(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127032
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】サポーター
(51)【国際特許分類】
A41D 13/05 20060101AFI20240912BHJP
A41C 1/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A41D13/05 125
A41C1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035867
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】510201562
【氏名又は名称】ディーエムチェーン協同組合
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】浦山 薫
(72)【発明者】
【氏名】▲かせ▼野 寛揮
【テーマコード(参考)】
3B131
3B211
【Fターム(参考)】
3B131AA02
3B131AB11
3B131BA11
3B131BA21
3B131BB36
3B211AA01
3B211AB08
3B211AC17
(57)【要約】
【課題】腰方形筋を外側から内側に向かって押圧、支持するサポーターを提供する。
【解決手段】サポーター100は、着用者の腰部に巻回されて装着され、着用者の左腰部に巻回される左ベルト部7と、着用者の右腰部に巻回される右ベルト部8と、左ベルト部7及び右ベルト部8を連結し、長手方向に伸縮性を有する帯状体からなる連結部9と、連結部9に固着される伸縮性を有する支持部2の両側に支持される一対の連結鐶3、4に遊挿される帯状体からなる一対のバンド部5、6とを備え、左ベルト部7及び右ベルト部8が、少なくとも着用者の腰方形筋に対応する部位近傍に復元力を有する板状体10を収納する押圧部11、12を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腰部に巻回されて装着されるサポーターであって、
着用者の左腰部に巻回される左ベルト部と、
着用者の右腰部に巻回される右ベルト部と、
前記左ベルト部及び前記右ベルト部を連結し、長手方向に伸縮性を有する帯状体からなる連結部と、
前記連結部に固着される伸縮性を有する支持部の両側に支持される一対の連結鐶に遊挿される帯状体からなる一対のバンド部とを備え、
前記左ベルト部及び前記右ベルト部が、少なくとも着用者の腰方形筋に対応する部位近傍に復元力を有する板状体を収納する押圧部を備えることを
特徴とするサポーター。
【請求項2】
請求項1に記載のサポーターにおいて、
前記板状体が、内側から外側に向かって厚く形成されることを
特徴とするサポーター。
【請求項3】
請求項1に記載のサポーターにおいて、
前記板状体が、下辺が上辺よりも外側に向かって長い四角形状に形成されることを
特徴とするサポーター。
【請求項4】
請求項1に記載のサポーターにおいて、
前記左ベルト部及び前記右ベルト部が、前記板状体を収納可能な袋状体を複数有することを
特徴とするサポーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰方形筋を外側から内側に向かって押圧、支持するサポーターに関する。
【背景技術】
【0002】
腰方形筋は、腹筋群の一つで、腰椎の両側にある深層筋であり、腸骨稜、腸腰靭帯から起始し、第12肋骨、第1ないし第4腰椎の横突起に停止する。
この腰方形筋の作用としては、第12肋骨の下制、体幹(腰椎)の側屈及び伸展、骨盤の挙上などが挙げられ、荷物の持ち上げ動作や、身体を回旋するゴルフ等のスポーツを行う際に活躍する。
【0003】
このような腰方形筋は、左右いずれかの筋肉が硬くなったり、弱くなったりすると、骨盤の左右の高さに差が生じ、その結果、腰痛などの症状を引き起こす原因となる。また、側腹部の安定性を維持できなくなり、姿勢保持にも大きく影響をきたす場合もある。
