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特開2024-126944成形された端部を有する光ファイバ導光体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126944
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】成形された端部を有する光ファイバ導光体
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/04 20060101AFI20240912BHJP
   A61B 1/07 20060101ALI20240912BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G02B6/04 B
G02B6/04 D
G02B6/04 Z
A61B1/07 732
G02B23/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023035728
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアント シュルトハイス
(72)【発明者】
【氏名】マーティン クラマー
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス グリム
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ブレイ
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス クナウス
(72)【発明者】
【氏名】ローター ヴィルメス
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ クラウス
【テーマコード(参考)】
2H040
2H250
4C161
【Fターム(参考)】
2H040CA03
2H040CA12
2H250CA02
2H250CA32
2H250CA42
2H250CA62
2H250CB04
2H250CB08
2H250CC23
2H250CC28
2H250CD01
2H250CZ08
2H250CZ09
4C161CC06
4C161FF46
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】実質的に一定の直径d(11)を有するフレキシブルなファイババンドルとしてまとめられた複数の光ファイバ(10)を含む光ファイバ導光体(1)であって、少なくとも一方の端部において、長さの少なくとも部分領域において全周を被覆材(20)により包囲されており、光ファイバ(10)は、互いにかつ好適には被覆材(20)とも融合して、長手方向軸線(16)を含む剛性の領域が形成されており、被覆材(20)の領域において、圧力および熱の作用により、光ファイバ導光体(1)の長手方向軸線(16)から曲げられ、かつ/または光ファイバ導光体(1)の横断面幾何学形状に関して変形されている。光ファイバ導光体(1)は、剛性の領域において先細りして形成されていてもよい。
【効果】横断面を先細りさせた後でもファイババンドル上にガラススリーブが残留し、強固な複合体として光ファイバ導光体の形状安定化に寄与する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に一定の直径d(11)を有するフレキシブルなファイババンドルとしてまとめられたもしくはまとめることができる複数の光ファイバ(10)を含む光ファイバ導光体(1)であって、前記光ファイバ導光体(1)の少なくとも一方の端部において、前記光ファイバ導光体(1)の長さの少なくとも部分領域において全周を被覆材(20)により包囲されており、これにより、長手方向軸線(16)を含む剛性の区間が形成されており、
前記光ファイバ(10)は、前記剛性の区間において互いにかつ好適には前記被覆材(20)とも融合しており、
前記光ファイバ導光体(1)は、前記被覆材(20)の領域において少なくとも1回、その前記長手方向軸線(16)から曲げられており、かつ/または前記光ファイバ導光体(1)の横断面幾何学形状は、前記被覆材(20)の領域において少なくとも1回変形されている、
光ファイバ導光体(1)。
【請求項2】
前記光ファイバ導光体(1)は、その本来の端面(15)において実質的に一定の直径d(11)を有する長さlのフレキシブルな領域と、該フレキシブルな領域に続く、前記導光体(1)の直径が直径d(11)から直径d(14)に減じられた少なくとも1つの長さlの先細り領域(12)とを有しており、
前記先細り領域(12)は、その長さの少なくとも部分領域において全周を前記被覆材(20)により包囲されており、ファイバ構造が、前記実質的に一定の直径を有する領域から前記先細り領域(12)内へ中断なしで続いており、
前記先細り領域(12)は、前記光ファイバ(10)が互いにかつ好適には前記被覆材(20)とも融合した、先細りした端面(13)を有している、
請求項1記載の光ファイバ導光体(1)。
【請求項3】
前記導光体(1)における前記端面の横断面または先細りした前記導光体(1)の前記先細りした端面(13)は、実質的に非円形、楕円形、D字形、腎臓形または多角形に成形されている、請求項1または2記載の光ファイバ導光体(1)。
【請求項4】
前記光ファイバ(10)は、ガラスから成るコア-クラッドファイバであり、前記被覆材(20)は、その熱膨張係数が、前記光ファイバ(10)のコアガラスの熱膨張係数と最大で50%だけ、好適には最大で30%だけ異なっているガラスから成る、請求項1から3までの少なくとも1項記載の光ファイバ導光体(1)。
【請求項5】
前記被覆材(20)は、有色ガラス、好適には黒色ガラスまたは茶色ガラスを含んでいる、
前記被覆材(20)は、着色可能なガラス、特に黒色または茶色に着色可能なガラスを含んでいる、
前記被覆材(20)は、吸光コーティングされたガラスを含んでいる、
のうちの少なくとも1つを特徴とする、請求項4記載の光ファイバ導光体(1)。
【請求項6】
前記光ファイバ(10)は、コアおよびクラッド用の無鉛ガラス系から成り、前記光ファイバ(10)は、少なくとも0.50の、好適には少なくとも0.60の、特に好適には少なくとも0.80の開口数NAを有している、請求項4記載の光ファイバ導光体(1)。
【請求項7】
前記光ファイバ(10)の直径が(30±4)μmの場合には、前記直径d(11)は0.5mm~3.0mmの範囲、好適には2.5mm~3.0mmの範囲であり、
前記光ファイバ(10)の直径が(50±4)μmまたは(70±4)μmの場合には、前記直径d(11)は0.5mm~8.0mmの範囲、好適には2.5mm~6.5mmの範囲である、
請求項1から6までの少なくとも1項記載の光ファイバ導光体(1)。
【請求項8】
前記被覆材(20)の厚さは、0.1mm~0.5mmの範囲、好適には0.15mm~0.25mmの範囲である、請求項1から7までの少なくとも1項記載の光ファイバ導光体(1)。
【請求項9】
前記被覆材(20)は、ガラススリーブとして形成されており、該ガラススリーブは、前記光ファイバ(10)を含む前記導光体(1)の前記フレキシブルな部分に面した側において形成されたカラーまたは内側に位置する円錐部を有している、請求項4から8までの少なくとも1項記載の光ファイバ導光体(1)。
【請求項10】
少なくとも、前記先細り領域(12)において先細りした前記端面(13)を備えた前記光ファイバ導光体(1)の成形されかつ/または先細りした前記端部と、前記実質的に一定の直径d(11)を有する前記領域に続く前記本来の端面(15)を備えた他方の端部とは、それぞれ金属またはプラスチックから成る端部スリーブに組み込まれており、前記光ファイバ導光体(1)と前記端部スリーブの内面との間には、プラスチックから成る層が少なくとも部分的に位置している、請求項1から9までの少なくとも1項記載の光ファイバ導光体(1)。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の光ファイバ導光体の、医療技術的または工業的な内視鏡器具における使用および/または光源と内視鏡器具または分析装置との間の導光体としての使用または容器と検出器ユニットとの間の導光体としての使用。
