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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126937
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】食品提供サービス支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20240912BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20240912BHJP
   A23L 3/365 20060101ALI20240912BHJP
   A23L 3/36 20060101ALI20240912BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240912BHJP
【FI】
G06Q50/12
B65D81/34 U
A23L3/365 A
A23L3/36 A
A23L5/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035711
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】312017444
【氏名又は名称】ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100158698
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 基樹
(72)【発明者】
【氏名】小田木 貴志
【テーマコード(参考)】
3E013
4B022
4B035
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3E013BA01
3E013BA02
3E013BA22
3E013BA24
3E013BA28
3E013BB06
3E013BC01
3E013BC04
3E013BD13
3E013BD15
3E013BD20
3E013BE01
3E013BF62
3E013BF73
3E013BG17
4B022LA03
4B022LA08
4B022LB02
4B022LJ06
4B022LJ08
4B022LN01
4B022LQ07
4B022LT03
4B022LT13
4B035LC01
4B035LC03
4B035LC05
4B035LC16
4B035LE03
4B035LE11
4B035LE16
4B035LE20
4B035LG44
4B035LK19
4B035LP16
4B035LP21
4B035LP43
4B035LP46
4B035LP55
4B035LP59
4B035LT01
4B035LT18
4B035LT20
5L049CC24
5L050CC24
(57)【要約】
【課題】気泡含有食品を顧客に提供するサービスを支援する技術を提供する。
【解決手段】食品提供サービス支援システムは、含気冷凍食品を電子レンジで加熱して得られる気泡含有食品を顧客に提供するサービスを支援可能であって、含気冷凍食品を入れて電子レンジで加熱可能でありかつ気泡含有食品が入った状態で顧客に提供可能な耐熱性容器と、含気冷凍食品から気泡含有食品を得るための複数の特定加熱条件の中から注文に対応する特定加熱条件を特定可能とする情報テーブルとを備え、耐熱性容器は、注文に対応する量の含気冷凍食品が入れられた際における耐熱性容器の容積に対する含気冷凍食品の占有率が所定値以下となるような容積を有し、特定加熱条件は、耐熱性容器内の注文に対応する量の含気冷凍食品が注文に対応する気泡含有食品となる過程において泡立ち膨張して耐熱性容器から溢れ出さないような条件とされている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含気冷凍食品を特定加熱条件で電子レンジで加熱することにより得られる気泡含有食品を顧客に提供するサービスであって、顧客から該気泡含有食品の注文を受け付ける第一ステップと、該注文に対応する該含気冷凍食品を電子レンジで加熱する第二ステップと、第二ステップで得られた気泡含有食品を顧客に提供する第三ステップとを含むサービスを支援する食品提供サービス支援システムであって、
前記第二ステップにおいて前記含気冷凍食品を入れて前記電子レンジで加熱可能でありかつ前記第三ステップで前記気泡含有食品が入った状態で顧客に提供可能な耐熱性容器と、
前記含気冷凍食品から前記気泡含有食品を得るための複数の特定加熱条件の中から前記注文に対応する特定加熱条件を特定可能とする情報テーブルと、
を備え、
前記耐熱性容器は、前記注文に対応する量の前記含気冷凍食品が入れられた際における前記耐熱性容器の容積に対する該含気冷凍食品の占有率が所定値以下となるような容積を有し、
前記特定加熱条件は、前記耐熱性容器内の前記注文に対応する量の前記含気冷凍食品が前記注文に対応する前記気泡含有食品となる過程において泡立ち膨張して前記耐熱性容器から溢れ出さないような条件とされている、
食品提供サービス支援システム。
【請求項2】
前記注文には、前記気泡含有食品の注文可能な量として予め決められた複数の注文単位量の中から顧客により選択された注文単位量が含まれ、
前記情報テーブルは、前記複数の注文単位量の各々と、前記複数の特定加熱条件の各々と、の対応情報を含む、
請求項1に記載の食品提供サービス支援システム。
【請求項3】
前記耐熱性容器として容積が相互に異なる複数種の耐熱性容器を備え、
前記注文には、前記気泡含有食品の注文可能な量として予め決められた複数の注文単位量の中から顧客により選択された注文単位量が含まれ、
前記複数種の耐熱性容器の各々は、前記複数の注文単位量の各々に対応する量の前記含気冷凍食品が入れられた際における該耐熱性容器の容積に対する該含気冷凍食品の占有率が40%以上65%以下となるような容積をそれぞれ有する、
