(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126989
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240912BHJP
G06Q 10/10 20230101ALI20240912BHJP
【FI】
G06F3/12 339
G06Q10/10
G06F3/12 304
G06F3/12 322
G06F3/12 338
G06F3/12 392
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035799
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 真紀
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】例えば業務用と私用のアカウント等、複数のアカウントを使用し得る場合において、現在のアカウントをその都度確認する必要がなく、文書を適切に印刷し得る技術を提供する。
【解決手段】プロセッサ12bに、ユーザのアカウントが複数アカウントのいずれであるかを判別する判別ステップと、判別の結果と、ユーザが印刷を指示したときの位置情報とに基づき、文書印刷の可否を判定して出力する出力ステップとを実行させるプログラムである。出力ステップでは、判別されたアカウントが業務用であり、かつ、位置情報が予め業務印刷が可能として登録された位置と一致する場合に、業務文書の印刷可能と判定して出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサに、
ユーザのアカウントが複数アカウントのいずれであるかを判別する判別ステップと、
前記判別の結果と、前記ユーザが印刷を指示したときの位置情報とに基づき、文書印刷の可否を判定して出力する出力ステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項2】
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが業務用であり、かつ、前記位置情報が予め業務印刷が可能として登録された位置と一致する場合に、業務文書の印刷可能と判定して出力する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記出力ステップでは、表示装置に業務文書を選択可能に表示し、私用文書を選択可能に表示しない、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが私用であり、かつ、前記位置情報が予め業務印刷が可能として登録された位置と一致しない場合に、私用文書の印刷可能と判定して出力する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記出力ステップでは、表示装置に私用文書を選択可能に表示し、業務文書を選択可能に表示しない、
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
プロセッサに、
ユーザのアカウントが複数アカウントのいずれであるかを判別する判別ステップと、
前記判別の結果と、前記ユーザが印刷を指示したときの時間情報とに基づき、文書印刷の可否を判定して出力する出力ステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項7】
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが業務用であり、かつ、前記時間情報が予め業務時間として登録された時間と一致する場合に、業務文書の印刷可能と判定して出力する、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが私用であり、かつ、前記時間情報が予め業務時間として登録された時間と一致しない場合に、私用文書の印刷可能と判定して出力する、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項9】
プロセッサに、
ユーザのアカウントが複数アカウントのいずれであるかを判別する判別ステップと、
前記判別の結果と、前記ユーザが印刷を指示したときのネットワーク接続情報とに基づき、文書印刷の可否を判定して出力する出力ステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項10】
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが業務用であり、かつ、前記ネットワーク接続情報が業務印刷可能なネットワーク種別と一致する場合に、業務文書の印刷可能と判定して出力する、
請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが私用であり、かつ、前記ネットワーク接続情報が業務印刷可能なネットワーク種別と一致しない場合に、私用文書の印刷可能と判定して出力する、
請求項9に記載のプログラム。
【請求項12】
前記出力ステップでは、さらに、前記判別の結果と、前記位置情報と、少なくとも前記ユーザが印刷を指示したときの時間情報とネットワーク接続情報のいずれかに基づいて、前記文書印刷の可否を判定して出力する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項13】
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが業務用であり、前記位置情報が予め業務印刷が可能として登録された位置と一致し、かつ前記時間情報が予め業務時間として登録された時間と一致する場合に、業務文書の印刷可能と判定して出力する、
請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが私用であり、前記位置情報が予め業務印刷が可能として登録された位置と一致せず、又は前記時間情報が予め業務時間として登録された時間と一致しない場合に、私用文書の印刷可能と判定して出力する、
請求項12に記載のプログラム。
【請求項15】
プロセッサと、
表示装置と、