【請求項12】
実質的に一定の直径d(11)を有するフレキシブルなファイババンドルとしてまとめられたもしくはまとめることができる複数の光ファイバ(10)を有する光ファイバ導光体(1)を製造する方法であって、
ファイババンドルとしての前記光ファイバ(10)を、前記ファイババンドルの所定の部分長さを包囲する被覆管(21)内に挿入するステップと、
前記被覆管(21)内に存在する前記ファイババンドルおよび前記被覆管(21)を、該被覆管の少なくとも所定の部分長さにおいて、少なくとも前記光ファイバ(10)および前記被覆管(21)が軟化するまで加熱するステップと、
前記被覆管(21)を、前記光ファイバ(10)の前記ファイババンドルに向かってつぶすステップと、
前記被覆管(21)の領域において前記導光体(1)の長手方向軸線(16)から前記導光体(1)を成形しかつ/または前記導光体(1)の横断面幾何学形状を変形させるステップ
の、各方法ステップを含む、方法。
【請求項13】
前記被覆管(21)内に存在する前記ファイババンドルおよび前記被覆管(21)の加熱後に、追加的に、
前記被覆管(21)内に存在する前記ファイババンドルが前記被覆材(20)と共に、少なくとも1つの部分領域に直径d(14)を有しかつこれにより、ファイバ構造が中断されない先細り領域(12)が形成されるまで、加熱された前記領域を引き伸ばすステップと、
前記被覆管(21)および該被覆管(21)内に存在する前記ファイババンドルを、前記先細り領域(12)において前記直径dの箇所で切断するステップ
の、各方法ステップを有する、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記被覆管(21)は、非円形の、好適には楕円形のまたは実質的にD字形の横断面を有している、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
前記被覆管(21)を片側において閉じ、加熱された前記領域の成形または引伸ばしの前に、負圧を前記被覆管(21)および前記光ファイバ(10)に加え、これにより、該光ファイバ(10)を互いに、好適には前記被覆管(21)とも融合させる、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
加熱された前記領域を、前記被覆管(21)および該被覆管(21)内に存在する前記ファイババンドルの切断前に冷却する、請求項12から15までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項17】
前記端面または切断された前記先細り領域(12)を終端する前記先細りした端面(13)を研削しかつ/または研磨する、請求項12から16までの少なくとも1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に一定の直径dを有するフレキシブルなファイババンドルとしてまとめられたもしくはまとめることができる複数の光ファイバを含む光ファイバ導光体であって、光ファイバ導光体の少なくとも一方の端部において、光ファイバ導光体の長さの少なくとも部分領域が、全周を被覆材により包囲されており、そこで光ファイバは、互いにかつ好適には被覆材とも融合して、剛性の部分を形成している、光ファイバ導光体に関する。
【0002】
光ファイバ導光体の主要適用分野は、例えば特に医療用途または工業用途用の内視鏡用の導光体である。これらの導光体に必要なのは、導光体が、一方では第1の端部(近位端部)もしくはその端面でもって光源に結合され、かつ他方では第2の端部(遠位端部)でもって被検体に導入され、これにより、特にそこまで光を導くか、またはそこから光を受け取ろうとする点である。一般に、高い光出力を有する光源が所望される。導光体の入射面ひいては直径が大きいほど、より良好にまたはより簡単に導光体を光源に効率的に結合することができるが、導光体の直径が大きくなるほど、導光体を被検体中へ導入することは難しくなる。この理由から、いくつかの内視鏡の導光体は、複数の部分領域を有しており、例えば、ほぼ一定の、より大きな直径dを有する第1の部分領域を有しており、第1の部分領域には通常、追加的な導光体から製造された円錐形の先細り領域から成る別の部分領域が続いており、先細り領域では導光体の直径が、より小さな直径dに減じられている。この場合、先細り領域には、別の部分領域として、被検体または被検物中に導入可能な、より小さな直径dを有する別の導光体が接続され得る。
【0003】
このような内視鏡のいくつかの構成では、特にその遠位端部に、例えば画像送信または画像撮影用の別のコンポーネント、例えばカメラまたはカメラチップならびに光源が含まれていてもよい。ここでは光ファイバ照明により、特に画像撮影用に適切な照明が保証されねばならない。このことは、このような別のコンポーネントに設けられるまたはその周りに設けられる装置および/または導光体の適合された幾何学形状により達成され得る。
【0004】
先細り領域は、従来周知の製造形式では、別個のファイババンドルを円錐に変形加工することにより形成され、次いで一定の直径を有する導光体に、例えば融合させられることにより結合される。これにより、導光体と先細り領域との間に、導光体全体のファイバ構造が中断された境界面が生じることになり、作動状態では部分反射により、導光体を通じて案内されるもしくはガイドされる光が失われるため、導光体の全光線透過率が低下させられる。
【0005】
さらに、導光体は一般に、ばらばらのファイババンドルとして存在しており、このファイババンドルにおいて、各光ファイバはコア-クラッドファイバから成っている。コア-クラッドファイバは、コアの材料よりも低い屈折率を有する材料から成るクラッドによりファイバ軸線に沿って全周を包囲された導光コアから成るファイバである。コアとクラッドとの間の境界面における全反射により、ファイバコア内での導光が可能になる。別個の先細り領域を取り付けることにより、一定の直径を有する導光体領域のファイバコアが先細り領域のファイバコアに結合されるということを保証することはできない。むしろ、第1の部分領域と先細り領域との間の境界面には、ファイバクラッドに結合しかつ少なくとも部分的にコアに結合する複数のファイバから成る統計分布が生じる。しかしながら、ファイバクラッド内で光は案内され得ない、または著しく劣悪にしか案内され得ないため、このことも導光体の全光線透過率の低下をもたらす。
【0006】
独国特許発明第10013482号明細書に記載の、ホルダに挿入される前にガラススリーブ内で適当な温度でつぶされる光ファイバの束を含む光ファイバ導光体を製造する方法では、ファイバをつぶしてからファイバをホルダに挿入する前に、ファイバの束からガラススリーブを取り外し、このときさらに、つぶす前に、ファイバの束とガラススリーブとの間に中間層を挿入して、つぶした後のファイバの束からのガラススリーブの改善された取外しを可能にする。この場合、この方法は、中間層として、融点がファイバの軟化温度およびガラススリーブの軟化温度を上回る、粉末状、微粒子状またはペースト状の分離媒体の層を挿入し、中間層を挿入する前に、ガラススリーブの内面を少なくとも部分的に粗面化することを想定している。
【0007】
独国特許発明第19703515号明細書に記載の、ファイババンドルから成る光ファイバ導光体は、その少なくとも一方の端部において、所定のホルダに挿入可能であり、光学的に有効な加工を施される。この場合、所定のホルダに挿入可能な端部は、ガラススリーブに挿入される前につぶされており、ガラススリーブは、端部が所定のソケットに挿入される前には取り外されていることが想定されている。
【0008】
