(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126934
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】車両の走行制御装置
(51)【国際特許分類】
E01H 5/08 20060101AFI20240912BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
E01H5/08
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035707
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀口 陽宣
【テーマコード(参考)】
2D026
5H181
【Fターム(参考)】
2D026CB01
5H181AA01
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC02
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181KK01
5H181KK03
5H181KK04
5H181KK07
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL16
(57)【要約】
【課題】積雪状況下の駐車場等において駐停車中の車両に人員が乗降する際の安全を確保することのできる車両の走行制御装置を提供する。
【解決手段】車両の周囲環境情報を取得する周囲環境認識装置と、車両の状態情報を取得する車両状態認識装置と、駆動装置と、制動装置と、操舵装置と、周囲環境認識装置によって取得された周囲環境情報と、車両状態認識装置とによって取得された車両状態情報とに基づいて、駆動装置,制動装置,操舵装置を制御して車両の走行制御を実行する走行制御ユニットとを具備し、走行制御ユニットは、周囲環境認識装置によって取得された周囲環境情報に基づき、車両が駐車場内にあって車両の駐停車位置の周辺領域の路面が積雪状況であると認識された場合は、駐停車位置の周辺に人員の乗降領域を作成する乗降領域作成走行制御を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲環境情報を取得する周囲環境認識装置と、
前記車両の状態情報を取得する車両状態認識装置と、
駆動装置と、
制動装置と、
操舵装置と、
前記周囲環境認識装置によって取得された前記周囲環境情報と、前記車両状態認識装置とによって取得された車両状態情報とに基づいて、前記駆動装置,前記制動装置,前記操舵装置を制御して前記車両の走行制御を実行する走行制御ユニットと、
を具備し、
前記走行制御ユニットは、前記周囲環境認識装置によって取得された前記周囲環境情報に基づき、前記車両が駐車場内にあって前記車両の駐停車位置の周辺領域の路面が積雪状況であると認識された場合は、前記駐停車位置の周辺に人員の乗降領域を作成する乗降領域作成走行制御を実行することを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項2】
前記乗降領域作成走行制御は、前記車両を所定の範囲内で前進及び後退させながら所定量の操作制御を行うことで、前記車両の周辺領域の路面の積雪を前記車両の車輪によって踏み固める走行制御であることを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
【請求項3】
前記走行制御ユニットは、前記周囲環境認識装置によって取得された前記周囲環境情報に基づいて、前記車両の前記駐車位置を終点又は始点とする人員の通行経路の路面状況が積雪状況であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば積雪状況下の駐車場等において駐停車中の車両に人員が乗降する際の安全を確保することのできる車両の走行制御装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両においては、運転者の運転操作を必要とせずに車両を自動的に走行させる自動運転制御技術の開発が進められている。また、この種の自動運転制御技術を利用して運転者の運転操作を支援するための各種の走行制御を実行し得る走行制御装置が、種々提案されており、実用化されつつある。
【0003】
例えば、積雪状況下にある駐車場等においては、構内通路や複数の駐車枠等への積雪が、通行車両や通行人等が通行することよって圧雪状態となったり、融雪が凍結する等によって、滑りやすい状態になっている場合がある。
【0004】
そのような路面状況にある駐車場内において、例えば、駐車中又は停車中の車両に人員が乗降するとき、当該滑りやすい路面によって人員が転倒してしまう等の可能性が考えられる。このように、積雪状況下にある駐車場等においては、車両への乗降が難しい路面状況が散見される。そこで、駐車場における構内通路或いは駐車枠内においては、少なくとも駐停車中の車両の周囲領域が除雪されているか、若しくは積雪などが踏み固められていることが望ましいと考えられる。
【0005】
しかしながら、降雪状況や駐車場施設等の状況によっては、場内の除雪作業を頻繁に行うことは困難である。したがって、例えば積雪状況下にある駐車場等を利用する車両の運転者は、当該駐車場内にて人員が乗降する際には、例えば自車両の周囲を適宜必要に応じて除雪等を行うことが一般に行われている。しかし、そのような作業は、手間がかかってしまう上に、場合によっては駐車場内を通行する他車両や通行人の通行を妨げてしまう場合があり得る。
【0006】
従来、滑りやすい雪道或いは凍結路面を整えて、滑りにくい路面にすることで、円滑な交通を実現するための装置は、例えば特開平9-228312号公報,特開2012-21297号公報,特開2014-37686号公報等によって、種々の提案がなされている。
【0007】
一方、近年においては、車両を駐車させるためのいわゆる駐車制御システムとして、例えば、駐車支援システム(APS;Assisted Parking System)や、部分的自動駐車システム(PAPS;Partially Automated Parking System)などと呼ばれる走行制御システムが種々提案されている。
【0008】
この種の車両の走行制御システムにおいて、例えば駐車制御システムは、運転者の監視下において、路面上の白線等の区画線で示される駐車枠或いは車止め等の立体構造物による駐車区画領域設定部材若しくは隣接他車両との間隙空間等を認識して、空いている駐車枠を検知し、車両の操舵,駆動,制動等の各制御を適宜行って、駐車操作(自動出入庫操作)の駐車支援或いは自動駐車処理を行うシステムである。なお、この種の駐車制御システムでは、運転者が車内に留まって行われる制御(タイプ1)と、運転者が車外で監視しつつ行われる制御(タイプ2)とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9-228312号公報
【特許文献2】特開2012-21297号公報
【特許文献3】特開2014-37686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記特開平9-228312号公報,特開2012-21297号公報,特開2014-37686号公報等によって開示されている装置は、車両が円滑に走行できるように車両用道路を整えることを主要な目的としている。そのため、路面整備のための専用の大規模な装置を必要とするという問題点がある。また、上記各公報に開示されている装置は、例えば、駐車場等において駐停車中の車両に人員が乗降する場合の状況については全く考慮していない。
【0011】
本発明は、例えば積雪状況下の駐車場等において駐停車中の車両に人員が乗降する際の安全を確保することのできる車両の走行制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の車両の走行制御装置は、車両の周囲環境情報を取得する周囲環境認識装置と、前記車両の状態情報を取得する車両状態認識装置と、駆動装置と、制動装置と、操舵装置と、前記周囲環境認識装置によって取得された前記周囲環境情報と、前記車両状態認識装置とによって取得された車両状態情報とに基づいて、前記駆動装置,前記制動装置,前記操舵装置を制御して前記車両の走行制御を実行する走行制御ユニットと、を具備し、前記走行制御ユニットは、前記周囲環境認識装置によって取得された前記周囲環境情報に基づき、前記車両が駐車場内にあって前記車両の駐停車位置の周辺領域の路面が積雪状況であると認識された場合は、前記駐停車位置の周辺に人員の乗降領域を作成する乗降領域作成走行制御を実行する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば積雪状況下の駐車場等において駐停車中の車両に人員が乗降する際の安全を確保することのできる車両の走行制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態の車両の走行制御装置の概略構成を示すブロック構成図、
【
図2】本発明の一実施形態の車両の走行制御装置の作用のうち、車両が駐車場等への入場後、当該車両を駐車させる際の作用を示すフローチャート、
【
図3】
図2のステップS12~S14の処理が行われる際の状況に対応する概念図、
【
図4】
