されるスプラインは、以下の不等式に準拠する回転速度の積分した大きさを有する。
【数1】
【0106】
つまり、スプラインの回転速度の積分した大きさは、弧度π、すなわち180度より大きい。uおよびu′は垂直であるため、u・u′=0である。したがって、ベクトルb=u×u′は、uとu′との両方に垂直である。
【0107】
いくつかの実施形態では、スプラインの形状は概して、回転速度の導関数が概して、少なくともスプラインの長さに沿ったいくつかの位置でbに沿った成分を有するように、トーションを有する空間曲線であり、これは以下の等式に準拠する。
【数2】
【0108】
本明細書に記載されるデバイスのいくつかの実施形態では、スプラインのセットの展開されたスプラインは、等式(2)および(3)両方を満たしてもよい。
【0109】
図36A~36Cは、組織への外傷を低減し、電極のセットと組織との間の位置付けおよび接触を支援するように、遠位スプラインが完全に展開されるときに、展開されたスプラインのセットおよび電極のセットがカテーテル(3600)の他のすべて要素の遠位に延在するように構成されたアブレーションカテーテル(3600)の側面図である。
図36Aは、花様形状を有し、デバイス(3600)の近位端に第1のカテーテル(3610)を含むアブレーションデバイス(3600)の実施形態の斜視図である。第1のカテーテル(3610)は、長手方向軸(3650)および中を通る管腔を画定してもよい。第2のカテーテル(3620)は、第1のカテーテル管腔内に摺動可能に配設され、第1のカテーテル管腔の遠位端から延在してもよい。第1のカテーテルおよび第2のカテーテルは、起動用のカテーテルハンドルとともに、単個のデバイスを構成してもよい。スプライン(3630)のセットは、第1のカテーテル(3610)および第2のカテーテル(3620)に結合してもよい。第2のカテーテル(3620)は、アブレーションデバイス(3600)の長手方向軸(3650)に沿って並進可能であってもよい。スプライン(3630)のセットの各スプラインの近位端は、第1のカテーテル(3610)の遠位端を通過し、第1のカテーテル管腔内で第1のカテーテル(3610)に係留されてもよく、スプライン(3630)のセットの各スプラインの遠位端は、第2のカテーテル(3620)の遠位端(3622)に係留されてもよく、これは、
図35に関してより詳細に記載されるとおりである。アブレーションカテーテル(3600)は、遠位キャップまたは第2のカテーテル(3620)の遠位端から延在する他の突起を含まないので、第2の構成(例えば、花形形状)にあるデバイス(3600)は、デバイス(3600)からの外傷のリスクが低い状態で、薄い心臓壁などの敏感な組織と係合し得る。アブレーションデバイス(3600)は、スプライン(3630)のセットの1つ以上の電極を介して、例えば
図21~26に開示されるように、使用中にパルス波形を組織に送達するように構成されてもよい。
【0110】
アブレーションデバイス(3600)の各スプライン(3630)は、いくつかの実施形態では、スプライン(3630)の表面上に形成された1つ以上の繋がって配線されている電極(3640)を含んでもよい。他の実施形態では、所与のスプライン上の電極(3640)のうちの1つ以上は、独立してアドレス指定可能な電極(3640)であってもよい。各電極(3640)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。各スプライン(3630)は、スプライン(3630)の胴体内(例えば、スプライン(3630)の管腔内)に各電極(3640)の絶縁導線を含んでもよい。
図36A~36Cは、各スプラインが隣接するスプライン(3630)の電極(3640)とほぼ同じサイズ、形状、および間隔を有する電極(3640)のセットを含む、スプライン(3630)のセットを示す。他の実施形態では、電極(3640)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。各スプライン(3630)の厚さは、スプライン(3630)の絶縁導線の数に対応し得る、各スプライン(3630)上に形成された電極(3640)の数に基づいて変動してもよい。スプライン(3630)は、材料、厚さ、および/または長さが同じであっても異なっていてもよい。
【0111】
スプライン(3630)のセットの各スプラインは、回転するか、または捻られ曲げられて、
図26A~26C、34A~34B、および36A~36Cに示されるものなどの花弁形状の曲線を形成するように、可撓性の湾曲を含んでもよい。花弁形状の構成にあるスプラインの最小曲率半径は、約7mm~約25mmであってもよい。例えば、スプラインのセットは、アブレーションデバイス(3600)の遠位部分で送達アセンブリを形成し、スプラインのセットがアブレーションデバイス(3600)の長手方向軸に概して接近して配列される第1の構成と、スプラインのセットがアブレーションデバイス(3600)の長手方向軸の周囲で回転するかまたは捻られ曲げられて、長手方向軸から概して離れて付勢される第2の構成との間で移行するように構成されてもよい。第1の構成において、スプラインのセットの各スプラインは、アブレーションデバイスの長手方向軸と一平面内にあってもよい。第2の構成において、スプラインのセットの各スプラインは、長手方向軸から離れて付勢されて、花弁様の曲線(例えば、花形形状)を形成してもよく、ここで、スプラインの長手方向軸は、長手方向軸(3650)に対して概して垂直に配列されるかまたは鋭角を有する。本明細書で詳細に記載されるように、スプラインのセットの形状(例えば、曲げ、曲線)は、等式(1)~(3)を満たし得る。このようにして、スプライン(3620)のセットが捻られ曲げられて、アブレーションデバイス(3600)の長手方向軸から離れて付勢されることで、スプライン(3620)は、肺口の後壁および開口部などの心内膜腔の幾何形状により容易に一致できるようになる。いくつかの実施形態では、第2の構成にあるスプラインのセット中の各スプラインは、捻られ曲げられて、花弁様の曲線を形成してもよく、この花弁様の曲線は、正面から見た場合に曲線の近位端と遠位端との間の角度が180度超を示す。
【0112】
いくつかの実施形態では、スプライン(3630)のセットに結合した第2のカテーテル(3620)により、スプライン(3630)のセットの各スプラインを、第2のカテーテル(3620)が第1のカテーテル(3610)の管腔内で摺動するときに、第1のカテーテル(3610)に対して曲げて捻ることができるようになってもよい。例えば、スプライン(3630)のセットは、展開されていないときには、第2のカテーテル(3620)の長手方向軸に概して接近した形状を形成し、完全に展開されているときには、長手方向軸(3650)を中心として巻かれ(例えば、螺旋状に、捻られ)、第2のカテーテル(3620)が第1のカテーテル(3610)の管腔内で摺動するときには、間の任意の中間形状(ケージ状または樽状など)を形成してもよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、スプライン(3630)などの第1の構成にあるスプラインのセットは、その長さに沿ったある部分では第1のカテーテル(3610)の長手方向軸(3650)を中心として巻かれてもよいが、他の部分は、別様に第1のカテーテル(3610)の長手方向軸に概して平行であってもよい。第2のカテーテル(3620)は、第1のカテーテル(3610)の中に後退させて、アブレーションデバイス(3600)を第1の構成から第2の構成へと移行させてもよく、この第2の構成において、スプライン(3630)は、捻られて花弁様の形状を形成し、第1のカテーテル(3610)の長手方向軸(3650)に関して(例えば、垂直に、遠位方向に角度が付けられて)概して角度が付けられるかまたはずれる。第2のカテーテル(3622)が第1のカテーテル(3610)の管腔の中にさらに後退すると、スプライン(3630)のセットはさらに遠位に延在し得る。
図36A~36Cに示されるように、各スプライン(3630)は、捻りループ(例えば、スプラインのセットがともに花形形状を形成する、花弁形状)を形成してもよい。
【0114】
第2の構成において、第2の構成にあるスプライン(3630)のセットは、花形形状を形成してもよく、遠位方向に角度が付けられてもよい。
図36Aは、スプライン(3630)のセットの各スプラインの少なくとも一部分が、第2のカテーテル(3620)の遠位端(3622)に対して遠位に延在する、スプライン(3630)のセットを示す。例えば、
図36Aは、スプラインの遠位部分が、第2のカテーテル(3620)の遠位端(3622)に対して遠位にある平面(3660)(長手方向軸(3650)に垂直)と交差することを示す。したがって、アブレーションデバイス(3600)が遠位方向に前進して、組織に接触するとき、スプライン(3630)のセットは、第1のカテーテル(3610)および第2のカテーテル(3620)の前に接触することになる。これにより、組織は、比較的剛性である第2のカテーテル(3622)に接触することなく、可撓性のスプラインのセットに接触し得るので、組織への外傷が低減され得る。
【0115】
図36Bは、スプライン(3630)の長手方向軸(3670)と第1のカテーテル(3650)の長手方向軸との間に遠位(例えば、前)角度(3680)を形成する、第2の構成にあるスプライン(3630)のセットを示す。スプライン(3630)の長手方向軸(3670)は、スプライン(3630)の頂点と、スプライン(3630)の近位端と遠位端との間の中間点との間に形成される線によって画定さてもよい。いくつかの実施形態では、遠位角度は、約80度未満であってもよい。例えば、遠位角度は、60度以下であってもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、スプライン(3620)のセットの各スプラインは、各スプラインが1つ以上の他のスプラインと部分的に重なり合うように捻られたループを形成してもよい。電極(3640)の数および離間、ならびにスプライン(3630)の回転した捻れは、電極を各スプラインに沿って好適に留置することによって構成されて、1つのスプライン上の電極(3640)が、隣接する重なり合ったスプラインの電極と重なり合うのを防止し得る。
【0117】
アノード電極のセットを有するスプラインは、ともに作動して、不可逆的電気穿孔のためのパルス波形を送達してもよい。他のスプライン上の電極は、不可逆的電気穿孔用のパルス波形を送達するためのアノード-カソード対合を形成するように、それらのそれぞれのスプライン上の電極などのカソード電極として、ともに作動してもよい。アノード-カソード対合およびパルス波形送達は、そのような対合のセットにわたって連続して繰り返され得る。
【0118】
例えば、スプライン(3630)は、時計回りまたは反時計回りの様式で連続して作動してもよい。別の例として、カソードスプラインは、アブレーションが完了するまで、それぞれの連続したアノードスプライン作動と同時に連続して作動してもよい。所与のスプライン上の電極が別個に配線されている実施形態では、各スプラインの電極内の作動の順序は同様に変動してもよい。例えば、スプライン中の電極は、一度にすべて作動してもよく、あるいは所定のシーケンスで作動してもよい。
【0119】
送達アセンブリは、パルス波形を送達する前には第1の構成で配設され、第2の構成に移行して、肺静脈口または洞口と接触してもよい。例えば、
図36Cは、左心房の後壁などの組織壁(3690)にごく接近しているおよび/または組織壁(3690)と接触しているスプライン(3630)のセットの最遠位部分を示す。
図36Cのスプライン(3630)のセットは、スプライン(3630)のセットの各スプラインの少なくとも一部分が、第2のカテーテル(3620)の遠位端(3622)に対して遠位に延在する、第2の構成にある。組織(3690)は、左心房の後壁の心内膜表面などの心臓壁であってもよい。第2のカテーテル(3620)の遠位端(3622)は、第1の距離(3692)だけ組織(3690)から離れていてもよい。したがって、第2の構成にあるアブレーションデバイス(3600)は、貫通または他の外傷のリスクを低減させた非侵襲的な様式で、組織(3690)に係合し得る。このため、アブレーションデバイス(3600)を使用して、左心房の後壁などの薄い組織構造でさえもアブレーションすることができる。
【0120】
これらの実施形態のうちのいくつかでは、ハンドルが第2のカテーテル(3620)に結合してもよく、ハンドルは、スプラインのセットの第1の構成と第2の構成との間の移行を発動するように構成される。例えば、ハンドルは、第2のカテーテル(3620)を第1のカテーテル(3610)に対して並進させることで、第2のカテーテル(3620)に結合したスプライン(3630)のセットを起動して、それらを曲げて捻ってもよい。スプライン(3630)の近位端が第2のカテーテル(3620)に固定されることで、スプライン(3630)の座屈が生じ、結果として、例えば、第2のカテーテル(3620)が、ユーザによって保持され得る第1のカテーテル(3610)に対して引き戻されるときに、スプライン(3630)の曲げおよび捻り運動が生じ得る。例えば、第2のカテーテル(3620)に係留されたスプライン(3630)のセットの遠位端は、アブレーションデバイスの長手方向軸に沿って最大約60mm並進して、この構成の変化を起動してもよい。換言すると、ハンドルの起動部材の並進により、スプライン(3630)のセットが曲げられ捻られ得る。いくつかの実施形態では、デバイスハンドル内のノブ、ホイール、または他の回転式制御機構を起動することで、起動部材または第2のカテーテルが並進し、スプライン(3630)が曲げられ捻られ得る。いくつかの実施形態では、電極(3640)のセットの少なくとも2つの電極の導線は、例えばハンドル内など、アブレーションデバイス(3600)の近位部分またはその付近で電気的に結合してもよい。
【0121】
第1のカテーテル(3610)に対する第2のカテーテル(3620)の後退により、
図36A~36Cに示されるように、スプライン(3630)のセットが互いに接近し得る。スプライン(3630)のセットは、第1のカテーテル(3610)の長手方向軸(3650)に対して、さらに概して垂直であるかまたは遠位に角度が付けられている。いくつかの実施形態では、スプライン(3630)のセットの各スプラインは、長手方向軸(3650)から離れて横方向に最大約30mm付勢されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のカテーテル(3620)は中空管腔を含んでもよい。いくつかの実施形態では、スプラインの断面は、断面の平面に直交するスプラインの1つの曲げ平面において異なる曲げ平面よりも大きい曲げ剛性を有するように、非対称であってもよい。そのような非対称の断面は、比較的大きい横剛性を示すように構成されてもよく、それにより、最終のまたは完全に展開された構成において、各スプラインの花弁形状の曲線およびその近隣にあるものの重なり合いが最小である状態で、展開し得る。
【0122】
一実施形態では、スプライン(3630)上の電極(3640)の各々はアノードとして構成されてもよく、一方で異なるスプライン(3630)上の電極(3640)の各々はカソードとして構成されてもよい。別の実施形態では、1つのスプライン上の電極(3640)は、アノードとカソードとで交互であってもよく、別のスプラインの電極は、逆の構成(例えば、カソードとアノード)を有する。
【0123】
いくつかの実施形態では、スプライン電極は、連続した様式で電気的に作動して、パルス波形を各アノード-カソード対合で送達してもよい。いくつかの実施形態では、電極は、スプライン内でともに電気的に配線されてもよく、一方で代替的な実施形態では、電極は、デバイスのハンドル内でともに配線されてもよく、その結果、これらの電極がアブレーション中に同じ電位であるようになる。他の実施形態では、同様に、電極(3640)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、隣接する遠位電極と近位電極とは、アノード-カソード対を形成してもよい。例えば、遠位電極はアノードとして構成されてもよく、近位電極はカソードとして構成されてもよい。
【0124】
アブレーションデバイス(3600)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、任意の数のスプライン、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれを超えるスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(3600)は、3~20個のスプラインを含んでもよい。例えば、アブレーションデバイス(3600)は、4~12個のスプラインを含んでもよい。
【0125】
スプライン(3630)のセットのスプラインの各々は、組織への外傷を低減するように非侵襲的形状を有するそれぞれの電極(3640)を含んでもよい。例えば、電極(3640)は、心内膜組織に接触するように構成された、曲線的な、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分を含む、非侵襲的形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、電極(3640)は、第1のカテーテル(3610)の遠位にあるスプライン(3630)のいずれかの部分に沿って位置してもよい。電極(3640)は、サイズ、形状、および/またはそれぞれのスプラインに沿った位置が、同じであっても異なっていてもよい。
【0126】
このようにして、第2の構成にある電極は、本明細書に記載されるように、左心房の心房壁の一部に接近して保持されるかまたはそれに対して留置されて、任意の好適な極性の組み合わせを使用して適切な電極を作動させることによってその上に患部を直接生成し得る。例えば、スプライン(3630)のセットは、肺静脈(3650)(例えば、口または洞口)および/または後壁に隣接した心房(3652)の心房壁(3654)に対して接触して留置されてもよい。
【0127】
図37A~37Bは、アブレーションカテーテル(3730)および左心房(3700)の斜視図である。
図37Aは、左心房(3700)に配設されたアブレーションカテーテル(3730)の斜視図である。左心房(3700)は、肺静脈(3720)のセットおよび後壁(3710)を含む。アブレーションデバイス(3730)は、本明細書に記載されるアブレーションデバイス(3500、3600)に構造的および/または機能的に類似したものであってもよく、左心房(3700)の中に前進し、後壁(3710)の敏感な組織を貫通するおよび/または組織に外傷を生じさせることなく、左心房(3700)の後壁(3710)に近接しておよび/または接触して位置付けられてもよい。例えば、スプラインのセットは、可撓性かつ非侵襲的なスプラインが、デバイス(3730)のいずれの他の部分も後壁(3710)に接触することなく、後壁(3710)に隣接または接触し得るように、スプラインに結合したカテーテルの遠位端に対して遠位に延在してもよい。デバイス(3700)の最遠位部分が第2の構成にある(例えば、花形形状を有する)スプラインのセットのみを含む実施形態では、展開されたデバイスは、アブレーションデバイス(3700)からの外傷のリスクを最小限に抑えて、心臓壁などの薄い組織構造に係合し得る。パルス波形のセットが花形形状を有するアブレーションデバイス(3700)の電極によって適用されて、アブレーションゾーン(3740)内の組織がアブレーションされてもよい。
【0128】
図37Bは、組織アブレーション後の左心房(3700)の斜視図の概略である。アブレーションデバイス(3700)を使用して、アブレーションゾーン(3740、3742、3744)のセットを左心房(3700)の後壁(3710)に生成してもよい。例えば、アブレーションデバイス(3730)のスプラインのうちの1つ以上にある電極のうちの1つ以上を作動させ、これを完了したアブレーション間のカテーテルの運動とともに繰り返すことで、アブレーションゾーン(3740、3742、3744)のセットを左心房(3700)の後壁(3710)に沿って生成してもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションゾーン(3740、3742、3744)は、互いに部分的に重なり合ってもよい。これらの連続し重なり合ったアブレーションゾーンは、アブレーション(3746)の厚いラインをおよそ形成し得る。1つ以上のアブレーションラインは、他のアブレーションライン(例えば、肺静脈洞口または口の周囲に生成されたもの)および/またはアブレーションゾーンに接続し、それにより箱型患部を創出してもよい。例えば、連続したアブレーションゾーンのセットがアブレーションデバイス(3730)によって形成されて、肺静脈(3720)のうちの1つ以上も囲む左心房(3700)の後壁(3710)の周囲に箱型患部を形成してもよい。このようにして、連続貫壁患部がすべての肺静脈の周囲に生成され、その結果、肺静脈の電気的絶縁が生じ、所望の治療結果が得られ得る。いくつかの実施形態では、アブレーションゾーン(3740、3742、3744)のセットの各アブレーションゾーンは、直径が、約2cm~約6cmであってもよい。例えば、アブレーションゾーンは、直径が、約2.3cm~約4.0cmであってもよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、電極または電極のサブセットは、独立してアドレス指定可能であり得るので、電極は、不可逆的電気穿孔によって組織をアブレーションするのに十分な任意のパルス波形を使用して任意のシーケンスで通電され得る。スプライン上およびスプライン間の電極のサイズ、形状、および間隔は、1つ以上の肺静脈を電気的に絶縁するために十分なエネルギーを送達するように構成されてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、代替電極は同じ電位であってもよく、他のすべての代替電極についても同様であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、アブレーションは、すべての電極を同時に作動させて迅速に送達され得る。様々なそのような電極対のオプションが存在し、その利便性に基づいて実装されてもよい。
【0130】
図27Aおよび27Bは、アブレーションデバイス(2700)の実施形態の側面図であり、アブレーションデバイス(2700)は、デバイス(2700)の近位端でのカテーテルシャフト(2710)と、デバイス(2700)の遠位端でカテーテルシャフト(2710)に結合したスプライン(2720)のセットとを含む。アブレーションデバイス(2700)は、スプライン(2720)のセットの1つ以上のスプラインを介して、使用中にパルス波形を組織に送達するように構成されてもよい。アブレーションデバイス(2700)の各スプライン(2720)は、スプライン(2720)の表面(例えば、遠位端)上に形成された1つ以上の場合により独立してアドレス指定可能な電極(2730)を含んでもよい。各電極(2730)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。スプライン(2720)のセットの各スプラインは、スプライン(2720)の胴体に(例えば、スプライン(2720)の管腔内に)形成された各電極(2730)の絶縁導線を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極(2730)は、それらのそれぞれのスプライン(2720)の遠位端に形成されてもよい。
【0131】
スプライン(2720)のセットは、アブレーションデバイス(2700)の遠位部分で送達アセンブリを形成してもよく、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成されてもよい。第1の構成にあるスプライン(2720)のセットは、アブレーションデバイス(2700)の長手方向軸に概して平行であり、ともに接近して離間していてもよい。第2の構成にあるスプライン(2720)のセットが
図27Aおよび27Bに描かれており、ここでは、スプライン(2720)のセットは、カテーテルシャフト(2710)の遠位端から出て延在し、アブレーションデバイス(2700)の長手方向軸および他のスプライン(2720)から離れて付勢される(例えば、湾曲する)。このようにして、スプライン(2720)は、心内膜腔の幾何形状により容易に一致し得る。送達アセンブリは、パルス波形を送達する前には第1の構成で配設され、左心房の後壁などの心臓組織の一部または心室へと第2の構成に移行してもよい。不可逆的電気穿孔パルス波形を送達するそのようなデバイスは、フォーカルアブレーションのための大型の患部を生成し得る。
【0132】
スプライン(2720)のセットの遠位端は、カテーテルシャフト(2710)の遠位端の長手方向軸から離れて付勢され、かつ他のスプラインから離れて付勢されるように構成されてもよい。スプライン(2720)のセットの各スプラインは、可撓性の湾曲を含んでもよい。スプライン(2720)の最小曲率半径は、約1cm以上の範囲であってもよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、スプライン(2720)のセットの近位端は、カテーテルシャフト(2710)の遠位端に摺動可能に結合してもよい。このため、スプライン(2720)のセットの長さは、
図27Aおよび27Bに示されるように、変動してもよい。スプライン(2720)のセットがカテーテルシャフト(2710)から出てさらに延在すると、スプライン(2720)のセットの遠位端は、互いにかつカテーテルシャフト(2710)の長手方向軸からさらに離れて付勢されてもよい。スプライン(2720)のセットは、独立してまたは1つ以上のグループで、カテーテルシャフト(2710)から出て摺動可能に前進してもよい。例えば、スプライン(2720)のセットは、第1の構成でカテーテルシャフト(2710)内に配設されてもよい。スプライン(2720)は、次に、カテーテルシャフト(2710)から出て前進し、第2の構成に移行してもよい。スプライン(2720)は、すべて一緒に前進してもよく、あるいはアノード電極(2730)に対応するスプライン(2720)のセットがカソード電極(2730)に対応するスプライン(2720)のセットとは別個に前進するように、前進してもよい。いくつかの実施形態では、スプライン(2720)は独立して前進してもよい。第2の構成では、電極(2730)は、カテーテルシャフト(2710)の遠位端の長手方向軸に関して長手方向および/または横方向にカテーテルシャフト(2710)から離れて付勢される。これにより、心内膜表面に対する電極(2730)の送達および位置付けが支援され得る。いくつかの実施形態では、スプライン(2720)のセットの各々は、カテーテルシャフト(2710)の遠位端から最大約5cm延在してもよい。
【0134】
いくつかの実施形態では、スプライン(2720)のセットは、カテーテルシャフト(2710)の遠位端からの長さが固定されていてもよい。スプライン(2720)は、カテーテルシャフト(2710)の遠位端から等しい長さで延在しても、等しくない長さで延在してもよい。例えば、曲率半径が隣接するスプラインより大きいスプラインは、カテーテルシャフト(2710)から、隣接するスプラインよりもさらに延在してもよい。スプライン(2720)のセットは、ガイドシースの管腔によって拘束されて、スプライン(2720)のセットが第1の構成においてカテーテルシャフト(2710)の長手方向軸に実質的に平行であるようにする。
【0135】
これらの実施形態のいくつかでは、ハンドル(図示せず)は、スプラインのセットに結合してもよい。ハンドルは、スプラインのセットの第1の構成と第2の構成との間の移行を発動するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、電極(2730)のセットの少なくとも2つの電極の導線は、例えばハンドル内など、アブレーションデバイスの近位部分またはその付近で電気的に結合してもよい。この場合、電極(2730)は、これらの電極(2730)がアブレーション中に同じ電位であるようにデバイス(2700)のハンドル内でともに電気的に配線され得る。
【0136】