を備え、前記プロセッサは、
ユーザのアカウントが複数アカウントのいずれであるかを判別し、
前記判別の結果と、前記ユーザが印刷を指示したときの位置情報とに基づき、文書印刷の可否を判定して前記表示装置に出力する、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、1台の端末装置を複数のアカウント、例えば業務用(ビジネス用)アカウントと私用(プライベート)アカウントの両方で使用する場合がある。
【0003】
特許文献1には、一のユーザが複数アカウントで使用可能な装置を使用する際に、処理対象のデータに応じて使用するアカウントを決定するアカウント管理システムが記載されている。このシステムは、ユーザの指示に基づいて処理対象のデータを取得するデータ取得手段と、取得したデータから、予め定められたキーワードを取得するキーワード取得手段と、ユーザが処理を実行するために使用可能な複数のアカウントのうち、取得したキーワードに対応付けられたアカウントを、データの処理を実行するために用いるアカウントとして選択するアカウント選択手段とを備える。
【0004】
また、特許文献2には、正当な利用者による業務目的の使用において確実に利用者の属する会社等の組織に課金してサービスを円滑に実行し得る画像処理システムが記載されている。このシステムは、認証された利用者からの指示により画像を出力する画像形成装置と、画像形成装置で画像を出力する前に、出力すべき画像が業務用か否かを判定して判定結果を出力する判定装置とを備え、画像形成装置は、判定装置で業務用と判定された場合に画像を出力するとともに利用者の属する組織に課金処理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-060732号公報
【特許文献2】特開2018-207344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
端末装置から文書を印刷指示する場合、ユーザは、印刷料金の支払い等のために、業務用アカウントか私用アカウントかを指定する必要があるところ、端末装置のアカウントがどちらに設定されているかをその都度確認するのは煩雑である。
【0007】
本発明は、例えば業務用と私用のアカウント等、複数のアカウントを使用し得る場合において、現在のアカウントをその都度確認する必要がなく、文書を適切に印刷し得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、プロセッサに、ユーザのアカウントが複数アカウントのいずれであるかを判別する判別ステップと、前記判別の結果と、前記ユーザが印刷を指示したときの位置情報とに基づき、文書印刷の可否を判定して出力する出力ステップと、を実行させるプログラムである。
【0009】
第2の態様は、前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが業務用であり、かつ、前記位置情報が予め業務印刷が可能として登録された位置と一致する場合に、業務文書の印刷可能と判定して出力する、第1の態様に係るプログラムである。
【0010】
第3の態様は、前記出力ステップでは、表示装置に業務文書を選択可能に表示し、私用文書を選択可能に表示しない、第2の態様に係るプログラムである。
【0011】
第4の態様は、前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが私用であり、かつ、前記位置情報が予め業務印刷が可能として登録された位置と一致しない場合に、私用文書の印刷可能と判定して出力する、第1の態様に係るプログラムである。
【0012】
第5の態様は、前記出力ステップでは、表示装置に私用文書を選択可能に表示し、業務文書を選択可能に表示しない、第4の態様に係るプログラムである。
【0013】
第6の態様は、プロセッサに、ユーザのアカウントが複数アカウントのいずれであるかを判別する判別ステップと、前記判別の結果と、前記ユーザが印刷を指示したときの時間情報とに基づき、文書印刷の可否を判定して出力する出力ステップと、を実行させるプログラムである。
【0014】
第7の態様は、前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが業務用であり、かつ、前記時間情報が予め業務時間として登録された時間と一致する場合に、業務文書の印刷可能と判定して出力する、第6の態様に係るプログラムである。
【0015】
第8の態様は、前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが私用であり、かつ、前記時間情報が予め業務時間として登録された時間と一致しない場合に、私用文書の印刷可能と判定して出力する、第6の態様に係るプログラムである。
【0016】
第9の態様は、プロセッサに、ユーザのアカウントが複数アカウントのいずれであるかを判別する判別ステップと、前記判別の結果と、前記ユーザが印刷を指示したときのネットワーク接続情報とに基づき、文書印刷の可否を判定して出力する出力ステップと、を実行させるプログラムである。
【0017】
第10の態様は、前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが業務用であり、かつ、前記ネットワーク接続情報が業務印刷可能なネットワーク種別と一致する場合に、業務文書の印刷可能と判定して出力する、第9の態様に係るプログラムである。
【0018】
第11の態様は、前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが私用であり、かつ、前記ネットワーク接続情報が業務印刷可能なネットワーク種別と一致しない場合に、私用文書の印刷可能と判定して出力する、第9の態様に係るプログラムである。
【0019】
第12の態様は、前記出力ステップでは、さらに、前記判別の結果と、前記位置情報と、少なくとも前記ユーザが印刷を指示したときの時間情報とネットワーク接続情報のいずれかに基づいて、前記文書印刷の可否を判定して出力する、第1の態様に係るプログラムである。
【0020】
