(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127046
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】自動壁紙糊付機
(51)【国際特許分類】
B05C 1/08 20060101AFI20240912BHJP
B44C 7/02 20060101ALI20240912BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B05C1/08
B44C7/02
B05C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035889
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000163121
【氏名又は名称】KLASS株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山根 将司
【テーマコード(参考)】
4F040
4F042
【Fターム(参考)】
4F040AA22
4F040AB01
4F040AC01
4F040BA12
4F040DA07
4F040DA20
4F042AA22
4F042AB00
4F042DH09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動壁紙糊付機を使用する際、作業者が不安定な姿勢で糊付け実行の「スタートスイッチ」を押さなくても、楽な姿勢で糊付け実行指示が出せる自動壁紙糊付機を提供する。
【解決手段】作業者が行うジェスチャーを検知するためのジェスチャー検知部を設け、作業者が行うジェスチャーの真偽を判定するための登録ジェスチャーを予め定めて記憶部に記憶し、演算部は、作業者が行うジェスチャーと登録ジェスチャーとを比較し、作業者が行うジェスチャーが登録ジェスチャーと一致する場合に、作業者が行うジェスチャーにより指示される処理を実行することを特徴とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁紙を搬送して糊を塗布するための複数のローラーからなる壁紙糊付機本体部と制御装置からなり、所定の長さの壁紙に糊を塗布して排出する自動壁紙糊付機であって、
前記制御装置は、糊を塗布して搬送した壁紙の長さを算出するための検尺部と、
壁紙糊付機を操作するための表示操作部と、
制御に必要なデータを記憶する記憶部と、
予め定められた処理を実行する演算部と、
作業者が行うジェスチャーを検知するためのジェスチャー検知部を有し、
作業者が行うジェスチャーの真偽を判定するための登録ジェスチャーを予め定めて前記記憶部に記憶し、
前記演算部は、作業者が行うジェスチャーと前記登録ジェスチャーを比較して真偽を判定し、作業者が行うジェスチャーが前記登録ジェスチャーと一致した場合に、作業者が行うジェスチャーが真であると判定し、
前記演算部は、作業者が行うジェスチャーにより指示される処理を実行することを特徴とする自動壁紙糊付機。
【請求項2】
作業者の存在を検知するための人体検知部を設け、
前記人体検知部が、前記壁紙糊付機本体部の壁紙排出側の作業者の存在を検知している場合に行われ、真であると判定された作業者のジェスチャーにより指示される処理を実行することを特徴とする、前記請求項1記載の自動壁紙糊付機。
【請求項3】
壁紙を搬送して糊を塗布するための複数のローラーからなる壁紙糊付機本体部と制御装置と携帯端末装置からなり、所定の長さの壁紙に糊を塗布して排出する自動壁紙糊付機であって、
前記制御装置は、糊を塗布して搬送した壁紙の長さを算出するための検尺部と、
壁紙糊付機を操作するための表示操作部と、
制御に必要なデータを記憶する記憶部と、
前記携帯端末装置とデータを送受信するための通信部と、
予め定められた処理を実行する演算部を有し、
前記携帯端末装置は、データを記憶するためのメモリーと、
前記制御装置と通信するための通信部と、
作業者が行うジェスチャーを検知するためのジェスチャー検知部を有し、
作業者が行うジェスチャーの真偽を判定するための登録ジェスチャーを予め定めて前記携帯端末装置の前記メモリーに記憶し、
前記携帯端末装置は、作業者が行うジェスチャーと前記登録ジェスチャーを比較して真偽を判定し、作業者が行うジェスチャーが前記登録ジェスチャーと一致した場合に、作業者が行うジェスチャーが真であると判定し、作業者のジェスチャーが指示するコマンドを前記制御装置の前記演算部に送信し、
前記演算部は、前記携帯端末装置から受信した前記コマンドに従った処理を実行することを特徴とする自動壁紙糊付機。
【請求項4】
作業者の存在を検知するための人体検知部を設け、
前記人体検知部が、前記壁紙糊付機本体部の壁紙排出側の作業者の存在を検知している場合に、前記携帯端末装置から受信した前記コマンドに従った処理を実行することを特徴とする、前記請求項3記載の自動壁紙糊付機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の天井や壁面に貼る、所定の長さの壁紙に糊を塗布する為の自動壁紙糊付機である。更に詳しくは、作業者が行うジェスチャーが指示する処理を実行する機能を有する自動壁紙糊付機である。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のローラーにより壁紙を搬送して、糊箱に貯留した糊を壁紙に塗布して
排出した壁紙の現在カウント値を制御部に表示しながら糊付けを実行する壁紙糊付機が具現化されており、壁紙糊付機の操作性を向上させるための工夫がなされている。
特願平10-205278の自動壁紙糊付機は、糊付けを実行するためのデータの入力や作動条件の設定を容易にする機能を有するもので、自動壁紙糊付機と、自動壁紙糊付機とは別体の記憶機能付入出力装置で構成され、作業者が操作し易いところに記憶機能付入出力装置を取り付けて操作できるようにしたものである。
