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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127006
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】電動工具及び工具システム
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B25F5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035823
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 弘明
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA02
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA04
3C064BA22
3C064BB89
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA28
3C064CA41
3C064CA43
3C064CA53
3C064CA80
3C064CB08
3C064CB17
3C064CB62
3C064CB71
3C064EA02
(57)【要約】
【課題】電動工具を用いた作業を含む作業工程の改善を図る。
【解決手段】電動工具1は、作業部11と、通信部16と、電源部18と、電流センサ141と、電圧センサ142と、を備えている。作業部11は、モータ111の動力により作業対象に対する作業を行う。通信部16は、作業部11が行った作業に関する作業情報D1を、外部の通信装置2へ送信する。電源部18は、電力消費部9に電力を供給する。電力消費部9は、モータ111及びモータ111の駆動を制御する駆動制御部151を含む。電流センサ141は、電力消費部9に供給される電流を測定する。電圧センサ142は、電力消費部9に印加される電圧を測定する。通信部16は、更に、電流センサ141の測定結果及び電圧センサ142の測定結果に基づく電気情報D2を通信装置2へ送信する。電気情報D2は、電流情報と電圧情報とを含む、及び/又は電力情報を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの動力により作業対象に対する作業を行う作業部と、
前記作業部が行った前記作業に関する作業情報を、外部の通信装置へ送信する通信部と、
前記モータ及び前記モータの駆動を制御する駆動制御部を含む電力消費部に、電力を供給する電源部と、
前記電力消費部に供給される電流を測定する電流センサと、
前記電力消費部に印加される電圧を測定する電圧センサと、を備え、
前記通信部は、更に、前記電流センサの測定結果及び前記電圧センサの測定結果に基づく電気情報を前記通信装置へ送信し、
前記電気情報は、
前記電流センサで測定される前記電流の測定値に関する電流情報と、前記電圧センサで測定される前記電圧の測定値に関する電圧情報と、を含む、及び/又は
前記電流センサで測定される前記電流の測定値と前記電圧センサで測定される前記電圧の測定値とに基づいて得られる電力値に関する電力情報を含む、
電動工具。
【請求項2】
前記電気情報は、前記電流センサで前記電流が測定された時間及び前記電圧センサで前記電圧が測定された時間に関する時間情報を更に含む、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
時刻を計時する計時部を更に備え、
前記電気情報は、前記電流センサで前記電流が測定された時刻及び前記電圧センサで前記電圧が測定された時刻に関する時刻情報を含む、
請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記通信部は、所定時間分の前記電気情報を一括で送信する機能を有する、
請求項2に記載の電動工具。
【請求項5】
前記モータの回転を検出する回転検出部を更に備え、
前記通信部は、前記回転検出部で前記モータが停止していると検出されている状態でのみ、前記電気情報を送信する、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項6】
ユーザにより操作され、オンされている状態で前記駆動制御部へ操作信号を送信するトリガスイッチを更に備え、
前記駆動制御部は、前記操作信号に基づいて前記モータの動作を制御し、
前記通信部は、前記トリガスイッチがオフされている状態でのみ、前記電気情報を送信する、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項7】
前記電気情報を記憶する記憶部を更に備える、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項8】
前記電力消費部及び前記通信部が設けられている工具本体と、
前記電源部が設けられており、前記工具本体に着脱可能に取り付けられる電池パックと、を備え、
前記電流センサ及び前記電圧センサは、前記工具本体において、
前記電池パックに接続される接続部と前記電力消費部とをつなぐ電路に設けられている、又は
前記接続部に設けられている、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項9】
請求項1に記載の電動工具と、
前記通信装置と、を備える、
