(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126982
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】集球機
(51)【国際特許分類】
A63B 47/02 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A63B47/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035789
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】是永 賢二
(72)【発明者】
【氏名】宮地 祥太
(57)【要約】
【課題】集球カゴから球を排出する際の球の詰まりを抑制する。
【解決手段】集球機100は、集球部3と、集球カゴ5と、排球扉51と、振動装置55と、GNSS受信機15及び方角検出センサ17と、制御装置7と、を備える。集球カゴ5の底面は、排球扉51のある側面から対向する側面に向かった上昇するように傾斜している。制御装置7は、GNSS受信機15及び方角検出センサ17により取得した位置情報に基づいて駆動輪1a、1bを制御して、集球機100を地面上にて自律走行させ、地面上の球を集球する。その後、制御装置7は、集球カゴに貯蔵した球を排球する排球地点に集球機を到達させる。排球地点に到達後、制御装置7は、排球扉51を開けるとともに、振動装置55を制御して集球カゴ5を振動させて、集球カゴ5に貯蔵した球を排球地点に排出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面上を走行しつつ前記地面上に散乱する球を収集する集球機であって、
地面上の球を収集する集球部と、
前記集球部により収集した球を貯蔵する集球カゴと、
前記集球カゴの一側面に配置され、前記集球カゴから球を排出する排球扉と、
前記集球カゴに接触して配置され、前記集球カゴを振動させる振動装置と、
地面に接触し、回転することで前記集球機を走行させる駆動輪と、
前記集球機の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記集球機を制御する制御部と、
を備え、
前記集球カゴの底面は、排球扉のある側面から対向する側面に向かって上昇するように傾斜しており、
前記制御部は、
前記位置情報取得部により取得した前記位置情報に基づいて前記駆動輪を制御して、前記集球機を地面上で自律走行させ、地面上の球を集球した後で、
前記集球カゴに貯蔵した球を排球する排球地点に前記集球機を到達させ、
前記集球機が前記排球地点に到達した後、前記排球扉を開けるとともに、前記振動装置を制御して前記集球カゴを振動させて、前記集球カゴに貯蔵した球を前記排球地点に排出する、
集球機。
【請求項2】
前記集球カゴの底面は、複数の隙間を有する、請求項1に記載の集球機。
【請求項3】
前記集球カゴの底面は、前記集球カゴの傾斜方向に延びるレール部材により構成される、請求項2に記載の集球機。
【請求項4】
前記制御部は、前記集球機が前記排球地点に到達したことに応じて、前記集球機を動かすことで排球を補助する排球補助動作を実行する、請求項1に記載の集球機。
【請求項5】
前記集球機にユーザの操作を教示する教示装置をさらに備える、請求項1に記載の集球機。
【請求項6】
前記教示装置は、前記集球機を動かすことで排球を補助する排球補助動作を前記集球機に教示可能であり、
前記教示装置により教示された排球補助動作を表す排球補助動作情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記排球補助動作情報に基づいて前記排球補助動作を実行する、請求項5に記載の集球機。
【請求項7】
前記排球扉は、折り戸として構成される、請求項1に記載の集球機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面上に散乱した球を収集する集球機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ゴルフ練習場などにおいて、ゴルフ練習場の地面上に散乱した球を集球する装置(集球機)が知られている。集球機は、地面上を走行しつつ散乱した球を収集し、収集した球を集球カゴに貯蔵する。集球カゴの球が所定の貯蔵量となったときに、集球機は、集球カゴに貯蔵された球を、球の排出場所に排出する(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
