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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126946
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 51/12 20060101AFI20240912BHJP
   H01H 3/40 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01H51/12 Z
H01H3/40 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035730
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】川口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 洸一
(57)【要約】
【課題】接点の動作を容易に制御することができる電磁継電器の提供。
【解決手段】電磁継電器は、接点ブロックと、電磁石ブロックと、第1可動部材と、第2可動部材と、変換機構とを備える。接点ブロックは、第1固定接点を含む第1固定端子と、第1固定接点と第1方向に対向する第1可動接点を含む可動接触片とを含む。電磁石ブロックは、磁性体と、磁性体を移動させる磁力を発生させるコイルとを含む。第1可動部材は、可動接触片に接続され第1方向に移動可能に構成される。第2可動部材は、磁性体に接続され、磁性体の移動に応じて第1方向と直交する第2方向に移動可能に構成される。変換機構は、第2可動部材の第2方向の移動力を第1方向の移動力に変換して第1可動部材に伝達する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定接点を含む第1固定端子と、前記第1固定接点と第1方向に対向する第1可動接点を含む可動接触片とを含む接点ブロックと、
磁性体と、前記磁性体を移動させる磁力を発生させるコイルとを含む電磁石ブロックと、
前記可動接触片に接続され前記第1方向に移動可能に構成される第1可動部材と
前記磁性体に接続され、前記磁性体の移動に応じて前記第1方向と直交する第2方向に移動可能に構成される第2可動部材と、
前記第2可動部材の前記第2方向の移動力を前記第1方向の移動力に変換して前記第1可動部材に伝達する変換機構と、
を備える、
電磁継電器。
【請求項2】
前記変換機構は、少なくとも一部が前記第1方向及び前記第2方向と交差する方向に延びる変換部と、前記変換部に係合する係合部とを含み、
前記第1可動部材及び前記第2可動部材の一方は、前記変換部を含み、
前記第1可動部材及び前記第2可動部材の他方は、前記係合部を含む、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記変換部は、前記第2方向に対して平行に延びる中立部を含み、
前記中立部は、前記第2方向における前記変換部の中央に配置される、
請求項2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記変換部は、前記第2方向に対して平行に延びる保持部と、前記中立部と前記保持部の間に配置され前記第1方向及び前記第2方向と交差する方向に延びる傾斜部とを含む、
請求項3に記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記変換部は、前記第2方向に対して平行に延びる保持部と、前記保持部から前記第1方向及び前記第2方向と交差する方向に延びる傾斜部とを含む、
請求項2に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記接点ブロックは、第2固定接点を含む第2固定端子をさらに含み、
前記第2固定接点は、前記第1固定接点に対して前記第1方向に離れて配置され、
前記可動接触片は、前記第2固定接点と前記第1方向に対向する第2可動接点をさらに含み、
前記第1可動接点は、前記係合部が前記中立部に位置している時に前記第1固定接点から開離した状態にあり、
前記第2可動接点は、前記係合部が前記中立部に位置している時に前記第2固定接点から開離した状態にある、
請求項3又は4にいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記接点ブロックは、第2固定接点を含む第2固定端子をさらに含み、
前記第2固定接点は、前記第1固定接点に対して前記第1方向に離れて配置され、
前記可動接触片は、前記第2固定接点と前記第1方向に対向する第2可動接点をさらに含み、