工具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電動工具及び工具システムに関し、より詳細には、通信装置へ情報の送信が可能な電動工具、及び電動工具と通信装置とを含む工具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、締付位置管理システムが記載されている。特許文献1に記載の締付位置管理システムは、締付工具であるトルクレンチと、締付位置情報を管理する管理装置とを備えている。
【0003】
トルクレンチのCPUは、トルクレンチによって締付け作業を行った締付位置の検出処理を制御する。締付位置は、XYZ座標上で特定される。トルクレンチのCPUは、トルクレンチを移動させた場合に、加速度センサと、ジャイロセンサと、地磁気センサと、から出力される信号に基づき、締付位置を特定し、その締付位置を示す締付位置情報を生成する。トルクレンチのCPUは、締付位置情報を、アンテナを介して無線通信により外部に出力する。また、トルクレンチのCPUは、締結部材を締付けた締付トルク値を、アンテナを介して無線通信により外部に出力する処理を制御する。
【0004】
管理装置は、トルクレンチから出力された締付位置情報を無線通信により取得し、取得した締付位置情報を管理する。また、管理装置は、トルクレンチが送信する締付トルク値も管理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-188858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の締付位置管理システムのような工具システムでは、工具を用いた作業を含む作業工程の、更なる改善が望まれる場合がある。
【0007】
本開示の課題は、作業工程の改善に寄与することが可能な電動工具及び工具システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る電動工具は、作業部と、通信部と、電源部と、電流センサと、電圧センサと、を備える。前記作業部は、モータの動力により作業対象に対する作業を行う。前記通信部は、作業部が行った前記作業に関する作業情報を、外部の通信装置へ送信する。前記電源部は、電力消費部に電力を供給する。前記電力消費部は、前記モータ及び前記モータの駆動を制御する駆動制御部を含む。前記電流センサは、前記電力消費部に供給される電流を測定する。前記電圧センサは、前記電力消費部に印加される電圧を測定する。前記通信部は、更に、前記電流センサの測定結果及び前記電圧センサの測定結果に基づく電気情報を前記通信装置へ送信する。前記電気情報は、電流情報と電圧情報とを含む、及び/又は電力情報を含む。前記電流情報は、前記電流センサで測定される前記電流の測定値に関する情報である。前記電圧情報は、前記電圧センサで測定される前記電圧の測定値に関する情報である。前記電力情報は、前記電流センサで測定される前記電流の測定値と前記電圧センサで測定される前記電圧の測定値とに基づいて得られる電力値に関する情報である。
【0009】
本開示の一態様に係る工具システムは、前記電動工具と、前記通信装置と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、作業工程の改善に寄与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態の工具システムのブロック図である。
図2図2は、同上の工具システムの概略的なシステム構成図である。
図3図3は、同上の工具システムに用いられる電動工具の一例を示す概略図である。
図4図4は、同上の電動工具の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、共通する要素についての重複する説明は省略する場合がある。以下の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の工具システム10は、電動工具1と、通信装置2と、を備えている。
【0014】
(1)電動工具
電動工具1は、作業対象に対する作業を行う装置である。電動工具1は、例えば、工場又は建築現場等で使用される、事業者向けの工具である。
【0015】
電動工具1は、例えば、工場又は建築現場において、設計図面又は作業指図書等にしたがって、複数の締結部品を用いて取付対象を被取付部材に取り付けるために用いられる。この場合、作業対象は、締結部品と取付対象と被取付部材とを含む。また、作業は、締結部品を締め付ける締付作業を含む。
【0016】
例えば、電動工具1は、建築現場において、ねじ、ボルト、ナット等の締結部品を締め付けることで、取付対象としての太陽電池パネルを、被取付部材としての架台に取り付けるために用いられ得る。なお、電動工具1の用途はこれに限らず、例えば電動工具1は、工場において、締結部品を締め付けることで電気製品、家具等の組み立てを行う組立ライン等に用いられてもよい。
【0017】
この種の作業に用いられる電動工具1としては、締結部品を回転させて衝撃力を加えることによって締め付ける電動式のインパクトドライバーがある。なお、電動工具1は、電動式のインパクトドライバーに限定されず、電動式のインパクトレンチでもよいし、打撃力を与えるタイプではない電動ドリルドライバー又は電動式のトルクレンチでもよい。また、電動工具1は、例えば圧縮空気で駆動されるエアー工具(例えばドライバー又は釘打ち機等)を含み得る。
【0018】
図1に示すように、電動工具1は、作業部11と、操作部12と、測定部13と、電流センサ141と、電圧センサ142と、計時部143と、制御部15と、通信部16と、記憶部17と、電源部18と、を備えている。また、図2に示すように、電動工具1は、工具本体100と、電池パック104と、を備えている。作業部11、操作部12、測定部13、電流センサ141、電圧センサ142、計時部143、制御部15、通信部16、及び記憶部17は工具本体100に設けられており、電源部18は電池パック104に設けられている。