スプライン(2720)のセットのスプラインの各々は、スプライン(2720)のセットの遠位端でそれぞれの電極(2730)を含んでもよい。電極の(2730)のセットは、組織への外傷を減少させるために非侵襲的形状を含んでもよい。例えば、電極(2730)は、心内膜組織に接触するように構成された、曲線的な、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分を含む、非侵襲的形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、電極(2730)は、カテーテルシャフト(2710)の遠位にあるスプライン(2720)のいずれかの部分に沿って位置してもよい。電極(2730)は、サイズ、形状、および/またはそれぞれのスプラインに沿った位置が、同じであっても異なっていてもよい。
【0137】
一実施形態では、スプライン(2720)上の電極(2730)はアノードとして構成されてもよく、一方で隣接するスプライン(2720)上の電極(2730)はカソードとして構成されてもよい。アブレーションデバイス(2700)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、任意の数のスプライン、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれを超えるスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(2700)は、3~20個のスプラインを含んでもよい。例えば、アブレーションデバイス(2700′)は、6~12個のスプラインを含んでもよい。
【0138】
図27Aおよび27Bは、アブレーションデバイス(2700)の実施形態の側面図であり、アブレーションデバイス(2700)は、デバイス(2700)の近位端でカテーテルシャフト(2710)を、デバイス(2700)の遠位端でカテーテルシャフト(2710)に結合したスプライン(2720)のセットを含む。アブレーションデバイス(2700)は、スプライン(2720)のセットの1つ以上のスプラインを介して、使用中にパルス波形を組織に送達するように構成されてもよい。アブレーションデバイス(2700)の各スプライン(2720)は、スプライン(2720)の表面(例えば、遠位端)上に形成された1つ以上の場合により独立してアドレス指定可能な電極(2730)を含んでもよい。各電極(2730)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。スプライン(2720)のセットの各スプラインは、スプライン(2720)の胴体に(例えば、スプライン(2720)の管腔内に)形成された各電極(2730)の絶縁導線を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極(2730)は、それらのそれぞれのスプライン(2720)の遠位端に形成されてもよい。
【0139】
スプライン(2720)のセットは、アブレーションデバイス(2700)の遠位部分で送達アセンブリを形成してもよく、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成されてもよい。第1の構成にあるスプライン(2720)のセットは、アブレーションデバイス(2700)の長手方向軸に概して平行であり、ともに接近して離間していてもよい。第2の構成にあるスプライン(2720)のセットが
図27Aおよび27Bに描かれており、ここでは、スプライン(2720)のセットは、カテーテルシャフト(2710)の遠位端から出て延在し、アブレーションデバイス(2700)の長手方向軸および他のスプライン(2720)から離れて付勢される(例えば、湾曲する)。このようにして、スプライン(2720)は、心内膜腔の幾何形状により容易に一致し得る。送達アセンブリは、パルス波形を送達する前には第1の構成で配設され、左心房の後壁などの心臓組織の一部または心室へと第2の構成に移行してもよい。不可逆的電気穿孔パルス波形を送達するそのようなデバイスは、フォーカルアブレーションのための大型の患部を生成し得る。
【0140】
スプライン(2720)のセットの遠位端は、カテーテルシャフト(2710)の遠位端の長手方向軸から離れて付勢され、かつ他のスプラインから離れて付勢されるように構成されてもよい。スプライン(2720)のセットの各スプラインは、可撓性の湾曲を含んでもよい。スプライン(2720)の最小曲率半径は、約1cm以上の範囲であってもよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、スプライン(2720)のセットの近位端は、カテーテルシャフト(2710)の遠位端に摺動可能に結合してもよい。このため、スプライン(2720)のセットの長さは、
図27Aおよび27Bに示されるように、変動してもよい。スプライン(2720)のセットがカテーテルシャフト(2710)から出てさらに延在すると、スプライン(2720)のセットの遠位端は、互いにかつカテーテルシャフト(2710)の長手方向軸からさらに離れて付勢されてもよい。スプライン(2720)のセットは、独立してまたは1つ以上のグループで、カテーテルシャフト(2710)から出て摺動可能に前進してもよい。例えば、スプライン(2720)のセットは、第1の構成でカテーテルシャフト(2710)内に配設されてもよい。スプライン(2720)は、次に、カテーテルシャフト(2710)から出て前進し、第2の構成に移行してもよい。スプライン(2720)は、すべて一緒に前進してもよく、あるいはアノード電極(2730)に対応するスプライン(2720)のセットがカソード電極(2730)に対応するスプライン(2720)のセットとは別個に前進するように、前進してもよい。いくつかの実施形態では、スプライン(2720)は独立して前進してもよい。第2の構成では、電極(2730)は、カテーテルシャフト(2710)の遠位端の長手方向軸に関して長手方向および/または横方向にカテーテルシャフト(2710)から離れて付勢される。これにより、心内膜表面に対する電極(2730)の送達および位置付けが支援され得る。いくつかの実施形態では、スプライン(2720)のセットの各々は、カテーテルシャフト(2710)の遠位端から最大約5cm延在してもよい。
【0142】
いくつかの実施形態では、スプライン(2720)のセットは、カテーテルシャフト(2710)の遠位端からの長さが固定されていてもよい。スプライン(2720)は、カテーテルシャフト(2710)の遠位端から等しい長さで延在しても、等しくない長さで延在してもよい。例えば、曲率半径が隣接するスプラインより大きいスプラインは、カテーテルシャフト(2710)から、隣接するスプラインよりもさらに延在してもよい。スプライン(2720)のセットは、ガイドシースの管腔によって拘束されて、スプライン(2720)のセットが第1の構成においてカテーテルシャフト(2710)の長手方向軸に実質的に平行であるようにする。
【0143】
これらの実施形態のいくつかでは、ハンドル(図示せず)は、スプラインのセットに結合してもよい。ハンドルは、スプラインのセットの第1の構成と第2の構成との間の移行を発動するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、電極(2730)のセットの少なくとも2つの電極の導線は、例えばハンドル内など、アブレーションデバイスの近位部分またはその付近で電気的に結合してもよい。この場合、電極(2730)は、これらの電極(2730)がアブレーション中に同じ電位であるようにデバイス(2700)のハンドル内でともに電気的に配線され得る。
【0144】
スプライン(2720)のセットのスプラインの各々は、スプライン(2720)のセットの遠位端でそれぞれの電極(2730)を含んでもよい。電極の(2730)のセットは、組織への外傷を減少させるために非侵襲的形状を含んでもよい。例えば、電極(2730)は、心内膜組織に接触するように構成された、曲線的な、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分を含む、非侵襲的形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、電極(2730)は、カテーテルシャフト(2710)の遠位にあるスプライン(2720)のいずれかの部分に沿って位置してもよい。電極(2730)は、サイズ、形状、および/またはそれぞれのスプラインに沿った位置が、同じであっても異なっていてもよい。
【0145】
一実施形態では、スプライン(2720)上の電極(2730)はアノードとして構成されてもよく、一方で隣接するスプライン(2720)上の電極(2730)はカソードとして構成されてもよい。アブレーションデバイス(2700)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、任意の数のスプライン、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれを超えるスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(2700)は、3~20個のスプラインを含んでもよい。例えば、アブレーションデバイス(2700′)は、6~12個のスプラインを含んでもよい。
【0146】
図27A~27Bでは、1個の電極(2730)は、各スプライン(2720)が1個の絶縁導線を含むように、各スプライン(2720)の表面上に形成される。このため、スプライン(2720)の管腔の直径が減少し、スプライン(2720)がより厚く、より機械的に堅牢になり得る。その結果、絶縁の絶縁破壊がさらに減少することで、各スプライン(2720)およびアブレーションデバイス(2700)の信頼性および寿命が改善され得る。さらに、いくつかの実施形態では、スプラインの曲率半径は、スプラインの長さにわたって変動してもよい。例えば、曲率半径は、単調に増加するものであってもよい。そのような変動性の曲率半径により、心内膜組織のいくつかの場所での電極(2730)の位置付けが支援され得る。スプライン(2720)は、材料、厚さ、および/または曲率半径が同じであっても異なっていてもよい。例えば、各スプラインの厚さは、遠位に減少してもよい。
【0147】
このようにして、第2の構成にある電極は、例えば左心房の後壁に押し付けられて、任意の好適な極性の組み合わせを使用して適切な電極を作動させることによってその上に局在性または局限性の患部を直接生成し得る。例えば、隣接する電極(2730)は、反対の極性で構成されてもよい。
【0148】
電極または電極のサブセットは、独立してアドレス指定可能であり得るので、電極は、不可逆的電気穿孔によって組織をアブレーションするのに十分な任意のパルス波形を使用して任意のシーケンスで通電され得る。例えば、本明細書でさらに詳細に考察されるように、異なる電極のセットは、異なるパルスのセット(例えば、階層的なパルス波形)を送達してもよい。スプライン上およびスプライン間の電極のサイズ、形状、および間隔は、心内膜組織の比較的広いエリアにわたって貫壁患部を送達するように構成されてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、代替電極は同じ電位であってもよく、他のすべての代替電極についても同様であり得る。したがって、アブレーションは、すべての電極を同時に作動させて迅速に送達することができる。様々なそのような電極対合のオプションが存在し、その利便性に基づいて実装されてもよい。
【0149】
図27Cを参照すると、別段の指示がない限り、
図27A~27Bの参照番号と同様の参照番号を伴う構成要素(例えば、
図27A~27Bの電極(2730)および
図27Cの電極(2730′))は、構造的および/または機能的に同様であることが理解される。
図27Cは、各スプライン(2720′)が電極(2730′、2740)の対を含む、スプライン(2720′)のセットを示す。
【0150】
アブレーションデバイス(2700′)は、デバイス(2700′)の近位端でのカテーテルシャフト(2710′)と、デバイス(2700′)の遠位端でカテーテルシャフト(2710′)に結合したスプライン(2720′)のセットとを含む。アブレーションデバイス(2700′)は、スプライン(2720′)のセットの1つ以上のスプラインを介して、使用中にパルス波形を組織に送達するように構成されてもよい。アブレーションデバイス(2700′)の各スプライン(2720′)は、スプライン(2720′)の表面上に形成された1つ以上の独立してアドレス指定可能な電極(2730′、2740)を含んでもよい。各電極(2730′、2740)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。スプライン(2720′)のセットの各スプラインは、スプライン(2720′)の胴体に(例えば、スプライン(2720′)の管腔内に)形成された各電極(2730′、2740)の絶縁導線を含んでもよい。スプライン(2720′)の各電極(2730′、2740)は、サイズおよび形状が、ほぼ同じであってもよい。さらに、スプライン(2720′)の各電極(2730′、2740)は、サイズ、形状、および間隔が、隣接するスプライン(2720′)の電極(2730′、2740)とほぼ同じであってもよい。他の実施形態では、電極(2730′、2740)のサイズ、形状、数、および間隔は異なっていてもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(2700′)の電極(2730′、2740)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、長さが約0.5mm~約5.0mm、断面寸法(例えば、直径)が約0.5mm~約4.0mmであってもよい。第2の構成にあるスプラインワイヤ(2720′)は、互いから約5.0mm~約20.0mm(間のすべての値および部分範囲を含めて)のアブレーションデバイス(2700′)の遠位端における程度Sdまで外に広がってもよく、カテーテルシャフト(2710′)の遠位端から、間のすべての値および部分範囲を含めて約8.0mm~約20.0mmの長さSlだけ延在してもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(2700′)は、4個のスプライン、5個のスプライン、または6個のスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、各スプラインは、独立して、1個の電極、2個の電極、または3個以上の電極を含んでもよい。
【0152】
スプライン(2720′)のセットは、アブレーションデバイス(2700′)の遠位部分で送達アセンブリを形成してもよく、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成されてもよい。第1の構成にあるスプライン(2720′)のセットは、アブレーションデバイス(2700)の長手方向軸に概して平行であり、ともに接近して離間していてもよい。第2の構成にあるスプライン(2720′)のセットが
図27Cに描かれており、ここでは、スプライン(2720′)のセットは、カテーテルシャフト(2710′)の遠位端から出て延在し、アブレーションデバイス(2700′)の長手方向軸および他のスプライン(2720′)から離れて付勢される(例えば、湾曲する)。このようにして、スプライン(2720′)は、心内膜腔の幾何形状により容易に一致し得る。送達アセンブリは、パルス波形を送達する前には第1の構成で配設され、第2の構成に移行して、心内膜組織の領域に接触し、本明細書に開示されるように不可逆的電気穿孔のためにパルス波形を送達するときに、大型の局限性患部を生成してもよい。いくつかの実施形態では、
図27Cに描かれる第2の構成にある電極(2730′)(「遠位電極」と称される場合もある)は、心内膜組織に接触し、それに押し付けられるように構成されてもよいが、第2の構成にある電極(2740)(「近位電極」と称される場合もある)は、心内膜組織と接触しないことがある。このようにして、血液プールを通した近位電極と遠位電極との間の伝導に起因して電極によって生成された電界により、組織のフォーカルアブレーションが得られる。
【0153】
いくつかの実施形態では、スプライン(2720′)のセットの近位端は、カテーテルシャフト(2710′)の遠位端に摺動可能に結合してもよい。スプライン(2720′)のセットがカテーテルシャフト(2710′)から出てさらに延在すると、スプライン(2720′)のセットの遠位端は、互いにかつカテーテルシャフト(2710′)の長手方向軸からさらに離れて付勢されてもよい。スプライン(2720′)のセットは、独立してまたは1つ以上のグループで、カテーテルシャフト(2710′)から出て摺動可能に前進してもよい。例えば、スプライン(2720′)のセットは、第1の構成でカテーテルシャフト(2710′)内に配設されてもよい。スプライン(2720′)は、次に、カテーテルシャフト(2710′)から出て前進し、第2の構成に移行してもよい。スプライン(2720′)は、すべて一緒に前進してもよく、あるいはアノード電極(2730)に対応するスプライン(2720′)のセットがカソード電極(2730′、2740)に対応するスプライン(2720′)のセットとは別個に前進するように、前進してもよい。いくつかの実施形態では、スプライン(2710′)は、カテーテルシャフト(2710′)のそれぞれの管腔(例えば、シース)を通って独立して前進してもよい。第2の構成では、電極(2730′、2740)は、カテーテルシャフト(2710′)の遠位端の長手方向軸に関して長手方向および/または横方向にカテーテルシャフト(2710′)から離れて付勢される。これにより、送達および心内膜表面に対する電極(2730′、2740)の位置付けが支援され得る。いくつかの実施形態では、スプライン(2720′)のセットの各々は、カテーテルシャフト(2710′)の遠位端から最大約5cmだけ延在してもよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、遠位電極(2730′)は、同じ極性を有してもよく、一方で隣接する近位電極(2740)は、遠位電極(2730′)と反対の極性を有してもよい。このようにして、フォーカルアブレーションのために、遠位電極と近位電極との間に電界が発生し得る。
【0155】
これらの実施形態のいくつかでは、ハンドル(図示せず)は、スプラインのセットに結合してもよい。ハンドルは、スプラインのセットの第1の構成と第2の構成との間の移行を発動するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、電極(2730′、2740)のセットの少なくとも2つの電極の導線は、例えばハンドル内など、アブレーションデバイスの近位部分またはその付近で電気的に結合してもよい。いくつかの実施形態では、電極(2730′、2740)は、これらの電極(2730′、2740)がアブレーション中に同じ電位であるようにデバイス(2700′)のハンドル内でともに電気的に配線され得る。
【0156】
電極の(2730′、2740)のセットは、組織への外傷を減少させるために非侵襲的形状を含んでもよい。例えば、電極(2730′、2740)は、心内膜組織に接触するように構成された、曲線的な、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分を含む、非侵襲的形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、電極(2730′、2740)は、カテーテルシャフト(2710′)の遠位にあるスプライン(2720′)のいずれかの部分に沿って位置してもよい。電極(2730′、2740)は、サイズ、形状、および/またはそれぞれのスプラインに沿った位置が、同じであっても異なっていてもよい。スプライン(2720′)のうちの1つ以上は、3つ以上の電極を含んでもよい。
【0157】
いくつかの実施形態では、スプライン(2720′)上の電極(2730′)の各々はアノードとして構成されてもよく、一方で隣接するスプライン(2720′)上の電極(2730′)の各々はカソードとして構成されてもよい。別の実施形態では、1つのスプライン上の電極(2730′)の各々は、アノードとカソードとで交互であってもよく、隣接するスプラインの電極の各々は、逆の構成(例えば、カソードとアノード)を有する。いくつかの実施形態では、電極のサブセットは、これらの電極がアブレーション中に同じ電位であるようにデバイスのハンドル内でともに電気的に配線され得る。他の実施形態では、同様に、電極(2730)のサイズ、形状、および間隔は異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、隣接する遠位電極(2730′)と近位電極(2740)とは、アノード-カソード対を形成してもよい。例えば、遠位電極(2730′)はアノードとして構成されてもよく、近位電極(2740)はカソードとして構成されてもよい。
【0158】
アブレーションデバイス(2700′)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、任意の数のスプライン、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれを超えるスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(2700′)は、3~20個のスプラインを含んでもよい。例えば、アブレーションデバイス(2700′)は、6~12個のスプラインを含んでもよい。
【0159】
図27Cでは、2個の電極(2730′、2740)は、各スプライン(2720′)が2個の絶縁導線を含むように、各スプライン(2720′)の表面上に形成される。各スプラインの厚さは、スプライン(2720′)の絶縁導線の数に対応し得る、各スプライン(2720′)上に形成された電極の数に基づいて変動してもよい。スプライン(2720′)は、材料、厚さ、および/または曲率半径が同じであっても異なっていてもよい。例えば、各スプライン(2720′)の厚さは、遠位に減少してもよい。
【0160】
このようにして、第2の構成にある電極は、心内膜組織の一部に対して留置されて、不可逆的電気穿孔用のパルス波形を送達するために任意の好適な極性の組み合わせを使用して適切な電極を作動させることによって、その上に直接患部を生成し得る。例えば、隣接する電極(2730′、2740)は、反対の極性で構成されてもよい。
【0161】
電極は、独立してアドレス指定可能であり得るので、電極は、不可逆的電気穿孔によって組織をアブレーションするのに十分な任意のパルス波形を使用して任意のシーケンスで通電され得る。例えば、本明細書でさらに詳細に考察されるように、異なる電極のセットは、異なるパルスのセット(例えば、階層的なパルス波形)を送達してもよい。スプライン上およびスプライン間の電極のサイズ、形状、および間隔は、1つ以上の肺静脈を電気的に絶縁するために連続/貫壁エネルギーを送達するように構成されてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、代替電極は同じ電位であってもよく、他のすべての代替電極についても同様であり得る。したがって、アブレーションは、すべての電極を同時に作動させて迅速に送達することができる。様々なそのような電極対合のオプションが存在し、その利便性に基づいて実装されてもよい。
【0162】
図28は、デバイス(2800)の近位端にあるカテーテルシャフト(2810)、デバイス(2800)の遠位キャップ(2812)、およびそれに結合したスプライン(2814)のセットを含む、アブレーションデバイス(2800)のさらに別の実施形態の側面図である。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(2800)は、本明細書に記載されるように、フォーカルアブレーションを介して患部を心内膜表面に形成するのに有用である。
【0163】
遠位キャップ(2812)は、本明細書でさらに詳細に記載されるように、非侵襲的形状および1つ以上の独立してアドレス指定可能な電極(2816)(「遠位電極」と称される場合もある)を含んでもよい。スプライン(2814)のセットの近位端は、カテーテルシャフト(2810)の遠位端に結合されてもよく、スプライン(2814)のセットの遠位端は、デバイス(2800)の遠位キャップ(2812)に係留されてもよい。アブレーションデバイス(2800)の各スプライン(2814)は、スプライン(2814)の表面上に形成された1つ以上の独立してアドレス指定可能な電極(2818)(「近位電極」と称される場合もある)を含んでもよい。各電極(2816、2818)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その間の厚さ全体で、間のすべての値および部分範囲を含めて約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。各スプライン(2814)は、スプライン(2814)の胴体に(例えば、スプライン(2814)の管腔内に)形成された各電極(2818)の絶縁導線を含んでもよい。スプライン(2818)のうちの1つ以上は、遠位電極(2816)の絶縁導線をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極(2816、2818)のサイズおよび/または形状は、互いに異なってもよい。
【0164】
スプライン(2814)のセットおよび近位電極(2818)の構成により、アブレーションデバイス(2800)によって生成されるフォーカルアブレーション患部の深度、形状、および/または直径/サイズが制御され得る。アブレーションデバイス(2800)は、スプライン(2814)のセットがアブレーションデバイス(2800)の長手方向軸に概して平行に配列される第1の構成と、スプライン(2814)のセットがアブレーションデバイス(2800)の長手方向軸から半径方向外向きにたわむ第2の構成との間で移行するように構成されてもよい。スプライン(2814)のセットは、第1の構成と第2の構成との間の任意の中間構成へと連続的にまたは別個のステップで移行してもよいことが理解される。
【0165】
所定の構成を使用して電極を作動させることで、フォーカルアブレーションスポットのサイズをスプライン(2814)の拡張に基づいて制御することによる標的化された正確なフォーカルアブレーションがもたらされ得る。例えば、いくつかの実施形態では、遠位電極(2816)は、第1の極性で構成されてもよく、1つ以上の近位電極(2818)は、第1の極性と反対の第2の極性で構成されてもよい。アブレーションデバイス(2800)の近位電極(2818)が第1の構成にあるとき、比較的小さい/より集中的な直径を有する高強度の電界により、直径が比較的小さく、深度がより深い、心内膜表面上のフォーカルアブレーション患部が得られる。アブレーションデバイス(2800)の近位電極(2818)が第2の構成にあるときには、比較的より分散した電界が発生し、これにより、第1の構成にあるときよりも比較的広く、より浅い、心内膜表面上のフォーカルアブレーション患部が得られる。このようにして、スプライン(2814)の拡張の程度を変動させることにより、患部の深度、形状、および/またはサイズを、アブレーションデバイス(2800)を交換することなく制御することができる。そのような態様は、同じアブレーションデバイスを使用して様々なサイズおよび/または深度の複数の患部を創出するのに有用である。
【0166】
遠位キャップ(2812)は、心内膜組織に押し付けるように配設されてもよく、一方で第1の構成または第2の構成のいずれかにある近位電極(2818)は、心内膜組織に接触しないように構成されてもよい。遠位電極(2816)が心内膜組織に接触する必要はないことを理解されたい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、ハンドル(図示せず)がスプライン(2814)のセットに結合してもよく、ハンドルは、スプライン(2814)のセットの第1の構成と第2の構成との間の移行を発動するように構成される。いくつかの実施形態では、電極のセットの少なくとも2つの電極の導線は、例えばハンドル内など、アブレーションデバイス(2800)の近位部分またはその付近で電気的に結合してもよい。
【0167】