前記第1可動接点は、前記係合部が前記保持部に位置している時に前記第1固定接点に接触した状態が保持され、
前記第2可動接点は、前記係合部が前記保持部に位置している時に前記第2固定接点から離れている、
請求項5に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソレノイドを駆動源とする回転機構により回転軸を回転させて接点を動作させる開閉器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-136465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、接点の動作を容易に制御することができる電磁継電器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、接点ブロックと、電磁石ブロックと、第1可動部材と、第2可動部材と、変換機構とを備える。接点ブロックは、第1固定接点を含む第1固定端子と、第1固定接点と第1方向に対向する第1可動接点を含む可動接触片とを含む。電磁石ブロックは、磁性体と、磁性体を移動させる磁力を発生させるコイルとを含む。第1可動部材は、可動接触片に接続され第1方向に移動可能に構成される。第2可動部材は、磁性体に接続され、磁性体の移動に応じて第1方向と直交する第2方向に移動可能に構成される。変換機構は、第2可動部材の第2方向の移動力を第1方向の移動力に変換して第1可動部材に伝達する。
【0006】
この電磁継電器では、第2可動部材の第2方向の移動力が第1方向の移動力に変換されて第1可動部材に伝達されることで、第1可動部材に接続された可動接触片が動作する。これにより、接点の動作を容易に制御することができる。
【0007】
変換機構は、少なくとも一部が第1方向及び第2方向と交差する方向に延びる変換部と、前記変換部に係合する係合部とを含んでもよい。第1可動部材及び第2可動部材の一方は、変換部を含んでもよい。第1可動部材及び第2可動部材の他方は、係合部を含んでもよい。この場合は、簡単な構成で接点の動作を容易に制御することができる。また、例えば、変換部の傾きを調整することで、接点の動作を容易に制御することができる。
【0008】
変換部は、第2方向に対して平行に延びる中立部を含んでもよい。中立部は、第2方向における変換部の中央に配置されてもよい。この場合は、中立部において、可動接触片の第1方向の移動を停止させることができる。
【0009】
変換部は、第2方向に対して平行に延びる保持部と、中立部と保持部の間に配置され第1方向及び第2方向と交差する方向に延びる傾斜部とを含んでもよい。この場合は、例えば、係合部が保持部に係合しているときに、第1可動接点が第1固定接点に接触するように保持部を設定することで、第1可動接点が第1固定接点に接触した状態を保持部によって保持できる。
【0010】
変換部は、第2方向に対して平行に延びる保持部と、保持部から第1方向及び第2方向と交差する方向に延びる傾斜部とを含んでもよい。この場合は、例えば、係合部が保持部に係合しているときに、第1可動接点が第1固定接点に接触するように保持部を設定することで、第1可動接点が第1固定接点に接触した状態を保持部によって保持できる。
【0011】
接点ブロックは、第2固定接点を含む第2固定端子をさらに含んでもよい。第2固定接点は、第1固定接点に対して第1方向に離れて配置されてもよい。可動接触片は、第2固定接点と第1方向に対向する第2可動接点をさらに含んでもよい。第1可動接点は、係合部が中立部に位置している時に第1固定接点から開離した状態にあってもよい。第2可動接点は、係合部が中立部に位置している時に第2固定接点から開離した状態にあってもよい。この場合は、中立部によって可動接触片の第1方向の移動を停止させることができるので、接点間に生じるアークを遮断する時間を確保できる。その結果、接点距離を小さくすることが可能になるので、第1方向において電磁継電器の大型化を抑制できる。
【0012】
接点ブロックは、第2固定接点を含む第2固定端子をさらに含んでもよい。第2固定接点は、前記第1固定接点に対して前記第1方向に離れて配置されてもよい。可動接触片は、第2固定接点と第1方向に対向する第2可動接点をさらに含んでもよい。第1可動接点は、係合部が保持部に位置している時に第1固定接点に接触した状態が保持されてもよい。第2可動接点は、係合部が保持部に位置している時に第2固定接点から離れてもよい。この場合は、第1可動接点が第1固定接点に接触した状態を保持部によって保持できる。
【0013】
