(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127001
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/32 20060101AFI20240912BHJP
G01N 29/04 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G01N29/32
G01N29/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035817
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】中井 豊
(72)【発明者】
【氏名】小野 富男
(72)【発明者】
【氏名】山本 紀子
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AB04
2G047AD16
2G047BA01
2G047CA01
2G047EA10
2G047GA14
2G047GB17
2G047GF08
(57)【要約】
【課題】検出精度を向上できる検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、検査装置は、素子部及び搬送部を含む。素子部は、第1周期Tpを有する複数の第1バースト波を含む第1超音波を送信可能な第1送信素子と、第1周期Tpを有する複数の第2バースト波を含む第2超音波を送信可能な第2送信素子と、第1超音波が入射する第1受信素子と、第2超音波が入射する第2受信素子と、を含む。第1受信素子と第2受信素子との間の第1距離L1(m)、複数の第1信号の1つと、複数の第2信号の1つと、の第1時間差Δt1(s)、空間における第1超音波及び第2超音波の伝搬速度vx(m/s)、第1周期Tp(s)、及び、第1時間幅Tw(s)は、n×Tp+Tw/4 < Δt1+L1/vx < (n+1)×Tp-Tw/4を満たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周期Tpを有する複数の第1バースト波を含む第1超音波を送信可能な第1送信素子と、
前記第1周期Tpを有する複数の第2バースト波を含む第2超音波を送信可能な第2送信素子と、
前記第1超音波が入射する第1受信素子と、
前記第2超音波が入射する第2受信素子と、
を含む素子部と、
前記第1送信素子と前記第1受信素子との間、及び、前記第2送信素子と前記第2受信素子との間の空間中を第1方向に沿って検査対象を搬送可能な搬送部と、
を備え、
前記第1送信素子から前記第1受信素子への第2方向は、前記第1方向と交差し、
前記第1受信素子は、前記第1超音波に応じた第1受信信号を出力可能であり、
前記第2受信素子は、前記第2超音波に応じた第2受信信号を出力可能であり、
前記第1受信信号は、前記複数の第1バースト波にそれぞれ対応する複数の第1信号を含み、前記複数の第1信号の1つは、第1時間幅Twを有し、
前記第2受信信号は、前記複数の第2バースト波にそれぞれ対応する複数の第2信号を含み、前記複数の第2信号の1つは、前記第1時間幅Twを有し、
前記第1受信素子と前記第2受信素子との間の第1距離L1(m)、前記複数の第1信号の1つと、前記複数の第2信号の1つと、の第1時間差Δt1(s)、前記空間における前記第1超音波及び前記第2超音波の伝搬速度vx(m/s)、前記第1周期Tp(s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
n×Tp+Tw/4 < Δt1+L1/vx < (n+1)×Tp-Tw/4
を満たし、
前記nは、0以上の整数である、検査装置。
【請求項2】
前記nは、0または1である、請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記第1送信素子から前記第2送信素子への第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差した、請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記第1送信素子の前記第1方向における位置は、前記第2送信素子の前記第1方向における位置と異なる、請求項1~3のいずれか1つに記載の検査装置。
【請求項5】
前記素子部は、複数の前記第2送信素子、及び、複数の前記第2受信素子を含み、
前記複数の第2受信素子の1つは、前記複数の第2受信素子のうちで前記第1受信素子に最も近く、
前記第1距離L1は、前記第1受信素子と、前記複数の第2受信素子の前記1つと、の間の距離であり、
前記複数の第2受信素子の前記1つに、前記複数の第2送信素子の1つから送信された前記第2超音波が入射する、請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項6】
前記素子部は、第1列を含み、
前記第1列は、前記第1送信素子及び前記複数の第2送信素子を含み、
前記複数の第2送信素子は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿って並ぶ、請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記素子部は、第1列及び第2列を含み、
前記第1列から前記第2列への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1列は、前記第1受信素子、及び、前記複数の第2受信素子の一部を含み、
前記複数の第2受信素子の前記一部は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿って並び、
前記第2列は、前記複数の第2受信素子の別の一部を含み、
前記複数の第2受信素子の前記別の一部は、前記第3方向に沿って並ぶ、請求項5に記載の検査装置。
【請求項8】
前記素子部は、
前記第1周期Tpを有する複数の第3バースト波を含む第3超音波を送信可能な第3送信素子と、
前記第3超音波が入射する第3受信素子と、
をさらに含み、
前記第3受信素子は、前記第3超音波に応じた第3受信信号を出力可能であり、
前記第3受信信号は、前記複数の第3バースト波にそれぞれ対応する複数の第3信号を含み、前記複数の第3信号の1つは、前記第1時間幅Twを有し、
前記第2受信素子と前記第3受信素子との間の第2距離L2(m)、前記複数の第2信号の1つと、前記複数の第3信号の1つと、の第2時間差Δt2(s)、前記伝搬速度vx(m/s)、前記第1周期Tp(s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
m×Tp+Tw/4 < Δt2+L2/vx < (m+1)×Tp-Tw/4
を満たし、
前記mは、0以上の整数である、請求項1に記載の検査装置。
【請求項9】
第1周期Tpを有する複数の第1バースト波を含む第1超音波を送信可能な複数の第1送信素子と、
前記第1超音波が入射する複数の第1受信素子と、
を含む素子部と、
前記複数の第1送信素子と前記複数の第1受信素子との間の空間中を第1方向に沿って検査対象を搬送可能な搬送部と、
を備え、
前記複数の第1受信素子のそれぞれは、前記第1超音波に応じた第1受信信号を出力可能であり、
前記第1受信信号は、前記複数の第1バースト波にそれぞれ対応する複数の第1信号を含み、
前記複数の第1信号の1つは、第1時間幅Twを有し、
前記複数の第1送信素子の1つと、前記複数の第1送信素子の別の1つと、の間の第1距離L1(m)、前記空間における前記第1超音波の伝搬速度vx(m/s)、前記第1周期Tp(s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
n×Tp+Tw/4 < L1/vx < (n+1)×Tp-Tw/4
を満たし、
前記複数の第1送信素子の前記別の1つは、前記複数の第1送信素子のうちで、前記複数の第1送信素子の前記1つの隣であり、
前記nは、0以上の整数である、検査装置。
【請求項10】
前記複数の第2送信素子の1つから前記複数の第2送信素子の別の1つへの第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差し、
前記複数の第2送信素子の前記別の1つは、前記複数の第2送信素子の前記1つの隣であり、
前記複数の第2送信素子の前記1つに供給される第2駆動信号の位相は、前記複数の第2送信素子の前記別の1つに供給される別の第2駆動信号の位相に対してシフトしている、請求項1に記載の検査装置。
【請求項11】
前記複数の第2送信素子の1つから前記複数の第2送信素子の別の1つへの第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差し、
前記複数の第2送信素子の前記別の1つは、前記複数の第2送信素子の前記1つの隣であり、
前記複数の第2送信素子の前記1つに含まれる第1圧電層の極性は、前記複数の第2送信素子の前記別の1つに含まれる別の第2圧電層の極性に対して反転している、請求項1に記載の検査装置。
【請求項12】
第1送信素子、第2送信素子、第1受信素子及び第2受信素子を含む素子部の、前記第1送信素子から、第1周期Tpを有する複数の第1バースト波を含む第1超音波を送信させ、前記第2送信素子から前記第1周期Tpを有する複数の第2バースト波を含む第2超音波を送信させ、前記第1送信素子と前記第1受信素子との間、及び、前記第2送信素子と前記第2受信素子との間の空間中を第1方向に沿って検査対象を移動させ、