請求項1に記載の食品提供サービス支援システム。
【請求項4】
前記情報テーブルは、前記複数種の耐熱性容器の各々と、前記複数の特定加熱条件の各々と、の対応情報を含む、
請求項3に記載の食品提供サービス支援システム。
【請求項5】
前記注文には、前記気泡含有食品の複数種類の中から顧客により選択された一以上の種類を示す情報が含まれ、
前記情報テーブルは、前記気泡含有食品の複数種類の各々と、前記複数の特定加熱条件の各々と、の対応情報を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の食品提供サービス支援システム。
【請求項6】
前記注文には、前記気泡含有食品の注文可能な提供温度として予め決められた複数種の提供温度の中から顧客により選択された提供温度が含まれ、
前記情報テーブルは、前記気泡含有食品の提供温度と、前記複数の特定加熱条件の各々と、の対応情報を含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の食品提供サービス支援システム。
【請求項7】
店舗端末を更に備え、
前記店舗端末は、
前記情報テーブルを格納するメモリと、
前記注文の内容を示す注文情報を取得する手段と、
前記情報テーブルを参照することにより前記複数の特定加熱条件の中から前記取得された注文情報に対応する特定加熱条件を決定する手段と、
前記決定された特定加熱条件を示す情報を出力する手段と、
を含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の食品提供サービス支援システム。
【請求項8】
請求項7に記載の食品提供サービス支援システムが備える前記店舗端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注文に応じて気泡含有食品を顧客に提供するサービスを支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者嗜好の多様化などを背景として食品分野においても新商品の開発競争が激しくなっており、新しい味や素材、食感や口当たり、風味等を持つヒット商品が次々と生み出されている。
一方で、レストランやファストフード、カフェ、アイスクリームショップのような外食産業においては、サービス力を強化するための様々な取り組みが行われている。例えば、下記特許文献1には、制御データに基づいて自動調理が可能な各種調理機器と、これら各種調理機器に制御データを送信する調理制御コンピュータとを備えた調理システムが提案されている。この調理システムでは、調理制御コンピュータが、調理するメニュー毎の調理機器の調理条件と作業員の作業内容とを示す作業工程データを保持し、調理するメニューと該メニューの数量を指定することにより、当該作業工程データに基づいて各調理機器へ制御データを送信すると共に、作業員の作業内容を出力する。これにより、作業員の作業内容を示す指示書を作成する手間を省くことができ、作業効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-182149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような背景から、本発明者は、電子レンジで簡単に調理することができかつ今までにない食感及び口当たりを有する新しい食品として気泡含有食品を開発した。
この「気泡含有食品」とは、含気冷凍食品を特定加熱条件において電子レンジで加熱することで得られる、流動性を有しかつ気泡を含む食品であり、温かい状態で食べる或いは飲むことを想定した食品である。「気泡含有食品」は食べ物と呼ぶこともできるし、飲み物と呼ぶこともできる。
【0005】
現状、このような気泡含有食品を顧客に提供する外食事業者は存在しない。従って、外食事業における気泡含有食品を顧客に提供するサービスオペレーションは完全に新しいものであり、その外食事業を成功させるためには、そのサービスオペレーションを適切に支援する技術が必要となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、気泡含有食品を顧客に提供するサービスを支援する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面では、上述した課題を解決するために、含気冷凍食品を特定加熱条件で電子レンジで加熱することにより得られる気泡含有食品を顧客に提供するサービスであって、顧客から該気泡含有食品の注文を受け付ける第一ステップと、該注文に対応する該含気冷凍食品を電子レンジで加熱する第二ステップと、第二ステップで得られた気泡含有食品を顧客に提供する第三ステップとを含むサービスを支援する食品提供サービス支援システムが提供される。
この食品提供サービス支援システムは、前記第二ステップにおいて前記含気冷凍食品を入れて前記電子レンジで加熱可能でありかつ前記第三ステップで前記気泡含有食品が入った状態で顧客に提供可能な耐熱性容器と、前記含気冷凍食品から前記気泡含有食品を得るための複数の特定加熱条件の中から前記注文に対応する特定加熱条件を特定可能とする情報テーブルと、を備え、前記耐熱性容器は、前記注文に対応する量の前記含気冷凍食品が入れられた際における前記耐熱性容器の容積に対する該含気冷凍食品の占有率が所定値以下となるような容積を有し、前記特定加熱条件は、前記耐熱性容器内の前記注文に対応する量の前記含気冷凍食品が前記注文に対応する前記気泡含有食品となる過程において泡立ち膨張して前記耐熱性容器から溢れ出さないような条件とされている。
【0007】
また、本発明の他の側面では、上述の食品提供サービス支援システムが備える店舗端末が提供され得る。この店舗端末は、前記情報テーブルを格納するメモリと、前記注文の内容を示す注文情報を取得する手段と、前記情報テーブルを参照することにより前記複数の特定加熱条件の中から前記取得された注文情報に対応する特定加熱条件を決定する手段と、前記決定された特定加熱条件を示す情報を出力する手段と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
