(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127020
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240912BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035847
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】神宮 勲
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA28
5H770BA11
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA23
5H770DA31
5H770DA41
5H770DA44
5H770HA01Z
5H770HA19Z
5H770LB05
(57)【要約】
【課題】光通信に用いられる発光素子の点検をより効率よく行うことができる電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力の変換を行う主回路部と、前記主回路部と光通信を行うことにより、前記主回路部の動作を制御する制御装置と、を備え、前記主回路部は、光信号を出力して前記制御装置と光通信を行うための発光素子を有し、所定の送信データを前記発光素子から前記制御装置に送信する際に、前記発光素子の点検を行うためのテストパターンを前記送信データに続けて送信し、前記テストパターンは、前記発光素子の光量を徐々に低下させる信号であり、前記制御装置は、前記テストパターンの受信期間が、所定時間以下となった際に、前記発光素子の劣化を検出する電力変換装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の変換を行う主回路部と、
前記主回路部と光通信を行うことにより、前記主回路部の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記主回路部は、光信号を出力して前記制御装置と光通信を行うための発光素子を有し、所定の送信データを前記発光素子から前記制御装置に送信する際に、前記発光素子の点検を行うためのテストパターンを前記送信データに続けて送信し、
前記テストパターンは、前記発光素子の光量を徐々に低下させる信号であり、
前記制御装置は、前記テストパターンの受信期間が、所定時間以下となった際に、前記発光素子の劣化を検出する電力変換装置。
【請求項2】
前記制御装置は、第1制御部と、第2制御部と、を有し、前記第1制御部及び前記第2制御部の一方を運転系とし、他方を待機系とし、
前記主回路部は、前記第1制御部と光通信を行うための第1光伝送回路と、前記第2制御部と光通信を行うための第2光伝送回路と、を有し、
前記発光素子は、前記第1光伝送回路及び前記第2光伝送回路のそれぞれに設けられ、
前記第1制御部及び前記第2制御部のうちの待機系の制御部は、光量測定用の信号の送信を前記主回路部に対して要求し、
前記主回路部は、前記第1光伝送回路及び前記第2光伝送回路のうちの前記待機系の制御部に対応する光伝送回路の前記発光素子から前記光量測定用の信号を送信し、
前記待機系の制御部は、受信した前記光量測定用の信号を基に、前記発光素子の光量の測定を行う請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1制御部及び前記第2制御部の運転系及び待機系を所定のタイミングで切り替えることにより、前記第1光伝送回路及び前記第2光伝送回路のそれぞれの前記発光素子の光量の測定を行う請求項2記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記主回路部は、直列に接続された複数の変換器を有し、
前記第1光伝送回路及び前記第2光伝送回路は、前記複数の変換器のそれぞれに設けられ、
前記第1制御部は、光分配器を介して前記複数の変換器のそれぞれの前記第1光伝送回路と光通信を行い、
前記第2制御部は、光分配器を介して前記複数の変換器のそれぞれの前記第2光伝送回路と光通信を行い、
前記待機系の制御部は、前記複数の変換器に対して前記光量測定用の信号の送信を時間的にずらして順次要求するとともに、前記複数の変換器のうちの1つの変換器に対して、前記光量測定用の信号の送信要求を連続して複数回送信し、前記1つの変換器から連続して複数回送信される前記光量測定用の信号を基に、前記1つの変換器の前記発光素子の光量の平均値を測定する請求項2又は3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
電力の変換を行う主回路部と、
前記主回路部と光通信を行うことにより、前記主回路部の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記主回路部は、光信号を出力して前記制御装置と光通信を行うための発光素子を有し、
前記制御装置は、第1制御部と、第2制御部と、を有し、前記第1制御部及び前記第2制御部の一方を運転系とし、他方を待機系とし、
前記主回路部は、前記第1制御部と光通信を行うための第1光伝送回路と、前記第2制御部と光通信を行うための第2光伝送回路と、を有し、
前記発光素子は、前記第1光伝送回路及び前記第2光伝送回路のそれぞれに設けられ、
前記第1制御部及び前記第2制御部のうちの待機系の制御部は、光量測定用の信号の送信を前記主回路部に対して要求し、
前記主回路部は、前記第1光伝送回路及び前記第2光伝送回路のうちの前記待機系の制御部に対応する光伝送回路の前記発光素子から前記光量測定用の信号を送信し、
前記待機系の制御部は、受信した前記光量測定用の信号を基に、前記発光素子の光量の測定を行う電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力の変換を行う主回路部と、主回路部の動作を制御する制御装置と、を備えた電力変換装置がある。こうした電力変換装置において、主回路部と制御装置との間の通信に光通信を用いることが行われている。光通信には、発光素子が用いられる。例えば、比較的大きな電力を扱う大容量の電力変換装置では、主回路部と制御装置との間の光通信に多くの発光素子が使用される。
