(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126990
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】プロセスモデル管理システム及びプロセスモデル管理方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240912BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240912BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035800
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】川村 陸
(72)【発明者】
【氏名】石田 仁志
(72)【発明者】
【氏名】萩原 岳大
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA57
3C100AA62
3C100AA65
3C100BB03
3C100BB12
3C100BB15
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】効率的にプロセスモデルを管理する。
【解決手段】プロセスモデル管理システムであって、プロセッサと、記憶装置と、を有し、記憶装置は、製造現場の業務の実績データと、業務の設計情報を含むマスタデータと、を保持し、プロセッサは、実績データに基づいて、実績プロセスモデルを生成し、マスタデータに基づいて、マスタプロセスモデルを生成し、実績プロセスモデル及びマスタプロセスモデルを合成した合成プロセスモデルを生成し、実績データに変更があった場合、実績データの変更による実績プロセスモデルの差分を検出し、マスタデータに変更があった場合、マスタデータの変更によるマスタプロセスモデルの差分を検出し、実績データ又はマスタデータの変更による合成プロセスモデルの差分を検出し、検出した差分に基づく通知を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスモデル管理システムであって、
プロセッサと、記憶装置と、を有し、
前記記憶装置は、製造現場において実行された業務の実績を示す実績データと、実行される業務の順序の設計情報を含むマスタデータと、を保持し、
前記プロセッサは、
前記実績データに基づいて、前記業務の実行順序の情報を含む実績プロセスモデルを生成し、
前記マスタデータに基づいて、前記業務の実行順序の情報を含むマスタプロセスモデルを生成し、
前記実績プロセスモデルに含まれる前記業務の実行順序の情報と、前記マスタプロセスモデルに含まれる前記業務の実行順序の情報と、のいずれも含む合成プロセスモデルを生成し、
前記実績データに変更があった場合、変更前の前記実績データに基づいて生成された過去の前記実績プロセスモデルと変更後の前記実績データに基づいて生成された新規の前記実績プロセスモデルとの差分を検出し、
前記マスタデータに変更があった場合、変更前の前記マスタデータに基づいて生成された過去の前記マスタプロセスモデルと変更後の前記マスタデータに基づいて生成された新規の前記マスタプロセスモデルとの差分を検出し、
前記実績データ及び前記マスタデータが変更される前の前記実績プロセスモデル及び前記マスタプロセスモデルに基づいて生成された過去の前記合成プロセスモデルと、前記実績データ及び前記マスタデータの一方が変更された後の前記実績プロセスモデル及び前記マスタプロセスモデルに基づいて生成された新規の前記合成プロセスモデルと、の差分を検出し、
前記検出した差分に基づく通知を出力することを特徴とするプロセスモデル管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスモデル管理システムであって、
前記プロセッサは、前記製造現場の監督者に対する前記通知として、検出した前記過去の実績プロセスモデルと前記新規の実績プロセスモデルとの差分の内容を示す情報を出力することを特徴とするプロセスモデル管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載のプロセスモデル管理システムであって、
前記プロセッサは、
前記新規の実績プロセスモデルと前記マスタプロセスモデルとの差分に基づいて、前記新規の実績プロセスモデルが前記マスタプロセスモデルから乖離したか、前記マスタプロセスモデルと整合したかを判定し、
前記新規の実績プロセスモデルが前記マスタプロセスモデルから乖離した場合、前記マスタデータの管理者に対する前記通知として、前記新規の実績プロセスモデルと前記マスタプロセスモデルとの差分の内容と、前記変更された実績データに整合させるための前記マスタデータの変更箇所と、を示す情報を出力し、
前記新規の実績プロセスモデルが前記マスタプロセスモデルと整合した場合、前記プロセスモデルの管理者に対する前記通知として、前記新規の実績プロセスモデルが前記マスタプロセスモデルと整合したことを示す情報を出力することを特徴とするプロセスモデル管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載のプロセスモデル管理システムであって、
前記プロセッサは、前記新規の実績プロセスモデルが前記マスタプロセスモデルから乖離した場合、前記プロセスモデルの管理者の承認の有無にかかわらず、前記新規の実績プロセスモデルと前記マスタプロセスモデルとに基づく前記新規の合成プロセスモデルを生成することを特徴とするプロセスモデル管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載のプロセスモデル管理システムであって、
前記プロセッサは、前記マスタデータの管理者に対する前記通知として、検出した前記過去のマスタプロセスモデルと前記新規のマスタプロセスモデルとの差分の内容を示す情報を出力することを特徴とするプロセスモデル管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載のプロセスモデル管理システムであって、
前記プロセッサは、
前記新規のマスタプロセスモデルと前記実績プロセスモデルとの差分に基づいて、前記新規のマスタプロセスモデルが前記実績プロセスモデルから乖離したか、前記実績プロセスモデルと整合したかを判定し、
前記新規のマスタプロセスモデルが前記実績プロセスモデルから乖離した場合、前記製造現場の監督者に対する前記通知として、前記新規のマスタプロセスモデルと前記実績プロセスモデルとの差分の内容と、前記変更されたマスタデータに整合させるための前記製造現場における製造プロセスの変更箇所と、を示す情報を出力し、
前記新規のマスタプロセスモデルが前記実績プロセスモデルと整合した場合、前記プロセスモデルの管理者に対する前記通知として、前記新規のマスタプロセスモデルが前記実績プロセスモデルと整合したことを示す情報を出力することを特徴とするプロセスモデル管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載のプロセスモデル管理システムであって、
前記プロセッサは、
前記新規のマスタプロセスモデルが前記実績プロセスモデルから乖離し、かつ、前記プロセスモデルの管理者の承認が得られた場合、前記新規のマスタプロセスモデルと前記実績プロセスモデルとに基づく前記新規の合成プロセスモデルを生成し、
前記新規のマスタプロセスモデルが前記実績プロセスモデルから乖離しても、前記プロセスモデルの管理者の承認が得られなかった場合、前記合成プロセスモデルを生成しないことを特徴とするプロセスモデル管理システム。
【請求項8】
請求項1に記載のプロセスモデル管理システムであって、
前記プロセッサは、前記過去の合成プロセスモデルと、前記新規の合成プロセスモデルと、の差分を検出した場合、前記実績プロセスモデル及び前記マスタプロセスモデルのいずれの差分が検出されたか、及び、検出された差分の内容を、前記プロセスモデルの管理者に通知する情報を出力することを特徴とするプロセスモデル管理システム。
【請求項9】
請求項1に記載のプロセスモデル管理システムであって、
前記プロセッサは、前記過去の実績プロセスモデル、前記新規の実績プロセスモデル、前記過去のマスタプロセスモデル、前記新規のマスタプロセスモデル、前記過去の合成プロセスモデル及び前記新規の合成プロセスモデルを表示するための情報を出力することを特徴とするプロセスモデル管理システム。
【請求項10】
請求項9に記載のプロセスモデル管理システムであって、
前記プロセッサは、前記合成プロセスモデルに含まれる前記業務のうち、前記実績プロセスモデルのみに含まれる前記業務の実行順序と、前記マスタプロセスモデルのみに含まれる前記業務の実行順序と、前記実績プロセスモデル及び前記マスタプロセスの両方に含まれる前記業務の実行順序と、のそれぞれを示す情報を異なる態様で表示するための情報を出力することを特徴とするプロセスモデル管理システム。
【請求項11】
請求項10に記載のプロセスモデル管理システムであって、
前記異なる態様での表示は、異なる形状の図形による表示、及び、異なる色彩による表示の少なくともいずれかであることを特徴とするプロセスモデル管理システム。
【請求項12】
計算機システムが実行するプロセスモデル管理方法であって、
前記計算機システムは、プロセッサと、記憶装置と、を有し、
前記記憶装置は、製造現場において実行された業務の実績を示す実績データと、実行される業務の順序の設計情報を含むマスタデータと、を保持し、
前記プロセスモデル管理方法は、
前記プロセッサが、前記実績データに基づいて、前記業務の実行順序の情報を含む実績プロセスモデルを生成する手順と、
前記プロセッサが、前記マスタデータに基づいて、前記業務の実行順序の情報を含むマスタプロセスモデルを生成する手順と、
前記プロセッサが、前記実績プロセスモデルに含まれる前記業務の実行順序の情報と、前記マスタプロセスモデルに含まれる前記業務の実行順序の情報と、のいずれも含む合成プロセスモデルを生成する手順と、
前記実績データに変更があった場合、前記プロセッサが、変更前の前記実績データに基づいて生成された過去の前記実績プロセスモデルと変更後の前記実績データに基づいて生成された新規の前記実績プロセスモデルとの差分を検出する手順と、
前記マスタデータに変更があった場合、前記プロセッサが、変更前の前記マスタデータに基づいて生成された過去の前記マスタプロセスモデルと変更後の前記マスタデータに基づいて生成された新規の前記マスタプロセスモデルとの差分を検出する手順と、
前記プロセッサが、前記実績データ及び前記マスタデータが変更される前の前記実績プロセスモデル及び前記マスタプロセスモデルに基づいて生成された過去の前記合成プロセスモデルと、前記実績データ及び前記マスタデータの一方が変更された後の前記実績プロセスモデル及び前記マスタプロセスモデルに基づいて生成された新規の前記合成プロセスモデルと、の差分を検出する手順と、
前記プロセッサが、前記検出した差分に基づく通知を出力する手順と、を含むことを特徴とするプロセスモデル管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスモデルを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業において、製造プロセスをモデル化し、モデル(すなわちプロセスモデル)に対応付けて現場データを管理することがある。このような管理技術として、例えば特開2019-153051(特許文献1)が開示されている。特許文献1には、「現場データを生成するデータ発生装置と、現場データを記憶するトランザクションデータ蓄積部とが接続された情報収集表示システムであって、現場データに含まれる複数の情報の各々の関連性を定義する関連性データを記憶する関連性データ蓄積部と、関連性データに基づいて複数の情報に含まれる第1情報に関連する第2情報を検索する関連性データ検索部と、関連性データによって関連付けられた複数の情報の接続関係を表示するユーザインタフェースと、を有し、関連性データ検索部は、ユーザインタフェースに表示された第1情報に関連する第2情報を検索すると共に、第1情報及び第2情報を複数の情報の接続関係と共にユーザインタフェースに表示する構成とした。」と記載されている。