いくつかの実施形態では、遠位電極(2816)および近位電極(2818)は、アノード-カソード対を形成してもよい。例えば、遠位電極(2816)はアノードとして構成されてもよく、近位電極(2818)の各々はカソードとして構成されてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(2800)は、3~12個のスプラインを含むことができる。アブレーションデバイス(2800)は、任意の数のスプライン、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれを超えるスプラインを含むことができる。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(2800)は、3~20個のスプラインを含んでもよい。例えば、一実施形態では、アブレーションデバイス(2800)は、6~10個のスプラインを含んでもよい。さらに、いくつかの実施形態では、拡張したスプライン(2814)のセットの形状は、例えば、その遠位部分がその近位部分よりも球根状または曲線的である状態で、非対称であってもよい。そのような球根状の遠位部分(同様に近位電極の位置)により、フォーカルアブレーションのサイズおよび深度のさらなる制御が支援され得る。
【0168】
図28に描かれる第1の平面(2822)は、カテーテルシャフト(2810)の長手方向軸に直交する平面を指してもよい。遠位キャップ(2812)は、例えば、肺静脈の管腔壁などの第1の平面(2812)内にある心内膜表面に押し付けられて、任意の好適な極性の組み合わせを使用して適切な電極を作動させることによってその上にフォーカルアブレーション患部を直接生成してもよい。例えば、遠位電極(2816)は、心内膜表面に押し付けられて、フォーカルアブレーション患部(例えば、スポット患部)を形成するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の近位電極(2818)は、遠位電極(2816)の極性と反対の極性で構成されてもよい。逆に、近位電極(2818)のうちの1つ以上は、遠位電極(2816)と同じ極性で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、異なるスプライン(2814)上の近位電極(2818)は、アノードとカソードとで交互になっていてもよい。
【0169】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(2800)の遠位電極(2816)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、長さが約0.5mm~約7.0mm、断面寸法(例えば、直径)が約0.5mm~約4.0mmであってもよい。いくつかの実施形態では、近位電極(2818)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、長さが約0.5mm~約5.0mm、直径が約0.5mm~約2.5mmであってもよい。遠位電極(2816)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、近位電極(2818)から約3.0mm~約12.0mmの長さだけ離れていてもよい。遠位キャップ(2812)に配設された遠位電極(2816)は、遠位キャップ(2812)の遠位端から、間のすべての値および部分範囲を含めて約1.0mm~約4.0mm離れて位置してもよい。いくつかの実施形態では、遠位キャップ(2812)の遠位端は、遠位電極(2816)を含んでもよい。1つ以上のフォーカルアブレーションゾーンは、間のすべての値および部分範囲を含めて約1.0cm~約2.0cmの直径を含んで形成されてもよい。
【0170】
図29A~29Dは、アブレーションデバイス(2900)のさらに別の実施形態の側面図であり、アブレーションデバイス(2900)は、外側カテーテルまたはシース(2902)と、管腔の遠位端から延在するように外側カテーテル管腔内で摺動可能である内側カテーテル(2910、2920)のセットとを含む。外側カテーテルは長手方向軸を画定してもよい。外側カテーテル(2902)の内径は約0.7mm~約3mmであってもよく、外側カテーテル(2902)の外径は約2mm~約5mmであってもよい。
図29A、29Dで最もよく見られるように、アブレーションデバイス(2900)は、第1の近位部分(2912)、第1の遠位部分(2914)、および例えば第1の遠位部分(2914)の表面上などの第1の遠位部分(2914)上に形成された第1の電極(2916)を有する第1のカテーテル(2910)を含む。第1の近位部分(2912)は、第1のヒンジ(2918)を介して第1の遠位部分(2914)に結合してもよい。第2のカテーテル(2920)は、第2の近位部分(2922)、第2の遠位部分(2924)、および第2の遠位部分(2924)上に形成された第2の電極(2926)を含む。第2の近位部分(2922)は、第2のヒンジ(2928)を介して第2の遠位部分(2924)に結合してもよい。
【0171】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(2900)は、本明細書に記載されるように、フォーカルアブレーションを介して患部を心内膜表面に形成するのに有用である。カテーテル(2910、2920)の遠位端および/または電極(2916、2922)は、組織への外傷を減少させるために非侵襲的形状を含んでもよい。例えば、カテーテル(2910、2920)の遠位端および/または電極(2916、2922)は、心内膜組織に接触するように構成された、曲線的な、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分を含む、非侵襲的形状を有してもよい。
【0172】
各電極(2916、2926)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その間の厚さ全体で、間のすべての値および部分範囲を含めて約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。各カテーテル(2910、2920)は、カテーテル(2910、2920)の胴体に(例えば、カテーテル(2910、2920)の管腔内に)形成された各電極(2916、2926)の絶縁導線を含んでもよい。電極(2916、2926)の各々は、カテーテル(2910、2920)の近位部分に結合したハンドル(図示せず)に繋がる対応する絶縁導線に接続していてもよい。いくつかの実施形態では、電極(2916、2926)のサイズ、形状、および/または場所は、互いに異なってもよい。
【0173】
いくつかの実施形態では、カテーテル(2910、2920)および電極(2916、2926)の構成により、アブレーションデバイス(2900)によって生成されるフォーカルアブレーション患部の深度、形状、および/または直径/サイズが制御され得る。第1および第2のカテーテル(2910、2920)は、外側カテーテル(2902)の長手方向軸に沿って移行するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(2900)は、カテーテル(2910、2920)のセットが外側カテーテル(2902)の長手方向軸に概して平行に配列され、カテーテル(2910、2920)の遠位部分が外側カテーテル(2902)内に配設される、第1の構成(例えば、
図29A)と、電極(2916、2926)が外側カテーテル管腔(2902)の遠位端(2903)から出て、そこから任意の好適な距離だけ離れて前進する第2の構成と、各カテーテル(2910、2920)の遠位部分が、その対応するカテーテル(2910、2920)の近位部分に対してその対応するヒンジ(2918、2928)を中心として回転し得るか、捻られ得るか、または曲げられ得る、第3の構成(例えば、
図29B~29D)との間で移行するように構成されてもよい。例えば、
図29B~29Cに最もよく示されるように、第1のカテーテル(2910)は、遠位部分(2914)を近位部分(2912)に対して複数の位置に位置決めするように構成されてもよい第1のヒンジ(2918)を中心として回転可能な遠位部分(2914)を含んでもよい。第2および第3の構成にあるカテーテル(2910、2912)は、外側カテーテル(2902)の長手方向軸から離れて付勢されるように、互いから離れて角度が付けられてもよい。近位部分(2912、2922)の遠位端は、約5度~約75度の長手方向軸に沿った角度を形成してもよい(例えば、
図29D)。アブレーションデバイス(2900)は、第1の構成、第2の構成、および第3の構成の間の任意の中間構成へと連続的にまたは別個のステップで移行してもよいことが理解される。
【0174】
いくつかの実施形態では、血液プールおよび/または心内膜組織を通した電極間の伝導により、電界の発生および心内膜表面へのアブレーションエネルギーとしての電界の印加が生じる。電極は、左心房の心房壁の一部に物理的に接近して保持されるかまたはそれに物理的に接触して留置されて、任意の好適な極性の組み合わせを使用して電極のうちの1つ以上を作動させることによってその上に患部を生成し得る。このようにして、所定の構成を使用して電極を作動させることで、フォーカルアブレーションスポットサイズをカテーテル(2910、2920)の近位部分(2912、2922)に対する電極(2916、2926)の位置および配向に基づいて制御することによる標的化された正確なフォーカルアブレーションがもたらされ得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の電極(2916)は、第1の極性で構成されてもよく、第2の電極(2926)は、第1の極性と反対の第2の極性で構成されてもよい。電極(2916、2926)が回転して、それらが互いに比較的接近するようになるとき(例えば、近位部分(2912)および遠位部分(2914)が鋭角(2950)を形成するとき)、比較的小さい/より集中的な直径を有する比較的高い強度の電界により、直径が比較的小さく、深度が良好な、心内膜表面上のフォーカルアブレーション患部が得られる。単に非限定的な例示目的として、関節のあるヒンジにおいて形成された鋭角は、約15度~約70度の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、フォーカルアブレーションゾーン内の電界強度は、約200V/cm以上であってもよい。電極(2916、2926)がそれらの対応するヒンジ(2918、2928)を中心として回転して、それらが互いに比較的離れるようになるとき(例えば、近位部分(2912)および遠位部分(2914)がより大きい角度を形成するとき)、比較的分散し、より低い強度の電界が発生し、これにより、比較的広く、より浅い、心内膜表面上のフォーカルアブレーション患部が得られる。このようにして、カテーテル(2910、2920)の近位部分(2912、2922)に対する電極(2916、2926)の回転の程度を変動させることにより、患部の深度、形状、および/またはサイズを、アブレーションデバイス(2900)を交換することなく制御することができる。そのような態様は、同じアブレーションデバイスを使用して様々なサイズ、形状、および/または深度の複数の患部を創出するのに有用である。例えば、患部の直径は約2mm~約3cmであってもよく、患部の深度は約2mm~約12mmであってもよい。電極(2916、2926)は心内膜組織に触れるように配設されてもよいが、電極(2916、2926)が心内膜組織に接触する必要はないことを理解されたい。
【0175】
これらの実施形態のいくつかでは、ハンドル(図示せず)は、カテーテル(2910、2920)のセットに結合してもよく、ハンドルは、カテーテル(2910、2920)の、第1の構成、第2の構成、および第3の構成間の移行を発動するように構成される。いくつかの実施形態では、ハンドル内の1つ以上のノブ、ホイール、スライダー、プルワイヤ、および/または他の制御機構の起動により、外側カテーテル(2902)を通した1つ以上のカテーテル(2910、2920)の並進、および/またはヒンジ(2918、2928)を中心としたカテーテルの遠位部分(2914、2924)の回転が生じ得る。
【0176】
図29B~29Cは、関節のある遠位部分(2914)を有する第1のカテーテル(2910)を描いている。第1のカテーテル(2910)は、遠位部分(2914)にヒンジを介して(2918)結合した近位部分(2912)を含んでもよい。遠位部分(2914)は、本明細書に記載されるように、電極(2916)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ヒンジ(2918)は、回転式ホイールを含んでもよい。他の実施形態では、ヒンジ(2918)は、カテーテルの他の部分よりも可撓性である、第1のカテーテル(2910)と比べて断面積が減少した、近位部分(2912)または遠位部分(2914)の部分を含んでもよい。さらに他の実施形態では、ヒンジ(2918)は、継手、回転式ホイール、ボールおよびソケット継手、顆継手、鞍継手、旋回軸、軌道などを含んでもよい。
【0177】
回転式ホイールは、ワイヤ(2917)(例えば、プルワイヤ)に結合してもよい。例えば、ワイヤ(2917)は、ヒンジ(2918)の周囲に取り付けられてもよく、遠位部分(2914)は、ヒンジ(2918)の一部分に取り付けられてもよい。したがって、ワイヤ(2917)の起動(2930)(例えば、ワイヤの一端を近位に引くこと)により、ホイール(2918)および遠位部分(2914)が回転してもよく、その結果、遠位部分(2914)が第1のカテーテル(2910)の近位部分(2912)に対して回転する。いくつかの実施形態では、遠位部分は、近位部分に関して約110度~約165度の角度だけ回転してもよく、遠位部分の長さは、約3mm~約12mmであってもよい。ワイヤ(2917)の近位端は、いくつかの実施形態では、制御機構(例えば、1つ以上のノブ、ホイール、スライダー)を有するハンドル(図示せず)に結合してもよい。操作者は、制御機構を動作させて、ワイヤを(2917)操作し、第1のカテーテル(2910)の遠位部分(2914)を、ヒンジ(2918)を中心として回転させてもよい。ハンドルの制御機構は、遠位部分(2914)の位置を固定するために係止を含んでもよい。
図29Bは、遠位部分(2914)を第2の構成と第3の構成との間に有する第1のカテーテル(2910)の実施形態を描いている。
図29Cは、第3の構成にある第1のカテーテル(2910)の実施形態を描いている。電極(2916、2926)は、第3の構成において互いに向けて付勢されてもよい。
【0178】
図29Dは、第3の構成にあるアブレーションデバイス(2900)の実施形態を描いており、ここでは、第1および第2のカテーテル(2910、2920)の遠位部分は、外側カテーテルまたはシース(2902)から出て延在し、カテーテル(2910、2920)の近位部分(2912、2922)に対して所望の(例えば、完全に回転した、完全に折れ曲がった)位置へと回転する。いくつかの実施形態では、カテーテル(2910、2920)の各々のワイヤ(2912、2922)は、ハンドルにおいて一緒に結合してもよく、その結果、制御機構の起動により、ワイヤ(2912、2922)が一緒に制御されて、カテーテル(2910、2920)の各々の遠位部分(2914、2924)がそれらのそれぞれのヒンジ(2918、2928)を中心として同時に回転し得る。第2および第3の構成において、第1および第2のカテーテル(2910、2920)は、外側カテーテル(2902)の長手方向軸から離れて付勢されてもよい。
【0179】
第1および第2のカテーテル(2910、2920)が外側カテーテル(2902)から出て延在するとき、カテーテル(2910、2920)の1つ以上の部分は、湾曲形状など、それらの自然な(例えば、拘束されていない)形状(複数可)をとってもよい。カテーテル(2910、2920)は、一緒にまたは独立して外側カテーテル(2902)から出て前進してもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル(2910、2920)の近位部分(2912、2922)は、カテーテル(2910、2920)の遠位端が互いから離れて外に広がり得るように、可撓性の湾曲を含んでもよい。カテーテル(2910、2920)の最小曲率半径は、約1cm以上の範囲であってもよい。例えば、近位部分(2912、2922)は、約1cm以上の曲率半径を有してもよい。いくつかの実施形態では、遠位部分(2914、2924)は、約1cm以上の曲率半径を有してもよい。
【0180】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(2900)の電極(2916、2926)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、長さが約0.5mm~約7.0mm、断面寸法(例えば、直径)が約0.5mm~約4.0mmであってもよい。異なるカテーテル(2910、2920)の電極(2916、2926)は、互いから、間のすべての値および部分範囲を含めて約3.0mm~約20mmの距離だけ離れていてもよい。電極(2916、2926)は、その対応するカテーテル(2910、2920)の遠位端から、間のすべての値および部分範囲を含めて約1.0mm~約4.0mm離れて位置してもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル(2910、2920)の遠位端は、電極(2916、2926)を含んでもよい。1つ以上のフォーカルアブレーション患部は、間のすべての値および部分範囲を含めて約1.0cm~約2.0cmの直径を含んで形成されてもよい。
【0181】
図30は、アブレーションデバイス(3000)の別の実施形態の側面図であり、アブレーションデバイス(3000)は、長手方向軸を画定する外側カテーテルまたはシース(3010)と、管腔(3010)内で摺動可能な4つのカテーテル(3020、3030、3040、3050)のセットとを含む。カテーテル(3020、3030、3040、3050)の各々は、近位部分(3023、3033、3043、3053)、遠位部分(3024、3034、3044、3054)、および近位部分(3023、3033、3043、3053)を遠位部分(3024、3034、3044、3054)に結合させるヒンジ(3021、3031、3041、3051)を含んでもよい。遠位部分(3024、3034、3044、3054)の各々は、電極(3022、3032、3042、3052)を含んでもよい。カテーテル(3020、3030、3040、3050)の遠位端および/または電極(3022、3032、3042、3052)は、組織への外傷を減少させるために非侵襲的形状(例えば、曲線的な、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分)を含んでもよい。カテーテル(3020、3030、3040、3050)の各々は、本明細書で詳細に記載されるように、ヒンジ(3021、3031、3041、3051)を含んでもよい。アブレーションデバイス(3000)は、2個、3個、4個、5個、6個、またはそれを超えるカテーテルを含む、任意の数のカテーテルを含んでもよいことを理解されたい。
【0182】
各電極(3022、3032、3042、3052)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その間の厚さ全体で、間のすべての値および部分範囲を含めて約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。各カテーテル(3020、3030、3040、3050)は、カテーテル(3020、3030、3040、3050)の胴体に(例えば、カテーテル(3020、3030、3040、3050)の管腔内に)形成された各電極(3022、3032、3042、3052)の絶縁導線を含んでもよい。電極(3022、3032、3042、3052)の各々は、カテーテルの近位部分に結合したハンドル(図示せず)に繋がる対応する絶縁導線に接続していてもよい。いくつかの実施形態では、電極(3022、3032、3042、3052)のサイズ、形状、および/または場所は、互いに異なってもよい。
【0183】
いくつかの実施形態では、カテーテル(3020、3030、3040、3050)および電極(3022、3032、3042、3052)の構成により、アブレーションデバイス(3000)によって生成されるフォーカルアブレーション患部の深度、形状、および/または直径/サイズが制御され得る。カテーテル(3020、3030、3040、3050)のセットは、第1の構成、第2の構成、および第3の構成の間で移行するために長手方向軸に沿って並進するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(3000)は、カテーテル(3020、3030、3040、3050)のセットが外側カテーテルまたはシース(3010)の長手方向軸に概して平行に配列され、カテーテル(3020、3030、3040、3050)の遠位部分が外側カテーテル(3010)内に配設される、第1の構成と、電極(3022、3032、3042、3052)が外側カテーテル(3010)管腔の遠位端(3011)から出て、そこから任意の好適な距離だけ離れて前進する第2の構成と、各カテーテル(3020、3030、3040、3050)の遠位部分が、その対応するカテーテル(3020、3030、3040、3050)の近位部分に対してその対応するヒンジ(3021、3031、3041、3051)を中心として回転し得るか、捻られ得るか、または曲げられ得る、第3の構成(例えば、
図30)との間で移行するように構成されてもよい。例えば、第1のカテーテル(3020)は、
図29A~29Dに関して上で考察されたように、遠位部分(3024)を近位部分(3023)に対して複数の位置に位置付けるように構成されてもよい第1のヒンジ(3021)を中心として回転可能な遠位部分(3024)を含んでもよい。アブレーションデバイス(3000)は、第1の構成、第2の構成、および第3の構成の間の任意の中間構成へと連続的にまたは別個のステップで移行してもよいことが理解される。第2の構成において、カテーテルのセットは、長手方向軸から離れて付勢されてもよい。
【0184】
いくつかの実施形態では、1つ以上のパルス波形は、アノードとカソードとのセットで構成された電極(3022、3032、3042、3052)間に適用され得る。例えば、隣接したまたはほぼ正反対に向かい合った電極対は、アノード-カソードセットとしてともに作動してもよい。
図30では、第1の電極(3022)は、アノードとして構成され、カソードとして構成される第2の電極(3032)と対合してもよい。第3の電極(3042)は、アノードとして構成され、カソードとして構成される第4の電極(3052)と対合してもよい。第1および第2の電極(3022、3032)の対は、第3および第4の電極(3042、3052)の対を使用して、第1のパルス波形、その後連続して第2のパルス波形を適用してもよい。別の実施形態では、パルス波形は、電極の各々に同時に適用されてもよく、ここで、第2および第3の電極(3032、3042)はアノードとして構成されてもよく、第1および第4の電極(3022、3052)はカソードとして構成されてもよい。本明細書に開示のパルス波形のいずれも、アノード-カソード電極のシーケンスに漸進的にまたは連続的に適用され得ることを理解されたい。アブレーションデバイス(3000)のいくつかの実施形態は、アブレーションデバイス(2900)に関して上述した寸法と同じ寸法を有してもよい。
【0185】
他の実施形態では、電極(3022、3032、3042、3052)のうちの1つ以上は、第1の電気極性で構成されてもよく、一方で外側カテーテルシャフト(3010)(図示せず)の表面上に配設された1つ以上の電極(図示せず)は、第1の電気極性とは反対の第2の電気極性で構成されてもよい。
【0186】
図31A~31Bは、アブレーションデバイス(3100)のさらに別の実施形態の斜視図であり、アブレーションデバイス(3100)は、長手方向軸を画定する外側カテーテルまたはシース(3110)と、外側カテーテル管腔内で摺動可能なカテーテル(3160)とを含む。カテーテル(3160)は、管腔の遠位端から延在してもよい。カテーテル(3160)は、近位部分(3160)、複数の遠位部分(3122、3132、3142、3152)、および近位部分を複数の遠位部分の各々に結合させる関節(3162)を含んでもよい。例えば、関節(3162)は、ヒンジ、継手、回転式ホイール、ボールおよびソケット継手、顆継手、鞍継手、旋回軸、軌道などを含んでもよい。遠位部分(3122、3132、3142、3152)は、外側カテーテル(3110)内で折り返され、各部分を接続する内部ばね(図示せず)は、各遠位部分(3122、3132、3142、3152)が折り畳まれているときに圧縮構成になる。遠位部分(3122、3132、3142、3152)が拘束されていないとき(すなわち、内側カテーテル(3160)が外側カテーテル(3110)から十分に離れて展開または押し出されるとき)、ばねは、それらの本来のまたは圧縮されていない構成をとって、関節(3162)の折り曲がりを生じさせ、すると、遠位部分(3122、3132、3142、3152)が外向きに折り曲がり、カテーテルの長手方向軸にほぼ垂直な構成をとる。
図31Bに示されるように、カテーテル(3160)の遠位端は、関節(3162)を介して電極(3120、3130、3140、3150)のセットに結合してもよい。いくつかの実施形態では、関節(3162)は、第1の遠位部分(3122)、第2の遠位部分(3132)、第3の遠位部分(3142)、および第4の遠位部分(3152)に結合してもよい。電極(3120、3130、3140、3150)は、それぞれの遠位部分(3122、3132、3142、3152)の表面上に配設されてもよい。カテーテル(3160)が外側カテーテル(3110)から出て前進するとき、遠位部分(3120、3130、3140、3150)は、カテーテル(3160)の長手方向軸にほぼ垂直になるように、それらの自然な(例えば、拘束されていない)形状をとってもよい。
【0187】
電極(3120、3130、3140、3150)は、組織への外傷を減少させるために非侵襲的形状(例えば、曲線的な、平坦な、湾曲した、および/または鈍化した部分)を含んでもよい。各電極(3120、3130、3140、3150)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その間の厚さ全体で、間のすべての値および部分範囲を含めて約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。カテーテル(3160)は、カテーテル(3160)の胴体(例えば、管腔)に形成された各電極(3120、3130、3140、3150)の絶縁導線を含んでもよい。電極(3120、3130、3140、3150)の各々は、カテーテル(3160)の近位部分に結合したハンドル(図示せず)に繋がる対応する絶縁導線に接続していてもよい。いくつかの実施形態では、電極(3120、3130、3140、3150)のサイズ、形状、および/または場所は、互いに異なってもよい。
【0188】
カテーテル(3160)は、第1の構成、第2の構成、および第3の構成の間で移行するために長手方向軸に沿って並進するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(3100)は、電極(3120、3130、3140、3150)のセットが、外側カテーテル(3110)の長手方向軸に概して平行に外側カテーテル(3110)内に配列される、第1の構成(例えば、
図31A)と、電極(3120、3130、3140、3150)のセットが、任意の好適な距離だけ外側カテーテル管腔の遠位端(3111)から出て前進する、第2の構成(
図31Aには図示せず)と、電極(3120、3130、3140、3150)がカテーテル(3160)の近位部分に対してその対応する関節(3162)を中心として回転し得るか、捻られ得るか、または曲げられ得る、第3の構成(例えば、
図31B)との間で移行するように構成されてもよい。第1の構成から第2および第3の構成への移行は、カテーテル(3160)および電極(3120、3130、3140、3150)を外側カテーテル(3110)の遠位端から出して前進させることによって行われてもよい。アブレーションデバイス(3100)は、第1の構成、第2の構成、および第3の構成の間の任意の中間構成へと連続的にまたは別個のステップで移行してもよいことが理解される。
【0189】
図31Bは、均等に離間してプラス(「+」)形状を形成する電極(3120、3130、3140、3150)を示す。しかしながら、隣接する電極(3120、3130、3140、3150)間の角度は、所望のフォーカルアブレーションパターンに基づいて選択されてもよい。同様に、