図2のステップS15の処理が行われる際の状況に対応する概念図、
【
図5】
図2のステップS21,S22の処理が行われる際の状況に対応する概念図、
【
図6】
図2のステップS23の処理が行われる際の状況に対応する概念図、
【
図7】
図2のステップS32の処理が行われる際の状況に対応する概念図、
【
図8】
図2のステップS41の処理が行われる際の状況に対応する概念図、
【
図9】
図2のステップS42の処理が行われる際の状況に対応する概念図、
【
図10】
図2のステップS44の処理が行われる際の状況に対応する概念図、
【
図11】本発明の一実施形態の車両の走行制御装置の作用のうち、駐車場等にて駐車中の車両を出庫させる際の作用を示すフローチャート、
【
図12】
図11のステップS52~S55の処理が行われる際の状況に対応する概念図、
【
図13】
図11のステップS62の処理が行われる際の状況に対応する概念図、
【
図14】
図11のステップS71,S72の乗車領域作成処理が行われる際の状況に対応する概念図、
【
図15】
図11のステップS73の処理(出庫走行制御)が行われる際の状況に対応する概念図、
【
図16】
図11のステップS82の処理が行われる際の状況に対応する概念図、
【
図17】
図11のステップS83,S84の処理が行われる際の状況に対応する概念図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面は模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識できる程度の大きさで示すために、各部材の寸法関係や縮尺等を構成要素毎に異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、各図面に記載された各構成要素の数量や各構成要素の形状や各構成要素の大きさの比率や各構成要素の相対的な位置関係等に関して、図示の形態のみに限定されるものではない。
【0016】
まず、本発明の一実施形態の車両の走行制御装置の概略的な構成を、
図1を用いて以下に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の車両の走行制御装置の概略構成を示すブロック構成図である。本実施形態の走行制御装置の基本的な構成は、従来の同種の走行制御装置と略同様の構成を有する。したがって、以下に示す説明は、本実施形態の車両の走行制御装置の概略的な説明に留める。
【0017】
本実施形態の車両の走行制御装置1は、当該走行制御装置1を搭載している車両(以下、自車両という)の車室内の前寄り上部中央部分に固定された車載カメラ装置であるカメラユニット10を有する。
【0018】
カメラユニット10は、ステレオカメラ11と、画像処理ユニット(IPU)12と、画像認識ユニット(画像認識_ECU)13と、走行制御ユニット(走行_ECU)14とを有して構成されている。
【0019】
ステレオカメラ11は、メインカメラ11aと、サブカメラ11bとを有する。メインカメラ11a及びサブカメラ11bは、例えば、自車両の車室内において車幅方向の中央を挟んで左右対称な位置に、前方(進行方向)に向けて配置されている。また、メインカメラ11a及びサブカメラ11bは、例えば、CMOSイメージセンサ等によって構成され、互いに同期された所定の撮像周期にて、車外前方の所定の範囲の周囲環境を異なる視点からの二つの画像を取得してステレオ画像を生成する。
【0020】
IPU12は、ステレオカメラ11によって撮像した周囲環境画像データ(自車両の走行中の周囲環境を表す画像データ)に対し所定の画像処理を施し、画像上に表される物体や道路面上に標示される区画線或いは駐車場等の構内路面上に標示される枠線等(以下、これらを総称して区画線等という)などの各種対象物のエッジを検出する。これにより、IPU12は、車両周囲の立体物や区画線等を認識する。そして、IPU12は、左右の画像上において対応するエッジの位置ズレ量から距離情報を取得し、距離情報を含む画像情報(距離画像情報)を生成する。
【0021】
画像認識_ECU13は、IPU12から受信した距離画像情報などに基づき、自車両が走行する走行路(自車走行路)の左右を区画する区画線の道路曲率[1/m]及び左右区画線間の幅(車線幅)を求める。この道路曲率及び車線幅の求め方は種々知られている。例えば、画像認識_ECU13は、道路曲率を周囲環境情報に基づき輝度差による二値化処理にて、左右の区画線を認識し、最小自乗法による曲線近似式などにて左右区画線の曲率を所定区間毎に求める。さらに、画像認識_ECU13は、左右両区画線の曲率の差分から車線幅を算出する。
【0022】
そして、画像認識_ECU13は、左右区画線の曲率と車線幅とに基づき、車線中央、車線中央から自車両の車幅方向中央までの距離である自車横位置偏差等を算出する。画像認識_ECU13は、駐車枠線等に対する自車横位置偏差等についても同様に算出し得る。
【0023】
また、画像認識_ECU13は、距離画像情報に対して所定のパターンマッチングなどを行い、道路に沿って延在するガードレール、縁石及び周辺車両等の立体物の認識などのほか、道路面の状況等(以下、路面状況等という)の認識を行う。ここで、画像認識_ECU13における立体物の認識では、例えば、立体物の種別、立体物の高さ、立体物までの距離、立体物の速度、立体物と自車両との相対速度、立体物同士の相対的な距離(例えば、道路端の縁石等と、その近傍にある区画線等との間の横方向距離など)などの認識が行われる。また、路面状況等は、例えば路面が雨や融雪水等によって濡れている状況や、降雨状況或いは積雪状況又は圧雪状況若しくは路面凍結状況等を認識する。
【0024】
これら画像認識_ECU13において認識された各種情報は、第1の周囲環境情報として走行_ECU14に出力される。
【0025】
このように、本実施形態において、画像認識_ECU13は、ステレオカメラ11及びIPU12と共に、車両周囲の第1の周囲環境を認識する周囲環境認識装置としての機能を有する。
【0026】
走行_ECU14は、走行制御装置1を統括制御するための制御ユニットである。この走行_ECU14には、各種の制御ユニットとして、コックピット制御ユニット(CP_ECU)21、と、エンジン制御ユニット(E/G_ECU)22と、トランスミッション制御ユニット(T/M_ECU)23と、ブレーキ制御ユニット(BK_ECU)24と、パワーステアリング制御ユニット(PS_ECU)25とがCAN(Controller Area Network)等の車内通信回線を通して接続されている。
【0027】
CP_ECU21には、運転席の周辺に配設されたヒューマン・マシーン・インターフェース(HMI)31が接続されている。HMI31は、例えば、各種の運転支援制御の実行を指示するためのスイッチ、運転モードの切り換えを行うためのモード切換スイッチ,運転者の保舵状態を検出するステアリングタッチセンサ,運転者の顔認証や視線等を検出するドライバモニタリングシステム(DMS),運転者を含む人員の乗車状況を認識する車内カメラ等からなる車内モニタシステム,タッチパネル式のディスプレイ装置(視覚的表示装置),コンビネーションメータ,スピーカ等を含む発音装置等(聴覚的表示装置)等を有して構成されている。
【0028】
CP_ECU21は、走行_ECU14からの制御信号を受信すると、先行車等に対する各種警報や運転支援制御の実施状況及び自車両の周囲環境等に関する各種情報等を、HMI31を通じた表示や音声等により、運転者に適宜報知する。また、CP_ECU21は、HMI31を通じて運転者により入力された各種運転支援制御に対するオン/オフ操作状態等の各種入力情報を、走行_ECU14に出力する。
【0029】
E/G_ECU22の出力側には、電子制御スロットルのスロットルアクチュエータ32等が接続されている。また、E/G_ECU22の入力側には、図示しないアクセルセンサ等の各種センサ類が接続されている。
【0030】
E/G_ECU22は、走行_ECU14からの制御信号或いは各種センサ類からの検出信号等に基づき、スロットルアクチュエータ32に対する駆動制御を行って車両の駆動力を発生させる駆動装置である。これにより、E/G_ECU22は、エンジンの吸入空気量を調整し、所望のエンジン出力を発生させる。また、E/G_ECU22は、各種センサ類において検出されたアクセル開度等の信号を、走行_ECU14に出力する。
【0031】
T/M_ECU23の出力側には、油圧制御回路33が接続されている。また、T/M_ECU23の入力側には、図示しないシフトポジションセンサ等の各種センサ類が接続されている。T/M_ECU23は、E/G_ECU22において推定されたエンジントルク信号や各種センサ類からの検出信号等に基づき、油圧制御回路33に対する油圧制御を行う。これにより、T/M_ECU23は、自動変速機に設けられている摩擦係合要素やプーリ等を動作させ、エンジン出力を所望の変速比にて変速する。また、T/M_ECU23は、各種センサ類において検出されたシフトポジション等の信号を、走行_ECU14に出力する。
【0032】
BK_ECU24の出力側には、各車輪に設けられているブレーキホイールシリンダに出力するブレーキ液圧を各々調整するためのブレーキアクチュエータ34が接続されている。また、BK_ECU24の入力側には、図示しないブレーキペダルセンサ、ヨーレートセンサ、前後加速度センサ及び車速センサ等の各種センサ類が接続されている。
