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特開2024-126998超電導回転電機の回転子および超電導回転電機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126998
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】超電導回転電機の回転子および超電導回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 55/04 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H02K55/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035814
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 格
(72)【発明者】
【氏名】岩井 貞憲
(72)【発明者】
【氏名】小柳 圭
(57)【要約】
【課題】 超電導回転電機の出力密度を高められるようにすること。
【解決手段】 実施形態による超電導回転電機の回転子は、巻線取付軸の周囲に設けられ、各極において回転子軸方向に長尺な形状を有する超電導コイルと、各極の超電導コイルに備えられる電極と、各極の超電導コイル同士を、前記電極を介して電気的に直列接続するコイル間接続導体と具備し、前記コイル間接続導体は、各極の超電導コイルの回転子軸方向の両端部から内側の範囲内に収まるように配置されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線取付軸の周囲に設けられ、各極において回転子軸方向に長尺な形状を有する超電導コイルと、
各極の超電導コイルに備えられる電極と、
各極の超電導コイル同士を、前記電極を介して電気的に直列接続するコイル間接続導体と、
を具備し、
前記コイル間接続導体は、
各極の超電導コイルの回転子軸方向の両端部から内側の範囲内に収まるように配置されている、
超電導回転電機の回転子。
【請求項2】
前記コイル間接続導体は、
各極の超電導コイルの前記電極に直接接続される接続部と、隣り合う超電導コイル間で前記接続部同士を接続する渡り部とを有し、
前記渡り部は、
当該回転子の回転子軸を中心とする各極の超電導コイルの最外接円よりも回転子内径側に配置されている、
請求項1に記載の超電導回転電機の回転子。
【請求項3】
前記コイル間接続導体は、少なくとも一部が、接着、もしくはボルト締結、もしくはその両方によって、前記巻線取付軸に固定されている、
請求項1に記載の超電導回転電機の回転子。
【請求項4】
前記超電導コイルは、回転子外周側から回転子径方向に見た形状が直線形状の側面と円弧形状の側面とを有し、
前記電極は、前記円弧形状の側面には取り付けられておらず、前記直線形状の側面に取り付けられている、
請求項1に記載の超電導回転電機の回転子。
【請求項5】
前記巻線取付軸は、溝部を備え、
前記コイル間接続導体の一部が前記溝部に嵌め込まれている、
請求項1に記載の超電導回転電機の回転子。
【請求項6】
前記コイル間接続導体の外径側表面の一部に取り付けられる取付部材と、
前記取付部材を介して前記コイル間接続導体に圧縮応力を与える締結部材と、
をさらに具備する、
請求項1に記載の超電導回転電機の回転子。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超電導回転電機の回転子を用いて構成される、超電導回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超電導回転電機の回転子および超電導回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
超電導回転電機の回転子においては、巻線取付軸の各部に超電導コイルが設けられる。超電導コイルは、超電導状態となる運転温度に冷却されることで、界磁コイルとして機能する。この超電導コイルの構造としては、一方向に長尺形状をなす長円形状に巻き回されたものが知られている。この種の超電導回転電機の回転子の構造の一例を図13に示す。
【0003】
図13に示される超電導回転電機の回転子1は、巻線取付軸10の各極に設けられる長円形状の超電導コイル11と、超電導コイル11の長手方向(回転子軸方向)に突出する2つの電極12と、2つの電極12間を絶縁する絶縁部材30と、各極の電極12同士を接続するコイル間接続導体20とを備え、各極の超電導コイル11が、電極12およびコイル間接続導体20を通じて各極間で電気的に直列接続される構造を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6057204号公報
【特許文献2】特開2011-40567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、超電導回転電機は、小型軽量化が求められ、特に出力密度(出力/重量)を高めることが求められている。しかし、出力密度を高めることは容易なことではない。
【0006】
超電導回転電機の回転子に備えられるコイル間接続導体は、回転時に働く遠心力やトルク、振動等による破損を防止するため、巻線取付軸に対し機械的に固定することが必要とされ、また、超電導コイルの長手方向(回転子軸方向)に電極が延出する分だけ、巻線取付軸の回転子軸方向の寸法が大きくなる。よって、コイル間接続導体の固定用の部材の重量や、巻線取付軸の寸法を大きくした分の重量により、回転子の重量が増える。また、巻線取付軸の寸法を大きくした分だけ、固定子の寸法も大きくなり、固定子の重量も増える。
