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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126991
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20240912BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20240912BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20240912BHJP
【FI】
G01N21/88 J
G01N23/04
G01N23/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035802
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】598105802
【氏名又は名称】株式会社 システムスクエア
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 倫秋
(72)【発明者】
【氏名】中川 幸寛
【テーマコード(参考)】
2G001
2G051
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001HA13
2G001JA09
2G001PA11
2G051AB02
2G051AB11
2G051AC04
2G051CA04
2G051CB01
2G051DA06
2G051EB09
2G051ED01
(57)【要約】
【課題】反射光に基づき検査対象物の検査を行う際に、検査対象物の表面に柄や模様などが表現されていても、検査する領域を精度よく特定して検査することが可能な検査装置を提供する。
【解決手段】本発明の検査装置は、検査対象物を搬送する搬送部と、搬送中の検査対象物に反射された光である反射光を検出して検出データを出力する反射光検出部と、反射光の検出データに基づき、反射光画像を生成する反射光画像生成部と、検査対象物にX線を照射するX線照射部と、搬送中の検査対象物を透過したX線を検出して検出データを出力するX線検出部と、X線の検出データに基づき、X線画像を生成するX線画像生成部と、X線画像を用いて反射光画像の検査を行う検査部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を搬送する搬送部と、
搬送中の前記検査対象物に反射された光である反射光を検出して検出データを出力する反射光検出部と、
前記反射光の前記検出データに基づき、反射光画像を生成する反射光画像生成部と、
前記検査対象物にX線を照射するX線照射部と、
搬送中の前記検査対象物を透過した前記X線を検出して検出データを出力するX線検出部と、
前記X線の前記検出データに基づき、X線画像を生成するX線画像生成部と、
前記X線画像を用いて前記反射光画像の検査を行う検査部と、
を備える検査装置。
【請求項2】
前記検査部は、前記反射光画像の検査を行う際に、前記X線画像を用いて前記反射光画像における検査領域を特定する請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記検査部は、更に前記X線画像の検査を行う請求項2に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物に光を照射し、反射光に基づき検査対象物の検査を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象物に光を照射し、反射光を検出すると、検査対象物の表面状態(異物の付着、傷、欠けなどの有無)に起因する反射量の強弱の分布が得られる。この強弱の分布を画素の色調(色彩の明暗・濃淡・強弱などの調子)により表現した二次元画像を生成することで、目視では捉えきれない検査対象物の表面状態を可視化することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-189071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査対象物が包装物の場合、包装の一部が透明化されて内容物の表面を視認可能な場合がある。この場合、包装が透明化された領域からの光の反射を検出することで、内容物の表面状態を検査することが可能である。しかし、透明化された領域に隣接した領域に柄や模様などが表現されている場合、透明化された領域から視認される内容物の外観によっては、反射光によって得られる二次元画像において両者の境界が不明確になり、検査する領域を特定できない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、反射光に基づき検査対象物の検査を行う際に、検査対象物の包装に柄や模様などが表現されていても、検査する領域を精度よく特定して検査することが可能な検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の検査装置は、検査対象物を搬送する搬送部と、搬送中の検査対象物に反射された光である反射光を検出して検出データを出力する反射光検出部と、反射光の検出データに基づき、反射光画像を生成する反射光画像生成部と、検査対象物にX線を照射するX線照射部と、搬送中の検査対象物を透過したX線を検出して検出データを出力するX線検出部と、X線の検出データに基づき、X線画像を生成するX線画像生成部と、X線画像を用いて反射光画像の検査を行う検査部と、を備える。
【0007】
検査部は、反射光画像の検査を行う際にX線画像を用いて反射光画像における検査領域を特定してもよい。
【0008】