【0033】
BK_ECU24は、走行_ECU14からの制御信号或いは各種センサ類からの検出信号に基づき、ブレーキアクチュエータ34に対する駆動制御を行って車両の制動制御を行う制動装置である。これにより、BK_ECU24は、自車両に対する強制的な制動制御やヨーレート制御等を行うためのブレーキ力を各車輪に適宜発生させる。また、BK_ECU24は、各種センサにおいて検出されたブレーキ操作状態や、ヨーレート,前後加速度,車速(自車速)等の信号を走行_ECU14に出力する。
【0034】
PS_ECU25の出力側には、ステアリング機構にモータの回転力による操舵トルクを付与する電動パワステモータ35が接続されている。また、PS_ECU25の入力側には、操舵トルクセンサや舵角センサ等の各種センサ類(不図示)が接続されている。
【0035】
PS_ECU25は、走行_ECU14からの制御信号或いは各種センサ類からの検出信号に基づき、電動パワステモータ35に対する駆動制御を行って車両の操舵制御を行う操舵装置である。これにより、PS_ECU25は、ステアリング機構に対する操舵トルクを発生させる。また、PS_ECU25は、各種センサ類において検出された操舵トルク及び舵角等の信号を、走行_ECU14に出力する。
【0036】
さらに、走行_ECU14には、各種のセンサ類として、ロケータユニット36と、車載レーダ装置37と、後方センサ38と、ドアセンサ39と、近赤外線センサ40と、外気温センサ41等が接続されている。
【0037】
ロケータユニット36は、GNSSセンサ36aと、高精度道路地図データベース(道路地
図DB)36bとを有して構成されている。
【0038】
GNSSセンサ36aは、複数の測位衛星から発信される測位信号を受信することにより、自車両の位置(緯度,経度,高度等)を測位する。
【0039】
道路地
図DB36bは、HDD,SSDなどの大容量記憶媒体であり、高精度な道路地図情報(ダイナミックマップ)が記憶されている。この道路地
図DB36bは、自動運転を行う際に必要とする車線データとして、車線幅データ、車線中央位置座標データ、車線の進行方位角データ、制限速度などを保有している。この車線データは、道路地図上の各車線に、数メートル間隔で格納されている。
【0040】
また、ロケータユニット36は、GNSSセンサ36aによって測位された自車両位置におけるリアルタイムの周囲環境の情報(例えば渋滞情報や天候情報等のほか駐車場等に関する各種情報など)を外部システム(不図示)との通信を行って取得することができる。この場合において、天候情報には、例えば自車両位置を含む地域の降雨情報や降雪情報,積雪情報,気温及び湿度情報等をも含む。
【0041】
また、道路地
図DB36bは、各種施設や駐車場等の情報等を保有している。道路地
図DB36bは、例えば、走行_ECU14からの要求信号に基づき、GNSSセンサ36aにおいて測位された自車位置を基準とする設定範囲の道路地図情報を、第3の周囲環境情報として走行_ECU14に出力する。このように、本実施形態において、道路地
図DB36bは、GNSSセンサ36aと共に、車両周囲の第3の周囲環境を認識する周囲環境認識装置としての機能を有する。
【0042】
車載レーダ装置37は、複数のセンサからなり、例えば複数のミリ波レーダ等によって構成されている。ここで、複数のミリ波レーダは、出力した電波に対し、物体からの反射波を受けて解析することにより、主として歩行者や併走車両等の立体物のほか、道路端(例えば、路肩側の端部)に設けられる構造物等(例えば、縁石,ガードレール,建物等の壁,植栽等の立体物等)を検出する。さらに、複数のミリ波レーダは、道路上に存在する立体的な障害物等をも検出する。この場合において、複数のミリ波レーダは、立体物に関する具体的な情報として、立体物の横幅,立体物の代表点の位置(自車両との相対位置,相対距離)及び相対速度等を検出する。
【0043】
車載レーダ装置37に含まれる複数のセンサ(複数のミリ波レーダ等)は、例えばフロントバンパの左右側部(前側左右側方センサという)やリアバンパの左右側部(後側左右側方センサという)等に配設されている。そして、前側左右側方センサは、ステレオカメラ11の画像では認識することが困難な自車両の左右斜め前方及び側方の領域に存在する立体物を第2の周囲環境情報として検出する。また、後側左右側方センサは、前側左右側方センサでは認識することが困難な自車両の左右斜め側方及び後方の領域に存在する立体物を第2の周囲環境情報として検出する。
【0044】
このように、本実施形態において、車載レーダ装置37は、車両周囲の第2の周囲環境を認識する周囲環境認識装置としての機能を有する。そして、車載レーダ装置37の各センサにより取得された情報は、画像認識_ECU13へと送られる。
【0045】
後方センサ38は、例えば、ソナー装置等によって構成されている。この後方センサ38は、例えば、リアバンパに少なくとも1つ(複数であってもよい)配設されている。後方センサ38は、後側左右側方センサでは認識することが困難な自車両の後方の領域に存在する立体物を第4の周囲環境情報として検出する。
【0046】
このように、本実施形態において、後方センサ38は、車両周囲の第4の周囲環境を認識する周囲環境認識装置としての機能を有する。
【0047】
画像認識_ECU13によって認識された第1の周囲環境情報、ロケータユニット36によって認識された第3の周囲環境情報、車載レーダ装置37によって認識された第2の周囲環境情報、後方センサ38によって認識された第4の周囲環境情報のそれぞれに含まれる車外の各対象の座標は、何れも、走行_ECU14において、自車両の中心を原点とする三次元座標系の座標に変換される。
【0048】
ドアセンサ39は、自車両の乗降用ドアの開閉状態を検知するセンサである。ここで、ドアセンサ39は、自車両の状態情報を取得する車両状態認識装置としての機能を有する。
【0049】
近赤外線センサ40は、自車両の周囲状況、特に路面温度等の路面状況等を認識するセンサである。この近赤外線センサ40によって取得される情報に基づいて、路面温度や路面上の水分量,路面上の積雪状況等を認識する。また、外気温センサ41は、自車両周囲の外気温の変化を検出するセンサである。
【0050】
近赤外線センサ40,外気温センサ41等の各センサ類にて取得された情報は、第5の周囲環境情報として検出する。そして、本実施形態において、近赤外線センサ40,外気温センサ41等の各センサ類は、車両周囲の第5の周囲環境を認識する周囲環境認識装置としての機能を有する。
【0051】
そして、走行_ECU14は、各種センサ類によって取得された各情報に基づいて、車両の走行制御を実行する。その走行制御は、例えば、E/G_ECU22によるエンジン出力制御や各駆動輪のトルク配分制御を行うほか、T/M_ECU23による変速機の制御により前進又は後退の進行方向制御や、BK_ECU24による各車輪の個別の制動制御(ブレーキ制御)等を実行して、適宜必要となる車両の走行制御を行う。
【0052】
なお、ロケータユニット36,画像認識_ECU13,走行_ECU14,CP_ECU21,E/G_ECU22,T/M_ECU23,BK_ECU24,PS_ECU25等の全部又は一部は、ハードウエアを含むプロセッサにより構成されている。
【0053】
ここで、プロセッサは、例えば、中央処理装置(CPU;Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)や、不揮発性メモリ(Non-volatile memory),不揮発性記憶装置(Non-volatile storage)等のほか、非一過性の記録媒体(non-transitory computer readable medium)等を備える周知の構成及びその周辺機器等によって構成されている。
【0054】
ROMや不揮発性メモリ、不揮発性記憶装置等には、CPUが実行するソフトウエアプログラムやデータテーブル等の固定データ等が予め記憶されている。そして、CPUがROM等に格納されたソフトウエアプログラムを読み出してRAMに展開して実行し、また、当該ソフトウエアプログラムが各種データ等を適宜参照等することによって、上記各構成部や構成ユニット(13,14,21~25,36)等の各機能が実現される。
【0055】
また、プロセッサは、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの半導体チップなどにより構成されていてもよい。また、上記各構成部や構成ユニット(13,14,21~25,36)等は電子回路によって構成してもよい。
【0056】
さらに、ソフトウエアプログラムは、コンピュータプログラム製品として、フレキシブルディスク,CD-ROM,DVD-ROM等の可搬型板媒体や、カード型メモリ,HDD(Hard Disk Drive)装置,SSD(Solid State Drive)装置等の非一過性の記憶媒体(non-transitory computer readable medium)等に、全体あるいは一部が記録されている形態としてもよい。
【0057】
このように構成された本実施形態の車両の走行制御装置の作用について、
図2~
図17を用いて以下に説明する。
図2,
図11は、本実施形態の車両の走行制御装置の作用を示すフローチャートである。ここで、