どちらの場合にも、ガラススリーブは一時的に被着され、特に端部を部分的に手間のかかる方法により加工した後でフェルールもしくはホルダまたはスリーブに組み込む前に取り外される。
【0009】
本出願人は、特に横断面を先細りさせた後でもファイババンドル上にガラススリーブが残留し、強固な複合体として光ファイバ導光体の形状安定化に寄与する、つまり、導光体が被覆材の領域において剛性に形成されている導光体およびその製造方法を開発した。これにより、引き続く処理において、特にガラススリーブを取り外す場合でも、例えば光ファイバの外縁層の損傷等の損傷が排除され得る。
【0010】
このアプローチにより、特に先細りした端面もしくは先細り部を備えた端部区間において、特に円形の横断面が形成され得る。
【0011】
例えば特別な内視鏡における比較的新しい要求に関して、内視鏡の遠位端部に供与される構成空間を考慮した本発明の課題は、円形の端面以外に非円形の端面も有する導光体、もしくは導光体の純粋に円錐形の、実質的に一様な先細り部、すなわち例えば実質的に不変の横断面幾何学形状とは異なる幾何学形状を実現し、これにより剛性の成形領域の他に、剛性の領域に中断することなく連続的に続く固有のフレキシブルな領域を含む導光体を提供することにある。
【0012】
発明の開示
本発明の課題は、請求項1記載の特徴を有する光ファイバ導光体により解決される。
【0013】
光ファイバ導光体であって、その本来の端面に、実質的に一定の直径dを有する長さlのフレキシブルな領域を有しており、被覆材を備えた別の領域を有しており、被覆材の領域において、そこで後に剛性になる光ファイバ導光体は、例えば圧力および熱の作用により、その長手方向軸線から、つまり例えば被覆材を備えた領域の少なくとも1つの部分領域において少なくとも1回曲げられることにより、曲げられているか、歪められているか、または折り曲げられており、かつ/またはこの剛性の領域において、その横断面もしくはその横断面幾何学形状に関して変形されている、光ファイバ導光体を提供する。これにより、特に供与される構成空間が一般に制限された内視鏡内に取り付けることができる、もしくは内視鏡内の別のコンポーネントとの衝突を回避することができる、3D成形された光ファイバ導光体が実現可能である。つまり換言すると、端面が光源に接続された、もしくは接続可能な、または対応配置可能なフレキシブルな領域を有する光ファイバ導光体が存在する。導光体はその、被覆材により包囲された、したがって剛性の領域に、その本来の長手方向軸線からのもしくはこの長手方向軸線の方向からの、少なくとも1つの曲げ部または折曲げ部を有している。つまり、光ファイバ導光体は、成形されており、特に少なくとも剛性の領域において一回折り曲げられているかもしくは曲げられており、かつ/または光ファイバ導光体は、この剛性の領域に、横断面幾何学形状が変更されたもしくは変形された少なくとも1つの領域を有している。つまり、光ファイバ導光体の横断面幾何学形状は、例えば最初は元々円形の形状から非円形の形状に、例えば楕円形または多角形の形状に移行させられているかもしくは変形されている。したがって、光ファイバ導光体の、曲げられかつ/またはその横断面幾何学形状が変形された剛性の領域は、通常、導光体の近位端部とは反対の側の、作動状態で近位端部に入射した光を出射して供給する遠位端部を形成している。つまり、長手方向軸線からの成形とは、特に曲げまたは折り曲げを意味し、横断面幾何学形状の変形とは、その幾何学形状の変更もしくは横断面形状の変化を意味する。この場合、長手方向軸線もしくは本来の長手方向軸線は、被覆材により包囲された、したがって剛性の領域により、この領域が少なくとも1回曲げられる、または折り曲げられる前に設定されるもしくは設定可能な軸線と見なされる。
【0014】
1つの態様は、本来の端面における、実質的に一定の直径dを有する長さlのフレキシブルな領域と、これに続いて導光体の直径が直径dから直径dに減少する、長さlの少なくとも1つの先細り領域とを有する光ファイバ導光体を想定している。この場合、先細り領域は、少なくともその長さの部分領域において全周を被覆材により包囲されており、ファイバ構造は、実質的に一定の直径を有する領域から先細り領域へ中断なしで続いており、この場合、先細り領域は、光ファイバが互いにかつ好適には被覆材とも融合している先細りした端面を有している。この場合、長さlは、本来の先細り部に続いて最初は、つまり特に別の成形部、曲げ部または折曲げ部の手前では一定の横断面もしくは直径dと横断面幾何学形状とで延びる領域を含んでいてもよい。また、被覆材の領域において、光ファイバ導光体は、圧力および熱の作用により、その長手方向軸線から曲げられていてもよく、かつ/またはその横断面幾何学形状に関して、特に長さlの領域でも変形されていてもよい。換言すると、フレキシブルな領域を有しており、その端面(近位端部)において光源に接続されているかもしくは接続可能または対応配置可能であり、被覆材により包囲された、したがって剛性の領域に、元の直径dが直径dに向かって先細りした、長さlの先細り領域を有しており、かつ本来の長手方向軸線からのもしくはこの長手方向軸線の方向からの少なくとも1つの曲げ部または折曲げ部を有している、光ファイバ導光体が存在する。つまり、光ファイバ導光体は、少なくとも剛性の領域において一回成形されているか、折り曲げられているか、もしくは曲げられており、かつ/または光ファイバ導光体は、この剛性の領域に、横断面幾何学形状が変形されて変更された少なくとも1つの領域を有している。つまり、光ファイバ導光体の横断面幾何学形状は、例えば最初は元々円形の形状から非円形の形状に、例えば楕円形または多角形の形状に移行させられている。したがって、光ファイバ導光体の、曲げられかつ/またはその横断面幾何学形状が変形された剛性の先細り領域は、通常、導光体の近位端部とは反対の側の、作動状態で近位端部に入射した光を出射して供給する遠位端部を形成している。この場合、長手方向軸線もしくは本来の長手方向軸線は、被覆材により包囲された、したがって剛性の領域により、この領域が少なくとも1回曲げられる、または折り曲げられる前に設定されるもしくは設定可能な軸線と見なされる。
【0015】
これにより一方では、光を近距離場に、つまり導光体の光出射面と対象物(例えば組織表面)との間の短い距離に集中させることができる。他方では、光ファイバ構成部品の場合、受光角ひいては生じ得る放射角が、このような構成部品の先細り部において(もしくはテーパ部において)大きくなる。この作用は、直径dとdとの差が大きいほど、強くなる。ここで重要なのは、伝送されるまたは伝送可能な最大光線を特徴付ける、いわゆる「エテンデュ」もしくは導光値の保持である。この保持量は、光を透過させる光学系の幾何学形状の能力を表す。保持量の値は、光学系の開口サイズおよび透過させる立体角との積から得られる。光ファイバ導光体の場合は特に、光がまだ導光体内をガイドされ得る開口数もしくは受光角が、可能な立体角を決定する。
【0016】
この事実は、以下の関係式、すなわち:
NA×D=NA×D (1)
および
NA=sin(α) (2a)
NA=sin(α) (2b)
により簡単に表すことができ、式中、Dは本来のファイバ直径であり、Dは先細りしたファイバ直径であり、NAは元のファイバの開口数であり、NAは先細りしたファイバの開口数であり、この場合、αもしくはαは、開口数NAもしくはNAに対する受光角である。このようにして、受光角の広がりひいてはより広い照射を達成することができる。このことは、特に広角カメラモジュールが内視鏡内に組み込まれている場合に、利点を有している。つまり例えば、導光体の直径の、直径dから直径dへの、例えば4mm(d)から約3.4mm(d)への先細り部に相応してファイバ直径が例えばD=70μmから約D=60μmに減少させられたことにより0.68のNA(2倍の約85°の受光角に相当)を有する光ファイバにより、NAを約0.79に増大させることができ、これは、1/2の42.5°の受光角の、約52.2°への拡大もしくは受光量が倍増した104.4°への拡大に相当する。これにより、例えばカメラの視角に導光体の放射率を適合させることができる。