【0003】
また、業務を分析する技術として、例えば、特開2020-126301号公報(特許文献2)が開示されている。特許文献2には、「業務分析装置のCPUは、ユーザー操作により入力された、対象業務の現状の作業に関する所定の作業情報に基づいて現状の業務プロセスを生成し、生成した現状の業務プロセスと予め準備された現状の業務プロセスに対応する業務プロセスモデルとの差異を抽出し、抽出した差異を軽減するための複数の改善案を、当該差異とともに表示部に表示させる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-153051号公報
【特許文献2】特開2020-126301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、製造プロセスをモデル化し、プロセスモデルに対応付けて現場データを管理することによって、プロセスモデルを介してデータを取得することが可能になり、業務プロセス全体にわたるデータ分析が容易になる。ここで、製造プロセスをモデル化するときに、工程数及び工程に含まれる業務数が多くなると人手でプロセスモデルを構築することが困難であるため、製造現場から取得された実績データに基づいてプロセスモデルを自動生成する場合がある。しかし、この場合には、例えば現場の作業プロセスが変更された場合に、現場から取得される実績データがプロセスモデルと整合しなくなり、プロセスモデルを介して特定のデータを取得することができなくなる場合がある。
【0006】
一方、工程を設計するときに作成されたマスタデータに基づいてプロセスモデルを生成することもできる。しかし、その場合も、現場の作業プロセスが変更されることによって、現場から取得される実績データがプロセスモデルと整合しなくなる場合がある。さらに、マスタデータが変更されたにもかかわらず現場がそれに対応していない場合にも、実績データとプロセスモデルとの不整合が発生する。
【0007】
上記のようにプロセスモデルが現場の実際の状態と整合しなくなった場合、プロセスモデルを介して適切なデータを取得することができなくなり、データ分析の誤り及び遅延等が発生することによって、生産性が低下する。
【0008】
本発明は、実績データ及びマスタデータを管理及び更新することによって、製造現場と整合するプロセスモデルからのデータ取得を可能とし、生産性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題の少なくとも一つを解決するために、本発明は、プロセスモデル管理システムであって、プロセッサと、記憶装置と、を有し、前記記憶装置は、製造現場において実行された業務の実績を示す実績データと、実行される業務の順序の設計情報を含むマスタデータと、を保持し、前記プロセッサは、前記実績データに基づいて、前記業務の実行順序の情報を含む実績プロセスモデルを生成し、前記マスタデータに基づいて、前記業務の実行順序の情報を含むマスタプロセスモデルを生成し、前記実績プロセスモデルに含まれる前記業務の実行順序の情報と、前記マスタプロセスモデルに含まれる前記業務の実行順序の情報と、のいずれも含む合成プロセスモデルを生成し、前記実績データに変更があった場合、変更前の前記実績データに基づいて生成された過去の前記実績プロセスモデルと変更後の前記実績データに基づいて生成された新規の前記実績プロセスモデルとの差分を検出し、前記マスタデータに変更があった場合、変更前の前記マスタデータに基づいて生成された過去の前記マスタプロセスモデルと変更後の前記マスタデータに基づいて生成された新規の前記マスタプロセスモデルとの差分を検出し、前記実績データ及び前記マスタデータが変更される前の前記実績プロセスモデル及び前記マスタプロセスモデルに基づいて生成された過去の前記合成プロセスモデルと、前記実績データ及び前記マスタデータの一方が変更された後の前記実績プロセスモデル及び前記マスタプロセスモデルに基づいて生成された新規の前記合成プロセスモデルと、の差分を検出し、前記検出した差分に基づく通知を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、効率的にプロセスモデルを管理することによって、生産性の向上を図ることができる。
【0011】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理技術の概要を示すブロック図である。
【
図2A】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2B】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムを実現するための計算機システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムの実績データ蓄積部に蓄積されるデータの一例を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムのマスタデータ保管部に蓄積されるデータの一例を示す説明図である。
【
図6】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムが実績データに基づいて実績プロセスモデルを生成する処理の一例を示す説明図である。
【
図7】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムがマスタデータに基づいてマスタプロセスモデルを生成する処理の一例を示す説明図である。
【
図8A】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムのプロセスモデル管理部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8B】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムのプロセスモデル管理部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8C】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムのプロセスモデル管理部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムのプロセスモデル管理部が実行する処理の一例を示す説明図である。
【
図10】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムにおいて、実績プロセスモデルの変更によって実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルに同期した場合に表示される画面の一例を示す説明図である。
【
図11A】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムにおいて、実績プロセスモデルの変更によって実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルから乖離した場合に表示される画面の一例を示す説明図である。
【
図11B】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムにおいて、実績プロセスモデルの変更によって実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルから乖離した場合に表示される画面の一例を示す説明図である。
【
図12】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムにおいて、マスタプロセスモデルの変更によってマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルに同期した場合に表示される画面の一例を示す説明図である。
【
図13】本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムにおいて、マスタプロセスモデルの変更によってマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルから乖離した場合に表示される画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を使用して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例に係るプロセスモデル管理技術の概要を示すブロック図である。
【0015】
本実施例では、製造現場120における製品の製造プロセスをモデル化したプロセスモデルの管理について説明する。
【0016】
コンピュータ100は、マスタデータ管理者110から入力されたマスタデータに基づいてマスタプロセスモデルを生成する(ステップ101)。マスタデータとは、マスタデータ管理者110が管理する製造プロセスの設計情報であり、例えば各工程を構成する業務の実行順、及び、工程の実行順等を定義する情報等を含む。マスタデータに基づいて生成したプロセスモデルをマスタプロセスモデルと記載する。マスタデータ及びマスタプロセスモデルの例については後述する。
【0017】
マスタ管理者がマスタデータを変更した場合、それに基づいて生成されるマスタプロセスモデルも変更される。コンピュータ100は、新たに生成したマスタプロセスモデルを過去に生成したマスタプロセスモデルと比較し、両者に差分があればそれを検出する(ステップ102)。
【0018】
さらに、コンピュータ100は、製造現場120から取得された実績データに基づいて実績プロセスモデルを生成する(ステップ103)。実績データとは、製造現場120において実際に行われた製品製造の各工程の各業務の情報であり、例えば、製品ごとに、各工程の各業務が実際に行われた時刻、及び、工程間の関係等の情報を含む。実績データに基づいて生成したプロセスモデルを実績プロセスモデルと記載する。実績データ及び実績プロセスモデルの例については後述する。
【0019】
製造現場120における実際の製造プロセス(以下、現場プロセスとも記載する)が変更された場合、その変更に応じて実績データが変化し、その結果、生成される実績プロセスモデルも変更される。コンピュータ100は、新たに生成した実績プロセスモデルを過去に生成した実績プロセスモデルと比較し、両者に差分があればそれを検出する(ステップ104)。
【0020】
そして、コンピュータ100は、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルとを比較して、両者に差分があればそれを検出し(ステップ105)、検出した差分に基づいて合成プロセスモデルを生成する(ステップ106)。そして、コンピュータ100は、新たに生成した合成プロセスモデルを過去に生成した合成プロセスモデルと比較し、両者に差分があればそれを検出して、その結果をプロセスモデル管理者130に通知する。
【0021】