前記第1超音波が入射した前記第1受信素子、及び、前記第2超音波が入射した前記第2受信素子から得られる信号に基づいて、前記検査対象を検査し、
前記第1受信素子は、前記第1超音波に応じた第1受信信号を出力可能であり、
前記第2受信素子は、前記第2超音波に応じた第2受信信号を出力可能であり、
前記第1受信信号は、前記複数の第1バースト波にそれぞれ対応する複数の第1信号を含み、前記複数の第1信号の1つは、第1時間幅Twを有し、
前記第2受信信号は、前記複数の第2バースト波にそれぞれ対応する複数の第2信号を含み、前記複数の第2信号の1つは、前記第1時間幅Twを有し、
前記第1受信素子と前記第2受信素子との間の第1距離L1(m)、前記複数の第1信号の1つと、前記複数の第2信号の1つと、の第1時間差Δt1(s)、前記空間における前記第1超音波及び前記第2超音波の伝搬速度vx(m/s)、前記第1周期Tp(s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
n×Tp+Tw/4 < Δt1+L1/vx < (n+1)×Tp-Tw/4
を満たし、
前記nは、0以上の整数である、検査方法。
【請求項13】
複数の第1送信素子と、複数の第1受信素子と、を含む素子部の前記複数の第1送信素子から、第1周期Tpを有する複数の第1バースト波を含む第1超音波を送信させ、前記複数の第1送信素子と前記複数の第1受信素子との間の空間中を第1方向に沿って検査対象を移動させ、
前記第1超音波が入射した前記複数の第1受信素子から得られる信号に基づいて、前記検査対象を検査し、
前記複数の第1受信素子のそれぞれは、前記第1超音波に応じた第1受信信号を出力可能であり、
前記第1受信信号は、前記複数の第1バースト波にそれぞれ対応する複数の第1信号を含み、
前記複数の第1信号の1つは、第1時間幅Twを有し、
前記複数の第1受信素子の1つと、前記複数の第1受信素子の別の1つと、の間の第1距離L1(m)、前記空間における前記第1超音波の伝搬速度vx(m/s)、前記第1周期Tp(s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
n×Tp+Tw/4 < L1/vx < (n+1)×Tp-Tw/4
を満たし、
前記複数の第1送信素子の前記別の1つは、前記複数の第1送信素子のうちで、前記複数の第1送信素子の前記1つの隣であり、
前記nは、0以上の整数である、検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば超音波などを用いた検査装置がある。検出精度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、検出精度を向上できる検査装置及び検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、検査装置は、素子部及び搬送部を含む。前記素子部は、第1周期Tpを有する複数の第1バースト波を含む第1超音波を送信可能な第1送信素子と、前記第1周期Tpを有する複数の第2バースト波を含む第2超音波を送信可能な第2送信素子と、前記第1超音波が入射する第1受信素子と、前記第2超音波が入射する第2受信素子と、を含む。前記搬送部は、前記第1送信素子と前記第1受信素子との間、及び、前記第2送信素子と前記第2受信素子との間の空間中を第1方向に沿って検査対象を搬送可能である。前記第1送信素子から前記第1受信素子への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第1受信素子は、前記第1超音波に応じた第1受信信号を出力可能である。前記第2受信素子は、前記第2超音波に応じた第2受信信号を出力可能である。前記第1受信信号は、前記複数の第1バースト波にそれぞれ対応する複数の第1信号を含む。前記複数の第1信号の1つは、第1時間幅Twを有する。前記第2受信信号は、前記複数の第2バースト波にそれぞれ対応する複数の第2信号を含む。前記複数の第2信号の1つは、前記第1時間幅Twを有する。前記第1受信素子と前記第2受信素子との間の第1距離L1(m)、前記複数の第1信号の1つと、前記複数の第2信号の1つと、の第1時間差Δt1(s)、前記空間における前記第1超音波及び前記第2超音波の伝搬速度vx(m/s)、前記第1周期Tp(s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、n×Tp+Tw/4 < Δt1+L1/vx < (n+1)×Tp-Tw/4を満たす。前記nは、0以上の整数である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
【
図10】
図10(a)及び
図10(b)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
【
図11】
図11(a)及び
図11(b)は、第1実施形態に係る検査装置の動作を例示する模式図である。
【
図12】
図12(a)及び
図12(b)は、第1実施形態に係る検査装置の一部を例示する模式的断面図である。
【
図13】
図13(a)及び
図13(b)は、第2実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
【
図14】
図14(a)及び
図14(b)は、第2実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態に係る検査方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
図2は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
図3(a)、
図3(b)、
図4(a)、
図4(b)、
図5(a)及び
図5(b)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
図1(a)、
図1(b)、
図2に示すように、実施形態に係る検査装置110は、素子部10E及び搬送部60を含む。検査装置110は、制御部70を含んで良い。
【0009】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、素子部10Eは、第1送信素子11、第2送信素子12、第1受信素子21及び第2受信素子22を含む。
【0010】
第1送信素子11は、第1超音波11wを送信可能である。第2送信素子12は、第2超音波12wを送信可能である。
【0011】
これらの超音波は、送信素子に供給される駆動信号に基づいている。
図2に示すように、例えば、第1送信素子11及び第2送信素子12に送信回路10Dが接続される。制御部70からの制御信号Scにより、送信回路10Dが制御される。送信回路10Dからの第1駆動信号Sv1が第1送信素子11に供給される。送信回路10Dからの第2駆動信号Sv2が第2送信素子12に供給される。第1駆動信号Sv1に基づいて、第1送信素子11から第1超音波11wが出射される。第2駆動信号Sv2に基づいて、第2送信素子12から第2超音波12wが出射される。
【0012】
図3(a)は、第1駆動信号Sv1を例示している。
図3(b)は、第2駆動信号Sv2を例示している。
図3(a)及び
図3(b)の横軸は、時間tmである。縦軸は、駆動信号の電圧Svvである。
図3(a)に示すように、第1駆動信号Sv1は、複数の第1バースト信号11vBを含む。複数の第1バースト信号11vBは、第1周期Tpを有する。複数の第1バースト信号11vBの1つは、時間幅Tvを有する。
図3(b)に示すように、第2駆動信号Sv2は、複数の第2バースト信号12vBを含む。複数の第2バースト信号12vBは、第1周期Tpを有する。複数の第2バースト信号12vBの1つは、時間幅Tvを有する。複数の第2バースト信号12vBは、複数の第1バースト波11wBを基準にして、第1時間差Δt1の時間でシフトしている。
【0013】
例えば、駆動信号により送信素子に含まれる圧電層などが変形することで、超音波(第1超音波11w及び第2超音波12wなど)が出射される。
【0014】
図4(a)及び
図4(b)は、これらの超音波を例示している。
図4(a)及び
図4(b)の横軸は、時間tmである。縦軸は、超音波の強度Swである。
図4(a)は、第1超音波11wを例示している。
図4(b)は、第2超音波12wを例示している。
図4(a)に示すように、第1送信素子11から発信される第1超音波11wは、複数の第1バースト波11wBを含む。複数の第1バースト波11wBは、第1周期Tpを有する。複数の第1バースト波11wBの1つは、時間幅Ttを有する。複数の第1バースト波11wBの1つは、複数の第1波11xを含む。
【0015】
図4(b)に例示するように、第2送信素子12から送信される第2超音波12wは、複数の第2バースト波12wBを含む。複数の第2バースト波12wBは、第1周期Tpを有する。複数の第2バースト波12wBの1つは、時間幅Ttを有する。複数の第2バースト波12wBの1つは、複数の第2波12xを含む。
【0016】
複数の第1バースト波11wBの1つと、複数の第2バースト波12wBの1つと、は、第1時間差Δt1を有する。超音波の時間幅Ttは、駆動信号の時間幅Tvよりも長くて良い。例えば、送信素子における過渡動作特性により、時間幅Ttは、駆動信号の時間幅Tvよりも長くなり易い。
【0017】