図2は、本実施形態の走行制御装置を搭載した自車両が駐車場等に入場した後、当該自車両を駐車させる際の作用を示している。また、
図11は、本実施形態の走行制御装置を搭載した自車両が駐車場等にて駐車している際に、当該自車両を出庫させる際の作用を示すフローチャートである。
【0058】
ここで、駐車場等としては、例えば店舗若しくは集合住宅等に付属する駐車場、或いは貸し駐車場,コインパーキング又はモータープール等と呼ばれる駐車場であって、複数の車両を並べて駐車させることのできる所定の面積を有する野外駐車場を想定している。具体的には、例えば、いわゆる郊外型大規模ショッピングセンター等と呼ばれる駐車場等のように、複数の駐車枠と、構内を移動するための構内通路を有する駐車場を主に想定している。
【0059】
なお、
図3~
図10は、
図2のフローチャート(駐車時)における各処理ステップの状況を説明する概念図である。また、
図12~
図17は、
図11のフローチャート(出庫時)における各処理ステップの状況を説明する概念図である。
【0060】
まず、
図2のフローチャートによって、駐車場等において自車両を駐車させる際の作用を、以下に説明する。
【0061】
図2のフローチャートで示される処理シーケンスは、本実施形態の走行制御装置1を搭載した自車両が、例えば、走行中の道路等(不図示)から駐車場等に入場した後、当該駐車場の構内通路を走行し、複数の駐車枠の中から空いている駐車枠を検出し、検出した空き駐車枠を駐車目標位置として設定し、設定した駐車目標位置の駐車枠内に自車両を駐車させる際の作用の流れを示している。このときの自車両の周囲環境は、例えば積雪状況下等にある場合を想定している。
【0062】
そこで、本実施形態の走行制御装置1を搭載した自車両は、道路等(不図示)を走行しているものとする。このとき、自車両の走行制御装置1は、周囲環境認識装置(11,12,13,36a,36b,37,38,40,41)を用いて随時取得される周囲環境情報等に基づいて、自車両の周囲状況や車両状態を認識しながら走行を継続している。
【0063】
この場合において、まず、
図2のステップS11にて、走行_ECU14は、周囲環境認識装置によって取得された周囲環境情報に基づいて、自車両が所定の駐車場構内に入場したか否かの確認を行う。ここで、自車両が駐車場構内に入場したことが確認された場合は、次のステップS12の処理に進む。なお、駐車場への入場確認がされない場合は、同様の確認を繰り返す。つまり、
図2で示す本処理シーケンスは、自車両の駐車場構内への入場の確認を、実質的な実行開始要件としている。
【0064】
続いて、
図2のステップS12において、走行_ECU14は、周囲環境認識装置によって取得された周囲環境情報に基づいて、当該駐車場における複数の駐車枠から自車両を駐車させるべき空き駐車枠を検出する。そして、空き駐車枠が検出されたら、自車両Mを構内通路上において当該空き駐車枠の近傍に一時停車させる。なお、空き駐車枠の検出は、空き駐車枠が検出されるまでループ処理を繰り返す。
【0065】
なお、図示は省略しているが、ここで、例えば所定の時間以上、空き駐車枠が検出されない場合、若しくは運転者により空き駐車枠の検出処理がキャンセルされた場合は、一連の処理を終了する。
【0066】
ここで、空き駐車枠の検出は、例えば駐車場構内の路面上に設けられる白線等の区画線により示される駐車枠標示を認識することにより、主に行われる。また、空き駐車枠の検出は、例えば駐車枠内にある車止め等の立体的な構造物等を認識することにより行われる。さらに、空き駐車枠の検出は、既に駐車中の他車両等の隣接領域を認識する等によって行ってもよい。またさらに、空き駐車枠の検出は、駐車場管理サーバーからの管理情報等を受信することによって空き駐車枠情報に関する位置情報等を取得するといった構成も考えられる。
【0067】
例えば、周囲環境が降雪状況にある場合などでは、路面上の白線等の区画線は、ステレオカメラ11の取得画像によっては認識できない場合があり得る。そのような状況下においては、カメラ画像以外の周囲環境情報を取得することによって、本実施形態の走行制御装置1は、確実に空き駐車枠を検出し得る構成を有している。
【0068】
なお、空き駐車枠の検出は、上述したような自動検出に限られることはない。例えば、自車両の運転者(ドライバー)が自ら目視によって空き駐車枠を検出し、空き駐車枠として設定するようにしてもよい。
【0069】
ここで、
図3は、
図2のステップS12~S14の処理が行われる際の状況に対応する概念図である。
図3に示す状況は、検出した空き駐車枠103の近傍の構内通路101上に自車両Mが停車しているようす(ステップS12の「Y」)を示している。このとき、構内通路101及び複数の駐車枠102の領域は、除雪されている状況(或いは積雪していない状況)が認識されている(ステップS13の「Y」,ステップS14の「Y」)。
【0070】
なお、
図3において、符号100は駐車場を示している。符号101は駐車場100の構内通路を示している。符号102は複数の駐車枠を示している。符号103は空き駐車枠(二点鎖線の枠線参照)を示している。符号104は駐車枠を示す区画線(白線)を示している。また、符号Mは自車両を示している。符号Tは他車両を示している。ここで、他車両Tは複数存在している。そして、矢印X1は自車両Mの走行方向を示している。
【0071】
図3に示す状況は、自車両Mが駐車場100に入場した後、構内通路101を矢印X1方向に走行してきた状況を示している。そして、自車両Mは、空き駐車枠103を検出して、当該空き駐車枠103の近傍の構内通路101上の所定位置にて停車した状況を示している。このとき、
図3に示す状況では、構内通路101及び複数の駐車枠102の領域が除雪されている状況、或いは積雪していない状況を示している(後述ステップS13の「Y」,ステップS14の「Y」参照)。
【0072】
ところで、一般に、寒冷地域等の積雪地帯等における駐車場等では、積雪時には、当該駐車場等の管理者等によって構内通路や複数の駐車枠の領域の除雪作業等が行われる場合がある。この場合には、例えば、構内通路と複数の駐車枠とを含む構内全領域が除雪される場合のほか、例えば、構内通路のみが除雪される場合(そのため駐車枠の領域には積雪が残される場合)もある。或いは、構内全域の除雪作業が行われたとしても、その時々の降雪状況によっては(例えば降雪が継続している場合等)、除雪後の空き駐車枠が積雪状況に変化してしまう場合もあり得る。このように、駐車場構内の路面状況は、積雪状況下にあっては、さまざまな状況となる可能性がある。
【0073】
そこで、
図2のステップS13において、走行_ECU14は、周囲環境認識装置によって取得された周囲環境情報に基づいて、当該駐車場100の構内通路101が除雪されている状況(或いは積雪していない状況)であるか否かの確認を行う。ここで、構内通路101が除雪されている状況(或いは積雪していない状況)であることが確認された場合には、ステップS14の処理に進む(
図3参照)。また、構内通路101が除雪されていない状況(或いは積雪している状況)であることが確認された場合には、ステップS41の処理に進む(後述)。
【0074】
ステップS14において、走行_ECU14は、周囲環境認識装置によって取得された周囲環境情報に基づいて、当該駐車場100における複数の駐車枠102の領域が除雪されている状況(或いは積雪していない状況)であるか否かの確認を行う。ここで、複数の駐車枠102の領域が除雪されている状況(或いは積雪していない状況)であることが確認された場合には、ステップS15の処理に進む。また、複数の駐車枠102の領域が除雪されていない状況(或いは積雪している状況)であることが確認された場合には、ステップS21の処理に進む。
【0075】
ステップS15において、走行_ECU14は、自車両Mを空き駐車枠103内に停車させるための自動駐車制御を行う。
【0076】
ここで、
図4は、
図2のステップS15の処理が行われる際の状況に対応する概念図である。
図4に示す状況は、構内通路101及び複数の駐車枠102の領域が除雪されている状況(或いは積雪していない状況)において、自車両Mの空き駐車枠103への自動駐車制御が行われるようすを示している。
【0077】
ここで行われる自動駐車制御を具体的に説明する。まず、
図4に示す位置[A]にて自車両Mは停車中している。このとき、自車両Mは、まず、
図4の矢印X1方向へと前進走行制御を行いながら、所定の操舵制御を行って矢印X2方向へと進む。これにより、自車両Mは位置[B]まで移動する。このとき、自車両Mが位置[B]に移動すると、制動制御が行われて、自車両Mは停車する。続いて、自車両Mは、
図4の矢印X3方向への後退走行制御を行いながら所定の操舵制御が行われる。これにより、自車両Mは、空き駐車枠103のほぼ中央位置の位置[C]にまで導かれる。そして、自車両Mが位置[C]に移動すると、制動制御が行われて、自車両Mは停車する。
【0078】
このような自動駐車制御は、自車両Mの操舵制御,駆動制御,制動制御等の各制御を自動的に実行する制御、或いは駐車支援制御である。ここで行われる自動駐車走行制御は、運転者等の人員が車内に乗車した状態で(即ち車内に留まって)行われる制御(タイプ1)となる。
【0079】
なお、この場合において、自動駐車走行制御、或いは駐車支援制御を行う代わりに、運転者が空き駐車枠内への駐車のための操作を全て手動で行うようにしてもよい。
【0080】
