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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126959
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20240912BHJP
   H10B 43/20 20230101ALI20240912BHJP
   H10B 43/35 20230101ALI20240912BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H10B43/27
H10B43/20
H10B43/35
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035751
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】掛川 卓由
(72)【発明者】
【氏名】川端 研二
(72)【発明者】
【氏名】佐原 衣里
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP17
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083ER02
5F083ER03
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA27
5F083KA03
5F083KA05
5F083PR03
5F083PR28
5F101BA12
5F101BA42
5F101BA46
5F101BA47
5F101BB02
5F101BC02
5F101BC11
5F101BD16
5F101BD34
(57)【要約】
【課題】半導体記憶装置の電気特性の向上を図ること。
【解決手段】半導体記憶装置は、基板上に設けられた配線層領域と、配線層領域上に設けられ、基板の厚さ方向である第1方向に複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に積層された積層体と、第1方向に延びた半導体ボディと、半導体ボディと複数の導電層の各々との間に設けられたメモリ部とを含み、積層体を貫通して配線層領域に接続された柱状部と、を備える。積層体は、第1方向の端部として配線層領域に面する端部を有し、柱状部は、積層体の端部に位置する第1柱状部と、配線層領域内に設けられた第2柱状部とを含み、第2柱状部の半導体ボディは、第1方向に交差する第2方向に延出する第1延出部を含み、第2柱状部のメモリ部は、第2方向に延出し、第1延出部よりも基板の近くに位置し、第1延出部に接する第2延出部を含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた配線層領域と、
前記配線層領域上に設けられ、前記基板の厚さ方向である第1方向に複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に積層された積層体と、
前記第1方向に延びた半導体ボディと、前記半導体ボディと前記複数の導電層の各々との間に設けられたメモリ部とを含み、前記配線層領域に接続された柱状部と、
を備え、
前記積層体は、前記第1方向の端部として前記配線層領域に面する端部を有し、
前記柱状部は、前記積層体の前記端部に位置する第1柱状部と、前記配線層領域内に設けられた第2柱状部とを含み、
前記第2柱状部の前記半導体ボディは、前記第1方向に交差する第2方向に延出する第1延出部を含み、
前記第2柱状部の前記メモリ部は、前記第2方向に延出し、前記第1延出部よりも前記基板の近くに位置し、前記第1延出部に接する第2延出部を含む、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1柱状部の上面の中心を前記第1方向に貫通する第1軸に対して、前記第2柱状部の上面の中心を前記第1方向に貫通する第2軸は、前記第2方向にずれている、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2柱状部の前記半導体ボディは、前記第2方向に延出し、前記第1延出部よりも前記積層体の近くに位置する第3延出部をさらに含み、
前記第2柱状部の前記メモリ部は、前記第2方向に延出し、第3延出部よりも前記積層体の近くに位置し、第3延出部に接する第4延出部をさらに含む、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記柱状部は、第2柱状部よりも前記基板の近くに位置する第3柱状部をさらに含み、
前記第2方向における前記第3柱状部の中心と、前記第2方向における前記第2柱状部の第2中心とは、前記第2方向にずれている、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記柱状部は、前記配線層領域内に設けられ、前記第3柱状部よりも前記基板の近くに位置し、前記メモリ部で囲まれていない第4柱状部をさらに含み、
第4柱状部は、小径柱状部と、前記小径柱状部よりも径が大きく、前記小径柱状部よりも前記基板の近くに位置する大径柱状部とを含む、
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記柱状部は、前記配線層領域内に設けられ、第2柱状部よりも前記基板の近くに位置する第3柱状部をさらに含み、