図2に示すように、第1受信素子21は、第1送信素子11と対向する。第2受信素子22は、第2送信素子12と対向する。第1受信素子21に、第1超音波11wが入射する。第2受信素子22に、第2超音波12wが入射する。
【0018】
図1(a)、
図1(b)及び
図2に示すように、第1送信素子11と第1受信素子21との間、及び、第2送信素子12と第2受信素子22との間に、空間88Sが設けられる。搬送部60は、空間88S中を第1方向D1(搬送方向60D)に沿って検査対象80を搬送可能である。
【0019】
第1方向D1をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な1つの方向をY軸方向とする。X軸方向及びY軸方向に対して垂直な方向をZ軸方向とする。
【0020】
図2に示すように、第1送信素子11から第1受信素子21への第2方向D2は、第1方向D1と交差する。この例では、第2方向D2は、第1方向D1に対して傾斜している。第2方向D2は、第1方向D1に対して垂直でも良い。
【0021】
図2に示すように、第1送信素子11及び第2送信素子12は、送信部10に含まれる。第1受信素子21及び第2受信素子22は、受信部20に含まれる。
【0022】
第1送信素子11及び第2送信素子12から出射された超音波は、検査対象80を通過して、受信部20に届く。受信部20に含まれる第1受信素子21及び第2受信素子22に含まれる圧電層などにより、超音波が電気信号に変換される。例えば、第1受信素子21は、入射した第1超音波11wに応じた第1受信信号21s(
図2参照)を出力可能である。第2受信素子22は、入射した第2超音波12wに応じた第2受信信号22s(
図2参照)を出力可能である。
【0023】
図5(a)は、第1受信素子21から出力される第1受信信号21sを模式的に例示している。
図5(b)は、第2受信素子22から出力される第2受信信号22sを模式的に例示している。これらの図の横軸は、時間tmである。
図5(a)の縦軸は、第1受信信号21sの大きさS21(例えば電圧)である。
図5(b)の縦軸は、第2受信信号22sの大きさS22(例えば電圧)である。
【0024】
図5(a)に示すように、第1受信信号21sは、複数の第1信号21gを含む。複数の第1信号21gは、複数の第1バースト波11wBにそれぞれ対応する。例えば、複数の第1信号21gの1つは、複数の第1バースト波11wBの1つに対応する。
【0025】
図5(b)に示すように、第2受信信号22sは、複数の第2信号22gを含む。複数の第2信号22gは、複数の第2バースト波12wBにそれぞれ対応する。例えば、複数の第2信号22gの1つは、複数の第2バースト波12wBの1つに対応する。
【0026】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、複数の第1信号21gの1つと、複数の第2信号22gの1つと、は、第1時間差Δt1を有する。受信信号における第1時間差Δt1は、送信された超音波における第1時間差Δt1を反映している。
【0027】
複数の第1信号21gの周期は、第1周期Tpである。複数の第2信号22gの周期は、第1周期Tpである。受信信号における周期(第1周期Tp)は、送信された超音波における第1周期Tpを反映している。
【0028】
図5(a)に示すように、複数の第1信号21gの1つは、第1時間幅Twを有する。
図5(b)に示すように、複数の第2信号22gの1つは、第1時間幅Twを有する。受信信号における第1時間幅Twは、送信された超音波における時間幅Ttと同じでも異なっても良い。例えば、受信素子における過渡動作特性により、第1時間幅Twは、受信素子に入射する超音波における時間幅Ttよりも長くなる場合がある。
【0029】
第1受信素子21及び第2受信素子22から得られる電気信号(第1受信信号21s及び第2受信信号22s)が、検出回路20Dに供給される。例えば、検出回路20Dから得られる検出信号Sdが制御部70に供給される。制御部70から、検出信号Sdに基づく検出結果S1が出力される。検出結果S1は、検査対象80の状態を含む。
【0030】
検査対象80は、例えば紙幣などである。検査対象80は、有価証券などの書類でも良い。検査対象80の材料は任意である。
【0031】
図2に示すように、搬送部60は、第1搬送機構61及び第2搬送機構62などを含んで良い。これらの搬送機構は、例えば、ローラなどで良い。搬送機構は、例えば、搬送ベルトなどでも良い。
【0032】
図2に示すように、この例では、送信部10は、送信導波部15を含む。送信導波部15は、送信素子から出射された超音波を導波する。この例では、受信部20は、受信導波部25を含む。受信導波部25は、検査対象80を通過した後の超音波を導波する。受信導波部25から出た超音波が受信素子に入射する。例えば、多重反射などの影響が抑制される。ノイズが抑制され、高い精度の検査が可能になる。
【0033】
図1(a)は、送信部10を例示している。
図1(b)は、受信部20を例示している。
図1(a)に示すように、第1送信素子11及び第2送信素子12を含む、複数の送信素子が設けられる。
図1(b)に示すように、第1受信素子21及び第2受信素子22を含む、複数の受信素子が設けられる。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、第1受信素子21は、第2方向D2において、第1送信素子11と実質的に重なる(
図2参照)。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、第2受信素子22は、第2方向D2において、第2送信素子12と実質的に重なる(
図2参照)。このように、複数の受信素子は、第2方向D2において、複数の送信素子と重なる。以下の説明において、受信素子のX-Y平面における位置は、送信素子のX-Y平面における位置に実質的に対応する。
【0034】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、第1方向D1(搬送方向)と交差する方向を第3方向D3とする。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。第3方向D3は、例えば、Y軸方向である。
【0035】
図1(a)に示すように、複数のこのような第2送信素子12が設けられて良い。
図1(a)に示すように、この例では、第1送信素子11に加えて、別の第1送信素子11Aが設けられる。以下、まず、第1送信素子11に着目する。複数の第2送信素子12の1つである素子12aに着目する。第1送信素子11に対応する第1受信素子21に着目する。素子12aに対応する素子22a(受信素子)に着目する。
【0036】
第1受信素子21と第2受信素子22(素子22a)との間の距離を第1距離L1とする。第1送信素子11と第2送信素子12(素子12a)との間の距離は、第1距離L1で良い。
【0037】
空間88Sにおける第1超音波11w及び第2超音波12wの伝搬速度を伝搬速度vxとする。実施形態においては、第1距離L1(m)、第1時間差Δt1(s)、伝搬速度vx(m/s)、第1周期Tp(s)、及び、第1時間幅Tw(s)は、
n×Tp+Tw/4 < Δt1+L1/vx < (n+1)×Tp-Tw/4 …(1)
の第1式を満たす。「n」は、0以上の整数である。この関係が満たされるときに、例えば、クロストークが抑制できる。
【0038】
図5(b)に示すように、既に説明したように、第2受信素子22(素子22a)において、複数の第2信号22gが生じる、複数の第2信号22gは、入射する第2超音波12wの複数の第2バースト波12wBに対応する。
図5(b)に示すように、第2受信素子22(素子22a)において、信号21gcが生じる。信号21gcは、例えば、第1超音波11wの一部に対応する。例えば、第1超音波11wの一部の成分が、素子22aに入射することで、信号21gcが生じる。信号21gcは、例えば、検査対象80の第3方向D3における端部83の影響により生じ易い。例えば、第1超音波11wの一部の成分は、端部83を通過して、第2受信素子22に入射する。このような成分が複数の第2信号22gと時間的に重なると、この成分(信号21gc)は、ノイズとなる。例えば、クロストークが発生する。
【0039】
実施形態においては、上記の第1式が満たされる。これにより、不要な成分(信号21gc)の時間的な位置が、複数の第2信号22gの間になる。これにより、ノイズが抑制される。クロストークが抑制できる。検出精度を向上できる検査装置を提供できる。
【0040】
例えば、上記の第1式を満たすように、第1距離L1が設定される。例えば、第1式を満たすように、第1時間差Δt1が設定される。第1式に示すように、例えば、第1距離L1に関する適切な値の範囲は、離散的である。第1時間差Δt1に関する適切な値の範囲は、離散的である。
【0041】
例えば、全ての送信素子から同じタイミングで超音波が送信される第1参考例が考えられる。第1参考例において、2つの受信素子(または送信素子)の距離(第1距離L1)が適切に設定されない場合、素子22aにおいて、第1超音波11wに基づく成分(信号21gc)が第2信号22gと重なる。成分(信号21gc)はノイズとなる。クロストークが発生し、高い精度の検査が困難である。例えば、検査対象80の第3方向D3における端部81において、ノイズによる誤検出が生じ易い。
【0042】
実施形態においては。上記の第1式により、成分(信号21gc)が複数の第2信号22gの間に位置する。ノイズが抑制され、クロストークが抑制できる。例えば、検査対象80の第3方向D3における端部83に関する異常を高い精度で検査できる。