本発明によれば、接点の動作を容易に制御することができる電磁継電器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電磁継電器の内部を模式的に示した図である。
図2】電磁石ブロックを模式的に示した図である。
図3】電磁石ブロックを模式的に示した図である。
図4】変換部を前後方向から見た図である。
図5】可動接触片の動作を説明するための図である。
図6】可動接触片の動作を説明するための図である。
図7】可動接触片の動作を説明するための図である。
図8】可動接触片の動作を説明するための図である。
図9】可動接触片の動作を説明するための図である。
図10】接点ブロックの変形例を説明するための図である。
図11】接点ブロック及び変換部の変形例を説明するための図である。
図12】電磁石ブロックの変形例を説明するための図である。
図13】変換部の変形例を説明するための図である。
図14】変換部の変形例を説明するための図である。
図15】変換部の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一態様に係る電磁継電器1の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面を参照するときにおいて、X1方向を左方向、X2方向を右方向、Z1方向を上方向、Z2方向を下方向として説明する。また、X1,X2方向を左右方向(第2方向の一例)、X1,X2方向と直交するZ1,Z2方向を上下方向(第1方向の一例)、図1の紙面と直交する方向を前後方向として説明する。これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器1の配置方向を限定するものではない。
【0016】
図1に示すように、電磁継電器1は、ベース2と、接点ケース3と、接点ブロック4と、電磁石ブロック5と、第1可動部材6と、第2可動部材7と、変換機構8とを備えている。
【0017】
ベース2及び接点ケース3は、樹脂などの絶縁材で形成されている。ベース2は、電磁石ブロック5を収容する。接点ケース3は、接点ブロック4を収容する。
【0018】
接点ブロック4は、第1固定端子11と、第2固定端子12と、第3固定端子13と、第4固定端子14と、可動接触片15とを含む。第1~第4固定端子11~14は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。第1~第4固定端子11~14は、接点ケース3に支持されている。
【0019】
第1固定端子11は、第1固定接点11aを含む。第1固定接点11aは、第1固定端子11の下面に配置されている。第2固定端子12は、第1固定端子11と左右方向に離れている。第2固定端子12は、第2固定接点12aを含む。第2固定接点12aは、第2固定端子12の下面に配置されている。
【0020】
第3固定端子13は、第3固定端子13は、第3固定接点13aを含む。第3固定接点13aは、第3固定端子13の上面に配置されている。第3固定接点13aは、第1固定接点11aよりも下方に配置されている。第4固定端子14は、第4固定接点14aを含む。第4固定接点14aは、第4固定端子14の上面に配置されている。第4固定接点14aは、第2固定接点12aよりも下方に配置されている。
【0021】
可動接触片15は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。可動接触片15は、左右方向に延びている。可動接触片15は、上下方向に移動可能に構成されている。可動接触片15は、第1可動部材6の上下方向の移動に応じて上下方向に移動する。可動接触片15は、第1可動部材6に支持されている。可動接触片15は、第1固定接点11a及び第2固定接点12aの下方に配置されている。可動接触片15は、第3固定接点13a及び第4固定接点14aの上方に配置されている。
【0022】
可動接触片15は、第1可動接点15aと、第2可動接点15bと、第3可動接点15cと、第4可動接点15dとを含む。第1可動接点15a及び第2可動接点15bは、可動接触片15の上面に配置されている。第3可動接点15c及び第4可動接点15dは、可動接触片15の下面に配置されている。第1可動接点15aは、第1固定接点11aと上下方向に対向して配置されている。第2可動接点15bは、第2固定接点12aと上下方向に対向して配置されている。第3可動接点15cは、第3固定接点13aと上下方向に対向して配置されている。第4可動接点15dは、第4固定接点14aと上下方向に対向して配置されている。
【0023】
電磁石ブロック5は、第1可動部材6、第2可動部材7及び変換機構8を介して、可動接触片15を上下方向に移動させる。電磁石ブロック5は、接点ブロック4の下方に配置されている。電磁石ブロック5は、ベース2に支持されている。