上記各側面によれば、気泡含有食品を顧客に提供するサービスを支援する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る食品提供サービス支援システムで支援されるサービスの店舗オペレーションの概要を示す図である。
図2】本実施形態に係る食品提供サービス支援システムにおける耐熱性容器の利用形態の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る食品提供サービス支援システムにおける耐熱性容器(ドリンク容器)の利用形態の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係る食品提供サービス支援システムの店舗端末のハードウェア構成を概念的に示す図である。
図5】本実施形態に係る食品提供サービス支援システムの情報テーブルの例を示す図である。
図6】本実施形態に係る食品提供サービス支援システムで支援されるエアリー飲料提供サービスの店舗オペレーションを示すフローチャートである。
図7】情報テーブルの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に挙げる実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態の構成に限定されない。
【0011】
まずは、本実施形態に係る食品提供サービス支援システム(以降、本システムと略称する場合もある)の概要を説明する。
本システムは、気泡含有食品を顧客に提供するサービスを支援する。
図1は、本実施形態に係る食品提供サービス支援システムで支援されるサービスの店舗オペレーションの概要を示す図である。
図1に示されるように、当該サービスにおいて、店員は、気泡含有食品の注文を受け付け(第一ステップ)、受け付けられた注文に対応する含気冷凍商品を電子レンジで加熱し(第二ステップ)、加熱して得られた気泡含有食品を顧客に提供する(第三ステップ)。
【0012】
ここで「含気冷凍食品」とは、空気などの気体を一定量以上混入させた状態で冷凍された食品である。含気冷凍食品における気体の混入量はオーバーランで示すことができる。オーバーランとは、冷凍食品における固体分(気体を除く部分)の体積を100%としたときの、この冷凍食品に含まれる気体の体積比率をパーセント表示で表したものである。
当該含気冷凍食品のオーバーラン、成分や組成については、電子レンジによる加熱で顧客に提供可能な気泡含有食品を得ることができるのであれば、特に制限されない。
【0013】
含気冷凍食品のオーバーランは、40%を超えていることが好ましく、45%以上であるのがより好ましく、50%以上であるのがさらに好ましく、55%以上であるのがさらに好ましく、60%以上であるのがさらに好ましく、65%以上であるのがさらに好ましい。また、当該オーバーランの上限は、100%以下であるのが好ましく、95%以下であるのがさらに好ましい。例えば、含気冷凍食品のオーバーランは、45%以上100%以下であると好適である。また、混入されている気体は、コストや香味への影響などの観点から、空気および/または窒素ガス(空気、窒素ガス、空気と窒素ガスとの混合物、またはこれらのいずれかと実質的に同じ組成の気体)であるのが好ましい。
【0014】
含気冷凍食品のオーバーランは、次のように測定することができる。例えば、容積が340mlである容器に気体を含ませた試料(凍結流動物など)を満中充填し、必要であればさらに凍結を行った後、この内容量(質量)を測定して、得られた密度A(g/340ml)から以下の数式(1)により密度B(ml/120g)を算出し、さらに、この密度Bと気体を含ませる前の脱気した試料の密度C(ml/120g)とから以下の数式(2)を用いてオーバーランを算出することができる。
(1)密度B(ml/120g)=(340ml/密度A(g/340ml))×120g
(2)オーバーラン(%)=[(密度B(ml/120g)-密度C(ml/120g))/密度C(ml/120g)]×100
【0015】
また、円錐台等の形状である所定の容器に一定質量の試料(気体を含ませた凍結流動物など)を充填し、必要であればさらに凍結を行った後、載置面に載置した状態で、この容器底面円部の半径(mm)をr1、充填された試料の上面円部の半径(mm)をr2、充填された試料の高さ(上下方向の長さ、mm)をhとし、これらの長さを測定して、下記数式(3)に当てはめて体積V(ml)を算出し、この試料の体積Vから充填された試料の密度(ml/g)を算出し、この充填された試料の密度と気体を含ませる前の脱気した試料の密度とからオーバーランを算出することもできる。
(3)V=(1/3)×π×(r1×r1+r1×r2+r2×r2)×(h/1000)
【0016】
また、含気冷凍食品は、アイスクリームのような凍結状態のままでも美味しく食べることができる冷凍食品であってもよいし、凍結状態のままでは通常食べないような冷凍食品であってもよい。但し、当該含気冷凍食品は、乳タンパク、乳脂肪などのような乳成分を含有することがより好ましい。
【0017】
また、顧客に提供される気泡含有食品は、温かく、流動性を有し、或る程度の量の気泡を含有していればよいが、食感及び口当たりの斬新性を向上させるためには、次のように形成されていることがより好ましい。
例えば、当該気泡含有食品は、少なくとも加熱調理終了直後においては、気泡が略全体に亘って分散して含まれる(略全体が泡立って気泡が含まれる)状態となっていることが好ましい。具体的には、電子レンジでの加熱調理終了直後の容器内において当該気泡含有食品の上層部、中層部及び下層部のいずれにも気泡が含まれており、更に加熱調理終了から5分間放置した後における液相比率が50%以下となるものであることが好ましい。なお、加熱調理終了から5分間放置した後における液相比率は、45%以下であることがさらに好ましく、40%以下であることがさらに好ましく、35%以下であることがさらに好ましい。なお、気泡を含有した状態で提供されるホット飲料としてカプチーノ等が存在するが、このようなホット飲料の液相比率は70%を超えており、50%以下となるものではない。