検査部は、更にX線画像の検査を行ってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の検査装置によれば、反射光に基づき検査対象物の検査を行う際に、検査対象物の包装に柄や模様などが表現されていても、検査する領域を精度よく特定して検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の検査装置100の構成を説明する図である。
図2】反射光画像の一例を示す図である。
図3】X線画像の一例を示す図である。
図4】X線画像において内容物の存在領域を特定する方法を説明する図である。
図5】反射光画像において検査領域を特定する方法を説明する図である。
図6】検査用の反射光画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0012】
図1は本発明の検査装置100の構成を説明する図である。
【0013】
検査装置100は、搬送部111、反射光検出部122、反射光画像生成部123、X線照射部131、X線検出部132、X線画像生成部133、及び検査部141を備える。
【0014】
搬送部111は、載置された複数の検査対象物Wを所定の一方向に連続搬送可能な各種コンベアである。図1は、検査対象物WがY軸正方向に搬送される例を示したものである。搬送部111に載置された検査対象物Wは、検査装置100の搬入口(図1における検査装置100の左側)から検査装置100内に搬入され、検査を経て、搬出口(図1における検査装置100の右側)から搬出される。搬送部111は、図1のX軸正方向に奥行を持ち、XY平面である載置面をY軸正方向に移動させることで、載置された検査対象物WをY軸正方向に移動させる。載置面は、ベルトコンベアのように、自身が面的に移動することで載置された検査対象物Wを伴って移動させる実体的な面であってもよいし、駆動ローラコンベアのように、載置された検査対象物Wに動力を与えることで検査対象物Wを面的に移動させるという意味での仮想的な面であってもよい。搬送速度は、検出素子での検出周期等に依存するが、物品の異物検査においては、例えば数m/minから百数十m/min程度が一般的である。
【0015】
反射光検出部122は、搬送中の検査対象物Wに反射された光である反射光を検出し検出データを出力する。反射光の光源は、環境光でもよいし、より強度の高い反射光を得るべく、検査対象物Wに向けて光を照射する照明部121を備えてもよい。照明部121は、検査対象物Wに照射した光が、反射により反射光検出部122で検出される位置に固定配置される。
【0016】
反射光検査は、検査対象物の表面の傷や刻印の状態などを、包装や包材などが光を反射する程度の相違に基づき検査するものである。そのため、照明部121には、所望の具体的な検査内容に応じた可視光、赤外線又は紫外線などを発生可能な任意の種類の光源を適用するとよい。
【0017】
反射光検出部122は、搬送部111に載置されて移動する検査対象物Wからの反射光を検出可能に構成される。例えば、搬送方向(Y軸方向)に直交する方向(X軸方向)に配列された複数の検出素子からなるラインセンサとして構成する。ラインセンサを構成する複数の検出素子は、可能な限り隙間が無いよう配列するとよい。ラインセンサは、Y軸方向に複数列配置してもよい。それぞれの検出素子は、到達した光を検出し検出データを出力する。
【0018】
反射光検出部122は、検査対象物Wからの反射光を検出可能な位置に固定配置される。そのため、搬送部111に載置された検査対象物WがY軸正方向に移動することで、反射光検出部122が検査対象物Wに対してY軸負方向に相対的に移動し、線状の検出領域により検査対象物Wが走査される。そして、その走査の間、反射光検出部122の各検出素子において、検査対象物Wの搬送速度に応じた検出周期で反射光を繰り返し検出することで、検出データが検出素子の個数×検出周期数で二次元配列された検出データ群を得ることができる。検出データ群は、各検出データの二次元配列における位置を画素の位置として、それぞれの画素において検出データの値の大小が画素の色調等で表現された二次元画像を生成する場合の元データとなる。
【0019】
反射光画像生成部123は、反射光検出部122で得られた検出データ群に基づき、それぞれの画素において検出データの値の大小が画素の色調等で表現された反射光画像を生成する。
【0020】
X線照射部131は、搬送部111に載置されて移動する検査対象物Wが通過する所定の範囲にX線を照射する。
【0021】
X線検出部132は、X線照射部131から照射され検査対象物Wを透過したX線を検出可能な位置に配置され、検査対象物Wを透過して、又は直接到達したX線を検出して、所定の周期ごとに検出データを出力する。
【0022】
図1では、検査対象物Wを透過したX線を検出可能とすべく、X線検出部132を搬送部111の内側に配置する形態を例示しているが、配置形態はこの限りではなく、例えば、搬送部111の外側に配置してもよい。また、検査対象物Wを透過したX線の減衰を避けるべく、搬送部111を2分割して、検査対象物Wを透過したX線が2つの搬送部111の隙間を通過するように構成し、隙間を通過したX線が検出される位置にX線検出部132を配置してもよい。
【0023】
X線検出部132は、搬送方向(Y軸方向)に直交する方向(X軸方向)に配列された複数のX線検出素子からなるラインセンサである。ラインセンサを構成する複数のX線検出素子は、可能な限り隙間が無いよう配列するとよい。ラインセンサは、Y軸方向に複数列配置してもよい。それぞれのX線検出素子は、到達したX線を検出し検出データを出力する。なお、それぞれのX線検出素子は、シンチレータを用いてX線を一度光に変換してから電気信号に変換する間接変換方式であってもよいし、X線を直接電気信号に変換する直接変換方式であってもよい。
【0024】