第3柱状部は、小径柱状部と、前記小径柱状部よりも径が大きく、前記小径柱状部よりも前記積層体の近くに位置する大径柱状部とを含む、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記柱状部は、前記積層体内に設けられる、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の導電層と複数の絶縁層とが積層された積層体と、積層体を厚さ方向に貫通した複数の柱状部とを有する3次元メモリデバイスが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0301687号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態が解決しようとする課題は、電気特性の向上を図れる半導体記憶装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、基板と、前記基板上に設けられた配線層領域と、前記配線層領域上に設けられ、前記基板の厚さ方向である第1方向に複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に積層された積層体と、前記第1方向に延びた半導体ボディと、前記半導体ボディと前記複数の導電層の各々との間に設けられたメモリ部とを含み、前記積層体を貫通して前記配線層領域に接続された柱状部とを備える。前記積層体は、前記第1方向の端部として前記配線層領域に面する端部を有し、前記柱状部は、前記積層体の前記端部に位置する第1柱状部と、前記配線層領域内に設けられた第2柱状部とを含み、前記第2柱状部の前記半導体ボディは、前記第1方向に交差する第2方向に延出する第1延出部を含み、前記第2柱状部の前記メモリ部は、前記第2方向に延出し、前記第1延出部よりも前記基板の近くに位置し、前記第1延出部に接する第2延出部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体記憶装置を示す模式平面図。
図2】第1実施形態の半導体記憶装置のセルアレイ領域を示す模式平面図。
図3】第1実施形態のセルアレイ領域を示す模式斜視図。
図4図2に示す積層体と柱状部を含むA-A’断面図。
図5図4における柱状部の部分拡大断面図。
図6図5に示す積層体と柱状部のD-D’断面図。
図7図4に示す積層体と柱状部と配線層領域を示す部分断面図。
図8図7に示す積層体と柱状部と配線層領域を示す部分断面図。
図9】第1実施形態の一例構造の製造方法の一部を示す断面図。
図10】第1実施形態の一例構造の製造方法の一部を示す断面図。
図11】第1実施形態の一例構造の製造方法の一部を示す断面図。
図12】第1実施形態の一例構造の製造方法の一部を示す断面図。
図13】第1実施形態の一例構造の製造方法の一部を示す断面図。
図14】第1実施形態の一例構造の製造方法の一部を示す断面図。
図15】第1実施形態の一例構造の製造方法の一部を示す断面図。
図16】第1実施形態の一例構造の製造方法の一部を示す断面図。
図17】第1実施形態の一例構造の製造方法の一部を示す断面図。
図18】第1実施形態の一例構造の製造方法の一部を示す断面図。
図19】第1実施形態の一例構造の製造方法の一部を示す断面図。
図20】第1実施形態の一例構造の製造方法の一部を示す断面図。
図21】第1実施形態の一例構造の製造方法の一部を示す断面図。
図22】第1実施形態の一例構造の製造方法の一部を示す断面図。
図23】第2実施形態の積層体と柱状部と配線層領域の一例を示す部分断面図。
図24】第3実施形態の層体と柱状部と配線層領域の他の例を示す断面図。
図25】第3実施形態の柱状部の下端部と絶縁部の下端部の一例を示す部分断面図。
図26】MHずれ量と閾値電圧との関係を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の半導体記憶装置について、図面を参照し説明する。
【0008】
以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本出願で「接続」とは、物理的に接続される場合に限定されず、電気的に接続される場合も含む。本出願で「xxがyyに面する」とは、xxがyyに接する場合に限定されず、xxとyyとの間に別の部材が介在する場合も含む。本出願で「xxがyy上に設けられる」とは、xxがyyに接する場合に限定されず、xxとyyとの間に別の部材が介在する場合も含む。また、本出願で「xxがyy上に設けられる」とは、便宜上の表現であり、重力方向を規定するものではない。本明細書で「平行」および「直交」とは、それぞれ「略平行」および「略直交」の場合も含む。
【0009】
また、先にX方向、Y方向、Z方向について定義する。X方向およびY方向は、後述する基板10(図3参照)の表面に沿う方向である。X方向とY方向は互いに交差する(例えば直交する)方向である。Y方向は、後述するビット線BL(図3参照)が延びた方向である。Z方向は、X方向およびY方向と交差する(例えば直交する)方向であり、基板10の厚さ方向である。本明細書では、図3に示すように「+Z方向」を「上」、「-Z方向」を「下」と称する場合がある。+Z方向と-Z方向は180°異なる方向となる。ただしこれらの表現は、便宜上のものであり、重力方向を規定するものではない。
【0010】
(第1実施形態)
<半導体記憶装置の全体構成>
図1は、第1実施形態の半導体記憶装置を示す模式平面図である。
【0011】
第1実施形態の半導体記憶装置は、メモリセルアレイ1と、メモリセルアレイ1の外側に位置する周辺領域に設けられた複数の階段部2とを有する。メモリセルアレイ1および複数の階段部2は、同じ基板10上に設けられている。