【0043】
上記のように、第1式の関係は、受信信号における第1時間幅Twにより定義される。これにより、受信素子の過渡動作特性を含んだ受信信号において、クロストークが効果的に抑制できる。
【0044】
実施形態において、第1送信素子11及び第2送信素子12から送信される超音波の強度は、互いに同じでも、互いに異なっても良い。例えば、第1送信素子11の信号強度を小さくすると、第2受信素子22で受信される、第1送信素子11からの成分が、小さくなる。第2信号22gへの影響が小さくなり、ノイズが抑制される。クロストークが抑制できる。例えば、第1送信素子11からの成分に対応する信号強度が第2信号22gの信号強度の1/2以下になることで、クロストークが効果的に抑制される。
【0045】
実施形態において、「n」は、0または1であることが好ましい。nが2以上の場合、例えば、第1距離L1が過度に長くなる。例えば、解像度が低下する。例えば、装置が大きくなる。「n」は、0または1であることで、高い解像度が得られる。小型化が容易になる。
【0046】
第1距離L1は、第1受信素子21から第2受信素子22(素子22a)への素子間方向における第1受信素子21の中心と、素子間方向における第2受信素子22(素子22a)の中心と、の間の素子間方向に沿う長さで良い。
図1(b)の例においては、素子間方向は、第3方向D3(例えばY軸方向)である。
【0047】
第1距離L1は、第1送信素子11から第2送信素子12(素子12a)への素子間方向における第1送信素子11の中心と、素子間方向における第2送信素子(素子12a)の中心と、の間の素子間方向に沿う長さで良い。
図1(a)の例においては、素子間方向は、第3方向D3(例えばY軸方向)である。
【0048】
実施形態において、第1距離L1は、例えば、10mm以上30mm以下である、高い解像度と、実用的な装置サイズが得られる。実施形態において、第1周期Tpは、例えば、200μs以上1000μs以下である。例えば、第1時間幅Twは、200μs以上1000μs以下である。高速の検査が実施できる。
【0049】
この例では、第1受信素子21から第2受信素子22(素子22a)への第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。後述するように、第1受信素子21から第2受信素子22への方向は、第1方向D1に実質的に沿っても良い。この例では、第1送信素子11から第2送信素子12(素子12a)への第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。後述するように、第1送信素子11から第2送信素子12への方向は、第1方向D1に実質的に沿っても良い。
【0050】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、この例では、素子部10Eは、複数の第2送信素子12、及び、複数の第2受信素子22を含む。複数の第2受信素子22の位置は、複数の第2送信素子12にそれぞれ対応する。
【0051】
複数の第2受信素子22の1つ(素子22a)は、複数の第2受信素子22のうちで第1受信素子21に最も近い。この場合、上記の第1距離L1は、第1受信素子21と、複数の第2受信素子22の1つ(素子22a)と、の間の距離である。複数の第2受信素子22の1つ(素子22a)に、複数の第2送信素子12の1つ(素子12a)から送信された第2超音波12wが入射する。
【0052】
複数の第2送信素子12の1つ(素子12a)は、複数の第2送信素子12のうちで第1送信素子11に最も近い。この場合、上記の第1距離L1は、第1送信素子11と、複数の第2送信素子12の1つ(素子12a)と、の間の距離である。
【0053】
複数の第2受信素子22のうちで第1受信素子21に最も近い第2受信素子22(素子22a)について、上記の第1式が満たされる。例えば、複数の第2送信素子12のうちで第1送信素子11に最も近い第2送信素子12(素子12a)について、上記の第1式が満たされる。
【0054】
図1(b)に示すように、素子部10Eは、第1列20Aを含む。第1列20Aは、第1受信素子21、及び、複数の第2受信素子22を含む。複数の第2受信素子22は、第3方向D3に沿って並ぶ。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。
【0055】
図1(b)に示すように、素子部10Eは、第1列20A及び第2列20Bを含んでも良い。第1列20Aから第2列20Bへの方向は、第1方向D1に沿う。第1列20Aは、第1受信素子21、及び、複数の第2受信素子22の一部を含む。複数の第2受信素子22のこの一部は、第3方向D3に沿って並ぶ。第2列20Bは、複数の第2受信素子22の別の一部を含む。複数の第2受信素子22の別の一部は、第3方向D3に沿って並ぶ。
【0056】
図1(a)に示すように、素子部10Eは、第1列10Aを含む。第1列10Aは、第1送信素子11、及び、複数の第2送信素子12を含む。複数の第2送信素子12は、第3方向D3に沿って並ぶ。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。
【0057】
図1(a)に示すように、素子部10Eは、第1列10A及び第2列10Bを含んでも良い。第1列10Aから第2列10Bへの方向は、第1方向D1に沿う。第1列10Aは、第1送信素子11、及び、複数の第2送信素子12の一部を含む。複数の第2送信素子12のこの一部は、第3方向D3に沿って並ぶ。第2列10Bは、複数の第2送信素子12の別の一部を含む。複数の第2送信素子12の別の一部は、第3方向D3に沿って並ぶ。
【0058】
図1(a)に示すように、別の第1送信素子11Aが設けられても良い。別の第1送信素子11Aに対応する第2送信素子12(素子12A)が存在する。別の第1送信素子11Aと、素子12A、との間の距離(第1距離L1)が、上記の第1式を満たしても良い。ノイズが抑制される。クロストークが抑制される。高い精度の検査が可能である。
【0059】
図1(b)に示すように、別の第1送信素子11Aに対応する別の第1受信素子21(素子21A)が設けられる。別の第1受信素子21(素子21A)に対応する第2受信素子22(素子22A)が設けられる。別の第1受信素子21(素子21A)と、素子22A、との間の距離(第1距離L1)が、上記の第1式を満たしても良い。ノイズが抑制される。クロストークが抑制される。高い精度の検査が可能である。
【0060】
図6(a)及び
図6(b)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
図7(a)、
図7(b)、
図8(a)及び
図8(b)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
図6(a)及び
図6(b)に示すように、実施形態に係る検査装置111において、素子部10Eは、第3送信素子13及び第3受信素子23を含む。検査装置111におけるこれ以外の構成は、検査装置110における構成と同様で良い。
【0061】
検査装置111において、第3送信素子13(
図6(a)参照)は、第3超音波13w(
図2及び
図7(b)参照)を送信可能である。第3超音波13wは、第3受信素子23(
図6(b)参照)に入射する。
【0062】
この例では、複数の第3送信素子13が設けられる。複数の第3送信素子13のうちの1つ(素子13a)に着目する。素子13aは、複数の第3送信素子13のうちで、第2送信素子12(素子12a)に最も近い。
【0063】
この例では、複数の第3受信素子23が設けられる。複数の第3受信素子23のうちの1つ(素子23a)に着目する。素子23aは、複数の第3受信素子23のうちで、第2受信素子22(素子22a)に最も近い。
【0064】
図7(a)は、第2送信素子12から送信される第2超音波12wを模式的に例示している。
図7(b)は、第3送信素子12から送信される第3超音波13wを模式的に例示している。これらの図の横軸は、時間tmである。縦軸は、超音波の強度Swである。
【0065】
図7(a)に示すように、この例においても、第2送信素子12から発信される第2超音波12wは、複数の第2バースト波12wBを含む。
図7(b)に例示するように、第3送信素子13から送信される第3超音波13wは、複数の第3バースト波13wBを含む。複数の第3バースト波13wBは、第1周期Tpを有する。複数の第3バースト波13wBの1つは、時間幅Ttを有する。複数の第3バースト波13wBの1つは、複数の第3波13xを含む。
【0066】
複数の第2バースト波12wBの1つと、複数の第3バースト波13wBの1つと、は、第2時間差Δt2を有する。第2受信素子22(素子22a)に、第2超音波12wが入射する。第3受信素子23(素子23a)に、第3超音波13wが入射する。
【0067】
図6(b)に示すように、第2受信素子22(素子22a)と第3受信素子23(素子23a)との間の距離を第2距離L2とする。
図6(a)に示すように、第2送信素子12(素子12a)と第3送信素子13(素子13a)との間の距離は、第2距離L2で良い。
【0068】
図8(a)は、第2受信素子22から出力される第2受信信号22sを模式的に例示している。
図8(b)は、第3受信素子23から出力される第3受信信号23sを模式的に例示している。これらの図の横軸は、時間tmである。