【0024】
図2及び図3に模式的に示すように、電磁石ブロック5は、第1コイルブロック20と、第2コイルブロック30とを含む。図2では、第1コイルブロック20のみに電圧が印加された状態を模式的に示し、図3は、第2コイルブロック30のみに電圧が印加された状態を模式的に示している。
【0025】
第1コイルブロック20は、第1コイル21と、第1スプール22と、第1ヨーク23と、第1可動鉄心24(磁性体の一例)と、第1固定鉄心(図示せず)と、第1コイルばね(図示せず)とを含む。第1コイル21は、第1可動鉄心24を左右方向(ここでは左方)に移動させる磁力を発生させる。第1コイル21の軸線は、左右方向に対して平行に延びている。第1コイル21は、第1スプール22に巻回されている。第1ヨーク23は、第1コイル21を囲むように配置されている。
【0026】
第1可動鉄心24は、左右方向に移動可能に構成される。第1可動鉄心24、第1固定鉄心及び第1コイルばねは、第1スプール22内に配置されている。第1可動鉄心24は、第1固定鉄心と左右方向に対向して配置されている。第1可動鉄心24は、第1固定鉄心の右方に配置されている。第1コイルばねは、第1可動鉄心24を右方に付勢する。
【0027】
第2コイルブロック30は、第1コイルブロック20と左右方向に対向するように配置されている。第2コイルブロック30は、第1コイルブロック20から右方に離れて配置されている。
【0028】
第2コイルブロック30は、第2コイル31と、第2スプール32と、第2ヨーク33と、第2可動鉄心34(磁性体の一例)と、第2固定鉄心(図示せず)と、第2コイルばね(図示せず)とを含む。第2コイル31は、第2可動鉄心34を左右方向(ここでは右方)に移動させる磁力を発生させる。第2コイル31の軸線は、左右方向に対して平行に延びている。第2コイル31は、第2スプール32に巻回されている。第2ヨーク33は、第2コイル31を囲むように配置されている。
【0029】
第2可動鉄心34は、左右方向に移動可能に構成される。第2可動鉄心34、第2固定鉄心及び第2コイルばねは、第2スプール32内に配置されている。第2可動鉄心34は、第2固定鉄心と左右方向に対向して配置されている。第2可動鉄心34は、第2固定鉄心の左方に配置されている。第2コイルばねは、第2可動鉄心34を左方に付勢する。
【0030】
第1可動部材6は、接点ブロック4と電磁石ブロック5とに亘って上下方向に延びている。第1可動部材6は、可動接触片15に接続されている。第1可動部材6は、上下方向に移動可能に構成される。第2可動部材7は、ベース2及び接点ケース3の少なくとも一方によって上下方向の移動がガイドされている。第2可動部材7は、ベース2及び接点ケース3の少なくとも一方によって左右方向の移動が規制されている。第1可動部材6の一部は、前後方向から見て、第2可動部材7重なる。
【0031】
第2可動部材7は、絶縁材で形成されている。第2可動部材7は、第1コイルブロック20と第2コイルブロック30の間に配置されている。第2可動部材7は、第1可動鉄心24と第2可動鉄心34とに接続されている。第2可動部材7は、第1可動鉄心24及び第2可動鉄心34の移動に応じて左右方向に移動可能に構成されている。第2可動部材7は、第1コイル21の軸線及び第2コイル31の軸線に沿って左右方向に直線運動可能に構成されている。第2可動部材7は、ベース2によって左右方向の移動がガイドされている。第2可動部材7は、上下方向の移動が規制されている。
【0032】
変換機構8は、第2可動部材7の左右方向の移動力を上下方向の移動力に変換して第1可動部材6に伝達する。すなわち、変換機構8は、第2可動部材7の左右方向の直線運動を90度変換して第1可動部材6に伝達する。これにより、第1可動部材6は、第2可動部材7の左右方向の移動に応じて、上下方向に移動する。
【0033】
変換機構8は、変換部41と、係合部42とを含む。変換部41は、第1可動部材6及び第2可動部材7の一方に配置される。係合部42は、第1可動部材6及び第2可動部材7の他方に配置される。本実施形態では、変換部41は、第1可動部材6に配置され、係合部42は、第2可動部材7に配置されている。
【0034】
変換部41は、少なくとも一部が上下方向及び左右方向と交差する方向に延びている。変換部41は、前後方向から見て、少なくとも一部が左右方向に対して傾斜している。変換部41は、第1コイルブロック20と第2コイルブロック30の間に配置されている。変換部41は、第1可動部材6と一体的に移動する。変換部41は、溝形状を有している。変換部41は、第1可動部材6を前後方向に貫通して形成されている。変換部41は、第1可動部材6において、前後方向に凹むように形成されてもよい。