【0004】
このような中で、腰部を支持、保護するものとして各種サポーターが開発されている。
例えば、従来の腰部サポーターは、本体ベルトと、この本体ベルトの上面に設けられ、前記本体ベルトへの締めつけ具合を調整する補助ベルトからなり、前記本体ベルトは、この本体ベルトの中央部付近に、縦方向に延びる第1ボーンを有し、前記第1ボーンの外側左右に縦方向に延びる第2ボーンを有し、前記第1ボーンと前記第2ボーンの長さの関係が「前記第2ボーン≧前記第1ボーン」であるものが存在する(特許文献1参照)。
【0005】
また、従来の腰用サポータは、伸縮性を有する材料によって構成された人間の身体の腰部に巻回可能な長さを有する帯状の腰用サポータにおいて、その長さ方向が水平方向になるように展開した状態で、左右の両端部のそれぞれには、互いを重ね合わせたときに係止状態となる着脱自在な係止手段が配設され、前記帯状の腰用サポータの形状は、前記長さ方向の中央部を上下に通る中心線に対して略対称的となるような形状に形成され、且つ、その上縁部が、前記長さ方向の中央部で最も高く、且つ左右の両端部が最も低くなるように湾曲して形成され、前記中心線に対して対称的になるような位置に配設された複数個の支持部材であって、前記帯状の腰用サポータの上縁部から下縁部に至るように延長している複数個の支持部材を具えている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-107219号公報
【特許文献2】特開2010-207436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の腰部サポーターは、第1ボーンで第3腰椎~第5腰椎を支持するとともに、第1ボーンよりも外側にある第2ボーンで第1腰椎~仙腸関節までを支持するものである。ここで、仙腸関節は、仙骨と腸骨との間にある関節である。
当該腰部サポーターは、第1ボーン及び第2ボーンを上述したように配設することで、腰痛の防止・治療や骨盤矯正を行うものであるが、腸骨稜等から起始し、第12肋骨、第1ないし第4腰椎の横突起に停止する腰方形筋を対象として、支持、保護するものではない。
【0008】
また、特許文献2に記載の腰用サポータは、支持部材(特に、支持部材21a、21b、・・・23b)を腰用サポータの上縁部から下縁部にハの字状に配設し、着用者の運動動作を妨げることなく、背骨と腰骨との間の関節の形状をS字状カーブにする形成するものである。この支持部材が腰方形筋を対象とするものであるかは明らかではないものの、当該支持部材は、腰部を広い範囲で支持するとともに、支持部材の配設面と直交する方向に向けて支持するものであり、体幹の側屈動作等を効果的に支持するものではない。
【0009】
本発明は、上記課題を解消するためになされたものであり、腰方形筋を外側から内側に向かって押圧、支持するサポーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るサポーターは、着用者の腰部に巻回されて装着されるサポーターであって、着用者の左腰部に巻回される左ベルト部と、着用者の右腰部に巻回される右ベルト部と、前記左ベルト部及び前記右ベルト部を連結し、長手方向に伸縮性を有する帯状体からなる連結部と、前記連結部に固着される伸縮性を有する支持部の両側に支持される一対の連結鐶に遊挿される帯状体からなる一対のバンド部とを備え、前記左ベルト部及び前記右ベルト部が、少なくとも着用者の腰方形筋に対応する部位近傍に復元力を有する板状体を収納する押圧部を備えるものである。
【0011】
このように本発明においては、左ベルト部、右ベルト部、左ベルト部及び右ベルト部を連結する連結部、並びに連結部に固着される支持部の両側に支持される一対のバンド部とを備え、左ベルト部及び右ベルト部が、少なくとも着用者の腰方形筋に対応する部位近傍に復元力を有する板状体を収納する押圧部を有することから、左ベルト部及び右ベルト部を巻回して着用者の腰回りにサポーターを仮固定し、伸縮性を有する支持部の両側に支持された一対のバンド部を支持部を伸びきった状態まで引張し、押圧部を外側から内側に向けて押圧しながら左ベルト部及び右ベルト部に係着させることとなり、着用者の腰方形筋を押圧部で外側から内側に向けて押圧して支持し、腰方形筋が作用する体幹の伸展動作等だけでなく、体幹の側屈動作も効果的にサポートすることができる。
