(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126996
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】流体処理装置
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20240912BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20240912BHJP
【FI】
B01J19/12 C
C02F1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035811
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛雄
【テーマコード(参考)】
4D037
4G075
【Fターム(参考)】
4D037AA01
4D037AA06
4D037AA11
4D037AB03
4D037BA18
4G075AA13
4G075AA15
4G075BA05
4G075BB10
4G075CA33
4G075DA02
4G075EB31
4G075EC06
4G075FB02
4G075FB04
4G075FB06
4G075FB12
4G075FC04
4G075FC11
(57)【要約】
【課題】流体における紫外線の透過率が低下した場合であっても処理効果を向上させることができる流体処理装置を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る流体処理装置は、一方向に延び、内部に流体が流れる空間を有し、紫外線を透過可能な材料を含む第1の処理部と;前記第1の処理部が延びる方向と交差する方向に設けられた少なくとも1つの光源と;を具備している。前記光源は、前記第1の処理部が延びる方向に延び、内部に前記流体が流れる空間を有し、前記第1の処理部と対向する第1の側面を有する基部と;記基部の前記第1の側面に設けられ、前記第1の処理部が延びる方向に延びる第1の基板と;前記第1の基板の、前記第1の処理部と対向する面に設けられ、前記第1の処理部が延びる方向に並べて設けられた複数の第1の発光素子と:を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延び、内部に流体が流れる空間を有し、紫外線を透過可能な材料を含む第1の処理部と;
前記第1の処理部が延びる方向と交差する方向に設けられた少なくとも1つの光源と;
を具備し、
前記光源は、
前記第1の処理部が延びる方向に延び、内部に前記流体が流れる空間を有し、前記第1の処理部と対向する第1の側面を有する基部と;
前記基部の前記第1の側面に設けられ、前記第1の処理部が延びる方向に延びる第1の基板と;
前記第1の基板の、前記第1の処理部と対向する面に設けられ、前記第1の処理部が延びる方向に並べて設けられた複数の第1の発光素子と:
を有する流体処理装置。
【請求項2】
前記第1の処理部が延びる方向と交差する方向に、前記第1の処理部と並べて設けられた第2の処理部をさらに具備し、
前記基部は、前記第2の処理部と対向する第2の側面をさらに有し、
前記基部の前記第2の側面に設けられ、前記第2の処理部が延びる方向に延びる第2の基板と;
前記第2の基板の、前記第2の処理部と対向する面に設けられ、前記第2の処理部が延びる方向に並べて設けられた複数の第2の発光素子と:
をさらに有する請求項1記載の流体処理装置。
【請求項3】
前記流体が流れる流路において、前記基部と、前記第1の処理部とが直列接続、または並列接続されている請求項1記載の流体処理装置。
【請求項4】
前記光源は複数設けられ、
前記流体が流れる流路において、前記複数の光源に設けられた前記基部同士が直列接続、または並列接続されている請求項1または2に記載の流体処理装置。
【請求項5】
前記第1の処理部が延びる方向と交差する方向に、前記第1の処理部と並べて設けられた第2の処理部と;
前記第1の処理部、および前記第2の処理部の流入側、および流出側の少なくともいずれかに設けられたマニホールドと;
をさらに具備した請求項1記載の流体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、流体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水などの流体に紫外線を照射して、流体に含まれている細菌の殺菌、ウイルスの不活性化、有機物の分解などの処理を行う流体処理装置がある。例えば、流体が流れる筒部と、筒部の一方の端部側に設けられ、紫外線を照射する発光素子を有する光源と、を備えた流体処理装置が提案されている。この様な流体処理装置においては、光源の光軸に沿った方向(筒部の中心軸に沿った方向)が、殺菌などの処理を行う流体の流れ方向となる。