プロセスモデル管理者130は、通知された合成プロセスモデルの差分に基づいて、必要に応じて、マスタデータ管理者110へのマスタデータの変更のリコメンド、及び、製造現場への現場プロセスの変更のリコメンドを行う。
【0022】
図2Aは、本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
本実施例のプロセスモデル管理システム200は、製造現場120における製品の製造事業を行う事業者210によって使用される。
図2に示すプロセスモデル管理システム200は、プロセスモデル管理部211、情報収集部212、マスタデータ保管部213、実績データ蓄積部214、実績プロセスモデル蓄積部215、マスタプロセスモデル蓄積部216、合成プロセスモデル蓄積部217、マスタデータ管理端末219、プロセスモデル管理端末221、製造現場管理端末231及び作業実績データ発生装置232を含む。
【0024】
製造現場管理端末231は、製造現場120の管理者等が使用する端末であり、例えば事業者210のシステムからの通知(例えば後述するリコメンド)等を受信して製造現場120の管理者等に表示してもよい。作業実績データ発生装置232は、製造現場120における各工程の各業務が実行された実績を示すデータ(本実施例ではこれを実績データと記載する)を発生させる。製造現場管理端末231及び作業実績データ発生装置232は、製造現場に設置されてもよく、例えば、作業実績データ発生装置232は工程の業務を行う設備ごとに設置されてもよい。
【0025】
情報収集部212は、作業実績データ発生装置232から実績データを、マスタデータ管理端末219からマスタデータを収集して、それぞれ、実績データ蓄積部214及びマスタデータ保管部213に格納する。マスタデータ管理端末219は、マスタデータ管理者110が使用する端末である。例えば、マスタデータ管理者110は、マスタデータ管理端末219を操作してマスタデータを入力することができる。
【0026】
プロセスモデル管理部211は、マスタデータ保管部213に保管されたマスタデータに基づいてマスタプロセスモデルを生成して、マスタプロセスモデル蓄積部216に格納する。また、プロセスモデル管理部211は、実績データ蓄積部214に蓄積された実績データに基づいて実績プロセスモデルを生成して、実績プロセスモデル蓄積部215に格納する。そして、プロセスモデル管理部211は、マスタプロセスモデルと実績プロセスモデルとの差分を検出して、合成プロセスモデルを生成して、合成プロセスモデル蓄積部217に格納し、その結果をプロセスモデル管理端末221に送信する。
【0027】
プロセスモデル管理端末221は、プロセスモデル管理者130が使用する端末であり、例えばプロセスモデル管理部211の処理結果がプロセスモデル管理端末221を介してプロセスモデル管理者130に提示される。
【0028】
図2Bは、本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システム200を実現するための計算機システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
図1及び
図2Aに示した本実施例のシステムは、例えば計算機システム250によって構成される。例えば、
図2Aに示すプロセスモデル管理部211、情報収集部212、マスタデータ保管部213、実績データ蓄積部214、実績プロセスモデル蓄積部215、マスタプロセスモデル蓄積部216及び合成プロセスモデル蓄積部217が、
図1に示すコンピュータ100に対応し、これが
図2Bに示す計算機システム250によって実現されてもよい。
【0030】
計算機システム250は、プロセッサ251、メモリ(主記憶装置)252、補助記憶装置253、出力装置254、入力装置255、及び通信インタフェース(I/F)256を含む。上記構成要素は、バスによって互いに接続されている。メモリ252及び補助記憶装置253は記憶装置であり、プロセッサ251が使用するプログラム及びデータを格納している。
【0031】
メモリ252は、例えば半導体メモリによって構成され、主に実行中のプログラム及びデータを保持するために利用される。プロセッサ251は、メモリ252に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。プロセッサ251がプログラムに従って動作することで、様々な機能部(
図2A等参照)が実現される。
【0032】
補助記憶装置253は、例えばハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブなどの大容量の記憶装置によって構成され、プログラム及びデータを長期間保持するために利用される。例えば、マスタデータ保管部213、実績データ蓄積部214、実績プロセスモデル蓄積部215、マスタプロセスモデル蓄積部216及び合成プロセスモデル蓄積部217は、補助記憶装置253の記憶領域によって実現される。
【0033】
プロセッサ251は、単一の処理ユニット又は複数の処理ユニットで構成することができ、単一もしくは複数の演算ユニット、又は複数の処理コアを含むことができる。プロセッサ251は、1又は複数の中央処理装置、マイクロプロセッサ、マイクロ計算機、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、ステートマシン、ロジック回路、グラフィック処理装置、チップオンシステム、及び/又は制御指示に基づき信号を操作する任意の装置として実装することができる。
【0034】
補助記憶装置253に格納されたプログラム及びデータが起動時又は必要時にメモリ252にロードされ、プログラムをプロセッサ251が実行することによって、計算機システム250の各種処理が実行される。したがって、以下の説明において例えばプロセスモデル管理部211及び情報収集部212等によって実行される処理は、プロセッサ251がプログラムに従って、必要に応じて計算機システム250内の各部を制御して実行する処理である。
図3を参照して後述するプロセスモデル管理部211内の各部が実行する処理も同様である。
【0035】
入力装置255は、ユーザが指示及び情報などを入力するためのハードウェアデバイスである。出力装置254は、入出力用の各種画像を提示するハードウェアデバイスであり、例えば、表示デバイス又は印刷デバイスである。通信I/F256は、ネットワークとの接続のためのインタフェースである。
【0036】
なお、計算機システム250は2以上のプロセッサ251を含んでもよい。また、本実施例のシステムの機能は、複数の計算機システム250に実装することができる。その場合、複数の計算機システム250はネットワークを介して通信する。例えば、本実施例のシステムの複数の機能の一部が一つの計算機システム250に実装され、他の一部が他の計算機システムに実装されてもよい。
【0037】
図3は、本発明の実施例に係るプロセスモデル管理部211の構成の一例を示すブロック図である。
【0038】
プロセスモデル管理部211は、マスタプロセスモデル生成部301、マスタプロセスモデル差分検出部302、実績プロセスモデル生成部303、実績プロセスモデル差分検出部304、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルの差分検出部305、合成プロセスモデル生成部306、及び合成プロセスモデル差分検出部307を含む。
【0039】
マスタプロセスモデル生成部301は、マスタデータ保管部213に保管されたマスタデータに基づいてマスタプロセスモデルを生成してマスタプロセスモデル蓄積部216に格納する。これは、
図1のステップ101に対応する。以下同様に、各部の処理を
図1のステップと対応付けて説明する。
【0040】
マスタプロセスモデル差分検出部302は、マスタプロセスモデル蓄積部216に蓄積された、新たに生成されたマスタプロセスモデルと、その前に生成されたマスタプロセスモデルとの差分を検出し、その結果をマスタデータ管理端末219に送信する(ステップ102)。
【0041】
実績プロセスモデル生成部303は、実績データ蓄積部214に蓄積された実績データに基づいて実績プロセスモデルを生成して実績プロセスモデル蓄積部215に格納する(ステップ103)。実績プロセスモデル差分検出部304は、実績プロセスモデル蓄積部215に蓄積された、新たに生成された実績プロセスモデルと、その前に生成された実績プロセスモデルとの差分を検出し、その結果を製造現場管理端末231に送信する(ステップ104)。
【0042】
実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルの差分検出部305は、実績プロセスモデル蓄積部215に蓄積された実績プロセスモデルとマスタプロセスモデル蓄積部216に蓄積されたマスタプロセスモデルとの差分を検出する(ステップ105)。合成プロセスモデル生成部306は、ステップ105で検出された差分に基づいて合成プロセスモデルを生成して、合成プロセスモデル蓄積部217に格納する(ステップ106)。合成プロセスモデル差分検出部307は、合成プロセスモデル蓄積部217に蓄積された、新たに生成された合成プロセスモデルと、その前に生成された合成プロセスモデルとの差分を検出し、その結果をプロセスモデル管理端末221に送信する(ステップ107)。
【0043】
図4は、本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システム200の実績データ蓄積部214に蓄積されるデータの一例を示す説明図である。
【0044】
図4に例示する実績データ蓄積部214には、実績データとして、着完データ400及び工程間連結データ420が蓄積される。着完データ400は、例えば、複数のレコードからなるテーブル形式のデータであり、各レコードが実際に行われた1回の業務に対応する。各レコードは、製品識別番号401、業務識別番号402、作業開始時刻403及び作業終了時刻404を含む。それぞれの項目の論理名(例えば「製品識別番号」等)、物理名(例えば「prd_id」等)、及び、データ型(例えば「VARCHAR」(可変長文字列)又は「DATETIME」(日時)等)が定義される。
【0045】
工程間連結データ420は、例えば、複数のレコードからなるテーブル形式のデータであり、各レコードが実際に行われた1回の工程間の移動(例えば、ある工程の業務が行われた製品が別の工程に投入されたこと)に対応する。各レコードは、業務識別番号421、部品識別番号422及び製品識別番号423を含む。それぞれの項目の論理名、物理名及びデータ型が定義される。
【0046】
図5は、本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システム200のマスタデータ保管部213に蓄積されるデータの一例を示す説明図である。
【0047】
図5に例示するマスタデータ保管部213には、マスタデータとして、作業マスタデータ500及び工程マスタデータ520が蓄積される。作業マスタデータ500は、例えば、複数のレコードからなるテーブル形式のデータであり、各レコードが一つの工程に含まれる一つの業務に対応する。各レコードは、工程識別番号501、業務識別番号502及び業務実行順503を含む。それぞれの項目の論理名、物理名及びデータ型が定義される。
【0048】
工程マスタデータ520は、例えば、複数のレコードからなるテーブル形式のデータであり、各レコードが工程間の関係を示す。各レコードは、工程識別番号521及び次工程522を含む。それぞれの項目の論理名、物理名及びデータ型が定義される。
【0049】
図6は、本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システム200が実績データに基づいて実績プロセスモデルを生成する処理の一例を示す説明図である。