【0018】
ここでの液相比率とは、加熱調理終了直後の気泡含有食品を即時にメスシリンダーなどの体積が測定可能な容器に移し変え、5分間放置した後において測定される、気泡含有食品の全体積中のうち分離した下層(液相)の体積の体積比率である。よって、上述の5分間放置とは、実質的に5分間静置して放置する意味である。
なお、気泡含有食品に含有する気泡の1つあたりのサイズは、限定されるものではないが、ふわふわとした食感などを得やすいという観点から、最大径が3mm以下、さらには1mm以下であるものが好ましい。この最大径とは、その気泡における最も大きい径である。
また、気泡含有食品における「上層部」、「中層部」及び「下層部」とは次のような意味である。即ち、容器に収容されている気泡含有食品の体積を、その容器の載置面と平行な面で3等分したときの、上層側(載置面から最も遠い層)が上層部、中間層が中層部、下層側(載置面に最も近い層)が下層部である。
【0019】
本システムは、このような気泡含有食品を顧客に提供するサービスを支援するために、第二ステップにおいて含気冷凍食品を入れて電子レンジで加熱可能でありかつ第三ステップで気泡含有食品が入った状態で顧客に提供可能な耐熱性容器と、含気冷凍食品から気泡含有食品を得るための複数の特定加熱条件の中から注文に対応する特定加熱条件を特定可能とする情報テーブルとを備える。
【0020】
本システムの耐熱性容器は、注文に対応する量の含気冷凍食品が入れられた際におけるその耐熱性容器の容積に対するその含気冷凍食品の占有率が所定値以下となるような容積を有することが好ましい。
当該所定値は、電子レンジにより加熱している際及び加熱後に気泡含有食品が当該耐熱性容器から溢れ出さないようにするために、40%以上65%以下の範囲とされることが好ましい。このような所定値以下とされる当該占有率とは、当該耐熱性容器の内容積(食品を充填可能な領域の容積)に占める含気冷凍食品の総体積の比率をパーセント表示で表したものである。
例えば、容積が340mlである容器に関する占有率は、上述した密度B(ml/120g)から、以下の数式(4)を用いて算出され得る。
(4)占有率(%)=(密度B(ml/120g)/容器容積340ml)×100
また、円錐台等の形状である所定の容器に一定質量の試料(気体を含ませた凍結流動物など)を充填し、必要であればさらに凍結を行った後、載置面に載置した状態で、前述と同様に数式(3)を用いて試料の体積V(ml)を算出し、この試料の体積Vと容器容積とから当該占有率を算出することもできる。
【0021】
また、当該耐熱性容器は、含気冷凍食品を入れて電子レンジで加熱することができ、加熱後にその電子レンジから取り出して顧客に提供することができれば、その材質や形状は何ら限定されない。例えば、当該耐熱性容器は、プラスチックのような合成樹脂、紙等を素材とする。
当該耐熱性容器の耐熱性は、含気冷凍食品から気泡含有食品を得るための特定加熱条件に耐え得る性能であればよく、例えば、この容器の耐熱温度は80度以上であることが好ましく、JIS規格(例えばJIS S2029等)で規定されている140度以上であることがより好ましい。
【0022】
また、当該耐熱性容器は、加熱後に気泡含有食品が入った状態で顧客に提供されるため、或る程度の断熱性(低熱伝導率)を有することが好ましい。電子レンジの加熱で手に持てない程、熱くなってしまったのでは、顧客に提供するまでに時間を要するからである。但し、当該耐熱性容器自体が電子レンジの加熱で熱を帯びる場合には、当該耐熱性容器の外周を巻く断熱スリーブを付けて顧客に提供されてもよい。
【0023】
図2は、本実施形態に係る食品提供サービス支援システムにおける耐熱性容器の利用形態の一例を示す図である。
第二ステップでは、図2の上段に示されるように、注文に対応する含気冷凍食品11がアイスクリームディッシャー12ですくい取られて当該耐熱性容器10に入れられる。このとき、当該耐熱性容器10の容積に対するその含気冷凍食品11の占有率が所定値(図2の例では約45%)以下となっている。そして、含気冷凍食品11を収容する当該耐熱性容器10が電子レンジに入れられて加熱される。
この加熱により、当該耐熱性容器10内で含気冷凍食品11から気泡含有食品15が得られる。このとき、図2の下段に示されるように、気泡含有食品15は、気泡が略全体に亘って分散して含まれる(略全体が泡立って気泡が含まれる)状態となり、体積が膨張している。
【0024】
第三ステップでは、このような気泡含有食品15を収容する当該耐熱性容器10が電子レンジから取り出されて顧客に提供される。このとき、図2の例では、気泡含有食品15を口に運び易くするためにスプーン16が挿入されて提供される。また、図2の例では、当該耐熱性容器10の外周面には装飾文字「tasty!」が印刷されている。
このように当該耐熱性容器10は、顧客に提供されるため、事業者のロゴマーク、色や図柄等の装飾を有することが好ましい。
【0025】
情報テーブルは、含気冷凍食品から気泡含有食品を得るための複数の特定加熱条件の中から注文に対応する特定加熱条件が特定可能となるのであれば、どのように具現化されてもよい。例えば、情報テーブルは、注文種と特定加熱条件との対応表が印刷された紙やプラスチック等の物体(対応表)であってもよいし、コンピュータ端末のメモリに格納される電子データ(データテーブル)であってもよい。
【0026】
このような情報テーブルで特定可能となる特定加熱条件は、当該耐熱性容器内の注文に対応する量の含気冷凍食品がその注文に対応する気泡含有食品となる過程において泡立ち膨張して当該耐熱性容器から溢れ出さないような条件とされている。
当該サービスで利用される含気冷凍食品は上述のようなオーバーランを有するため、適切な加熱条件で加熱しないと過度な泡立ち膨張により当該耐熱性容器から溢れ出してしまう。
【0027】