【0007】
このようにして超電導回転電機全体の重量が増えると、超電導回転電機の出力密度が減少してしまう。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、超電導回転電機の出力密度を高めることができる超電導回転電機の回転子および超電導回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態による超電導回転電機の回転子は、巻線取付軸の周囲に設けられ、各極において回転子軸方向に長尺な形状を有する超電導コイルと、各極の超電導コイルに備えられる電極と、各極の超電導コイル同士を、前記電極を介して電気的に直列接続するコイル間接続導体と具備し、前記コイル間接続導体は、各極の超電導コイルの回転子軸方向の両端部から内側の範囲内に収まるように配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、超電導回転電機の出力密度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1の実施形態に係る超電導回転電機の回転子の全体構成の例を示す概念図である。
図2図2は、図1に示される回転子のA-A断面図である。
図3】接続部20aの長さが回転子軸方向の位置によって異なることを説明するための図。
図4図4は、第2の実施形態に係る超電導回転電機の回転子の全体構成の例を示す概念図である。
図5図5は、図4に示される回転子のB-B断面図である。
図6図6は、第3の実施形態に係る超電導回転電機の回転子の断面形状の例(図5に示される構造の変形例)を示す断面図である。
図7図7は、第4の実施形態に係る超電導回転電機の回転子の全体構成の例を示す概念図である。
図8図8は、図7に示される回転子のC-C断面図である。
図9図9は、図7に示される回転子のU-U断面図である。
図10図10は、第5の実施形態に係る超電導回転電機の回転子の全体構成の例を示す概念図である。
図11図11は、図10に示される回転子のD-D断面図である。
図12図12は、図10に示される構造のV-V断面図である。
図13図13は、一般的な超電導回転電機の回転子の全体構成の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
最初に、第1の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、第1の実施形態に係る超電導回転電機の回転子の全体構成の例を示す概念図である。図2は、図1に示される回転子のA-A断面図である。
【0015】
図1および図2に示される超電導回転電機の回転子1は、回転子軸またはロータコア2(以降、「回転子軸2」)、巻線取付軸10、超電導コイル11、電極12、コイル間接続導体20などを有する。
【0016】
なお、ここでは主要部の構造を理解しやすいものとするため、巻線取付軸10や超電導コイル11の周りにある絶縁部材、冷媒流路、フィーダ等の図示を省略するとともに、図示される各部の寸法の一部を実際のものよりも大きくし又は小さくしている。そのため、図示される各部の寸法の大小関係は、実際のものとは異なる。
【0017】
巻線取付軸10は、超電導コイル11を周方向に一定の間隔で取り付けるための構造物である。
【0018】
超電導コイル11は、回転子1の軸中心に対して点対象となるように巻線取付軸10の周囲の各極に配置される。各極の超電導コイル11は、回転子外周側から回転子径方向に見た形状が長円形状であり、回転子軸方向に長尺となっている。
【0019】
なお、図1および図2では、回転子1の極数が4である場合を想定し、超電導コイル11が4個配置された例を示しているが、超電導コイル11の個数に限定はなく、2個以上の超電導コイル110が点対称となるように配置されるのであれば、個数に制限はない。
【0020】
各極の超電導コイル11には、電極12が取り付けられている。コイル間接続導体20は、各極の超電導コイル11同士を、電極12を介して電気的に直列接続する。このような構造において、各極の超電導コイル11は、超電導状態となる運転温度に冷却されることで、界磁コイルとして機能する。
【0021】
特に本実施形態では、コイル間接続導体20は、各極の超電導コイル11の回転子軸方向の両端部から内側の範囲内に収まるように配置されている。すなわち、コイル間接続導体20は、図1中に示される範囲L内に収まるように配置されている。
【0022】
各極の超電導コイル11は、回転子外周側から回転子径方向に見た形状が直線形状の側面と円弧形状の側面とを有する。直線形状の側面は、回転子軸方向中央部の所定の領域にある。円弧形状の側面は、直線形状の側面以外の領域(直線形状の側面よりも回転子軸方向両側の領域)にある。
【0023】
図1の例では、電極12は、各極の超電導コイル11の円弧形状の側面の一部と直線形状の側面の一部とが連続する所定の領域に取り付けられている。電極12における超電導コイル11との取付け部は、超電導コイル11の側面形状と合うように形成された円弧形状の部分と直線形状の部分とを有する。また、図1の例では、コイル間接続導体20は、その端部が電極12の円弧形状の部分に取り付けられている。
【0024】
コイル間接続導体20は、図2に示されるように、各極の超電導コイル11の電極12に直接接続される接続部20aと、隣り合う超電導コイル11間で接続部20a同士を接続する渡り部20bとを有する。接続部20aおよび渡り部20bは、別々の部材で構成されてもよいし、1つの部材で構成されてもよい。