【0003】
電力変換装置に要求される信頼性は、発光素子の信頼性よりも高い。例えば、電力変換装置に要求される寿命は、発光素子の寿命よりも長い。このため、電力変換装置においては、光通信の伝送経路を多重構成とし、1つの伝送経路の伝送異常を検出した際に、別の伝送経路に切り替えて運転を継続できるようにすることが提案されている。
【0004】
例えば、2つの伝送経路を設け、一方を運転系、他方を待機系とし、運転系の伝送経路に異常が検出された際に、待機系の伝送経路に切り替える。これにより、一方の伝送経路に異常が発生した際にも、他方の伝送経路で運転を継続することができる。
【0005】
この際、電力変換装置の運転中は、課電されているため、伝送異常を検出して異常になった伝送経路に対する保守は、定期点検などで電力変換装置の運転が停止するまで行うことができない。このため、待機系が無い状態で運用されることがある。仮に、2つの伝送経路のうちの一方に異常が発生し、他方の伝送経路で運転を継続している状態で、他方の伝送経路にも異常が発生したとすると、電力変換装置の運転を継続できなくなる可能性が生じてしまう。
【0006】
このため、定期点検において、発光素子の光量チェックを行い、発光素子の寿命を点検することが行われている。例えば、定期点検時に主回路部を放電した後、主回路部側に光量測定器を接続し、主回路部に設けられた発光素子の光量を測定することにより、主回路部に設けられた発光素子の寿命の点検を行う。発光素子の寿命(発光素子の光量の低下)を検出した場合には、発光素子の交換などを行う。これにより、発光素子の寿命による伝送経路の異常の発生を抑制することができる。
【0007】
しかしながら、上記のように、光量測定器を接続して光量を測定する点検の方法では、作業員が逐一光量測定器を接続する作業を行わなければならず、点検に手間がかかってしまう。特に、大容量の電力変換装置など、多くの発光素子を有する場合には、各発光素子の測定に時間がかかり、点検に必要となる時間が長くなってしまう。また、光量測定器を接続して光量を測定する点検の方法では、電力変換装置の運転を停止した際にしか発光素子の点検を行うことができない。
【0008】
このため、主回路部と制御装置との間の通信に光通信を用いる電力変換装置においては、光通信に用いられる発光素子の点検をより効率よく行えるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
実施形態は、光通信に用いられる発光素子の点検をより効率よく行うことができる電力変換装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態によれば、電力の変換を行う主回路部と、前記主回路部と光通信を行うことにより、前記主回路部の動作を制御する制御装置と、を備え、前記主回路部は、光信号を出力して前記制御装置と光通信を行うための発光素子を有し、所定の送信データを前記発光素子から前記制御装置に送信する際に、前記発光素子の点検を行うためのテストパターンを前記送信データに続けて送信し、前記テストパターンは、前記発光素子の光量を徐々に低下させる信号であり、前記制御装置は、前記テストパターンの受信期間が、所定時間以下となった際に、前記発光素子の劣化を検出する電力変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本実施形態では、光通信に用いられる発光素子の点検をより効率よく行うことができる電力変換装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る電力変換装置を模式的に表すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る光伝送回路及び第1光伝送回路の一例を模式的に表すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る電力変換装置の動作の一例を模式的に表すタイミングチャートである。
【
図4】第1の実施形態に係る電力変換装置の動作の一例を模式的に表すタイミングチャートである。
【
図5】第2の実施形態に係る光伝送回路の一例を模式的に表すブロック図である。
【
図6】第2の実施形態に係る電力変換装置の動作の一例を模式的に表すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電力変換装置を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、電力変換装置10は、主回路部12と、制御装置14と、を備える。主回路部12は、電力の変換を行う。主回路部12は、例えば、交流の電力系統と直流回路との間に設けられる。主回路部12は、例えば、変圧器などを介して交流の電力系統と接続される。主回路部12は、交流電力と直流電力との双方向の電力変換を行う。
【0016】
主回路部12は、例えば、直列に接続された複数の変換器20を有するマルチレベル電力変換器である。各変換器20は、ハーフブリッジ接続又はフルブリッジ接続された複数のスイッチング素子と、各スイッチング素子に並列に接続された電荷蓄積素子と、を有する。主回路部12は、複数の変換器20の動作により、電力の変換を行う。主回路部12は、例えば、複数の変換器20の各スイッチング素子のスイッチングにより、交直変換を行う。
【0017】
主回路部12は、例えば、MMC(Modular Multilevel Converter)型の電力変換器である。電力変換装置10は、例えば、直流送電システムに用いられる。但し、主回路部12の構成は、上記に限定されるものではない。主回路部12の構成は、複数の変換器20を直列に接続した構成に限ることなく、例えば、三相インバータ回路や3レベルインバータ回路などでもよい。主回路部12の構成は、電力の変換を行うことが可能な任意の構成でよい。
【0018】
また、主回路部12による電力の変換は、直流電力から交流電力への変換又は交流電力から直流電力への変換に限ることなく、直流電力から別の直流電力への変換又は交流電力から別の交流電力への変換などでもよい。主回路部12による電力の変換は、双方向の変換に限ることなく、一方向のみの変換でもよい。主回路部12による電力の変換は、電力を別の電力に変換する任意の変換でよい。