このようにして、上述のステップS15の処理による駐車制御が完了すると、本処理シーケンスを終了する。ここで、自動駐車制御の完了の判定は、例えば、自動駐車制御処理の終了フラグ、或いは自車両Mのパーキングブレーキの作動検出、自車両Mのメインスイッチのオフ信号の検出などによればよい。
【0081】
一方、上述のステップS14の処理にて、駐車枠102の領域が除雪されていない状況(或いは積雪している状況)であることが確認されると、ステップS21の処理に進む。
【0082】
すると、ステップS21において、走行_ECU14は、周囲環境認識装置によって取得された周囲環境情報に基づいて、自車両Mが構内通路101上で停車した状態で所定の時間の間、待機していることが可能な状況であるか否かの確認を行う。これと同時に、自車両Mは、自動駐車機能を有しているか否かの確認を行う。なお、自車両Mが構内通路101上において停車状態で所定時間、待機可能な状況とは、例えば、自車両M周囲の構内通路101上に、自車両Mに向けて接近してくる他車両等が存在しない場合などを想定している。
【0083】
ここで、自車両Mが構内通路101上での停車状態を所定時間の間、待機可能であることが確認され、かつ自車両Mが自動駐車機能を有していることが確認された場合には、ステップS22の処理に進む。
【0084】
ステップS22において、走行_ECU14は、自車両Mの構内通路101上での停車状態を維持しつつ、人員の降車状況確認処理を行う。ここで行われる人員の降車状況確認処理は、概略次のような作用である。
【0085】
まず、ここで自車両Mは、構内通路101上において空き駐車枠103の近傍位置に一時停車している(
図2のステップS12)。この状態において、上述のステップS22の処理が開始されると、走行_ECU14は、自車両Mの運転者を含む人員に対して降車を促す指示を発出する。この降車指示の発出は、例えばHMI31に含まれる所定の表示装置等が用いられる。これを受けて、運転者を含む人員は自車両Mから降車する。
【0086】
次いで、走行_ECU14は、人員の降車状況を確認する。人員の降車状況の確認は、例えばドアセンサ39の出力に基づく車両ドアの開閉検出を行うほか、HMI31に含まれる車内カメラ等の車内モニタシステムを用いて行われる。このようにして人員の降車が確認されると、ステップS23の処理に進む。
【0087】
次に、ステップS23において、走行_ECU14は、空き駐車枠103への自動駐車制御を実行する。ここで行われる自動駐車走行制御は、運転者が降車した状態で、車外から監視しつつ行われる制御(タイプ2)となる。
【0088】
ここで、
図5は、
図2のステップS21,S22の処理が行われる際の状況に対応する概念図である。
図5に示す状況は、構内通路101は除雪されている状況(或いは積雪していない状況)であって、かつ複数の駐車枠102の領域は除雪されていない状況(或いは積雪している状況)を示している。
【0089】
そのために、
図5においては、除雪されていない状況として点線ハッチングを用いて表している。このとき、路面上の駐車枠区画線104(
図5ではクロスハッチングにて示す)も積雪によって視認できない状況となっている場合もあり得る。この場合の駐車枠102の認識は、図示は省略しているが、上述したように駐車場の管理情報、或いは車止め等の立体物等を認識することにより行われる。なお、以降の図面及び説明において、図示の記号の意味するところは同様とする。
【0090】
図5に示す状況は、
図3に示す状況と類似の状況であるが、駐車枠102の領域が除雪されていない状況(或いは積雪している状況)である点が異なる。つまり、
図5に示す状況では、検出した空き駐車枠103の近傍の構内通路101上に自車両Mが停車しているようす(ステップS12の「Y」)を示している。このとき、構内通路101が除雪されている状況(或いは積雪していない状況)であって、かつ複数の駐車枠102の領域は除雪されていない状況(或いは積雪している状況)が認識されている(ステップS13の「Y」,ステップS14の「N」)。
【0091】
さらに、
図5に示す状況では、ステップS22にて説明したように、検出した空き駐車枠103の近傍の構内通路101上の所定位置に停車した自車両Mから人員(運転者等H)が降車したようすを示している。なお、後述するように、
図5,
図6においては、自車両Mから降車する人員の一例として、運転者等Hを図示するのみとしている。しかし、降車人員については、この例示に限られることはない。例えば、自車両Mから降車する人員としては、運転者等Hのほかに他の同乗者(不図示)の存在があってもよい。
【0092】
上述したように、
図2のステップS23の処理においては、自車両Mから運転者等Hが降車した後、自動駐車制御が実行される。このとき、運転者等Hは、
図6に示すように、構内通路101上において、自車両Mの走行の妨げにならないような所定の位置に移動するのが望ましい。
【0093】
図6は、
図2のステップS23の処理が行われる際の状況に対応する概念図である。
図6に示す状況は、
図5と同様に、構内通路101が除雪されている状況(或いは積雪していない状況)であって、かつ複数の駐車枠102の領域は除雪されていない状況(或いは積雪している状況)を示している。そして、
図6では、当該状況下において、自車両Mが、空き駐車枠103に向けて自動駐車制御を行うようすを示している。
【0094】
図6にて示される自動駐車制御の作用は、上述の
図4にて示される作用と略同様である。ただし、
図6の状況下で行われる自動駐車制御(
図2のステップS23)では、運転者等Hが自車両Mから降車し、自車両Mの車外から監視している制御(タイプ2)とする点が異なる。
【0095】
このようにして、上述のステップS23の処理による自動駐車制御が完了すると、本処理シーケンスを終了する。ここで、自動駐車制御の完了の判定は、上述のステップS15の処理時と同様である。
【0096】
一方、上述のステップS21の処理にて、自車両Mの構内通路101上での停車状態を所定時間の間、待機できない場合(例えば、構内通路101上を他車両が自車両Mに接近しつつある場合など)には、ステップS31の処理に進む。また、上述のステップS21の処理にて、自車両Mが自動駐車機能を有していない場合にも、ステップS31の処理に進む。
【0097】
ステップS31において、走行_ECU14は、自車両Mの空き駐車枠103への駐車走行制御、或いは駐車支援制御を行う。
【0098】
なお、ステップS21の処理からステップS31の処理に進む場合の条件は、次のような場合がある。即ち、
(1)自車両Mが構内通路101上での停車状態を所定時間の間、待機できない場合であって、
(1a)自車両Mが自動駐車機能を具備している場合、
(1b)自車両Mが自動駐車機能を具備していない場合、
(2)自車両Mが構内通路101上での停車状態を所定時間の間、待機可能である場合であって、自車両Mが自動駐車機能を具備していない場合、
の3つの場合が考えられる。
【0099】
上記(1a)の場合には、自動駐車制御によって、空き駐車枠103への駐車を行えばよい。このとき行われる自動駐車制御は、上述の
図4を用いて説明した作用と略同様である(タイプ1)。
【0100】
上記(1b),(2)の場合には、運転者による手動の駐車操作によって、空き駐車枠103への駐車を行う。この場合において、走行_ECU14は、運転者の手動操作に応じて駐車支援制御を行うようにすればよい。このときの作用は、上述の
図4を用いて説明した作用と略同様である。
【0101】
このようにして、上述のステップS31の処理(自車両Mの空き駐車枠103への駐車)が完了すると、その後のステップS32の処理に進む。
【0102】
このとき、自車両Mは、上述のステップS31の処理によって、空き駐車枠103であった所定の駐車枠102内に駐車されている状態となっている。そこで、以下の説明においては、自車両Mが駐車中の駐車枠であって、自車両の駐車以前には空き駐車枠103として認識していた駐車枠について、新たに符号102aを付して説明するものとする。つまり、
図6,
図7に示す駐車枠102aは、二点鎖線で示す空き駐車枠103と同じ領域を指しているものである。
【0103】
ステップS32において、走行_ECU14は、駐車枠102a内において降車領域105(
図7参照)を作成するための降車領域作成処理を行う。ここで、降車領域105とは、自車両Mから人員が降車する際に人員が通行するための路面領域を指している。降車領域作成処理は、自車両Mを駐車させた駐車枠102a内において、自車両Mの周囲領域(特に自車両Mの両側方領域)を整えて積雪状況を解消させるための走行制御処理である。
【0104】
具体的には、後述するように、自車両Mの車輪によって所定領域の積雪を踏み固めて整えることにより、人員が通行しやすい路面状況を現出させる処理である。この降車領域作成処理を行うことにより、人員の通行の障害となる積雪が除かれるので、人員は安全に降車することができると共に、安全な通行ができるようになる。そうして、ステップS32の処理が完了すると、次のステップS33の処理に進む。
【0105】
降車領域作成処理の具体的な作用は、例えば、
図7に示すようになる。
図7は、
図2のステップS32の処理が行われる際の状況に対応する概念図である。
【0106】
このとき、上述のステップS31の処理にて、
