(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126979
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】集球機
(51)【国際特許分類】
A63B 47/02 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A63B47/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035786
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】是永 賢二
(72)【発明者】
【氏名】荒川 修
(57)【要約】
【課題】より多くの球を収集可能とする。
【解決手段】集球機100は、駆動輪1a、1bと、複数の集球板3と、を備える。駆動輪1a、1bは、地面に接触し、回転することで集球機100を走行させる。複数の集球板3は、球の直径よりも小さい間隔で平行に取り付けられた複数の円板形状の集球板であって、集球機100の走行に伴って回転し、複数の集球板3の内で隣接する2つの集球板3の間に地面上に存在する球を挟持して収集する。複数の集球板3の内で、少なくとも一の第1集球板3aは、球の直径よりも小さい孔305を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面上を走行し、地面上に散乱する球を収集する集球機であって、
前記地面に接触し、回転することで前記集球機を走行させる駆動輪と、
前記球の直径よりも小さい間隔で平行に取り付けられた複数の円板形状の集球板であって、前記集球機の走行に伴って回転し、複数の前記集球板の内で隣接する2つの集球板の間に地面上に存在する球を挟持して収集する複数の集球板と、
を備え、
前記複数の集球板の内で、少なくとも一の集球板は、前記球の直径よりも小さい孔を有する、集球機。
【請求項2】
前記一の集球板は、複数の孔を有し、
当該複数の孔は、前記一の集球板の外周部において周方向に沿って配置される、請求項1に記載の集球機。
【請求項3】
前記一の集球板は、外周部から中心部に向けて複数のスリットを有する、請求項1に記載の集球機。
【請求項4】
前記孔は、前記一の集球板の隣接する2つのスリットの間に配置される、請求項3に記載の集球機。
【請求項5】
前記複数のスリットは、第1長さを有する第1スリットと、前記第1長さよりも短い第2長さを有する第2スリットと、を含み、
前記第1スリットと前記第2スリットは、前記一の集球板の周方向に沿って交互に配置される、請求項3に記載の集球機。
【請求項6】
前記孔は、前記集球板の隣接する前記第1スリットと前記第2スリットとの間に設けられる、請求項5に記載の集球機。
【請求項7】
前記集球板の隣接する2つのスリットにより区切られた部分には、その外周側の端部に面取りが形成されている、請求項3に記載の集球機。
【請求項8】
隣接する一対の集球板のうち一方に設けられた孔の周方向における位置と、他方の集球板に設けられた孔の周方向における位置と、は互いにずれている、請求項1に記載の集球機。
【請求項9】
複数の集球板のうち隣接する一対の第1集球板の間に配置され、前記集球機の走行に伴い、当該一対の第1集球板に挟持された球を取り外す第1分離部材と、
複数の集球板のうち前記第1集球板とは異なる隣接する一対の第2集球板に配置され、前記集球機の走行に伴い、当該一対の第2集球板に挟持された球を、前記一対の第1集球板に挟持された球よりも早いタイミングで取り外す第2分離部材と、
をさらに備える、請求項1に記載の集球機。
【請求項10】
前記第2分離部材は、複数の集球板の中央部に配置された一対の第2集球板の間に配置され、前記第2集球板には前記孔が設けられていない、請求項9に記載の集球機。
【請求項11】
前記駆動輪を駆動して前記集球機を自律走行させる制御部をさらに備える、請求項10に記載の集球機。
【請求項12】
複数の集球板を前記駆動輪に対して上下方向に移動自在に保持する保持部材をさらに備える、請求項11に記載の集球機。
【請求項13】
複数の集球板は、前記集球機の後進時に逆回転可能となっており、
複数の集球板が逆回転したときに、前記集球機の後進に伴い、複数の集球板に挟持された球を取り除く第3分離部材をさらに備える、請求項1に記載の集球機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の走行領域に散乱した球を収集する集球機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ゴルフ練習場などにおいて、ゴルフ練習場などの所定の領域に散乱した球を集球する装置(集球機)が知られている(例えば、特許文献1を参照)。集球機は、平行に並んで配置された複数の板(集球板と呼ぶ)を有し、複数の集球板のうち相互に隣接する一対の集球板の間に球を挟み込むことで、所定の領域に散乱した球を収集する。
【0003】
上記の集球機では、集球板の外周面から中心部に向けて延びる多数のスリットを周方向に設け、球を挟持可能な多数の挟持部分を集球板に形成している。多数の挟持部分を形成することで、多くの球を集球板に同時に挟持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