【0017】
ここで指摘しておくと、先細り部、すなわち光ファイバの直径に関するD/Dの比もしくはファイババンドルに関するd/dの比は、上述した光線の広がりの効果を得るために、任意の大きさであってはならない。つまり、出口側NAが例えば0.57であり、これは2倍の約70°の受光角に相当する光ファイバの場合には、1.75を若干上回るD/Dもしくはd/dの比しか達成され得ない。より高い出口側NA、例えば、2倍の約85°の受光角に相当するNA=0.68を有する別の光ファイバの場合には、1.47の最大先細り比が達成され得る。さらに留意せねばならないのは、光ファイバを先細りさせると、光ファイバのクラッドの厚さも相応して減少することになり、これにより、最大伝送光波長(例えば最大1μm)の1~2倍の範囲の壁厚さでは、量子力学的な作用に基づき、コアからクラッドへの移行領域での全反射が失われ、導光体は光を制御せずに側方に放射し、ひいてはその導光特性を失うことになる点である。したがって有意な先細り比は、光ファイバのNAに応じて最大1.5~最大1.7の範囲内にある。
【0018】
1つの好適な実施形態では、導光体における端面の横断面または先細りした導光体の先細りした端面は、実質的に非円形に、つまり例えば楕円形、D字形または腎臓形に、または多角形にも成形もしくは変形されている、ということが想定されていてもよい。これにより例えば、通常は正方形のカメラチップの周囲に配置される光出射面を、特に遠位端部において実現することができ、これにより、内視鏡の遠位端部における均一な照射が保証される。よって、遠位端面をそれ自体円形の形状から的確に変形させることにより、内視鏡の遠位端部に供与された直径全体を最適に利用することができる。このことはさらに、例えば侵襲を最小限に抑えた器具を内部に導入または配置して利用するために、内視鏡内にまたは内視鏡に接してさらに作業通路が設けられている場合に当てはまる。
【0019】
いくつかの実施形態では、プラスチック光ファイバ(POF)または石英を基礎とした導光体も使用され得る。特に有利なのは、光ファイバが、ガラス、特に多成分ガラスから成るコア-クラッドファイバであり、被覆材が、ガラスから成りかつガラススリーブの形態で構成されており、被覆材の熱膨張係数が、光ファイバのコアガラスの熱膨張係数と最大で50%だけ、好適には最大で30%だけ異なっている場合である。このアプローチは、極めて良好な光学特性と同時に、プラスチックファイバまたは石英ファイバに対する処理およびその後の取扱いにおける利点をもたらす。
【0020】
作動状態において、すなわち導光体内への光の入射時に、この導光体から、特にその側方に向かって、つまり導光体の側方から出射し得る散乱光の低減に関して、別の実施形態では、被覆材が、有色ガラスもしくは着色ガラス、特に茶色または黒色のガラスを含んでいるか、またはこれらから成っておりかつ/または吸光コーティングを備えたガラスを含んでいるか、またはこれから成っていると有利である、ということが判った。このような着色ガラスは、適切な有色ガラス、特に茶色ガラスまたは黒色ガラスにより入手可能である。択一的に、それ自体は無色のガラスを、例えば硝酸銀溶液を用いる熱支援されていてもよいいわゆる酸洗いプロセスにより、少なくともこのようにして処理された表面において着色することができる。したがって、このようなガラスは後から着色可能である。択一的または追加的に、被覆材は、吸光コーティングを含んでいてもよいか、または吸光コーティングされたガラスを含んでいてもよいか、またはこれから成っていてもよい。つまり光ファイバ導光体の被覆材は、有色ガラス、好適には黒色ガラスまたは茶色ガラスを含む、またはこれらから成りかつ/または着色可能なガラス、特に黒色または茶色に着色可能なガラスを含む、またはこれらから成り、かつ/または被覆材は、吸光コーティングされたガラスを含む、またはこれから成る。ここで述べておくと、プラスチック光ファイバ(POF)に関連して、被覆材は、好適には、着色されていようと有色コーティングされていようと、吸光性のプラスチックスリーブを含むか、またはこれから成っている。つまりこのようにして、例えば本発明による導光体を備えた内視鏡の作動状態において、この導光体に入射して特に導光体から側方に出射する光の散乱光を低減するかもしくは最小にし、場合により完全に防ぐことができる。この場合、このような吸光性の材料は、場合により、光スペクトルの可視波長範囲内(VIS)にも、赤外線波長範囲(IR)および/または紫外線波長範囲(UV)にも位置し得る、適用しようとする光に適合させることができる。このようにして例えば、内視鏡内に取り付けられたカメラ上もしくはカメラ内への散乱光のクロストークを防止する、または少なくとも低減し、これにより、被検物の表示を改善することができる。
【0021】
特に好適なのは、コアおよびクラッド用の無鉛ガラス系から成る光ファイバである。このようなファイバは、医療技術の分野で使用されることが極めて多く、とりわけ、本出願人の米国特許第11034612号明細書から公知である。特にガラスファイバのコアガラスと光学的なクラッドとの組合せにより影響され得るファイバの態様に応じて、光ファイバは、少なくとも0.50の、典型的には0.57の範囲の、好適には少なくとも0.60の、典型的には0.64から0.68の範囲の、特に好適には少なくとも0.80の、典型的には0.86の開口数NAを有しており、この場合、より高いNAは基本的に、伝送可能なより高い光束にとって有利である。さらに、特に内視鏡用途の場合には、導光体の遠位端部において改良された照射が達成され得る。
【0022】
このような光ファイバ導光体の場合には、例えば、個々の光ファイバの直径に応じて、以下の幾何学形状を成すことができる。例えば光ファイバの直径が(30±4)μmの場合には、0.5mm~3.0mmの範囲、好適には2.5mm~3.0mmの範囲の典型的な直径dのファイババンドルが得られる。直径が(50±4)μmまたは(70±4)μmの、より太い光ファイバの場合、直径dは、典型的には0.5mm~8.0mmの範囲、好適には2.5mm~6.5mmの範囲であってもよい。これらは、典型的なファイバの例である。基本的に、これらとは異なる、より大きなまたはより小さな直径を有するファイバも加工して使用することができ、この場合、好適なファイババンドル直径は、どちらかといえばより大きなもしくはより小さな領域にシフトする。
【0023】
被覆材の厚さは、加工状態もしくは処理状態において、つまり被覆材により包囲された、場合により先細りした導光体の領域において、0.1mm~0.5mmの範囲、好適には0.15mm~0.25mmの範囲である。典型的な値は約0.2mmであり、この場合、より細いファイババンドルにおいて、厚さは、より大きなファイババンドルの場合よりもやや厚くなる傾向がある。
【0024】
特に有利なのは、被覆材として形成されたガラススリーブが、光ファイバを含む導光体のフレキシブルな部分に面した側に、カラーまたは内側に位置する円錐部を有している場合であり、これにより、光ファイバもしくはそのバンドル用の挿入補助手段が提供される。この好適な構成は、光ファイバをガラススリーブ内に小さな手間で密に詰め込んで組み込む、つまり挿入することができる、という利点を有している。この挿入補助手段は、それ自体が10分の数ミリメートルだけ形成されていれば十分である。
【0025】
1つの別の好適な構成では、少なくとも、先細り領域において先細りした端面を備えた光ファイバ導光体の成形されかつ/または先細りした端部と、実質的に一定の直径dを有する領域に続く本来の端面を備えた他方の端部とが、それぞれ金属またはプラスチックから成る端部スリーブに組み込まれており、光ファイバ導光体と端部スリーブの内面との間には、プラスチックから成る層が少なくとも部分的に位置している、ということが想定されていてもよい。このプラスチックは一般に、注型コンパウンドまたは接着剤として形成されている。各端部スリーブは、導光体の端部のための機械的な保護機能の他に、光源および/または器具に接続するための機械的なインタフェースを成しており、例えばねじ山、バヨネット接続手段または差込み接続手段もしくは係止接続手段を有していてもよい。