【0012】
図2は、第1実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイ1と階段部2を示す模式平面図である。図3は、第1実施形態のメモリセルアレイ1を示す模式斜視図である。図4は、図2における積層体100と柱状部CL1を含むA-A’断面図である。
【0013】
図2から図4に示すように、メモリセルアレイ1は、基板10の一部と、基板10上に設けられた積層体100の一部と、複数の柱状部CL1と、複数の絶縁部60と、積層体100の上方に設けられた上層配線とを有する。図3には、上層配線として、例えばビット線BLを示す。
【0014】
基板10および積層体100は、メモリセルアレイ1が設けられたセルアレイ領域と、階段部2が設けられた階段領域に亘って設けられている。積層体100のうち、セルアレイ領域に設けられた部分を第1積層部100a(図3図4等参照)と称する。セルアレイ領域には複数の柱状部CL1が配置されている。柱状部CL1は、第1積層部100a内をその積層方向(Z方向)に延びる円柱状である。
【0015】
なお、本開示では、柱状部CL1等の柱状部がZ方向(第1方向)に延びるとは、柱状部が全体としてはZ方向に延びていれば、柱状部がZ方向とは異なる方向に延びる部分を含んでいても構わないという意味で用いている。
【0016】
図2に示すように複数の柱状部CL1は、例えば千鳥配列されている。または、複数の柱状部CL1は、X方向およびY方向に沿って正方格子配列されていてもよい。絶縁部60は、セルアレイ領域および階段領域をX方向に延び、積層体100をY方向に複数のストリングユニット200に分断している。各ストリングユニット200は、セルアレイ領域と階段領域を有している。
【0017】
図3に示すように、第1積層部100aの上方に、複数のビット線BLが設けられている。複数のビット線BLは、Y方向に延びる例えば金属膜である。複数のビット線BLは、X方向に互いに分離している。柱状部CL1の後述する半導体ボディ20の上端は、コンタクトCbおよびコンタクトV1を介してビット線BLに接続されている。複数の柱状部CL1が、共通の1本のビット線BLに接続されている。その共通のビット線BLに接続された複数の柱状部CL1は、絶縁部60によってY方向に分離されたそれぞれのストリングユニット200から1つずつ選択された柱状部CL1を含む。
【0018】
図4に示すように、第1積層部100aは、基板10上に積層された複数の導電層70を有する。複数の導電層70が、個々に絶縁層72を介し、基板10の上面に対して垂直な方向(Z方向)に積層されている。導電層70は、例えば金属層である。導電層70は、例えば、タングステンを主成分として含むタングステン層、またはモリブデンを主成分として含むモリブデン層である。なお、導電層70は、不純物がドープされたポリシリコンのような導電材料で形成されてもよい。絶縁層72は、例えば、酸化シリコンを主成分として含むシリコン酸化層である。
【0019】
図3では第1積層部100aを導電層70と絶縁層72の単純な積層構造として描いているが、半導体記憶装置の高積層化のため、第1積層部100aは厳密には図4に示すように複数の階層をZ方向に縦積みした構造が採用されている。
【0020】
図4に示すように第1積層部100aは、下層部100aLと上層部100aUの2つの階層を有する階層構造を有する。
【0021】
下層部100aLは、導電層70と絶縁層72の積層構造による下部積層体100cを有する。下部積層体100cには、下部積層体100cをZ方向に貫通する複数の下層柱状部LCL1が設けられている。
【0022】
上層部100aUは、導電層70と絶縁層72の積層構造による上部積層体100dを有する。上部積層体100dには、上部積層体100dをZ方向に貫通する複数の上層柱状部UCL1が設けられている。
【0023】
以上のように、柱状部CL1は、厳密には下層柱状部LCL1と上層柱状部UCL1との積み上げ構造であり、それらの境界部には接合部CLJが形成されている。
【0024】
図4に示すように下層柱状部LCL1と上層柱状部UCL1は、いずれも基板10に近い側の径が小さく、基板10から離れる方向(Z方向)に径が徐々に大きくなる柱状である。下層柱状部LCL1および上層柱状部UCL1の各々は、いずれも各々の最上部よりも若干下側(基板10に近い側)に直径が最大となる大径部CLMを有する。下層柱状部LCL1および上層柱状部UCL1の各々は、これら大径部CLMよりも上部側の径が徐々に小さくなる柱状である。
【0025】
なお、以下の説明において、下層柱状部LCL1と上層柱状部UCL1の積み上げ構造とした柱状部CL1に関し、1つの柱状部CL1として機能や構造を説明可能な場合は、単に柱状部CL1と表記し、説明に使用する。
【0026】
基板10は、例えば、シリコン基板などの半導体基板である。基板10上には、配線層領域10Aが設けられている。配線層領域10Aは、例えば、基板10上に積層された半導体層10aとソース線10bと半導体層10cとを有する。半導体層10aとソース線10bと半導体層10cには、下層柱状部LCL1の下端部CLEが埋め込まれている。即ち、下層柱状部LCL1の下端部CLEは、配線層領域10Aに埋め込まれている。下層柱状部LCL1の下端部CLEの詳細構造は後に説明する。
【0027】
半導体層10a、10cは、導電材料としてシリコン等の半導体に不純物を添加したn型シリコンなどからなる。半導体層10a、10cは、一例として、リンドープドポリシリコンからなる。下層柱状部LCL1の下端部は、後述するように一部の膜が除去され、ソース線10bに接続されている。ソース線10bは、半導体層あるいはタングステン、タングステンシリサイドなどの導電層からなる。