第13の態様は、前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが業務用であり、前記位置情報が予め業務印刷が可能として登録された位置と一致し、かつ前記時間情報が予め業務時間として登録された時間と一致する場合に、業務文書の印刷可能と判定して出力する、第12の態様に係るプログラムである。
【0021】
第14の態様は、前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが私用であり、前記位置情報が予め業務印刷が可能として登録された位置と一致せず、又は前記時間情報が予め業務時間として登録された時間と一致しない場合に、私用文書の印刷可能と判定して出力する、第12の態様に係るプログラムである。
【0022】
第15の態様は、プロセッサと、表示装置と、を備え、前記プロセッサは、ユーザのアカウントが複数アカウントのいずれであるかを判別し、前記判別の結果と、前記ユーザが印刷を指示したときの位置情報とに基づき、文書印刷の可否を判定して前記表示装置に出力する、情報処理システムである。
【発明の効果】
【0023】
第1~第15の態様によれば、複数のアカウントを使用し得る場合において、現在のアカウントをその都度確認する必要がなく、文書を適切に印刷し得る。
【0024】
第2~第5の態様によれば、さらにアカウントと位置情報を用いて自動処理できる。
【0025】
第7~第8の態様によれば、さらにアカウントと時間情報を用いて自動処理できる。
【0026】
第10~第11の態様によれば、さらにアカウントとネットワーク接続情報を用いて自動処理できる。
【0027】
第13~第14の態様によれば、さらに、アカウントと、位置情報、時間情報、ネットワーク接続情報のいずれかを用いて自動処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】実施形態の端末装置の構成ブロック図である。
【
図5A】実施形態の表示形態説明図(その1)である。
【
図5B】実施形態の表示形態説明図(その2)である。
【
図5C】実施形態の表示形態説明図(その3)である。
【
図6】実施形態の業務用印刷の可否判断フローチャートである。
【
図9】実施形態の他の業務用印刷の可否判断フローチャートである。
【
図10】実施形態のさらに他の業務用印刷の可否判断フローチャートである。
【
図11】実施形態のさらに他の業務用印刷の可否判断フローチャートである。
【
図12】実施形態の業務用文書の判断フローチャートである。
【
図13】実施形態の他の業務用文書の判断フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0030】
図1は、本実施形態の全体システム構成図を示す。印刷装置10と端末装置12が、ネットワーク100を介して接続される。
【0031】
印刷装置10は、端末装置12からの印刷指示(印刷ジョブ)を受け付けて、端末装置12を操作するユーザにより指定された文書(文書ファイル)を印刷して出力する。なお、本実施形態における「文書」には、テキストのみならず画像も含まれ得る。印刷装置10の構成は公知であるが、以下、簡単に説明する。
【0032】
印刷装置10は、端末装置12から取得した印刷ジョブに基づき、用紙等の印刷媒体に画像を印刷する。ここで、印刷ジョブは、一回の印刷指示によって指示される印刷動作の処理単位である。
【0033】
印刷装置10は、画像形成部に加え、収容部、搬送部、排出部、及び制御部を備える。収容部は、画像形成部へ供給される用紙を収容する機能を有しており、用紙が積載される収容トレイで構成される。
【0034】
搬送部は、収容部に収容された用紙を画像形成部に搬送する機能を有している。搬送部は、例えば、収容部から用紙を送り出す送出ロールと、収容部から画像形成部までの搬送経路に沿って複数配置された搬送ロール対から構成される。
【0035】
画像形成部は、画像を用紙に印刷する機能を有する。画像形成部は、例えば電子写真式により画像を用紙に印刷する。すなわち、画像形成部は、帯電、露光、現像、転写、及び定着の各工程を経て画像を用紙に印刷する。また、画像形成部は、用紙を反転して搬送し、用紙の表及び裏の両面に画像を印刷する機能を有する。
【0036】
排出部は、印刷された用紙が排出される部分である。排出部は、例えば上下に配置された複数の部位から構成され、印刷ジョブにおいて指定された部位へ用紙が排出される。
【0037】
制御部は、受け付けた印刷ジョブに基づき印刷装置10の各部の動作を制御する。制御部は、複数の印刷ジョブを受け付けた場合、スプーラにより各印刷ジョブの順番制御を行う。
【0038】
なお、印刷装置10は、プリンタ機能、FAX機能、コピー機能、及びスキャン機能等の複数の機能を備えた複合機であってもよい。
【0039】
また、印刷装置10は、ネットワーク100に接続されたプリントサーバ(不図示)から印刷ジョブを受け付けて印刷処理を実行してもよい。
【0040】
端末装置12は、ユーザ操作に応じ、ネットワーク100経由で印刷装置10に対して印刷指示を行う。印刷指示には、ユーザが端末装置12を操作して選択した文書ファイルが含まれる。端末装置12は、ユーザが複数のアカウントを使い分けて操作することが可能な構成である。複数のアカウントは、例えば業務用のアカウントと私用のアカウント、主業務用のアカウントと副業務用のアカウント等の各種アカウントが含まれる。本実施形態では、複数のアカウントの例として、業務用のアカウントと私用のアカウントを例示するが、必ずしもこれらのアカウントに限定されない。
【0041】
ユーザは、端末装置12から印刷装置10に印刷指示する場合、印刷料金の支払い等のために、業務用のアカウントか私用のアカウントかを指定する必要があるところ、印刷時にどちらのアカウントが設定されているのかをその都度確認するのは煩雑となる。また、業務用文書は、社外での印刷が禁止されている場合も多く、また、私用文書は、社内での印刷が禁止されている場合も多いため、印刷すべき文書の種類に応じた適切なアカウントを設定する必要があるところ、印刷時にどちらのアカウントが設定されているのかをその都度確認し切替設定するのは煩雑であり、場合によっては業務用のアカウントで私用文書を印刷する等、誤ったアカウントで印刷してしまう場合も想定され得る。
【0042】