また、耐熱性容器からの溢れ出しだけでなく、当該気泡含有食品を温かく流動性を有しかつ斬新な食感及び口当たりを実現する上述のような好ましい気泡含有状態で顧客に提供するためにも当該特定加熱条件は重要である。
特に、電子レンジの出力(動作電力)、加熱時間及び加熱終了直後の気泡含有食品の温度(以降、品温と表記する場合もある)が当該好ましい気泡含有状態を実現するうえで極めて重要であることを本発明者らが見出している。
具体的には、オーバーランが40%超の含気冷凍食品を用いる場合、品温が30℃未満であると、凍結部分の溶解が不十分となり易く気泡部分と液状部分と分離した状態となってしまい好ましい食感や口当たりが実現できない。また、品温が60℃超であると、形成された気泡が水蒸気の影響などによって破壊され易くなり気泡部分と液状部分と分離した状態となってしまい好ましい食感や口当たりが実現できない。このため、品温は、31℃以上とするのがより好ましく、33℃以上とするのがさらに好ましく、35℃以上とするのがさらに好ましく、37℃以上とするのがさらに好ましく、40℃以上とするのがさらに好ましい。また、破泡を抑制し易く、気泡が略全体に亘って分散した状態を維持し易くなることなどから、品温は、55℃以下とするのがより好ましく、50℃未満とするのがさらに好ましい。このため、例えば、品温は、33℃以上50℃未満とされるのが好適である。
また、電子レンジの出力及び加熱時間は、加熱時の破泡を抑制しながら、顧客への提供時間を短縮するために加熱時間を短くできることが好ましい。このため、電子レンジの出力は、1200W(ワット)以上1800W以下であるのがより好ましく、1400W以上1800W以下であるのがさらに好ましい。
加熱時間は、注文に対応する含気冷凍食品の質量に概ね依存するため、上述のような電子レンジの出力及び含気冷凍食品の質量に応じて適宜調整されればよい。例えば、120gの含気冷凍食品の場合、加熱時間は、30秒間以上140秒間以下とされるのが好ましく、30秒間以上80秒間未満とされるのがより好ましい。
【0028】
このように本システムによれば、含気冷凍食品から気泡含有食品を得る加熱調理工程(第二ステップ)及び気泡含有食品を顧客に提供する工程(第三ステップ)を一つの耐熱性容器の利用で済ませることができるため、サービス労力及びサービスコストを低減させることができると共に、顧客の待ち時間も減らせるためサービス品質も向上させることができる。特に、顧客に提供される気泡含有食品は、気泡が略全体に亘って分散して含まれる状態となっていることから容器の内壁に気泡が付着し易いため、容器間の移し替えは難しい。このような課題についても本システムでは解消されている。
更に、今までにない斬新な食感及び口当たりを有する新しい食品である気泡含有食品を顧客に提供するうえで電子レンジでの加熱条件は大変重要な要素であるところ、本システムの情報テーブルを用いることで、受け付けられた注文に適した特定加熱条件を間違うことなく特定することができるため、店員の技量への依存度を減らしてサービス品質の標準化が可能となる。
【0029】
以下、このような本システムに関してより具体的な例を挙げて詳細に説明する。以下では、説明をより分かり易くするために、顧客に提供される気泡含有食品を「エアリー飲料」と呼び、気泡含有食品の元となる含気冷凍食品を「アイスクリーム」と呼び、本システムの耐熱性容器を「ドリンク容器」と呼ぶ場合がある。
また、ここでは複数種のエアリー飲料が提供可能とされており、更に、注文可能な量として二つの注文単位量(ラージサイズとレギュラーサイズ)が選択可能とされている。エアリー飲料の種類としては、バニラ、ストロベリー、チョコレート等のようなアイスクリーム系のフレーバー種と、クリームスープやコーンスープ等のようなスープ系の種類とが提供可能とされている。
なお、本システムは、支援可能なサービスとして、このような気泡含有食品の注文可能な種類や注文可能な量といったサービス内容に限定されるものではない。
【0030】
図3は、本実施形態に係る食品提供サービス支援システムにおける耐熱性容器(ドリンク容器)の利用形態の一例を示す図である。
本システムは、図3に示されるように、容積が相互に異なる二種類のドリンク容器10L及び10Rを有している。ドリンク容器10Lはラージサイズ用の容器であり、ドリンク容器10Rはレギュラーサイズ用の容器である。ドリンク容器10Lには、ラージサイズに対応する量のアイスクリーム11Lが入れられ、電子レンジによる加熱で、このアイスクリーム11Lからラージサイズに対応する量のエアリー飲料15Lが得られる。また、ドリンク容器10Rには、レギュラーサイズに対応する量のアイスクリーム11Rが入れられ、電子レンジによる加熱で、このアイスクリーム11Rからレギュラーサイズに対応する量のエアリー飲料15Rが得られる。
【0031】
ここで、図3に示されるように、ドリンク容器10L及び10Rの各々は、注文単位量(ラージサイズ及びレギュラーサイズ)の各々に対応する量のアイスクリーム11L及び11Rが入れられた際における各ドリンク容器の容積に対するアイスクリームの占有率が共に約45%程度となっている。このように、本システムでは、複数種の耐熱性容器の各々が、複数の注文単位量の各々に対応する量の含気冷凍食品が入れられた際におけるその耐熱性容器の容積に対する含気冷凍食品の占有率が40%以上65%以下となるような容積をそれぞれ有することが好ましい。
このような容積とすることで、加熱調理によって気泡含有食品が耐熱性容器から溢れ出すことを防ぎつつ、無駄の少ない適切な大きさの耐熱性容器で顧客に気泡含有食品を提供することができる。
【0032】
図4は、本実施形態に係る食品提供サービス支援システムの店舗端末20のハードウェア構成を概念的に示す図である。
本システムは、更に、店舗端末20を有する。
店舗端末20は、ノート型PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末のような一般的なモバイルコンピュータである。店舗端末20は、図4に示されるように、CPU(Central Processing Unit)21、メモリ22、表示ユニット23、タッチセンサ24、通信ユニット25、撮像ユニット26、マイクロフォンユニット27、スピーカユニット28等を有している。