【0019】
図2図3に示すように、工具本体100は、ボディ101を備えている。ボディ101は、筒形状の胴体部102と、胴体部102の周面から径方向に突出する握り部103と、を有している。胴体部102の軸方向における一端側からは、出力軸113が突出している。出力軸113には、作業対象の部材に合わせたビット(先端工具)114が着脱自在に取り付けられるチャックが設けられている。ビット114は、例えばドライバービット、ソケットビット等である。握り部103の一端(図3における下端)には、電池パック104が着脱自在に取り付けられる。電池パック104は、樹脂製のケース内に電源部18を収納して構成されている。
【0020】
また、図1に示すように、本実施形態の電動工具1は、電力消費部9を備えている。電力消費部9は、電動工具1において、電源部18の電力を消費して動作する部分である。
【0021】
作業部11は、モータ111の動力により作業対象に対する作業を行う。図1に示すように、作業部11は、作業としての締付作業を行う締付部110を備えている。図2に示すように、締付部110は、モータ111に加えて、駆動回路と、伝達機構112と、出力軸113と、を備えている。作業部11(締付部110)のうち、モータ111及び駆動回路は、電力消費部9に相当する。
【0022】
駆動回路は、モータ111の回転を制御する。モータ111の回転軸の回転は、伝達機構112を介して出力軸113に伝達される。伝達機構112は、減速機構(例えば遊星歯車機構)、インパクト機構等を備えている。インパクト機構は、ハンマと、出力軸113と一体のアンビルと、を備えている。モータ111からの出力トルクが所定レベル以下であれば、伝達機構112は、モータ111の回転軸の回転を減速して出力軸113に伝達する。モータ111からの出力トルクが所定レベルを超えると、伝達機構112は、インパクト機構によって出力軸113に打撃力を加えて、作業対象のねじ又はボルト等をねじ込むように構成されている。モータ111および伝達機構112は、工具本体100の胴体部102内に収納されている。
【0023】
操作部12は、ユーザにより操作されるトリガスイッチ120を備えている。トリガスイッチ120は、握り部103に設けられている。トリガスイッチ120は、オンされている状態で、操作信号を送信する。トリガスイッチ120がオンされている状態では、トリガスイッチ120の引き込み量(操作量)に比例した大きさの操作信号が、トリガスイッチ120から制御部15へ出力される。トリガスイッチ120は、電力消費部9に相当する。
【0024】
測定部13は、作業部11に関する物理量を測定する。測定部13は、電力消費部9に相当する。図3に示すように、測定部13は、トルクセンサ131と、回転角センサ132と、を備えている。
【0025】
トルクセンサ131は、例えば磁歪式のトルクセンサである。トルクセンサ131は、出力軸113にトルクが加わることにより発生する歪みに応じた透磁率の変化を、出力軸113の近傍の非回転部分に設置したコイルで検出し、歪みに比例した電圧信号を出力する。トルクセンサ131で検出した出力軸113の歪み(トルク)に基づいて、ビット114から作業対象(締結部品)へ出力された締付けトルクを求めることができる。
【0026】
回転角センサ132は、モータ111の回転角を測定する。回転角センサ132としては、例えば、光電式エンコーダ又は磁気式エンコーダ(例えばホール素子を備える)を採用することができる。回転角センサ132で測定されたモータ111の回転角を時間微分することで、モータ111の回転速度を求めることができる。すなわち、電動工具1は、モータ111の回転を検出する回転検出部130(回転角センサ132)を備えている。
【0027】
電流センサ141は、電力消費部9に供給される電流を測定する。電流センサ141は、電源部18から電力消費部9に供給される電流を測定する。電流センサ141は、電源部18に直接(電力消費部9を介さずに)接続されている。図3に示すように、電流センサ141は、例えば工具本体100の握り部103内に収納されている。なお、電流センサ141は、工具本体100において電池パック104と接続される接続部109に設けられていて、接続部109に流れる電流を測定してもよい。
【0028】
電圧センサ142は、電力消費部9に印加される電圧を測定する。電圧センサ142は、電源部18と電力消費部9とをつなぐ電路の電圧を測定する。すなわち、電圧センサ142は、電源部18から出力される電圧を測定する。電圧センサ142は、電流センサ141が電流を測定している電路の電圧を測定する。図3に示すように、電圧センサ142は、例えば工具本体100の握り部103内に収納されている。なお、電圧センサ142は、工具本体100において電池パック104と接続される接続部109に設けられていて、接続部109に印加される電圧を測定してもよい。
【0029】
要するに、本実施形態の電動工具1は、電力消費部9及び通信部16が設けられている工具本体100と、電源部18が設けられており工具本体100に着脱可能に取り付けられる電池パック104と、を備えている。電流センサ141及び電圧センサ142は、工具本体100において、電池パック104に接続される接続部109と電力消費部9とをつなぐ電路に設けられている、又は接続部109に設けられている。
【0030】
電流センサ141は、所定のサンプリング時間毎に(すなわち、所定時間間隔で)、対象の電路を流れる電流を測定する。また、電圧センサ142は、所定のサンプリング時間毎に(すなわち、所定時間間隔で)、対象の電路間の電圧を測定する。例えば、電流センサ141のサンプリング時間は、電圧センサ142のサンプリング時間と等しい。