【0050】
図6を参照して、
図1のステップ103において実績プロセスモデル生成部303が実行する処理の一例を示す。
【0051】
図6に示す着完データ600は、
図4に示した着完データ400の各項目の値の具体例を示している。この例は、「製品1」に対して「業務1」から「業務4」が順次実行され、次に、「製品2」に対して「業務5」及び「業務6」が順次実行されたことを示している。一方、
図6に示す工程間連結データ620は、
図4に示した工程間連結データ420の各項目の値の具体例を示している。この例は、「製品1」が、「製品2」を製造するための部品として「業務5」に投入されたことを示している。
【0052】
実績プロセスモデル生成部303は、上記の実績データに基づいて実績プロセスモデルを生成する。具体的には、実績プロセスモデル生成部303は、上記の実績データに基づいて、「製品1」に対して順次実行される「業務1」から「業務4」を一つの工程(例えば「工程A」)と認識し、「製品2」に対して順次実行される「業務5」から「業務6」を別の一つの工程(例えば「工程B」)と認識する。そして、実績プロセスモデル生成部303は、「工程A」の成果物である「製品1」が、「製品2」を製造するための部品として、「工程B」の「業務5」に投入されたものと認識する。
【0053】
図6に示す実績プロセスモデル650は、上記のように実績プロセスモデル生成部303が業務データに基づいて認識したプロセスモデルをJSON(JavaScript Object Notation、JavaScriptは登録商標)形式のデータとして出力したものである。実績プロセスモデル650は、「工程A」が「業務1」、「業務2」、「業務3」及び「業務4」を含み、「業務1」の次に「業務2」が実行され、「業務2」の次に「業務3」が実行され、「業務3」の次に「業務4」が実行され、「業務4」の次に「工程B」が実行され、「工程B」が「業務5」及び「業務6」を含み、「業務5」の次に「業務6」が実行される、という情報を含んでいる。
【0054】
図7は、本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システム200がマスタデータに基づいてマスタプロセスモデルを生成する処理の一例を示す説明図である。
【0055】
図7を参照して、
図1のステップ101においてマスタプロセスモデル生成部301が実行する処理の一例を示す。
【0056】
図7に示す作業マスタデータ700は、
図5に示した作業マスタデータ500の各項目の値の具体例を示している。この例は、「工程A」が、順次実行される「業務1」から「業務4」を含み、「工程B」が、順次実行される「業務5」及び「業務6」を含むことを示している。一方、
図7に示す工程マスタデータ720は、
図5に示した工程マスタデータ520の各項目の値の具体例を示している。この例は、「工程A」の次に「工程B」が実行されることを示している。
【0057】
マスタプロセスモデル生成部301は、上記のマスタデータに基づいてマスタプロセスモデルを生成する。
図7に示すマスタプロセスモデル750は、マスタプロセスモデル生成部301が作業マスタデータ700及び工程マスタデータ720に基づいて認識したプロセスモデルをJSON形式のデータとして出力したものである。マスタプロセスモデル750は、「工程A」が「業務1」、「業務2」、「業務3」及び「業務4」を含み、「業務1」の次に「業務2」が実行され、「業務2」の次に「業務3」が実行され、「業務3」の次に「業務4」が実行され、「業務4」の次に「工程B」が実行され、「工程B」が「業務5」及び「業務6」を含み、「業務5」の次に「業務6」が実行される、という情報を含んでいる。
【0058】
上記の
図6及び
図7の例では、実績プロセスモデル生成部303が生成した実績プロセスモデル650と、マスタプロセスモデル生成部301が生成したマスタプロセスモデル750とは同一である。この場合、
図1のステップ105において、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルの差分検出部305は、両者に差分がないことを検出する。
【0059】
これに対して、例えば、製造現場監督者が、製造現場の実情に基づいて製造プロセスを変更した場合、それに従って取得される実績データが変化し、それに合わせて実績プロセスモデルも変化する。あるいは、マスタデータ管理者が、製造現場の効率向上等を目的としてマスタデータを変更した場合、それに従ってマスタプロセスモデルも変化する。このような場合に、両者の差分が検出される。
【0060】
なお、
図6及び
図7の例では、JSON形式の実績プロセスモデル650及びマスタプロセスモデル750が生成される。両者の差分を検出するために両者の形式が同一であることが望ましいが、JSON形式である必要はなく、他の任意の形式を採用することができる。
【0061】
図8A~
図8Cは、本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システム200のプロセスモデル管理部211が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0062】
図8A~
図8Cに示す処理が開始される時点で、実績プロセスモデル生成部303は、既に実績データ蓄積部214に蓄積されている実績データに基づいて実績プロセスモデルを生成しており、生成された実績プロセスモデルは実績プロセスモデル蓄積部215に格納されている。同様に、マスタプロセスモデル生成部301は、既にマスタデータ保管部213に保管されているマスタデータに基づいてマスタプロセスモデルを生成しており、生成されたマスタプロセスモデルはマスタプロセスモデル蓄積部216に格納されている。また、合成プロセスモデル生成部306は、合成プロセスモデルを生成しており、生成された合成プロセスモデルは合成プロセスモデル蓄積部217に格納されている。
【0063】
実績プロセスモデル生成部303は、実績データを監視する(ステップ801)。一方、マスタプロセスモデル生成部301は、マスタデータを監視する(ステップ802)。そして、実績プロセスモデル生成部303及びマスタプロセスモデル生成部301は、それぞれ、実績データ及びマスタデータに変更があったかを判定する(ステップ803)。
【0064】
例えば、作業実績データ発生装置232によって発生した実績データが情報収集部212によって新たに収集され、実績データ蓄積部214に格納されるときに、実績プロセスモデル生成部303は、その新たに格納される実績データを監視する。そして、新たに格納される実績データが既に実績データ蓄積部214に蓄積されている実績データと異なる場合に、実績データに変更があったと判定してもよい。
【0065】
同様に、マスタデータ管理端末219によって新たに生成されたマスタデータがマスタデータ保管部213に格納されるときに、マスタプロセスモデル生成部301は、その新たに格納されるマスタデータを監視する。そして、新たに格納されるマスタデータが既にマスタデータ保管部213に保管されているマスタデータと異なる場合に、マスタデータに変更があったと判定してもよい。
【0066】
実績データに変更があったと判定された場合、実績プロセスモデル生成部303は、変更された実績データに基づいて実績プロセスモデルを生成して、実績プロセスモデル蓄積部215に格納する(ステップ804)。そして、実績プロセスモデル差分検出部304が、実績プロセスモデル蓄積部215に蓄積されている過去の実績プロセスモデルと、新たに生成された実績プロセスモデルとの差分を検出し(ステップ805)、検出した差分の内容を製造現場管理端末231に通知する(ステップ806)。例えば、製造現場の機械の故障などのために製造現場の監督者も意図しないプロセスの変更が発生した場合にも、ステップ806の通知に基づいてその変更を知ることができる。
【0067】
次に、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルの差分検出部305が、新たに生成された実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルとの差分を検出する(ステップ807)。そして、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルの差分検出部305は、検出した差分に基づいて、新たに生成された実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルと同期したのか乖離したのかを判定する(ステップ808)。ここで、実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルと同期するとは、実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルに整合する状態となることを意味する。以下の説明における「同期」も同様である。
【0068】
例えば、ステップ805で比較された過去の実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルと一致しており、新たに生成された実績プロセスモデルはマスタプロセスモデルと一致しない場合には、新たに生成された実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルから乖離したと判定される。一方、ステップ805で比較された過去の実績プロセスモデルはマスタプロセスモデルと一致しておらず、新たに生成された実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルと一致した場合には、新たに生成された実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルと同期したと判定される。
【0069】
新たに生成された実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルから乖離したと判定された場合、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルの差分検出部305は、マスタデータ管理者110にマスタデータの変更箇所をリコメンドする(ステップ809)。例えば、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルとの差分について、その差分を解消するマスタプロセスモデルの変更をリコメンドしてもよい。
【0070】
次に、合成プロセスモデル生成部306が、新たに生成された実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルとを合成した合成プロセスモデルを生成する(ステップ810)。例えば、合成プロセスモデル生成部306は、各工程が、実績プロセスモデルに含まれる業務とマスタプロセスモデルに含まれる業務の両方を含むように合成プロセスモデルを生成する。
【0071】
なお、この時点で生成される合成プロセスモデルは、それまで保持されていた合成プロセスモデルを置き換えるための候補である。それまで保持されていた合成プロセスモデルは、後述するステップ813において更新されるまで維持される。後述するステップ814~817、826~829、830~833においても同様である。
【0072】