集球機で収集する球は、用途、使用期間などにより、その表面の状態が異なっている。収集対象の球には、表面状態によっては移動しにくく、集球カゴから排出しにくいものもある。集球カゴに貯蔵された球に集球カゴから排出しにくいものが存在すると、集球カゴの途中で詰まるなどして、集球カゴから球を排出できなくなることがあった。
【0005】
本発明の目的は、集球カゴから球を排出する際の球の詰まりを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一態様に係る集球機は、地面上を走行しつつ、地面上に散乱する球を収集する装置である。集球機は、集球部と、集球カゴと、排球扉と、振動装置と、駆動輪と、位置情報取得部と、制御部と、を備える。集球部は、地面上の球を収集する。集球カゴは、集球部により収集した球を貯蔵する。排球扉は、集球カゴの一側面に配置され、集球カゴから球を排出する。振動装置は、集球カゴに接触して配置され、集球カゴを振動させる。駆動輪は、地面に接触し、回転することで集球機を走行させる。位置情報取得部は、集球機の位置情報を取得する。制御部は、集球機を制御する。
【0007】
上記の集球機において、集球カゴの底面は、排球扉のある側面から対向する側面に向かって上昇するように傾斜している。制御部は、位置情報取得部により取得した位置情報に基づいて駆動輪を制御して、集球機を地面上にて自律走行させ、地面上の球を集球する。その後、制御部は、集球カゴに貯蔵した球を排球する排球地点に集球機を到達させる。集球機が排球地点に到達した後、制御部は、排球扉を開けるとともに、振動装置を制御して集球カゴを振動させて、集球カゴに貯蔵した球を排球地点に排出する。
【0008】
上記の集球機では、集球カゴの底面が、排球扉のある側面から対向する側面に向かって上昇するように傾斜している。このため、排球扉を開けたときに、集球カゴに貯蔵された球は、集球カゴを転がって集球カゴから排出される。このときに、集球カゴに設けた振動装置により集球カゴを振動させることにより、集球カゴ内の球が振動により滞留しにくくなり、集球カゴ内での球の詰まりが抑制される。この結果、集球カゴに貯蔵された球をスムーズに外部に排出できる。
【0009】
上記の集球機において、集球カゴの底面は、複数の隙間を有してもよい。これにより、集球カゴを軽量化できるので、集球カゴを効率よく振動できる。この結果、集球カゴの振動を球に伝えやすくなるので、集球カゴ内での球の詰まりがさらに抑制され、球を集球カゴからスムーズに排出できる。
【0010】
上記の集球機において、集球カゴの底面は、集球カゴの傾斜方向に延びるレール部材により構成されてもよい。これにより、集球カゴの底面においてレール部材が球を移動させるガイドとなるので、集球カゴを球が転がりやすくなる。この結果、集球カゴ内での球の詰まりがさらに抑制され、球を集球カゴからスムーズに排出できる。
【0011】
上記の集球機において、制御部は、集球機が排球地点に到達したことに応じて、集球機を動かすことで排球を補助する排球補助動作を実行してもよい。これにより、例えば、集球部、集球カゴの隅に残留していた球を移動させて、これらの球を集球カゴから確実に排出できる。
【0012】
上記の集球機は、教示装置をさらに備えてもよい。教示装置は、集球機にユーザの操作を教示する。これにより、熟練したユーザの操作を集球機に再現させることができる。
【0013】
上記の集球機において、教示装置は、排球補助動作を集球機に教示可能であってもよい。この場合、上記の収集機は、記憶部をさらに備えてもよい。記憶部は、教示装置により教示された排球補助動作を表す排球補助動作情報を記憶する。この場合、制御部は、排球補助動作情報に基づいて排球補助動作を実行してもよい。これにより、より最適な排球補助動作を集球機に教示して、教示された最適な排球補助動作を再現できる。この結果、集球カゴ内の球をより確実に排出できる。
【0014】
上記の集球機において、排球扉は、折り戸として構成されてもよい。これにより、排球扉が球の上に乗り上げた場合でも、排球扉を開けることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
集球カゴから球を排出する際の球の詰まりを抑制して、集球カゴに蓄積された球をスムーズに外部に排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.第1実施形態
(1)集球機
以下、
図1~
図3を用いて、集球機100を説明する。