図6に示すように、空き駐車枠103だった駐車枠102a内に自車両Mは駐車されている状態にある。ここで、自車両Mの走行_ECU14は、駐車枠102aの範囲内において、前進及び後退移動を行う。このとき同時に、所定の方向への所定量の操舵制御を行って、自車両Mの幅方向への移動を行う(
図7の矢印X4参照)。この場合における一回の前進又は後退毎の幅方向への移動は、例えば車輪一本分の幅寸法程度とするのが望ましい。このような前進及び後退移動と幅方向移動を繰り返しすことにより、必要とする降車領域105を作成する。なお、前進及び後退移動と、幅方向移動との自動走行制御は、常に、自車両Mの周囲の他車両Tや通行人等の存在に注意しながら行われることは当然である。
【0107】
また、この場合において作成されるべき降車領域105は、自車両Mの人員状況によって、適宜行う。自車両Mの人員状況は、不図示の車内カメラ等による車内状況の認識結果等に基づいて行われる。ここで、例えば、人員が運転者のみである場合は、自車両Mの側方領域のうち少なくとも運転席側のみの領域とすればよい。また、例えば、人員が助手席或いは後部座席の片側又は両側に存在している場合には、適宜対応する領域が降車領域105に含まれるような走行制御を行う。
【0108】
さらに、このとき、自車両Mの駐車枠102aに隣接する駐車枠102に他車両Tが既に駐車している場合には、自車両Mと当該他車両Tとの間隔を考慮して降車領域105の作成を行うようにするのが望ましい。
【0109】
ステップS33において、走行_ECU14は、自車両Mを駐車枠102の略中央に停車させるための自動駐車制御を行う。
【0110】
このようにして、上述のステップS32,33の処理による降車領域作成処理及び自動駐車制御が完了すると、本処理シーケンスを終了する。自動駐車制御の完了の判定は、上述のステップS15,S23の処理時と同様である。
【0111】
一方、上述のステップS13の処理にて、構内通路101が除雪されていない状況(或いは積雪している状況)であることが確認されると、ステップS41の処理に進む。
【0112】
ここで、構内通路101が除雪されていない状況(或いは積雪している状況)であれば、駐車枠102の領域も合わせて除雪されていない状況(或いは積雪している状況)であると考えるものとする。
【0113】
そこで、この場合には、ステップS41において、走行_ECU14は、周囲環境認識装置によって取得された周囲環境情報に基づいて、自車両Mが構内通路101上で停車した状態で所定の時間の間、待機していることが可能な状況であるか否かの確認を行う。これと同時に、自車両Mは、自動駐車機能を有しているか否かの確認を行う。ここで行われる確認の各処理は、上述のステップS21の処理と略同様である。
【0114】
このステップS41の処理にて、自車両Mが構内通路101上での停車状態を所定時間の間、待機可能であることが確認され、かつ自車両Mが自動駐車機能を有していることが確認された場合には、ステップS42の処理に進む。
【0115】
図8は、
図2のステップS41の処理が行われる際の状況に対応する概念図である。
図8に示す状況は、
図3,
図5に示す状況と類似の状況であるが、構内通路101及び複数の駐車枠102の領域が除雪されていない状況(或いは積雪している状況)である点が異なる。つまり、
図8に示す状況は、検出した空き駐車枠103の近傍の構内通路101上に自車両Mが停車しているようす(ステップS12の「Y」)を示している。このとき、構内通路101及び複数の駐車枠102の領域が除雪されていない状況(或いは積雪している状況)が認識されている(ステップS13の「N」)。
【0116】
図2のステップS42の処理は、
図8に示す状況下において実行される。このステップS42において、走行_ECU14は、構内通路101上の停止位置にて、
図9に示すような降車領域106を作成するための降車領域作成処理を行う。ここで実行される降車領域作成処理は、上述のステップS32にて実行される処理と略同様である。ここで、降車領域106は、
図9に示すように、自車両Mから降車した後に構内通路101上を人員が通行するための路面領域を指している。ここで行われる降車領域作成処理は、構内通路101上に停車させた自車両Mから人員を安全に降車させることができると共に、安全な通行ができるようになる。
【0117】
降車領域作成処理の具体的な作用は、例えば、
図9に示すようになる。
図9は、
図2のステップS42の処理が行われる際の状況に対応する概念図である。
図9に示す状況は、
図8の説明でも述べたように、構内通路101及び複数の駐車枠102の領域がいずれも除雪されていない状況(或いは積雪している状況)を示している。さらに、
図9においては、構内通路101上での降車領域作成処理の後、作成された降車領域上に停車中の自車両Mから人員(運転者等H)が降車したようすを合わせて示している。
【0118】
なお、
図9においても、自車両Mから降車する人員の一例として、運転者等Hを図示するのみとしているが、この例示に限られることはなく、自車両Mから降車する人員は、運転者等Hのほかに他の同乗者(不図示)の存在があってもよい。
【0119】
まず、上述の
図8で示したように、自車両Mは構内通路101上の所定の位置にて停車している。この状態において、自車両Mの走行_ECU14は、構内通路101上における所定の範囲内にて、前進及び後退移動と幅方向への移動を行う(
図9の矢印X5参照)。このような前進及び後退移動と幅方向移動を繰り返すことにより、必要とする降車領域106を構内通路101上に作成する。なお、前進及び後退移動と幅方向移動との自動走行制御は、常に、自車両Mの周囲の他車両Tや通行人等の存在に注意しながら行われることは当然である。また、この場合において作成されるべき降車領域106は、自車両Mの人員状況によって適宜行うことは、上述のステップS32の処理と同様である。
【0120】
このようにして、上述のステップS42の降車領域作成処理が完了すると、次のステップS43の処理に進む。
【0121】
ステップS43において走行_ECU14は、自車両Mの構内通路101上に作成された降車領域106内での停車状態を維持しつつ、人員の降車状況確認処理を行う。ここで行われる人員の降車状況確認処理は、上述のステップS22の処理にて実行される確認処理と同様である。つまり、この時点で、人員は自車両Mから降車領域106上に降車する。
【0122】
そして、人員の降車が確認されると、次のステップS44の処理に進む。このステップS44において、走行_ECU14は、空き駐車枠103への自動駐車制御を実行する。ここで行われる自動駐車走行制御は、上述のステップS23の処理にて実行される走行制御と同様に、運転者が降車した状態で、車外から監視しつつ行われる制御(タイプ2)となる。
【0123】
図10は、
図2のステップS44の処理が行われる際の状況に対応する概念図である。
図10に示す状況は、
図8,
図9と同様に、構内通路101及び複数の駐車枠102の領域が除雪されていない状況(或いは積雪している状況)を示している。そして、
図10では、当該状況下において、自車両Mが、空き駐車枠103に向けて自動駐車制御を行うようすを示している。
【0124】
図10にて示される自動駐車制御の作用は、上述の
図4,
図6にて示される作用と略同様である。
図10の状況下で行われる自動駐車制御(
図2のステップS44)では、運転者が自車両Mから降車し、自車両Mの車外から監視している制御(タイプ2)である。
【0125】
このようにして、上述のステップS44の処理による自動駐車制御が完了すると、本処理シーケンスを終了する。ここで、自動駐車制御の完了の判定は、上述のステップS15,S23,S33の処理時と同様である。
【0126】
一方、上述のステップS41の処理にて、自車両Mが構内通路101上での停車状態を所定時間の間、待機できない場合には、ステップS31の処理に進む。また、上述のステップS41の処理にて、自車両Mが自動駐車機能を有していない場合にも、ステップS31の処理に進む。
【0127】
この場合(ステップS41の処理からステップS31に進んだ場合)におけるステップS31~S33の処理は、上述の
図6,
図7を用いて示す作用(ステップS21の処理からステップS31に進んだ場合)におけるステップS31~S33の処理と略同様であるので、その図示と作用の詳細説明は省略する。
【0128】
なお、ステップS41の処理からステップS31に進んだ場合の状況では、
図6,
図7に示す状況に加えて、構内通路101上も除雪されていない状況(或いは積雪している状況)である点が異なる。
【0129】
次に、
図11のフローチャートによって、駐車場等における所定の駐車枠内にて駐車中の自車両を出庫させる際の作用を、以下に説明する。
【0130】
図11のフローチャートで示される処理シーケンスは、本実施形態の走行制御装置1を搭載した自車両Mが、駐車場等における所定の駐車枠内にて駐車している際に、当該自車両を出庫させる際の作用の流れを示している。このときの自車両の周囲環境は、例えば積雪状況下等にある場合を想定している。
【0131】
駐車場等において駐車中の自車両Mを出庫させるとき、自車両Mの運転者は、まず、例えば、いわゆるスマートキーシステムなどによる遠隔操作により自車両Mのドアの解錠と共に走行制御装置1を起動させる。
【0132】
すると、
図11のステップS51にて、走行制御装置1の走行_ECU14は、周囲環境認識装置を用いて随時取得される周囲環境情報等に基づいて、自車両Mの周囲状況の認識を開始する。