また、特願2007-264176の自動壁紙糊付機は、作業者の操作ミスを防止するための機能を有するもので、設定された長さの壁紙に糊付け動作を実行する処理と、補助機能を実行する処理とに予め分離した処理の実行順序を定め持ち、補助機能を実行する処理は、実行中の処理から選択可能な処理の名称を示した選択項目を選択するための選択入力手段と、選択された処理に進むことを指示する実行指示入力手段と、処理の実行を1つ前の処理に戻すことを指示する後退指示入力手段を設け、実行指示入力手段から信号が入力された時に選択入力手段が選択する選択項目の処理を実行し、後退指示入力手段からの信号が入力された時に、実行中の処理を停止して、1つ前に実行していた処理に後退させるものである。
また、特願平8-158798の自動壁紙糊付機は、自動壁紙糊付機と、自動壁紙糊付機とは別体のリモコン送信機で構成され、作業者が操作し易いところに取り付けたり、手で持ったりして、糊付け長さの設定や糊付けの開始指示などの操作ができるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、作業者の操作性を向上させる自動壁紙糊付機が具現化されてきた。
しかし、いずれの場合も、モーターを起動して複数のローラーを回転させて壁紙を搬送して
糊付を実行させるためには、「スタートスイッチ」を押す必要がある。
ところが、作業者は「スタートスイッチ」を押す時には、
自動壁紙糊付機の本体部の壁紙排出側に垂れ下がっている壁紙の先頭部を目視しながら、
壁紙先頭部の糊が脚部のステーなどに貼り付かないようにして床に導く動作をする準備の姿勢をとっており、この状態で、表示操作部の「スタートスイッチ」を目視して手を伸ばすと不安定な姿勢になることがある。また、「スタートスイッチ」を押した手を素早く戻すことが困難な場合もあり、壁紙先端の誘導を失敗する場合がある。
このような背景から、作業者が不安定な姿勢で糊付け実行の「スタートスイッチ」を押さなくても、楽な姿勢で糊付け実行指示が出せる自動壁紙糊付機が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
壁紙を搬送して糊を塗布するための複数のローラーからなる壁紙糊付機本体部と制御装置からなり、所定の長さの壁紙に糊を塗布して排出する自動壁紙糊付機であって、
制御装置は、糊を塗布して搬送した壁紙の長さを算出するための検尺部と、
壁紙糊付機を操作するための表示操作部と、
制御に必要なデータを記憶する記憶部と、
予め定められた処理を実行する演算部と、
作業者が行うジェスチャーを検知するためのジェスチャー検知部を有し、
作業者が行うジェスチャーの真偽を判定するための登録ジェスチャーを予め定めて記憶部に記憶し、
演算部は、作業者が行うジェスチャーと登録ジェスチャーを比較して真偽を判定し、作業者が行うジェスチャーが登録ジェスチャーと一致した場合に、作業者が行うジェスチャーが真であると判定し、
演算部は、作業者が行うジェスチャーにより指示される処理を実行することを特徴とする。
【0008】
作業者の存在を検知するための人体検知部を設け、
人体検知部が、壁紙糊付機本体部の壁紙排出側の作業者の存在を検知している場合に行われ、真であると判定された作業者のジェスチャーにより指示される処理を実行することを特徴とする。
【0009】
壁紙を搬送して糊を塗布するための複数のローラーからなる壁紙糊付機本体部と制御装置と携帯端末装置からなり、所定の長さの壁紙に糊を塗布して排出する自動壁紙糊付機であって、
制御装置は、糊を塗布して搬送した壁紙の長さを算出するための検尺部と、
壁紙糊付機を操作するための表示操作部と、
制御に必要なデータを記憶する記憶部と、
携帯端末装置とデータを送受信するための通信部と、
予め定められた処理を実行する演算部を有し、
携帯端末装置は、データを記憶するためのメモリーと、
制御装置と通信するための通信部と、
作業者が行うジェスチャーを検知するためのジェスチャー検知部を有し、
作業者が行うジェスチャーの真偽を判定するための登録ジェスチャーを予め定めて携帯端末装置の前記メモリーに記憶し、
携帯端末装置は、作業者が行うジェスチャーと登録ジェスチャーを比較して真偽を判定し、作業者が行うジェスチャーが登録ジェスチャーと一致した場合に、作業者が行うジェスチャーが真であると判定し、作業者のジェスチャーが指示するコマンドを制御装置の演算部に送信し、
演算部は、携帯端末装置から受信した前記コマンドに従った処理を実行することを特徴とする。
【0010】
作業者の存在を検知するための人体検知部を設け、
人体検知部が、壁紙糊付機本体部の壁紙排出側の作業者の存在を検知している場合に、携帯端末装置から受信した前記コマンドに従った処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
壁紙を搬送して糊を塗布するための複数のローラーからなる壁紙糊付機本体部と制御装置からなり、所定の長さの壁紙に糊を塗布して排出する自動壁紙糊付機であって、
制御装置は、糊を塗布して搬送した壁紙の長さを算出するための検尺部と、
壁紙糊付機を操作するための表示操作部と、
制御に必要なデータを記憶する記憶部と、
予め定められた処理を実行する演算部と、
作業者が行うジェスチャーを検知するためのジェスチャー検知部を有し、
作業者が行うジェスチャーの真偽を判定するための登録ジェスチャーを予め定めて記憶部に記憶し、
演算部は、作業者が行うジェスチャーと登録ジェスチャーを比較して真偽を判定し、作業者が行うジェスチャーが登録ジェスチャーと一致した場合に、作業者が行うジェスチャーが真であると判定し、 演算部は、作業者が行うジェスチャーにより指示される処理を実行することを特徴とするので、
作業者は、表示操作部のスイッチを目視してスイッチに手を伸ばす必要がなく、楽な姿勢で、処理の実行の指示を出すことができる。
【0012】
作業者の存在を検知するための人体検知部を設け、
人体検知部が、壁紙糊付機本体部の壁紙排出側の作業者の存在を検知している場合に行われ、真であると判定された作業者のジェスチャーにより指示される処理を実行することを特徴とするので、
作業者がうっかりして、ジェスチャーと類似した動作をしてしまった場合でも、作業者が意図しないタイミングで処理を実行してしまうことはない。
【0013】
壁紙を搬送して糊を塗布するための複数のローラーからなる壁紙糊付機本体部と制御装置と携帯端末装置からなり、所定の長さの壁紙に糊を塗布して排出する自動壁紙糊付機であって、