そこで、本実施形態では、端末装置12のプロセッサは、現在、端末装置12に設定されているアカウントの種類を判別し、この判別結果と、端末装置12の現在、つまり印刷指示する現在時刻における位置情報や時間情報、ネットワーク接続情報の少なくともいずれかを用いて文書印刷の可否を判断して出力する。
【0043】
具体的には、端末装置12のプロセッサは、端末装置12に設定されているアカウントが業務用のアカウントであるか私用のアカウントであるかを判別し、業務用のアカウントであれば、端末装置12の現在の位置情報が業務用の印刷が可能な位置である場合に業務用文書の印刷を許可する。業務用のアカウントであっても、端末装置12の現在の位置情報が業務用の印刷が不可な位置である場合に業務用文書の印刷を許可しない。また、私用のアカウントであれば、端末装置12の現在の位置情報が私用の印刷が可能な位置である場合に私用文書の印刷を許可する。私用のアカウントであっても、端末装置12の現在の位置情報が私用の印刷が不可な位置である場合に私用文書の印刷を許可しない。
【0044】
ネットワーク100は、有線/無線を問わず、公衆/専用を問わない。ネットワーク100の一例は社内LAN(イントラネット)やインターネットであるが、これに限定されない。
【0045】
【0046】
端末装置12は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等から構成され、1つ又は複数のプロセッサ12b、ROM12c、RAM12d、通信インタフェース(I/F)12e、表示装置12f、及び記憶装置12gを備える。
【0047】
1つ又は複数のプロセッサ12bは、ROM12cあるいは記憶装置12gに記憶されたプログラムを読み出し、RAM12dをワーキングメモリとして用いることで各種機能を実現する。プロセッサ12bは、端末装置12に設定されているアカウントの種類を判別する。また、プロセッサ12bは、端末装置12の現在の位置情報、時間情報、あるいはネットワーク接続情報を取得し、文書印刷の可否を判断する。プロセッサ12bは、文書印刷の可否判断の結果を表示装置12fに出力する。表示装置12fへの表示形態は任意であるが、本実施形態では、プロセッサ12bは、印刷可能な文書一覧を表示装置12fに出力する。
【0048】
通信I/F12eは、印刷装置10に対して文書ファイルを含む印刷指示を供給する。
【0049】
表示装置12fは、CRTや液晶、有機EL等のディスプレイで構成され、プロセッサ12bからの表示制御信号に従って印刷可能な文書一覧を表示する。
【0050】
記憶装置12gは、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)やSSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)等の不揮発性メモリで構成される。記憶装置12gは、プログラムを記憶する他に、予め登録された位置情報、予め登録された時間情報、アカウント情報、文書ファイル等を記憶する。予め登録された位置情報は、業務文書の印刷可能な位置情報を規定する。また、予め登録された時間情報は、業務文書の印刷可能な時間情報を規定する。アカウント情報は、複数のアカウントのうち現在設定されているアカウントの種別を規定する。
【0051】
本実施形態のプロセッサは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば CPU Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU Graphics Processing Unit、ASIC Application Specific Integrated Circuit、FPGA Field Programmable Gate Array 、 プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0052】
また、プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は適宜変更してもよい。
【0053】
図3は、端末装置12のプロセッサ12bで実行される判断処理の一例をテーブル102として示す。プロセッサ12bは、端末装置12の現在のアカウントの種類と位置情報とに基づいて印刷可能な文書種類を判断する。
【0054】
すなわち、プロセッサ12bは、アカウント種類が業務用であり、業務用印刷可能な位置であれば(YES)、印刷可能な文書種類として業務用文書と判断する。また、アカウント種類が業務用であり、業務用印刷可能な位置でなければ(NO)、印刷可能な文書はなしと判断する。アカウント種類が私用であり、業務用印刷可能な位置であれば、印刷可能な文書はなしと判断する。アカウント種類が私用であり、業務用印刷可能な位置でなければ、印刷可能な文書種類として私用文書と判断する。
【0055】
なお、印刷可能な文書種類として業務用文書と判断された場合、プロセッサ12bは、記憶装置12gに記憶されている文書のうち、業務用文書のみを抽出して表示装置12fに出力する。また、印刷可能な文書種類として私用文書と判断された場合、プロセッサ12bは、記憶装置12gに記憶されている文書のうち、私用文書のみを抽出して表示装置12fに出力する。文書が業務用であるか私用であるかは、公知の技術を用いて判別し得る。例えば、文書中に社名やロゴ等が含まれている場合には業務用文書と判別し、そうでない場合には私用文書と判別する等である。業務用文書か私用文書か判別が困難な文書に対しては、デフォルトで私用文書と判別してもよい。業務用文書のセキュリティを確保するためである。勿論、ユーザに当該文書を提示してユーザに選択させてもよい。
【0056】
図4は、端末装置12のプロセッサ12bの処理フローチャートを示す。
【0057】
プロセッサ12bは、所定のタイミング、例えばユーザから印刷指示を受け付けたタイミングにおいて処理を開始する。まず、プロセッサ12bは、複数のアカウントのうち、現在設定されているアカウントが業務用であるか否かを判定する(S100)。アカウントの種類の判別は、予め登録されているアカウント情報を用いて行われる。アカウント情報は、アカウントの識別情報(ID)、アカウント名、アカウントの種類等である。アカウントの種類には、業務用と私用が含まれる。プロセッサ12bは、現在設定されているアカウント名あるいはアカウントIDのアカウントの種類を参照することで、現在設定されているアカウントが業務用であるか私用であるかを判定する。