図31B中の電極(3120、3130、3140、3150)は、カテーテル(3160)の長手方向軸にほぼ垂直であるが、アブレーションパラメータのセットに基づいて調整されてもよい。
【0190】
いくつかの実施形態では、1つ以上のパルス波形は、アノードとカソードとのセットで構成された電極(3120、3130、3140、3150)間に適用され得る。例えば、隣接したまたはほぼ正反対に向かい合った電極対は、アノード-カソードセットとしてともに作動してもよい。
図31Bでは、第1の電極(3120)は、アノードとして構成され、カソードとして構成される第3の電極(3140)と対合してもよい。第2の電極(3130)は、アノードとして構成され、カソードとして構成される第4の電極(3150)と対合してもよい。第1および第3の電極(3120、3140)の対は、第2および第4の電極(3130、3150)の対を使用して、第1のパルス波形、その後連続して第2のパルス波形を適用してもよい。別の実施形態では、パルス波形は、電極の各々に同時に適用されてもよく、ここで、第1および第2の電極(3120、3130)はアノードとして構成されてもよく、第3および第4の電極(3140、3150)はカソードとして構成されてもよい。本明細書に開示のパルス波形のいずれも、アノード-カソード電極のシーケンスに漸進的にまたは連続的に適用され得ることを理解されたい。
【0191】
他の実施形態では、電極(3120、3130、3140、3150)のうちの1つ以上は、第1の電気極性で構成されてもよく、外側カテーテルシャフト(3110)の表面上に配設された1つ以上の電極は、第1の電気極性とは反対の第2の電気極性で構成されてもよい。
【0192】
図32は、心室腔中の組織などの組織のアブレーションのためにアブレーションデバイス(3200)によって発生した高強度電界の断面概略図である。例えば、アブレーションデバイス(3200)は、心臓の左心室の心内膜腔に配設されてもよい。
図32に描かれるアブレーションデバイス(3200)は、
図30および31A~31Bに関して記載されるアブレーションデバイス(3000、3100)に類似していてもよい。いくつかの実施形態では、電極(3210、3220、3230、3240)は、第3の構成にあるとき、組織壁に並置されてもよい。いくつかの実施形態では、
図32の電極(3210、3220、3230、3240)は、幅が約1mm~約3mm、長さが約3mm~約9mmであってもよい。例えば、電極(3210、3220、3230、3240)は、幅が約2mm、長さが約6mmであってもよい。
【0193】
いくつかの実施形態では、電極(3210、3220、3230、3240)は、アノード-カソード対を形成してもよい。例えば、第1の電極(3210)はアノードとして構成されてもよく、第3の電極(3230)はカソードとして構成されてもよい。第1および第2の電極(3210、3230)は、最大約1500Vの電位差を有してもよい。1つ以上のカテーテルの電極(3210、3220、3230、3240)のうちの1つ以上を作動させることによって、心室腔の壁の一部分に沿って1つ以上のアブレーションゾーンが生成され得る。等電界線(3350)は、第1および第3の電極(3220、3240)が作動するときに約460V/cmの電界強度閾値を有するアブレーションゾーン(3350)に対応する等強度線である。いくつかの実施形態では、アブレーションゾーン(3350)は、幅が最大約12mm、長さが最大約20mmであってもよい。あるいは、アブレーションデバイスは、左心房の後壁の一部に隣接して、またはそれに対して留置されてもよく、1つ以上の電極の作動により、適切なパルス波形が不可逆的電気穿孔エネルギー送達のために送達されて、組織をアブレーションしてもよい。
【0194】
図33Aは、デバイス(3300)の近位端に延在する外側シャフト(3310)、外側シャフト(3310)のシャフト管腔(3312)の遠位端から延在する内側シャフト(3320)、およびそれに結合したスプライン(3330)のセットを含む、カテーテルの形態にあるアブレーションデバイス/装置(3300)の別の実施形態の斜視図である。内側シャフト(3320)は、近位端でハンドル(図示せず)に結合し、キャップ電極(3322)に対して遠位部分(例えば、遠位端)に配設されてもよい。内側シャフト(3320)およびスプライン(3330)のセットは、アブレーションデバイス(3300)の長手方向軸(3324)に沿って並進可能であってもよい。いくつかの実施形態では、内側シャフト(3320)およびスプライン(3330)のセットは、一緒に移動してもよく、あるいは独立して並進してもよい。内側シャフト(3320)は、外側シャフト(3310)の管腔(3312)内で摺動するように構成されてもよい。キャップ電極(3322)は、組織への外傷を減少させるために非侵襲的形状を含んでもよい。例えば、キャップ電極(3322)は、平坦な円形の形状および/または曲線的で鈍化した外形を有してもよい。スプライン(3330)のセットの各スプラインの遠位端は、内側シャフト(3320)の遠位部分に係留されてもよい。スプライン(3330)のセットの近位部分は、外側シャフト(3310)に取り付けられてもよい。アブレーションデバイス(3300)は、例えば
図21~25に開示されるように、スプライン(3330)上の電極(3332、3334)および遠位キャップ電極(3322)を介して、使用中にパルス波形を組織に送達するように構成されてもよい。
【0195】
スプライン(3330)のセットの各スプラインは、そのスプラインの表面に電極(3332、3334)のセットを含んでもよい。電極の各セットは、スプラインのセットが遠位電極(3332)のセットを含むように、遠位電極(3332)を含んでもよい。遠位電極(3332)の各々は、同じスプライン上の電極のその対応するセットの他の電極(例えば、近位電極(3334)のセット)と比べてキャップ電極(3322)に最も近い。さらに、いくつかの実施形態では、遠位電極(3332)は、外に向いた露出した部分、すなわち、スプラインのセットによって画定される内側空間/体積に対峙していない部分のみを有してもよい。例えば、遠位電極(3332)が金属リングから構築されている場合、外を向いた露出した部分または「窓」のみがアブレーションエネルギーの送達のために露出するように、各リングの一部分が絶縁されていてもよい。遠位電極のセットのキャップ電極(3322)および各遠位電極(3332)は、共同で、使用中に同じ極性を有してもよい。外に向いた窓およびキャップ電極を有する、接近して留置された遠位電極のこの組み合わせにより、アブレーションデバイス(3300)の遠位端がより強い電界を発生させて発射し、それにより、これらの電極のうちのいずれか1つのみと比較して、組織のフォーカルアブレーション患部を所望の深度でより効果的に生成することができるようになる。
【0196】
アブレーションデバイス(3300)の各スプライン(3330)は、独立してアドレス指定可能な電極(3332、3334)の少なくとも1つのセットを、そのスプライン(3330)の表面上に含んでもよい。遠位キャップ電極(3322)は、カテーテルデバイス(3300)の遠位端に形成されてもよい。各電極(3322、3332、3334)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線に結合してもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。各スプライン(3330)は、スプライン(3330)の胴体内(例えば、スプライン(3330)の管腔内)に各電極(3332、3334)の絶縁導線を含んでもよい。同様に、いくつかの実施形態では、内側シャフト(3320)は、キャップ電極(3322)のための絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、電極(3322、3332、3334)のサブセットは、繋がって配線されてもよい。例えば、スプライン(3330)のセットの各スプラインの近位電極(3334)は、繋がって配線されてもよい。別の例として、すべての遠位電極(3332)およびキャップ電極(3322)は、繋がって配線されてもよい。
【0197】
いくつかの実施形態では、スプライン(3330)のセットは、スプライン(3330)のセットがアブレーションデバイス(3300)の長手方向軸(3324)に概して平行に配列される第1の構成と、スプライン(3330)のセットの各スプラインの遠位端が長手方向軸(3324)から半径方向外向きにたわむ第2の構成との間で移行するように構成されてもよい。このようにして、遠位電極(3332)のセットおよびキャップ電極(3322)は、
図33A、33B、および33Eに示される第2の構成を形成するように成形/配向され得る。キャップ電極(3322)は、遠位電極(3332)のセットの各遠位電極から、間のすべての値および部分範囲を含めて最大約5mmだけ離れていてもよい。例えば、キャップ電極(3322)は、遠位電極(3332)のセットの各遠位電極から約0.5mm~約3mmだけ離れていてもよい。第2の構成では、スプライン(3330)のセットの各スプラインの遠位部分は、間のすべての値および部分範囲を含めて、長手方向軸(3312)に対して約45度~約90度の角度(3336)が付けられてもよい。例えば、第2の構成にあるスプライン(3330)のセットの各スプラインの遠位部分は、長手方向軸(3312)に対して約70度~約80度の角度(3336)が付けられてもよい。例えば、第2の構成において、キャップ電極(3322)および遠位電極(3332)のセットは、
図33Bの正面図に見られるように、長手方向軸(3324)に垂直な平面に投影されたときに「プラス」記号の形状をとり得る。
【0198】
いくつかの実施形態では、内側シャフト(3320)は、外側カテーテル管腔(3312)の中に所定の量だけ後退させて、アブレーションデバイス(3300)を第1の構成から第2の構成に移行させてもよい。スプライン(3330)のセットは、第1の構成と第2の構成との間の任意の中間構成へと連続的にまたは別個のステップで移行してもよいことが理解される。スプライン(3330)のセットは、展開されていないときには内側シャフト(3320)の長手方向軸(3324)に概して平行な形状を形成し、スプライン(3330)のセットの遠位端が長手方向軸(3324)から半径方向外向きにたわむときにはバスケット様または球根状の形状を形成してもよい。
【0199】
図33A、33B、および33Eは、スプライン(3330)のセットを示し、ここでは、スプライン(3330)のセットの各スプラインは、遠位電極(3332)と、サイズ、形状、数、および間隔のうちの1つ以上が異なる1つ以上の近位電極(3334)とを含む。例えば、
図33Aは、スプライン(3330)のセットの各スプラインについて1つの遠位電極(3332)および2つの近位電極(3334)を示す。いくつかの実施形態では、各近位電極(3334)は、そのスプライン(3330)の表面上に、その外周全体に沿って、すなわち、スプラインの厚さ全体の周囲で、形成されてもよい。いくつかの実施形態では、各遠位電極(3332)は、そのスプラインの外周の一部分の表面上に形成されてもよい。つまり、
図33Cおよび33Dに示されるように、遠位電極(3332)は、その対応するスプラインの外周上に部分的にあり、そのスプライン(3330)の全周囲を被覆しないことがある。例えば、遠位電極(3332)は、その対応するスプラインの外周を囲み、遠位電極(3332)の一部分(例えば窓)のみが露出するように絶縁層によって部分的に被覆されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極は、二段階操作のために、薄い絶縁層によって完全に被覆されてもよい。いくつかの実施形態では、スプライン(3330)のセットの遠位電極(3332)のセットは、その対応するスプライン(3330)の中心の周囲で、間のすべての値および部分範囲を含めて約30度~約300度の角度(3333)をなしてもよい。例えば、スプライン(3330)のセットの遠位電極(3332)のセットは、その対応するスプライン(3330)の中心の周囲で約60度~約120度の角度(3333)をなしてもよい。このようにして、第2の構成にある遠位電極(3332)のセットによって発生したかなりの割合の電界が、標的組織から離れて血液中に向かうのではなく、順方向に方向付けられ、標的組織に発射されて、フォーカルアブレーションを支援し得る。
【0200】
このようにして、遠位電極(3332)は、特定の方向に向くように構成されてもよい。例えば、
図33Aおよび33Eでは、遠位電極(3332)のセットおよびキャップ電極(3322)が、スプライン(3330)のセットの遠位端が長手方向軸(3324)から半径方向外向きにたわむ第2の構成において、デバイス(3300)の遠位端で概して正面を向いているのを示す。さらに、遠位電極(3332)は、スプライン(3330)のセットの遠位電極(3332)がキャップ電極(3322)の付近に配設されるように、そのスプラインの遠位端に配設されてもよい。
【0201】
いくつかの実施形態では、スプライン(3330)のセットの各スプラインは、隣接するスプラインの対応する電極(3332、3334)とほぼ同じサイズ、形状、数、および間隔を有する電極(3332、3334)のセットを含んでもよい。各スプライン(3330)の厚さは、スプライン(3330)の絶縁導線の数に対応し得る、各スプライン(3330)上に形成された電極(3332、3334)の数に基づいて変動してもよい。スプライン(3330)は、材料、厚さ、および/または長さが同じであっても異なっていてもよい。
【0202】
いくつかの実施形態では、キャップ電極(3322)と電極(3332、3334)のセットとは、アノード-カソードセットで構成されてもよい。例えば、キャップ電極(3322)と遠位電極(3332)のセットの各遠位電極とは、まとめてアノードとして構成されてもよく、すべての近位電極(3334)は、まとめてカソードとして構成されてもよい(あるいは逆も同様である)。いくつかの実施形態では、遠位電極(3332)のセットと近位電極(3334)のセットとは、反対の極性を有してもよい。例えば、所与のスプラインのための遠位電極(3332)と近位電極(3334)のセットとは、反対の極性を有してもよい。キャップ電極(3322)と遠位電極(3332)のセットとは、同じ極性を有してもよい。本明細書で考察されるように、遠位電極(3332)のセットとキャップ電極(3322)とは、繋がって配線されてもよい。いくつかの実施形態では、キャップ電極とスプライン(3330)のセットの1つ以上のスプラインの電極(3332、3334)のセットとは、一緒に作動して、不可逆的電気穿孔のためのパルス波形を送達してもよい。他の実施形態では、パルス波形の送達は、電極(3332、3334)のセットの所定のサブセットにわたって連続して繰り返されてもよい。
【0203】
いくつかの実施形態では、遠位電極(3332)のセットは、各スプライン(3330)の遠位端から最大3mm、キャップ電極(3322)から離れていてもよい。いくつかの実施形態では、遠位電極(3332)のセットは、近位電極(3334)のセットから約1mm~約20mmだけ離れていてもよい。いくつかの実施形態では、電極(3332、3334)のセットの各電極は、直径が約0.5mm~約3mmであってもよい。いくつかの実施形態では、キャップ電極(3322)は、断面径が約1mm~約5mmであってもよい。いくつかの実施形態では、電極(3332、3334)のセットの各電極は、長さが約0.5mm~約5mmであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の構成にあるスプライン(3330)のセットは、拡張した断面径(すなわち、その最大部分での拡張構成または第2の構成の有効径)が約6mm~約24mmであってもよい。いくつかの実施形態では、スプライン(3300)のセットは、外側シャフト(3310)の遠位端(3312)から約6mm~約30mmだけ延在してもよい。いくつかの実施形態では、外側シャフト(3310)は、外径が約1.5mm~約6.0mmであってもよい。
【0204】
本明細書に記載されるアブレーションデバイス(3300)は、パルス波形を送達する前には第1の構成で配設され、第2の構成に移行して、組織表面(例えば、左心房または心室の内壁、および/または同様のもの)と接触してもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、ハンドル(図示せず)がカテーテル(3300)およびスプライン(3330)のセットに結合してもよく、ハンドルは、スプライン(3330)のセットの第1の構成と第2の構成との間の移行を発動するように構成される。例えば、ハンドルは、内側シャフト(3320)を外側シャフト(3310)に対して並進させるように構成されてもよい。例えば、内側シャフト(3320)を外側シャフト(3310)の管腔(3312)の中に後退させることにより、スプライン(3330)のセットを、本明細書に示される球根状の形状に展開することができる。いくつかの実施形態では、デバイスハンドル内のノブ、ホイール、または他の制御機構を起動することで、内側シャフト(3324)が並進し、スプライン(3330)のセットが展開されてもよい。いくつかの実施形態では、電極(3322、3332、3334)のセットの少なくとも2つの電極の導線は、例えばハンドル内など、アブレーションデバイス(3300)の近位部分またはその付近で電気的に結合してもよい。
【0205】
さらに、カテーテルハンドル(図示せず)は、カテーテルデバイス(3300)の遠位部分を偏向させるまたは誘導するための機構を含んでもよい。例えば、プルワイヤは、外側シャフト(3310)の遠位端またはその付近で、カテーテルハンドルからデバイス(3300)の遠位部分の一端に延在してもよく、プルワイヤの張力によりデバイス(3300)の遠位部分が偏向する。デバイス(3300)が偏向することで、ユーザが、制御された様式でデバイス(3300)を好適な解剖学的位置に位置付けることが支援され得る。いくつかの実施形態では、遠位キャップ電極(3322)は、遠位スプライン電極(3332)とは別々に電気的に配線されてもよい。このようにして、遠位キャップ電極(3322)のみから心内ECG信号が記録され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の遠位スプライン電極(3332)は、そのような電極(3332)の各々からの心内ECG信号を監視するために、別々に電気的に配線されてもよい。いくつかの実施形態では、いくつかの遠位スプライン電極(3332)は、ECGの監視に使用されてもよく、一方で他の遠位スプライン電極(3332)は、アブレーションエネルギーの送達に使用されてもよい。本明細書に記載のアブレーションデバイスのうちのいずれも、そのような電極の各々からの心内ECG信号を監視するために別々に電気的に配線された電極とともに使用され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、スプラインのセットのうちの1つ以上のスプラインのいくつかの電極は、ECGの監視に使用されてもよく、一方で他の電極は、アブレーションエネルギーの送達に使用されてもよい。
【0206】
アブレーションデバイス(3300)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、任意の数のスプライン、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、14個、16個、17個、20個、またはそれを超えるスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(3300)は、3~20個のスプラインを含んでもよい。例えば、アブレーションデバイス(3300)は、4~12個のスプラインを含んでもよい。
【0207】
スプライン(3300)のセットのスプラインの各々は、組織への外傷を低減するように非侵襲的で概して曲線的な形状を有するそれぞれの電極(3332、3334)を含んでもよい。このようにして、第2の構成にある遠位電極は、本明細書に記載されるように、左心房の心房壁の一部に接近して保持されるかまたはそれに対して留置されて、任意の好適な極性の組み合わせを使用して適切な電極を作動させることによってその上に患部を生成し得る。例えば、スプライン(3330)のセットのキャップ電極(3322)および遠位電極(3332)は、組織壁に対してほぼ垂直にまたは概して斜めの配向で、
図33Eに示されるように、組織壁(3350)に対して接触してまたはごく接近して留置されてもよい。この遠位電極(3322、3332)の構成により、展開された構成にあるアブレーションデバイス(3300)が角度を付けて(例えば、斜めに)組織壁(3350)に当接する場合であっても、所望の深度で局限性患部を生成することが可能となる。
【0208】
いくつかの実施形態では、
図33A~33Eに示されるアブレーションデバイス(3300)は、フォーカルアブレーションのために構成されてもよく、遠位電極を含まない遠位キャップ(3322)を含んでもよい。電極を含まないこの遠位キャップ(3322)は、概して非侵襲的であってもよく、遠位キャップ電極と同じサイズ、形状、および寸法を有してもよい。
【0209】
図38Aは、デバイス(3800)の近位端に延在する外側シャフト(3810)(例えば、第1のシャフト)、外側シャフト(3810)のシャフト管腔(3812)の遠位端から延在する内側シャフト(3820)(例えば、第2のシャフト)、およびそれらに結合したスプライン(3830)のセットを含む、カテーテルの形態にあるアブレーションデバイス/装置(3800)の別の実施形態の斜視図である。アブレーションデバイス/装置(3800)は、アブレーションデバイス/装置(3300)と同様の構成要素および/または機能性を含み得るが、アブレーションデバイス/装置(3800)は、キャップ電極を含まない。内側シャフト(3820)は、近位端でハンドル(図示せず)に結合し、遠位部分(3822)(例えば、遠位端)の付近またはそれに隣接して配設された遠位端を有し得る。例えば、遠位部分(3822)は、内側シャフト(3820)の遠位端に結合してもよい。スプライン(3830)のセットの近位端は、カテーテルシャフト(3810)の遠位端に結合してもよい。内側シャフト(3820)およびスプライン(3830)のセットは、アブレーションデバイス(3800)の長手方向軸(3824)に沿って並進可能であってもよい。いくつかの実施形態では、内側シャフト(3820)およびスプライン(3830)のセットは、一緒に移動してもよい。スプラインは可撓性であり得る。スプラインは、内側シャフトが外側シャフト(3810)に対して並進するときに、構成(例えば、展開された構成、展開されてない構成)間で移行し得る。内側シャフト(3820)は、外側シャフト(3810)の管腔(3812)内で摺動するように構成されてもよい。遠位部分(3822)は、組織への外傷を減少させるために非侵襲的形状を含んでもよい。例えば、遠位部分(3822)は、平坦な円形の形状および/または曲線的で鈍化した外形を有してもよい。いくつかの実施形態では、遠位部分(3822)は、キャップを含んでもよい。
図38A~38Dでは、遠位部分(3822)は、電極を含まない。これにより、遠位部分(3822)の形状、外形、およびサイズを構成可能にし、かつ/または低減することができる。スプライン(3830)のセットの各スプラインの遠位端は、内側シャフト(3820)の遠位部分に係留および/または結合されてもよい。スプライン(3830)のセットの近位部分は、外側シャフト(3810)に取り付けられ、かつ/または結合されてもよい。アブレーションデバイス(3800)は、スプライン(3830)上の電極(3832、3834)を介して、例えば
図21~25に開示されるように、使用中にパルス波形を組織に送達するように構成されてもよい。
【0210】
アブレーションデバイス/装置は、組織をアブレーションするための電界を生成するように構成された複数の電極を含んでもよい。スプライン(3830)のセットの各スプラインは、そのスプラインの表面上に形成された複数の電極からの電極(3832、3834)のセットを含んでもよい。電極の各セットは、スプラインのセットが遠位電極(3832)のセットを含むように、遠位電極(3832)を含んでもよい。遠位電極(3832)の各々は、同じスプライン上の電極の対応するセットの他の電極(例えば、近位電極(3834)のセット)と比べて遠位部分(3822)に最も近い。電極の各セットは、スプラインのセットが近位電極(3834)のセットを含むように、近位電極を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極(3832、3834)のセットは各々、そのスプラインの外周の周囲に延在してもよい。例えば、遠位電極(3832)は、そのスプラインの外周を囲む金属リングから構築されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位電極のセットの各遠位電極(3832)は、共同で、使用中に同じ極性を有してもよい。接近して留置された遠位電極のこの組み合わせにより、アブレーションデバイス(3800)の遠位端がより強い電界を発生させて発射し、それにより、これらの電極のうちのいずれか1つのみと比較して、組織のフォーカルアブレーション患部を所望の深度でより効果的に生成することができるようになる。他の実施形態では、少なくとも2つの遠位電極は、アブレーション送達のために同じ電気極性を有していてもよい。
【0211】
アブレーションデバイス(3800)の各スプライン(3830)は、そのスプライン(3830)の表面上の独立してアドレス指定可能な電極(3832、3834)の少なくとも1つのセットを含むことができる。各電極(3832、3834)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線に結合してもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で約200V~約3000Vの電位差を維持してもよい。各スプライン(3830)は、スプライン(3830)の胴体内(例えば、スプライン(3830)の管腔内)に各電極(3832、3834)の絶縁導線を含んでもよい。いくつかの実施形態では、内側シャフト(3820)は、遠位電極(3832)のうちの1つ以上のための絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、電極(3832、3834)のサブセットは、繋がって配線されてもよい。例えば、スプライン(3830)のセットの各スプラインの近位電極(3834)は、繋がって配線されてもよい。別の例として、すべての遠位電極(3832)は、繋がって配線されてもよい。
【0212】
いくつかの実施形態では、スプライン(3830)のセットは、スプライン(3830)のセットがアブレーションデバイス(3800)の長手方向軸(3824)に概して平行に配列される、
図38Aに示される第1の構成と、スプライン(3830)のセットの各スプラインの遠位部分(3804)が長手方向軸(3824)から半径方向外向きにたわむ、
図38Bに示される第2の構成(例えば、拡張構成、バスケット構成、展開された構成)との間で移行するように構成されてもよい。つまり、スプライン(3830)の遠位部分(3804)は、
図38Bおよび38Cに関してより詳細に説明されるように、スプライン(3830)の近位部分(3802)に対して曲がりを形成する。いくつかの実施形態では、内側シャフト(3820)は、第2の構成でデバイス(3800)を展開するために、外側シャフト(3810)に向かって引っ張られてもよい(例えば、外側シャフト(3810)に対して近位に移動されてもよい)。第2の構成にあるスプライン(3830)のセットは、それらの間の空間を画定してもよく、空間は、スプラインのセットの拡張構成において、第1の構成よりも大きくなる。
【0213】
図38Cは、2つの単位接線ベクトルを有するスプライン(3830)の斜視図である。
図38Aおよび38Bは、バスケットまたはピラミッド様の形状を有するスプライン(3830)のセットを描いており、第2の構成にあるスプラインの形状に対応し得る。スプライン(3830)に沿ったすべての点で、単位接線ベクトルuが定義されてもよい。
図38Cは、スプライン(3830)の遠位部分(3804)での単位接線ベクトルu