集球板にスリットを設けることにより、集球板に多数の球の挟持部分が形成される一方で、球を挟持した挟持部分では弾性変形が発生する。球を挟持した挟持部分において弾性変形が発生すると、それに隣接する挟持部分の間隔が狭くなり球を挟持できなくなることがある。つまり、従来の集球板では、全ての挟持部分に同時に球を挟持できないため、十分な数の球を同時に収集することができなかった。この結果、従来の集球機では、所定の領域に散乱した球を効率よく収集できなかった。
【0006】
本発明の目的は、互いに隣接する一対の集球板の間に球を挟み込むことで球を収集する複数の集球板を有する集球機において、より多くの球を収集可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一態様に係る集球機は、地面上を走行し、地面上に散乱する球を収集する集球機である。集球機は、駆動輪と、複数の集球板と、を備える。駆動輪は、地面に接触し、回転することで集球機を走行させる。複数の集球板は、球の直径よりも小さい間隔で平行に取り付けられた複数の円板形状の集球板である。複数の集球板は、集球機の走行に伴って回転し、複数の集球板の内で隣接する2つの集球板の間に地面上に存在する球を挟持して収集する。複数の集球板の内で、少なくとも一の集球板は、球の直径よりも小さい孔を有する。
【0008】
上記の集球機では、複数の集球板の内で少なくとも一の集球板に設けられた孔が、球の直径よりも小さいので、互いに隣接する一対の集球板に球を挟持したときに、球が集球板に設けられた孔から抜けず入り込む。孔に入り込んだ状態の球を一対の集球板で挟持する場合には、当該一対の集球板の間隔を球の直径に相当する大きさに拡げる必要がなくなる。すなわち、集球板に孔を設けることで、球を挟持した一対の集球板の変形を抑制できる。球を挟持した一対の集球板の変形を抑制できれば、球を挟持した箇所以外での一対の集球板の間隔が狭くなることが抑制されるので、複数の集球板の多くの箇所で球を同時に挟持できる。この結果、集球機は、より多くの球を同時に収集できる。
【0009】
上記の集球機において、一の集球板は、複数の孔を有してもよい。この場合、当該複数の孔は、一の集球板の外周部において周方向に沿って配置されてもよい。これにより、集球板の外周部において周方向に沿って球が挟持されるため、集球板の変形をさらに抑制できる。
【0010】
上記の集球機において、一の集球板は、外周部から中心部に向けて複数のスリットを有してもよい。これにより、スリットで区切られた部分ごとに球が挟持され、当該部分毎に集球板が変形するので、集球板全体が変形することを抑制できる。この結果、集球板の多くの箇所で球を挟持可能となるので、より多くの球を同時に収集できる。
【0011】
上記の集球機において、孔は、一の集球板の隣接する2つのスリットの間に配置されてもよい。これにより、2つのスリットで区切られた部分において孔に球が入り込むことで当該部分での変形が抑制されるとともに、集球板の球を挟持した部分以外の変形を抑制できる。つまり、球を挟持することで集球板全体が変形することを抑制できる。この結果、集球板のさらに多くの箇所で球を挟持可能となり、さらに多くの球を同時に収集できる。
【0012】
上記の集球機において、複数のスリットは、第1スリットと、第2スリットと、を含んでもよい。第1スリットは、第1長さを有する。第2スリットは、第1長さよりも短い第2長さを有する。この場合、第1スリットと第2スリットは、集球板の周方向に沿って交互に配置されてもよい。これにより、第1スリット及び第2スリットで区切られた部分における集球板の変形を抑制しつつ、集球板の強度を向上できる。
【0013】
上記の集球機において、孔は、集球板の隣接する第1スリットと第2スリットとの間に設けられてもよい。これにより、第1スリットと第2スリットで区切られた部分において孔に球が入り込むことで当該部分での変形が抑制されるとともに、集球板の一部で球を挟持することで集球板全体が変形することを抑制でき、さらに、集球板の強度を向上できる。
【0014】
上記の集球機において、集球板の隣接する2つのスリットにより区切られた部分には、その外周側の端部に面取りが形成されていてもよい。これにより、地面上の球の上で集球板が乗り上げることを抑制できる。
【0015】
上記の集球機において、隣接する一対の集球板のうち一方に設けられた孔の周方向における位置と、他方の集球板に設けられた孔の周方向における位置と、は互いにずれていてもよい。これにより、球が孔に入り込む確率が向上する。すなわち、球が孔に入り込みやすくなる。この結果、集球板の変形をさらに抑制できる。
【0016】
上記の集球機は、第1分離部材と、第2分離部材と、をさらに備えてもよい。第1分離部材は、複数の集球板のうち隣接する一対の第1集球板の間に配置され、集球機の走行に伴い、当該一対の第1集球板の対に挟持された球を取り外す。第2分離部材は、複数の集球板のうち第1集球板とは異なる隣接する一対の第2集球板の間に配置され、集球機の走行に伴い、当該一対の第2集球板に挟持された球を、一対の第1集球板に挟持された球よりも早いタイミングで取り外す。