【0058】
アカウントが業務用である場合、次に、業務用印刷が可能な環境であるか否かを判定する(S101)。業務用印刷が可能な環境であるか否かは、具体的には位置情報、時間情報、ネットワーク接続情報の少なくともいずれかを用いて判定される。そして、業務用印刷が可能な環境であれば(S101でYES)、業務用文書の印刷が可能と判定する(S102)。また、業務用印刷が可能な環境でなければ(S101でNO)、文書印刷不可と判定する(S103)。
【0059】
他方で、アカウントが私用である場合、次に、業務用印刷が不可の環境であるか否かを判定する(S104)。業務用印刷が不可の環境は、言い換えれば私用印刷が可能な環境であり、具体的には位置情報、時間情報、ネットワーク接続情報の少なくともいずれかを用いて判定される。そして、業務用印刷が不可の環境であれば(S104でYES)、私用文書の印刷が可能と判定する(S105)。また、業務用印刷が不可の環境でなければ(S104でNO)、文書印刷不可と判定する(S106)。
【0060】
以上のようにして文書印刷の可否を判定した後、プロセッサ12bは、印刷可能な文書を表示装置12fに出力する(S107)。すなわち、業務用文書の印刷可能であれば(S102)、業務用文書の一覧を表示装置12fに出力し、私用文書の印刷可能であれば(S105)、私用文書の一覧を表示装置12fに出力する。
【0061】
ユーザは、表示装置12fに表示された業務用文書あるいは私用文書の一覧を視認しつつ、所望の文書を選択して印刷装置10に対して印刷指示する(S108)。
【0062】
図5A~
図5Cは、プロセッサ12bにより端末装置12の表示装置12fに出力される文書の表示形態の例を表示装置12fの拡大図として示す。
【0063】
図5Aは、アカウントが業務用であり、業務用印刷が可能な環境である場合の表示形態である。文書(画像を含む)として業務用文書20と私用文書22が混在する場合に、業務用文書20を抽出して表示し、私用文書22についてはグレイ表示として選択不可の形態で表示する。図において、星印は会社名やロゴが含まれていることを示す。ユーザは、
図5Aの表示形態を視認することで、業務用文書20が選択可能で印刷可能であり、私用文書22が選択不可で印刷不可であることを容易に把握できる。ユーザは、現在のアカウント設定が業務用であるか私用であるかを特段意識することなく、所望の業務文書を選択して印刷装置10で印刷し得る。
【0064】
なお、ユーザは、
図5Aの表示形態を視認することで、現在のアカウントが私用に設定されているか、あるいは業務用に設定されていても業務用印刷が不可の環境にいるかのいずれかであるかを把握することもできよう。
【0065】
図5Bは、アカウントが私用であり、業務用印刷が不可の環境である場合の表示形態である。文書(画像を含む)として業務用文書20と私用文書22が混在する場合に、私用文書22を抽出して表示し、業務用文書20についてはグレイ表示として選択不可の形態で表示する。図において、星印は会社名やロゴが含まれていることを示す。ユーザは、
図5Bの表示形態を視認することで、私用文書22が選択可能で印刷可能であり、業務用文書20が選択不可で印刷不可であることを容易に把握できる。ユーザは、現在のアカウント設定が業務用であるか私用であるかを特段意識することなく、所望の私用文書を選択して印刷装置10で印刷し得る。
【0066】
図5Cは、アカウントが業務用であり、業務用印刷が不可の環境である場合の表示形態である。文書(画像を含む)として業務用文書20と私用文書22が混在する場合に、業務用文書20及び私用文書22をいずれもグレイ表示として選択不可の形態で表示する。図において、星印は会社名やロゴが含まれていることを示す。ユーザは、
図5Cの表示形態を視認することで、印刷可能な文書が存在しないことを容易に把握できる。また、ユーザは、業務用文書を印刷したいと欲しても、現在のアカウントあるいは環境では印刷不可であること、及び現在のアカウントを切替設定するか、あるいは現在の環境(位置や時間、あるいはネットワーク接続状態)を変更する必要があることを把握できる。
【0067】
具体的には、端末装置12の現在のアカウントが業務用であり、端末装置12が会社内に位置していれば、
図5Aのように業務用文書20が表示され、私用文書22はグレイ表示されて業務用文書20の印刷指示が可能となる。また、端末装置12の現在のアカウントが私用であり、端末装置12がユーザの自宅に位置していれば、
図5Bのように私用文書22が表示され、業務用文書20はグレイ表示されて私用文書22の印刷指示が可能となる。さらに、端末装置12の現在のアカウントが業務用であり、端末装置12がユーザの自宅に位置していれば、
図5Cのように全ての文書がグレイ表示されて業務用文書20及び私用文書のいずれも印刷不可とされる。
【0068】
図5Cでは、記憶装置12gに記憶されている文書の全てをグレイ表示として選択不可に表示しているが、グレイ表示は一例であり、印刷不可であることを文書の表象図形(アイコン)の色あるいは形状、線種等で認識可能に表示すればよい。また、文書のアイコンを表示するのではなく、メッセージを表示してもよい。例えば、
「印刷可能な文書は存在しておりません。
現在のアカウントや環境をご確認下さい。」
等とメッセージを表示してもよい。あるいは、
「印刷可能な文書は存在しておりません。
現在のアカウントは業務用ですが、環境が不適切です。」
等とメッセージを表示して環境の変更をユーザに促してもよい。
【0069】
図6は、
図4におけるS101の処理、すなわち、アカウントが業務用に設定されていると判別された場合において、業務用印刷が可能な環境か否かを判定する詳細処理フローチャートを示す。この処理では、端末装置12の位置情報と時間情報を用いて判定する。
【0070】
まず、プロセッサ12bは、端末装置12の位置情報を取得する(S200)。この位置情報は、例えば端末装置12のGPSから取得し得る。なお、端末装置12がネットワーク100に接続されている場合に、当該接続情報から位置情報を取得してもよい。
【0071】