図8(a)の縦軸は、第2受信信号22sの大きさS22(例えば電圧)である。
図8(b)の縦軸は、第3受信信号23sの大きさS23(例えば電圧)である。
【0069】
図8(a)に示すように、第2受信信号22sは、複数の第2信号22gを含む。複数の第2信号22gは、複数の第2バースト波12wBにそれぞれ対応する。
図8(b)に示すように、第3受信信号23sは、複数の第3信号23gを含む。複数の第3信号23gは、複数の第3バースト波13wBにそれぞれ対応する。例えば、複数の第3信号23gの1つは、複数の第3バースト波13wBの1つに対応する。
【0070】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、複数の第2信号22gの1つと、複数の第3信号23gの1つと、は、第2時間差Δt2を有する。受信信号における第2時間差Δt2は、送信された超音波における第2時間差Δt2(
図7(a)及び
図7(b)参照)を反映している。複数の第2信号22gの周期、及び、複数の第3信号23gの周期は、第1周期Tpである。
【0071】
図8(a)に示すように、複数の第2信号22gの1つは、第1時間幅Twを有する。
図8(b)に示すように、複数の第3信号23gの1つは、第1時間幅Twを有する。受信信号における第1時間幅Twは、送信された超音波における時間幅Ttと同じでも異なっても良い。
【0072】
検査装置111において、第2距離L2(m)、第2時間差Δt2(s)、伝搬速度vx(m/s)、第1周期Tp(s)、及び、第1時間幅Tw(s)は、
m×Tp+Tw/4 < Δt2+L2/vx < (m+1)×Tp-Tw/4 …(2)
の第2式を満たす。「m」は、0以上の整数である。
【0073】
図8(b)に示すように、第3受信素子23(素子23a)において、信号22gcが生じる。信号22gcは、例えば、第2超音波12wの一部に対応する。例えば、第2超音波12wの一部の成分が、素子23aに入射することで、信号22gcが生じる。成分(信号22gc)が複数の第3信号23gと時間的に重なると、この成分(信号22gc)は、ノイズとなる。例えば、クロストークが発生する。
【0074】
実施形態においては、上記の第2式が満たされる。これにより、不要な成分(信号22gc)の時間的な位置が、複数の第3信号23gの間になる。これにより、ノイズが抑制される。クロストークが抑制できる。検出精度を向上できる検査装置を提供できる。「m」は、0または1でも良い。高い解像度が得られる。小型化が容易になる。
【0075】
図6(b)に示すように、別の第1受信素子21(素子21A)、別の第2受信素子(素子22A)、及び、別の第3受信素子(素子23A)が設けられても良い。別の第2受信素子(素子22A)と、別の第3受信素子23(素子23A)と、の距離(第2距離L2)が、上記の第2式を満たしても良い。ノイズが抑制される。クロストークが抑制される。高い精度の検査が可能である。
【0076】
図6(a)に示すように、別の第1送信素子11A、別の第2送信素子(素子12A)、及び、別の第3送信素子(素子13A)が設けられても良い。別の第2送信素子(素子12A)と、別の第3送信素子13(素子13A)と、の距離(第2距離L2)が、上記の第2式を満たしても良い。さらに別の第1送信素子11A、別の第2送信素子(素子12A)と、の距離(第1距離L1)が、上記の第1式を満たしても良い。ノイズが抑制される。クロストークが抑制される。高い精度の検査が可能である。
【0077】
図9(a)及び
図9(b)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
図9(a)及び
図9(b)に示すように、実施形態に係る検査装置112において、第1距離L1に対応する、第1受信素子21から第2受信素子22への方向は、第3方向D3と交差する。第1距離L1に対応する、第1送信素子11から第2送信素子12への方向は、第3方向D3と交差する。検査装置112におけるこの他の構成は、例えば、検査装置110と同様で良い。
【0078】
検査装置112において、第1受信素子21の第1方向D1における位置は、第2受信素子22の第1方向D1における位置と異なる。このような、第1受信素子21と第2受信素子22との間の第1距離L1は、上記の第1式を満たす。これによりノイズが抑制される。クロストークが抑制される。高い検出精度が得られる。
【0079】
検査装置112において、第1送信素子11の第1方向D1における位置は、第2送信素子12の第1方向D1における位置と異なる。このような、第1送信素子11と第2送信素子12との間の第1距離L1は、上記の第1式を満たす。これによりノイズが抑制される。クロストークが抑制される。高い検出精度が得られる。
【0080】
検査装置112においては、例えば、検査対象80の第1方向D1の端部81に起因するノイズが抑制できる。例えば、端部81の影響により誤検出を抑制できる。
【0081】
図10(a)及び
図10(b)は、第1実施形態に係る検査装置の動作を例示する模式的平面図である。
図10(a)に示すように、実施形態に係る検査装置113において、複数の第2送信素子12の1つ(素子12a)から複数の第2送信素子12の別の1つ(素子12b)への第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。例えば、第3方向D3は、第1方向D1に対して実質的に垂直である。複数の第2送信素子12の上記の別の1つ(素子12b)は、複数の第2送信素子12の上記の1つ(素子12a)の隣である。例えば、素子12a及び素子12bは、第3方向D3に沿って交互に並ぶ。
【0082】
図10(b)に示すように、検査装置113において、複数の第2受信素子22の1つ(素子22a)から複数の第2受信素子22の別の1つ(素子22b)への第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。例えば、第3方向D3は、第1方向D1に対して実質的に垂直である。複数の第2受信素子22の上記の別の1つ(素子22b)は、複数の第2受信素子22の上記の1つ(素子22a)の隣である。例えば、素子22a及び素子22bは、第3方向D3に沿って交互に並ぶ。
【0083】
図11(a)及び
図11(b)は、第1実施形態に係る検査装置の動作を例示する模式図である。
【0084】
図11(a)は、複数の第2送信素子12の1つ(素子12a)に供給される第2駆動信号Sv2を例示している。
図11(b)は、複数の第2送信素子12の上記の別の1つ(素子12b)に供給される第2駆動信号Sv2を例示している。これらの図の横軸は、時間tmである。
図11(a)及び
図11(b)に示すように、複数の第2送信素子12の上記の1つ(素子12a)に供給される第2駆動信号Sv2の位相は、複数の第2送信素子12の上記の別の1つ(素子12b)に供給される別の第2駆動信号Sv2の位相に対してシフトしている。例えば、素子12aに供給される第2駆動信号Sv2の位相は、素子12bに供給される第2駆動信号Sv2の位相から180度シフトしている。
【0085】
このような位相のシフトにより、受信素子の位置において、素子12aからの複数の第2バースト波12wBの少なくとも一部と、素子12bからの複数の第2バースト波12wBの少なくとも一部と、が重なった場合、これらのバースト波は弱め合う。これにより、クロストークがより抑制される。上記を除く検査装置113の構成は、検査装置110の構成と同様で良い。
【0086】
図12(a)及び
図12(b)は、第1実施形態に係る検査装置の一部を例示する模式的断面図である。
図12(a)及び
図12(b)は、実施形態に係る検査装置114における第2送信素子12を例示している。
図12(a)は、複数の第2送信素子12の1つ(素子12a)に対応する。
図12(b)は、複数の第2送信素子12の上記の別の1つ(素子12b)に対応する。
【0087】
図10(a)に関して説明したように、複数の第2送信素子12の1つ(素子12a)から複数の第2送信素子12の別の1つ(素子12b)への第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。複数の第2送信素子12の上記の別の1つ(12b)は、複数の第2送信素子12の上記1つ(素子12a)の隣である。
【0088】
図12(a)に示すように、素子12aは、第1圧電層31を含む。
図12(b)に示すように、素子12bは、第2圧電層32を含む。検査装置114においては、第1圧電層31の極性q1は、第2圧電層32の極性q2に対して反転している。これにより、素子12a及び素子12bに供給される信号Sg1の位相が同じ場合においても、これらの送信素子から送信される超音波(第2超音波12w)の位相をシフトさせることができる。これにより、クロストークが抑制できる。
【0089】
このように、検査装置114においては、複数の第2送信素子12の上記1つ(素子)に含まれる第1圧電層31の極性は、前記複数の第2送信素子の前記別の1つに含まれる別の第2圧電層32の極性に対して反転している。極性は、例えば、分極の向きである。分極の向きは、例えば、素子の製造プロセスにおいて行われる高電圧印加処理などにより、制御できる。極性は、例えば材料(例えば結晶方位)などにより制御されても良い。
【0090】
図12(a)に示すように、第1圧電層31は、電極35aと電極35bとの間に設けられる。第1圧電層31、電極35a及び電極35bを含む積層体が膜部35fに固定される。膜部35fは基体30sに支持される。これらの電極に信号Sg1(例えば交流信号)が印加されることで、第1圧電層31が変形する。変形により、膜部35fが変形する。変形により第2超音波12wが発生する。