【0017】
これにより、一対の第1集球板から球を取り外すタイミングと、一対の第2集球板から球を取り外すタイミングと、をずらすことができる。この結果、複数の集球板に挟持された球をスムーズに取り外すことができる。
【0018】
上記の集球機において、第2分離部材は、複数の集球板の中央部に配置された一対の第2集球板の間に配置されてもよい。この場合、第2集球板には孔が設けられていなくてもよい。複数の集球板の中央部において、一対の第2集球板は、変形が少なく球を取り外しやすい。この場合、一対の第2集球板には孔を設ける必要はない。一対の第2集球板に孔を設けないことにより、集球板の製造コストを安価にできる。また、第2分離部材を一対の第2集球板の間に設けることにより、中央部に挟持された球を中央部以外よりも早いタイミングで取り外して、中央部以外における集球板の変形を抑制できる。
【0019】
上記の集球機は、制御部をさらに備えてもよい。制御部は、駆動輪を駆動して集球機を自律走行させる。これにより、集球機は、地面上を自律走行しつつ、地面上に散乱した球を自律的に収集できる。
【0020】
上記の集球機は、保持部材をさらに備えてもよい。保持部材は、複数の集球板を駆動輪に対して上下方向に移動自在に保持する。これにより、地面の凹凸などに集球板が乗り上げた場合にも、保持部材により集球板が凹凸に応じて上下方向に移動できるので、駆動輪を地面上に接触させておくことができる。
【0021】
上記の集球機において、複数の集球板は、集球機の後進時に逆回転可能となっていてもよい。この場合、集球機は、第3分離部材をさらに備えてもよい。第3分離部材は、複数の集球板が逆回転したときに、集球機の後進に伴い、複数の集球板に挟持された球を取り除く。これにより、集球機の後進時に球が集球機の奥に入り込むことを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
上記の集球機では、球を挟持した集球板の変形を抑制して、球を挟持した箇所以外での集球板の間隔が狭くなることを抑制できる。この結果、集球板の多くの箇所で球を同時に挟持できるようになるので、より多くの球を同時に収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図4】一対の集球板から球が取り外されるタイミングを示す図。
【
図7】集球板に孔を設けない場合の集球板の変形量と、集球板に孔を設けた場合の集球板の変形量とを示す図。
【
図8】互いに隣接する一対の第1集球板における孔の位置関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.第1実施形態
(1)集球機
以下、
図1及び
図2を用いて、集球機100を説明する。
図1は、集球機100の斜視図である。
図2は、集球機100を
図1とは別の方向から視た斜視図である。集球機100は、地面上を自律走行しつつ、地面上に散乱した球を収集する。地面は、例えば、ゴルフ練習場である。集球機100で収集する球は、例えば、ゴルフボールである。集球機100は、駆動輪1a、1bと、複数の集球板3と、集球カゴ5と、制御装置7と、を備える。
【0025】
駆動輪1a、1bは、本体Bの中央部分の左右に一対設けられる。駆動輪1a、1bは、地面に接触した状態で回転することで、集球機100を走行させる。駆動輪1a、1bは、それぞれ、走行モータ21a、21b(
図5)の駆動によって独立して回転する。一対の駆動輪1a、1bの回転速度を同一とすることで、集球機100は直進できる。一対の駆動輪1a、1bの回転速度を異ならせることで、集球機100は、回転速度の遅い駆動輪1a、1bの方向に旋回できる。
【0026】
本体Bの後方部分の左右には、従動輪1c、1dが一対設けられる。従動輪1c、1dは、集球機100の走行に従って回転する。従動輪1c、1dを設けることにより、本体Bを後方で支持できる。
【0027】
複数の集球板3は、円板形状の部材である。複数の集球板3は、本体Bの中央部において、本体Bの幅方向に相互に所定の間隔を空けて平行に配置される。複数の集球板3の配置間隔は、収集対象の球の直径よりも小さい。また、複数の集球板3は、プラスチックなどの変形しやすい材料で構成されている。具体的には、複数の集球板3は、例えば、塩化ビニルにより構成できる。以上により、複数の集球板3は、互いに隣接する一対の集球板3の隙間に球が入り込んだときに変形し、元の形状に戻ろうとする復元力によって球を挟持できる。
【0028】
本実施形態において、集球機100は、11枚の集球板3を有する。11枚の集球板3おいては、互いに隣接する一対の集球板3が10組形成される。集球板3を2枚より多い数設けることで、複数組の集球板3の対を形成できる。この結果、複数の集球板3は、より多くの球を挟持できる。
【0029】
図3に示すように、複数の集球板3は、板支持シャフト31に挿入されて支持される。すなわち、複数の集球板3は、同軸に配置される。板支持シャフト31の両端は、保持部材33に回動可能に支持される。板支持シャフト31の回転軸は、駆動輪1a、1bの回転軸と同軸とされている。複数の集球板3は、板支持シャフト31と一体的に回転させられるように板支持シャフト31に固定されている。これにより、複数の集球板3は、駆動輪1a、1bとともに地面に接触し、集球板3の走行に従って板支持シャフト31の軸心周りに回転できる。集球板3の走行に従って回転することで、複数の集球板3は、集球板3の周方向の複数の箇所に球を挟持できる。この結果、複数の集球板3は、多数の球を同時に挟持できる。