制御装置は、糊を塗布して搬送した壁紙の長さを算出するための検尺部と、
壁紙糊付機を操作するための表示操作部と、
制御に必要なデータを記憶する記憶部と、
前記携帯端末装置とデータを送受信するための通信部と、
予め定められた処理を実行する演算部を有し、
携帯端末装置は、データを記憶するためのメモリーと、
制御装置と通信するための通信部と、
作業者が行うジェスチャーを検知するためのジェスチャー検知部を有し、
作業者が行うジェスチャーの真偽を判定するための登録ジェスチャーを予め定めて携帯端末装置の前記メモリーに記憶し、
携帯端末装置は、作業者が行うジェスチャーと登録ジェスチャーを比較して真偽を判定し、作業者が行うジェスチャーが登録ジェスチャーと一致した場合に、作業者が行うジェスチャーが真であると判定し、作業者のジェスチャーが指示するコマンドを制御装置の演算部に送信し、
演算部は、携帯端末装置から受信した前記コマンドに従った処理を実行することを特徴とするので、
作業者は、表示操作部のスイッチを目視してスイッチに手を伸ばす必要がなく、楽な姿勢で、処理の実行の指示を出すことができる。
また、作業者の体型に応じてジェスチャー検知部を移動させることができるので、作業者がジェスチャーをやりやすいものである。
【0014】
作業者の存在を検知するための人体検知部を設け、
人体検知部が、壁紙糊付機本体部の壁紙排出側の作業者の存在を検知している場合に、携帯端末装置から受信した前記コマンドに従った処理を実行することを特徴とするので、
作業者がうっかりして、ジェスチャーと類似した動作をしてしまった場合でも、作業者が意図しないタイミングで処理を実行してしまうことはない。
【0015】
本願の自動壁紙糊付機はこれらの特徴により、従来は壁紙先端を導く際に表示操作部を注視し手を伸ばして表示操作部に触れて自動壁紙糊付機を操作したあとすばやく壁紙先端を持つという動作が必要だったのに対し、壁紙先端を注視したままで手を伸ばさず手元で自動壁紙糊付機を操作し壁紙先端に手を添え直すだけで良くなり、誤操作もなく、作業者にとって非常に便利で快適な自動壁紙糊付機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の自動壁紙糊付機の構成を説明するための斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の自動壁紙糊付機の構成を説明するための断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の自動壁紙糊付機の機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の自動壁紙糊付機の表示操作部を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本発明の自動壁紙糊付機の人体検知とジェスチャー検知を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本発明の自動壁紙糊付機のジェスチャーの軌跡を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本発明の自動壁紙糊付機の糊付け実行処理のフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の第2の実施形態の自動壁紙糊付機の構成を説明するための斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の第2の実施形態の自動壁紙糊付機の機能ブロック図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2の実施形態の自動壁紙糊付機の糊付け実行処理のフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1と
図2を用いて本発明の自動壁紙糊付機(1)の本体の構成を説明する。自動壁紙糊付機(1)は、上部フレーム(2)と下部フレーム(3)からなる本体部(1a)が脚部(4)の上に載置され、上部フレーム(2)には制御装置(5)が装着されている。
自動壁紙糊付機(1)の本体部(1a)の下部フレーム(3)には、送り出しローラー(9)、ドクターローラー(11)、糊付けローラー(12)、ナラシローラー(14)が配設されており、また、下部フレーム(3)には糊箱(7)が装着され、糊箱(7)の内部には糊Bを汲み上げて糊付けローラー(12)に転写するための糊上げローラー(15)が配設されている。
また、下部フレーム(3)には壁紙Aの左右端を裁断する為のスリッター(6)が装着される。
【0018】
また、本体部(1a)の上部フレーム(2)には、検尺ローラー(8)、ハイテンションローラー(10)、押さえローラー(13)が配設されており、上部フレーム(2)は、開閉支点(図示せず)により、下部フレーム(3)に対して開閉可能であり、糊箱(7)に糊Bを入れる際や壁紙Aをセットする際などには上部フレーム(2)を開けて行う。
また、上部フレーム(2)には運搬用の取手(18)が左右一対設けられている。
また、上部フレーム(2)には自動壁紙糊付機(1)を制御する制御装置(5)が設けられている。
【0019】
下部フレーム(3)にはモーター(24)の出力軸先端に設けられたモーター歯車(図示せず)と下部フレーム(3)の内部と上部フレーム(2)の内部に設けられた複数の本体歯車(図示せず)により、送り出しローラー(9)とドクターローラー(11)と糊付けローラー(12)とナラシローラー(14)と糊上げローラー(15)と押さえローラー(13)が回転駆動される。
一方、検尺ローラー(8)とハイテンションローラー(10)にはモーター(24)の駆動力は伝達されておらず、搬送される壁紙Aに従動して回転する。
【0020】
また、検尺ローラー(8)の軸端には検尺部(35)が配設されており、検尺ローラー(8)の回転に比例した検尺信号(37)が生成され、演算部(33)が検尺信号(37)を計数することにより、排出した壁紙Aの「実行糊付け長さ」が算出される。
【0021】