【0003】
ここで、殺菌などの処理を行う流体によっては、紫外線の透過率が低下する場合がある。例えば、殺菌などの処理を行う流体が海水や地下水などの場合には、砂、微生物の死骸、無機塩、有機物などの異物が含まれている。殺菌などの処理を行う流体が糖液などの場合には、糖などの有機物が含まれている。そのため、これらの流体における紫外線の透過率が低下する場合がある。
【0004】
また、光路長が長くなるほど光量減衰が大きくなるため、筒部の一方の端部側に光源を設けると、筒部の他方の端部側に紫外線が到達し難くなる。この場合、流体における紫外線の透過率が低下すると光量減衰がさらに大きくなるので、筒部の他方の端部側における殺菌効果などの処理効果が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、流体における紫外線の透過率が低下した場合であっても処理効果を向上させることができる流体処理装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6530681号公報
【特許文献2】特許第6681314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、流体における紫外線の透過率が低下した場合であっても処理効果を向上させることができる流体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る流体処理装置は、一方向に延び、内部に流体が流れる空間を有し、紫外線を透過可能な材料を含む第1の処理部と;前記第1の処理部が延びる方向と交差する方向に設けられた少なくとも1つの光源と;を具備している。前記光源は、前記第1の処理部が延びる方向に延び、内部に前記流体が流れる空間を有し、前記第1の処理部と対向する第1の側面を有する基部と;記基部の前記第1の側面に設けられ、前記第1の処理部が延びる方向に延びる第1の基板と;前記第1の基板の、前記第1の処理部と対向する面に設けられ、前記第1の処理部が延びる方向に並べて設けられた複数の第1の発光素子と:を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、流体における紫外線の透過率が低下した場合であっても処理効果を向上させることができる流体処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】流体処理装置を例示するための模式側面図である。
【
図2】
図1における流体処理装置のA-A線断面図である。
【
図3】
図2における流体処理装置のB-B線断面図である。
【
図4】基板、および発光素子を例示するための模式斜視図である。
【
図5】他の実施形態に係る流体処理装置を例示するための模式断面図である。
【
図6】処理部、および基部の接続形態について例示するための系統図である。
【
図7】処理部、および基部の接続形態について例示するための系統図である。
【
図8】処理部、および基部の接続形態について例示するための系統図である。
【
図9】処理部、および基部の接続形態について例示するための系統図である。
【
図10】処理部、および基部の接続形態について例示するための系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
なお、本発明の実施形態に係る流体処理装置1は、例えば、水などの流体に含まれている細菌の殺菌、ウイルスの不活性化、有機物の分解などの処理に用いることができる。ただし、流体処理装置1の用途は例示をしたものに限定されるわけではない。
【0012】
図1は、流体処理装置1を例示するための模式側面図である。
図2は、
図1における流体処理装置1のA-A線断面図である。
図3は、
図2における流体処理装置1のB-B線断面図である。
図1~
図3に示すように、流体処理装置1は、例えば、筐体2、処理部3(第1の処理部の一例に相当する)、および光源4を有する。
【0013】
筐体2は、例えば、筒状を呈し、一方向に延びる形態を有している。例えば、筐体2は、流体処理装置1の中心軸1aに沿って延びている。筐体2の形態は、例えば、円筒状とすることができる。ただし、筐体2の形態は円筒状に限定されるわけではなく、例えば、断面が四角形や六角形などの角筒状であってもよい。例えば、筐体2の中心軸2bは、流体処理装置1の中心軸1aと重なっている。筐体2の内部には、処理部3、および光源4を収納する空間が設けられている。
【0014】
筐体2の両側の端部には、板状の蓋2aを設けることができる。蓋2aは、筐体2の端部に着脱自在に設けることもできるし、筐体2の端部に固定することもできる。蓋2aには、処理部3、および光源4を挿入する孔が設けられている。また、処理部3、および光源4を保持する板状のホルダ2cを蓋2aに着脱自在に設けることができる。