【0035】
変換部41は、第1保持部41aと、第2保持部41bと、中立部41cと、第1傾斜部41dと、第2傾斜部41eとを含む。第1保持部41a、第2保持部41b、中立部41c、第1傾斜部41d及び第2傾斜部41eは、左右方向に連なるように形成されている。第1保持部41a、第2保持部41b、中立部41c、第1傾斜部41d及び第2傾斜部41eは、右から左に向かって第1保持部41a、第1傾斜部41d、中立部41c、第2傾斜部41e、第2保持部41bの順に並んでいる。
【0036】
第1保持部41a、第2保持部41b及び中立部41cは、左右方向に延びている。第1保持部41aは、中立部41cよりも上方に位置する。第2保持部41bは、中立部41cよりも下方に位置する。中立部41cは、左右方向における変換部41の中央に位置する。左右方向における中立部41cの寸法は、左右方向における第1保持部41a及び第2保持部41bの寸法よりも小さい。
【0037】
第1傾斜部41dは、第1保持部41aと中立部41cの間に位置する。第1傾斜部41dは、上下方向及び左右方向と交差する方向に延びている。第1傾斜部41dは、第1保持部41aの左端から左方かつ下方に延びている。第1保持部41aから左下がりに傾斜している。
【0038】
第2傾斜部41eは、中立部41cと第2保持部41bの間に位置する。第2傾斜部41eは、上下方向及び左右方向と交差する方向に延びている。第2傾斜部41eは、中立部41cの左端から左方かつ下方に延びている。第2傾斜部41eは、中立部41cから左下がりに傾斜している。左右方向における第2傾斜部41eの寸法は、左右方向における第1傾斜部41dの寸法と同程度である。第2傾斜部41eの傾きは、第1傾斜部41dの傾きと同程度である。
【0039】
係合部42は、変換部41と係合する。係合部42は、軸状に前後方向に延びている。本実施形態では、係合部42は、円柱形状を有している。係合部42は、少なくとも一部が変換部41内に配置されている。係合部42は、第2可動部材7と一体的に移動する。係合部42は、第2可動部材7の左右方向の移動に伴い変換部41の内周面に対して摺動しながら左右方向に移動する。係合部42が第1傾斜部41d又は第2傾斜部41eを左右方向に移動することで、第1可動部材6は上下方向に移動する。係合部42は、変換部41の内周面に沿う形状を有してもよい。
【0040】
次に、図5から9を参照して、係合部42の移動に伴う可動接触片15の動作について説明する。具体的には、第2コイルブロック30への電圧の印加が停止されて、第1コイルブロック20に電圧が印加されたときの可動接触片15の動作について説明する。
【0041】
図5に示すように、第2コイルブロック30のみに電圧が印加されている状態では、係合部42は、変換部41の第1保持部41aに係合する。係合部42が第1保持部41aと係合した状態では、第3可動接点15cが第3固定接点13aに接触した状態が保持され、第4可動接点15dが第4固定接点14aに接触した状態が保持される。このとき、第1可動接点15aは、第1固定接点11aから開離しており、第2可動接点15bは、第2固定接点12aから開離している。
【0042】
図6に示すように、第2コイルブロック30の電圧の印加が停止され、第1コイルブロック20の電圧が印加されると、第1可動鉄心24及び第2可動鉄心34が左方に移動することで、係合部42は、第2可動部材7とともに左方に移動して第1傾斜部41dと係合する。係合部42が第1傾斜部41dと係合することで、第1可動部材6が係合部42に押し上げられて、可動接触片15が上方に移動する。これにより、第3可動接点15cは、第3固定接点13aから開離し、第4可動接点15dは、第4固定接点14aから開離する。
【0043】
図7に示すように、係合部42が中立部41cと係合した状態では、上下方向において第1可動部材6の位置が維持されるので、可動接触片15の上下方向の移動が抑制される。すなわち、係合部42が中立部41cと係合した状態では、可動接触片15は上下方向に移動しない。このため、第1~第4可動接点15a~15dの移動が抑制される。このとき、各接点は互いに開離した状態にあり、各接点間の距離は変化しない。
【0044】
図8に示すように、係合部42が第2傾斜部41eと係合することで、第1可動部材6が係合部42に押し上げられて、可動接触片15がさらに上方に移動する。これにより、第1可動接点15aは、第1固定接点11aと接触し、第2可動接点15bは、第2固定接点12aと接触する。
【0045】