【0026】
上述したような光ファイバ導光体の好適な使用は、医療技術的または工業的な内視鏡器具における使用および/または光源と内視鏡器具または分析装置との間の導光体としての使用または容器と検出器ユニットとの間の導光体としての使用を想定している。特に、ハロゲン、LEDおよび/またはレーザを基礎とした照明手段を含んでいてもよい光源に関連して、本出願人のガラスファイバの特に良好な光学的な伝送特性に基づき、色ずれ、つまり粗悪な色伝送が少ない極めて高い光度が達成され得る。このことは、例えば、色温度の差として示されてもよい。さらに、特に内視鏡の場合のように直列接続された複数の導光コンポーネントを備えた照明システムの場合には、再使用可能/再処理可能であろうと、使い捨ての内視鏡として設計されていようと、全体的な光伝送効率において利点が得られる。別の適用分野は、医療技術における歯科医療環境、外科環境または皮膚科環境、特にロボット支援式の医学検査法または「ロボット手術」とも呼ばれる手術法の分野にも存在し得る。この場合、光ファイバ導光体の全長は、典型的には最大6mであってもよく、多くの場合は10m以上であってもよい。この場合に有利なのは、特にこのような使用長さにおいて小さな色ずれを有する、上述したガラスファイバを基礎とした導光体である。
【0027】
本発明の対象は、請求項12記載の方法でもある。
【0028】
この方法に関する課題は、実質的に一定の直径dを有するフレキシブルなファイババンドルとしてまとめられた複数の光ファイバを有する光ファイバ導光体を製造するために、以下の方法ステップ、すなわち:
・ファイババンドルとしての光ファイバを、ファイババンドルの所定の部分長さを包囲する被覆管内に挿入するステップと、
・被覆管内に存在するファイババンドルおよび被覆管を、被覆管の少なくとも所定の部分長さにおいて、少なくとも光ファイバおよび被覆管が軟化するまで加熱するステップと、
・被覆管を、光ファイバのファイババンドルに向かってつぶし、このとき、プレスおよび/または例えば負圧により支援されてつぶすことができ、これにより、剛性の領域が形成されるステップと、
・剛性の領域において導光体の長手方向軸線からもしく本来の長手方向軸線の方向から導光体を成形しかつ/または導光体の横断面もしくは導光体の横断面幾何学形状を変形させるステップ
が含まれていることにより解決される。
【0029】
これらの方法ステップにより、導光体の軸線方向の成形に関しても、導光体の軸線に沿った横断面幾何学形状の変更に関しても、様々な幾何学形状が実現され得、この場合、ここでは横断面は一定である。
【0030】
換言すると、このようにして、実質的に一定の直径dを有するフレキシブルなファイババンドルとしてまとめられたもしくはまとめることができる複数の光ファイバを含む光ファイバ導光体であって、光ファイバ導光体の少なくとも一方の端部において、光ファイバ導光体の長さの少なくとも部分領域において全周を被覆材により包囲されており、これにより、長手方向軸線(16)を含む剛性の区間が形成されている、光ファイバ導光体が得られる。この場合、光ファイバは、剛性の区間において互いにかつ好適には被覆材とも融合しており、光ファイバ導光体は、被覆材の領域において少なくとも1回、その長手方向軸線から曲げられており、かつ/または光ファイバ導光体の横断面幾何学形状は、被覆材の領域において少なくとも1回変形されている。
【0031】
追加的な横断面変更に関して、同様に好適な方法の態様は、被覆管内に存在するファイババンドルおよび被覆管の加熱後に、追加的に以下の方法ステップ、すなわち:
・被覆管内に存在するファイババンドルが、特に被覆材(20)と共に、少なくとも1つの部分領域に直径dを有しかつこれにより、ファイバ構造が中断されない先細り領域が形成されるまで、加熱された領域を引き伸ばすステップと、
・被覆管および被覆管内に存在するファイババンドルを、先細り領域において直径d2の箇所で切断するステップと
が実施されることを想定している。
【0032】
これに基づき、被覆材により包囲された、したがって剛性の領域を備え、直径dを有する領域と、dから直径dへの先細り領域とを有する少なくとも1つの導光体が生じ、この場合、先細り領域もしくは先細りした領域は、長さlを有している。
【0033】
このことに、少なくとも1つの曲げ部および/または少なくとも1つの変形部もしくは横断面幾何学形状の変更に関して上述した成形プロセスが続く。これにより、その端部において成形されており、その横断面が端部に向かって縮小された導光体も実現され得る。この場合、成形は、別の好適な実施形態では長さlを有する領域で行われる。つまり、光ファイバ導光体であって、その本来の端面において実質的に一定の直径dを有する長さlのフレキシブルな領域と、このフレキシブルな領域に続く、導光体の直径が直径dから直径dに減じられた少なくとも1つの長さlの剛性の先細り領域とを有している、光ファイバ導光体が存在する。この場合、先細り領域は、その長さの少なくとも部分領域において全周を被覆材により包囲されており、ファイバ構造は、実質的に一定の直径を有する領域から先細り領域内へ中断なしで続いており、この場合、先細り領域は、光ファイバが互いにかつ好適には被覆材とも融合した、先細りした端面を有しており、この場合、光ファイバ導光体は、被覆材の領域において少なくとも一回、その長手方向軸線から曲げられており、かつ/または光ファイバ導光体の横断面幾何学形状は、被覆材の領域において少なくとも一回、変形されている。
【0034】
別の実施形態では、上述した方法ステップにおいて、使用される被覆管が既に非円形の、特にD字形の横断面を有しており、これにより、既にそれ自体が非円形の管として存在しているか、または管は、例えば先行プロセスにおいて、それ自体円形の横断面からその断面が全長にわたり非円形に、例えば楕円形または実質的にD字形に成形された、ということが想定されていてもよい。このように成形もしくは変形された被覆管は、導光体の引張り、プレス、先細り、曲げまたは変形において、光ファイバの比較的小さな変形度を達成することができる、という利点を有しており、このことは、光損失の低減に関して有利である。さらに、大幅に密な融合に関して、圧縮における利点が生じる。端部においてのみ成形された区間を有する円形の被覆ガラスに比べ、全長にわたり予め成形された被覆管もしくはこの被覆管を基礎とした導光体は、内視鏡内の不十分にしか供与されないことが多い構成空間内に、より有利に取り付けることができるという、別の利点が生じる。
【0035】
1つの別の方法の態様では追加的に、被覆管を片側において閉じ、加熱された領域の成形または引伸ばしの前に、負圧を被覆管および光ファイバに加え、これにより、光ファイバを互いに、好適には被覆管とも融合させる、ということが想定されていてもよい。このことは、光ファイバの追加的な圧縮に役立ち、これにより光ファイバは、ほぼ理想的に当接し合うことになり、空気中間スペース、いわゆるまちが十分に回避され、このことは、特に例えば医療用内視鏡における体液の侵入または例えば処理時の洗浄液の侵入を防ぐ。
【0036】
この場合、加熱された領域が、被覆管および被覆管内に存在するファイババンドルの切断前に冷却されると、導光体は、例えばその端面において、または切断された先細り領域を終端する先細りした端面において研削されかつ/または研磨され得る。これにより、ファイバ端面の高価値の光学品質を達成することができる。
【0037】
以下に、本発明を図示の実施例に基づき、より詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】先細りした光ファイバ導光体を概略的に示す図である。
図2】導光体の先細りした端面の顕微鏡写真を示す図である。
図3図3a~図3iは、導光体の3D成形領域の例を概略的に示す図である。