【0031】
計時部143は、時刻(現在時刻)を計時する。計時部143は、いわゆるリアルタイムクロック(RTC)である。計時部143は、計時用の集積回路、及び集積回路に電力を供給する電源(例えばボタン電池)を備えている。ただし、これに限らず、計時部143は、制御部15のプロセッサにより実現される計時機能であってもよい。計時部143で計時される時刻は、通信装置2との通信を介して、適宜調整(時刻合わせ)されてもよい。
【0032】
制御部15は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラムを実行することで、制御部15として機能する。プログラムは、ここでは制御部15のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。制御部15を構成する回路が実装された回路基板150は、例えば握り部103の内部に収納されている。制御部15(回路基板150)は、電力消費部9に相当する。
【0033】
図1に示すように、制御部15は、駆動制御部151と、作業情報生成部152と、電気情報生成部153と、通信制御部154と、を備えている。
【0034】
駆動制御部151は、操作部12へのユーザの操作に応じて、作業部11の動作を制御する。駆動制御部151は、トリガスイッチ120からの操作信号に基づいて、モータ111の動作(回転又は停止、及び回転速度)を制御する。ここでは、駆動制御部151は、指示情報に基づいて、トリガスイッチ120へのユーザの操作に応じてモータ111の動作を制御する。指示情報は、通信装置2から送信される情報であり、例えば締付けトルクの目標値である目標トルクを含んでいる。駆動制御部151は、例えば、トリガスイッチ120からの操作信号に応じて、締付けトルクが指示情報で指定された目標トルクとなるように、モータ111の動作(回転又は停止、及び回転速度)を制御する。駆動制御部151は、トリガスイッチ120がオンされるとモータ111の回転を開始させる。駆動制御部151は、トリガスイッチ120がオンされた状態で、トリガスイッチ120の引き込み量が増えるにつれてモータ111の回転速度を増加させる。駆動制御部151は、トリガスイッチ120がオフされるとモータ111を停止させる。
【0035】
作業情報生成部152は、作業部11が行った作業に関する作業情報D1を生成する。作業情報生成部152は、測定部13で測定された物理量に基づいて、作業情報D1を生成する。
【0036】
作業情報D1は、例えば、トルクセンサ131の測定値から求められる、ビット114から作業対象へ出力された締付けトルクの情報を含む。
【0037】
作業情報D1は、例えば、回転角センサ132の測定値から求められる、モータ111の回転速度の情報を含む。
【0038】
作業情報D1は、例えば、1回の作業が正常に完了した(OK)か否(NG)かを示すOK/NG情報を含む。OK/NGの判定は、例えば、1回の作業(締付作業)が終了した時点において、トルクセンサ131の測定値から求めた締付けトルクが目標トルク以上であるか否かに基づいて行われ得る。
【0039】
作業情報生成部152は、生成した作業情報D1を記憶部17に記憶させる。例えば、締付けトルクの情報、モータ111の回転速度の情報等は、時系列で(例えばデータテーブルの形式で)記憶部17に記憶される。
【0040】
電気情報生成部153は、電流センサ141の測定結果及び電圧センサ142の測定結果に基づいて、電気情報D2を生成する。
【0041】
本実施形態では、電気情報D2は、電流情報及び電圧情報(すなわち、電流情報と電圧情報との組)を含む。
【0042】
電流情報は、電流センサ141で測定される電流の測定値に関する情報である。本実施形態では、電流情報は、サンプリング時間毎に電流センサ141で測定される、電流の測定値(実測値)である。
【0043】
電圧情報は、電圧センサ142で測定される電圧の測定値に関する情報である。本実施形態では、電圧情報は、サンプリング時間毎に電圧センサ142で測定される、電圧の測定値(実測値)である。
【0044】
電気情報D2は、時刻情報を更に含む。時刻情報は、電流センサ141で電流が測定された時刻及び電圧センサ142で電圧が測定された時刻に関する情報である。本実施形態では、時刻情報は、電流センサ141で電流が測定された時点で計時部143により計時された時刻、及び電圧センサ142で電圧が測定された時点で計時部143により計時された時刻を含む。すなわち、電気情報生成部153は、計時部143の測定結果に更に基づいて、電気情報D2を生成する。
【0045】
電気情報D2では、電流センサ141で測定された電流の測定値と、対応する測定時刻とが、1対1で対応付けられている。また、電気情報D2では、電圧センサ142で測定された電圧の測定値と、対応する測定時刻とが、1対1で対応付けられている。電気情報D2は、例えば、電流の測定値及び対応する測定時刻が記載されたデータテーブルと、電圧の測定値及び対応する測定時刻が記載されたデータテーブルと、を含んでいる。電流センサ141で電流を測定するタイミングと電圧センサで電圧を測定するタイミングとが一致する場合には、測定時刻の情報は共有され得る。その場合、電気情報D2は、電流の測定値、電圧の測定値、及び測定時刻が記載されたデータテーブルを含んでいてもよい。
【0046】
電気情報生成部153は、生成した電気情報D2を記憶部17に記憶させる。
【0047】
通信制御部154は、通信部16の動作を制御する。通信制御部154は、通信部16を制御して、通信装置2との間で通信を行わせる。