【0012】
本発明に係るサポーターは、必要に応じて、板状体が、内側から外側に向かって厚く形成されるものである。
【0013】
このように本発明においては、内側から外側に向かって厚く形成される板状体を有することから、板状体の肉厚に形成された領域で着用者の腰方形筋外側を包み込むようにして捉えることとなり、より確実に着用者の腰方形筋を押圧部で外側から内側に向けて押圧、支持して、腰方形筋が作用する体幹の側屈動作をより効果的にサポートすることができる。
【0014】
本発明に係るサポーターは、必要に応じて、前記板状体が、下辺が上辺よりも外側に向かって長い四角形状に形成されるものである。
【0015】
このように本発明においては、下辺が上辺よりも外側に向かって長い四角形状に形成される板状体を有することから、板状体が腸骨稜、腸腰靭帯から起始し、第12肋骨、第1ないし第4腰椎の横突起に停止する腰方形筋の形状に近似することとなり、板状体の上辺と下辺とを結ぶ外側に向かって傾斜した辺で腰方形筋側端部を捉えて、より確実に着用者の腰方形筋を押圧部で外側から内側に向けて押圧、支持することができる。
【0016】
本発明に係るサポーターは、必要に応じて、前記左ベルト部及び前記右ベルト部が、前記板状体を収納可能な袋状体を複数有するものである。
【0017】
このように本発明においては、板状体を収納可能な袋状体を左ベルト部及び右ベルト部それぞれが複数有することから、任意の袋状体に板状体を収納可能となり、着用者の体型に合わせて板状体の配設位置を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るサポーターの展開状態を示す背面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るサポーターの展開状態を示す正面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るサポーターの装着方法を示す概略図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るサポーターの装着方法を示す概略図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るサポーターにおける板状体の作用について説明するための概略図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るサポーターにおける板状体の概略図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態に係るサポーターにおける板状体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るサポーターについて、
図1及び
図2を用いて説明する。本実施形態の全体を通して、同じ要素には同じ符号を付している。
【0020】
本実施形態に係るサポーター100は、着用者の腰部に巻回されて装着されるものであり、本体部1と、本体部1に固着され、伸縮性を有する支持部2と、支持部2の両側に支持された一対の連結鐶3、4に遊挿される、帯状体からなる一対のバンド部(左バンド部5、右バンド部6)とを備えて構成される。
サポーター100は、連結部9の中心線を対称軸として、線対称の平面形状に形成されている。
【0021】
本体部1は、着用者の左腰部に巻回される左ベルト部7と、着用者の右腰部に巻回される右ベルト部8と、本体部1の中央部分に位置して左ベルト部7及び右ベルト部8を連結し、長手方向に伸縮性を有する帯状体からなる連結部9とを備える。上記支持部2は、連結部9に固着されている。