CPU21は、他の各ユニットとバス等の通信線により接続される。メモリ22は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。表示ユニット23は、LCD(Liquid Crystal Display)やLED(Light Emitting Diode)、有機EL(Organic Electro Luminescence)等のようなモニタを含み、表示処理を行う。タッチセンサ24は、外部からの接触を感知することによりユーザからの操作入力を受け付ける。表示ユニット23及びタッチセンサ24は、タッチパネルユニットとして実現されてもよい。通信ユニット25は、無線通信又は有線通信を行い、通信網を介して他の通信端末と通信を行う。撮像ユニット26はカメラである。マイクロフォンユニット27は集音装置である。スピーカユニット28は音声出力装置である。
但し、店舗端末20のハードウェア構成は、図4に示される例に限定されない。店舗端末20は、図4に示されない他のハードウェア構成を有していてもよいし、図4に示されるハードウェア構成の一部を有していなくてもよい。
【0033】
店舗端末20は、メモリ22に図5に例示される情報テーブルを格納している。
図5は、本実施形態に係る食品提供サービス支援システムの情報テーブルの例を示す図である。
情報テーブルは、上述したように、アイスクリームからエアリー飲料を得るための複数の特定加熱条件の中から注文に対応する特定加熱条件を特定可能とするテーブルであり、本実施形態では、図5に示されるように電子データ(データテーブル)として実現される。
【0034】
情報テーブルは、エアリー飲料の注文可能な内容ごとに必要なアイスクリーム量及び加熱条件を示す対応情報を格納している。
注文可能な内容は、エアリー飲料の種類と注文単位量との組合せからなる。例えば、エアリー飲料の一種類「バニラ」に対して注文単位量「レギュラー」及び「ラージ」の二つの注文内容が存在し、エアリー飲料の一種類「クリームスープ」に対して注文単位量「レギュラー」及び「ラージ」の二つの注文内容が存在する。
加熱条件としては電子レンジの出力(W)及び加熱時間(s)が含まれている。各加熱条件は、上述したように、エアリー飲料の種類の元となるアイスクリームのオーバーラン及び量に応じて、エアリー飲料を好ましい状態(気泡含有状態等)で顧客提供可能としかつ対応するサイズのドリンク容器から溢れ出さないような適切な条件に設定されている。
【0035】
このように本実施形態における情報テーブルは、複数の注文単位量の各々と複数の特定加熱条件の各々との対応情報及びエアリー飲料の複数種類の各々と複数の特定加熱条件の各々との対応情報を含む。
なお、本実施形態では、注文可能な注文単位量ごとにドリンク容器(ラージサイズ用ドリンク容器10Lとレギュラーサイズ用ドリンク容器10R)が設けられており、注文単位量はそのままドリンク容器の種類に対応付けられるため、情報テーブルは、複数種の耐熱性容器の各々と複数の特定加熱条件の各々との対応情報を含むということもできる。
但し、ドリンク容器の種類が注文単位量の数よりも多く設けられる場合などには、情報テーブルには、ドリンク容器の種類を示すフィールド(列)が設けられてもよい。
【0036】
また、図5の例では、エアリー飲料の種類の欄にオーバーランの値を括弧内で示しているが、オーバーランの値は参考のために示しているに過ぎず、実際の情報テーブルにはオーバーランの値は含まれていなくてもよい。
また、図5には、エアリー飲料の種類によらず、注文単位量に応じてアイスクリーム量が異なる例が示されているが、アイスクリーム量は、エアリー飲料の種類及び注文単位量の両方に応じてそれぞれ異なるように設定されてもよい。
【0037】
店舗端末20は、メモリ22に格納されるコンピュータプログラムがCPU21で実行されることにより、次のような手段を実現する。具体的には、店舗端末20は、注文の内容を示す注文情報を取得する情報取得手段と、情報テーブルを参照することにより複数の特定加熱条件の中から当該注文情報に対応する特定加熱条件を決定する決定手段と、決定された特定加熱条件を示す情報を出力する出力手段とを備える。
【0038】
上述したように注文可能な内容はエアリー飲料の種類と注文単位量との組合せから形成されるため、情報取得手段は、エアリー飲料の種類と注文単位量との組合せを示す注文情報を取得する。例えば、エアリー飲料の種類が「バニラ」であり注文単位量が「ラージ」であることを示す注文情報が取得される。
例えば、情報取得手段は、注文されたエアリー飲料の種類と注文単位量とを入力可能な表示を表示ユニット23に出力し、その表示に対する店員の入力操作をタッチセンサ24で検出することで、注文されたエアリー飲料の種類と注文単位量とを示す注文情報を取得することができる。但し、情報取得手段による注文情報の取得手法はこのような例に限定されず、マイクロフォンユニット27で得られた店員の音声から当該注文情報が取得されるようにすることもできる。この場合には、情報取得手段は、得られた店員の音声に対して既存の音声認識処理を適用することで、注文されたエアリー飲料の種類と注文単位量とを示す注文情報を取得することができる。
【0039】
決定手段は、情報取得手段により取得された注文情報に基づいて情報テーブルの中から対象の注文内容に対応する一レコード(一行)を特定することで、その注文内容に対応する加熱条件(レンジ出力及び加熱時間)を決定する。このとき、本実施形態では更に、注文内容に対応するアイスクリーム量も決定される。
【0040】
出力手段は、決定手段により決定された加熱条件及びアイスクリーム量を示す情報を出力する。例えば、出力手段は、それら情報を表示ユニット23に表示させてもよいし、それら情報を読み上げる音声をスピーカユニット28から出力させてもよいし、通信ユニット25を用いた通信により外部の印刷装置にそれら情報を印刷させてもよい。また、出力手段は、通信ユニット25を介して電子レンジと通信を行うことで、そのような加熱条件を示す情報を電子レンジに送信するようにしてもよい。