【0048】
通信部16は、通信装置2と無線通信するための通信インタフェースを備える。通信部16は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した無線通信方式にて通信装置2と通信する。ただし、これに限らず、通信部16は、通信装置2と有線通信するための通信インタフェースを備えていてもよい。
【0049】
通信部16は、作業情報D1を、外部の通信装置2へ送信する。通信部16は、例えば、作業情報生成部152により生成されて記憶部17に記憶されている作業情報D1を、通信により通信装置2へ送信する。
【0050】
通信制御部154は、例えば、作業部11による1回の作業が終了した時点で、その作業に関連して生成された作業情報D1を、通信部16から一括して通信装置2へ送信させる。1回の作業が終了した時点とは、例えば、トリガスイッチ120がオンからオフになった時点である。なお、制御部15が、締付けトルクが目標トルクに達した場合に自動でモータ111を停止させる電子クラッチの機能を有している場合、1回の作業が終了した時点とは、電子クラッチの機能によりモータ111が停止した時点であってもよい。
【0051】
また、通信部16は、電気情報D2を、外部の通信装置2へ送信する。通信部16は、所定時間分の電気情報D2を一括で送信する機能を有している。通信部16は、例えば、電気情報生成部153により生成されて記憶部17に記憶されている電気情報D2を、通信により通信装置2へ送信する。通信制御部154は、記憶部17に記憶されている電気情報D2を適宜加工して、通信部16から送信させてもよい。
【0052】
通信制御部154は、適宜のタイミングで、電気情報D2を通信部16から通信装置2へ送信させる。ここで、通信部16は、モータ111の停止中に電気情報D2を送信する(モータ111の駆動中は電気情報D2を送信しない)ことが好ましい。電気情報D2に対する、モータ111の回転によるノイズの影響を低減するためである。これは、作業情報D1についても同様である。例えば、通信制御部154は、回転検出部130でモータ111が停止していると検出されている状態でのみ、通信部16から電気情報D2を送信させてもよい。言い換えれば、通信部16は、回転検出部130でモータ111が停止していると検出されている状態でのみ、電気情報D2を送信する構成であってもよい。或いは、通信制御部154は、トリガスイッチ120がオフされている(操作信号を受け取っていない)状態でのみ、通信部16から電気情報D2を送信させてもよい。言い換えれば、通信部16は、トリガスイッチ120がオフされている状態でのみ、電気情報D2を送信する構成であってもよい。
【0053】
具体的には、例えば、通信制御部154は、作業情報D1と同様のタイミングで(作業情報D1と同時に)、電気情報D2を通信部16から一括して通信装置2へ送信させてもよい。言い換えれば、通信部16は、作業部11による1回の作業が終了した時点で、その作業の間に測定された電気情報D2を一括して通信装置2へ送信してもよい。これに限らず、通信部16は、例えば一日の作業が終了した時点で一日分の電気情報D2を一括して通信装置2へ送信してもよい。通信部16は、例えば、電動工具1の適宜の位置に設けられたスイッチへの操作に応じて、一日分の電気情報D2を一括して通信装置2へ送信してもよい。
【0054】
記憶部17は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の半導体メモリを含む。なお、記憶部17は、半導体メモリに限らず、ハードディスクドライブ等を含んでいてもよい。記憶部17は、種々の情報を記憶する。記憶部17には、指示情報が記憶される。また、記憶部17には、作業情報D1が記憶される。また、記憶部17には、電気情報D2が記憶される。
【0055】
電源部18は、電池パック104内に収納されている。電源部18は、電力消費部9に電力を供給する。電源部18は充電池を備えており、握り部103から取り外した電池パック104を充電器に接続することによって、電源部18内の充電池が充電されるように構成されている。電源部18は、充電池に充電された電力で、制御部15を含む電気回路とモータ111とに動作に必要な電力を供給する。
【0056】
(2)通信装置
通信装置2は、例えば、電動工具1を使用する作業者が携帯する携帯端末(例えばタブレット型のコンピュータ、又はスマートフォン等)である。なお、通信装置2は、携帯端末以外の情報端末(例えばノートパソコン、デスクトップ型のコンピュータ等)であってもよいし、サーバ装置等であってもよい。
【0057】
図1に示すように、通信装置2は、信号処理部21と、通信部22と、表示部23と、操作部24と、音出力部25と、記憶部26と、を備える。
【0058】
通信部22は、電動工具1の通信部16と無線通信するための通信インタフェースを備える。通信部22は、電動工具1の通信部16と同じ通信方式で、近距離の無線通信を行う。
【0059】
表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイのような薄型ディスプレイを備える。表示部23の表示内容は、信号処理部21によって制御される。
【0060】
操作部24は、例えば、表示部23を構成する薄型ディスプレイに設けられたタッチスイッチを備える。操作部24は、操作に応じた信号を信号処理部21に出力する。
【0061】
音出力部25は、スピーカと、スピーカを駆動する駆動部と、を備える。音出力部25は、信号処理部21から入力される制御信号に応じて、ビープ音又はメロディ音等の報知音、又は音声メッセージ等を出力する。