サポーター100は、連結部9の中心線を対称軸として、線対称の平面形状に形成されている。
【0022】
左ベルト部7及び右ベルト部8は、その縁(断ち目)をバインダーテープ14、14で挟み込み縫い付けているが、縁縫いやバイアス縁どり縫い等により、左ベルト部7及び右ベルト部8の断ち目におけるほつれ防止や装飾を施してもよい。
【0023】
連結部9と、左ベルト部7及び右ベルト部8とは、連結部9の両側に左ベルト部7の一端(連結部9側)と右ベルト部8の一端(連結部9側)とをそれぞれ縫着することにより連結される。
【0024】
左ベルト部7及び右ベルト部8は、基材として、ニードル織機により製織され、ポリウレタン糸及びポリエステル糸に加えて、生地の折れを防ぐためにナイロン製のモノフィラメント(単繊維)糸を織り込んだパワーネット生地からなり、長手方向の伸縮性を与えるとともに、短手方向の伸縮性を抑制した織地である。
また、左ベルト部7及び右ベルト部8は、織地自体がメッシュ構造とされ、通気性に優れている。
【0025】
左ベルト部7は、連結部9側に配設され、伸縮性を有する伸縮部7aと、伸縮部7aに隣接して配設され、伸縮性を有しない非伸縮部7bとを有する。
同様に、右ベルト部8は、連結部9側に配設され、伸縮性を有する伸縮部8aと、伸縮部8aに隣接して配設され、伸縮性を有しない非伸縮部8bとを有する。
【0026】
左ベルト部7における非伸縮部7bの表地面(着用者とは反対側の面)には、面ファスナーのループ面で形成された被係着部7cが配設されている。
また、右ベルト部8における非伸縮部8bの表地面(着用者とは反対側の面)には、面ファスナーのループ面で形成された被係着部8cが配設されるとともに、非伸縮部8bの裏地面(着用者側の面)の他端側(サポーター100の右端側)に面ファスナーのフック面で形成された係着部8dが配設されている。
すなわち、左ベルト部7においては、被係着部7cが配設される領域が非伸縮部7bに相当し、被係着部7cが配設されていない領域が伸縮部7aに相当する。
また、右ベルト部8においては、被係着部8cが配設される領域が非伸縮部8bに相当し、被係着部8cが配設されていない領域が伸縮部8aに相当する。
【0027】
なお、右ベルト部8における係着部8dは、左ベルト部7における非伸縮部7bの裏地面の他端側(サポーター100の左端側)に配設してもよい。
【0028】
左ベルト部7の一端寄り(連結部9側)及び右ベルト部8の一端寄り(連結部9側)には、少なくとも着用者の腰方形筋に対応する部位近傍に、復元力を有する板状体10を収納する押圧部11、12がそれぞれ配設される。
【0029】
押圧部11、12は、左ベルト部7及び右ベルト部8の基材であるパワーネット生地に対し、ポリエステル糸を用いてニードル織機により製織されるグログランテープを裏地面側から縁部を縫製することにより袋状体に形成されている。
【0030】
板状体10は、略矩形の平面形状であり、角部が丸められている。
板状体10は、人の力で湾曲させる程度は可能であるものの、折曲げ困難な程度の復元力(強度)を有する比較的硬質の薄板材、例えば、合成樹脂(ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン等)製パネル等からなる。
【0031】
なお、押圧部11、12は、開口部を有しない袋状体に形成されているが、例えば、その上端に開口部を形成し(押圧部11、12の上端を各ベルト部7、8に縫製せずに)、収納される板状体10を挿抜可能とすることもできる。
板状体10を挿抜可能とすることにより、板状体10の材質の変更等により、押圧部11、12の硬度の調整を行うことができるとともに、押圧部11、12から板状体10を取り外せることで、サポーター100を洗濯することができ、衛生的であるために好ましい。
【0032】
また、押圧部11、12に開口部を形成する場合、左ベルト部7の伸縮部7a及び右ベルト部8の伸縮部8aに複数の袋状体を形成し、袋状体に収納する板状体10の位置を着用者の体型に合わせて変更可能とすることもできる。