図3は、集球機100の保持部材33付近の拡大図である。
【0030】
保持部材33は、連結部材35により、板支持シャフト31と平行な軸周りに回動可能に本体Bに連結されている。保持部材33が、板支持シャフト31と平行な軸周りに回動可能であることで、複数の集球板3を駆動輪1a、1bに対して上下方向に移動できる。複数の集球板3を駆動輪1a、1bに対して上下方向に移動可能であることで、例えば、集球板3は、地面の凹凸に乗り上げた場合に、地面の凹凸に応じて上下方向に移動できる。この結果、駆動輪1a、1bを地面上に常に接触できる。例えば、集球板3が地面上の凹凸に乗り上げて、駆動輪1a、1bが地面に接触できなくなることで、集球機100が走行できなくなることを回避できる。
【0031】
図1及び
図2に示すように、複数の集球板3において互いに隣接する一対の集球板3の間には、分離部材が設けられる。分離部材は、一対の集球板3の間に挟持された球を取り外す。分離部材は、第1分離部材4aと、第2分離部材4bと、を含む。
【0032】
第1分離部材4aは、複数の集球板のうち中央部以外に配置された一対の第1集球板3aの間に配置される。なお、第1集球板3aの対は複数組存在する。また、第1集球板3aには、後述する孔が設けられている。第1分離部材4aは、集球機100の走行(前進)に伴い、一対の第1集球板3aに挟持された球を取り外す。第1分離部材4aは、例えば、水平方向に延びる板状の部材である。
【0033】
第2分離部材4bは、複数の集球板3のうち中央部に配置された一対の第2集球板3bの間に配置される。なお、第2集球板3bには、後述する孔が設けられていない。第2分離部材4bは、集球機100の走行(前進)に伴い、一対の第2集球板3bに挟持された球を取り外す。第2分離部材4bは、第1分離部材4aよりも上に配置される。第2分離部材4bは、第1分離部材4aよりも集球機100の後側に、スロープ部41bを有する。
【0034】
上記のように、第2分離部材4bを第1分離部材4aよりも上に配置することにより、第2分離部材4bは、第1分離部材4aが一対の第1集球板3aから球を取り外すよりも早いタイミングで、一対の第2集球板3bから球を取り外すことができる。具体的には、
図4に示すように、集球機100が前進しており、集球板3が
図4の矢印の方向に回転している場合、一対の第2集球板3bに挟持された球は、第1分離部材4aより後方のスロープ部41bにより一対の第2集球板3bから押し出される。このため、一対の第2集球板3bに挟持された球は、一対の第1集球板3aから球が取り外される位置P1よりも後側の位置P2で一対の第2集球板3bから取り外される。すなわち、一対の第2集球板3bに挟持された球は、一対の第1集球板3aに挟持された球よりも前に、一対の第2集球板3bから取り外される。
図4は、一対の集球板から球が取り外されるタイミングを示す図である。
【0035】
また、複数の集球板3の中央部に第2分離部材4bを設けることで、中央部に配置された一対の第2集球板3bから球を取り外した後、中央部以外の一対の第1集球板3aから球を取り外すことができる。例えば、複数の集球板3a、3bに挟持された複数の球が、集球板の周方向における同じ位置(同位相)に横並びに揃う配置となった場合、第1分離部材4aのみによりそれら複数の球を同じタイミングで取り外すことを考えると、挟持に伴う集球板3a、3b全体の圧力(集球板3a、3bと球との当接部分の摩擦力)が大きくなり、球が集球板3a、3bから外れなくなるおそれがある。
【0036】
本実施形態においては、中央部の一対の第2集球板3bに挟持された球を中央部以外の一対の第1集球板3aよりも早いタイミングで取り外すことで、中央部以外における第1集球板3aの変形を抑制できるので、第1集球板3aと球との当接部分の摩擦力を低減でき、一対の第1集球板3aに挟持された球をスムーズに取り外すことができる。
【0037】
図3に示すように、集球機100は、第3分離部材4cを備える。第3分離部材4cは、保持部材33の下部から、集球機100の後側に延びる板状の部材である。第3分離部材4cは、集球機100が後進することで複数の集球板3が逆回転したときに、集球機100の後進に伴い、複数の集球板3に挟持された球を取り除く。すなわち、集球機100が後進しており、集球板3が逆回転している場合、一対の集球板3に挟持された球は、第3分離部材4cに当接することで一対の集球板3の間から取り外される。このように、集球機100の後進時に複数の集球板3に挟持された球を取り除くことで、集球機100の後進時に球が集球機100の奥に入り込むことを防止できる。
【0038】
集球カゴ5は、本体Bの前方に設けられ、複数の集球板3から取り外された球を蓄積する。集球カゴ5の底部は、格子状に構成されている。これにより、集球機100を軽量化できる。集球カゴ5の側部には、排球扉51が設けられる。排球扉51には、開閉センサが設けられており、制御装置7において排球扉51の開閉状態が把握可能となっている。排球扉51を開くことで、集球カゴ5に蓄積された球を外部に排出できる。例えば、集球機100が地面に設けられた排球溝の近傍に到達したときに、排球扉51が開き、集球カゴ5に蓄積された球が排球溝に排出される。