また、糊箱(7)に貯留された糊Bは糊上げローラー(15)により汲み上げられて糊付けローラー(12)に転写され、ドクターローラー(11)と糊付けローラー(12)の隙間によって定められた所定の厚みの糊Bが壁紙Aの裏面に塗布される。
【0022】
また、制御装置(5)には、液晶表示器とLEDにより構成される表示操作部(30)が設けられており、作業者が設定した「設定糊付け長さ」や、作業者が設定した「設定枚数」や、糊付け実行速度などの作動条件や、補助機能の設定内容や、高電圧や糊残量などの警告や、糊Bを塗布して排出した壁紙Aの長さである「実行糊付け長さ」などを表示する。
表示操作部(30)には、自動壁紙糊付機(1)を操作するための複数のキースイッチが設けられている。
【0023】
また、自動壁紙糊付機(1)には壁紙Aの側縁部を切断するためのスリッター(6)が脱着可能に装着される。スリッター(6)は、上下一対で左右一対の上刃(16)と下刃(17)を上刃物駆動軸(図示せず)と下刃物駆動軸(図示せず)に通した構造であり、モーター(24)の駆動が複数の本体歯車(図示せず)により伝達されて上刃(16)と下刃(17)が回転して壁紙Aの側縁部を切断するものである。
【0024】
また脚部(4)には、壁紙Aの原反をセットするための原反受け(19)が設けられており、
左右一対のサイド板(21)で挟まれた壁紙Aの原反が、原反芯棒(20)に通されて引き出されて、テンションバー(22)に引っかけられて、スリッター(6)を通って、送り出しローラー(9)によって搬送される。
【0025】
続いて、本発明の自動壁紙糊付機(1)の制御装置(5)の機能を、
図3のブロックを用いて説明する。
本発明の自動壁紙糊付機(1)は、予め定められた複数の処理を実行することにより、所定の長さの壁紙に糊を塗布する自動壁紙糊付機(1)であり、
作業者が自動壁紙糊付機(1)に実行させたい処理を選択して実行させるための実行指示手段と、処理の実行を1つ前の処理に戻すことを指示する後退指示手段が設けられた自動壁紙糊付機(1)であり、
実行指示手段として作業者のジェスチャーを検知して真偽を判定し、そのジェスチャーに割り当てられた処理を実行するようにした自動壁紙糊付機(1)である。
【0026】
図3に示す、モーター(24)はDCブラシレスモーターであり、内部に実装されたホール素子によりローターの位置を検出して回転方向と回転速度に比例した信号を出力する機能を有している。
【0027】
モーター制御部(34)はモーター(24)から出力される回転方向や回転速度に比例した信号によりモーター(24)を速度制御する。
【0028】
表示操作部(30)は、自動壁紙糊付機(1)の作動条件の入力や作動状態の出力や作動指示をするためのものであり、複数のキースイッチと液晶表示器とタッチパネル等で構成されている。また、操作音や通知音を発生するブザー(図示せず)が設けられている。
【0029】
記憶部(32)は、演算部(33)が実行する複数の処理を記憶し、処理を実行する為に必要な変数や、作動条件などのデータや糊付実行レコード等のデーターを記憶するためのRAMとROMである。
【0030】
検尺部(35)は、搬送される壁紙に従動回転する検尺ローラー(8)の回転に比例する検尺信号(37)を生成する。
【0031】
クロス検知部(36)は壁紙Aの有無を検知する。反射式の光電センサ(図示せず)により構成されており、壁紙搬送経路内に壁紙Aが存在する場合には、光電センサ(図示せず)が照射した光線が壁紙Aにより反射されて光電センサ(図示せず)に入射し、光電センサ(図示せず)の出力はONとなり、壁紙Aが存在しない場合はOFFとなるように、自動壁紙糊付機(1)の壁紙搬送経路内に配置されている。
【0032】
通信部(33)は、携帯端末装置(図示せず)とデータを送受信する機能である。
【0033】
人体検知部(38)は、制御装置(5)の表示操作部(30)の下部に設けられ、
作業者が、壁紙糊付機本体部の壁紙排出側で、椅子や糊が入っていた箱にすわったり、すねをついたりしている姿勢の、太ももから腹と胸のあたりを捉えるように焦点を合わせているカメラである。
【0034】
ジェスチャー検知部(39)は、壁紙糊付機本体部(1a)の壁紙排出側の本体上部ステー(23)に設けられ、
作業者が椅子や糊が入っていた箱にすわったり、すねをついたりしている姿勢の、
作業者の左の肩から腕のあたりを捉えるように焦点を合わせているカメラである。
【0035】
演算部(33)は、主にワンチップマイコンからなり、予め定められた処理シーケンスを実行することにより、自動壁紙糊付機(1)を制御するものであり、検尺部(35)により生成される検尺信号(37)を計数して搬送した壁紙Aの「実行糊付け長さ」を算出する。演算部(33)は、検尺信号(37)を1つ計数する毎に、第1のカウンタとしてのパラメータtを、t←t+1として加算し、「実行糊付け長さ」Lを、L=t×P、(Pは検尺信号(37)を1つ計数した場合の壁紙Aの移動距離(検尺ローラー(8)の直径に基づき定めている定数))として求める。
また、演算部(33)は、表示操作部(30)やモーター制御部(34)や通信部(31)などを制御する機能を有している。
また、演算部(33)は、水晶振動子をクロックとして作動し、水晶振動子の周波数を分周して、時間間隔が異なる複数のソフトウェアタイマーを作ることができる。
【0036】
続いて、制御装置(5)に設けられている表示操作部(30)を
図4を用いて説明する。表示操作部(30)の上側は液晶表示器であり、下側はキースイッチ群である。
【0037】
液晶表示器の、アイコン表示エリア(301)欄は、糊補給警告やクロス切れ警告や制限モードなどの警告のためのアイコンを表示する部分である。
【0038】
日時表示エリア(302)欄は、現在の年月日と時刻を表示する部分である。
【0039】
設定糊付け長さ表示(304)欄は、糊を付ける壁紙の設定糊付け長さを入力する部分である。
【0040】
実行糊付け長さ表示(305)欄は、現在糊を付けている壁紙の、現在までに糊を付けたところまでの、実行糊付け長さを表示する部分である。
【0041】
枚数表示(303)は、糊を付ける壁紙の設定枚数を入力する部分であり、糊を付け終わった壁紙の実行枚数を表示する部分である。
【0042】
補助機能情報表示(306)欄は、設定されている補助機能の活動状態を表示するもので、クロス残量や糊残量などを表示する部分である。