次に、合成プロセスモデル差分検出部307が、新たに生成された合成プロセスモデルと、合成プロセスモデル蓄積部217に蓄積されている過去の合成プロセスモデルとの差分を検出して(ステップ811)、検出した差分をプロセスモデル管理者130に通知する(ステップ812)。この通知は、合成プロセスモデルが変更されたこと、及び、その変更箇所を示す情報を含んでもよい。そして、合成プロセスモデル差分検出部307は、新たに生成された合成プロセスモデルを合成プロセスモデル蓄積部217に格納して、合成プロセスモデルを更新する(ステップ813)。
【0073】
ステップ808において、新たに生成された実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルと同期したと判定された場合、合成プロセスモデル生成部306が、実績プロセスモデルと新たに生成されたマスタプロセスモデルとを合成した合成プロセスモデルを生成する(ステップ814)。この生成は、例えば、ステップ810と同様に行うことができる。
【0074】
次に、合成プロセスモデル差分検出部307が、新たに生成された合成プロセスモデルと、その前に合成プロセスモデル蓄積部217に蓄積されていた合成プロセスモデルとの差分を検出して(ステップ815)、検出した差分をプロセスモデル管理者130に通知する(ステップ816)。この通知は、合成プロセスモデルが変更されたこと、及び、その変更箇所を示す情報を含んでもよく、さらに、実績プロセスモデルが変更されたことによってマスタプロセスモデルと同期したことを示す情報を含んでもよい。そして、合成プロセスモデル差分検出部307は、新たに生成された合成プロセスモデルを合成プロセスモデル蓄積部217に格納して、合成プロセスモデルを更新する(ステップ817)。
【0075】
ステップ803において、マスタデータに変更があったと判定された場合、マスタプロセスモデル生成部301は、変更されたマスタデータに基づいてマスタプロセスモデルを生成して、マスタプロセスモデル蓄積部216に格納する(ステップ818)。そして、マスタプロセスモデル差分検出部302が、プロセスモデル管理者130がマスタプロセスモデルの登録を承認したかを判定する(ステップ819)。マスタプロセスモデルの登録が承認されていない場合、何も実行されない(ステップ820)。具体的には、マスタプロセスモデル差分検出部302は、マスタプロセスモデルの登録が承認されるまで待ってもよいし、処理がステップ801及びステップ802に戻ってもよい。
【0076】
マスタプロセスモデルの登録が承認された場合、マスタプロセスモデル差分検出部302は、マスタプロセスモデル蓄積部216に蓄積されている過去のマスタプロセスモデルと、新たに生成されたマスタプロセスモデルとの差分を検出し(ステップ821)、検出した差分の内容をマスタデータ管理端末219に通知する(ステップ822)。
【0077】
次に、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルの差分検出部305が、実績プロセスモデルと新たに生成されたマスタプロセスモデルとの差分を検出する(ステップ823)。そして、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルの差分検出部305は、検出した差分に基づいて、新たに生成されたマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルと同期したのか乖離したのかを判定する(ステップ824)。
【0078】
例えば、ステップ821で比較された過去のマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルと一致しており、新たに生成されたマスタプロセスモデルは実績プロセスモデルと一致しない場合には、新たに生成されたマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルから乖離したと判定される。一方、ステップ821で比較された過去のマスタプロセスモデルは実績プロセスモデルと一致しておらず、新たに生成されたマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルと一致した場合には、新たに生成されたマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルと同期したと判定される。
【0079】
新たに生成されたマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルから乖離したと判定された場合、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルの差分検出部305は、製造現場監督者に現場プロセスの変更箇所をリコメンドする(ステップ825)。例えば、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルとの差分について、その差分を解消する現場プロセスの変更をリコメンドしてもよい。このリコメンドは、例えば、製造現場管理端末231に送信される。
【0080】
次に、合成プロセスモデル生成部306が、新たに生成されたマスタプロセスモデルと実績プロセスモデルとを合成した合成プロセスモデルを生成する(ステップ826)。この生成は、例えば、ステップ810と同様に行うことができる。
【0081】
次に、合成プロセスモデル差分検出部307が、新たに生成された合成プロセスモデルと、合成プロセスモデル蓄積部217に蓄積されている過去の合成プロセスモデルとの差分を検出して(ステップ826)、検出した差分をプロセスモデル管理者130に通知する(ステップ828)。この通知は、合成プロセスモデルが変更されたこと、及び、その変更箇所を示す情報を含んでもよい。そして、合成プロセスモデル差分検出部307は、新たに生成された合成プロセスモデルを合成プロセスモデル蓄積部217に格納して、合成プロセスモデルを更新する(ステップ829)。
【0082】
ステップ824において、新たに生成されたマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルと同期したと判定された場合、合成プロセスモデル生成部306が、マスタプロセスモデルと新たに生成された実績プロセスモデルとを合成した合成プロセスモデルを生成する(ステップ830)。この生成は、例えば、ステップ810と同様に行うことができる。
【0083】
次に、合成プロセスモデル差分検出部307が、新たに生成された合成プロセスモデルと、その前に合成プロセスモデル蓄積部217に蓄積されていた合成プロセスモデルとの差分を検出して(ステップ831)、検出した差分をプロセスモデル管理者130に通知する(ステップ832)。この通知は、合成プロセスモデルが変更されたこと、及び、その変更箇所を示す情報を含んでもよく、さらに、新たに生成されたマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルと同期したことを示す情報を含んでもよい。そして、合成プロセスモデル差分検出部307は、新たに生成された合成プロセスモデルを合成プロセスモデル蓄積部217に格納して、合成プロセスモデルを更新する(ステップ833)。
【0084】
【0085】
図9は、本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システム200のプロセスモデル管理部211が実行する処理の一例を示す説明図である。
【0086】
最初の時点901において、実績データのバージョンは「実績Ver.1」であり、それに基づいて生成された実績プロセスモデルは、「業務A」、「業務B」、「業務C」が順次実行される工程を示す。一方、マスタデータのバージョンは「マスタVer.1」であり、それに基づいて生成されたマスタプロセスモデルは、「業務A」、「業務B」、「業務C」が順次実行される工程を示す。この時点で、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルは一致しており(すなわち両者の間の差分はなく)、合成プロセスモデルは、それらと同様に、「業務A」、「業務B」、「業務C」が順次実行される工程を示す。
【0087】
なお、
図9では、「業務A」、「業務B」、「業務C」等を、「A」、「B」、「C」等が表示された円の図形で表示し、それらを囲む矩形は、それらの業務を含む工程を示している。
【0088】
その後、時点902において、実績データが「実績Ver.2」というバージョンに変更される。このような変更は、例えば、現場監督者が製造ラインの効率化などの目的で製造プロセスを変更する、といったことによって発生し得る。すると、ステップ803において実績データに変更があったと判定される。そして、ステップ804において、「業務A」、「業務B」、「業務C」、「業務D」が順次実行される工程を示す実績プロセスモデルが生成される。
【0089】
この場合、ステップ805において実績プロセスモデルの差分が検出され、ステップ806の通知が行われる。そして、ステップ807において、「業務C」の後に追加された「業務D」が実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルとの差分として検出される。
【0090】
この場合、ステップ808では、実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルから乖離したと判定される。そして、ステップ809において、マスタデータの「業務C」の後に「業務D」を追加するように、マスタデータ管理者110へのリコメンドが行われる。
【0091】
ステップ810では、順次実行される「業務A」、「業務B」、「業務C」、「業務D」と、順次実行される「業務A」、「業務B」、「業務C」と、の全てを含む「業務A」、「業務B」、「業務C」、「業務D」からなる工程が合成プロセスモデルとして生成される。ステップ811では差分として「業務D」が追加されたことが検出され、その差分がステップ812において通知され、ステップ813において、合成プロセスモデルが上記の新たに生成されたものに更新される。
【0092】
その後、時点903において、マスタデータが「マスタVer.2」に変更される。これは、例えば上記の時点902のステップ809のリコメンドに応じてマスタデータ管理者が変更した結果であってもよい。すると、ステップ803においてマスタデータに変更があったと判定される。そして、ステップ818において、「業務A」、「業務B」、「業務C」、「業務D」が順次実行される工程を示すマスタプロセスモデルが生成される。
【0093】
この場合、ステップ821においてマスタプロセスモデルの差分が検出され、ステップ822の通知が行われる。この例では、マスタプロセスモデルの変更によって、マスタプロセスモデルが実績プロセスモデルと一致することになる。このため、ステップ823では、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルとの間に差分がないことが検出され、ステップ824では、マスタプロセスモデルが実績プロセスモデルと同期したと判定される。
【0094】
そして、ステップ830において、「業務A」、「業務B」、「業務C」、「業務D」が順次実行される工程を示す合成プロセスモデルが生成される。この合成プロセスモデルは、時点902において生成されたものと同一であるため、ステップ831では差分がないことが検出され、そのことがステップ832において通知される。ステップ833において、合成プロセスモデルが上記の新たに生成されたものに更新される。
【0095】
その後、時点904において、マスタデータが「マスタVer.3」に変更される。例えば、マスタデータ管理者が、製造ラインの効率化などを目的として製造プロセスを変更しようとする場合などに起こりうる。すると、ステップ803においてマスタデータに変更があったと判定される。そして、ステップ818において、「業務A」、「業務B」、「業務C」、「業務E」が順次実行される工程を示すマスタプロセスモデルが生成される。