【0039】
集球カゴ5と複数の集球板3との間には、板状部材53が配置される。板状部材53は、複数の集球板3から取り外された球を、集球カゴ5にガイドする。板状部材53を設けることにより、集球カゴ5の集球板3に近い側に球が滞留することを防止できる。
【0040】
なお、上記の第2分離部材4bは、板状部材53の集球カゴ5に近い側まで延びている。これにより、第2分離部材4bにより取り外された球を、集球カゴ5により近い側から集球カゴ5に入れることができる。
【0041】
制御装置7は、集球機100を制御する装置である。具体的には、制御装置7は、CPU、記憶装置(例えば、RAM、ROM、SSD、HDDなどの記憶装置)、各種インタフェースにより構成されるコンピュータシステムである。なお、制御装置7は、本体Bの後方に設けられる。制御装置7は、バッテリー9から電力を供給される。
【0042】
以下、
図5を用いて、制御装置7の具体的構成を説明する。
図5は、集球機100の制御構成を示す図である。制御装置7には、各種センサが接続される。具体的には、制御装置7には、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)受信機15と、方角検出センサ17と、が接続される。
【0043】
図1及び
図2に示すように、GNSS受信機15は、制御装置7の上部に設けられ、地面上における集球機100の現在位置に関する情報(位置情報)を取得する。方角検出センサ17は、制御装置7の上部に設けられ、地面上における集球機100の向き(方角)を測定する。方角検出センサ17は、例えば、集球機100の位置における地磁気の向きを測定する地磁気センサ、GNSSコンパスなどである。
【0044】
制御装置7には、コントローラ19が接続される。コントローラ19は、無線通信にて、制御装置7と通信する。コントローラ19は、集球機100をユーザの操作によりコントロールするための装置である。
【0045】
制御装置7には、走行モータ21a、21bと、排球モータ23と、が接続される。走行モータ21aの出力回転軸は、駆動機構を介して、駆動輪1aに接続される。走行モータ21aは、駆動輪1aを回転させる。走行モータ21bの出力回転軸は、駆動機構を介して、駆動輪1bに接続される。走行モータ21bは、駆動輪1bを回転させる。排球モータ23の出力回転軸は、駆動機構を介して、排球扉51に接続される。排球モータ23は、排球扉51を開閉させる。
【0046】
制御装置7は、制御部71と、記憶部73と、を有する。制御部71は、制御装置7のCPU、各種インタフェースなどにより構成され、集球機100に関する各種制御を実行する。制御部71は、記憶部73に記憶されたプログラムを実行し、集球機100に関する各種制御を実行する。なお、制御部71は、上記制御の一部をハードウェア的に実現してもよい。
【0047】
制御部71は、GNSS受信機15により得られた集球機100の位置情報と、方角検出センサ17により得られた地面上における集球機100の向きと、に基づいて、記憶部73に記憶された走行スケジュールSCに従って、走行モータ21a、21b、排球モータ23を制御する。具体的には、制御部71は、走行スケジュールSCに示された経路に従って集球機100を走行させるよう、走行モータ21a、21bの回転(すなわち、駆動輪1a、1bの回転)を制御する。また、制御部71は、球の排球箇所(例えば、排球溝)の近傍に集球機100が到着したときに、排球モータ23の駆動により排球扉51を開く。排球後には、排球扉51を閉じるよう排球モータ23を駆動する。
【0048】
以上の制御により、制御部71は、走行スケジュールSCに従って集球機100を地面上にて自律走行させつつ、地面上に散乱した球を自律的に集球及び排球できる。
【0049】
また、制御部71は、コントローラ19の操作に従って、走行モータ21a、21b、排球モータ23を制御する。これにより、制御部71は、集球機100をユーザの操作により走行させることができる。
【0050】
記憶部73は、制御部71により実行されるプログラム、集球機100の制御に必要なパラメータ、設定、走行スケジュールSCなどを記憶する。走行スケジュールSCは、例えば、集球機100に自律走行させたい経路の情報(例えば、集球機100が通過すべき通過点に関する情報)と、どのタイミングで排球扉51を開閉させるかに関する情報などを含む。
【0051】
集球機100の構成の説明に戻る。集球機100は、第1棒状部材11を備える。第1棒状部材11は、チェーン部材11aを介して、地面と近接した状態で本体Bの前方左右端に配置される。第1棒状部材11は、前側の端部が外側を向き、後側の端部が内側を向くよう斜めに配置される。第1棒状部材11は、地面上に散乱した球を複数の集球板3にガイドする。
【0052】