図1は、集球機100の上面図である。
図2は、集球機100の斜視図である。
図3は、集球機100を前方からみたときの断面図である。集球機100は、所定の地面上を自律走行しつつ、地面上に散乱した球を収集する。ここでいう地面は、例えば、ゴルフ練習場である。集球機100で収集する球は、例えば、ゴルフボールである。集球機100は、駆動輪1a、1bと、集球部3と、集球カゴ5と、制御装置7と、を備える。
【0018】
駆動輪1a、1bは、本体Bの中央部分の左右に一対設けられる。駆動輪1a、1bは、地面上に接触した状態で回転することで、集球機100を走行させる。駆動輪1a、1bは、それぞれ、走行モータ21a、21b(
図4)の駆動によって独立して回転する。一対の駆動輪1a、1bの回転速度を同一とすることで、集球機100は直進できる。一対の駆動輪1a、1bの回転速度を異ならせることで、集球機100は、回転速度の遅い駆動輪1a、1bの方向に旋回できる。
【0019】
本体Bの後方部分の左右には、従動輪1c、1dが一対設けられる。従動輪1c、1dは、集球機100の走行に従って回転する。従動輪1c、1dを設けることにより、本体Bを後方で支持できる。
【0020】
集球部3は、地面上に散乱した球を収集する。集球部3は、複数の集球板31により構成される。集球板31は、円板形状の部材である。複数の集球板31は、本体Bの中央部において、本体Bの幅方向に相互に所定の間隔を空けて平行に配置される。複数の集球板31の配置間隔は、収集対象の球の直径よりも小さい。また、複数の集球板31は、プラスチックなどの変形しやすい材料で構成されている。具体的には、複数の集球板31は、例えば、塩化ビニルにより構成できる。以上により、複数の集球板31は、互いに隣接する一対の集球板31の隙間に球が入り込んだときに変形し、元の形状に戻ろうとする復元力によって球を挟持できる。
【0021】
図1及び
図2に示すように、各集球板31は、その外周から中心に向けて延びるスリットを有する。また、複数の集球板31の一部には、互いに隣接する2つのスリット間に孔が形成されている。これにより、一対の集球板31に球を挟持したときに集球板31の変形が抑制され、複数の集球板31により多くの球を挟持できる。つまり、集球部3は、多数の球を同時に収集できる。また、一対の集球板31の間には、分離部材4が配置される。分離部材4は、一対の集球板31に挟持された球を、一対の集球板31から取り外す。
【0022】
集球カゴ5は、本体Bの前方に設けられ、複数の集球板31から取り外された球を貯蔵する。集球カゴ5の一側面には、排球扉51が設けられる。具体的には、排球扉51は、一端が集球カゴ5の一側面の下部に回転可能に支持される。これにより、排球扉51は、集球カゴ5の一側面を開閉できる。排球扉51には、開閉センサが設けられており、制御装置7において排球扉51の開閉状態が把握可能となっている。
【0023】
また、
図3に示すように、集球カゴ5の底面は、排球扉51のある一側面からそれに対向する側面に向かって上昇するよう傾斜している。ここで、排球扉51のある一側面に対向する側面とは、集球カゴ5の排球扉51が配置された側とは反対側の側面をいう。すなわち、集球カゴ5の底面は、排球扉51の側を下にして傾斜している。
【0024】
これにより、排球扉51を開くことで、集球カゴ5に貯蔵された球は、集球カゴ5の底面の傾斜を転がって、排球扉51から外部に排出される。例えば、集球機100が地面に設けられた排球溝の近傍に到達したときに、排球扉51が開き、集球カゴ5に貯蔵された球が排球溝に排出される。
【0025】
集球カゴ5の底面は、複数のレール部材53を、本体Bの前後方向に所定の間隔を空けて配置することで形成されている。レール部材53は、集球カゴ5の傾斜方向に延び、2つの板部材が上に向けて突出した形状を有する。レール部材53の上向きに突出した2つの板部材がガイドとなることで、集球カゴ5内の球は、集球カゴ5の底面を転がりやすくなっている。集球カゴ5内の球が集球カゴ5の底面を転がりやすくなることで、集球カゴ5内での球の詰まりが抑制され、球を集球カゴ5からスムーズに排出できる。
【0026】
集球カゴ5の底面には、振動装置55が設けられる。振動装置55は、集球カゴ5の底面(すなわち、レール部材53)に接触して配置され、集球カゴ5を振動させる。振動装置55は、例えば、振動モータである。振動モータは、例えば、モータの出力回転軸に重心を偏心させた状態でおもりを取り付けた装置である。振動モータでは、モータの出力回転軸の回転によりおもりを回転させると、おもりの重心が(出力回転軸から)偏心していることにより振動を生じる。