【0062】
記憶部26は、ROM、RAM、又はEEPROM等の半導体メモリを含む。なお、記憶部26は、半導体メモリに限らず、ハードディスクドライブ等を含んでいてもよい。
【0063】
記憶部26には、設計図面データが記憶される。また、記憶部26には、この通信装置2を携帯する作業者が使用する電動工具1の識別情報が、予め登録されている。
【0064】
信号処理部21は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラムを実行することで、信号処理部21として機能する。プログラムは、ここでは信号処理部21のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。信号処理部21は、メモリに記憶されたプログラムを実行することによって、種々の機能を実現する。
【0065】
図1に示すように、信号処理部21(信号処理部21により実現される機能)は、情報出力部211、第1分析部212及び第2分析部213を備えている。
【0066】
情報出力部211は、例えば、これから行う(予定の)作業に関する指示情報を、通信部22から電動工具1へ送信させる。これから行う作業がねじ締め作業の場合、指示情報は、締め付けるねじ(ボルト)の本数、目標トルク(締め付け力の設定値)等を含む。
【0067】
第1分析部212は、電動工具1から受け取った作業情報D1を分析する。第1分析部212は、例えば、電動工具1へ送信した指示情報と電動工具1から受け取った作業情報D1とを照合して、適切な作業が行われたか否かを分析する。第1分析部212は、例えば、モータ111の回転速度及び締付けトルク等に基づいて、電動工具1の劣化状態を分析する。第1分析部212は、例えば、モータ111の回転速度及び締付けトルク等に基づいて、作業に対するユーザの熟練度を分析する。
【0068】
第2分析部213は、電動工具1から受け取った電気情報D2を分析する。
【0069】
第2分析部213は、例えば、電流情報及び電圧情報に基づいて、電力情報を求める。電力情報は、例えば、電流の測定値(実測値)及び電圧の測定値(実測値)から得られる、電力値(算出値)を含んでいる。電力値は、例えば、同時刻に測定された電流の測定値(実測値)と電圧の測定値(実測値)との積である。
【0070】
第2分析部213は、電流情報、電圧情報、及び時刻情報に基づいて、電力量情報を求める。電力量情報は、例えば、作業の開始時刻から終了時刻までの作業時間の間の電流の測定値及び電圧の測定値から得られる、1回の作業において電動工具1で消費された消費電力量を含んでもよい。また、電力量情報は、例えば、複数回の作業において電動工具1で消費された消費電力量を含んでもよいし、一日分の総消費電力量を含んでもよい。
【0071】
第2分析部213は、電動工具1を用いた作業を複数回含む作業工程の、手順についての分析を行ってもよい。第2分析部213は、例えば、複数回の作業を含み実行順が互いに異なる第1作業手順と第2作業手順との間で、作業完了までにかかる時間又は作業完了までに消費される電力量等を比較して、適切な作業手順についての分析を行ってもよい。
【0072】
第2分析部213は、例えば、電動工具1での消費電力の時間変化に基づいて、不具合(例えば、ねじのかじりの発生、ねじの挿入方向の不良等)の有無を判定してもよい。第2分析部213は、例えば、電動工具1の消費電力が急激に増加した時刻と、作業現場を撮影するカメラの撮影時刻と、を比較して、不具合が発生したと推定される電動工具1の作業(及び、作業対象において不具合が発生したと推定される箇所)の特定を行ってもよい。
【0073】
電力量情報又は電力情報等が求められることで、例えば、ユーザに、作業工程において電動工具1で消費された電力に注意を向けさせることができ、消費電力の低減に対する意識付けを行うことができる。その結果消費電力(量)が低減することで、二酸化炭素の排出量の削減に寄与することができる。第2分析部213は、例えば、複数の電動工具1(すなわち複数のユーザ)の間での消費電力を比較してもよいし、複数の電動工具1での消費電力の総量を求めてもよい。要するに、第2分析部213の分析結果(電力情報、電力量情報等)は、二酸化炭素を削減するための活動に活用されてもよい。
【0074】
第1分析部212及び第2分析部213は、作業情報D1と電気情報D2との両方を用いた分析を行ってもよい。
【0075】
なお、第1分析部212及び第2分析部213の一部又は全部の機能は、通信装置2の外部の装置に備えられていてもよい。また、第1分析部212及び第2分析部213の機能は、操作部24に対するユーザからの操作に応答して実行されてもよい。
【0076】
上述のように、本実施形態の工具システム10では、電動工具1から通信装置2へ、電流情報と電圧情報との両方を含む電気情報D2が送信される。そのため、電流情報のみが電動工具1から通信装置2へ送信され、電圧については電源部18の定格値を用いて電力(電力量)を算出する比較例と比較して、より正確な消費電力(電力量)を求めることが可能となる。これにより、本実施形態の工具システム10では、電動工具1で消費される電力についてより有効な分析を行うことが可能となり、ひいては電動工具1を用いた作業を含む作業工程の改善に寄与することが可能となる。
【0077】
(3)動作例
本実施形態の電動工具1の動作について、図4を参照して説明する。
【0078】