集球機100は、第2棒状部材13を備える。第2棒状部材13は、チェーン部材13aを介して、地面と近接した状態で、第1棒状部材11よりも後方の本体Bの左右端に配置される。第2棒状部材13は、前側の端部が内側を向き、後側の端部が外側を向くよう斜めに配置される。第2棒状部材13は、地面上に散乱した球が駆動輪1a、1bに近づくことを防止する。
【0053】
(2)集球板
以下、
図6を用いて、集球板3(第1集球板3a、第2集球板3b)の構成を説明する。
図6は、集球板3の構成を示す図である。集球板3は、軸挿入穴301を有する。軸挿入穴301は、集球板3の中心に設けられる。軸挿入穴301には、板支持シャフト31が挿入される。これにより、複数の集球板3を、板支持シャフト31において同軸に配置できる。
【0054】
集球板3は、第1スリット302と、第2スリット303と、を有する。第1スリット302は、集球板3の外周から中心に向けて第1長さだけ延び、集球板3を周方向に等分する。
図6に示す例では、第1スリット302は、集球板3を周方向に12等分している。
【0055】
第2スリット303は、一対の第1スリット302の間に配置される。すなわち、第1スリット302と第2スリット303は、集球板3の周方向に沿って交互に配置される。第2スリット303は、集球板3の外周から中心に向けて、第1長さよりも短い第2長さだけ延び、一対の第1スリット302で形成された部分を等分する。
【0056】
集球板3に上記の第1スリット302と第2スリット303を設けることにより、第1スリット302とそれに隣接する第2スリット303とで区切られた部分に球が挟持され、この部分が変形する一方で、他の部分では変形が抑制される。すなわち、球を挟持することで集球板3の全体が変形することを抑制できる。この結果、集球板3のより多くの部分で球を挟持可能となり、より多くの球を同時に収集できる。
【0057】
また、集球板3に長い第1スリット302と短い第2スリット303とを交互に配置することにより、全てのスリットを長くする場合と比較して集球板3の強度を向上できる。具体的には、全てのスリットを長くすると、集球板3に強度的には弱い細長い部分が多数形成される。その一方で、長い第1スリット302と短い第2スリット303とを交互に配置することにより、長い第1スリット302と短い第2スリット303との間に形成される細い部分の長さを短くして強度を向上できるとともに、隣接する2つの第1スリット302の間に形成される部分の幅を大きくして強度を向上できる。
【0058】
図6に示すように、集球板3において、隣接する2つのスリット(すなわち、第1スリット302と、それに隣接する第2スリット303)により区切られた部分には、その外周側の端部に面取り部304が形成されている。具体的には、隣接する2つのスリットにより区切られた部分の外周側の両端部が、斜めに切り落とされている。
【0059】
隣接する2つのスリットにより区切られた部分の外周側の両端部に面取り部304を形成することにより、集球板3が球に乗り上げようとするときに、当該球が集球板3により弾き飛ばされることで、集球板3が球に乗り上げることを抑制できる。
【0060】
複数の集球板3のうち第1集球板3aは、複数の孔305を有する。孔305は、第1集球板3aの厚み方向に貫通して設けられたものである。上記のように、複数の集球板3の中央部に配置される第2集球板3bには、孔305が形成されていない。なぜなら、複数の集球板3の中央部では、球を挟持した一対の第2集球板3bの変形が少なく、一対の第2集球板3bから球を取り外しやすいからである。このように、球を挟持したときの変形が少ない場合には、第2集球板3bに孔305を設ける必要はないからである。第2集球板3bに孔305を設けないことにより、複数の集球板3の製造コストを安価にできる。
【0061】
複数の孔305は、第1集球板3aの外周部において、周方向に沿って並んで配置されている。具体的には、各孔305が、第1スリット302とそれに隣接する第2スリット303とによって区切られた部分の外周側に配置される。このように、第1スリット302とそれに隣接する第2スリット303とによって区切られた部分に孔305を配置することで、当該部分に球を挟持しやすくなる。この結果、第1集球板3aの球が挟持された部分のみ変形する一方で、他の部分において第1集球板3aの変形を抑制できる。この結果、一対の第1集球板3aの多くの部分に球を挟持して、より多くの球を同時に収集できる。
【0062】
各孔305は、集球する球の直径よりも小さい寸法を有する。
図6に示すように、孔305の形状を円形とする場合、孔305の直径を球の直径よりも小さくする。これにより、一対の第1集球板3aに球を挟持したときに、球が孔305から抜け出ることなく入り込む。一対の第1集球板3aに挟持された球が孔305に入り込むことで、球を挟持した一対の第1集球板3aの変形量を小さくできる。具体的には、
図7に示すように、集球板に孔を設けない場合には、一対の集球板に球を挟持するために、一対の集球板を球の直径に相当する大きさに拡げる必要がある(
図7の(A))。その一方、集球板に孔を設けた場合には、挟持した球が孔に入り込むので、一対の集球板に球を挟持するために、一対の集球板を球の直径に相当する大きさに拡げる必要はない(
図7の(B))。
図7は、集球板に孔を設けない場合の集球板の変形量と、集球板に孔を設けた場合の集球板の変形量とを示す図である。