【0015】
筐体2、蓋2a、およびホルダ2cの材料は、処理対象の流体100に対する耐性、および紫外線に対する耐性があれば特に限定はない。筐体2、蓋2a、およびホルダ2cの材料は、例えば、ステンレスやアルミニウムなどの金属や、フッ素樹脂などの樹脂から形成することができる。
【0016】
この場合、筐体2の内面、および、蓋2aの筐体2の内側に面する面は、紫外線に対する反射率が高くなるようにすることが好ましい。例えば、これらをバフ研磨して平滑な面とすれば、紫外線に対する反射率を高くすることができる。例えば、これらを白色の樹脂から形成すれば、紫外線に対する反射率を高くすることができる。例えば、これらの表面に、メッキや蒸着などによりアルミニウムなどを含む膜を形成すれば、紫外線に対する反射率を高くすることができる。紫外線に対する反射率が高くなれば、光源4から照射され、筐体2や蓋2aに入射した紫外線を処理部3に向けて反射させ易くなる。そのため、光源4から照射された紫外線の利用効率を向上させることができる。
【0017】
処理部3は、少なくとも1つ設けることができる。
図1に例示をした流体処理装置1には、処理部3が1つ設けられている。処理部3が1つ設けられる場合には、処理部3の中心軸を処理装置1の中心軸1a(筐体2の中心軸2b)に重ねることができる。
処理部3の両側の端部の近傍は、蓋2aの外側に露出している。蓋2aの外側に露出する処理部3の端部には、例えば、配管継手31を設けることができる。
【0018】
処理部3は、筒状を呈し、一方向に延びる形態を有している。例えば、処理部3は、流体処理装置1の中心軸1a(筐体2の中心軸2b)に沿って延びている。なお、処理部3は、屈曲した部分を有していたり、湾曲した部分を有していたりすることもできる。ただし、処理部3が直線状に延びる形態を有していれば、流体100の流れが乱れるのを抑制することができる。そのため、処理部3の内面に異物が付着したり、紫外線の照射ムラや、殺菌などの処理効果のムラが発生したりするのを抑制することができる。
【0019】
処理部3は、内部に処理を行う流体100が流れる空間を有する。処理部3の内部の空間は、処理部3の内部を延び、処理部3の両側の端部に開口している。処理部3は、例えば、円筒状であってもよいし、角筒状であってもよい。
【0020】
例えば、処理前の流体100が、処理部3の一方の端部側から処理部3の内部空間に流入する。処理部3の内部空間においては、光源4(発光素子4b)から照射された紫外線により、流体100が処理される。処理された流体100は処理部3の他方の端部側から処理部3の外部に排出される。なお、流体100が流れる流路における処理部3の接続形態については後述する。
【0021】
流体処理装置1の中心軸1aに沿った方向において、処理部3の長さは筐体2の長さよりも長くすることができる。処理部3の長さは、例えば、要求される殺菌などの処理効果などに応じて適宜変更することができる。例えば、処理部3の長さを長くすれば、紫外線の積算光量を多くすることができるので、殺菌などの処理効果を向上させることができる。
【0022】
処理部3の内部空間は、流体100が流れる流路となるとともに、光源4(発光素子4b)から照射された紫外線により処理を行う処理空間となる。そのため、処理部3は、流体100に対する耐性、および紫外線に対する耐性を有し、紫外線を透過可能な材料を含んでいる。処理部3の材料は、例えば、合成石英ガラスや溶融石英ガラスなどのガラス材料、FEP(フッ化エチレンプロピレン)などのフッ素樹脂、シリコーン樹脂などとすることができる。
【0023】
また、処理対象の流体100が海水、地下水、糖液などの場合がある。海水や地下水などには、砂、微生物の死骸、無機塩、有機物などの異物が含まれている。また、糖液などには、糖分や製造工程で生じる不純物等の異物が含まれている。流体100は処理部3の内面に接触するので、流体100に異物が含まれていると、処理部3の内面に異物が付着する場合がある。処理部3の内面に異物が付着すると、紫外線に対する透過率が低下する。透過率が低下すると、流体100に照射される紫外線の光量が少なくなる。また、処理部3の内面の一部に異物が付着すると、透過率が部分的に低下して照射ムラが生じ易くなる。紫外線の光量が少なくなったり、照射ムラが生じたりすれば、殺菌などの処理効果が低下するおそれがある。
【0024】
そのため、処理部3の内面の表面粗さ(算術平均粗さ)Raは、50nm(ナノメートル)以下、好ましくは、3nm(ナノメートル)以上、50nm(ナノメートル)以下とすることができる。処理部3の内面の表面粗さをこの様にすれば、処理部3の内面に異物が付着するのを抑制することができ、且つ、紫外線に対する透過率を向上させることができる。