電動工具1の制御部15は、指示情報を含む信号を通信装置2から受信する(ST1)と、指示情報に含まれる目標トルク等を記憶部17に記憶させて、トリガスイッチ120が操作されるのを待ち受ける(ST2)。トリガスイッチ120がオンされると(ST2:Yes)、電動工具1の制御部15(駆動制御部151)は、作業部11(モータ111)を駆動させる(ST3)。電動工具1の制御部15(作業情報生成部152)は、測定部13の測定結果に基づいて作業情報D1を随時生成し、記憶部17に記憶させる(ST4)。また、電動工具1の制御部15(電気情報生成部153)は、電流センサ141、電圧センサ142、及び計時部143の測定結果に基づいて電気情報D2を随時生成し、記憶部17に記憶させる(ST5)。
【0079】
制御部15は、トリガスイッチ120がオフされたか否かを判定する(ST6)。トリガスイッチ120がオンのままの場合(ST6:No)、制御部15は、工程ST3~ST6の処理を繰り返す。トリガスイッチ120がオフされると(ST6:Yes)、制御部15(駆動制御部151)は作業部11(モータ111)の動作を停止させる。そして、制御部15(通信制御部154)は、記憶部17に記憶されている作業情報D1及び電気情報D2を、通信部16から通信装置2へ送信させる(ST9)。
【0080】
なお、図4に示すフローチャート図は、一例に過ぎず、処理の順番が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は削除されてもよい。
【0081】
(4)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0082】
本開示における電動工具1の制御部15、及び通信装置2の信号処理部21の各々は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部15及び信号処理部21の各々としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0083】
また、制御部15及び信号処理部21の各々における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されていることは必須の構成ではない。制御部15及び信号処理部21の各々の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。反対に、制御部15及び信号処理部21の各々における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、制御部15及び信号処理部21の各々の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0084】
(4.1)変形例1
電動工具1の電気情報生成部153は、電力情報を生成してもよい。電力情報は、電流センサ141で測定される電流の測定値と電圧センサ142で測定される電圧の測定値とに基づいて得られる電力値に関する情報である。本変形例では、電力情報としての電力値は、同時刻に測定された電流の測定値(実測値)と電圧の測定値(実測値)との積である。
【0085】
電気情報生成部153は、電力量情報を更に生成してもよい。電力量情報は、例えば、1回の作業において電動工具1で消費された消費電力量であり得る。
【0086】
本変形例の電動工具1では、通信部16は、少なくとも電力情報を含む電気情報D2を、通信装置2へ送信する。なお、通信部16は、電流情報、電圧情報、電力量情報のうちの少なくとも1つを電気情報D2に更に含めて、通信装置2へ送信してもよい。
【0087】
(4.2)変形例2
電気情報生成部153は、時刻情報に代えて又は加えて、時間情報を生成してもよい。時間情報は、電流センサ141で電流が測定された時間及び電圧センサ142で電圧が測定された時間に関する情報である。時間情報は、例えば、所定の時刻を基準(ゼロ)として計時が開始された、時間(経過時間)の情報を含んでもよい。時間情報は、例えば、所定の電流値の電流が継続して流れた時間長、所定の電圧値の電圧が継続して印加された時間長、等を含んでもよい。時間情報は、その時間情報に基づいて電気情報生成部153又は第2分析部213が電力量を求めることが可能な情報であることが、望ましい。
【0088】
時間情報は、計時部143で計時された時刻に基づいて、求められてもよい。時間情報は、電動工具1の制御部15により実現されるタイマーの機能を用いて、求められてもよい。
【0089】
本変形例では、通信部16は、例えば、電流情報、電圧情報、及び時間情報を含む電気情報D2を、通信装置2へ送信してもよい。
【0090】
(4.3)変形例3
電動工具1は、計時部143を備えていなくてもよい。例えば、電動工具1の通信部16は、電流センサ141で測定された電流の測定値、及び電圧センサ142で測定された電圧の測定値を、リアルタイムで(測定する度に)通信装置2へ送信してもよい。通信装置2では、電動工具1から受け取った電流の測定値及び電圧の測定値を、通信装置2が有する計時機能で計時された時刻と紐付けて、記憶部26に記憶してもよい。
【0091】
(4.4)その他の変形例
一変形例において、電動工具1は、通信装置2と中継器を介して通信してもよい。
【0092】
一変形例において、電流センサ141で測定される電流の測定値は、所定時間(例えばサンプリング時間)の間の平均値であってもよい。モータ111をスイッチング制御する場合、電流の大きさは大きく時間変動するためである。
【0093】
一変形例において、第2分析部213は、作業時間内に取得された電流の測定値の平均値を用いて、分析を行ってもよい。
【0094】
一変形例において、電流センサ141と電圧センサ142とのうちの少なくとも一方は、工具本体100ではなく電池パック104に設けられていてもよい。
【0095】
(5)態様