1(3840)、およびスプライン(3830)の近位部分(3802)での単位接線ベクトルu
2(3844)を示す。例えば、単位接線ベクトルu
1(3840)は、遠位電極(3832)に対応し、遠位電極(3832)の遠位方向に延在する。同様に、単位接線ベクトルu
2(3844)は、近位電極(3832)に対応し、近位電極(3832)の遠位方向に延在する。第1の線(3842)は遠位電極(3832)の接線であり、第2の線(3846)は近位電極(3834)の接線である。
図38Cに示されるように、第1の線(3842)と第2の線(3846)との交点は、角度(3848)を形成する。
【0214】
いくつかの実施形態では、単位ベクトルu1およびu2のドット積は、角度(3848)の余弦に等しい。いくつかの実施形態では、それぞれの単位接線ベクトルのドット積は負である。つまり、遠位電極(3832)と近位電極(3834)との間の角度(3848)は、90度~180度である。
【0215】
このようにして、遠位電極(3832)のセットは、
図38B、38C、および38Dに示される第2の構成を形成するように成形/配向され得る。遠位部分(3822)は、遠位電極(3832)のセットの各遠位電極から、例えば、間のすべての値および部分範囲を含めて最大約6mmだけ離れていてもよい。例えば、遠位部分(3822)は、遠位電極(3832)のセットの各遠位電極から約0.5mm~約3mmだけ離れていてもよい。第2の構成では、スプライン(3830)のセットの各スプラインの遠位部分は、間のすべての値および部分範囲を含めて、近位部分(3802)に対して約90度~約180度の角度(3836)が付けられてもよい。遠位部分(3804)は、遠位電極(3832)のセットの長さおよび剛性に部分的に応じて、第2の構成において概して線形であってもよい。例えば、第2の構成において、遠位部分(3822)および遠位電極(3832)のセットは、
図33Bに示されるデバイス/装置(3300)の正面図と同様の方法で、長手方向軸(3824)に垂直な平面に投影されたときに「プラス」記号(例えば、「X」またはクロス)の形状をとり得る。
【0216】
いくつかの実施形態では、内側シャフト(3820)は、外側カテーテル管腔(3812)の中に所定の量だけ後退して、アブレーションデバイス(3800)を第1の構成から第2の構成に移行させてもよい。スプライン(3830)のセットは、第1の構成と第2の構成との間の任意の中間構成へと連続的にまたは別個のステップで移行してもよいことが理解される。スプライン(3830)のセットは、展開されていないときには内側シャフト(3820)の長手方向軸(3824)に概して平行な形状を形成し、スプライン(3830)のセットの遠位部分が長手方向軸(3824)から半径方向外向きにたわみ、スプラインの近位部分(3802)に対して角度を形成しているときにはバスケット様またはピラミッド様の形状を形成してもよい。
【0217】
図38A、38B、38C、および38Dは、スプライン(3830)のセットを示し、ここでは、スプライン(3830)のセットの各スプラインは、遠位電極(3832)と、複数の近位電極(3834)と、を含む。いくつかの実施形態では、異なる数の近位電極(3834)、ならびに/またはサイズ、形状、数、および間隔のうちの1つ以上が異なる近位電極(3834)もしくは遠位電極(3832)を使用することができる。例えば、
図38Aは、スプライン(3830)のセットの各スプラインについて1つの遠位電極(3832)および2つの近位電極(3834)を示す。いくつかの実施形態では、スプライン(3830)のセットの各スプラインは、複数の近位電極(3834)を含んでもよい。近位電極(3834)は、所与の長さの近位電極領域を形成し得るが、より短い長さの電極セグメントのセットに分割されることによって、近位電極(3834)は、スプライン(3830)の近位部分(3802)の可撓性を可能にする。いくつかの実施形態では、各近位電極(3834)は、そのスプライン(3830)の表面上に、その全周囲に沿って、例えば、スプラインの全周囲の周囲で、形成されてもよい。いくつかの実施形態では、各遠位電極(3832)は、そのスプライン(3830)の表面上に、その全周囲に沿って、形成されてもよい。つまり、遠位電極(3832)は、そのスプライン(3830)の全周囲を被覆する(例えば、周囲に延在する、囲む)ことができる。追加的または代替的に、1つ以上の近位電極(3834)は、スプライン(3830)の近位部分(3802)の可撓性を可能にし得るコイル電極を含んでもよい。例えば、一実施形態では、複数の近位電極(3834)は、デバイス/装置(3800)がその第1の構成と第2の(展開された)構成との間で移行することを可能にするのに十分に可撓性のあるコイル状構成を有する単一の近位電極(3834)に置き換えることができる。
【0218】
遠位電極(3832)のセットは、特定の方向に向くように構成されてもよい。例えば、
図38B、38C、および38Dは、スプライン(3830)のセットの遠位部分(3822)が長手方向軸(3824)から半径方向外向きにたわむときに、第2の構成にあるデバイス(3800)の遠位端で概して正面を向いている、遠位電極(3832)のセットおよび遠位部分(3822)を示す。さらに、遠位電極(3832)は、スプライン(3830)のセットの遠位電極(3832)がデバイス(3800)の遠位部分(3822)の付近に配設されるように、そのスプラインの遠位端に配設されてもよい。
【0219】
いくつかの実施形態では、スプライン(3830)のセットの各スプラインは、隣接するスプラインの対応する電極(3832、3834)とほぼ同じサイズ、形状、数、および間隔を有する電極(3832、3834)のセットを含んでもよい。各スプライン(3830)の厚さは、スプライン(3830)の絶縁導線の数に対応し得る、各スプライン(3830)上に形成された電極(3832、3834)の数に基づいて変動してもよい。スプライン(3830)は、材料、厚さ、および/または長さが同じであっても異なっていてもよい。
【0220】
いくつかの実施形態では、電極(3832、3834)のセットは、アノード-カソードセットで構成されてもよい。例えば、遠位電極(3832)のセットの各遠位電極は、集合的にアノードとして構成されてもよく、近位電極(3834)のセットは、集合的にカソードとして構成されてもよい(あるいは逆も同様である)。いくつかの実施形態では、遠位電極(3832)のセットと近位電極(3834)のセットとは、反対の極性を有してもよい。例えば、所与のスプラインのための遠位電極(3832)と近位電極(3834)のセットとは、反対の極性を有してもよい。遠位電極(3832)のセットは、同じ極性を有してもよい。本明細書で考察されるように、遠位電極(3832)のセットは、繋がって配線されてもよい。いくつかの実施形態では、スプライン(3830)のセットの1つ以上のスプラインの電極(3832、3834)のセットは、一緒に作動して、不可逆的電気穿孔のためのパルス波形を送達してもよい。他の実施形態では、パルス波形の送達は、電極(3832、3834)のセットの所定のサブセットにわたって連続して繰り返されてもよい。例えば、特定の作動シーケンスは、スプライン(3830)の半分(例えば、
図38A~38Dに描かれる4つのスプライン(3830)のうちの2つ)の遠位電極(3432)を作動させることと、スプライン(3830)の半分(例えば、
図38A~38Dに描かれる4つのスプライン(3830)のうちの2つ)の近位電極(3834)を作動させることと、を含んでもよい。所望される電極(3832、3834)によって生成される電界の方向に応じて、作動する遠位電極(3832)および近位電極(3834)は、互いにオフセットされてもよい(例えば、遠位電極(3832)は、近位電極(3834)からの隣接するスプライン(3830)上にあってもよく、または遠位電極(3832)は、近位電極(3834)から、ある角度(例えば、90度)でオフセットされてもよい)。
【0221】
いくつかの実施形態では、遠位電極(3832)のセットは、各スプライン(3830)の遠位端から最大6mm、遠位部分(3822)から離れていてもよい。いくつかの実施形態では、遠位電極(3832)のセットは、近位電極(3834)のセットから約1mm~約20mmだけ離れていてもよい。いくつかの実施形態では、電極(3832、3834)のセットの各電極は、直径が約0.5mm~約3mmであってもよい。いくつかの実施形態では、遠位部分(3822)は、断面径が約1mm~約5mmであってもよい。いくつかの実施形態では、電極(3832、3834)のセットの各電極は、長さが約0.5mm~約5mmであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の構成にあるスプライン(3830)のセットは、拡張した断面径(すなわち、その最大部分に対応する平面での拡張構成または第2の構成の有効径)が約6mm~約24mmであってもよい。いくつかの実施形態では、スプライン(3800)のセットは、外側シャフト(3810)の遠位端(3812)から約6mm~約24mmだけ延在してもよい。いくつかの実施形態では、外側シャフト(3810)は、外径が約1.5mm~約6.0mmであってもよい。
【0222】
本明細書に記載されるアブレーションデバイス(3800)は、パルス波形を送達する前には第1の構成で配設され、第2の構成に移行して、組織表面(例えば、左心房または心室の内壁、および/または同様のもの)と接触してもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、ハンドル(図示せず)がカテーテル(3800)およびスプライン(3830)のセットに結合してもよく、ハンドルは、スプライン(3830)のセットの第1の構成と第2の構成との間の移行を発動するように構成される。例えば、ハンドルは、内側シャフト(3820)を外側シャフト(3810)に対して並進させるように構成されてもよい。例えば、内側シャフト(3820)を外側シャフト(3810)の管腔(3812)の中に後退させることにより、スプライン(3830)のセットを、本明細書に示されるバスケットまたはピラミッド様の形状に展開することができる。いくつかの実施形態では、デバイスハンドル内のノブ、ホイール、または他の制御機構を起動することで、内側シャフト(3824)が並進し、スプライン(3830)のセットが展開されてもよい。いくつかの実施形態では、電極(3832、3834)のセットの少なくとも2つの電極の導線は、例えばハンドル内など、アブレーションデバイス(3800)の近位部分またはその付近で電気的に結合してもよい。
【0223】
さらに、カテーテルハンドル(図示せず)は、カテーテルデバイス(3800)の遠位部分(3804)を偏向させるまたは誘導するための機構を含んでもよい。例えば、プルワイヤは、外側シャフト(3810)の遠位端またはその付近で、カテーテルハンドルからデバイス(3800)の遠位部分(3804)の一端に延在してもよく、プルワイヤの張力によりデバイス(3800)の遠位部分(3804)が偏向する。デバイス(3800)が偏向することで、ユーザが、制御された様式でデバイス(3800)を好適な解剖学的位置に位置付けることが支援され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の遠位スプライン電極(3832)は、そのような電極(3832)の各々からの心内ECG信号を監視するために、別々に電気的に配線されてもよい。いくつかの実施形態では、いくつかの遠位スプライン電極(3832)は、ECGの監視に使用されてもよく、一方で他の遠位スプライン電極(3832)は、アブレーションエネルギーの送達に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、いくつかの近位スプライン電極(3834)は、心内ECGの監視のために別々に配線されてもよい。本明細書に記載のアブレーションデバイスのうちのいずれも、そのような電極の各々からの心内ECG信号を監視するために別々に電気的に配線された電極とともに使用され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、スプラインのセットのうちの1つ以上のスプラインのいくつかの電極は、ECGの監視に使用されてもよく、一方で他の電極は、アブレーションエネルギーの送達に使用されてもよい。
【0224】
アブレーションデバイス(3800)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、任意の数のスプライン、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、14個、16個、17個、20個、またはそれを超えるスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(3800)は、3~20個のスプラインを含んでもよい。例えば、アブレーションデバイス(3800)は、4~12個のスプラインを含んでもよい。
【0225】
スプライン(3800)のセットのスプラインの各々は、組織への外傷を低減するように非侵襲的で概して曲線的な形状を有するそれぞれの電極(3832、3834)を含んでもよい。このようにして、第2の構成にある遠位電極は、本明細書に記載されるように、左心房の心房壁の一部、またはより一般的には任意の心房もしくは心室腔に接近して保持されるかまたはそれに対して留置されて、任意の好適な極性の組み合わせを使用して適切な電極を作動させることによってその上に患部を生成し得る。例えば、スプライン(3830)のセットの遠位部分(3822)および/または遠位電極(3832)は、組織壁に対してほぼ垂直にまたは概して斜めの配向で、
図38Dに示されるように、組織壁(3850)に対して接触してまたはごく接近して留置されてもよい。この遠位電極(3832)の構成により、展開された構成にあるアブレーションデバイス(3800)が角度を付けて(例えば、斜めに)組織壁(3850)に当接する場合であっても、所望の深度で局限性患部を生成することが可能となる。
【0226】
図39Aは、デバイス(3900)の近位端に延在する外側シャフト(3910)、外側シャフト(3910)のシャフト管腔(3912)の遠位端から延在する第1の内側シャフト(3920)および第2の内側シャフト(3921)、スプライン(3930)のセット、ならびに膨張可能な部材(3950)を含む、カテーテルの形態にあるアブレーションデバイス/装置(3900)の別の実施形態の斜視図である。アブレーションデバイス(3900)は、本明細書に記載される他のアブレーションデバイス、例えば、アブレーションデバイス(3800)と機能的および/または構造的に類似した構成要素を有し得る。第2の内側シャフト(3921)は、第1の内側シャフト(3920)の遠位端から延在し、スプライン(3930)のセットに結合してもよい。アブレーションデバイス/装置(3900)は、アブレーションデバイス/装置(3300、3800)と同様の構成要素および/または機能性を含み得る。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス/装置(3900)は、遠位部分(3922)上に形成されたキャップ電極を含まない。第1の内側シャフト(3920)、第2の内側シャフト(3921)、および外側シャフト(3910)は、それぞれの近位端でカテーテルハンドル(図示せず)に結合してもよい。第2の内側シャフト(3921)の遠位端は、遠位部分(3922)に結合してもよい。膨張可能な部材(3950)の近位部分(例えば、拡張可能な部材、バルーン)は、第1の内側シャフト(3920)の遠位部分に結合してもよい。例えば、膨張可能な部材(3950)は、外側シャフト(3910)の遠位端の遠位、かつスプライン(3930)のセット間の空間内に配設されてもよい。
【0227】
任意選択で、膨張可能な部材(3950)の遠位部分は、遠位部分(3922)および第2の内側シャフト(3921)の遠位部分のうちの1つ以上に結合してもよい。スプライン(3930)のセットの各スプラインの近位部分は、外側シャフト(3910)の遠位部分に結合してもよい。スプライン(3930)のセットの各スプラインの遠位部分は、遠位部分(3922)および第2の内側シャフト(3921)の遠位部分のうちの1つ以上に結合してもよい。膨張可能な部材(3950)は、スプライン(3930)のセットによって囲まれるように、スプライン(3930)のセット間の空間に配設されてもよい。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(3950)は、スプライン(3930)のセットとは別々に並進可能であり得、例えば、膨張可能な部材(3950)は、スプライン(3930)のセットに対して移動可能であり得る。そのような実施形態では、膨張可能な部材(3950)は、スプライン(3930)のセットに対して特定の所定の位置に移動することができる。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(3950)は、第1の内側シャフト(3920)、第2の内側シャフト(3921)、および/または遠位部分(3922)とは異なるシャフトまたは他の構造に結合してもよい。例えば、膨張可能な部材(3950)は、第3の内側シャフト(描かれていない)に結合してもよい。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材は、管腔を画定し、第2の内側シャフト(3921)は、膨張可能な部材の管腔を通って延在し得る。
【0228】
第1の内側シャフト(3920)、第2の内側シャフト(3921)、およびスプライン(3930)のセットは、アブレーションデバイス(3900)の長手方向軸(3924)に沿って並進可能であってもよい。例えば、スプライン(3930)のセットは、第2の内側シャフト(3921)が第1の内側シャフト(3920)に対して移動することに応答して拡張構成に移行するように構成され得る。別の例として、スプライン(3930)のセットは、第2の内側シャフト(3921)が長手方向軸(3924)に対して移動することに応答して拡張構成に移行するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1の内側シャフト(3920)、第2の内側シャフト(3921)、およびスプライン(3930)のセットは、一緒に移動してもよい。スプライン(3930)は可撓性であり得る。スプラインは、第1および第2の内側シャフト(3920、3921)が外側シャフト(3910)に対して並進するときに、構成(例えば、展開された構成、展開されてない構成)間で移行し得る。第1の内側シャフト(3920)および第2の内側シャフト(3921)は、外側シャフト(3910)の管腔(3912)内で摺動するように構成され得る。スプライン(3930)のセットは、例えば、ハンドルの起動機構を使用して、第2の内側シャフト(3921)を外側シャフト(3910)に対して移動させることによって並進してもよい。
【0229】
遠位部分(3922)は、組織への外傷を減少させるために非侵襲的形状を含んでもよい。例えば、遠位部分(3922)は、平坦な円形の形状および/または曲線的で鈍化した外形を有してもよい。いくつかの実施形態では、遠位部分(3922)は、キャップを含んでもよい。
図39A~39Dでは、遠位部分(3922)は、電極を含まない。これにより、遠位部分(3922)の形状、外形、およびサイズを構成可能にし、かつ/または低減することができる。スプライン(3930)のセットの各スプラインの遠位端は、第2の内側シャフト(3921)の遠位部分に係留および/または結合されてもよい。スプライン(3930)のセットの近位部分は、外側シャフト(3910)に取り付けられ、かつ/または結合されてもよい。アブレーションデバイス(3900)は、スプライン(3930)上の電極(3932、3934)を介して、例えば
図21~25に開示されるように、使用中にパルス波形を組織に送達するように構成されてもよい。
【0230】
アブレーションデバイス/装置は、組織をアブレーションするための電界を生成するように構成された複数の電極を含んでもよい。スプライン(3930)のセットの各スプラインは、そのスプラインの表面上に形成された複数の電極からの電極(3932、3934)のセットを含んでもよい。電極の各セットは、スプラインのセットが遠位電極(3932)のセットを含むように、遠位電極(3932)を含んでもよい。遠位電極(3932)の各々は、同じスプライン上の電極の対応するセットの他の電極(例えば、近位電極(3934)のセット)と比べてキャップ電極(3922)に最も近い。電極の各セットは、スプラインのセットが近位電極(3934)のセットを含むように、近位電極を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極(3932、3934)のセットは各々、そのスプラインの外周の周囲に延在してもよい。例えば、遠位電極(3932)は、そのスプラインの外周を囲む金属リングから構築されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位電極のセットの各遠位電極(3932)は、共同で、使用中に同じ極性を有してもよい。接近して留置された遠位電極のこの組み合わせにより、アブレーションデバイス(3900)の遠位端がより強い電界を発生させて発射し、それにより、これらの電極のうちのいずれか1つのみと比較して、組織のフォーカルアブレーション患部を所望の深度でより効果的に生成することができるようになる。他の実施形態では、少なくとも2つの遠位電極は、アブレーション送達のために同じ電気極性を有していてもよい。
【0231】
アブレーションデバイス(3900)の各スプライン(3930)は、そのスプライン(3930)の表面上の独立してアドレス指定可能な電極(3932、3934)の少なくとも1つのセットを含むことができる。各電極(3932、3934)は、対応する絶縁が絶縁破壊することなく少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線に結合してもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で約200V~約3000Vの電位差を維持してもよい。各スプライン(3930)は、スプライン(3930)の胴体内(例えば、スプライン(3930)の管腔内)に各電極(3932、3934)の絶縁導線を含んでもよい。いくつかの実施形態では、内側シャフト(3920)は、遠位電極(3932)のうちの1つ以上のための絶縁導線を含んでもよい。他の実施形態では、電極(3932、3934)のサブセットは、繋がって配線されてもよい。例えば、スプライン(3930)のセットの各スプラインの近位電極(3934)は、繋がって配線されてもよい。別の例として、すべての遠位電極(3932)は、繋がって配線されてもよい。
【0232】
いくつかの実施形態では、スプライン(3930)のセットは、スプライン(3930)のセットがアブレーションデバイス(3900)の長手方向軸(3924)に概して平行に配列される、
図39Cに示される第1の構成と、スプライン(3930)のセットの各スプラインの遠位部分(3904)が長手方向軸(3924)から半径方向外向きにたわむ、
図39A、39B、および39Dに示される第2の構成(例えば、拡張構成、バスケット構成、展開された構成)との間で移行するように構成されてもよい。つまり、スプライン(3930)の遠位部分(3904)は、
図39Dに関してより詳細に説明されるように、スプライン(3930)の近位部分(3902)に対して曲がりを形成する。いくつかの実施形態では、第1および第2の内側シャフト(3920、3921)は、第2の構成でデバイス(3900)を展開するために、外側シャフト(3910)に向かって引っ張られてもよい(例えば、外側シャフト(3910)に対して近位に移動されてもよい)。第2の構成にあるスプライン(3930)のセットは、バスケットまたはピラミッド様の形状を有し得る。
図39Cに示されるように、スプライン(3930)のセットが第1の構成にあるとき、膨張可能な部材(3950)は、収縮構成にある。第2の構成にあるスプライン(3930)のセットは、それらの間の空間を画定してもよく、空間は、スプラインのセットの拡張構成において、第1の構成よりも大きくなる。
【0233】
図39Dは、2つの単位接線ベクトルを有するスプライン(3930)の斜視図である。
図39Aおよび39Bは、バスケットまたはピラミッド様の形状を有するスプライン(3930)のセットを描いており、第2の構成にあるスプラインの形状に対応し得る。スプライン(3930)に沿ったすべての点で、単位接線ベクトルuが定義されてもよい。
図39Dは、スプライン(3930)の遠位部分(3904)での単位接線ベクトルu
1(3940)、およびスプライン(3930)の近位部分(3902)での単位接線ベクトルu
2(3944)を示す。例えば、単位接線ベクトルu
1(3940)は、遠位電極(3932)に対応し、遠位電極(3932)の遠位方向に延在する。同様に、単位接線ベクトルu
2(3944)は、近位電極(3934)に対応し、近位電極(3932)の遠位方向に延在する。第1の線(3942)は遠位電極(3932)の接線であり、第2の線(3946)は近位電極(3934)の接線である。
図39Dに示されるように、第1の線(3942)と第2の線(3946)との交点は、第1の角度(3948)を形成する。同様に、第1の線(3942)と長手方向軸(3924)との交点は、第2の角度(3960)を形成する。
【0234】
いくつかの実施形態では、単位ベクトルu
1およびu
2のドット積は、角度(3948)の余弦に等しい。いくつかの実施形態では、それぞれの単位接線ベクトルのドット積は負である。つまり、遠位電極(3932)と近位電極(3934)との間の第1の角度(3948)は、約90度~約180度である。
図39Dに示されるように、第2の構成(例えば、拡張構成)では、各スプラインの遠位部分(例えば、遠位電極(3932))と長手方向軸(3924)との間の第2の角度(3960)は、少なくとも約70度である。
【0235】
このようにして、遠位電極(3932)のセットは、
図39A、39B、および39Dに示される第2の構成を形成するように成形/配向され得る。遠位部分(3922)は、遠位電極(3932)のセットの各遠位電極から、間のすべての値および部分範囲を含めて最大約6mm離れていてもよい。例えば、遠位部分(3922)は、遠位電極(3932)のセットの各遠位電極から約0.5mm~約3mmだけ離れていてもよい。第2の構成では、スプライン(3930)のセットの各スプラインの遠位部分(3904)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、近位部分(3902)に対して約90度~約180度の角度が付けられてもよい。
【0236】
遠位部分(3904)は、遠位電極(3932)のセットの長さおよび剛性に部分的に応じて、第2の構成において概して線形であってもよい。例えば、第2の構成において、遠位部分(3922)および遠位電極(3932)のセットは、
図33Bに示されるデバイス/装置(3300)の正面図と同様の方法で、長手方向軸(3924)に垂直な平面に投影されたときに「プラス」記号(例えば、「X」またはクロス)の形状をとり得る。
【0237】
いくつかの実施形態では、第2の内側シャフト(3921)は、外側カテーテル管腔(3912)の中に所定の量だけ後退させて、アブレーションデバイス(3900)を第1の構成から第2の構成に移行させてもよい。スプライン(3930)のセットは、第1の構成と第2の構成との間の任意の中間構成へと連続的にまたは別個のステップで移行してもよいことが理解される。スプライン(3930)のセットは、展開されていないときには長手方向軸(3924)に概して平行な形状を形成し、スプライン(3930)のセットの遠位部分が長手方向軸(3924)から半径方向外向きにたわみ、スプラインの近位部分(3902)に対して角度を形成しているときにはバスケット様またはピラミッド様の形状を形成してもよい。
【0238】
いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(3950)は、膨張可能な部材(3950)の外側表面がアブレーションデバイス(3900)の長手方向軸(3924)にほぼ平行に配列される、
図39Bおよび39Cに示される収縮構成と、スプラインのセットが拡張構成にあるときに、膨張可能な部材(3950)の外側表面が長手方向軸(3924)から半径方向外向きにたわむ、