【0091】
図12(b)に示すように、第2圧電層32は、電極36aと電極36bとの間に設けられる。第2圧電層32、電極36a及び電極36bを含む積層体が膜部36fに固定される。膜部36fは基体30sに支持される。これらの電極に信号Sg1(例えば交流信号)が印加されることで、第2圧電層32が変形する。変形により、膜部36fが変形する。変形により第2超音波12wが発生する。
【0092】
圧電層における極性の違いにより、膜部36fの変形の位相は、膜部35fの変形の位相と、180°シフトする。これにより、素子12aから送信される第2超音波12wの位相は、素子12bから送信される第2超音波12wの位相に対して180°シフトする。これらの超音波は、互いに弱め合う。クロストークが抑制される。上記を除く検査装置114の構成は、検査装置110の構成と同様で良い。
(第2実施形態)
以下の第2実施形態に関する説明において、第1実施形態と同じ部分については、適宜省略する。
図13(a)及び
図13(b)は、第2実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
図13(a)及び
図13(b)に示すように、第2実施形態に係る検査装置120は、素子部10E及び搬送部60(
図2参照)を含む。
【0093】
図13(a)に示すように、素子部10Eは、複数の第1送信素子11を含む。複数の第1送信素子11は、第1超音波11w(例えば
図2参照)を送信可能である。第1超音波11wは、複数の第1バースト波11wBを含む(例えば
図4(a)及び
図4(b)参照参照)。複数の第1バースト波11wBは、第1周期Tpを有する。
【0094】
図13(b)に示すように、素子部10Eは、複数の第1受信素子21を含む。複数の第1受信素子21に第1超音波11wが入射する(例えば
図2参照)。搬送部60は、複数の第1送信素子11と複数の第1受信素子21との間の空間88S中を第1方向D1に沿って検査対象80を搬送可能である(例えば、
図2参照)。
【0095】
図13(b)に示すように、複数の第1受信素子21の1つ(素子21a)と、複数の第1受信素子21の別の1つ(素子21b)と、の間の距離を第1距離L1とする。例えば、複数の第1受信素子21の別の1つ(素子21b)は、複数の第1受信素子21のうちで、複数の第1受信素子21の1つ(素子21a)の隣である。
【0096】
図13(a)に示すように、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)と、複数の第1送信素子11の別の1つ(素子11b)と、の間の距離は、第1距離L1で良い。例えば、複数の第1送信素子11の別の1つ(素子11b)は、複数の第1送信素子11のうちで、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)の隣である。
【0097】
図13(b)に示すように、複数の第1受信素子21の1つ(素子21a)は、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)と、第2方向D2において対向する(
図2参照)。複数の第1受信素子21の別の1つ(素子21b)は、複数の第1送信素子11の別の1つ(素子11b)と、第2方向D2において対向する(例えば
図2参照)。
【0098】
検査装置120において、第1距離L1(m)、空間88Sにおける第1超音波11wの伝搬速度vx(m/s)、第1周期Tp(s)、及び、第1時間幅Tw(s)は、
n×Tp+Tw/4 < L1/vx < (n+1)×Tp-Tw/4 …(3)
の第3式を満たす。「n」は、0以上の整数である。
【0099】
検査装置120において、例えば、素子21b(受信素子)において、素子11a(送信素子)から送信された第1超音波11wの一部に起因する成分(信号21gc、
図5(b)参照)は、素子11b(送信素子)から送信された第1超音波11wの複数の信号の時間的な間に位置する。これにより、ノイズが抑制される。クロストークが抑制される。
【0100】
この例では、複数の第1送信素子11の別の1つ(素子11b)の第1方向D1における位置は、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)の第1方向D1における位置と異なる。例えば、検査対象80の第1方向D1における端部81に起因する第1超音波11wの一部の成分の影響を抑制できる。
【0101】
この例では、複数の第1受信素子21の別の1つ(素子21b)の第1方向D1における位置は、複数の第1受信素子21の1つ(素子21a)の第1方向D1における位置と異なる。例えば、検査対象80の第1方向D1における端部81に起因する第1超音波11wの一部の成分(信号21gc)の影響を抑制できる。
【0102】
図14(a)及び
図14(b)に例示する状態は、検査対象80の搬送方向60D(第1方向D1)の前側の端部81の第1方向D1における位置が、素子11aの搬送方向60Dにおける位置と、素子11bの搬送方向60Dにおける位置と、の間に存在する。素子11bは、第2方向D2において検査対象80と重なる。素子11aは、第2方向D2において、検査対象80と重ならない。この状態において、素子11bから送信される第1超音波11wにおいて、端部81の影響により、成分(信号21gc)が生じる。
【0103】
図14(a)及び
図14(b)は、第2実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
図14(a)及び
図14(b)に示すように、検査装置120における別の状態を例示している。
図14(a)及び
図14(b)に例示する状態は、検査対象80の搬送方向60D(第1方向D1)の後側の端部81の第1方向D1における位置が、素子11aの搬送方向60Dにおける位置と、素子11bの搬送方向60Dにおける位置と、の間に存在する。素子11aは、第2方向D2において検査対象80と重なる。素子11bは、第2方向D2において、検査対象80と重ならない。この状態において、素子11aから送信される第1超音波11wにおいて、端部81の影響により、成分(信号21gc)が生じる。
【0104】
検査装置120において、例えば、素子21a(受信素子)において、素子11b(送信素子)から送信された第1超音波11wの一部に起因する成分(信号21gc、
図5(b)参照)は、素子11a(送信素子)から送信された第1超音波11wの複数の信号の時間的な間に位置する。これにより、ノイズが抑制される。クロストークが抑制される。
【0105】
上記の第3式の条件が満たされることで、
図13(a)及び
図13(b)に例示する状態、及び、
図14(a)及び
図14(b)に例示する状態の両方の状態において、ノイズを抑制できる。
【0106】
検査装置120において、「n」は、0または1で良い。高い解像度が得られる。小型化が容易になる。
【0107】
図13(a)及び
図13(b)に示すように、複数の第1送信素子11から複数の第1受信素子21への第2方向D2は、第1方向D1と交差する(例えば、
図2参照)。
【0108】
図13(a)及び
図13(b)に示すように、素子部10Eは、第1列10A及び第2列10Bを含む。第1列10Aから第2列10Bへの方向は、第1方向D1に沿う。第1列10Aは、複数の第1送信素子11の一部を含む。複数の第1送信素子11のこの一部は、第3方向D3に沿って並ぶ。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。第3方向D3は、例えば、Y軸方向である。
【0109】
第2列10Bは、複数の第1送信素子11の別の一部を含む。複数の第1送信素子11のこの別の一部は、第3方向D3に沿って並ぶ。複数の第1送信素子11の上記の1つ(素子11a)は、第1列10Aに含まれる。複数の第1送信素子11の上記別の1つ(素子11b)、第2列10Bに含まれる。
【0110】
(第3実施形態)
第3実施形態は、検査方法に係る。
実施形態に係る検査方法は、第1実施形態または第2実施形態に関して説明した構成を採用した方法で良い。
【0111】
図15は、第3実施形態に係る検査方法を例示するフローチャートである。
図15に示すように、検査方法において、超音波を送信し(ステップS110)する。検査方法において、超音波を受信して、検査対象80を検査する(ステップS120)。
【0112】
例えば、第1実施形態に関して説明した構成が適用されて良い。例えば、ステップS110において、素子部10Eの第1送信素子11から第1超音波11wを送信させ、素子部10Eの第2送信素子12から第2超音波を送信させる。第1超音波11wは、第1周期Tpを有する複数の第1バースト波11wBを含む。第2超音波12wは、第1周期Tpを有する複数の第2バースト波12wBを含む。素子部10Eは、第1送信素子11、第2送信素子12、第1受信素子21及び第2受信素子22を含む。
【0113】
ステップS110において、第1送信素子11と第1受信素子21との間、及び、第2送信素子12と第2受信素子22との間の空間88S中を第1方向D1に沿って検査対象80を移動させる(
図2参照)。
【0114】
ステップS120において、第1超音波11wが入射した第1受信素子21、及び、第2超音波12wが入射した第2受信素子22から得られる信号に基づいて、検査対象80を検査する。