【0025】
接続部20aの長さは、回転子軸方向の位置によって変わる。一方、渡り部20bの長さは、回転子軸方向の位置によって変わらない。図1の例では、接続部20aの長さは、超電導コイル11の回転子軸方向端部へ向かうほど長くなり、超電導コイル11の回転子軸方向中央部へ向かうと短くなる。例えば、図1のA-A断面の位置では、図2に示されるように接続部20aの長さは比較的長い。これに対し、図1のA-A断面の位置よりも回転子軸方向中央部寄りのある位置では、図3に示されるように接続部20aの長さは比較的短い。
【0026】
また、コイル間接続導体20は、少なくとも一部が巻線取付軸10に直接もしくは間接的に固定されている。図2の例では、コイル間接続導体20の接続部20aの端部が巻線取付軸10に固定されている。固定方法として、コイル間接続導体20は、巻線取付軸10に接着されていてもよいし、ボルト締結されていてもよいし、その両方によって固定されていてもよい。
【0027】
なお、巻線取付軸10が導電性の金属で形成される場合は、コイル間接続導体20と巻線取付軸10との界面に、絶縁部材が介在しているものとする。この場合、絶縁部材は、例えばガラス繊維強化プラスチック(GFRP)および炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などにより形成されていてもよいし、巻線取付軸10やコイル間接続導体20の表面にポリイミド、ポリエステルポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドイミドおよびポリビニルホルマールなどの絶縁フィルムを貼り付けることで形成されていてもよい。
【0028】
また、上記絶縁部材は、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂またはシリコーングリースなどの熱伝導性絶縁グリースを塗布することで形成されていてもよい。
【0029】
また、コイル間接続導体20の表面のうち、巻線取付軸10との固定部のみに絶縁部材が介在するように構成してもよいが、代わりに巻線取付軸10の周囲に超電導コイル11およびコイル間接続導体20が含浸固定されるように構成してもよい。
【0030】
第1の実施形態によれば、電極12およびコイル間接続導体20が範囲L内に配置されるため、一般的な超電導回転電機の回転子に比べ、コイル間接続導体の固定用の部材を低減することができるとともに、巻線取付軸10の回転子軸方向の寸法を小さくすることができる。よって、コイル間接続導体の固定用の部材の重量や、巻線取付軸の重量を減らすことができ、回転子の重量を減らすことができる。また、回転子軸方向の寸法を小さくすることができるため、固定子の寸法を小さくすることができ、固定子の重量を減らすことができる。これにより超電導回転電機全体の重量を減らすことができるため、超電導回転電機の出力密度を高めることができる。
【0031】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と共通する部分の説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0032】
図4は、第2の実施形態に係る超電導回転電機の回転子の全体構成の例を示す概念図である。図5は、図4に示される回転子のB-B断面図である。
【0033】
この第2の実施形態に係る回転子1が前述した第1の実施形態に係る回転子1と異なる点は、電極12が、超電導コイル11の円弧形状の側面には取り付けられておらず、超電導コイル11の直線形状の側面に取り付けられていることである。
【0034】
図4の例では、電極12が超電導コイル11の回転子軸方向中央部に配置されている。これに伴い、コイル間接続導体20も超電導コイル11の回転子軸方向中央部に配置されている。
【0035】
電極12における超電導コイル11との取付け部には、円弧形状の部分はなく、直線形状の部分だけがある。そのため、電極12全体が直線形状を成している。
【0036】
また、コイル間接続導体20は、その端部が直線形状の電極12に取り付けられている。そのため、コイル間接続導体20の電極12との取付け部には、円弧形状の部分はなく、直線形状の部分だけがある。
【0037】
接続部20aの長さは、図5に示されるように短く、図2に示されるような長い所がない。
【0038】
第2の実施形態によれば、各極の電極12間の距離がさらに小さくなるため、コイル間接続導体20の体積がさらに小さくなり、コイル間接続導体20の重量がさらに小さくなり、超電導回転電機全体の重量がさらに小さくなる。また、コイル間接続導体20は、超電導コイル11の円弧形状の箇所ではなく、直線形状の箇所にて、電極12を介して接続するため、コイル間接続導体20の形状が単純になり、電極12間の接続作業において作業性が向上する。よって、第2の実施形態によれば、超電導回転電機の出力密度を高めつつ、コイル間接続導体20と電極12との接続作業の作業性を向上させることができる。
【0039】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。以下では、第2の実施形態と共通する部分の説明を省略し、第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0040】
図6は、第3の実施形態に係る超電導回転電機の回転子の断面形状の例(図5に示される構造の変形例)を示す断面図である。
【0041】