次に、取得した位置情報が、予め登録された業務用印刷可能場所に一致するか否かを判定する(S201)。取得した位置情報が、予め登録された業務用印刷可能場所に一致すれば(S201でYES)、次に、現在時刻を取得する(S202)。この現在時刻は、例えば端末装置12の内蔵時計から取得し得る。なお、端末装置12がネットワーク100に接続されている場合に、ネットワーク100を介して現在時刻を取得してもよい。
【0072】
次に、取得した現在時刻が、予め登録された業務用印刷可能な時間に一致するか否かを判定する(S203)。取得した現在時刻が、予め登録された業務用印刷可能な時間に一致すれば(S203でYES)、業務用文書の印刷可能と判定する(S204)。
【0073】
他方で、取得した位置情報が、予め登録された業務用印刷可能な場所に一致しない場合(S201でNO)、あるいは取得した現在時刻が、予め登録された業務用印刷可能な時間に一致しない場合(S203でNO)、文書印刷は不可と判定する(S205)。
【0074】
図7は、予め登録された業務用印刷可能な場所の例をテーブル104として示す。業務用印刷可能な場所として、
・会社1
・会社2
・コワーキングスペース
・会社内コンビニ
等の場所名が登録され、その場所(座標)P1,P2,P3,P4がそれぞれの場所名と関連付けて登録される。P1,P2,P3,P4は、例えば(緯度、経度)からなるGPS座標であるが、これに限定されない。
【0075】
図8は、予め登録された業務用印刷可能な時間の例をテーブル106として示す。業務用印刷可能な時間として、
・勤務時間
・水曜日以外
・9:00~18:00
・勤怠管理情報と連携
等が登録される。
【0076】
プロセッサ12bは、取得した位置情報、現在時刻を、記憶装置12gに記憶されたこれらのテーブル104,106を参照して
図6の処理を実行する。
【0077】
例えば、業務用印刷可能な時間として、勤務時間が登録されているとする。端末装置12のアカウントが業務用であり、端末装置12の位置が会社1のGPS座標と一定の許容範囲内で一致し、かつ、現在時刻が勤務時間内であれば、プロセッサ12bは業務用文書印刷可能と判断して
図5Aのように業務用文書20を表示する。また、端末装置12のアカウントが業務用であり、端末装置12の位置が会社1のGPS座標と一定の許容範囲内で一致するものの、現在時刻が勤務時間外であれば、プロセッサ12bは文書印刷不可と判断して
図5Cのように全ての文書をグレイ表示する。また、端末装置12のアカウントが私用であり、端末装置12の位置が会社1のGPS座標と一定の許容範囲内で一致し、かつ現在時刻が勤務時間内であれば、プロセッサ12bは文書印刷不可と判断して
図5Cのように全ての文書をグレイ表示する。なお、このとき、プロセッサ12bは、表示装置12fに、
「アカウントが私用に設定されています。
業務用文書を印刷するには、アカウントを業務用に切り替えて下さい。」
等とメッセージを表示してユーザにアカウント変更を促してもよい。
【0078】
図9は、
図4におけるS101の処理、すなわち、アカウントが業務用に設定されていると判別された場合において、業務用印刷が可能な環境か否かを判定する他の詳細処理フローチャートを示す。この処理では、端末装置12のネットワーク接続情報と時間情報を用いて判定する。
【0079】
まず、プロセッサ12bは、端末装置12のネット接続情報を取得する(S300)。このネット接続情報は、例えば端末装置12の通信I/F12eから取得し得る。
【0080】
次に、取得したネット接続情報が、予め登録された業務用印刷可能なネット接続情報に一致するか否かを判定する(S301)。取得したネット接続情報が、予め登録された業務用印刷可能なネット接続情報に一致すれば(S301でYES)、次に、現在時刻を取得する(S302)。この現在時刻は、例えば端末装置12の内蔵時計から取得し得る。なお、端末装置12がネットワーク100に接続されている場合に、ネットワーク100を介して現在時刻を取得してもよい。
【0081】
次に、取得した現在時刻が、予め登録された業務用印刷可能な時間に一致するか否かを判定する(S303)。取得した現在時刻が、予め登録された業務用印刷可能な時間に一致すれば(S303でYES)、業務用文書の印刷可能と判定する(S304)。
【0082】
他方で、取得した位置情報が、予め登録された業務用印刷可能なネット接続情報に一致しない場合(S301でNO)、あるいは取得した現在時刻が、予め登録された業務用印刷可能な時間に一致しない場合(S303でNO)、文書印刷は不可と判定する(S305)。
【0083】
業務用印刷可能なネット接続情報は、業務用文書を印刷することに対して一定程度のセキュリティが確保されている状態を意味し、例えば社内LAN(イントラネット)接続とし得る。他方で、インターネット接続は、業務用印刷可能なネット接続情報から除外され得る。ネット接続情報がVPN接続か否かで判定してもよい。
【0084】
図10は、
図4におけるS101の処理、すなわち、アカウントが業務用に設定されていると判別された場合において、業務用印刷が可能な環境か否かを判定するさらに他の詳細処理フローチャートを示す。この処理では、端末装置12の位置情報のみを用いて判定する。
【0085】
まず、プロセッサ12bは、端末装置12の位置情報を取得する(S400)。この位置情報は、例えば端末装置12のGPSから取得し得る。なお、端末装置12がネットワーク100に接続されている場合に、当該接続情報から位置情報を取得してもよい。
【0086】
次に、取得した位置情報が、予め登録された業務用印刷可能場所に一致するか否かを判定する(S401)。取得した位置情報が、予め登録された業務用印刷可能場所に一致すれば(S401でYES)、業務用文書の印刷可能と判定する(S402)。
【0087】
他方で、取得した位置情報が、予め登録された業務用印刷可能な場所に一致しない場合(S401でNO)、文書印刷は不可と判定する(S403)。
【0088】
図11は、
図4におけるS101の処理、すなわち、アカウントが業務用に設定されていると判別された場合において、業務用印刷が可能な環境か否かを判定するさらに他の詳細処理フローチャートを示す。この処理では、端末装置12のネット接続情報のみを用いて判定する。