【0019】
制御装置14は、主回路部12の動作を制御する。制御装置14は、例えば、各変換器20の各スイッチング素子のスイッチングを制御することにより、主回路部12による電力の変換を制御する。
【0020】
制御装置14は、第1制御部31と、第2制御部32と、を有する。第2制御部32の構成は、第1制御部31の構成と実質的に同じである。制御装置14は、第1制御部31及び第2制御部32のいずれか一方で主回路部12の動作を制御する。制御装置14は、第1制御部31及び第2制御部32の一方を運転系とし、他方を待機系とする。これにより、運転系の制御部に異常が発生した際にも、待機系の制御部で運転を継続することができ、電力変換装置10の信頼性を向上させることができる。
【0021】
制御装置14は、主回路部12と光通信を行うことにより、主回路部12の動作を制御する。第1制御部31は、主回路部12と光通信を行うための光伝送回路33を有する。同様に、第2制御部32は、主回路部12と光通信を行うための光伝送回路34を有する。第1制御部31及び第2制御部32は、光通信によって制御信号を主回路部12に入力することにより、主回路部12の動作を制御する。
【0022】
但し、制御装置14に設けられる制御部の数は、2台に限ることなく、3台以上でもよい。制御装置14は、2台以上の待機系の制御部を有してもよい。また、制御装置14に設けられる制御部の数は、1台でもよい。制御装置14は、必ずしも待機系の制御部を有しなくてもよい。
【0023】
各変換器20は、例えば、変換回路40と、第1光伝送回路41と、第2光伝送回路42と、第1伝送異常検出回路43と、第2伝送異常検出回路44と、第1開閉器45と、第2開閉器46と、選択回路47と、を有する。
【0024】
変換回路40は、例えば、上記のように、ハーフブリッジ接続又はフルブリッジ接続された複数のスイッチング素子と、各スイッチング素子に並列に接続された電荷蓄積素子と、を有する。変換回路40は、複数のスイッチング素子のスイッチングにより、電力の変換を行う。
【0025】
第1光伝送回路41は、第1制御部31の光伝送回路33との光通信を行う。第1光伝送回路41は、第1制御部31から受信した制御信号の変換回路40への入力を行う。これにより、第1制御部31から受信した制御信号に基づいて、変換回路40の動作が制御される。
【0026】
また、第1光伝送回路41は、例えば、変換回路40の制御に必要な情報を変換回路40から回収し、回収した情報をフィードバック信号として第1制御部31に送信する。フィードバック信号は、例えば、各スイッチング素子の電圧の情報や電荷蓄積素子の電圧の情報など、変換回路40内の各部の電圧の情報を含む。但し、フィードバック信号に含まれる情報は、これに限ることなく、変換回路40の制御に必要な任意の情報でよい。
【0027】
第1制御部31は、例えば、上位のコントローラなどから入力される指令値、及び各変換器20から受信したフィードバック信号を基に、各変換器20のそれぞれに対応する複数の制御信号を生成し、生成した複数の制御信号を対応する変換器20に入力することにより、各変換器20の動作を制御する。
【0028】
第2光伝送回路42は、第2制御部32の光伝送回路34との光通信を行う。第2光伝送回路42は、第2制御部32から受信した制御信号の変換回路40への入力を行う。これにより、第2制御部32から受信した制御信号に基づいて、変換回路40の動作が制御される。
【0029】
また、第2光伝送回路42は、第1光伝送回路41と同様に、フィードバック信号を第2制御部32に送信する。第2制御部32は、第1制御部31と同様に、例えば、上位のコントローラなどから入力される指令値、及び各変換器20から受信したフィードバック信号を基に、各変換器20のそれぞれに対応する複数の制御信号を生成し、生成した複数の制御信号を対応する変換器20に入力することにより、各変換器20の動作を制御する。
【0030】
第1伝送異常検出回路43は、光伝送回路33と第1光伝送回路41との間の伝送経路の異常の検出を行う。第1伝送異常検出回路43は、例えば、第1制御部31から制御信号(光信号)が一定時間以上入力されなかった場合に、伝送経路の異常を検出する。第1伝送異常検出回路43は、異常の検出結果を選択回路47に入力する。
【0031】
第2伝送異常検出回路44は、光伝送回路34と第2光伝送回路42との間の伝送経路の異常の検出を行う。第2伝送異常検出回路44は、第1伝送異常検出回路43と同様に、例えば、第2制御部32から制御信号(光信号)が一定時間以上入力されなかった場合に、伝送経路の異常を検出する。第2伝送異常検出回路44は、異常の検出結果を選択回路47に入力する。
【0032】
第1開閉器45は、第1光伝送回路41から変換回路40への制御信号の入力を可能とする状態と、第1光伝送回路41から変換回路40への制御信号の入力を遮断した状態と、を切り替える。
【0033】
第2開閉器46は、第2光伝送回路42から変換回路40への制御信号の入力を可能とする状態と、第2光伝送回路42から変換回路40への制御信号の入力を遮断した状態と、を切り替える。
【0034】
第1開閉器45及び第2開閉器46は、例えば、一対の端子間を電気的に接続したオン状態により、制御信号を入力可能な状態とし、一対の端子間を開放したオフ状態により、制御信号の入力を遮断した状態とする。
【0035】
選択回路47は、第1伝送異常検出回路43及び第2伝送異常検出回路44の検出結果などを基に、第1開閉器45及び第2開閉器46の各状態の切り替えを制御する。換言すれば、選択回路47は、第1光伝送回路41から変換回路40に制御信号を入力可能とする状態と、第2光伝送回路42から変換回路40に制御信号を入力可能とする状態と、を選択的に切り替える。
【0036】
選択回路47は、第1制御部31が運転系、第2制御部32が待機系である場合には、第1開閉器45を制御信号の入力を可能とする状態とし、第2開閉器46を制御信号の入力を遮断した状態とする。そして、選択回路47は、第1制御部31から制御信号が入力されている状態において、第1伝送異常検出回路43が伝送経路の異常を検出した際に、第1開閉器45を制御信号の入力を遮断した状態、第2開閉器46を制御信号の入力を可能とする状態にそれぞれ切り替える。