【0028】
半導体層10cの上面に絶縁層72が設けられている。絶縁層72上に最下層の導電層70が設けられ、絶縁層72と導電層70が交互に積層されている。最上層の導電層70上に絶縁層42が設けられ、その絶縁層42上に絶縁層43が設けられている。絶縁層43は柱状部CL1の上端を覆っている。
【0029】
図5は、図4における柱状部CL1とその周囲部分の拡大断面図である。
【0030】
図6は、図5AにおけるD-D’断面図である。
【0031】
柱状部CL1は、積層膜(メモリ膜)30と、半導体ボディ20と、絶縁性のコア部50とを有する。
【0032】
半導体ボディ20は、第1積層部100a内を積層方向(Z方向)に環状に連続し延びている。積層膜30は、導電層70及び絶縁層72と、半導体ボディ20との間に設けられ、半導体ボディ20を外周側から囲んでいる。コア部50は、環状の半導体ボディ20の内側に設けられている。半導体ボディ20の上端側は、図3に示すコンタクトCbおよびコンタクトV1を介してビット線BLに接続されている。
【0033】
積層膜30は、トンネル絶縁膜31と、電荷蓄積膜(メモリ部)32と、ブロック絶縁膜33とを有する。半導体ボディ20と導電層70との間に、半導体ボディ20側から順に、トンネル絶縁膜31、電荷蓄積膜32、およびブロック絶縁膜33が設けられている。電荷蓄積膜32は、トンネル絶縁膜31とブロック絶縁膜33との間に設けられている。
【0034】
下層柱状部LCL1の下端部CLEは、ソース線10bに接する領域において部分的にトンネル絶縁膜31、電荷蓄積膜32、ブロック絶縁膜33の一部が除去されている。これにより、半導体ボディ20の側面の一部に接続部24(図4)が形成されている。半導体ボディ20はソース線10bに面する接続部24においてソース線10bに直接接触されている。
【0035】
半導体ボディ20、積層膜30、および導電層70は、メモリセルMCを構成する。メモリセルMCは、半導体ボディ20の周囲を、積層膜30を介して、導電層70が囲んだ縦型トランジスタ構造を有する。
【0036】
縦型トランジスタ構造のメモリセルMCにおいて、半導体ボディ20は例えばシリコンのチャネルボディであり、導電層70はコントロールゲートとして機能する。電荷蓄積膜32は半導体ボディ20から注入される電荷を蓄積するデータ記憶層として機能する。
【0037】
本実施形態の半導体記憶装置は、不揮発性半導体記憶装置である。
【0038】
メモリセルMCは、例えば、チャージトラップ型のメモリセルである。電荷蓄積膜32は、絶縁性の膜中に電荷を捕獲するトラップサイトを多数有するものであって、例えば、シリコン窒化膜を含む。または、電荷蓄積膜32は、まわりを絶縁体で囲まれた、導電性をもつ浮遊ゲートであってもよい。
【0039】
トンネル絶縁膜31は、半導体ボディ20から電荷蓄積膜32に電荷が注入される際、または電荷蓄積膜32に蓄積された電荷が半導体ボディ20に放出される際に電位障壁となる。トンネル絶縁膜31は、例えばシリコン酸化膜を含む。
【0040】
ブロック絶縁膜33は、電荷蓄積膜32に蓄積された電荷が導電層70へ放出されるのを抑制する。また、ブロック絶縁膜33は、導電層70から柱状部CL1への電荷のバックトンネリングを抑制する。
【0041】
ブロック絶縁膜33は、例えば、第1ブロック膜34と第2ブロック膜35とを有する。第1ブロック膜34は、例えばシリコン酸化膜である。第2ブロック膜35は、シリコン酸化膜よりも誘電率の高い金属酸化膜である。この金属酸化膜として、例えば、アルミニウム酸化膜、ジルコニウム酸化膜、ハフニウム酸化膜を挙げることができる。
【0042】
第1ブロック膜34は、電荷蓄積膜32と第2ブロック膜35との間に設けられている。第2ブロック膜35は、第1ブロック膜34と導電層70との間に設けられている。 第2ブロック膜35は、導電層70と絶縁層72との間にも設けられている。第2ブロック膜35は、導電層70の上面、下面、および積層膜30側の側面に沿って連続して形成されている。第2ブロック膜35は、第1積層部100aの積層方向に連続せず、分離している。
【0043】
また、導電層70と絶縁層72との間に第2ブロック膜35を形成せずに、第2ブロック膜35を第1積層部100aの積層方向に沿って連続して形成してもよい。あるいは、ブロック絶縁膜33は、第1積層部100aの積層方向に沿って連続する単層膜であってもよい。
【0044】
また、第2ブロック膜35と導電層70との間、または絶縁層72と導電層70との間に、金属窒化膜を形成してもよい。この金属窒化膜は、例えば窒化チタン膜であり、バリアメタル、密着層、導電層70のシードメタルとして機能することができる。
【0045】
図3に示すように、第1積層部100aの上層部(柱状部CL1の上端部)にはドレイン側選択トランジスタSTDが設けられている。第1積層部100aの下層部100aLにはソース側選択トランジスタSTSが設けられている。少なくとも最上層の導電層70は、ドレイン側選択トランジスタSTDのコントロールゲートとして機能する。少なくとも最下層の導電層70は、ソース側選択トランジスタSTSのコントロールゲートとして機能する。
【0046】
それらドレイン側選択トランジスタSTDとソース側選択トランジスタSTSとの間には、複数のメモリセルMCが設けられている。複数のメモリセルMC、ドレイン側選択トランジスタSTD、およびソース側選択トランジスタSTSは、柱状部CL1の半導体ボディ20を通じて直列接続され、1つのメモリストリングを構成する。このメモリストリングが、XY面に対して平行な面方向に例えば千鳥配置されている。複数のメモリセルMCは、X方向、Y方向およびZ方向に3次元的に設けられている。