図9に示すように、係合部42が第2傾斜部41eと係合した状態では、第1可動接点15aが第1固定接点11aに接触した状態が保持され、第2可動接点15bが第2固定接点12aに接触した状態が保持される。なお、第1コイルブロック20への電圧の印加が停止されて、第2コイルブロック30に電圧が印加されたときは、係合部42が第2傾斜部41e及び第1傾斜部41dを左右方向に移動することで、可動接触片15が下方に移動する。
【0046】
上記構成の電磁継電器1では、変換機構8によって第2可動部材7の左右方向の移動力が上下方向の移動力に変換されて第1可動部材6に伝達されることで、第1可動部材6に接続された可動接触片15が動作する。詳細には、第2可動部材7に配置された係合部42が第1傾斜部41d及び第2傾斜部41eを左右方向に移動することで、第2可動部材7の左右方向の移動が第1可動部材6の上下方向の移動に変換される。これにより、変換機構8によって第1~第4可動接点15a~15dの動作を容易に制御することができる。
【0047】
第1保持部41aを設けることで、第3可動接点15cと第3固定接点13aとが接触した状態、並びに第4可動接点15dと第4固定接点14aとが接触した状態を容易に維持できる。同様に第2保持部41bを設けることで、第1可動接点15aと第1固定接点11aとが接触した状態、並びに第2可動接点15bと第2固定接点12aとが接触した状態を容易に維持できる
【0048】
中立部41cを設けることで、可動接触片15の上下方向の移動を停止させることができる。これにより、接点間に生じるアークを遮断する時間を確保することができる。その結果、接点距離を小さくすることが可能になるので、第1方向において電磁継電器の大型化を抑制できる。
【0049】
以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0050】
前記実施形態では、変換部41は、第1可動部材6に配置され、係合部42は、第2可動部材7に配置されていた。しかしながら、変換部41は、第2可動部材7に配置され、係合部42は、第1可動部材6に配置されてもよい。すなわち、変換部41の左右方向に移動に応じて係合部42が上下方向に移動するような構成であってもよい。
【0051】
接点ブロック4の構成は変更されてもよい。前記実施形態では、可動接触片15は、4つの可動接点15a~15dを有していたが、1つの可動接点のみを有する可動接触片15を備える電磁継電器に本発明を適用してもよい。接点ブロック4は、図10に示すように、a接点で構成されてもよい。例えば、前記実施形態において、第3固定端子13、第4固定端子14、第3可動接点15c及び第4可動接点15dは、省略されてもよい。接点ブロック4は、図11に示すように、b接点で構成されてもよい。この場合、変換部41の形状を前記実施形態と逆に形成してもよい。前記実施形態において、第1固定端子11、第2固定端子12、第1可動接点15a及び第2可動接点15bは、省略されてもよい。
【0052】
電磁石ブロック5の構成は、変更されてもよい。電磁石ブロック5は、図12に模式的に示すように、ヒンジ型の構造を有してもよい。この場合、第1コイル21の軸線及び第2コイル31の軸線は、上下方向に対して平行に延びていてもよい。図12に示す実施例において、第1コイルブロック20は、第1可動鉄片25を含み、第2コイルブロック30は、第2可動鉄片35を含む。第1可動鉄片25及び第2可動鉄片35は、磁性体の一例である。また、第2コイルブロック30は、省略されてもよい。この場合、第2コイルブロック30に換えて、第2可動部材7を右方に付勢する復帰ばねを設けてもよい。
【0053】
変換部41の構成は変更されてもよい。図13に示すように、第2保持部41bは省略されてもよい。図14に示すように、第1保持部41a及び第2保持部41bは省略されてもよい。図15に示すように、第1保持部41a、第2保持部41b及び中立部41cは、省略されてもよい。第1傾斜部41dと第2傾斜部41eの左右方向における寸法が互いに異なってもよい。第1傾斜部41dと第2傾斜部41eの傾きが互いに異なっていてもよい。第1傾斜部41d及び第2傾斜部41eの寸法や傾きによって可動接触片15の動作速度を調整できる。
【符号の説明】
【0054】
1 電磁継電器
4 接点ブロック
5 電磁石ブロック
6 第1可動部材
7 第2可動部材
8 変換機構
11 第1固定端子
11a 第1固定接点
15可動接触片
15a 第1可動接点
41 変換部
42 係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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図15