【0037】
また、選択回路47は、第1伝送異常検出回路43が伝送経路の異常を検出した際に、第1開閉器45及び第2開閉器46の各状態の切り替えを行うとともに、伝送経路の異常の検出を制御装置14に送信する。伝送経路の異常の検出は、例えば、第2光伝送回路42から第2制御部32に送信する。但し、伝送経路の異常を検出された際にも、第1光伝送回路41が伝送経路の異常を送信可能である場合には、第1光伝送回路41から第1制御部31に送信してもよいし、第1光伝送回路41及び第2光伝送回路42の双方から送信してもよい。
【0038】
制御装置14は、複数の変換器20のいずれかにおいて伝送経路の異常が検出された際に、第1制御部31を待機系、第2制御部32を運転系に切り替える。また、制御装置14は、例えば、第1制御部31及び第2制御部32においても伝送経路の異常の検出を行う。第1制御部31及び第2制御部32は、例えば、各変換器20からフィードバック信号(光信号)が一定時間以上入力されなかった場合に、伝送経路の異常を検出し、上記と同様に運転系と待機系との切り替えを行う。
【0039】
選択回路47は、第1制御部31が待機系、第2制御部32が運転系である場合には、第1開閉器45を制御信号の入力を遮断した状態とし、第2開閉器46を制御信号の入力を可能とする状態とする。選択回路47及び制御装置14は、以下、上記と同様の処理を行う。選択回路47は、換言すれば、第1制御部31が運転系の時には、第1光伝送回路41を用い、第2制御部32が運転系の時には、第2光伝送回路42を用いる。
【0040】
これにより、電力変換装置10では、第1制御部31と各変換器20との間の伝送経路及び第2制御部32と各変換器20との間の伝送経路の一方に異常が発生した際にも、他方の伝送経路で主回路部12の運転を継続することができる。
【0041】
電力変換装置10は、例えば、制御装置14の第1制御部31及び第2制御部32のそれぞれに対応する2つの光分配器16、18をさらに備える。
【0042】
光分配器16は、光ファイバケーブルを介して第1制御部31の光伝送回路33と接続される。光分配器16は、光伝送回路33と相互にデータを伝送する。また、光分配器16は、光ファイバケーブルを介して複数の変換器20のそれぞれの第1光伝送回路41と接続される。光分配器16は、複数の変換器20のそれぞれの第1光伝送回路41と相互にデータを伝送する。従って、第1制御部31は、光分配器16及び光ファイバケーブルを介して複数の変換器20のそれぞれの第1光伝送回路41と相互にデータを伝送する。換言すれば、第1制御部31は、光分配器16及び光ファイバケーブルを介して複数の変換器20のそれぞれの第1光伝送回路41と光通信を行う。
【0043】
同様に、光分配器18は、光ファイバケーブルを介して第2制御部32の光伝送回路34と接続されるとともに、光ファイバケーブルを介して複数の変換器20のそれぞれの第2光伝送回路42と接続される。第2制御部32は、光分配器18及び光ファイバケーブルを介して複数の変換器20のそれぞれの第2光伝送回路42と相互にデータを伝送する。換言すれば、第2制御部32は、光分配器18及び光ファイバケーブルを介して複数の変換器20のそれぞれの第2光伝送回路42と光通信を行う。
【0044】
光分配器16は、第1制御部31から伝送された光信号を、各変換器20に対応する光ファイバケーブルによって、複数の変換器20のそれぞれに分配する。また、光分配器16は、複数の変換器20から伝送されたそれぞれの光信号のデータを1つの光信号のデータに合流させることによって、実質的にシリアルデータとし、第1制御部31に伝送する。
【0045】
同様に、光分配器18は、第2制御部32から伝送された光信号を、各変換器20に対応する光ファイバケーブルによって、複数の変換器20のそれぞれに分配する。また、光分配器18は、複数の変換器20から伝送されたそれぞれの光信号のデータを1つの光信号のデータに合流させることによって、実質的にシリアルデータとし、第2制御部32に伝送する。
【0046】
光分配器16、18は、主回路部12の近傍に設置することができる。そのため、各光分配器16、18と各変換器20とを接続する光ファイバケーブルは、主回路部12内に敷設される程度の長さとすることができる。制御装置14は、主回路部12及び各光分配器16、18から十分離れた場所に設置することができる。制御装置14は、例えば、光分配器16、18及び主回路部12の設置場所とは異なる建屋や階などに設置される。
【0047】
各光分配器16、18と各変換器20とを接続する光ファイバケーブルの長さは、各光分配器16、18と制御装置14とを接続する光ファイバケーブルの長さよりも十分短くすることができる。これにより、例えば、各変換器20の数に応じた複数の光ファイバケーブルを直接的に制御装置14に接続する場合と比べて、光ファイバケーブルの合計の長さを短くすることができる。これにより、コストの低減を図ることができる。
【0048】
但し、電力変換装置10は、必ずしも光分配器16、18を備えていなくてもよい。例えば、各変換器20の数に応じた複数の光ファイバケーブルを直接的に制御装置14に接続する構成としてもよい。このように、光分配器16、18は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0049】
光伝送回路33は、例えば、第1制御部33の他の部分で生成されたシリアルデータを光信号に変換し、光ファイバケーブル及び光分配器16を介して主回路部12に伝送する。光伝送回路34は、例えば、第2制御部32の他の部分で生成されたシリアルデータを光信号に変換し、光ファイバケーブル及び光分配器18を介して主回路部12に伝送する。シリアルデータは、各変換器20に対応する制御信号を含んでいる。
【0050】
また、光伝送回路33は、主回路部12から受信した光信号を電気信号に変換して、第1制御部33の他の部分に供給する。光伝送回路34は、主回路部12から受信した光信号を電気信号に変換して、第2制御部32の他の部分に供給する。第1制御部31及び第2制御部32の他の部分では、次の制御信号を生成するための処理等を実行する。
【0051】