【0047】
<下層柱状部下端部の構造>
図7に層柱状部LCL1の下端部CLEの拡大断面を示す。このような拡大断面は、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて取得できる。下部積層体100cは、Z方向の端部として配線層領域10Aに面する端部100Eを有する。下層柱状部LCL1の下端部CLEは、端部100EをZ方向に貫通して配線層領域10Aに埋め込まれている。
【0048】
図7に示した下端部CLEは、図8に示すように、第1柱状部P1と、第2柱状部P2と、第3柱状部P3と、第4柱状部P4とを含む。
【0049】
第1柱状部P1は、下部積層体100cの端部100E側に位置する。第1柱状部P1は、積層体100c内に設けられている。
【0050】
第2柱状部P2は、第1柱状部P1よりも基板の近くに位置する。第2柱状部P2は、下層柱状部LCL1のうち、図8中の破線L1と破線L2との間の部分である。第2柱状部P2の径は、第1柱状部P1の径よりも大きい。
【0051】
第3柱状部P3は、第2柱状部P2よりも基板の近くに位置する。第3柱状部P3は、下層柱状部LCL1のうち、図8中の破線L2と破線L3との間の部分である。第2柱状部P2および第3柱状部P3は、半導体層10c内に設けられている。第3柱状部P3の径は、第2柱状部P2の径よりも小さい。
【0052】
第3柱状部P3の下部には第4柱状部P4が設けられている。第4柱状部P4は、ソース線10bを貫通する位置まで延在されている。第4柱状部P4の周面から底面を囲むように半導体ボディ20が形成されている。
【0053】
第4柱状部P4のうち、ソース線10bに埋め込まれた部分において、トンネル絶縁膜31と電荷蓄積膜32と第1ブロック膜34が除去されて半導体ボディ20の接続部24が形成されている。この接続部24において半導体ボディ20はソース線10bに直接接触されている。第4柱状部P4の下端部のうち、半導体層10aに囲まれている部分の周囲には、トンネル絶縁膜31と電荷蓄積膜32と第1ブロック膜34が形成されている。
【0054】
図8の例では、第1柱状部P1の上面(X-Y面)の中心をZ方向に貫通する第1軸C1に対して、第2柱状部P2の上面の中心をZ方向に貫通する第2軸C2は、Y方向に関して、-Y方向(左側寄り)にずれている。第3柱状部P3の上面の中心をZ方向に貫通する第3軸C3に対して、第2軸C2は、Y方向に関して、+Y方向(右側寄り)にずれている。また、第1軸C1に対して、第3軸C3は、Y方向に関して、-Y方向(左側寄り)にずれている。
【0055】
第2柱状部P2の半導体ボディ20は、Y方向に延出する延出部(第1延出部)PP1を含む。また、第2柱状部P2の電荷蓄積膜32は、Y方向に延出する延出部(第2延出部)PP2を含む。第2延出部PP2は、第1延出部PP1よりも基板の近くに位置する。第2延出部PP2は、延出部PP1に接している。第2延出部PP2との界面側の第1延出部PP1にはY方向にチャネル(第1チャネル)が形成される。
【0056】
第2柱状部P2の半導体ボディ20は、Y方向に延出する延出部(第3延出部)PP3をさらに含む。第3延出部PP3は、第1延出部PP1よりも下部積層体100cの近くに位置する。また、第2柱状部P2の電荷蓄積膜32は、Y方向に延出する延出部(第4延出部)PP4をさらに含む。第4延出部PP4は、第3延出部PP3よりも下部積層体100cの近くに位置する。第4出部PP4は、第3延出部PP3に接している。第4延出部PP4との界面側の第3延出部PP3にはY方向にチャネル(第2チャネル)が形成される。第2チャネルが形成される領域は、第1チャネルが形成される領域よりも下部積層体100cに近くに位置する。
【0057】
本実施形態の構造は、例えば、図9図22を基に後述する通り、ストッパー材18および下部積層体23を形成する工程(図12図13)、半導体層15の表面の一部が露出するように、下部積層体23中にストッパー材18に達する下部メモリホール25を形成する工程(図14)、エッチングにより、ストッパー材18を除去するとともに、半導体層15の表面の一部を除去する(図15)という工程を含む、製造方法を用いることで得られる。
【0058】
なお、配線層領域10Aに予め底部メモリホール16を形成後、配線層領域10A上に下部積層体100cを形成すると、後述する如く下部積層体100cに形成した下部メモリホール25の内径を不要に拡大しない、という効果が得られる。この効果については後に記載する製造方法に関連付けて説明する。
【0059】
次に、絶縁部(分離部)60の構成について説明する。
【0060】
図2および図4に示すように、絶縁部60は、絶縁膜63を有する。なお、図3では絶縁膜63の図示を省略している。
【0061】
絶縁膜63は、X方向およびZ方向に広がる。例えば、図4に示すように、絶縁膜63は、第1積層部100aに隣接してZ方向に延在し、半導体層10aの上部側に達するように設けられている。
【0062】
先に説明したように、図4に示す柱状部CL1における半導体ボディ20の下端部は、ソース線10bに接している。
【0063】
次に、階段部2について概要を説明する。
【0064】
階段部2も絶縁部60によりストリングユニット200の一部に分離されている。階段部2には、柱状体CL3とコンタクト部CTが設けられ、テラス部70aが設けられている。
【0065】
<第1実施形態の製造方法>