【0096】
この場合、ステップ821においてマスタプロセスモデルの差分が検出され、ステップ822の通知が行われる。そして、ステップ823において、実績プロセスモデルにおいて「業務C」の次に実行される「業務D」が、マスタプロセスモデルにおいては「業務C」の次に実行される「業務E」によって置き換えられていることが、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルとの差分として検出される。
【0097】
この場合、ステップ824では、マスタプロセスモデルが実績プロセスモデルから乖離したと判定される。そして、ステップ825において、マスタデータの「業務C」の次に「業務D」の代わりに「業務E」を実行するように、製造現場監督者へのリコメンドが行われる。
【0098】
ステップ826では、順次実行される「業務A」、「業務B」、「業務C」、「業務D」と、順次実行される「業務A」、「業務B」、「業務C」、「業務E」と、の全てを含む「業務A」、「業務B」、「業務C」、「業務D」、「業務E」からなる工程が合成プロセスモデルとして生成される。
【0099】
ここで、時点904における合成プロセスモデルの生成について詳細に説明する。上記の通り、時点904において、実績プロセスモデルは、「業務A」、(「業務A」の次に実行される)「業務B」、(「業務B」の次に実行される)「業務C」、(「業務C」の次に実行される)「業務D」からなる工程を示している。これに対して、マスタプロセスモデルは、「業務A」、(「業務A」の次に実行される)「業務B」、(「業務B」の次に実行される)「業務C」、(「業務C」の次に実行される)「業務E」からなる工程を示すように更新される。
【0100】
この場合、合成プロセスモデルは、上記の全ての業務を含む工程を示すように生成される。すなわち、合成プロセスモデルは、「業務A」、(「業務A」の次に実行される)「業務B」、(「業務B」の次に実行される)「業務C」、(「業務C」の次に実行される)「業務D」、(「業務C」の次に実行される)「業務E」からなる工程を示すように更新される。すなわち、この時点904で生成された合成プロセスモデルにおいて、「業務C」の次の業務は、「業務D」と「業務E」に分岐することとなる。
【0101】
ステップ827では、差分として「業務C」の次に実行される「業務E」が追加されたことが検出され、その差分がステップ828において通知され、ステップ829において、合成プロセスモデルが上記の新たに生成されたものに更新される。
【0102】
その後、時点905において、実績データが「実績Ver.3」に変更される。これは、例えば上記の時点904のステップ825のリコメンドに応じて製造現場監督者が「業務C」の次に実行する「業務D」を「業務E」に変更した結果であってもよい。すると、ステップ803において実績データに変更があったと判定される。そして、ステップ804において、「業務A」、「業務B」、「業務C」、「業務E」が順次実行される工程を示す実績プロセスモデルが生成される。
【0103】
この場合、ステップ805において実績プロセスモデルの差分が検出され、ステップ806の通知が行われる。そして、ステップ807において、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルとの間に差分がないことが検出され、ステップ808では、実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルと同期したと判定される。
【0104】
ステップ814では、順次実行される「業務A」、「業務B」、「業務C」、「業務E」からなる工程が合成プロセスモデルとして生成される。ステップ815では差分として「業務Cの次に実行される「業務E」が削除されたことが検出され、その差分がステップ816において通知され、ステップ817において、合成プロセスモデルが上記の新たに生成されたものに更新される。
【0105】
次に、
図10~
図13を参照して、プロセスモデル管理システム200の表示画面の例を説明する。
【0106】
図10は、本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システム200において、実績プロセスモデルの変更によって実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルに同期した場合に表示される画面の一例を示す説明図である。
【0107】
図10に示す表示画面1000は、プロセスモデル表示部1001、差分表示部1002、プロセスモデル詳細表示部1003、リコメンド表示部1004及びリコメンド承認ログ表示部1005を含む。
【0108】
プロセスモデル表示部1001には、実績プロセスモデル、マスタプロセスモデル及び合成プロセスモデルのそれぞれについて、過去のものと新規のものとの組が表示される。プロセスモデル表示部1001では、「業務1」~「業務8」が、それぞれ、「1」~「8」が記載された円形の記号によって表示される。また、複数の業務を含む工程が、それらの業務の記号を囲む矩形によって表示される。
【0109】
図10の例では、過去の実績プロセスモデルと過去のマスタプロセスモデルは一致しない。過去の実績プロセスモデルは、「工程A」、「工程B」及び「工程C」によって構成される。「工程A」は、順次実行される「業務1」~「業務4」を含む。「工程B」は、「業務4」の成果物を部品として順次実行される「業務5」~「業務6」を含む。「工程C」は、「業務4」の成果物を部品として順次実行される「業務7」~「業務8」を含む。一方、過去のマスタプロセスモデルは、上記と同様の「工程A」及び「工程B」によって構成され、「工程C」は含まない。過去の合成プロセスモデルは、過去の実績プロセスモデルと同様である。
【0110】
そして、
図10の例は、実績プロセスモデルから「工程C」が削除されたことを示している。その結果、新規の実績プロセスモデルは、「工程A」及び「工程B」によって構成され、「工程C」を含まないものとなった。一方、新規のマスタプロセスモデルは過去のマスタプロセスモデルから変更されていない。このため、新規の実績プロセスモデルは新規のマスタプロセスモデルと同期し、新規の合成プロセスモデルもそれらと同様のものに変更される。
【0111】
差分表示部1002には、検出されたプロセスモデルの差分に関する情報が表示される。
図10の例では、差分表示部1002には、実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルから乖離した場合のその乖離が発生した日時、及び、マスタプロセスモデルが最後に更新された日時が表示される。
【0112】
さらに、差分表示部1002には、実績プロセスモデルにおいて検出された差分の一覧、及び、合成プロセスモデルにおいて検出された差分の一覧が表示される。プロセスモデル表示部1001に表示された通りのプロセスモデルの更新が行われた場合、実績プロセスモデルから「工程C」が削除されたことが検出され(
図8Aのステップ805)、さらに、合成プロセスモデルから「工程C」が削除されたことが検出されるため(
図8Bのステップ815)、それらの差分を示す情報が表示される。
【0113】
プロセスモデル詳細表示部1003には、新規の実績プロセスモデルの詳細を示す情報が表示される。
図10の例では、プロセスモデル表示部1001に表示された新規の実績プロセスモデル、すなわち、「業務1」から「業務6」が順次実行されるという実績に基づく業務の流れが表示される。さらに、その新規の実績プロセスモデルが過去の実績プロセスモデルにも含まれている(すなわち既存のものである)こと、及び、その業務の流れに基づく製造が、200製品に100製品の頻度で行われたことが表示される。
【0114】
一般に、製造現場では複数品種の製品が製造され、品種ごとに適用される整合プロセスが異なる場合がある。あるいは、同一品種の製品であっても、100個中1個などの低頻度の抜き取り検査、又は、製造に異常があった場合の処理など、例外的な業務が行われる場合もある。プロセスモデル詳細表示部1003における頻度の表示は、そのような頻度を表示したものである。
【0115】
リコメンド表示部1004には、マスタデータ管理者110へのマスタデータの変更箇所のリコメンド(
図8Bのステップ809)、又は、製造現場監督者への現場プロセスの変更箇所のリコメンド(
図8Cのステップ825)が表示される。
図10の例では、実績プロセスモデルが変更された結果、実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルに同期したため、ステップ809及び825のいずれも実行されず、リコメンドは表示されない。
【0116】
リコメンド承認ログ表示部1005には、過去に行われたリコメンドが承認されたか拒否されたか(すなわちそのリコメンドに従う変更が行われたか否か)に関する情報が表示される。具体的には、過去のリコメンドが承認されたか拒否されたか、その承認又は拒否が行われた日時、拒否された場合にはその理由等が表示される。さらに、リコメンド承認ログ表示部1005内に、過去にリコメンドとして提示された内容を表示するためのリンクが貼られていてもよい。リンクが操作されると、リコメンドの提示内容が表示される。
【0117】
図10の例では、実績データに基づいて実績プロセスモデルに「工程C」が追加され、それに基づいてマスタプロセスモデルにも「工程C」を追加することがリコメンドされたが、「工程A」から「工程C」に至るルートの発生頻度が低いために、「工程C」の追加が拒否され、その結果、実績プロセスモデル及び合成プロセスモデルから「工程C」が削除された、という過去のリコメンドとそれへの対応の履歴が表示されている。
【0118】
図11A及び
図11Bは、本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システム200において、実績プロセスモデルの変更によって実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルから乖離した場合に表示される画面の一例を示す説明図である。
【0119】
図11Aに示す表示画面1100は、プロセスモデル表示部1101、差分表示部1102、プロセスモデル詳細表示部1103、リコメンド表示部1104及びリコメンド承認ログ表示部1105を含む。これらは、それぞれ、
図10に示す表示画面1000のプロセスモデル表示部1001、差分表示部1002、プロセスモデル詳細表示部1003、リコメンド表示部1004及びリコメンド承認ログ表示部1005に対応するものであるが、それぞれの表示内容は
図10に示したものと相違する点がある。以下、相違点を説明する。
【0120】
プロセスモデル表示部1101に示すように、
図11Aの例では、過去の実績プロセスモデル、過去のマスタプロセスモデル及び過去の合成プロセスモデルは一致しており、いずれも、「工程A」及び「工程B」によって構成される。
【0121】
そして、
図11Aの例は、実績プロセスモデルに「工程C」が追加されたことを示している。その結果、新規の実績プロセスモデルは、「工程A」、「工程B」及び「工程C」を含むものとなった。一方、新規のマスタプロセスモデルは過去のマスタプロセスモデルから変更されていない。このため、新規の実績プロセスモデルは新規のマスタプロセスモデルから乖離し、新規の合成プロセスモデルは、「工程A」、「工程B」及び「工程C」の全てを含むように変更される。
【0122】