以上説明したように、本開示の第1の態様の電動工具(1)は、作業部(11)と、通信部(16)と、電源部(18)と、電流センサ(141)と、電圧センサ(142)と、を備えている。作業部(11)は、モータ(111)の動力により作業対象に対する作業を行う。通信部(16)は、作業部(11)が行った作業に関する作業情報(D1)を、外部の通信装置(2)へ送信する。電源部(18)は、電力消費部(9)に電力を供給する。電力消費部(9)は、モータ(111)、及びモータ(111)の駆動を制御する駆動制御部(151)を含む。電流センサ(141)は、電力消費部(9)に供給される電流を測定する。電圧センサ(142)は、電力消費部(9)に印加される電圧を測定する。通信部(16)は、更に、電流センサ(141)の測定結果及び電圧センサ(142)の測定結果に基づく電気情報(D2)を通信装置(2)へ送信する。電気情報(D2)は、電流情報と電圧情報とを含む、及び/又は電力情報を含む。電流情報は、電流センサ(141)で測定される電流の測定値に関する情報である。電圧情報は、電圧センサ(142)で測定される電圧の測定値に関する情報である。電力情報は、電流センサ(141)で測定される電流の測定値と電圧センサ(142)で測定される電圧の測定値とに基づいて得られる電力値に関する情報である。
【0096】
この態様によれば、電動工具(1)で消費される電力について、より有効な分析を行うことが可能となり、ひいては電動工具(1)を用いた作業を含む作業工程の改善に寄与することが可能となる。
【0097】
本開示の第2の態様の電動工具(1)では、第1の態様において、電気情報(D2)は、電流センサ(141)で電流が測定された時間及び電圧センサ(142)で電圧が測定された時間に関する時間情報を更に含む。
【0098】
この態様によれば、電動工具(1)で消費される電力について、更に有効な分析を行うことが可能となる。
【0099】
本開示の第3の態様の電動工具(1)は、第2の態様において、時刻を計時する計時部(143)を更に備える。電気情報(D2)は、電流センサ(141)で電流が測定された時刻及び電圧センサ(142)で電圧が測定された時刻に関する時刻情報を含む。
【0100】
この態様によれば、電動工具(1)で消費される電力について、更に有効な分析を行うことが可能となる。
【0101】
本開示の第4の態様の電動工具(1)では、第2又は第3の態様において、通信部(16)は、所定時間分の電気情報(D2)を一括で送信する機能を有する。
【0102】
この態様によれば、例えばモータ(111)が駆動していない時間に電気情報(D2)を一括で送信することで、電気情報(D2)を含む信号がモータ(111)の回転によるノイズの影響を受けにくくなり、ひいては、電動工具(1)で消費される電力について更に有効な分析を行うことが可能となる。
【0103】
本開示の第5の態様の電動工具(1)は、第1~第4のいずれか1つの態様において、モータ(111)の回転を検出する回転検出部(130)を更に備える。通信部(16)は、回転検出部(130)でモータ(111)が停止していると検出されている状態でのみ、電気情報(D2)を送信する。
【0104】
この態様によれば、電気情報(D2)に対するモータ(111)の回転によるノイズの影響を、低減することが可能となる。
【0105】
本開示の第6の態様の電動工具(1)は、第1~第5のいずれか1つの態様において、トリガスイッチ(120)を更に備える。トリガスイッチ(120)は、ユーザにより操作され、オンされている状態で駆動制御部(151)へ操作信号を送信する。駆動制御部(151)は、操作信号に基づいて、モータ(111)の動作を制御する。通信部(16)は、トリガスイッチ(120)がオフされている状態でのみ、電気情報(D2)を送信する。
【0106】
この態様によれば、電気情報(D2)に対するモータ(111)の回転によるノイズの影響を、低減することが可能となる。
【0107】
本開示の第7の態様の電動工具(1)は、第1~第6のいずれか1つの態様において、電気情報(D2)を記憶する記憶部(17)を更に備える。
【0108】
この態様によれば、例えば作業の終了後等に、一括して電気情報(D2)を取り出しやすくなる。
【0109】
本開示の第8の態様の電動工具(1)は、第1~第7のいずれか1つの態様において、工具本体(100)と電池パック(104)とを備える。工具本体(100)には、電力消費部(9)及び通信部(16)が設けられている。電池パック(104)には、電源部(18)が設けられている。電池パック(104)は、工具本体(100)に着脱可能に取り付けられる。電流センサ(141)及び電圧センサ(142)は、工具本体(100)において、電池パック(104)に接続される接続部(109)と電力消費部(9)とをつなぐ電路に設けられている、又は接続部(109)に設けられている。
【0110】
この態様によれば、工具本体(100)で消費される電力を容易に求めることが可能となる。
【0111】
本開示の第9の態様の工具システム(10)は、第1~第8のいずれか1つの態様の電動工具(1)と、通信装置(2)と、を備える。
【0112】
この態様によれば、電動工具(1)で消費される電力について、より有効な分析を行うことが可能となり、ひいては電動工具(1)を用いた作業を含む作業工程の改善に寄与することが可能となる。
【符号の説明】
【0113】
1 電動工具
11 作業部
111 モータ
120 トリガスイッチ
130 回転検出部
141 電流センサ
142 電圧センサ
143 計時部
151 駆動制御部
16 通信部
17 記憶部
18 電源部
9 電力消費部
100 工具本体
104 電池パック
109 接続部
2 通信装置
10 工具システム
D1 作業情報
D2 電気情報
図1
図2
図3
図4