【0115】
第1受信素子21は、第1超音波11wに応じた第1受信信号21sを出力可能である。第2受信素子22は、第2超音波12wに応じた第2受信信号22sを出力可能である。
【0116】
第1受信信号21sは、複数の第1バースト波11wBにそれぞれ対応する複数の第1信号21gを含む。複数の第1信号21gの1つは、第1時間幅Twを有する。第2受信信号22sは、複数の第2バースト波12wBにそれぞれ対応する複数の第2信号22gを含む。複数の第2信号22gの1つは、第1時間幅Twを有する。複数の第1信号21gの1つと、複数の第2信号22gの1つと、は、第1時間差Δt1を有する(
図5(a)及び
図5(b)参照)。
【0117】
第1受信素子21と第2受信素子22との間の第1距離L1(m)、第1時間差Δt1(s)、空間88Sにおける第1超音波11w及び第2超音波12wの伝搬速度vx(m/s)、第1周期Tp(s)、及び、第1時間幅Tw(s)は、
n×Tp+Tw/4 < Δt1+L1/vx < (n+1)×Tp-Tw/4 …(1)
の第1式を満たす。「n」は、0以上の整数である。ノイズが抑制できる。「n」は、0または1で良い。例えば、第1式が満たされるように、第1時間差Δt1、第1周期Tp、及び、第1時間幅Twの少なくともいずれかが制御されて良い。
【0118】
第3実施形態において、第2実施形態に関して説明した構成が適用されて良い。例えば、素子部10Eは、複数の第1送信素子11と、複数の第1受信素子21と、を含む。ステップS110において、複数の第1送信素子11から、第1周期Tpを有する複数の第1バースト波11wBを含む第1超音波11wを送信させる。複数の第1送信素子11と複数の第1受信素子21との間の空間88S中を第1方向D1に沿って検査対象80を移動させる。
【0119】
ステップS120において、第1超音波11wが入射した複数の第1受信素子21から得られる信号に基づいて、検査対象80を検査する。
【0120】
複数の第1受信素子21のそれぞれは、第1超音波11wに応じた第1受信信号21sを出力可能である。第1受信信号21sは、複数の第1バースト波11wBにそれぞれ対応する複数の第1信号21gを含む。複数の第1信号21gの1つは、第1時間幅Twを有する。複数の第1受信素子21の1つ(素子21a)と、複数の第1受信素子21の別の1つ(素子22b)と、の間の距離を第1距離L1とする。
【0121】
例えば、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)と、複数の第1送信素子11の別の1つ(素子11b)と、の間の距離は、第1距離L1で良い。
【0122】
第1距離L1(m)、空間88Sにおける第1超音波11wの伝搬速度vx(m/s)、第1周期Tp(s)、及び、第1時間幅Tw(s)は、
n×Tp+Tw/4 < L1/vx < (n+1)×Tp-Tw/4 …(3)
の第3式を満たす。
【0123】
複数の第1受信素子21の別の1つ(素子21b)は、複数の第1受信素子21のうちで、複数の第1受信素子21の1つ(素子21a)の隣である。複数の第1送信素子11の別の1つ(素子11b)は、複数の第1送信素子11のうちで、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)の隣である。「n」は、0以上の整数である。ノイズが抑制できる。「n」は、0または1で良い。例えば、第3式が満たされるように、第1周期Tp(s)、及び、第1時間幅Tw(s)の少なくともいずれかが制御されて良い。
【0124】
この検査方法において、複数の第1受信素子21の別の1つ(素子21b)の第1方向D1における位置は、複数の第1受信素子21の1つ(素子21a)の第1方向D1における位置と異なって良い。この検査方法において、複数の第1送信素子11の別の1つ(素子11b)の第1方向D1における位置は、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)の第1方向D1における位置と異なって良い。
【0125】
実施形態によれば、検出精度を向上できる検査方法を提供できる。
【0126】
実施形態は、以下の構成(技術案)を含んでも良い。
(構成1)
第1周期Tpを有する複数の第1バースト波を含む第1超音波を送信可能な第1送信素子と、
前記第1周期Tpを有する複数の第2バースト波を含む第2超音波を送信可能な第2送信素子と、
前記第1超音波が入射する第1受信素子と、
前記第2超音波が入射する第2受信素子と、
を含む素子部と、
前記第1送信素子と前記第1受信素子との間、及び、前記第2送信素子と前記第2受信素子との間の空間中を第1方向に沿って検査対象を搬送可能な搬送部と、
を備え、
前記第1送信素子から前記第1受信素子への第2方向は、前記第1方向と交差し、
前記第1受信素子は、前記第1超音波に応じた第1受信信号を出力可能であり、
前記第2受信素子は、前記第2超音波に応じた第2受信信号を出力可能であり、
前記第1受信信号は、前記複数の第1バースト波にそれぞれ対応する複数の第1信号を含み、前記複数の第1信号の1つは、第1時間幅Twを有し、
前記第2受信信号は、前記複数の第2バースト波にそれぞれ対応する複数の第2信号を含み、前記複数の第2信号の1つは、前記第1時間幅Twを有し、
前記第1受信素子と前記第2受信素子との間の第1距離L1(m)、前記複数の第1信号の1つと、前記複数の第2信号の1つと、の第1時間差Δt1(s)、前記空間における前記第1超音波及び前記第2超音波の伝搬速度vx(m/s)、前記第1周期Tp(s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
n×Tp+Tw/4 < Δt1+L1/vx < (n+1)×Tp-Tw/4
を満たし、
前記nは、0以上の整数である、検査装置。
【0127】
(構成2)
前記nは、0または1である、構成1記載の検査装置。
【0128】
(構成3)
前記第1距離L1は、前記第1受信素子から前記第2受信素子への素子間方向における前記第1受信素子の中心と、前記素子間方向における前記第2受信素子の中心と、の間の前記素子間方向に沿う長さである、構成1または2に記載の検査装置。
【0129】
(構成4)
前記第1送信素子から前記第2送信素子への第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差した、構成1または2に記載の検査装置。
【0130】
(構成5)
前記第1送信素子の前記第1方向における位置は、前記第2送信素子の前記第1方向における位置と異なる、構成1~3のいずれか1つに記載の検査装置。
【0131】
(構成6)
前記素子部は、複数の前記第2送信素子、及び、複数の前記第2受信素子を含み、
前記複数の第2受信素子の1つは、前記複数の第2受信素子のうちで前記第1受信素子に最も近く、
前記第1距離L1は、前記第1受信素子と、前記複数の第2受信素子の前記1つと、の間の距離であり、
前記複数の第2受信素子の前記1つに、前記複数の第2送信素子の1つから送信された前記第2超音波が入射する、構成1または2に記載の検査装置。
【0132】
(構成7)
前記素子部は、第1列を含み、
前記第1列は、前記第1送信素子及び前記複数の第2送信素子を含み、
前記複数の第2送信素子は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿って並ぶ、構成6に記載の検査装置。
【0133】
(構成8)
前記素子部は、第1列及び第2列を含み、
前記第1列から前記第2列への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1列は、前記第1送信素子、及び、前記複数の第2送信素子の一部を含み、
前記複数の第2送信素子の前記一部は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿って並び、
前記第2列は、前記複数の第2送信素子の別の一部を含み、
前記複数の第2送信素子の前記別の一部は、前記第3方向に沿って並ぶ、構成6に記載の検査装置。
【0134】
(構成9)
前記素子部は、第1列及び第2列を含み、
前記第1列から前記第2列への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1列は、前記第1受信素子、及び、前記複数の第2受信素子の一部を含み、
前記複数の第2受信素子の前記一部は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿って並び、
前記第2列は、前記複数の第2受信素子の別の一部を含み、
前記複数の第2受信素子の前記別の一部は、前記第3方向に沿って並ぶ、構成6に記載の検査装置。
【0135】
(構成10)
前記素子部は、
前記第1周期Tpを有する複数の第3バースト波を含む第3超音波を送信可能な第3送信素子と、
前記第3超音波が入射する第3受信素子と、
をさらに含み、
前記第3受信素子は、前記第3超音波に応じた第3受信信号を出力可能であり、
前記第3受信信号は、前記複数の第3バースト波にそれぞれ対応する複数の第3信号を含み、前記複数の第3信号の1つは、前記第1時間幅Twを有し、
前記第2受信素子と前記第3受信素子との間の第2距離L2(m)、前記複数の第2信号の1つと、前記複数の第3信号の1つと、の第2時間差Δt2(s)、前記伝搬速度vx(m/s)、前記第1周期Tp(s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