【0041】
図6は、本実施形態に係る食品提供サービス支援システムで支援されるエアリー飲料提供サービスの店舗オペレーションを示すフローチャートである。店員は、本システムのドリンク容器及び店舗端末20を用いて、図6に例示される店舗オペレーションに基づいて当該サービスを提供する。
まず、店員は、顧客からエアリー飲料の注文を受け付ける(S61)。本実施形態においては、注文には、一つのエアリー飲料につき、エアリー飲料の注文可能な量として予め決められた複数の注文単位量(本実施形態におけるレギュラーサイズとラージサイズ)の中から顧客により選択された一つの注文単位量及びエアリー飲料の複数種類の中から顧客により選択された一つのエアリー飲料の種類が含まれる。なお、一回で二以上のエアリー飲料の注文を受け付けることもできるが、以下では、説明を分かり易くするために、一つのエアリー飲料の注文が受け付けられたと仮定する。
【0042】
注文を受け付けると、店員は、その注文内容を店舗端末20に入力する(S62)。これにより店舗端末20では、情報取得手段が注文情報を取得し、決定手段がその注文情報に基づいて情報テーブル(図5参照)の中から対象の注文内容に対応する一レコードを特定することで、その注文内容に対応する加熱条件(レンジ出力及び加熱時間)及びアイスクリーム量を決定する。決定された加熱条件及びアイスクリーム量は、出力手段により表示ユニット23に表示される。
【0043】
店員は、店舗端末20の表示を参照して、注文内容に対応するアイスクリーム量及び加熱条件を把握する(S63)。例えば、種類が「バニラ」であり注文単位量が「ラージ」の注文が受け付けられた場合には、アイスクリーム量が「200g」であり、レンジ出力が1800Wであり、加熱時間が62秒であることが店舗端末20に表示される。
【0044】
続けて、店員は、注文に対応するドリンク容器を選択する(S64)。本実施形態では上述したとおりレギュラーサイズ用のドリンク容器10Rとラージサイズ用のドリンク容器10Lとが設けられているため、注文単位量に応じてどちらかのドリンク容器が選択される。
そして、店員は、その選択したドリンク容器に注文に対応する量のアイスクリームを入れる(S65)。上述の例では、店舗端末20にアイスクリーム量「200g」が表示されたので、店員は、ラージサイズ用のドリンク容器10Lにバニラのアイスクリームを200g入れる。
【0045】
続けて、店員は、そのアイスクリームが入ったドリンク容器を電子レンジにセットして(S66)、注文に対応する加熱条件で電子レンジを作動させる(S67)。上述の例では、店舗端末20に加熱条件としてレンジ出力1800W及び加熱時間62秒が表示されたため、これら加熱条件が電子レンジに設定される。
【0046】
上述の加熱条件にてレンジアップされると、ドリンク容器の中のアイスクリームは、ドリンク容器から溢れ出すことなく好ましい状態(気泡含有状態等)のエアリー飲料となっている。店員は、電子レンジからそのドリンク容器を取り出して顧客に提供する(S68)。
【0047】
このように本実施形態では、注文内容が店舗端末20に入力されることで、注文に対応するアイスクリーム量及び加熱条件が店舗端末20に表示され、店員は、この表示を見て、ドリンク容器に入れるアイスクリームの量や電子レンジに設定すべき加熱条件を把握することができる。更には、ドリンク容器も注文単位量に応じて容易に選択可能とされている。
従って、本実施形態によれば、店員のオペレーションミスを未然に防ぎつつ、エアリー飲料を好ましい状態で迅速に顧客に提供することが可能となる。
【0048】
但し、図6に示される店舗オペレーションは一例に過ぎないため、各工程の順番は適宜変更されてもよい。例えば、工程(S64)は、工程(S61)と工程(S62)との間に実行されてもよい。また、店舗端末20の出力手段が加熱条件を電子レンジに送信可能である場合には、工程(S63)で店員が加熱条件を把握する必要はなく、工程(S67)で加熱条件を電子レンジに設定する必要もない。
【0049】
[変形例]
上述の実施形態は例示であり、趣旨を逸脱しない範囲で上述の内容は適宜変形可能である。
例えば、上述の実施形態では、情報テーブルは、店舗端末20のメモリ22に格納される電子データとして実現されたが、印刷物として実現されてもよい。この場合、図5に例示されるテーブル(対応表)が紙などの印刷媒体に印刷されていてもよい。図6の店舗オペレーションでは、工程(S62)及び工程(S63)の代わりに、店員は、注文内容に応じてその情報テーブルの印刷物を参照し、注文に対応するアイスクリーム量及び加熱条件を把握すればよい。この場合には、本システムは店舗端末20を有していなくてもよい。
【0050】
また、エアリー飲料の提供温度が注文可能とされてもよい。
この場合、注文には、エアリー飲料の種類及び注文単位に加えて、エアリー飲料の注文可能な提供温度として予め決められた複数種の提供温度の中から顧客により選択された提供温度が含まれる。
図7は、情報テーブルの変形例を示す図である。情報テーブルは、図7に例示されるように、エアリー飲料の提供温度と複数の加熱条件の各々との対応情報を更に含むようにすればよい。図7の例では、提供温度として、熱め、普通及びぬるめが選択可能となっており、提供温度ごとに、括弧内の数値で示される品温でエアリー飲料を提供可能となるような加熱条件がそれぞれ設定されている。更に、各品温は、エアリー飲料を好ましい状態(気泡含有状態等)で提供可能となるような温度に設定されている。
【0051】
また、図5及び図7の例では、必要となるアイスクリーム量が情報テーブルに含まれているが、アイスクリーム量は含まれていなくてもよい。また、エアリー飲料の種類に応じて加熱条件が異なる例が示されているが、エアリー飲料の種類によらず注文単位量のみに応じて加熱条件が異なる場合には、情報テーブルにはエアリー飲料の種類の欄(列)が設けられなくてもよい。