図39Aおよび39Dに示される膨張構成との間で移行するように構成され得る。いくつかの実施形態では、スプライン(3930)のセットは、膨張可能な部材が膨張構成に移行することに応答して、拡張構成に移行するように構成される。膨張可能な部材(3950)が外側シャフト(3910)の遠位端の遠位、かつスプライン(3930)のセット間の空間内に配設される膨張構成では、膨張可能な部材(3950)は、電界が組織内により大きな患部を形成し得るように、複数の電極によって生成された電界をスプラインのセット間の空間から駆動するように構成される。いくつかの実施形態では、膨張構成にある膨張可能な部材(3950)は、拡張構成にあるスプラインのセット間の空間を実質的に充填する。スプライン(3930)のセットは、膨張可能な部材(3950)が収縮構成にあるとき、第1の構成(
図39C)または第2の構成(
図39B)にあり得る。
【0239】
いくつかの実施形態では、膨張構成にある膨張可能な部材は、膨張可能な部材の遠位部分が膨張可能な部材の近位部分のものよりも大きい外径を有する非対称形状(例えば、
図39A、39D)を形成し得る。
【0240】
いくつかの実施形態では、第1および第2の内側シャフト(3920、3921)を外側シャフト(3910)に向かって引っ張って(例えば、外側シャフト(3910)に対して近位に移動させて)、第2の構成にあるスプライン(3930)のセットを展開し、かつ/または膨張可能な部材(3950)を膨張した拡張構成に移行させることができる。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(3950)と流体通信する流体源を使用して、膨張可能な部材(3950)を、その収縮構成から膨張構成に移行させることができる。例えば、第1の内側シャフト(3920)は、流体源(図示せず)に結合する(例えば、流体連通する)ように構成されてもよく、それにより、流体を、第1の内側シャフト(3920)の管腔を介して膨張可能な部材(3950)に送達して、膨張可能な部材(3950)を膨張構成に移行させることができる。いくつかの実施形態では、膨張構成にある膨張可能な部材(3950)は、第2の構成にあるスプライン(3930)のセットによって形成された形状に一致し得る。すなわち、膨張または拡張した膨張可能な部材(3950)は、球根状、バスケット、またはピラミッド様の形状を形成し得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(3950)は、膨張可能な部材(3950)の外側表面がスプライン(3930)のセットの領域に係合するように膨張し得る。膨張可能な部材(3950)は、収縮構成および膨張構成との間の任意の中間構成へと連続的にまたは別個のステップで移行してもよいことが理解される。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(3950)を収縮構成から膨張構成に移行させることは、スプライン(3930)のセットに力を加え、スプラインのセットを第1の構成から第2の構成に移行させる。例えば、膨張可能な部材(3950)は、スプライン(3930)のセットの領域に係合するように膨張して、スプライン(3930)のセットに外向きの力を加えることができ、それにより、スプライン(3930)のセットは、構成を、その第1の構成(すなわち、
図39Cに示される展開されていない構成)から第2の構成(すなわち、
図39Dに示される展開された構成)に変更させる。
【0241】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される膨張可能な部材は、拡張可能な構造を有し得、かつポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、架橋ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体(POC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ナイロン、ポリマーブレンド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、PEBAXなどを含むが、これらに限定されない、様々な絶縁または誘電材料のうちのいずれかで構成され得る。好ましい実施形態は、ポリウレタンまたはシリコーンから構成され得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材の1つ以上の部分は、放射線不透過性部分を含み得る。いくつかの実施形態では、流体は、例えば、第1の内側シャフト(3920)の管腔、または膨張可能な部材(3950)に結合された別のシャフトもしくは構造を通って膨張可能な部材(3950)を膨張させ得る。例えば、膨張可能な部材(3950)は、蒸留水または脱イオン水などの流体が圧力下で注入され得る、カテーテルハンドルに取り付けられた流体ポートを通って膨張され得る。
【0242】
膨張可能な部材を膨張させるための流体(例えば、蒸留水もしくは脱イオン水、生理食塩水、空気、または他の液体、および/あるいはガス)の使用とともに、膨張可能な部材は、パルス電界波形の送達中に有効な絶縁体として機能し、膨張可能な部材またはバルーンの外側でバルーンを囲繞する領域に電界を駆動する。膨張可能な部材およびスプラインのセットのこの組み合わせにより、アブレーションデバイス(3900)の遠位端が、アブレーションデバイス(3900)からさらに遠い距離でより強い電界を発射または送達し、それにより、スプラインのみのセットと比較して、組織のフォーカルアブレーション患部を所望の深度でより効果的に生成することが可能になる。したがって、第2の構成および膨張構成(
図39Aおよび39D)にあるデバイス(3900)は、膨張可能な部材(3950)および第2の内側シャフト(3921)から離れて、アブレーションされる組織に向かって、電極(3932、3934)のセットによって生成された電界を再度向けることによって、より少ない電力で組織内の患部を効率的に形成し得る。いくつかの実施形態では、スプライン(3930)のセットが拡張構成にあるとき、遠位電極(3932)のセットからの少なくとも1つの電極は、組織表面に接触し、約0.5cm~約2.5cmの直径を有するフォーカルアブレーション患部を組織表面上に形成するように構成される。
【0243】
いくつかの実施形態では、異なる数の近位電極(3934)、ならびに/またはサイズ、形状、数、および間隔のうちの1つ以上が異なる近位電極(3934)もしくは遠位電極(3932)を使用することができる。例えば、
図39Aは、スプライン(3930)のセットの各スプラインについて2つの遠位電極(3932)および3つの近位電極(3934)を示す。いくつかの実施形態では、スプライン(3930)のセットの各スプラインは、複数の近位電極(3934)を含んでもよい。近位電極(3934)は、所与の長さの近位電極領域を形成し得るが、より短い長さの電極セグメントのセットに分割されることによって、近位電極(3934)は、スプライン(3930)の近位部分(3902)の可撓性を可能にする。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの可撓性部分が、複数の近位電極の位置におけるそのスプラインの可撓性を増加させるために、複数の近位電極からの隣接する近位電極間に配設される。各近位電極(3934)は、そのスプライン(3930)の表面上に、その全周囲に沿って(例えば、スプラインの全周囲の周囲に)、および/またはその全周囲の一部分の周囲に形成されてもよい。各遠位電極(3932)は、そのスプライン(3930)の表面上に、その全周囲に沿って、および/またはその全周囲の一部分の周囲に形成されてもよい。近位電極および遠位電極(3932、3934)が全周囲に沿って延在するとき、近位電極および遠位電極(3932、3934)は、そのスプライン(3930)の全周囲を被覆する(例えば、周囲に延在する、囲む)ことができる。追加的または代替的に、1つ以上の近位電極(3934)は、スプライン(3930)の近位部分(3902)の可撓性を可能にし得る少なくとも1つのコイル電極を含んでもよい。例えば、一実施形態では、複数の近位電極(3934)は、デバイス/装置(3900)がその第1の構成と第2の(展開された)構成との間で移行することを可能にするのに十分に可撓性のあるコイル状構成を有する単一の近位電極(3934)に置き換えることができる。
【0244】
遠位電極(3932)のセットは、特定の方向に向くように構成されてもよい。例えば、
図39B、39C、および39Dは、スプライン(3930)のセットの遠位部分(3904)が長手方向軸(3924)から半径方向外向きにたわむときに、第2の構成にあるデバイス(3900)の遠位端で概して正面を向いている、遠位電極(3932)のセットおよび遠位部分(3922)を示す。さらに、遠位電極(3932)は、スプライン(3930)のセットの遠位電極(3932)がデバイス(3900)の遠位部分(3922)の付近に配設されるように、そのスプラインの遠位端に配設されてもよい。
【0245】
いくつかの実施形態では、スプライン(3930)のセットの各スプラインの電極(3932、3934)のセットは、隣接するスプラインの対応する電極(3932、3934)とほぼ同じサイズ、形状、数、および間隔を有し得る。各スプライン(3930)の厚さは、スプライン(3930)の絶縁導線の数に対応し得る、各スプライン(3930)上に形成された電極(3932、3934)の数に基づいて変動してもよい。スプライン(3930)は、材料、厚さ、および/または長さが同じであっても異なっていてもよい。
【0246】
電極(3932、3934)のセットは、組織に適用されて、不可逆的電気穿孔によって細胞死を引き起こし得るパルス電界(PEF)アブレーションエネルギーに対応する高電圧パルスを送達するように好適に極性化され得る。いくつかの実施形態では、遠位電極のセットからの少なくとも1つの遠位電極は、第1の極性で作動するように構成されてもよく、近位電極のセットからの少なくとも1つの近位電極は、第1の極性とは反対の第2の極性で作動するように構成されて、電界を集合的に生成してもよい。例えば、遠位電極(3932)のサブセットは、1つの電気極性を有し得る一方、近位電極(3934)のサブセットは、反対の電気極性を有し、それによりPEFアブレーションエネルギーの送達のための電極の双極対を定義し得る。概して、同様の双極のシーケンスが、PEFアブレーション送達のために定義されてもよい。別の例として、すべての遠位電極(3932)は、1つの電気極性を有し得る一方、すべての近位電極(3934)は、反対の電気極性を有し得る。
【0247】
いくつかの実施形態では、電極(3932、3934)のセットは、アノード-カソードセットで構成されてもよい。例えば、遠位電極(3932)のセットの各遠位電極は、集合的にアノードとして構成されてもよく、近位電極(3934)のセットは、集合的にカソードとして構成されてもよい(あるいは逆も同様である)。いくつかの実施形態では、遠位電極(3932)のセットと近位電極(3934)のセットとは、反対の極性を有してもよい。例えば、所与のスプラインのための遠位電極(3932)と近位電極(3934)のセットとは、反対の極性を有してもよい。遠位電極(3932)のセットは、同じ極性を有してもよい。本明細書で考察されるように、遠位電極(3932)のセットは、繋がって配線されてもよい。いくつかの実施形態では、スプライン(3930)のセットの1つ以上のスプラインの電極(3932、3934)のセットは、一緒に作動して、不可逆的電気穿孔のためのパルス波形を送達してもよい。他の実施形態では、パルス波形の送達は、電極(3932、3934)のセットの所定のサブセットにわたって連続して繰り返されてもよい。例えば、特定の作動シーケンスは、スプライン(3930)の半分(例えば、
図39A~39Dに描かれる4つのスプライン(3930)のうちの2つ)の遠位電極(3932)を作動させることと、スプライン(3930)の半分(例えば、
図39A~39Dに描かれる4つのスプライン(3930)のうちの2つ)の近位電極(3934)を作動させることと、を含んでもよい。所望される電極(3932、3934)によって生成される電界に応じて、作動する遠位電極(3932)および近位電極(3934)は、互いにオフセットされてもよい(例えば、遠位電極(3932)は、近位電極(3934)からの隣接するスプライン(3930)上にあってもよく、または遠位電極(3932)は、近位電極(3934)から、ある角度(例えば、90度)でオフセットされてもよい)。
【0248】
いくつかの実施形態では、遠位電極(3932)のセットは、各スプライン(3930)の遠位端から最大6mmだけ、遠位部分(3922)から離れていてもよい。いくつかの実施形態では、遠位電極(3932)のセットは、近位電極(3934)のセットから約1mm~約20mmだけ離れていてもよい。いくつかの実施形態では、電極(3932、3934)のセットの各電極は、直径が約0.5mm~約3mmであってもよい。いくつかの実施形態では、遠位部分(3922)および/または第2の内側シャフト(3921)の遠位端は、断面径が約1mm~約5mmであってもよい。いくつかの実施形態では、電極(3932、3934)のセットの各電極は、長さが約0.5mm~約5mmであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の構成にあるスプライン(3930)のセットは、拡張した断面径(すなわち、その最大部分に対応する平面での拡張構成または第2の構成の有効径)が約6mm~約24mmであってもよい。いくつかの実施形態では、展開されていない構成において、スプライン(3900)のセットは、外側シャフト(3910)の遠位端(3912)から約6mm~約30mmだけ延在してもよい。いくつかの実施形態では、外側シャフト(3910)は、外径が約1.5mm~約6.0mmであってもよい。
【0249】
本明細書に記載されるアブレーションデバイス(3900)は、パルス波形を送達する前には第1の構成で配設され、第2の構成に移行して、組織表面(例えば、左心房または心室の内壁、および/または同様のもの)と接触してもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、ハンドル(図示せず)がカテーテル(3900)およびスプライン(3930)のセットに結合してもよく、ハンドルは、スプライン(3930)のセットの第1の構成と第2の構成との間の移行を発動するように構成される。例えば、ハンドルは、第1の内側シャフト(3920)および第2の内側シャフト(3921)を外側シャフト(3910)に対して並進させるように構成されてもよい。例えば、第1および第2の内側シャフト(3920、3921)を外側シャフト(3910)の管腔(3912)の中に後退させることにより、スプライン(3930)のセットを、本明細書に示されるバスケットまたはピラミッド様の形状に展開することができる。いくつかの実施形態では、デバイスハンドル内のノブ、ホイール、または他の制御機構を起動することで、第1および第2の内側シャフト(3920、3921)が並進し、スプライン(3930)のセットが展開されてもよい。いくつかの実施形態では、電極(3932、3934)のセットの少なくとも2つの電極の導線は、例えばハンドル内など、アブレーションデバイス(3900)の近位部分またはその付近で電気的に結合してもよい。
【0250】
さらに、カテーテルハンドル(図示せず)は、カテーテルデバイス(3900)の遠位部分(3904)を偏向させるまたは誘導するための機構を含んでもよい。例えば、プルワイヤは、外側シャフト(3910)の遠位端またはその付近で、カテーテルハンドルからデバイス(3900)の遠位部分(3904)の一端に延在してもよく、プルワイヤの張力によりデバイス(3900)が偏向する。デバイス(3900)が偏向することで、ユーザが、制御された様式でデバイス(3900)を好適な解剖学的位置に位置付けることが支援され得る。例えば、デバイス(3900)は、デバイス(3900)を心室腔などの所望の場所に送達するために使用される可動型シース(図示せず)内に摺動可能に配設されてもよい。腔内に入ると、デバイス(3900)は、所望の部位にアクセスしてアブレーションエネルギーを送達するために、さらに偏向または誘導されてもよい。
【0251】
いくつかの実施形態では、1つ以上の遠位スプライン電極(3932)は、そのような電極(3932)の各々からの心内心電図(ECG)信号を受信および/または監視するために、別々に電気的に配線されてもよい。例えば、アブレーションのために構成された電極と、ECG信号を受信するために構成された別の電極とを結合して、絶縁導線を分離することができる。いくつかの実施形態では、いくつかの遠位スプライン電極(3932)は、ECGの監視に使用されてもよく、一方で他の遠位スプライン電極(3932)は、アブレーションエネルギーの送達に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、いくつかの近位スプライン電極(3934)は、心内ECGの監視のために別々に配線されてもよい。本明細書に記載のアブレーションデバイスのうちのいずれも、そのような電極の各々からの心内ECG信号を監視するために別々に電気的に配線された電極とともに使用され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、スプラインのセットのうちの1つ以上のスプラインのいくつかの電極は、ECGの監視に使用されてもよく、一方で他の電極は、アブレーションエネルギーの送達に使用されてもよく、他の実施形態では、いくつかの電極のみがECGの監視に使用されてもよく、一方ですべての電極がアブレーションエネルギーの送達に使用されてもよい。
【0252】
膨張可能な部材(3950)を含むアブレーションデバイス(3900)を使用する例示的な方法は、対象の心臓の心室腔内にアブレーションデバイス(3900)を配設するステップを含み得る。スプライン(3930)のセットを、スプラインのセットの各スプラインの遠位部分が長手方向軸(3924)から半径方向外向きにたわむ拡張構成に移行させることができる。スプライン(3930)のセットを拡張構成に移行させることは、第1のシャフトに対して第2のシャフトの遠位部分を後退させることを含む。第1のシャフトに対して第2のシャフトの遠位部分を後退させることは、第2のシャフトまたは第1のシャフトのうちの少なくとも1つに結合されたハンドルを使用することを含み得る。
【0253】
膨張可能な部材(3950)は、膨張構成に移行し得る。スプライン(3930)のセットが心室腔の組織をアブレーションするための電界を生成するように、アブレーションパルス波形を、スプライン(3930)のセット上に配設された複数の電極(3932, 3934)に送達することができ、膨張可能な部材(3950)が、組織に向かって電界を向ける。
【0254】
いくつかの実施形態では、電界は、約0.5cm~約2.5cmの直径を有するフォーカルアブレーション患部を組織の表面上に形成するように構成される。少なくとも1つのスプラインの電極のセットからの第1の電極をアノードとして構成することができる。少なくとも1つのスプラインの電極のセットからの第2の電極をカソードとして構成することができる。アブレーションパルス波形を第1の電極および第2の電極に送達することができる。
【0255】
少なくとも1つの電極のセットは、アブレーションのために構成され得、少なくとも1つの電極のセットは、電気生理学データを受信するために構成され得る。電気生理学データは、少なくとも1つの電極のセットを使用して心臓から記録され得る。電気生理学データは、少なくとも1つの肺静脈の心内心電図(ECG)信号データを含み得る。
【0256】
組織は、心室腔の心内膜表面を含んでもよい。いくつかの用途では、心室腔は心室であり、他の用途では、心室腔は心房であり得る。いくつかの実施形態では、ペーシングデバイスは、心臓の右心室または他の心臓領域内に前進され得る。心臓の心臓刺激のためのペーシング信号が生成されてもよい。ペーシングデバイスを使用して、ペーシング信号を心臓に適用することができ、アブレーションパルス波形が、ペーシング信号と同期して生成される。アブレーションパルス波形は、ペーシング信号に関する時間オフセットを含み得る。アブレーションデバイスの放射線不透過性部分は、1つ以上のステップの間に蛍光透視下で可視化され得る。
【0257】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、心臓の心室腔内に前進され得、電気生理学データは、記録電極を使用して記録され得る。スプラインのセットを拡張構成に移行させ、バルーンを膨張構成に移行させた後、心内膜表面と接触した状態でスプラインのセットからの少なくとも1つのスプラインを留置することができる。心内膜と接触した状態で少なくとも1つのスプラインは、「C」形状を形成し得る。本明細書に記載されるように、アブレーションデバイス(3900)は、膨張可能な部材(3950)と流体連通している管腔を画定するシャフトを含み得る。膨張可能な部材を膨張構成に移行させることは、流体を、シャフトの管腔を介して、膨張可能な部材内に送達することを含む。膨張可能な部材は、絶縁材料から形成され得、それにより、膨張可能な部材は、アブレーションパルス波形の送達中に絶縁体として作用する。
【0258】
膨張可能な部材は、複数の膨張可能な部分を含み得る。複数の膨張可能な部分からの各膨張可能な部分は、複数の膨張可能な部分の他の膨張可能な部分から独立して膨張可能であり得る。
【0259】
いくつかの変形例では、スプラインのセットを拡張構成に移行させることは、スプラインのセットを、スプラインのセットからの各スプラインの遠位部分が長手方向軸に対して70度超で角度が付けられるように、移行させることを含み得る。いくつかの実施形態では、スプラインのセットを拡張構成に移行させることは、膨張可能な部材を膨張構成に移行させることに応答する。
【0260】
アブレーションデバイス(3900)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、任意の数のスプライン、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、14個、16個、17個、20個、またはそれを超えるスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(3900)は、3~20個のスプラインを含んでもよい。例えば、アブレーションデバイス(3900)は、4~12個のスプラインを含んでもよい。
【0261】
スプライン(3900)のセットのスプラインの各々は、組織への外傷を低減するように非侵襲的で概して曲線的な形状を有するそれぞれの電極(3932、3934)を含んでもよい。このようにして、第2の構成にある遠位電極(3932)は、本明細書に記載されるように、左心室の心房壁の一部、またはより一般的には任意の心房もしくは心室腔に接近して保持されるかまたはそれに対して留置されて、任意の好適な極性の組み合わせを使用して適切な電極を作動させることによってその上に患部を生成し得る。例えば、スプライン(3930)のセットの遠位部分(3922)および/または遠位電極(3932)は、組織壁に対してほぼ垂直にまたは概して斜めの配向で、
図38Dに示されるのと同様に、組織壁(3950)に対して接触してまたはごく接近して留置されてもよい。この遠位電極(3932)の構成により、展開された構成にあるアブレーションデバイス(3900)が角度を付けて(例えば、斜めに)組織壁(3950)に当接する場合であっても、所望の深度で局限性患部を生成することが可能となる。
【0262】
いくつかの実施形態では、電極または電極のサブセットは、独立してアドレス指定可能であり得るので、電極は、不可逆的電気穿孔によって組織をアブレーションするのに十分な任意のパルス波形を使用して任意のシーケンスで通電され得る。例えば、本明細書でさらに詳細に考察されるように、異なる電極のセットは、異なるパルスのセット(例えば、階層的なパルス波形)を送達してもよい。スプライン上およびスプライン間の電極のサイズ、形状、および間隔は、1つ以上の肺静脈を電気的に絶縁するために連続/貫壁エネルギーを送達するように構成されてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、代替電極は同じ電位であってもよく、他のすべての代替電極についても同様であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、アブレーションは、すべての電極を同時に作動させて迅速に送達され得る。様々なそのような電極対合のオプションが存在し、その利便性に基づいて実装されてもよい。
【0263】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(例えば、2900、3000、3100、3200)は、2~6個のカテーテルを含んでもよい。アブレーションデバイス(例えば、2900、3000、3100、3200)は、任意の数のカテーテル、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、またはそれを超えるカテーテルを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(例えば、2900、3000、3100、3200)は、3~6個のカテーテルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(例えば、2900、3000、3100、3200)のカテーテルは、2~6個の遠位部分を含んでもよい。カテーテルは、任意の数の遠位部分、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、またはそれを超える遠位部分を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテルは、2~4個の遠位部分を含んでもよい。さらに、いくつかの実施形態では、カテーテルの形状(例えば、湾曲、長さ、サイズ)は、フォーカルアブレーションの深度、形状、および/またはサイズの制御を支援するために、非対称であってもよい。
【0264】
いくつかの実施形態では、電極は、アノード-カソード対を形成してもよい。例えば、第1の電極はアノードとして構成されてもよく、第2の電極はカソードとして構成されてもよい。いくつかの実施形態では、電極のサブセットは、独立してアドレス指定可能であってもよく、電極は、不可逆的電気穿孔によって組織をアブレーションするのに十分な任意のパルス波形を使用して任意のシーケンスで通電されてもよい。例えば、異なる電極のセットは、異なるパルスのセット(例えば、階層的なパルス波形)を送達してもよい。
【0265】
前述で記載されたすべての実施形態では、また限定するものではなく、アブレーションカテーテルは、それ自体が、当業者には既知であるように、カテーテルハンドル中の好適な機構によって偏向を制御するためにプルワイヤを伴う可動型デバイスであってもよい。
【0266】
バルーン
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、エネルギーを送達して不可逆的電気穿孔によって組織をアブレーションするために、1つ以上のバルーンを含んでもよい。
図10は、心臓の左心房腔(1000)に配設されたバルーンアブレーションデバイス(1010)(例えば、アブレーションデバイス(110)に構造的および/または機能的に類似したもの)の実施形態を描いている。アブレーションデバイス(1010)は、肺静脈(1004)の口(1002)に配設されるように構成されてもよい第1のバルーン(1012)および第2のバルーン(1014)を含んでもよい。拡張(例えば、膨張)構成にある第1のバルーン(1012)は、直径が、拡張構成にある第2のバルーン(1014)より大きくてもよい。これにより、第2のバルーン(1014)を肺静脈(1014)のさらに奥に前進させて配設し、一方で第1のバルーン(1012)を肺静脈(1004)の口(1002)および/またはその付近に配設できるようになる。膨張した第2のバルーンは、第1のバルーンを肺静脈の口に位置付けることを安定させるように機能する。いくつかの実施形態では、第1のバルーン(1012)および第2のバルーン(1014)には、任意の好適な伝導流体、例えば生理食塩水などが充填されてもよい。第1のバルーン(1012)および第2のバルーン(1014)は、互いに電気的に絶縁されていてもよい。例えば、各バルーン(1012、1014)には、絶縁導線が関連付けられてもよく、各導線は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で少なくとも700Vの電位差を維持するのに十分な電気絶縁性を有する。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その間の厚さ全体で、間のすべての値および部分範囲を含めて約200V~約2500Vの電位差を維持してもよい。例えば、第2のバルーン(1014)の導線は、第1のバルーン(1012)を通って延在するときに絶縁されてもよい。