【0089】
まず、プロセッサ12bは、端末装置12のネット接続情報を取得する(S500)。この接続情報は、例えば端末装置12の通信I/F12eから取得し得る。
【0090】
次に、取得したネット接続情報が、予め登録された業務用印刷可能な情報に一致するか否かを判定する(S501)。取得したネット接続情報が、予め登録された業務用印刷可能な情報に一致すれば(S501でYES)、業務用文書の印刷可能と判定する(S502)。
【0091】
他方で、取得したネット接続情報が、予め登録された業務用印刷可能な情報に一致しない場合(S501でNO)、文書印刷は不可と判定する(S503)。
【0092】
このように、本実施形態では、端末装置12に設定された現在のアカウントの種類と、端末装置12の位置情報、時間情報、ネット接続情報の少なくともいずれかに応じて文書印刷の可否を判断して表示装置12fに出力するので、ユーザは現在のアカウントがどのような種類のアカウントであるかを特段意識することなく、適切な文書を印刷装置10に印刷指示できる。
【0093】
位置情報、時間情報、及びネット接続情報は、任意に組み合わせ得る。その組み合わせを例示列挙すると、以下の通りである。
・位置情報のみ
・時間情報のみ
・ネット接続情報のみ
・位置情報と時間情報
・位置情報とネット接続情報
・時間情報とネット接続情報
・位置情報と時間情報とネット接続情報
【0094】
これらの組み合わせは、端末装置12にインストールされたプログラムにデフォルトで設定されていてもよく、ユーザあるいは管理者等が適宜選択できるように構成されていてもよい。
【0095】
次に、記憶装置12gに記憶されている各種文書が業務用文書か私的文書かの判別について説明する。
【0096】
図12は、業務用文書か否かを判断する例示的な処理フローチャートを示す。
【0097】
プロセッサ12bは、文書中に予め登録済の社名やロゴが含まれているか否かを判定する(S600)。
【0098】
文書中に社名やロゴが含まれていれば、次に、当該文書が記憶装置12gに記憶(保存)された時間が、予め登録された勤務時間と一致するか否かを判定する(S601)。文書中に社名やロゴが含まれており、かつ保存時間が勤務時間と一致するのであれば、当該文書は業務用文書と判定する(S602)。業務用文書を例示すると、会社ロゴの入ったプレゼンテーション用文書、ファイル名に社名の入った文書、社名の入った請求書、勤務時間内に撮影したホワイトボードの写真等である。
【0099】
他方で、文書中に登録済の社名やロゴが含まれていない、あるいは保存時間が勤務時間と一致しない場合、当該文書は業務用文書でなく私用文書と判定する(S603)。私用文書を例示すると、家族やペットの写真、買い物メモの文書、毎日の血圧計測を記録した文書、休日にWebサイトから取得した文書等である。
【0100】
業務用文書であるか私用文書であるかを判定した後、プロセッサ12bはその判定結果を当該文書と関連付けて記憶装置12gに記憶する。判定結果を記憶する際に、現在時刻も併せて記憶する。
図12の処理を印刷指示をトリガとして実行すると、記憶される現在時刻は印刷指示の時刻とみなすことができる。
【0101】
図12の処理では、社名やロゴが含まれており、かつ保存時間が勤務時間と一致する場合に業務用文書と判定しているが、社名やロゴが含まれている、あるいは保存時間が勤務時間と一致する場合に業務用文書と判定してもよい。
【0102】
図13は、業務用文書か否かを判断する他の処理フローチャートを示す。この処理では、過去に印刷指示した事実がある場合に、その事実を利用して判断をスキップすることで処理の効率化を図っている。
【0103】
図13において、プロセッサ12bは、前回の印刷指示以降に情報が更新されたか否かを判定する(S700)。ここで、「情報の更新」とは、具体的には文書情報の更新を意味する。
【0104】
情報が更新されていない場合、次に、記憶装置12gに記憶された文書が既に業務用文書か否かの判断がなされていた文書であるか否かを判定する(S701)。判断済文書であれば(S701でYES)、前回の印刷指示時の判断、すなわち業務用文書であるか否かの判断をそのまま維持し、前回の印刷指示時刻として現在時刻を保存する(S702)。次回の印刷指示時には、現在の印刷指示時の情報が用いられる。
【0105】
他方で、情報が更新された場合、あるいは業務用文書であるか否かが判断されていない文書の場合(S701でNO)、
図12に示された処理フローチャートを実行して改めて業務用文書か否かを判定する(S703~S706)。
【0106】
以下、より具体的に説明する。
【0107】
図6の処理フローチャートに示すように、端末装置12のアカウントが業務用のアカウントに設定されている場合において、位置情報及び時間情報に応じて業務用文書の印刷可否を判断するものとする。
【0108】
ある時刻T1においてユーザが端末装置12を操作して印刷指示を入力したとする。プロセッサ12bは、位置情報及び時間情報に応じて文書a及び文書bについて、それぞれ業務用文書で印刷可能、私用文書で印刷不可と判断したものとする。すなわち、
<時刻T1>
文書a=業務用文書
文書b=私用文書
である。文書aには社名が含まれていて保存時間が勤務時間内であり、文書bには社名が含まれておらず保存時間も勤務時間外の場合等を例示することができる。
【0109】
次に、時刻T1以降の時刻T2においてユーザが再び端末装置12を操作して印刷指示を入力したとする。プロセッサ12bは、前回の時刻T1以降において情報が更新されているか否かを判定する。文書a及び文書bがともに更新されていなければ、時刻T1における判断をそのまま維持する。すなわち、
<時刻T2>
文書a=業務用文書で印刷可能
文書b=私用文書で印刷不可
をそのまま維持する。
【0110】
他方で、時刻T1と時刻T2の間に文書aが更新されたものとする。例えば、ユーザが時刻T1と時刻T2の間で文書aを読み出して編集し、記憶装置12gに再び保存した場合等である。このとき、プロセッサ12bは、情報が更新されたものとしてS703以降の処理を繰り返し、改めて文書aについて業務用文書であるか否かを判定する。
【0111】
なお、文書bについては更新されていないので、時刻T1の判断をそのまま維持する。
【0112】