【0052】
以下に実施例を挙げ、上述の内容を更に詳細に説明する。但し、上述の実施形態及び変形例の内容は、以下の内容に限定されない。
【実施例0053】
(試験A)
乳成分を含む市販アイスクリーム(完全解凍したときに固形状のままであるものを実質的に含まないアイスクリーム)を常温にて完全に解凍し、液状物を作製した。そして、この液状物を、真空ニーダーを用いて真空環境下とし、含まれる気体を除去した。これを5℃まで冷却後にエージングし、その後、フリーザー(富繁産業社製)を用いて空気を混合させながらフリージングし、オーバーラン91%の流動性を有する凍結流動物を作製した。そして、耐熱性のある340ml紙カップ容器にこの凍結流動物を120g計量して充填し、-20℃のブラストフリーザーによってさらに凍結を行うことで、その紙カップ容器内に含気冷凍食品を得た(実施例1)。
【0054】
そして、この含気冷凍食品を、電子レンジを用いて、動作電力1800W、動作電力1400W、又は動作電力600Wで加熱し、得られた気泡含有食品の気泡(泡立ち)を含めた見た目の確認、品温測定、官能評価、及び放置試験を行った。なお、電子レンジでの加熱の終了タイミングは、いずれも紙カップ容器より吹きこぼれが起こる直前までとした。
下記表1にこの含気冷凍食品の密度、オーバーラン、容器の容積に対する含気冷凍食品の占有率(含気冷凍食品の占有率と表記)、及び加熱直後の品温を示した。含気冷凍食品の密度、オーバーラン、及び占有率は、上述の数式(1)、(2)及び(4)を用いた方法により算出した。
【0055】
【表1】
【0056】
この結果、実施例1では、加熱終了タイミングが、動作電力1800Wの場合に加熱開始から32秒後、動作電力1400Wの場合に加熱開始から38秒後、動作電力600Wの場合に加熱開始から132秒後となり、そのときの品温はそれぞれ38.7℃、33.7℃、48.5℃であった。そして、動作電力1800W又は動作電力1400Wで加熱して得られた気泡含有食品は、流動性を有し且つ細かな気泡が極めて多く略全体に亘って含まれており、ふわふわとした食感で口当たりがよく、飲み応えのあるものであった。更に、加熱終了から15分後まで継続して細かな気泡が一定程度含まれていた。また、動作電力600Wで加熱して得られた気泡含有食品もまた、流動性を有し且つ細かな気泡が多く略全体に亘って含まれており、ふわふわとした食感で口当たりがよく、飲み応えもあるものであったが、動作電力1800W及び動作電力1400Wで加熱して得られた気泡含有食品と比較して気泡の量はやや少なかった。これは、加熱時間が長い(ゆっくりと加熱調理される)ことによって破泡してしまう気泡がやや多くなったためと推察される。
実施例1で得られた3タイプの気泡含有食品は、加熱終了から5分間放置した後における液相比率は35%以下であった。
【0057】
なお、参考として、上記したオーバーラン91%の流動性を有する凍結流動物をガラス容器に占有率が30%未満となるように充填してさらに凍結することで作製された含気冷凍食品に関しても同様に電子レンジを用いて動作電力1800Wで加熱を行った。この場合の加熱終了タイミングは、加熱開始から49秒後となり、そのときの品温は82.7℃であった。
結果、この場合の気泡含有食品は、加熱直後において気泡は含まれるものの液部とほぼ分離しており、ふわふわとした食感で口当たりがよいものではなかった。
【0058】
(試験B)
乳成分を含む市販アイスクリーム(完全解凍したときに固形状のままであるものを実質的に含まないアイスクリーム)を常温にて完全に解凍し、液状物を作製した。そして、この液状物を、真空ニーダーを用いて真空環境下とし、含まれる気体を除去した。これを5℃まで冷却後にエージングし、その後、フリーザー(富繁産業社製)を用いて空気を混合させながらフリージングし、オーバーランが65~80%の流動性を有する凍結流動物を作製した。そして、耐熱性のある340ml紙カップ容器にこの各凍結流動物を120g計量して充填し、-20℃のブラストフリーザーによってさらに凍結を行うことで、この紙カップ容器内に含気冷凍食品を得た(実施例2~3、比較例1~2)。
【0059】
そして、これらの含気冷凍食品を体積の測定が可能な耐熱性ガラス容器に移し替え、電子レンジを用いて動作電力1800Wで加熱し、得られた気泡含有食品の品温測定及び放置試験を行った。なお、加熱時間は、実施例2が35秒間、実施例3が30秒間、比較例1及び比較例2が50秒間とした。更に、加熱後の気泡含有食品の各サンプルについて、5分間放置した後における液相比率も確認した。
【0060】
下記表2にこれらの含気冷凍食品の密度、オーバーラン、占有率、及び加熱直後の品温を示した。なお、含気冷凍食品の密度、オーバーランの数値、及び占有率は、上述の数式(3)を用いた方法により算出した。
【0061】
【表2】
【0062】
結果、実施例2では、得られた気泡含有食品において気泡が略全体に亘って分散して含まれる(略全体が泡立って気泡が含まれる)状態となっており、加熱終了から5分間放置した後における液相比率は25%以下であった。実施例3についての当該液相比率についてもほぼ同様であった。
一方で、比較例1及び比較例2は、加熱直後の品温が高いため気泡の多くが破壊され、気泡が略全体に亘って分散して含まれる状態となっておらず、従来ないような食感や口当たりとはなっていなかった。そして、これらの加熱終了から5分間放置した後における液相比率は、いずれも75%以上であった。
【符号の説明】
【0063】
10 耐熱性容器
10L、10R ドリンク容器
11 含気冷凍食品
11L、11R アイスクリーム
12 アイスクリームディッシャー
15 気泡含有食品
15L、15R エアリー飲料
16 スプーン
20 店舗端末
21 CPU
22 メモリ
23 表示ユニット
24 タッチセンサ
25 通信ユニット
26 撮像ユニット
27 マイクロフォンユニット
28 スピーカユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7