【0043】
糊付け実行モード表示(307)欄は、現在選択されている糊付けモードを表示するもので、ノーマルモードやプログラムモードやかんたんモードなどを表示する部分である。
【0044】
糊付けスピード表示(308)欄は、現在設定されている糊付け実行速度を表示する部分である。
【0045】
糊供給連動キー(309)は、糊を手動供給するか自動供給するかを設定するためのスイッチである。
【0046】
糊付けスピードキー(310)は、糊付け実行速度を設定するためのスイッチである。
【0047】
キースイッチ群の数字キー(311)は、設定糊付け長さなどを入力するための、数字0、1、2、3、4、5、6、7、8、9と小数点のスイッチである。
【0048】
インフォメーションキー(313)は、処理の名称や補助機能の名称を示した選択項目を表示させたり、補助機能の活動状況を表示させたりするためのスイッチである。
【0049】
カーソルキー(312)は、カーソルを上下左右に移動させて、選択項目を選択するためのスイッチである。
【0050】
送りキー(314)は、モーター(24)を寸動させて壁紙の先頭の位置を微調整するためのスイッチである。
【0051】
リセットESCキー(316)は、設定値を初期値に戻したり、現在実行中の処理を中止してひとつ前の処理に戻るためのスイッチである。
【0052】
クリアキー(317)は、設定値や計数値を0に戻すためのスイッチである。
【0053】
セットキー(318)は、入力された設定糊付け長さなどの設定値を確定記憶するためのスイッチである。
【0054】
スタートキー(319)は、糊付け実行処理を開始させるためのスイッチである。
【0055】
<第1の実施形態>
続いて、本発明の自動壁紙糊付機(1)におけるジェスチャー判定の第1の実施形態を説明する。
図6(a)は、「ジェスチャー1」と称し、リセット&スタートの意味となるジェスチャーである(作業者の左手の動きを作業者側から見た軌跡である)。
図6(b)は、「ジェスチャー2」と称し、インチング(寸動)の意味となるジェスチャーである(作業者の左手の動きを作業者側から見た軌跡である)。
本発明では、
図6(a)と
図6(b)に示す作業者のジェスチャーを、
ジェスチャー検知部(39)のカメラ側から見た軌跡を、登録ジェスチャーとして予め記憶部(32)に記憶しておき、作業者が行う左手のジェスチャーの軌跡と比較して、作業者のジェスチャーの真偽を判定して、そのジェスチャーの意味を認識する。
本発明では、作業者のジェスチャーの動画を静止画に取り出し、取り出した静止画に対し二値化処理を施して輪郭抽出を行って、輪郭情報から位置座標を連続的に取得することで軌跡を得ている。
【0056】
「ジェスチャー1」を説明する。
作業者の左手がジェスチャー検知部(39)の右側から左側へ移動してから、ジェスチャー検知部(39)よりも上へ上がってから、そこからジェスチャー検知部(39)よりも下へ下降した場合の一連の軌跡を「ジェスチャー1」とし、
左手が、
図6の水平矢印のように、右側から左側へ移動した軌跡を(動きを)、キースイッチのリセットESCキー(316)が押された場合と同じ指示(同じ意味)であると割り付け、左手が、
図6の垂直矢印のように、上から下へ下降した軌跡を、キースイッチのスタートキー(319)が押された場合と同じ指示(同じ意味)であると割り付けている。
演算部(33)は、
図6(a)の一連の軌跡を、糊付け実行指示(リセット&スタート)が出されたと認識し、糊付け実行処理を実行する。
【0057】
続いて、「ジェスチャー2」を説明する。
作業者の左手がジェスチャー検知部(39)の左側から右側へ動いて、左側へ戻ってからまた右側へ動いた場合に「ジェスチャー2」と判定し、
キースイッチの送りキー(314)が押された場合と同じ指示(同じ意味)であると割り付けている。本発明の自動壁紙糊付機(1)は、
図6(b)に示す左手の動きをジェスチャー検知部(39)のカメラ側から見た軌跡を予め記憶部(32)に記憶しておき、作業者の左手のジェスチャーと比較する。
演算部(33)は、
図6(b)の軌跡を、寸動糊付け指示(インチング)であると認識する。
【0058】
続いて、作業者のジェスチャーのを判定するためのジェスチャー判定処理MTP1を説明する。
ジェスチャー判定処理MTP1は、ジェスチャー検知部(39)が検知した作業者のジェスチャーを演算部(33)が判定する処理である
ジェスチャー判定処理MTP1で演算部(33)は、ジェスチャー検知部(39)が検知した作業者のジェスチャーが、記憶部(32)に格納している「登録ジェスチャー1」の軌跡と一致するか、「登録ジェスチャー2」の軌跡と一致するかを比較して、
「登録ジェスチャー1と一致すれば、作業者の行うジェスチャーが「真」であると判定し、糊付け実行の指示(リセット&スタートの指示)であると認識し、糊付け実行処理を実行する。
また、「登録ジェスチャー2」と一致すれば、作業者の行うジェスチャーが「真」であると判定し、寸動による糊付け実行の指示(インチングの指示)であると認識する。
一方、作業者の行うジェスチャーが「登録ジェスチャー1」とも「登録ジェスチャー2」とも一致しなければ、「偽」であると判定し、表示操作部(30)にエラーメッセージを出力する。
【0059】
また、ジェスチャー判定処理MTP1で演算部(33)は、作業者の手の動きがたまたまジェスチャー1やジェスチャー2と類似した動きをしたのではなく意図して行ったジェスチャーであることを判断する為に人体検知部(38)が設けられている。
演算部(33)は、作業者が自動壁紙糊付機(1)の本体部(1a)の壁紙排出側に垂れ下がっている壁紙Aを導くために、作業定位置に存在しているか(スタンバイしているか)どうかを検知し、人体検知部(38)が、本体部(1a)の壁紙排出側(前方)に作業者の太ももから腹と胸のあたりを捉えている場合に、「作業者定位置(スタンバイ)」と判定し、
捉えていない場合や、作業者が他の姿勢をとっている場合には、「作業者不在」と判定する。
【0060】
続いて、本発明の自動壁紙糊付機(1)が作業者のジェスチャーを判定して、ノーマルモードで糊付けを行う場合を、
図7に示すフローチャートを用いて説明する。