【0133】
続いて、ステップS52において、走行_ECU14は、周囲環境認識装置によって取得された周囲環境情報に基づいて、自車両Mが所定の駐車場構内に駐車中であるか否かの確認を行う。ここで、自車両Mが駐車場構内にて駐車中であることが確認された場合は、次のステップS53の処理に進む。なお、自車両Mが所定の駐車場等にて駐車中であることが確認されない場合は、同様の確認を繰り返す。
【0134】
なお、図示は省略しているが、ここで、例えば所定の時間以上、所定の駐車場等にて駐車中であることが検出されない場合、若しくは運転者により処理がキャンセルされた場合は、一連の処理を終了する。
【0135】
ここで、
図12は、
図11のステップS52~S55の処理が行われる際の状況に対応する概念図である。
図12に示す状況は、自車両Mが複数の駐車枠102の一つ(符号102b参照)に駐車しているようす(ステップS52の「Y」)を示している。このとき、構内通路101及び複数の駐車枠102の領域は、除雪されている状況(或いは積雪していない状況)が認識されている(ステップS53の「Y」,ステップS54の「Y」)。
図12等の各符号は、上述の
図3等と同様である。
【0136】
ここで、矢印X6は、駐車枠102b内に駐車中の自車両Mが出庫する際の走行軌跡と方向を示している。また、符号Hは、駐車中の自車両Mに乗車しようとしている運転者等の人員を示している。なお、複数の駐車枠102のうち、自車両Mが駐車中の駐車枠(二点鎖線参照)について、特に符号102bを付して示している。ここで、駐車枠102bは、自車両Mの駐車位置である。
【0137】
この
図12に示す状況では、構内通路101及び複数の駐車枠102の領域が除雪されている状況(或いは積雪していない状況)である。したがって、自車両Mの運転者等Hを含む人員は、駐車中の自車両Mに近付くことができ、そのまま安全に乗車することができる状況であると考えられる。
【0138】
ここで、
図11のステップS53において、走行_ECU14は、周囲環境認識装置によって取得された周囲環境情報に基づいて、当該駐車場100の構内通路101が除雪されている状況(或いは積雪していない状況)であるか否かの確認を行う。ここで、構内通路101が除雪されている状況(或いは積雪していない状況)であることが確認された場合には、ステップS54の処理に進む(
図12参照)。また、構内通路101が除雪されていない状況(或いは積雪している状況)であることが確認された場合には、ステップS81の処理に進む(後述)。
【0139】
ステップS54において、走行_ECU14は、周囲環境認識装置によって取得された周囲環境情報に基づいて、当該駐車場100における複数の駐車枠102の領域が除雪されている状況(或いは積雪していない状況)であるか否かの確認を行う。ここで、複数の駐車枠102の領域が除雪されている状況(或いは積雪していない状況)であることが確認された場合には、ステップS55の処理に進む。また、複数の駐車枠102の領域が除雪されていない状況(或いは積雪している状況)であることが確認された場合には、ステップS61の処理に進む。
【0140】
ステップS55において、走行_ECU14は、自車両Mの運転者等の人員の乗車確認を行った後、自車両Mを駐車中の駐車枠102bから出庫させる走行制御を行う。ここで、人員の乗車確認は、例えばドアセンサ39の出力検出や、HMI31に含まれる車内カメラ等の車内モニタシステムを用いて行われる。また、自車両Mを出庫させる走行制御は、自車両Mの走行制御装置1による通常の自動運転機能を用いてもよいし、運転者による手動の運転操作によってもよい。
【0141】
これにより、自車両Mは、
図12に示すように、駐車中の駐車枠102bから矢印X6に沿って走行して、構内通路101上に出た後、駐車場100から出場する。その後、本処理シーケンスを終了する。
【0142】
一方、上述のステップS54の処理にて、複数の駐車枠102の領域が除雪されていない状況(或いは積雪している状況)であることが確認されると、ステップS61の処理に進む。
【0143】
ステップS61において、走行_ECU14は、周囲環境認識装置によって取得された周囲環境情報に基づいて、自車両Mが現在駐車中の駐車枠102bから出庫した場合に、構内通路101上にて停車状態で所定の時間の間、待機することが可能な状況にあるか否かの確認を行う。これと同時に、自車両Mは、自動出庫機能を有しているか否かの確認を行う。なお、自車両Mが駐車枠102bから出庫後に、構内通路101上で停車状態を所定時間の間、待機可能な状況とは、例えば、自車両M周囲の構内通路101上に他車両が存在しない場合などを想定している。
【0144】
ここで、駐車枠102bから出庫後の自車両Mが構内通路101上での停車状態を所定時間、待機可能であることが確認され、かつ自車両Mが自動出庫機能を有していることが確認された場合には、ステップS62の処理に進む。
【0145】
ステップS62において、走行_ECU14は、自車両Mを駐車中の駐車枠102bから構内通路101上へと出庫させる自動出庫制御を実行する。ここで行われる自動出庫制御は、運転者が降車した状態で、車外から監視しつつ行われる制御(タイプ2)となる。
【0146】
図13は、
図11のステップS62の処理が行われる際の状況に対応する概念図である。
図13に示す状況は、構内通路101上は除雪されている状況(或いは積雪していない状況)であって、かつ複数の駐車枠102の領域は除雪されていない状況(或いは積雪している状況)を示している。そして、
図13では、当該状況下において、自車両Mが駐車枠102bからの自動出庫制御が行われているようすを示している。
【0147】
このとき、
図13に示すように、運転者等Hは、当該駐車枠102bに駐車中の自車両Mの近傍に立ち、自車両Mを車外から監視している。この状態で、自車両Mは、上述のステップS62の処理(自動出庫制御)を実行する。この自動出庫制御によって、自車両Mは
図13の矢印X6に沿って駐車枠102bから構内通路101へと出庫する。
【0148】
そして、自車両Mは、構内通路101上の所定の位置[D]にて一時停車する。これにより、自動出庫制御は完了する。自動出庫制御が完了すると、次のステップS63の処理に進む。
【0149】
図13に示す自車両Mの所定の停車位置[D]においては、構内通路101の路面上は除雪されている(積雪のない)状況にある。したがって、運転者等の人員は、自車両Mに安全に乗り込むことができる状況である。ここで、
図13に示す符号H2は、構内通路101上の所定の停車位置[D]にて停車中の自車両Mに乗車しようとしている運転者等を示している。運転者等の人員は、自車両Mの自動出庫制御中は、
図13の符号Hで示す位置で自車両Mを監視している。そして、自車両Mが構内通路101上の所定の停車位置[D]にて停車すると、運転者等の人員は、符号Hで示す位置から矢印W1を辿って符号H2で示す位置へと移動する。そして、運転者等H2の人員は、自車両Mへと乗車する。
【0150】
続いて、
図11のステップS63において、走行_ECU14は、自車両Mの運転者等の人員の乗車確認を行った後、自車両Mを停車中の位置[D]から発車させる走行制御(
図13の矢印X7参照)を行う。ここで、人員の乗車確認は、上述のステップS55の処理にて行う処理と同様である。その後、本処理シーケンスを終了する。
【0151】
一方、上述のステップS61の処理にて、駐車枠102bから出庫後の自車両Mが構内通路101上での停車状態を所定時間の間、待機できない場合には、ステップS71の処理に進む。また、自車両Mが自動出庫機能を有していない場合にも、ステップS71の処理に進む。
【0152】
ステップS71において、走行_ECU14は、駐車枠102b内において乗車領域107(
図14参照)を作成するための乗車領域作成処理を行う。ここで、乗車領域107とは、自車両Mに人員が乗車する際に人員が通行するための路面領域を指している。乗車領域作成処理は、自車両Mが駐車中の駐車枠102b内において、自車両Mの周囲領域(特に自車両Mの両側方領域)の積雪状況を解消させるための走行制御処理である。
【0153】
具体的には、上述の降車領域作成処理と略同様に、自車両Mの車輪によって所定領域の積雪を踏み固めることにより、人員が通行しやすい路面状況を現出させる処理である。この乗車領域作成処理を行うことにより、人員の通行の障害となる積雪が除かれるので、人員は安全に自車両Mに近付くことができると共に、安全に乗車をすることができるようになる。そうして、ステップS71の処理が完了すると、次のステップS72の処理に進む。
【0154】
なお、乗車領域作成処理(
図14参照)は、上述の
図2のステップS32の処理における降車領域作成処理(
図7参照)と略同様である。ただし、ここで行われる乗車領域作成処理は、自車両Mが自動出庫機能を有している場合には、運転者が降車した状態で、車外から監視しつつ行われる制御(タイプ2)である。
【0155】
また、自車両Mが自動出庫機能を有していない場合には、走行支援制御を受けながら運転者による手動運転操作となる。この場合は、まず、運転者のみが積雪状況下の駐車枠102bを通って自車両Mに乗り込んでから乗車領域作成処理を行うことになる。
【0156】