図4図4a~図4fは、導光体の先細りした円形の端面を備えた導光体の製造プロセスを、順に概略的に示す図である。
図5】光ファイバ導光体の剛性の端部における変形プロセスを概略的に示す図である。
【0039】
図1には、光ファイバ導光体1の縦断面が概略的に示されている。光ファイバ導光体1は、複数の光ファイバ10から成り、光ファイバ10は、ファイバ構造が中断することなく長手方向軸線16に沿って、実質的に一定の直径d11および長さlを有する領域から、長さlを有しかつ光ファイバ導光体1の直径がd11から直径d14に減少する先細り領域12へと続いている。先細り領域12は、先細りした端面13で終わっており、実質的に一定の直径d11を有する領域は、本来の端面15で終わっている。
【0040】
先細り領域12は、その外周面に沿って完全に、被覆材20により包囲されている。図示の実施形態に相応して、被覆材20は、先細り領域12を越えて実質的に一定の直径d11を有する領域内へも延びている。既に説明したように、被覆材20は、好適には光ファイバ10の材料の熱膨張係数に適合した熱膨張係数を有している。同様に既に説明したように、光ファイバ10はばらばらであってもよく、このことは、本来の端面15における光ファイバの入力マトリックス内の個々の光ファイバの相対位置が、先細りした端面13における出力マトリックス内の光ファイバの相対位置と一致しないことを意味する。このばらばらの配置は、内視鏡内でのような照明用途では意図的な場合さえあり、的確にばらばらにして使用することができる。なぜならば、個々の光ファイバ10をばらばらにすることにより、光出射面として形成された先細りした端面13において、特に均一な輝度分布が達成され得るからである。光が本来の端面15に入射し、先細り領域12の先細りした端面13において出射すると、光ファイバ導光体1は横断面の変化により、いわば光濃縮器として働く。もちろん、光を先細りした端面13において入射させ、本来の端面15において出射させることも同様に可能である。この場合、図1図3a~図3i、図4aおよび図5aからも看取可能であるように、長手方向軸線16は、被覆材20により包囲されたひいては剛性の領域を通って設定されるもしくは設定可能な軸線と見なされる。長手方向軸線16に続いてフレキシブルな領域が簡略的に示されている。
【0041】
同様に本発明では、本発明による光ファイバ導光体1用に光ファイバ10を、本来の端面15の入力マトリックス内の個々の光ファイバ10の相対位置が、先細りした端面13の出力マトリックス内の光ファイバ10の相対位置に対応するように配置することも可能である。この場合は、整合させられたファイババンドルと言う。これらのファイババンドルは、画像情報を伝送することができる。より大きな本来の端面15に画像情報が入力結合されると、より小さな先細りした端面13において縮小された画像を受信することができる。反対の入力結合方向では、画像の拡大が達成される。
【0042】
同様に既に説明したように、導光体10は、剛性またはフレキシブルであってもよい。一部の領域が剛性でありかつ一部の領域はフレキシブルであるハイブリッド構成も可能である。光ファイバ導光体1の、被覆材20により包囲された領域は、通常剛性であり、この場合、被覆材20の領域には、光ファイバ10のフレキシブルな領域が、融合させられた剛性の領域に移行する移行領域19が形成されている。
【0043】
図2には、本発明による光ファイバ導光体1の先細り領域12の端部において先細りした端面13の写真が示されている。看取されるように、光ファイバ10は、それらの共通の外周面において被覆材20により環状に包囲されており、このようにして被覆材20は、光ファイバ10の形状安定化に寄与している。ここでは、光ファイバ10は互いに融合している。このことは、負圧を加えながら先細り領域12を引き伸ばすことにより達成された。負圧により、光ファイバは互いに押し付けられ、実質的に多角形の、特に実質的に六角形の明確な形状をとる。融合した光ファイバ10の間には、好適には最早中間スペースが存在しないため、媒体が端面13に侵入する恐れは最早ない。このことは特に、本発明による導光体1の医療用途において利点を有している。それというのも、このようにして導光体1がより良好にオートクレーブ処理可能になるからである。
【0044】
導光体1の他方の端部もしくは被覆材により包囲されずに形成されたまたは形成される導光体1の部分では、通常、光ファイバ10は必ずしも互いに溶融しておらず、それゆえフレキシブルなファイババンドルと見なされる、ということが想定されている。光ファイバ10は依然として円形の断面を有しており、これらの間には中間スペースが存在している。
【0045】
一般に導光体1は、その端部において相応する端部スリーブ内に嵌め込まれてもしくは組み込まれており、これにより導光体1を、例えば別の導光体および/または光源および/または測定機器もしくは内視鏡器具等のような別の対象物に接続するか、または接続可能にする。金属、例えば特殊鋼またはプラスチック、例えばPPS、PPSU、PCから成っていてもよいこれらの端部スリーブは、内部において、例えば導光体の先細り領域を収容するように加工成形されている。固定には通常、注型コンパウンド、例えば1成分または2成分接着剤が用いられる。
【0046】
別の実施形態では、有利には、導光体1の少なくともフレキシブルな部分もしくはその内部に位置する光ファイバ10は、ポリマーまたは金属またはこれらの組合せから成る、例えばスパイラルホースとしてのフレキシブルな被覆体、例えばホース、織布または網により包囲される、ということが想定されている。このようなフレキシブルな被覆体は、端部スリーブおよび/または導光体1の、被覆材20により包囲された剛性の部分にも続いていてもよく、かつ/またはこれらをそれぞれ少なくとも部分的に包囲していてもよい。このフレキシブルな被覆体は、いわゆる収縮ホース材料を含んでいてもよい、または収縮ホース材料から成っていてもよく、かつ/または少なくとも部分的に重なり合うこともできる複数の異なる材料から複数の部分で形成されてもよい。
【0047】
本発明ではさらに、光ファイバ導光体が、その端部において先細りさせられるのではなく、ガラススリーブとして形成された被覆材20が、導光体1の一方の端部の引き続く成形のために光ファイバ10を包囲しており、製造プロセス中に光ファイバ10の束をつぶして光ファイバ10を圧縮し、これにより光ファイバ10はそれぞれ、図2に示すように実質的に密な六角形の充填物を有することになる、ということが想定されていてもよい。その後、プレス工具150を用いた別の成形ステップ(図5参照)により、導光体1の、円筒形状とは異なる輪郭(横断面幾何学形状の変形)および/または導光体1の、これまでは円筒状の部分の、導光体1の本来の長手方向軸線16からの的確な曲げが達成され得る。
【0048】
ここで述べておくと、この成形プロセスは、予め円錐形に先細りさせられた導光体1にも適用され得、これにより、先細りしていると同時に変形させられた光ファイバ導光体1が得られる。
【0049】
図3a~図3iには、このように製造された導光体1に相応する実施形態が示されている。図示された各光ファイバ導光体1は、複数の光ファイバ10から成る1つのバンドルから成り、光ファイバ10の一方の端部において、導光体1は成形領域18を有しており、この場合、導光体1はこの端部に、被覆管として形成された被覆材20により全周を包囲されておりかつ光ファイバ10が、被覆材20の領域において互いにかつ好適には被覆材20にも融合して、剛性の部分を形成している領域を有している。この場合、光ファイバ10が、ファイババンドルがフレキシブルもしくは可撓性である非融合領域から、導光体1の端部に通じる融合した、すなわち剛性の領域に移行する移行領域19が形成されている。この移行領域19も、成形領域18も、被覆材20により完全に包囲されており、このことは、移行領域19の十分な機械的安定化をもたらす。図5a~図5eにおいて説明するような変形プロセスにより、本発明では例えば圧力および温度に影響を及ぼすことで、導光体1を、その長手方向軸線16から曲げることができかつ/またはその横断面幾何学形状に関して変形させることができる。