【0027】
上記のように、集球カゴ5の底面は、複数のレール部材53により形成されている。これにより、集球カゴ5の底面に多くの隙間が形成され、集球カゴ5を軽量化できる。集球カゴ5を軽量化できれば、振動装置55により集球カゴ5の底面を効率よく振動できる。この結果、集球カゴ5の底面の振動を球に伝えやすくなるので、集球カゴ5内での球の詰まりを抑制できる。
【0028】
集球カゴ5と集球部3との間には、板状部材57が配置される。板状部材57は、集球部3から取り外された球を、集球カゴ5にガイドする。板状部材57を設けることにより、集球カゴ5の集球部3に近い側に球が滞留することを防止できる。
【0029】
制御装置7は、集球機100を制御する装置である。具体的には、制御装置7は、CPU、記憶装置(例えば、RAM、ROM、SSD、HDDなどの記憶装置)、各種インタフェースにより構成されるコンピュータシステムである。なお、制御装置7は、本体Bの後方に設けられる。制御装置7は、バッテリー9から電力を供給される。
【0030】
集球機100は、第1棒状部材11を備える。第1棒状部材11は、チェーン部材11aを介して、地面と近接した状態で本体Bの前方左右端に配置される。第1棒状部材11は、前側の端部が外側を向き、後側の端部が内側を向くよう斜めに配置される。第1棒状部材11は、地面上に散乱した球を集球部3にガイドする。
【0031】
集球機100は、第2棒状部材13を備える。第2棒状部材13は、チェーン部材13aを介して、地面と近接した状態で、第1棒状部材11よりも後方の本体Bの左右端に配置される。第2棒状部材13は、前側の端部が内側を向き、後側の端部が外側を向くよう斜めに配置される。第2棒状部材13は、地面上に散乱した球が駆動輪1a、1bに近づくことを防止する。
【0032】
(2)集球機の制御構成
以下、
図4を用いて、集球機100の制御構成を説明する。
図4は、集球機100の制御構成を示す図である。制御装置7には、各種センサが接続される。具体的には、制御装置7には、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)受信機15と、方角検出センサ17と、が接続される。
【0033】
図1及び
図2に示すように、GNSS受信機15は、制御装置7の上部に設けられ、地面上における集球機100の現在位置に関する情報(位置情報)を取得する。方角検出センサ17は、制御装置7の上部に設けられ、走行領域における集球機100の向き(方角)を測定する。方角検出センサ17は、例えば、集球機100の位置における地磁気の向きを測定する地磁気センサ、GNSSコンパスなどである。
【0034】
集球機100において、上記のGNSS受信機15と方角検出センサ17が、集球機100の地面上における位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部を構成する。
【0035】
制御装置7には、教示装置19が接続される。教示装置19は、無線通信にて、制御装置7と通信する。教示装置19は、ユーザの操作により集球機100をコントロールするための装置である。
【0036】
制御装置7には、走行モータ21a、21bと、排球モータ23と、振動装置55が接続される。走行モータ21aの出力回転軸は、駆動機構を介して、駆動輪1aに接続される。走行モータ21aは、駆動輪1aを回転させる。走行モータ21bの出力回転軸は、駆動機構を介して、駆動輪1bに接続される。走行モータ21bは、駆動輪1bを回転させる。排球モータ23の出力回転軸は、駆動機構を介して、排球扉51に接続される。排球モータ23は、排球扉51を開閉させる。
【0037】
制御装置7は、制御部71と、記憶部73と、を有する。制御部71は、制御装置7のCPU、各種インタフェースなどにより構成され、集球機100に関する各種制御を実行する。制御部71は、記憶部73に記憶されたプログラムを実行し、集球機100に関する各種制御を実行する。なお、制御部71は、上記制御の一部をハードウェア的に実現してもよい。
【0038】
制御部71は、GNSS受信機15により得られた集球機100の地面上における位置情報と、方角検出センサ17により得られた地面上における集球機100の向きと、に基づいて、記憶部73に記憶された走行スケジュールSCに従って、走行モータ21a、21b、排球モータ23、振動装置55を制御する。具体的には、制御部71は、走行スケジュールSCに示された経路に従って集球機100を走行させるよう、走行モータ21a、21bの回転(すなわち、駆動輪1a、1bの回転)を制御する。また、制御部71は、球の排球地点(例えば、排球溝)の近傍に集球機100が到着したときに、排球モータ23の駆動により排球扉51を開くとともに、振動装置55を制御して集球カゴ5の底面を振動させる。球の排球後には、排球扉51を閉じるよう排球モータ23を駆動し、振動装置55を停止させる。