【0267】
いくつかの実施形態では、第1および第2のバルーン(1012、1014)は、アノード-カソード対を形成してもよい。例えば、一実施形態では、第1および第2のバルーンは、電気的に分離した生理食塩流体を担持してもよく、第1のバルーン(1012)は、カソードとして構成されてもよく、第2のバルーン(1014)は、アノードとして構成されてもよく、逆もまた同様であり、ここで、電気エネルギーは、バルーンまたは生理食塩水を充填した電極にわたって容量結合してもよい。デバイス(1010)は、組織(1002)に送達されるパルス波形を受信してもよい。例えば、二相性信号のうちの1つ以上は、組織が肺静脈(1004)の所望の場所において第1のバルーン(1012)と第2のバルーン(1014)との間でアブレーションされ得るように、適用されてもよい。第1および第2のバルーン(1012、1014)は、電界、および肺静脈(1004)の口(1002)から離れた組織への損傷を低減するように、電界を実質的に第1のバルーン(1012)と第2のバルーン(1014)との間に制限してもよい。別の実施形態では、それぞれ第1のバルーンの近位および遠位に配設された電極(1018)および(1019)の一方または両方は、1つの極性のある電極として使用されてもよく、一方で第1のバルーン中の流体は、反対の極性の電極として作用してもよい。次に、二相性パルス波形が、バルーンにわたる容量結合によってこれらの反対の極性の電極の間に送達されて、不可逆的電気穿孔アブレーションのゾーンを第1のバルーンの周辺の領域に生じさせてもよい。いくつかの実施形態では、バルーン(1012、1014)のうちの1つ以上は、ワイヤメッシュを含んでもよい。
【0268】
図11は、心臓の左心房腔(1100)および右心房腔(1104)に配設されたバルーンアブレーションデバイス(1110)(例えば、アブレーションデバイス(1010)に構造的および/または機能的に類似したもの)の別の実施形態の断面図である。アブレーションデバイス(1110)は、右心房腔(1104)の中に前進して配設されるように構成され得るバルーン(1112)を含んでもよい。例えば、バルーン(1112)は、心臓の中隔(1106)と接触して配設されてもよい。バルーン(1112)には、生理食塩水が充填されてもよい。デバイス(1110)は、右心房腔(1104)からバルーン(1112)および中隔(1106)を通って左心房腔(1100)の中に前進し得る電極(1120)をさらに含んでもよい。例えば、電極(1120)は、バルーン(1112)から延在し、中隔(1106)を穿刺して、左心房腔(1100)の中に前進してもよい。電極(1120)が左心房腔(1100)の中に前進すると、電極(1120)の遠位部分は変形して、所定の形状を形成してもよい。例えば、電極(1120)の遠位部分は、非線形の形状、例えば、円形、楕円体、または任意の他の幾何形状を含んでもよい。
図11では、電極(1120)の遠位部分は、左心房腔(1100)の肺静脈(1102)の1つの口または2つ以上の口を囲繞し得るループを形成する。他の実施形態では、電極(1120)の遠位部分は、直径が肺静脈(1102)の口とほぼ同じであってもよい。
【0269】
バルーン(1112)および電極(1120)は、互いに電気的に絶縁されていてもよい。例えば、バルーン(1112)および電極(1120)は、各々、それぞれ絶縁導線(1114、1122)を含んでもよく、各導線(1114、1122)は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で少なくとも700Vの電位差を維持するのに十分な電気絶縁性を有する。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その間の厚さ全体で、間のすべての値および部分範囲を含めて約200V~約2000Vの電位差を維持してもよい。電極(1120)の導線(1122)は、バルーン(1112)を通じて絶縁されてもよい。いくつかの実施形態では、バルーン(1112)中の生理食塩水と電極(1120)とは、アノード-カソード対を形成してもよい。例えば、バルーン(1112)はカソードとして構成されてもよく、電極(1120)はアノードとして構成されてもよい。デバイス(1110)は、肺静脈(1102)の口に送達されるパルス波形を受信してもよい。例えば、二相性波形が、組織をアブレーションするために適用されてもよい。パルス波形は強い電界を電極(1120)の周囲に創出し、電流が容量結合を介してバルーン(1112)に印加されて、回路を完成させる。いくつかの実施形態では、電極(1120)はハイゲージのワイヤを含んでもよく、バルーン(1112)はワイヤメッシュを含んでもよい。
【0270】
別の実施形態では、電極(1120)は、バルーン(1112)および/または中隔(1106)を通って前進することなく、肺静脈(1102)を通って前進して、肺静脈口のうちの1つ以上に配設されてもよい。バルーン(1112)および電極(1120)は、カソード-アノード対として構成され、上で考察された様式と同じようにパルス波形を受信してもよい。
【0271】
リターン電極
本明細書に記載されるアブレーションシステムのいくつかの実施形態は、健康な組織への意図されない損傷のリスクを低減するために、患者に結合したリターン電極またはリターン電極の分布したセットをさらに含んでもよい。
図12A~12Bは、患者(1200)に配設されたアブレーションシステムのリターン電極(1230)(例えば、リターンパッド)のセットの概略図である。左心房の肺静脈(1210)の4つの口のセットが
図12A~12Bに示される。アブレーションデバイスの電極(1220)は、肺静脈(1210)の口のうちの1つ以上の周囲に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、リターン電極(1230)のセットは、電流が電極(1220)から患者(1200)を通過した後リターン電極(1230)に戻るように、患者(1200)背中に配設されてもよい。
【0272】
例えば、1つ以上のリターン電極が患者(1200)の皮膚上に配設されてもよい。一実施形態では、8つのリターン電極(1230)が、肺静脈口(1210)を囲繞するように患者の背中に位置付けられてもよい。導電性ゲルをリターン電極(1230)と皮膚との間に塗布して、接触を向上させてもよい。本明細書に記載のアブレーションデバイスのいずれも、1つ以上のリターン電極(1230)とともに使用され得ることを理解されたい。
図12A~12Bでは、電極(1220)は、4つの口(1210)の周囲に配設されている。
【0273】
図12Bは、肺静脈の口(1210)の周囲に電界(1240)を形成している通電した電極(1220)を示す。リターン電極(1230)は、次に、電極(1220)によって送達された単相性および/または二相性波形を受信する。いくつかの実施形態では、リターン電極(1230)の数は、リターン電極(1230)の表面積にほぼ反比例してもよい。
【0274】
本明細書で考察されるアブレーションデバイスの各々について、電極(例えば、アブレーション電極、リターン電極)は、チタン、パラジウム、銀、白金または白金合金などの生体適合性金属を含んでもよい。例えば、電極は、白金または白金合金を含むことが好ましい場合がある。各電極は、絶縁破壊することなく、その厚さ全体で少なくとも700Vの電位差を維持するのに十分な電気絶縁性を有する導線を含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁は、絶縁破壊することなく、その間の厚さ全体で、間のすべての値および部分範囲を含めて約200V~約2500Vの電位差を維持してもよい。絶縁導線は、カテーテルの近位ハンドル部分まで走り、そこから好適な電気コネクタに接続することができる。カテーテルシャフトは、テフロン、ナイロン、ペバックスなどの可撓性の高分子材料でできていてもよい。
【0275】
方法
また、上記のシステムおよびデバイスを使用して心臓腔中の組織をアブレーションするための方法も本明細書に記載される。心臓腔は、左心房腔であってもよく、その関連する肺静脈を含んでもよい。概して、本明細書に記載される方法は、デバイスを導入し、それを1つ以上の肺静脈口領域または腔領域と接触して配設することを含む。パルス波形は、デバイスの1つ以上の電極に送達されて、組織をアブレーションし得る。いくつかの実施形態では、心臓ペーシング信号は、送達されたパルス波形を心周期と同期させてもよい。追加的または代替的に、パルス波形は、総エネルギー送達を削減するために階層の複数のレベルを含んでもよい。このように実行される組織アブレーションは、健康な組織への損傷を減らすために、ペーシングされた心拍と同期して、より少ないエネルギー送達で送達されてもよい。本明細書に記載のアブレーションデバイスのいずれかを使用して、必要に応じて以下で考察される方法を使用して組織をアブレーションすることができることを理解されたい。
【0276】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるアブレーションデバイスは、不整脈の原因であると特定された心臓機能/構造のフォーカルアブレーションのために使用されてもよい。例えば、心臓電気生理学診断用カテーテル(例えば、マッピングカテーテル)を使用して、本明細書に記載されるアブレーションデバイスのいずれかを使用するフォーカルアブレーションによって後にアブレーションされ得るロータなどの心臓構造をマッピングしてもよい。フォーカルアブレーションにより、例えば、周辺組織を保護しながらロータを無効にするスポット患部が創出され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のフォーカルアブレーション患部は、心臓不整脈を治療するために、1つ以上の箱型または線形患部と組み合わせて形成されてもよい。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、システムは、1つ以上のマッピングカテーテル、フォーカルアブレーションによる患部の創出に有用な1つ以上のアブレーションカテーテル(例えば、
図9D、9E、27A~27C、28、29、30、31、32に示されるアブレーションデバイス)、ならびに箱型および/または線形患部の創出に有用な1つ以上のカテーテル(例えば、
図3~8、9A~9C、10~12、26A~26Bに示されるアブレーションデバイス)を含み得る。
【0277】
図13は、組織アブレーションプロセスの一実施形態のための方法(1300)である。いくつかの実施形態では、心臓の洞調律の混乱を回避するために、本明細書に記載される電圧パルス波形を心周期の不応期中に適用してもよい。方法(1300)は、ステップで、デバイス(例えば、アブレーションデバイス(110)および/またはアブレーションデバイス(200、300、400、500、600、700、800、900、1010、1110、2900、3000、3100)のうちのいずれかなどのアブレーションデバイス)を左心房の心内膜腔の中に導入することを含む(1302)。デバイスは、前進して、肺静脈口と接触して配設され得る(1304)。例えば、アブレーションデバイスの電極は、肺静脈口で内側半径方向表面と接触して配設された電極のほぼ円形の配列を形成してもよい。いくつかの実施形態では、心臓の心臓刺激のためのペーシング信号が生成されてもよい(1306)。その後、ペーシング信号が心臓に適用されてもよい(1308)。例えば、心臓を心臓刺激器により電気的にペーシングし、ペーシングの捕捉を確実にして、心周期の周期性および予測可能性を確立してもよい。心房ペーシングおよび心室ペーシングのうちの1つ以上が適用され得る。ペーシング信号の表示は、信号生成器に送信されてもよい(1310)。その後、1つ以上の電圧パルス波形が送達され得る心周期の不応期中の時間窓が定義されてもよい。いくつかの実施形態では、不応時間窓はペーシング信号に従い得る。例えば、共通の不応時間窓は、心房不応時間窓と心室不応時間窓との間にあってもよい。
【0278】
パルス波形は、ペーシング信号と同期して生成されてもよい(1312)。例えば、電圧パルス波形は、共通の不応時間窓で適用されてもよい。いくつかの実施形態では、パルス波形は、ペーシング信号の表示に関する時間オフセットを伴って生成されてもよい。例えば、不応時間窓の開始は、時間オフセットによってペーシング信号からオフセットされてもよい。電圧パルス波形(複数可)は、対応する共通の不応時間窓にわたる一連の心拍にわたって適用されてもよい。生成されたパルス波形は、組織に送達されてもよい(1314)。いくつかの実施形態では、パルス波形は、アブレーションデバイスのスプラインのセットの1つ以上のスプラインを介して、患者の心臓の肺静脈口に送達されてもよい。他の実施形態では、本明細書に記載の電圧パルス波形は、肺静脈の絶縁およびアブレーションのために、アノード-カソードサブセットなどの電極サブセットに選択的に送達されてもよい。例えば、電極のグループの第1の電極はアノードとして構成されてもよく、電極のグループの第2の電極はカソードとして構成されてもよい。これらのステップは、アブレーションされた肺静脈口または腔領域の所望の数(例えば、1つ、2つ、3つ、または4つの口)に対して繰り返されてもよい。
【0279】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される入れ子構造および時間間隔の階層を有する階層電圧パルス波形は、不可逆的電気穿孔に有用であり、異なる組織の種類で制御および選択性を提供する。
図14は、組織アブレーションプロセスの別の実施形態のフローチャート(1400)である。方法(1400)は、デバイス(例えば、アブレーションデバイス(200、300、400、500、600、700、800、900、1010、1110、2900、3000、3100)のうちのいずれかなどのアブレーションデバイス)を左心房の心内膜腔の中に導入することを含む(1402)。デバイスは、前進して、肺静脈口に配設され得る(1404)。デバイスが第1および第2の構成(例えば、コンパクトおよび拡張)を含み得る実施形態では、デバイスは、第1の構成で導入され、第2の構成に移行して、肺静脈洞口または口もしくはそれらの付近で組織に接触してもよい(1406)。デバイスは、電極を含んでもよく、上で詳細に考察されたように、アノード-カソードサブセットで構成されてもよい(1408)。例えば、デバイスの電極のサブセットはアノードとして選択されてもよく、一方でデバイスの電極の別のサブセットはカソードとして選択されてもよく、電圧パルス波形がアノードとカソードとの間に適用される。
【0280】
パルス波形は、信号生成器(例えば、信号生成器122)によって生成されてもよく、階層における複数のレベルを含んでもよい(1410)。本明細書に開示の信号生成器を用いて、様々な階層波形を生成し得る。例えば、パルス波形は、パルスの第1のセットを含む、パルス波形の階層の第1のレベルを含んでもよい。各パルスは、パルス持続時間と、連続するパルスを分離する第1の時間間隔とを有する。パルス波形の階層の第2のレベルは、複数のパルスの第1のセットをパルスの第2のセットとして含んでもよい。第2の時間間隔は、連続するパルスの第1のセットを分離してもよい。第2の時間間隔は、第1の時間間隔の持続時間の少なくとも3倍であり得る。パルス波形の階層の第3のレベルは、複数のパルスの第2のセットを第3のパルスのセットとして含んでもよい。第3の時間間隔は、連続するパルスの第2のセットを分離してもよい。第3の時間間隔は、第2のレベルの時間間隔の持続時間の少なくとも30倍であり得る。
【0281】
本明細書の例は別個の単相および二相性波形を識別するが、波形階層のある部分が単相であり、他の部分が二相である組み合わせ波形も生成できることを理解されたい。階層構造を有する電圧パルス波形は、異なるアノード-カソードのサブセット全体に適用されてもよい(任意選択で時間遅延を伴う)。上で考察されたように、アノード-カソードのサブセットにわたって適用される波形のうちの1つ以上が、心周期の不応期中に適用されてもよい。パルス波形は、組織に送達されてもよい(1412)。
図13および14に記載されるステップは、必要に応じて組み合わせて修正されてもよいことを理解されたい。
【0282】
図15~18は、本明細書(例えば、
図2~5)に記載されるアブレーションデバイスを使用して、上で記載されたように心臓の左心房腔で組織をアブレーションするための方法の実施形態を描いている。
図15は、
図2に描かれるアブレーションデバイス(210)に対応するアブレーションデバイス(1500)を使用して、心臓の左心房腔に配設された組織をアブレーションするための方法の実施形態の断面図である。4つの肺静脈(1504)を有する左心房腔(1502)が描かれており、アブレーションデバイス(1500)は、組織を連続してアブレーションして、肺静脈(1504)のうちの1つ以上を電気的に絶縁するために使用され得る。
図15に示されているように、アブレーションデバイス(1500)は、経中隔法(例えば、右心房腔から中隔を通って左心房腔(1502)に延在する)を使用して左心房腔(1502)などの心内膜腔の中に導入されてもよい。アブレーションデバイス(1500)は、カテーテル(1510)と、カテーテル(1510)の管腔内で摺動可能なガイドワイヤ(1520)とを含んでもよい。カテーテル(1510)の遠位部分は、電極(1512)のセットを含んでもよい。ガイドワイヤ(1520)の遠位部分(1522)は、肺静脈(1504)の口の付近に配設されるように、左心房腔(1502)の中に前進してもよい。カテーテル(1510)は、次に、ガイドワイヤ(1520)上を前進して、電極(1512)を肺静脈(1504)の口の付近に配設してもよい。電極(1512)が肺静脈(1504)の口に接触すると、電極(1512)は、アノード-カソードサブセットで構成され得る。信号生成器(図示せず)によって生成された電圧パルス波形は、ペーシングされた心拍と同期して電極(1512)を使用して組織に送達されてもよく、かつ/または波形階層を含んでもよい。組織アブレーションを肺静脈(1504)のうちの1つにおいて完了した後、カテーテル(1510)およびガイドワイヤ(1520)は、別の肺静脈(1504)に再度位置決めされて、残りの肺静脈(1504)のうちの1つ以上において組織をアブレーションしてもよい。
【0283】
図16は、
図3に描かれるアブレーションデバイス(310)に対応するアブレーションデバイス(1600)を使用して、心臓の左心房腔に配設された組織をアブレーションするための方法の実施形態の断面図である。4つの肺静脈(1604)を有する左心房腔(1602)が描かれており、アブレーションデバイス(1600)は、組織を連続してアブレーションして、肺静脈(1604)のうちの1つ以上を電気的に絶縁するために使用され得る。
図16に示されるように、アブレーションデバイス(1600)は、経中隔法を使用して、左心房腔(1602)などの心内膜腔の中に導入されてもよい。アブレーションデバイス(1600)は、シース(1610)と、シース(1610)の管腔内で摺動可能なカテーテル(1620)とを含んでもよい。カテーテル(1620)の遠位部分(1622)は、電極のセットを含んでもよい。カテーテル(1620)の遠位部分(1622)は、電極を肺静脈(1604)の口の付近に配設されるように、左心房腔(1602)の中に前進してもよい。電極が肺静脈(1604)の口に接触すると、電極は、アノード-カソードサブセットで構成され得る。信号生成器(図示せず)によって生成された電圧パルス波形は、ペーシングされた心拍と同期して電極を使用して組織に送達されてもよく、かつ/または波形階層を含んでもよい。組織アブレーションを肺静脈(1604)において完了した後、カテーテル(1620)は、別の肺静脈(1604)に再度位置決めされて、残りの肺静脈(1604)のうちの1つ以上において組織をアブレーションしてもよい。
【0284】
図17は、
図4に描かれるアブレーションデバイス(410)に対応するアブレーションデバイスを使用して、心臓の左心房腔に配設された組織をアブレーションするための方法の実施形態の断面図である。4つの肺静脈(1704)を有する左心房腔(1702)が描かれており、アブレーションデバイス(1700)は、組織をアブレーションして、肺静脈(1704)のうちの1つ以上を電気的に絶縁するために使用され得る。
図17に示されるように、アブレーションデバイス(1700)は、経中隔法を使用して、左心房腔(1702)などの心内膜腔の中に導入されてもよい。アブレーションデバイス(1700)は、シース(1710)と、シース(1710)の管腔内で摺動可能な複数のカテーテル(1720、1721)とを含んでもよい。カテーテル(1720、1721)の各々は、カテーテル(1720、1721)内で摺動可能なそれぞれのガイドワイヤ(1722、1723)を含んでもよい。ガイドワイヤ(1722、1723)の遠位部分は、電圧パルス波形を送達するように構成された電極を含んでもよい。カテーテル(1720、1721)の各々および対応するガイドワイヤ(1722、1723)は、肺静脈(1704)のそれぞれの口の付近に配設されるように、左心房腔(1702)の中に前進してもよい。ガイドワイヤ電極(1722、1723)が肺静脈(1704)の口に接触すると、電極は、アノード-カソードサブセットで構成され得る。例えば、第1のガイドワイヤ(1722)はアノードとして構成されてもよく、第2のガイドワイヤ(1723)はカソードとして構成されてもよい。この構成において、信号生成器(図示せず)によって生成された電圧パルス波形は、アブレーションおよび肺静脈(1704)の対の同時の絶縁のために送達されてもよい。追加的にまたは代替的に、電圧パルス波形は、ペーシングされた心拍と同期して電極を使用して組織に送達されてもよく、かつ/または波形階層を含んでもよい。組織アブレーションを肺静脈(1704)のうちの2つにおいて完了した後、カテーテル(1720、1721)は、再度位置決めされて、残りの2つの肺静脈(1704)において組織をアブレーションしてもよい。いくつかの実施形態では、シース(1710)は、肺静脈(1704)に配設される3つまたは4つのカテーテルを含んでもよい。
【0285】
図18は、
図5に描かれるアブレーションデバイス(500)に対応するアブレーションデバイス(1800)を使用して、心臓の左心房腔に配設された組織をアブレーションするための方法の実施形態の断面図である。4つの肺静脈(1804)を有する左心房腔(1802)が描かれており、アブレーションデバイス(1800)は、組織を連続してアブレーションして、肺静脈(1804)のうちの1つ以上を電気的に絶縁するために使用され得る。
図18に示されるように、アブレーションデバイスは、経中隔法を使用して、左心房腔(1802)などの心内膜腔の中に導入されてもよい。アブレーションデバイスは、シース(1820)と、シース(1820)の管腔内で摺動可能なカテーテル(1810)とを含んでもよい。カテーテル(1810)の遠位部分(1812)は、
図5に関して詳細に考察されたように、花形形状であってもよい。カテーテル(1810)の遠位部分(1812)は、コンパクトな第1の構成で左心房腔(1802)の中に前進し、肺静脈(1804)の口の付近に配設されてもよい。カテーテル(1810)の遠位部分(1812)は、次に、拡張した第2の構成に移行して、カテーテル(1810)の遠位部分(1812)が肺静脈(1804)の口の付近に配設されるように、
図18に示される花形形状の遠位部分を形成してもよい。電極が肺静脈(1804)の口に接触すると、電極は、アノード-カソードサブセットで構成され得る。信号生成器(図示せず)によって生成された電圧パルス波形は、ペーシングされた心拍と同期して電極を使用して組織に送達されてもよく、かつ/または波形階層を含んでもよい。組織アブレーションを肺静脈(1804)において完了した後、カテーテル(1810)は、別の肺静脈(1804)に再度位置決めされて、残りの肺静脈(1804)のうちの1つ以上において組織をアブレーションしてもよい。
【0286】
本明細書(例えば、
図13~18)に記載される方法のうちのいずれも、電圧パルス波形の適用中に電流を患者から安全に除去するように構成されたリターン電極(例えば、
図12Aおよび12Bに描かれる1つ以上のリターン電極(1230))を患者の背部に結合させることをさらに含んでもよい。
【0287】
図19A~20Bは、肺静脈の口の周囲に接触して配設された電極およびそれから発生する電界の実施形態を描いている。
図19Aは、肺静脈(1904)の口に配設された電極(1910)のセットの実施形態の概略表現(1900)である。左心房腔(1902)は血液プール(1906)を含んでもよく、肺静脈(1904)は血液プール(1908)を含んでもよい。左心房腔(1902)および肺静脈(1904)は、各々、壁厚が最大約4mmであってもよい。
【0288】
図19Bは、半径方向に肺静脈(1904)の内側表面に沿って配設された電極(1910)のセットの別の概略表現(1900)である。肺静脈(1904)は、血液プール(1908)を収容する動脈壁(1905)を含んでもよい。隣接する電極(1910)は、所定の距離(1911)だけ離れていてもよい。いくつかの実施形態では、肺静脈(1904)は、約16mmの内径を有してもよい。
図19A~19Bでは、電極(1910)は、約10mmの長さを有し、互いから約4mmだけ離間していてもよい。電極(1910)は、他の実施形態では、本明細書に開示される電極のうちのいずれであってもよいことを理解されたい。例えば、電極(1910)は、
図5の花形形状の遠位部分の電極および/または
図3に描かれる電極の概して円形の配列を含んでもよい。
【0289】
図20A~20Bは、肺静脈(2002)の口に配設された電極(2010)のセットによって発生した電界(2020)の実施形態の概略表現(2000)である。
図20Aが肺静脈(2002)および左心房腔(2004)の外壁の斜視図であるのに対し、
図20Bはその断面図である。陰影付きの電界(2020)は、隣接する電極(2010)がエネルギー(例えば、電圧パルス波形)を送達して、組織をアブレーションするときに、電界(2020)が閾値を超過する場合を示す。例えば、電界(2020)は、隣接する電極(2010)間に印加された1500Vの電位差を表す。この印加された電圧下で、電界(2020)強度は、陰影付きの容量電界(2020)内で500V/cmの閾値を少なくとも上回り、心臓組織において不可逆的アブレーションを生成するのに十分であり得る。上で詳細に記載されたようにパルス波形を電極(2010)の隣接する対にわたって並べることにより、肺静脈(2002)口がアブレーションされて、肺静脈(2002)を左心房腔(2004)から電気的に絶縁し得る。
【0290】
パルス波形
不可逆的電気穿孔による組織アブレーションを達成するためのパルス電界/波形の選択的かつ迅速な適用のための方法、システム、および装置が、本明細書に開示される。本明細書に開示のパルス波形(複数可)は、本明細書に開示のシステム(100)、デバイス(例えば、200、300、400、500、600、700、800、900、1010、1110、1230、1500、1600、1700、1800、1910、2010、2900、3000、3100)、および方法(例えば、1300、1400)のうちのいずれとともに使用可能である。いくつかの実施形態は、電極のセットを介して組織にエネルギーを送達するためのシーケンス化された送達スキームとともに、パルス化された高電圧波形に向けられている。いくつかの実施形態では、ピーク電界値を低減および/または最小化することができ、同時に、組織アブレーションが望まれる領域で十分に大きい電界強度を維持することができる。これはまた、過度の組織損傷または電気アークの発生、かつ局所的に高温になる可能性を低減する。いくつかの実施形態では、不可逆的電気穿孔に有用なシステムは、アブレーションデバイスの選択された複数の電極または電極のサブセットにパルス電圧波形を適用するように構成され得る信号生成器およびプロセッサを含む。いくつかの実施形態では、プロセッサは、入力を制御するように構成され、それにより、選択された電極のアノード-カソードのサブセットの対は、所定のシーケンスに基づいて連続的にトリガーされることができ、一実施形態では、シーケンス化された送達は心臓刺激器および/またはペーシングデバイスからトリガーされることができる。いくつかの実施形態では、心臓の洞調律の混乱を回避するために、アブレーションパルス波形は、心周期の不応期に適用される。これを実施する一例の方法は、心臓刺激器で心臓を電気的にペーシングし、ペーシングの捕捉を確実にして心周期の周期性および予測可能性を確立し、次いで、アブレーション波形が送達されるこの周期サイクル内の不応期内の時間窓を明確にすることである。