差分表示部1102には、実績プロセスモデルにおいて検出された差分の一覧、及び、合成プロセスモデルにおいて検出された差分の一覧が表示される。プロセスモデル表示部1101に表示された通りのプロセスモデルの更新が行われた場合、実績プロセスモデルに「工程C」が追加されたことが検出され(
図8Aのステップ805)、さらに、合成プロセスモデルに「工程C」が追加されたことが検出されるため(
図8Bのステップ811)、それらの差分を示す情報が表示される。
【0123】
プロセスモデル詳細表示部1103には、プロセスモデル表示部1001に表示された新規の実績プロセスモデル、すなわち、「業務1」、「業務2」、「業務3」、「業務4」、「業務5」、「業務6」が順次実行されるという実績に基づく業務の流れと、「業務1」、「業務2」、「業務3」、「業務4」、「業務7」、「業務8」が順次実行されるという実績に基づく業務の流れとが表示される。
【0124】
さらに、それらのうち前者は過去の実績プロセスモデルにも含まれている(すなわち既存のものである)が、後者は含まれていない(すなわち新規のものである)ことを示す情報が表示される。さらに、前者の業務の流れに基づく製造が200製品中100製品の頻度で行われたのに対して、後者の業務の流れに基づく製造は200製品中10製品の頻度で行われたことを示す情報が表示される。
【0125】
リコメンド表示部1104には、マスタデータ管理者110へのマスタデータの変更箇所のリコメンド(
図8Bのステップ809)、又は、製造現場監督者への現場プロセスの変更箇所のリコメンド(
図8Cのステップ825)が表示される。
図11Aの例では、実績プロセスモデルが変更された結果、実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルから乖離したため、ステップ809が実行され、その乖離を解消するためのマスタデータの変更のリコメンドが表示される。
【0126】
例えば
図11Bに示すように、リコメンド表示部1104には、順次実行される「業務1」から「業務4」を含む「工程A」と、その次に順次実行される「業務5」から「業務6」を含む「工程B」と、からなるマスタプロセスモデルに、さらに、「工程A」の次に順次実行される「業務7」から「業務8」を含む「工程C」を追加することをリコメンドする情報が表示されてもよい。
【0127】
リコメンド表示部1104は、さらに、メール送信ボタン1106を含んでもよい。ユーザがメール送信ボタン1106を操作すると、上記のリコメンド情報がマスタデータ管理端末219に送信される。
【0128】
リコメンド承認ログ表示部1105には、リコメンド承認ログ表示部1005と同様の内容が表示されてもよい。
【0129】
例えば、「工程A」から「工程B」に続く業務の流れが通常の製造プロセスに相当するのに対して、「工程A」から「工程C」に続く業務の流れが低頻度の抜き取り検査など、例外的なプロセスである場合に、そのような例外的な業務が実際に行われることによって、それに相当する実績データが生成される。そして、実績プロセスモデル生成部303がその実績データに基づいて「工程A」から「工程C」に続く実績プロセスモデルを生成する。そして、その場合、プロセスモデル詳細表示部1103に示すような頻度の相違が現れる。
【0130】
マスタデータ管理者110は、そのような例外的な業務もプロセスモデルに反映すべきと判断した場合には、マスタデータ変更リコメンドを承認してもよい。その場合には、マスタプロセスモデルに「工程C」が追加され、マスタプロセスモデルが実績プロセスモデルに同期する。
【0131】
一方、マスタデータ管理者110は、そのような例外的な業務をプロセスモデルに反映すべきでないと判断した場合には、マスタデータ変更リコメンドを拒否することができる。その場合には、
図10に示したように、実績プロセスモデルから「工程C」が削除され、実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルに同期する。
【0132】
図12は、本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システム200において、マスタプロセスモデルの変更によってマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルに同期した場合に表示される画面の一例を示す説明図である。
【0133】
図12に示す表示画面1200は、プロセスモデル表示部1201、差分表示部1202、リコメンド表示部1203及びリコメンド承認ログ表示部1204を含む。これらは、それぞれ、
図10に示す表示画面1000のプロセスモデル表示部1001、差分表示部1002、リコメンド表示部1004及びリコメンド承認ログ表示部1005に対応するものであるが、それぞれの表示内容は
図10に示したものと相違する点がある。以下、相違点を説明する。
【0134】
プロセスモデル表示部1201に示すように、
図12の例では、過去の実績プロセスモデルと過去のマスタプロセスモデルは一致しない。過去の実績プロセスモデルは、「工程A」及び「工程B」によって構成される。一方、過去のマスタプロセスモデルは、「工程A」、「工程B」及び「工程C」によって構成される。過去の合成プロセスモデルは、過去のマスタプロセスモデルと同様である。
【0135】
そして、
図12の例は、マスタプロセスモデルから「工程C」が削除されたことを示している。その結果、新規のマスタプロセスモデルは、「工程A」及び「工程B」によって構成され、「工程C」を含まないものとなった。一方、新規の実績プロセスモデルは過去の実績プロセスモデルから変更されていない。このため、新規のマスタプロセスモデルは新規の実績プロセスモデルと同期し、新規の合成プロセスモデルもそれらと同様のものに変更される。
【0136】
差分表示部1202には、マスタプロセスモデルが実績プロセスモデルに同期した場合のその同期した日時、実績プロセスモデルが最後に更新された日時、及び、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルとが乖離していた期間が表示される。
【0137】
また、プロセスモデル表示部1201に表示された通りのプロセスモデルの更新が行われた場合、マスタプロセスモデルから「工程C」が削除されたことが検出され(
図8Aのステップ821)、さらに、合成プロセスモデルから「工程C」が削除されたことが検出されるため(
図8Bのステップ831)、差分表示部1202にはそれらの差分を示す情報が表示される。
【0138】
また、
図12の例では、マスタプロセスモデルが変更された結果、マスタプロセスモデルが実績プロセスモデルに同期したため、ステップ809及び825のいずれも実行されず、リコメンド表示部1203にリコメンドは表示されない。
【0139】
また、
図12の例では、マスタデータに基づいてマスタプロセスモデルに「工程C」が追加され、それに基づいて実績プロセスモデルにも「工程C」を追加することがリコメンドされたが、「工程C」を追加するための向上の敷地面積が不足していたために、「工程C」の追加が拒否され、その結果、マスタプロセスモデル及び合成プロセスモデルから「工程C」が削除された、という過去のリコメンドとそれへの対応の履歴がリコメンド承認ログ表示部1204に表示されている。
【0140】
図13は、本発明の実施例に係るプロセスモデル管理システム200において、マスタプロセスモデルの変更によってマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルから乖離した場合に表示される画面の一例を示す説明図である。
【0141】
図13に示す表示画面1300は、プロセスモデル表示部1301、差分表示部1302、リコメンド表示部1303及びリコメンド承認ログ表示部1304を含む。これらは、それぞれ、
図12に示す表示画面1200のプロセスモデル表示部1201、差分表示部1202、リコメンド表示部1203及びリコメンド承認ログ表示部1204に対応するものであるが、それぞれの表示内容は
図12に示したものと相違する点がある。以下、相違点を説明する。
【0142】
プロセスモデル表示部1301に示すように、
図13の例では、過去の実績プロセスモデル、過去のマスタプロセスモデル及び過去の合成プロセスモデルは一致しており、いずれも、「工程A」及び「工程B」によって構成される。
【0143】
そして、
図13の例は、マスタプロセスモデルに「工程C」が追加されたことを示している。その結果、新規のマスタプロセスモデルは、「工程A」、「工程B」及び「工程C」を含むものとなった。一方、新規の実績プロセスモデルは過去の実績プロセスモデルから変更されていない。このため、新規のマスタプロセスモデルは新規の実績プロセスモデルから乖離し、新規の合成プロセスモデルは、「工程A」、「工程B」及び「工程C」の全てを含むように変更される。
【0144】
また、プロセスモデル表示部1301に表示された通りのプロセスモデルの更新が行われた場合、マスタプロセスモデルに「工程C」が追加されたことが検出され(
図8Aのステップ821)、さらに、合成プロセスモデルに「工程C」が追加されたことが検出されるため(
図8Bのステップ827)、差分表示部1302にはそれらの差分を示す情報が表示される。
【0145】
また、
図13の例では、マスタプロセスモデルが変更された結果、マスタプロセスモデルがマスタプロセスモデルから乖離したため、ステップ825が実行され、リコメンド表示部1303にはその乖離を解消するためのマスタデータの変更のリコメンドが表示される。
【0146】
例えば、リコメンド表示部1303には、現場プロセスに「工程C」を追加すること、「工程C」に「業務7」及び「業務8」を追加すること、及び、「工程A」が完了した製品を「工程C」に流すラインを構築することをリコメンドする情報が表示されてもよい。
【0147】
リコメンド表示部1303は、さらに、メール送信ボタン1305を含んでもよい。ユーザがメール送信ボタン1305を操作すると、上記のリコメンド情報が製造現場管理端末231に送信される。
【0148】
リコメンド承認ログ表示部1304には、リコメンド承認ログ表示部1204と同様の内容が表示されてもよい。
【0149】
例えば、マスタデータ管理者110が、製造現場の効率化などを目的としてマスタデータに「工程C」を追加した場合、マスタプロセスモデル及び合成プロセスモデルに「工程C」が追加されて、現場プロセスに「工程C」を追加するリコメンドが製造現場監督者に送信される。
【0150】
製造現場監督者は、「工程C」の追加を承認して、現場プロセスに「工程C」を追加してもよい。その場合は、「工程C」の業務が実際に行われてその結果の実績データが取得されると、実績プロセスモデルにも「工程C」が追加され、実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルに同期する。
【0151】
一方、製造現場監督者は、例えば工場の敷地面積の不足などのため、「工程C」の追加が適切でないと判断した場合には、現場プロセスの変更のリコメンドを拒否することができる。その場合には、
図12に示したように、マスタプロセスモデルから「工程C」が削除され、マスタプロセスモデルが実績プロセスモデルに同期する。
【0152】
なお、
図10~
図13のプロセスモデル表示部1001~1301に表示される合成プロセスモデルにおいて、実績プロセスモデルのみに基づく工程及び業務と、マスタプロセスモデルのみに基づく工程及び業務と、実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルの両方に基づく工程及び業務と、をそれぞれ異なる態様で(例えば異なる形状の図形で、又は異なる色彩で)表示してもよい。