【0039】
以上の制御により、制御部71は、走行スケジュールSCに従って集球機100を走行領域にて自律走行させつつ、走行領域に散乱した球を自律的に集球及び排球できる。
【0040】
また、制御部71は、教示装置19の操作に従って、走行モータ21a、21b、排球モータ23を制御する。これにより、制御部71は、集球機100をユーザの操作により動作させることができる。また、教示装置19の操作により集球機100を動作させるときに、制御部71は、教示装置19の操作による集球機100の動作を記録できる。すなわち、教示装置19を用いたユーザの操作を、集球機100に教示できる。
【0041】
記憶部73は、制御部71により実行されるプログラム、集球機100の制御に必要なパラメータ、設定、走行スケジュールSC、排球補助動作情報I1などを記憶する。走行スケジュールSCは、例えば、集球機100に自律走行させたい経路の情報(例えば、集球機100が通過すべき通過点に関する情報)と、どのタイミングで排球扉51を開閉させるかに関する情報などを含む。
【0042】
排球補助動作情報I1は、排球補助動作を集球機100に自律的に実行させるための情報である。排球補助動作は、集球機100を動かすことで排球を補助する動作である。これにより、集球カゴ5の隅に残留していた球を移動させて、集球カゴ5から球を確実に排球できる。排球補助動作は、例えば、集球カゴ5から球を排出する際に、集球機100を前後に移動させて、集球部3、集球カゴ5の隅に残留していた球を移動させて、確実に排球させるための動作である。その他、排球補助動作は、集球機100を前後のみでなく左右に動かす動作を含んでいてもよい。また、例えば、排球扉51を閉めてから集球機100を前後に移動させた後に再度排球扉51を開ける動作を排球補助動作としてもよい。
【0043】
排球補助動作情報I1は、例えば、熟練したユーザが教示装置19を用いて集球機100に排球補助動作を行わせている間に、記憶部73に教示装置19によるユーザの操作を記録することで生成できる。排球補助動作情報I1は、例えば、集球機100に排球補助動作を行わせている間の走行モータ21a、21b、排球モータ23の操作量を記憶した情報である。このような排球補助動作情報I1により、熟練したユーザによる最適な排球補助動作を、集球機100にて再現できる。
【0044】
(3)集球機による集球/排球動作
以下、
図5を用いて、集球機100による球の集球/排球動作を説明する。
図5は、集球/排球動作を示すフローチャートである。まず、制御部71は、集球機100を地面上にて自律走行させて、地面上に散乱した球を自律的に収集させる(ステップS1)。
【0045】
具体的には、制御部71は、GNSS受信機15により得られた集球機100の地面上における位置情報、方角検出センサ17により得られた地面上における集球機100の向き、及び記憶部73に記憶された走行スケジュールSCに基づいて、走行モータ21a、21bの回転を制御することで、走行スケジュールSCに示された経路に沿って集球機100を自律走行できる。例えば、地面上の所定領域内をまんべんなく塗り潰すような経路を、集球機100に自律走行させる。
【0046】
集球機100が自律走行している間、地面上に散乱している球が、集球部3の複数の集球板31の間に挟持されることで収集される。複数の集球板31の間に挟持された球は、分離部材4により、複数の集球板31の間から取り外される。複数の集球板31の間から取り外された球は、集球カゴ5に集球され貯蔵される。
【0047】
自律走行を実行中、制御部71は、集球機100が、地面に設けられた排球地点(例えば、排球溝)に到達したか否かを判断する(ステップS2)。制御部71は、排球地点に到達したか否かを、GNSS受信機15により得られた集球機100の地面上における位置情報に基づいて判断する。より具体的には、制御部71は、現在の位置情報に示される集球機100の座標が、排球地点に対応する座標(走行スケジュールSCに記録)と一致するか、又は、所定の範囲内に入っているか否かにより、集球機100が排球地点に到達したか否かを判断する。
【0048】