X線照射部131及びX線検出部132は、搬送部111を挟んで固定配置される。そのため、検査対象物WがY軸正方向に移動することで、X線検出部132が検査対象物Wに対してY軸負方向に相対的に移動し、線状の検出領域により検査対象物Wが走査される。そして、その走査の間、X線検出部132の各X線検出素子において、検査対象物Wの搬送速度に応じた検出周期でX線を繰り返し検出することで、検出データがX線検出素子の個数×検出周期数で二次元配列された検出データ群を得ることができる。検出データ群は、各検出データの二次元配列における位置を画素の位置として、それぞれの画素において検出データの値の大小が画素の色調等で表現された二次元画像を生成する場合の元データとなる。
【0025】
X線画像生成部133は、X線検出部132で得られた検出データ群に基づき、それぞれの画素において検出データの値の大小が画素の色調等で表現されたX線画像を生成する。
【0026】
検査部141は、反射光画像生成部123において生成された反射光画像を検査する。このとき、X線画像生成部133において生成されたX線画像を用いる。具体的には、反射光画像における検査領域を特定するためにX線画像を用いる。
【0027】
内容物の収容部分のみ内容物の表面を視認することができ、その他の部分には模様が描かれた包装物である検査対象物Wの検査を行う場合を例にとって説明する。図2は、反射光画像生成部123で生成された反射光画像Rの一例である。この画像では、内容物が視認される領域とその他の領域との境界が不明瞭であり、検査領域を特定することが困難である。一方、図3は、反射光画像Rと同じ範囲についてX線画像生成部133で生成されたX線画像Xである。X線画像Xでは、内容物の有無によりX線の透過量が大きく異なるため、内容物の存在領域が相対的な陰影Sとして明瞭化される。
【0028】
そこで、X線画像Xにおいて、画素値などに基づき内容物の存在領域Aを特定する。例えば、X線画像Xの各画素の画素値を所定の閾値に照らし、閾値以上である領域を内容物の存在領域Aとして特定する。図4は、X線画像Xの各画素について画素値の一例を示したものである。ここで、閾値を200とすると、中央の4つの画素からなる領域を内容物の存在領域Aとして特定することができる。
【0029】
そして、X線画像Xにおける内容物の存在領域Aに対応する反射光画像Rの画素領域を検査領域Eとして特定する。図5は、反射光画像Rの各画素について画素値の一例を示したものであり、X線画像Xにおける内容物の存在領域Aに対応する、中央の4つの画素からなる領域が検査領域Eとして特定される。これにより、その他の領域の画素の画素値を0にすることで、図6に示すように検査領域Eの各画素のみが反射光画像Rの画素値である検査用の反射光画像rを生成することができる。
【0030】
ここでは、反射光画像R及びX線画像Xが16画素の画像で、内容物の存在領域が中央の4画素である場合を例にとって説明したが、画像の画素数や内容物の存在領域Aの位置や画素数が異なっても、上記と同様の方法で検査用の反射光画像rを生成することができる。
【0031】
なお、検査用の反射光画像rを生成するに際しては、反射光画像Rの検査領域E以外の画素値を直接変更することで生成してもよいし、検査領域Eの部分を無地の別画像にコピーして生成してもよい。
【0032】
また、X線画像Xにおいて特定された内容物の存在領域Aを反射光画像Rに反映するに際し、X線画像Xにおける内容物の存在領域Aの各画素位置に数値1を付与し、その他の領域の各画素位置に数値0を付与して、これらの各画素位置の数値を、反射光画像Rにおいて対応する各画素位置の画素値に乗じることで、検査領域Eの各画素が反射光画像Rの画素値で、その他の領域の各画素が0である検査用の反射光画像rを生成してもよい。
【0033】
また、反射光画像Rにおける検査領域Eを特定した後、検査領域Eのみを切り出して検査用の反射光画像rとしてもよい。
【0034】
このように検査領域Eを特定することで、模様等が施された包装のうち、表面を視認可能とされた内容物の収納領域を、内容物が存在しない領域と区別して反射光画像の検査を行うことができる。なお、逆に、内容物が存在しない領域を検査したい場合には、X線画像Xにおいて画素値が所定の閾値以下である領域を検査領域Eとして特定した上で、上記と同様な方法で検査用の反射光画像rを生成すればよい。
【0035】
検査用の反射光画像rの検査の方法は、画像解析に基づき閾値などにより判定する方法や、画像の入力により判定結果を出力する学習モデルを用いる方法など、検査したい内容に応じ任意の方法を採用してよい。
【0036】
以上のように構成した検査装置100によれば、反射光に基づき検査対象物の検査を行う際に、検査対象物の包装に柄や模様などが表現されていても、検査したい領域を精度よく特定して検査することができる。
【0037】
なお、検査部141においては、反射光画像Rの検査に加え、X線画像の検査を行ってもよい。これにより、例えば、検査対象物Wの内容物の表面の検査とともに、検査対象物Wの内部の検査も行うことができる。
【0038】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。すなわち、本発明において表現されている技術的思想の範囲内で適宜変更が可能であり、その様な変更や改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含む。
【符号の説明】
【0039】
100…検査装置
111…搬送部
121…照明部
122…反射光検出部
123…反射光画像生成部
131…X線照射部
132…X線検出部
133…X線画像生成部
141…検査部
A…内容物の存在領域
E…検査領域
R…反射光画像
r…検査用の反射光画像
S…陰影
W…検査対象物
X…X線画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6