次に図9図22を用いて第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。図9図22の断面は図4の断面に対応する。
【0066】
図9では記載を略している基板10上に、半導体層11と保護層12と犠牲層13と保護層14と半導体層15が積層されている。半導体層11は、例えばリンがドープされた多結晶シリコン層である。保護層12、14は、例えば、シリコン酸化膜である。犠牲層13は、例えば、アンドープの多結晶シリコン層である。半導体層15は、例えば、アンドープまたはリンがドープされた多結晶シリコン層である。
【0067】
図10に示すように複数の底部メモリホール16が形成される。本実施形態では図2に示すように千鳥状に複数の柱状部CL1を形成するので柱状部CL1を形成する位置に対応させて底部メモリホール16を形成する。底部メモリホール16はリアクティブイオンエッチングなどのエッチング方法で形成できる。底部メモリホール16は、半導体層15と保護層14と犠牲層13と保護層12を貫通し、半導体層11に所定の深さで到達する深さとする。
【0068】
底部メモリホール16の上端部内径は、後に底部メモリホール16の上に形成する下部メモリホール25の下端部内径より大きく形成する。
【0069】
図11に示すように底部メモリホール16を埋めて半導体層15の上面を覆うようにストッパー材層17を成膜する。ストッパー材層17はカーボン膜などを適用できる。ストッパー材層17を構成する材料は、後に形成する絶縁層19と犠牲層21の積層体からなる下部積層体23に対し、エッチング選択比の高い材料からなることが好ましい。
【0070】
図12に示すようにエッチングバックを行って半導体層15上に積層されたストッパー材層17を除去し、底部メモリホール16を埋めたストッパー材層17のみを残す。これにより、底部メモリホール16をストッパー材18で埋めた構成とする。
【0071】
図13に示すように絶縁層19と犠牲層21を交互に積層し、最上層の犠牲層21上に絶縁層22を形成した下部積層体23を形成する。絶縁層19、22は、例えば、シリコン酸化膜であり、犠牲層21は、例えば、シリコン窒化膜である。
【0072】
図14に示すように、下部積層体23に対して、半導体層15の表面の一部が露出するように、下部メモリホール25を形成する。下部メモリホール25は、絶縁層22上に形成した図示しないマスクを用いたリアクティブイオンエッチングなどのエッチング方法を用いて形成できる。本実施形態では、半導体層15の表面の一部が露出するように、下部メモリホール25の中心C25は、ストッパー材18の中心C18に対して、+Y方向に位置ずれている。以下、この位置ずれの程度をMHずれ量という。
【0073】
下部メモリホール25を介しストッパー材18をアッシングなどの方法により除去し、下部メモリホール25と底部メモリホール16を連通する。この方法では、ストッパー材18のみを除去することができ、下部メモリホール25の内径を不要に拡大することがない。その後、底部メモリホール16の内面に露出している半導体層11、15を酸化してシリコン酸化層(不図示)を形成する。
【0074】
これに対し、仮に、底部メモリホール16を形成していない図9に示す状態の半導体層15の上に下部積層体23を形成し、下部積層体23の上面から半導体層11に達する下部メモリホールを形成する製造方法を想定できる。
【0075】
この製造方法は、ストッパー材18を設けることなく、下部積層体23の上面から半導体層11に達する深い下部メモリホールをエッチングのみで作成する方法となる。
【0076】
しかし、この方法を採用すると、エッチング条件のバラツキ等によって下部メモリホール25の拡大内径部25aが想定以上に大きくなることがある。
【0077】
この場合、隣接する下部メモリホール25、25間の間隔が想定以上に狭くなり、後工程で行う柱状部の形成に支障を来すおそれが考えられる。また、この現象が原因となってメモリセルの更なる高密度化およびチップサイズの縮小化に支障を来すおそれがある。即ち、下部メモリホール25の間隔を小さくすると、隣接する下部メモリホール25どうしが接触する可能性があり、これが原因となって、メモリセルの更なる高密度化およびチップサイズの縮小化に支障を来す。
【0078】
これに対し、上述のストッパー材18を用い、下部メモリホール25を形成後にストッパー材18を除去する方法を採用すると、拡大内径部25aが想定以上に大きくなる問題を生じ難いので、メモリセルの更なる高密度化、チップサイズの縮小に耐える構造を提供できる。
【0079】
底部メモリホール16の内面に露出している半導体層11,15を酸化して図示しないシリコン酸化層を形成した後、底部メモリホール16と下部メモリホール25を埋めるように、図16に示すように、充填材28を形成する。充填材28はカーボン膜などを適用できる。
【0080】
図17に示すように、下部積層体23の上に上部積層体29を形成する。上部積層体29の構造は下部積層体23の構成と同等であり、絶縁層19と犠牲層21を交互に積層し、最上層の犠牲層21上に絶縁層22を形成する。
【0081】
図18に示すように、上部積層体29に対し先の下部メモリホール25の形成位置に対応するように上部積層体29の頂部から底部に至る上部メモリホール36を形成する。上部メモリホール36はリアクティブイオンエッチングなどのエッチング方法で形成できる。
【0082】
上部メモリホール36は下端部側に向かうにつれて徐々に内径が細くなる形状を有し、上部メモリホール36の上端より若干低い位置に拡大内径部36aが形成される。上部メモリホール36の下端部36bは充填材28の上端部に到達する。