以上のように、板状体10を収納可能な袋状体を左ベルト部7及び右ベルト部8それぞれが複数有することから、任意の袋状体に板状体10を収納可能となり、着用者の体型に合わせて板状体10の配設位置を変更することができる。
【0033】
左ベルト部7は、その縁を被係着部7cの縁とともにバインダーテープ14で挟み込んで縫い付けられている。
また、左ベルト部7は、バインダーテープ14の一端を左ベルト部7の一端側(連結部9側)に配設し、バインダーテープ14を左ベルト部7の縁を周回させて、再度バインダーテープ14の他端を左ベルト部7の一端側に配設させている。バインダーテープ14の一端及び他端を含む左ベルト部7の一端は、裏地面側に折り返され、この折り返し部分に連結部9が重ねられた状態で連結部9に縫着されている。これにより、バインダーテープ14の一端及び他端がサポーター100の表面から突出することを抑制し、サポーター100の美観を損なうことがないとともに、装着性を向上させている。
【0034】
同様に、右ベルト部8は、その縁を被係着部8cの縁とともにバインダーテープ14で挟み込んで縫い付けられている。
また、右ベルト部8は、バインダーテープ14の一端を右ベルト部8の一端側(連結部9側)に配設し、バインダーテープ14を右ベルト部8の縁を周回させて、右ベルト部8の他端側で右ベルト部8と係着部8dとで挟み込み、再度バインダーテープ14の他端を右ベルト部8の一端側に配設させている。バインダーテープ14の一端及び他端を含む右ベルト部8の一端は、表地面側に折り返され、この折り返し部分に連結部9が重ねられた状態で連結部9に縫着されている。
【0035】
また、左ベルト部7における非伸縮部7bの裏地面には、上端及び下端間を横断するようにグログランテープ7dが配設され、このグログランテープ7dと被係着部7cとで左ベルト部7本体を挟み込み、これらが互いに縫着されている。
同様に、右ベルト部8における非伸縮部8bの裏地面には、上端及び下端間を横断するようにグログランテープ8eが配設され、このグログランテープ8eと被係着部8cとで右ベルト部8本体を挟み込み、これらが互いに縫着されている。
これにより、サポーター100を装着する際に、各ベルト部7、8が被係着部7c、8cと離れて浮いた状態とならず、快適にサポーター100を装着することができる。
【0036】
連結部9は、長手方向(左右方向)に伸縮性を有する帯状体からなり、左ベルト部7と右ベルト部8とを連結する。
【0037】
連結部9は、基材として、ニードル織機により製織され、ポリウレタン糸及びポリエステル糸に加えて、生地の折れを防ぐためにナイロン製のモノフィラメント(単繊維)糸を織り込んだパワーネット生地からなり、長手方向の伸縮性を与えるとともに、短手方向の伸縮性を抑制した織地である。
【0038】
なお、連結部9は、左ベルト部7及び右ベルト部8の裏地面に縫着されているが、左ベルト部7及び右ベルト部8の表地面に縫着されるようにしてもよい。この際、左ベルト部7の一端及び右ベルト部8の一端は、各ベルト部7、8の表地面側に折り返され、この折り返し部分に連結部9が重ねられた状態で連結部9に縫着される。これにより、装着する際に着用者側となるサポーター100の当接面がより平坦となり、装着性が向上する。
【0039】
また、連結部9の中心線上には、支持部2が縫着されている。
【0040】
支持部2は、長手方向(左右方向)に伸縮性を有する帯状体からなり、支持部2の中心線と連結部9の中心線とが重なるように当該中心線上にて互いに縫着されている。
支持部2は、基材として、ニードル織機により製織され、ポリウレタン糸及びポリエステル糸に加えて、生地の折れを防ぐためにナイロン製のモノフィラメント(単繊維)糸を織り込んだパワーネット生地からなり、長手方向の伸縮性を与えるとともに、短手方向の伸縮性を抑制した織地である。
【0041】
支持部2の長手方向における伸縮力は、連結部9の長手方向における伸縮力よりも大きく形成されており、これにより、後述する一対のバンド部5、6が、より効果的に板状体10を着用者の腰方形筋を脊柱側に押圧しながら支持することができる。