【0025】
光源4は、処理部3が延びる方向と交差する方向に設けられている。光源4は、一方向に延びる形態を有している。例えば、光源4は、処理部3が延びる方向に沿って延びている。例えば、光源4は、流体処理装置1の中心軸1a(筐体2の中心軸2b)に沿って延びている。例えば、光源4は、処理部3と対向している。光源4は、1つの処理部3に対して少なくとも1つ設けることができる。
図1~
図3に例示をした流体処理装置1においては、1つの処理部3に対して4つの光源4が設けられている。例えば、複数の光源4を設ける場合には、
図2に示すように、処理部3の周囲を囲むように複数の光源4を設けることができる。
【0026】
光源4から照射された紫外線は、処理部3の側面3a(処理部3が延びる方向に沿った面)に入射する。処理部3の側面3aに入射した紫外線は、処理部3の側面3aと内面との間を透過して、処理部3の内部空間を流れる流体100に照射される。この場合、複数の光源4が処理部3の周囲を囲むように設けられていれば、処理部3の内部空間を流れる流体100に複数の方向から紫外線を照射することができる。そのため、流体100に照射される紫外線の光量が不足したり、紫外線の光量にムラが生じたりするのを抑制することができる。
【0027】
ただし、光源4の数が多くなれば、流体処理装置1の小型化が困難となったり、流体処理装置1の製造コストが増大したりするおそれがある。そのため、光源4の数は、流体100の処理流量や、要求される殺菌などの処理効果などに応じて適宜変更することができる。
【0028】
光源4は、基板4a(第1の基板の一例に相当する)、発光素子4b(第1の発光素子の一例に相当する)、および基部4cを有する。
図4は、基板4a、および発光素子4bを例示するための模式斜視図である。
図4に示すように、基板4aは、板状を呈し、処理部3が延びる方向に延びている。
図2に示すように、基板4aは、基部4cの、処理部3と対向する側面4c1(第1の側面の一例に相当する)に設けられている。基板4aは、例えば、熱伝導性接着剤を用いて基部4cに接着することもできるし、放熱シート、放熱テープ、放熱グリス(熱伝導性グリス)などを介して基部4cに着脱自在に設けることもできる。
【0029】
ここで、発光素子4bは、放電ランプなどに比べて長寿命ではあるが、点灯時間が長くなれば発光効率が低下する。また、発光素子4bが故障して不灯になることも考えられる。この場合、ネジなどの締結部材を用いて、基板4aが基部4cに着脱自在に設けられていれば、発光素子4bの交換などのメンテナンスが容易となる。
【0030】
基板4aの、処理部3と対向する面には、配線パターンを設けることができる。基板4aは、紫外線に対する耐性を有し、且つ、熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。基板4aは、例えば、酸化アルミニウムなどのセラミックスや、金属板の表面を絶縁材料で覆ったメタルコア基板などから形成することができる。
【0031】
発光素子4bは複数設けることができる。複数の発光素子4bは、基板4aに設けられた配線パターンに電気的に接続されている。複数の発光素子4bは、直列接続することができる。
図3、および
図4に示すように、複数の発光素子4bは、基板4aの、処理部3と対向する面に設けられ、処理部3が延びる方向に並べて設けられている。この場合、複数の発光素子4bは一列に並べることもできるし、複数の列に並べることもできるし、千鳥状に並べることもできる。
【0032】
発光素子4bの数や配設ピッチなどは、流体処理装置1の中心軸1aに沿った方向における処理部3の長さ、流体100の処理流量や、要求される殺菌などの処理効果などに応じて適宜変更することができる。
【0033】
発光素子4bは、例えば、紫外線を照射可能な発光ダイオードやレーザダイオードなどとすることができる。ここで、細菌やウイルスのDNAやRNAは、波長が300nm以下の紫外線を吸収し易い。そのため、発光素子4bが、ピーク波長が270nm以上、300nm以下の紫外線(例えば、UV-C~UV-Bの波長領域における紫外線)を照射する発光ダイオードやレーザダイオードなどであれば、細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行うのが容易となる。なお、UV-Bは、例えば、波長が280nm以上、315nm以下の紫外線である。UV-Cは、例えば、波長が100nm以上、280nm以下の紫外線である。
【0034】
基部4cは、筒状を呈し、一方向に延びる形態を有している。基部4cは、例えば、処理部3が延びる方向に延びている。基部4cは、例えば、処理部3と平行に設けることができる。基部4cは、基板4a、および発光素子4bを保持する機能を有する。そのため、基部4cの側面4c1(処理部3の側面3aと対向する面)は、平坦な面とすることができる。基部4cは、例えば、角筒状とすることができる。