この第3の実施形態に係る回転子1が前述した第2の実施形態に係る回転子1と異なる点は、コイル間接続導体20の渡り部20bが、回転子1の回転子軸を中心とする各極の超電導コイル11の最外接円よりも回転子内径側に配置されていることである。
【0042】
図6の例では、渡り部20bは、巻線取付軸10の表面に沿う形で回転子内径側に配置されている。この構造により回転子1の回転時の遠心力に対する強度が向上する。
【0043】
なお、超電導コイル11は、コイル間接続導体20に制限されることなく、回転子1の径方向において最外径側に配置することができる。そのようにした場合、界磁コイルと電機子コイル間の双方に鎖交する磁束の空間密度が向上し、超電導回転電機の回転子1の磁場効率が向上する。
【0044】
第3の実施形態によれば、第2の実施形態で得られる効果に加え、回転子1の回転時の遠心力に対する強度を向上させることができるとともに、超電導回転電機の回転子1の磁場効率を向上させることができる。
【0045】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。以下では、第3の実施形態と共通する部分の説明を省略し、第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0046】
図7は、第4の実施形態に係る超電導回転電機の回転子の全体構成の例を示す概念図である。図8は、図7に示される回転子のC-C断面図である。図9は、図7に示される回転子のU-U断面図である。
【0047】
この第4の実施形態に係る回転子1が前述した第3の実施形態に係る回転子1と異なる点は、巻線取付軸10が、コイル間接続導体20の長手方向に沿った凹状の溝部10aを備え、コイル間接続導体20の一部が凹状の溝部10aに嵌め込まれていることである。巻線取付軸10の溝部10aとコイル間接続導体20との間には、絶縁部材が介在していてもよい。
【0048】
第4の実施形態によれば、巻線取付軸10の溝部10aに、絶縁部材またはコイル間接続導体20の一部が嵌め込まれているため、コイル間接続導体20と巻線取付軸10が構造体として一体化し、回転子1の機械的な強度が向上する。よって、第4の実施形態によれば、第3の実施形態で得られる効果に加え、回転子1の機械的な強度を向上させることができる。
【0049】
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態について説明する。以下では、第3もしくは第4の実施形態と共通する部分の説明を省略し、第3もしくは第4の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0050】
図10は、第5の実施形態に係る超電導回転電機の回転子の全体構成の例を示す概念図である。図11は、図10に示される回転子のD-D断面図である。図12は、図10に示される回転子のV-V断面図である。
【0051】
この第5の実施形態に係る回転子1が前述した第3もしくは第4の実施形態に係る回転子1と異なる点は、コイル間接続導体20の外径側表面の一部に取り付けられる取付部材50と、取付部材50を介してコイル間接続導体20に圧縮応力を与える締結部材40とをさらに備えていることである。
【0052】
具体的には、コイル間接続導体20の接続部20aと巻線取付軸10とが、取付部材50を介して締結部材40により機械的に締め付け固定される。これにより、締結部材40は、コイル間接続導体20の接続部20aに対し、巻線取付軸10および取付部材50を介して圧縮応力を付与する。
【0053】
締結部材40は、図10図12の例に示されるように、巻線取付軸10に配置されるヘリサートやネジ穴と締付用のボルトなどで構成されていてもよい。
【0054】
取付部材50は、たとえばガラス繊維強化プラスチック(GFRP)および炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などにより形成されていてもよく、金属の表面にポリイミド、ポリエステルポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドイミドおよびポリビニルホルマールなどの絶縁フィルムを貼り付けたりして構成した複合体で形成されていてもよい。
【0055】
なお、図10図12の例では、コイル間接続導体20の1か所に1つの締結部材40および取付部材50を設けた例を示したが、コイル間接続導体20の一部に少なくとも1つの締結部材40および取付部材50が設けられていればよく、複数個の締結部材40および取付部材50が設けてられていてもよい。
【0056】
第5の実施形態によれば、コイル間接続導体20の接続部20aと巻線取付軸10とが取付部材50を介して締結部材40により機械的に固定されることで、コイル間接続導体20を機械的に強固に支持することができるため、回転時に超電導コイル11に対して過大な機械的負荷が加わったり、大きな相対的変位が加わったりすることを防ぐことができる。よって、第5の実施形態によれば、第3もしくは第4の実施形態で得られる効果に加え、回転子1の機械的な強度をさらに向上させることができる。
【0057】
以上詳述したように、実施形態によれば、超電導回転電機の出力密度を高めることができる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1…回転子、2…回転子軸(またはロータコア)、10…巻線取付軸、10a…溝部、11…超電導コイル、12…電極、20…コイル間接続導体、20a…接続部、20b…渡り部、30…絶縁部材、40…締結部材、50…取付部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13