m×Tp+Tw/4 < Δt2+L2/vx < (m+1)×Tp-Tw/4
を満たし、
前記mは、0以上の整数である、構成1~9のいずれか1つに記載の検査装置。
【0136】
(構成11)
第1周期Tpを有する複数の第1バースト波を含む第1超音波を送信可能な複数の第1送信素子と、
前記第1超音波が入射する複数の第1受信素子と、
を含む素子部と、
前記複数の第1送信素子と前記複数の第1受信素子との間の空間中を第1方向に沿って検査対象を搬送可能な搬送部と、
を備え、
前記複数の第1受信素子のそれぞれは、前記第1超音波に応じた第1受信信号を出力可能であり、
前記第1受信信号は、前記複数の第1バースト波にそれぞれ対応する複数の第1信号を含み、
前記複数の第1信号の1つは、第1時間幅Twを有し、
前記複数の第1送信素子の1つと、前記複数の第1送信素子の別の1つと、の間の第1距離L1(m)、前記空間における前記第1超音波の伝搬速度vx(m/s)、前記第1周期Tp(s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
n×Tp+Tw/4 < L1/vx < (n+1)×Tp-Tw/4
を満たし、
前記複数の第1送信素子の前記別の1つは、前記複数の第1送信素子のうちで、前記複数の第1送信素子の前記1つの隣であり、
前記nは、0以上の整数である、検査装置。
【0137】
(構成12)
前記複数の第1送信素子の前記別の1つの前記第1方向における位置は、前記複数の第1送信素子の前記1つの前記第1方向における位置と異なる、構成11に記載の検査装置。
【0138】
(構成13)
前記複数の第1送信素子から前記複数の第1受信素子への第2方向は、前記第1方向と交差し、
前記素子部は、第1列及び第2列を含み、
前記第1列から前記第2列への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1列は、前記複数の第1送信素子の一部を含み、
前記複数の第1送信素子の前記一部は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿って並び、
前記第2列は、前記複数の第1送信素子の別の一部を含み、
前記複数の第1送信素子の前記別の一部は、前記第3方向に沿って並び、
前記複数の第1送信素子の前記1つは、前記第1列に含まれ、
前記複数の第1送信素子の前記別の1つ、前記第2列に含まれる、構成11に記載の検査装置。
【0139】
(構成14)
前記複数の第2送信素子の1つから前記複数の第2送信素子の別の1つへの第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差し、
前記複数の第2送信素子の前記別の1つは、前記複数の第2送信素子の前記1つの隣であり、
前記複数の第2送信素子の前記1つに供給される第2駆動信号の位相は、前記複数の第2送信素子の前記別の1つに供給される別の第2駆動信号の位相に対してシフトしている、構成1に記載の検査装置。
【0140】
(構成15)
前記複数の第2送信素子の1つから前記複数の第2送信素子の別の1つへの第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差し、
前記複数の第2送信素子の前記別の1つは、前記複数の第2送信素子の前記1つの隣であり、
前記複数の第2送信素子の前記1つに含まれる第1圧電層の極性は、前記複数の第2送信素子の前記別の1つに含まれる別の第2圧電層の極性に対して反転している、構成1に記載の検査装置。
【0141】
(構成16)
第1送信素子、第2送信素子、第1受信素子及び第2受信素子を含む素子部の、前記第1送信素子から、第1周期Tpを有する複数の第1バースト波を含む第1超音波を送信させ、前記第2送信素子から前記第1周期Tpを有する複数の第2バースト波を含む第2超音波を送信させ、前記第1送信素子と前記第1受信素子との間、及び、前記第2送信素子と前記第2受信素子との間の空間中を第1方向に沿って検査対象を移動させ、
前記第1超音波が入射した前記第1受信素子、及び、前記第2超音波が入射した前記第2受信素子から得られる信号に基づいて、前記検査対象を検査し、
前記第1受信素子は、前記第1超音波に応じた第1受信信号を出力可能であり、
前記第2受信素子は、前記第2超音波に応じた第2受信信号を出力可能であり、
前記第1受信信号は、前記複数の第1バースト波にそれぞれ対応する複数の第1信号を含み、前記複数の第1信号の1つは、第1時間幅Twを有し、
前記第2受信信号は、前記複数の第2バースト波にそれぞれ対応する複数の第2信号を含み、前記複数の第2信号の1つは、前記第1時間幅Twを有し、
前記第1受信素子と前記第2受信素子との間の第1距離L1(m)、前記複数の第1信号の1つと、前記複数の第2信号の1つと、の第1時間差Δt1(s)、前記空間における前記第1超音波及び前記第2超音波の伝搬速度vx(m/s)、前記第1周期Tp(s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
n×Tp+Tw/4 < Δt1+L1/vx < (n+1)×Tp-Tw/4
を満たし、
前記nは、0以上の整数である、検査方法。
【0142】
(構成17)
前記nは、0または1である、構成16に記載の検査方法。
【0143】
(構成18)
複数の第1送信素子と、複数の第1受信素子と、を含む素子部の前記複数の第1送信素子から、第1周期Tpを有する複数の第1バースト波を含む第1超音波を送信させ、前記複数の第1送信素子と前記複数の第1受信素子との間の空間中を第1方向に沿って検査対象を移動させ、
前記第1超音波が入射した前記複数の第1受信素子から得られる信号に基づいて、前記検査対象を検査し、
前記複数の第1受信素子のそれぞれは、前記第1超音波に応じた第1受信信号を出力可能であり、
前記第1受信信号は、前記複数の第1バースト波にそれぞれ対応する複数の第1信号を含み、
前記複数の第1信号の1つは、第1時間幅Twを有し、
前記複数の第1受信素子の1つと、前記複数の第1受信素子の別の1つと、の間の第1距離L1(m)、前記空間における前記第1超音波の伝搬速度vx(m/s)、前記第1周期Tp(s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
n×Tp+Tw/4 < L1/vx < (n+1)×Tp-Tw/4
を満たし、
前記複数の第1送信素子の前記別の1つは、前記複数の第1送信素子のうちで、前記複数の第1送信素子の前記1つの隣であり、
前記nは、0以上の整数である、検査方法。
【0144】
(構成19)
前記複数の第1送信素子の前記別の1つの前記第1方向における位置は、前記複数の第1送信素子の前記1つの前記第1方向における位置と異なる、構成18に記載の検査方法。
【0145】
(構成20)
前記nは、0または1である、構成18または19に記載の検査方法。
【0146】
実施形態によれば、検出精度を向上できる検査装置及び検査方法が提供できる。
【0147】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、検査装置に含まれる送信素子、受信素子、搬送部、及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0148】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0149】
その他、本発明の実施の形態として上述した検査装置及び検査方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての検査装置及び検査方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0150】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0151】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0152】
10:送信部、 10A、10B:第1、第2列、 10D:送信回路、 10E:素子部、 11~13:第1~第3送信素子、 11A~13A:第1~第3送信素子、 11a、11b、12a、12b、13a:素子、 11vB、12vB:第1、第2バースト信号、 11w~13w:第1~第3超音波、 11wB~13wB:第1~第3バースト波、 11x~13x:第1~第3波、 15:送信導波部、 20:受信部、 20A、20B:第1、第2列、 20D:検出回路、 21~23:第1~第3受信素子、 21A、22A、23A、21a、21b、22A、22a、23A、23a:素子、 21g~23g:第1~第3信号、 21gc、22gc:信号、 21s~23s:第1~第3受信信号、 25:受信導波部、 30s:基体、 31、32:第1、第2圧電層、 35a、35b、36a、36b:電極、 35f、36f:膜部、 60:搬送部、 60D:搬送方向、 61、62:第1、第2搬送機構、 70:制御部、 80:検査対象、 81、83:端部、 88S:空間、 110~114、120:検査装置、 D1~D3:第1~第3方向、 L1、L2:第1、第2距離、 S1:検出結果、 S21、S22、S23:大きさ、 Sc:制御信号、 Sd:検出信号、 Sg1:信号、 Sv1、Sv2:第1、第2駆動信号、 Svv:電圧、 Sw:強度、 Tp:第1周期、 Tt、Tv:時間幅、 Tw:第1時間幅、 q1、q2:極性、 Δt1、Δt2:第2時間差