処理STP1は、作業者により「設定糊付け長さ」と「設定枚数」と糊付けスピードなどが設定される処理である。
演算部(33)は
図4に示す画面を表示し、カーソル(図示せず)を「設定糊付け長さ」表示欄(304)に移動させて、作業者により「設定糊付け長さ」が入力されてセットキー(318)がされると、「設定糊付け長さ」を確定し、カーソル(図示せず)を設定枚数表示欄(303)に移動させて、
作業者により「設定枚数」が入力されてセットキー(318)がされると、「設定枚数」を確定する。
「設定糊付け長さ」=300cm、 「設定枚数」=3枚が設定されたとして、以下を説明する。
【0061】
演算部(33)は、「設定糊付け長さ」と「設定枚数」が設定された後、糊付け実行開始処理STP2へ処理を進めるために、ジェスチャー判定処理MTP1を実行しながら、作業者のジェスチャーを所定の時間待ち、
ジェスチャー判定処理MTP1で得た結果が「真」であり、かつ、人体検知部(38)が「作業者定位置」と判定している場合に、作業者が行ったジェスチャーを「有効」と判定し、「ジェスチャー1」である場合に、糊付け実行開始処理STP2を実行する。
【0062】
また、演算部(33)は、処理STP1において、作業者により「設定糊付け長さ」と「設定枚数」が入力されてセットキー(318)が押された直後にソフトウェアタイマーを起動させて経過時間を計測し、作業者のジェスチャーが「真」であり、かつ、作業者の姿勢が「作業者定位置」で、「有効」と判定される場合でも、所定の時間T(30秒)以上経過してからそのジェスチャーが行われた場合は、タイムアウトとしてそのジェスチャーは「無効」であると判定する。
ただし、演算部(33)は、「無効」と判定した場合でも、スタートキー(319)が押された場合は、糊付け実行開始処理STP2を実行する。
【0063】
処理STP2で演算部(33)は、糊付け実行に必要なパラメータの初期化を行い、入力された「設定糊付け長さ」を変数Jに記憶し、モーター(24)を起動させ、送り出しローラー(9)とドクターローラー(11)と糊付けローラー(12)とナラシローラー(14)と糊上げローラー(15)と押さえローラー(13)が回転駆動され、壁紙原反受け(19)にセットされた壁紙Aが、送り出しローラー(9)と検尺ローラー(8)により引き出され、上刃(28)と下刃(29)により側縁部が切断されて内部へ搬送される。
糊箱(7)に貯留されている糊Bは糊上げローラー(15)により汲み上げられて糊付けローラー(12)に転写され、ドクターローラー(11)と糊付けローラー(12)の隙間によって定められた所定の厚みの糊Bが壁紙Aの裏面に塗布され、本体部(1a)の前方へ排出される。
【0064】
処理STP3では演算部(33)は、検尺ローラー(8)が搬送される壁紙Aに従動して回転することにより、検尺部(18)が生成する検尺信号(37)を計数して搬送した壁紙Aの「実行糊付け長さ」を算出する。
長さカウンタとしての、パラメータtを、t←t+1として、検尺信号(37)を1つ計数する毎に加算し、「実行糊付け長さ」Lを、L=t×P、(Pは検尺信号(37)を1つ計数した場合の壁紙Aの移動距離(検尺ローラー(8)の直径に基づき定めている定数))として求める。 実行糊付け長さ(カウント)表示欄(304)に現時点の壁紙Aの長さを表示する。
【0065】
処理STP4では、演算部(33)は、「実行糊付け長さ」Lが「設定糊付け長さ」Jに達したかどうかを判定し、達していなければ、処理STP3へ戻って糊付けを続ける。L=Jとなれば、処理STP5を実行する。
【0066】
処理STP5では、演算部(33)はモーター(24)を停止し、1枚目の壁紙Aの糊付け実行を終え、処理STP2へ戻る。
1枚目の壁紙Aの糊付け実行を終えて処理STP2へ戻った時は、
設定糊付け長さ表示欄(304)=300cm、
実行糊付け長さ(カウント)表示欄(304)=300cm、
枚数表示欄(303)=2枚、を表示する。
作業者はカッターガイドにカッターナイフを沿わせて壁紙Aを切断し、1枚めの糊付き壁紙ができあがる。
【0067】
また、演算部(33)は、処理MTP5でモーター停止させ、
図7のフローの上向き矢印で処理STP2へ戻った場合でもジェスチャー判定処理MTP1を実行しているので、
作業者は、繰り返し図柄のある壁紙Aのなどの場合で、カッターナイフで切断する位置をもう少し送りたい場合に、寸動(インチング)機能を用いて少しだけ壁紙A送りたいことがある。この場合作業者は、
「ジェスチャー2」を行えば、
演算部(33)は、ジェスチャーの「真」、「偽」、と作業者の姿勢の「作業者定位置」を判定し、作業者が行ったジェスチャーが「有効」であれば、
演算部(33)は、「ジェスチャー2」の、作業者の手が右から左へ1回動く毎に1回寸動(インチング)を実行する。
【0068】
また、演算部(33)は、処理STP5でモーター停止させ、
図7のフローの上向き矢印で処理STP2へ戻った場合でもジェスチャー判定処理MTP1を実行しているので、
作業者が「ジェスチャー1」を行い、
演算部(33)が「真」であると判定し、
演算部(33)が「有効」と判定した場合、
演算部(33)は糊付け実行開始処理STP2を再び実行し、
【0069】
設定糊付け長さ表示欄(304)=300cm、
実行糊付け長さ(カウント)表示欄(304)=300cm、
枚数表示欄(303)=2枚、を表示した状態から、
実行糊付け長さ(カウント)表示欄(304)を0cmとしてから、
パラメータtを、t←t+1、「実行糊付け長さ」Lを、L=t×Pとして搬送した壁紙Aの長さを算出しながら、実行糊付け長さ(カウント)表示欄(304)に現時点の壁紙Aの長さを表示する。
そして、「実行糊付け長さ」Lが「設定糊付け長さ」Jに達したかどうかを判定し、L=Jとなれば、処理STP5を実行し、モーター(24)を停止し、2枚目の壁紙Aの糊付け実行を終え、処理STP2へ戻り、
設定糊付け長さ表示欄(304)=300cm、
実行糊付け長さ(カウント)表示欄(304)=300cm、
枚数表示欄(303)=1枚、を表示する。
【0070】
同様の動作を繰り返して3枚目の壁紙Aの糊付け実行を終える。
【0071】
本発明の第1の実施形態は、
制御装置(5)の演算部(33)が、ジェスチャー判定処理MTP1において、