【0083】
ここで、上部メモリホール36形成時の位置合わせ精度の誤差等により、上部メモリホール36の中心36cと柱状の充填材28の中心28cが図18のY方向(左右方向)に位置ずれすることがある。
【0084】
この位置ずれを生じたとして、上部メモリホール36の下端部36bの内径より、ストッパー材18の上面の径の方が若干大きいので、下部メモリホール25の下端部25bがストッパー材18の上面からY方向に外れることがない。
【0085】
上部メモリホール36は上層柱状部UCL1を設ける位置となり、下部メモリホール25は下層柱状部LCL1を設ける位置となる。このため、上層柱状部UCL1と下層柱状部LCL1を確実に接合した柱状部CL1を得る上で、上部メモリホール36と下部メモリホール25を確実に連通できる構成が重要である。
【0086】
図19に示すように、上部メモリホール36を介し下部メモリホール25の充填材28と底部メモリホール16のストッパー材18をアッシングなどの方法により除去する。これにより、上部メモリホール36と下部メモリホール25と底部メモリホール16を連通する。アッシングなどの方法によりカーボン膜を除去する上述の工程では、充填材28とストッパー材18のみを除去することができる。このため、上部メモリホール36と下部メモリホール25の内径を不要に拡大することなく、目的の内径の上部メモリホール36と下部メモリホール25を得ることができる。また、本実施形態では、図14で生じたMHずれ量の大きさに対応する分だけ、MHずれ量がない場合に比べて、底部メモリホール16の開口の径(開口径)D1は大きくなる。
【0087】
図19に示した底部メモリホール16と下部メモリホール25と上部メモリホール36に、柱状部LCL1を形成するための基となる成膜を行う。すなわち、図20に示すように、第1ブロック膜34と電荷蓄積膜32とトンネル絶縁膜31と半導体ボディ20とコア部50の成膜を行い、上層柱状部UCL1の基となる上層基柱状部37と下層柱状部LCL1の基となる下層基柱状部38を形成する。上層基柱状部37と下層基柱状部38の両方を合わせて基柱状部39と呼称できる。なお、図20では図面の簡略化のため、電荷蓄積膜32とトンネル絶縁膜31を略して1層の膜として描いている。同様に他の図においても1層の膜として描いていることもある。
【0088】
ここで、ホール16,25,36内に半導体ボディ20となる不純物を含むアモルファスの半導体膜(例えば、リンドープアモルファスシリコン膜)を形成し、このアモルファスの半導体膜を加熱して多結晶の半導体膜に変えるとき、半導体膜は熱で凝縮する。半導体膜が熱で凝縮しても、図19の説明で述べたように開口径D1は大きくなるため、半導体膜の段切れによって、ホール16とホール25との境界部分にボイド(半導体膜で埋め込まれない部分)が発生することを抑制できる。これにより、半導体記憶装置の電気特性の向上を図れる。
【0089】
また、図26に示すように、本発明者等の研究によれば、MHずれ量が大きいほど、トランジスタ(例えば、ソース側選択トランジスタ)の閾値電圧の変動を抑制できることが分かった。
【0090】
図26において、MHずれ量が50nmの場合(例1)とMHずれ量が0nmの場合(例2)とを比べると、例1の閾値電圧のばらつきは、例2の閾値電圧のばらつきよりも小さい。例えば、図26中の黒四角の閾値電圧を基準にすると、例1のばらつきは470mVであるが、例2のばらつきは580mVであった。
【0091】
このようにトランジスタの閾値電圧の変動を抑制できることによっても、半導体記憶装置の電気特性の向上を図れることができる。
【0092】
なお、MHずれ量が大きいほど、閾値電圧の変動を抑制できる理由の一つとしては、半導体膜中の不純物の濃度分布のばらつきが小さくなることが考えられる。半導体膜中の不純物の濃度分布のばらつきが小さくなることで、ホール16とホール25との境界部分の半導体ボディ20には不純物が含まれることになる。
【0093】
図21に示すように、例えば4本の基柱状部39のY方向(左右方向)両側に、スリット41を形成する。スリット41は、リアクティブイオンエッチングなどのエッチング方法で形成できる。スリット41は、上部積層体29と下部積層体23をZ方向に貫通して半導体層11に達するように形成する。スリット41は、半導体層15と保護層14と犠牲層13と保護層12を貫通し、半導体層11に所定の深さで到達する深さとする。
【0094】
図22に示すように、スリット41を介しエッチング液を用いるエッチング処理を行い、保護層14と犠牲層13と保護層12を除去し、空洞部44を形成する。
【0095】
図22に示す状態から、スリット41の内面に図示略のライナー膜を形成し、空洞部44に露出している下層基柱状部38の下端部に形成されている大径部40に対しエッチングを行う。このエッチングにより大径部40の外周側の第1ブロック膜34と電荷蓄積膜32とトンネル絶縁膜31を除去する。このエッチングにより、空洞部44に半導体ボディ20を露出させることができる。
【0096】
この後、空洞部44を埋めるように半導体層を成膜すると、図4に示すソース線10bを形成することができるので、半導体層10aとソース線10bと半導体層10cを有する配線層領域10Aを形成できる。
【0097】
配線層領域10Aの形成後、ライナー膜を除去し、スリット41を介しエッチングを行い、下部積層体23と上部積層体29に積層されている犠牲層21を除去する。スリット41を介して供給するエッチング液またはエッチングガスにより、犠牲層21を除去し、犠牲層21が形成されていた部分に空洞を形成できる。