光分配器16は、例えば、複数の変換器20から送信されたそれぞれの光信号のデータを1つの光信号のデータに合流させることによって、実質的にシリアルデータとし、第1制御部31の光伝送回路33に送信する。同様に、光分配器18は、例えば、複数の変換器20から送信されたそれぞれの光信号のデータを1つの光信号のデータに合流させることによって、実質的にシリアルデータとし、第2制御部32の光伝送回路34に送信する。電力変換装置10は、例えば、光分配器16、18を中心とするスター型の通信方式を採用している。光分配器16、18は、換言すれば、中継器である。光分配器16、18は、例えば、スターカプラなどに置き換えてもよい。
【0052】
図2は、第1の実施形態に係る光伝送回路及び第1光伝送回路の一例を模式的に表すブロック図である。
図2は、第1制御部31の光伝送回路33及び各変換器20の第1光伝送回路41の一例を模式的に表している。なお、第2制御部32の光伝送回路34の構成は、第1制御部31の光伝送回路33の構成と実質的に同じであり、各変換器20の第2光伝送回路42の構成は、第1光伝送回路41の構成と実質的に同じであるから、光伝送回路34及び第2光伝送回路42の構成についての具体的な説明は省略する。
【0053】
図2に表したように、各変換器20の第1光伝送回路41は、例えば、発光素子50と、光ドライバ51と、送信バッファ52と、受光素子53と、受信アンプ54と、受信バッファ55と、自装置送信要求検出回路56と、を有する。
【0054】
送信バッファ52には、変換器20内で生成された所定の信号が送信データとして入力される。送信バッファ52には、例えば、変換回路40から回収したフィードバック信号が送信データとして入力される。送信バッファ52は、入力された送信データを一時的に記憶し、光ドライバ51に入力する。
【0055】
光ドライバ51は、送信バッファ52から入力された送信データに応じて発光素子50の発光及び発光の停止を切り替えることにより、発光素子50による光信号の出力を駆動する。
【0056】
発光素子50は、光ファイバケーブルを介して光分配器16と接続され、光ドライバ51の駆動に基づいて送信データに応じた光信号を光分配器16に出力する。発光素子50は、例えば、上記のように、フィードバック信号に応じた光信号を光分配器16に出力する。
【0057】
受光素子53は、光ファイバケーブルを介して光分配器16と接続され、光分配器16から入力された光信号を電気信号に変換して受信アンプ54に入力する。
【0058】
受信アンプ54は、受光素子53から入力された電気信号を増幅することにより、受光素子53から入力された電気信号を基の制御信号に復元し、復元した制御信号を受信バッファ55に入力する。
【0059】
受信バッファ55は、受信アンプ54から入力された制御信号を一時的に記憶し、記憶した制御信号を変換回路40に入力するとともに、自装置送信要求検出回路56に入力する。
【0060】
変換回路40は、入力された制御信号に基づいて複数のスイッチング素子を駆動する。これにより、第1制御部31から送信された制御信号に基づいて、変換回路40による電力の変換が制御される。
【0061】
自装置送信要求検出回路56は、受信バッファ55から入力された制御信号を基に、第1制御部31から自身の変換器20に対して送信データの送信が要求されているか否かの検出を行う。自装置送信要求検出回路56は、送信データの送信が要求されていないことを検出した場合に、発光素子50に対する送信イネーブルをオフし、発光素子50からの光信号の出力を禁止する。そして、自装置送信要求検出回路56は、送信データの送信が要求されたことを検出した場合に、発光素子50に対する送信イネーブルをオンし、発光素子50からの光信号の出力を許可する。
【0062】
自装置送信要求検出回路56は、例えば、送信データの送信が要求されたことを検出した場合に、発光素子50に対する送信イネーブルを所定期間オンし、所定期間の経過に応じて送信イネーブルをオンからオフに切り替える。所定期間は、例えば、送信データのデータ長などに応じて任意に変化させてもよい。
【0063】
このように、自装置送信要求検出回路56は、受信バッファ55から入力された制御信号を基に、発光素子50からの光信号の出力を禁止した状態と、発光素子50からの光信号の出力を許可した状態と、を切り替える。
【0064】
発光素子50は、送信イネーブルがオンの時(光信号の出力が許可されている時)に光信号の出力を行い、送信イネーブルがオフの時(光信号の出力が禁止されている時)には光信号の出力を行わないようにする。なお、送信データは、予め送信バッファ52に記憶させておいてもよいし、送信要求の受信に応じて生成してもよい。
【0065】
第1制御部31は、複数の変換器20に対して送信データの送信を時間的にずらして順次要求する。複数の変換器20は、送信要求の受信に応じて光信号を光分配器16に送信する。これにより、光分配器16には、複数の変換器20のそれぞれから送信された光信号が、時間的にずらして順次入力される。従って、上記のように、複数の変換器20のそれぞれから送信された光信号が、光分配器16によって1つの光信号に合流され、実質的にシリアルデータとなって第1制御部31の光伝送回路33に送信される。
【0066】
また、第1光伝送回路41は、第1制御部31からの送信要求に応じて送信データの送信を行う際に、発光素子50の点検を行うためのテストパターンを送信データに続けて送信する。第1光伝送回路41は、例えば、送信データの後に、一定期間のテストパターンを続けて送信する。なお、テストパターンは、送信データの送信毎に毎回送信してもよいし、所定のタイミングでのみ送信してもよい。テストパターンは、例えば、第1制御部31から送信データとテストパターンとの送信が要求された際に送信してもよい。
【0067】
図2に表したように、第1制御部31の光伝送回路33は、例えば、発光素子60と、光ドライバ61と、送信バッファ62と、受光素子63と、受信アンプ64と、受信バッファ65と、テストパターン検出器66と、を有する。
【0068】
送信バッファ62には、第1制御部33の他の部分で生成された制御信号が送信データとして入力される。送信バッファ62は、入力された送信データを一時的に記憶し、光ドライバ61に入力する。
【0069】
光ドライバ61は、送信バッファ62から入力された送信データに応じて発光素子60の発光及び発光の停止を切り替えることにより、発光素子60による光信号の出力を駆動する。