【0042】
支持部2の両側には、一対のバンド部5、6を挿通させる連結鐶3、4が支持されている。
【0043】
連結鐶3、4は、環状であり、一対のバンド部5、6の一端及び他端間を摺動可能に配設される。
連結鐶3、4は、金型成形機により成形される平カンであり、素材としてポリアセタールを使用することにより、高硬度、柔軟性及び耐熱性を兼ね備えている。
【0044】
一対のバンド部5、6は、伸縮性を有しない帯状体からなり、例えば、ポリエステル糸を用いてニードル織機により製織することができる。
【0045】
左バンド部5は、連結鐶3に遊挿されており、左ベルト部7の表地面において、その一端が左ベルト部7の非伸縮部7bの右端側で被係着部7cと左ベルト部7との間に挟み込まれた状態で固着され、その他端が被係着部7cに係着可能とされる。
【0046】
また、左バンド部5は、左バンド部5の他端であって、左ベルト部7の被係着部7cに対向する面に、左ベルト部7の被係着部7cに係着する面ファスナーのフック面で形成された係着部5aが配設されている。
なお、本実施形態においては、左バンド部5の係着部5aとして面ファスナーのフック面を用い、このフック面を左ベルト部7の被係着部7cとしての面ファスナーのループ面に係着させる構成としているが、この構成に限られるものではなく、例えば、前述したように、ボタン等を用いて、左ベルト部7の他端側に左バンド部5の他端を係着させるようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態に係る左バンド部5は、他端となる基材の端部を折り返し(返し構造)、係着部5aを折り返し部分(返し構造)に重畳させて縫製することにより、他端の厚みが厚くなり、左バンド部5を連結鐶3から脱落することを防止するとともに、着用者がサポーター100を装着する際に左バンド部5の他端を把持しやすく、装着性を向上させることができるようになっている。
【0048】
同様に、右バンド部6は、連結鐶4に遊挿されており、右ベルト部8の表地面において、その一端が右ベルト部8の非伸縮部8bの右端側で被係着部8cと右ベルト部8との間に挟み込まれた状態で固着され、その他端が被係着部8cに係着可能とされる。
【0049】
また、右バンド部6は、右バンド部6の他端であって、右ベルト部8の被係着部8cに対向する面に、右ベルト部8の被係着部8cに係着する面ファスナーのフック面で形成された係着部6aが配設されている。
なお、本実施形態においては、右バンド部6の係着部6aとして面ファスナーのフック面を用い、このフック面を右ベルト部8の被係着部8cとしての面ファスナーのループ面に係着させる構成としているが、この構成に限られるものではなく、例えば、前述したように、ボタン等を用いて、右ベルト部8の他端側に右バンド部6の他端を係着させるようにしてもよい。
【0050】
また、本実施形態に係る右バンド部6は、他端となる基材の端部を折り返し(返し構造)、係着部6aを折り返し部分(返し構造)に重畳させて縫製することにより、他端の厚みが厚くなり、右バンド部6を連結鐶4から脱落することを防止するとともに、着用者がサポーター100を装着する際に右バンド部6の他端を把持しやすく、装着性を向上させることができる。
【0051】
次に、本実施形態に係るサポーター100の装着方法を、その作用効果とともに
図3ないし
図5を用いて説明する。
なお、着用者は、事前準備として、左ベルト部7の被係着部7cと左バンド部5の係着部5aとの係着、及び右ベルト部8の被係着部8cと右バンド部6の係着部6aとの係着を解いた状態とする。
この際、左バンド部5の係着部5aを左ベルト部7の被係着部7cにおける連結部9側(一端側)に仮係着させるとともに、右バンド部6の係着部6aを右ベルト部8の被係着部8cにおける連結部9側(一端側)に仮係着させておいてもよい。
【0052】
この状態で、まず、着用者は、
図3に示すように、連結部9を着用者の背部に当接させ、左ベルト部7、連結部9及び右ベルト部8を長手方向に伸長させ、左ベルト部7を着用者の左腰部に巻回させた後に、右ベルト部8を着用者の右腰部に巻回させて、右ベルト部8の係着部8dを左ベルト部7の被係着部7cに係着させる。