【0063】
球を挟持した一対の第1集球板3aの変形を抑制できれば、球を挟持した箇所以外での一対の集球板3の間隔が狭くなることが抑制されるので、複数の集球板の多くの箇所で球を同時に挟持できる。この結果、集球機100は、より多くの球を同時に収集できる。
【0064】
なお、孔305の形状は、球の直径よりも小さい直径を有する円に限られない。孔305の形状として、例えば、少なくとも短軸の長さが球の直径よりも小さい楕円、球の直径よりも小さい直径の円を内接できる多角形(三角形、四角形、五角形、六角形など)など、球の表面を内接させる寸法を有する任意形状を採用できる。
【0065】
また、複数の集球板3において、互いに隣接する一対の第1集球板3aのうち一方に設けられた孔305の周方向における位置と、他方の第1集球板3aに設けられた孔305の周方向における位置と、は互いにずれている。具体的には、
図8に示すように、第1集球板3aの回転軸の方向から見た場合に、互いに隣接する一対の第1集球板3aのうち、一方の第1集球板3a(
図8において実線で示した集球板)に設けられた孔305の位置と、他方の第1集球板3a’(
図8において破線で示した集球板)に設けられた孔305’の位置と、が互いにずれている。
図8は、互いに隣接する一対の第1集球板3aにおける孔305の位置関係を示す図である。
【0066】
このように、互いに隣接する一対の第1集球板3aのうち一方に設けられた孔305の周方向における位置と、他方の第1集球板3aに設けられた孔305の周方向における位置と、を互いにずらすことにより、第1集球板3aの周方向により多くの孔305を配置できるので、球が孔305に入り込む確率が向上する。つまり、球が孔305に入り込みやすくなる。球が孔305に入り込みやすくなることで、第1集球板3aの変形をさらに抑制できる。
【0067】
2.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
上記の実施形態では、第2分離部材4bは、第1分離部材4aの上に固定される部材であった。これにより、必要に応じて、第2分離部材4bにより球を取り外すようにしていた箇所を、第1分離部材4aにより球を取り外すよう変更できる。しかし、これに限られず、例えば、第2分離部材4bを、第1分離部材4aと同じような板状の部材とし、この板状の部材を第1分離部材4aよりも高い位置に配置することで実現してもよい。
【0068】
3.実施形態の特徴
上記実施形態は、下記のようにも説明できる。
(1)集球機(例えば、集球機100)は、駆動輪(例えば、駆動輪1a、1b)と、複数の集球板(例えば、集球板3)と、を備える。駆動輪は、地面に接触し、回転することで集球機を走行させる。複数の集球板は、球の直径よりも小さい間隔で平行に取り付けられた複数の円板形状の集球板である。複数の集球板は、集球機の走行に伴って回転し、複数の集球板の内で隣接する2つの集球板の間に地面上に存在する球を挟持して収集する。上記の収集機において、複数の集球板の内で、少なくとも一の集球板は、球の直径よりも小さい孔を有する。
【0069】
上記の集球機では、複数の集球板の内で少なくとも一の集球板に設けられた孔が、球の直径よりも小さいので、互いに隣接する一対の集球板に球を挟持したときに、球が集球板に設けられた孔から抜けず入り込む。孔に入り込んだ状態の球を一対の集球板で挟持する場合には、当該一対の集球板の間隔を球の直径に相当する大きさに拡げる必要がなくなる。すなわち、集球板に孔を設けることで、球を挟持した一対の集球板の変形を抑制できる。球を挟持した一対の集球板の変形を抑制できれば、球を挟持した箇所以外での一対の集球板の間隔が狭くなることが抑制されるので、複数の集球板の多くの箇所で球を同時に挟持できる。この結果、集球機は、より多くの球を同時に収集できる。
【0070】
(2)上記(1)の集球機において、一の集球板は、複数の孔を有してもよい。この場合、当該複数の孔は、一の集球板の外周部において周方向に沿って配置されてもよい。これにより、集球板の外周部において周方向に沿って球が挟持されるため、集球板の変形をさらに抑制できる。
【0071】
(3)上記(1)又は(2)の集球機において、一の集球板は、外周部から中心部に向けて複数のスリット(例えば、第1スリット302、第2スリット303)を有してもよい。これにより、スリットで区切られた部分ごとに球が挟持され、当該部分毎に集球板が変形するので、集球板全体が変形することを抑制できる。この結果、集球板の多くの箇所で球を挟持可能となるので、より多くの球を同時に収集できる。
【0072】
(4)上記(3)の集球機において、孔は、一の集球板の隣接する2つのスリットの間に配置されてもよい。これにより、2つのスリットで区切られた部分において孔に球が入り込むことで当該部分での変形が抑制されるとともに、集球板の球を挟持した部分以外の変形を抑制できる。つまり、球を挟持することで集球板全体が変形することを抑制できる。この結果、集球板のさらに多くの箇所で球を挟持可能となり、さらに多くの球を同時に収集できる。
【0073】