【0035】
また、基部4cは、発光素子4bを点灯させた際に発生した熱を放熱させる機能(冷却機能)を有する。そのため、基部4cは、内部に流体100が流れる空間を有している。基部4cの内部の空間は、基部4cの内部を延び、基部4cの両側の端部に開口している。
【0036】
例えば、流体100は、基部4cの一方の端部側から基部4cの内部空間に流入する。基部4cの内部空間において発光素子4bからの熱で加熱された流体100は、基部4cの他方の端部側から基部4cの外部に排出される。放熱機能(冷却機能)を有する基部4cが設けられていれば、点灯時に発光素子4bを冷却することができる。そのため、例えば、発光素子4bの数や印加電力などを増加させても、発光素子4bの温度が最大ジャンクション温度を越え難くなる。なお、流体100が流れる流路における基部4cの接続形態については後述する。
【0037】
流体処理装置1の中心軸1aに沿った方向において、基部4cの長さは筐体2の長さよりも長くすることができる。基部4cの長さは、処理部3の長さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。基部4cの両側の端部の近傍は、蓋2aの外側に露出している。蓋2aの外側に露出する基部4cの端部には、例えば、配管継手41を設けることができる。
【0038】
基部4cは、放熱機能(冷却機能)を有するため熱伝導性の高い材料から形成することが好ましい。基部4cは、例えば、アルミニウム、銅、ステンレスなどの金属から形成することができる。
【0039】
図1~
図3に示すように、本実施の形態に係る流体処理装置1においては、光源4(発光素子4b)が、処理部3の側面3aと対向している。そのため、処理部3の内部空間を流れる流体100に照射された紫外線の光路長は、処理部3が延びる方向に交差する方向における処理部3の内面寸法と同程度となる。
【0040】
そのため、例えば、処理部3の一方の端部に光源4(発光素子4b)を設ける場合に比べて光路長を短くすることができる。紫外線の光路長が短くなれば、流体100の、紫外線に対する透過率が低い場合であっても、光量減衰を小さくすることができるので、殺菌などの処理性能を向上させることができる。また、光源4(発光素子4b)と、処理部3の側面3aとの間の距離を短くすることができるので、流体100に直接照射される紫外線の光量を多くすることができる。そのため、処理部3の内面に異物が付着したとしても殺菌などの処理性能が低下するのを抑制することができる。
【0041】
本発明者の得た知見によれば、流体100の、紫外線に対する透過率が10%以下の場合には、処理部3の内面寸法を10mm以下とすることが好ましい。例えば、円筒状の処理部3の場合には、内径寸法を10mm以下とすることができる。
【0042】
図5は、他の実施形態に係る流体処理装置11を例示するための模式断面図である。
図5に示すように、流体処理装置11は、例えば、筐体2、処理部3(第1の処理部、および第2の処理部の一例に相当する)、および光源4を有する。
【0043】
処理部3は、複数設けられている。
図5に例示をした流体処理装置11には、16個の処理部3が設けられている。ただし、処理部3の数は例示をしたものに限定されるわけではなく、流体処理装置11の処理流量などに応じて適宜変更することができる。例えば、処理部3の数を増やせば、処理流量を増加させることができる。
【0044】
複数の処理部3は、処理部3が延びる方向と交差する方向に、並べて設けられている。複数の処理部3の配置には特に限定はない。複数の処理部3は、例えば、処理装置11の中心軸11a(筐体2の中心軸2b)を中心として、マトリクス状に設けることができる。なお、複数の処理部3を同心円上に設けたり。処理装置11の中心軸11a(筐体2の中心軸2b)を中心として回転対称となる位置に設けたりすることができる。
【0045】
前述した様に、光源4は、処理部3と対向している。そのため、複数の処理部3が設けられる場合には、1つの光源4が、複数の処理部3と対向する場合がある。1つの光源4が、複数の処理部3と対向する場合には、
図5に示すように、基部4cの、複数の処理部3のそれぞれと対向する側面4c1(第1の側面、および第2の側面の一例に相当する)に基板4a(第1の基板、および第2の基板の一例に相当する)、および発光素子4b(第1の発光素子、および第2の発光素子の一例に相当する)を設けることができる。この様にすれば、複数の、基板4aおよび発光素子4bに対して、基部4cを兼用することができる。そのため、流体処理装置11の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0046】