【0053】
次に、着用者は、
図4に示すように、左バンド部5の他端及び右バンド部6の他端を片手でそれぞれ把持し、左バンド部5及び右バンド部6を前方に引き出す。
このとき、連結鐶3は、左バンド部5の他端の動きに追従して左ベルト部7上を滑り、この連結鐶3を支持する支持部2が伸縮性を有するため、支持部2は連結鐶3の動きに追従して伸長する。同様に、連結鐶4は、右バンド部6の他端の動きに追従して右ベルト部8上を滑り、この連結鐶4を支持する支持部2が伸縮性を有するため、支持部2は連結鐶4の動きに追従して伸長する。
すなわち、支持部2は、左バンド部5及び右バンド部6の前方への引出しにともなって、左右方向に同程度に伸び切った状態となる。
【0054】
支持部2が長手方向(左右方向)に伸びきった状態となると、左バンド部5の一端が左ベルト部7を連結部9側に引き寄せるとともに、右バンド部6の一端が右ベルト部8を連結部9側に引き寄せて、連結部9が緩んだ状態となる。
この左ベルト部7及び右ベルト部8の動きに追従して、押圧部11、12の板状体10も連結部9側に引き寄せられることとなる。
【0055】
このとき、着用者の腰方形筋は、左ベルト部7及び右ベルト部8の締付けによる押圧力だけでなく、押圧部11、12上からの左バンド部5及び右バンド部6による押圧力を受けた状態となっている。
すなわち、
図5に示すように、板状体10は、着用者の腰方形筋に対して、単に押圧支持するだけでなく、外側から内側(脊柱側)に向けて押圧しながら腰方形筋を支持するようになる。これにより、体幹の伸展動作等だけでなく、体幹の側屈動作も効果的にサポートすることができる。
【0056】
そして、着用者は、腰部に対する所望の締め付け感が得られた段階で、左バンド部5の係着部5aを左ベルト部7の被係着部7cに係着させ、また、右バンド部6の係着部6aを右ベルト部8の被係着部8cに係着させ、サポーター100の装着を完了する。
【0057】
このように、本実施形態に係るサポーター100は、左ベルト部7、右ベルト部8、左ベルト部7及び右ベルト部8を連結する連結部9、並びに連結部9に固着される支持部2の両側に支持される一対のバンド部5、6とを備え、左ベルト部7及び右ベルト部8が、少なくとも着用者の腰方形筋に対応する部位近傍に復元力を有する板状体10からなる押圧部11、12を有することから、左ベルト部7及び右ベルト部8を巻回して着用者の腰回りにサポーター100を仮固定し、伸縮性を有する支持部2の両側に支持された一対のバンド部5、6を支持部2を伸びきった状態まで引張し、押圧部11、12を外側から内側に向けて押圧しながら左ベルト部7及び右ベルト部8に係着させることとなり、着用者の腰方形筋を押圧部11、12で外側から内側に向けて押圧して支持し、腰方形筋が作用する体幹の伸展動作等だけでなく、体幹の側屈動作も効果的にサポートすることができる。
【0058】
(本発明の第2の実施形態)
上記第1の実施形態に係るサポーターにおいては、押圧部に収納される板状体を矩形の平面形状とする構成としているが、これに限らず、
図6に示すように、矩形状で内側から外側に向かって厚い板状体とする構成とすることもできる。
なお、
図6には、左ベルト部の押圧部に収納される板状体を示している。
【0059】
図6(a)に示すように、押圧部11、12に収納される板状体15は、正面視において略矩形状を呈し、平面視において内側(連結部9側)から外側に向けて厚さが厚くなるように形成され、角部が丸められている。
板状体15は、着用者に当接する面が円弧状に切り欠かれた凹面からなる変化領域15aを有する。
【0060】
なお、板状体15の変化領域15aの曲率は、一定である必要はなく、適宜変更可能である。
また、板状体15の変化領域15aは、内側から外側に向けて厚さが連続的に厚くなれば、円弧状に切り欠かれた凹面(曲面)である必要はなく、例えば、平面視において略三角形状(