【0050】
図3a~図3cに示す例では、横断面が導光体1の長手方向軸線16に沿って一定の導光体1が、端部において変形されており、ここでは円形とは異なる成形もしくは変形端面17を有している。例示的に図3aには、楕円形の幾何学形状を備えた、または扁平に圧縮された成形もしくは変形端面17が示されている。図3bには、実質的にD字形の幾何学形状を備えた成形もしくは変形端面17が示されており、図3cには、腎臓形の幾何学形状を備えた成形もしくは変形端面が示されている。さらに、実質的に多角形、特に正方形、長方形、台形ならびに三角形の幾何学形状が考えられる。基本的に、任意の幾何学形状が形成され得るが、ただしこの場合、導光体1の光ファイバ10の材料に応じて、成形プロセスにおける温度に依存した材料の粘度特性に基づき、鋭利に形成される縁部もしくは角隅部または例えば尖って延びる幾何学形状の形成に関する限界が存在する。したがって、形成される幾何学形状は、このような領域に常に軽度の丸みを有しており、このようにして実質的に、達成しようとする要求されたまたは所望の幾何学形状に対応する。
【0051】
さらに、横断面が導光体1の本来の長手方向軸線16に沿って一定の導光体1は、この長手方向軸線16から成形されている、ということが想定されていてもよい。換言すると、これにより導光体1は、少なくとも1回曲げられてまたは折り曲げられて形成されている。図3dには、導光体が端部において折り曲げられた、すなわち曲げられた例が示されている。図3eには、導光体が2つの曲げ領域を有している例が示されている。
【0052】
図3fに例示的に示す導光体1は、一方ではその長手方向軸線16に関して2つの曲げ部を有しておりかつ他方ではその端部に、ここでは楕円形の幾何学形状を示す成形された端面17を追加的に有している。
【0053】
図3gおよび図3hには、先細り領域12内で導光体の横断面が追加的にその成形端部に向かって先細りしている、成形された導光体1の例が示されている。長手方向軸線16からの2つの曲げ部の他に、図3gに示す導光体1はさらに、楕円形に成形もしくは変形された端面17を有している。これに対して図3hに示す導光体は、まだ円形の横断面を備えた先細りした端面13を有しているだけに過ぎない。
【0054】
図3iに例示的に示す2つの導光体1は、それぞれ図3gに示した導光体1と同様に成形されている、すなわち、曲げ部と成形された端面17との組合せを有している。この場合、2つの導光体1の配置は、各導光体の間に、例えば内視鏡器具内に取り付けられた場合には、作業通路および/またはカメラチップまたは光ファイバイメージガイドに通じる電気供給線路が、本発明による導光体の成形された端面17の間に配置されていてもよい(図3iには図示せず)ように選択されている。各導光体1の各端部における図示の構成により、被検物、例えば組織表面を、影なしで照明することができる、ということが達成され得る。
【0055】
図3a~図3iに示した実施形態は、単に例を示しているだけに過ぎないということを指摘しておく。導光体1の横断面変化と成形との任意の組合せが達成され得る。例えば、導光体1のそれ自体円形の横断面は、図5a~図5eに概略的に示す変形方法の場合のように、1つの特定の領域においてのみ、例えば扁平に圧縮されてもよい。
【0056】
上述したように、実質的に一定の直径d11を有するフレキシブルなファイババンドルとしてまとめられた複数の光ファイバ10を有する光ファイバ導光体1を製造する方法は、以下の主要方法ステップ、すなわち:
・ファイババンドルとしての光ファイバ10を、ファイババンドルの所定の部分長さを包囲する被覆管21内に挿入するステップと、
・被覆管21内に存在するファイババンドルおよび被覆管21を、被覆管の少なくとも所定の部分長さにおいて、少なくとも光ファイバ10および被覆管21が軟化するまで加熱するステップと、
・例えば負圧によりかつ/または所定の力を作用させることにより、被覆管21を、光ファイバ10のファイババンドルに向かってつぶし、これにより、被覆管21および光ファイバ10が、被覆管21と自体とに少なくとも部分的に融合しておりかつ被覆管21が被覆材20を形成している剛性の領域が形成されるステップと、
・被覆管21の領域において導光体1の長手方向軸線16から導光体1を成形するもしくは曲げるステップおよび/または導光体1の横断面幾何形状に関して変形させるステップと
を含む。
【0057】
このことは、導光体1の長手方向軸線16に沿った横断面が一定に保たれている場合に当てはまり、図4aおよび図4bに概略的に示されており、次いでこれに、図5a~図5eにやはり概略的に示す変形プロセスステップが続く。
【0058】
追加的に、横断面が端部13に向かって縮小する先細り部を設けようとする場合には、被覆管21内に存在するファイババンドルおよび被覆管21の加熱後に、追加的に成形プロセスの前に、以下の方法ステップ、すなわち:
・被覆管21内に存在するファイババンドルもしくはこのように被覆材20により包囲されたファイババンドルが、要するに被覆材20と共に、少なくとも1つの部分領域に直径d14を有しかつこれにより、ファイバ構造が中断されない先細り領域12が形成されるまで、加熱された領域を引き伸ばすステップと、
・被覆管21および被覆管21内に存在するファイババンドルを、先細り領域12において直径dの箇所で切断するステップと
を実施する。
【0059】
つまり、図4a~図4fに示した、横断面の先細り部を含む導光体1用の各方法ステップの順序に次いで、図5a~図5eにやはり概略的に示した変形プロセスステップが続く。
【0060】
図4aが示す第1の方法ステップでは、光ファイバ10が、被覆管21として形成された被覆材20内に挿入され、これによりファイババンドルを形成する。図4aでは、予め周知の方法により製造された、片側が閉じられた被覆管21が使用される。被覆管21は、先細り領域12を包囲する被覆材20として、本発明による導光体1に残留するため、被覆管21の材料は、好適には、被覆管21の熱膨張係数が光ファイバ10の熱膨張係数に適合させられているように選択される。コア-クラッドファイバが使用される場合、適合にはコア材料の熱膨張係数が利用される。それというのも、コア材料は一般に、個々のコア-クラッド光ファイバ10の主構成要素を成しているからである。光ファイバ10自体は、予め周知の延伸プロセスで製造され得、かつ所要の長さに切断され得る。これにより、本発明による光ファイバ導光体1には標準規格の光ファイバも使用され得る。
【0061】
図4bには、別の方法ステップが示されている。この場合、被覆管21内に挿入された光ファイバ10は、その、被覆管21から突出した端部において、加えようとする負圧に耐えられるように設計された負圧室100により包囲される。これは、例えば金属管であってもよい。被覆管21と負圧室100との間の接続部は、適切な手段により封止されるため、ポンプ110により、負圧室100と被覆管21とにより形成された体積から空気を抜く際に、接続箇所を通って空気が侵入する恐れは全くない、または少なくとも、不都合な多量の空気が侵入する恐れはない。被覆管21およびその中に挿入された光ファイバ10の部分領域を加熱することができるように、少なくとも1つの加熱装置120が取り付けられている。加熱装置120として、例えば電気式環状炉が使用され得るが、バーナまたはレーザービーム等のような別の装置も当業者には周知であり、使用され得る。加熱装置120および/または光ファイバ10を含む被覆管21が取り付けられている、または取付け可能な装置は、移動可能に設計されていてもよく、これにより、光ファイバ10上のまたは光ファイバ10を含む被覆管を、所望の長さにわたりまたは所定の位置でつぶしかつ/または溶融させることもできる。被覆管の閉じられた端部は、通常切断され(図示せず)、このようにして、最初は実質的に一定の直径d11を有する光ファイバ導光体1が得られる。
【0062】