図12,
図13の処理では、文書中に含まれる社名やロゴを用いているが、これら以外の特定の文字列あるいは画像をキーワード(あるいはキーイメージ)として予め登録しておき、これら登録済のキーワードを文書中から検索することで業務用文書か否かを判定してもよい。文書からキーワードを抽出・検索する技術は公知であり、例えば特開2021-60732号公報に記載された技術を用いてもよい。
【0113】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
【0114】
例えば、本実施形態では、複数のアカウントとして業務用アカウントと私用アカウントを例示したが、業務用アカウントは1つに限定されず2つ以上であってもよい。そして、業務用アカウントが2つ以上ある場合において、アカウント毎に、業務用文書の印刷可否を判断するための予め登録された位置情報や時間情報、ネット接続情報を設定してもよい。例えば、業務用アカウントとして第1業務アカウント及び第2業務アカウントが存在し、第1業務アカウントに対して業務用印刷可能な位置情報として会社Aの位置を登録し、第2業務アカウントに対して業務用印刷可能な位置情報として会社Bの位置を登録する等である。また、第1業務アカウントに対して業務用印刷可能な時間情報として特定の曜日を登録し、第2業務アカウントに対して業務用印刷可能な時間情報として当該特定の曜日以外を登録する等である。
【0115】
(付記)
(((1)))
プロセッサに、
ユーザのアカウントが複数アカウントのいずれであるかを判別する判別ステップと、
前記判別の結果と、前記ユーザが印刷を指示したときの位置情報とに基づき、文書印刷の可否を判定して出力する出力ステップと、
を実行させるプログラム。
(((2)))
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが業務用であり、かつ、前記位置情報が予め業務印刷が可能として登録された位置と一致する場合に、業務文書の印刷可能と判定して出力する、
(((1)))に記載のプログラム。
(((3)))
前記出力ステップでは、表示装置に業務文書を選択可能に表示し、私用文書を選択可能に表示しない、
(((2)))に記載のプログラム。
(((4)))
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが私用であり、かつ、前記位置情報が予め業務印刷が可能として登録された位置と一致しない場合に、私用文書の印刷可能と判定して出力する、
(((1)))~(((3)))のいずれかに記載のプログラム。
(((5)))
前記出力ステップでは、表示装置に私用文書を選択可能に表示し、業務文書を選択可能に表示しない、
(((4)))に記載のプログラム。
(((6)))
プロセッサに、
ユーザのアカウントが複数アカウントのいずれであるかを判別する判別ステップと、
前記判別の結果と、前記ユーザが印刷を指示したときの時間情報とに基づき、文書印刷の可否を判定して出力する出力ステップと、
を実行させるプログラム。
(((7)))
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが業務用であり、かつ、前記時間情報が予め業務時間として登録された時間と一致する場合に、業務文書の印刷可能と判定して出力する、
(((6)))に記載のプログラム。
(((8)))
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが私用であり、かつ、前記時間情報が予め業務時間として登録された時間と一致しない場合に、私用文書の印刷可能と判定して出力する、
(((6)))~(((7)))のいずれかに記載のプログラム。
(((9)))
プロセッサに、
ユーザのアカウントが複数アカウントのいずれであるかを判別する判別ステップと、
前記判別の結果と、前記ユーザが印刷を指示したときのネットワーク接続情報とに基づき、文書印刷の可否を判定して出力する出力ステップと、
を実行させるプログラム。
(((10)))
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが業務用であり、かつ、前記ネットワーク接続情報が業務印刷可能なネットワーク種別と一致する場合に、業務文書の印刷可能と判定して出力する、
(((9)))に記載のプログラム。
(((11)))
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが私用であり、かつ、前記ネットワーク接続情報が業務印刷可能なネットワーク種別と一致しない場合に、私用文書の印刷可能と判定して出力する、
(((9)))~(((10)))のいずれかに記載のプログラム。
(((12)))
前記出力ステップでは、さらに、前記判別の結果と、前記位置情報と、少なくとも前記ユーザが印刷を指示したときの時間情報とネットワーク接続情報のいずれかに基づいて、前記文書印刷の可否を判定して出力する、
(((1)))~(((11)))のいずれかに記載のプログラム。
(((13)))
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが業務用であり、前記位置情報が予め業務印刷が可能として登録された位置と一致し、かつ前記時間情報が予め業務時間として登録された時間と一致する場合に、業務文書の印刷可能と判定して出力する、
(((12)))に記載のプログラム。
(((14)))
前記出力ステップでは、判別された前記アカウントが私用であり、前記位置情報が予め業務印刷が可能として登録された位置と一致せず、又は前記時間情報が予め業務時間として登録された時間と一致しない場合に、私用文書の印刷可能と判定して出力する、
(((12)))~(((13)))のいずれかに記載のプログラム。
(((15)))
プロセッサと、
表示装置と、
を備え、前記プロセッサは、
ユーザのアカウントが複数アカウントのいずれであるかを判別し、
前記判別の結果と、前記ユーザが印刷を指示したときの位置情報とに基づき、文書印刷の可否を判定して前記表示装置に出力する、
情報処理システム。
【符号の説明】
【0116】
10 印刷装置、12 端末装置、12b プロセッサ、12f 表示装置、100 ネットワーク。