【0098】
この空洞に第2ブロック膜35と導電層70を形成することで、図4図6に示す構造と同等の構造を製造できる。
【0099】
なお、スリット41を介し犠牲層を除去した後、導電層を形成するまでの工程はこの種の3次元メモリにおいて公知であり、詳細には特開2018-142654号公報等に記載されている工程を参照できる。
【0100】
(第2実施形態)
図23は、第2実施形態の半導体記憶装置の構造を示す。
【0101】
本実施形態の半導体記憶装置が第1実施形態の半導体記憶装置と異なる点は、配線領域10Aのソース線10b内に、小径柱状部P4aおよび大径柱状部P4bを含む、第4柱状部P4が設けられていることにある。
【0102】
第4柱状部P4は、大径柱状部P4bは、小径柱状部P4aよりも基板の近くに位置する。大径柱状部P4bは、小径柱状部P4aよりも径が大きい。
【0103】
また、半導体層10cで囲まれた部分の電荷蓄積膜32およびブロック絶縁膜33の下面(積層膜下面)は、半導体層10cの下面よりも、+Z方向に位置する。積層膜下面と接する部分のソース線10bは、+Z方向に延出する。
【0104】
半導体層10aで囲まれた部分の電荷蓄積膜およびブロック絶縁膜の上面(積層膜上面)は、半導体層10aの上面よりも、-Z方向に位置する。積層膜上面と接する部分のソース線10bは、-Z方向に延出する。
【0105】
なお、図23では、ソース線10b内の第4柱状部P4の側面は、トンネル絶縁膜31、電荷蓄積膜32及びブロック絶縁膜33で覆われていないが、第4柱状部P4の側面がトンネル絶縁膜31、電荷蓄積膜32及びブロック絶縁膜33で覆われた構造を採用してもよい。
【0106】
本実施形態によれば、大径柱状部P4bが存在する分だけ、ソース線10bと下層柱状部LCL1との接触面積を大きくでき、微細化に伴うソース線10bと下層柱状部LCL1との間の接触抵抗の減少を抑制することが可能となる。
【0107】
(第3実施形態)
図24は、第3実施形態の半導体記憶装置の構造を示す。
【0108】
本実施形態の半導体記憶装置が第1実施形態の半導体記憶装置と異なる点は、配線領域10Aの半導体層10a、ソース線10bおよび半導体層10c内に、第3柱状部P3’が設けられていることにある。
【0109】
第3柱状部P3’は、第2柱状部P2よりも基板の近くに位置する。第3柱状部P3’と第2柱状部P2とは接続している。図24では、第3柱状部P3’の側面は、トンネル絶縁膜31、電荷蓄積膜32及びブロック絶縁膜33で覆われていないが、第4柱状部P4の側面がトンネル絶縁膜31、電荷蓄積膜32及びブロック絶縁膜33で覆われた構造を採用してもよい。
【0110】
第3柱状部P3’は、小径柱状部P3aと、大径柱状部P3bとを含む。小径柱状部P3aは、大径柱状部P3bよりも基板の近くに位置する。大径柱状部P3bは、小径柱状部P3aよりも径が大きい。小径柱状部P3aおよび大径柱状部P3bが存在することにより、半導体層10a、ソース線10bおよび半導体層10c内の第3柱状部P3’の径は、Z方向において、不連続に変化する。
【0111】
また、半導体層10cで囲まれた部分の電荷蓄積膜32およびブロック絶縁膜33の下面(積層膜下面)は、半導体層10cの下面よりも、+Z方向に位置する。積層膜下面と接する部分のソース線10bは、+Z方向に延出する。
【0112】
半導体層10aで囲まれた部分の電荷蓄積膜32およびブロック絶縁膜33の上面(積層膜上面)は、半導体層10aの上面よりも、-Z方向に位置する。積層膜上面と接する部分のソース線10bは、-Z方向に延出する。
【0113】
本実施形態によれば、大径柱状部P3bが存在する分だけ、ソース線10bと下層柱状部LCL1との接触面積を大きくでき、微細化に伴うソース線10bと下層柱状部LCL1との間の接触抵抗の減少を抑制することが可能となる。
【0114】
(第4実施形態)
図25は第4実施形態の半導体記憶装置の構造を示す。
【0115】
本実施形態の半導体記憶装置が第3実施形態の半導体記憶装置と異なる点は、第3実施形態の第3柱状部P3’(小径柱状部P3a、大径柱状部P3b)の代わりに、一つの径が大きい第3柱状部P3’’を含むことにある。第3柱状部P3’’の径は、ソース線10bと下層柱状部LCL1との間の設計上の接触抵抗と同じか、又は当該接触抵抗よりも大きくなるように選択される。
【0116】
なお、第3柱状部P3’’の径は、Z方向において連続的に変化しても構わないし、またはZ方向において一定であっても構わない。
【0117】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0118】
1…メモリセルアレイ、2…階段部、10…基板、10A…配線層領域、10a…半導体層、10b…ソース線、10c…半導体層、20…半導体ボディ、24…接続部、30…積層膜、31…トンネル絶縁膜、32…電荷蓄積膜(メモリ部)、33…ブロック絶縁膜、34…ブロック膜、43…絶縁層、50…コア部、60…絶縁部、70…導電層、72…絶縁層、100…積層体、100a…第1積層部、100c…下部積層体、100d…上部積層体、200…ストリングユニット、MC…メモリセル、CL1…柱状部、LCL1…下層柱状部、UCL1…上層柱状部、BL…ビット線、CLE…下端部、P1…第1柱状部、P2…第2柱状部、P3,P3’…第3柱状部、C1…第1軸、C2…第2軸、C3…第3軸、P4…第4柱状部、PP1…第1延出部、PP2…第2延出部、PP3…第3延出部、PP4…第4延出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26