作業者が行ったジェスチャーが記憶部(32)に格納している「登録ジェスチャー1」の軌跡と一致するか、あるいは、「登録ジェスチャー2」の軌跡と一致するかを比較して、
「登録ジェスチャー1」または、「登録ジェスチャー2」と一致すれば、作業者の行うジェスチャーが「真」であると判定する。
また、人体検知部(38)が、本体部(1a)の壁紙排出側(前方)に作業者の太ももから腹と胸のあたりを捉えている場合に、「作業者定位置(スタンバイ)」と判定し、
捉えていない場合や、作業者が他の姿勢をとっている場合には、「作業者不在」と判定する。
演算部(33)は、ジェスチャー判定結果が「真」であり、かつ、人体検知結果が「作業者定位置」である場合に、作業者のジェスチャーは「有効」であると判定し、作業者が行ったジェスチャーにより指示される処理を実行するものである。
【0072】
なお、
図7の糊付け実行処理のフローチャートは、予め複数の糊付け予定レコードが生成されてから糊付け実行処理が指示される、プログラムモードによる糊付け実行処理(フローチャート図示せず)においても同様に実行される処理である。
【0073】
<第2の実施形態>
続いて、第2の実施形態を、
図8と
図9と
図10を用いて説明する。
図8に示すように、第2の実施形態の自動壁紙糊付機(1)は、本体部(1a)と制御装置(5)と携帯端末装置(501)で構成され、
携帯端末装置(501)は、市販されているスマホスタンド(携帯電話取り付け台)によって、壁紙糊付機本体部(1a)の壁紙排出側の本体上部ステー(23)に設けられており、取り付け位置を左右方向にスライド移動させることができ、また、壁紙Aの右側にも取り付けできるものである。
【0074】
続いて、携帯端末装置(501)の機能ブロックを
図9を用いて説明する。
携帯端末装置(501)は、第1通信部(502)と第2通信部(503)と、表面がタッチパネルになっている画面(504)と、メモリー(505)と、ジェスチャー検知部(506)と、演算部(507)と、バッテリー(図示せず)などからなる。
第1通信部(502)は、自動壁紙糊付機(1)の通信部(31)とデータを送受信するための、Wi-Fi(登録商標)規格と、Bluetooth(登録商標)規格の、微弱電波を用いた近距離無線通信である。
第2通信部(503)は、電話通信会社の無線公衆回線に接続して音声通話やインターネットをするための通信である。
メモリー(505)は、演算部(507)が実行するための変数や設定値やデータやアプリケーションを記憶するものであり、画面(504)は液晶表示器とタッチパネルであり、 ジェスチャー検知部(506)はカメラ機能である。
【0075】
続いて、第2の実施形態の本発明の自動壁紙糊付機(1)が作業者のジェスチャーを判定して、ノーマルモードで糊付けを行う場合を、
図10に示すフローチャートを用いて説明する。
図10の中の処理STP1と処理STP2と処理STP3と処理STP4と処理STP5とジェスチャーを判定処理KTP1は制御装置(5)の演算部(33)が実行する処理であり、ジェスチャー真偽処理TTP1は携帯端末装置(501)の演算部(507)が実行する処理である。
【0076】
また、制御装置(5)の演算部(33)が、
図10に示すフローチャートの処理を実行している時は、制御装置(5)の通信部(31)と携帯端末装置(501)の第1通信部(502)は通信接続状態であり、制御装置(5)の演算部(33)と携帯端末装置(501)の演算部(507)は常時連携し、自動壁紙糊付機(1)を制御するために必要なデータを共有している。
【0077】
処理STP1は、制御装置(5)の演算部(33)が、作業者により「設定糊付け長さ」と「設定枚数」と糊付けスピードなどが設定される処理である。
制御装置(5)の演算部(33)は表示操作部(30)に
図4に示す画面を表示し、カーソル(図示せず)を「設定糊付け長さ」表示欄(304)に移動させて、作業者により「設定糊付け長さ」が入力されてセットキー(318)がされると、「設定糊付け長さ」を確定し、カーソル(図示せず)を設定枚数表示欄(303)に移動させて、
作業者により「設定枚数」が入力されてセットキー(318)がされると、「設定枚数」を確定する。
「設定糊付け長さ」=300cm、 「設定枚数」=3枚が設定されたとして、以下を説明する。
【0078】
制御装置(5)の演算部(33)は、「設定糊付け長さ」と「設定枚数」が設定された後、糊付け実行開始処理STP2へ処理を進めるために、ジェスチャー判定処理KTP1を実行し、携帯端末装置(501)から真偽結果が送信されてくるのを待っている状態である。
携帯端末装置(501)の演算部(507)は、ジェスチャー真偽処理TTP1を実行し、ジェスチャー検知部(506)によって作業者のジェスチャーを検知して、作業者のジェスチャーをメモリー(505)に記憶している登録ジェスチャー1と登録ジェスチャー2と比較して真偽を判定し、真である場合で、作業者のジェスチャーがリセット&スタートの意味(登録ジェスチャー1)となるジェスチャーであれば、作業者のジェスチャーが指示するコマンドである、リセット&スタートコマンドを、制御装置(5)の演算部(33)へ送信する。
制御装置(5)の演算部(33)は、人体検知部(38)が「作業者定位置」と判定している場合に、送信されてきたリセット&スタートコマンドに従った処理である、糊付け実行開始処理STP2を実行する。
また、携帯端末装置(501)の演算部(507)は、真偽判定結果が「偽」である場合、携帯端末装置(501)の画面(504)にエラーメセージを表示する。
【0079】
処理STP2で制御装置(5)の演算部(33)は、糊付け実行に必要なパラメータの初期化を行い、入力された「設定糊付け長さ」を変数Jに記憶し、モーター(24)を起動させ、送り出しローラー(9)とドクターローラー(11)と糊付けローラー(12)とナラシローラー(14)と糊上げローラー(15)と押さえローラー(13)が回転駆動され、壁紙原反受け(19)にセットされた壁紙Aが、送り出しローラー(9)と検尺ローラー(8)により引き出され、上刃(28)と下刃(29)により側縁部が切断されて内部へ搬送される。