直径d14を有する先細り領域12を備えた導光体1は、別の方法ステップを適用することにより得られる。図4cには、別の方法ステップとして、先細り領域12の引伸ばしが示されている。被覆管21およびその中に存在する光ファイバ10が十分に加熱されると、被覆管21は、やはり周知の適切な手段により、光ファイバ10の軸線に沿って引き伸ばされる。これに起因して、加熱された領域が延長されることにより、この領域がくびれ、先細り領域12が形成される。より長く引き伸ばされるほど、引き伸ばされた領域の直径は、より小さくなる。引伸ばしの長さにより、所望の最小の直径d14を調節することができる。上述したように負圧室100および被覆管21の内部に負圧が加えられると、包囲している媒体の圧力、通常は空気圧が、光ファイバ10のファイバ軸線に対して垂直な力を光ファイバ10に作用させ、これにより、光ファイバ10は圧力下で相互にかつ被覆管21の内壁に融合する。例えば、場合により複数の加熱ゾーンを備え、その温度プロファイルに関して可変の加熱装置120または1つもしくは複数の移動可能な加熱装置を用いてこのプロセスを適切に行うことにより、実際に先細りした後に、実質的に一定の直径dも有する先細り領域12を達成することができる。
【0063】
図4dに示す別の方法ステップでは、予め加熱された領域を冷却する。このことは、光ファイバ10および被覆管21の材料選択に応じて、好適には制御して行うことができる。すなわち、加熱装置120を単にオフにするのではなく、その加熱出力を緩やかに低下させ、これにより、予め加熱された領域の破裂または裂断を防ぐ。さらに、冷却中に、光ファイバ導光体1に引伸ばし方向の力を引き続き加えることが可能であり、これにより、光ファイバ導光体1が冷却プロセス中に過度に収縮し、直径d14が場合により不都合に変化する恐れはなくなる。
【0064】
図4eに示す別の方法ステップでは、加熱装置120および負圧室100を取り外し、引き伸ばされた領域を、適切な箇所で適切な切断装置130により切断する。このためには、引き伸ばされた領域が、場合により後加工用に必要な許容差込みで所望の直径d14を有する箇所が選択される。
【0065】
図4fに示す、本発明による製造プロセスの結果は、光ファイバ10がファイバ構造の中断なしで先細り領域12に続いている、本発明による光ファイバ導光体1である。被覆管21もしくは被覆管21の引き伸ばされた領域は、被覆材20として先細り領域12を包囲し、これを形状安定化させる。よって被覆管21には少なくとも二重の機能、つまり、光ファイバ10を製造プロセス用にファイババンドルにまとめる機能と、最終製品において被覆材20として、光ファイバ導光体1の端部における繊細な移行領域12を保護する機能とが与えられている。任意には、被覆管21は、フレキシブルな端部とは反対の側において閉じられている限り、さらなる機能として、移行領域12の引伸ばし中に負圧を加えることができるようにすることを可能にし、このようにして、特に移行領域12において、光ファイバ10同士の融合、好適には光ファイバ10と被覆管21との融合をも、さらに改善することができる、ということを可能にする。
【0066】
別の実施形態では、上述した方法ステップにおいて、被覆管21は、既に非円形の横断面を有しておりかつ/または先行プロセスにおいて、それ自体円形の横断面から、横断面が非円形に、特に楕円形にまたは実質的にD字形に成形された、ということが想定されていてもよい。このようなまたはそれ自体非円形の実施形態では、それぞれ最大の横方向寸法が直径dもしくはdと理解される。
【0067】
本発明による光ファイバ導光体1の1つの好適な実施形態を製造するためには、例えば2200~2500本の、直径70μmのガラス製ファイバであるフレキシブルなコア-クラッド光ファイバ10が、直径3.80mm~4.25mmの1つのファイババンドルにまとめられ、説明した方法により、15~20mmの長さlの先細り領域を有する光ファイバ導光体1が形成され、先細り領域もやはり、光ファイバ10のコアガラスと実質的に同じ熱膨張係数を有する被覆材20としてのガラスにより包囲されている。この場合、先細り領域12の先細りした端面13において融合させられた光ファイバ10の直径d14は、2.20mmである。Lは任意に選択され得るが、典型的には数10センチメートル~数メートルであり、しかしまた10m以上の長さに達してもよい。端面13,15は、一般に金属スリーブに組み込まれてもよく、金属スリーブの間の領域は、プラスチックから成るフレキシブルな保護カバーにより包囲され得る。先細り領域12の端部に設けられた金属製の端部スリーブは、好適には円筒形の外側幾何学形状を有している。しかし、先細り領域12は実質的に円錐形なので、この金属スリーブは、好適には先細り領域12に適合する円錐形の内側幾何学形状を有しており、これにより、移行領域12の外周面と、端部スリーブの内周面との実質的に形状接続的な結合を生ぜしめることができる。本発明には同様に、移行領域12の外周面と端部スリーブの内周面との間に、例えばプラスチックの、特に例えば接着剤の層が位置している場合も含まれる。
【0068】
本発明による光ファイバ導光体1は、先細り領域12への移行部において中断されていないファイバ構造に基づき、従来技術から周知の導光体に比べて改善された透過率を有している。光ファイバ導光体1は、本発明に基づく方法により廉価に、標準規格の光ファイバから製造可能である。このことは、光ファイバ導光体1の製造プロセスをフレキシブルにし、様々な幾何学形状およびガイド領域の直径dおよび先細り領域12の直径dを必要に応じて経済的に製造することができる。
【0069】
図5a~図5eには、光ファイバ導光体1の剛性の端部、つまり被覆材20もしくは被覆管21により包囲されて固定された端部に成形部を製造可能な方法が概略的に示されている。
【0070】
図5aの左側に一定の横断面を備えた円筒形状として、または右側に先細りした横断面を備えた円筒形状として示す、光ファイバ10と、予め光ファイバ10に融合させられたその被覆材20とを備えた光ファイバ導光体1を、加熱装置140により加熱し(図5b)、これにより、次のステップ(図5c)において本来の変形を実施することができる。この場合、変形もしくは成形用手段により、例えばプレス工具または変形工具150により、所望の輪郭を光ファイバ導光体1に押し込み、つまり所望の輪郭を生ぜしめ、これにより、図5dに示す光ファイバ導光体1は変形領域18を有することになる。この変形領域は、図3a~図3iに例示したように、様々な形態を有していてもよい。この場合、成形部は、特に所望のもしくは要求された複雑な実施形態の場合には、2回以上の成形ステップで順次、特にそれぞれ異なるプレス工具または変形工具150も用いて加えられるまたは設けられる、ということが可能もしくは必要なことがある。つまり例えば、最初に導光体1の剛性の端部において、その本来の長手方向軸線16から曲げを生ぜしめ、次いで特に向きを変えて別の曲げを生ぜしめてから、端面13における変形または剛性の領域および/または曲げられた端部の別の横断面領域を生ぜしめることができる。このことには、複数の加熱過程が含まれていてもよく、相応する成形プロセスまたは変形プロセスが適宜に同時に(並行して)かつ/または順次(連続的に)行われてもよい。導光体の端部において、特に被覆材20が予め溶融された場合には、場合により被覆材20の余計な部分が切断される(図5e)。このことにはさらに、一般に端面もしくは先細りした端面13の研削プロセスおよび研磨プロセスが続く。
【符号の説明】
【0071】
1 光ファイバ導光体
10 光ファイバ
11 直径d
12 先細り領域
13 先細りした端面
14 直径d
15 本来の端面
16 長手方向軸線
17 成形された端面
18 成形領域
19 移行領域
20 被覆材
21 被覆管
100 負圧室
110 ポンプ
120 加熱装置
130 切断装置
140 加熱装置
150 プレス工具
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】