図6(b))の板状体16とすることもできるし、平面視において略扇形状(
図6(c))の板状体17を用いることもできる。
さらに、板状体15は、着用者に当接する側に変化領域15aが形成されていればよく、内側から外側に向けて厚さの変化しない平坦領域を有していてもよい。例えば、
図6(d)に示すように、内側(連結部9側)に変化領域18aが形成され、この変化領域18aに連続して、外側に平坦領域18bを有する板状体18を用いることもできる。
【0061】
このように本実施形態に係るサポーター100は、内側から外側に向かって厚く形成される板状体15を有することから、板状体15の肉厚に形成された領域で着用者の腰方形筋外側を包み込むようにして捉えることとなり、より確実に着用者の腰方形筋を押圧部11、12で外側から内側に向けて押圧、支持して、腰方形筋が作用する体幹の側屈動作をより効果的にサポートすることができる。
【0062】
なお、板状体15は、平面視において外側から内側(連結部9側)に向けて厚さが厚くなるように形成されていてもよい。例えば、
図6(e)に示すように、内側が肉厚に形成された流線形状の板状体19を用いることもできる。この場合、板状体19を収容する押圧部11、12は、着用者の腰方形筋に対して、対向する位置ではなく、腰方形筋よりも身体外側に位置するように配設され、板状体19内側の肉厚部分で腰方形筋を外側から内側に向かって押圧、支持することとなる。
【0063】
(本発明の第3の実施形態)
上記第1の実施形態に係るサポーターにおいては、押圧部に収納される板状体を正面視において矩形状とする構成としているが、これに限らず、
図7に示すように、正面視において台形状である板状体とする構成とすることもできる。
なお、
図7には、左ベルト部の押圧部に収納される板状体を示している。
【0064】
図5に示したように、腰方形筋は、腸骨稜、腸腰靭帯から起始し、第12肋骨、第1ないし第4腰椎の横突起に停止しており、その形状は、台形状に近いものとなっている。
【0065】
板状体20は、上述したような腰方形筋の形状に合わせて、下辺20bが上辺20aよりも外側に向かって長く延在し、上下方向に延びる内側の辺20cは上辺20a及び下辺20bに対して垂直で、内側の辺20cに対向する外側の辺20dは上辺20aから下辺20bに向かって外側に向かって傾斜した略台形状に形成され、角部が丸められている。
【0066】
このように本実施形態に係るサポーター100は、下辺20bが上辺20aよりも外側に向かって長い四角形状に形成される板状体20を有することから、板状体20が腸骨稜、腸腰靭帯から起始し、第12肋骨、第1ないし第4腰椎の横突起に停止する腰方形筋の形状に近似することとなり、板状体20の上辺20aと下辺20bとを結ぶ外側に向かって傾斜した辺20dで腰方形筋側端部を捉えて、より確実に着用者の腰方形筋を押圧部11、12で外側から内側に向けて押圧、支持することができる。
【0067】
なお、上記各実施形態は、適宜組合わせて用いることができる。例えば、上記第3の実施形態で示した台形状の板状体20において、その厚さを内側から外側に向かって厚くすることもできる。
【0068】
また、板状体10、15ないし20の大きさは、着用者の腰方形筋と必ずしも同じ大きさである必要はなく、例えば、外側に向かって腰方形筋よりも大きく形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 本体部
2 支持部
3、4 連結鐶
5 左バンド部
5a 係着部
6 右バンド部
6a 係着部
7 左ベルト部
7a 伸縮部
7b 非伸縮部
7c 被係着部
7d グログランテープ
8 右ベルト部
8a 伸縮部
8b 非伸縮部
8c 被係着部
8d 係着部
8e グログランテープ
9 連結部
10 板状体
11、12 押圧部
13、14 バインダーテープ
15 板状体
15a 変化領域
16、17 板状体
18 板状体
18a 変化領域
18b 平坦領域
19 板状体
20 板状体
20a 上辺
20b 下辺
20c 内側の辺
20d 外側の辺
100 サポーター