【0070】
発光素子60は、光ファイバケーブルを介して光分配器16と接続され、光ドライバ61の駆動に基づいて送信データに応じた光信号を光分配器16に出力する。発光素子60は、例えば、上記のように、制御信号に応じた光信号を光分配器16に出力する。これにより、第1制御部31の光伝送回路33の発光素子60から出力された光信号(制御信号)が、光分配器16を介して各変換器20の第1光伝送回路41の受光素子53に入力される。
【0071】
受光素子63は、光ファイバケーブルを介して光分配器16と接続され、光分配器16から入力された光信号を受信する。これにより、各変換器20の第1光伝送回路41の発光素子50から出力された光信号(例えばフィードバック信号)が、光分配器16を介して第1制御部31の光伝送回路33の受光素子63に入力される。受光素子63は、光分配器16から入力された光信号を電気信号に変換して受信アンプ64に入力する。
【0072】
受信アンプ64は、受光素子63から入力された電気信号を増幅することにより、受光素子63から入力された電気信号を基の信号(例えばフィードバック信号)に復元し、復元した信号を受信バッファ65に入力する。
【0073】
受信バッファ65は、受信アンプ64から入力された信号を一時的に記憶し、記憶した信号を第1制御部33の他の部分(例えば制御信号の生成を行う回路)に入力するとともに、テストパターン検出器66に入力する。
【0074】
第1制御部31は、前述のように、例えば、上位のコントローラなどから入力される指令値、及び各変換器20から受信したフィードバック信号を基に、各変換器20のそれぞれに対応する複数の制御信号を生成し、生成した複数の制御信号を対応する変換器20に入力することにより、各変換器20の動作を制御する。
【0075】
テストパターン検出器66は、受信バッファ65から入力された信号を基に、各変換器20の第1光伝送回路41から送信されたテストパターンの検出を行い、検出したテストパターンを基に、送信元の変換器20に設けられた発光素子50の点検を行う。換言すれば、テストパターン検出器66は、検出したテストパターンを基に、送信元の変換器20に設けられた発光素子50の劣化の検出を行う。
【0076】
図3は、第1の実施形態に係る電力変換装置の動作の一例を模式的に表すタイミングチャートである。
図3は、第1制御部31の光伝送回路33及び各変換器20の第1光伝送回路41の動作の一例を模式的に表している。なお、第2制御部32の光伝送回路34及び各変換器20の第2光伝送回路42の動作は、第1制御部31の光伝送回路33及び各変換器20の第1光伝送回路41の動作と実質的に同じであるから、具体的な説明は省略する。
【0077】
図3に表したように、第1制御部31は、複数の変換器20に対して送信データの送信を時間的にずらして順次要求する。送信データの送信要求は、例えば、複数の変換器20を識別するための識別情報を含む。各変換器20は、送信要求に含まれる識別情報を基に、自身に対する送信要求であるか否かを判定する。
【0078】
各変換器20は、自身に対する送信要求の受信に応じて送信データを第1制御部31に送信するとともに、テストパターンを送信データに続けて第1制御部31に送信する。各変換器20のそれぞれから光信号となって送信された送信データは、光分配器16によって1つの光信号に合流され、実質的にシリアルデータとなって第1制御部31の光伝送回路33に送信される。
【0079】
図4は、第1の実施形態に係る電力変換装置の動作の一例を模式的に表すタイミングチャートである。
図4は、所定の変換器20において、自装置送信要求検出回路56から発光素子50に入力される送信イネーブルと、送信バッファ52に入力される送信信号と、送信信号に基づいて発光素子50から出力される光出力信号と、第1制御部31の受光素子63で受信された光受信信号と、光受信信号に基づいて受信アンプ64から出力される受信信号と、のそれぞれの一例を表している。また、
図4は、初期状態における各信号と、経年劣化状態における各信号と、の一例を表している。
【0080】
図4に表したように、第1制御部31から所定の変換器20に対して送信データの送信が要求されると、送信データの送信要求が自装置送信要求検出回路56によって検出され、送信バッファ52に所定の送信信号が入力されるとともに、発光素子50に対する送信イネーブルがオフからオンに切り替えられる。送信信号は、送信データを表す信号と、送信データに続けて設けられたテストパターンを表す信号と、を含む。
【0081】
送信イネーブルがオンに切り替わると、光ドライバ51の駆動に基づいて、送信バッファ52に入力された送信信号に応じた光出力信号が、発光素子50から出力される。これにより、送信データ及びテストパターンが第1制御部31に送信される。
【0082】
なお、光出力信号は、安定した出力となるまでに時間がかかる場合がある。換言すれば、発光素子50の発光量は、安定した光量となるまでに時間がかかる場合がある。このため、光出力信号は、送信イネーブルのオンのタイミングから徐々に大きくなって所定の出力となる。発光素子50の発光量は、送信イネーブルのオンのタイミングから徐々に大きくなって所定の光量となる。
【0083】
送信データは、例えば、パルス状の信号である。送信データは、例えば、発光素子50の発光及び発光素子50の発光の停止によってデジタル値の「0」及び「1」を表すデジタル信号である。送信データは、例えば、フィードバック信号の内容をデジタル信号によって表す。
【0084】
テストパターンは、例えば、所定の周期でオン、オフを繰り返すパルス状の信号である。テストパターンは、
図4に表したように、発光素子50の光量を徐々に低下させる信号である。第1光伝送回路41(自装置送信要求検出回路56)は、例えば、テストパターンの送信中に発光素子50に対する送信イネーブルをオンからオフに切り替える。送信イネーブルをオンからオフに切り替えると、発光素子50の光量は、急激には低下せず、徐々に低下する。これにより、発光素子50の光量を徐々に低下させるテストパターンを送信することができる。
【0085】