現在の位置情報に示される集球機100の座標が、排球地点に対応する座標と一致しない、及び、所定の範囲内に入っていない場合、すなわち、集球機100が排球地点に到達していないと判断された場合(ステップS2で「No」)、制御部71は、自律走行を継続する。
【0049】
現在の位置情報に示される集球機100の座標が、排球地点に対応する座標と一致するか、又は、所定の範囲内に入っている場合、すなわち、集球機100が排球地点に到達したと判断された場合(ステップS2で「Yes」)、制御部71は、自律走行を停止し、集球機100を排球地点で停止させる(ステップS3)。その後、制御部71は、排球動作を実行する。排球動作は、以下のようにして実行される。
【0050】
まず、制御部71は、排球モータ23を制御して排球扉51を開ける(ステップS4)。それとともに、制御部71は、振動装置55を制御して集球カゴ5の底面を振動させる(ステップS5)。これにより、集球カゴ5に貯蔵された球が、傾斜した集球カゴ5の底面を転がり落ち、集球カゴ5から排球扉51を通過して排球地点に排出される。
【0051】
集球カゴ5に貯蔵された球を排出している間、振動装置55により集球カゴ5の底面を振動させることにより、集球カゴ5内の球が振動により滞留しにくくなり、集球カゴ5内での球の詰まりが抑制される。この結果、集球カゴ5に貯蔵された球をスムーズに排球地点に排出できる。
【0052】
例えば、集球カゴ5に貯蔵された球がある程度排出された後に、制御部71は、上記の排球補助動作を集球機100に行わせる(ステップS6)。制御部71は、記憶部73に記憶された排球補助動作情報I1に基づいて走行モータ21a、21b、排球モータ23を制御して(すなわち、駆動輪1a、1bの回転、排球扉51の開閉を制御して)、ユーザにより教示された排球補助動作を集球機100に自律的に再現させる。これにより、熟練したユーザによる最適な排球補助動作を集球機100に再現させることができるので、集球部3、集球カゴ5の隅などに残留していた球を確実に移動させて、これらの球を集球カゴ5から排球地点に確実に排出できる。
【0053】
集球カゴ5に貯蔵された球の排出を終了後、制御部71は、集球/排球動作を終了するか否かを判断する(ステップS7)。集球/排球動作を継続する場合(ステップS7で「No」)、上記のステップS1~S6が再実行される。すなわち、集球機100の自律走行を再開して球の収集を行い、収集した球を排球地点に排出する動作が繰り返し実行される。
【0054】
一方、集球/排球動作を終了する場合(ステップS7で「Yes」の場合)、制御部71は、例えば、集球機100の待機位置に集球機100を移動させて、集球/排球動作を終了する。
【0055】
制御部71が、上記のステップS1~S7を実行することにより、集球機100は、自律的に集球/排球を実行できる。すなわち、地面上を自律走行して地面上に散乱した球を自律的に収集し集球カゴ5に貯蔵し、集球カゴ5に貯蔵された球を外部(排球地点)に自律的に排出できる。
【0056】
2.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)
図5を用いて説明した集球/排球動作の各ステップの処理内容、及び/又は、各ステップの処理順は、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更できる。例えば、上記のステップS4~S6(排球動作)の処理順は、適宜変更できる。
【0057】
(B)排球扉51は、折り戸として構成されていてもよい。具体的には、
図6に示すように、排球扉51は、2つの板部材51a、51bを、ヒンジなどの回動機構51cにより連結して構成されていてもよい。
図6は、排球扉51の他の例を示す図である。この場合、2つの板部材51a、51bのいずれかを、集球カゴ5に回動可能に支持させる。これにより、地面上の球の上に排球扉51が乗り上げたときに、集球カゴ5に支持された側の板部材が十分な大きさで回動できる。この結果、地面上の球の上に排球扉51が乗り上げたときに、排球扉51が十分に回動せず、開閉センサにより排球扉51が開いていないと検知され、集球カゴ5に貯蔵された球が集球カゴ5から排出されなくなることを抑制できる。
【0058】
3.実施形態の特徴
上記実施形態は、下記のようにも説明できる。