基部4cの断面形状は、複数の処理部3の配置に応じて適宜変更することができる。例えば、
図5に示すように、複数の処理部3がマトリクス状に設けられる場合には、基部4cの断面形状は正方形とすることができる。なお、基部4cの断面形状は、複数の処理部3の配置によっては、正六角形などの多角形とすることもできる。
【0047】
次に、流体100が流れる流路における処理部3、および基部4cの接続形態について説明する。
図6~
図10は、処理部3、および基部4cの接続形態を例示するための系統図である。
図6に示すように、1つの処理部3と、複数の光源4(基部4c)が設けられる場合には、直列接続された複数の基部4cと、処理部3とを直列接続することができる。この様にすれば、複数の基部4cを流れた流体100を、処理部3に供給することができる。そのため、発光素子4bの冷却に用いる冷媒を基部4cに供給する装置を別途設ける必要がないので、流体処理装置の小型化、簡易化、低コスト化を図ることができる。
【0048】
なお、1つの処理部3と、1つの光源4(基部4c)が設けられる場合には、1つの処理部3と、1つの基部4cを直列接続すればよい。また、複数の基部4cと、1つの処理部3とが設けられる場合には、
図6に示すように、複数の基部4cの下流側に処理部3を設けることもできるし、複数の基部4cの上流側に処理部3を設けることもできるし、基部4cと基部4cとの間に処理部3を設けることもできる。
【0049】
図7に示すように、複数の処理部3と、複数の光源4(基部4c)が設けられる場合には、直列接続された複数の基部4cと、処理部3とを直列接続したものを、複数組直列接続することができる。複数の処理部3が設けられていれば、流路長を長くすることができるので、積算光量を多くすることができる。そのため、殺菌などの処理効果を向上させたり、処理流量を増加させたりすることができる。
なお、複数の処理部3と、複数の基部4cの接続順は、
図7に例示をしたものに限定されるわけではない。例えば、複数の基部4cの下流側に処理部3を設けたり、複数の基部4cの上流側に処理部3を設けたり、基部4cと処理部3を交互に設けたりすることができる。
【0050】
図8に示すように、複数の基部4cと、複数の処理部3とを並列接続することもできる。この場合、複数の基部4c、および複数の処理部3の流入側をマニホールド5aに接続することができる。複数の基部4cの流出側をマニホールド5aに接続することができる。複数の処理部3の流出側をマニホールド5bに接続することができる。この様にすれば、配管構成の簡素化、流体処理装置1、11の小型化などを図ることができる。
【0051】
図6に例示をした直列接続された複数の基部4cと、処理部3とを直列接続したものを、さらに複数組並列接続する場合には、
図9に示すように、流入側をマニホールド5aに接続し、流出側をマニホールド5bに接続することができる。この様にすれば、配管構成の簡素化、流体処理装置1、11の小型化などを図ることができる。
【0052】
図7に例示をした直列接続された複数の基部4cと、処理部3とを直列接続したものを、複数組直列接続したものを、さらに複数組並列接続する場合には、
図10に示すように、流入側をマニホールド5aに接続し、流出側をマニホールド5bに接続することができる。この様にすれば、配管構成の簡素化、流体処理装置1、11の小型化などを図ることができる。
【0053】
以上に例示をした様に、流体100が流れる流路において、基部4cと、処理部3とを直列接続、または並列接続することができる。
また、光源4が複数設けられる場合には、流体100が流れる流路において、複数の光源4に設けられた基部4c同士を直列接続、または並列接続することができる。
また、複数の処理部3の流入側、および流出側の少なくともいずれかにマニホールド5a、5bを設けることができる。
【0054】
なお、前述した様に、処理部3を直列接続すれば処理部3の流路長が長くなるので紫外線の積算光量を増加させることができる。紫外線の積算光量が増加すれば、殺菌などの処理効果を向上させることができる。例えば、
図8、および
図9に例示をした接続形態においては、処理部3の流路長が同じになるので、殺菌などの処理効果は同程度となる。
図10に例示をした接続形態においては、処理部3の流路長が
図8、および
図9に例示をした接続形態における処理部3の流路長よりも長くなるので、
図8、および
図9に例示をした接続形態の場合よりも、殺菌などの処理効果が高くなる。
【0055】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 流体処理装置、1a 中心軸、2 筐体、2b 中心軸、3 処理部、4 光源、4a 基板、4b 発光素子、4c 基部、5a マニホールド、5b マニホールド、100 流体