【0153】
例えば、プロセスモデル表示部1001に表示された過去の合成プロセスモデルのうち「工程A」の「業務1」~「業務4」及び「工程B」の「業務5」~「業務6」は、過去の実績プロセスモデルと過去のマスタプロセスモデルの両方に基づく。これに対して、「工程C」の「業務7」~「業務8」は、過去の実績プロセスモデルのみに基づく。このため、これらをそれぞれ異なる態様で表示してもよい。
【0154】
一方、プロセスモデル表示部1201に表示された過去の合成プロセスモデルのうち「工程A」の「業務1」~「業務4」及び「工程B」の「業務5」~「業務6」は、過去の実績プロセスモデルと過去のマスタプロセスモデルの両方に基づく。これに対して、「工程C」の「業務7」~「業務8」は、過去のマスタプロセスモデルのみに基づく。このため、これらをそれぞれ異なる態様で表示してもよい。
【0155】
これによって、通知を受けたマスタデータ管理者110又は製造現場監督者は、それぞれの工程の業務がどのデータに由来するものであるかを容易に把握することができ、それによって各工程及び業務をそのままプロセスモデルに取り込むかプロセスモデルから削除するかの判断が支援される。
【0156】
以上の本発明の実施例によれば、製造現場のプロセスとマスタデータとの間に乖離が生じた場合も、それらの速やかな同期が支援され、現場と整合するプロセスモデルに基づく適切なデータ取得が可能になることで、生産性の向上が図られる。例えば、現場で生じたプロセスの変更を速やかにマスタデータに反映することが可能になる。また、マスタデータの変更を速やかに製造現場に通知することが可能になる。また、機械の故障など、製造現場で意図されていないプロセスの変更が生じた場合にも、それを速やかに検出することができる。
【0157】
また、本発明の実施形態のシステムは次のように構成されてもよい。
【0158】
(1)プロセスモデル管理システムであって、プロセッサ(例えばプロセッサ251)と、記憶装置(例えばメモリ252及び補助記憶装置253の少なくともいずれか)と、を有し、記憶装置は、製造現場において実行された業務の実績を示す実績データ(例えば実績データ蓄積部214に蓄積されるデータ)と、実行される業務の順序の設計情報を含むマスタデータ(例えばマスタデータ保管部213に保管されるデータ)と、を保持し、プロセッサは、実績データに基づいて、業務の実行順序の情報を含む実績プロセスモデルを生成し(例えばステップ804)、マスタデータに基づいて、業務の実行順序の情報を含むマスタプロセスモデルを生成し(例えばステップ818)、実績プロセスモデルに含まれる業務の実行順序の情報と、マスタプロセスモデルに含まれる業務の実行順序の情報と、のいずれも含む合成プロセスモデルを生成し(例えばステップ810、814、826、830)、実績データに変更があった場合、変更前の実績データに基づいて生成された過去の実績プロセスモデルと変更後の実績データに基づいて生成された新規の実績プロセスモデルとの差分を検出し(例えばステップ805)、マスタデータに変更があった場合、変更前のマスタデータに基づいて生成された過去のマスタプロセスモデルと変更後のマスタデータに基づいて生成された新規のマスタプロセスモデルとの差分を検出し(例えばステップ821)、前記実績データ及び前記マスタデータが変更される前の実績プロセスモデル及びマスタプロセスモデルに基づいて生成された過去の合成プロセスモデルと、前記実績データ及び前記マスタデータの一方が変更された後の実績プロセスモデル及びマスタプロセスモデルに基づいて生成された新規の合成プロセスモデルと、の差分を検出し(例えばステップ811、815、827、831)、検出した差分に基づく通知を出力する(例えばステップ806、809、812、816、822、825、828、832)。
【0159】
これによって、実績プロセスモデルの変更有無、マスタプロセスモデルの変更有無及び合成プロセスモデルの変更有無に基づいて効率的なプロセスモデルの管理が支援される。
【0160】
(2)上記(1)において、プロセッサは、製造現場の監督者に対する前記通知として、検出した過去の実績プロセスモデルと新規の実績プロセスモデルとの差分の内容を示す情報を出力する(例えばステップ805、806)。
【0161】
これによって、製造現場の監督者による製造現場のプロセスの管理が支援される。また、製造現場の監督者が予期しないプロセスの変更があった場合にそれを検出することができる。
【0162】
(3)上記(2)において、プロセッサは、新規の実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルとの差分に基づいて、新規の実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルから乖離したか、マスタプロセスモデルと整合したかを判定し(例えばステップ808)、新規の実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルから乖離した場合、マスタデータの管理者に対する通知として、新規の実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルとの差分の内容と、変更された実績データに整合させるためのマスタデータの変更箇所と、を示す情報を出力し(例えばステップ809)、新規の実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルと整合した場合、プロセスモデルの管理者に対する通知として、新規の実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルと整合したことを示す情報を出力する(例えばステップ816)。
【0163】
これによって、製造現場の状態とマスタデータとの乖離が速やかに把握されるとともに、その乖離の内容を示す情報が提供されることによって、乖離の解消が支援される。
【0164】
(4)上記(3)において、プロセッサは、新規の実績プロセスモデルがマスタプロセスモデルから乖離した場合、プロセスモデルの管理者の承認の有無にかかわらず、新規の実績プロセスモデルとマスタプロセスモデルとに基づく新規の合成プロセスモデルを生成する(例えばステップ813)。
【0165】
これによって、製造現場の現状に整合するプロセスモデルの生成が支援される。
【0166】
(5)上記(1)において、プロセッサは、マスタデータの管理者に対する通知として、検出した過去のマスタプロセスモデルと新規のマスタプロセスモデルとの差分の内容を示す情報を出力する(例えばステップ821、822)。
【0167】
これによって、マスタデータ管理者によるマスタデータの管理が支援される。
【0168】
(6)上記(5)において、プロセッサは、新規のマスタプロセスモデルと実績プロセスモデルとの差分に基づいて、新規のマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルから乖離したか、実績プロセスモデルと整合したかを判定し(例えばステップ824)、新規のマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルから乖離した場合、製造現場の監督者に対する前記通知として、新規のマスタプロセスモデルと実績プロセスモデルとの差分の内容と、変更されたマスタデータに整合させるための製造現場における製造プロセスの変更箇所と、を示す情報を出力し(例えばステップ825)、新規のマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルと整合した場合、プロセスモデルの管理者に対する通知として、新規のマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルと整合したことを示す情報を出力する(例えばステップ832)。
【0169】
これによって、製造現場の状態とマスタデータとの乖離が速やかに把握されるとともに、その乖離の内容を示す情報が提供されることによって、乖離の解消が支援される。
【0170】
(7)上記(6)において、プロセッサは、新規のマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルから乖離し、かつ、プロセスモデルの管理者の承認が得られた場合(例えばステップ819:Yes)、新規のマスタプロセスモデルと実績プロセスモデルとに基づく新規の合成プロセスモデルを生成し(ステップ829)、新規のマスタプロセスモデルが実績プロセスモデルから乖離しても、プロセスモデルの管理者の承認が得られなかった場合(例えばステップ819:No)、合成プロセスモデルを生成しない。
【0171】
これによって、新たなマスタデータに基づくプロセスモデルの生成が支援される。
【0172】
(8)上記(1)において、プロセッサは、過去の合成プロセスモデルと、新規の合成プロセスモデルと、の差分を検出した場合、実績プロセスモデル及びマスタプロセスモデルのいずれの差分が検出されたか、及び、検出された差分の内容を、プロセスモデルの管理者に通知する情報を出力する(例えばステップ812、816、828、832)。
【0173】
これによって、製造現場の状態とマスタデータとの乖離が速やかに把握されるとともに、その乖離の内容を示す情報が提供されることによって、乖離の解消が支援される。
【0174】
(9)上記(1)において、プロセッサは、過去の実績プロセスモデル、新規の実績プロセスモデル、過去のマスタプロセスモデル、新規のマスタプロセスモデル、過去の合成プロセスモデル及び新規の合成プロセスモデルを表示するための情報(例えばプロセスモデル表示部1001、1101、1201、1301に表示される情報)を出力する。
【0175】
これによって、製造現場の状態とマスタデータのそれぞれの変化の有無、及び、両者の間の乖離又は同期を容易に把握することができる。
【0176】
(10)上記(9)において、プロセッサは、合成プロセスモデルに含まれる業務のうち、実績プロセスモデルのみに含まれる業務の実行順序と、マスタプロセスモデルのみに含まれる業務の実行順序と、実績プロセスモデル及びマスタプロセスの両方に含まれる業務の実行順序と、のそれぞれを示す情報を異なる態様で表示するための情報を出力する。
【0177】
これによって、製造現場の状態とマスタデータとの乖離を容易に把握することができる。
【0178】
(11)上記(10)において、異なる態様での表示は、異なる形状の図形による表示、及び、異なる色彩による表示の少なくともいずれかである。
【0179】
これによって、製造現場の状態とマスタデータとの乖離を容易に把握することができる。
【0180】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したものであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0181】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
【0182】
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0183】
100 コンピュータ
110 マスタデータ管理者
120 製造現場
130 プロセスモデル管理者
200 プロセスモデル管理システム
210 事業者
211 プロセスモデル管理部
212 情報収集部
213 マスタデータ保管部
214 実績データ蓄積部
215 実績プロセスモデル蓄積部
216 マスタプロセスモデル蓄積部
217 合成プロセスモデル蓄積部
219 マスタデータ管理端末
221 プロセスモデル管理端末