(1)集球機(例えば、集球機100)は、集球部(例えば、集球部3)と、集球カゴ(例えば、集球カゴ5)と、排球扉(例えば、排球扉51)と、振動装置(例えば、振動装置55)と、駆動輪(例えば、駆動輪1a、1b)と、位置情報取得部(例えば、GNSS受信機15、方角検出センサ17)と、制御部(例えば、制御装置7)と、を備える。集球部は、地面上の球を収集する。集球カゴは、集球部により収集した球を貯蔵する。排球扉は、集球カゴの一側面に配置され、集球カゴから球を排出する。振動装置は、集球カゴに接触して配置され、集球カゴを振動させる。駆動輪は、地面に接触し、回転することで集球機を走行させる。位置情報取得部は、集球機の位置に関する位置情報を取得する。制御部は、集球機を制御する。
【0059】
上記の集球機において、集球カゴの底面は、排球扉のある側面から対向する側面に向かって上昇するように傾斜している。制御部は、位置情報取得部により取得した位置情報に基づいて駆動輪を制御して、集球機を地面上にて自律走行させ、地面上の球を集球する。その後、制御部は、集球カゴに貯蔵した球を排球する排球地点に集球機を到達させる。集球機が排球地点に到達した後、制御部は、排球扉を開けるとともに、振動装置を制御して集球カゴを振動させて、集球カゴに貯蔵した球を排球地点に排出する。
【0060】
上記の集球機では、集球カゴの底面が、排球扉のある側面から対向する側面に向かって上昇するように傾斜している。このため、排球扉を開けたときに、集球カゴに貯蔵された球は、集球カゴを転がって集球カゴから排出される。このときに、集球カゴに設けた振動装置により集球カゴを振動させることにより、集球カゴ内の球が振動により滞留しにくくなり、集球カゴ内での球の詰まりが抑制される。この結果、集球カゴに貯蔵された球をスムーズに外部に排出できる。
【0061】
(2)上記(1)の集球機において、集球カゴの底面は、複数の隙間を有してもよい。これにより、集球カゴを軽量化できるので、集球カゴを効率よく振動できる。この結果、集球カゴの振動を球に伝えやすくなるので、集球カゴ内での球の詰まりがさらに抑制され、球を集球カゴからスムーズに排出できる。
【0062】
(3)上記(2)の集球機において、集球カゴの底面は、集球カゴの傾斜方向に延びるレール部材(例えば、レール部材53)により構成されてもよい。これにより、集球カゴの底面においてレール部材が球を移動させるガイドとなるので、集球カゴを球が転がりやすくなる。この結果、集球カゴ内での球の詰まりがさらに抑制され、球を集球カゴからスムーズに排出できる。
【0063】
(4)上記(1)~(3)のいずれかの集球機において、制御部は、集球機が排球地点に到達したことに応じて、集球機を動かすことで排球を補助する排球補助動作を実行してもよい。これにより、例えば、集球部、集球カゴの隅に残留していた球を移動させて、これらの球を集球カゴから確実に排出できる。
【0064】
(5)上記(1)~(4)のいずれかの集球機は、教示装置(例えば、教示装置19)をさらに備えてもよい。教示装置は、集球機にユーザの操作を教示する。これにより、熟練したユーザの操作を集球機に再現させることができる。
【0065】
(6)上記(5)の集球機において、教示装置は、排球補助動作を教示可能であってもよい。この場合、上記の集球機は、記憶部(例えば、記憶部73)をさらに備えてもよい。記憶部は、教示装置により教示された排球補助動作を表す排球補助動作情報(例えば、排球補助動作情報I1)を記憶する。この場合、制御部は、排球補助動作情報に基づいて排球補助動作を実行してもよい。これにより、より最適な排球補助動作を集球機に教示して、教示された最適な排球補助動作を再現できる。この結果、集球カゴ内の球をより確実に排出できる。
【0066】
(7)上記(1)~(6)のいずれかの集球機において、排球扉は、折り戸として構成されてもよい。これにより、排球扉が球の上に乗り上げた場合でも、排球扉を開けることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、所定の走行領域に散乱した球を収集する集球機に広く適用できる。
【符号の説明】
【0068】
100 :集球機
B :本体
1a、1b :駆動輪
1c、1d :従動輪
3 :集球部
31 :集球板
4 :分離部材
5 :集球カゴ
51 :排球扉
51a、51b :板部材
51c :回動機構
53 :レール部材
55 :振動装置
57 :板状部材
7 :制御装置
71 :制御部
73 :記憶部
I1 :排球補助動作情報
SC :走行スケジュール
9 :バッテリー
11 :第1棒状部材
11a :チェーン部材
13 :第2棒状部材
13a :チェーン部材
15 :GNSS受信機
17 :方角検出センサ
19 :教示装置
21a :走行モータ
21b :走行モータ
23 :排球モータ