糊箱(7)に貯留されている糊Bは糊上げローラー(15)により汲み上げられて糊付けローラー(12)に転写され、ドクターローラー(11)と糊付けローラー(12)の隙間によって定められた所定の厚みの糊Bが壁紙Aの裏面に塗布され、本体部(1a)の前方へ排出される。
【0080】
処理STP3では制御装置(5)の演算部(33)は、検尺ローラー(8)が搬送される壁紙Aに従動して回転することにより、検尺部(18)が生成する検尺信号(37)を計数して搬送した壁紙Aの「実行糊付け長さ」を算出する。
長さカウンタとしての、パラメータtを、t←t+1として、検尺信号(37)を1つ計数する毎に加算し、「実行糊付け長さ」Lを、L=t×P、(Pは検尺信号(37)を1つ計数した場合の壁紙Aの移動距離(検尺ローラー(8)の直径に基づき定めている定数))として求める。 実行糊付け長さ(カウント)表示欄(304)に現時点の壁紙Aの長さを表示する。
【0081】
処理STP4では、制御装置(5)の演算部(33)は、「実行糊付け長さ」Lが「設定糊付け長さ」Jに達したかどうかを判定し、達していなければ、処理STP3へ戻って糊付けを続ける。L=Jとなれば、処理STP5を実行する。
【0082】
処理MTP5では、制御装置(5)の演算部(33)はモーター(24)を停止し、1枚目の壁紙Aの糊付け実行を終え、処理MTP2へ戻る。
1枚目の壁紙Aの糊付け実行を終えて処理MTP2へ戻った時は、
設定糊付け長さ表示欄(304)=300cm、
実行糊付け長さ(カウント)表示欄(304)=300cm、
枚数表示欄(303)=2枚、を表示する。
作業者はカッターガイドにカッターナイフを沿わせて壁紙Aを切断し、1枚めの糊付き壁紙ができあがる。
【0083】
また、制御装置(5)の演算部(33)は、処理STP5でモーター停止させ、
図10のフローの上向き矢印で処理STP2へ戻った場合でもジェスチャー判定処理KTP1を実行しているので、
作業者は、繰り返し図柄のある壁紙Aのなどの場合で、カッターナイフで切断する位置をもう少し送りたい場合に、寸動(インチング)機能を用いて少しだけ壁紙A送りたいことがある。
この場合、作業者は、「ジェスチャー2」を行って、真偽判定結果が「真」であれば、
携帯端末装置(501)から制御装置(5)の演算部(33)へ、寸動(インチング)コマンドが送信される。
制御装置(5)の演算部(33)は、「作業者定位置」であれば、寸動(インチング)コマンドを実行する。
【0084】
また、制御装置(5)の演算部(33)は、処理STP5でモーター停止させ、
図10のフローの上向き矢印で処理STP2へ戻った場合でもジェスチャー判定処理KTP1を実行しているので、作業者が「ジェスチャー1」を行い、
携帯端末装置(501)の演算部(507)が「真」であると判定し、
制御装置(5)の演算部(33)が「有効」と判定した場合、
制御装置(5)の演算部(33)は糊付け実行開始処理STP2を再び実行し、
【0085】
設定糊付け長さ表示欄(304)=300cm、
実行糊付け長さ(カウント)表示欄(304)=300cm、
枚数表示欄(303)=2枚、を表示した状態から、
実行糊付け長さ(カウント)表示欄(304)を0cmとしてから、
パラメータtを、t←t+1、「実行糊付け長さ」Lを、L=t×Pとして搬送した壁紙Aの長さを算出しながら、実行糊付け長さ(カウント)表示欄(304)に現時点の壁紙Aの長さを表示する。
そして、「実行糊付け長さ」Lが「設定糊付け長さ」Jに達したかどうかを判定し、L=Jとなれば、処理STP5を実行し、モーター(24)を停止し、2枚目の壁紙Aの糊付け実行を終え、処理MTP2へ戻り、
設定糊付け長さ表示欄(304)=300cm、
実行糊付け長さ(カウント)表示欄(304)=300cm、
枚数表示欄(303)=1枚、を表示する。
【0086】
同様の動作を繰り返して3枚目の壁紙Aの糊付け実行を終える。
【0087】
第2の実施形態は、携帯端末装置(501)の演算部(507)が、ジェスチャー真偽処理TTP1において、作業者が行ったジェスチャーがメモリー(505)に格納している「登録ジェスチャー1」の軌跡と一致するか、あるいは、「登録ジェスチャー2」の軌跡と一致するかを比較して、
「登録ジェスチャー1」または、「登録ジェスチャー2」と一致すれば、作業者の行うジェスチャーが「真」であると判定し、作業者のジェスチャーが指示する(意図する)コマンドを、第1通信部(503)から制御装置(5)の通信部(31)に送信し、
コマンドを受信した制御装置(5)の演算部(33)は、人体検知部(38)が、本体部(1a)の壁紙排出側(前方)に作業者の太ももから腹と胸のあたりを捉えている場合に、「作業者定位置(スタンバイ)」と判定し、携帯端末装置(501)から受信したコマンドに従った処理を実行するものである。
なお、携帯端末装置(501)が壁紙Aの右側に取り付けられている場合は、作業者の右手のジェスチャーを検知する。
【符号の説明】
【0088】
1 自動壁紙糊付機
1a 本体部
2 上部フレーム
3 下部フレーム
4 脚部
5 制御装置
6 スリッター
7 糊箱
8 検尺ローラー
9 送り出しローラー
10 ハイテンションローラー
11 ドクターローラー
12 糊付けローラー
13 押さえローラー
14 ナラシローラー
15 糊上げローラー
16 上刃
17 下刃
18 取手
19 原反受け
20 原反芯棒
21 サイド板
22 テンションバー
23 本体上部ステー
24 モーター
30 表示操作部
31 通信部
32 記憶部
33 演算部
34 モーター制御部
35 検尺部
36 クロス検知部
37 検尺信号
38 人体検知部
39 ジェスチャー検知部
301 アイコン表示エリア
302 日時表示エリア
303 枚数表示
304 設定糊付け長さ表示
305 実行糊付け長さ表示
306 補助機能情報表示
307 糊付け実行モード表示
308 糊付けスピード表示
309 糊供給連動キー
310 糊付けスピードキー
311 数字キー
312 カーソルキー
313 インフォメーションキー
314 送りキー
315 頭出しキー
316 リセットESCキー
317 クリアキー
318 セットキー
319 スタートキー
501 携帯端末装置
502 第1通信部
503 第2通信部
504 画面
505 メモリー
506 ジェスチャー検知部
507 演算部
A 壁紙
B 糊