【0291】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるパルス電圧波形は、機構が階層的であり、入れ子構造を有する。いくつかの実施形態では、パルス波形は、様々な関連するタイムスケールを有するパルスの階層的なグループ分けを含む。さらに、関連するタイムスケールおよびパルス幅、ならびにパルスおよび階層的なグループ分けの数は、心臓ペーシングの周波数が関与するディオファントス不等式のセットのうちの1つ以上を満たすように選択され得る。
【0292】
本明細書に開示される電気穿孔エネルギー送達のためのパルス波形は、不可逆的電気穿孔に関連する電界閾値を低下させることにより、エネルギー送達の安全性、効率、および有効性を高め、送達される総エネルギーの低下を伴うより効果的な切除患部をもたらすことができる。これにより、様々な心臓不整脈の治療的処置を含む電気穿孔の臨床応用分野が拡大し得る。
【0293】
図21は、一連の矩形二重パルスの形態のパルス電圧波形を示しており、パルス(2100)などの各パルスは、パルス幅または持続時間に関連付けられている。パルス幅/持続時間は、約0.5マイクロ秒、約1マイクロ秒、約5マイクロ秒、約10マイクロ秒、約25マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約125マイクロ秒、約140マイクロ秒、約150マイクロ秒であってもよく、その間のすべての値および部分範囲を含む。
図21のパルス波形は、すべてのパルスの極性が同じである単相性パルスのセットを示している(ゼロベースラインから測定して、
図21ではすべて正である)。不可逆的電気穿孔用途などのいくつかの実施形態では、各パルスの高さ(2100)またはパルスの電圧振幅(2100)は、間のすべての値および部分範囲を含めて、約400ボルトから、約1,000ボルト、約5,000ボルト、約10,000ボルト、約15,000ボルトの範囲であり得る。
図21に示されるように、パルス(2100)は、第1の時間間隔とも呼ばれる時間間隔(2102)だけ隣接パルスから分離されている。第1の時間間隔は、不可逆的電気穿孔を生成するために、間のすべての値および部分範囲を含めて、約10マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約200マイクロ秒、約500マイクロ秒、約800マイクロ秒、約1ミリ秒であり得る。
【0294】
図22は、入れ子型パルスの階層構造を備えたパルス波形を紹介している。
図22は、連続するパルス間で、持続時間t1(2202)などの時間間隔(場合によって、第1の時間間隔とも呼ばれる)で分離された、パルス幅/パルス持続時間wのパルス(2200)などの一連の単相性パルスを示しており、その数m1は、パルスのグループ(2210)(場合によって、パルスの第1のセットとも呼ばれる)を形成するように配列される。さらに、波形は、連続するグループ間の持続時間t2の時間間隔(2212)(場合によって、第2の時間間隔とも呼ばれる)で分離された、かかるパルスのグループ(場合によって、パルスの第2のセットとも呼ばれる)の数m2を有する。
図22の(2220)によってマークされたm2の集合のようなパルスのグループは、パケットおよび/またはパルスの第3のセットと呼ばれ得る階層の次のレベルを構成する。パルス幅とパルス間の時間間隔t1は両方とも、間のすべての値および部分範囲を含めてマイクロ秒から数百マイクロ秒の範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、時間間隔t2は、時間間隔t1の少なくとも3倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、比t2/t1は、間のすべての値および部分範囲を含めて約3~約300の範囲にあり得る。
【0295】
図23は、入れ子型パルス階層波形の構造をさらに詳しく説明している。この図では、一連のm1のパルス(個々のパルスは図示せず)が、パルスのグループ(2300)(例えば、パルスの第1のセット)を形成する。1つのグループと次のグループとの間の持続時間t2(例えば、第2の時間間隔)のグループ間時間間隔(2310)によって分離された一連のm2のようなグループは、パケット132(例えば、パルスの第2のセット)を形成する。あるパケットと次のパケットとの間の持続時間t3(例えば、第3の時間間隔)の時間間隔(2312)によって分離されたパケットのような一連のm3は、階層中に次のレベル、図で(2320)とラベル付けされたスーパーパケット(例えば、パルスの第3のセット)を形成する。いくつかの実施形態では、時間間隔t3は、時間間隔t2よりも少なくとも約30倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、時間間隔t3は、時間間隔t2よりも少なくとも50倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、比t3/t2は、間のすべての値および部分範囲を含めて約30~約800の範囲にあり得る。パルス階層内の個々の電圧パルスの振幅は、間のすべての値および部分範囲を含めて500ボルト~7,000ボルト以上の範囲のいずれかであり得る。
【0296】
図24は、階層構造を有する二相性波形シーケンスの例を提供する。図に示されている例では、(2400)などの二相性パルスには、パルスの1サイクルを完了するための正の電圧部分と負の電圧部分がある。持続時間t1の隣接サイクルとn1の隣接サイクル間に時間遅延(2402)(例えば、第1の時間間隔)があり、そのようなサイクルはパルスのグループ(2410)(例えば、パルスの第1のセット)を形成する。あるグループと次のグループとの間の持続時間t2のグループ間時間間隔(2412)(例えば、第2の時間間隔)によって分離されたグループのような一連のn2は、パケット(2420)(例えば、パルスの第2のセット)を形成する。図はまた、パケット間の持続時間t3の時間遅延(2432)(例えば、第3の時間間隔)を伴う第2のパケット(2430)も示す。単相性パルスの場合と同様に、より高いレベルの階層構造も形成され得る。各パルスの振幅または二相性パルスの電圧振幅は、間のすべての値および部分範囲を含めて500ボルト~7,000ボルト以上の範囲のいずれかであってもよい。パルス幅/パルス持続時間は、ナノ秒、またはさらにはサブナノ秒から数十マイクロ秒の範囲であり得、遅延t1は0から数マイクロ秒の範囲であり得る。グループ間時間間隔t2は、パルス幅よりも少なくとも10倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、時間間隔t3は、時間間隔t2よりも少なくとも約20倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、時間間隔t3は、時間間隔t2よりも少なくとも50倍大きくてもよい。
【0297】
本明細書に開示される実施形態は、階層の様々なレベルで波形要素/パルスを含む階層波形として構造化された波形を含む。
図22の(2200)などの個々のパルスは、階層の第1のレベルを含み、関連するパルス持続時間および連続するパルス間の第1の時間間隔を有する。パルスのセット、または第1のレベル構造の要素は、
図22のパルスのグループ/パルスの第2のセット(2210)などの階層の第2のレベルを形成する。波形に関連付けられている他のパラメータには、パルスの第2のセットの合計持続時間(図示せず)、第1のレベル要素/パルスの第1のセットの総数、および第2のレベル構造/パルスの第2のセットを記述する連続する第1のレベル要素間の第2の時間間隔などがある。いくつかの実施形態では、パルスの第2のセットの合計持続時間は、間のすべての値および部分範囲を含めて約20マイクロ秒から約10ミリ秒の間であり得る。グループのセット、パルスの第2のセット、または第2のレベル構造の要素は、
図22のグループのパケット/パルスの第3のセット(2220)などの階層の第3のレベルを形成する。他のパラメータの中でも、パルスの第3のセットの合計持続時間(図示せず)、第2のレベル要素/パルスの第2のセットの総数、および第3のレベル構造/パルスの第3のセットを記述する連続する第2のレベル要素間の第3の時間間隔などがある。いくつかの実施形態では、パルスの第3のセットの合計持続時間は、間のすべての値および部分範囲を含めて約60マイクロ秒から約200ミリ秒の間であってもよい。波形の一般的な反復または入れ子構造は、10レベル以上の構造など、より高い複数レベルを継続し得る。
【0298】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の入れ子構造および時間間隔の階層を有する階層波形は、不可逆的電気穿孔アブレーションエネルギー送達に有用であり、異なる組織の種類での用途に十分な制御と選択性を提供する。好適なパルス生成器を用いて、様々な階層波形を生成することができる。本明細書の例では、明確にするために単相性および二相性の波形を個別に識別しているが、波形階層のある部分が単相性であり、他の部分が二相性である組み合わせ波形も生成/実装できることを理解されたい。
【0299】
いくつかの実施形態では、心臓の洞調律の混乱を回避するために、本明細書において説明されたアブレーションパルス波形は、心周期の不応期中に適用される。いくつかの実施形態では、処置方法は、心臓刺激器で心臓を電気的にペーシングしてペーシングの捕捉を確実にし、心周期の周期性および予測可能性を確立し、次いで、1つ以上のパルスアブレーション波形が送達され得る心周期内の不応期内の時間窓を定義することを含む。
図25は、心房ペーシングと心室ペーシングの両方が適用される例を示している(例えば、それぞれ右心房と右心室に位置するペーシングリードまたはカテーテルを使用)。横軸に時間を示して、
図25は、(2500)および(2510)などの一連の心室ペーシング信号、および一連の心房ペーシング信号(2520、2530)を、ペーシング信号によって駆動される一連のECG波形(2540、2542)とともに示している。
図25に太い矢印で示されているように、心房ペーシング信号(2522)および心室ペーシング信号(2500)にそれぞれ続く心房不応時間窓(2522)および心室不応時間窓(2502)がある。
図25に示すように、心房および心室の両方の不応時間窓(2522、2502)内にある、持続時間Trの共通の不応時間窓(2550)を定義することができる。いくつかの実施形態では、この共通の不応時間窓(2550)に電気穿孔アブレーション波形(複数可)を適用することができる。この不応時間窓(2522)の開始は、
図25に示されるように、時間オフセット(2504)だけペーシング信号(2500)からオフセットされる。いくつかの実施形態では、時間オフセット(2504)は約25ミリ秒より小さくてもよい。次の心拍では、同様に定義された共通の不応時間窓(2552)が、アブレーション波形の適用に使用可能な次の時間窓である。このようにして、アブレーション波形(複数可)は、共通の不応時間窓内に留まる各心拍で、一連の心拍にわたって適用され得る。一実施形態では、パルス波形階層において上で定義されたパルスの各パケットは、所与の電極セットに対して一連のパケットが一連の心拍にわたって適用されるように、心拍にわたって適用され得る。
【0300】
本開示における例および図示が例示目的を果たし、スプラインの数、電極の数などといった逸脱および変形が、本発明の範囲から逸脱することなく本教示に従って構築および展開され得ることを理解されたい。
【0301】
本明細書で使用されたように、数値および/または範囲と併せて使用するときの「約」および/または「およそ」という用語は、一般に、列挙した数値および/または範囲の近傍の数値および/または範囲を指す。場合によっては、「約」および「およそ」という用語は、記載された値の±10%以内を意味してもよい。例えば、場合によっては、「約100[単位]」は、100の±10%以内(例えば、90~110)を意味してもよい。「約」および「およそ」という用語は、同じ意味で使用される場合がある。
【0302】
本明細書において説明されるいくつかの実施形態は、様々なコンピュータ実装動作を実行するための命令またはコンピュータコードを有する非一時的コンピュータ可読媒体(非一時的プロセッサ可読媒体とも称され得る)を備えたコンピュータストレージ製品に関する。コンピュータ可読媒体(またはプロセッサ可読媒体)は、それ自体が一時的な伝播信号(例えば、空間やケーブルなどの伝送媒体上で情報を運ぶ伝播電磁波)を含まないという意味で非一時的である。媒体およびコンピュータコード(コードまたはアルゴリズムとも呼ばれる)は、特定の目的のために設計および構築されたものである。非一時的コンピュータ可読能媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープなどの磁気ストレージ媒体コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)などの光学ストレージ媒体と、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、およびホログラフィックデバイスと、光ディスクなどの光磁気ストレージ媒体と、搬送波信号処理モジュールと、アプリケーション固有の集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスなど、プログラムコードを記憶および実行するように特別に構成されたハードウェアデバイスと、が含まれるが、これらに限定されない。本明細書において説明される他の実施形態は、例えば、本明細書に開示される命令および/またはコンピュータコードを含み得るコンピュータプログラム製品に関する。
【0303】
本明細書において説明されるシステム、デバイス、および/または方法は、ソフトウェア(ハードウェアで実行される)、ハードウェア、またはそれらの組み合わせによって実行され得る。ハードウェアモジュールは、例えば、汎用プロセッサ(またはマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでもよい。ソフトウェアモジュール(ハードウェア上で実行)は、C、C++、Java(登録商標)、Ruby、Visual Basic(登録商標)、および/またはその他のオブジェクト指向、プロシージャ型、または他のプログラミング言語と開発ツールを含む様々なソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)で表現できる。コンピュータコードの例には、マイクロコードまたはマイクロ命令、コンパイラによって生成されるような機械命令、Webサービスの生成に使用されるコード、および通訳を使用するコンピュータによって実行される高レベルの命令を含むファイルが含まれるが、これらに限定されない。コンピュータコードのその他の例には、制御信号、暗号化コード、および圧縮コードが含まれるが、これらに限定されない。
【0304】
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下記載する。
[項目1]
装置であって、
長手方向軸および管腔を画定する第1のシャフトと、
前記管腔内に配設され、前記第1のシャフトの遠位端から延在する遠位部分を有する第2のシャフトと、
組織をアブレーションするための電界を生成するように構成された複数の電極と、
スプラインのセットであって、前記スプラインのセットの各スプラインが、
そのスプライン上に形成された前記複数の電極からの電極のセットであって、各電極のセットは、(1)前記スプラインのセットが遠位電極のセットを含むような遠位電極、および(2)前記スプラインのセットが近位電極のセットを含むような近位電極、を含む、電極のセット、
前記第1のシャフトの前記遠位端に結合された近位端、および
前記第2のシャフトの遠位端に結合された遠位端、を含み、
前記スプラインのセットが、拡張構成に移行するように構成されており、前記スプラインのセットが、それらの間の空間を画定し、前記空間が、前記スプラインのセットの前記拡張構成においてより大きくなる、スプラインのセットと、
前記第1のシャフトの前記遠位端の遠位、かつ前記スプラインのセット間の前記空間内に配設された膨張可能な部材であって、前記スプラインのセットが前記拡張構成にあるときに膨張構成に移行するように構成されている、膨張可能な部材と、を備える、装置。
[項目2]
前記膨張構成にある前記膨張可能な部材が、拡張構成にある前記スプラインのセット間の前記空間を実質的に充填する、項目1に記載の装置。
[項目3]
前記膨張可能な部材が、前記膨張可能な部材の外側表面が前記長手方向軸に対してほぼ平行である収縮構成から、前記膨張可能な部材の前記外側表面が前記長手方向軸から半径方向外向きにたわむ前記膨張構成に移行するように構成されている、項目1に記載の装置。
[項目4]
前記スプラインのセットは、前記膨張可能な部材が前記膨張構成に移行することに応答して、前記拡張構成に移行するように構成されている、項目1に記載の装置。
[項目5]
前記スプラインのセットが前記拡張構成にあるとき、前記スプラインのセットからの各スプラインの遠位部分が、前記長手方向軸に対して少なくとも約70度で角度が付けられている、項目1に記載の装置。
[項目6]
前記膨張構成にある前記膨張可能な部材は、前記膨張可能な部材の遠位部分が前記膨張可能な部材の近位部分のものよりも大きい外径を有する非対称形状を形成する、項目1に記載の装置。
[項目7]
前記膨張構成にある前記膨張可能な部材が、約6mm~約24mmの最大部分の外径を有する形状を形成する、項目1に記載の装置。
[項目8]
前記スプラインのセットが前記拡張構成にあるとき、前記遠位電極のセットからの少なくとも1つの電極が、組織表面に接触し、かつ約0.5cm~約2.5cmの直径を有するフォーカルアブレーション患部を前記組織表面上に形成するように構成されている、項目1項に記載の装置。
[項目9]
前記膨張可能な部材の少なくとも一部分が、絶縁材料から形成されている、項目1に記載の装置。
[項目10]
前記膨張可能な部材が、放射線不透過性部分を含む、項目1に記載の装置。
[項目11]
前記第1のシャフトが、第1の内側シャフトであり、前記第2のシャフトが、第2の内側シャフトであり、前記装置が、外側シャフトをさらに備え、前記第1の内側シャフトおよび前記第2の内側シャフトが、前記外側シャフトに対して摺動するように構成され、前記膨張可能な部材の近位部分が、前記第1の内側シャフトの遠位部分に結合され、前記膨張可能な部材の遠位部分が、前記第2の内側シャフトの遠位部分に結合されている、項目1に記載の装置。
[項目12]
前記第1の内側シャフトが、流体源に結合するように構成されており、それにより、流体を、前記第1の内側シャフトの前記管腔を介して前記膨張可能な部材に送達して、前記膨張可能な部材を前記膨張構成に移行させることができる、項目11に記載の装置。
[項目13]
前記スプラインのセットは、前記第2の内側シャフトが前記第1の内側シャフトに対して移動することに応答して前記拡張構成に移行するように構成されている、項目11に記載の装置。
[項目14]
前記膨張可能な部材が、管腔を画定し、前記第2の内側シャフトが、前記膨張可能な部材の前記管腔を通って延在する、項目11に記載の装置。
[項目15]
前記膨張可能な部材が、流体源と流体連通して構成されており、前記流体源が、流体を前記膨張可能な部材に送達して、前記膨張可能な部材を前記膨張構成に移行させるように構成されている、項目1に記載の装置。
[項目16]
前記スプラインのセットが前記拡張構成にあるとき、前記スプラインのセットが、前記第1のシャフトの前記遠位端から外向きに約6mm~約24mm延在する、項目1に記載の装置。
[項目17]
前記第1のシャフトが、約1.5mm~約6.0mmの外径を有する、項目1に記載の装置。
[項目18]
前記スプラインのセットは、前記第2のシャフトが前記長手方向軸に沿って前記第1のシャフトに対して移動することに応答して前記拡張構成に移行するように構成されている、項目1に記載の装置。
[項目19]
前記スプラインのセットが前記拡張構成にあるとき、前記遠位電極のセットが、前記近位電極のセットに対して約90度~約180度で角度が付けられている、項目1に記載の装置。
[項目20]
前記拡張構成にある前記スプラインのセットは、遠位部分が近位部分のものよりも大きい外径を有する非対称形状を形成する、項目1に記載の装置。
[項目21]
前記第2のシャフトの前記遠位端が、前記遠位電極のセットからの各遠位電極から最大で約6mm離れている、項目1に記載の装置。
[項目22]
前記第2のシャフトの前記遠位端が、約1mm~約5mmの断面径を有する、項目1に記載の装置。
[項目23]
前記装置の遠位部分が、非侵襲的形状を有する、項目1に記載の装置。
[項目24]
前記複数の電極からの各電極が、上に当該電極が配設されている前記スプラインのセットからのそれぞれのスプラインの外周を囲む、項目1に記載の装置。
[項目25]
前記遠位電極のセットからの少なくとも1つの遠位電極が、第1の極性で作動するように構成され、前記近位電極のセットからの少なくとも1つの近位電極が、前記第1の極性とは反対の第2の極性で作動するように構成されて、前記電界を集合的に生成する、項目1に記載の装置。
[項目26]
前記遠位電極のセットが、第1の極性で作動するように構成され、前記近位電極のセットが、前記第1の極性とは反対の第2の極性で作動するように構成されている、項目1に記載の装置。
[項目27]
前記複数の電極からの各電極が、約0.5mm~約5mmの長さを有する、項目1に記載の装置。
[項目28]
前記複数の電極からの各電極が、独立して前記複数の電極からの他の電極からアドレス指定可能である、項目1に記載の装置。
[項目29]
前記スプラインのセットからの各スプラインが、内部に配設された絶縁導線のセットを含み、前記絶縁導線のセットからの各絶縁導線が、当該スプライン上に形成された前記電極のセットからの少なくとも1つの電極に電気的に結合され、対応する絶縁が絶縁破壊することなく、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成されている、項目1に記載の装置。
[項目30]
前記複数の電極からの各電極が、約0.5mm~約3mmの直径を有する、項目1に記載の装置。
[項目31]
前記スプラインのセットからの各スプラインについて、最遠位電極が、最近位電極から約1mm~約40mm離れている、項目1に記載の装置。
[項目32]
前記スプラインのセットからの各スプラインが、複数の近位電極と、スプラインの可撓性を増加させるために前記複数の近位電極からの隣接する近位電極間に配設された少なくとも1つの可撓性部分と、を含む、項目1に記載の装置。
[項目33]
前記近位電極のセットが、少なくとも1つのコイル電極を含む、項目1に記載の装置。
[項目34]
前記スプラインのセットの各スプラインの前記電極のセットが、アブレーションのためにのみ構成された少なくとも1つの電極と、心電図(ECG)信号を受信するために構成された少なくとも1つの電極と、を含む、項目1に記載の装置。
本明細書の特定の例および説明は、本質的に例示であり、実施形態は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で教示する材料に基づいて当業者によって開発され得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
長手方向軸および管腔を画定する第1のシャフトと、
前記管腔内に配設され、前記第1のシャフトの遠位端から延在する遠位部分を有する第2のシャフトと、
組織をアブレーションするための電界を生成するように構成された複数の電極と、
スプラインのセットであって、前記スプラインのセットの各スプラインが、
そのスプライン上に形成された前記複数の電極からの電極のセットであって、各電極のセットは、(1)前記スプラインのセットが遠位電極のセットを含むような遠位電極、および(2)前記スプラインのセットが近位電極のセットを含むような近位電極、を含む、電極のセット、
前記第1のシャフトの前記遠位端に結合された近位端、および
前記第2のシャフトの遠位端に結合された遠位端、を含み、
前記スプラインのセットが、拡張構成に移行するように構成されており、前記スプラインのセットが前記拡張構成にあるとき、前記スプラインのセットからの各スプラインの遠位部分が、前記長手方向軸に対して70度超で角度が付けられている、スプラインのセットと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記スプラインのセットが前記拡張構成にあるとき、前記遠位電極のセットからの少なくとも1つの電極が、組織表面に接触し、かつ約0.5cm~約2.5cmの直径を有するフォーカルアブレーション患部を前記組織表面上に形成するように構成されている、請求項1項に記載の装置。
【請求項3】
前記スプラインのセットが前記拡張構成にあるとき、前記スプラインのセットが、前記第1のシャフトの前記遠位端から外向きに約6mm~約24mm延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のシャフトが、約1.5mm~約6.0mmの外径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記スプラインのセットは、前記第2のシャフトが前記長手方向軸に沿って前記第1のシャフトに対して移動することに応答して前記拡張構成に移行するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記スプラインのセットが前記拡張構成にあるとき、前記遠位電極のセットが、前記近位電極のセットに対して約90度~約180度で角度が付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記拡張構成にある前記スプラインのセットは、遠位部分が近位部分のものよりも大きい外径を有する非対称形状を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のシャフトの前記遠位端が、前記遠位電極のセットからの各遠位電極から最大で約6mm離れている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第2のシャフトの前記遠位端が、約1mm~約5mmの断面径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記遠位電極のセットからの少なくとも1つの遠位電極が、第1の極性で作動するように構成され、前記近位電極のセットからの少なくとも1つの近位電極が、前記第1の極性とは反対の第2の極性で作動するように構成されて、前記電界を集合的に生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記遠位電極のセットが、第1の極性で作動するように構成され、前記近位電極のセットが、前記第1の極性とは反対の第2の極性で作動するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記複数の電極からの各電極が、独立して前記複数の電極からの他の電極からアドレス指定可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記スプラインのセットからの各スプラインについて、最遠位電極が、最近位電極から約1mm~約40mm離れている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記スプラインのセットの各スプラインの前記電極のセットが、アブレーションのためにのみ構成された少なくとも1つの電極と、心電図(ECG)信号を受信するために構成された少なくとも1つの電極と、を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
アブレーションのためにのみ構成された少なくとも1つの電極とECG信号を受信するために構成された少なくとも1つの電極が結合して、絶縁導線を分離する、請求項14に記載の装置。