但し、発光素子50の光量を徐々に低下させるテストパターンの送信方法は、上記に限定されるものではない。例えば、テストパターンの送信中に発光素子50に印加する電圧を徐々に低下させることによって、発光素子50の光量を徐々に低下させてもよい。テストパターンの送信方法は、発光素子50の光量を徐々に低下させることが可能な任意の方法でよい。
【0086】
第1制御部31は、前述のように、受光素子63によって受信された送信データを基に、対応する変換器20の制御信号の生成を行う。第1制御部31は、例えば、デジタル信号の送信データを基に、フィードバック信号などの内容の認識を行う。
【0087】
図4に表したように、変換器20の発光素子50から出力される光出力信号は、経年劣化によって徐々に低下する。このため、発光素子50の光量を徐々に低下させるテストパターンを送信した場合、第1制御部31の光伝送回路33の受光素子63によって受信されるテストパターンの受信期間は、発光素子50の経年劣化による光出力信号の低下に応じて短くなる。
【0088】
テストパターン検出器66は、上記のテストパターンの受信期間の変化を基に、送信元の変換器20に設けられた発光素子50の劣化の検出を行う。テストパターン検出器66は、テストパターンの受信期間が、所定時間以下となった際に、送信元の変換器20に設けられた発光素子50の劣化を検出する。テストパターン検出器66は、例えば、テストパターンの受信期間に対して複数の閾値を設定し、テストパターンの受信期間の長さに応じて発光素子50の劣化具合を段階的に検出してもよい。
【0089】
第1制御部31は、例えば、テストパターン検出器66によって複数の変換器20のいずれかの発光素子50の劣化が検出された際に、該当する変換器20の発光素子50の劣化の検出の報知を行う。第1制御部31(制御装置14)は、例えば、表示部(図示は省略)を有し、該当する変換器20の発光素子50の劣化の検出を表示部に表示することにより、該当する変換器20の発光素子50の劣化の検出の報知を行う。これにより、所定の変換器20の発光素子50の劣化の検出を作業員などに適切に知らせることができる。
【0090】
但し、発光素子50の劣化の検出の報知の態様は、上記に限るものではない。例えば、スマートフォンやタブレット端末など、作業員などが携帯する携帯端末に情報を送信し、携帯端末の表示部に表示することにより、発光素子50の劣化の検出を報知してもよい。発光素子50の劣化の検出の報知の態様は、発光素子50の劣化の検出を作業員などに対して適切に報知可能な任意の態様でよい。
【0091】
制御装置14は、例えば、発光素子50の劣化の検出の情報を記憶し、作業員などの操作に基づいて、表示部などに発光素子50の劣化の検出を表示するようにしてもよい。制御装置14は、必ずしも発光素子50の劣化の検出に応じて自動的に発光素子50の劣化の検出の報知を行わなくてもよい。
【0092】
また、制御装置14は、例えば、第1制御部31及び第2制御部32の運転系において所定の変換器20の発光素子50の劣化が検出された際に、第1制御部31及び第2制御部32の運転系及び待機系の切り替えを行ってもよい。
【0093】
このように、本実施形態に係る電力変換装置10では、主回路部12が、光信号を出力して制御装置14と光通信を行うための発光素子50を有し、所定の送信データを発光素子50から制御装置14に送信する際に、発光素子50の点検を行うためのテストパターンを送信データに続けて送信する。テストパターンは、発光素子50の光量を徐々に低下させる信号であり、制御装置14は、テストパターンの受信期間が、所定時間以下となった際に、発光素子50の劣化を検出する。
【0094】
これにより、本実施形態に係る電力変換装置10では、例えば、主回路部12に光量測定器を接続して発光素子50の光量を逐一測定する手間などを抑制することができる。本実施形態に係る電力変換装置10では、主回路部12の課電中に発光素子50の劣化の検出を行うことができる。従って、本実施形態に係る電力変換装置10では、光通信に用いられる発光素子50の点検をより効率よく行うことができる。
【0095】
また、本実施形態に係る電力変換装置10では、例えば、定期点検の際に、劣化の検出された発光素子50の点検や交換などの保守のみを少なくとも行えばよく、複数の発光素子50の全ての点検を行う手間などを省くことができる。従って、主回路部12が複数の発光素子50を有する場合にも、例えば、光量測定器を接続することにより、複数の変換器20のそれぞれに設けられた複数の発光素子50の光量を逐一測定し、複数の発光素子50の点検を行う場合などと比べて、複数の発光素子50の点検にかかる手間を抑制することができる。例えば、一回の点検に必要となる時間を短くすることもできる。
【0096】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る光伝送回路の一例を模式的に表すブロック図である。
図5は、第2制御部32の光伝送回路34の一例を模式的に表している。なお、上記第1の実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0097】
図5に表したように、この例において、第2制御部32の光伝送回路34は、光量測定器67をさらに有する。この例において、受光素子63は、光分配器16を介して各変換器20から入力された光信号を電気信号に変換して受信アンプ64に入力するとともに、光量測定器67に入力する。
【0098】
光量測定器67は、受光素子63から入力された電気信号を基に、変換器20の発光素子50の光量(光パワー)の測定を行う。光量測定器67は、例えば、変換器20の発光素子50の光量の平均値を測定する。光量測定器67は、例えば、変換器20の発光素子50から出力されるパルス状の光信号の光量の平均値を測定する。
【0099】
光量測定器67は、例えば、変換器20の発光素子50の光量のピーク値を測定してもよい。但し、ピーク値(ピークパワー)を検出する方式は、高速で検出し、処理する必要があり、装置の複雑化や高額化の要因となってしまう虞がある。上記のように、発光素子50の光量の平均値を測定する構成とすることにより、装置の複雑化や高額化を抑制しつつ、発光素子50の光量を適切に測定することができる。
【0100】