次に、ステップS72において、走行_ECU14は、自車両Mを駐車枠102bの略中央に停車させる。その後、自動出庫機能により乗車領域作成処理を行った場合は、ここで運転者等の人員が自車両Mに乗車する。また、走行支援制御を伴う手動操作により乗車領域作成処理を行った場合は、ここで運転者以外の人員が自車両Mに乗車する。
【0157】
図14は、
図11のステップS71,S72の乗車領域作成処理が行われる際の状況に対応する概念図である。自動出庫機能による乗車領域作成処理の実行中は、運転者等Hは、
図14に示すように、自車両Mの近傍の領域の構内通路101上にて、自車両Mを車外から監視している。そして、乗車領域作成処理が完了し、自車両Mの駐車枠102b内の中央位置への停車が完了したら、運転者等Hは矢印W2を辿って
図14の符号H3の位置まで移動し、自車両Mに乗車する。
【0158】
続いて、ステップS73において、走行_ECU14は、自車両Mの運転者等の人員の乗車確認を行った後、自車両Mを駐車中の駐車枠102bから出庫させる走行制御を行う。このときの出庫走行制御は、上述のステップS55の処理と略同様に、通常の自動運転機能によるか、若しくは支援制御を伴う運転者の手動運転操作のいずれで行ってもよい。
【0159】
図15は、
図11のステップS73の処理(出庫走行制御)が行われる際の状況に対応する概念図である。
図15に示すように、自車両Mは、駐車中の駐車枠102bから矢印X6に沿って走行して、構内通路101上に出た後、駐車場100から出場する。その後、本処理シーケンスを終了する。このときの作用は、
図11のステップS55の処理(
図12,
図13参照)と略同様である。
【0160】
一方、上述のステップS53の処理にて、構内通路101が除雪されていない状況(或いは積雪している状況)であることが確認されると、ステップS81の処理に進む。
【0161】
この場合には、ステップS81において、走行_ECU14は、周囲環境認識装置によって取得された周囲環境情報に基づいて、自車両Mが現在駐車中の駐車枠102bから出庫場合に、構内通路101上にて停車状態で所定の時間の間、待機することが可能な状況にあるか否かの確認を行う。これと同時に、自車両Mは、自動出庫機能を有しているか否かの確認を行う。この確認処理は、上述のステップS61の処理と略同様である。
【0162】
ここで、駐車枠102bから出庫後の自車両Mが構内通路101上での停車状態を所定時間、待機可能であることが確認され、かつ自車両Mが自動出庫機能を有していることが確認された場合には、ステップS82の処理に進む。
【0163】
ステップS82において、走行_ECU14は、自車両Mを駐車中の駐車枠102bから構内通路101上へと出庫させる自動出庫制御を実行する。ここで行われる自動出庫制御は、運転者が降車した状態で、車外から監視しつつ行われる制御(タイプ2)となる。この自動出庫制御は、上述のステップS62の処理と同様である。
【0164】
図16は、
図11のステップS82の処理が行われる際の状況に対応する概念図である。
図16に示す状況は、構内通路101及び複数の駐車枠102の領域が除雪されていない状況(或いは積雪している状況)を示している。そして、
図16では、当該状況下において、自車両Mが駐車枠102bからの自動出庫制御が行われているようすを示している。
【0165】
このとき、
図16に示すように、運転者等Hは、当該駐車枠102bに駐車中の自車両Mの近傍に立ち、自車両Mを車外から監視している。この状態で、自車両Mは、上述のステップS82の処理(自動出庫制御)を実行する。
【0166】
上述の自動出庫制御によって、自車両Mは
図16の矢印X6に沿って駐車枠102bから構内通路101へと出庫する。そして、自車両Mは、構内通路101上の所定の停車位置[D]にて一時停車する。これにより、自動出庫制御は完了する。自動出庫制御が完了すると、次のステップS83の処理に進む。
【0167】
ステップS83において、走行_ECU14は、構内通路101上の所定の停車位置[D]において乗車領域108(
図17参照)を作成するための乗車領域作成処理を行う。ここで、乗車領域108は、自車両Mに人員が安全に乗車するための路面領域を指す。乗車領域作成処理自体は、上述のステップS71の処理と略同様である。なお、ステップS82において行われる乗車領域作成処理は、運転者が降車した状態で、車外から監視しつつ行われる制御(タイプ2)となる。乗車領域作成処理が完了したら、運転者等の人員は自車両Mに乗車する。このとき、上述の乗車領域作成処理が行われて、構内通路101上において自車両Mの周辺領域の路上からは通行の障害となる積雪が除かれている。したがって、これにより、人員は安全に自車両Mに乗車することができる。
【0168】
続いて、ステップS84において、走行_ECU14は、自車両Mの運転者等の人員の乗車確認を行った後、自車両Mの停車位置[D]から発車させる走行制御(
図17の矢印X8参照)を行う。ここで、人員の乗車確認は、上述のステップS55,S63,S73の処理にて行う処理と同様である。その後、本処理シーケンスを終了する。
【0169】
図17は、
図11のステップS83,S84の処理が行われる際の状況に対応する概念図である。構内通路101上の所定の停車位置[D]に停車中の自車両Mの周辺領域には、
図11のステップS83の乗車領域作成処理によって乗車領域108が作成されている。乗車領域108が作成されると、自車両Mの運転者等の人員は、自車両Mに乗車する。
図17に示す例示は、乗車領域作成処理の実行中には、符号Hで示す位置にいた運転者等の人員が、矢印W2を辿って、符号H4に示す位置に移動したことを示している。ここで、運転者等H4の人員は自車両Mに乗車する。その後、走行_ECU14は乗車確認を行った後、自車両Mを発車させる走行制御(
図17の矢印X8参照)を実行する。
【0170】
一方、上述のステップS81の処理にて、駐車枠102bから出庫後の自車両Mが構内通路101上での停車状態を所定時間の間、待機できない場合には、ステップS71の処理に進む。また、自車両Mが自動出庫機能を有していない場合にも、ステップS71の処理に進む。この場合におけるステップS71~S73の処理は、上述した通りである。
【0171】
以上説明したように上記一実施形態によれば、例えば積雪状況下の駐車場等において、所定の駐車枠内に自車両を駐車した後に自車両から人員が降車する際、或いは所定の駐車枠内に駐車中の自車両を出庫させるのに先立って自車両に人員が乗車する際に、自車両の周辺状況及び周辺路面状況に応じて、適切な車両の走行制御を行う。
【0172】
この場合において、本実施形態の走行制御装置は、自車両の車輪によって自車両周辺領域の積雪を踏み固めて整えることにより、人員が乗降し通行しやすい路面状況からなる乗降領域を作成する走行制御を行うようにしている。
【0173】
このような走行制御を行うことによって、本実施形態の走行制御装置は、積雪状況下の駐車場等において、自車両に人員が安全に乗降することができると共に、自車両の周辺領域の安全な通行ができるようになる。
【0174】
なお、本発明の走行制御装置1によって実行される処理シーケンス(
図2,
図11)が適用される状況としては、上述したような広い面積を有する大駐車場等に限られることはない。例えば、個人自宅等に付属する駐車場であって、少なくとも自車両を1台のみ駐車させ得る形態の車庫等であっても、略同様に適用することができる。
【0175】
また、上述の一実施形態においては、降車領域を作成する降車領域作成処理と、乗車領域を作成する乗車領域作成処理とを別々に説明している。しかしながら、降車領域と乗車領域とは、ほぼ同様の領域を指している。また、降車領域作成処理と乗車領域作成処理とは、ほぼ同様の作用となっている。したがって、降車領域と乗車領域とは、乗降領域ということができる。また、降車領域作成処理と乗車領域作成処理とは、乗降領域作成処理ということができる。
【0176】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施することができることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。この発明は、添付のクレームによって限定される以外にはそれの特定の実施態様によって制約されない。
【符号の説明】
【0177】
1…走行制御装置
10…カメラユニット
11…ステレオカメラ
11a…メインカメラ
11b…サブカメラ
12…画像処理ユニット(IPU)
13…画像認識ユニット(画像認識_ECU)
14…走行制御ユニット(走行_ECU)
21…コックピット制御ユニット(CP_ECU)
22…エンジン制御ユニット(E/G_ECU)
23…トランスミッション制御ユニット(T/M_ECU)
24…ブレーキ制御ユニット(BK_ECU)
25…パワーステアリング制御ユニット(PS_ECU)
31…ヒューマン・マシーン・インターフェース(HMI)
32…スロットルアクチュエータ
33…油圧制御回路
34…ブレーキアクチュエータ
35…電動パワステモータ
36…ロケータユニット
36a…GNSSセンサ
36b…高精度道路地図データベース(道路地
図DB)
37…車載レーダ装置
38…後方センサ
39…ドアセンサ
40…近赤外線センサ
41…外気温センサ
100…駐車場
101…構内通路
102…複数の駐車枠
102a…駐車枠
102b…駐車枠
103…空き駐車枠
104…駐車枠区画線
105…降車領域(駐車枠内)
106…降車領域(構内通路上)
107…乗車領域(駐車枠内)
108…乗車領域(構内通路上)