(5)上記(3)又は(4)の集球機において、複数のスリットは、第1スリット(例えば、第1スリット302)と、第2スリット(例えば、第2スリット303)と、を含んでもよい。第1スリットは、第1長さを有する。第2スリットは、第1長さよりも短い第2長さを有する。この場合、第1スリットと第2スリットは、集球板の周方向に沿って交互に配置されてもよい。これにより、第1スリット及び第2スリットで区切られた部分における集球板の変形を抑制しつつ、集球板の強度を向上できる。
【0074】
(6)上記(5)の集球機において、孔は、集球板の隣接する第1スリットと第2スリットとの間に設けられてもよい。これにより、第1スリットと第2スリットで区切られた部分において孔に球が入り込むことで当該部分での変形が抑制されるとともに、集球板の一部で球を挟持することで集球板全体が変形することを抑制でき、さらに、集球板の強度を向上できる。
【0075】
(7)上記(3)~(6)のいずれかの集球機において、集球板の隣接する2つのスリットにより区切られた部分には、その外周側の端部に面取り(例えば、面取り部304)が形成されていてもよい。これにより、地面上の球の上で集球板が乗り上げることを抑制できる。
【0076】
(8)上記(1)~(6)のいずれかの集球機において、互いに隣接する一対の集球板のうち一方に設けられた孔の周方向における位置と、他方の集球板に設けられた孔の周方向における位置と、は互いにずれていてもよい。これにより、球が孔に入り込む確率が向上する。すなわち、球が孔に入り込みやすくなる。この結果、集球板の変形をさらに抑制できる。
【0077】
(9)上記(1)~(8)のいずれかの集球機は、第1分離部材(例えば、第1分離部材4a)と、第2分離部材(例えば、第2分離部材4b)と、をさらに備えてもよい。第1分離部材は、複数の集球板のうち隣接する一対の第1集球板(例えば、第1集球板3a)の間に配置され、集球機の走行に伴い、当該一対の第1集球板の対に挟持された球を取り外す。第2分離部材は、複数の集球板のうち第1集球板とは異なる隣接する一対の第2集球板(例えば、第2集球板3b)の間に配置され、集球機の走行に伴い、当該一対の第2集球板に挟持された球を、一対の第1集球板に挟持された球よりも早いタイミングで取り外す。
【0078】
これにより、一対の第1集球板から球を取り外すタイミングと、一対の第2集球板から球を取り外すタイミングと、をずらすことができる。この結果、複数の集球板に挟持された球をスムーズに取り外すことができる。
【0079】
(10)上記(9)の集球機において、第2分離部材は、複数の集球板の中央部に配置された一対の第2集球板の間に配置されてもよい。この場合、第2集球板には孔が設けられていなくてもよい。複数の集球板の中央部において、一対の第2集球板は、変形が少なく球を取り外しやすい。この場合、一対の第2集球板には孔を設ける必要はない。一対の第2集球板に孔を設けないことにより、集球板の製造コストを安価にできる。また、第2分離部材を一対の第2集球板の間に設けることにより、中央部に挟持された球を中央部以外よりも早いタイミングで取り外して、中央部以外における集球板の変形を抑制できる。
【0080】
(11)上記(1)~(10)のいずれかの集球機は、制御部(例えば、制御装置7)をさらに備えてもよい。制御部は、駆動輪を駆動して集球機を自律走行させる。これにより、集球機は、地面上を自律走行しつつ、地面上に散乱した球を自律的に収集できる。
【0081】
(12)上記(11)の集球機は、保持部材(例えば、保持部材33)をさらに備えてもよい。保持部材は、複数の集球板を駆動輪に対して上下方向に移動自在に保持する。これにより、地面の凹凸などに集球板が乗り上げた場合にも、保持部材により集球板が凹凸に応じて上下方向に移動できるので、駆動輪を地面上に接触させておくことができる。
【0082】
(13)上記(1)~(12)のいずれかの集球機において、複数の集球板は、集球機の後進時に逆回転可能となっていてもよい。この場合、集球機は、第3分離部材(例えば、第3分離部材4c)をさらに備えてもよい。第3分離部材は、複数の集球板が逆回転したときに、集球機の後進に伴い、複数の集球板に挟持された球を取り除く。これにより、集球機の後進時に球が集球機の奥に入り込むことを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、所定の走行領域に散乱した球を収集する集球機に広く適用できる。
【符号の説明】
【0084】
100 :集球機
B :本体
1a、1b :駆動輪
1c、1d :従動輪
3 :集球板
3a :第1集球板
3a’ :第1集球板
3b :第2集球板
301 :軸挿入穴
302 :第1スリット
303 :第2スリット
304 :面取り部
305、305’ :孔
4a :第1分離部材
4b :第2分離部材
41b :スロープ部
4c :第3分離部材
5 :集球カゴ
51 :排球扉
53 :板状部材
7 :制御装置
71 :制御部
73 :記憶部
SC :走行スケジュール
9 :バッテリー
11 :第1棒状部材
11a :チェーン部材
13 :第2棒状部材
13a :チェーン部材
15 :GNSS受信機
17 :方角検出センサ
19 :コントローラ
21a :走行モータ
21b :走行モータ
23 :排球モータ
31 :板支持シャフト
33 :保持部材
35 :連結部材