光量測定器67は、測定した発光素子50の光量を基に、送信元の変換器20に設けられた発光素子50の点検を行う。換言すれば、光量測定器67は、測定した発光素子50の光量を基に、送信元の変換器20に設けられた発光素子50の劣化の検出を行う。光量測定器67は、測定した発光素子50の光量が、所定値以下となった際に、送信元の変換器20に設けられた発光素子50の劣化を検出する。
【0101】
図6は、第2の実施形態に係る電力変換装置の動作の一例を模式的に表すタイミングチャートである。
図6は、第2制御部32の光伝送回路34及び各変換器20の第2光伝送回路42の動作の一例を模式的に表している。
【0102】
第2制御部32は、待機系である際に、
図6に表したように、光量測定用の信号の送信を複数の変換器20に対して要求する。第2制御部32の光伝送回路34から出力された光量測定用の信号の送信要求は、光分配器18を介して複数の変換器20のそれぞれの第2光伝送回路42に入力される。光量測定用の信号の送信要求は、例えば、複数の変換器20を識別するための識別情報を含む。各変換器20は、送信要求に含まれる識別情報を基に、自身に対する送信要求であるか否かを判定する。
【0103】
各変換器20は、自身に対する光量測定用の信号の送信要求を受信したことに応じて、第2制御部32に対応する第2光伝送回路42の発光素子50から光量測定用の信号を第2制御部32に送信する。
【0104】
第2制御部32の光伝送回路34は、各変換器20から光量測定用の信号を受信すると、受信した光量測定用の信号を光量測定器67に入力することにより、送信元の変換器20に設けられた発光素子50の劣化の検出を行う。
【0105】
電力変換装置10の構成では、第2制御部32が待機系の制御部である場合には、第2制御部32は、光分配器18を介して各変換器20の第2光伝送回路42と自由に通信を行うことができる。この例では、これを利用し、各変換器20の待機系の制御部に対応する光伝送回路に設けられた発光素子50の劣化の検出を行う。
【0106】
このように、この例では、第1制御部31及び第2制御部32のうちの待機系の制御部が、光量測定用の信号の送信を主回路部12に対して要求する。主回路部12は、第1光伝送回路41及び第2光伝送回路42のうちの待機系の制御部に対応する光伝送回路の発光素子50から光量測定用の信号を送信する。待機系の制御部は、受信した光量測定用の信号を基に、発光素子50の光量の測定を行う。
【0107】
これにより、本実施形態においては、主回路部12(各変換器20)の待機系の制御部に対応する光伝送回路に設けられた発光素子50の点検をより効率よく行うことができる。本実施形態においては、各変換器20の待機系の制御部に対応する光伝送回路に設けられた発光素子50の光量を測定することで、例えば、発光素子50の劣化推移データを取得でき、発光素子50の保守点検データとして活用することができる。制御装置14は、例えば、発光素子50の光量の測定結果を劣化推移データとして記憶する。
【0108】
また、第2制御部32は、
図6に表したように、複数の変換器20に対して光量測定用の信号の送信を時間的にずらして順次要求する。さらに、第2制御部32は、複数の変換器20のうちの1つの変換器20に対して、光量測定用の信号の送信要求を連続して複数回送信する。
【0109】
光量測定器67は、例えば、変換器20から連続して複数回送信される光量測定用の信号を基に、変換器20の発光素子50の光量の平均値を測定する。光量測定器67は、測定した発光素子50の光量の平均値が、所定値以下となった際に、送信元の変換器20に設けられた発光素子50の劣化を検出する。
【0110】
上記のように、複数の変換器20に対して光量測定用の信号の送信を時間的にずらして順次要求する場合に、光量測定用の信号の一回の送信(一回のパケット)では、発光素子50の光量の平均値を適切に測定することが難しい場合がある。従って、このような場合には、上記のように、1つの変換器20に対して光量測定用の信号の送信要求を連続して複数回送信し、1つの変換器20から連続して複数回送信される光量測定用の信号を基に、変換器20の発光素子50(第1光伝送回路41又は第2光伝送回路42の発光素子50)の光量の平均値を測定する。これにより、発光素子50の光量をより適切に測定することができる。換言すれば、発光素子50の劣化をより適切に検出することができる。この際、連続して送信する光量測定用の信号の回数は、発光素子50の光量の平均値を適切に測定可能な任意の回数でよい。
【0111】
制御装置14は、運転系の制御部については、例えば、上記第1の実施形態と同様に、各変換器20から送信されるテストパターンの受信期間の変化を基に、送信元の変換器20に設けられた発光素子50の劣化の検出を行う。
【0112】
制御装置14は、例えば、第1制御部31及び第2制御部32の運転系及び待機系を所定のタイミングで切り替えることにより、各変換器20の第1光伝送回路41及び第2光伝送回路42のそれぞれの発光素子50の光量の測定を行ってもよい。運転系及び待機系の切り替えのタイミングは、運転系の動作状況などに応じて適宜変更してもよい。運転系及び待機系の切り替えのタイミングは、切り替えが可能な任意のタイミングでよい。
【0113】
また、第1制御部31及び第2制御部32の運転系及び待機系の切り替えを行う場合には、第1制御部31及び第2制御部32の光伝送回路33、34は、テストパターン検出器66を有しなくてもよい。すなわち、待機系における発光素子50の光量の測定のみを行ってもよい。
【0114】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0115】
10…電力変換装置、 12…主回路部、 14…制御装置、 16、18…光分配器、 20…変換器、 31…第1制御部、 32…第2制御部、 33、34…光伝送回路、 41…第1光伝送回路、 42…第2光伝送回路、 43…第1伝送異常検出回路、 44…第2伝送異常検出回路、 45…第1開閉器、 46…第2開閉器、 47…選択回路、 50…発光素子、 51…光ドライバ、 52…送信バッファ、 53…受光素子、 54…受信アンプ、 55…受信バッファ、 56…自装置送信要求検出回路、 60…発光素子、 61…光ドライバ、 62…送信バッファ、 63…受光素子、 64…受信アンプ、 65…受信バッファ、 66…テストパターン検出器、 67…光量測定器